(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】撮像装置、アクセサリ装置およびそれらの制御方法
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20221212BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221212BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20221212BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20221212BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20221212BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221212BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G03B17/14
G03B17/02
G03B5/00 J
G03B17/56 Z
G02B7/08 C
G03B15/00 F
H04N5/232 030
H04N5/232 411
(21)【出願番号】P 2018121914
(22)【出願日】2018-06-27
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 和道
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-141573(JP,A)
【文献】特開平07-234432(JP,A)
【文献】特開2013-178326(JP,A)
【文献】特開2012-037692(JP,A)
【文献】特開2013-024900(JP,A)
【文献】特開2018-045047(JP,A)
【文献】特開2013-162415(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0130984(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G03B 17/02
G03B 5/00
G03B 17/56
G02B 7/08
G03B 15/00
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作部材を有するアクセサリ装置が着脱可能に装着される撮像装置であって、
前記アクセサリ装置との間に通信経路を設けるカメラ通信部と、
前記カメラ通信部を介して前記アクセサリ装置と通信が可能であり、通常動作状態において前記アクセサリ装置および前記撮像装置に対する操作がなされないことに応じて前記アクセサリ装置とともにスリープ状態に移行するカメラ制御部とを有し、
前記カメラ制御部は、
前記アクセサリ装置から前記複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を受信し、
前記情報に基づいて前記複数の操作部材のそれぞれの機能が前記撮像装置に対して有効か無効かを判定し、前記複数の操作部材のうち前記機能が有効と判定した操作部材を特定操作部材として前記アクセサリ装置に対して指定し、
前記スリープ状態において前記アクセサリ装置から前記特定操作部材の操作に応じた通信を受けることにより前記スリープ状態から前記通常動作状態に復帰することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像装置は、撮像に関する設定の変更が可能であり、
前記カメラ制御部は、前記設定ごとに
前記機能が有効と判定した前記操作部材を前記特定操作部材として指定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記特定操作部材の操作に応じた通信は、前記撮像装置の前記スリープ状態を解除する要求または前記撮像装置との通信を行う要求であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像装置に、前記アクセサリ装置としての中間アダプタが装着され、該中間アダプタを介して前記アクセサリ装置としての交換レンズが装着されている場合に、
前記カメラ制御部は、前記交換レンズと前記中間アダプタとに、前記カメラ通信部により設けられた互いに異なる通信経路を用いて通信することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記カメラ制御部は、前記スリープ状態において、前記アクセサリ装置から、前記特定操作部材の操作に応じた通信を受け、前記複数の操作部材のうち前記特定操作部材以外の操作部材の操作に応じた通信を受けないことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
撮像装置に着脱可能に装着され、複数の操作部材を有するアクセサリ装置であって、
前記撮像装置との間に通信経路を設けるアクセサリ通信部と、
前記アクセサリ通信部を介して前記撮像装置と通信が可能であり、通常動作状態において、前記撮像装置からのスリープ命令を受けることに応じて、スリープ状態に移行するアクセサリ制御部とを有し、
前記アクセサリ制御部は、
前記複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を前記撮像装置に送信し、
前記情報に基づいて前記複数の操作部材のそれぞれの機能が前記撮像装置に対して有効か無効かを判定した前記撮像装置から前記複数の操作部材のうち前記機能が有効と判定された操作部材に対する特定操作部材の指定を受け、
前記スリープ状態において、前記特定操作部材の操作を検出することにより、スリープ状態にある前記撮像装置に対して該撮像装置を前記通常動作状態に復帰させるための通信を行うことを特徴とするアクセサリ装置。
【請求項7】
前記特定操作部材の操作に応じた通信は、前記撮像装置の前記スリープ状態を解除する要求または前記撮像装置との通信を行う要求であることを特徴とする請求項6に記載のアクセサリ装置。
【請求項8】
前記アクセサリ制御部は、前記スリープ状態において、前記複数の操作部材のうち前記特定操作部材以外の操作部材がなされた場合には、該撮像装置を前記通常動作状態に復帰させるための通信を行わないことを特徴とする請求項6または7に記載のアクセサリ装置。
【請求項9】
前記アクセサリ制御部は、前記スリープ状態において、前記複数の操作部材のうち前記特定操作部材以外の操作部材の操作を検出しないことを特徴とする請求項8に記載のアクセサリ装置。
【請求項10】
複数の操作部材を有するアクセサリ装置と、該アクセサリ装置が着脱可能に装着される撮像装置とを含む撮像システムであって、
前記撮像装置は、
前記アクセサリ装置との間に通信経路を設けるカメラ通信部と、
前記カメラ通信部を介して前記アクセサリ装置と通信が可能であり、通常動作状態において前記アクセサリ装置および前記撮像装置に対する操作がなされないことに応じて、スリープ状態に移行するとともに、前記アクセサリ装置にスリープ命令を送信するカメラ制御部とを有し、
前記アクセサリ装置は、
前記撮像装置との間に通信経路を設けるアクセサリ通信部と、
前記アクセサリ通信部を介して前記カメラ制御部と通信が可能であり、前記通常動作状態において、前記カメラ制御部から前記スリープ命令を受けることに応じてスリープ状態に移行するアクセサリ制御部とを有し、
前記アクセサリ制御部は、前記複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を前記カメラ制御部に送信し、
前記カメラ制御部は、
前記情報に基づいて前記複数の操作部材のそれぞれの機能が前記撮像装置に対して有効か無効かを判定し、前記複数の操作部材のうち前記機能が有効と判定した操作部材を特定操作部材として前記アクセサリ装置に対して指定し、
前記アクセサリ制御部は、前記スリープ状態において、前記特定操作部材の操作を検出することにより、前記スリープ状態にある前記撮像装置に対して通信を行い、
前記カメラ制御部は、前記スリープ状態において前記アクセサリ制御部から前記特定操作部材の操作に応じた前記通信を受けることにより前記スリープ状態から前記通常動作状態に復帰することを特徴とする撮像システム。
【請求項11】
複数の操作部材を有するアクセサリ装置が着脱可能および通信可能に装着される撮像装置の制御方法であって、
前記アクセサリ装置から前記複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を受信するステップと、
前記情報に基づいて前記複数の操作部材のそれぞれの機能が前記撮像装置に対して有効か無効かを判定し、前記複数の操作部材のうち前記機能が有効と判定した操作部材を特定操作部材として前記アクセサリ装置に対して指定するステップと、
通常動作状態において前記アクセサリ装置および前記撮像装置に対する操作がなされないことに応じて前記アクセサリ装置とともにスリープ状態に移行するステップと、
前記スリープ状態において前記アクセサリ装置から前記特定操作部材の操作に応じた通信を受けることにより前記スリープ状態から前記通常動作状態に復帰するステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項12】
撮像装置に着脱可能および通信可能に装着され、複数の操作部材を有するアクセサリ装置の制御方法であって、
前記複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を前記撮像装置に送信するステップと、
前記情報に基づいて前記複数の操作部材のそれぞれの機能が前記撮像装置に対して有効か無効かを判定した前記撮像装置から前記複数の操作部材のうち前記機能が有効と判定された操作部材に対する特定操作部材の指定を受けるステップと、
通常動作状態において前記撮像装置からのスリープ命令を受けることに応じて、スリープ状態に移行するステップと、
前記スリープ状態において、前記特定操作部材の操作を検出することにより、スリープ状態にある前記撮像装置に対して該撮像装置を前記通常動作状態に復帰させるための通信を行うステップとを有することを特徴とするアクセサリ装置の制御方法。
【請求項13】
アクセサリ装置が着脱可能に装着される撮像装置に、請求項11に記載の制御方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項14】
撮像装置に着脱可能に装着されるアクセサリ装置に、請求項12に記載の制御方法に従う処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に通信が可能な撮像装置(以下、カメラ本体という)と交換レンズや中間アダプタ等のアクセサリ装置(以下、単にアクセサリという)を含む撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような撮像システムには、焦点距離、焦点状態、絞り等の光学調整を行ったり、ISO感度を設定したり、オートフォーカスや防振等の機能の有効/無効を選択するために、回転操作リングやスライドスイッチ等の複数の操作部材が設けられる。また、撮像システムは、所定時間の間、何の操作も行われなかったときに、撮像システム全体の電源を自動的に省電力状態(スリープ状態)に移行させるオートパワーオフ機能を有する。撮像システムは、スリープ状態において何らかの操作を検出すると、スリープ状態から通常動作状態に復帰(つまりは起動)する。
【0003】
一方、特許文献1には、複数の操作部材(起動スイッチ)のいずれかがオン操作されたことを検出し、検出された操作部材に応じて起動する動作モードを決定するカメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オートパワーオフ機能を有する撮像システムにおいては、より省電力性能を高めるため又は各操作部材の機能によっては、必ずしも全ての操作部材のいずれかが操作されたことに応じてスリープ状態から起動する必要はない。特許文献1のカメラでは、操作された操作部材に応じてカメラ起動時の動作モードを選択できるが、起動するかしないかを選択できるわけではない。
【0006】
本発明は、スリーブ状態にある撮像装置やアクセサリ装置を通常動作状態に復帰させることができる操作部材を指定することができるようにした撮像装置、アクセサリ装置および撮像システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての撮像装置は、複数の操作部材を有するアクセサリ装置が着脱可能に装着される。該撮像装置は、アクセサリ装置との間に通信経路を設けるカメラ通信部と、カメラ通信部を介してアクセサリ装置と通信が可能であり、通常動作状態においてアクセサリ装置および撮像装置に対する操作がなされないことに応じてアクセサリ装置とともにスリープ状態に移行するカメラ制御部とを有する。カメラ制御部は、アクセサリ装置から複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を受信し、該情報に基づいて複数の操作部材のそれぞれの機能が撮像装置に対して有効か無効かを判定し、複数の操作部材のうち機能が有効と判定した操作部材を特定操作部材としてアクセサリ装置に対して指定し、スリープ状態においてアクセサリ装置から特定操作部材の操作に応じた通信を受けることによりスリープ状態から通常動作状態に復帰することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の一側面としてのアクセサリ装置は、撮像装置に着脱可能に装着され、複数の操作部材を有する。該アクセサリ装置は、撮像装置との間に通信経路を設けるアクセサリ通信部と、アクセサリ通信部を介して撮像装置と通信が可能であり、通常動作状態において、撮像装置からのスリープ命令を受けることに応じて、スリープ状態に移行するアクセサリ制御部とを有する。アクセサリ制御部は、複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を撮像装置に送信し、該情報に基づいて複数の操作部材のそれぞれの機能が撮像装置に対して有効か無効かを判定した撮像装置から複数の操作部材のうち機能が有効と判定された操作部材に対する特定操作部材の指定を受け、スリープ状態において、特定操作部材の操作を検出することにより、スリープ状態にある撮像装置に対して該撮像装置を通常動作状態に復帰させるための 通信を行うことを特徴とする。
【0009】
なお、上記撮像装置およびアクセサリ装置を含む撮像システムも、本発明の他の一側面を構成する。
【0010】
また、本発明の他の一側面としての制御方法は、複数の操作部材を有するアクセサリ装置が着脱可能および通信可能に装着される撮像装置に適用される。該制御方法は、アクセサリ装置から複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を受信するステップと、該情報に基づいて複数の操作部材のそれぞれの機能が撮像装置に対して有効か無効かを判定し、複数の操作部材のうち機能が有効と判定した操作部材を特定操作部材としてアクセサリ装置に対して指定するステップと、通常動作状態においてアクセサリ装置および撮像装置に対する操作がなされないことに応じてアクセサリ装置とともにスリープ状態に移行するステップと、スリープ状態においてアクセサリ装置から特定操作部材の操作に応じた通信を受けることによりスリープ状態から通常動作状態に復帰するステップとを有することを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明の他の一側面としての制御方法は、撮像装置に着脱可能および通信可能に装着され、複数の操作部材を有するアクセサリ装置に適用される。該制御方法は、複数の操作部材のそれぞれの機能を示す情報を撮像装置に送信するステップと、該情報に基づいて複数の操作部材のそれぞれの機能が撮像装置に対して有効か無効かを判定した撮像装置から複数の操作部材のうち機能が有効と判定された操作部材に対する特定操作部材の指定を受けるステップと、通常動作状態において撮像装置からのスリープ命令を受けることに応じて、スリープ状態に移行するステップと、スリープ状態において、特定操作部材の操作を検出することにより、スリープ状態にある撮像装置に対して該撮像装置を通常動作状態に復帰させるための通信を行うステップとを有することを特徴とする。
【0012】
なお、撮像装置およびアクセサリ装置に、上記制御方法に従う処理を実行させるコンピュータプログラムも、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、アクセサリ装置の複数の操作部材のうちその操作により撮像装置やアクセサリ装置をスリープ状態から通常動作状態に復帰させる特定操作部材として、撮像装置に対して有効な機能を有すると撮像装置が判定した操作部材が指定されるので、さらなる省電力化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1のカメラシステムの構成を示すブロック図。
【
図3】実施例1におけるカメラ本体のスリープ解除操作設定処理を示すフローチャート。
【
図4】実施例1における交換レンズのスリープ解除操作設定処理を示すフローチャート。
【
図5】実施例1におけるスリープモード決定処理を示すフローチャート。
【
図6】本発明の実施例2におけるカメラ本体のスリープ解除操作設定処理を示すフローチャート。
【
図7】実施例2における交換レンズのスリープ解除操作設定処理を示すフローチャート。
【
図8】実施例2における中間アダプタのスリープ解除操作設定処理を示すフローチャート。
【
図9】実施例2におけるスリープモード決定処理を示すフローチャート。
【
図10】実施例において、調歩同期式によりカメラ第1通信部とレンズ第1通信部との間で通信される信号波形を示す図。
【
図11】実施例1における第2の通信を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1では、
図1に示すように、撮像装置であるカメラ本体20に交換レンズ10および複数の中間アダプタ30,40を含む複数のアクセサリ装置が着脱可能および通信可能に装着された撮像システム(以下、カメラシステムという)について説明する。中間アダプタ30,40は、焦点距離を変更するためのテレコンバータまたはワイドコンバータ、フランジバック長を変化させるマウントコンバータおよび減光機能を有するNDフィルタ等である。なお、カメラ本体20に直接(中間アダプタ30,40を介さず)に交換レンズ10を装着してもよいし、カメラ本体20と交換レンズ10との間に設ける中間アダプタは1つであってもよい。
【0017】
カメラ本体20のマウント202と中間アダプタ30のマウント302とが機械的および電気的に結合され、中間アダプタ30のマウント301と中間アダプタ40のマウント402とが機械的および電気的に結合されている。また、中間アダプタ40のマウント301と交換レンズ10のマウント101とが機械的および電気的に結合されている。カメラ本体20には、カメラ第1通信部207、カメラ第2通信部208およびカメラ制御部205が設けられている。カメラ第1通信部207およびカメラ第2通信部208により、カメラ通信部が構成される。
【0018】
交換レンズ10には、レンズ第1通信部114、レンズ第2通信部115およびレンズ制御部(アクセサリ制御部)113が設けられている。レンズ第1通信部114およびレンズ第2通信部115により、アクセサリ通信部が構成される。中間アダプタ30,40にはそれぞれ、アクセサリ通信部としてのアダプタ第2通信部308,408と、アダプタ制御部(アクセサリ制御部)309,409が設けられている。
【0019】
カメラ第1通信部207とレンズ第1通信部114との間には、マウント201,302,301,402,401,101に設けられた第1通信接点群202,305,303,405,403,102を用いて第1通信経路が設けられている。カメラ制御部205とレンズ制御部113は、この第1通信経路を介して「一対一」通信(以下、第1の通信ともいう)を行う。また、カメラ第2通信部208、アダプタ第2通信部308,408およびレンズ第2通信部115の間には、マウント201,302,301,402,401,101に設けられた第2通信接点群203,306,304,406,404,103を用いて第2通信経路が設けられている。カメラ制御部205は、レンズ制御部113およびアダプタ制御部309,409との間でこの第2通信経路を介して「一対多」通信(以下、第2の通信ともいう)を行う。なお、接点群は複数の通信端子を有する。詳しくは後述する。
【0020】
第1の通信と第2の通信を別々の通信経路を介して行うことにより、第1の通信と第2の通信を同一の通信経路を介して行う場合に比べて、例えば第1の通信においてより適切なタイミングでカメラ本体20から交換レンズ10に命令や要求を送信することができる。これにより、カメラ本体20は交換レンズ10をより高速かつ高精度で制御することができる。
【0021】
交換レンズ10は、撮像光学系を有する。撮像光学系は、不図示の被写体側から順に、焦点調節を行うフォーカスレンズ104、変倍を行うズームレンズ(変倍レンズ)105、光量を調節する絞り(アイリス)ユニット106および像振れを低減する防振レンズ107を含む。フォーカスレンズ104とズームレンズ105はそれぞれ、フォーカス駆動部108およびズーム駆動部109によって撮像光学系の光軸が延びる方向である光軸方向に駆動される。フォーカス駆動部108およびズーム駆動部109は、ステッピングモータ等のアクチュエータとその駆動回路を含む。
【0022】
絞りユニット106は、不図示の複数の絞り羽根を備え、これらをアイリス駆動部110によって開閉方向に駆動することで光量調節を行う。アイリス駆動部110は、ステッピングモータ等のアクチュエータとその駆動回路を含む。
【0023】
防振レンズ107は、手振れ等のカメラ振れに応じて防振駆動部111により撮像光学系の光軸に直交する方向にシフト駆動される。防振駆動部111は、ボイスコイルモータ等のアクチュエータとその駆動回路を含む。交換レンズ10には、カメラ振れを検出するためのジャイロセンサ等の振れ検出部112が設けられている。
【0024】
また、交換レンズ10は、レンズ操作部116を有する。レンズ操作部116は、ユーザによる光軸回りでの回転操作が可能なレンズ操作リングやスイッチ、ボタン、ダイヤルおよびタッチパネル等の複数の操作部材を含む。レンズ操作部116での操作はレンズ制御部113により検出される。
【0025】
レンズ制御部113は、交換レンズ10内の各部の動作を制御する。具体的には、レンズ制御部113は、レンズ第1通信部114を通じた第1の通信によって、カメラ本体20から送信された制御コマンドや送信要求コマンドを受信して制御コマンドに対応するレンズ制御を行う。また、レンズ制御部113は、第1の通信によってカメラ本体20から送信された送信要求コマンドに対応する撮像光学系の光学情報やレンズ操作部116の操作情報をカメラ本体20に送信する。さらに、レンズ制御部113は、振れ検出部112からの振れ信号に基づいて、防振駆動部111を介して防振レンズ107のシフト駆動(すなわち防振動作)を制御する。
【0026】
中間アダプタ30,40は、レンズ等の光学部材307,407と、アダプタ制御部309,409と、アダプタ操作部310,410とを有する。アダプタ操作部310,410は、ユーザによる光軸回りでの回転操作が可能なアダプタ操作リングやスイッチ、ボタン、ダイヤルおよびタッチパネル等の複数の操作部材を含む。アダプタ操作部310,410での操作は、アダプタ制御部309,409により検出される。
【0027】
アダプタ制御部309,409はそれぞれ、中間アダプタ30,40内の各部の動作を制御する。アダプタ制御部309,409はそれぞれ、アダプタ第2通信部308,408を通じた第2の通信によってカメラ本体20から送信された制御コマンドや送信要求コマンドを受信する。また、アダプタ制御部309,409は、制御コマンドに対応するアダプタ制御を行う。さらに、アダプタ制御部309,409は、第2の通信によりカメラ本体20から送信された送信要求コマンドに対応する中間アダプタ30,40の光学情報やアダプタ操作部310,410の操作情報を第2の通信によりカメラ本体20に送信する。
【0028】
カメラ本体20は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子204、カメラ制御部205および映像表示部206を有する。撮像素子204は、CMOSセンサ等の光電変換素子であり、撮像光学系により形成された被写体像を撮像(光電変換する)。映像表示部206は、撮像により生成された映像信号を構図やピント状態等の確認に用いられるライブビュー画像として表示したり、撮像により記録された画像を再生表示したりする。
【0029】
カメラ制御部205は、不図示の撮像指示スイッチや各種設定スイッチ等のカメラ操作部209の操作に応じてカメラ本体20内の各部の動作を制御する。例えば露出制御のために撮像素子204の露光時間を制御する。また、カメラ制御部205は、第1の通信によって交換レンズ10および中間アダプタ30,40に制御コマンドを送信する。例えば、カメラ制御部205は、カメラ操作部209に含まれるズームスイッチの操作に応じて、ズーム制御に関する制御コマンドを交換レンズ10に送信する。また、カメラ制御部205は、交換レンズ10に対して、映像信号の輝度情報に応じた光量調節制御に関する制御コマンドや、撮像素子204から得られたフォーカス情報に応じたフォーカス制御に関する制御コマンドを送信する。
【0030】
さらにカメラ制御部205は、交換レンズ10および中間アダプタ30,40に対して、光学情報を取得するための送信要求コマンドを送信し、交換レンズ10からのレンズ光学情報および中間アダプタ30,40からのアダプタ光学情報を受信する。またカメラ制御部205は、交換レンズ10および中間アダプタ30,40からのレンズおよびアダプタ操作部116,310,410の操作情報を受信し、これに応じた制御コマンドを交換レンズ10および中間アダプタ30,40に送信する。すなわち、カメラ制御部205は、通常動作状態において、カメラ本体20、交換レンズ10および中間アダプタ30,40に設けられた複数の操作部材の操作に応じた動作を行う。
【0031】
次に、第1の通信について、
図2(a),(b)を用いて説明する。ここでは第の1通信がクロック同期式の通信である例を説明する。
図2(a)は、第1の通信を行うための構成を示している。第1通信接点群102,403,405,303,305,202の各接点群は、クロックラインLCLKの端子として、第1LCLK端子102a,403a,405a,303a,305a,202aを含む。クロックラインLCLKは、カメラ第1通信部207からクロック同期通信を行うために出力されるクロック信号用の信号ラインである。また、第1通信接点群102,403,405,303,305,202の各接点群は、データラインDCLの端子として、第1DCL端子102b,403b,405b,303b,305b,202bが含まれている。データラインDCLは、カメラ第1通信部207からクロック同期通信のデータ信号が出力される信号ラインである。さらに第1通信接点群102,403,405,303,305,202の各接点群は、データラインDLCの端子として、第1DLC端子102c,403c,405c,303c,305c,202cが含まれている。データラインDLCは、レンズ第1通信部114からクロック同期通信のデータ信号が出力される信号ラインである。
【0032】
図2(a)に示すように、クロックラインLCLKとデータラインDCLは、交換レンズ10内でプルアップされている。また、クロックラインLCLKとデータラインDLCは、カメラ本体20内でプルアップされている。
【0033】
中間アダプタ30,40内のクロックラインLCLK、データラインDCLおよびデータラインDLCはそれぞれ、第1通信接点群303,305間および第1通信接点群403,405間で短絡されている。
【0034】
図2(b)は、第1の通信が行われているときのクロックラインLCLK、データラインDCLおよびデータラインDLCの信号波形を示している。カメラ第1通信部207は、クロックラインLCLKにクロック信号を出力し、クロック信号の立ち上がりに合わせてデータラインDCLにB7~B0の8ビットのデータを出力する。レンズ第1通信部114は、クロック信号の立ち上がりに合わせてデータラインDLCにB7~B0の8ビットのデータを出力する。カメラ第1通信部207は、クロック信号の立ち上がりに合わせてデータラインDLCからのB7~B0の8ビットのデータを受信する。レンズ第1通信部114は、クロック信号の立ち上がりに合わせてデータラインDCLからのB7~B0の8ビットのデータを受信する。このようにして、カメラ第1通信部207とレンズ第1通信部114がデータを互いに送受信することができる。
【0035】
レンズ第1通信部114は、データラインDCLからの8ビットデータB7~B0を受信すると、クロックラインLCLKを時間Tbusyの間、クロック信号をLOWに維持し、時間Tbusyが経過するとクロック信号のLOW維持を解除する。時間Tbusyは、交換レンズ10が受信したデータを処理する時間であり、カメラ第1通信部207はデータ送信後にクロックラインLCLKがLOWからHIGHに変化するまで次のデータ送信を行わない。カメラ第1通信部207とレンズ第1通信部114は、以上の処理を繰り返すことで第1の通信によるデータ送受信を行う。
【0036】
以上、第1の通信がクロック同期式の通信である場合を例に説明したが、調歩同期式の通信を採用してもよい。
図10を用いて、
図2(a)に説明した構成を用いて調歩同期式によりカメラ第1通信部207とレンズ第1通信部114との間で通信される信号波形について説明する。
【0037】
図10は3線を用いた調歩同期式の通信における信号波形を示している。3線を用いた調歩同期式の通信では、前述のクロックラインLCLKを、送信要求ラインRTSとして用いる。送信要求ラインRTSは、データラインDCLによる通信とデータラインDLCによる通信のタイミングを制御する信号をカメラ第1通信部207からレンズ第1通信部114へ送信するための信号ラインである。
【0038】
例えば、カメラ第1通信部207からレンズ第1通信部114へのレンズデータの送信要求(送信指示)や後述する通信処理の切替え要求(切替え指示)等の通知に用いられる。送信要求チャネルでの通知は該送信要求チャネルでの信号レベル(電圧レベル)をHigh(第1のレベル)とLow(第2のレベル)との間で切り替えることで行う。以下の説明では、送信要求ラインRTSに供給される信号を送信要求信号RTSという。
【0039】
送信要求信号RTSは、通信マスタとしてのカメラ第1通信部207から通信スレーブとしてのレンズ第1通信部114に送られる。レンズ第1通信部114が送信要求信号RTSを受信すると、
図10に示すようにレンズデータ信号DLCの1フレームの送信開始をカメラ第1通信部207に通知するため、レンズデータ信号DLCの信号レベルを1ビット期間の間Lowとする。この1ビット期間を1フレームの開始を示すスタートビットSTと呼ぶ。すなわち、このスタートビットSTからデータフレームが開始される。スタートビットSTは、レンズデータ信号DLCの1フレームごとにその先頭ビットに設けられている。
【0040】
続いて、レンズ第1通信部114は、次の2ビット目から9ビット目までの8ビット期間で1バイトのレンズデータを送信する。データのビット配列はMSBファーストフォーマットとして、最上位のデータD7から始まり、順にデータD6、データD5と続き、最下位のデータD0で終わる。そして、レンズ第1通信部114は、10ビット目に1ビットのパリティー情報PAを付加し、1フレームの最後を示すストップビットSPの期間のレンズデータ信号DLCの信号レベルをHighとする。これにより、スタートビットSTから開始されたデータフレーム期間が終了する。以上説明した構成により、調歩同期式の通信で第1の通信を行うことができる。
【0041】
次に、第2の通信について、
図11を用いて説明する。カメラ本体20と交換レンズ10と中間アダプタ30と中間アダプタ40との間に構成される「一対多」の通信が可能な通信回路の1つについて説明する。なお、通信回路は「一対多」の通信が可能であればこの限りではない。さらに、複数の通信回路を持つ場合は、他の通信回路についてはクロック同期式のシリアル通信やUART通信のような「一対一」の通信でも構わない。
【0042】
カメラ第2通信部208、レンズ第2通信部115、アダプタ第2通信部308、408は、第1の通信と同様に接点部を介して接続される。より具体的には、前述の第2通信接点群103,404,406,304,306,203を介して接続される。本実施例において、第2通信接点群103,404,406,304,306,203は各々CS信号端子103a,404a,406a,304a,306a,203aとDATA信号端子103b,404b,406b,304b,306b,203bを有する。カメラ第2通信部208、レンズ第2通信部115およびアダプタ第2通信部308は、CS信号端子を介して接続されたCS信号ライン、DATA信号端子を介して接続されたDATA信号ラインを用いて通信を行う。
【0043】
カメラ通信回路は接地スイッチ221と入出力切り換えスイッチ222によって構成されている。レンズ通信回路は接地スイッチ121と入出力切り換えスイッチ122によって構成されている。アダプタ通信回路は接地スイッチ321,421と入出力切り換えスイッチ322,422によって構成されている。
【0044】
CS信号ラインは、通信のフロー制御を行うための信号を伝搬するための信号ラインである。また、DATA信号ラインは、送受信するデータを伝搬するための信号ラインである。
【0045】
CS信号ラインはカメラ第2通信部208とアダプタ第2通信部308およびレンズ第2通信部115に接続されており、信号ラインの状態(Hi/Low)を検出可能な構成としている。またCS信号ラインはカメラ本体内で不図示の電源にプルアップ接続されている。CS信号ラインは交換レンズ10の接地スイッチ121、カメラ本体20の接地スイッチ221および中間アダプタの接地スイッチ321,421を介してGNDと接続可能な構成としている(オープンドレイン接続)。この構成により、交換レンズ10、カメラ本体20および中間アダプタ30,40はそれぞれ、接地スイッチをオン(接続)することによりCS信号ラインの状態をLowにすることが可能である。一方、交換レンズ10、カメラ本体20および中間アダプタ30,40の全てが各々の接続スイッチをオフ(遮断)することで、CS信号ラインの状態をHiとすることができる。CS信号ラインは、ブロードキャスト通信とP2P通信を区別するため、もしくはP2P通信における通信方向の切り替え等に用いられる。
【0046】
DATA信号ラインは、データの伝搬方向を切り換えながら使用可能な単線の双方向データ送信線である。DATA信号ラインは、交換レンズ10の入出力切り換えスイッチ122を介してレンズ第2通信部115と接続可能である。また、DATA信号ラインは、カメラ本体20の入出力切り換えスイッチ222を介してカメラ第2通信部208と接続可能である。また、DATA信号ラインは、中間アダプタ30,40の入出力切り換えスイッチ322,422を介してアダプタ第2通信部308,408とそれぞれ接続可能である。それぞれのマイコンにはデータを送信するためのデータ出力部(CMOS方式)とデータを受信するためのデータ入力部(CMOS方式)が備えられている。入出力切り換えスイッチを操作することでDATA信号ラインをデータ出力部に接続するかデータ入力部に接続するかを選択することができる。この構成により、交換レンズ10、カメラ本体20および中間アダプタ30,40は自分がデータを送信する場合にはDATA信号ラインをデータ出力部と接続するように各々入出力切り換えスイッチを操作することでデータ送信が可能となる。一方、交換レンズ10、カメラ本体20および中間アダプタ30,40は自分がデータを受信する場合にはDATA信号ラインをデータ入力部と接続するように各々入出力切り換えスイッチを操作することでデータ受信が可能となる。
【0047】
ここで、CS信号とデータ信号により行われるブロードキャスト通信とP2P通信について述べる。CS信号ラインはいずれかのユニットがGNDに接続するとLOWに落ちるので、ブロードキャスト通信のきっかけとして使用される。
【0048】
通信の主体であるカメラ本体がCS信号ラインをLowに引くことでブロードキャスト通信が開始される。CS信号ラインがLowのときにDATA線によりアクセサリが受信したデータは、ブロードキャストされたデータであると判断する。
【0049】
また、各アクセサリがCS信号ラインをLowに引くことでカメラ本体にブロードキャスト通信をリクエストすることができる。
【0050】
CS信号ラインのLowを検知したユニットは、ブロードキャストの処理中は自身の接地スイッチを入れておくことで、ブロードキャスト通信に対する処理が継続していることを他のユニットに周知することが可能である。第2k通信はブロードキャスト通信で始まり、ブロードキャスト通信で終わると規定することで、アクセサリのDATA信号ラインは基本的に受信状態を維持しておけばよい。カメラがアクセサリとP2P通信を行う場合には、まずブロードキャスト通信により通信対象のアクセサリを指定する。ブロードキャスト通信の送信を完了したカメラと指定されたアクセサリはP2P通信を行う。
【0051】
P2P通信では、まずカメラがデータを送信し、それを受けたアクセサリがカメラへデータを送信する。以後、これが交互に行われる。P2P通信においては、通信中のCS信号はHIGHを維持することでブロードキャスト通信と区別される。P2P通信におけるCS信号はビジー信号として使用される。すなわち、カメラおよびアクセサリが相手に自身からのデータ送信が終了した旨を通知するためにLowにし、データ受信の準備が整ったことを通知するためにHighにする。P2P通信が終了すると、カメラがP2P通信の終了をブロードキャスト通信する。
【0052】
このようにして、カメラは複数のアクセサリと2本の通信ラインを介してデータ通信を行うことができる。
【0053】
なお、
図12では通信回路の一例について示したが、他の通信回路の構成でもよい。例えば、CS信号ラインをカメラ本体20内でGNDにプルダウン接続し、交換レンズ10の接地スイッチ121、カメラ本体20の接地スイッチ221および中間アダプタ30,40の接地スイッチ321,421を介して不図示の電源と接続可能な構成としてもよい。またDATA信号ラインは常に各々のデータ入力部に接続される構成とし、DATA信号ラインと各々のデータ出力部との接続/遮断をスイッチにより操作可能な構成としてもよい。
【0054】
第2の通信は、第1の通信と同じ通信方式で行ってもよいし、双方向の調歩同期式通信、マスタ・スレーブ方式、トークンパッシング方式等で実現してもよい。
【0055】
次に、
図3および
図4を用いて、カメラ本体20に交換レンズ10のみが装着された場合において、カメラ本体20が交換レンズ10のスリープ解除操作を指定した上で、交換レンズ10とともに通常動作状態からスリープ状態に移行する処理について説明する。スリーブ状態は、スタンバイ状態ということもでき、通常動作状態に比べて消費電力が少ない省電力状態である。また、交換レンズ10のスリープ解除操作の指定とは、交換レンズ10が有する複数の操作部材のうち、その操作によってカメラシステムがスリーブ状態から通常動作状態に復帰する(スリープ状態を解除する)特定操作部材を指定することを意味する。交換レンズ10においてスリープ解除操作が行われると、レンズ制御部113はカメラ制御部205に対して通信要求を送信し、これを受信したカメラ本体20がスリープ状態から通常動作状態に復帰する。
【0056】
図3および
図4は、交換レンズ10が装着されたカメラ本体20の電源が投入された後に、カメラ本体20と交換レンズ10がスリープ状態に移行し、その後の交換レンズ10におけるスリープ解除操作に応じて通常動作状態に復帰する一連の処理を示す。カメラ本体20は、スリープ解除操作が互いに異なる複数のスリープモードを設定することができる。スリープモードは、スリープ状態において交換レンズ10に設けられたレンズ操作部116の複数の操作部材のうちどの操作部材の操作に応じて通常動作状態に復帰するかを示す。以下の説明において、Sはステップを意味する。また、カメラ制御部205およびレンズ制御部113は、コンピュータプログラムに従って本処理を実行する。
【0057】
S301にて、カメラ制御部205は、カメラ本体20の電源が投入されることに応じてS302に進み、交換レンズ10に電源を供給する。S303では、カメラ本体20からの電源供給によって交換レンズ10(レンズ制御部113)が起動する。
【0058】
次にS304では、カメラ制御部205は、第1の通信によりレンズ制御部113と初期通信を行う。初期通信では、カメラ制御部205は、レンズ制御部113から、交換レンズ10に固有の識別(ID)情報と、レンズ光学情報および交換レンズ10が有する機能を示す情報を取得する。交換レンズ10が有する機能を示す情報には、レンズ操作部116に含まれる複数の操作部材の機能を示す情報が含まれる。複数の操作部材の機能を示す情報は、ID情報に含まれていてもよい。
【0059】
また、初期通信において、カメラ制御部205は、レンズ制御部113に対して、交換レンズ10の対応スリープモードの送信を要求する。該送信要求を受けたレンズ制御部113は、S305にてカメラ制御部205に対応スリープモードを送信する。交換レンズ10の対応スリープモードは、その交換レンズ10(レンズ操作部116)が有する複数の操作部材のうちスリープ状態でその操作を検出可能な特定操作部材を示す。
【0060】
スリープモードの表現方法としては、表1-1に示すように、交換レンズ10に設けられた複数の操作部材のそれぞれに対して予め0~7のビット(bit)を割り当てておき、特定操作部材に対応したビットに1を立てる方法が挙げられる。また、表1-2に示すように、ビット0に示す1つの特定操作部材からビット1~7の順に特定操作部材を増やしていくようにスリープモードを設定してもよい。本実施例では、表1-1に示すスリープモードを用いる場合について説明する。
【0061】
表1-1および表1-2において、「AM/MFスイッチ」はオートフォーカスとマニュアルフォーカスを選択する機能を有するスイッチを示し、「ISスイッチ」は防振動作をオン/オフする機能を有するスイッチを示す。「フォーカスリング」はマニュアルフォーカスを操作する機能が割り当てられたレンズ操作リングを示す。「コントロールリング」は絞り値、シャッター速度、撮像素子204の感度および露出補正値等の変更機能が割り当てられたレンズ操作リングとしての電子式コントロールリング(これについては後述する)を示す。「倍率変更リング」はズーム倍率を変更する機能が割り当てられたレンズ操作リングを示し、「可変ND変更リング」はNDフィルタの撮像光路への挿入度合い、すなわち減光率を変更する機能が割り当てられたレンズ操作リングを示す。「●●スイッチ」は「AM/MFスイッチ」や「ISスイッチ」以外の機能を有するスイッチを示し、「▲▲リング」はフォーカスリング、コントロールリング、倍率変更リングおよび可変ND変更リング以外の機能が割り当てられたレンズ操作リングを示す。
【0062】
【0063】
次にS306において、カメラ制御部205は、交換レンズ10に対して設定するスリープモードを決定する。スリープモードの決定には、S304で取得した交換レンズ10の対応スリープモードに加え、レンズ操作部116の複数の操作部材に割り当てられた機能や、その機能が現在のカメラ本体20の設定や撮像モードに対して有効か等の機能判定結果が加味される。S306の詳細については後に
図5を用いて説明する。この段階では、カメラ制御部205は、決定したスリープモードをレンズ制御部113に通知しない。
【0064】
次のS307からS309に進んでS307に戻る処理は、カメラシステムの通常動作状態でカメラ制御部205が行う処理を示す。カメラ制御部205は、通常動作状態において後述するスリープ設定変更要因が発生せず(S307)、かつカメラシステムに対するユーザによる操作が所定時間の間に行われたときは(S309)、スリープ状態に移行することなくS307に戻る。
【0065】
一方、カメラ制御部205は、通常動作状態においてスリープ設定変更要因が発生したときは(S307)、S308に進んでスリープモードを再決定してS309に進む。スリープ設定変更要因とは、S306でスリープモードを決定したときから各操作部材の機能や撮像モードが変化する等、スリープモードの再決定が必要となる事象である。
【0066】
S309において通常動作状態にてカメラシステムに対するユーザによる操作が所定時間の間行われなかったときは、カメラ制御部205は、S310に進んで、S306またはS308で決定したスリープモードをレンズ制御部113に通知する。交換レンズ10をスリープ状態に移行させる直前に交換レンズ10にスリープモードを通知することで、通常動作状態での通信量を低減することができる。
【0067】
次にS311においてカメラ制御部205からスリープモードの通知を受けたレンズ制御部113は、通知されたスリープモードを自身の対応スリープモードと照合する。通知されたスリープモード(つまりは特定操作部材)が自身の対応スリープモードに合致する場合は、レンズ制御部113は、通知されたスリープモードを今回の交換レンズ10におけるスリープモードとして設定する。この際、レンズ制御部113はカメラ制御部205に対してACK等の応答を返してもよい。
【0068】
S311で交換レンズ10に対するスリープモードの設定が正常に行われると、カメラ制御部205はS312に進み、レンズ制御部113に通常動作状態からスリープ状態への移行命令であるスリープ命令を送信する。S313では、レンズ制御部113はスリープ命令を受信する。この際、レンズ制御部113は、カメラ制御部205に対してACK等の応答を返してもよい。
【0069】
S312の次のS314において、カメラ制御部205は自身も通常動作状態からスリープ状態に移行する。さらにレンズ制御部113も、S315において、通常動作状態から通知されたスリープモードでのスリープ状態に移行する。この際、レンズ制御部113は、レンズ操作部116に含まれる複数の操作部材のうちスリープモードで指定された特定操作部材の操作の検出のみを可能としてスリープ状態に移行する。言い換えれば、レンズ制御部113は、スリープ状態では特定操作部材以外の操作部材の操作を検出しない。
【0070】
一方、S314にてスリープ状態に移行したカメラ制御部205は、S319にてカメラ操作部209におけるいずれかの操作部材の操作が検出されると、S321に進み、スリープ状態から通常動作状態に復帰する。この際、カメラ制御部205は、第1の通信によってレンズ制御部113に対してスリープ解除命令を送信する。
【0071】
スリープ状態にあるレンズ制御部113は、S316で特定操作部材の操作を検出するか、S317でカメラ制御部205からスリープ解除命令を受信するまではスリープ状態を維持する。
【0072】
S316にて特定操作部材の操作を検出したレンズ制御部113は、S318に進んでスリープ状態から通常動作状態に移行する。この際、レンズ制御部113は、第1の通信によってカメラ制御部205にスリープ解除要求を送信する。スリープ解除要求は、カメラ制御部205に対して通信を要求するものであってもよい。スリープ解除要求(または通信要求)を送信する以外に、第1通信経路のLCLK信号ラインまたは送信要求ラインRTSの信号レベルをスリープ状態から変化させることによってカメラ制御部205にスリープ解除(または通信)を要求してもよい。また、S317でカメラ制御部205からスリープ解除命令を受信したレンズ制御部113は、S318に進んでスリープ状態から通常動作状態に移行する。S318の後、レンズ制御部113はS311に戻る。
【0073】
S319にてカメラ操作部209におけるいずれの操作部材の操作も検出されない場合は、カメラ制御部205はS320に進んでレンズ制御部113からスリープ解除要求を受信したか否かを判定する。カメラ制御部205は、レンズ制御部113からスリープ解除要求を受信した場合は、S321に進んでスリープ状態から通常動作状態に復帰する。この後、カメラ制御部205はS307に戻る。
【0074】
次に、
図5を用いて、交換レンズ10の電子式コントロールリング(以下、レンズコントロールリングという)を特定操作部材として指定する場合を例として、S306においてスリープモードを決定する処理について説明する。この処理では、現在のカメラ本体20の設定等に基づいて、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビット(例えば表1-1中のbit3)に1を立てるか0にするかを決定する。
【0075】
レンズコントロールリングには、ユーザが選択可能なカメラ設定値を変更する機能がユーザにより任意に割り当てられる。例えば、前述したように、絞り値Av、シャッター速度Tv、撮像素子204の感度(ISO感度)および露出補正値の変更機能が割り当てられる。
【0076】
S401にて本処理を開始したカメラ制御部205は、S402において、S304で取得した交換レンズ10の対応スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットが1であるか否(0)かを確認する。該ビットが0である場合は、交換レンズ10はレンズコントロールリングの操作によるスリープ状態の解除には対応していないと判断して、S406に進む。S406では、カメラ制御部205は、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを0にする。
【0077】
一方、S402において、S304で取得した対応スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットが1である場合は、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応したビットを1とすることが可能である。カメラ制御部205は、該ビットを1とするか否かを判断するために次のS403に進む。
【0078】
S403では、カメラ制御部205は、現在のカメラ本体20の設定(以下、カメラ設定という)においてレンズコントロールリングに対して機能が割り当てられているか否かを確認する。カメラ設定においてレンズコントロールリングに機能が割り当てられていない場合は、カメラ制御部205はS406に進み、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを0とする。一方、カメラ設定においてレンズコントロールリングに機能が割り当てられている場合は、カメラ制御部205はS404に進む。
【0079】
S404では、カメラ制御部205は、現在のカメラ本体20において設定されている撮像モード(以下、設定撮像モードという)においてレンズコントロールリングに割り当てられた機能が有効か無効かを確認する。ここにいう撮像モードは、最適な露光量Evを得るために、ユーザが選択した撮像パラメータを固定して撮像を行うモードである。
【0080】
露光量Evは、それぞれ撮像パラメータである絞り数値Avとシャッター速度Tvを用いて式(1)のように求められる。
Ev=Av+Tv (1)
撮像モードの例としては、絞り(Av)優先モード、シャッター速度(Tv)優先モード、長時間露光モード(Bulb)等がある。設定撮像モードが絞り優先モードであれば、Avがユーザ指定による固定値となり、最適露出(Ev)を得るために被写体の明るさによってTvが自動的に設定される。このため、絞り優先モードにおいては、シャッター速度の設定は意味を持たない。この場合、絞り優先モードにおけるシャッター速度の変更機能は無効であると表現する。同様に、シャッター速度優先モードにおいては、絞り値の変更機能は無効である。一方、設定撮像モードとして絞り優先モードまたはシャッター速度優先モードが選択されていて、レンズコントロールリングに絞り値の変更機能が割り当てられている場合は、該変更機能は有効である。
【0081】
このようにして、カメラ制御部205は、S404において、設定撮像モードとレンズコントロールリングに割り当てられた機能とを比較する。レンズコントロールリングに割り当てられた機能が有効であれば、カメラ制御部205はS405に進み、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを1とする。レンズコントロールリングに割り当てられた機能が無効であれば、カメラ制御部205はS406に進み、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを0とする。
【0082】
S405またはS406の後は、カメラ制御部205はS407に進んで本処理を終了する。
【0083】
本実施例では、カメラ本体20(カメラ制御部205)が交換レンズ10(レンズ制御部113)からその対応スリープモードを取得し、該対応スリープモードとカメラ設定や設定撮像モードとの関係から交換レンズ10に適切なスリープモードを設定する。また、本処理を周期的に行うことで、通常動作状態においてカメラ設定が変更された場合でも、その変更に合わせてスリープモードを変更することが可能である。これにより、レンズ操作部116における特定操作部材の操作に応じてのみカメラシステムをスリープ状態から通常動作状態に復帰させることができる。特定操作部材以外の操作部材の操作を検出しないことで、カメラシステムの消費電力を削減することができる。
【実施例2】
【0084】
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例1では、カメラ本体20に交換レンズ10を装着した撮像システムについて説明した。本実施例では、カメラ本体20と交換レンズ10との間に中間アダプタ30が装着された撮像システムについて説明する。本実施例ではカメラ本体20と交換レンズ10との間に1つの中間アダプタが装着される場合について説明するが、2つ以上の中間アダプタが装着される場合でも、同様の処理を行うことで、適切なスリープモードを設定することができる。
【0085】
図6、
図7および
図8は、中間アダプタ30および交換レンズ10が装着されたカメラ本体20の電源投入後に、カメラ本体20、中間アダプタ30および交換レンズ10がスリープ状態に移行し、その後の中間アダプタ30または交換レンズ10におけるスリープ解除操作に応じて通常動作状態に復帰する一連の処理を示す。
【0086】
S501にて、カメラ制御部205は、カメラ本体20の電源が投入されることに応じてS502に進み、交換レンズ10および中間アダプタ30に電源を供給する。S503では、カメラ本体20からの電源供給によって交換レンズ10(レンズ制御部113)が起動する。S522では、カメラ本体20からの電源供給によって交換レンズ30(アダプタ制御部309)が起動する。
【0087】
次にS504では、カメラ制御部205は、第1の通信によりレンズ制御部113と初期通信を行う。初期通信では、カメラ制御部205は、レンズ制御部113から、交換レンズ10に固有の識別(レンズID)情報と、レンズ光学情報および交換レンズ10が有する機能を示す情報を取得する。交換レンズ10が有する機能を示す情報には、レンズ操作部116に含まれる複数の操作部材の機能を示す情報が含まれる。複数の操作部材の機能を示す情報は、レンズID情報に含まれていてもよい。
【0088】
また、初期通信において、カメラ制御部205は、レンズ制御部113に対して、交換レンズ10の対応スリープモードの送信を要求する。該送信要求を受けたレンズ制御部113は、S505にてカメラ制御部205に対応スリープモードを送信する。交換レンズ10の対応スリープモードは、その交換レンズ10(レンズ操作部116)が有する複数の操作部材のうちスリープ状態でその操作を検出可能な特定操作部材を示す。スリープモードの表現方法は、実施例1で説明したものと同様である。
【0089】
次にS523では、カメラ制御部205は、第2の通信によりアダプタ制御部309と初期通信を行う。初期通信では、カメラ制御部205は、アダプタ制御部309から、中間アダプタ30に固有の識別(アダプタID)情報と、アダプタ光学情報および中間アダプタ30が有する機能を示す情報を取得する。中間アダプタ30が有する機能を示す情報には、アダプタ操作部310に含まれる複数の操作部材の機能を示す情報が含まれる。複数の操作部材の機能を示す情報は、アダプタID情報に含まれていてもよい。
【0090】
また、初期通信において、カメラ制御部205は、アダプタ制御部309に対して、中間アダプタ30の対応スリープモードの送信を要求する。該送信要求を受けたアダプタ制御部309は、S524にてカメラ制御部205に対応スリープモードを送信する。中間アダプタ30の対応スリープモードは、その中間アダプタ30(アダプタ操作部310)が有する複数の操作部材のうちスリープ状態でその操作を検出可能な特定操作部材を示す。スリープモードの表現方法は、実施例1で説明した交換レンズ10に対するものと同様である。
【0091】
なお、カメラ制御部205は、交換レンズ10との初期通信と中間アダプタ30との初期通信を順に行ってもよいが、第1および第2通信経路を利用して並行して行った方が短時間で交換レンズ10および中間アダプタ30との初期通信を完了することができる。
【0092】
次にS506において、カメラ制御部205は、交換レンズ10と中間アダプタ30に対してそれぞれ設定するスリープモードを決定する。交換レンズ10に対するスリープモードの決定には、S306と同様に、S504で取得した交換レンズ10の対応スリープモードに加え、レンズ操作部116の複数の操作部材に割り当てられた機能や、その機能がカメラ本体20の現在の設定や撮像モードに対して有効か等の機能判定結果が加味される。また、中間アダプタ30に対するスリープモードの決定には、S523で取得した中間アダプタ30の対応スリープモードに加え、アダプタ操作部310の複数の操作部材に割り当てられた機能や、その機能がカメラ本体10の現在の設定や撮像モードに対して有効か否か、さらには交換レンズ10が有する機能も加味される。
【0093】
S506の詳細については後に
図9を用いて説明する。この段階では、カメラ制御部205は、決定したスリープモードをレンズ制御部113およびアダプタ制御部309に通知しない。
【0094】
次のS507からS509に進んでS507に戻る処理は、カメラシステムの通常動作状態でカメラ制御部205が行う処理を示す。カメラ制御部205は、通常動作状態において後述するスリープ設定変更要因が発生せず(S507)、かつカメラシステムに対するユーザによる操作が所定時間の間に行われたときは(S509)、スリープ状態に移行することなくS507に戻る。
【0095】
一方、カメラ制御部205は、通常動作状態においてスリープ設定変更要因が発生したときは(S507)、S508に進んでスリープモードを再決定してS509に進む。スリープ設定変更要因とは、S506でスリープモードを決定したときから各操作部材の機能や撮像モードが変化する等、スリープモードの再決定が必要となる事象である。また、中間アダプタ30に対するスリープモードの再決定においては、レンズ交換や交換レンズ10の設定が変更される等の交換レンズ10側での変更も加味される。カメラシステムの状態によっては、交換レンズ10に対するスリープモードと中間アダプタ30に対するスリープモードとが互いに異なる場合もある。
【0096】
S509において通常動作状態にてカメラシステムに対するユーザによる操作が所定時間の間行われなかったときは、カメラ制御部205は、S510に進む。
【0097】
S510では、カメラ制御部205は、S506またはS508で決定した交換レンズ10のスリープモードを第1の通信によりレンズ制御部113に通知する。また、カメラ制御部205は、決定した中間アダプタ30のスリープモードを第2の通信によりアダプタ制御部309に通知する。交換レンズ10と中間アダプタ30をスリープ状態に移行させる直前にこれらにスリープモードを通知することで、通常動作状態での通信量を低減することができる。また、カメラ制御部205からレンズ制御部113およびアダプタ制御部309へのスリープモードの通信は、それぞれを第1および第2通信経路を利用して並行して行った方が短時間で完了することができる。
次にS511においてカメラ制御部205からスリープモードの通知を受けたレンズ制御部113は、通知されたスリープモードを自身の対応スリープモードと照合する。また、S525においてカメラ制御部205からスリープモードの通知を受けたアダプタ制御部309は、通知されたスリープモードを自身の対応スリープモードと照合する。通知されたスリープモード(つまりは特定操作部材)が自身の対応スリープモードに合致する場合は、レンズ制御部113およびアダプタ制御部309はそれぞれ、通知されたスリープモードを今回の交換レンズ10および中間アダプタ30におけるスリープモードとして設定する。この際、レンズ制御部113およびアダプタ制御部309はカメラ制御部205に対してACK等の応答を返してもよい。
【0098】
S511で交換レンズ10に対するスリープモードの設定が正常に行われると、カメラ制御部205はS512に進み、レンズ制御部113およびアダプタ制御部309に通常動作状態からスリープ状態への移行命令であるスリープ命令を送信する。S513およびS526ではそれぞれ、レンズ制御部113およびアダプタ制御部309はスリープ命令を受信する。この際、レンズ制御部113およびアダプタ制御部309は、カメラ制御部205に対してACK等の応答を返してもよい。
【0099】
S512の次のS514において、カメラ制御部205は自身も通常動作状態からスリープ状態に移行する。さらにレンズ制御部113およびアダプタ制御部309もそれぞれ、S515およびS527において、通常動作状態から通知されたスリープモードでのスリープ状態に移行する。この際、レンズ制御部113およびアダプタ制御部309はそれぞれ、レンズ操作部116およびアダプタ制御部309に含まれる複数の操作部材のうちスリープモードで指定された特定操作部材の操作の検出のみを可能としてスリープ状態に移行する。言い換えれば、レンズ制御部113およびアダプタ制御部309は、スリープ状態では特定操作部材以外の操作部材の操作を検出しない。
【0100】
一方、S514にてスリープ状態に移行したカメラ制御部205は、S519にてカメラ操作部209におけるいずれかの操作部材の操作が検出されると、S521に進み、スリープ状態から通常動作状態に復帰する。この際、カメラ制御部205は、第1の通信によってレンズ制御部113にスリープ解除命令を、第2の通信によってアダプタ制御部309にスリープ解除命令を送信する。
【0101】
スリープ状態にあるレンズ制御部113およびアダプタ制御部309はそれぞれ、S516およびS528で特定操作部材の操作を検出するか、S517およびS529でカメラ制御部205からスリープ解除命令を受信するまではスリープ状態を維持する。
【0102】
例えば、S516にて特定操作部材の操作を検出したレンズ制御部113は、S518に進んでスリープ状態から通常動作状態に移行する。この際、レンズ制御部113は、第1の通信によってカメラ制御部205にスリープ解除要求を送信する。
【0103】
スリープ解除要求は、カメラ制御部205に対して通信を要求するものであってもよい。スリープ解除要求(または通信要求)を送信する以外に、第1通信経路の信号レベルをスリープ状態から変化させることによってカメラ制御部205にスリープ解除(または通信)を要求してもよい。また、S517でカメラ制御部205からスリープ解除命令を受信したレンズ制御部113は、S518に進んでスリープ状態から通常動作状態に移行する。S518の後、レンズ制御部113はS511に戻る。
【0104】
S519にてカメラ操作部209におけるいずれの操作部材の操作も検出されない場合は、カメラ制御部205はS520に進んでレンズ制御部113からスリープ解除要求を受信したか否かを判定する。カメラ制御部205は、レンズ制御部113からスリープ解除要求を受信した場合は、S521に進んでスリープ状態から通常動作状態に復帰する。
【0105】
またS521では、カメラ制御部205は、アダプタ制御部309にスリープ解除命令を送信する。ここでは、カメラ制御部205は、レンズ制御部113からのスリープ解除要求を受けて通常動作状態に復帰したので、交換レンズ10がすでに通常動作状態であることが分かっている。このため、カメラ制御部205は、第2の通信を用いてまだスリープ状態にある中間アダプタ30(アダプタ制御部309)にスリープ解除命令を送信する。
【0106】
S529にてカメラ制御部205からスリープ解除命令を受信したアダプタ制御部309は、スリープ状態から通常動作状態に復帰する。そして、アダプタ制御部309はS525に戻る。この後、カメラ制御部205はS507に戻る。
【0107】
なお、レンズ制御部113より先にS528にてアダプタ制御部309が特定操作部材の操作を検出し、S530にてアダプタ制御部309がスリープ状態から通常動作状態に復帰した場合は、アダプタ制御部309がカメラ制御部205にスリープ解除要求を送信する。
【0108】
スリープ解除要求は、カメラ制御部205に対して通信を要求するものであってもよい。スリープ解除要求(または通信要求)は、CS信号ラインの信号レベルの変化によって通知することができる。例えば、アダプタ制御部309がCS信号ラインの信号レベルをHighレベルからLowレベルへと変化させ、所定時間後にまたHighレベルへと変化させることで、スリープ解除要求(または通信要求)を通知するようにしてもよい。
【0109】
S520でアダプタ制御部309からのスリープ解除要求を受信したカメラ制御部205は、S521にて通常動作状態に復帰するとともに、レンズ制御部113に第1の通信によりスリープ解除命令を送信してこれを通常動作状態に復帰させる。
【0110】
また、
図1に示したようにカメラ本体20と交換レンズ10との間に複数の中間アダプタが装着されている場合には、カメラ制御部205は、未だスリープ状態にある中間アダプタに対して第2の通信によりスリープ解除命令を送信してこれを通常動作状態に復帰させる。
【0111】
S517にてカメラ制御部205からスリープ解除命令を受信したレンズ制御部113は、スリープ状態から通常動作状態に復帰する。そして、レンズ制御部113はS511に戻る。この後、カメラ制御部205はS507に戻る。
【0112】
次に、
図9を用いて、中間アダプタ30の電子式コントロールリング(以下、アダプタコントロールリングという)を特定操作部材として指定する場合を例として、S506においてスリープモードを決定する処理について説明する。この処理では、現在のカメラ本体20の設定等に基づいて、中間アダプタ30用のスリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットに1を立てるか0にするかを決定する。交換レンズ10用のスリープモードの決定処理は、実施例1にて
図5を用いて説明したものと同じである。
【0113】
アダプタコントロールリングにも、ユーザが選択可能なカメラ設定値を変更する機能がユーザにより任意に割り当てられる。例えば、絞り値Av、シャッター速度Tv、撮像素子204の感度(ISO感度)および露出補正値の変更機能が割り当てられる。
【0114】
S601にて本処理を開始したカメラ制御部205は、S602において、S504で取得した中間アダプタ30の対応スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットが1であるか否(0)かを確認する。該ビットが0である場合は、中間アダプタ30は電子式コントロールリングの操作によるスリープ状態の解除には対応していないと判断して、S606に進む。S606では、カメラ制御部205は、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを0にする。
【0115】
一方、S602において、S504で取得した対応スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットが1である場合は、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応したビットを1とすることが可能である。カメラ制御部205は、該ビットを1とするか否かを判断するために次のS603に進む。
【0116】
S603では、カメラ制御部205は、現在のカメラ本体20の設定(カメラ設定)においてアダプタコントロールリングに対して機能が割り当てられているか否かを確認する。カメラ設定においてアダプタコントロールリングに機能が割り当てられていない場合は、カメラ制御部205はS606に進み、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを0とする。一方、カメラ設定においてアダプタコントロールリングに機能が割り当てられている場合は、カメラ制御部205はS608に進む。
【0117】
S608では、カメラ制御部205は、アダプタコントロールリングに割り当てられた機能が現在装着されている交換レンズにおいて有効か無効かを確認する。中間アダプタ等、交換レンズ以外のアクセサリにおける操作部材の操作のうち、交換レンズの機能に関連付いた操作は、その機能に非対応の交換レンズが装着されている場合は無効である。
【0118】
アダプタコントロールリングに割り当てられた機能が交換レンズにおいて無効である例としては、例えば、以下のものがある。絞り値変更用の操作部材の操作がギア等により直接、絞りユニットに伝達される操作系を有する交換レンズにおいて、アダプタコントロールリングに絞り変更機能が割り当てられた場合である。絞りユニットに対してこのような操作係を有する交換レンズは、カメラ本体に交換レンズが有する機能を通知する際に、カメラ本体からの絞り駆動要求には対応していないと通知する。
【0119】
交換レンズが有する機能は、S504で対応スリープモードを取得したタイミングで取得する。アダプタコントロールリングに割り当てられた機能が交換レンズにおいて無効であれば、カメラ制御部205はS606に進み、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを0とする。一方、その機能が交換レンズに対して有効なものである場合には、カメラ制御部205はS604に進む。
【0120】
S604では、カメラ制御部205は、現在のカメラ本体20において設定されている撮像モード(設定撮像モード)においてアダプタコントロールリングに割り当てられた機能が有効か無効かを確認する。ここにいう撮像モードは、実施例1と同じである。
【0121】
アダプタコントロールリングに割り当てられた機能が有効であれば、カメラ制御部205はS605に進み、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを1とする。アダプタコントロールリングに割り当てられた機能が無効であれば、カメラ制御部205はS606に進み、スリープモードにおける「コントロールリング」に対応するビットを0とする。
【0122】
S605またはS606の後は、カメラ制御部205はS607に進んで本処理を終了する。
【0123】
この処理では、カメラ本体20(カメラ制御部205)が交換レンズ10(レンズ制御部113)からその対応スリープモードを取得し、該対応スリープモードとカメラ設定や設定撮像モードとの関係から交換レンズ10に適切なスリープモードを設定する。また、本処理を周期的に行うことで、通常動作状態においてカメラ設定が変更された場合でも、その変更に合わせてスリープモードを変更することが可能である。これにより、レンズ操作部116における特定操作部材の操作に応じてのみカメラシステムをスリープ状態から通常動作状態に復帰させることができる。特定操作部材以外の操作部材の操作を検出しないことで、カメラシステムの消費電力を削減することができる。
【0124】
本実施例では、中間アダプタが1つ装着された場合について説明したが、中間アダプタが複数装着された場合においても、同様の処理を行うことで、各中間アダプタに対するスリープモードを適切に設定することができる。複数の中間アダプタがカメラ本体との通信のために第2の通信を共用する場合は、S530で中間アダプタからのスリープ解除要求により通常動作状態に復帰したカメラ本体は、S521にて第1の通信を用いてスリープ状態の交換レンズを通常動作状態に復帰させる。さらに、カメラ本体は、第2の通信を用いて、スリープ状態にある中間アダプタを通常動作状態に復帰させる。また、中間アダプタがカメラ本体にスリープ解除要求を通信した際に、スリープ状態の中間アダプタがそのスリープ解除要求を検出して通常動作状態に復帰するようにしてもよい。
【0125】
本実施例では、カメラ本体20(カメラ制御部205)が交換レンズ10(レンズ制御部113)と中間アダプタ30(アダプタ制御部309)からその対応スリープモードを取得する。そして、カメラ本体20は、該対応スリープモードとカメラ設定や設定撮像モードとの関係から交換レンズ10と中間アダプタ30に適切なスリープモードを設定する。また、本処理を周期的に行うことで、通常動作状態においてカメラ設定が変更された場合でも、その変更に合わせてスリープモードを変更することが可能である。これにより、レンズ操作部116またはアダプタ操作部310における特定操作部材の操作に応じてのみカメラシステムをスリープ状態から通常動作状態に復帰させることができる。特定操作部材以外の操作部材の操作を検出しないことで、カメラシステムの消費電力を削減することができる。
【実施例3】
【0126】
次に、本発明の実施例3について説明する。カメラ本体20のバッテリー容量や省電力設定等によっては、アクセサリ(交換レンズ10、中間アダプタ30)の消費電力を抑えることを優先する必要がある場合がある。その場合は、対応スリープモードをアクセサリに問い合わせる必要はなく、すべてのビットを0としたスリープモードをアクセサリに通知すればよい。
【0127】
具体的には、実施例2の
図6および
図7において、S504、S523、S506、S507およびS508を省略し、S510において全ビットを0としたスリープモードをアクセサリに送信する。この場合は、アクセサリに送信するスリープモードは不変であるので、S510でのスリープモードのアクセサリへの通知を、S509でスリープ状態に移行する前に行ってもよい。ただし、アクセサリがカメラ本体20からのスリープモードの通知に対応している必要がある。このため、カメラ本体20は、アクセサリからその機能の情報を取得し、アクセサリが該通信に対応していることを確認してから、全ビットを0としたスリープモードをアクセサリに送信する。
【0128】
本実施例では、消費電力を最小限に抑える等の理由によりスリープモードのすべてのビットを0とすることが予め決定されている場合に、カメラ本体がアクセサリから対応スリープモードを取得することなく、アクセサリに対するスリープモードを決定する。これにより、アクセサリの消費電力を抑制可能なカメラシステムを実現することができる。
(その他の実施例)
実施例1および実施例2では、交換レンズ10がスリープ状態である場合に、レンズ制御部113は特定操作部材以外の操作を検出しない例を説明したが、特定操作部材以外の操作を検出し、スリープ解除要求は送信しないようにしてもよい。この方法であっても、カメラ本体の表皮電力を抑制するという効果が得られる。また、実施例2では中間アダプタ30がスリープ状態である場合に、アダプタ制御部309が特定操作部材以外の操作を検出ない例を説明したが、特定操作部材以外の操作を検出し、スリープ解除要求は送信しないようにしてもよい。この方法についても同様に、カメラ本体の消費電力を抑制するという効果が得られる。
【0129】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0130】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。