(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】表示装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G03B 13/02 20210101AFI20221212BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20221212BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G03B13/02
G03B17/02
H04N5/225 450
(21)【出願番号】P 2018145164
(22)【出願日】2018-08-01
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】山本 次郎
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-083865(JP,A)
【文献】特開2001-339627(JP,A)
【文献】特開2015-184499(JP,A)
【文献】特開平11-167156(JP,A)
【文献】特開2018-097179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0086775(US,A1)
【文献】中国実用新案第202306083(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 13/00-13/28
G03B 17/02
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも画像が表示される表示部ユニットと、
前記表示部ユニットを覆う外装部材と
、前記表示部ユニットにおける表示面を保護するキャップ部材と、を有する表示装置であって、
前記表示部ユニットには、被検知体の近接を検知する近接センサーが備えられており、 前記外装部材には、前記近接センサーを保護するための保護部が備えられ、
さらに、前記外装部材には、前記近接センサーの検知方向において前記表示部ユニットを前記外装部材に固定するための固定部が形成され
、
前記外装部材は前記固定部において前記表示部ユニットと螺子によって固定され、
前記固定部は前記キャップ部材によって覆われ、
前記キャップ部材には、前記固定部に対応する位置において前記螺子に突出する凸形状部が形成され、
前記凸形状部の先端は前記螺子に当接又は所定量離間していることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記螺子は、前記表示部ユニットを貫通して、前記近接センサーの検
知方向において前記外装部材と当接する構造部材に締結されることを特徴とする請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記外装部材は、前記固定部が形成された箇所以外の箇所において前記表示部ユニットと離間していることを特徴とする請求項
1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記近接センサーは、光を投光する投光部と、前記投光部からの光が前記被検知体で反射された反射光を受光する受光部と、を有することを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の表示装置を備える電子機器。
【請求項6】
前記近接センサーによる検知結果に応じて前記表示部ユニットをオンオフ制御する制御手段を有することを特徴とする請求項
5に記載の電子機器。
【請求項7】
少なくとも画像が表示される表示部ユニットと、
前記表示部ユニットを覆う外装部材と、
前記表示部ユニットを取り付ける取り付け座が形成された本体部と、有し、
前記表示部ユニットには、被検知体の近接を検知する検知部と、前記取り付け座に固定される表示部ユニット固定部とが備えられ、
前記外装部材には、前記検知部を保護するための保護部と、前記検知部の検知方向において前記表示部ユニット固定部を前記取り付け座に固定するための固定部と、が備えられ
、
前記表示部ユニットには、前記表示部ユニット固定部が2か所で形成され、
当該表示部ユニット固定部を結ぶ第1の直線が表示部ユニットの長辺方向の第1の中心線と平行の関係にあり、
前記検知部は前記第1の直線上に位置することを特徴とする電子機器。
【請求項8】
少なくとも画像が表示される表示部ユニットと、
前記表示部ユニットを覆う外装部材と、
前記表示部ユニットを取り付ける取り付け座が形成された本体部と、有し、
前記表示部ユニットには、被検知体の近接を検知する検知部と、前記取り付け座に固定される表示部ユニット固定部とが備えられ、
前記外装部材には、前記検知部を保護するための保護部と、前記検知部の検知方向において前記表示部ユニット固定部を前記取り付け座に固定するための固定部と、が備えられ、
前記表示部ユニットには、前記表示部ユニット固定部が2か所で形成され、
当該表示部ユニット固定部を結ぶ第1の直線が表示部ユニットの長辺方向の第1の中心線と平行の関係にあり、
前記第1の直線の中点を通って直交する第2の直線が前記第1の中心線に直交する前記表示部ユニットの第2の中心線に略一致し、
前記検知部は前記第2の直線上に位置することを特徴とする電子機器。
【請求項9】
前記表示部ユニット固定部は前記固定部において前記取り付け座に螺子によって固定されていることを特徴とする請求項
7又は8に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および電子機器に関し、特に、表示部と当該表示部に対する表示の切替を行う近接センサーを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器の1つであるカメラには、ユーザがファインダーを覗いたことを検知して、表示の切替を行う近接検知部を備えるものがあり、この近接検知部は、例えば、ファインダーの近傍に配置されている。
【0003】
近接検知部は、例えば、近接センサーと保護窓とを有しており、近接センサーは投光素子および受光素子を備えている。そして、投光素子から投光された光がユーザーなどの反射体で反射された反射光を受光素子で受光して近接を検知する。
【0004】
ところで、カメラに衝撃などが加わると、近接センサーと保護窓との距離が変化することがある。そして、当該距離が変化すると、保護窓面の反射によって生じるクロストーク量が変化し、近接センサーの検知距離が変化して結果的に表示切替が良好に行えなくなることがある。
【0005】
このような事態を防止するため、例えば、カメラの外装ユニットで近接センサーおよび保護窓を圧接して保持するようにしたカメラが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載のカメラでは、外装ユニットによって近接センサーを保持する関係上、例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)を接続する工程を外装の組立際に行う必要がある。このため、カメラの組立が面倒となるばかりでなく、FPCを近接センサーまで延長する必要がありコストアップとなる。
【0008】
従って、本発明の目的は組立を良好に行うことができ、かつFPCの長さを必要最低限として低コストな表示装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明による表示装置は、少なくとも画像が表示される表示部ユニットと、前記表示部ユニットを覆う外装部材と、前記表示部ユニットにおける表示面を保護するキャップ部材と、を有する表示装置であって、前記表示部ユニットには、被検知体の近接を検知する近接センサーが備えられており、前記外装部材には、前記近接センサーを保護するための保護部が備えられ、さらに、前記外装部材には、前記近接センサーの検知方向において前記表示部ユニットを前記外装部材に固定するための固定部が形成され、前記外装部材は前記固定部において前記表示部ユニットと螺子によって固定され、前記固定部は前記キャップ部材によって覆われ、前記キャップ部材には、前記固定部に対応する位置において前記螺子に突出する凸形状部が形成され、前記凸形状部の先端は前記螺子に当接又は所定量離間していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、組立を良好に行うことができ、かつFPCの長さを必要最低限として低コストで信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態による電子機器の一例である撮像装置を示す斜視図である。
【
図2】カメラに備えられる近接検知部の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示すカメラの一部分を分解して示す斜視図である。
【
図4】
図3に示すカメラの一部分を組み付けた状態を示す断面図である。
【
図5】
図4に示す表示部ユニットの一例を説明するための図である。
【
図6】
図4に示す表示部ユニットの他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態による表示装置および電子機器の一例について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態による電子機器の一例である撮像装置を示す斜視図である。
【0014】
図示の撮像装置は、例えば、デジタルカメラ(以下単にカメラと呼ぶ)であり、カメラ1は光学像(被写体像)を撮像素子(図示せず)に結像させるレンズ鏡筒2を備えている。さらに、カメラ1の本体部の背面側には大型モニター3およびファインダー4が配置され、ユーザーは、モニター3およびファインダー4によって被写体像を確認することができる。
【0015】
例えば、ユーザーがファインダー4を覗き込むと、カメラ1に備えられたCPU(図示せず)は近接検知部5によってユーザーの顔(被検知体)が近接したこと(近づいたこと)を検知する。そして、CPUはファインダー4に備えられた小型モニターを点灯し、大型モニター3を消灯する。一方、近接検知部5によってユーザーの顔が離れたことを検知すると、CPUは小型モニターを消灯し、大型モニター3を点灯する。つまり、CPUは近接検知部5による検知結果に応じて小型モニターをオンオフ制御する。
【0016】
このように、CPUは近接検知部5によってユーザーがファインダー4を覗いているか否かを検知して表示の切り替え制御を行う。これによって、ユーザーがストレスを感じることなく撮影に集中できるばかりでなく、消費電力を低減することができる。
【0017】
図2は、カメラに備えられる近接検知部の一例を示す図である。
【0018】
図示のように、近接検知部5は、近接センサー6および保護窓(保護部)9を有している。近接センサー6は投光素子(投光部)6-aおよび受光素子(受光部)6-bを備え、これら投光素子6-aおよび受光素子6-bは一体に成型されている。そして、近接センサー6はFPC7に実装されている。
【0019】
図示の例では、投光素子6-aから投光された赤外光が検知対象物(例えば、ユーザーの顔)で反射した反射光を受光素子6-bで受光して検知対象物の接近を検知する。
【0020】
ところで、投光素子6-aから投光された赤外光には、保護窓9の内面又は外面で反射してクロストークとして受光素子6-bに受光されるものがある。このため、クロストークによる反射光量(クロストーク量)は常に一定であることが望ましく、近接センサー6と保護窓9とのギャップ11を所定の値(一定値)とする必要がある。 ところが、カメラ1に大きな衝撃が加わって、例えば、近接センサー6と保護窓9とのギャップ11が広がると、クロストーク量が増加してしまう。そして、クロストーク量が増加すると、ユーザーの顔が近づいたか否かを正常に検知することができない場合がある。
【0021】
このため、保護窓9を備える外装ユニット(外装部材)によって近接センサー6を構成すればギャップ11を安定させることができるが、前述のように、FPCの接続を外装組立の際に行う必要がある。この結果、カメラの組立が煩雑となり、さらには、FPCを延長する必要があるのでコストアップとなる。
【0022】
図3は、
図1に示すカメラの一部分を分解して示す斜視図である。
【0023】
図示のように、表示部ユニット8には近接センサー6が取り付けられている。一方、外装ユニット10には保護窓9が取り付けられている。表示部ユニット8には、表示部ユニット固定部8-aが設けられており、外装ユニット10には外装固定部10-aが設けられている。
【0024】
さらに、外装ユニット10において、近接センサー6の検出方向(実線矢印で示す方向)に当接する上面部外装(構造部材)13には上面部外装固定部13-aが設けられている。そして、2本の螺子12が表示部ユニット8を挟んで(つまり、貫通して)、外装固定部10-aおよび表示部ユニット固定部8-aを介して近接センサー6の検出方向において上面部外装固定部13-aに締結される。
【0025】
この結果、外装ユニット10は近接検知部5を構成する保護窓9のみを設ければよく、カメラ組立の際の作業を効率的に行うことができる。さらには、近接センサー6を外装ユニット側に設ける場合に比べて、FPC7を必要最低限の長さとすることができ、コストを抑えることができる。
【0026】
図4は、
図3に示すカメラの一部分を組み付けた状態を示す断面図である。
【0027】
保護窓9を備える外装ユニット10は、外装固定部10-aを介して近接センサー6を備える表示部ユニット8の固定部8-a及び上面部外装13の固定部13-aに2本の螺子12によって共締め固定される。
【0028】
これによって、近接センサー6の検知方向に対して保護窓9および近接センサー6がそれぞれ相対的に動くことがなくなって、結果的にギャップ11を一定に保つことが可能となる。
【0029】
螺子12の締結後に、外装ユニット10にキャップ(キャップ部材)14がスナップフィットによって取り付けられる。このキャップ14は弾性体のエラストマーと硬質の熱可塑性樹脂とによって2色成形されている。
【0030】
当該キャップ14は、外観面側を弾性体のエラストマーとして、カメラが落下した際の衝撃から表示部ユニット8の表示面を保護する。さらに、キャップ14はユーザーが眼鏡を装着している場合に当該眼鏡が傷つくことを防止する。キャップ14の内部側は硬質の熱可塑性樹脂で形成されているので、キャップ14を強固にスナップフィット固定することが可能となってカメラ使用の際にキャップ14が不用意に外れることがない。
【0031】
さらに、キャップ14において、硬質の熱可塑性樹脂は螺子12に当接するか又は熱可塑性樹脂には僅かなクリアランスを有する(所定量離間する)凸形状部14-aが形成されている。つまり、キャップ14には、外装固定部10-aに対応する位置において螺子12に突出する凸形状部14-aが形成されている。そして、凸形状部14-aの先端は螺子12に当接又は所定量離間している。
【0032】
凸形状部14-aを形成すれば、落下の際などカメラ1に衝撃が加わって螺子12が上部外装固定部13-aに対して僅かに緩んだとしても螺子12の頭頂部は凸形状部14-aによって抑えられる。この結果、螺子12のそれ以上の緩みを防止することができる。
【0033】
また、落下の際にキャップ14が床面などに衝突して変形したとしても凸形状部14-aが螺子12の頭頂部に当接してそれ以上の変形を防止することができる。つまり、カメラ1に衝撃などが加わっても、保護窓9と近接センサー6との間のギャップ11を一定に保つことができる。
【0034】
ところで、
図4に示すように、表示部ユニット8は小型モニター8-bを備え、さらに小型モニターによる表示を拡大表示するとともにユーザーの視度に合う焦点位置に調整する光学レンズ8-cを備えている。よって、表示部ユニット8に外力が加わると、光学レンズ8-cの位置が変化して、小型モニター8-bによる表示がボケたるか又は歪んだように見えてしまうことがある。
【0035】
そこで、図示の例では、表示部ユニット8は、表示部ユニット固定部8-aが形成された箇所以外の箇所においては外装ユニット10と接することなく空間15が規定されている。これによって、カメラ1に落下などによる衝撃が加わって外装ユニット10が多少変形したとしても光学レンズ8-cの位置は変化せず、常に所定の鮮明な画像をユーザーが視認することができる。
【0036】
図5は
図4に示す表示部ユニットの一例を説明するための図である。
【0037】
表示部ユニット8には、表示部ユニット固定部8-aが2か所で形成されている。これら表示部ユニット固定部8-aを結ぶ直線L1(第1の直線)は表示部ユニット8の中心線CL1(所定方向に延びる第1の中心線)と近接しかつ中心線CL1と平行の関係にある。
【0038】
このような関係を規定することによって、表示部ユニット8の重心近傍で固定することができるので、カメラ1に衝撃などが加わったとしても表示部ユニット8の位置は変位しにくい。さらに、直線L1上(第1の直線上)に近接センサー6が位置しているので、近接センサー6はその位置が変位しにくいように保持されることになる。
【0039】
図6は
図4に示す表示部ユニットの他の例を説明するための図である。
【0040】
図6に示す例においても、
図5に示す例と同様に、表示部ユニット8には、表示部ユニット固定部8-aが2か所で形成されている。そして、これら表示部ユニット固定部8-aを結ぶ直線L1は表示部ユニット8の横方向(所定方向)の中心線CL1と近接しかつ中心線CL1と平行の関係にある。
【0041】
この結果、前述のように、表示部ユニット8の重心近傍で固定され、カメラ1に衝撃などが加わったとしても表示部ユニット8の位置は変位しにくい。
【0042】
さらに、
図6に示す例では、直線L1の中点を通って直交する直線L2(第2の直線)が表示部ユニット8の縦方向の中心線CL2(第2の中心線)と略一致する。そして、当該直線L2上(第2の直線上)に近接センサー6が位置する。これによって、近接センサー6はその位置が変位しにくいように保持されることになる。
【0043】
このように、近接センサー6を表示部ユニット8の左右方向において配置する場合又は上下方向において配置する場合のいずれにおいても表示部ユニット固定部8-aと近接センサー6との位置関係を最適化することができる。
【0044】
以上のように、本発明の実施の形態では、カメラの組立を良好に行うことができ、かつFPCの長さを必要最低限として低コストで信頼性を向上させることができる。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 カメラ
5 近接検知部
6 近接センサー
7 FPC
8 表示部ユニット
9 保護窓
10 外装ユニット
11 ギャップ
12 螺子
14 キャップ