(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】改善された圧力負荷シール
(51)【国際特許分類】
F02C 7/28 20060101AFI20221212BHJP
F16J 15/04 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
F02C7/28 C
F16J15/04 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017174431
(22)【出願日】2017-09-12
【審査請求日】2020-09-07
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ビクター・ジョン・モーガン
(72)【発明者】
【氏名】ジェス・エリス・バートン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・マーティン・ディシンティオ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・トーマス・マクガバン
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-508152(JP,A)
【文献】特開2011-021601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0366556(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0327213(US,A1)
【文献】特開2005-090304(JP,A)
【文献】特開平03-051578(JP,A)
【文献】国際公開第2013/153322(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0111911(US,A1)
【文献】米国特許第06431555(US,B1)
【文献】米国特許第06347508(US,B1)
【文献】米国特許第05797723(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/28
F16J 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの燃焼器に用いられるシール構成であって、
ノッチ(110)を画定する第1の構成要素と第2の構成要素との間を密封するためのシール構成であって、前記第1の構成要素と前記第2の構成要素が軸方向にそって配置され、
前記第1の構成要素の前記ノッチ(110)内に延びる剛性フレーム(210)と、
上流面を備える可撓性シール要素(202、302)を含み、前記軸方向に垂直な半径方向に対して傾斜した方向に延びるシールであって、前記可撓性シール要素(202、302)は、前記可撓性シール要素(202、302)の前記上流面のみが前記剛性フレーム(210)と接触するように前記剛性フレーム(210)に接続された中間部分(204、304)と、前記中間部分(204、304)の一方の側の第1の外側部分(206、306)と、前記中間部分(204、304)の他方の側の第2の外側部分(208、308)と、を含む、シールを含み、
前記中間部分(204、304)は、前記第1の構成要素および前記第2の構成要素に対して機械的に負荷され、前記第1の外側部分(206、306)は、前記第1の構成要素に対して移動可能に圧力負荷され、前記第2の外側部分(208、308)は、前記第2の構成要素に対して移動可能に圧力負荷され、
前記第1の構成要素と前記第2の構成要素は互いに接触しない、シール構成。
【請求項2】
前記可撓性シール要素(202、302)の前記中間部分(204、304)は、前記剛性フレーム(210)に溶接されている、請求項1に記載のシール構成。
【請求項3】
前記可撓性シール要素(202、302)の前記中間部分(204、304)を前記剛性フレーム(210)に接続するピボット接合部(320、322)をさらに含む、請求項1または2に記載のシール構成。
【請求項4】
前記可撓性シール要素(202、302)の前記中間部分(204、304)を前記剛性フレーム(210)に接続する付勢部材(316)をさらに含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のシール構成。
【請求項5】
前記付勢部材(316)は板ばねまたはコイルばねである、請求項4に記載のシール構成。
【請求項6】
前記付勢部材(316)は、ピンと、前記ピンを取り囲むコイルばねと、を含む、請求項4に記載のシール構成。
【請求項7】
前記第1の構成要素は、ガスタービン(10)の移行ダクト(32)の後方フレーム(100)であり、
前記第2の構成要素は、前記ガスタービン(10)の第1段ノズル(500)であり、
前記シールは円周方向に配向された第1のシールであり、前記シール構成は第2のシールをさらに含み、前記第2のシールは半径方向に配向され、前記第2のシールは前記第1の構成要素を越えて半径方向に延在する延長部(402、404)を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載のシール構成。
【請求項8】
前記第2のシールの前記延長部(402、404)は、前記第1のシールに対して圧力負荷される、請求項7に記載のシール構成。
【請求項9】
ガスタービン(10)であって、
圧縮機(14)と、
タービン(18)と、
燃焼器と、
前記燃焼器から前記タービン(18)の第1段ノズル(500)への軸方向に延びる流路を画定する移行ダクト(32)であって、上流側端部と、下流側端部と、前記移行ダクト(32)の前記下流側端部を円周方向に取り囲む後方フレーム(100)と、を含み、前記後方フレーム(100)は、前記後方フレーム(100)の周囲の少なくとも一部の周りに延びるノッチ(110)を含む移行ダクト(32)と、
前記後方フレーム(100)と前記第1段ノズル(500)との間のシールであって、上流面を備える可撓性シール要素(202、302)を含み、前記軸方向に垂直な半径方向に対して傾斜した方向に延びるシールと、を含み、前記可撓性シール要素(202、302)は、中間部分(204、304)と、前記中間部分(204、304)の一方の側の第1の外側部分(206、306)と、前記中間部分(204、304)の他方の側の第2の外側部分(208、308)と、前記後方フレーム(100)に取り付けられた剛性フレーム(210)と、
を含み、
前記可撓性シール要素(202、302)の前記中間部分(204、304)は、前記可撓性シール要素(202、302)の前記上流面のみが前記剛性フレーム(210)と接触するように、前記剛性フレーム(210)に接続され、
前記剛性フレーム(210)は、半径方向に前記ノッチ(110)内に延び、
前記中間部分(204、304)は、前記第1段ノズル(500)および前記後方フレーム(100)と密封係合するように機械的に付勢され、前記第1の外側部分(206、306)は、前記圧縮機(14)によって生成される圧縮された作動流体からの圧力下で前記後方フレーム(100)と移動可能に密封係合するように構成され、前記第2の外側部分(208、308)は、前記圧縮機(14)によって生成される圧縮された作動流体からの圧力下で前記第1段ノズル(500)と移動可能に密封係合するように構成される、ガスタービン(10)。
【請求項10】
前記可撓性シール要素(202、302)の前記中間部分(204、304)は、前記剛性フレーム(210)に溶接されている、請求項9に記載のガスタービン(10)。
【請求項11】
前記可撓性シール要素(202、302)の前記中間部分(204、304)を前記剛性フレーム(210)に接続するピボット接合部(320、322)をさらに含む、請求項10に記載のガスタービン(10)。
【請求項12】
前記可撓性シール要素(202、302)の前記中間部分(204、304)を前記剛性フレーム(210)に接続する付勢部材(316)をさらに含む、請求項9乃至11のいずれかに記載のガスタービン(10)。
【請求項13】
前記付勢部材(316)は板ばねまたはコイルばねである、請求項12に記載のガスタービン(10)。
【請求項14】
前記付勢部材(316)は、ピンと、前記ピンを取り囲むコイルばねと、を含む、請求項12に記載のガスタービン(10)。
【請求項15】
前記シールは円周方向に配向された第1のシールであり、前記ガスタービン(10)は、第2のシールをさらに含み、前記第2のシールは半径方向に配向され、前記第2のシールは前記後方フレーム(100)を越えて半径方向に延在する延長部(402、404)を含む、請求項9乃至14のいずれかに記載のガスタービン(10)。
【請求項16】
前記第2
のシールの前記延長部(402、404)は、前記圧縮機(14)によって生成される圧縮された作動流体からの圧力下で前記第1のシールと密封係合するように構成される、請求項15に記載のガスタービン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する主題は、ガスタービンの燃焼器に関する。より具体的には、本開示は、ガスタービンの第1段ノズルを有する1つまたは複数の燃焼器移行ダクトの境界面のためのシール構成を対象とする。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、典型的には、相互接続された個別の部品をいくつか含む。ガスタービンは、一般に、吸気部、圧縮部、複数の燃焼器、タービン部、および排気部を含む。吸気部は、ガスタービンに入る作動流体(例えば、空気)を浄化し、あるいは調整するための一連のフィルタ、冷却コイル、水分分離器、および/または他の装置を含んでもよい。作動流体は、吸気部から圧縮機部へと下流に流れ、そこで運動エネルギーが作動流体に徐々に加えられ、高エネルギー状態の圧縮された作動流体が生成される。圧縮された作動流体は、燃料供給源からの燃料と混合されて、1つまたは複数の燃焼器内で可燃混合気を形成する。可燃混合気は燃焼されて高温高圧の燃焼ガスを生成する。燃焼ガスはタービン部のタービンを通って流れ、そこで(運動および/または熱)エネルギーが燃焼ガスからロータブレードに伝達され、これによりシャフトが回転して仕事を産出する。例えば、タービンシャフトの回転は、圧縮機を駆動して圧縮された作動流体を生成することができる。代替的または追加的に、発電のためにシャフトがタービンを発電機に接続してもよい。タービンからの排気ガスは、排気部を通って流れ、排気部はタービンをその下流にある排気筒に接続する。排気部は、例えば、環境中に放出される前に余剰熱を排気ガスから浄化して抽出するための熱回収蒸気発生器を含んでもよい。
【0003】
ガスタービンの燃焼器は、一般に、移行ダクトを介してタービン部の第1段ノズルに結合される。通常、各移行ダクトは、タービン部の入口側に隣接して配置された後方フレームを有する。後方フレームは通常2つの弓状部分を有し、弓状部分はタービンの中心軸線に対して半径方向の内側および外側であり、典型的には内側部分および外側部分と呼ばれる。後方フレームの内側部分および外側部分は、側方部分と呼ばれることが多い、半径方向に延在する直線部分によって相互接続される。内周方向シールおよび外周方向シールは、後方フレームの内側部分および外側部分とタービン部分の対応する入口との間を密封するために使用される。半径方向に配向された側部シールを隣接する後方フレームの間に配置して、1つの後方フレームの側方部分と次の後方フレームとの間の円周方向の隙間を実質的に閉じて密封することができる。
【0004】
燃焼器の後方フレームと第1段ノズルとの間の内側シールおよび外側シールは、通常、後方フレームまたは第1段ノズルの一方に装着され、機械的にそれと密封係合するように付勢される。このようなシールは、後方フレームまたは第1段ノズルの他方との密封係合するように圧力付勢されてもよい。その結果、シュートリークがシールを迂回することを可能にする異なる軸方向位置に2つの異なる密封係合が存在する。ガスタービンは、通常、炭化水素燃料を燃焼させ、窒素酸化物(NOx)および一酸化炭素(CO)などの大気汚染排出物を生成する。したがって、内側シールおよび外側シールの1つまたは複数を迂回するリークにより、移行ダクトを通って燃焼器から第1段ノズルへ流れる作動流体(例えば、圧縮空気および/または燃焼ガス)の漏れが発生するおそれがあり、これにより性能が低下し、大気汚染物質の排出量が変化する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
態様および利点は、以下の説明に記載されているか、以下の説明から明らかになり得るか、または実践により学び得る。
【0007】
当該技術分野では、ガスタービンの様々な部品間の密封接続の改善が望まれている。特に、作動流体の大気中への損失、および/または排出物の大気中への流出の減少または削減を容易にする、ガスタービンおよび関連するシール構成が有利であろう。
【0008】
本開示の一実施形態は、第1の構成要素と第2の構成要素との間を密封するためのシール構成を対象とし、シール構成は、可撓性シール要素を含むシールを含み、可撓性シール要素は、中間部分と、中間部分の一方の側の第1の外側部分と、中間部分の他方の側の第2の外側部分と、を含み、中間部分は、第1段ノズルおよび後方フレームに対して機械的に負荷され、第1の外側部分および第2の外側部分は、後方フレームおよび第1段ノズルに対して圧力負荷される。
【0009】
別の実施形態は、ガスタービンを対象とする。ガスタービンは、圧縮機と、タービンと、燃焼器と、燃焼器からタービンの第1段ノズルへの流路を画定する移行ダクトであって、上流側端部と、下流側端部と、移行ダクトの下流側端部を円周方向に取り囲む後方フレームと、を含む移行ダクトと、後方フレームと第1段ノズルとの間のシールであって、可撓性シール要素を含むシールと、を含み、可撓性シール要素は、中間部分と、中間部分の一方の側の第1の外側部分と、中間部分の他方の側の第2の外側部分と、を含み、中間部分は、第1段ノズルおよび後方フレームと密封係合するように機械的に付勢され、第1の外側部分は、圧縮機によって生成される圧縮された作動流体からの圧力下で後方フレームと密封係合するように構成され、第2の外側部分は、圧縮機によって生成される圧縮された作動流体からの圧力下で第1段ノズルと密封係合するように構成される。
【0010】
当業者であれば、本明細書の検討において、このような実施形態の特徴および態様などをよりよく理解するであろう。
【0011】
様々な実施形態の完全かつ実施可能な開示は、その最良の形態の当業者に対する開示を含めて、以下の添付の図面の参照を含む、本明細書の以降の部分でより詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の様々な実施形態を組み込むことができる例示的なガスタービンの概略図を示す。
【
図2】少なくとも1つの実施形態による、燃焼器と第1段ノズルとの間の移行ダクトの断面図である。
【
図3】本開示の様々な実施形態を組み込むことができる円周方向に隣接する後方フレームの斜視図である。
【
図4】少なくとも1つの実施形態による例示的なシール構成の断面図である。
【
図5】少なくとも1つの実施形態による例示的な円周方向に配向されたシールの断面図である。
【
図6】少なくとも1つの実施形態による例示的な円周方向に配向されたシールの断面図である。
【
図7】少なくとも1つの実施形態による例示的な円周方向に配向されたシールの断面図である。
【
図8】少なくとも1つの実施形態による例示的な円周方向に配向されたシールの断面図である。
【
図9】少なくとも1つの実施形態による例示的な円周方向に配向されたシールの断面図である。
【
図10】少なくとも1つの実施形態による例示的なシール構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本開示の実施形態を提示するために詳細に参照し、その1つまたは複数の例を添付図面に示す。詳細な説明では、図面において特徴を示すために数字および文字の符号を使用する。図面および説明における類似のまたは同一の符号は、本開示の類似のまたは同一の部分を指すために使用されている。
【0014】
本明細書において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」という用語は、1つの構成部品と別の構成部品とを区別するために交換可能に用いることができ、個々の構成部品の位置または重要性を示すことを意図しない。「上流」(または「前方」)および「下流」(または「後方」)という用語は、流体経路における流体の流れに関する相対的な方向を指す。例えば、「上流側」は流体が流れてくる方向を指し、「下流側」は流体が流れていく方向を指す。「半径方向」という用語は、特定の構成要素の軸方向の中心線に実質的に垂直な相対的な方向を指し、「軸方向」という用語は、特定の構成要素の軸方向の中心線に実質的に平行および/または整列する相対的な方向を指し、「円周方向」という用語は、特定の構成要素の軸方向の中心線の周りに延在する相対的な方向を指す。
【0015】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定するものではない。本明細書で用いられるように、文脈で別途明確に指示しない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「前記(the)」は複数形も含むものとする。「備える、含む、有する(comprises)」、および/または「備える、含む、有する(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または部品の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、部品、および/またはそれらのグループの存在、または追加を排除するものではないことが、さらに理解されるであろう。
【0016】
各例は、限定ではなく、説明のために提供される。実際、本発明の範囲または趣旨を逸脱することなく、修正および変形が可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明された特徴を別の実施形態で使用し、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲に入るそのような改変および変形を包含することを意図している。本開示の例示的な実施形態は、説明のために陸上発電用ガスタービン燃焼器に関連して一般的に説明されるが、当業者であれば、本開示の実施形態が、任意の型または形態のターボ機械用燃焼器に適用でき、請求項に具体的に記載されていない限り、陸上発電用ガスタービンの燃焼器または燃焼システムに限定されないことが容易に理解されよう。
【0017】
ここで図面を参照すると、
図1は、本発明の様々な実施形態を組み込むことができる例示的なガスタービン10の概略図を示している。図示するように、ガスタービン10は、吸気部12、吸気部12の下流に配置された圧縮機14、圧縮機14の下流に配置された少なくとも1つの燃焼器16、燃焼器16の下流に配置されたタービン18、およびタービン18の下流に配置された排気部20を概して含む。さらに、ガスタービン10は、圧縮機14をタービン18に連結する1つまたは複数のシャフト22を含んでもよい。
【0018】
動作中、空気24は吸気部12を通って圧縮機14に流れ、そこで空気24が次第に圧縮され、これにより圧縮空気26が燃焼器16に供給される。圧縮空気26の少なくとも一部は、燃焼器16内で燃料28と混合され、燃焼されて燃焼ガス30を生成する。燃焼ガス30は、燃焼器16からタービン18に流れ、(運動および/または熱)エネルギーが燃焼ガス30からロータブレード(図示せず)に伝達され、これによりシャフト22が回転する。機械的回転エネルギーは、その後に、圧縮機14への動力の供給、および/または発電などの様々な目的のために使用されてもよい。次いで、タービン18を出る燃焼ガス30は、排気部20を介してガスタービン10から排気されてもよい。
【0019】
図2に示すように、燃焼器16は、圧縮機吐出ケーシングなどの外側ケーシング36によって少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。外側ケーシング36は、移行ダクト32などの燃焼器16の様々な部品を少なくとも部分的に取り囲む高圧プレナム34を少なくとも部分的に画定することができる。高圧プレナム34は、圧縮機14(
図1)と流体連通して、そこから圧縮空気26を受け取ることができる。
図2に示すように、燃焼器16は、後方フレーム100を含む移行ダクト32を介してタービン18の第1段ノズル500に接続されてもよい。移行ダクト32は、流路Pを画定する。また、
図2には、タービン18の中心軸Aも示されており、中心軸Aは、軸Aに実質的に平行な、および/またはそれに沿う軸方向と、軸Aに垂直な半径方向と、軸Aの周りに延在する円周方向と、を規定する。
【0020】
ここで
図3を参照すると、円周方向に配置された1対の移行ダクト32が示されており、各ダクトはそれぞれの下流側端部を取り囲む後方フレーム100を有する。
図3に示すように、いくつかの実施形態では、後方フレームは内側部分102および外側部分104を有していてもよく、内側部分102と外側部分104との間に半径方向に延在する、1対の対向する側方部分106および108を有していてもよい。また、
図3には、各後方フレーム100の内側部分102および外側部分104にそれぞれ配置された、内側シール200および外側シール300が示されている。後方フレーム100は、内側シール200および/または外側シール300、特にそれの剛性フレーム210または310をそれぞれ受け入れるためのノッチまたはスロット110(例えば、
図4~
図10を参照)を含むことができる。
図4~
図10に示すようないくつかの実施形態では、内側シール200および外側シール300の両方、ならびに隣接する後方フレーム100間に設けることができる半径方向に配向された側部シール400(例えば、
図4および
図10を参照)を受け入れるために、ノッチ110は、後方フレーム100の外周部の周りに完全に延在することができる(例えば、ノッチ110は、側方部分106、108、ならびに内側部分102および外側部分104を通って連続していてもよい)。いくつかの実施形態では、シール200、300、400の各々に別々のスロットまたはノッチを設けることも可能である。
【0021】
図3に示す例示的な実施形態では、内側シール200および外側シール300は円周方向に配向されており、各内側シール200は、隣接する後方フレーム100上の他の内側シール200と円周方向に整列し、各外側シール300は、隣接する後方フレーム100上の他の外側シール300と円周方向に整列している。したがって、内側シール200および外側シール300は、集合的に円周方向に配向されたシールと呼ぶことができる。
図3に示すように、後方フレーム100はまた、半径方向に延在する側方部分106、108を含むことができ、側方部分106、108と内側部分102との交差は内側角部120、122を画定し、側方部分106、108と外側部分104との交差は外側角部130、132を画定する。後方フレーム100と、後方フレーム100に配置された内側シール200および外側シール300との間に、半径方向に配向された側部シール400(例えば、
図4および
図10を参照)を配置することができる。
【0022】
本明細書の説明では、後方フレーム100、第1段ノズル500、およびシール200、300、400の特定の特徴を、内側部分102/内側シール200および外側部分104/外側シール300の一方または他方を参照して説明するが、それにもかかわらず、当業者であれば、このような特徴は、内側部分102および/または外側部分104のいずれかまたは両方に付随し得ることが理解されるであろう。
【0023】
図4は、例示的な円周方向に配向されたシールを示し、
図4に示す実施例などのいくつかの実施形態では、可撓性シール要素202および剛性フレーム210を含む内側シール200であってもよい。いくつかの実施形態では、可撓性シール要素202は、中間部分204と、中間部分204の一方の側の第1の外側部分206と、中間部分204の他方の側の第2の外側部分208と、を含むことができる。可撓性シール要素202は、自由に屈曲して、両端(例えば、第1の外側部分206および第2の外側部分208)上を移動しながら、中間に(例えば、中間部分204に)保持することができる。これにより、中間部分204は、第1段ノズル500および後方フレーム100に対して機械的に負荷され得る。例えば、
図4に示すようないくつかの実施形態では、可撓性シール要素202は、可撓性シール要素202の中間部分204で剛性フレーム210に溶接されてもよい。
図4に示すように、いくつかの実施形態では、剛性フレーム210は、後方フレーム100に対して付勢するDシール212と、第1段ノズル500に対して付勢するように、すなわち負荷をかけるように、可撓性シール要素202を軸方向前方にシフトさせる屈曲部214と、を含むことができる。
【0024】
図2に示すように、移行ダクト32とタービン18との間の接続は、高圧プレナム34内にある。結果として、例えば
図4に示すように、第1の外側部分206および第2の外側部分208が拘束されていない、すなわち剛性フレーム210に機械的に固定されていないいくつかの実施形態では、加圧空気26(例えば、
図2を参照)は、第1の外側部分206および第2の外側部分208の両方を付勢して、第1段ノズル500および後方フレーム100と密封係合することができる、すなわち、第1の外側部分206および第2の外側部分208は、後方フレーム100および第1段ノズル500に対して圧力負荷される。
【0025】
他の実施形態では、
図4に内側シール200として示す円周方向に配向されたシールは、さらにまたは代わりに、同様の特徴を有する外側シール300であってもよい。
【0026】
例えば
図4に示す内側シール200および/または
図5~
図10に示す外側シール300などの円周方向に配向されたシール200、300、および特にその可撓性シール要素202/302は、主として布材料で構成することができ、それは適切な金属材料、例えば合金L605の織られたメッシュ布であってもよい。可撓性シール要素202の材料は、積層することができ、例えば、
図4に示すように、単一シートの布材料をそれ自体の上に折り畳むことができ、および/または布材料の複数の層を互いに溶接することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、例えば
図4および
図10に示すように、円周方向に配向されたシール200または300は、第1のシールおよび第2のシールであってもよく、それは側部シール400も設けられるように半径方向に配向することができる。側部シール400は、後方フレーム100を越えて半径方向に延在する延長部402および/または404を含むことができる。例えば、
図4に示すように、側部シール400は、後方フレーム100を越えて半径方向内方に延在する延長部402を含むことができ、例えば高圧プレナム34内の圧縮空気26の圧力によって、延長部402を内側シール200に対して付勢することができる。
図10に示す別の例では、側部シール400は、延長部402の代わりにまたは延長部402に加えて、延長部404を含むことができ、延長部404は、後方フレーム100を越えて半径方向外方に延在し、例えば、高圧プレナム34内の圧縮空気26の圧力によって、外側シール300に対して付勢され得る。すなわち、側部シール400は、隣接する後方フレーム100のノッチ110内(または側部シールスロット内)に一般的に拘束されてもよいが、延長部402および/または404が圧力負荷され得るように、側部シールスロット(またはノッチ110の側方部分)を越えて延在する1つまたは複数の延長部402および/または404を設けることができる。
【0028】
図5に示すように、いくつかの実施形態では、シールは外側シール300であってもよい。
図4に示す例と同様に、
図5は例示的な実施形態を示しており、外側シール300は剛性フレーム310と可撓性シール要素302とを含み、次に可撓性シール要素302は中間部分304、第1の外側部分306、および第2の外側部分308を含む。可撓性シール要素302の中間部分304は、締結具314によって剛性フレーム310に接続され、締結具314は、例えば
図5に示すようなピンであってもよい。可撓性シール要素302の中間部分304は、剛性フレーム310とノッチ110との間に配置されたDシール312によって後方フレーム100に対して機械的に付勢することができるので、Dシール312は、中間部分304と剛性フレーム310との間の接続を介して間接的に可撓性シール要素302の中間部分304を後方フレーム100に対して付勢する。可撓性シール要素302の中間部分304はまた、
図5に示すコイルばね316などの付勢部材によって、後方フレーム100および第1段ノズル500に対して機械的に負荷をかけることもできる。
図5に示すように、第1の外側部分306および第2の外側部分308が締結具314によって拘束されないいくつかの実施形態では、加圧空気26(例えば、
図2を参照)は、第1の外側部分306および第2の外側部分308の両方を付勢して、第1段ノズル500および後方フレーム100と密封係合することができる、すなわち、第1の外側部分306および第2の外側部分308は、後方フレーム100および第1段ノズル500に対して圧力負荷される。
図5に示す実施形態の特徴は、外側シール300の代わりにまたは外側シール300に加えて、内側部分102の上にまたは内側部分102に付随して内側シール200に組み込むことができるが、それは、
図4に示す実施形態の特徴が、内側シール200の代わりにまたはそれに加えて、外側部分104の上にまたは外側部分104に付随して外側シール300に組み込むことができるのと同様である。
【0029】
ここで
図6を参照すると、剛性フレーム310および剛性フレーム310の延長部311を含む外側シール300を有する例示的な実施形態が示されている。
図6に示すようないくつかの実施形態では、剛性フレーム延長部311を可撓性シール要素302の中間部分304に、例えば溶接によって接続して、
図4に示す内側シール200の屈曲部214と同様に、可撓性シール要素302を後方フレーム100および/または第1段ノズル500に対して機械的に負荷することができる。同時に、外側部分306、308は、例えば高圧プレナム34内の圧縮空気26の影響下で(圧縮空気26および高圧プレナム34は、例えば
図2に見ることができる)圧力負荷されてもよい。
【0030】
図7は、上述の
図6の例と同様に、剛性フレーム310が延長部311を含む例示的な実施形態を示す。
図7に示す実施形態は、可撓性シール要素302の中間部分304を剛性フレーム310に接続するピボット接合部320、322をさらに含む。
図7に示すように、ピボット接合部は、可撓性シール要素302上のボール322と、剛性フレーム延長部311上のソケット320と、を含む。代替的な実施形態では、ボール322を剛性フレーム延長部311に設けることができ、ソケット320を可撓性シール要素302に設けることができる。
【0031】
図8に示す別の例示的な実施形態では、外側シールが板ばね316の形態の付勢部材316を含み、板ばね316は、可撓性シール要素302の中間部分304を剛性フレーム310に接続し、第1段のノズル500および後方フレーム100に対して可撓性シール要素302の中間部分304を機械的に負荷する。
【0032】
図9に示す別の例示的な実施形態では、外側シールがねじりばね316の形態の付勢部材316を含み、ねじりばね316は、可撓性シール要素302の中間部分304を剛性フレーム310に接続し、第1段のノズル500および後方フレーム100に対して可撓性シール要素302の中間部分304を機械的に負荷する。
【0033】
上述のように、
図10に示す例示的な実施形態では、側部シール400は、延長部404が拘束されず、外側シール300に対して圧力負荷することができるように、後方フレーム100を超えて半径方向外方に延在する延長部404を含む。
【0034】
図4~
図10に示す様々な実施形態を通して、剛性フレーム210または310は、その任意の下位部品(例えば、屈曲部214または延長部311)を含み、対応する内側部分102または外側部分104と円周方向に同一の広がりを有することができる(内側部分102および外側部分104の円周方向の広がりは、例えば
図3に見ることができる)。あるいは、剛性フレーム210または310はセグメント化されてもよく、例えば、可撓性シール要素202、302は対応する内側部分102および外側部分104とほぼ円周方向に同一の広がりを有しているが、剛性フレーム210または310は、内側シール200および外側シール300の円周方向の広がりに沿って不連続性を有することができ、様々なシール200、300、および/または400に対して圧縮空気26の流れを増加させることができる。
【0035】
本明細書は、本発明を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者も本発明を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到する他の例を含むことができる。例えば、内側シールに関連する上述の例示的な説明は、内側シールだけでなく、またはその代わりに、1つまたは複数の外側シールで実施することもできるが、外側シールに関する上述の他の例示的な説明も、代わりにまたは同様に1つまたは複数の内側シールで実施することができる。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を含む場合、あるいは特許請求の範囲の文言との実質的な相違がない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0036】
10 ガスタービン
12 吸気部
14 圧縮機
16 燃焼器
18 タービン
20 排気部
22 シャフト
24 空気
26 圧縮空気/加圧空気
28 燃料
30 燃焼ガス
32 移行ダクト
34 高圧プレナム
36 外側ケーシング
100 後方フレーム
102 内側部分
104 外側部分
106 側方部分
108 側方部分
110 ノッチ
120 内側角部
122 内側角部
130 外側角部
132 外側角部
200 内側シール
202 可撓性シール要素
204 中間部分
206 第1の外側部分
208 第2の外側部分
210 剛性フレーム
212 Dシール
214 屈曲部
300 外側シール
302 可撓性シール要素
304 中間部分
306 第1の外側部分
308 第2の外側部分
310 剛性フレーム
311 剛性フレーム延長部
312 Dシール
314 締結具
316 付勢部材/板ばね/コイルばね/ねじりばね
320 ピボット接合部/ソケット
322 ピボット接合部/ボール
400 側部シール
402 延長部(内側)
404 延長部(外側)
500 第1段ノズル
A 中心軸
P 流路