(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】クリーニング装置、カートリッジ、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/10 20060101AFI20221212BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20221212BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G03G21/10
G03G21/00 318
G03G21/18 114
G03G21/18 121
(21)【出願番号】P 2018186976
(22)【出願日】2018-10-01
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 悠子
(72)【発明者】
【氏名】上野 隆人
(72)【発明者】
【氏名】榊原 雄一
(72)【発明者】
【氏名】前田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】河井 太刀夫
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-123143(JP,A)
【文献】特開2016-066039(JP,A)
【文献】特開2013-045116(JP,A)
【文献】特開2003-084637(JP,A)
【文献】特開2004-219541(JP,A)
【文献】特開2014-071428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/10
G03G 21/00
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤からなる現像剤像を表面に担持する像担持体と、
前記像担持体を回転可能に支持する枠体と、
前記枠体に固定され、自由端となる一端が前記像担持体の表面と当接することによって該像担持体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材と、
を備えるクリーニング装置であって、
前記枠体は、
前記枠体の外側に面し、前記クリーニング部材が固定される固定端を支持する固定面と、
前記枠体の内側に面し、前記固定面とは表裏関係にある裏面と、
前記裏面から前記枠体の内側に突出して設けられ、前記枠体と前記クリーニング部材とで構成される内部空間を複数の現像剤収容空間に仕切る仕切り部と、を備えており、
前記仕切り部には、前記複数の現像剤収容空間を連通する連通口が設けられていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記枠体は、前記裏面と対向する第1側壁部には、前記現像剤収容空間を外部に露出させるための開口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記枠体は、前記開口を塞ぐフタ部を有し、
前記フタ部と前記裏面との間に前記現像剤収容空間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記クリーニング部材の長手方向において、前記クリーニング部材の端部と前記枠体との間に設けられ、現像剤漏れをシールするシール部材を更に有し、
前記開口は、前記枠体が前記シール部材と当接している部分よりも、前記長手方向の内側に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記開口が形成される前記第1側壁部と接続し、前記第1側壁部と前記裏面とを接続する第2側壁部は、前記枠体が前記シール部材と当接している部分における、前記長手方向
内側端部よりも長手方向外側に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記第2側壁部は、前記枠体が前記シール部材と当接している部分における、前記長手方向外側端部よりも更に長手方向外側に設けられていることを特徴とする請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
画像形成装置の装置本体に設けられたクリーニング装置であって、
前記装置本体に設けられた
回転可能な像担持体と、
前記像担持体に当接し、前記像担持体上の現像剤を取り除くクリーニング部材と、
前記クリーニング部材と共に、前記クリーニング部材に取り除かれた前記現像剤を収容する現像剤収容部を構成し、前記クリーニング部材が固定部材で固定される固定部を有する枠体と、
を備え、
前記枠体は、前記像担持体の回転軸線方向と交差する面を有する仕切り部であって、前記現像剤収容部を複数の空間に仕切る前記仕切り部を有し、
前記固定部材を前記固定部に取付ける取付け部
は、前記現像剤収容部の内部に露出して
おり、且つ、前記回転軸線方向に見た場合に前記仕切り部と重なる位置に配置されていることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項8】
前記回転軸線方向に関して、前記現像剤収容部は、前記仕切り部によって第一収容室と第二収容室とに分けられており、前記第二収容室は前記第一収容室よりも端部側に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記取付け部は、前記第二収容室に対応する領域内に設けられていることを特徴とする請求項8に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記仕切り部には、前記第一収容室と前記第二収容室を連通する連通口が設けられていることを特徴とする請求項8又は9に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記固定部は、前記クリーニング部材が固定される固定端を支持する固定面を有し、
前記仕切り部は、前記固定面と接続され且つ前記固定面と直交して延在する面によって、前記現像剤収容部を複数の空間に仕切ることを特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記クリーニング部材は、
前記固定部に固定される板状支持部材と、前記板状支持部材に支持されて前記像担持体と当接する弾性部材と、を有し、
前記板状支持部材は、一端が前記固定部に固定され、他端で前記弾性部材を支持し、
前記板状支持部材の前記一端から前記他端へ延びる方向が、前記弾性部材が前記像担持体と当接する部分における前記像担持体の回転方向とは逆方向であって、
前記現像剤収容部は、
前記枠体が、前記クリーニング部材における前記取付け部が前記現像剤収容部の内部に露出している側の面で支持されることにより、前記枠体と前記取付け部が前記現像剤収容部の内部に露出している側の面との間に、前記クリーニング部材によって前記像担持体から取り除かれた現像剤を収容するための現像剤収容空間が構成されていることを特徴とする請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
前記現像剤収容空間は、
前記板状支持部材が前記像担持体に向かって延びる方向に対して、前記取付け部の後ろ
側にも広がっていることを特徴とする請求項
12に記載のクリーニング装置。
【請求項14】
前記クリーニング部材の長手方向において、前記クリーニング部材の端部と前記枠体との間に設けられ、現像剤漏れをシールするシール部材を更に有し、
前記現像剤収容空間は、
前記枠体が前記シール部材と当接している部分における、前記長手方向内側端部よりも外側に広がっていることを特徴とする請求項
12または
13に記載のクリーニング装置。
【請求項15】
前記現像剤収容空間は、
前記枠体が前記シール部材と当接している部分における、前記長手方向外側端部よりも更に外側に広がっていることを特徴とする請求項1
4に記載のクリーニング装置。
【請求項16】
前記クリーニング部材の前記固定部材の一部が前記現像剤収容部の内部に露出している側の面に支持される前記枠体と、前記固定部材を前記固定部に取付ける取付け部との間に、前記現像剤収容空間が形成されていることを特徴とする請求項
12~1
5のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項17】
前記クリーニング部材の長手方向両端部側の現像剤収容部の大きさが、前記クリーニング部材の長手方向中央部側の現像剤収容部よりも大きくなるように、前記枠体が形成されていることを特徴とする請求項
12~1
6のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項18】
前記クリーニング部材の一方の面に支持される前記枠体には、前記現像剤収容空間を外部へ露出させる開口と、前記開口を塞ぐフタ部が設けられていることを特徴とする請求項
12~1
7のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項19】
画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
前記像担持体に現像剤を供給する現像装置と、
請求項1~1
8のいずれか1項に記載のクリーニング装置と、
を備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項20】
記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
請求項1
9に記載のカートリッジを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を担持する像担持体上を清掃するクリーニング装置、及びこのクリーニング装置を備え、電子写真画像形成装置(以降、画像形成装置とする)に用いられるカートリッジ、並びに画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な画像形成装置に用いられるカートリッジでは、帯電手段によって一様に帯電された像担持体に選択的な露光を行い、像担持体表面に潜像を形成、現像剤によって潜像を現像剤像として顕像化した後、これを記録材に転写することで画像形成を行う。ここで、転写後に像担持体上に残留した現像剤は、帯電手段などに付着し画質を低下させる恐れがあるため、クリーニング装置により除去され、収容部に収容される。
また、従来のクリーニング装置は、枠体と、像担持体に当接して残留した現像剤を掻き取るクリーニング部材と、を備えており、以下のようなものが一例として知られている。それは、枠体には掻き取られた現像剤を収容する収容部が設けられ、クリーニング部材は収容部の長手方向(像担持体の回転軸方向)両端部で、収容部の外側に設けられた固定部に固定される。(特許文献1)
なお、電子写真画像形成装置とは電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものであり、例としては、電子写真複写機、電子写真プリンタ(LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来構成においては収容部の長手方向両端部で、かつ収容部の外側に固定部を設ける構成となっている。そのため、固定部が占める領域の分だけ、長手方向両端部では中央部に比べて長手方向と直交する方向(クリーニング部材を固定する方向)から見たときの収容部の面積が狭くなる。すなわち、長手方向での収容空間の差が少なくなるようにするには、長手方向両端部側の収容部の面積を中央部側の収容部の面積よりも大きくする必要がある。しかしながら、収容部の面積を広げると、画像形成装置本体内部でのカートリッジの専有面積が増えてしまい、画像形成装置の大型化につながる場合がある。これは、近年における画像形成装置の小型化の要望と逆行してしまう可能性がある。さらに、その他の手段として、カートリッジの専有面積内の空いた空間に現像剤を送る、残留現像剤搬送手段を持つ構成もあるが、これは搬送部材を駆動する駆動手段を設ける必要があり、装置の大型化とコストアップにつながる可能性がある。本発明は、上記問題を鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、装置の外形を大きくすることなく、現像剤収容部の収容空間を大きくし、現像剤の収容量を増やしたクリーニング装置、カートリッジ及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明におけるクリーニング装置は、
現像剤からなる現像剤像を表面に担持する像担持体と、
前記像担持体を回転可能に支持する枠体と、
前記枠体に固定され、自由端となる一端が前記像担持体の表面と当接することによって該像担持体の表面から現像剤を除去するクリーニング部材と、
を備えるクリーニング装置であって、
前記枠体は、
前記枠体の外側に面し、前記クリーニング部材が固定される固定端を支持する固定面と、
前記枠体の内側に面し、前記固定面とは表裏関係にある裏面と、
前記裏面から前記枠体の内側に突出して設けられ、前記枠体と前記クリーニング部材とで構成される内部空間を複数の現像剤収容空間に仕切る仕切り部と、を備えており、
前記仕切り部には、前記複数の現像剤収容空間を連通する連通口が設けられていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明におけるクリーニング装置は、
画像形成装置の装置本体に設けられたクリーニング装置であって、
前記装置本体に設けられた回転可能な像担持体と、
前記像担持体に当接し、前記像担持体上の現像剤を取り除くクリーニング部材と、
前記クリーニング部材と共に、前記クリーニング部材に取り除かれた前記現像剤を収容する現像剤収容部を構成し、前記クリーニング部材が固定部材で固定される固定部を有する枠体と、
を備え、
前記枠体は、前記像担持体の回転軸線方向と交差する面を有する仕切り部であって、前記現像剤収容部を複数の空間に仕切る前記仕切り部を有し、
前記固定部材を前記固定部に取付ける取付け部は、前記現像剤収容部の内部に露出しており、且つ、前記回転軸線方向に見た場合に前記仕切り部と重なる位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上に説明したように、本発明によれば、装置の外形を大きくすることなく、現像剤収容部の収容空間を大きくし、現像剤の収容量を増やしたクリーニング装置、カートリッジ及び画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例1に係るクリーニング装置の断面図
【
図2】本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略断面図
【
図3】本発明の実施例1に係るカートリッジの概略断面図
【
図4】本発明の実施例1に係るカートリッジの斜視図
【
図5】本発明の実施例1に係るクリーニング装置の斜視図
【
図6】本発明の実施例2に係るクリーニング装置の断面図
【
図7】本発明の実施例3に係るクリーニング装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0009】
本発明に係るカートリッジ及び画像形成装置に関して、図面を用いて説明する。以下、画像形成装置として、レーザービームプリンタを例に挙げ、カートリッジとして、レーザービームプリンタに用いられるプロセスカートリッジを例に挙げて説明する。
なお、以下の説明において、プロセスカートリッジや、クリーニング部材の長手方向とは像担持体であって、なおかつ回転可能な回転体でもある感光ドラムの回転軸線方向と一致しているものとする。
また、説明文中の符号は、図面を参照するためのものであって、構成を限定するもので
はない。
【0010】
<実施例1>
○画像形成装置の構成と画像形成プロセスの説明
図2は、画像形成装置の装置本体A及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。
図3は、カートリッジBの断面図である。
なお、装置本体Aとは、画像形成装置のカートリッジBを除いた部分である。また、
図3のカートリッジBの姿勢は、
図2に示すように画像形成装置に装着された状態での姿勢であり、本実施例においてカートリッジBの各部材の位置関係や方向などについて記載する場合は、この姿勢における位置関係や方向などを示している。すなわち、
図2、3における紙面の上下方向が鉛直方向に対応し、紙面の左右方向が水平方向に対応する。
まず、
図2を用いて画像形成装置の構成について説明する。
図2に示す画像形成装置は、カートリッジBを装置本体Aに着脱可能とした電子写真技術を利用したレーザービームプリンタである。カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(以下、シートPと記載する)を積載するシートトレイ40が配置されている。更に、装置本体Aには、シートPの搬送方向に沿って、ピックアップローラ41、搬送ローラ対42、転写ガイド43、転写ローラ44、搬送ガイド45、定着ローラ対46、排出ローラ対47、排出トレイ48等が順次配置されている。
【0011】
次に、
図2、
図3を用いて画像形成プロセスの概略を説明する。
まず、不図示の制御部からのプリントスタート信号に基づいて、像担持体である感光ドラム601は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。バイアス電圧が印加された帯電ローラ602が、感光ドラム601の外周面に接触し、感光ドラム601の外周面を一様均一に帯電する。
次に、露光装置30が、画像情報に応じたレーザ光Lを出力し、感光ドラム601の外周面を走査露光する。これにより、感光ドラム601の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0012】
一方、
図3に示すように、現像装置20において、トナー室21内の現像剤(以下、「トナーT」と称す)は、トナー搬送部材22の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室23に送り出される。
トナー供給室23に送り出されたトナーTは、マグネットローラ24(固定磁石)の磁力により、現像ローラ25の表面に担持され、現像ブレード26によって、摩擦帯電されつつ現像ローラ25周面の層厚が規制される。
その後、現像ローラ25の表面に担持されたトナーTは、現像ローラ25の回転により、静電潜像に応じて感光ドラム601へ転移され、トナー像として可視像化される。その際、感光ドラム601は、トナー(トナー像)を担持しつつ、現像ローラ25の回転に伴い、矢印R方向に回転する。
【0013】
また、
図2に示すように、レーザ光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ41、搬送ローラ対42によって、装置本体Aの下部に収納されたシートPがシートトレイ40上から給送される。
そして、そのシートPが転写ガイド43を経由して、感光ドラム601と転写ローラ44との間の転写位置へ供給される。この転写位置において、トナー像は感光ドラム601からシートPに順次転写されていく。
トナー像が転写されたシートPは、感光ドラム601から分離されて搬送ガイド45に沿って定着ローラ対46に搬送され定着ニップ部を通過する。
この定着ニップ部で加圧・加熱定着処理が行われて、トナー像がシートPに定着される。トナー像の定着処理を受けたシートPは、排出ローラ対47まで搬送され、排出トレイ48に排出される。
【0014】
その後、
図3に示すように、転写後の感光ドラム601は、クリーニング部材74により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。感光ドラム601から除去されたトナーTは、後述するクリーニング装置60の現像剤収容部としての廃トナー収容室70に貯蔵される。
【0015】
○クリーニング装置の説明
次に、本発明の特徴であるクリーニング装置の構成について、
図3、4を用いて説明する。
図4はカートリッジBの説明図で、
図4(a)はカートリッジB全体の斜視図であり、
図4(b)はカートリッジBより本構成の要所を抜出し、
図4(a)のY矢印方向から見た分解斜視図であり、
図4(c)は
図4(b)よりX部を拡大した図である。
【0016】
図4(a)に示すように、本実施例におけるカートリッジBはクリーニング装置60と現像装置20が一体として備えられている。そして、クリーニング装置60は、
図3に示すように、感光ドラム601、帯電ローラ602、クリーニング部材74を有し、これらは枠体62によって支持される。さらに、クリーニング装置60の枠体62には、不図示のドラム軸受が設けられており、感光ドラム601はこのドラム軸受により回転可能に支持されている。
また、クリーニング装置60に備えられているクリーニング部材74の構成について説明する。
図4(b)に示すように、クリーニング装置60に備えられているクリーニング部材74は、板金などからなる板状支持部材741と、板状支持部材741に支持されたゴムなどからなる弾性部材742で構成されている。その板状支持部材741の一端が枠体の固定部63に固定されており、他端で弾性部材742を支持し、板状支持部材に支持された弾性部材742が自由端として、感光ドラム601と当接し、当接部を形成するように構成されている。
そして、クリーニング装置60の枠体62のうち、クリーニング部材74と共に後述の廃トナー収容室70を形成する枠体部分を枠体621とすると、枠体621はクリーニング部材を固定する前述の固定部63を有する。また、固定部63には固定部材であるビス90の取付け部であるビス締結部64が設けられている。またクリーニング部材74の一部である板状支持部材741の長手方向両端部には穴749が設けられており、板状支持部材741は、固定部材であるビス90によって固定部63に固定される。固定部63に固定された板状支持部材741の一端から、前述の弾性部材742が当接する部分における感光ドラム601の回転方向とは逆方向に向かって、クリーニング部材74が延びている。そして、弾性部材742の先端が感光ドラム601の表面に当接している。
以上が、本実施例におけるクリーニング部材74の構成である。なお、クリーニング部材74を枠体621に対して所定の位置に配置し、不図示のシール手段によってクリーニング部材74と枠体621との隙間を埋めることで、クリーニング部材74の一方の面に枠体621の壁面が支持されているような空間が作られる。この空間が現像剤収容部としての廃トナー収容室70となる。
【0017】
また、
図4(c)に示すように、固定部63には板状支持部材741の一端である固定端と当接し、支持する固定面630が設けられている。なお、これより後のクリーニング装置の構成の説明について、次のように方向を規定する。まず、クリーニング部材74の一部である板状支持部材741の長手方向両端部を固定面630が支持する方向を、前述の枠体62のうち、廃トナー収容室70を形成している枠体部分である枠体621の外側に向かう方向とする。次に、板状支持部材741の固定面630に支持されている側の面から、前述の廃トナー収容室70に向かう方向を、枠体62のうち、廃トナー収容室70を形成している枠体部分である枠体621の内側に向かう方向とする。このように方向を規定すると、固定部63の長手方向内側端部から、より具体的には、前述の固定面630
と表裏関係にある裏面の長手方向内側端部から、枠体621の内側に向かって突出する仕切り部としての仕切り壁65が設けられている。この仕切り壁65は、廃トナー収容室70を構成する枠体621の内側の面である壁面701に対し略垂直方向で、なおかつ感光ドラム601の回転軸と直交方向に向かい設けられ、廃トナー収容室70を構成する枠体621の上面701と接続する。
この仕切り壁65により、廃トナー収容室70は、クリーニング部材74の長手方向で見て、中央部側の第一収容室71と長手方向の一端側にある第二収容室72に分けられる。それに伴い、現像剤収容空間(トナー収容空間)となる内部空間も長手方向の一端側と中央部側とで2つに分けられる。なお、第一収容室71内の現像剤収容空間と、第二収容室72内の現像剤収容空間は、前述の仕切り壁65で仕切られていない部分で連通しており、この連通している部分を、本実施例では連通口654として捉えている。一方、長手方向の他端部も同様に固定部63から仕切り壁65が設けられており、廃トナー収容室70を第一収容室71と第二収容室72に分けるように構成されている。本実施例では仕切り壁65は固定部63(固定面630の裏面)の長手方向内側端部とつながった平面としているが、湾曲していても、段差をもつ壁であってもよい。
【0018】
○廃トナー収容室70の説明
次に、仕切り壁65によって仕切られた廃トナー収容室70の構成について、
図1、
図5、
図8(a)を用いて説明する。
図1はクリーニング装置60を感光ドラム601の回転軸方向から見た断面図であり、
図1(a)は、第一収容室71部分の断面を示し、
図1(b)は第二収容室72部分の断面を示したものである。
また、
図5はクリーニング装置60の長手方向一端側を
図4(a)のZ矢印方向からみた斜視図である。そして、
図5(a)は、クリーニング部材74の長手方向と直交する方向において、固定部63に設けられた固定面630の裏面がビス締結部64を挟んで対向する枠体の壁面に設けられた開口50を表している。また、
図5(b)は開口50上にフタ部75が接合された後の状態を表す。なお、
図1(a)は、クリーニング装置60を
図5(a)に示す一点鎖線αで切断したときの断面図、
図1(b)は、クリーニング装置60を
図5(a)に示す一点鎖線βで切断したときの断面図とも言うことができる。
さらに、
図8は従来構成のクリーニング装置の断面図であり、
図8(a)は、
図1(b)と同じ位置で切断した断面図である。
【0019】
廃トナー収容室70は、前述のようにクリーニング部材74の長手方向一端側と中央部側とで、第一収容室71と第二収容室72に分けられている。この第一収容室71と第二収容室72は、クリーニング部材74が感光ドラム601と当接する部分における感光ドラム601の回転方向に沿って、奥側と手前側にそれぞれ壁面を有している。本実施例では、クリーニング部材74の弾性部材742に掻き取られたトナーTは、感光ドラム601の回転により、クリーニング部材74に沿って手前側の壁面から奥側の壁面に向かって移動する。そこで、第一収容室71の手前側壁面をトナーTの流れに合わせ第一上流側壁面709、奥側の壁面を第一下流側壁面710とする。第二収容室72の場合も同様に、手前側の壁面を第二上流側壁面719、奥側の壁面を第二下流側壁面720とする。
【0020】
図1(a)に示すように、第一収容室71において、クリーニング部材74の弾性部材742によって掻き取られたトナーTは、感光ドラム601の回転により、クリーニング部材74に沿って移動する。より具体的には、クリーニング部材74に沿って、クリーニング部材74が感光ドラム601と当接している部分における感光ドラム601の回転方向と順方向に移動する。すなわち感光ドラム601から離れる方向(矢印F方向)に向かってトナーTが移動し、第一収容室71に徐々に溜まっていく。そして、最終的には矢印F方向下流の壁面である第一下流側壁面710に到達する。
【0021】
図1(b)に示すように、第二収容室72においても、トナーTは、感光ドラム601
の回転によりクリーニング部材74に沿って、感光ドラム601から離れる方向(矢印F方向)に向かって移動し、第二収容室72に徐々に溜まっていく。そして、最終的には矢印F方向下流の壁面である第二下流側壁面720に到達する。
【0022】
なお、
図1(a)、(b)に示すようにクリーニング部材74の弾性部材742によって掻き取られたトナーTは流動性が低いため、弾性部材742の近傍においては長手方向にも拡散するが、矢印F方向下流に行くにつれ、長手方向には拡散しにくくなる。したがってトナーTは、矢印F方向下流の下流壁面(たとえば第一下流側壁面710、第二下流側壁面720)に到達した後は、長手方向に拡散することなく、トナーTの密度が上昇することとなる。これにより、トナーTの収容量の限界は長手方向での各々の位置における下流壁面の位置に依存する。
【0023】
ここで、従来の構成と本実施例における構成との違いを、
図8(a)と
図1(b)を比較しながら説明する。
従来の構成では、クリーニング部材174を枠体162に固定する際に固定部材であるビスを取付けるビス締結部164が、廃トナー収容室170を構成する枠体162の壁面の外側に配置されている。
図8(a)で見ると、廃トナー収容室170を構成する枠体162の矢印F方向下流側の壁面1631が、矢印F方向で見たときに、ビス締結部164よりも手前側に配置されるように、枠体162が構成されている。
すなわち、
図8(a)に示すように、従来の構成においては枠体162にクリーニング部材174を固定する固定部163を設ける際に、廃トナー収容室170の外側に固定部163を設ける構成となっている。そのため、廃トナー収容室170を構成する枠体162の矢印F方向下流側の壁面1631の位置まで現像剤収容空間を狭める手段をとる必要がある。
【0024】
それに対し、本実施例では、クリーニング部材74を枠体62の一部である枠体621に固定する際にビスを取付けるビス締結部64が、廃トナー収容室70、特に第二収容室72の内部に露出するように配置されている。つまり、廃トナー収容室70を構成する枠体621の壁面のうち、前述の第二下流側壁面720が、
図1(b)における矢印F方向で見たときに、ビス締結部64よりも奥側に配置されるように、枠体621が構成されている。そのため、クリーニング部材74のビス締結部64が露出している側の面に、枠体621が支持されることにより、前述の第二収容室72が構成されることになる。すなわち、
図1(b)に示すように、本構成によれば廃トナー収容室70のうち第二収容室72を構成する枠体621の矢印F方向下流側の壁面の位置が、従来の構成に相当する位置から変わっている。具体的には、従来の構成における矢印F方向下流側壁面1631に相当する位置(符号631)ではなく、第二下流側壁面720が配置されている位置となるように、枠体621が構成されている。そのため、下流側壁面の位置が第二下流側壁面720の位置まで現像剤収容空間が奥に拡がったことになるので、その分だけ、長手方向両端側の現像剤収容空間の容量を、長手方向中央部側よりも増やすことができる。
【0025】
図1(b)、
図5(a)、(b)に示すように、固定部63とクリーニング部材74との当接面である固定面630の裏面がビス締結部64を挟んで対向する枠体の壁面には、第二収容室72を外部に露出可能とする開口50が設けられている。従来の構成では、ビス締結部が廃トナー収容室の外側に設けられていたため、このような開口は不要であった。しかしながら、本実施例では、例えばクリーニングブレードの交換時など、廃トナー収容室内の残トナーを除去する必要があるため、このような開口が設けられている。さらに、第二収容室72内を満たすトナーTが漏れださないように、フタ部75が接合されている。
図1(b)においては、フタ部75は平坦な形状としたが、その材質や、形状はこれに限定されるものではなく、たとえばシート状の材質であったり、屈曲した形状であったり、箱状になっていたりしてもよい。
【0026】
また、第二収容室72内には、ビス締結部64が設けられており、
図1(b)に示すように、ビス締結部64とフタ部75のフタ内面751との間にはトナーTが十分流動するように空隙C1が設けられている。この空隙C1が、現像剤であるトナーTを収容可能とする現像剤収容空間になっている。また、
図5(a)に示すように、クリーニング部材74の長手方向において、ビス締結部64と、仕切り壁65の第二収容室72側の壁面である第二収容室側壁面651との間に空隙C2が設けられている。さらに、枠体62の壁面のうち、前述の第二収容室側壁面651と対向する対抗側壁面652とビス締結部64との間に空隙C3が設けられている。これら空隙C2、C3もC1と同様に、現像剤であるトナーTを収容可能とする現像剤収容空間になっている。トナーTは、空隙C1,C2,C3を通り、矢印F方向下流の壁面である第二下流側壁面720に到達する。
【0027】
さらに、ビス締結部64の矢印F方向下流側には、トナーTの流れを阻害しないようにしつつ、ビス締結部64の倒れを防止するように補強する補強リブ641が設けられている。
【0028】
以上述べたように、本実施例によれば、従来とは異なり、クリーニング部材74を枠体621にビスで取付ける際のビス締結部64を、廃トナー収容室の内部に露出させるように、枠体621が構成されている。そのため、装置本体Aを大きくすることなく、クリーニング装置60における枠体621の廃トナー収容室70の収容空間を増やすことが可能となる。
また、シートPを流し続けると、シートPの長手端部と感光ドラム601がこすれて削れ、長手両端部のトナーTが中央部と比較して多くなってしまう場合がある。このように、設計上廃トナーTの量が長手方向で均一でない場合においても、第一下流側壁面710と第二下流側壁面720の配置によって、各々に沿った容量に合わせることができる。そのため、装置本体A内でのクリーニング装置60の専有面積を、より効率的に使用することが可能である。例えば、本実施例では、
図1(a)、(b)に示すように、第二下流側壁面720の位置が、第一下流側壁面710の位置よりも矢印F方向で更に下流側にある。このようにすることで、本実施例における廃トナー収容室70は、長手方向一端側にみると、中央部側の第一収容室71よりも長手方向一端側の第二収容室72の方が、多く廃トナーTを収容することができる。これは、長手方向他端側も同様である。すなわち、クリーニング装置全体で見ると、長手方向両端部側の第二収容室72の方が、中央部側の第一収容室71に比べて、感光ドラム601の回転方向と順方向(矢印F方向)に対して、奥行がある構造となり、より多くの廃トナーTを収容することができる。
【0029】
さらに、前述の空隙C1,C2,C3を設けることで、第二収容室72内にビス締結部64が突出していても、トナーTが途中で詰まることなく第二下流側壁面720に達し、第二収容室72内を十分満たすことが可能となる。なお、本実施例においては空隙C1,C2,C3の3つの空隙を設ける構成としたが、これに限らず空隙C1,C2,C3のうち少なくとも1つの空隙があればよい。
【0030】
<実施例2>
次に、実施例2について
図6、
図8(b)を用いて説明する。
なお、本実施例の装置の基本構成は前述の実施例1と同一であるため、重複する部分は省略する。また、前述した実施例1と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
図6はクリーニング部材74付近を抜き出した断面図であり、
図6(a)はクリーニング部材74の固定ビス部で切断し、感光ドラム601の回転軸方向から見た断面図、
図6(b)は
図6(a)を一点鎖線部で切断し、X1方向からみた断面図である。
また、
図8は上述のとおり、従来構成のクリーニング装置の断面図であり、
図8(b)は、
図8(a)を一点鎖線部で切断し、X2方向からみた断面図である。
【0031】
図6(a)に示すように、クリーニング部材74の弾性部材742と、枠体621との隙間には、当該隙間を塞ぎ、現像剤漏れを防ぐシール部材80が設けられている。シール部材80は、クリーニング部材74と当接する第一面81と、第一面81と対向する面であって枠体621の壁面と当接する第二面82とを有している。
枠体62は、シール部材80の第二面82と当接する壁面であるシール座面820を備えている。また、枠体の壁面とシール部材80との当接方向において、シール座面820と対向する位置にある枠体621の壁面との間には、実施例1における第一収容室の端部と連通した第三収容室73が設けられている。さらに、シール座面820と対向する位置にある枠体621の壁面には、第三収容室73内の現像剤収容空間を外部に露出させる開口502が設けられる。なお、この開口502は、
図6(a)、(b)に示すように、クリーニング部材74が固定されている固定面と表裏関係にある裏面からビス90を取付けるビス締結部を挟み対向する枠体621の壁面に設けられており、実施例1の開口50と同様のものである。
【0032】
ここで、前述の開口502を形成する枠体621の壁面を第1側壁部とし、この第1側壁部と接続しシール部材80が設けられた方向に向かって延びる
図6(b)に示す外側壁653を第2側壁部とする。するとこの第2側壁部は、シール部材80の長手方向内側端部よりも外側に配置されている。具体的には、シール座面820に対し略垂直方向、かつ感光ドラム601の回転軸と直行方向で、シール座面820の長手方向の内側端部と外側端部の間である中央付近に配置される。また、開口502には、実施例1と同様にフタ部752が接合されている。
【0033】
図8(b)に示すように、従来の構成においては、枠体162にシール座面1820を設ける際に、シール部材180の長手方向内側端部にあるシール内側端面1801に沿って廃トナー収容室の長手方向の外側壁1653を設ける。しかしながら、
図6(b)に示すように、本構成においては、廃トナー収容室の長手方向の外側壁653はシール部材80の長手方向内側端部にあるシール内側端面801よりも、長手方向外側に配置される。そのため、トナーTの収容空間を、シール内側端面801が配置されている位置から外側壁653が配置されている位置までの距離の分だけ長手方向に拡げることができる。
【0034】
以上述べたように本実施例によれば、現像剤収容空間が、従来に比べてクリーニング部材74の長手方向に拡がることとなる。そのため、クリーニング装置60における枠体62のうち、廃トナー収容室を構成する枠体621の感光ドラム601の回転軸方向から見た断面外形を増やすことなく、現像剤である廃トナーの収容量を増やすことが可能になる。さらに、上述のように、枠体621の壁面のうち、外側壁653をシール部材80の長手方向の内側端部と外側端部の間である中央付近に配置している。このことによって、シール座面820がシール部材80より受ける圧を長手方向中央で受ける補強リブの役割を外側壁653に担わせることができる。そのため、シール部材80はシール性能を安定して発揮することができる。
【0035】
<実施例3>
次に、実施例2の変形例である実施例3について
図7を用いて説明する。
図7は実施例3を示した図であり、
図7(a)、(b)はクリーニング装置60の一部を抜き出し、第二面82側からみた斜視図である。
図7(a)は、実施例2と同様に、第二面82と当接する壁面であるシール座面820と対向する位置にある枠体621の壁面との間の開口503を表している。
図7(b)は開口503上にフタ部753が接合された後の状態を表し、
図7(c)は
図6(b)と同様の方向から見た際の断面図である。
【0036】
実施例2においては、開口502を形成する枠体621の壁面のうち、最も長手方向外
側に位置する外側壁653を、シール部材80の長手方向内側端部よりも外側となるシール部材80の長手方向の中央付近に配置する構成とした。しかしながら、本実施例では
図7(a)、(c)に示すように、外側壁653をシール座面820上に配置せず、シール部材80の長手方向外側端部の面であるシール外側端面802よりも、さらに長手方向外側に配置する。このような配置にすることで、第三収容部73を、より長手方向に増やすことも可能である。また、本実施例では外側壁653は一平面としているが、湾曲していても、段差をもつ壁であってもよい。
【0037】
<その他の実施例>
本実施例では、一つの感光ドラムを有する画像形成装置に関して説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば複数の感光ドラムを有するタンデム方式のカラー画像形成装置にも応用可能である。
【符号の説明】
【0038】
60…クリーニング装置、601、1601…感光ドラム、62、162…枠体、63、163…固定部、630…固定面、64、164…ビス締結部、65…仕切り壁、70…廃トナー収容室、71…第一収容室、72…第二収容室、74、174…クリーニング部材、741…支持部材、742…弾性部材、90…ビス