(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ジョブ管理装置、ジョブ管理システム、印刷装置、複合機、印刷システム並びに印刷方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20221212BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20221212BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G06F3/12 367
G06F3/12 310
G06F3/12 334
G06F3/12 360
G06F3/12 391
H04N1/00 127A
H04N1/00 912
B41J29/38 201
B41J29/38 301
(21)【出願番号】P 2018141295
(22)【出願日】2018-07-27
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】長井 勇祐
【審査官】白石 圭吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-094776(JP,A)
【文献】特開2001-094691(JP,A)
【文献】特開平10-042125(JP,A)
【文献】特開平08-251362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09-3/12
H04N 1/00
H04N 1/21
B41J 29/00-29/70
B41J 5/00-5/52;21/00-21/18
G03G 13/34;15/00;15/36;21/00;21/02;21/14;21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブのためのスプーラ領域の空き容量が第1所定値未満である期間では、ジョブを受信したならば、該ジョブを自ジョブ管理装置とは異なる他の装置に退避させる退避手段と、
前記他の装置に一旦退避させた前記ジョブを所定のポーリング間隔に従って前記他の装置から自ジョブ管理装置に引き戻す引戻手段と、
前記他の装置から引き戻された前記ジョブを実行装置に出力するジョブ出力手段と、
前記スプーラ領域の空き容量に従って前記ポーリング間隔を調整するポーリング間隔調整手段と、
を備え、
前記所定のポーリング間隔は、前記ポーリング間隔調整手段により調整されたものであることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のジョブ管理装置であって、
前記退避手段は、前記ジョブを自ジョブ管理装置を宛先として前記他の装置に一旦退避させ、
前記引戻手段は、自ジョブ管理装置を宛先とした前記ジョブを前記他の装置から自ジョブ管理装置に引き戻すことを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のジョブ管理装置であって、
前記ポーリング間隔調整手段は、前記スプーラ領域の空き容量が前記第1所定値未満になったことを少なくとも1つの契機として、前記ポーリング間隔を前記所定の間隔未満の間隔から前記所定のポーリング間隔まで広げることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のジョブ管理装置であって、
前記ポーリング間隔調整手段は、前記スプーラ領域の空き容量が前記第1所定値未満になり且つ前記退避手段が前記ジョブを他の装置に退避させることを決定したことを契機として、前記ポーリング間隔を前記所定の間隔未満の間隔から前記所定のポーリング間隔まで広げることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のジョブ管理装置であって、
前記ポーリング間隔調整手段は、前記スプーラ領域の空き容量が前記第1所定値より大きな第2所定値になったことを少なくとも1つの契機として、前記所定の間隔まで広げられている前記ポーリング間隔を元のポーリング間隔まで復元することを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項6】
請求項3又は4に記載のジョブ管理装置であって、
前記ポーリング間隔調整手段は、前記他の装置に前記ジョブが退避されているときに前記スプーラ領域の空き容量が前記第1所定値より大きな第2所定値になったことを契機として、前記所定の間隔まで広げられている前記ポーリング間隔を元のポーリング間隔まで復元することを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項7】
請求項3又は4に記載のジョブ管理装置であって、
前記ポーリング間隔調整手段は、前記他の装置から前記ジョブがなくなったことを契機として、前記所定の間隔まで広げられている前記ポーリング間隔を元のポーリング間隔まで復元することを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載のジョブ管理装置であって、
前記退避手段が前記ジョブを前記他の装置に退避させることができない場合に、前記ジョブに対応する利用者宛のメールにより前記ジョブを送り戻すジョブ送り戻し手段を更に備えることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項9】
請求項8に記載のジョブ管理装置であって、
前記ジョブ送り戻し手段は、前記利用者宛のメールにより、前記ジョブに基づいた印刷ができなかった旨を知らせることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載のジョブ管理装置であって、
前記退避手段が前記ジョブを前記他の装置に退避させることができない場合に、前記ジョブに対応する利用者宛のメールにより前記ジョブに基づいた印刷ができなかった旨を知らせる通知手段を更に備えることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載のジョブ管理装置であって、
前記スプーラ領域の空き容量が前記第1所定値以上である期間では、受信したジョブ及び前記他の装置から引き戻された前記ジョブを前記スプーラ領域を通してから前記実行装置に供給するスプーラ利用手段を更に備えることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載のジョブ管理装置であって、
前記ジョブはプリントジョブであり、前記実行装置は、印刷装置の印刷実行部であり、前記他の装置はメールサーバであることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項13】
請求項12に記載のジョブ管理装置と、前記印刷実行部とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項14】
請求項13に記載の印刷装置として機能することを特徴とする複合機。
【請求項15】
請求項13に記載の印刷装置と、
前記メールサーバと、
を備えることを特徴とする印刷システム。
【請求項16】
請求項1乃至12の何れか1項に記載のジョブ管理装置と、
前記他の装置と、
を備えることを特徴とするジョブ管理システム。
【請求項17】
ジョブ管理装置が実行するジョブ管理方法であって、
ジョブのためのスプーラ領域の空き容量が第1所定値未満である期間では、ジョブを受信したならば、該ジョブを自ジョブ管理装置とは異なる他の装置に退避させる退避ステップと、
前記他の装置に一旦退避させた前記ジョブを所定のポーリング間隔に従って前記他の装置から自ジョブ管理装置に引き戻す引戻ステップと、
前記他の装置から引き戻された前記ジョブを実行装置に出力するジョブ出力ステップと、
前記スプーラ領域の空き容量に従って前記ポーリング間隔を調整するポーリング間隔調整ステップと、
を有し、
前記所定のポーリング間隔は、前記ポーリング間隔調整
ステップにより調整されたものであることを特徴とするジョブ管理方法。
【請求項18】
コンピュータを請求項1乃至11の何れか1項に記載のジョブ管理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリントジョブなどのジョブを管理するためのジョブ管理装置、該ジョブ管理装置を含むジョブ管理システム、プリントジョブを管理するための管理装置を含む印刷装置又は複合機、該印刷装置又は該複合機を含む印刷システム並びにジョブ管理方法及び印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置を持つ印刷装置では、プリントジョブを一時的に記憶装置に設けられたスプーラに格納してから印刷を開始する、スプール印刷という機能が一般的に知られている。スプール印刷の機能により、複数のパーソナルコンピュータなどの情報装置から短時間で処理できないほど多数のプリントジョブが送られてきても、プリントジョブを破棄せずに、これらのプリントジョブを処理できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-124925号公報
【文献】特開2011-8536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、印刷装置が用紙切れのために停止して、受信済みのプリントジョブの処理が停滞している間にも新たなプリントジョブを受信する。この状態が継続し記憶装置のプリントジョブ用のスプーラ領域が容量不足になった場合には、情報処理装置に対してプリントジョブの送信を待たせたり、情報処理装置から送られてきたプリントジョブを破棄する必要が生じる。
【0005】
なお、これは、プリントジョブに限られたことではなく、他の種類のジョブにも同様なことがいえる。
【0006】
特許文献1には、イメージデータに基づいて中間データを生成し、これに基づいてビットマップ画像データを生成する画像処理装置において、中間データを保存するための記憶装置の容量が不足する場合には、リムーバブルドライブ内のイメージデータからビットマップ画像データを生成することにより記憶装置の使用を回避する画像処理装置が開示されている。しかし、特許文献1の技術では、記憶装置の空き容量がなくなることを回避できるが、次々と印刷要求を受けるならば、印刷できないデータが発生してしまう。
【0007】
特許文献2には、受信した電子メールのヘッダ部に基づいたカバーシートと電子メール本文を印刷する画像形成装置と、受信した電子メールの件名に記述されている印刷指示に基づいて添付ファイルを印刷する画像形成装置などが開示されている。しかし、特許文献2には、印刷速度が追い付かないほど電子メールが頻繁に来た場合、どうするかということに関する開示がない。
【0008】
そこで、本発明は、情報処理装置からスプーラにより吸収できないほど多数のジョブを受信しても、情報処理装置からのジョブの受信を継続でき、しかも、それらのジョブを破棄せずに、それらのジョブをジョブの実行装置に出力できるジョブ管理装置、該ジョブ管理装置を含むジョブ管理システム、プリントジョブを管理するための管理装置を含む印刷装置又は複合機、該印刷装置又は該複合機を含む印刷システム並びにジョブ管理方法及び印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
ジョブのためのスプーラ領域の空き容量が第1所定値未満である期間では、ジョブを受信したならば、該ジョブを他の装置に退避させる退避手段と、
前記他の装置に一旦退避させた前記ジョブを所定のポーリング間隔に従って前記他の装置から自印刷装置に引き戻す引戻手段と、
前記他の装置から引き戻された前記ジョブを実行装置に出力するジョブ出力手段と、
を備えることを特徴とするジョブ管理装置が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、上記のジョブ管理装置と、印刷実行部とを備えることを特徴とする印刷装置が提供される。
【0011】
更に、本発明によれば、上記の印刷装置として機能することを特徴とする複合機が提供される。
【0012】
更に、本発明によれば、上記の印刷装置と、メールサーバとを備えることを特徴とする印刷システムが提供される。
【0013】
更に、本発明によれば、上記のジョブ管理装置と、上記他の装置とを備えることを特徴とするジョブ管理システムが提供される。
【0014】
更に、本発明によれば、
ジョブのためのスプーラ領域の空き容量が第1所定値未満である期間では、ジョブを受信したならば、該ジョブを他の装置に退避させる退避ステップと、
前記他の装置に一旦退避させた前記ジョブを所定のポーリング間隔に従って前記他の装置から自印刷装置に引き戻す引戻ステップと、
前記他の装置から引き戻された前記ジョブを実行装置に出力するジョブ出力ステップと、
を有することを特徴とするジョブ管理方法が提供される。
【0015】
更に、本発明によれば、コンピュータを上記のジョブ管理装置として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、情報処理装置からスプーラにより吸収できないほど多数のジョブを受信しても、情報処理装置からのジョブの受信を継続でき、しかも、それらのジョブを破棄せずに、それらのジョブをジョブの実行装置に出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態による印刷システムの構成を示す概念図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態による印刷装置のプリントジョブを受信した時の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】本発明の第1の実施の形態による印刷装置の電子メールを送信する時の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の第1の実施の形態による印刷装置のメールサーバに問い合わせをする時の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の第2の実施の形態による印刷装置のメールサーバに問い合わせをする時の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本発明の第3の実施の形態による印刷装置のメールサーバに問い合わせをする時の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の第4の実施の形態による印刷装置及びこれに接続されたメールサーバを含印刷システムを示す機能ブロック図である。
【
図8】本発明の第6の実施の形態による複合機の概念的断面図である。
【
図9】本発明の第6の実施の形態による複合機の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
【0019】
[第1の実施の形態]
本発明の実施形態による印刷システムを
図1に示す。このシステムにおいては、複合機800は、パーソナルコンピュータ800#1乃至800#Nからプリントジョブを受信してスプール印刷を行うが、スプーラ領域の空き容量が減ったならば、受信したプリントジョブを一時的に電子メールサーバ802に退避し、それを取り戻してから印刷を実行する。
【0020】
印刷システムに含まれる印刷装置は、スプール印刷を行う場合に、プリントジョブ又はプリントデータを情報処理装置からネットワークを介して受信し、USBケーブルを介して受信し、又は、USBメモリから直接受信したりする。
【0021】
この他に、特許文献2に開示されているように電子メールを用いてプリントデータを印刷する方法もある。この方法においては、ユーザは、電子メールにプリントデータを添付し、又は、電子メール本文に印刷内容を記述し、印刷装置に割り当てられたメールアドレス宛てにその電子メールを送信する。そして、印刷装置は、メールサーバに対して自装置宛ての電子メールがあるかどうかの確認を行い、自装置宛ての電子メールがメールサーバにデータが届いている場合に、メールサーバから電子メールを受信する。印刷装置は、受信した電子メールにプリントデータが添付され、又は、電子メール本文に印刷するべき内容が記述されている場合に印刷を行う。
【0022】
一方で、印刷システムに含まれる印刷装置として機能する複合機は、スキャナ機能を持っているのが通常であるが、この他に、スキャンしたデータを特定のユーザのパーソナルコンピュータ、FTPサーバ、SMBサーバ、または特定のユーザのメールアドレス宛てにデータを送信することができるようなネットワーク設定を持っていることが多い。何れにしても、メール送信機能を有する複合機にメール作成機能を追加することにより、そのメール作成機能により作成したメールを送信することが可能になる。あるいは、印刷装置にメール作成機能及びメール送信機能を追加しても同様なことができる。
【0023】
スプール印刷中の動作は次のようになる。
【0024】
(1)プリントジョブを受信した際、印刷中のジョブまたはスプール保存したジョブが無い場合、受信したジョブを解析し画像形成部で印刷用画像を生成する。
【0025】
(2)実行中のジョブがある場合、記憶装置のスプーラ領域に受信したジョブの保存が可能な空き容量がある場合、スプーラ領域へ保存し、先行ジョブ(先行保存ジョブ)の次の待機ジョブとして待機させる。
【0026】
(3)記憶装置のスプーラ領域の空き容量が十分にない場合で、印刷装置が電子メール送信可能な状態である場合に電子メールを生成してプリントジョブのデータ退避等を実行する。
【0027】
(4)電子メール送信ができない場合は、従来通りに受信タイムアウト時間経過後にジョブキャンセルを行う。
【0028】
スプーラ領域が不十分で電子メールデータを生成する場合の動作は次のようになる。
【0029】
(1)印刷装置に電子メールプリント設定がされており、メールサーバからプリントジョブとしてメールデータを受信可能な場合、印刷システムに割り当てられているメールアドレスに対してメールデータを作成し、メールサーバへの問い合わせ間隔を延ばした上でメールデータを送信する。
【0030】
(2)印刷装置に電子メールプリント設定がされていない場合で、プリントジョブにユーザ名、パスワードなど、プリントジョブを送信したユーザの情報が含まれている場合に、
・印刷装置の持つアドレス帳情報、又は、
・印刷装置に設定されているLDAPサーバへの問い合わせ
などから、そのユーザのメールアドレスが特定可能な場合に、そのユーザのメールアドレスに対して、プリントジョブが印刷されなかったことをメール本文に記載して、メールを送信する。プリントジョブのサイズが小さい場合は、プリントジョブをメールに添付し、そのプリントジョブの再送信を促すこともできる。
【0031】
メールサーバへの問い合わせタイミングが来た場合の動作は次のようになる。
【0032】
(1)スプーラ領域に保存できなかったプリントジョブをメールで退避したかどうかを確認し、発行していない場合は通常通り、メールサーバへの問い合わせを実行する。
【0033】
(2)データの退避メールを発行している場合、スプーラ領域の空き状況をチェックし先行ジョブが処理され、空き容量が十分にある場合、メールサーバへの問い合わせ間隔を元の長さに戻し、メールサーバへの問い合わせを実行する。
【0034】
(3)スプーラ領域の空き状況が十分でない場合にメールサーバへの問い合わせをスキップし、次の問い合わせタイミングまで待つ。
【0035】
スプール印刷実行中で、受信したプリントジョブが記憶装置の容量不足でスプーラ領域に保存できなかった場合に、送信元の情報端末(PC)のタイムアウト時間経過後にプリントジョブが破棄されていたものが、メールサーバへ転送されるようになる。
【0036】
スプーラ領域に保存できなかったプリントジョブを、送信元のユーザのメールアドレスに送信することで、送信元ユーザに対して、印刷システムの状態(印刷不可である理由)の通知と、再度印刷指示をするように促すことができるためユーザの利便性が向上する。
【0037】
次に、本実施形態の動作を図面を参照して説明する。
【0038】
まず、スプール印刷中の動作を
図2を参照して説明する。
【0039】
プリントジョブを情報処理装置から受信したならば、スプール中又は印刷実行中のプリントジョブがあるか否かを判断し、そうでないならば(ステップS301でNO)、直ちに、受信したプリントジョブに基づいて印刷を実行する(ステップS307)。
【0040】
スプール中又は印刷実行中のプリントジョブがあるならば(ステップS301でYES)、スプーラ領域の空き容量が閾値#1以上であるか否かを判断し、そうであるならば(ステップS303でYES)、受信したプリントジョブをスプーラ領域に格納する(ステップS305)。
【0041】
スプーラ領域の空き容量が閾値#1未満であるならば(ステップS303でNO)、電子メールを送信するための処理をする(ステップS309)。
【0042】
【0043】
まず、電子メールプリントのための設定がされているか否かを判断する(ステップS321)。ここで、電子メールプリントとは、プリントジョブが添付され、印刷実行を指示する旨の記述がある自印刷装置宛ての電子メールをメールサーバから受信して、これに基づいて印刷を実行する機能のことである。メールサーバから電子メールを受信するためには、ポーリング間隔に従ってメールサーバに対して、自印刷装置宛ての電子メールがそこに保存されているかを問い合わせる。あるならば、メールサーバからそのような電子メールを受信する。電子メールプリントのための設定には、メールサーバにアクセスして、そこから電子メールを受信するための設定、受信した電子メールに基づいて印刷を実行するための設定が含まれる。
【0044】
電子メールプリントのための設定がされているならば(ステップS321でYES)、メールサーバに対するポーリングの時間間隔を広げる(ステップS323)。但し、既に広げられているならば、これを省略する。こうすることにより、後にステップS329で送信する電子メールを含む電子メールを後で説明するステップS357(
図4参照)においてメールサーバから受信するタイミングを遅らせることができる。ステップS323では、ステップS323を実行してから最初のポーリングを、広げた時間間隔が経過した後になるような調整をしてもよい。
【0045】
次に、自印刷装置宛の電子メールを生成し(ステップS325)、これにプリントジョブを添付してから(ステップS327)、ネットワークに送出する(ステップS329)。
【0046】
電子メールプリントのための設定がされていないならば(ステップS321でNO)、プリントジョブにユーザ名が設定されているか否かを確認する(ステップS331)。そうならば(ステップS331でYES)、印刷装置が持っているアドレス帳を検索したり、や印刷装置に設定されているLDAPサーバに問い合わせをしたりすることにより、ユーザ名からユーザのメールアドレスを特定できるかを確認する(ステップS333)。
【0047】
ユーザ名からユーザのメールアドレスが確認できたならば(ステップS333でYES)、特定したユーザのメールアドレス宛の電子メールを生成し(ステップS335)、これにプリントジョブを添付してから(ステップS337)、ネットワークに送出する(ステップS339)。
【0048】
電子メールプリントのための設定がされていないならば(ステップS321でNO)、タイムアウトまで待ってから(ステップS341)、プリントジョブをキャンセルする(ステップS343)。
【0049】
ユーザ名からユーザのメールアドレスが確認できないならば(ステップS333でNO)、タイムアウトまで待ってから(ステップS341)、プリントジョブをキャンセルする(ステップS343)。
【0050】
次に、
図4を参照すると、ポーリングのタイミングが来たならば、メールサーバに退避しているプリントジョブがあるか否かを確認する(ステップS351)。これは、メールサーバに退避した全てのプリントジョブをプリントサーバから取り戻しているか否かに基づいて確認することができる。
【0051】
メールサーバに退避しているプリントジョブがあるならば、スプーラ領域の空き容量が閾値#2以上であるか否かを確認する(ステップS359)。ここで、閾値#2を、閾値#1よりもある程度大きくするのがよい。
【0052】
スプーラ領域の空き容量が閾値#2以上であれば(ステップS359でYES)、
閾値#1+受信予定メールの総容量
<閾値#2
である限り、退避中の少なくとも一部のプリントジョブをスプーラに追加してもスプーラ領域の空き容量が閾値#1未満にならない。そこで、メールを受信するためにステップS353に進むが、ステップS357で全ての退避メールを受信できるならば、もはやポーリングの時間間隔を広げておく必要がなくなっていることになるので、その前に、ステップS323で広げられているポーリングの時間間隔を元の時間間隔まで戻す(ステップS361)。但し、既に戻されているならば、これを省略する。
【0053】
ステップS361からステップS353に進み、メールサーバに対してポーリングをすると、少なくとも、退避プリントジョブを添付したメールがメールサーバにあるので(ステップS355でYES)、少なくとも、退避プリントジョブを添付したメールを受信する(ステップS357)。元々、電子メールプリントのためにメールサーバに到着しているメールがあれば、ステップS357で受信される。
【0054】
メールサーバに退避しているプリントジョブがないならば(ステップS351でNO)、ここから直接ステップS353に進み、メールサーバに対してポーリングをする。この場合、退避ジョブを添付したメールは、メールサーバには保存されていない。電子メールプリントのためにメールサーバに送られてきているメールがメールサーバに保存されているならば(ステップS355でYES)、そのようなメールを受信する(ステップS357)。
【0055】
なお、ステップS323を省略して、スプーラ領域の空き容量が閾値#1未満となったことだけを条件として、メールサーバに対するポーリングの間隔を広げてもよい。情報処理装置からの自装置宛ての電子メールをメールサーバに送らない場合であっても、情報処理装置から送られてきたプリントジョブ又は電子メールプリントのためにメールサーバに送られてきたメールに添付されているプリントジョブによりスプーラ領域の空き容量が更に減るタイミングを遅らせることができる。
【0056】
同様に、ステップS361を省略して、スプーラ領域の空き容量が閾値#2以上となったことだけを条件として、メールサーバに対するポーリングの間隔を戻してもよい。メールサーバに退避しているプリントジョブがない場合であっても、電子メールプリントのためにメールサーバに送られてきたメールに添付されているプリントジョブを、より早いタイミングでスプーラに送ることができるようになる。
【0057】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比較し、
図4を参照して説明したポーリングのタイミングが来た時の動作が、
図5を参照して説明するポーリングのタイミングが来た時の動作に変更されている点が異なる。
【0058】
図5を参照すると、ポーリングのタイミングが来たならば、メールサーバに退避しているプリントジョブがあるか否かを確認する(ステップS351)。これは、メールサーバに退避した全てのプリントジョブをプリントサーバから取り戻しているか否かに基づいて確認することができる。
【0059】
メールサーバに退避しているプリントジョブがあるならば、スプーラ領域の空き容量が閾値#2以上であるか否かを確認する(ステップS359)。ここで、閾値#2を、閾値#1よりもある程度大きくするのがよい。
【0060】
スプーラ領域の空き容量が閾値#2以上であれば(ステップS359でYES)、
閾値#1+受信予定メールの総容量
<閾値#2
である限り、退避中の少なくとも一部のプリントジョブをスプーラに追加してもスプーラ領域の空き容量が閾値#1未満にならない。そこで、メールを受信するためにステップS353に進む。
【0061】
ステップS359からステップS353に進み、メールサーバに対してポーリングをすると、少なくとも、退避プリントジョブを添付したメールがメールサーバにあるので(ステップS355でYES)、スプーラ領域の空き容量が閾値#1以上であることとメールサーバにまだメールがあることを確認しつつ一通ずつメールを受信する(ステップS371、S373、S375)。
【0062】
スプーラ領域の空き容量が閾値#1以上である間にメールサーバにメールがない状態になったならば(ステップS375でNO)、もやはポーリング間隔を伸ばしておく必要がなくなったことになるので、メールサーバに対するポーリングの間隔を元に戻す(ステップS379)。
【0063】
メールサーバにメールが残っている間にスプーラ領域の空き容量が閾値未満になったならば(ステップS373でNO)、次に、メールサーバにメールに添付して退避しているプリントジョブが残っているか否かを判断する(ステップS377)。つまり、メールサーバに残っているメールのうち、自印刷装置から送った、プリントジョブを添付したメールがあるか否かを判断する。
【0064】
メールサーバにメールに添付して退避しているプリントジョブが残っていないことが判断されたならば(ステップS377でNO)、もやはポーリング間隔を伸ばしておく必要がなくなったことになるので、メールサーバに対するポーリングの間隔を元に戻す(ステップS379)。
【0065】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、第2の実施の形態と比較し、
図5を参照して説明したポーリングのタイミングが来た時の動作が、
図6を参照して説明するポーリングのタイミングが来た時の動作に変更されている点が異なる。
【0066】
図6を参照すると、ポーリングのタイミングが来たならば、メールサーバに退避しているプリントジョブがあるか否かを確認する(ステップS351)。これは、メールサーバに退避した全てのプリントジョブをプリントサーバから取り戻しているか否かに基づいて確認することができる。
【0067】
メールサーバに退避しているプリントジョブがあるならば、スプーラ領域の空き容量が閾値#2以上であるか否かを確認する(ステップS359)。ここで、閾値#2を、閾値#1よりもある程度大きくするのがよい。
【0068】
スプーラ領域の空き容量が閾値#2以上であれば(ステップS359でYES)、
閾値#1+受信予定メールの総容量
<閾値#2
である限り、退避中の少なくとも一部のプリントジョブをスプーラに追加してもスプーラ領域の空き容量が閾値#1未満にならない。そこで、メールを受信するためにステップS353に進む。
【0069】
ステップS359からステップS353に進み、メールサーバに対してポーリングをすると、少なくとも、退避プリントジョブを添付したメールがメールサーバにあるので(ステップS355でYES)、スプーラ領域の空き容量が閾値#1以上であることとメールサーバにまだメールがあることを確認しつつ一通ずつメールを受信する(ステップS371、S373、S375)。
【0070】
スプーラ領域の空き容量が閾値#1以上である間にメールサーバにメールがない状態になったならば(ステップS375でNO)、もやはポーリング間隔を伸ばしておく必要がなくなったことになるので、メールサーバに対するポーリングの間隔を元に戻す(ステップS379)。
【0071】
メールサーバにメールが残っている間にスプーラ領域の空き容量が閾値未満になったならば(ステップS373でNO)、終了する。これにより、メールサーバに退避メールが残っていなくても、メールサーバに電子メールプリントの目的で送られてきたメールが残っている場合にも、ポーリングの時間間隔は広げられたままになるので、スプーラ領域の空き容量が増加する時期が早まる傾向が増大する。
【0072】
[第4の実施の形態]
図7は、第4の実施の形態による印刷装置及びこれに接続されたメールサーバを含印刷システムを示す機能ブロック図である。
【0073】
図7を参照すると、印刷装置201は、プリントジョブ受信部211、設定判定部213、アドレス帳214、振分部215、送戻部217、スプーラ利用部219、設定保持部221、退避部223、空き容量検出部225、スプーラ227、ポーリング間隔調整部229、引戻部231、印刷実行部233を含む。
【0074】
プリントジョブ受信部211は、情報処理装置からプリントジョブを受信する。
【0075】
設定判定部213は、設定保持部221における電子メールプリントの設定状態、プリントジョブ受信部211が受信したプリントジョブのユーザ設定、アドレス帳214などに基づいて、振分部215がプリントジョブ受信部211が受信したプリントジョブを退避部223、スプーラ利用部219又は送戻部217に振り分けるための判定をする。
【0076】
振分部215は、設定判定部213による判定に従って、プリントジョブ受信部211が受信したプリントジョブを退避部223、スプーラ利用部219又は送戻部217に振り分ける。
【0077】
送戻部217は、振分部215から振り分けられてきたプリントジョブをメールに添付してプリントジョブのユーザ宛に送る。
【0078】
スプーラ利用部219は、振分部215から振り分けられてきたプリントジョブ又は引戻部231から送られてきたプリントジョブをスプーラ227に通してから印刷実行部233に出力する。但し、スプーラ227にプリントジョブがなく且つ実行中のプリントジョブがなければ、入力したプリントジョブをスプーラ227に通さずに直接的に印刷実行部233に出力してもよい。
【0079】
設定保持部221は自装置宛の電子メールを送信するための設定(送信サーバの設定など)と、自装置宛の電子メールをメールサーバ251を介して受信するための設定(電子メールプリントのための設定、受信サーバの設定など)を保持する。
【0080】
退避部223は、振分部215から振り分けられてきたプリントジョブを自装置宛のメールに添付して送信サーバを介してネットワークに送出する。
【0081】
空き容量検出部225は、スプーラ227の空き容量を検出する。
【0082】
スプーラ227は、FIFO方式により、スプーラ利用部219から送られてきたプリントジョブを一次記憶してスプーラ利用部219から要求された時に出力する。
【0083】
ポーリング間隔調整部229は、空き容量検出部225により検出されたスプーラ227の空き容量などに基づいてポーリング間隔を調整する。
【0084】
引戻部231は、ポーリング間隔調整部229が調整したポーリングの時間間隔でメールサーバ251の受信サーバ部をポーリングして、その結果に基づいて、プリントジョブが添付されているメールを受信する。
【0085】
印刷実行部233は、スプーラ利用部219から入力したプリントジョブに基づいて印刷を実行する。
【0086】
なお、
図7においては、送信サーバと受信サーバを一体化してメールサーバ251としている。
【0087】
[第5の実施の形態]
上記の実施の形態は、プリントジョブのためのスプーラ領域の空き容量が減っているときに、受信したプリントジョブを一時的にメールサーバに退避させるものである。特に、印刷装置に既に実装されている電子メールプリントの機能を用いているので退避先としてメールサーバを利用している。
【0088】
しかし、退避先として印刷装置の外部にある他の種類のサーバや装置をメールサーバの代わりに利用してもよい。この場合、プリントジョブをメールに添付せずに、そのままの形態又はサーバ若しくは他の装置との通信のためのフォーマットに適合させてサーバに送るようにしてもよい。
【0089】
また、上記の実施の形態は、プリントジョブを扱うものであるが他のジョブを扱うものであってもよい。複数種類のジョブを混合させた場合であっても、上記の実施の形態と同様にジョブを扱うことができる。
【0090】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、第4の実施の形態による印刷装置として機能する複合機800に関するものである。
図8及び
図9は、複合機800の構成などを示すものである。
【0091】
図8及び
図9に示すように、複合機800は、原稿の画像を読み取る原稿読取装置820と、シートに画像を形成する複合機本体(画像形成部本体)830と、原稿読取装置820及び複合機本体830を操作するための操作パネル部843と、操作パネル部843による操作に基づいて原稿読取装置820及び複合機本体830を制御する演算処理部841と、を備えている。
【0092】
画像読取りのために原稿読取装置820を単体で用いること、画像形成のために複合機本体830を単体で用いることの他に、画像を複写するためにこれらを連動させることもできる。また、複合機800は図示しない記憶装置及びファクシミリ装置を含んでいてもよい。記憶装置は、原稿読取装置820により読み取られた画像やファクシミリ装置により受信した画像を格納することができる。ファクシミリ装置は、原稿読取装置820により読み取られた画像や記憶装置に格納されている画像を送信することと、外部から画像を受信することができる。更に、複合機800は、ネットワークを介してパーソナルコンピュータと接続するためのインターフェースを含んでいてもよい。複合機800に接続されたパーソナルコンピュータは、これが管理できるデータについて複合機の機能を利用することができる。
【0093】
原稿読取装置820は、原稿を自動給送する原稿自動給送部SPF(Single Pass Feeder)824と、原稿の画像を読み取る読取装置本体822と、を備えている。なお、原稿読取装置820は、
図9に示す構成要素の他に、
図9は示されないが
図8に示される構成要素も含む。また、
図8に示すように、読取装置本体822には、原稿台826が備わる。
【0094】
複合機本体830は、シートを給送するシート給送部10と、シートを手差し給送可能な手差し給送部20と、シート給送部10又は手差し給送部20により給送されるシートに画像を形成する画像形成部30と、を備えている。
【0095】
シート給送部10は、シートを積載するシート積載部11と、シート積載部11に積載されたシートを1枚ずつ分離給送する分離給送部12と、を備えている。シート積載部11は、回転軸13を中心に回動する中板14を備えており、中板14は、シートを給送する際に回動してシートを上方に持ち上げる。分離給送部12は、中板14により持ち上げられたシートを給送するピックアップローラ15と、ピックアップローラ15により給送されるシートを1枚ずつに分離する分離ローラ対16と、を備えている。
【0096】
手差し給送部20は、シートを積載可能な手差しトレイ21と、手差しトレイ21に積載されたシートを1枚ずつ分離給送する分離給送部22と、を備えている。手差しトレイ21は、複合機本体830に回動自在に支持されており、手差し給送する際には、所定の角度に固定させることでシートを積載可能になる。分離給送部22は、手差しトレイ21に積載されたシートを給送するピックアップローラ23と、ピックアップローラ23により給送されるシートを1枚ずつに分離する分離ローラ24及び分離パッド25と、を備えている。
【0097】
画像形成部30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する4つのプロセスカートリッジ31Y~31Kと、後述する感光体ドラム740Y~740Kと、これらの表面を露光する露光装置32と、感光体ドラム740Y~740Kの表面に形成されたトナー像をシートに転写する転写部(転写手段)33と、転写したトナー像をシートに定着させる定着部34と、を備えている。なお、符号の最後に付すアルファベット(Y、M、C、K)は、それぞれの色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)を示している。
【0098】
4つのプロセスカートリッジ31Y~31Kのそれぞれは、複合機本体830から取り外し可能に構成されており、交換可能となっている。なお、4つのプロセスカートリッジ31Y~31Kは、形成する画像の色が異なること以外は同様な構成であるため、イエロー(Y)の画像を形成するプロセスカートリッジ31Yの構成のみの説明し、プロセスカートリッジ31M~31Kの説明は省略する。
【0099】
プロセスカートリッジ31Yは、像担持体としての感光体ドラム740Yと、感光体ドラム740Yを帯電させる帯電器741Yと、感光体ドラム740Y上に形成された静電潜像を現像する現像装置742Yと、感光体ドラム740Yの表面に残留するトナーを除去するドラムクリーナと、を備えている。現像装置742Yは、感光体ドラム740Yを現像する現像装置本体(詳細には図示せず)と、現像装置本体にトナーを供給するトナーカートリッジ(詳細には図示せず)と、を備えている。トナーカートリッジは、現像装置本体に着脱可能に構成されており、収容されたトナーが無くなると、現像装置本体から取り外して、交換することができるようになっている。
【0100】
露光装置32は、レーザ光を照射する光源(図示せず)と、レーザ光を感光体ドラム740Y~740Kに導く複数のミラー(図示せず)等と、を備えている。転写部33は、感光体ドラム740Y~740Kに形成されたトナー像を担持する中間転写ベルト35と、感光体ドラム740Y~740Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト35に一次転写する一次転写ローラ36Y~36Kと、中間転写ベルト35に転写されたトナー像をシートに二次転写する二次転写ローラ37と、中間転写ベルト35に残留するトナーを除去するベルトクリーナ38と、を備えている。中間転写ベルト35は、駆動ローラ39a及び従動ローラ39bに掛け渡されており、一次転写ローラ36Y~36Kによって感光体ドラム740Y~740Kに押し付けられている。二次転写ローラ37は、駆動ローラ39aとで中間転写ベルト35をニップ(挟持)しており、ニップ部Nで中間転写ベルト35が担持するトナー像をシートに転写する。定着部34は、シートを加熱する加熱ローラ34aと、加熱ローラ34aに圧接する加圧ローラ34bと、を備えている。
【0101】
操作パネル部843は、所定の情報を表示する表示部845と、利用者が原稿読取装置820及び複合機本体830への指示を入力する入力部847と、を備えている。本実施形態においては、操作パネル部843は、読取装置本体822の正面側に配設されている。なお、正面側は
図8の紙面の手前側に対応し、裏面側は
図8の背面側に対応する。
【0102】
図9に示すように、演算処理部841は、シート給送部10、手差し給送部20、画像形成部30及び原稿読取装置820を駆動制御するCPU841aと、CPU841aを動作させるための各種プログラムとCPU841aが用いる各種情報等を記憶するメモリ841bと、を備えている。演算処理部841は、利用者による操作パネル部843への操作に基づいて、シート給送部10、手差し給送部20、画像形成部30及び原稿読取装置820の動作を統合して制御し、シートに画像を形成させる。
【0103】
次に、上述のように構成された複合機800による画像形成動作(演算処理部841による画像形成制御)について説明する。本実施形態においては、原稿自動給送部824により給送され、読取装置本体822により読み取られた読取原稿の画像を、シート給送部10により給送されるシートに画像形成部30が形成する画像形成動作を例にとり説明する。
【0104】
利用者による操作パネル部843の入力部847への入力により、画像形成開始信号が発信されると、利用者により原稿自動給送部824に載置された読取原稿が原稿読取位置に向けて自動給送され、原稿読取位置で読取装置本体822によって画像が読み取られる。
【0105】
読取装置本体822により原稿の画像が読み取られると、読み取られた原稿の画像情報に基づいて、露光装置32が感光体ドラム740Y~740Kに向けて、それぞれに対応する複数のレーザ光を照射する。このとき、感光体ドラム740Y~740Kは、それぞれ、帯電器741Y~741Kにより予め帯電されており、それぞれに対応するレーザ光が照射されることで感光体ドラム740Y~740K上にそれぞれの静電潜像が形成される。その後、現像装置742Y~742Kにより感光体ドラム740Y~740K上にそれぞれ形成された静電潜像が現像され、感光体ドラム740Y~740K上に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)のトナー像が形成される。感光体ドラム740Y~740K上に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラ36Y~36Kによって中間転写ベルト35に重畳転写され、重畳転写されたトナー像(フルカラーのトナー像)は、中間転写ベルト35に担持された状態でニップ部Nまで搬送される。
【0106】
上述の画像形成動作に並行して、シート積載部11に積載されたシートが、分離給送部12によって1枚ずつに分離されながら、ピックアップローラ15によりシート搬送路26に給送される。そして、ニップ部Nのシート搬送方向上流にあるレジストローラ対27で、斜行が補正されると共に、所定の搬送タイミングでニップ部Nに搬送される。ニップ部Nに搬送されたシートは、二次転写ローラ37によって中間転写ベルト35が担持するフルカラーのトナー像が転写される。
【0107】
トナー像が転写されたシートは、定着部34で加熱・加圧されることでトナー像が溶融定着され、排出ローラ対18により装置外に排出される。装置外に排出されたシートは、排出シート積載部19に積載される。
【0108】
なお、シートの両面(第1面及び第2面)に画像を形成する場合には、第1面に画像が形成されたシートが装置外に排出される前に、排出ローラ対18を逆回転させて両面搬送路17に搬送し、両面搬送路17を介して画像形成部30に再搬送する。そして、第1面と同様に、第2面に画像を形成し、装置外に排出する。装置外に排出されたシートは、排出シート積載部19に積載される。
【0109】
なお、上記の印刷装置は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合わせにより実現することができる。また、上記の印刷装置により行なわれる印刷方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらに組合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0110】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0111】
本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の種々の形で実施することができる。そのため、前述した各実施形態は単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるべきではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更はすべて本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、印刷に利用することができる。また、本発明は、ジョブの制御に利用することができる。
【符号の説明】
【0113】
201 印刷装置
211 プリントジョブ受信部
213 設定判定部
214 アドレス帳
217 振分部
217 送戻部
219 スプーラ利用部
221 設定保持部
225 退避部
225 空き容量検出部
227 スプーラ
229 ポーリング間隔調整部
231 引戻部
233 印刷実行部
251 メールサーバ