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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】振動デバイスを有する電子機器
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/02 20210101AFI20221212BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20221212BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20221212BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20221212BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20221212BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G03B17/02
B06B1/04 S
G02B7/08 Z
G02B7/02 E
G03B17/18 Z
G03B17/00 Q
H04N5/225 000
H04N5/225 100
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018179605
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2020052149
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】上村 昂平
(72)【発明者】
【氏名】中島 真我
(72)【発明者】
【氏名】小川 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 貴純
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 輝
(72)【発明者】
【氏名】野田 豊人
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-319298(JP,A)
【文献】特開平09-026537(JP,A)
【文献】実開平07-019716(JP,U)
【文献】特開昭59-111117(JP,A)
【文献】特開2013-083866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/02
B06B 1/04
G02B 7/08
G02B 7/02
G03B 17/18
G03B 17/00
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
導電部を有し、前記ベース部材に取り付けられた第1の導電部材と、
ユーザ操作により前記ベース部材に対して回転する操作部材と、
前記操作部材に取り付けられ、振動を発生する振動デバイスと、
前記第1の導電部材の導電部に接触する接点部を有し、前記操作部材に取り付けられて前記振動デバイスに電気的に接続された第2の導電部材と、
前記操作部材の回転中心軸が延びる軸方向における前記操作部材を挟んで前記第1の導電部材とは反対側に配置され、前記ベース部材に取り付けられた第3の導電部材と、
前記第3の導電部材の導電部に接触する接点部を有し、前記操作部材に取り付けられた第4の導電部材とを有し、
前記操作部材が回転する際に、前記第2の導電部材の接点部が前記第1の導電部材の導電部に対して摺動することにより、前記第1および第2の導通部材を介して前記振動デバイスに給電し、
前記第2および第4の導電部材はそれぞれ、前記軸方向に弾性を有し、弾性力により前記操作部材を前記軸方向の両側から付勢することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記操作部材は、レンズ鏡筒ユニットの外周に回転可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の導電部材および前記第2の導電部材はそれぞれ、前記第1の導電部材の導電部と前記第2の導電部材の接点部とが前記操作部材の回転中心軸が延びる軸方向において接触するように前記ベース部材および前記操作部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1の導電部材において、前記第1の導電部材の導電部が前記操作部材の回転方向に途切れることなく設けられ、
前記第2の導電部材は、前記回転方向に円弧状に延び、該回転方向における両側に前記第2の導電部材の接点部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第3および第4の導電部材は、前記第1および第2の導電部材とともに、前記振動デバイスに給電を行うために設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第3および第4の導電部材は、前記操作部材の回転を検出するために設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記振動デバイスは、前記操作部材の回転中心軸が延びる軸方向に振動を発生することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ操作に応じた振動を発生する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ、ビデオカメラおよび交換レンズ等の電子機器には、回転リング、ダイアル、ボタン等の操作部材のユーザ操作に応じて力感やクリック感等の操作感を発生させる構成を有することが多い。
【0003】
特許文献1には、ユーザによる押圧操作が可能なシャッタボタン等のボタンの直下に振動デバイス(圧電アクチュエータ)を設け、押圧操作に応じて振動デバイスを振動させて操作感をユーザに与えるカメラが開示されている。また、特許文献2には、ユーザが指を置くシャッタボタンやユーザが把持するグリップ部に設けた振動デバイスに振動を発生させることで、被写体を適正に撮像できる向きをユーザに知覚させる(つまりはカメラの向きを指示する情報を与える)カメラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-136865号公報
【文献】特開2013-157953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザがカメラのレンズ鏡筒部の外周に設けられた操作リングを回転操作する際に、実際にユーザが指を触れる操作リングとは異なるカメラ本体(例えばグリップ部)が振動すると、ユーザが違和感を覚えるおそれがある。さらに、操作リングのうちユーザが指を触れていない部分に配置された振動デバイスを振動させてユーザの指に良好に振動を伝達するためには、振動デバイスが発生する振動を大きくする必要がある。
【0006】
本発明は、振動デバイスを用いて操作部材を操作するユーザに良好な操作感を与えることができるようにした電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としての電子機器は、ベース部材と、導電部を有し、ベース部材に取り付けられた第1の導電部材と、ユーザ操作によりベース部材に対して回転する操作部材と、操作部材に取り付けられ、振動を発生する振動デバイスと、第1の導電部材の導電部に接触する接点部を有し、操作部材に取り付けられて振動デバイスに電気的に接続された第2の導電部材と、操作部材の回転中心軸が延びる軸方向における操作部材を挟んで第1の導電部材とは反対側に配置され、ベース部材に取り付けられた第3の導電部材と、第3の導電部材の導電部に接触する接点部を有し、操作部材に取り付けられた第4の導電部材とを有する。操作部材が回転する際に、第2の導電部材の接点部が第1の導電部材の導電部に対して摺動することにより、第1および第2の導通部材を介して振動デバイスに給電し、第2および第4の導電部材はそれぞれ、軸方向に弾性を有し、弾性力により操作部材を軸方向の両側から付勢することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作部材に振動デバイスを取り付けることで操作部材を操作するユーザに良好な操作感を与えることができる。しかも、操作部材をその回転角が制限されることなく回転操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】(a)本発明の実施例1であるカメラの外観斜視図と(b)該カメラに搭載されたLRAの構成を示す図。
図2】(a)実施例1のカメラの背面斜視図と(b)底面図。
図3】実施例1のカメラの構成を示すブロック図。
図4】実施例1におけるフロントカバーユニットの分解斜視図。
図5】実施例1における振動デバイスの配置を示す図。
図6】(a)実施例1における操作リング部の断面図および(b)A部の拡大図。
図7】本発明の実施例2におけるフロントカバーユニットの分解斜視図。
図8】実施例2における操作リング部の断面図。
図9】本発明の実施例3におけるフロントカバーユニットの分解斜視図。
図10】(a)実施例3における検出用基板に設けられた導電パターンを示す図および(b)操作リング部の分解断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0011】
図1(a)および図2(a),(b)を参照して、本発明の実施例1である撮像装置(電子機器)としてのデジタルカメラ(以下、カメラという)10の構成について説明する。図1(a)に示すように、カメラ10において後述するレンズ鏡筒ユニット(レンズ鏡筒部)が収容する光学系の光軸が延びる光軸方向をZ軸方向とし、これに直交する方向をX軸方向(水平方向)およびY軸方向(垂直方向)とする。以下、X軸方向とY軸方向をまとめてX/Y軸方向とも記す。また、X軸回りの回転方向をピッチ(Pitch)方向とし、Y軸回りの回転方向をヨー(Yaw)方向とする。ピッチ方向とヨー方向(以下、まとめてピッチ/ヨー方向とも記す)は、互いに直交するX軸とY軸である2軸回りでの回転方向である。
【0012】
図1(a)は、カメラ10の前面および上面を示している。カメラ10は、カメラ本体の前側の部分を構成するフロントカバーユニット11と、該フロントカバーユニット11の中央に設けられ、被写体から光を結像させて被写体像を形成する沈胴式レンズ鏡筒ユニット12とを有する。本体内には、被写体像を光電変換(撮像)して画像を生成する撮像素子(図3参照)が設けられている。
【0013】
フロントカバーユニット11のうち前方(被写体側)から見て左側(後方から見て右側)の部分には、ユーザがカメラ10を手で把持するためのフロントグリップ部101が設けられている。このフロントグリップ部101は、フロントカバーユニット11におけるレンズ鏡筒ユニット12の周囲の部分(後述するフロントカバー)よりも前側に突出しており、ユーザが手(中指や薬指)で持ちやすい形状を有する。フロントグリップ部101を手で把持したユーザは、その手の人差し指で後述するレリーズボタン17やズームレバー16を操作することができる。このため、フロントグリップ部101は、レンズ鏡筒ユニット12よりもレリーズボタン17側に配置されている。
【0014】
また、レンズ鏡筒ユニット12の外周には、光軸回りで回転可能な操作リング102が設けられている。ユーザは、操作リング102の所定回転量ごとの複数の回転位置のそれぞれに撮像条件を変更するための任意の機能を割り当てることができる。例えば、操作リング102を回転操作してその回転位置を選択することで、焦点位置や露出値等の撮像条件を可変設定することができる。すなわち、操作リング102は、撮像に関する設定のためのユーザ操作が可能な操作部材であるとともに、複数の回転位置へのユーザ操作が可能な操作部材である。本実施例にいう撮像に関する設定とは、撮像に関する切替えや調整等も含む。
【0015】
カメラ10の上面には、露出値を設定するための露出ダイアル13と、電源ボタン14と、撮像モードを切り替えるためのモードダイアル15とが配置されている。カメラ10の電源がOFFの状態においてユーザが電源ボタン14を押すことで、カメラ10の電源がONになる。カメラ10の電源がONになると、レンズ鏡筒ユニット12が沈胴位置から前方に突出して撮像可能な状態となる。この状態でユーザがモードダイアル15を回転させてその回転位置を選択することにより、各種撮像モードを設定することができる。各種撮像モードには、シャッタ速度や絞り値等の撮像条件をユーザが任意に設定可能なマニュアル静止画撮像モード、自動で適正な露光量が得られるオート静止画撮像モードおよび動画の撮像を行うための動画撮像モード等が含まれる。マニュアル静止画撮像モードにおいて、ユーザが露出ダイアル13を回転させてその回転位置を選択することにより、任意の露出値(シャッタ速度+絞り値)を設定することができる。露出ダイアル13とモードダイアル15は、撮像に関する設定のためのユーザ操作が可能な操作部材であるとともに、複数の回転位置へのユーザ操作が可能な操作部材である。
【0016】
また、カメラ10の上面には、レンズ鏡筒ユニット12の焦点距離を変更するためにユーザにより左右に操作されるズームレバー16と、撮像を指示するためにユーザにより押圧操作されるレリーズボタン17とが配置されている。さらにカメラ10の上面には、内蔵フラッシュユニット19がポップアップおよび格納可能に設けられており、さらに内蔵フラッシュユニット19の上面には外付けのフラッシュユニットやマイクロフォン等を脱着可能なアクセサリシュー18が設けられている。
【0017】
カメラ10の電源がONの状態でユーザが電源ボタン14を押すと、レンズ鏡筒ユニット12が本体内に格納されるとともに、カメラ10の電源がOFFとなる。
【0018】
本実施例では、操作リング102の内側に、後述する振動デバイスが設けられている。振動デバイスは、操作リング102の回転操作に応じて振動し、操作リング102に振動を与える。振動デバイスは、例えば、圧電素子を用いたタイプ、偏心モータタイプまたはリニアアクチュエータ(LRA:Linear Resonant Actuator)タイプであり、その振動強度(振幅)や振動周波数等の振動パラメータを可変設定することができる。振動パラメータを変更することで、様々な振動パターンの振動を発生させることができる。
【0019】
図2(a)は、カメラ10の背面を示している。カメラ10の背面には、本体の背面を構成する背面カバーユニット23と、背面カバーユニット23に設けられた背面操作部21と、表示部22とが設けられている。背面操作部21は、複数のボタンやダイアルを含み、背面カバーユニット23のうちユーザがカメラ10を把持する際に親指を当てる背面グリップ部23cの下側に設けられている。
【0020】
カメラ10の電源がON状態であり、静止画または動画撮像モードが設定されているとき、表示部22には、撮像素子により撮像されている被写体像のスルー画像が表示される。また、表示部22には、シャッタ速度や絞り値等の撮像条件を示す撮像パラメータが表示され、ユーザはその表示を見ながら背面操作部21を操作することによって撮像パラメータの設定値を変更することが可能である。撮像パラメータの設定値の変更を、タッチパネルとしての表示部22に表示されたスライダに対するタッチ操作(スライド操作)により行ってもよい。この場合のスライダは、撮像に関する設定のためのユーザ操作が可能な操作部材であるとともに、複数のスライド位置へのユーザ操作が可能な操作部材である。
【0021】
背面操作部21は、記録された撮像画像の再生を指示するための再生ボタンを含み、該再生ボタンをユーザが操作することで、撮像画像が表示部22に再生表示される。
【0022】
図2(b)は、カメラ10の底面を示している。カメラ10の底面には三脚座30が設けられている。三脚座30には、三脚やジャケット等のアクセサリ機器が取付け可能である。
【0023】
図1(b)は、LRAタイプの振動デバイス100の構成を示している。LRAは、振動子100a、マグネット100b、バネ100c、コイル100dおよびベース100eにより構成されている。振動子100aは、マグネット100bを保持し、かつベース100eに対してバネ100cにより移動可能に結合されている。コイル100dは、マグネット100bの近傍に配置され、不図示の基板と電気的に接続される。コイル100dは、基板から電流を与えられることで電磁力を発生し、その電磁力とマグネット100bとの間の吸着力また反発力により振動子100aが往復運動することにより、振動デバイス100に図中の矢印方向に振動が発生する。
【0024】
図3は、カメラ10の電気的および光学的な構成を示している。カメラ10は、後述する各部に電源を供給する電源部135と、前述した露出ダイアル13、電源ボタン14、モードダイアル15、ズームレバー16、レリーズボタン17および背面操作部21を含む操作部40とを有する。カメラ10全体の制御は制御手段としての制御部115によって行われる。制御部115は、不図示のメモリに格納されている制御プログラムを読み出して実行することで、カメラ10全体を制御する。
【0025】
レンズ鏡筒ユニット12は、光軸方向に移動して変倍を行うズームレンズを含むズームユニット116と、像振れを低減(補正)する防振素子としてのシフトレンズを含むレンズ防振ユニット118とを有する。レンズ防振ユニット118は、シフトレンズを光軸に対して直交するX/Y軸方向に移動(シフト)させて像振れを低減する防振動作を行う。また、レンズ鏡筒ユニット12は、光量調節動作とシャッタ動作とを行う絞り・シャッタユニット122と、光軸方向に移動して焦点調節を行うフォーカスレンズを含むフォーカスユニット124とを有する。
【0026】
カメラ10は、ズームユニット116を駆動してズームレンズを移動させるズーム駆動部117と、レンズ防振ユニット118を駆動してシフトレンズをシフトさせる防振駆動部119と、絞り・シャッタユニット122を駆動する絞り・シャッタ駆動部123とを有する。また、カメラ10は、フォーカスユニット124を駆動してフォーカスレンズを移動させるフォーカス駆動部125を有する。
【0027】
制御部115は、操作部40から変倍の指示が入力されると、ズーム駆動部117を介してズームユニット116の駆動を制御することで変倍を行わせる。また、制御部115は、操作部40から受けた絞り値やシャッタ速度の設定値または後述する画像処理部131から取得した輝度信号に応じて、絞り・シャッタ駆動部123を介して絞り・シャッタユニット122の絞り駆動を制御する。また、制御部115は、レリーズボタン17における撮像指示操作に応じて絞り・シャッタ駆動部123を介して絞り・シャッタユニット122のシャッタ駆動を制御する。さらに、制御部115は、画像処理部131から取得した焦点信号に応じて、フォーカス駆動部125を介してフォーカスユニット124の駆動を制御することで、オートフォーカスを行う。
【0028】
撮像素子126は、被写体像を光電変換して撮像信号を出力する。画像処理部131は、撮像信号に対して各種画像処理を行って画像信号を生成する。表示部22は、画像処理部131から出力された画像信号(スルー画像)を表示したり、前述したように撮像パラメータを表示したり、記憶部132に記録された撮像画像を再生表示したりする。
【0029】
また、撮像素子126は、防振素子としてセンサ防振ユニット130に含まれている。センサ防振ユニット130は、撮像素子126を光軸に対して直交するX/Y軸方向に移動(シフト)させて像振れを低減(補正)する防振動作を行う。制御部115は、センサ駆動部127を介して、撮像素子126による撮像と、センサ防振ユニット130の駆動(撮像素子126のシフト位置)とを制御する。
【0030】
カメラ10は、該カメラ10に加わる手振れ等の振れ(以下、カメラ振れという)を検出可能な振れ検出手段としてのピッチ振れ検出部120aとヨー振れ検出部120bを有する。ピッチ振れ検出部120aとヨー振れ検出部120bはそれぞれ、角速度センサ(振動ジャイロ)や角加速度センサを用いて、ピッチ方向(X軸回りの回転方向)およびヨー方向(Y軸回りの回転方向)のカメラ振れを検出して振れ信号を出力する。
【0031】
ピッチ防振演算部121aは、ピッチ振れ検出部120aからの振れ信号を用いてレンズ防振ユニット118(シフトレンズ)とセンサ防振ユニット130(撮像素子126)のY軸方向でのシフト位置を算出する。また、ヨー防振演算部121bは、ヨー振れ検出部120bからの振れ信号を用いてレンズ防振ユニット118とセンサ防振ユニット130のX軸方向でのシフト位置を算出する。制御部115は、ピッチ防振演算部121aとヨー防振演算部121bが算出したピッチ/ヨー方向のシフト位置に応じて、防振駆動部119およびセンサ駆動部127を介してレンズ防振ユニット118およびセンサ防振ユニット130のシフト位置を制御する。これにより、像振れを補正する防振動作が行われる。
【0032】
なお、防振動作をレンズ防振ユニット118とセンサ防振ユニット130のいずれか一方または両方を駆動して行うかは、操作部40を通じてユーザが選択することができる。例えば、ユーザが防振動作の設定をONにしている場合は、制御部115が撮像シーンを判別し、レンズ防振ユニット118とセンサ防振ユニット130のうち最適な一方または両方の防振ユニットを選択して防振動作を行わせる。
【0033】
回転検出部133は、操作リング102の回転操作を検出する。回転検出部133により回転操作が検出されると、制御部115は、振動デバイス駆動部134に振動デバイス100に対する駆動信号を出力させ、該振動デバイス100に振動を発生させる。後述するように振動デバイス100が操作リング102に振動を伝達することで、操作リング102に触れているユーザの手(指)に対して操作リング102の回転操作に対するクリック感等の操作感を与えることができる。
【0034】
前述したように背面操作部21の操作により撮像パラメータの設定値を変更することが可能であるが、撮像パラメータの設定値の変更を操作リング102の回転操作に割り当てることも可能である。
【0035】
さらにカメラ10は、姿勢検出部(姿勢検出手段)136を有する。姿勢検出部136は、例えば加速度センサを用いて構成され、カメラ10の姿勢を検出する。制御部115は、姿勢検出部136を通じて検出したカメラ10の姿勢(以下、カメラ姿勢という)に応じて、表示部22に表示される水準器機能やレンズ防振ユニット118等を制御する。
【0036】
図4はフロントカバーユニット11を分解して示している。フロントカバーユニット11はフロントベース部材104を有し、このフロントベース部材104に対して金属製の外装カバーであるフロントカバー103が両面テープまたは接着材により固定される。フロントカバー103には、フロントグリップ部101が外側から組み付けられ、内側から2つのネジ(図示せず)により固定される。前述したように、フロントグリップ部101は、ユーザが持ちやすいようにフロントカバー103から前側に突出した形状を有する。フロントグリップ部101は、フロントカバー103側の樹脂部材と、ユーザが把持する表面側の弾性部材との2層構造を有する。
【0037】
操作リング102の後部の外周面に周方向(すなわち操作リング102の回転方向)に延びるように形成された溝部内には、O-リング105が嵌め込まれる(図6(a)参照)。O-リング105は、フッ素ゴム等の摺動性が良いゴム素材により形成されている。こうしてO-リング105が組み付けられた操作リング102は、フロントベース部材104に形成された操作リング保持部104aに前方から組み付けられる。これにより、O-リング105は操作リング102と操作リング保持部104aとの間に挟み込まれ、操作リング102のフロントベース部材104に対する径方向のガタつきが抑えられる。
【0038】
一方、回転検出リング106の前面には、摺動シート107が貼り付けられる。回転検出リング106には、その周方向に複数の凹部と凸部106cが等間隔に交互に形成されている。これら凸部106cは、回転検出リング106の回転に伴って回転検出部133に含まれるフォトインタラプタ133a,133bの発光部と受光部との間に出入りする遮光部として機能する。
【0039】
回転検出リング106は、フロントベース部材104の後方から操作リング102に対して組み付けられる。このとき、回転検出リング106の周方向複数箇所(本実施例では2箇所)に設けられた位相合わせ部106aを、操作リング102の内周部における周方向複数箇所に設けられた位相合わせ凹部102aに合わせるように回転検出リング106の回転位置を決める。そして、回転検出リング106の周方向複数箇所(本実施例では4箇所)から前方に延びるように形成されたフッキング部106bを、操作リング102の周方向複数箇所に設けられた突起部102bに係合させる。こうして、操作リング102と回転検出リング106とが一体回転可能に連結される。
【0040】
また、上述したフォトインタラプタ133a,133bは、回転検出リング106の回転方向における異なる位置(位相)に配置されるようにフレキシブル基板109に実装されている。フレキシブル基板109は、フロントベース部材104に組み付けられる。各フォトインタラプタは、その発光部と受光部との間に回転検出リング106の凸部106cが位置する場合は遮光状態となり、発光部と受光部との間に凸部106cが位置しない場合は受光状態となる。フォトインタラプタ133a,133bのそれぞれの遮光状態と受光状態の切り替わりを検出およびカウントすることで、回転検出リング106、つまりは操作リング102の回転方向および回転量を検出することができる。フォトインタラプタ133a,133bと回転検出リング106により回転検出手段が構成される。
【0041】
また、フロントベース部材104の前面における操作リング保持部104aの周囲には、第1の導電部材としての給電用基板111が両面テープまたは接着により取り付けられる。給電用基板111は円環状に形成されており、その前面における内周側と外周側にはそれぞれ、導電部としての給電用パターン111a,111bが円環状に周方向にて途切れることなく形成されている。給電用パターン111a,111bは、フロントベース部材104に取り付けられた不図示のメイン基板に電気的に接続されている。このメイン基板には、図3に示した制御部115や振動デバイス駆動部134等が実装されている。振動デバイス駆動部134は、メイン基板を介して給電用パターン111a,111bに電気的に接続されている。
【0042】
図5は、後方から見た操作リング102を示している。操作リング102の内周部には、振動デバイス100が両面テープまたは接着により取り付けられ(固定され)ている。LRAタイプの振動デバイス100は、図1(b)に示したようにボックス形状を有するため、その外面を用いて両面テープや接着により操作リング102に強固に固定することができる。ただし、振動デバイス100をビスにより操作リング102に取り付けられてもよい。また、振動デバイス100は、その振動方向(図1(b)に示した矢印方向)がレンズ鏡筒ユニット12の光軸に平行な方向となるように、つまりは光軸方向となるように操作リング102に取り付けられる。
【0043】
また、操作リング102の内周部における後面には、第2の導電部材としての第1の給電用ブラシ112および第2の給電用ブラシ113がビスまたは接着により取り付けられている。第1および第2の給電用ブラシ112,113はそれぞれ、操作リング102の周方向に円弧状に延びるように形成されている。振動デバイス100は、給電のためのリード線100f,100gを有する。リード線100f,100gはそれぞれ、半田付け等によって第1および第2の給電用ブラシ112,113に設けられたリード線接続部112a,113aに電気的に接続されている。
【0044】
第1の給電用ブラシ112における周方向の両側に設けられた2つの接点部112bはそれぞれ、図4に示す給電用基板111の給電用パターン111aにおける周方向にて互いに異なる位置に接触する。また、第2の給電用ブラシ113における周方向の両側に設けられた2つの接点部113bはそれぞれ、給電用基板111の給電用パターン111bにおける周方向にて互いに異なる位置に接触する。こうして接点部112b,113bと給電用パターン111a,111bとが、光軸方向(言い換えれば、操作リング102の回転中心軸が延びる軸方向)において接触する。
【0045】
給電用基板111からの駆動電流(振動デバイス駆動部134からの駆動信号)は、第1および第2の給電用ブラシ112,113を介して振動デバイス100に供給される。すなわち、振動デバイス100に対する給電が行われる。これにより、振動デバイス100に振動を発生させることができる。
【0046】
操作リング102が回転すると、第1および第2の給電用ブラシ112,113も操作リング102とともに回転し、接点部112b,113bは給電用パターン111a,111bに対して摺動する。この際、給電用パターン111a,111bは周方向に途切れることなく形成されているため、操作リング102の回転位置(位相)によらず、給電用基板111から振動デバイス100に対する給電が可能となる。また、給電用パターン111a,111bに対して摺動する第1および第2の給電用ブラシ112,113を用いることで、フレキシブル基板やケーブル等の配線を用いる場合のように配線により操作リング102の回転角が制限されることを回避することができる。すなわち、操作リング102の無端回転操作が可能となる。
【0047】
図6(a)は操作リング102周辺の断面を示し、図6(b)は図6(a)におけるA部を拡大して示している。
【0048】
図5に示したように、第1および第2の給電用ブラシ112,113はそれぞれ、周方向に延びる2つのアーム部112c,113cを有し、そのアーム部112c,113cの先端に接点部112b,113bが設けられている。第1および第2の給電用ブラシ112,113は、アーム部112c,113cが光軸方向に弾性を有するように形成されている。アーム部112c,113cが弾性変形して弾性力を発生した状態で接点部112b,113bが給電用基板111(給電用パターン111a,111b)に接触することで、操作リング102は前方(図6(a),(b)中に矢印で示した付勢方向)に付勢される。この付勢により、回転検出リング106が摺動シート107を介してフロントベース部材104における操作リング保持部104aの後端面に押圧される。これにより、操作リング102のフロントベース部材104に対する光軸方向でのガタつきが抑えられる。
【0049】
本実施例では、第1および第2の給電用ブラシ112,113のそれぞれに周方向2つずつ設けられたアーム部112c,113cの先端に接点部112b,113bを設ける、つまりは計4つのアーム部および接点部を周方向90°間隔で設けている。これにより、操作リング102の回転中心軸が光軸に対して傾くことを抑制する。ただし、2つの給電用ブラシのそれぞれに設けるアーム部および接点部を1つとし、弾性を有する不図示のダミー接点部材を用いて周方向120°間隔の3箇所に接点部を設けてもよい。
【0050】
また、本実施例では、第1および第2の給電用ブラシ112,113が有する弾性を利用して操作リング102のガタ取りを行うが、第1および第2の給電用ブラシ112,113とは別の弾性部材を操作リング102とフロントベース部材104との間に挟んでもよい。
【0051】
次に、図6(b)を用いて、振動デバイス100とフォトインタラプタ133aとの関係について説明する。なお、以下の説明は、フォトインタラプタ133bについても同様である。
【0052】
図6(a)にも示すように、振動デバイス100は、その振動方向が光軸方向となるように配置されている。フォトインタラプタ133aは、その発光部から受光部に向かって振動方向と平行に光線L1が発せられるように配置されている。
【0053】
前述したように、回転検出リング106には、その全周にわたって凸部(遮光部)106cが設けられている。凸部106cは、回転検出リング106において径方向外側に突出しており、操作リング102の回転に伴ってフォトインタラプタ133aの発光部と受光部との間に出入りする。
【0054】
本実施例では、振動デバイス100の振動方向をフォトインタラプタ133aの発光部と受光部の配置方向、すなわち光線L1を発する発光部と光線L1を受光する受光部とが対向する方向と同じとしている。このため、振動デバイス100の振動によって凸部106cが振動方向に変位しても、凸部106によって光線L1が遮られる量はほとんど変化しない。これにより、振動デバイス100の振動に起因するフォトインタラプタ133a(および133b)による操作リング102の回転の誤検出を低減することができる。
【0055】
仮に振動デバイス100の振動方向をフォトインタラプタ133aの発光部と受光部と配置方向に直交する径方向とすると、振動デバイス100の振動により凸部106によって光線L1が遮られる量が変化するおそれがある。この結果、フォトインタラプタ133aの受光部の受光量が安定せず、操作リング102の回転の誤検出が発生するおそれがある。したがって、本実施例のように、振動デバイス100の振動方向をフォトインタラプタ133aの発光部と受光部と配置方向、つまりは光軸方向に一致させることが望ましい。
【実施例2】
【0056】
次に、本発明の実施例2について説明する。実施例1と共通する構成についてはその説明を省略する。図7は、実施例2におけるフロントカバーユニット11を分解して示している。
【0057】
本実施例では、実施例1と同じくLRAタイプの振動デバイス200が操作リング202の内周部に取り付けられる(図8(a)参照)。フロントベース部材204の前面における操作リング保持部204aの周囲には、第1の導電部材としての後側給電用基板211Aが取り付けられる。また、操作リング保持部204aの前端面には円環形状を有する前端カバー214がビスにより取り付けられる。この前端カバー214の後面、すなわち光軸方向(振動デバイス200の振動方向)における操作リング202を挟んで後側給電用基板211Aとは反対側の面には、第3の導電部材としての前側給電用基板211Bが取り付けられる。後側給電用基板211Aおよび前側給電用基板211Bはともに円環状に形成されている。後側給電用基板211Aおよび前側給電用基板211Bにはそれぞれ、導電部としての給電用パターン211aおよび給電用パターン211bが円環状に周方向にて途切れることなく形成されている。前端カバー214は、これが一体に固定されたフロントベース部材204とともにベース部材を構成する。
【0058】
一方、操作リング202の内周部における後面には、第2の導電部材としての第1の給電用ブラシ212が取り付けられる。また、操作リング202の内周部における前面には、第4の導電部材としての第2の給電用ブラシ213が取り付けられる。第1および第2の給電用ブラシ212,213はともに円環状に形成されている。第1および第2の給電用ブラシ212,213はそれぞれ、その周方向の一箇所にリード線接続部212a,213aを有する。これらリード線接続部212a,213aにはそれぞれ、振動デバイス200が有するリード線200a,200bが半田付け等により電気的に接続される。
【0059】
また、第1および第2の給電用ブラシ212,213はそれぞれ、その周方向の複数箇所(本実施例では3箇所)に接点部212b,213bを有する。第1の給電用ブラシ212に設けられた3つの接点部112bは、後側給電用基板211Aの給電用パターン211aにおける周方向にて互いに異なる位置に接触する。また、第2の給電用ブラシ213に設けられた3つの接点部213bはそれぞれ、前側給電用基板211Bの給電用パターン211bにおける周方向にて互いに異なる位置に接触する。こうして接点部212b,213bと給電用パターン211a,211bとが、光軸方向において接触する。なお、本実施例のように給電用パターン211a,211bを光軸方向に分けて配置することで、実施例1に比べて各給電用基板の外径を小さくすることができ、レンズ鏡筒ユニットの径方向での小型化が可能となる。
【0060】
後側および前側給電用基板211A,211Bからの駆動電流(実施例1で説明した振動デバイス駆動部134からの駆動信号)はそれぞれ、第1および第2の給電用ブラシ212,213を介して振動デバイス200に供給される。すなわち、振動デバイス200に対する給電が行われる。これにより、振動デバイス200に振動を発生させることができる。
【0061】
操作リング202が回転すると、第1および第2の給電用ブラシ212,213も操作リング202とともに回転し、接点部212b,213bは給電用パターン211a,211bに対して摺動する。この際、給電用パターン211a,211bは周方向に途切れることなく形成されているため、操作リング202の回転位置(位相)によらず、後側および前側給電用基板211A,211Bから振動デバイス200に対する給電が可能となる。また、給電用パターン211a,211bに対して摺動する第1および第2の給電用ブラシ212,213を用いることで、フレキシブル基板やケーブル等の配線を用いる場合のように配線により操作リング202の回転角が制限されることを回避することができる。すなわち、操作リング202の無端回転操作が可能となる。
【0062】
図8(a)は操作リング202周辺の断面を示し、図8(b)は図8(a)におけるB部を拡大して示している。第1および第2の給電用ブラシ212,213は、光軸方向に弾性を有するように形成されている。第1および第2の給電用ブラシ212,213が弾性変形して弾性力を発生した状態で接点部212b,213bがそれぞれ後側および前側給電用基板211A,211Bの給電用パターン211a,211bに接触することで、操作リング202は光軸方向においてその両側から付勢される。この両側からの付勢により、操作リング202のフロントベース部材204に対する光軸方向でのガタつきが抑えられる。
【0063】
円筒状の回転検出シート(スケール)206は、操作リング202の内周面に両面テープで固定される。回転検出シート206には、光を反射する反射部206aと非反射部206bとが交互に配置された回転検出用パターンが設けられている。一方、フロントベース部材204には、2つのフォトリフレクタ233a,233bが実装された検出用基板209が取り付けられている。各フォトリフレクタには、回転検出シート206の回転検出用パターンに対向する発光部と受光部とが設けられている。
【0064】
操作リング202が回転操作されると、回転検出シート206も回転する。この際、2つのフォトリフレクタ233a,233bはそれぞれ、発光部から発せられて回転検出シート206の回転検出用パターン(反射部206a)にて反射した光をそれぞれの受光部で受光する。2つのフォトリフレクタ233a,233bの受光部からは、互いに位相がずれた2つのパルス信号が出力される。これらのパルス信号を用いることで、操作リング202の回転方向と回転量を検出することができる。フォトリフレクタ233a,233bと回転検出シート206により回転検出手段が構成される。
【0065】
次に、図8(b)を用いて、振動デバイス200とフォトリフレクタ233aとの関係について説明する。なお、以下の説明は、フォトリフレクタ233bについても同様である。
【0066】
振動デバイス200は、その振動方向が光軸方向となるように配置されている。フォトリフレクタ233aは、その発光部から振動方向に直交する径方向に回転検出シート206に向かって光線L2を発し、回転検出シート206で反射した光線L2を受光部で受光する。このように、振動デバイス200の振動方向は、フォトリフレクタ233aの発光部と受光部が回転検出シート206に対向する方向に直交する方向(つまりは光軸方向)である。
【0067】
振動デバイス200が振動すると、回転検出シート206がフォトリフレクタ233aに対して振動方向に変位する。しかし、回転検出シート206がその変位量より大きい幅を有していれば、フォトリフレクタ233aによる回転検出シート206からの反射光を用いた操作リング202の回転検出には影響がほとんどない。これにより、振動デバイス200の振動に起因するフォトリフレクタ233a(および233b)による操作リング202の回転の誤検出を低減することができる。また、振動デバイス200が振動しても、フォトリフレクタ233と回転検出シート206との径方向での間隔、すなわち光線L2の光路長が変化しない。このため、さらに回転の誤検出を低減することができる。
【実施例3】
【0068】
次に、本発明の実施例3について説明する。実施例1と共通する構成についてはその説明を省略する。図9は、実施例2におけるフロントカバーユニット11を分解して示している。
【0069】
本実施例では、実施例1と同じくLRAタイプの振動デバイス300が操作リング302の内周部に取り付けられる(図10(b)参照)。フロントベース部材304の前面における操作リング保持部304aの周囲には、第1の導電部材としての給電用基板311が取り付けられる。給電用基板311は円環状に形成されており、その前面における内周側と外周側にはそれぞれ、導電部としての給電用パターン311a,311bが円環状に周方向にて途切れることなく形成されている。
【0070】
また、操作リング302の内周部の後面には、第2の導電部材としての第1の給電用ブラシ312および第2の給電用ブラシ313がビスまたは接着により取り付けられている。第1および第2の給電用ブラシ312,313は、実施例1の第1および第2の給電用ブラシ112,113と同様に形成されている。振動デバイス300は、給電のためのリード線300f,300gを有する。リード線300f,300gはそれぞれ、半田付け等によって第1および第2の給電用ブラシ312,313に設けられたリード線接続部312a,313aに電気的に接続されている。
【0071】
第1の給電用ブラシ312における周方向の両側に設けられた2つの接点部312bはそれぞれ、給電用基板311の給電用パターン311aにおける周方向にて互いに異なる位置に接触する。また、第2の給電用ブラシ313における周方向の両側に設けられた2つの接点部313bはそれぞれ、給電用基板311の給電用パターン311bにおける周方向にて互いに異なる位置に接触する。こうして接点部312b,313bと給電用パターン311a,311bとが、光軸方向において接触する。
【0072】
給電用基板311からの駆動電流(実施例1で説明した振動デバイス駆動部134からの駆動信号)は、第1および第2の給電用ブラシ312,313を介して振動デバイス300に供給される。すなわち、振動デバイス100に対する給電が行われる。これにより、振動デバイス300に振動を発生させることができる。
【0073】
操作リング302が回転すると、第1および第2の給電用ブラシ312,313も操作リング302とともに回転し、接点部312b,313bは給電用パターン311a,311bに対して摺動する。この際、給電用パターン311a,311bは周方向に途切れることなく形成されているため、操作リング102の回転位置(位相)によらず、給電用基板311から振動デバイス300に対する給電が可能となる。また、給電用パターン311a,311bに対して摺動する第1および第2の給電用ブラシ312,313を用いることで、フレキシブル基板やケーブル等の配線を用いる場合のように配線により操作リング302の回転角が制限されることを回避することができる。すなわち、操作リング302の無端回転操作が可能となる。
【0074】
また、フロントベース部材304における操作リング保持部304aの前端面には、円環形状を有する前端カバー314がビスにより取り付けられる。この前端カバー314の後面、すなわち光軸方向(振動デバイス300の振動方向)における操作リング302を挟んで給電用基板311とは反対側の面には、第3の導電部材としての回転検出用基板309が取り付けられる。回転検出用基板309は円環状に形成されている。回転検出用基板309の後面には、図10(a)に示すように、導電部としての回転検出用パターン309a,309b,309cが円環状に周方向にて途切れることなく形成されている。前端カバー314は、これが一体に固定されたフロントベース部材304とともにベース部材を構成する。
【0075】
一方、操作リング302の内周部における前面には、第4の導電部材としての回転検出用ブラシ333が取り付けられる。回転検出用ブラシ333は、円環状に形成され、前方に突出した周方向3箇所の凸部と後方に凹んだ周方向3箇所の凹部とを周方向に交互に有する。回転検出用ブラシ333は、3箇所の凸部からさらに前方に突出した接点部333a,333b,333cを有する。
【0076】
操作リング302とともに回転検出用基板309が回転する際に、接点部333aは常に回転検出用パターン309aに対して接触(摺動)し、接点部333b,333cはそれぞれ操作リング302の位相に応じて回転検出用パターン309b,309cのうち一方と他方に対して接触する。このため、操作リング302の回転に応じて、回転検出用ブラシ333が回転検出用パターン309a,309bに接触した状態と、回転検出用パターン309a,309cに接触した状態とが交互に発生する。これにより、回転検出用ブラシ333から互いに位相差がずれた2つのパルス信号を取り出すことができる。これらのパルス信号を用いることで、操作リング302の回転方向と回転量を検出することができる。回転検出用ブラシ333と回転検出用基板309により回転検出手段が構成される。
【0077】
図10(b)は操作リング302周辺を分解した断面を示す。第1および第2の給電用ブラシ312,313は、実施例1の第1および第2の給電用ブラシ112,113と同様に光軸方向に弾性を有するように形成されている。一方、回転検出用ブラシ333も、上述した形状により光軸方向に弾性を有する。第1および第2の給電用ブラシ312,313と回転検出用ブラシ333が弾性変形して弾性力を発生した状態でそれらの接点部312b,313b,313cがそれぞれ給電用基板311の給電用パターン311a,311bと回転検出用基板309の回転検出用パターン309a~309cに接触する。これにより、操作リング302は光軸方向の両側から付勢される。この両側からの付勢により、操作リング302のフロントベース部材304に対する光軸方向でのガタつきが抑えられる。
【0078】
次に、図10(b)を用いて、振動デバイス300と回転検出用基板309および回転検出用ブラシ333との関係について説明する。本実施例でも、振動デバイス300は、その振動方向が光軸方向となるように配置されている。そして、この振動方向(光軸方向)は、回転検出用基板309の回転検出用パターン309a~309cと回転検出用ブラシ333の接点部333a~333cとが接触する方向である。
【0079】
このため、振動デバイス300が振動しても、回転検出用基板309の回転検出用パターン309a~309cにおける回転検出用ブラシ333の接点部333a~333cが接触する位置が周方向に変化しない。つまり、振動によって回転検出用ブラシ333から得られる2つのバルス信号が変化しない。これにより、振動デバイス300の振動に起因する回転検出用基板309および回転検出用ブラシ333による操作リング302の回転の誤検出を低減することができる。
【0080】
また、本実施例では、回転検出用基板309を光軸方向に直交する面に円環状に配置している。仮に回転検出用基板を円筒状に曲げた形状とすると、その周方向両端には繋ぎ目が生じる。繋ぎ目には、回転検出用基板やその他の構成部品の公差によって隙間や重なり部が生じる。そして、回転検出用ブラシがその隙間や重なり部を通過する際に、回転検出用ブラシから得られるパルス信号が途切れたり、回転検出用基板の端部に引っ掛かったりするおそれがある。これに対して、本実施例のように回転検出用基板309を光軸方向に直交する面に円環状に配置することで、上記のような問題の発生を回避することができ、操作リング302の位相によらず回転検出用ブラシ333から安定的にパルス信号が得られる。このことは、実施例1~3における給電用基板についても言える。
【0081】
また、上記各実施例では、レンズ一体型のカメラについて説明したが、レンズ交換型のカメラに装着される交換レンズ(電子機器)も、本発明の他の実施例に含まれる。さらに上記実施例では、カメラや交換レンズについて説明したが、ユーザ操作が可能な操作部材を有する各種電子機器も本発明の実施例に含まれる。
【0082】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 カメラ本体
12 レンズ鏡筒ユニット
100,200,300 振動デバイス
102,202,302 操作リング
104 フロントベース部材
111,211A,211B,311 給電用基板
112,113,212,213,333,312,313 ブラシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10