(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】繰出し容器
(51)【国際特許分類】
A45D 40/04 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A45D40/04 B
(21)【出願番号】P 2019083037
(22)【出願日】2019-04-24
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-010717(JP,U)
【文献】特開2003-205979(JP,A)
【文献】国際公開第2008/108012(WO,A1)
【文献】実開昭60-119317(JP,U)
【文献】米国特許第05324125(US,A)
【文献】韓国登録特許第10-1231622(KR,B1)
【文献】実開昭62-120911(JP,U)
【文献】特開2011-051593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 40/00~40/30
B65D 83/00
B43M 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の外筒体及び前記外筒体の内側に設けられた支持体を備えた容器基部と、
前記外筒体と前記支持体との間に配置された円筒状の収納筒体、前記収納筒体の内側に設けられて前記支持体に支持される中皿、前記中皿を前記収納筒体の内周面に全周に亘って連結する破断可能な薄肉部、前記収納筒体の開口端に取り外し可能に装着されたシール体及び前記中皿と前記シール体との間において前記収納筒体に気密に収納された固形内容物、を備えた内容物収納部と、
前記容器基部と前記内容物収納部とを前記収納筒体の軸線を中心としてねじ結合させるねじ結合部と、を有し、
前記内容物収納部が前記容器基部に対して着脱自在であ
り、
前記中皿と前記支持体との間に、前記中皿の前記支持体に対する、前記内容物収納部を前記容器基部にねじ込む方向への回転を阻止し、当該ねじ込む方向とは反対方向への回転を許容するラチェット機構が設けられていることを特徴とする繰出し容器。
【請求項2】
前記ねじ結合部が、
前記外筒体の内周面に設けられた雌ねじと、
前記収納筒体の外周面に設けられ、前記雌ねじにねじ結合する雄ねじと、を備える請求項1に記載の繰出し容器。
【請求項3】
前記収納筒体の内周面に、前記中皿に対して前記固形内容物とは反対側において前記内周面から径方向内側に向けて突出する係止部が設けられている、請求項1または2に記載の繰出し容器。
【請求項4】
前記収納筒体の内周面に、それぞれ板状に形成されて前記中皿の側に向けて傾斜した姿勢で前記支持体の外周面に当接する複数の前記係止部が周方向に等間隔に並べて設けられている、請求項3に記載の繰出し容器。
【請求項5】
前記中皿が、前記支持体にアンダーカット係合により取り外し可能に係止されている、請求項1~4の何れか1項に記載の繰出し容器。
【請求項6】
前記容器基部に取り外し可能に装着されて前記内容物収納部を覆うキャップを備えている、請求項1~
5の何れか1項に記載の繰出し容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形内容物を収納する繰出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば口紅、リップクリーム、スティックアイシャドー等の化粧料、薬剤または糊などの、塗布対象物に塗布可能な固形内容物を収納する容器として、円筒状の外筒部と外筒部の内側に設けられて固形内容物を保持する内筒部とを備えた容器本体と、外筒部と内筒部との間に配置されて外筒部または内筒部に対して螺合するとともにその内部に固形内容物を収納する筒体と、筒体を覆うように容器本体に着脱可能に装着されるキャップと、を備えた繰出し容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような繰出し容器によれば、使用の際に、筒体を容器本体に対して相対回転させるだけの簡単な操作で固形内容物を筒体の先端から外部に繰り出して固形内容物を塗布対象物に塗布可能な状態にすることができるとともに、使用後には、筒体を容器本体に対して反対方向に相対回転させるだけの簡単な操作で固形内容物を筒体の内部に収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の繰出し容器は、使用後に使い捨てされるものであり、この点で、より資源の有効活用ができる繰出し容器が求められていた。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、容器基部を継続使用することが可能なレフィルタイプの繰出し容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の繰出し容器は、円筒状の外筒体及び前記外筒体の内側に設けられた支持体を備えた容器基部と、前記外筒体と前記支持体との間に配置された円筒状の収納筒体、前記収納筒体の内側に設けられて前記支持体に支持される中皿、前記中皿を前記収納筒体の内周面に全周に亘って連結する破断可能な薄肉部、前記収納筒体の開口端に取り外し可能に装着されたシール体及び前記中皿と前記シール体との間において前記収納筒体に気密に収納された固形内容物、を備えた内容物収納部と、前記容器基部と前記内容物収納部とを前記収納筒体の軸線を中心としてねじ結合させるねじ結合部と、を有し、前記内容物収納部が前記容器基部に対して着脱自在であり、前記中皿と前記支持体との間に、前記中皿の前記支持体に対する、前記内容物収納部を前記容器基部にねじ込む方向への回転を阻止し、当該ねじ込む方向とは反対方向への回転を許容するラチェット機構が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記ねじ結合部が、前記外筒体の内周面に設けられた雌ねじと、前記収納筒体の外周面に設けられ、前記雌ねじにねじ結合する雄ねじと、を備えるのが好ましい。
【0009】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記収納筒体の内周面に、前記中皿に対して前記固形内容物とは反対側において前記内周面から径方向内側に向けて突出する係止部が設けられているのが好ましい。
【0010】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記収納筒体の内周面に、それぞれ板状に形成されて前記中皿の側に向けて傾斜した姿勢で前記支持体の外周面に当接する複数の前記係止部が周方向に等間隔に並べて設けられているのが好ましい。
【0011】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記中皿が、前記支持体にアンダーカット係合により取り外し可能に係止されているのが好ましい。
【0013】
本発明の繰出し容器は、上記構成において、前記容器基部に取り外し可能に装着されて前記内容物収納部を覆うキャップを備えているのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器基部を継続使用することが可能なレフィルタイプの繰出し容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る繰出し容器の断面図である。
【
図3】
図2に示す容器基部の、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図7】治具を用いて内容物収納部を容器基部に組み付けた状態を示す断面図である。
【
図8】キャップとシール体を取り外した状態の繰出し容器の断面図である。
【
図9】固形内容物を収納筒体から外部に繰出した状態の繰出し容器の断面図である。
【
図10】固形内容物を全て使い切った状態の繰出し容器の断面図である。
【
図11】収納筒部を外筒体から取り外した状態を示す断面図である。
【
図12】収納筒部とともに中皿を支持体から取り外した状態を示す断面図である。
【
図13】容器基部に新たな内容物収納部を取り付ける様子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態に係る繰出し容器について詳細に例示説明する。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る繰出し容器1は、容器基部2、内容物収納部3及びキャップ4を備えている。本実施の形態において、容器基部2、内容物収納部3及びキャップ4の中心軸Cは一致している。以下では、中心軸Cに沿う軸線方向において、容器基部2に対してキャップ4が位置する側(
図1の上側)を繰出し容器1の先端側とし、逆側を繰出し容器1の基端側とする。
【0018】
図1~
図3に示すように、容器基部2は、外筒体11と、外筒体11の内側に配置された支持体12とを備えている。外筒体11と支持体12は、連結底壁部13により連結されている。容器基部2は、合成樹脂材料の射出成形により、外筒体11、支持体12及び連結底壁部13が一体に形成された構成となっている。
【0019】
外筒体11は円筒状に形成されており、その基端側の端部において略円板状の連結底壁部13の外周縁に一体に連なっている。外筒体11の内周面には、ねじ結合部を構成する雌ねじ11aが一体に設けられている。本実施の形態では、雌ねじ11aは3条ねじとなっているが、便宜上、1つの雌ねじ11aにのみ符号を付してある。
【0020】
支持体12は、外筒体11よりも小径の円筒状の大径部12aと、大径部12aよりも小径であるとともに大径部12aの先端側に段差部12bを介して一体に連なる小径部12cとを有している。支持体12は、大径部12aの基端側の端部において連結底壁部13の内周縁に一体に連なっている。なお、支持体12は、外筒体11に対して中心軸Cを中心として同軸に配置されている。
【0021】
支持体12の先端側を向く上面には、3本の係止爪部12dが中心軸Cを中心として周方向に等間隔に並べて設けられている。これらの係止爪部12dは、それぞれ径方向外側に向けて突出する爪部分を先端に有する形状となっている。係止爪部12dも合成樹脂材料の射出成形により支持体12と一体に形成されている。
【0022】
連結底壁部13の外筒体11と支持体12との間の部分には、中心軸Cを中心とした円弧状の切欠き孔14が中心軸Cを挟んだ点対称の位置に設けられている。連結底壁部13の基端側を向く底面13aは平面となっている。繰出し容器1は、連結底壁部13の底面13aを配置面に接地させることにより、
図1に示す起立姿勢で配置面に安定して置くことができるようになっている。
【0023】
図1、
図4及び
図5に示すように、内容物収納部3は、収納筒体21、中皿22、薄肉部23、シール体24及び固形内容物25を備えている。収納筒体21、中皿22及び薄肉部23は、合成樹脂材料の射出成形により一体に形成されている。
【0024】
収納筒体21は円筒状であり、
図1に示すように、外筒体11と支持体12の間に配置されている。収納筒体21の基端側における外周面には、ねじ結合部を構成する雄ねじ21aが一体に設けられている。本実施の形態では、雄ねじ21aは3条ねじとなっているが、便宜上、1つの雄ねじ21aにのみ符号を付してある。
【0025】
雄ねじ21aは、外筒体11の内周面に設けられた雌ねじ11aにねじ結合している。すなわち、容器基部2と内容物収納部3は、ねじ結合部を構成する雄ねじ21aと雌ねじ11aにおいて、収納筒体21の中心軸Cを中心として互いにねじ結合している。したがって、中心軸Cを中心として容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向に回転させることで、収納筒体21を外筒体11の内部に向けて基端側に移動させることができる。また、中心軸Cを中心として容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向とは反対側に回転させることで、収納筒体21を外筒体11の外部に向けて先端側に移動させることができる。
【0026】
このように、容器基部2に対して収納筒体21を相対回転させることにより、収納筒体21を外筒体11に対して軸線方向に進退移動させることができる。また、容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向とは反対側に回転操作することで、容器基部2から内容物収納部3を取り外すことができる。さらに、容器基部2と分離された状態の内容物収納部3の収納筒体21の雄ねじ21aを、容器基部2の雌ねじ11aにねじ結合させることで、当該内容物収納部3を容器基部2に装着することもできる。このように、内容物収納部3は容器基部2に対して着脱自在となっている。
【0027】
なお、本実施の形態では、雌ねじ11a及び雄ねじ21aを、それぞれ3条ねじに構成しているが、1条ねじ、2条ねじ、または、4条以上のねじに構成してもよい。
【0028】
中皿22は、収納筒体21の内側に設けられ、収納筒体21の内部空間を先端側の部分と基端側の部分とに2分割している。中皿22は、支持体12の先端側の部分に支持され、これにより容器基部2に対する基端側へ向けた相対移動が規制されている。
【0029】
本実施の形態では、中皿22の基端側を向く下面には円筒状突起22aが一体に設けられている。円筒状突起22aは、その内周面に径方向内側に向けて突出する爪部分を有する形状となっている。
図1に示すように、円筒状突起22aが係止爪部12dの外側に嵌合し、円筒状突起22aの爪部分が係止爪部12dの爪部分にアンダーカット係合することにより、中皿22は支持体12に取り外し可能に係止されている。なお、円筒状突起22aも合成樹脂材料の射出成形により中皿22と一体に形成されている。
【0030】
本実施の形態では、中皿22と支持体12との間にラチェット機構26が設けられている。
図6に示すように、ラチェット機構26は、複数の歯止め片26aと複数の歯部26bとを備えて構成されている。
図3に示すように、支持体12の小径部12cの先端にはラチェット筒部12eが設けられ、複数の歯止め片26aは、それぞれラチェット筒部12eの内周面に、当該内周面から径方向内側に向けて斜めに突出するとともに互いに周方向に間隔を空けて並べて一体に設けられている。一方、
図5に示すように、複数の歯部26bは、中皿の円筒状突起22aの外周面に、当該外周面から径方向外側に向けて突出するとともに互いに周方向に間隔を空けて並べて一体に設けられている。複数の歯止め片26aと複数の歯部26bは、それぞれ回転方向の一方側に傾斜面、他方側に径方向に平行な面を有し、互いの傾斜面同士、平行な面同士が回転方向に対向する姿勢で配置されている。このような構成のラチェット機構26は、中皿22の支持体12に対する、内容物収納部3を容器基部2にねじ込む方向への回転を阻止し、当該ねじ込む方向とは反対方向への回転を許容するように作動する。
【0031】
なお、ラチェット筒部12e及び複数の歯止め片26aは、合成樹脂材料の射出成形により支持体12と一体に形成され、複数の歯部26bは、合成樹脂材料の射出成形により中皿22と一体に形成されている。
【0032】
図4、
図5に示すように、薄肉部23は、収納筒体21の内周面と中皿22の外周縁との間に全周に亘って設けられ、中皿22の外周縁を収納筒体21の内周面に全周に亘って一体に連結している。薄肉部23が設けられることにより、収納筒体21の内周面と中皿22の外周縁との間は気密に密封されている。また、薄肉部23は、中皿22よりも薄い膜状に形成されているので、中皿22が支持体12に支持された状態で収納筒体21が基端側へ移動することにより破断するようになっている。薄肉部23が破断すると、中皿22が収納筒体21から分離され、収納筒体21は中皿22とは別体となって中皿22に対して軸方向に相対移動することができるようになる。
【0033】
収納筒体21の基端側における内周面には、当該内周面から径方向内側に向けて突出する係合突起21bが設けられている。一方、支持体12の段差部12bの外周面には、当該外周面から径方向外側に向けて突出する係止突起12fが一体に設けられており、係合突起21bは係止突起12fの上側に係合している。係合突起21bは、中心軸Cを中心として容器基部2に対して内容物収納部3をねじ込み方向に回転させて収納筒体21を外筒体11の内部に向けて基端側に移動させたときに、係止突起12fを乗り越えることができる。なお、本実施の形態では、係合突起21bは周方向に複数の部分に分断した構成となっているが、円環状の構成とすることもできる。
【0034】
シール体24は、例えば合成樹脂材料やアルミニウム合金等により、収納筒体21の外径に対応した大きさの円形で薄いフィルム状ないしシート状に形成されている。シール体24は、収納筒体21の基端側の端面に接着や溶着等の手段により取り外し可能に装着されて収納筒体21の先端側の端部すなわち開口端を気密に密封している。シール体24は、使用時に、収納筒体21から容易に取り外すことができる。符号24aは、シール体24を収納筒体21から取り外す際に使用者が摘むことができる摘み部である。
【0035】
固形内容物25は、中皿22とシール体24との間において収納筒体21の内部に気密に収納されている。固形内容物25は、収納筒体21の内面形状に対応した円柱状となっている。固形内容物25としては、例えば口紅、リップクリーム、スティックアイシャドー等の化粧料、薬剤または糊など、塗布対象物に塗布可能な種々のものを採用することができる。本実施の形態では、固形内容物25は、香りを有するリップクリームを円柱状に形成したものである。
【0036】
中皿22の先端側を向く上面には、一対の保持突起22bが設けられ、固形内容物25はこれらの保持突起22bが埋設されることで中皿22に固定保持されている。これにより、固形内容物25は、収納筒体21に対して中皿22とともに軸方向に相対移動することができる。
【0037】
収納筒体21の内周面には、中皿22に対して固形内容物25とは反対側において当該内周面から径方向内側に向けて突出する係止部21cが設けられている。本実施の形態では、収納筒体21の内周面に、複数(6つ)の係止部21cが周方向に等間隔に並べて設けられている。複数の係止部21cは、それぞれ板状に形成され、収納筒体21の内周面に連なる根元部分よりも先端部分が中皿22の近くに配置されるように中皿22の側(先端側)に向けて傾斜するとともに、その先端部分において支持体12の小径部12cの外周面に弾性的に当接している。これらの係止部21cは、収納筒体21の内周面との連結部分を中心として軸方向に向けて揺動自在であるとともに、それぞれ小径部12cの外周面に対して摺動可能である。
【0038】
それぞれの係止部21cは、薄肉部23が破断して中皿22が収納筒体21から分離された後、中皿22に対して収納筒体21が先端側に向けて移動したときに、中皿22の基端側を向く下面に係合する。
【0039】
収納筒体21の内周面には、それぞれの係止部21cから基端側に向けて中心軸Cに平行に延びる複数本の溝部21dが設けられている。上記した複数の板状の係止部21cは、例えば、収納筒体21を合成樹脂材料の射出成形により形成する際に、複数本の溝部21dの先端側の部分に板状部分を形成し、当該板状部分を中皿22の側に向けて折り返すことで構成することができる。
【0040】
図1に示すように、キャップ4は、外筒体11の外径に対応した外径の円筒状に形成された側壁部31と、側壁部31の先端側部分を閉塞する頂壁部32とを有する有頂円筒状となっている。キャップ4は、外筒体11の先端側の領域における外周面に側壁部31の基端側部分における内周面を外側から嵌合させることにより、容器基部2に装着されて内容物収納部3を覆っている。
【0041】
側壁部31の内周面には複数の凹部31aが設けられ、これらの凹部が外筒体11の外周面に設けられた凸部11bにアンダーカット係合している。これにより、キャップ4は、容器基部2に装着された状態に保持されるとともに容器基部2から容易に取り外し可能となっている。なお、側壁部31の内周面に凸部を設け、当該凸部を外筒体11の外周面に設けた凹部にアンダーカット係合させる構成とすることもできる。また、凹部31aと凸部11bの形状や個数は種々変更可能である。
【0042】
キャップ4の形状は、容器基部2に取り外し可能に装着されて内容物収納部3を覆うことができるものであれば、種々変更可能である。
【0043】
上記構成の繰出し容器1は、それぞれ別工程で製造された容器基部2と内容物収納部3とを、雌ねじ11aと雄ねじ21aとにおいて互いにねじ結合させて一体化させた後、キャップ4を装着することで製造することができる。容器基部2に内容物収納部3を装着する作業は、例えば
図7に示すような治具40を用いて行なうことができる。
【0044】
中皿22は収納筒体21の内周面に薄肉部23を介して連結されるとともに支持体12に支持される構成であるので、容器基部2と内容物収納部3とを一体化させる際に、容器基部2に対して内容物収納部3が過度にねじ込まれると、薄肉部23が破断するとともに固形内容物25が収納筒体21から押し出されてシール体24が収納筒体21から剥がれ、固形内容物25の密封性が保たれなくなるおそれがある。これに対し、上記治具40を用いて容器基部2に内容物収納部3を装着することで、容器基部2に対して内容物収納部3が過度にねじ込まれることを防止しつつ、容器基部2に対して内容物収納部3を適正な位置にまでねじ込むことができる。
【0045】
治具40は、容器基部2を配置可能な平坦な上面を有する基台41を備えている。基台41の上面には、上方に向けて突出する一対の円弧状断面のストッパー片42が設けられている。また、基台41の上面には、一対のストッパー片42の中心に位置して円柱状の支持柱部43が設けられている。
【0046】
容器基部2に内容物収納部3を装着する際には、まず、容器基部2を基台41の上面に配置する。このとき、容器基部2の連結底壁部13の底面13aを基台41の上面に当接させ、一対のストッパー片42を連結底壁部13に設けられた切欠き孔14に挿通させるとともに支持柱部43を支持体12の小径部12cの内側に嵌合させる。
【0047】
容器基部2を基台41の上面に配置した状態において、切欠き孔14に挿通された一対のストッパー片42は、それぞれ外筒体11と支持体12の大径部12aとの間に配置される。このとき、ストッパー片42の上端は、容器基部2に対して内容物収納部3が適正な位置にまでねじ込まれたときに収納筒体21の基端側の端面に当接する位置にある。また、支持柱部43が支持体12の小径部12cの内側に嵌合されることで、容器基部2は基台41に支持されている。
【0048】
次に、上記のように容器基部2を治具40の上面に配置した状態で、雌ねじ11aに雄ねじ21aをねじ結合させて内容物収納部3を容器基部2にねじ込む。内容物収納部3が容器基部2に対して適正位置にまでねじ込まれると、内容物収納部3の基端側の端面がストッパー片42に当接し、それ以上のねじ込みが阻止される。このように、ねじ込みが阻止されるまで内容物収納部3を容器基部2に対しねじ込むことで、内容物収納部3を容器基部2に対して適正位置にまでねじ込むことができ、装着作業が完了する。
【0049】
このように、治具40を用いて容器基部2に内容物収納部3を装着することで、中皿22を収納筒体21に連ねる薄肉部23を破断させることなく、内容物収納部3を容器基部2に対して適正なねじ込み位置にまでねじ込んで当該容器基部2に装着することができる。また、切欠き孔14及びストッパー片42は円弧状に形成され、これにより容器基部2は基台41に対して回り止めされているので、容器基部2に対する内容物収納部3のねじ込み作業を容易に行うことができる。よって、治具40を用いることで、容器基部2に内容物収納部3を装着する作業を容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0050】
次に、上記構成を有する繰出し容器1の使用方法について説明する。
【0051】
繰出し容器1を使用する際には、
図8に示すように、容器基部2からキャップ4を取り外して内容物収納部3を露出させるとともに、内容物収納部3からシール体24を取り外して収納筒体21を開封する。
【0052】
次に、
図9に示すように、容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向に回転させ、収納筒体21を容器基部2に対して基端側に向けて軸方向に相対移動させる。このとき、収納筒体21に設けられた係合突起21bが支持体12に設けられた係止突起12fを乗り越えるように、容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向に強く回転させる。係合突起21bが係止突起12fを乗り越える際の抵抗により、収納筒体21が容器基部2に対して不意に回転して薄肉部23が破断されてしまうことを防止することができる。
【0053】
容器基部2に対して収納筒体21がねじ込み方向に相対回転しながら基端側に軸方向に相対移動すると、このとき、中皿22は支持体12により支持されて容器基部2に対する基端側に向けた軸方向への相対移動が規制されているので、収納筒体21は中皿22に対しても基端側へ向けて軸方向に相対移動することになる。これにより、収納筒体21と中皿22とを連結する薄肉部23が軸方向に引き伸ばされて破断し、中皿22は収納筒体21から分離する。このように、容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向に回転させることで、中皿22を収納筒体21から分離させることができる。
【0054】
本実施の形態では、中皿22と支持体12との間にラチェット機構26を設け、中皿22の支持体12に対するねじ込み方向へ回転を阻止するようにしているので、容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向に回転させたときに、収納筒体21を中皿22に対して軸方向に相対移動させつつ相対回転させることができる。これにより、容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向に回転させたときに、薄肉部23が軸方向に引き伸ばされつつ回転方向にねじ切られるようにして、より容易に薄肉部23を破断させることができる。
【0055】
中皿22を収納筒体21から分離させた後、さらに容器基部2に対して収納筒体21をねじ込み方向に回転させることで、収納筒体21から分離した中皿22を収納筒体21に対して先端側に向けて軸方向に相対移動させて、固形内容物25を収納筒体21から繰出して収納筒体21の開口端から外部に繰り出して突出させることができる。そして、収納筒体21の開口端から突出した固形内容物25を塗布対象物に当接させること等により、固形内容物25を塗布対象物に塗布することができる。
【0056】
また、使用による固形内容物25の減少等に応じて、収納筒体21を容器基部2に対してねじ込み方向またはその逆方向に回転させることで、固形内容物25の収納筒体21の開口端から突出する量を調整することができる。
【0057】
さらに、使用後には、収納筒体21を容器基部2に対してねじ込み方向に回転させて固形内容物25を収納筒体21の内部に収納することができる。そして、容器基部2にキャップ4を装着することで、固形内容物25を外部に露出させることなく繰出し容器1を持ち運ぶことができる。
【0058】
なお、本実施の形態では、収納筒体21の内径は、中皿22が薄肉部23により連結されていた連結部分よりも先端側において、当該連結部分よりも基端側の部分よりも若干大きくされている。これにより、収納筒体21の内側において破断された薄肉部23が収納筒体21の内周面に過度に摺接することを抑制して、収納筒体21から分離した中皿22を収納筒体21に対して滑らかに軸方向に相対移動させることができる。
【0059】
図10に示すように、容器基部2に対して収納筒体21を、その基端側の端部が連結底壁部13に当接するストロークエンドにまでねじ込むことで、中皿22を収納筒体21の開口端に位置させて全ての固形内容物25を収納筒体21から突出させることができる。
【0060】
図11に示すように、全ての固形内容物25が使用された使用後の内容物収納部3は、雌ねじ11aと雄ねじ21aのねじ結合が解除されるまで、収納筒体21を容器基部2に対してねじ込み方向とは反対方向に回転させることで、容器基部2から取り外すことができる。
【0061】
中皿22は収納筒体21から分離しており、また、支持体12にアンダーカット係合により保持されているが、収納筒体21を容器基部2から取り外す際、収納筒体21の内周面に設けられた係止部21cが中皿22の基端側を向く下面に係合することで、
図12に示すように、中皿22を収納筒体21の側に移行させて収納筒体21とともに容器基部2から取り外すことができる。このように、収納筒体21の内周面に係止部21cを設けたことにより、収納筒体21から分離された中皿22を収納筒体21に移行させて、収納筒体21とともに容易に容器基部2から取り外すことができる。これにより、容器基部2に対する内容物収納部3の付け替え作業を容易にすることができる。
【0062】
特に、本実施の形態では、収納筒体21の内周面に、それぞれ板状に形成されて中皿22の側に向けて傾斜した姿勢で支持体12の小径部12cの外周面に当接する複数の係止部21cを周方向に等間隔に並べて設けた構成としたので、それぞれの係止部21cにより、中皿22を強固にかつ周方向に均等に支持することができる。これにより、より確実に中皿22を収納筒体21とともに容器基部2から取り外すことができる。
【0063】
使用後の内容物収納部3を容器基部2から取り外した後には、
図13に示すように、新たな内容物収納部3をレフィル容器として容器基部2に装着することができる。新たな内容物収納部3は、中皿22が収納筒体21に薄肉部23を介して連結されるとともに収納筒体21の開口端にシール体24が装着されて固形内容物25が密封状態で収納されているものである。新たな内容物収納部3は、上記と同様に、容器基部2に設けられた雌ねじ11aに、内容物収納部3に設けられた雄ねじ21aをねじ結合させることで、容器基部2に着脱自在に装着される。
【0064】
上記の通り、本実施の形態の繰出し容器1では、内容物収納部3を容器基部2に対して着脱自在としたので、容器基部2に対して内容物収納部3を容易に付け替えることができる。
【0065】
したがって、例えば固形内容物25を使い切った後、空となった内容物収納部3を容器基部2から取り外し、新たな内容物収納部3を容器基部2に取り付けて使用することができる。これにより、繰出し容器1を、容器基部2の継続使用が可能なレフィルタイプのものとして、資源の有効活用を図ることができる。また、内容物収納部3を新たなものに付け替えるだけで固形内容物25を容器基部2にレフィルすることができるので、例えば使い捨ての充填用の蓋を収納筒体21に装着して収納筒体21に固形内容物25を再度充填するなどの工程を不要として、より簡易に固形内容物25を容器基部2にレフィルすることができる。
【0066】
また、容器基部2の継続使用が可能となるので、容器基部2の加飾によりコストを掛けることができる。
【0067】
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、内容物収納部3を容器基部2に対して着脱自在としたので、全ての固形内容物25を使い切った使用後に限らず、一部の固形内容物25が残っている使用途中においても、容器基部2から内容物収納部3を取り外し、別の内容物収納部3に付け替えて使用することもできる。例えば、それぞれ香りの異なる固形内容物25を収納した複数種類の内容物収納部3を用意しておき、これら複数種類の内容物収納部3から、使用者が気分などに応じて選択した任意のものを容器基部2に取り付けて使用することが可能な構成とすることもできる。このように、1つの容器基部2に対して複数種類の香りの固形内容物25を備えた内容物収納部3を付け替え可能な構成とすることで、低コストで複数種類の固形内容物25を選択的に使用可能な構成とすることができる。
【0068】
さらに、本実施の形態の繰出し容器1は、1つの容器基部2と、複数個の同一の内容物収納部3ないし複数個の互いに種類が相違する内容物収納部3とがセットとされた構成とすることもできる。このようなセット構成とすることで、上記効果をより容易に得ることができる。
【0069】
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、内容物収納部3は、気密性を確保した状態で固形内容物25を収納する構成となっているので、固形内容物25の劣化を抑制して、内容物収納部3の長期保存が可能である。これにより、例えば、付け替え用の新たな内容物収納部3ないし種類の異なる内容物収納部3を複数個用意しておくようにしても、これらの内容物収納部3における固形内容物25の劣化を抑制することができる。また、流通時等における固形内容物25の劣化も抑制することができる。
【0070】
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、ねじ結合部を、容器基部2の外筒体11の内周面に設けられた雌ねじ11aと、収納筒体21の外周面に設けられた雄ねじ21aとで構成するようにしたので、簡単な構成で内容物収納部3を容器基部2に対して着脱可能として、この繰出し容器1のコストを低減させることができる。
【0071】
さらに、本実施の形態の繰出し容器1では、中皿22を、支持体12にアンダーカット係合により取り外し可能に係止させる構成としたので、収納筒体21を容器基部2に対して相対回転させて固形内容物25を収納筒体21に対して繰り出し及び収納する動作をさせる際に、中皿22が常に支持体12に支持されるようにして、固形内容物25の繰り出し及び収納の動作をより安定して行うことができる。
【0072】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0073】
例えば、前記実施の形態では、容器基部2の外筒体11の内周面に雌ねじ11aを設け、収納筒体21の外周面に雄ねじ21aを設けるようにしているが、容器基部2の支持体12の大径部12aの外周面に雄ねじを設け、収納筒体21の内周面に雌ねじを設けるようにしてもよい。
【0074】
また、前記実施の形態では、収納筒体21の内周面に複数の板状の係止部21cを設けるようにしているが、係止部21cは中皿22に係止可能であれば、その形状や個数は種々変更可能である。また、係止部21cを設けない構成としてもよい。
【0075】
さらに、前記実施の形態では、中皿22を支持体12にアンダーカット係合により取り外し可能に保持させる構成としているが、支持体12に単に当接するのみでアンダーカット係合により係止されない構成としてもよい。
【0076】
さらに、前記実施の形態では、中皿22と支持体12との間にラチェット機構26を設けるようにしているが、ラチェット機構26を設けない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 繰出し容器
2 容器基部
3 内容物収納部
4 キャップ
11 外筒体
11a 雌ねじ
11b 凸部
12 支持体
12a 大径部
12b 段差部
12c 小径部
12d 係止爪部
12e ラチェット筒部
12f 係止突起
13 連結底壁部
13a 底面
14 切欠き孔
21 収納筒体
21a 雄ねじ
21b 係合突起
21c 係止部
21d 溝部
22 中皿
22a 円筒状突起
22b 保持突起
23 薄肉部
24 シール体
24a 摘み部
25 固形内容物
26 ラチェット機構
26a 歯止め片
26b 歯部
31 側壁部
31a 凹部
32 頂壁部
40 治具
41 基台
42 ストッパー片
43 支持柱部
C 中心軸