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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20221212BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20221212BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1343
G02F1/133 550
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018161585
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020034748
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 仁
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0265514(US,A1)
【文献】特開2013-246250(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103901684(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G02F 1/1343
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
副画素を有する第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に配置された液晶層と、
を備え、
前記第1基板は、
共通電圧が供給される共通電極と、
第1電圧が供給される信号線と、
前記副画素において第1方向に並ぶ第1電極および第2電極を含む画素電極と、
前記画素電極と対向するとともに第2電圧が供給される容量線と、
前記第1電極に接続された第1スイッチング素子と、
前記第2電極に接続された第2スイッチング素子と、
を備え
前記第1電極には前記第1電圧が供給され、前記第2電極には前記第1電圧および前記第2電圧が選択的に供給され、
前記第2電圧は、前記共通電圧と同じか、あるいは前記第1電圧と前記共通電圧の間の電圧であり、
前記第1スイッチング素子は、前記信号線に供給される前記第1電圧を前記第1電極に供給し、
前記第2スイッチング素子は、前記信号線に供給される前記第1電圧および前記容量線に供給される前記第2電圧のいずれかを前記第2電極に供給する、液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1スイッチング素子に第1走査信号を供給する第1走査線と、
前記第2スイッチング素子に第2走査信号を供給する第2走査線と、
をさらに備える、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記第1方向における前記副画素の中心からずれた位置に配置されている、
請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第2電極に前記第1電圧が供給されている場合、前記第1基板の法線方向から前記第1方向に向けて角度+θで傾いた方向における前記副画素の輝度と、前記法線方向から前記第1方向に向けて角度-θで傾いた方向における前記副画素の輝度とが同じであり、
前記第2電極に前記第2電圧が供給されている場合、前記角度+θで傾いた方向における前記副画素の輝度と、前記角度-θで傾いた方向における前記副画素の輝度とが異なる、
請求項ないしのうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
副画素を有する第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板および前記第2基板の間に配置された液晶層と、
を備え、
前記第1基板は、
前記副画素に配置され、第1電圧が供給される画素電極と、
前記副画素において第1方向に並ぶ第1電極および第2電極を含む共通電極と、
前記画素電極に接続された第1スイッチング素子と、
前記第2電極に接続された第2スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子に第1走査信号を供給する第1走査線と、
前記第2スイッチング素子に第2走査信号を供給する第2走査線と、
を備える液晶表示装置。
【請求項6】
前記第2電極は、前記第1方向における前記副画素の中心からずれた位置に配置されている、
請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1電極には共通電圧が供給され、前記第2電極には前記共通電圧および第2電圧が選択的に供給され、
前記第2電圧は、前記第1電圧と同じか、あるいは前記第1電圧と前記共通電圧の間の電圧である、
請求項5または6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記共通電圧および前記第2電圧が時分割で供給される信号線をさらに備え、
前記第2スイッチング素子は、前記信号線に供給される前記共通電圧および前記第2電圧のいずれかを前記第2電極に供給する、
請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1基板は、前記第2電圧が供給される信号線と、前記画素電極と対向するとともに前記共通電圧が供給される容量線と、をさらに備え、
前記第2スイッチング素子は、前記信号線に供給される前記第2電圧および前記容量線に供給される前記共通電圧のいずれかを前記第2電極に供給する、
請求項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第2電極に前記共通電圧が供給されている場合、前記第1基板の法線方向から前記第1方向に向けて角度+θで傾いた方向における前記副画素の輝度と、前記法線方向から前記第1方向に向けて角度-θで傾いた方向における前記副画素の輝度とが同じであり、
前記第2電極に前記第2電圧が供給されている場合、前記角度+θで傾いた方向における前記副画素の輝度と、前記角度-θで傾いた方向における前記副画素の輝度とが異なる、
請求項ないしのうちいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の基板の間に液晶層が封入された液晶表示装置が各種の電子機器に用いられている。近年では、種々の改良により、広視野角の液晶表示装置が実現されている。これにより、表示面の法線方向に対して傾いた方向から表示面を見る者に対しても、良好な画像を視認させることができる。
【0003】
一方で、画面を視認可能な者を限定するために、特定の方向からの画像の視認性を意図的に低下させたいとの要望もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-163590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的の一つは、視野角を制御可能な液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る液晶表示装置は、副画素を有する第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間に配置された液晶層と、を備えている。さらに、前記第1基板は、共通電圧が供給される共通電極と、第1電圧が供給される信号線と、前記副画素において第1方向に並ぶ第1電極および第2電極を含む画素電極と、前記画素電極と対向するとともに第2電圧が供給される容量線と、前記第1電極に接続された第1スイッチング素子と、前記第2電極に接続された第2スイッチング素子と、を備えている。前記第1電極には前記第1電圧が供給され、前記第2電極には前記第1電圧および前記第2電圧が選択的に供給される。前記第2電圧は、前記共通電圧と同じか、あるいは前記第1電圧と前記共通電圧の間の電圧である。前記第1スイッチング素子は、前記信号線に供給される前記第1電圧を前記第1電極に供給する。前記第2スイッチング素子は、前記信号線に供給される前記第1電圧および前記容量線に供給される前記第2電圧のいずれかを前記第2電極に供給する。
【0007】
また、一実施形態に係る液晶表示装置は、副画素を有する第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板および前記第2基板の間に配置された液晶層と、を備えている。さらに、前記第1基板は、前記副画素に配置され、第1電圧が供給される画素電極と、前記副画素において第1方向に並ぶ第1電極および第2電極を含む共通電極と、前記画素電極に接続された第1スイッチング素子と、前記第2電極に接続された第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子に第1走査信号を供給する第1走査線と、前記第2スイッチング素子に第2走査信号を供給する第2走査線と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る表示装置を概略的に示す分解斜視図である。
図2図2は、第1実施形態における表示パネルの概略的な平面図である。
図3図3は、第1実施形態における副画素に適用し得る構成を示す概略的な平面図である。
図4図4は、図3におけるIV-IV線に沿う表示パネルの概略的な断面図である。
図5図5は、第1実施形態における透過光を説明するための表示パネルの概略的な断面図である。
図6図6は、第1実施形態における第1モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図7図7は、第1実施形態における第2モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図8図8は、極角と輝度との関係をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図9図9は、表示装置の使用例を示す図である。
図10図10は、第2実施形態における副画素に適用し得る構成を示す概略的な平面図である。
図11図11は、第2実施形態における第1モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図12図12は、第2実施形態における第2モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図13図13は、第3実施形態における副画素に適用し得る構成を示す概略的な平面図である。
図14図14は、第3実施形態における第1モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図15図15は、第3実施形態における第2モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図16図16は、第4実施形態における副画素に適用し得る構成を示す概略的な平面図である。
図17図17は、第5実施形態における副画素に適用し得る構成を示す概略的な平面図である。
図18図18は、第5実施形態における第1モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図19図19は、第5実施形態における第2モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図20図20は、第6実施形態における副画素に適用し得る構成を示す概略的な平面図である。
図21図21は、第7実施形態における副画素に適用し得る構成を示す概略的な平面図である。
図22図22は、第7実施形態における第1モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
図23図23は、第7実施形態における第2モードを示す表示パネルの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
各実施形態においては、表示装置の一例として、バックライトを備えた透過型の液晶表示装置を開示する。なお、各実施形態は、他種の表示装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。他種の表示装置としては、例えば、外光を利用して画像を表示する反射型の液晶表示装置や、透過型と反射型の双方の機能を備えた液晶表示装置などが想定される。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る液晶表示装置1(以下、表示装置1と呼ぶ)の構成例を概略的に示す分解斜視図である。図示したように第1方向X、第2方向Y、第3方向Zを定義する。各方向X,Y,Zは、本実施形態においては互いに直交する方向であるが、垂直以外の角度で交わってもよい。
【0011】
表示装置1は、バックライトBLと、表示パネルPNLとを備えている。図1の例において、バックライトBLは、表示パネルPNLに対向する導光板LGと、導光体LGの側面に対向する複数の発光素子LSとを備えたサイドエッジ型である。ただし、バックライトBLの構成は図1の例に限られず、画像表示に必要な光を供給する構成であればよい。例えば、バックライトBLは、表示パネルPNLの下方に配置された発光素子を含む直下型であってもよい。
【0012】
図1の例において、表示パネルPNLおよび導光板LGは、いずれも第1方向Xに沿う長辺と、第2方向Yに沿う短辺とを有する長方形状に形成されている。表示パネルPNLおよび導光板LGは、長方形状に限られず、他の形状であってもよい。
【0013】
表示パネルPNLは、透過型の液晶パネルであり、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向する第2基板SUB2と、これら基板SUB1,SUB2の間に封入された液晶層LQとを備えている。表示パネルPNLは、例えば矩形状の表示領域DAを有している。
【0014】
さらに、表示装置1は、光学シート群OGと、第1偏光板PL1と、第2偏光板PL2とを備えている。光学シート群OGは、導光体LGと表示パネルPNLの間に配置されている。例えば、光学シート群OGは、導光体LGから出射する光を拡散する拡散シートDFと、多数のプリズムが形成された第1プリズムシートPR1および第2プリズムシートPR2とを含む。第1偏光板PL1は、光学シート群OGと第1基板SUB1の間に配置されている。第2偏光板PL2は、第2基板SUB2の上方に配置されている。
【0015】
表示装置1は、例えば、車載機器、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、テレビ受像装置、ゲーム機器等の種々の装置(電子機器、あるいは自動車等の車両)に用いることができる。
【0016】
図2は、表示パネルPNLの概略的な平面図である。表示パネルPNLは、表示領域DAにおいてマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例として、画素PXは赤色、緑色、青色の副画素SPを含むが、白色などの他の色の副画素を含んでもよい。
【0017】
表示パネルPNLは、複数の第1走査線G1と、複数の第2走査線G2と、複数の映像信号線Sと、第1走査ドライバGD1と、第2走査ドライバGD2と、映像ドライバSDとを備えている。
【0018】
複数の第1走査線G1および複数の第2走査線G2は、第1方向Xに延びている。図2の例においては、第1走査線G1および第2走査線G2が第2方向Yに交互に並んでいる。各第1走査線G1は、第1走査ドライバGD1に接続されている。各第2走査線G2は、第2走査ドライバGD2に接続されている。第1走査ドライバGD1は、各第1走査線G1に第1走査信号を供給する。第2走査ドライバGD2は、各第2走査線G2に第2走査信号を供給する。
【0019】
複数の信号線Sは、第2方向Yに延びるとともに、第1方向Xに並んでいる。各信号線Sは、映像ドライバSDに接続されている。映像ドライバSDは、各信号線Sに映像信号を供給する。
【0020】
第1走査ドライバGD1、第2走査ドライバGD2および映像ドライバSDは、コントローラCTによって制御される。コントローラCTは、上述の発光素子LSを制御するものであってもよい。例えばコントローラCTは、ICや各種の回路素子によって構成することができる。表示パネルPNLを制御するICと、発光素子LSを制御するICとでコントローラCTが構成されてもよい。
【0021】
図3は、本実施形態において副画素SPに適用し得る構成を示す概略的な平面図である。例えば、副画素SPは、2本の信号線Sと、2本の第1走査線G1とで区画される領域に相当する。
【0022】
表示パネルPNLは、各副画素SPに配置された画素電極PEと、画素電極PEに対向する共通電極CEとを備えている。画素電極PEは、第1電極Ea1と、第2電極Ea2とを有している。第1電極Ea1は、第1線部La1と、第2線部La2と、各線部La1,La2の図中上方の端部同士を接続する第1接続部Ca1と、各線部La1,La2の図中下方の端部同士を接続する第2接続部Ca2とを有している。第2線部La2と第2電極Ea2との間には隙間が形成され、互いに電気的に独立している。
【0023】
なお、第1電極Ea1が有する線部の数は2本に限られず、より多くの線部を有してもよい。また、図3の例においては、第2電極Ea2が1本の線部で構成されている。ただし、第2電極Ea2が複数の線部で構成されてもよい。
【0024】
図3の例においては、信号線Sが第1部分P1と、第2部分P2と、第3部分P3と、第4部分P4とを含み、屈曲しながら第2方向Yに延びている。第1部分P1は、第2方向Yに対して時計回りに鋭角φ1で傾いている。第2部分P2は、第2方向Yに対して時計回りに鋭角φ2で傾いている。第3部分P3は、第2方向Yに対して反時計回りに鋭角φ2で傾いている。第4部分P4は、第2方向Yに対して反時計回りに鋭角φ1で傾いている。鋭角φ2は、鋭角φ1よりも大きい。
【0025】
各線部La1,La2および第2電極Ea2は、信号線Sの各部分P1~P4と同様の形状で屈曲している。これにより、マルチドメインの副画素SPを実現できる。なお、副画素SPはマルチドメインの構造に限られず、シングルドメインの構造であってもよいし、複数の副画素SPでマルチドメインを実現する疑似マルチドメインの構造であってもよい。後述の第2ないし第7実施形態においても同様である。
【0026】
表示パネルPNLは、第1スイッチング素子SW1と、第2スイッチング素子SW2とをさらに備えている。第1スイッチング素子SW1は、第1ゲート電極GE1と、第1ソース電極SE1と、第1ドレイン電極DE1とを備えている。第1ゲート電極GE1は、第1走査線G1に接続されている。第1ソース電極SE1は、信号線Sに接続されている。第1ドレイン電極DE1は、第1電極Ea1に接続されている。第1ゲート電極GE1は、第1走査線G1の一部であってもよい。第1ソース電極SE1は、信号線Sの一部であってもよい。第1ドレイン電極DE1は、第1電極Ea1の一部であってもよい。
【0027】
第2スイッチング素子SW2は、第2ゲート電極GE2と、第2ソース電極SE2と、第2ドレイン電極DE2とを備えている。第2ゲート電極GE2は、第2走査線G2に接続されている。第2ソース電極SE2は、第1ソース電極SE1と同じ信号線Sに接続されている。第2ドレイン電極DE2は、第2電極Ea2に接続されている。第2ゲート電極GE2は、第2走査線G2の一部であってもよい。第2ソース電極SE2は、信号線Sの一部であってもよい。第2ドレイン電極DE2は、第2電極Ea2の一部であってもよい。
【0028】
このような構成においては、第1電極Ea1と第2電極Ea2にそれぞれ異なる電圧を供給することができる。すなわち、各電極Ea1,Ea2にそれぞれ印加すべき電圧が映像ドライバSDから時分割で信号線Sに供給される。さらに、第1電極Ea1に印加すべき電圧が信号線Sに供給されるタイミングで第1走査ドライバGD1から第1走査線G1に第1走査信号が供給され、第2電極Ea2に印加すべき電圧が信号線Sに供給されるタイミングで第2走査ドライバGD2から第2走査線G2に第2走査信号が供給される。
【0029】
図3の例においては、各ソース電極SE1,SE2が接続される信号線Sと第2電極Ea2の間に第1電極Ea1が配置されている。他の例として、この信号線Sと第1電極Ea1の間に第2電極Ea2が配置されてもよい。
【0030】
図3には、副画素SPの第1方向Xにおける中心CL1と、第2方向Yにおける中心CL2とを示している。図3の例においては、第2線部La2が中心CL1と重畳している。さらに、第2電極Ea2が中心CL1から図中左方にずれている。ただし、第1電極Ea1が中心CL1と重畳していなくてもよいし、第2電極Ea2の少なくとも一部が中心CL1と重畳してもよい。中心CL2は、例えば第2部分P2と第3部分P3の境界と一致するが、この例に限られない。
【0031】
以下の説明においては、副画素SPの図中上方の端部を第1端部EP1と呼び、図中下方の端部を第2端部EP2と呼ぶ。第2走査線G2は、中心CL2と第2端部EP2の間に配置されている。一例として、第2走査線G2と中心CL2の間の距離は、第2走査線G2と第2端部EP2側の第1走査線G1の間の距離よりも大きい。
【0032】
第1ゲート電極GE1、第1ソース電極SE1および第1ドレイン電極DE1は、中心CL2よりも第1端部EP1側に位置している。第2ゲート電極GE2、第2ソース電極SE2および第2ドレイン電極DE2は、中心CL2よりも第2端部EP2側に位置している。
【0033】
図3の例においては、半導体が走査線と2回交差するダブルゲート型の第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2を示している。ただし、スイッチング素子SW1,SW2は、シングルゲート型であってもよい。後述する図10図13図16図17図20および図21におけるスイッチング素子SW1,SW2の形状は、例えば図3に示すスイッチング素子SW1,SW2と同様の形状、あるいは図3に示すスイッチング素子SW1,SW2を適宜に修正した形状を適用できる。
【0034】
図4は、図3におけるIV-IV線に沿う表示パネルPNLの概略的な断面図である。第1基板SUB1は、第1透明基材10と、第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第3絶縁層13と、第4絶縁層14と、第5絶縁層15と、第1配向膜16と、信号線Sと、共通電極CEと、画素電極PEとを備えている。図4には示されていないが、第1基板SUB1は、第1走査線G1、第2走査線G2、第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2も備えている。
【0035】
第1透明基材10は、例えばガラスまたは樹脂である。第1絶縁層11は、第1透明基材10の上面を覆っている。第2絶縁層12は、第1絶縁層11を覆っている。例えば、各スイッチング素子SW1,SW2の半導体層は、第1絶縁層11と第2絶縁層12の間に配置されている。第3絶縁層13は、第2絶縁層12を覆っている。例えば、各走査線G1,G2は、第2絶縁層12と第3絶縁層13の間に配置されている。
【0036】
信号線Sは、第3絶縁層13の上に配置されている。第4絶縁層14は、信号線Sおよび第3絶縁層13を覆っている。第4絶縁層14は、例えば有機樹脂材料で形成され、他の絶縁層11~13,15よりも厚い。共通電極CEは、第4絶縁層14の上に配置されている。第5絶縁層15は、共通電極CEを覆っている。画素電極PE(第1線部La1、第2線部La2および第2電極Ea2)は、第5絶縁層15の上に配置されている。第1配向膜16は、画素電極PEおよび第5絶縁層15を覆っている。
【0037】
第2基板SUB2は、第2透明基材20と、遮光層21と、カラーフィルタ22と、オーバーコート層23と、第2配向膜24とを備えている。第2透明基材20は、例えばガラスまたは樹脂である。遮光層21は、第2透明基材20の下面に配置されている。遮光層21は、信号線S、第1走査線G1および第2走査線G2と対向し、副画素SPにおいて開口している。カラーフィルタ22は、遮光層21および第2透明基材20の下面を覆っている。カラーフィルタ22は、副画素SPに対応する色に着色されている。オーバーコート層23は、カラーフィルタ22を覆っている。第2配向膜24は、オーバーコート層23を覆っている。
【0038】
なお、遮光層21は第1走査線G1および第2走査線G2と対向し、これら走査線G1,G2と重畳する。そのため、副画素SPにおける遮光層21の開口の第2方向Yにおける中心は、副画素SPの第2方向Yにおける中心CL2よりも第2走査線G2と離間する側に位置する場合がある。この場合、第2部分P2と第3部分P3の境界と、副画素SPにおける遮光層21の開口の第2方向Yにおける中心とを一致させる構造としてもよい。他方、遮光層21を第2走査線G2と対向させない構成であってもよい。この場合であっても、第2信号線G2は光が透過しないため、上述のように、第2部分P2と第3部分P3の境界と、副画素SPにおける遮光層21の開口の第2方向Yにおける中心とを一致させる構造としてもよい。
【0039】
また、第2走査線G2の第2方向Yにおける幅を第1走査線G1の第2方向Yにおける幅よりも狭くすることも可能である。また、本実施形態では、第1電極Ea1の面積に対して第2電極Ea2の面積の方が小さくなっている。そのため、第2電極Ea2に接続する第2スイッチング素子SW2のチャネル幅(走査線と半導体とが交差する部分の半導体の幅)を第1電極Ea1に接続する第1スイッチング素子SW1のチャネル幅よりも狭くしてもよい。もちろん、第1スイッチング素子SW1のチャネル幅と第2スイッチング素子SW2のチャネル幅を同じにすることで、設計の容易化をはかることも可能である。
【0040】
図4に示す構造は、In-Plane Switching(IPS)モードの一種であるFringe Field Switching(FFS)モードに相当する。IPSモードおよびFFSモードは、広視野角を実現できる利点がある。ただし、表示パネルPNLの構造は、図4の例に限られない。例えば、第1基板SUB1に画素電極PEが設けられ、第2基板SUB2に共通電極CEが設けられてもよい。また、共通電極CEの上方または下方に、共通電極CEと電気的に接続され且つ信号線Sに沿って延びる金属配線が設けられてもよい。また、カラーフィルタ22は、第1基板SUB1に設けられてもよい。その他にも、第1基板SUB1および第2基板SUB2は、種々の態様に変形することができる。
【0041】
図5は、表示パネルPNLの透過光を説明するための表示パネルPNLの概略的な断面図である。ここでは、バックライトBLから放たれ、表示パネルPNLを透過する3方向の光TC,TR,TLを矢印にて示している。光TCは、極角θが零の光である。光TRは、正の極角θ(+θ)を有する光である。光TLは、負の極角θ(-θ)を有する光である。ここで、極角θは、X-Z平面において第1基板SUB1または第2基板SUB2の法線方向から第1方向Xに向けた傾きを表す。
【0042】
図5においては中心CL1付近に光TCを示しているが、極角θが零である光TCは副画素SPの各所を透過する。一方で、光TR,TLは、信号線Sや遮光層21の制約を受ける。そのため、光TRは、液晶層LQにおける第1電極Ea1(線部La1,La2)近傍の第1領域XRを主に透過する。また、光TLは、液晶層LQにおける第2電極Ea2近傍の第2領域XLを主に透過する。ここで、第1領域XRは、中心CL1よりも図中右方において、中心CL1寄りの領域である。第2領域XLは、中心CL1よりも図中左方において、中心CL1寄りの領域である。
【0043】
図6および図7は、画素電極PEと共通電極CEの間に形成される電界EFと、液晶層LQに含まれる液晶分子LMとの関係を示す表示パネルPNLの概略的な断面図である。図6においては、第1電極Ea1(線部La1,La2)および第2電極Ea2のいずれにも第1電圧V1が供給されている。共通電極CEには、共通電圧Vcomが供給されている。一例として、共通電圧Vcomは0Vであり、第1電圧V1は階調に応じて-5Vから+5Vの範囲で変化する。第1電極Ea1および第2電極Ea2と、共通電極CEとの間に電位差が生じると、電界EFが発生する。
【0044】
液晶分子LMは、電界EFが生じる前は破線で示すように初期配向方向に配向されている。電界EFが生じると、液晶分子LMは、実線で示すように初期配向方向から回転する。図6においては、第1電極Ea1近傍の液晶分子LMおよび第2電極Ea2近傍の液晶分子LMが、いずれも電界EFにより回転している。この場合、光TC,TR,TLは、いずれも十分な輝度となり、広視野角の画像表示を実現できる。
【0045】
図7においては、第1電極Ea1に第1電圧V1が供給され、第2電極Ea2に第2電圧V2が供給されている。第2電圧V2は、例えば共通電圧Vcomと同じである。この場合、第2電極Ea2と共通電極CEの間には電界EFが形成されない。したがって、第2電極Ea2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。
【0046】
第1電極Ea1近傍を通る光TCは、回転した液晶分子LMの影響を受けているため、第2偏光板PL2で吸収されずに透過する。光TRは、図5を用いて説明した通り第1電極Ea1近傍を通るので、回転した液晶分子LMの影響を受ける。したがって、光TRも第2偏光板PL2で吸収されずに透過する。
【0047】
一方、光TLは、図5を用いて説明した通り、中心CL1よりも左方の第2電極Ea2近傍を多く通るので、回転した液晶分子LMの影響を受けにくい。したがって、光TLは、第1偏光板PL1を透過した偏光状態のまま第2偏光板PL2に到達し、第2偏光板PL2によって大部分が吸収される。これにより、光TLの輝度が光TC,TRに比べて低くなる。
【0048】
なお、第2電圧V2は、第1電圧V1と共通電圧Vcomの間の電圧であってもよい。この場合であっても、第1電圧V1が供給された第1電極Ea1近傍に比べて、第2電極Ea2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。したがって、光TLの輝度が光TC,TRに比べて低くなる。
【0049】
以下、表示領域DAの各副画素SPにおいて、第2電極Ea2に第1電極Ea1と同じ第1電圧V1を供給する表示制御を第1モードと呼ぶ。さらに、表示領域DAの各副画素SPにおいて、第2電極Ea2に第1電極Ea1と異なる第2電圧V2を供給する表示制御を第2モードと呼ぶ。
【0050】
図8は、極角と輝度との関係をシミュレーションした結果を示すグラフである。シミュレーションにおいては、画素ピッチが27μmかつ14インチの表示装置をモデルとした。曲線C1は第1モードのシミュレーション結果であり、曲線C2は第2モードのシミュレーション結果である。横軸は極角であり、縦軸は曲線C1の極角0°における輝度を1.0とした相対値である。
【0051】
曲線C1から分かるように、第1モードにおける輝度は、極角の絶対値が増大するほど低下する。さらに、極角が正方向に増大する場合(図中右側)と、極角が負方向に増大する場合(図中左側)とで、輝度は概ね同様の勾配で低下する。
【0052】
曲線C2から分かるように、第2モードにおいては、全体的に輝度が低下する。特に、極角が負となる範囲においては、輝度が大きく低下しているため、画像が視認しにくくなる。
【0053】
曲線C1において、極角+45°および極角-45°における輝度はB1である。曲線C2において、極角+45°における輝度はB1よりも低いB2であり(B2<B1)、極角-45°における輝度はB2よりも低いB3である(B3<B2)。例えば、B2とB3の差分(B2-B3)は、B1とB2の差分(B1-B2)よりも大きい。このように、第2モードにおいては、正の極角範囲と負の極角範囲とで視野角特性が異なる。
【0054】
表示装置1は、第1モードと第2モードを切り替えることができる。第1モードと第2モードの切り替えは、例えば表示装置1が搭載される電子機器のプロセッサから表示装置1に入力される指示に応じてコントローラCTが実行してもよい。
【0055】
第1モードにおいては、1つの副画素SPに画像信号を供給する期間において、階調に応じた第1電圧V1が信号線Sに供給される。さらに、第1走査線G1に第1走査信号が供給されるとともに、第2走査線G2に第2走査信号が供給される。これにより、各スイッチング素子SW1,SW2がオンとなり、第1電圧V1が第1電極Ea1と第2電極Ea2にそれぞれ供給される。
【0056】
第2モードにおいては、1つの副画素SPに画像信号を供給する期間において、階調に応じた第1電圧V1と、第2電圧V2とが時分割で信号線Sに供給される。信号線Sに第1電圧V1が供給されているときに第1走査線G1に第1走査信号が供給され、これにより第1スイッチング素子SW1がオンとなり、第1電圧V1が第1電極Ea1に供給される。さらに、信号線Sに第2電圧V2が供給されているときに第2走査線G2に第2走査信号が供給され、これにより第2スイッチング素子SW2がオンとなり、第2電圧V2が第2電極Ea2に供給される。
【0057】
第1モードにおいては、極角が正負のいずれの方向から見た場合であっても、表示領域DAの画像を良好に視認することができる。したがって、第1モードは、視野角を制限する必要が無い状況における表示装置1の使用に適している。一方、第2モードにおいては、極角が正の方向からは表示領域DAの画像を良好に視認できるが、極角が負の方向からは当該画像を視認しにくい。したがって、第2モードは、特定の方向からの画像の視認を抑制すべき状況における表示装置1の使用に適している。
【0058】
図9は、表示装置1の使用例を示す図である。この使用例においては、表示装置1が車載機器に実装された場合を想定している。表示装置1は、ハンドルHやメーターMが設けられた運転席DSと助手席ADとの間の中間領域MAに取り付けられている。
【0059】
例えば図示したように助手席ASから運転席DSに向かう方向が第1方向Xであり、図中の下方に向かう方向が第2方向Yである場合、本実施形態の画素構造においては、第2モードにおいて助手席ASからの画像の視認性を低下させることができる。反対に、運転席DSからの画像の視認性を低下させたい場合には、例えば図3に示した副画素SPの構造を左右反転させたり、第1電極Ea1と第2電極Ea2の位置を入れ替えたりすればよい。
【0060】
表示装置1は、車載機器だけでなく、種々の機器に用いることができる。また、画像の視認性を低下させる方向は、左方向または右方向に限られず、上方向や下方向などの他の方向であってもよい。
【0061】
本実施形態においては、第1スイッチング素子SW1の第1ソース電極SE1と、第2スイッチング素子SW2の第2ソース電極SE2とがいずれも信号線Sに接続されている。これにより、1本の信号線Sを通じて第1電極Ea1と第2電極Ea2に電圧を供給することができるので、別々の信号線を設ける場合に比べて副画素SPの高精細化や開口率の向上が容易となる。
【0062】
さらに、本実施形態においては、表示パネルPNLがIPSモード(FFSモード)の構造を有しており、かつ副画素SPがマルチドメインの構造を有している。これにより、第1モードにおいては視野角が広くかつ極角依存性が低い画像表示が可能となる。
以上の他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。
【0063】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。ここでは主に第1実施形態との相違点に着目し、第1実施形態と同様の構造については説明を適宜に省略する。
【0064】
図10は、本実施形態において副画素SPに適用し得る構成を示す概略的な平面図である。共通電極CEを実線で示し、画素電極PEを破線で示している。画素電極PEは、第1線部Lb1と、第2線部Lb2と、第3線部Lb3と、線部Lb1~Lb3の図中上方の端部同士を接続する第1接続部Cb1と、線部Lb1~Lb3の図中下方の端部同士を接続する第2接続部Cb2とを有している。
【0065】
共通電極CEは、第1電極Ec1と、第2電極Ec2とを有している。第1電極Ec1は、副画素SPごとに設けられた開口APを有している。第2電極Ec2は、この開口APに配置されている。第2電極Ec2は、副画素SPの第1方向Xにおける中心CL1から図中左方にずれている。第1電極Ec1と第2電極Ec2の間には隙間が設けられ、互いに電気的に独立している。
【0066】
開口AP、第2電極Ec2および線部Lb1~Lb3の形状は、第1実施形態における線部La1,La2と同様に屈曲している。これにより、マルチドメインの副画素SPを実現できる。なお、副画素SPはマルチドメインの構造に限られない。
【0067】
図10の例においては、第2スイッチング素子SW2の第2ドレイン電極DE2が第2電極Ec2に接続されている。このような構成においては、第1電極Ec1と第2電極Ec2にそれぞれ異なる電圧を供給することができる。具体的には、第1電極Ec1には共通電圧Vcomが供給され、第2電極Ec2には共通電圧Vcomおよび第2電圧V2が選択的に供給される。画素電極PEには、階調に応じた第1電圧V1が供給される。第2電圧V2は、例えば第1電圧V1と同じである。
【0068】
第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2の制御には、第1実施形態と同じく、信号線Sに第1電圧V1(=V2)および共通電圧Vcomを時分割で供給する方法を適用できる。
【0069】
図11および図12は、画素電極PEと共通電極CEの間に形成される電界EFと、液晶層LQに含まれる液晶分子LMとの関係を示す表示パネルPNLの概略的な断面図である。図11においては、画素電極PE(線部Lb1~Lb3)に第1電圧V1が供給され、共通電極CE(電極Ec1,Ec2)には共通電圧Vcomが供給されている。これにより、線部Lb1~Lb3近傍に電界EFが生じ、液晶分子LMが破線で示す初期配向方向から実線で示すように回転する。この場合、光TC,TR,TLは、いずれも十分な輝度となり、広視野角な第1モードの画像表示を実現できる。
【0070】
図12においては、第2電極Ec2に第2電圧V2が供給されている。この場合、第2線部Lb2と第2電極Ec2の間、および、第3線部Lb3と第2電極Ec2の間に電界EFが形成されない。したがって、第2電極Ec2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。光TLは、図5を用いて説明した通り中心CL1よりも左方の領域を多く通るので、回転した液晶分子LMの影響を受けにくい。したがって、光TLは、第1偏光板PL1を透過した偏光状態のまま第2偏光板PL2に到達し、第2偏光板PL2によって大部分が吸収される。これにより、光TLの輝度が光TC,TRに比べて低い第2モードの画像表示を実現できる。
【0071】
なお、第2電圧V2は、第1電圧V1と共通電圧Vcomの間の電圧であってもよい。この場合であっても、第2電極Ec2に共通電圧Vcomが供給される場合に比べて、第2電極Ec2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。
【0072】
本実施形態の構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2モードにおいて光TRの輝度を低下させたい場合には、第2電極Ec2を中心CL1よりも第1線部Lb1側に配置すればよい。
【0073】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。ここでは主に上述の各実施形態との相違点に着目し、上述の各実施形態と同様の構造については説明を適宜に省略する。
【0074】
図13は、本実施形態において副画素SPに適用し得る構成を示す概略的な平面図である。本実施形態においては、画素電極PEと共通電極CEが同層に配置されている。画素電極PEは、第1電極Ed1と、第2電極Ed2とを有している。第1電極Ed1は、第1線部Ld1と、第2線部Ld2と、これら線部Ld1,Ld2の図中上方の端部を接続する接続部Cdとを有している。図13の例において、第2電極Ed2は1本の線部であるが、複数の線部を有してもよい。第2電極Ed2は、副画素SPの第1方向Xにおける中心CL1から図中左方にずれている。第1電極Ed1と第2電極Ed2の間には隙間が設けられ、互いに電気的に独立している。
【0075】
共通電極CEは、第1線部Le1と、第2線部Le2と、第3線部Le3と、第4線部Le4と、これら線部Le1~Le4の図中下方の端部同士を接続する接続部Ceとを有している。第1線部Ld1は、線部Le1,Le2の間に配置されている。第2線部Ld2は、線部Le2,Le3の間に配置されている。第2電極Ed2は、線部Le3,Le4の間に配置されている。
【0076】
線部Ld1,Ld2,Le1~Le4および第2電極Ed2の形状は、第1実施形態における線部La1,La2と同様に屈曲している。これにより、マルチドメインの副画素SPを実現できる。なお、副画素SPはマルチドメインの構造に限られない。
【0077】
画素電極PEの下方には、絶縁層を介して画素電極PEと対向する補助容量線CSが配置されている。補助容量線CSには、共通電圧Vcomが供給されている。これにより、画素電極PEと補助容量線CSの間に、画素電極PEに印加された電圧を維持するための容量が形成される。
【0078】
図13の例においては、第2スイッチング素子SW2の第2ドレイン電極DE2が第2電極Ed2に接続されている。このような構成においては、第1電極Ed1と第2電極Ed2にそれぞれ異なる電圧を供給することができる。具体的には、第1電極Ed1には階調に応じた第1電圧V1が供給され、第2電極Ed2には第1電圧V1および第2電圧V2が選択的に供給される。第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2の制御には、第1実施形態と同様の方法を適用できる。
【0079】
図14および図15は、画素電極PEと共通電極CEの間に形成される電界EFと、液晶層LQに含まれる液晶分子LMとの関係を示す表示パネルPNLの概略的な断面図である。図14においては、画素電極PE(線部Ld1,Ld2および第2電極Ed2)に第1電圧V1が供給され、共通電極CE(線部Le1~Le4)に共通電圧Vcomが供給されている。これにより、線部Ld1,Ld2および第2電極Ed2近傍に電界EFが生じ、液晶分子LMが破線で示す初期配向方向から実線で示すように回転する。この場合、光TC,TR,TLは、いずれも十分な輝度となり、広視野角な第1モードの画像表示を実現できる。
【0080】
図15においては、第2電極Ed2に第2電圧V2が供給されている。第2電圧V2は、例えば第1電圧V1と同じである。この場合、第2電極Ed2と第3線部Le3の間、および、第2電極Ed2と第4線部Le4の間に電界EFが形成されない。したがって、第2電極Ed2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。光TLは、図5を用いて説明した通り中心CL1よりも左方の領域を多く通るので、回転した液晶分子LMの影響を受けにくい。したがって、光TLは、第1偏光板PL1を透過した偏光状態のまま第2偏光板PL2に到達し、第2偏光板PL2によって大部分が吸収される。これにより、光TLの輝度が光TC,TRに比べて低い第2モードの画像表示を実現できる。
【0081】
なお、第2電圧V2は、第1電圧V1と共通電圧Vcomの間の電圧であってもよい。この場合であっても、第2電極Ed2に第1電圧V1が供給される場合に比べて、第2電極Ed2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。
【0082】
本実施形態の構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2モードにおいて光TRの輝度を低下させたい場合には、第1電極Ed1と第2電極Ed2の位置を入れ替えればよい。
【0083】
[第4実施形態]
第4実施形態について説明する。ここでは主に第3実施形態との相違点に着目し、第3実施形態と同様の構造については説明を適宜に省略する。
【0084】
図16は、本実施形態において副画素SPに適用し得る構成を示す概略的な平面図である。本実施形態においては、第2スイッチング素子SW2の構成が第3実施形態と異なる。
【0085】
図16において、第2スイッチング素子SW2は、2つのソース電極SE2a,SE2bを備えている。ソース電極SE2aは、信号線Sに接続されている。ソース電極SE2bは補助容量線CSに接続されている。
【0086】
例えば、第2スイッチング素子SW2としては、信号線Sに供給される第1電圧V1と、補助容量線CSに供給される共通電圧Vcom(第2電圧V2)とを選択的に第2電極Ed2に供給可能なCMOS回路を適用できる。この場合、第2走査線G2に低電圧Vssが供給されているときに信号線Sの第1電圧V1が第2電極Ed2に供給され、第2走査線G2に高電圧Vddが供給されているときに補助容量線CSの共通電圧Vcom(第2電圧V2)が第2電極Ed2に供給される。
【0087】
このような第2スイッチング素子SW2の構成であっても、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、信号線Sに時分割で第1電圧V1と第2電圧V2を供給する必要がないので、高周波での駆動が可能となる。
【0088】
[第5実施形態]
第5実施形態について説明する。ここでは主に第3実施形態との相違点に着目し、第3実施形態と同様の構造については説明を適宜に省略する。
【0089】
図17は、本実施形態において副画素SPに適用し得る構成を示す概略的な平面図である。本実施形態においては、画素電極PEと共通電極CEが同層に配置されている。画素電極PEは、第1線部Lf1と、第2線部Lf2と、第3線部Lf3と、これら線部Lf1~Lf3の図中上方の端部を接続する接続部Cfとを有している。
【0090】
共通電極CEは、第1電極Eg1と、第2電極Eg2とを有している。第1電極Eg1は、第1線部Lg1と、第2線部Lg2と、第3線部Lg3と、これら線部Lg1~Lg3の図中下方の端部を接続する接続部Cgとを有している。図17の例において、第2電極Eg2は1本の線部であるが、複数の線部を有してもよい。第2電極Eg2は、副画素SPの第1方向Xにおける中心CL1から図中左方にずれている。第1電極Eg1と第2電極Eg2の間には隙間が設けられ、互いに電気的に独立している。
【0091】
第1線部Lf1は線部Lg1,Lg2の間に配置され、第2線部Lf2は第2線部Lg2と第2電極Eg2の間に配置され、第3線部Lf3は第2電極Eg2と第3線部Lg3の間に配置されている。
【0092】
線部Lf1~Lf3,Lg1~Lg3および第2電極Eg2の形状は、第1実施形態における線部La1,La2と同様に屈曲している。これにより、マルチドメインの副画素SPを実現できる。なお、副画素SPはマルチドメインの構造に限られない。
【0093】
図17の例においては、第2スイッチング素子SW2の第2ドレイン電極DE2が第2電極Eg2に接続されている。このような構成においては、第1電極Eg1と第2電極Eg2にそれぞれ異なる電圧を供給することができる。具体的には、第1電極Eg1には共通電圧Vcomが供給され、第2電極Eg2には共通電圧Vcomおよび第2電圧V2が選択的に供給される。第2電圧V2は、例えば第1電圧V1と同じである。
【0094】
第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2の制御には、第1実施形態と同じく、信号線Sに第1電圧V1(=V2)および共通電圧Vcomを時分割で供給する方法を適用できる。
【0095】
図18および図19は、画素電極PEと共通電極CEの間に形成される電界EFと、液晶層LQに含まれる液晶分子LMとの関係を示す表示パネルPNLの概略的な断面図である。図18においては、画素電極PE(線部Lf1~Lf3)に第1電圧V1が供給され、共通電極CE(線部Lg1~Lg3および第2電極Eg2)には共通電圧Vcomが供給されている。これにより、線部Lf1~Lf3近傍に電界EFが生じ、液晶分子LMが破線で示す初期配向方向から実線で示すように回転する。この場合、光TC,TR,TLは、いずれも十分な輝度となり、広視野角な第1モードの画像表示を実現できる。
【0096】
図19においては、第2電極Eg2に第2電圧V2が供給されている。この場合、第2電極Eg2と第2線部Lf2の間、および、第2電極Eg2と第3線部Lf3の間に電界EFが形成されない。したがって、第2電極Eg2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。光TLは、図5を用いて説明した通り中心CL1よりも左方の領域を多く通るので、回転した液晶分子LMの影響を受けにくい。したがって、光TLは、第1偏光板PL1を透過した偏光状態のまま第2偏光板PL2に到達し、第2偏光板PL2によって大部分が吸収される。これにより、光TLの輝度が光TC,TRに比べて低い第2モードの画像表示を実現できる。
【0097】
本実施形態の構成であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2モードにおいて光TRの輝度を低下させたい場合には、第2電極Eg2を中心CL1よりも第1線部Lf1側に配置すればよい。
【0098】
[第6実施形態]
第6実施形態について説明する。ここでは主に第5実施形態との相違点に着目し、第5実施形態と同様の構造については説明を適宜に省略する。
【0099】
図20は、本実施形態において副画素SPに適用し得る構成を示す概略的な平面図である。本実施形態においては、第2スイッチング素子SW2の構成が第5実施形態と異なる。第2スイッチング素子SW2は、第4実施形態(図16)と同様の構成を有している。第2ドレイン電極DE2は、第2電極Eg2に接続されている。
【0100】
本実施形態の構成であっても、第5実施形態と同様の効果を得ることができる。また、信号線Sに時分割で第1電圧V1と第2電圧V2を供給する必要がないので、高周波での駆動が可能となる。
【0101】
[第7実施形態]
第7実施形態について説明する。本実施形態では、第2モードにおいて極角が正の範囲と負の範囲の双方の輝度を低下させる構成を開示する。特に言及しない構成については、上述の各実施形態と同様のものを適用できる。
【0102】
図21は、本実施形態において副画素SPに適用し得る構成を示す概略的な平面図である。画素電極PEを実線で示し、共通電極CEを破線で示している。画素電極PEと共通電極CEは、第1実施形態と同じく絶縁層を介して対向している。
【0103】
画素電極PEは、第1電極Eh1と、第2電極Eh2とを有している。第1電極Eh1は、第1線部Lh1と、第2線部Lh2と、これら線部Lh1,Lh2の図中上方の端部同士を接続する接続部Chとを有している。第2電極Eh2は、線部Lh1,Lh2の間に配置されている。第2電極Eh2は、副画素SPの第1方向Xにおける中心CL1と重畳している。第1電極Eh1と第2電極Eh2の間には隙間が設けられ、互いに電気的に独立している。なお、第1電極Eh1は、3つ以上の線部を有してもよい。また、第2電極Eh2は、複数の線部を有してもよい。
【0104】
線部Lh1,Lh2および第2電極Eh2の形状は、第1実施形態における線部La1,La2と同様に屈曲している。これにより、マルチドメインの副画素SPを実現できる。なお、副画素SPはマルチドメインの構造に限られない。
【0105】
図21の例においては、第2スイッチング素子SW2の第2ドレイン電極DE2が第2電極Eh2に接続されている。このような構成においては、第1電極Eh1と第2電極Eh2にそれぞれ異なる電圧を供給することができる。具体的には、第1電極Eh1には階調に応じた第1電圧V1が供給され、第2電極Eh2には第1電圧V1および第2電圧V2が選択的に供給される。第1スイッチング素子SW1および第2スイッチング素子SW2の制御には、第1実施形態と同様の方法を適用できる。
【0106】
図22および図23は、画素電極PEと共通電極CEの間に形成される電界EFと、液晶層LQに含まれる液晶分子LMとの関係を示す表示パネルPNLの概略的な断面図である。図22においては、画素電極PE(線部Lh1,Lh2および第2電極Eh2)に第1電圧V1が供給され、共通電極CEに共通電圧Vcomが供給されている。これにより、線部Lh1,Lh2および第2電極Eh2近傍に電界EFが生じ、液晶分子LMが破線で示す初期配向方向から実線で示すように回転する。この場合、光TC,TR,TLは、いずれも十分な輝度となり、広視野角な第1モードの画像表示を実現できる。
【0107】
図23においては、第2電極Eh2に第2電圧V2が供給されている。第2電圧V2は、例えば共通電圧Vcomと同じである。この場合、第2電極Ec2と共通電極CEの間に電界EFが形成されない。したがって、第2電極Eh2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。光TCは、線部Lh1,Lh2近傍において回転した液晶分子LMの影響を受けるので、第1モードより輝度が低下するものの多くが第2偏光板PL2を透過する。
【0108】
図5を用いて説明した通り、光TR,TLは中心CL1近傍の領域を多く通るので、図23の状態では回転した液晶分子LMの影響を受けにくい。したがって、光TR,TLは、第1偏光板PL1を透過した偏光状態のまま第2偏光板PL2に到達し、第2偏光板PL2によって大部分が吸収される。これにより、光TR,TLの輝度が光TCに比べて低い第2モードの画像表示を実現できる。
【0109】
なお、第2電圧V2は、第1電圧V1と共通電圧Vcomの間の電圧であってもよい。この場合であっても、第2電極Eh2に第1電圧V1が供給される場合に比べて、第2電極Eh2近傍の液晶分子LMの回転が抑制される。
【0110】
本実施形態における第2モードは、例えば表示画像を正面以外の方向から覗き見されることを防止したい場合に有効である。このような表示装置1の適用例としては、例えばスマートフォン、タブレット端末、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータなどが想定される。
【0111】
なお、本実施形態においては画素電極PEと共通電極CEが異なる層に配置される場合において、画素電極PEが第1電極と第2電極を有する例を示した。しかしながら、第2実施形態と同様に共通電極CEが第1電極と第2電極を有してもよい。また、第3ないし第6実施形態のように画素電極PEと共通電極CEとが同層に配置されてもよい。いずれの場合であっても、第2電極を中心CL1近傍に配置することで、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0112】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0113】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0114】
また、各実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0115】
1…表示装置、PNL…表示パネル、SUB1…第1基板、SUB2…第2基板、LQ…液晶層、SP…副画素、PE…画素電極、CE…共通電極、Ea1…第1電極、Ea2…第2電極、SW1…第1スイッチング素子、SW2…第2スイッチング素子、G1…第1走査線、G2…第2走査線。
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