(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】制御システム
(51)【国際特許分類】
B62J 27/00 20200101AFI20221212BHJP
B62J 45/40 20200101ALI20221212BHJP
B62K 17/00 20060101ALI20221212BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20221212BHJP
【FI】
B62J27/00
B62J45/40
B62K17/00
B62M6/45
(21)【出願番号】P 2017223847
(22)【出願日】2017-11-21
【審査請求日】2019-11-13
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中倉 正裕
(72)【発明者】
【氏名】腰山 和喜
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】謝花 聡
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅章
(72)【発明者】
【氏名】中島 康博
(72)【発明者】
【氏名】西野 高史
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 信吾
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】筑波 茂樹
【審判官】藤井 昇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0339990(US,A1)
【文献】特開2016-68606(JP,A)
【文献】特開2005-4410(JP,A)
【文献】特開2000-95169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 3/00
B62J 27/00
B62J 45/40
B62J 50/00
B62K 17/00
B62M 6/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を検出する検出装置と、
人力駆動車の周辺環境に関する環境情報に基づいて、報知装置を制御する制御装置と、を備え、
前記環境情報は、路面の
上り坂または下り坂に関する情
報を含み、
前記報知装置は、サイクルコンピュータ、アイウェア、スマートフォン、および、スマートウォッチのうちの少なくとも1つを含み、
前記制御装置は、前記検出装置の検出結果から前記環境情報を取得し、取得した前記環境情報に基づいて、前記人力駆動車が
上り坂または下り坂に近づいている場合、前記報知装置を制御し、
前記検出装置は、前記人力駆動車のフレームの操舵装置を支持する支持部分に設けられる、制御システム。
【請求項2】
可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を検出する検出装置と、
人力駆動車の周辺環境に関する環境情報に基づいて、報知装置を制御する制御装置と、を備え、
前記環境情報は
、路面
にあるグレーチングに関する情
報を含み、
前記報知装置は、サイクルコンピュータ、アイウェア、スマートフォン、および、スマートウォッチのうちの少なくとも1つを含み、
前記制御装置は、前記検出装置の検出結果から前記環境情報を取得し、取得した前記環境情報に基づいて、前記人力駆動車が前記
グレーチングに近づいている場合、前記報知装置を制御し、
前記検出装置は、前記人力駆動車のフレームの操舵装置を支持する支持部分に設けられる、制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、振動、音、および、可視光線のうちの少なくとも1つを出力するよう、前記報知装置を制御する、
請求項1または2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記報知装置は、ランプ、スピーカ、および、駆動音を発生させる電気的な要素の動力源のうちの少なくとも1つをさらに含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記検出装置は、ハウジングを含み、
前記制御装置は、前記ハウジングに設けられる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記検出装置とは別に設けられる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項7】
前記検出装置は、紫外線、赤外線、サブミリ波、および、ミリ波のうちの少なくとも1つを含む電磁波を検出する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記検出装置は、可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を出力し、反響した前記電磁波を検出する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記検出装置は、紫外線、赤外線、サブミリ波、および、ミリ波のうちの少なくとも1つを含む電磁波を出力し、反響した前記電磁波を検出する、
請求項8に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車に搭載される制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に搭載される操作装置の操作に基づいて、人力駆動車を構成する各種の要素を制御する制御装置が知られている。従来の制御装置では、例えば人力駆動車に搭乗する搭乗者が人力駆動車の周辺環境等に応じて操作装置を操作することによって、人力駆動車を構成する各種の要素が制御される。人力駆動車の周辺環境は、搭乗者の目視等により把握される。特許文献1は、従来の制御装置の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人力駆動車に搭乗する搭乗者が快適に走行できることが望ましい。
本発明の目的は、搭乗者が快適に走行することに貢献できる制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車の周辺環境に関する環境情報に基づいて、報知装置を制御する。
報知装置から出力される情報によって環境情報を把握できるため、人力駆動車に搭乗する搭乗者が快適かつ安心して走行できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制御装置において、振動、音、および、可視光線のうちの少なくとも1つを出力するよう、前記報知装置を制御する。
このため、搭乗者が報知装置から出力される情報を容易に把握できる。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の制御装置において、前記環境情報は、路面の傾斜に関する情報、路面の摩擦に関する情報、路面の凹凸に関する情報、障害物に関する情報、道路標識に関する情報、道路標示に関する情報、および、他の移動体に関する情報のうちの少なくとも1つを含む。
このため、搭乗者が報知装置から出力される多様な情報を把握できる。
【0008】
前記第1~第3側面のいずれか1つに従う第4側面の制御装置において、前記環境情報と、前記人力駆動車の現在位置に関する情報および道路交通情報の少なくとも一方とに基づいて、前記報知装置を制御する。
報知装置から詳細な情報が出力されるため、搭乗者が快適かつ安心して走行できる。
【0009】
前記第1~第4側面のいずれか1つに従う第5側面の制御装置において、前記報知装置は、サイクルコンピュータ、アイウェア、スマートフォン、スマートウォッチ、ランプ、スピーカ、および、駆動音を発生させる電気的な要素の動力源のうちの少なくとも1つを含む。
このため、搭乗者が報知装置から出力される情報を容易に把握できる。
【0010】
本発明の第6側面に従う制御システムは、可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を検出する検出装置と、前記制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記検出装置の検出結果から前記環境情報を取得し、取得した前記環境情報に基づいて、前記報知装置を制御する。
報知装置から出力される情報によって環境情報を把握できるため、人力駆動車に搭乗する搭乗者が快適かつ安心して走行できる。
【0011】
本発明の第7側面に従う制御システムは、人力駆動車に設けられる検出装置と、前記検出装置の検出結果から前記人力駆動車の周辺環境に関する環境情報を取得し、取得した前記環境情報に基づいて、前記人力駆動車のコンポーネントを制御する制御装置と、を備え、前記コンポーネントは、変速装置、前記人力駆動車の走行を補助する走行補助装置、アジャスタブルシートポスト、制動装置、ランプ、および、発電装置から選択される。
環境情報に応じて人力駆動車のコンポーネントが制御されるため、搭乗者が快適に走行できる。
【0012】
前記第7側面に従う第8側面の制御システムにおいて、前記検出装置は、前記人力駆動車に取り付けられる取付部を含む。
このため、検出装置を取付部によって人力駆動車に好適に取り付けることができる。
【0013】
前記第8側面に従う第9側面の制御システムにおいて、前記検出装置は、前記取付部によって前記人力駆動車のフレームに取り付けられる。
人力駆動車の操舵装置のステアリングワークの影響を受けにくいフレームに検出装置が取り付けられるため、検出装置による検出精度が向上する。
【0014】
前記第9側面に従う第10側面の制御システムにおいて、前記フレームは、操舵装置を支持する支持部分を含み、前記検出装置は、前記取付部によって前記フレームの前記支持部分に取り付けられる。
このため、検出装置による検出精度が向上する。また、制御装置は、検出装置の検出結果から人力駆動車の前方の環境情報を取得できる。
【0015】
前記第8側面に従う第11側面の制御システムにおいて、前記検出装置は、前記取付部によって、前記人力駆動車の操舵装置およびフロントフォークの少なくとも一方に取り付けられる。
このため、制御装置は、検出装置の検出結果から人力駆動車の前方の環境情報を取得できる。
【0016】
本発明の第12側面に従う制御システムは、人力駆動車のフレームに設けられる検出装置と、前記検出装置の検出結果から前記人力駆動車の周辺環境に関する環境情報を取得し、取得した前記環境情報に基づいて、前記人力駆動車のコンポーネントを制御する制御装置と、を備える。
環境情報に応じて人力駆動車のコンポーネントが制御されるため、搭乗者が快適に走行できる。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の制御システムにおいて、前記コンポーネントは、変速装置、前記人力駆動車の走行を補助する走行補助装置、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、制動装置、ランプ、および、発電装置のうちの少なくとも1つを含む。
人力駆動車の多様なコンポーネントが制御されるため、搭乗者が快適に走行できる。
【0018】
前記第7~第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御システムにおいて、前記環境情報は、路面の傾斜に関する情報、路面の摩擦に関する情報、路面の凹凸に関する情報、障害物に関する情報、道路標識に関する情報、道路標示に関する情報、および、他の移動体に関する情報のうちの少なくとも1つを含む。
このため、制御装置が人力駆動車のコンポーネントを好適に制御できる。
【0019】
前記第7~第14側面のいずれか1つに従う第15側面の制御システムにおいて、前記制御装置は、前記環境情報と、前記人力駆動車の現在位置に関する情報および道路交通情報の少なくとも一方とに基づいて、前記コンポーネントを制御する。
詳細な情報に基づいて人力駆動車のコンポーネントが制御されるため、搭乗者が快適に走行できる。
【0020】
前記第6~第15側面のいずれか1つに従う第16側面の制御システムにおいて、前記検出装置は、ハウジングを含み、前記制御装置は、前記ハウジングに設けられる。
このため、制御装置を外部から保護できる。
【0021】
前記第6~第15側面のいずれか1つに従う第17側面の制御システムにおいて、前記制御装置は、前記検出装置とは別に設けられる。
このため、制御装置の配置に関する自由度が向上する。
【0022】
前記第6~第17側面のいずれか1つに従う第18側面の制御システムにおいて、前記検出装置は、紫外線、赤外線、サブミリ波、および、ミリ波のうちの少なくとも1つを含む電磁波を検出する。
このため、検出装置による検出精度が向上する。
【0023】
前記第6~第18側面のいずれか1つに従う第19側面の制御システムにおいて、前記検出装置は、可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を出力し、反響した前記電磁波を検出する。
検出装置が電磁波を出力する機能を含むため、制御システムの部品点数を削減できる。
【0024】
前記第19側面に従う第20側面の制御システムにおいて、前記検出装置は、紫外線、赤外線、サブミリ波、および、ミリ波のうちの少なくとも1つを含む電磁波を出力し、反響した前記電磁波を検出する。
このため、検出装置による検出精度が向上する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の制御システムによれば、搭乗者が快適に走行することに貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態の制御システムを含む人力駆動車の側面図。
【
図2】
図1の制御システムと各種の要素との接続関係を示すブロック図。
【
図3】変形例の制御システムと各種の要素との接続関係を示すブロック図。
【
図4】変形例の制御システムを含む人力駆動車の側面図。
【
図5】変形例の制御システムを含む人力駆動車の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施形態)
図1を参照して、制御システム50を含む人力駆動車10について説明する。
図1は、制御システム50を含む人力駆動車10の側面図を示す。ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車10は、自転車を含む。具体的には、人力駆動車10は、シティサイクルである。人力駆動車10は、フレーム12、フロントフォーク14、前輪WF、後輪WR、操舵装置16、および、ドライブトレインDTをさらに含む。
【0028】
ドライブトレインDTは、クランクアセンブリCW、フロントスプロケットFS、リアスプロケットRS、および、チェーンCNを含む。クランクアセンブリCWは、一対のクランクアームCAおよび一対のペダルPDを含む。一対のペダルPDは、一対のクランクアームCAのそれぞれの先端に回転可能に取り付けられる。
【0029】
フロントスプロケットFSは、クランクアセンブリCWに設けられる。リアスプロケットRSは、後輪WRのハブHAに設けられる。一例では、チェーンCNは、フロントスプロケットFSおよびリアスプロケットRSに巻き掛けられる。人力駆動車10に搭乗する搭乗者によってペダルPDに加えられる駆動力は、フロントスプロケットFS、チェーンCN、および、リアスプロケットRSを介して後輪WRに伝達される。
【0030】
人力駆動車10は、コンポーネント20をさらに含む。コンポーネント20は、変速装置22、人力駆動車10の走行を補助する走行補助装置24、サスペンション26、アジャスタブルシートポスト28、制動装置30、および、発電装置32(
図2参照)のうちの少なくとも1つを含む。各種のコンポーネント20は、人力駆動車10に搭載されるバッテリ34、または、専用の電源(図示略)から供給される電力によって駆動される。一例では、バッテリ34は、フレーム12の外表面に設けられる。バッテリ34は、少なくとも一部がフレーム12の内部空間に配置されてもよい。
【0031】
変速装置22は、例えばリアディレーラ22Aを含む。リアディレーラ22Aは、フレーム12のリアエンド12Aに設けられる。変速装置22は、フロントディレーラ(図示略)を含んでいてもよい。変速装置22は、リアディレーラ22Aに設けられるダンパ(図示略)の緩衝力を調節可能なダンパ調節装置DA(
図2参照)をさらに含む。走行補助装置24は、人力駆動車10の推進力がアシストされるように動作する。サスペンション26は、例えばフロントサスペンション26Aを含む。フロントサスペンション26Aは、前輪WFが地面から受ける衝撃が緩和されるように動作する。サスペンション26は、後輪WRが地面から受ける衝撃が緩和されるように動作するリアサスペンション(図示略)を含んでいてもよい。アジャスタブルシートポスト28は、フレーム12に対するサドルSDの高さが変更されるように動作する。制動装置30は、人力駆動車10の回転体RBを制動するディスクブレーキ装置である。回転体RBは、ディスクブレーキロータである。制動装置30は、前輪WFおよび後輪WRのそれぞれに設けられる。制動装置30は、操舵装置16に取り付けられた制動操作装置BLに入力される操作に応じて回転体RBを制動する。発電装置32は、ハブダイナモ、ブロックダイナモ、アシスト回生機構、および、振動発電素子のうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
コンポーネント20は、空気圧調節装置APおよび操舵補助装置PSのうちの少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。空気圧調節装置APは、例えば前輪WFのバルブVF、および、後輪WRのバルブVRのそれぞれに対応して設けられる。一方の空気圧調節装置APは、前輪WFの空気圧を調節する。他方の空気圧調節装置APは、後輪WRの空気圧を調節する。操舵補助装置PSは、例えば操舵装置16付近に設けられる。操舵補助装置PSは、操舵装置16のステアリングワークを補助する。
【0033】
人力駆動車10は、報知装置36をさらに含む。報知装置36は、サイクルコンピュータ38、アイウェア40、スマートフォン42、スマートウォッチ44、ランプLP、スピーカ46、および、駆動音を発生させる電気的な要素の動力源48のうちの少なくとも1つを含む(
図2参照)。各種の報知装置36は、バッテリ34または専用の電源から供給される電力によって駆動される。サイクルコンピュータ38は、例えば操舵装置16に設けられる。動力源48は、各種のコンポーネント20に含まれる動力源である。本実施形態では、動力源48は、変速装置22に含まれる動力源である。動力源48は、電気モータ(図示略)を含む。一例では、動力源48が、変速が発生しないように駆動することによって駆動音を発生させる。
【0034】
制御システム50は、可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を検出する検出装置52と、制御装置58と、を備える。可視光線の定義は、ISO(International Organization for Standardization)規格に準拠する。制御システム50は、バッテリ34または専用の電源から供給される電力によって駆動される。検出装置52は、人力駆動車10に設けられる。一例では、検出装置52は、人力駆動車10のフレーム12に設けられる。検出装置52は、人力駆動車10に取り付けられる取付部54を含む。本実施形態では、検出装置52は、取付部54によって人力駆動車10のフレーム12に取り付けられる。
【0035】
フレーム12は、操舵装置16を支持する支持部分18を含む。支持部分18は、フレーム12のヘッドチューブ12Bを含む。検出装置52は、人力駆動車10の前方に設けられることが好ましい。検出装置52は、操舵装置16のステアリングワークの影響を受けにくい部分に設けられることが好ましい。本実施形態では、検出装置52は、取付部54によってフレーム12の支持部分18に取り付けられる。
【0036】
検出装置52は、可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を出力し、反響した電磁波を検出する。一例では、検出装置52は、紫外線、赤外線、サブミリ波、および、ミリ波のうちの少なくとも1つを含む電磁波を検出する。本実施形態では、検出装置52は、紫外線、赤外線、サブミリ波、および、ミリ波のうちの少なくとも1つを含む電磁波を出力し、反響した電磁波を検出する。
【0037】
検出装置52は、LiDAR(Light Detection And Ranging)に関する構成を含む。具体的には、検出装置52は、出力部52Aおよび検出部52Bをさらに含む。出力部52Aは、例えば人力駆動車10の周辺に電磁波を出力する。人力駆動車10の周辺は、人力駆動車10の前方、側方、および、後方のうちの少なくとも1つを含む。本実施形態では、出力部52Aは、人力駆動車10の前方および側方に電磁波を出力する。検出部52Bは、出力部52Aから出力された電磁波を検出する。具体的には、検出部52Bは、出力部52Aから電磁波が出力され、人力駆動車10の周辺に存在する物体等によって反響した電磁波を検出する。検出装置52は、ハウジング56をさらに含む。出力部52Aおよび検出部52Bは、ハウジング56内に収容される。ハウジング56は、電磁波を透過する材料により構成されることが好ましい。制御装置58は、ハウジング56に設けられる。本実施形態では、制御装置58は、ハウジング56内に収容される。
【0038】
図2は、制御システム50と人力駆動車10を構成する各種の要素との接続関係を示す。制御装置58は、人力駆動車10の周辺環境に関する環境情報に基づいて、報知装置36を制御する。具体的には、制御装置58は、検出装置52の検出結果から環境情報を取得し、取得した環境情報に基づいて、報知装置36を制御する。制御装置58は、搭乗者が感知できる情報を出力するよう、報知装置36を制御する。一例では、制御装置58は、振動、音、および、可視光線のうちの少なくとも1つを出力するよう、報知装置36を制御する。制御装置58は、振動、音、可視光線、匂い、および、風のうちの少なくとも1つを出力するよう、報知装置36を制御してもよい。
【0039】
サイクルコンピュータ38は、例えば音および画像の少なくとも一方を出力する。アイウェア40は、例えば画像を出力する。スマートフォン42は、例えば振動、音、可視光線、および、画像のうちの少なくとも1つを出力する。スマートウォッチ44は、例えば振動、音、可視光線、および、画像のうちの少なくとも1つを出力する。ランプLPは、例えば可視光線を出力する。スピーカ46は、例えば音を出力する。動力源48は、例えば音を出力する。報知装置36は、匂いおよび風の少なくとも一方を出力する装置をさらに含んでいてもよい。
【0040】
環境情報は、路面の傾斜に関する情報、路面の摩擦に関する情報、路面の凹凸に関する情報、障害物に関する情報、道路標識に関する情報、道路標示に関する情報、および、他の移動体に関する情報のうちの少なくとも1つを含む。道路標示は、道路鋲、路面に描かれたペイント、および、石等による区画線を含む。
【0041】
制御装置58は、環境情報と、人力駆動車10の現在位置に関する情報および道路交通情報の少なくとも一方とに基づいて、報知装置36を制御する。人力駆動車10の現在位置に関する情報は、例えば環境情報に基づいて推定される。道路交通情報は、外部から取得される。一例では、制御システム50は、道路交通情報を外部から取得する。
【0042】
制御装置58は、例えば環境情報に基づいて次のように報知装置36を制御する。制御装置58は、路面の傾斜に関する情報を取得した場合、路面の傾斜に関する情報を報知装置36に出力させる。一例では、制御装置58は、人力駆動車10が上り坂または下り坂に近づいている場合、人力駆動車10が上り坂または下り坂に近づいていることを示す情報を報知装置36に出力させる。制御装置58は、路面の勾配に関する情報を報知装置36に出力させてもよい。
【0043】
制御装置58は、路面の摩擦に関する情報を取得した場合、路面の摩擦に関する情報を報知装置36に出力させる。一例では、制御装置58は、人力駆動車10が路面の摩擦係数が小さい道に近づいている場合、人力駆動車10が路面の摩擦係数が小さい道に近づいていることを示す情報を報知装置36に出力させる。また、制御装置58は、路面の摩擦係数に応じてグレーチングが存在すると推定した場合、グレーチングが存在することを示す情報を報知装置36に出力させる。
【0044】
制御装置58は、路面の凹凸に関する情報を取得した場合、路面の凹凸に関する情報を報知装置36に出力させる。一例では、制御装置58は、人力駆動車10が路面の凹凸が大きい道に近づいている場合、人力駆動車10が路面の凹凸が大きい道に近づいていることを示す情報を報知装置36に出力させる。
【0045】
制御装置58は、障害物に関する情報を取得した場合、障害物に関する情報を報知装置36に出力させる。障害物は、ガードレール、縁石、および、木の枝等を含む。一例では、制御装置58は、人力駆動車10が障害物に近づいている場合、人力駆動車10が障害物に近づいていることを示す情報を報知装置36に出力させる。
【0046】
制御装置58は、道路標識に関する情報を取得した場合、道路標識に関する情報を報知装置36に出力させる。このため、搭乗者が道路標識を遵守して走行できる。制御装置58は、道路標示に関する情報を取得した場合、道路標示に関する情報を報知装置36に出力させる。道路標示に関する情報は、自動車専用道路に関する情報、および、自転車専用道路に関する情報等を含む。このため、搭乗者が道路標示を遵守して走行できる。
【0047】
制御装置58は、他の移動体に関する情報を取得した場合、他の移動体に関する情報を報知装置36に出力させる。一例では、制御装置58は、人力駆動車10と他の移動体との距離が近づいている場合、人力駆動車10と他の移動体との距離が近づいていることを示す情報を報知装置36に出力させる。このため、交差点等の視野が狭くなる状況下においても、人力駆動車10と他の移動体とが衝突しにくくなる。制御装置58は、他の移動体に関する情報を取得した場合、他の移動体に向けて発光するようにランプLPを制御してもよく、他の移動体に向けて音を出力するようにスピーカ46を制御してもよい。また、制御装置58は、人力駆動車10の左側を通過する他の移動体との走行速度の差が大きい場合、人力駆動車10が道路の右側を走行していると推定し、道路の左側を走行することを促す情報を報知装置36に出力させる。また、制御装置58は、人力駆動車10が停止している場合に他の移動体に関する情報を取得した場合、他の移動体に向けて発光するようにランプLPを制御する。
【0048】
制御装置58は、環境情報および道路交通情報に基づいて、人力駆動車10の周辺の道路交通情報を報知装置36に出力させる。一例では、制御装置58は、道路交通情報として過去に交通事故が発生した場所に関する情報を取得した場合、人力駆動車10の現在位置と過去に交通事故が発生した場所との位置関係を示す情報を報知装置36に出力させる。制御装置58は、人力駆動車10が過去に交通事故が発生した場所に近づいている場合、人力駆動車10が過去に交通事故が発生した場所に近づいていることを示す情報を報知装置36に出力させてもよい。
【0049】
制御装置58は、検出装置52の検出結果から環境情報を取得し、取得した環境情報に基づいて、人力駆動車10のコンポーネント20を制御する。制御装置58は、環境情報と、人力駆動車10の現在位置に関する情報および道路交通情報の少なくとも一方とに基づいて、コンポーネント20を制御する。
【0050】
制御装置58は、例えば環境情報に基づいて次のようにコンポーネント20を制御する。制御装置58は、路面の傾斜に関する情報として上り坂に関する情報を取得した場合、人力駆動車10の変速比を下げるように変速装置22を制御する。また、制御装置58は、人力駆動車10が交差点に進入する場合において、他の移動体に関する情報に基づいて他の移動体が人力駆動車10の進行方向を横切ると推定した場合、人力駆動車10の変速比を下げるように変速装置22を制御する。このため、人力駆動車10と他の移動体とが衝突しにくくなる。また、制御装置58は、路面の凹凸に関する情報を取得した場合、変速装置22に設けられるダンパの緩衝力が作用するようにダンパ調節装置DAを制御する。なお、制御装置58は、人力駆動車10の走行速度およびクランクアームCAの回転速度等に応じて変速装置22を自動的に制御する自動変速モードを実行している場合、路面の傾斜に関する情報として上り坂に関する情報を取得したことに基づいて、自動変速モードにおいて一時的に変速比を上げないように変速装置22を制御してもよい。
【0051】
制御装置58は、路面の傾斜に関する情報として上り坂に関する情報を取得した場合、人力駆動車10のアシスト比を上げるように走行補助装置24を制御する。また、制御装置58は、人力駆動車10が交差点に進入する場合において、他の移動体に関する情報に基づいて他の移動体が人力駆動車10の進行方向を横切ると推定した場合、走行補助装置24に含まれる電気モータ24A(
図1参照)が回生するように走行補助装置24を制御する。このため、人力駆動車10と他の移動体とが衝突しにくくなる。この例では、電気モータ24Aは、発電装置32のアシスト回生機構を構成する。
【0052】
制御装置58は、路面の凹凸に関する情報を取得した場合、路面の凹凸の大きさに応じてサスペンション26の固さを制御する。具体的には、制御装置58は、サスペンション26の減衰力および反発力の少なくとも一方を変更する。一例では、制御装置58は、路面が平坦である場合にサスペンション26の固さが固くなるようにサスペンション26を制御し、路面が凹凸である場合にサスペンション26の固さが柔らかくなるようにサスペンション26を制御する。また、制御装置58は、路面の傾斜に関する情報を取得した場合、路面の傾斜に応じてサスペンション26のトラベル量を制御する。一例では、制御装置58は、リアサスペンションが搭載された人力駆動車10において、上り坂に関する情報を取得した場合、リアサスペンションのトラベル量が大きくなるように、かつ、フロントサスペンション26Aのトラベル量が小さくなるようにサスペンション26を制御する。また、制御装置58は、下り坂に関する情報を取得した場合、フロントサスペンション26Aのトラベル量が大きくなるように、かつ、リアサスペンションのトラベル量が小さくなるようにサスペンション26を制御する。
【0053】
制御装置58は、路面の傾斜に関する情報を取得した場合、路面の傾斜に応じてアジャスタブルシートポスト28を制御する。一例では、制御装置58は、上り坂に関する情報を取得した場合にサドルSDの高さが高くなるようにアジャスタブルシートポスト28を制御し、下り坂に関する情報を取得した場合にサドルSDの高さが低くなるようにアジャスタブルシートポスト28を制御する。
【0054】
制御装置58は、路面の傾斜に関する情報に基づいて、人力駆動車10が上り坂で停止していると推定した場合、回転体RBを制動するように制動装置30を制御する。このため、人力駆動車10が上り坂で後退することを抑制することができる。また、制御装置58は、路面の摩擦に関する情報を取得した場合、路面の摩擦係数および制動操作装置BLに入力される操作に応じて制動装置30を制御する。また、制御装置58は、障害物に関する情報を取得した場合、制動操作装置BLに入力される操作に応じて、通常よりも強く回転体RBを制動したり、間欠的に回転体RBを制動したりするように制動装置30を制御する。また、制御装置58は、人力駆動車10が交差点に進入する場合において、他の移動体に関する情報に基づいて他の移動体が人力駆動車10の進行方向を横切ると推定した場合、制動操作装置BLに入力される操作に応じて、通常よりも強く回転体RBを制動したり、間欠的に回転体RBを制動したりするように制動装置30を制御する。このため、人力駆動車10と他の移動体とが衝突しにくくなる。
【0055】
制御装置58は、人力駆動車10が交差点に進入する場合において、他の移動体に関する情報に基づいて他の移動体が人力駆動車10の進行方向を横切ると推定した場合、他の移動体に向けて発光するようにランプLPを制御することで、人力駆動車10の存在を他の移動体に知らせる。このため、人力駆動車10と他の移動体とが衝突しにくくなる。制御装置58は、路面の傾斜に関する情報として下り坂に関する情報を取得した場合、または、路面の凹凸に関する情報を取得した場合、発電装置32が駆動するように発電装置32を制御する。
【0056】
制御装置58は、路面の摩擦に関する情報を取得した場合、路面の摩擦係数に応じて空気圧調節装置APを制御する。一例では、制御装置58は、路面が濡れている場合に前輪WFおよび後輪WRの空気圧が低下するように空気圧調節装置APを制御し、路面が乾いている場合に前輪WFおよび後輪WRの空気圧が上昇するように空気圧調節装置APを制御する。
【0057】
制御装置58は、障害物に関する情報を取得した場合、障害物を避けるように操舵補助装置PSを制御する。また、制御装置58は、路面の凹凸に関する情報を取得した場合、操舵装置16のステアリングワークが安定するように操舵補助装置PSを制御する。
【0058】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は、本発明に従う制御装置および制御システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う制御装置および制御システムは、例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0059】
・制御装置58の配置は、任意に変更可能である。一例では、
図3に示されるように、制御装置58は、検出装置52とは別に設けられる。この例によれば、制御装置58は、例えば走行補助装置24のハウジング内に収容されてもよい。
【0060】
・制御装置58の機能は、任意に変更可能である。第1例では、制御装置58は、環境情報に基づいて報知装置36だけを制御する。第1例によれば、検出装置52の出力部52Aが省略され、検出部52Bは、可視光線を検出してもよい。また、第1例によれば、検出装置52は、30GHz未満の電磁波を検出してもよい。第2例では、制御装置58は、環境情報に基づいてコンポーネント20だけを制御する。第2例によれば、検出装置52は、30GHz未満の電磁波を検出してもよい。
【0061】
・検出装置52の構成は、任意に変更可能である。一例では、出力部52Aは、検出装置52とは別に設けられる。この例によれば、出力部52Aが可視光線を除く周波数が30GHz以上の電磁波を出力し、検出装置52が反響した電磁波を検出する。
【0062】
・コンポーネント20の種類は、任意に変更可能である。一例では、コンポーネント20は、変速装置22、人力駆動車10の走行を補助する走行補助装置24、アジャスタブルシートポスト28、制動装置30、ランプLP、および、発電装置32から選択される。この変形例によれば、検出装置52の配置は、任意に変更可能である。第1例では、
図1に示されるように、検出装置52は、取付部54によって人力駆動車10のフレーム12に取り付けられる。第2例では、検出装置52は、取付部54によって、人力駆動車10の操舵装置16およびフロントフォーク14の少なくとも一方に取り付けられる。具体的には、検出装置52は、
図4に示されるように取付部54によって操舵装置16に取り付けられてもよく、
図5に示されるように取付部54によってフロントフォーク14に取り付けられてもよい。また、検出装置52は、取付部54によって操舵装置16およびフロントフォーク14のそれぞれに取り付けられてもよい。第3例では、検出装置52は、人力駆動車10のキャリア(図示略)に設けられる。第3例によれば、出力部52Aは、人力駆動車10の後方および側方に電磁波を出力することが好ましい。制御装置58は、人力駆動車10の後方を移動する他の移動体に関する情報を取得した場合、他の移動体に関する情報を報知装置36に出力させる。さらに、検出装置52の数は、任意に変更可能である。一例では、検出装置52の数は2以上である。検出装置52は、例えばフロントフォーク14、操舵装置16、支持部分18、および、キャリアのうちの少なくとも2つに設けられる。
【0063】
・人力駆動車10は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車10は、ロードバイク、マウンテンバイク、トレッキングバイク、クロスバイク、カーゴバイク、または、リカンベントである。第2例では、人力駆動車10は、キックスケータである。
【符号の説明】
【0064】
10…人力駆動車、12…フレーム、14…フロントフォーク、16…操舵装置、18…支持部分、20…コンポーネント、22…変速装置、24…走行補助装置、26…サスペンション、28…アジャスタブルシートポスト、30…制動装置、32…発電装置、36…報知装置、38…サイクルコンピュータ、40…アイウェア、42…スマートフォン、44…スマートウォッチ、46…スピーカ、48…動力源、50…制御システム、52…検出装置、54…取付部、56…ハウジング、58…制御装置、LP…ランプ。