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特許7191497船舶の電源系統システム、および、船舶の電源系統システムの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】船舶の電源系統システム、および、船舶の電源系統システムの使用方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20221212BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H02J7/00 K
H02J7/10 P
H02J7/00 L
H02J7/00 302C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021141083
(22)【出願日】2021-08-31
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】荻野 史雄
(72)【発明者】
【氏名】藤本 正
(72)【発明者】
【氏名】表西 洲行
【審査官】宮田 繁仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-043715(JP,A)
【文献】特開2020-150618(JP,A)
【文献】特開2014-193033(JP,A)
【文献】特開2014-072959(JP,A)
【文献】特開2019-073141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/00-85/00,
B63J 1/00-99/00
H02J 7/00-7/12,7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流が流れる直流母線と、
前記直流母線に接続され、直列接続可能な複数の電池モジュールと、
交流電流が流れ、船内負荷器に接続され船舶内の交流母線と、
前記直流母線と前記交流母線を接続する第1の直交変換装置と、
前記複数の電池モジュールと、前記直流母線とを電気的に接続するための複数の接点と、
陸上側の給電側コネクタに切り離し可能に接続される受電側コネクタと、
前記受電側コネクタに接続され交流電流を送電する電気ケーブルと、
前記交流母線を介さずに前記電気ケーブルから直接的に受け取る交流電力を、直流電力に変換して、前記直流母線に送電する第2の直交変換装置と、
前記直流母線から受け取る直流電力を、交流電力に変換して、誘導電動機に送電する第3の直交変換装置と
を具備し、
充電から放電への切り替え時、または、放電から充電への切り替え時に、直列接続された前記複数の電池モジュールの一部または全部が、並列接続に切り替えられ
充電時に、船舶内の前記交流母線を介さずに、前記電気ケーブル、前記第2の直交変換装置、および、前記直流母線を介して供給される電力を用いて前記複数の電池モジュールが充電されるように構成される
船舶の電源系統システム。
【請求項2】
放電電圧に対して充電電圧が低くなるように、放電から充電への切り替え時に、直列接続された前記複数の電池モジュールの一部または全部が、並列接続に切り替えられる
請求項1に記載の船舶の電源系統システム。
【請求項3】
充電電圧に対して放電電圧が低くなるように、充電から放電への切り替え時に、直列接続された前記複数の電池モジュールの一部または全部が、並列接続に切り替えられる
請求項1に記載の船舶の電源系統システム。
【請求項4】
直流電流が流れる直流母線と、
前記直流母線に接続され、直列接続可能な複数の電池モジュールと、
交流電流が流れ、船内負荷器に接続される船舶内の交流母線と、
前記直流母線と前記交流母線を接続する第1の直交変換装置と、
前記複数の電池モジュールと、前記直流母線とを電気的に接続するための複数の接点と、
陸上側の給電側コネクタに切り離し可能に接続される受電側コネクタと、
前記受電側コネクタに接続され、前記交流母線を介さずに前記受電側コネクタから直接的に受け取る直流電流を前記直流母線に送電する電気ケーブルと、
前記直流母線から受け取る直流電力を、交流電力に変換して、誘導電動機に送電する第3の直交変換装置と
を具備し、
充電から放電への切り替え時、または、放電から充電への切り替え時に、直列接続された前記複数の電池モジュールの一部または全部が、並列接続に切り替えられ、
充電時に、前記受電側コネクタと前記複数の電池モジュールとの間に前記第1の直交変換装置および船舶内の前記交流母線を介在させることなく、陸上側の電装置から前記受電側コネクタ、前記電気ケーブルおよび前記直流母線を介して前記複数の電池モジュールに直接充電可能なように構成される
舶の電源系統システム。
【請求項5】
前記複数の電池モジュールの状態を、直列接続状態と並列接続状態との間で切り替える切り替えスイッチ群と、
前記複数の電池モジュールを前記直流母線に電気的に接続可能、かつ、前記複数の電池モジュールを前記直流母線から電気的に切り離し可能なコンタクタ群と
を具備し、
前記コンタクタ群は、前記直列接続状態において、直列接続された前記複数の電池モジュールの第1極と前記直流母線とを電気的に接続し、直列接続された前記複数の電池モジュールの第2極と前記直流母線とを電気的に接続し、
前記コンタクタ群は、前記並列接続状態において、前記複数の電池モジュールの少なくとも一部を構成する第1電池モジュールおよび第2電池モジュールの各々の第1極と前記直流母線とを電気的に接続し、前記第1電池モジュールおよび前記第2電池モジュールの各々の第2極と前記直流母線とを電気的に接続する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の船舶の電源系統システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の船舶の電源系統システムの使用方法であって、
列接続された前記複数の電池モジュールを、前記直流母線に電気的に接続する接続工程と、
直列接続された前記複数の電池モジュールから前記直流母線に放電を行う放電工程、または、前記直流母線から直列接続された前記複数の電池モジュールに充電を行う充電工程と、
直列接続された前記複数の電池モジュールの一部または全部を、並列接続に切り替える切替工程と、
前記放電工程および前記切替工程の実行後、前記直流母線から並列接続状態の前記複数の電池モジュールに充電を行う工程、または、前記充電工程および前記切替工程の実行後、並列接続状態の前記複数の電池モジュールから前記直流母線に放電を行う工程と
を具備し、
前記直流母線から前記複数の電池モジュールへの充電は、船舶内の前記交流母線を介さずに行われ、前記複数の電池モジュールから前記直流母線への放電において、前記直流母線に放電された電力の一部は、前記第1の直交変換装置および前記交流母線を介して前記船内負荷器に供給される
船舶の電源系統システムの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、船舶の電源系統システム、および、船舶の電源系統システムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図13を参照して、従来の船舶の電源系統システムについて説明する。図13に記載の例では、電源系統システムは、電池モジュール1、コンタクタ2、直流母線3、直交変換装置4、遮断器5、交流母線6、直交変換装置7、直交変換装置8、および、負荷9を備える。船舶において、電源(動力源)の少なくとも一部として電池を用いる場合、当該電池を充電する必要がある。陸上側から供給される交流を直流に変換する直交変換装置7を船舶に設置する場合、充電装置として機能する当該直交変換装置7の寸法が非常に大きくなる。
【0003】
図14を参照して、他の船舶の電源系統システムについて説明する。図14に記載の例では、電源系統システムは、電池モジュール21、コンタクタ22、直流母線23、直交変換装置24、遮断器25、交流母線26、直交変換装置28、負荷29、および、充電装置30を備える。図14に記載の例では、充電装置30が陸上に設置されている。しかし、充電装置30がCHAdeMO(登録商標)仕様である場合、最大でも、直流500Vでの充電となり、放電時に使用できる電池に制限が発生する。他方、充電装置30を高圧対応の装置とする場合には、かなり大掛かりな装置となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
船舶において、電源(動力源)の少なくとも一部として電池を用いる場合、直交変換装置の配置スペースが大きくなるとの問題があった。また、船内系統の条件(負荷量・電圧)によっては、放電時と充電時とで直交変換装置に要求される仕様の差異が大きくなる場合があり、この場合、要求される条件の厳しい方で、直交変換装置を選定せざるを得ないとの問題があった。あるいは、充電時と放電時に対して、それぞれの個別の直交変換装置を設置せざるを得ないとの問題があった。更に、陸上充電設備に合わせて充電電圧を設定する場合には、放電時に使用できる電池に制限が発生するとの問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、船内に設置される直交変換装置のサイズまたは台数を低減し、船内の省スペース化を実現可能な船舶の電源系統システム、および、船舶の電源系統システムの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における船舶の電源系統システムは、直流電流が流れる直流母線と、前記直流母線に接続され、直列接続可能な複数の電池モジュールと、交流電流が流れ、船内負荷器に接続され船舶内の交流母線と、前記直流母線と前記交流母線を接続する第1の直交変換装置と、前記複数の電池モジュールと、前記直流母線とを電気的に接続するための複数の接点と、陸上側の給電側コネクタに切り離し可能に接続される受電側コネクタと、前記受電側コネクタに接続され交流電流を送電する電気ケーブルと、前記交流母線を介さずに前記電気ケーブルから直接的に受け取る交流電力を、直流電力に変換して、前記直流母線に送電する第2の直交変換装置と、前記直流母線から受け取る直流電力を、交流電力に変換して、誘導電動機に送電する第3の直交変換装置とを具備し、充電から放電への切り替え時、または、放電から充電への切り替え時に、直列接続された前記複数の電池モジュールの一部または全部が、並列接続に切り替えられ、充電時に、船舶内の前記交流母線を介さずに、前記電気ケーブル、前記第2の直交変換装置、および、前記直流母線を介して供給される電力を用いて前記複数の電池モジュールが充電されるように構成されることを特徴とする。代替的に、本発明の実施形態における船舶の電源系統システムは、直流電流が流れる直流母線と、前記直流母線に接続され、直列接続可能な複数の電池モジュールと、交流電流が流れ、船内負荷器に接続される船舶内の交流母線と、前記直流母線と前記交流母線を接続する第1の直交変換装置と、前記複数の電池モジュールと、前記直流母線とを電気的に接続するための複数の接点と、陸上側の給電側コネクタに切り離し可能に接続される受電側コネクタと、前記受電側コネクタに接続され、前記交流母線を介さずに前記受電側コネクタから直接的に受け取る直流電流を前記直流母線に送電する電気ケーブルと、前記直流母線から受け取る直流電力を、交流電力に変換して、誘導電動機に送電する第3の直交変換装置とを具備し、充電から放電への切り替え時、または、放電から充電への切り替え時に、直列接続された前記複数の電池モジュールの一部または全部が、並列接続に切り替えられ、充電時に、前記受電側コネクタと前記複数の電池モジュールとの間に前記第1の直交変換装置および船舶内の前記交流母線を介在させることなく、陸上側の充電装置から前記受電側コネクタ、前記電気ケーブルおよび前記直流母線を介して前記複数の電池モジュールに直接充電可能なように構成されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の実施形態における船舶の電源系統システムの使用方法は、船舶の電源系統システムの使用方法であって、直列接続された前記複数の電池モジュールを、前記直流母線に電気的に接続する接続工程と、直列接続された前記複数の電池モジュールから前記直流母線に放電を行う放電工程、または、前記直流母線から直列接続された前記複数の電池モジュールに充電を行う充電工程と、直列接続された前記複数の電池モジュールの一部または全部を、並列接続に切り替える切替工程と、前記放電工程および前記切替工程の実行後、前記直流母線から並列接続状態の前記複数の電池モジュールに充電を行う工程、または、前記充電工程および前記切替工程の実行後、並列接続状態の前記複数の電池モジュールから前記直流母線に放電を行う工程とを具備し、前記直流母線から前記複数の電池モジュールへの充電は、船舶内の前記交流母線を介さずに行われ、前記複数の電池モジュールから前記直流母線への放電において、前記直流母線に放電された電力の一部は、前記第1の直交変換装置および前記交流母線を介して前記船内負荷器に供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、船内に設置される直交変換装置のサイズまたは台数を低減し、船内の省スペース化を実現可能な船舶の電源系統システム、および、船舶の電源系統システムの使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図6図6は、第2の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図8図8は、第2の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図10図10は、第2の実施形態における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図11図11は、制御装置と、切り替えスイッチおよびコンタクタとが、信号伝達可能に接続された様子を模式的に示す図である。
図12図12は、実施形態における船舶の電源系統システムの使用方法の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、従来例における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
図14図14は、従来例における船舶の電源系統システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態における船舶の電源系統システム100、および、船舶の電源系統システム100の使用方法に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0011】
(第1の実施形態)
図1乃至図5を参照して、第1の実施形態における船舶の電源系統システム100Aについて説明する。図1乃至図5は、第1の実施形態における船舶の電源系統システム100Aの構成の一例を示す図である。なお、図2および図5は、複数の電池モジュール31から放電が行われている状態を示し、図3および図4は、複数の電池モジュール31に充電が行われている状態を示す。
【0012】
(構成・作用)
図1に記載の例では、船舶の電源系統システム100Aは、直流母線33と、電池モジュール31と、交流母線36と、直交変換装置34(以下、「第1の直交変換装置34」という。)と、複数の接点Kと、を具備する。
【0013】
直流母線33には、直流電流が流れる。図1に記載の例では、直流母線33は、電池モジュール31の負極側が接続される第1直流母線33aと、電池モジュール31の正極側が接続される第2直流母線33bとを含む。
【0014】
電池モジュール31は、直流母線33に接続される。図1に記載の例では、船舶の電源系統システム100Aは、直列接続可能な複数の電池モジュール31を備える。より具体的には、図1に記載の例では、船舶の電源系統システム100Aは、互いに直列に接続可能な第1電池モジュール31aおよび第2電池モジュール31bを備える。なお、図1に記載の例には、船舶の電源系統システム100Aが、2個の電池モジュール(31a、31b)を備えた様子が示されているが、船舶の電源系統システム100Aが備える電池モジュールの数は、3個以上であっても良いことは言うまでもない。
【0015】
交流母線36には、交流電流が流れる。図1に記載の例では、交流母線36に三相交流が流れる。
【0016】
第1の直交変換装置34は、直流母線33と交流母線36とを接続する。第1の直交変換装置34は、直流母線33から受け取る直流電力を、交流電力に変換して、交流母線36に送電することが可能である。また、第1の直交変換装置34は、交流母線36から受け取る交流電力を、直流電力に変換して、直流母線33に送電することが可能である。
【0017】
複数の接点Kは、複数の電池モジュール31と直流母線33とを電気的に接続する。図1に例示されるように、複数の接点Kの各々は、コンタクタ32(換言すれば、接触器)、切り替えスイッチ40等の一部を構成する。
【0018】
図1乃至図5を参照して、電池モジュール31と、直流母線33との間の接続状態について説明する。図1には、複数の電池モジュール31(より具体的には、第1電池モジュール31aおよび第2電池モジュール31bの各々)が、直流母線33から電気的に切り離された状態(以下、「非接続状態」という。)が示されている。図2図4には、直列接続された複数の電池モジュール31が、直流母線33に電気的に接続された状態(以下、「第1接続状態」という。)が示されている。また、図3図5には、複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続された状態で、直流母線33に電気的に接続された状態(以下、「第2接続状態」という。)が示されている。なお、図2乃至図5において、破線矢印は、電流の流れを示す。
【0019】
図2に記載の例において、複数の電池モジュール31からの放電時には、直列接続された複数の電池モジュール31の負極側が第1直流母線33aに接続され、直列接続された複数の電池モジュール31の正極側が第2直流母線33bに接続されている。よって、複数の電池モジュール31から直流母線33に放電される放電電圧を相対的に高くすることができる。
【0020】
図3に記載の例において、複数の電池モジュール31の充電時には、複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続された状態で、直流母線33から複数の電池モジュール31に充電が行われる。よって、複数の電池モジュール31への充電電圧を相対的に低くすることができる。
【0021】
図2および図3に記載の例では、複数の電池モジュール31の放電電圧に対して複数の電池モジュール31の充電電圧が低くなるように、放電(図2)から充電(図3)への切り替え時に、直列接続された複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続に切り替えられる。放電電圧と比較して充電電圧を低くできることにより、充電時に、交流電力を直流電力に変換する直交変換装置37(以下、「第2の直交変換装置37」という。)のサイズを小さくすることができる。また、充電電圧と比較して放電電圧を高くできることにより、船舶の電源系統システム100Aの汎用性が向上し、使用できる電池の制限が少なくなり、より多くの種類の負荷器(39、41)の駆動に対応させることができる。
【0022】
図4に記載の例において、複数の電池モジュール31の充電時には、直列接続された複数の電池モジュール31の負極側が第1直流母線33aに接続され、直列接続された複数の電池モジュール31の正極側が第2直流母線33bに接続されている。よって、直流母線33から複数の電池モジュール31に充電する際の充電電圧を相対的に高くすることができる。
【0023】
図5に記載の例において、複数の電池モジュール31の放電時には、複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続された状態で、複数の電池モジュール31から直流母線33に放電が行われる。よって、直流母線33に放電される放電電圧を相対的に低くすることができる。
【0024】
図4および図5に記載の例では、複数の電池モジュール31の充電電圧に対して複数の電池モジュール31の放電電圧が低くなるように、充電(図4)から放電(図5)への切り替え時に、直列接続された複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続に切り替えられる。充電電圧と比較して放電電圧を低くできることにより、放電時に、直流電力を交流電力に変換する直交変換装置(34、38)のサイズを小さくすることができる。また、放電電圧と比較して充電電圧を高くできることにより、高速充電が可能となる。
【0025】
(効果)
以上のとおり、第1の実施形態では、複数の電池モジュール31の充電電圧(または、放電電圧)を、複数の電池モジュール31の放電電圧(または、充電電圧)よりも低くできることにより、充電時(または、放電時)に使用される直交変換装置のサイズを小さくすることができる。また、複数の電池モジュール31の充電電圧を、複数の電池モジュール31の放電電圧よりも高くできる場合には、複数の電池モジュール31の高速充電が可能となる。他方、複数の電池モジュール31の放電電圧を、複数の電池モジュール31の充電電圧よりも高くできる場合には、船舶の電源系統システム100Aの汎用性が向上する。
【0026】
(第2の実施形態)
図6乃至図10を参照して、第2の実施形態における船舶の電源系統システム100Bについて説明する。図6乃至図10は、第2の実施形態における船舶の電源系統システム100Bの構成の一例を示す図である。なお、図7および図10は、複数の電池モジュール31から放電が行われている状態を示し、図8および図9は、複数の電池モジュール31に充電が行われている状態を示す。
【0027】
(構成・作用)
第2の実施形態における船舶の電源系統システム100Bは、充電装置50が陸上側に設置され、充電時に交流電力を直流電力に変換するための第2の直交変換装置37(必要であれば、図1を参照。)が船舶側に設置されていない点で、第1の実施形態における船舶の電源系統システム100Aとは異なる。その他の点では、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様である。
【0028】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施形態において説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。よって、第2の実施形態において明示的に説明されなかったとしても、第2の実施形態において、第1の実施形態で説明済みの事項を採用可能であることは言うまでもない。
【0029】
第2の実施形態における船舶の電源系統システム100Bは、図6に例示されるように、(1)直流電流が流れる直流母線33と、(2)直流母線33に接続され、直列接続可能な複数の電池モジュール31と、(3)交流電流が流れる交流母線36と、(4)直流母線33と交流母線36を接続する第1の直交変換装置34と、(5)複数の電池モジュール31と、直流母線33とを電気的に接続するための複数の接点Kと、を具備する。直流母線33、電池モジュール31、交流母線36、第1の直交変換装置34、複数の接点Kについては、第1の実施形態において説明済みであるため、第2の実施形態において、これらの構成について、繰り返しとなる説明は省略する。
【0030】
図6に記載の例において、船舶の電源系統システム100Bは、陸上側の充電装置50に接続する受電側コネクタ43を備える。また、陸上側には、充電装置50が設置されている。充電装置50は、例えば、第2の直交変換装置37を備える。
【0031】
図6乃至図10を参照して、電池モジュール31と、直流母線33との間の接続状態について説明する。図6には、複数の電池モジュール31(より具体的には、第1電池モジュール31aおよび第2電池モジュール31bの各々)が、直流母線33から電気的に切り離された状態(換言すれば、「非接続状態」)が示されている。図7図9には、直列接続された複数の電池モジュール31が、直流母線33に電気的に接続された状態(換言すれば、「第1接続状態」)が示されている。また、図8図10には、複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続された状態で、直流母線33に電気的に接続された状態(換言すれば、「第2接続状態」)が示されている。なお、図7乃至図10において、破線矢印は、電流の流れを示す。
【0032】
図7に記載の例において、複数の電池モジュール31からの放電時には、直列接続された複数の電池モジュール31の負極側が第1直流母線33aに接続され、直列接続された複数の電池モジュール31の正極側が第2直流母線33bに接続されている。よって、複数の電池モジュール31から直流母線33に放電される放電電圧を相対的に高くすることができる。
【0033】
図8に記載の例において、複数の電池モジュール31の充電時には、複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続された状態で、直流母線33から複数の電池モジュール31に充電が行われる。よって、複数の電池モジュール31への充電電圧を相対的に低くすることができる。また、図8に記載の例では、受電側コネクタ43と複数の電池モジュール31との間に直交変換装置(比較として、図3おける第2の直交変換装置37を参照。)を介在させることなく、陸上側の充電装置50から複数の電池モジュール31に直接充電が行われる。
【0034】
図7および図8に記載の例では、複数の電池モジュール31の放電電圧に対して複数の電池モジュール31の充電電圧が低くなるように、放電(図7)から充電(図8)への切り替え時に、直列接続された複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続に切り替えられる。放電電圧と比較して充電電圧を低くできることにより、陸上側の充電装置50を小型化することができる。また、充電時に、交流電力を直流電力に変換するために使用される第2の直交変換装置37が船舶に設置されていないため、より一層、船舶の省スペース化が図られる。また、充電電圧と比較して放電電圧を高くできることにより、船舶の電源系統システム100Aの汎用性が向上し、使用できる電池の制限が少なくなり、より多くの種類の負荷器(39、41)の駆動に対応させることができる。
【0035】
図9に記載の例において、複数の電池モジュール31の充電時には、直列接続された複数の電池モジュール31の負極側が第1直流母線33aに接続され、直列接続された複数の電池モジュール31の正極側が第2直流母線33bに接続されている。よって、直流母線33から複数の電池モジュール31に充電する際の充電電圧を相対的に高くすることができる。
【0036】
図10に記載の例において、複数の電池モジュール31の放電時には、複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続された状態で、複数の電池モジュール31から直流母線33に放電が行われる。よって、直流母線33に放電される放電電圧を相対的に低くすることができる。
【0037】
図9および図10に記載の例では、複数の電池モジュール31の充電電圧に対して複数の電池モジュール31の放電電圧が低くなるように、充電(図9)から放電(図10)への切り替え時に、直列接続された複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続に切り替えられる。放電電圧と比較して充電電圧を高くできることにより、高速充電が可能となる。
【0038】
(効果)
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏する。また、第2の実施形態では、充電時に、交流電力を直流電力に変換するために使用される第2の直交変換装置37が船舶に設置されていないため、より一層、効果的に、船舶の省スペース化を実現することができる。
【0039】
(任意付加的な構成)
続いて、図1乃至図11を参照して、第1の実施形態、または、第2の実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。図11は、制御装置47と、切り替えスイッチ40およびコンタクタ32とが、信号伝達可能に接続された様子を模式的に示す図である。
【0040】
(電池モジュール31)
図1図6等に記載の例では、複数の電池モジュール31は、第1電池モジュール31aと、第2電池モジュール31bとを含む。付加的に、複数の電池モジュール31は、第3電池モジュール等を含んでいてもよい。
【0041】
図3図8等に例示されるように、複数の電池モジュール31の状態が、並列接続状態である場合を想定する。このとき、並列接続状態にある複数の電池モジュール(31a、31b)の各々の満充電電圧は、実質的に同一であってもよい。例えば、第1電池モジュール31aの満充電時の満充電電圧は、第2電池モジュール31bの満充電時の満充電電圧と実質的に同一であってもよい。
【0042】
(切り替えスイッチ40)
図1図6等に記載の例では、船舶の電源系統システム100は、複数の電池モジュール31の状態を、直列接続状態と並列接続状態との間で切り替える切り替えスイッチ群(40A、40B、40C)を備える。図1図6等に記載の例では、切り替えスイッチ群(40A、40B、40C)は、複数の電池モジュール31の状態を、第1電池モジュール31aと第2電池モジュール31bとが直列接続された直列接続状態と、第1電池モジュール31aと第2電池モジュール31bとが並列接続された並列接続状態との間で切り替え可能である。
【0043】
図1図6等に記載の例では、切り替えスイッチ群は、第1電池モジュール31aと第2電池モジュール31bとの間に配置される第1スイッチ40Aを含む。第1スイッチ40Aは、第1電池モジュール31aの第2極(例えば、正極)と、第2電池モジュール31bの第1極(例えば、負極)との間に配置されている。第1スイッチ40Aが閉状態にされることにより、第1電池モジュール31aと第2電池モジュール31bとが直列接続される。
【0044】
図1図6等に記載の例では、切り替えスイッチ群は、第1電池モジュール31aの第1極(例えば、負極)と、直流母線33との間に配置される第2スイッチ40Bを含む。また、図1図6等に記載の例では、切り替えスイッチ群は、第2電池モジュール31bの第1極(例えば、負極)と、直流母線33との間に配置される第3スイッチ40Cを含む。
【0045】
図2図7等に記載の例において、上述の「直列接続状態」では、第1スイッチ40A、および、第2スイッチ40Bが、閉状態であり、第3スイッチ40Cが開状態である。図3図8等に記載の例において、上述の「並列接続状態」では、第1スイッチ40A、および、第2スイッチ40Bが開状態であり、第3スイッチ40Cが閉状態である。
【0046】
図1図6等に記載の例では、「第1極」が負極であり、「第2極」が正極であるが、代替的に、「第1極」が正極であり、「第2極」が負極であってもよい。なお、直流母線33のうち、「負極」に接続されるのが第1直流母線33aであり、「正極」に接続されるのが第2直流母線33bである。
【0047】
(コンタクタ32)
図1図6等に記載の例では、船舶の電源系統システム100は、複数の電池モジュール31を直流母線33に電気的に接続可能、かつ、複数の電池モジュール31を直流母線33から電気的に切り離し可能なコンタクタ群(32a、32b、32c、32d)を備える。
【0048】
図2図7等に記載の例では、コンタクタ群(32a、32b、32c、32d)は、上述の「直列接続状態」において、直列接続された複数の電池モジュール31の第1極(例えば、負極)と直流母線33とを電気的に接続し、直列接続された複数の電池モジュール31の第2極(例えば、正極)と直流母線33とを電気的に接続する。より具体的には、コンタクタ群は、第1コンタクタ32aおよび第2コンタクタ32bを含む。第1コンタクタ32aは、直列接続された複数の電池モジュール31の第1極(例えば、負極)と直流母線33(例えば、第1直流母線33a)とを電気的に接続する。また、第2コンタクタ32bは、直列接続された複数の電池モジュール31の第2極(例えば、正極)と直流母線33(例えば、第2直流母線33b)とを電気的に接続する。
【0049】
図3図8等に記載の例では、コンタクタ群(32a、32b、32c、32d)は、上述の「並列接続状態」において、複数の電池モジュール31の少なくとも一部を構成する第1電池モジュール31aおよび第2電池モジュール31bの各々の第1極(例えば、負極)と直流母線33とを電気的に接続し、第1電池モジュール31aおよび第2電池モジュール31bの各々の第2極(例えば、正極)と直流母線33とを電気的に接続する。
【0050】
より具体的には、コンタクタ群は、第1コンタクタ32a、第2コンタクタ32b、第3コンタクタ32c、および、第4コンタクタ32dを含む。上述の「並列接続状態」において、第3コンタクタ32cは、第1電池モジュール31aの第1極(例えば、負極)と直流母線33(例えば、第1直流母線33a)とを電気的に接続し、第1コンタクタ32aは、第2電池モジュール31bの第1極(例えば、負極)と直流母線33(例えば、第1直流母線33a)とを電気的に接続する。また、上述の「並列接続状態」において、第4コンタクタ32dは、第1電池モジュール31aの第2極(例えば、正極)と直流母線33(例えば、第2直流母線33b)とを電気的に接続し、第2コンタクタ32bは、第2電池モジュール31bの第2極(例えば、正極)と直流母線33(例えば、第2直流母線33b)とを電気的に接続する。こうして、第1電池モジュール31aと第2電池モジュール31bとが、並列に、直流母線33に接続される。
【0051】
図1図6等に記載の例では、「第1極」が負極であり、「第2極」が正極であるが、代替的に、「第1極」が正極であり、「第2極」が負極であってもよい。なお、直流母線33のうち、「負極」に接続されるのが第1直流母線33aであり、「正極」に接続されるのが第2直流母線33bである。
【0052】
(遮断器35)
図1図6等に例示されるように、船舶の電源系統システム100は、第1の直交変換装置34と交流母線36との間に配置される遮断器35を備えていてもよい。遮断器35は、電気回路の故障あるいは異常が起きたときに流れる過大な電流を遮断する。遮断器35は、サーキットブレーカと呼ばれる場合もある。
【0053】
(第2の直交変換装置37)
図1等に例示されるように、船舶の電源系統システム100は、複数の電池モジュール31の充電時に、交流電力を直流電力に変換する第2の直交変換装置37を備えていてもよい。代替的に、図6等に例示されるように、第2の直交変換装置37は、船舶から省略されてもよい。
【0054】
(第3の直交変換装置38)
図1図6等に例示されるように、船舶の電源系統システム100は、第1負荷器39と直流母線33との間に配置される直交変換装置38(以下、「第3の直交変換装置38」という。)を備えていてもよい。
【0055】
第3の直交変換装置38は、直流母線33から受け取る直流電力を、交流電力に変換して、第1負荷器39に送電することが可能である。付加的に、第3の直交変換装置38は、第1負荷器39から受け取る交流電力(例えば、回生電力)を、直流電力に変換して、直流母線33に送電することが可能であってもよい。
【0056】
(第1負荷器39)
図1図6等に例示されるように、船舶の電源系統システム100は、第1負荷器39を備えていてもよい。第1負荷器39は、例えば、誘導電動機(換言すれば、インダクションモータ)である。第1負荷器39は、誘導電動機と、誘導電動機によって駆動される船舶推進用スクリューとを含んでいてもよい。
【0057】
(船内負荷器41)
図1図6等に例示されるように、船舶の電源系統システム100は、交流母線36に接続される船内負荷器41を備えていてもよい。船内負荷器41は、例えば、船内に設置される電気機器(空調機器、照明機器等)である。
【0058】
(受電側コネクタ43、電気ケーブル45)
図1図6等に例示されるように、船舶の電源系統システム100は、陸上側の給電側コネクタ53に、切り離し可能に接続される受電側コネクタ43と、受電側コネクタ43に接続される電気ケーブル45とを備えていてもよい。図1に記載の例では、受電側コネクタ43と、第2の直交変換装置37とが、交流電流を送電する電気ケーブル45Aを介して接続されている。代替的に、図6に例示されるように、受電側コネクタ43と、直流母線33とが、直流電流を送電する電気ケーブル45Bを介して接続されていてもよい。
【0059】
(制御装置47)
図11に例示されるように、船舶の電源系統システム100は、切り替えスイッチ群(40A、40B、40C)、および/または、コンタクタ群(32a、32b、32c、32d)を制御する制御装置47を備えていてもよい。図11に記載の例では、制御装置47は、第1スイッチ40Aと、第2スイッチ40Bと、第3スイッチ40Cとを制御可能である。また、制御装置47は、第1コンタクタ32aと、第2コンタクタ32bと、第3コンタクタ32cと、第4コンタクタ32dとを制御可能である。
【0060】
制御装置47は、複数の電池モジュール31が、直流母線33から電気的に切り離された非接続状態(図1図6を参照。)が実現されるように、切り替えスイッチ群(40A、40B、40C)、および/または、コンタクタ群(32a、32b、32c、32d)を制御可能である。より具体的には、制御装置47は、切り替えスイッチ群に制御信号を送信して、第1スイッチ40A、第2スイッチ40B、および、第3スイッチ40Cを開状態にする。また、制御装置47は、コンタクタ群に制御信号を送信して、第1コンタクタ32a、第2コンタクタ32b、第3コンタクタ32c、および、第4コンタクタ32dを開状態にする。
【0061】
制御装置47は、直列接続された複数の電池モジュール31が、直流母線33に電気的に接続された第1接続状態(図2図4図7図9を参照。)が実現されるように、切り替えスイッチ群(40A、40B、40C)、および/または、コンタクタ群(32a、32b、32c、32d)を制御可能である。換言すれば、制御装置47は、切り替えスイッチ群、および/または、コンタクタ群に、制御信号を送信することにより、上述の第1接続状態を実現する。より具体的には、制御装置47は、切り替えスイッチ群に制御信号を送信して、第1スイッチ40Aおよび第2スイッチ40Bを閉状態にし、第3スイッチ40Cを開状態にする。付加的に、制御装置47は、コンタクタ群に制御信号を送信して、第1コンタクタ32aおよび第2コンタクタ32bを閉状態にし、第3コンタクタ32cおよび第4コンタクタ32dを開状態にする。
【0062】
制御装置47は、複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続された状態で、直流母線33に電気的に接続された第2接続状態(図3図5図8図10を参照。)が実現されるように、切り替えスイッチ群(40A、40B、40C)、および/または、コンタクタ群(32a、32b、32c、32d)を制御可能である。換言すれば、制御装置47は、切り替えスイッチ群、および/または、コンタクタ群に、制御信号を送信することにより、上述の第2接続状態を実現する。より具体的には、制御装置47は、切り替えスイッチ群に制御信号を送信して、第1スイッチ40Aおよび第2スイッチ40Bを開状態にし、第3スイッチ40Cを閉状態にする。付加的に、制御装置47は、コンタクタ群に制御信号を送信して、第1コンタクタ32a、第2コンタクタ32b、第3コンタクタ32c、および、第4コンタクタ32dを閉状態にする。
【0063】
(充電装置50)
図6に記載の例では、充電装置50が、陸上側に配置されている。充電装置50は、高速充電装置、例えば、CHAdeMO(登録商標)仕様の充電装置であってもよい。図6に記載の例では、充電装置50の直流出力電圧は、例えば、50V以上500V以下である。充電装置50は、電源から供給される交流電力を直流電力に変換する第2の直交変換装置37を備えていてもよい。第2の直交変換装置37は、直流電流を給電側コネクタ53に送電する。
【0064】
(船舶の電源系統システム100の使用方法)
図1乃至図12を参照して、実施形態における船舶の電源系統システム100の使用方法について説明する。図12は、実施形態における船舶の電源系統システム100の使用方法の一例を示すフローチャートである。
【0065】
実施形態における船舶の電源系統システム100の使用方法において使用される電源系統システムは、第1の実施形態における船舶の電源系統システム100Aであってもよいし、第2の実施形態における船舶の電源系統システム100Bであってもよいし、その他の船舶の電源系統システムであってもよい。
【0066】
実施形態における船舶の電源系統システム100の使用方法において使用される電源系統システムは、図1図6等に例示されるように、(1)直流電流が流れる直流母線33と、(2)直流母線33に接続され、直列接続可能な複数の電池モジュール31と、(3)交流電流が流れる交流母線36と、(4)直流母線33と交流母線36を接続する第1の直交変換装置34と、(5)複数の電池モジュール31と、直流母線33とを電気的に接続するための複数の接点Kと、を具備する。
【0067】
第1ステップST1において、直列接続された複数の電池モジュール31が、直流母線33に電気的に接続される。第1ステップST1は、接続工程である。
【0068】
図2図4図7図9に記載の例では、接続工程(第1ステップST1)は、複数の電池モジュール31の状態を、直列接続状態にすることを含む。複数の電池モジュール31の状態を直列接続状態にすることは、第1電池モジュール31aと第2電池モジュール31bとの間に配置された第1スイッチ40Aを閉状態にすることを含んでいてもよい。付加的に、複数の電池モジュール31の状態を直列接続状態にすることは、(1)第1電池モジュール31aの第1極(例えば、負極)と、直流母線33との間に配置される第2スイッチ40Bを閉状態にすることと、(2)第2電池モジュール31bの第1極(例えば、負極)と、直流母線33との間に配置される第3スイッチ40Cを開状態にすることと、を含んでいてもよい。
【0069】
図2図4図7図9に記載の例では、接続工程(第1ステップST1)は、直列接続状態の複数の電池モジュール31を、直流母線33に電気的に接続することを含む。直列接続状態の複数の電池モジュール31を直流母線33に電気的に接続することは、(1)直列接続状態の複数の電池モジュール31の第1極(例えば、負極)と直流母線33(例えば、第1直流母線33a)とを、第1コンタクタ32aを介して、電気的に接続することと、(2)直列接続された複数の電池モジュール31の第2極(例えば、正極)と直流母線33(例えば、第2直流母線33b)とを、第2コンタクタ32bを介して、電気的に接続することと、を含んでいてもよい。
【0070】
第2ステップST2において、直列接続された複数の電池モジュール31から、直流母線33に放電が行われる。第2ステップST2は、放電工程である(図2図7を参照。)。図2図7に記載の例では、複数の電池モジュール31が直列接続されているため、複数の電池モジュール31から直流母線33への放電電圧を高くすることができる。
【0071】
図2図7に記載の例では、放電工程(第2ステップST2)は、直流母線33から第1の直交変換装置34を介して船内負荷器41に送電することを含む。代替的に、あるいは、付加的に、放電工程(第2ステップST2)は、直流母線33から第3の直交変換装置38を介して第1負荷器39に送電することを含んでいてもよい。
【0072】
第2ステップST2の代わりに、第3ステップST3において、直流母線33から直列接続された複数の電池モジュール31に充電が行われてもよい。第3ステップST3は、充電工程である(図4図9を参照。)。図4図9に記載の例では、複数の電池モジュール31が直列接続されているため、複数の電池モジュール31への充電電圧を高くすることができ、複数の電池モジュール31への高速充電が可能である。
【0073】
図4図9に記載の例では、充電工程(第3ステップST3)は、陸上側の給電側コネクタ53に接続された受電側コネクタ43と、電気ケーブル45とを介して、陸上側から直流母線33に送電することを含む。図4に例示されるように、受電側コネクタ43と直流母線33との間には、第2の直交変換装置37が配置されていてもよい。この場合、受電側コネクタ43から供給される交流電力が、第2の直交変換装置37によって直流電力に変換され、変換後の直流電力が直流母線33に送電される。代替的に、図9に例示されるように、受電側コネクタ43と直流母線33との間に第2の直交変換装置37が配置されていなくてもよい。この場合、受電側コネクタ43から供給される直流電力が、直流母線33に送電される。
【0074】
第4ステップST4において、直列接続された複数の電池モジュール31の一部または全部が、並列接続に切り替えられる。第4ステップST4は、切替工程である。
【0075】
図3図5図8図10に記載の例では、切替工程(第4ステップST4)は、複数の電池モジュール31の状態を、並列接続状態にすることを含む。複数の電池モジュール31の状態を並列接続状態にすることは、第1電池モジュール31aと第2電池モジュール31bとの間に配置された第1スイッチ40Aを開状態にすることを含んでいてもよい。付加的に、複数の電池モジュール31の状態を並列接続状態にすることは、(1)第1電池モジュール31aの第1極(例えば、負極)と、直流母線33との間に配置される第2スイッチ40Bを開状態にすることと、(2)第2電池モジュール31bの第1極(例えば、負極)と、直流母線33との間に配置される第3スイッチ40Cを閉状態にすることと、を含んでいてもよい。
【0076】
図3図5図8図10記載の例では、切替工程(第4ステップST4)は、並列接続状態の複数の電池モジュール31を、直流母線33に電気的に接続することを含む。並列接続状態の複数の電池モジュール31を直流母線33に電気的に接続することは、(1)第1電池モジュール31aの第1極(例えば、負極)と直流母線33(例えば、第1直流母線33a)とを、第3コンタクタ32cを介して、電気的に接続し、第2電池モジュール31bの第1極(例えば、負極)と直流母線33(例えば、第1直流母線33a)とを、第1コンタクタ32aを介して、電気的に接続することと、(2)第1電池モジュール31aの第2極(例えば、正極)と直流母線33(例えば、第2直流母線33b)とを、第4コンタクタ32dを介して、電気的に接続し、第2電池モジュール31bの第2極(例えば、正極)と直流母線33(例えば、第2直流母線33b)とを、第2コンタクタ32bを介して、電気的に接続することと、を含んでいてもよい。
【0077】
放電工程(第2ステップST2)および切替工程(第4ステップST4)の実行後、第5ステップST5において、直流母線33から並列接続状態の複数の電池モジュール31に充電が行われる。第5ステップST5は、充電工程である(図3図8を参照。)。図3図8に記載の例では、複数の電池モジュール31の状態が並列接続状態であるため、充電電圧を低くすることができる。
【0078】
図3図8に記載の例では、充電工程(第5ステップST5)は、陸上側の給電側コネクタ53に接続された受電側コネクタ43と、電気ケーブル45とを介して、陸上側から直流母線33に送電することを含む。図3に例示されるように、受電側コネクタ43と直流母線33との間には、第2の直交変換装置37が配置されていてもよい。代替的に、図8に例示されるように、受電側コネクタ43と直流母線33との間に第2の直交変換装置37が配置されていなくてもよい。
【0079】
代替的に、第5ステップST5の代わりに、充電工程(第3ステップST3)および切替工程(第4ステップST4)の実行後、第6ステップST6において、並列接続状態の複数の電池モジュール31から直流母線33に放電が行われてもよい。第6ステップST6は、放電工程である(図5図10を参照。)。
【0080】
図5図10に記載の例では、放電工程(第6ステップST6)は、直流母線33から第1の直交変換装置34を介して船内負荷器41に送電することを含む。代替的に、あるいは、付加的に、放電工程(第6ステップST6)は、直流母線33から第3の直交変換装置38を介して第1負荷器39に送電することを含んでいてもよい。
【0081】
(効果)
実施形態における船舶の電源系統システム100の使用方法では、複数の電池モジュール31から放電が行われる時と、複数の電池モジュール31に充電が行われる時とで、複数の電池モジュール31の接続状態が変更される。よって、船内に設置される直交変換装置のサイズまたは台数が低減された態様で、船舶の電源系統システム100を好適に運用することができる。
【0082】
本発明は上記各実施形態または各変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施形態又は各変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、各実施形態又は各変形例で用いられる種々の技術は、技術的矛盾が生じない限り、他の実施形態又は他の変形例にも適用可能である。さらに、各実施形態又は各変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…電池モジュール、2…コンタクタ、3…直流母線、4…直交変換装置、5…遮断器、6…交流母線、7…直交変換装置、8…直交変換装置、9…負荷、21…電池モジュール、22…コンタクタ、23…直流母線、24…直交変換装置、25…遮断器、26…交流母線、28…直交変換装置、29…負荷、30…充電装置、31…電池モジュール、31a…第1電池モジュール、31b…第2電池モジュール、32…コンタクタ、32a…第1コンタクタ、32b…第2コンタクタ、32c…第3コンタクタ、32d…第4コンタクタ、33…直流母線、33a…第1直流母線、33b…第2直流母線、34…第1の直交変換装置、35…遮断器、36…交流母線、37…第2の直交変換装置、38…第3の直交変換装置、39…第1負荷器、40…切り替えスイッチ、40A…第1スイッチ、40B…第2スイッチ、40C…第3スイッチ、40D…第4スイッチ、41…船内負荷器、43…受電側コネクタ、45…電気ケーブル、45A…交流電流を送電する電気ケーブル、45B…直流電流を送電する電気ケーブル、47…制御装置、50…充電装置、53…給電側コネクタ、100、100A、100B…電源系統システム、K…接点
【要約】      (修正有)
【課題】船内に設置される直交変換装置のサイズまたは台数を低減し、船内の省スペース化を実現可能な船舶の電源系統システム及び船舶の電源系統システムの使用方法を提供する。
【解決手段】船舶の電源系統システム100は、直流電流が流れる直流母線33と、直流母線に接続され、直列接続可能な複数の電池モジュール31と、交流電流が流れる交流母線36と、直流母線と交流母線を接続する直交変換装置34と、複数の電池モジュールと、直流母線とを電気的に接続するための複数の接点Kと、を具備する。充電から放電への切り替え時又は放電から充電への切り替え時に、直列接続された複数の電池モジュールの一部又は全部が、並列接続に切り替えられる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14