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特許7191597撮像装置及びそれを備える監視システム、制御方法並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】撮像装置及びそれを備える監視システム、制御方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 7/091 20210101AFI20221212BHJP
   G02B 7/16 20210101ALI20221212BHJP
   G02B 7/28 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 13/34 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 15/03 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 19/07 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20221212BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221212BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221212BHJP
   H04N 5/235 20060101ALI20221212BHJP
   H04N 5/243 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G03B7/091
G02B7/16
G02B7/28 N
G03B11/00
G03B13/34
G03B15/00 P
G03B15/00 S
G03B15/02 G
G03B15/03 Z
G03B15/05
G03B17/00 B
G03B17/02
G03B19/07
G03B37/00 A
H04N5/225 300
H04N5/225 400
H04N5/225 600
H04N5/225 800
H04N5/232 380
H04N5/235
H04N5/235 100
H04N5/235 400
H04N5/243
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018161685
(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公開番号】P2020034758
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】沼田 愛彦
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-519254(JP,A)
【文献】特開2016-058995(JP,A)
【文献】特開2015-195499(JP,A)
【文献】特開2009-017474(JP,A)
【文献】特開2001-245205(JP,A)
【文献】特開平11-205648(JP,A)
【文献】特開2015-222916(JP,A)
【文献】特開2014-225828(JP,A)
【文献】特開2016-208306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 7/091
G02B 7/16
G02B 7/28
G03B 11/00
G03B 13/34
G03B 15/00
G03B 15/02
G03B 15/03
G03B 15/05
G03B 17/00
G03B 17/02
G03B 19/07
G03B 37/00
H04N 5/225
H04N 5/232
H04N 5/235
H04N 5/243
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広角画像を生成するため一部が重複する異なる撮影範囲を撮影する複数の撮像部を有する多眼撮像部と、前記多眼撮像部の全ての撮影範囲のうちの一部を撮影する単一の撮像部及び前記単一の撮像部の撮影方向を変更可能な駆動機構を有する単眼撮像部とを備えた撮像装置であって、
前記単眼撮像部は、その撮影範囲内に照明強度のピークを有する第1の照明部を備えており、
前記多眼撮像部の前記複数の撮像部は、各々の撮影により取得した画像から測光値を取得する測光部を夫々有しており、
前記照明部を使用して撮影する際に、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のうち、撮影範囲が前記単眼撮像部の撮影範囲と重なっている第1の撮像部の露出レベルを、撮影範囲が前記単眼撮像部の撮影範囲と重なっていない第2の撮像部の露出レベルよりも小さい値となるよう制御する制御手段と、
前記測光部の夫々が前記測光値を計算するための範囲を前記取得した画像の一部に評価枠として設定する評価枠設定手段と、を備え、
前記評価枠設定手段は、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のうち、前記単眼撮像部の撮影方向に近い撮影範囲の撮像部ほど、前記取得した画像の中心部分を含む狭い領域を前記評価枠に設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のうち、前記単眼撮像部の撮影方向に近い撮影範囲を撮影する撮像部ほど、露出レベルを小さくすることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記照明部による照明の強度分布の拡がりが、前記単眼撮像部の撮影範囲よりも狭く、前記第2の撮像部が複数存在する場合、前記第2の撮像部の露出レベルを共通の値に設定することを特徴する請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記照明部の照明強度のピークが、前記単眼撮像部の撮影方向と一致している場合、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のうち、撮影範囲の少なくとも一部が前記単眼撮像部の撮影範囲と重なっている撮像部に対してシェーディング補正を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記多眼撮像部を構成する前記複数の撮像部の各々が、各々の撮影範囲内に照明強度のピークを有する第2の照明部を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2の撮像部のフレームレートを、前記第1の撮像部のフレームレートよりも遅くなるよう制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の照明部は、狭角照明部と前記狭角照明部より配光角度の広い広角照明部を有し、前記単眼撮像部の撮影画角が所定の画角未満である場合には前記狭角照明部を撮影時における照明に使用し、前記単眼撮像部の撮影画角が前記所定の画角以上である場合には前記広角照明部を撮影時における照明に使用することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記単眼撮像部の撮影方向を変化させた場合に、前記第1の撮像部の露出レベルを前記第2の撮像部の露出レベルよりも小さい値となるよう仮決定する仮決定手段と、
前記仮決定された露出レベルで前記複数の撮像部の各々で撮影を行い、前記複数の撮像部の夫々から画像を取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段で取得した画像から前記複数の撮像部の夫々の前記測光部で測光値を取得する第2の取得手段と、
前記第2の取得手段で取得した測光値を用いて、前記複数の撮像部の各々の露出レベルを調整する露出レベル調整手段とを備えることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1の照明部の照明波長が近赤外光であって、前記多眼撮像部及び前記単眼撮像部が夫々、可視光を選択的に透過し、近赤外光を選択的に吸収する赤外カットフィルタと、前記赤外カットフィルタを挿抜するための挿抜機構を更に備え、
前記挿抜機構により前記多眼撮像部の前記赤外カットフィルタが抜去されている状態で前記第1の照明部を使用して撮影が行われる場合に、前記制御手段による前記多眼撮像部の前記複数の撮像部の露出レベルの制御を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記多眼撮像部と前記単眼撮像部の少なくともどちらか一方が可視光用画素と近赤外光用画素を有する固体撮像素子を有することを特徴とする請求項9記載の撮像装置。
【請求項11】
前記多眼撮像部の前記複数の撮像部の各々は、フォーカスレンズ位置を移動させることにより焦点距離を制御可能なフォーカス制御機構を更に備え、且つ、前記単眼撮像部は環境光の明度を測定する環境光測光部を更に備え、
前記制御手段は、
前記環境光測光部により測定された明度が所定値以上である場合は、
前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のフォーカスレンズ位置をすべて、可視光入射時において第1のフォーカスレンズ位置に前記フォーカス制御機構により移動する移動手段と、
前記環境光測光部により測定された明度が所定値未満となった場合は、前記第1の照明部の使用を開始すると共に、前記第1の撮像部のフォーカスレンズ位置を、赤外光入射時において、可視光入射時における第1のフォーカスレンズ位置に対応する焦点距離となるような、第2のフォーカスレンズ位置に調整するレンズ位置調整手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記広角画像を生成する生成手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記複数の撮像部から取得された複数の画像を、前記広角画像を生成する外部装置に出力する出力手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の撮像装置、及び前記広角画像及び前記単眼撮像部で撮影された画像を表示すると共に前記撮像装置の制御するための指示を前記撮像装置に送信する情報処理装置を備えることを特徴とする監視システム。
【請求項15】
広角画像を生成するため一部が重複する異なる撮影範囲を撮影する複数の撮像部を有する多眼撮像部と、前記多眼撮像部の全ての撮影範囲のうちの一部を撮影する単一の撮像部及び前記単一の撮像部の撮影方向を変更可能な駆動機構を有する単眼撮像部とを備えた撮像装置の制御方法であって、
前記単眼撮像部は、その撮影範囲内に照明強度のピークを有する照明部を備えており、
前記多眼撮像部の前記複数の撮像部は、各々の撮影により取得した画像から測光値を取得する測光部を夫々有しており、
前記照明部を使用して撮影する際に、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のうち、撮影範囲が前記単眼撮像部の撮影範囲と重なっている第1の撮像部の露出レベルを、撮影範囲が前記単眼撮像部の撮影範囲と重なっていない第2の撮像部の露出レベルよりも小さい値となるよう制御する制御ステップと、
前記測光部の夫々が前記測光値を計算するための範囲を前記取得した画像の一部に評価枠として設定する評価枠設定ステップと、を有し、
前記評価枠設定ステップにおいて、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のうち、前記単眼撮像部の撮影方向に近い撮影範囲の撮像部ほど、前記取得した画像の中心部分を含む狭い領域が前記評価枠に設定されることを特徴とする制御方法。
【請求項16】
請求項15記載の制御方法を実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びそれを備える監視システム、制御方法並びにプログラムに関し、特に、夜間の監視などの用途に使用される撮像装置及びそれを備える監視システム、制御方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
夜間などの低照度時にも鮮明な被写体像を取得するために、赤外LED光源を照明として被写体を照明する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-41282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、照明として完全拡散光源を用いた場合でも、被照明平面への照度は、光源直下に比べてその周辺へ行くほどコサイン4乗則に従って低下するため、被写体を均一な照度で照明することは難しい。ましてや、特許文献1のように、指向性の強い配向分布を有しているLED光源を照明として用いた場合、被写体を均一な照度で照明することは更に困難である。
【0005】
このように被写体を均一な照度で照明できない場合、画角内の被写体の輝度分布にムラが生じ、撮影される画像の品質が低下してしまう。特に、輝度分布のムラが大きい場合には、撮影される画像に白トビや黒ツブレが生じやすくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、照明使用時の撮影画像の品質を向上できる撮像装置及びそれを備える監視システム、制御方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る撮像装置は、広角画像を生成するため一部が重複する異なる撮影範囲を撮影する複数の撮像部を有する多眼撮像部と、前記多眼撮像部の全ての撮影範囲のうちの一部を撮影する単一の撮像部及び前記単一の撮像部の撮影方向を変更可能な駆動機構を有する単眼撮像部とを備えた撮像装置であって、前記単眼撮像部は、その撮影範囲内に照明強度のピークを有する第1の照明部を備えており、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部は、各々の撮影により取得した画像から測光値を取得する測光部を夫々有しており、前記照明部を使用して撮影する際に、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のうち、撮影範囲が前記単眼撮像部の撮影範囲と重なっている第1の撮像部の露出レベルを、撮影範囲が前記単眼撮像部の撮影範囲と重なっていない第2の撮像部の露出レベルよりも小さい値となるよう制御する制御手段と、前記測光部の夫々が前記測光値を計算するための範囲を前記取得した画像の一部に評価枠として設定する評価枠設定手段と、を備え、前記評価枠設定手段は、前記多眼撮像部の前記複数の撮像部のうち、前記単眼撮像部の撮影方向に近い撮影範囲の撮像部ほど、前記取得した画像の中心部分を含む狭い領域を前記評価枠に設定することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項14に係る監視システムは、前記撮像装置、及び前記広角画像及び前記単眼撮像部で撮影された画像を表示すると共に前記撮像装置の制御するための指示を前記撮像装置に送信する情報処理装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、照明使用時の撮影画像の品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】実施形態1に係る撮像装置を斜めから見た俯瞰図である。
図1B図1の撮像装置を上側から見た図である。
図1C図1の撮像装置の内部の機能ブロック図である。
図2図1における単眼撮像部の撮影範囲が、図1における多眼撮像部の1つの撮像部とのみ重なっている場合の多眼撮像部における露出レベル制御を説明するための図である。
図3図1における単眼撮像部の撮影範囲が、多眼撮像部の2つの撮像部と重なっており、その2つの撮像部の一方が他方より単眼撮像部の撮影方向に近い場合の多眼撮像部における撮像装置の露出レベル制御を説明するための図である。
図4】実施形態2に係る撮像装置の内部の機能ブロック図である。
図5図4における単眼撮像部の撮影範囲が、多眼撮像部の1つの撮像部とのみ重なっている場合の多眼撮像部における露出レベル制御を説明するための図である。
図6図5の場合より単眼撮像部の撮影画角が広い場合の多眼撮像部における露出レベル制御を説明するための図である。
図7】実施形態3に係る撮像装置の単眼撮像部の撮影範囲が、多眼撮像部の1つの撮像部とのみ重なっている場合の多眼撮像部における露出レベル制御を説明するための図である。
図8】実施形態3に係る、多眼撮像部の各撮像部の露出レベルの設定処理の手順を示すフローチャートである。
図9】実施形態4に係る撮像装置で取得される、フォーカスレンズの位置と焦点距離の関係を示すテーブルである。
図10】実施形態5に係る、第一及び単眼撮像部の夫々において赤外カットフィルタの挿抜機構を有する場合の単眼撮像部の撮影方向に基づく露出レベル制御の切り替えを示すテーブルである。
図11図10の第一及び単眼撮像部でさらに、そのいずれかもしくは双方でRGBIRセンサが使用される場合の単眼撮像部の撮影方向に基づく露出レベル制御の切り替えを示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図を用いて、本発明の実施形態における撮像装置について説明する。
【0012】
[実施形態1]
実施形態1に係る撮像装置について図1A図1C(以下、これらを総称する場合、図1と称す)を用いて説明する。図1Aは、撮像装置100を斜めから見た俯瞰図、図1Bは撮像装置100を上側、すなわち+Z軸側から見た図、図1Cは撮像装置100の内部の機能ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、撮像装置100は、多眼撮像部110、合成処理部114、単眼撮像部120、制御部130、及び転送部140を備える。
【0014】
多眼撮像部110は、広角画像101を生成するため一部が重複する異なる撮影範囲を撮影する複数の撮像部111a~dを有する。
【0015】
単眼撮像部120は、詳細画像102を取得するため、多眼撮像部110の全ての撮影範囲のうちの一部を撮影する単一の撮像部121を有する。
【0016】
制御部130は、多眼撮像部110及び単眼撮像部120の動作等、撮像装置100の動作全体を制御する。
【0017】
転送部140は、広角画像101及び詳細画像102を外部のクライアント装置に転送する。具体的には、転送部140は、有線または無線などのネットワークを介して、外部のクライアント装置に接続されており、転送する対象の画像を広角画像101及び詳細画像102の一方に転送部140内部の不図示スイッチで切り替える。これにより、転送部140から外部のクライアント装置に同一のネットワークを介して広角画像101及び詳細画像102を順番に転送する。
【0018】
外部のクライアント装置は、撮像装置100を制御するための指示を、ネットワークを介して転送部140に送信する。その後、転送部140がコマンドを制御部130に送信すると、制御部130はこれに応じた処理を撮像装置100において行い、その処理結果をコマンドに対するレスポンスとしてクライアント装置に送信する。クライアント装置は例えばPCなどの外部機器であり、ネットワークは、有線LAN、無線LAN等により構成されている。また、ネットワークを介して撮像装置100に電源を供給する構成となっていても良い。
【0019】
すなわち本実施形態では、撮像装置100及びこれとネットワークを介して接続する外部のクライアント装置(情報処理装置)により、本発明に係る撮像装置を用いた監視システムが構成される。
【0020】
次に、多眼広角カメラである多眼撮像部110について説明する。
【0021】
多眼撮像部110は、撮影範囲の一部が重複するように配置された複数の撮像部111a~dを有し、撮像部111a~dで取得した複数の画像を、合成処理部114において合成することで広角画像101を生成している。具体的には、隣接する複数の撮像部(例えば撮像部111a,111b)で取得した画像の重複部分をずらしながら相関係数を求める、所謂パターンマッチングの技術を適用することで、複数の画像間の位置ずらし量を求め、広角画像101を生成している。尚、本実施例では、合成処理部114により広角画像101を生成しているが、これに限定されない。例えば、撮像部111a~dで取得した画像を転送部140(出力手段)が外部のクライアント装置に出力し、外部クライアント装置が撮像部111a~dで取得した画像から広角画像101を生成するようにしてもよい。
【0022】
複数の撮像部111a~dは各々、結像光学系112a~d及び、固体撮像素子113a~dを有している。そして、結像光学系112a~dを介して被写体像を固体撮像素子113a~d上に結像させることで、画像を取得している。
【0023】
各々の固体撮像素子113a~dの駆動と信号読み出しは、制御部130によって制御されている。すなわち、制御部130は、固体撮像素子113a~d中の画素への電荷蓄積時間を制御することで、多眼撮像部110中の各々の撮像部111a~dの露出レベルを制御する。この露出レベル制御の詳細については後述する。尚、上記露出レベルの制御は、固体撮像素子113a~d以外の光量・露出調節するパーツに係る露出パラメータ、例えば、デジタルゲイン、絞り値、NDフィルタなどの濃度などを制御することにより行ってもよい。
【0024】
次に、単眼カメラである単眼撮像部120について説明する。
【0025】
単眼撮像部120は、結像光学系122及び固体撮像素子123からなる単一の撮像部121、撮影方向を変更可能な駆動機構124、及び照明部125を有する。多眼撮像部110と同様に、固体撮像素子123の駆動と信号読み出しは、制御部130によって制御されている。
【0026】
駆動機構124はモーターとギアを備え、モーターを駆動する電力を制御することで、単眼撮像部120を一体的に特定の回転軸の周りに回転させる。この駆動機構124による単眼撮像部120の回転は、制御部130によって制御されている。尚、駆動機構124にモーターを複数設けることで、単眼撮像部120を複数の回転軸の周りに回転させる構成としても良い。
【0027】
照明部125は、InGaNやAlGaAsなどの化合物半導体材料や、有機半導体などから構成されるLEDであり、単眼撮像部120の撮影画角を照明している。即ち、照明部125は、単眼撮像部120の撮影範囲内に照明強度のピークを有している。照明部125から放射される照明光の波長は、各々の撮像部111a~d,121中の固体撮像素子113a~113d,123が感度を有する波長に設定されている。例えば、各々の固体撮像素子113a~d,123をシリコンで形成した場合、照明光のピーク波長は300nm以上1100nm以下に設定すればよい。
【0028】
本発明に示す撮像装置100は、照明部125を使用して撮影を行う際に、単眼撮像部120の撮影方向に基づいて、多眼撮像部110の複数の撮像部111a~dの露出レベルを制御している。具体的には、多眼撮像部110を構成する複数の撮像部111a~dのうち、撮影範囲の少なくとも一部が単眼撮像部120と重なっている撮像部の露出レベルを、撮影範囲が単眼撮像部120と重なっていない撮像部の露出レベルよりも小さい値に制御している。例えば、図1Bの場合は、この露出レベルの制御により多眼撮像部110を構成する複数の撮像部111a~dのうち、撮像部111b,111cの露出レベルは、それ以外の撮像部111a,111dの露出レベルよりも小さい値となる。
【0029】
このような構成とすることにより、照明部125を使用して撮影を行う際に、照明の配光分布に起因して発生する、広角画像101の輝度ムラを低減することができる。
【0030】
以下、図2を用いて、単眼撮像部120の撮影範囲が、多眼撮像部110の1つの撮像部の撮影範囲とのみ重なり、他の撮像部の撮影範囲とは重なっていない場合の多眼撮像部110における露出レベル制御を従来例と比較しながら説明する。
【0031】
図2(a)は、単眼撮像部120の撮影範囲が、多眼撮像部110の撮像部111aの撮影範囲とのみ重なっている状態を示す。そして、図2(b)は、その際の照明部125によって生じる照明部125からの照明の強度分布、図2(c)は、その際に露出レベル調整を行った場合に撮像部111a~dに設定する露出レベルを示す。ここで、露出レベルとは所謂EV(Exposure Value)値である。すなわち、EV値が1だけ増すと、画像の輝度が2倍に大きくなる。図2(d)は、図2(c)に示す露出レベル調整に加えて、撮像部111a~dの画素信号レベルをフラットにするため撮像部111aの撮影範囲内においてシェーディング調整を行う場合のシェーディング補正値である。このシェーディング調整についての説明は後述する。
【0032】
前述した通り、単眼撮像部120が向いている方向に照明部125の照明強度のピークが存在する。従って、図2(b)に示すように、多眼撮像部110の全ての撮像部111a~dの露出レベルが等しい場合、撮影範囲が単眼撮像部120の撮影範囲と重なる撮像部111aのみ、他の撮像部111b~dより取得される画像が明るくなってしまう。その結果、撮像部111a~dで撮影される画像を合成して生成する広角画像101において、輝度ムラが発生してしまう。
【0033】
一方、撮像部111aの露出レベルを、撮像部111b~dの露出レベルよりも小さくした場合、撮像部111aで取得される画像と、撮像部111b~dで取得される画像の明るさの差が低減する。その結果、撮像部111a~dで撮影される画像を合成して生成する広角画像101における輝度ムラを低減することができる。その結果、広角画像101の品質を向上できる。
【0034】
尚、単眼撮像部120の撮影画角内で撮像部111a~dの露出レベルを変えるようにしてもよい。すなわち、単眼撮像部120の撮影範囲が、多眼撮像部110中の複数の撮像部の撮影範囲と重なっている場合、各々の撮像部間で露出レベルを異なる値に制御しても良い。具体的には、撮像部111a~dのうち、単眼撮像部120の撮影方向に近い撮影範囲を撮影する撮像部ほど、露出レベルを小さくする方が好ましい。ここで、単眼撮像部120の撮影方向とは、結像光学系122の光軸の方向を意味する。
【0035】
以下、図3を用いて、単眼撮像部120の撮影範囲が、多眼撮像部110の2つの撮像部の撮影範囲と重なっており、その2つの撮像部の一方が他方より単眼撮像部の撮影方向に近い場合の多眼撮像部110における撮像装置の露出レベル制御を説明する。
【0036】
図3(a)は、単眼撮像部120の撮影範囲が、多眼撮像部110の撮像部111a,111bの撮影範囲と重なっており、撮像部111aの方が撮像部111bより単眼撮像部120の撮影方向に近い状態を示す。図3(b)は、その際に生じる照明部125からの照明の強度分布、図3(c)は、その際の撮像部111a~dに設定する露出レベルである。
【0037】
図3(b)よりわかるように、撮像部111a,111bに対する照明部125からの照明の強度分布を比較した場合、単眼撮像部120の撮影方向に近い撮像部111aの撮影範囲の方が、撮像部111bの撮影範囲よりも、照明強度が大きい。従って、撮像部111bよりも撮像部111aの露出レベルを小さくした方が、生成される広角画像101の輝度ムラを低減することができる。
【0038】
また、多眼撮像部110の撮像部111a~dのうち単眼撮像部120の撮影範囲外にある撮像部の露出レベルも、照明部125からの照明の強度分布の拡がりが単眼撮像部120の撮影範囲よりも広い場合は制御するようにしてもよい。具体的には、図3(b)の撮像部111cのように、単眼撮像部120の撮影範囲と重なっていないが、照明部125からの照明の強度分布の拡がりが撮影範囲の一部に掛っている場合である。このような場合、撮像部111c,111dにおいても、露出レベルを異なる値に制御した方が好ましい。具体的には、図3(c)に示す様に、多眼撮像部110の撮像部111a~dのうち、単眼撮像部120の撮影方向に近い撮影範囲を撮影する撮像部ほど、露出レベルを小さくするよう制御することが好ましい。
【0039】
一方、照明部125からの照明の強度分布の拡がりが、単眼撮像部120の撮影範囲よりも狭い場合がある。この場合は、多眼撮像部110の撮像部111a~dのうち単眼撮像部120の撮影範囲と重なっていない撮像部が複数存在する場合(図2(b)においては撮像部111b~d)においては、図2(c)のように、露出レベルを共通の値に設定する方が好ましい。
【0040】
以上では、多眼撮像部110の複数の撮像部111a~dの夫々の露出レベルを調整することで、広角画像101の輝度ムラが低減する方法を説明した。この方法に加えて、撮像部111a~dの撮影範囲(画角)内での輝度ムラを低減する方がより好ましい。具体的には、多眼撮像部110の複数の撮像部111a~dの夫々の撮影範囲内において輝度ムラを補正する、所謂シェーディング補正(調整)を行えばよい。
【0041】
シェーディング補正の係数は、照明部125の照度分布をあらかじめ測定して求めておけばよい。具体的には、一様な反射率分布を有する被写体に対して照明部125のみ点灯させたときに撮像部111a~dで取得した画像からこの照度分布を測定することができる。
【0042】
照明部125の照明強度のピークが単眼撮像部120の撮影方向と一致している場合、多眼撮像部110の撮像部111a~dのうち、撮影範囲の少なくとも一部が単眼撮像部120の撮影範囲と重なっている撮像部に対してシェーディング補正が行われる。より具体的には、図2(d)に示すように、多眼撮像部110の撮像部111a~dの撮影範囲に対し、単眼撮像部120の撮影方向から遠いほど、画素信号レベルを大きくする補正を行えばよい。
【0043】
図1Cでは、単眼撮像部120のみが照明部125を有し、多眼撮像部110は照明部を有していない場合を示した。但し、多眼撮像部110の撮像部111a~dの各々が、各々の撮影範囲内に照明強度のピークを有する照明部を有していても良い。この場合、低照度時の広角画像101のSN比が向上するため、更に好ましい。
【0044】
また図1B図1Cでは、多眼撮像部110が4つの撮像部111a~dを有する場合を示したが、多眼撮像部110が有する撮像部の個数は4つでなくても良い。例えば、多眼撮像部110が2つや3つ、ないしは5つ以上の撮像部を有していても良い。また、多眼撮像部110の撮影範囲は、図1Bの点線で示す範囲でなくても良く、例えば360度全周が撮影範囲であっても良い。
【0045】
さらに本実施形態では、転送部140は、転送する対象の画像を広角画像101及び詳細画像102の一方に不図示のスイッチで切り替えて、外部のクライアント装置に同一のネットワークを介して順番に転送したが、転送方法はこれに限定されない。例えば、撮像装置100は、広角画像101の転送専用の転送部と詳細画像102の転送専用の転送部を有し、異なるネットワークを介して広角画像101及び詳細画像102を外部のクライアント装置に転送するようにしてもよい。但し、同一のネットワークを介して配信した方が、広角画像101と詳細画像102間の対応関係が把握しやすいため、好ましい。
【0046】
本実施形態ではさらに、転送部140が、広角画像101及び詳細画像102を外部のクライアント装置に転送し、且つ外部のクライアント装置からの命令を受信し、制御部130が、その命令に応じて撮像装置100の動作を制御する例を示した。但し、この例に限定されるわけでない。例えば、撮像装置100が、転送部140の代わりに、広角画像101及び詳細画像102を保存するメモリ、メモリの広角画像101や詳細画像102を表示するビューア、及びユーザの命令を受け付けるインターフェース部を有していても良い。また、図1Cに示す撮像装置100が、上記メモリ、ビューア、及びインターフェース部を併せ持っていても良い。
【0047】
以上では、多眼撮像部110の複数の撮像部111a~dの露出レベルを制御する方法として、固体撮像素子113a~d中の画素への電荷蓄積時間を制御する例を示したが、必ずしもこの方法を使用しなくても良い。
【0048】
例えば、撮像装置100が固体撮像素子113a~dにおける信号増幅係数(ゲイン)を制御するゲイン制御部を有している場合は、露出レベルを制御しても良い。尚、固体撮像素子113a~dが、内部にAD変換の機能を有している場合、そのゲイン制御部はAD変換前の信号増幅係数(アナログゲイン)を制御する方が好ましい。また、複数の撮像部111a~d中の結像光学系112a~dが絞り制御機構を夫々有している場合は、制御部130によって各絞り制御機構を制御することで複数の撮像部111a~dの露出レベルを制御しても良い。更に、結像光学系112a~dが光吸収フィルタ及びその挿抜機構を夫々有している場合は、制御部130が各挿抜機構を用いて各光吸収フィルタの挿抜を制御することで露出レベルを制御しても良い。あるいは、結像光学系112a~dが光吸収フィルタとして液晶などから構成される透過率可変フィルタを夫々有している場合は、制御部130はその透過率可変フィルタに印加する電圧を制御することで露出レベルを制御しても良い。また、以上説明した複数の露出レベルの制御方法を組み合わせても良い。
【0049】
また、照明部125による照明強度が強い場合、電荷蓄積時間の制御に加えて、多眼撮像部110の各撮像部111a~dのフレームレートを変更しても良い。フレームレートが遅いほど、固体撮像素子113a~dの電荷蓄積時間を長く設定できるため、撮像部111a~dの露出レベルを上げることができる。すなわち、多眼撮像部110の各撮像部111a~dのうち、撮影範囲が単眼撮像部120の撮影範囲と重なっていない撮像部を、撮影範囲の少なくとも一部が単眼撮像部120と重なっている撮像部よりフレームレートが遅くなるよう制御部130が制御する。これにより、広角画像101の輝度ムラを更に低減することができる。
【0050】
[実施形態2]
以下、実施形態2について説明する。本実施形態の各構成には200番台を付番する。また、実施形態1と同様の構成については、付番を100番台から200番台に変更して用い、実施形態1と重複した説明は行わない。
【0051】
実施形態2に係る撮像装置200は、実施形態1に係る撮像装置100に対して、単眼撮像部220の構成が異なる。
【0052】
図4は、実施形態2に係る撮像装置200の内部の機能ブロック図である。
【0053】
図4において、撮像装置200中の単眼撮像部220は、単眼撮像部120と同様の構成に加えて、撮像部221の撮影画角を変更可能なズーム制御機構226を有している。ズーム制御機構226は、モーターとギアを備え、単眼撮像部220中の各結像光学系222の一部のレンズを光軸方向に移動することで、ズーム比を変化させる構成とすればよい。
【0054】
また、単眼撮像部220の照明部225は配光角度の狭い狭角照明部225aと配光角度の広い広角照明部225bを有しており、単眼撮像部220の撮影画角に応じて、狭角照明部225aと広角照明部225bを使い分けている。具体的には、単眼撮像部220の撮影画角が所定の画角未満の狭い画角である場合には狭角照明部225aを撮影時における照明に使用する。一方、単眼撮像部220の撮影画角が所定の画角以上の広い画角である場合には広角照明部225bを撮影時における照明に使用する構成となっている。
【0055】
このように、単眼撮像部220の撮影画角に応じて、配光角度の異なる狭角照明部225aと広角照明部225bを使い分けることで、単眼撮像部220を用いて撮影している被写体を効率よく照明することが可能となる。その結果、詳細画像202の画質を向上できる。以下で説明を行う。
【0056】
一般に、撮影画角を変更可能な撮像装置を用いて撮影を行う場合、撮像装置からの距離が遠い被写体を撮影する場合ほど、拡大して撮影する必要があるため、撮影画角を狭くする。言い換えると、撮影画角が狭いほど、撮像装置からの距離が遠い被写体を照明する必要がある。一方、照明の光束量を一定と仮定した場合、配光角度を狭くするほど単位角度当たりの光束(光度)を大きくすることができる。
【0057】
従って、単眼撮像部220の撮影画角が狭い場合には、配光角度を狭い狭角照明部225aを用いることで光度を上げた方が好ましい。一方、単眼撮像部220の撮影画角が広い場合には、配光角度を広い広角照明部225bを用いることで照射範囲を広げた方が好ましい。これにより、撮影したい被写体を効率よく照明することができる。
【0058】
そして、撮像装置200では、単眼撮像部220の撮影画角に基づいて、多眼撮像部210を構成する複数の撮像部211a~dの露出レベルを制御している。具体的には、単眼撮像部220の撮影画角が狭いほど、撮像部211a~dのうち、撮影範囲の少なくとも一部が単眼撮像部220と重なっている撮像部の露出レベルと、撮影範囲が単眼撮像部220と重なっていない撮像部の露出レベルの差を大きくしている。
【0059】
このような構成とすることにより、単眼撮像部220の撮影画角が変化した際の、照明強度分布の変化に起因して発生する、広角画像201の輝度ムラも低減することができるため、更に好ましい。
【0060】
以下、図5及び図6を用いて、単眼撮像部220の撮影範囲が、多眼撮像部210の1つの撮像部211aの撮影範囲とのみ重なっており、他の撮像部211b~dの撮影範囲と重なっていない場合の多眼撮像部210における露出レベル制御を説明する。
【0061】
ここで、図5図6は単眼撮像部220の撮影画角が異なる、すなわち、図5の場合より図6の場合の方が単眼撮像部220の撮影画角が広い。
【0062】
前述したように、実施形態2に示す撮像装置200では、単眼撮像部220の撮影画角が狭いほど、照明部225からの照明は配光角度が狭くなる。そのため、図5(b)、図6(b)に示す様に、単眼撮像部220の撮影画角が狭いほど、照明部225からの照明強度のピーク値が大きくなる。従って、図5(c)、図6(c)のように、単眼撮像部220の撮影画角が狭いほど、撮像部211aと撮像部211b~dの間の露出レベルの差を大きくする。これにより、生成される広角画像201の輝度ムラを低減させることができる。
【0063】
[実施形態3]
以下、実施形態3について説明する。本実施形態の各構成には300番台を付番する。また、実施形態1と同様の構成については、付番を100番台から300番台に変更して用い、実施形態1と重複した説明は行わない。
【0064】
実施形態3に係る撮像装置300は、実施形態1に係る撮像装置100に対して、多眼撮像部310の各撮像部311a~dは、各々の撮影により取得した画像から測光値を取得する測光部315a~dを夫々有している点が異なる。測光部315a~dは、固体撮像素子313a~dから読み出された画素信号から、多眼撮像部310の各撮像部311a~dが撮影した画像の平均的な信号レベルである測光値を取得する。この時、制御部330は、測光部315a~dの夫々が測光値を計算するための範囲(以下、評価枠と呼ぶ)を、画像の一部のみに設定しても良く(評価枠設定手段)、また画像の領域によって重みづけ平均を行って測光値を取得しても良い。
【0065】
そして、撮像部311a~dの露出レベルを、単眼撮像部320の撮影方向に加えて、測光部315a~dの夫々で取得した測光値に基づいて制御している。このような構成とすることで、広角画像301の画質をさらに向上できるため、好ましい。
【0066】
図7を用いて、単眼撮像部320の撮影範囲が、多眼撮像部310の1つの撮像部311aの撮影範囲とのみ重なっており、他の撮像部311b~dの撮影範囲とは重なっていない場合の多眼撮像部310における露出レベル制御を説明する。
【0067】
前述したように、単眼撮像部320の撮影範囲と重なっている撮像部311aの撮影範囲には、照明部325からの照明強度のピークが存在する。但し、図7(b)に示す様に、それ以外の環境光の分布によっても、撮像部311a~dの各々の撮影範囲の照度は変化する。
【0068】
言い換えると、撮像部311aの撮影範囲の照度と、撮像部311b~dの撮影範囲の照度との差は、主に照明部325からの照明により決定されるものの、正確には環境光の分布にも依存している。そのため、実施形態3に示す撮像装置300では、撮像部311a~dの測光値を取得して、撮像部311aと撮像部311b~dの露出レベルの差を調整することで、広角画像301の輝度ムラを更に低減している。
【0069】
尚、撮像装置300は、単眼撮像部320の撮影方向の情報と、測光部315a~dの夫々で取得した測光値の情報の双方を用いて、露出レベルを制御する。これにより、単に測光値だけを用いて露出レベルを制御するよりも、露出レベルの調整が容易となっている。以下で説明を行う。
【0070】
図8は、多眼撮像部310の露出レベル設定処理の手順を示すフローチャートである。本処理は、撮像装置300の制御部330により実行され、単眼撮像部320の撮影方向に応じて各撮像部311a~dの露出レベルが設定される。
【0071】
具体的にはまず、ステップS31において、ユーザがクライアント装置において、単眼撮像部320の撮影方向の変更を指示する。
【0072】
この撮影方向の変更の指示は、ネットワークを介して撮像装置300に送られ、制御部330が駆動部324を制御することで、単眼撮像部320の撮影方向が変化する(ステップS32)。
【0073】
この変化後の単眼撮像部320の撮影方向における照明部325からの照明強度に起因する分の輝度差を打ち消すように、多眼撮像部310の各撮像部311a~dの露出レベルを仮決定する(ステップS33:仮決定手段)。すなわち、多眼撮像部310の撮像部311a~dのうち、撮影範囲が単眼撮像部320の撮影範囲と少なくとも一部が重なる撮像部の露出レベルが、撮影範囲が単眼撮像部320の撮影範囲と重ならない撮像部の露出レベルより小さい値となるよう仮決定する。
【0074】
その後、ステップS33で仮決定された露出レベルで撮像部311a~dの夫々で撮影を行い、撮像部311a~dの夫々から取得された画像から、測光部315a~dで測光値を取得する(ステップS34:第1及び第2の取得手段)。
【0075】
そして、ステップS35において、ステップS34の測光部315a~dで取得した測光値を用いて、多眼撮像部310の各撮像部311a~dの露出レベルを調整する(露出レベル調整手段)。その後、多眼撮像部310の夫々で再度撮影を行い、その撮影により得られた画像から広角画像301を生成する。
【0076】
従来のように、ステップS33を省略し、多眼撮像部310の各撮像部311a~dの露出レベルを仮決定せずに、ステップS34で多眼撮像部310の各撮像部311a~dが撮影を行い、得られた画像から取得した測光値により露出レベルを調整してもよい。この場合、最適な露出レベルに落ち着くまでに、複数フレームを有したり、フレーム間で輝度差が激しくなってしまったりする。
【0077】
一方、ステップS33において、単眼撮像部320の撮影方向という情報から、撮像部311a~dの露出レベルを仮決定するようにすると、ステップS35における露出レベルの調整が容易となる。その結果、最適な露出レベルで撮影を行うまでの時間が短縮できるため、好ましい。
【0078】
以上のように、本実施形態によれば、単眼撮像部320の撮影方向のみを用いた場合よりも、広角画像301の輝度ムラを低減させることができ、また、撮像部311a~dの測光値のみを用いた場合よりも、露出レベルの調整を容易とすることができる。
【0079】
尚、制御部330は、測光部315a~dの夫々が測光値を取得するための評価枠を、単眼撮像部320の撮影方向に基づいて設定するようにしても良い。具体的には、多眼撮像部310の撮像部311a~dのうち、撮影範囲の少なくとも一部が単眼撮像部320の撮影範囲と重なっている撮像部に対しては、画像の中心部分を評価枠に設定することが好ましい。これにより、照明部325によって発生する照明強度のピークをより確実に捉えることが可能となる。一方、多眼撮像部310の撮像部311a~dのうち、撮影範囲が単眼撮像部320の撮影範囲と重なっていない撮像部に対しては、画像全体を評価枠に設定することが好ましい。これにより、環境光による測光値への影響を確実に捉えることが可能となる。即ち、多眼撮像部310の各撮像部311a~dのうち、単眼撮像部320の撮影方向に近い撮影範囲の撮像部ほど、取得した画像の中心部分を含む狭い領域を、制御部330が評価枠に設定する方が好ましい。
【0080】
[実施形態4]
以下、実施形態4について説明する。本実施形態の各構成には400番台を付番する。また、実施形態1と同様の構成については、付番を100番台から400番台に変更して用い、実施形態1と重複した説明は行わない。
【0081】
実施形態4に係る撮像装置400は、実施形態1に係る撮像装置100に対して、多眼撮像部410の撮像部411a~dの構成が異なる。具体的には、撮像部411a~dは、各々、焦点距離を制御可能なフォーカス制御機構415a~dを有している。フォーカス制御機構415a~dは、モーターとギアを備え、各結像光学系412a~dのフォーカスレンズの位置を光軸方向に移動することで、焦点距離を変化させる構成とすればよい。また、単眼撮像部420は、環境光の明度を測光値として測定する測光部426(環境光測光部)を有し、測光部426により測定された明度が所定値以上である場合にデイモードとし、所定値未満である場合はナイトモードにする。
【0082】
そして、撮像装置400は、単眼撮像部420の撮影方向に基づいて、多眼撮像部410の撮像部411a~dの焦点距離を制御している。具体的には、多眼撮像部410の撮像部411a~dのうち、撮影範囲の少なくとも一部が単眼撮像部420の撮影範囲と重なっている撮像部の焦点距離を、撮影範囲が単眼撮像部420の撮影範囲と重なっていない撮像部の焦点距離とは異なる値に制御する。このような構成とすることで、広角画像401の画質を更に向上できる。以下で、説明を行う。
【0083】
ここでは、例えば店舗や駐車場の出入口に設けられた監視用途に撮像装置400が用いられる場合を考える。このような場合、特定の撮影領域(この場合は出入口)にピント位置を合わせたまま撮影し続けた方が好ましい。また、例えば工場での組み立て工程の監視や、障害物検知用の車載用に撮像装置400が用いられる場合などにおいても、特定の撮影領域にピント位置を合わせたまま撮影し続けた方が好ましい。
【0084】
しかしながら、一般に結像光学系は色収差を有しているため、結像光学系に入射する光の波長に応じて、焦点距離が異なる。特に、波長差が大きくなるほど、焦点距離の差異は大きくなる。その結果、以下のような課題が発生する。
【0085】
例えば、主に可視光が結像光学系412a~dに入射する日中において、被写体にピントが合うようにフォーカス制御機構415a~dで焦点距離を設定した後、夜間に照明部425を使用して近赤外光の照明を照射した場合を想定する。すると、撮像部411a~dのうち、可視光と近赤外光の色収差によって、照明部425によって照射されている範囲の焦点距離がずれてしまい、被写体にピントが合わなくなってしまう。この問題は、主に照明部425による近赤外光が結像光学系412a~dに入射する夜間において顕著となる。
【0086】
そこで、本実施形態では、夜間においては、多眼撮像部410の撮像部411a~dのうち、撮影範囲の少なくとも一部が単眼撮像部420の撮影範囲と重なっている撮像部のフォーカスレンズの位置を再設定する。このようにすることで、複数の撮像部411a~dで同一の被写体にピントが合った状態で撮影を行うことができる。また、日中、夜間を問わず、同一の被写体にピントが合った状態で多眼撮像部410の撮像部411a~dが撮影を行うことができるため、好ましい。
【0087】
照明光によらず、多眼撮像部410の撮像部411a~dの間で焦点距離を固定するには、以下のようにすればよい。
【0088】
まず、制御部430は、各結像光学系412a~dにおける、透過した光の波長毎のフォーカスレンズの位置と焦点距離の関係を示す図9のテーブルの情報を予め取得しておく。
【0089】
次に、測光部426により所定値以上が測定された場合、すなわち、日中であると判定された場合、制御部430は、コントラストAFや、位相差AFなど種々のフォーカス処理に基づいて、被写体にピントが合う位置にフォーカスレンズの位置を調整する。例えば、図9の可視光入射時のフォーカスレンズ位置であるPVI_1にフォーカスレンズの位置を調整する。
【0090】
その後、測光部426により所定値未満が測定された場合、すなわち、夜間であると判定された場合、制御部430は、照明部425の使用を開始する。この開始後は、制御部430は、多眼撮像部410の撮像部411a~dのうち、撮影範囲の少なくとも一部が単眼撮像部420の撮影範囲と重なっている撮像部は、その結像光学系を透過する光の波長が変化したと判定する。
【0091】
かかる判定がされた撮像部については、図9のテーブルに基づき、そのフォーカスレンズ位置を上記設定された焦点距離に対応する赤外光入射時のフォーカスレンズ位置にその撮像部のフォーカスレンズの位置を調整する(レンズ位置調整手段)。例えば、上記例のように、日中のフォーカスレンズの位置がPVI_1に設定されていた場合、かかる判定がされた撮像部については、フォーカスレンズの位置をPVI_1からPIR_1に調整する。
【0092】
[実施形態5]
以下、実施形態5について説明する。本実施形態の各構成には500番台を付番する。また、実施形態1と同様の構成については、付番を100番台から500番台に変更して用い、実施形態1と重複した説明は行わない。
【0093】
実施形態5に係る撮像装置500は、可視光のみによる画像を取得するデイモードと、可視光及び近赤外光の両方による画像を取得するナイトモードの切り替えが可能となっている。
【0094】
具体的には、測光部526により測定された明度が所定値以上である場合にデイモードとし、所定値未満である場合にナイトモードとする。また、多眼撮像部510中の複数の撮像部511a~d、及び単眼撮像部520の撮像部521は夫々、可視光を選択的に透過し、近赤外光を選択的に吸収する赤外カットフィルタと、赤外カットフィルタを挿抜するための挿抜機構を有している。ここで、可視光とは波長380nmから750nmまでの波長の光、近赤外光とは750nmから1100nmの波長の光のことを意味する。また、単眼撮像部520中の照明部525の照明波長は近赤外光である。
【0095】
撮像装置500は、多眼撮像部510及び単眼撮像部520の夫々において、赤外カットフィルタを挿入するデイモードと、多眼撮像部510及び単眼撮像部520の双方において、赤外カットフィルタを抜去するナイトモードを有する。そして、ナイトモードの際には、単眼撮像部520中の照明部525を使用して撮影を行う。
【0096】
ナイトモード時には、単眼撮像部520の赤外カットフィルタが抜去され、且つ単眼撮像部520中の照明部525が使用される。この場合、単眼撮像部520の撮影方向に基づいて、多眼撮像部510中の複数の撮像部511a~dの露出レベルが制御される。このような構成とすることで、広角画像501の輝度ムラを抑制することができる。一方、デイモード時には、照明部525を使用しないため、単眼撮像部520の撮影方向によらず、一定の露出レベルを設定すればよい。
【0097】
尚、デイモードとナイトモードに加えて、多眼撮像部510または単眼撮像部520の片方の赤外カットフィルタを抜去し、片方の赤外カットフィルタを挿入するハイブリッドモードを有するようにしても良い。
【0098】
例えば、単眼撮像部520中の固体撮像素子523の感度が多眼撮像部510中の固体撮像素子513a~dよりも低い場合、多眼撮像部510の赤外カットフィルタを挿入し、単眼撮像部520の赤外カットフィルタを抜去するモードとする方が好ましい。この時、単眼撮像部520中の照明部525を使用して、単眼撮像部520で取得される詳細画像502のSN比を向上させる方が好ましい。但し、多眼撮像部510には赤外カットフィルタが挿入されているため照明部525によって放射される近赤外光は多眼撮像部510の固体撮像素子513a~dには入射しない。このため、単眼撮像部520の撮影方向によらず、多眼撮像部510の撮像部511a~dにおいては、一定の露出レベルを設定すればよい。
【0099】
多眼撮像部510中の固体撮像素子513a~dの感度が単眼撮像部520中の固体撮像素子523よりも低い場合、多眼撮像部510の赤外カットフィルタを抜去し、単眼撮像部520の赤外カットフィルタを挿入するモードとする方が好ましい。なぜなら、単眼撮像部520では可視光のみで十分な画質の画像が取得可能な照度においても、多眼撮像部510では可視光のみで十分な画質の画像が取得できなくなってしまうからである。
【0100】
この時、単眼撮像部520中の照明部525を使用して撮影する方が、多眼撮像部510で取得される広角画像501のSN比が向上するため好ましい。更に、単眼撮像部520の撮影方向に基づいて、多眼撮像部510の撮像部511a~dの露出レベルを制御すれば、照明分布によって発生する輝度ムラも抑制することができる。
【0101】
以上で説明した、多眼撮像部510及び単眼撮像部520の夫々において赤外カットフィルタの挿抜機構を有する場合の単眼撮像部520の撮影方向に基づく露出レベル制御の有無を図10に示す。すなわち、撮像装置500の露出レベル制御の有無は、上記各モードにおける多眼撮像部510及び単眼撮像部520の夫々の赤外カットフィルタの挿抜、照明部525の使用不使用、単眼撮像部520の撮影方向に基づいて行われる。具体的には、挿抜機構により多眼撮像部510の赤外カットフィルタが抜去されている状態で照明部525を使用して撮影が行われる場合に、露出レベル制御が行われる。このように、撮影モードによって露出レベル制御の方法を切り替えることで、撮影モードによらずに、広角画像501の輝度ムラを抑制することができる。
【0102】
また、多眼撮像部510の固体撮像素子513a~d)または単眼撮像部520の固体撮像素子523のいずれかもしくは双方として、可視光用画素と近赤外光用画素を有する固体撮像素子(以下RGBIRセンサ)を使用しても良い。具体的には、RGBベイヤー配列の一部の画素のオンチップカラーフィルタを、近赤外光のみ透過可能なカラーフィルタに置き換えた固体撮像素子を使用すればよい。それに対し、RGBベイヤー配列を有し、可視光用画素のみを有する固体撮像素子をRGBセンサと呼ぶ。
【0103】
また、RGBセンサを固体撮像素子513a~dとして多眼撮像部510が有する場合、多眼撮像部510は各撮像部511a~dの撮影範囲の明度を測光値として測定する測光部515a~dをさらに有する。この測光部515a~dにより測定された明度に応じて多眼撮像部510における赤外カットフィルタの挿抜は決定される。
【0104】
一方、RGBセンサを固体撮像素子523として単眼撮像部520が有する場合、測光部526により測定された明度に応じて単眼撮像部520における赤外カットフィルタの挿抜は決定される。
【0105】
多眼撮像部510及び単眼撮像部520のいずれかもしくは双方がRGBIRセンサを有する場合の単眼撮像部520の撮影方向に基づく多眼撮像部510の撮像部511a~dの露出レベル制御の有無を図11に示す。このように、撮影モードによって露出レベル制御の有無を切り替えることで、撮影モードによらずに、広角画像501の輝度ムラを抑制することができる。
【0106】
尚、RGBIRセンサを有する撮像部に赤外カットフィルタを挿入してしまうと、赤外光が近赤外光用画素に入射しなくなってしまう。このため、多眼撮像部510または単眼撮像部520のうちRGBIRセンサが使用される側に対しては、赤外カットフィルタは用いられない。すなわち、図11(a)の多眼撮像部510にのみRGBIRセンサが使用される場合は多眼撮像部510に対して赤外カットフィルタは用いられない。また、図11(b)の単眼撮像部520にのみRGBIRセンサが使用される場合は単眼撮像部520に対して赤外カットフィルタは用いられない。同様に、図11(c)の多眼撮像部510及び単眼撮像部520共にRGBIRセンサが使用される場合は多眼撮像部510及び単眼撮像部520の双方に対して赤外カットフィルタは用いられない。
【0107】
多眼撮像部510がRGBIRセンサを有し、単眼撮像部520がRGBセンサを有する場合、図11(a)のテーブルに示す露出レベル制御が行われる。
【0108】
図11(a)の1行目は、測光部526により測定された明度が第1の所定値以上(単眼撮像部520の撮影範囲が明るい)、且つ測光部515a~dにより測定された明度が第2の所定値以上(多眼撮像部510の撮影範囲が明るい)の場合の制御を示す。この場合、単眼撮像部520への赤外カットフィルタを挿入し照明部525を不使用とする。
【0109】
図11(a)の2行目は、測光部526により測定された明度が第1の所定値以上だが、測光部515a~dにより測定された明度が第2の所定値未満(多眼撮像部510の撮影範囲が暗い)の場合の制御を示す。この場合、単眼撮像部520への赤外カットフィルタを挿入するが、多眼撮像部510の撮影範囲を明るくすべく照明部525を使用する。
【0110】
図11(a)の3行目は、測光部526により測定された明度が第1の所定値未満、且つ測光部515a~dにより測定された明度も第2の所定値未満の場合の制御を示す。この場合、単眼撮像部520の撮影範囲を明るくすべく、単眼撮像部520への赤外カットフィルタを抜去し、且つ照明部525を使用する。
【0111】
図11(a)の場合、2行目、3行目の制御においては、使用する照明部525の影響をなくすべく、多眼撮像部510の各撮像部511a~dへの露出レベル調整が行われる。
【0112】
また、多眼撮像部510がRGBセンサを有し、単眼撮像部520がRGBIRセンサを有する場合、図11(b)のテーブル示す露出レベル制御が行われる。
【0113】
図11(b)の1行目は、測光部526により測定された明度が第1の所定値以上(単眼撮像部520の撮影範囲が明るい)、且つ測光部515a~dにより測定された明度が第2の所定値以上(多眼撮像部510の撮影範囲が明るい)の場合の制御を示す。この場合、多眼撮像部510への赤外カットフィルタを挿入し照明部525を不使用とする。
【0114】
図11(b)の2行目は、測光部526により測定された明度が第1の所定値未満(単眼撮像部520の撮影範囲が暗い)、且つ測光部515a~dにより測定された明度が第2の所定値以上(多眼撮像部510の撮影範囲が明るい)の場合の制御を示す。この場合、多眼撮像部510への赤外カットフィルタを挿入し照明部525を不使用とする。
【0115】
図11(b)の3行目は、測光部526により測定された明度が第1の所定値以上(単眼撮像部520の撮影範囲が明るい)、且つ測光部515a~dにより測定された明度が第2の所定値未満(多眼撮像部510の撮影範囲が暗い)の場合の制御を示す。この場合、多眼撮像部510への赤外カットフィルタを抜去し照明部525を不使用とする。
【0116】
図11(b)の4行目は、測光部526により測定された明度が第1の所定値未満(単眼撮像部520の撮影範囲が暗い)、且つ測光部515a~dにより測定された明度が第2の所定値未満(多眼撮像部510の撮影範囲が暗い)の場合の制御を示す。この場合、多眼撮像部510への赤外カットフィルタを抜去し照明部525を使用とする。
【0117】
尚、照明部525が使用時であっても多眼撮像部510への赤外カットフィルタの挿入時は照明部525によって放射される近赤外光は多眼撮像部510の固体撮像素子513a~dには入射しない。よって、露出レベル調整は照明部525が使用時であって且つ多眼撮像部510から赤外カットフィルタが抜去されている状態(図11(b)の4行目の場合)のみ行われる。
【0118】
また、多眼撮像部510及び単眼撮像部520の双方がRGBIRセンサを有する場合、多眼撮像部510及び単眼撮像部520のいずれにも赤外カットフィルタが用いられない。よってこの場合は、図11(c)のテーブルの通り照明部525の使用・不使用のみを条件として露出レベル制御が行われる。
【0119】
尚、多眼撮像部510と単眼撮像部520の双方にRGBセンサを用いた場合には、図10のように露出レベル制御の有無を切り替えればよい。
【0120】
[その他の実施例]
本発明の目的は、前述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、装置に供給することによっても、達成されることは言うまでもない。このとき、供給された装置の制御部を含むコンピュータ(またはCPUやMPU)は、記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
【0121】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0122】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0123】
また、上述のプログラムコードの指示に基づき、装置上で稼動しているOS(基本システムやオペレーティングシステム)などが処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、装置に挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれ、前述した実施例の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。このとき、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行う。
【符号の説明】
【0125】
100 撮像装置
101 広角画像
102 詳細画像
110 多眼撮像部
120 単眼撮像部
111a~d,121 撮像部
112a~d,122 結像光学系
113a~d,123 固体撮像素子
114 合成処理部
124 駆動機構
125 照明部
130 制御部
140 転送部
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11