(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】記録装置、およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20221212BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B41J2/175 305
B41J2/175 111
B41J2/175 121
B41J2/175 301
B41J2/175 501
B41J2/175 503
B41J2/18
(21)【出願番号】P 2018189651
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 洋志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 典子
(72)【発明者】
【氏名】木内 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇史
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-055788(JP,A)
【文献】特開平10-211720(JP,A)
【文献】特開2008-254343(JP,A)
【文献】特開2012-218173(JP,A)
【文献】特開2010-221492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留可能な貯留手段と、
前記貯留手段から供給された
液体を吐出口から吐出す
る記録ヘッドの前記吐出口が形成された吐出口面を被覆す
るキャップ手段
と流路を介して接続し、
前記記録ヘッドの内部を減
圧可能な減圧手段と、
前記流路
内の圧力を検知する圧力
検知手段と、
前記流路に設けられ、前記流路の遮断、開放が可能な弁手段
と、を備え、
前記弁手段を開放し
た状態で、前記減圧手段
による減圧を行い前記貯留手段から前記記録ヘッドに
液体を充填する第1充填動作と、
前記第1充填動作において前記減圧の開始から所定時間の間に前記圧力検知手段により検知された負圧値
が第1の値に到達しない
場合、前記弁手段によって前記流路を遮断して
前記減圧手段による減圧を行い前記圧力検知手段により検知される負圧値
が前記
第1の値より大きい第2の値に到達した
場合に前記弁手段を開放すること
で前記貯留手段から前記記録ヘッドに
液体を充填する第2充填動作と、を実施することが可能であることを特徴とす
る記録装置。
【請求項2】
前記流路
は、前記減圧手段と前記弁手段との間に設けられる所定の容量を備えたバッファタンクを
含むことを特徴とする請求項
1に記載
の記録装置。
【請求項3】
前記圧力検知手段
は、前記バッファタンクに備えられていることを特徴とする請求項
2に記載
の記録装置。
【請求項4】
前記貯留手段は、装置に対して
着脱可能な
第1の貯留部と、前記
第1の貯留部から供給された
液体を貯留可能な
第2の貯留部と、を備えており、前記
第2の貯留部は、前記
第1の貯留部と前記記録ヘッドとの間に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項
3のいずれか1項に記載
の記録装置。
【請求項5】
前記
第2の貯留部から前記記録ヘッドへの
液体の供給を遮断することができる供給弁
をさらに備えることを特徴とする請求項
4に記載
の記録装置。
【請求項6】
前記第1充填動作
において、
前記減圧手段による前記減圧が開始される前に前記供給弁を閉
塞して前記第2の貯留部から前記記録ヘッドへの液体の供給を遮断し、前記流路
内の負圧値が前記第1の値に到達した場合、前記供給弁を開放することを特徴とする請求項
5に記載
の記録装置。
【請求項7】
前記
第2の貯留部には、内部の
液体の液面を検知する液面検知手段が設けられていることを特徴とする請求項
4ないし請求項
6のいずれか1項に記載
の記録装置。
【請求項8】
前記記録ヘッドと前記
第2の貯留部との間で、
液体を循環させることを特徴とする請求項
4ないし請求項
7のいずれか1項に記載
の記録装置。
【請求項9】
液体を貯留可能な貯留手段と、
前記貯留手段から供給された
液体を吐出口から吐出する記録ヘッ
ドの前記吐出口が形成された吐出口面を被覆可能なキャップ手段と、
前記キャップ手段
と流路を介して接続し、前記記録ヘッドの内部を減
圧可能な減圧手段と
、
前記流路
内の圧力を
検知する圧力検知手段と、
前記流路に設けられ、前記流路の遮断、開放が可能な弁手段
と、を備え、
前記弁手段を開放し
た状態で、前記減圧手段
による減圧を行う第1
減圧動作と、
前記第1減圧動作において前記減圧の開始から所定時間の間に前記流路内の負圧値が第1の値に到達しない場合、前記弁手段によって前記流路を遮断して前記減圧手段による減圧を行い前記流路内の負圧値が前記第1の値より大きい第2の値に到達した場合に前記弁手段を開放することで前記記録ヘッドの内部を減圧する第2
減圧動作と、を実施
可能であることを特徴とす
る記録装置。
【請求項10】
液体を貯留する貯留手段から供給された
液体を吐出口から吐出する記録ヘッドの、前記吐出口が形成された吐出口面
をキャップ手段により被覆し、前記キャップ手段と接続した
流路を介して前記記録ヘッドの内部を減圧する減圧手段と、
前記流路
内の圧力を検知する圧力
検知手段と、
前記流路に設けられ、前記流路の遮断、開放が可能な弁手段
と、を備える記録装置の制御方法であって、
前記流路に設けられた弁を開放し
た状態で前記減圧手段による減
圧を行い、前記貯留手段から前記記録ヘッドに
液体を充填する第1充填工程と、
前記第1充填工程において、前記減圧の開始から所定時間の間に前記圧力検知手段により検知された負圧値が第1の値に到達しない場合、前記弁手段により前記流路を遮断し
て前記減圧手段による
減圧を行い前記圧力検知手段により検知される負圧値が前記第1の値より大きい第2の値に到達した
場合に前記弁を開放することで
、前記貯留手段から前記記録ヘッドに
液体を充填する第2充填工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
液体を貯留可能な貯留手段から供給された液体を吐出口から吐出する記録ヘッドの、前記吐出口が形成された吐出口面をキャップ手段で被覆し、前記キャップ手段と接続した流路を介して前記記録ヘッドの内部を減圧する減圧手段と、
前記流路内の圧力を検知する圧力検知手段と、
前記流路に設けられ、前記流路の遮断、開放が可能な弁手段と、を備える記録装置の制御方法であって、
前記流路に設けられた弁手段を開放した状態で、前記減圧手段による減圧を行う第1減圧工程と、
前記第1減圧工程において、前記減圧の開始から所定時間の間に前記流路内の負圧値が第1の値に到達しない場合、前記弁手段によって前記流路を遮断して前記減圧手段による減圧を行い前記流路内の負圧値が前記第1の値より大きい第2の値に到達した場合に、前記弁手段を開放することで前記記録ヘッドの内部を減圧する第2減圧工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口からインクを吐出する記録ヘッドの吐出口が設けられた吐出口面にキャップを当接させて、記録ヘッド内を負圧にすることでインクを充填する記録装置、およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、メインタンクと記録ヘッドとの間にサブタンクが設けられ、サブタンクには弁が設けられた構成のインクジェット記録装置において、記録ヘッドにインクを充填する方法が開示されている。特許文献1では、弁を閉じてサブタンクと記録ヘッド間の流路を遮断した状態で、記録ヘッドとキャップとを当接させて、キャップ内をポンプで減圧することで、記録ヘッド内を減圧する。その後、サブタンクに設けられた弁を開放することで、サブタンクから記録ヘッドへ液体を充填している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、記録ヘッドからサブタンク手前までを十分に減圧するには比較的長い時間を要することになり、インク供給の度にこのように減圧してから供給を行う方法では、充填に時間がかかってしまう。
【0005】
よって本発明は、効率的にインクの充填を行うことができる記録装置、およびその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明の記録装置は、液体を貯留可能な貯留手段と、前記貯留手段から供給された液体を吐出口から吐出する記録ヘッドの前記吐出口が形成された吐出口面を被覆するキャップ手段と流路を介して接続し、前記記録ヘッドの内部を減圧可能な減圧手段と、前記流路内の圧力を検知する圧力検知手段と、前記流路に設けられ、前記流路の遮断、開放が可能な弁手段と、を備え、前記弁手段を開放した状態で、前記減圧手段による減圧を行い前記貯留手段から前記記録ヘッドに液体を充填する第1充填動作と、前記第1充填動作において前記減圧の開始から所定時間の間に前記圧力検知手段により検知された負圧値が第1の値に到達しない場合、前記弁手段によって前記流路を遮断して前記減圧手段による減圧を行い前記圧力検知手段により検知される負圧値が前記第1の値より大きい第2の値に到達した場合に前記弁手段を開放することで前記貯留手段から前記記録ヘッドに液体を充填する第2充填動作と、を実施することが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、効率的にインクの充填を行うことができるインクジェット記録装置およびインク充填方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】(a)~(c)は、第1カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。
【
図5】(a)~(c)は、第2カセットから給送された記録媒体の搬送経路図である。
【
図6】(a)~(d)は、記録媒体の裏面に記録動作を行う場合の搬送経路図である。
【
図7】記録装置がメンテナンス状態にあるときの図である。
【
図8】(a)および(b)は、メンテナンスユニットの構成を示す斜視図である。
【
図9】記録装置のインク供給システムを示した図である。
【
図10】インク充填動作における処理を示したフローチャートである。
【
図11】流路ポンプを駆動した時の流路内の負圧プロファイルを示したグラフである。
【
図12】第2充填動作における処理を示したフローチャートである。
【
図13】バッファタンク内及び流路内の負圧プロファイルを示したグラフである。
【
図15】インク充填動作における処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置1(以下、記録装置1)の内部構成図である。図において、x方向は水平方向、y方向(紙面垂直方向)は後述する記録ヘッド8において吐出口が配列される方向、z方向は鉛直方向をそれぞれ示す。
【0010】
記録装置1は、プリント部2とスキャナ部3を備える複合機であり、記録動作と読取動作に関する様々な処理を、プリント部2とスキャナ部3で個別にあるいは連動して実行することができる。スキャナ部3は、ADF(オートドキュメントフィーダ)とFBS(フラットベッドスキャナ)を備えており、ADFによって自動給紙される原稿の読み取りと、ユーザによってFBSの原稿台に置かれた原稿の読み取り(スキャン)を行うことができる。なお、本実施形態はプリント部2とスキャナ部3を併せ持った複合機であるが、スキャナ部3を備えない形態であってもよい。
図1は、記録装置1が記録動作も読取動作も行っていない待機状態にあるときを示す。
【0011】
プリント部2において、筐体4の鉛直方向下方の底部には、記録媒体(カットシート)Sを収容するための第1カセット5Aと第2カセット5Bが着脱可能に設置されている。第1カセット5AにはA4サイズまでの比較的小さな記録媒体が、第2カセット5BにはA3サイズまでの比較的大きな記録媒体が、平積みに収容されている。第1カセット5A近傍には、収容されている記録媒体を1枚ずつ分離して給送するための第1給送ユニット6Aが設けられている。同様に、第2カセット5B近傍には、第2給送ユニット6Bが設けられている。記録動作が行われる際にはいずれか一方のカセットから選択的に記録媒体Sが給送される。
【0012】
搬送ローラ7、排出ローラ12、ピンチローラ7a、拍車7b、ガイド18、インナーガイド19およびフラッパ11は、記録媒体Sを所定の方向に導くための搬送機構である。搬送ローラ7は、記録ヘッド8の上流側および下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。ピンチローラ7aは、搬送ローラ7と共に記録媒体Sをニップして回転する従動ローラである。排出ローラ12は、搬送ローラ7の下流側に配され、不図示の搬送モータによって駆動される駆動ローラである。拍車7bは、記録ヘッド8の下流側に配される搬送ローラ7及び排出ローラ12と共に記録媒体Sを挟持して搬送する。
【0013】
ガイド18は、記録媒体Sの搬送経路に設けられ、記録媒体Sを所定の方向に案内する。インナーガイド19は、y方向に延在する部材で湾曲した側面を有し、当該側面に沿って記録媒体Sを案内する。フラッパ11は、両面記録動作の際に、記録媒体Sが搬送される方向を切り替えるための部材である。排出トレイ13は、記録動作が完了し排出ローラ12によって排出された記録媒体Sを積載保持するためのトレイである。
【0014】
本実施形態の記録ヘッド8は、フルラインタイプのカラーインクジェット記録ヘッドであり、記録データに従ってインクを吐出する吐出口が、
図1におけるy方向に沿って記録媒体Sの幅に相当する分だけ複数配列されている。即ち、記録ヘッド8は、複数色のインクを吐出可能に構成されている。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、記録ヘッド8の吐出口面8aは、
図1のように鉛直下方を向きキャップユニット10によってキャップ(被覆)されている。記録動作を行う際は、後述するプリントコントローラ202によって、吐出口面8aがプラテン9と対向するように記録ヘッド8の向きが変更される。プラテン9は、y方向に延在する平板によって構成され、記録ヘッド8によって記録動作が行われる記録媒体Sを背面から支持する。記録ヘッド8の待機位置から記録位置への移動については、後に詳しく説明する。
【0015】
インクタンクユニット14は、記録ヘッド8へ供給される4色のインクをそれぞれ貯留する(貯留可能である)。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14と記録ヘッド8を接続する流路の途中に設けられ、記録ヘッド8内のインクの圧力及び流量を適切な範囲に調整する。本実施形態では循環型のインク供給系を採用しており、インク供給ユニット15は記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力と記録ヘッド8から回収されるインクの流量を適切な範囲に調整する。
【0016】
メンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17を備え、所定のタイミングにこれらを作動させて、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う。メンテナンス動作については後に詳しく説明する。
【0017】
図2は、記録装置1における制御構成を示すブロック図である。制御構成は、主にプリント部2を統括するプリントエンジンユニット200と、スキャナ部3を統括するスキャナエンジンユニット300と、記録装置1全体を統括するコントローラユニット100によって構成されている。プリントコントローラ202は、コントローラユニット100のメインコントローラ101の指示に従ってプリントエンジンユニット200の各種機構を制御する。スキャナエンジンユニット300の各種機構は、コントローラユニット100のメインコントローラ101によって制御される。以下に制御構成の詳細について説明する。
【0018】
コントローラユニット100において、CPUにより構成されるメインコントローラ101は、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら記録装置1全体を制御する。例えば、ホストI/F102またはワイヤレスI/F103を介してホスト装置400から印刷ジョブが入力されると、メインコントローラ101の指示に従って、画像処理部108が受信した画像データに対して所定の画像処理を施す。そして、メインコントローラ101はプリントエンジンI/F105を介して、画像処理を施した画像データをプリントエンジンユニット200へ送信する。
【0019】
なお、記録装置1は無線通信や有線通信を介してホスト装置400から画像データを取得しても良いし、記録装置1に接続された外部記憶装置(USBメモリ等)から画像データを取得しても良い。無線通信や有線通信に利用される通信方式は限定されない。例えば、無線通信に利用される通信方式として、Wi-Fi(Wireless Fidelity)(登録商標)やBluetooth(登録商標)が適用可能である。また、有線通信に利用される通信方式としては、USB(Universal Serial Bus)等が適用可能である。また、例えばホスト装置400から読取コマンドが入力されると、メインコントローラ101は、スキャナエンジンI/F109を介してこのコマンドをスキャナ部3に送信する。
【0020】
操作パネル104は、ユーザが記録装置1に対して入出力を行うための機構である。ユーザは、操作パネル104を介してコピーやスキャン等の動作を指示したり、印刷モードを設定したり、記録装置1の情報を認識したりすることができる。
【0021】
プリントエンジンユニット200において、CPUにより構成されるプリントコントローラ202は、ROM203に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM204をワークエリアとしながら、プリント部2が備える各種機構を制御する。コントローラI/F201を介して各種コマンドや画像データが受信されると、プリントコントローラ202は、これを一旦RAM204に保存する。記録ヘッド8が記録動作に利用できるように、プリントコントローラ202は画像処理コントローラ205に、保存した画像データを記録データへ変換させる。記録データが生成されると、プリントコントローラ202は、ヘッドI/F206を介して記録ヘッド8に記録データに基づく記録動作を実行させる。この際、プリントコントローラ202は、搬送制御部207を介して
図1に示す給送ユニット6A、6B、搬送ローラ7、排出ローラ12、フラッパ11を駆動して、記録媒体Sを搬送する。プリントコントローラ202の指示に従って、記録媒体Sの搬送動作に連動して記録ヘッド8による記録動作が実行され、印刷処理が行われる。
【0022】
ヘッドキャリッジ制御部208は、記録装置1のメンテナンス状態や記録状態といった動作状態に応じて記録ヘッド8の向きや位置を変更する。インク供給制御部209は、記録ヘッド8へ供給されるインクの圧力が適切な範囲に収まるように、インク供給ユニット15を制御する。メンテナンス制御部210は、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作を行う際に、メンテナンスユニット16におけるキャップユニット10やワイピングユニット17の動作を制御する。
【0023】
スキャナエンジンユニット300においては、メインコントローラ101が、ROM107に記憶されているプログラムや各種パラメータに従って、RAM106をワークエリアとしながら、スキャナコントローラ302のハードウェアリソースを制御する。これにより、スキャナ部3が備える各種機構は制御される。例えばコントローラI/F301を介してメインコントローラ101がスキャナコントローラ302内のハードウェアリソースを制御することにより、ユーザによってADFに搭載された原稿を、搬送制御部304を介して搬送し、センサ305によって読み取る。そして、スキャナコントローラ302は読み取った画像データをRAM303に保存する。なお、プリントコントローラ202は、上述のように取得された画像データを記録データに変換することで、記録ヘッド8に、スキャナコントローラ302で読み取った画像データに基づく記録動作を実行させることが可能である。
【0024】
図3は、記録装置1が記録状態にあるときを示す。
図1に示した待機状態と比較すると、キャップユニット10が記録ヘッド8の吐出口面8aから離間し、吐出口面8aがプラテン9と対向している。本実施形態において、プラテン9の平面は水平方向に対して約45度傾いており、記録位置における記録ヘッド8の吐出口面8aも、プラテン9との距離が一定に維持されるように水平方向に対して約45度傾いている。
【0025】
記録ヘッド8を
図1に示す待機位置から
図3に示す記録位置に移動する際、プリントコントローラ202は、メンテナンス制御部210を用いて、キャップユニット10を
図3に示す退避位置まで降下させる。これにより、記録ヘッド8の吐出口面8aは、キャップ部材10aと離間する。その後、プリントコントローラ202は、ヘッドキャリッジ制御部208を用いて記録ヘッド8の鉛直方向の高さを調整しながら45度回転させ、吐出口面8aをプラテン9と対向させる。記録動作が完了し、記録ヘッド8が記録位置から待機位置に移動する際は、プリントコントローラ202によって上記と逆の工程が行われる。
【0026】
次に、プリント部2における記録媒体Sの搬送経路について説明する。記録コマンドが入力されると、プリントコントローラ202は、まず、メンテナンス制御部210およびヘッドキャリッジ制御部208を用いて、記録ヘッド8を
図3に示す記録位置に移動する。その後、プリントコントローラ202は搬送制御部207を用い、記録コマンドに従って第1給送ユニット6Aおよび第2給送ユニット6Bのいずれかを駆動し、記録媒体Sを給送する。
【0027】
図4(a)~(c)は、第1カセット5Aに収容されているA4サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第1カセット5A内の1番上に積載された記録媒体Sは、第1給送ユニット6Aによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。
図4(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、第1給送ユニット6Aに給送されて記録領域Pに到達する間に、水平方向(x方向)から、水平方向に対して約45度傾いた方向に変更される。
【0028】
記録領域Pでは、記録ヘッド8に設けられた複数の吐出口から記録媒体Sに向けてインクが吐出される。インクが付与される領域の記録媒体Sは、プラテン9によってその背面が支持されており、吐出口面8aと記録媒体Sの距離が一定に保たれている。インクが付与された後の記録媒体Sは、搬送ローラ7と拍車7bに案内されながら、先端が右に傾いているフラッパ11の左側を通り、ガイド18に沿って記録装置1の鉛直方向上方へ搬送される。
図4(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。記録媒体Sの進行方向は、水平方向に対し約45度傾いた記録領域Pの位置から、搬送ローラ7と拍車7bによって鉛直方向上方に変更されている。
【0029】
記録媒体Sは、鉛直方向上方に搬送された後、排出ローラ12と拍車7bによって排出トレイ13に排出される。
図4(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。排出された記録媒体Sは、記録ヘッド8によって画像が記録された面を下にした状態で、排出トレイ13上に保持される。
【0030】
図5(a)~(c)は、第2カセット5Bに収容されているA3サイズの記録媒体Sが給送されるときの搬送経路を示す図である。第2カセット5B内の1番上に積載された記録媒体Sは、第2給送ユニット6Bによって2枚目以降の記録媒体から分離され、搬送ローラ7とピンチローラ7aにニップされながら、プラテン9と記録ヘッド8の間の記録領域Pに向けて搬送される。
【0031】
図5(a)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。第2給送ユニット6Bに給送されて記録領域Pに到達するまでの搬送経路には、複数の搬送ローラ7とピンチローラ7aおよびインナーガイド19が配されることで、記録媒体SはS字上に湾曲されてプラテン9まで搬送される。
【0032】
その後の搬送経路は、
図4(b)および(c)で示したA4サイズの記録媒体Sの場合と同様である。
図5(b)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。
図5(c)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
【0033】
図6(a)~(d)は、A4サイズの記録媒体Sの裏面(第2面)に対して記録動作(両面記録)を行う場合の搬送経路を示す。両面記録を行う場合、第1面(表面)を記録した後に第2面(裏面)に記録動作を行う。第1面を記録する際の搬送工程は
図4(a)~(c)と同様であるので、ここでは説明を省略する。以後、
図4(c)以後の搬送工程について説明する。
【0034】
記録ヘッド8による第1面への記録動作が完了し、記録媒体Sの後端がフラッパ11を通過すると、プリントコントローラ202は、搬送ローラ7を逆回転させて記録媒体Sを記録装置1の内部へ搬送する。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータによってその先端が左側に傾くように制御されるため、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)はフラッパ11の右側を通過して鉛直方向下方へ搬送される。
図6(a)は、記録媒体Sの先端(第1面の記録動作における後端)が、フラッパ11の右側を通過する状態を示す。
【0035】
その後記録媒体Sは、インナーガイド19の湾曲した外周面に沿って搬送され、再び記録ヘッド8とプラテン9の間の記録領域Pに搬送される。この際、記録ヘッド8の吐出口面8aに、記録媒体Sの第2面が対向する。
図6(b)は、第2面の記録動作のために、記録媒体Sの先端が記録領域Pに到達する直前の搬送状態を示す。
【0036】
その後の搬送経路は、
図4(b)および(c)で示した第1面記録の場合と同様である。
図6(c)は、記録媒体Sの先端が記録領域Pを通過して鉛直方向上方に搬送される状態を示す。この際、フラッパ11は、不図示のアクチュエータにより先端が右側に傾いた位置に移動するように制御される。
図6(d)は、記録媒体Sの先端が排出ローラ12を通過して排出トレイ13に排出される状態を示す。
【0037】
次に、記録ヘッド8に対するメンテナンス動作について説明する。
図1でも説明したように、本実施形態のメンテナンスユニット16は、キャップユニット10とワイピングユニット17とを備え、所定のタイミングにこれらを作動させてメンテナンス動作を行う。
【0038】
図7は、記録装置1がメンテナンス状態のときの図である。記録ヘッド8を
図1に示す待機位置から
図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向において上方に移動させるとともにキャップユニット10を鉛直方向下方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から
図7における右方向に移動させる。その後、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
【0039】
一方、記録ヘッド8を
図3に示す記録位置から
図7に示すメンテナンス位置に移動する際、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を45度回転させつつ鉛直方向上方に移動させる。そして、プリントコントローラ202は、ワイピングユニット17を退避位置から右方向に移動させる。その後プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向下方に移動させて、メンテナンスユニット16によるメンテナンス動作が可能なメンテナンス位置に移動させる。
【0040】
図8(a)はメンテナンスユニット16が待機ポジションにある状態を示す斜視図であり、
図8(b)はメンテナンスユニット16がメンテナンスポジションにある状態を示す斜視図である。
図8(a)は
図1に対応し、
図8(b)は
図7に対応している。記録ヘッド8が待機位置にあるとき、メンテナンスユニット16は
図8(a)に示す待機ポジションにあり、キャップユニット10は鉛直方向上方に移動しており、ワイピングユニット17はメンテナンスユニット16の内部に収納されている。キャップユニット10はy方向に延在する箱形のキャップ部材10aを有し、これを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させて吐出口面8aを被覆可能であり、被覆することにより、吐出口からのインクの蒸発を抑制することができる。また、キャップユニット10は、キャップ部材10aに予備吐出等で吐出されたインクを回収し、回収したインクを不図示の吸引ポンプに吸引させる機能も備えている。
【0041】
一方、
図8(b)に示すメンテナンスポジションにおいて、キャップユニット10は鉛直方向下方に移動しており、ワイピングユニット17がメンテナンスユニット16から引き出されている。ワイピングユニット17は、ブレードワイパユニット171とバキュームワイパユニット172の2つのワイパユニットを備えている。
【0042】
ブレードワイパユニット171には、吐出口面8aをx方向に沿ってワイピングするためのブレードワイパ171aが吐出口の配列領域に相当する長さだけy方向に配されている。ブレードワイパユニット171を用いてワイピング動作を行う際、ワイピングユニット17は、記録ヘッド8がブレードワイパ171aに当接可能な高さに位置決めされた状態で、ブレードワイパユニット171をx方向に移動する。この移動により、吐出口面8aに付着するインクなどはブレードワイパ171aに拭き取られる。
【0043】
ブレードワイパ171aが収納される際のメンテナンスユニット16の入り口には、ブレードワイパ171aに付着したインクを除去するとともにブレードワイパ171aにウェット液を付与するためのウェットワイパクリーナ16aが配されている。ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16に収納される度にウェットワイパクリーナ16aによって付着物が除去されウェット液が塗布される。そして、次に吐出口面8aをワイピングしたときにウェット液を吐出口面8aに転写し、吐出口面8aとブレードワイパ171a間の滑り性を向上させている。
【0044】
一方、バキュームワイパユニット172は、y方向に延在する開口部を有する平板172aと、開口部内をy方向に移動可能なキャリッジ172bと、キャリッジ172bに搭載されたバキュームワイパ172cとを有する。バキュームワイパ172cは、キャリッジ172bの移動に伴って吐出口面8aをy方向にワイピング可能に配されている。バキュームワイパ172cの先端には、不図示の吸引ポンプに接続された吸引口が形成されている。このため、吸引ポンプを作動させながらキャリッジ172bをy方向に移動すると、記録ヘッド8の吐出口面8aに付着したインク等は、バキュームワイパ172cによって拭き寄せられながら吸引口に吸い込まれる。この際、平板172aと開口部の両端に設けられた位置決めピン172dは、バキュームワイパ172cに対する吐出口面8aの位置合わせに利用される。
【0045】
本実施形態では、ブレードワイパユニット171によるワイピング動作を行いバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を行わない第1のワイピング処理と、両方のワイピング処理を順番に行う第2のワイピング処理を実施することができる。第1のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を
図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16から引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。この移動により、吐出口面8aに付着するインク等はブレードワイパ171aに拭き取られる。すなわち、ブレードワイパ171aは、メンテナンスユニット16から引き出された位置からメンテナンスユニット16内へ移動する際に吐出口面8aをワイピングする。
【0046】
ブレードワイパユニット171が収納されると、プリントコントローラ202は、次にキャップユニット10を鉛直方向上方に移動させ、キャップ部材10aを記録ヘッド8の吐出口面8aに密着させる(吐出口面8aをキャップ部材10aで被覆する)。そして、プリントコントローラ202は、その状態で記録ヘッド8を駆動して予備吐出を行わせ、キャップ部材10a内に回収されたインクを吸引ポンプによって吸引する。
【0047】
一方、第2のワイピング処理を行う際、プリントコントローラ202は、まず、記録ヘッド8を
図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて引き出す。そして、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8をブレードワイパ171aに当接可能な位置まで鉛直方向下方に移動させた後、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16内へ移動させる。これにより、ブレードワイパ171aによるワイピング動作が吐出口面8aに対して行われる。次に、プリントコントローラ202は、再び記録ヘッド8を
図7のメンテナンス位置よりも鉛直方向上方に退避させた状態で、ワイピングユニット17をメンテナンスユニット16からスライドさせて所定位置まで引き出す。続いて、プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を
図7に示すワイピング位置に下降させながら、平板172aと位置決めピン172dを用いて吐出口面8aとバキュームワイパユニット172の位置決めを行う。その後、プリントコントローラ202は、上述したバキュームワイパユニット172によるワイピング動作を実行する。プリントコントローラ202は、記録ヘッド8を鉛直方向上方に退避させ、ワイピングユニット17を収納した後、第1のワイピング処理と同様に、キャップユニット10によるキャップ部材10a内への予備吐出と回収したインクの吸引動作を行う。
【0048】
以下、本発明の特徴事項について説明する。
【0049】
図9は、記録装置1のインク供給ユニット15と記録ヘッド8とを示した図である。
図9を用いて本実施形態のインク循環系の流路構成を説明する。インク供給ユニット15は、インクタンクユニット14から記録ヘッド8へインクを供給する構成である。ここでは、1色のインクについての構成を示しているが、実際にはこのような構成が、インク色ごとに用意されている。
【0050】
インクは主にサブタンク151と記録ヘッド8の間を循環する。記録ヘッド8では画像データに基づいてインクの吐出動作が行われ、吐出されなかったインクが再びサブタンク151に回収される。
【0051】
所定量のインクを収容するサブタンク151は、記録ヘッド8へインクを供給するための供給流路C2と記録ヘッド8からインクを回収するための回収流路C4に接続されている。すなわち、サブタンク151、供給流路C2、記録ヘッド8、および回収流路C4によってインクが循環する循環経路が構成される。
【0052】
サブタンク151には複数のピンで構成される液面検知手段151aが設けられ、インク供給制御部209は、これら複数のピン間の導通電流の有無を検知することによって、インク液面の高さ即ちサブタンク151内のインク残量を把握することができる。減圧ポンプP0は、サブタンク151の内部を減圧するための負圧発生源である。大気開放弁V0は、サブタンク151の内部を大気に連通させるか否かを切り替えるための弁である。 メインタンク141は、サブタンク151へ供給されるインクを収容するタンクである。メインタンク141は可撓性部材で構成され、可撓性部材の容積変化によってサブタンク151へインクが充填される。メインタンク141は、記録装置本体に対して着脱可能(交換可能)な構成である。サブタンク151とメインタンク141を接続するタンク接続流路C1の途中には、サブタンク151とメインタンク141の接続を切り替えるためのタンク供給弁V1が配されている。
【0053】
以上の構成のもと、インク供給制御部は、液面検知手段151aによってサブタンク151内のインクが所定量より少なくなったことを検知すると、大気開放弁V0、供給弁V2、回収弁V4、およびヘッド交換弁V5を閉じ、タンク供給弁V1を開く。この状態において、インク供給制御部209は減圧ポンプP0を作動させる。すると、サブタンク151の内部が負圧となりメインタンク141からサブタンク151へインクが供給される。液面検知手段151aによってサブタンク151内のインクが所定量を超えたことを検知すると、インク供給制御部209は、タンク供給弁V1を閉じ減圧ポンプP0を停止する。
【0054】
供給流路C2は、サブタンク151から記録ヘッド8へインクを供給するための流路であり、その途中には供給ポンプP1と供給弁V2が配されている。記録動作中は、供給弁V2を開いた状態で供給ポンプP1を駆動することにより、記録ヘッド8へインクを供給しつつ循環経路においてインクを循環することができる。記録ヘッド8によって単位時間あたりに吐出されるインクの量は画像データに応じて変動する。供給ポンプP1の流量は、記録ヘッド8が単位時間あたりのインク消費量が最大となる吐出動作を行った場合にも対応できるように決定されている。
【0055】
リリーフ流路C3は、供給弁V2の上流側であって、供給ポンプP1の上流側と下流側を接続する流路である。供給ポンプP1の上流側と接続される接続部を第1接続部とし、下流側と接続される接続部を第2接続部とする。リリーフ流路C3の途中には差圧弁であるリリーフ弁V3が配される。供給ポンプP1からの単位時間あたりのインク供給量が記録ヘッド8の単位時間あたりの吐出量と回収ポンプP2における単位時間あたりの流量(インクを引く量)の合計値よりも多い場合は、リリーフ弁V3は自身に作用する圧力に応じて開放される。これにより、供給流路C2の一部とリリーフ流路C3とで構成される巡回流路が形成される。上記リリーフ流路C3の構成を設けることにより、記録ヘッド8に対するインク供給量は記録ヘッド8でのインク消費量に応じて調整され、循環経路内の流圧を画像データによらず安定させることができる。
【0056】
回収流路C4は、記録ヘッド8からサブタンク151へインクを回収するための流路であり、その途中には回収ポンプP2と回収弁V4が配されている。回収ポンプP2は、循環経路内にインクを循環させる際、負圧発生源となって記録ヘッド8よりインクを吸引する。回収ポンプP2の駆動により、記録ヘッド8内のIN流路80bとOUT流路80cの間に適切な圧力差が生じ、IN流路80bとOUT流路80cの間でインクを循環させることができる。記録ヘッド8内の流路構成については後に詳しく説明する。
【0057】
回収弁V4は、記録動作を行っていないとき、すなわち循環経路内にインクを循環させていないときの逆流を防止するための弁である。本実施形態の循環経路では、サブタンク151は記録ヘッド8よりも鉛直方向において上方に配置されている(
図1参照)。このため、供給ポンプP1や回収ポンプP2を駆動していないとき、サブタンク151と記録ヘッド8の水頭差によって、サブタンク151から記録ヘッド8へインクが逆流してしまうおそれがある。このような逆流を防止するため、本実施形態では回収流路C4に回収弁V4を設けている。
【0058】
同様に供給弁V2も、記録動作を行っていないとき、すなわち循環経路内にインクを循環させていないときに、サブタンク151から記録ヘッド8へのインクの供給を防止するための弁として機能する。
【0059】
ヘッド交換流路C5は、供給流路C2とサブタンク151の空気室(インクが収容されていない空間)を接続する流路であり、その途中にはヘッド交換弁V5が配されている。ヘッド交換流路C5の一端は供給流路C2における記録ヘッド8の上流に接続され、第3接続部と称する。第3接続部は、供給弁V2より下流側に配される。ヘッド交換流路C5の他端はサブタンク151の上方に接続して内部の空気室と連通し、第4接続部と称する。ヘッド交換流路C5は、記録ヘッド8を交換する際や記録装置1を輸送する際など、使用中の記録ヘッド8からインクを回収するときに利用される。ヘッド交換弁V5は、記録装置1にインクを充填するときと記録ヘッド8からインクを回収するとき以外は閉じるように、インク供給制御部209によって制御される。また、上述した供給弁V2は、供給流路C2において、ヘッド交換流路C5との第3接続部と、リリーフ流路C3との第2接続部の間に設けられている。なお、第2接続部は第3接続部より下流の供給流路C2に配される形態であってもよい。
【0060】
次に、記録ヘッド8内の流路構成について説明する。供給流路C2より記録ヘッド8に供給されたインクは、フィルタ83を通過した後、第1の負圧制御ユニット81と、第2の負圧制御ユニット82とに供給される。第1の負圧制御ユニット81は、弱い負圧に制御圧力が設定されている。第2の負圧制御ユニット82は、強い負圧に制御圧力が設定されている。これら第1の負圧制御ユニット81と第2の負圧制御ユニット82における圧力は、回収ポンプP2の駆動により適正な範囲で生成される。
【0061】
インク吐出部80には、複数の吐出口が配列された記録素子基板80aが複数配置され、長尺の吐出口列が形成されている。第1の負圧制御ユニット81より供給されるインクを導くための共通供給流路80b(IN流路)と、第2の負圧制御ユニット82より供給されるインクを導くための共通回収流路80c(OUT流路)も、記録素子基板80aの配列方向に延在している。さらに個々の記録素子基板80aには、共通供給流路80bと接続する個別供給流路と、共通回収流路80cと接続する個別回収流路が形成されている。このため、個々の記録素子基板80aにおいては、相対的に負圧の弱い共通供給流路80bより流入し、相対的に負圧の強い共通回収流路80cへ流出するような、インクの流れが生成される。個別供給流路と個別回収流路との経路中に、各吐出口に連通し、インクを充填する圧力室が設けられており、記録を行っていない吐出口や圧力室においてもインクの流れが生じる。記録素子基板80aで吐出動作が行われると、共通供給流路80bから共通回収流路80cへ移動するインクの一部は吐出口から吐出されることによって消費されるが、吐出されなかったインクは共通回収流路80cを経て回収流路C4へ移動する。
【0062】
以上の構成のもと、記録動作を行うとき、インク供給制御部は、タンク供給弁V1とヘッド交換弁V5を閉じ、大気開放弁V0、供給弁V2、および回収弁V4を開き、供給ポンプP1および回収ポンプP2を駆動する。これにより、サブタンク151→供給流路C2→記録ヘッド8→回収流路C4→サブタンク151の循環経路が確立する。供給ポンプP1からの単位時間あたりのインク供給量が記録ヘッド8の単位時間あたりの吐出量と回収ポンプP2における単位時間あたりの流量の合計値よりも多い場合は、供給流路C2からリリーフ流路C3にインクが流れ込む。これにより、供給流路C2から記録ヘッド8に流入するインクの流量が調整される。
【0063】
記録動作を行っていないとき、インク供給制御部は、供給ポンプP1および回収ポンプP2を停止し、大気開放弁V0、供給弁V2、および回収弁V4を閉じる。これにより、記録ヘッド8内のインクの流れは止まり、サブタンク151と記録ヘッド8の水頭差による逆流も抑制される。また、大気開放弁V0を閉じることで、サブタンク151からのインク漏れやインクの蒸発が抑制される。
【0064】
記録ヘッド8からインクを回収するとき、インク供給制御部は、タンク供給弁V1、供給弁V2、および回収弁V4を閉じ、大気開放弁V0およびヘッド交換弁V5を開き、減圧ポンプP0を駆動する。これにより、サブタンク151内が負圧状態になり、記録ヘッド8内のインクは、ヘッド交換流路C5を経由してサブタンク151へ回収される。このように、ヘッド交換弁V5は、通常の記録動作や待機時には閉じられており、記録ヘッド8からインクを回収する際に開放される弁である。但し、記録ヘッド8への充填においてヘッド交換流路C5にインクを充填する際もヘッド交換弁V5は開放される。
【0065】
キャップ部材10aには、流路弁110と所定の容量を備えたバッファタンク111と流路ポンプP3とが、流路112を介して接続されている。流路弁110を開いて流路ポンプP3を駆動させることで、キャップ部材10a内を負圧にすることができる。また、バッファタンク111内には、圧力を検知可能な圧力センサ(圧力検知手段)113が設けられている。この圧力センサ113によって、バッファタンク111内および流路ポンプP3の上流側の流路(112等)内の(接続空間における)圧力を検知することができる(取得可能に構成されている)。検知された圧力は、プリントコントローラ(圧力取得手段)202によって取得される。なお、圧力センサ113を設ける位置は、バッファタンク111内に限定するものではなく、流路ポンプP3と記録ヘッド8の間であればよい。
【0066】
以下、本実施形態における記録ヘッド8へのインクの充填方法を説明する。
【0067】
本実施形態では、通常の充填動作である第1充填動作と、第2充填動作とを実行可能としている。第1充填動作では、流路弁110を開いた状態で充填動作を行い、第2充填動作では、流路弁110を閉じて減圧処理を行い、その後、流路弁110を開くことで充填動作を行う。また本実施形態では、通常は第1充填動作で記録ヘッド8に充填を行うが、その際バッファタンク111内又は流路内が、所定の時間内に所定の負圧に達しない場合、記録ヘッド8の吐出口面8aとキャップ部材10aとの間でリークしているとみなす。そのため、第2充填動作を実施する。
【0068】
第1充填動作は、流路ポンプP3を駆動して記録ヘッド8内を負圧にすることで、サブタンク151からインクを充填する充填動作である。一方第2充填動作は、流路弁110を遮断して流路ポンプP3を駆動することで、バッファタンク111内に負圧を貯めて高い負圧状態を形成する。そして、バッファタンク111内が所定の負圧になったことを圧力センサ113によって検知したら、流路弁110を開放して、記録ヘッド8に急激な負圧をかけることで、サブタンク151からの充填を行う充填動作である。このような第2充填動作では、吐出口面8aとキャップ部材10aとの間でリークが生じている場合でも、急激な負圧をかけることで、リークが解消されて効率よく充填を行うことができる。
【0069】
図10は、本実施形態のインク充填動作における処理を示したフローチャートである。このインク充填動作は、プリントコントローラ202がインク供給制御部209を用いることで実行される。以下、このフローチャートを用いて本実施形態のインク充填動作を説明する。
【0070】
インク充填動作が開始されると、S01で、記録ヘッド8の吐出口面8aとキャップユニット10とを当接させて、吐出口面8aとキャップユニット10とで密閉空間を形成する。その後、S02で流路弁110が閉じている場合は、流路弁110を開いて流路112を開放状態にする。そしてS03で、流路ポンプP3を駆動させる。流路ポンプP3の駆動によって、キャップユニット10内部、記録ヘッド8内および流路112内が負圧になる。その後、S04で、圧力センサ113によって流路内の圧力が所定の圧力に到達したか判断する。
【0071】
ここで、
図11は、流路ポンプP3を駆動した時の、流路内(バッファタンク内も同様)の負圧プロファイルを示したグラフである。流路ポンプP3を駆動させ、記録ヘッド8の吐出口面8aとキャップ部材10aとの間でリークがない場合には、流路内の負圧は、グラフの一点鎖線のように、第1所定圧力(例えば-30KPa~-35KPa)で、所定時間T1(例えば45秒)まで駆動する。しかし、吐出口面8aとキャップ部材10aとの間でリークがある場合には、グラフの鎖線のように、流路内の負圧は第1所定圧力まで到達しない。
【0072】
図10のフローチャートに戻り、記録ヘッド8の吐出口面8aとキャップ部材10aとの間でリークがない場合のインク充填動作を説明する。S04では、流路内の圧力が、この第1所定圧力(本実施形態では-30KPa~-35KPa)に到達したかを判断する。充填動作開始直後の場合は負圧が上がりにくいため、S07に移行してポンプの駆動を継続して、S08で、流路内の圧力が判定圧力(例えば-15KPa)に到達したかを判断する。判定圧力に到達していなければ、S09で、判定時間T2(例えば10秒)に達したかを判断する。S08で、流路内の圧力が判定圧力に達した場合、または、S09で、判定時間T2に達していなければ、S04に戻る。
【0073】
S04にて、流路内の圧力が第1所定圧力に達していれば、S05で流路ポンプP3の駆動を停止し、S06で、所定時間T1(本実施形態では45秒)が経過したかを判断する。所定時間T1が経過していない間はS04に戻る。流路内の圧力が第1所定圧力に達しても、充填動作を続けて流路内にインクが充填されていくと流路内の負圧が弱くなるため、流路の充填が完了する所定時間T1が経過するまではS04に戻る。充填動作の継続によりS04にて第1所定圧力以下と判定された場合は、S07に移行してポンプを再駆動する。
【0074】
よって、S04からS08のフローを繰り返すことで、流路内を第1所定圧力に保ちながら充填動作を継続する。その後、所定時間T1が経過したら、後述するS13の後処理に移行する。
【0075】
次に、記録ヘッド8の吐出口面8aとキャップ部材10aとの間でリークがある場合のインク充填動作を説明する。S04で、流路内の圧力が、第1所定圧力(-30KPa~-35KPa)に到達していなければ、S07に移行してポンプの駆動を継続して、S08で、流路内の圧力が、判定圧力(例えば-15KPa)に到達したかを判断する。判定圧力に達していなければ、S09で、判定時間T2(例えば10秒)に達したかを判断する。判定時間T2が経過していない間は、S04及びS07に戻ってポンプ駆動を継続する。S09で判定時間T2が経過したと判断されると、S10に移行する。上述した、S02からS06またはS09までの処理を第1充填動作とする。
【0076】
このように本実施形態では、まず、所定圧力に到達したか判断し、到達していない場合には、更に判定圧力に到達したかを確認する。そして、判定圧力に到達していない場合に、判定時間T2が経過したら、吐出口面8aとキャップ部材10aとの間でリークが生じていると判断し第2充填動作を開始する。
【0077】
S09で判定時間T2が経過したら、S10で、流路ポンプP3の駆動を停止し、S11で後述する第2インク充填動作を行う。第2充填動作後は、S12で、充填動作でエラーが生じているか否かを判断する。記録ヘッド8に充填ができていない等のエラーが生じていると判断した場合にはS14に移行してエラー処理を行って処理が終了(エラー終了)となる。S12で、エラーが生じていないと判断した場合には、S13に移行して、後処理を行う。ここで、後処理とは、充填時に吐出口からあふれ、キャップ部材10a内に溜まった余剰インクの空吸引や、吐出口面8aのワイピング、予備吐出等のメンテナンス動作である。後処理の終了後、充填動作の処理は終了となる。
【0078】
図12は、第2充填動作における処理を示したフローチャートである。このインク充填動作は、プリントコントローラ202がインク供給制御部209を用いることで実行される。以下、このフローチャートを用いて、第2充填動作を説明する。
【0079】
第2充填動作が開始されると、S121で、流路弁110を遮断し、S122で流路ポンプP3の駆動を開始する。その後、S123で、バッファタンク111内が第2所定圧力(例えば-78KPa)に到達したか否かを判断する。所定圧力に達したと判断したら、S124で流路ポンプP3の駆動を停止して、S125で流路弁110を開放する。S123で、第2所定圧力に達していない場合には、S126に移行して、所定時間T3が経過したかを判断する。所定時間T3が経過していない場合には、S123に戻り処理を繰り返す。所定時間T3が経過した場合には、S127で流路ポンプP3の駆動を停止して、処理が終了(エラー終了)となる。
【0080】
ここで
図13は、第2充填動作で、S125における流路弁110の解放後のバッファタンク111内および流路内の負圧プロファイルを示したグラフである。流路弁110を開放すると、バッファタンク111内の負圧は急激に低くなり、逆に、バッファタンク111からの負圧が作用する流路内では負圧が急激に上昇する。第1充填動作で流路内を直接流路ポンプP3で減圧する場合は、最初の負圧の上がり方が幾分緩やかであるのに対し、第2充填動作では、流路弁110によって閉塞した流路内の閉空間でチャージした高負圧を開放することで急激に流路内が減圧される。
【0081】
このように流路内が急激に減圧されることで、吐出口面8aとキャップ部材10aとの間でリークが生じている場合でも、キャップ部材10a内に急激な負圧が発生すると、リーク部の隙間から流れ込む空気の流量、流速が増す。これによって、隙間における流抵抗によりキャップ部材10a内の負圧が上昇し、キャップ部材10aのリーク部が吐出口面8aに吸着される。このようにして吐出口面8aとキャップ部材10aとの間で生じているリークが解消される。そして、判定時間経過後は、リークが生じていない場合の第1充填動作で得られる負圧と略同じ負圧状態を得ることができる。
【0082】
ここで
図12のフローチャートに戻り、S125における流路弁110の解放後、S128で、流路内の圧力が所定の圧力に到達したか否かを判断する。以下、S134までは第1充填動作におけるS04からS10までの処理(
図10参照)と同様であるため説明を省略する。
【0083】
なお、本実施形態では、サブタンク151から記録ヘッド8へインクを充填する動作に本発明を適用する例を説明したが、これに限定するものではない。つまり、吐出口面8aとキャップ部材10aとを当接させて吸引することで、記録ヘッド8内を減圧する動作を含むものであれば、本発明を適用することができる。
【0084】
このように、通常の充填動作時(第1充填動作)で、所定の時間内(判定時間T2)に所定の負圧(判定圧力)に達しない場合に、キャップ部材10aでリークが生じているとみなし、第2充填動作を実施する。これによって、効率的にインク充填が行える記録装置、およびその制御方法を実現することができた。
【0085】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0086】
本実施形態の記録装置は、サブタンク90に第2供給弁114が設けられた構成であり、搬送機構で記録媒体を動かし、記録媒体の動く方向と直交方向に記録ヘッドを動作させて記録を行ういわゆる「シリアルヘッド方式」の記録装置に本発明を適用したものである。サブタンク90に第2供給弁114が設けられた構成の場合、第1充填動作が第1の実施形態とは異なる。
【0087】
図14は、本実施形態における記録装置を示した図である。メインタンク141は大気連通室91及びサブタンク90と接続されている。サブタンク90を形成する壁面の一部には、サブタンク90の容積を変化させることが可能な第2供給弁114が設けられている。本実施形態では、サブタンク90が液室部4aとこれに連通する流路部4bとによって構成されており、第2供給弁114は、流路部4bに設けられている。第2供給弁114は、可撓性を有するゴムとしてのダイヤフラムによって形成されている。このように、本実施形態の第2供給弁114は、サブタンク90に設けられ、サブタンク90の容積変化を可能にしている。本実施形態では、第2供給弁114は、サブタンク90の一部として形成されており、第2供給弁114が流路部4bの壁面から外方に膨出しており、この状態ではサブタンク90の容積は拡張した状態にある。
【0088】
一方、
図14のように第2供給弁114の中央部が流路部4bの壁面に接する位置まで押圧された場合、サブタンク90の容積は前述の拡張状態に比べて縮小する。なお、この実施形態における流路部4bには、第2供給弁114によって開閉される連通口4b1が形成されると共に、連通口4b1より下流側(サブタンク90から記録ヘッド8へのインクの流動方向において下流側)に供給チューブ2の下端部が連結されている。従って、第2供給弁114が押圧された状態にあるとき、連通口4b1は第2供給弁114によって閉塞され、液室部4aと記録ヘッド8との連通が遮断されるようになっている。つまり、第2供給弁114は記録ヘッド8から液室部4aの間を連通、遮断させる開閉弁としての機能も併せ持つ構成となっている。
【0089】
図15は、本実施形態のインク充填動作における処理を示したフローチャートである。このインク充填動作は、プリントコントローラ202がインク供給制御部209を用いることで実行される。以下、このフローチャートを用いて本実施形態のインク充填動作を説明する。
【0090】
インク充填動作が開始されると、S151で、記録ヘッド8の吐出口面8aとキャップ部材10aとを当接させて、吐出口面8aとキャップ部材10aとで密閉空間を形成する。その後、S152で流路弁110を開いて流路113を開放状態にする。そしてS153で、サブタンク90の第2供給弁114を閉じる。その後のS154からS156およびS167までは、第1の実施形態のS03からS05およびS14までの処理(
図10参照)と同様であるため説明を省略する。S156で流路ポンプP3の駆動を停止すると、S157で第2供給弁114を開放し、S158で、所定時間(本実施形態では45秒)に達したかを判断する。所定時間に達していれば、S165に移行して、第2供給弁114を遮断し、S166で後処理を実施する。後処理の内容は、第1の実施形態と同様である。また、第2充填動作については第1の実施形態における処理と同様である。
【0091】
このように、サブタンク90に第2供給弁114を設けた構成において、通常の充填動作時で、所定の時間内(判定時間)に所定の負圧(判定圧力)に達しない場合に、キャップ部材10aでリークが生じているとみなし、第2充填動作を実施する。これによって、効率的にインクを充填することができる記録装置およびその制御方法を実現することができた。
【符号の説明】
【0092】
8 記録ヘッド
8a 吐出口面
10 キャップユニット
10a キャップ部材
14 インクタンクユニット
90 サブタンク
110 流路弁
111 バッファタンク
114 供給弁
141 メインタンク
151 サブタンク
P3 流路ポンプ