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特許7191659部材取付支援システム及び部材取付支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】部材取付支援システム及び部材取付支援方法
(51)【国際特許分類】
   B23P 21/00 20060101AFI20221212BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20221212BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B23P21/00 307J
F01D25/00 X
F02C7/00 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018220349
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020032522
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】P 2018155362
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】関根 奏
(72)【発明者】
【氏名】阿部 飛太
(72)【発明者】
【氏名】加納 豊
(72)【発明者】
【氏名】牟禮 泰一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 知之
(72)【発明者】
【氏名】和田 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】秋田谷 洋人
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-087249(JP,A)
【文献】特開2008-001481(JP,A)
【文献】特開平05-278806(JP,A)
【文献】国際公開第2015/063884(WO,A1)
【文献】特開2016-221671(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107423650(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 19/00-21/00
F01D 25/00
F02C 7/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材を機器に取り付ける作業を支援する部材取付支援システムであって、
複数の前記部材ごとに設けられ、前記部材の取付位置に関連付けられた識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記識別情報記憶部から前記識別情報を取得する端末装置と、
前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す支援画像を表示する表示装置と、
前記複数の部材が前記識別情報に対応する取付位置にそれぞれ取り付けられたことを記憶部に記録する管理部と、
を備え、
前記記憶部の記録に基づいて、前記表示装置に前記作業の最新の進捗を表示する、
部材取付支援システム。
【請求項2】
前記識別情報には、前記機器における所定の作業エリアを示すエリア情報が含まれる 請求項1に記載の部材取付支援システム。
【請求項3】
前記識別情報には、前記作業エリア内における区画情報が含まれる、
請求項2に記載の部材取付支援システム。
【請求項4】
前記表示装置は、前記機器における前記取付位置を、前記作業エリアに応じて異なる態様で表示する、
請求項2または請求項3に記載の部材取付支援システム。
【請求項5】
前記表示装置は、取付が完了した前記部材の取付位置を取り付け前とは異なる態様で表示した前記支援画像を表示する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の部材取付支援システム。
【請求項6】
複数の前記識別情報記憶部と、
一つまたは複数の前記端末装置と、
前記識別情報を前記端末装置から取得し、前記支援画像を生成するサーバ装置と、
複数の作業員が同時に視認することができる前記表示装置と、
を備える請求項1から請求項の何れか1項に記載の部材取付支援システム。
【請求項7】
複数の部材を機器に取り付ける作業を支援する部材取付支援システムであって、
複数の前記部材ごとに設けられ、前記部材の取付位置に関連付けられた識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記識別情報記憶部から前記識別情報を取得する端末装置と、
前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す支援画像を表示する表示装置と、
複数の前記識別情報記憶部と、
複数の前記端末装置と、
を備え、
前記端末装置のうちの少なくとも1台が前記支援画像を生成し、当該支援画像を残りの前記端末装置へ送信する、
部材取付支援システム。
【請求項8】
前記機器に取り付けられる前の前記部材の収容場所を記憶する収容場所記憶部、をさらに備え、前記表示装置は、前記収容場所を表示する、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の部材取付支援システム。
【請求項9】
複数の部材を機器に取り付ける作業を支援する部材取付支援システムであって、
複数の前記部材ごとに設けられ、前記部材の取付位置に関連付けられた識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記識別情報記憶部から前記識別情報を取得する端末装置と、
前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す音声情報を出力する音声出力装置と、
前記複数の部材が前記識別情報に対応する取付位置にそれぞれ取り付けられたことを記憶部に記録する管理部と、
前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す支援画像を表示する表示装置と、
を備え、
前記表示装置は、前記記憶部の記録に基づいて、前記作業の最新の進捗を表示する、
部材取付支援システム。
【請求項10】
前記識別情報記憶部は、RFIDタグである、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の部材取付支援システム。
【請求項11】
前記識別情報記憶部は、コード情報が表示された部材である、
請求項1から請求項の何れか1項に記載の部材取付支援システム。
【請求項12】
複数の部材を機器に取り付ける作業を支援する部材取付支援方法であって、
複数の前記部材ごとに設けられ、前記部材の取付位置に関連付けられた識別情報を記憶する識別情報記憶部から、端末装置によって、前記識別情報を取得するステップと、
前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す支援画像を表示装置に表示するステップと、
前記複数の部材が前記識別情報に対応する取付位置にそれぞれ取り付けられたことを記憶部に記録するステップと、
前記記憶部の記録に基づいて、前記表示装置に前記作業の最新の進捗を表示するステップと、
を有する部材取付支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材取付支援システム及び部材取付支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの構成要素(圧縮機、燃焼器、タービン等)の内部には、高温高圧のガス等が流れる。ガスタービンの運転時には、これらの構成要素を、耐熱性断熱材等を用いた保温部材で覆い、熱の放散を防止する。例えば、ブロック状の保温部材(保温ブロック)を各構成要素のケーシング表面に敷き詰める保温方法が提案されている。ガスタービンの製造工程には、保温ブロックをケーシング表面に取り付ける作業工程が存在する。ケーシング表面には、配管が敷設されていたり、凹凸があったりして、均一な保温ブロックを取り付けるだけでは効果的にケーシングの表面を覆うことができない。従って、保温ブロックの形状は、取り付け位置によって調整されており、各保温ブロックの取り付け位置は予め定められている。保温ブロックは、安全や性能の観点で重要な役割を担っており、作業員は、保温ブロックを適切な位置に取り付けることが要求される。
【0003】
高温機器の製造に関連して特許文献1には、複数のタービンブレードを放射状にディスクに組み付ける作業工程において、シリアル番号を表示したシールを各タービンブレードに張り付けて組み付け作業を管理する技術が開示されている。特許文献1には、シールの貼り付けにより、タービンブレードの識別が容易になること、適切な位置へ誤りなく組み付けることができ、作業効率が向上することなどが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-24849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保温ブロックは、定期点検の際には、ケーシング表面から一度取り外され、点検作業が完了すると、再び元の位置に取り付けられる。現在、作業員は、一度取り外した保温ブロックの取り付けを、図面で取り付け位置を確認しながら行っている。新たにガスタービンを製造する場合も同様である。このような保温ブロックの取り付けにおいて、取り付け位置を探し出す作業に多くの時間や労力を費やしている。定期点検における作業時間の短縮や、作業効率の向上が求められる中、取り付け位置を効率よく把握する方法が求められている。
【0006】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる部材取付支援システム及び部材取付支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、複数の部材を機器に取り付ける作業を支援する部材取付支援システムであって、複数の前記部材ごとに設けられ、前記部材の取付位置に関連付けられた識別情報を記憶する識別情報記憶部と、前記識別情報記憶部から前記識別情報を取得する端末装置と、前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す支援画像を表示する表示装置と、前記複数の部材が前記識別情報に対応する取付位置にそれぞれ取り付けられたことを記憶部に記録する管理部と、を備え、前記記憶部の記録に基づいて、前記表示装置に前記作業の最新の進捗を表示する。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記識別情報には、前記機器における所定の作業エリアを示すエリア情報が含まれる。
【0009】
本発明の一態様によれば、前記識別情報には、前記作業エリア内における区画情報が含まれている。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記表示装置は、前記機器における前記取付位置のそれぞれを、前記作業エリアに応じて異なる態様で表示する。
【0011】
本発明の一態様によれば、前記表示装置は、取付が完了した前記部材の取付位置を取り付け前とは異なる態様で表示した前記支援画像を表示する。
【0013】
本発明の一態様によれば、前記部材取付支援システムは、複数の前記識別情報記憶部と、一つまたは複数の前記端末装置と、前記識別情報を前記端末装置から取得し、前記支援画像を生成するサーバ装置と、複数の作業員が同時に視認することができる前記表示装置とを備える。
【0014】
本発明の一態様によれば、部材取付支援システムは、複数の部材を機器に取り付ける作業を支援する部材取付支援システムであって、複数の前記部材ごとに設けられ、前記部材の取付位置に関連付けられた識別情報を記憶する識別情報記憶部と、前記識別情報記憶部から前記識別情報を取得する端末装置と、前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す支援画像を表示する表示装置と、複数の前記識別情報記憶部と、複数の前記端末装置と、を備え、前記端末装置のうちの少なくとも1台が前記支援画像を生成し、当該支援画像を残りの前記端末装置へ送信する。
【0015】
本発明の一態様によれば、前記部材取付支援システムは、前記機器に取り付けられる前の前記部材の収容場所を記憶する収容場所記憶部をさらに備え、前記表示装置は、前記機器に取り付けられる前の前記部材の収容場所を表示する。
【0016】
本発明の一態様によれば、複数の部材を機器に取り付ける作業を支援する部材取付支援システムであって、複数の前記部材ごとに設けられ、前記部材の取付位置に関連付けられた識別情報を記憶する識別情報記憶部と、前記識別情報記憶部から前記識別情報を取得する端末装置と、前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す音声情報を出力する音声出力装置と、前記複数の部材が前記識別情報に対応する取付位置にそれぞれ取り付けられたことを記憶部に記録する管理部と、前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す支援画像を表示する表示装置と、を備え、前記表示装置は、前記記憶部の記録に基づいて、前記作業の最新の進捗を表示する。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記識別情報記憶部は、RFIDタグである。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記識別情報記憶部は、コード情報が表示された部材である。
【0019】
本発明の一態様によれば、複数の部材を機器に取り付ける作業を支援する部材取付支援方法であって、複数の前記部材ごとに設けられ、前記部材の取付位置に関連付けられた識別情報を記憶する識別情報記憶部から、端末装置によって前記識別情報を取得するステップと、前記端末装置が取得した前記識別情報に対応する前記機器における取付位置を示す支援画像を表示装置に表示するステップと、前記複数の部材が前記識別情報に対応する取付位置にそれぞれ取り付けられたことを記憶部に記録するステップと、前記記憶部の記録に基づいて、前記表示装置に前記作業の最新の進捗を表示するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、機器への保温部材の取り付け作業を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態における部材取付支援システムの概略図である。
図2】本発明の第一実施形態における部材取付支援システムの一例を示す第1のブロック図である。
図3】本発明の第一実施形態における部材取付支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の第一実施形態における保温ブロックの取り付け位置の一例を示す図である。
図5】本発明の第一実施形態における保温ブロックの収容庫の一例を示す図である。
図6】本発明の第一実施形態における部材取付支援システムの一例を示す第2のブロック図である。
図7】本発明の第二実施形態における部材取付支援システムの概略図である。
図8】本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの一例を示すブロック図である。
図9】本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの第1の概略図である。
図10】本発明の第三実施形態に係る保温ブロックの収容時における部材取付支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第三実施形態に係る保温ブロックの収容場所の記録処理を説明する図である。
図12】本発明の第三実施形態に係る保温ブロックの運び出し時における部材取付支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図13】本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの第2の概略図である。
図14】本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの第3の概略図である。
図15】本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの第4の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態による保温ブロックの取付作業について図1図6を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における部材取付支援システムの概略図である。
部材取付支援システム100は、作業員5A~5Dが、ガスタービンを構成する高温機器(圧縮機、燃焼器、タービンなど)の表面を被覆するために、保温ブロック3a等を取り付ける作業を支援する。図1に示すケーシング1は、高温機器の一例である。なお、保温ブロック3a、3bを区別する必要が無い場合には、単に保温ブロック3と記載することがある。作業員5A~5Dについても同様に作業員5と記載することがある。腕章6A~6D、取付位置8a,8b、RFID(radio frequency identifier)タグ10a,10bについても同様に、それぞれ腕章6、取付位置8、RFIDタグ10と記載することがある。
【0023】
ケーシング1の表面には、保温ブロック3を固定するための器具2が複数設けられている。一例として、器具2はアイプレートである。保温ブロック3は、例えば、立方体形状の袋体内に断熱材と金属板材が積層された積層体を充填して形成される。袋体は、例えば、ガラス繊維を織製したガラスクロス素材でできている。保温ブロック3の表面には、RFIDタグ10が、ガラスクロス素材に縫い付けられている。RFIDタグ10には、保温ブロック3を取り付けるべき位置に関する情報(取付位置情報)が記録されている。保温ブロック3の表面には、図示しない固定器具(例えば、フック)が設けられている。作業員5は、このフックを器具2に掛けることにより、保温ブロック3をケーシング1の表面に取り付ける。全ての器具2に対して、保温ブロック3が取り付けられるとケーシング1の表面が保温ブロックで覆われることになる。保温ブロック3は、適切な取付位置が定められている。その為、作業員5は、各保温ブロック3を適切な位置の器具2に取り付ける必要がある。部材取付支援システム100は、作業員5に保温ブロック3を取り付ける位置を示すことにより、保温ブロック3の取り付け作業を支援する。
【0024】
(取付支援機能)
次に作業員5A~5Dによる保温ブロック3の取り付け作業の流れを説明する。
ケーシング1は大型で保温ブロック3の取り付け範囲は広範囲にわたる。そこで、ケーシング1の表面を複数の作業エリアに分割して、各作業エリアを1人または複数の作業員5で担当する。図1は、2つの作業エリア(エリアa、エリアb)に分割した例を示している。作業員5A,5Bはエリアaを担当し、作業員5C,5Dはエリアbを担当する。作業員5Aは、腕に腕章6Aを装着している。同様に作業員5B~5Dは、腕に腕章6(それぞれ腕章6B~6D)を装着している。腕章6は、担当する作業エリアに応じて色分けされている。例えば、作業員5A,5Bの腕章(腕章6A,6B)は赤色である。一方、作業員5C,5Dの腕章(それぞれ腕章6C,6D)は青色である。
【0025】
収容庫41には、エリアaに取り付ける保温ブロック3が保管されている。作業員5Aは、収容庫41から保温ブロック3を運び出す作業を行う。作業員5Bは、作業員5Aが運び出した保温ブロック3をケーシング1のエリアaの適切な位置に取り付ける作業を行う。一方、収容庫42には、エリアbに取り付ける保温ブロック3が保管されている。作業員5Cは、収容庫42から保温ブロック3を運び出す作業を行う。作業員5Dは、作業員5Cが運び出した保温ブロック3を受け取って、エリアbの適切な位置に取り付ける作業を行う。
【0026】
腕章6には、図示しない情報処理端末(後述する図2の端末20)が設けられている。端末20は、表示画面を備えた、例えば、スマートフォン等の携帯端末である。端末20は、作業員5が表示画面を参照することができるように腕章6に固定されている。端末20の表示画面は、タッチパネルのような入力機能を備えている。また、端末20は、RFIDリーダの機能を有している。作業員5の作業中、RFIDリーダの機能は起動されている。以下、作業員5Aが身に付ける情報処理端末を端末20Aとし、他の作業員5B~5Dが身に付ける端末は、端末20B~20Dとする。また、端末20A~20Dの区別が必要ない場合には端末20と記載する。
【0027】
まず、作業員5Aが、収容庫41から保温ブロック3aを運び出す。その際、端末20Aと保温ブロック3aに装着されたRFID10aが近づくことにより、端末20Aは、RFIDタグ10aと通信する。端末20Aは、RFIDタグ10aが記憶する取付位置情報を取得し、サーバ装置30へ送信する。
【0028】
同様に作業員5Cは、収容庫42から保温ブロック3bを運び出す。その際、作業員5Cの腕章6Cに設けられた端末20Cは、保温ブロック3bのRFIDタグ10bから取付位置情報を取得し、サーバ装置30へ送信する。
【0029】
サーバ装置30は、ケーシング1上の保温ブロック3a,3bの取付位置を表示する支援画像を生成し、生成した支援画像をモニタ71~73、端末20A~20Dへ送信する。モニタ71~73は、支援画像を表示する。端末20は、表示画面に支援画像を表示する。例えばモニタ71に図示するように、支援画像にはケーシング1の外形とともに取付位置8a,8bが示される。取付位置8aは保温ブロック3aの取付位置を示し、取付位置8bは保温ブロック3bの取付位置を示す。保温ブロック3a,3bの取り付け位置を区別するために取付位置8a、8bは異なる色で表示されている。例えば、作業員5A,5Bが担当する保温ブロック3aの取付位置8a(エリアa)は赤色で表示される。作業員5C,5Dが担当する保温ブロック3bの取付位置8b(エリアb)は青色で表示される。作業員5A,5Bは、自分の腕章の色と同じ色の取付位置8aの表示位置によって、保温ブロック3aの取り付け位置を把握することができる。同様に作業員5C,5Dは、自分の腕章と同じ色で表示された取付位置8bの表示位置によって、保温ブロック3bの取り付け位置を把握することができる。
【0030】
次に作業員5Aは、運び出した保温ブロック3aを、作業員5Bに渡す。作業員5Bは、モニタ72や端末20Bが表示する支援画像を参照して、保温ブロック3aをエリアaの取付位置8aに取り付ける。一方、作業員5Cは、運び出した保温ブロック3bを、作業員5Dに渡す。作業員5Dは、モニタ73や端末20Dが表示する支援画像を参照して、保温ブロック3bをエリアbの取付位置8bに取り付ける。
【0031】
保温ブロック3を収容庫41,42から運び出す作業と、保温ブロック3をケーシング1に取り付ける作業を異なる作業員5に担当させ分業制とすることで、作業効率を向上さることができる。しかし、1人の作業員5Aが、収容庫41から保温ブロック3を取り出してエリアaに取り付ける作業を行ってもよい。エリアbについても、例えば、作業員5Cが、収容庫42から保温ブロック3を取り出してエリアbの適切な位置に取り付ける作業を行ってもよい。
【0032】
部材取付支援システム100によれば、作業員5A~5Dは、モニタ71~73や、各自の腕章6に設けられた端末20の表示画面に表示された支援画像を参照することで、保温ブロック3の取り付け位置を容易に把握することができる。これにより、作業時間の短縮、作業効率の向上を実現することができる。
【0033】
(進捗管理機能)
作業員5Bは、保温ブロック3aを取付位置8aに取り付けると、端末20Bに取付完了情報を入力する。端末20Bは、保温ブロック3aの取付完了情報をサーバ装置30へ送信する。サーバ装置30は、保温ブロック3aの取り付け作業が完了したことと、作業員5Bがその取り付け作業を行ったことを記憶する。サーバ装置30は、保温ブロック3aの取付完了を反映した支援画像を生成する。サーバ装置30は、生成した支援画像をモニタ71~73、端末20A~20Dへ送信する。新たに生成された支援画像では、例えば、取付位置81aの部分が赤色から作業完了を示す灰色に更新されている。これにより、作業員5は、取付作業の進捗状況を把握することができる。例えば、エリアbを担当する作業員5C,5Dは、作業員5A,5Bによる作業の進捗を確認することができる。また、サーバ装置30は、作業員5Bが保温ブロック3aの取り付け作業を行ったことを記憶している。作業員5ごとに作業履歴を集計することで、作業員5の作業実績を管理することができる。
【0034】
次に部材取付支援システム100の構成、機能について説明する。
図2は、本発明の第一実施形態における部材取付支援システムの一例を示す第1のブロック図である。
部材取付支援システム100は、保温ブロック3に設けられたRFIDタグ10と、腕章6に設けられた端末20と、サーバ装置30とを含む。部材取付支援システム100は、さらに複数のRFIDタグ10と複数の端末20を含んでいてもよい。
RFIDタグ10は、そのRFIDタグ10が装着された保温ブロック3の取付位置情報を記憶している。取付位置情報とは、例えば、「エリアaの11番地」などを含む情報である。エリアaとは、図1で説明した作業エリア(エリア情報)である。11番地とは、エリアa内で一意に設定された保温ブロック3の取り付け位置の区画の識別情報である。RFIDタグ10は、パッシブタグであり、端末20により給電されて起動し、端末20と通信を行う。RFIDタグ10は、この通信において、「エリアaの11番地」等を含む取付位置情報を端末20へ送信する。取付位置情報は、エリア情報と区画情報を含む。例えば、図1の取付位置8aが赤く表示されることのうち、赤色は「エリアa」を示し、取付位置8aが表示された位置は「11番地」を示す。つまり、赤色は、エリア情報に対応し、取付位置8aは区画情報に対応する。
【0035】
端末20は、読取部21と、表示制御部22と、入出力部23と、制御部24と、記憶部25と、通信部26と、を備える。
読取部21は、NFC(Near Field Communication)等の無線通信によって、誘導起電力によりRFIDタグ10を起動させ、RFIDタグ10と通信を行う。読取部21は、通信により、RFIDタグ10が記憶する取付位置情報を取得する。
表示制御部22は、端末20の表示画面に表示する画像を生成する。例えば、表示制御部22は、「起動」、「完了」、「解放」など取り付け作業の進捗管理に用いるボタンを表示した画像を生成する。
入出力部23は、端末20への入出力を行う。例えば、入出力部23は、表示制御部22が生成した画像を表示する液晶ディスプレイなどの表示画面や、端末20に設けられたハードウェアのボタンを含む。また、表示画面には、指の接触を検知するタッチパネルが設置されており、入出力部23は、タッチパネルを介して作業員5が入力した情報を受け付ける。
【0036】
制御部24は、入出力部23を介して作業員5が行った操作などに基づいて、端末20の動作を制御する。例えば、作業員5が表示画面に表示された「起動」ボタンを押下すると、制御部24は、読取部21を起動する。また、作業員5が表示画面に表示された「完了」ボタンを押下すると、保温ブロック3の取り付け作業が完了したことを、通信部26を介してサーバ装置30へ送信する。
記憶部25は、種々の情報を記憶する。
通信部26は、サーバ装置30や他の端末20と無線LAN(local area network)等により通信を行う。
以下、端末20Aが備える機能部を、読取部21A、表示制御部22A、入出力部23A、制御部24A、記憶部25A、通信部26Aのように記載する。端末20B~20Dについても同様である。
【0037】
サーバ装置30は、管理部31と、表示制御部32と、記憶部33と、通信部34とを備える。
管理部31は、取り付け作業が完了した保温ブロック3の取付位置を記憶部33に記録する。
表示制御部32は、モニタ71~73等に表示する支援画像を生成する。
記憶部33は、ケーシング1の外形画像や、ケーシング1の表面における保温ブロック3の取付位置の情報などを記憶する。例えば、記憶部33には、「エリアaの11番地」がケーシング1の取付位置8a(図1)に対応することを記憶している。
通信部34は、端末20やモニタ71~73と無線LAN(local area network)等により通信を行う。
【0038】
次に部材取付支援システム100の処理の流れを、図1を用いて説明した作業員5A、5Bの動作に沿って説明する。
図3は、本発明の第一実施形態における部材取付支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
前提として、端末20では、取付作業に用いるアプリケーションが起動しているとする。当該アプリケーションは、端末20の表示画面に、例えば「起動」、「完了」、「解放」などの文言が表示されたボタンと、支援画像を表示する。
まず、作業員5Aが端末20Aの表示画面の「起動」ボタンを押下する。すると、制御部24Aは、読取部21A(RFIDの機能)を起動する(ステップS11)。制御部24Aは、読取部21Aの起動を、通信部26Aを介して、サーバ装置30へ通知する(ステップS12)。読取部21Aの起動通知には、端末20Aの識別情報が含まれている。
【0039】
同様に作業員5Bが端末20Bの表示画面の「起動」ボタンを押下する。すると、制御部24Bは、読取部21B(RFIDの機能)を起動する(ステップS13)。制御部24Bは、読取部21Bの起動を、通信部26Bを介して、サーバ装置30へ通知する(ステップS14)。読取部21Bの起動通知には、端末20Bの識別情報が含まれている。
【0040】
サーバ装置30では管理部31が、通信部34を介して、読取部21A,21Bの起動通知を受信する。管理部31は、RFID機能の起動が通知された端末20A,20Bの識別情報と起動通知の受信時刻を記録する(ステップS15)。この記録により、取付作業に参加する作業員5を管理することができる。なお、サーバ装置30の記憶部33には、端末20Aと作業員5Aと作業エリア(エリアa)の対応関係、端末20Bと作業員5Bとエリアaの対応関係が登録されている。また、記憶部33には、作業員5Aが保温ブロックを運び出し、作業員5Bが保温ブロックを取り付ける作業を行うことが登録されている。
【0041】
次に作業員5Aが収容庫41にて、次に取り付ける保温ブロック3を選択し、選択した保温ブロック3を運び出す。この際、読取部21Aは、選択した保温ブロック3のRFID10から取付位置情報を取得する(ステップS16)。読取部21Aは、取得した取付位置情報を制御部24Aに出力する。制御部24Aは、通信部26Aを介して、端末20Aの識別情報と共に取付位置情報をサーバ装置30へ送信する(ステップS17)。取付位置情報には、作業エリアの情報(エリア情報)と、作業エリア内の取付位置を示す区画情報が含まれる。
【0042】
サーバ装置30では表示制御部32が、通信部34を介して、取付位置情報の通知を受信する。表示制御部32は、ケーシング1上に端末20Aから取得した取付位置情報(例えば、取付位置8a)を表示した支援画像を生成する(ステップS18)。表示制御部32は、取付位置8aを赤色で表示した支援画像を生成する。表示制御部32は、通信部34を介して、支援画像をモニタ71~73や、端末20A,20Bへ送信する(ステップS19A,S19B)。
モニタ71~73、端末20A,20Bは支援画像を表示する(ステップS20A,S20B)。作業員5A,5Bは、モニタ71~73、各自の端末20の表示画面に表示された支援画像を参照して、保温ブロック3の取り付け位置を確認する。
【0043】
また、サーバ装置30では管理部31が、端末20Aの識別情報と取付位置情報とをこれらの情報を受信した時刻と共に記憶部33に記録する。これにより、作業員5Aが、保温ブロック3を運び出したことを示す作業履歴を記録することができる。
【0044】
次に作業員5Aは、運び出した保温ブロック3を作業員5Bに渡す。作業員5Bは、保温ブロック3を受け取る。この際、読取部21Bは、受け取った保温ブロック3のRFID10から取付位置情報を取得する(ステップS21)。読取部21Bは、取得した取付位置情報を制御部24Bに出力する。制御部24Bは、通信部26Bを介して、取付位置情報をサーバ装置30へ送信する(ステップS22)。
【0045】
保温ブロック3を渡すと、作業員5Aは、端末20Aに保温ブロック3を解放したこと(作業員5bに渡したこと)を示す情報を入力する(ステップS23)。例えば、作業員5Aは、表示画面の「解放」ボタンを押下する。すると、制御部24Aは、通信部26Aを介して、端末20Aの識別情報と共に保温ブロック3の解放をサーバ装置30へ通知する(ステップS24)。
【0046】
サーバ装置30では管理部31が、端末20Aの識別情報と解放通知とをこれらの情報を受信した時刻を記憶部33に記録する。また、管理部31は、端末20Bの識別情報と取付位置情報とをこれらの情報を受信した時刻を記憶部33に記録する(ステップS25)。これにより、作業員5Aが、保温ブロック3を作業員5Bに渡したことを示す作業履歴を記録することができる。
【0047】
作業員5Bは、モニタ72や端末20Bの表示画面を参照して保温ブロック3の取り付け位置を確認すると、保温ブロック3を支援画像で示された位置に取り付ける。取付作業が完了すると、作業員5Bは、端末20Bに保温ブロック3の取り付けが完了したことを示す情報を入力する(ステップS26)。例えば、作業員5Bは、表示画面の「完了」ボタンを押下する。制御部24Bは、通信部26Bを介して、端末20Bの識別情報と共に保温ブロック3の取り付け完了をサーバ装置30へ通知する(ステップS27)。
【0048】
サーバ装置30では管理部31が、端末20Bの識別情報と完了通知とをこれらの情報を受信した時刻を記憶部33に記録する(ステップS28)。これにより、作業員5Bによる保温ブロック3のケーシング1への取り付け完了を示す作業履歴を記録することができる。保温ブロック3の取り付けが完了すると、表示制御部32が、取付完了後の支援画像を生成する(ステップS29)。表示制御部32は、例えば、ケーシング1における保温ブロック3の取付位置を灰色で表示した支援画像を生成する。表示制御部32は、通信部34を介して、支援画像をモニタ71~73、端末20A,20Bへ送信する(ステップS30A,S30B)。
モニタ71~73、端末20A,20Bは支援画像を表示する(ステップS31A,S31B)。作業員5A,5Bは、モニタ71~73、各自の端末20の表示画面に表示された支援画像を参照して、取付作業を行った位置を確認することができる。また、作業の管理者は、取付作業の進捗状況を確認することができる。
【0049】
なお、図3のフローチャートでは、作業員5A,5Bによる作業に沿った部材取付支援システム100の処理の流れを説明したが、これと並行して作業員5C,5Dがエリアbに対する保温ブロック3の取り付け作業を行っている場合、部材取付支援システム100は、同様の処理を行ってエリアaおよびエリアbにおける保温ブロック3の取付状況を表示した支援画像を表示する。
本実施形態によれば、複数の作業員5によって保温ブロック3を取り付ける作業を行う場合でも、全ての作業員5が作業の進捗状況を共有しながら、取り付け作業を行うことができる。例えば、作業員5A、5Bは、他の作業員5C、5Dによる作業状況を把握しながらエリアaに対する取り付け作業を進めることができる。
【0050】
次に保温ブロック3の取り付け作業の優先度について説明する。
図4は、本発明の第一実施形態における保温ブロックの取り付け位置の一例を示す図である。
図4は、図1に例示するケーシング1の断面図である。保温ブロック3は、より低い位置に取り付ける保温ブロック3から取り付けると作業効率が良い。取り付け作業の優先度が高いものから順に優先度1~優先度5を示してある。
【0051】
図5は、本発明の第一実施形態における保温ブロックの収容庫の一例を示す図である。
図5に、収容庫41における保温ブロック3の収容状況を示す。収容庫41には、棚A~棚Eが設置されている。図4に示す優先度順で保温ブロックを取り付けるために、例えば、棚Aには、最も優先的に(優先度1)取り付けるべき保温ブロック3が収容されている。棚Bには、優先度2の保温ブロック3が収容されている。同様に棚Cには優先度3の保温ブロック3が収容され、棚D、Eには、それぞれ優先度4、5の保温ブロック3が収容されている。このように収容することにより、作業効率を改善することができる。
例えば、作業員5Aは、まず棚Aの保温ブロック3を次々と運び出して作業員5Bに渡す。作業員5Bは、図4のエリアaにおける優先度1の全ての保温ブロック3を取り付ける。棚Aが完了すると、次に作業員5Aは、棚Bの保温ブロック3を運び出して作業員5Bに渡す。作業員5Bは、エリアaにおける優先度2の全ての保温ブロック3を取り付ける。優先度3~5についても同様である。このようにすることにより、作業員5Bは、優先度の高い順に保温ブロック3を取り付けることができる。
【0052】
また、保温ブロック3を収容庫41に収容する場面では、優先度別に各棚に収容することが望ましい。例えば、定期点検などでは、保温ブロック3を全て取り外して収容庫41、42に収容し、点検作業の終了後に再び収容庫41、42から保温ブロック3を運び出して、ケーシング1に取り付ける作業を行う。保温ブロック3を取り外す場面では、作業員5Bがケーシング1から取り外す作業を行い、取り外した保温ブロック3を作業員5Aに渡し、作業員5Aが収容庫41に収容するとする。すると、作業員5Bは、例えば、図4の優先度5に関連付けられた保温ブロック3から順に取り外し、作業員5Aへ渡す。作業員5Aは、受け取った保温ブロック3を棚Eに収容する。次に作業員5Bは優先度4の各保温ブロック3を取り外し、作業員5Aはそれらの保温ブロック3を棚Dへ収容する。以下、同様にして作業員5Aは、優先度3の保温ブロックを棚Cへ、優先度2の保温ブロックを棚Bへ、優先度1の保温ブロックを棚Aへ収容する。
【0053】
このように収容しておくことで、点検作業後、再びケーシング1へ保温ブロック3を取り付ける際に効率よく取り付け作業を行うことができる。定期点検は、例えば、1年に1回など定期的に行われる。取り付け作業の優先度に応じて、保温ブロック3を異なる棚A~Dに収容するように取り決めておくことで、繰り返し行われる点検作業などの際にも、保温ブロック3の取り外し及び収容作業と、保温ブロック3の運び出し及び取り付け作業を効率化することができる。
【0054】
保温ブロック3を取り付ける順番は任意であってよい。しかし、作業効率の観点からは、図4で説明した順番で取り付けることが望ましい。図5で説明した収容方法によれば、作業員5Aが保温ブロック3を運び出す際、優先的に運び出すべき保温ブロック3を探し出す手間を省くことができる。また、作業員5Bは、理想的な順番で保温ブロック3を取り付けることができる。
【0055】
また、部材取付支援システム100によれば、保温ブロック3には(耐久性のある)RFIDタグ10が装着されているので、点検作業の度に支援画像を表示させて、作業員5による取り付け作業を支援することができる。また、RFIDタグ10が故障などした場合にも、再び適切な取付位置情報を記憶させたRFIDタグ10を保温ブロック3に装着することで、繰り返し部材取付支援システム100を利用することができる。
【0056】
なお、図5で例示したような形態で保温ブロック3を収容できない場合、作業員5Aは、部材取付支援システム100を用いることで優先度の高い保温ブロック3を探して、運び出すことができる。例えば、作業員5Aが保温ブロック3に近づくと、その保温ブロック3の取り付け位置がモニタ71や端末20Aの表示画面に表示される。図4に示す優先度を知っていれば、作業員5Aは、支援画像に表示される保温ブロック3の取付位置によって、その保温ブロック3の優先度を把握することができる。作業員5Aは、優先度の高い保温ブロック3を選択して、作業員5Bに渡すことができる。
【0057】
次に本実施形態に係る部材取付支援システムの他の構成例を示す。
図6は、本発明の第一実施形態における部材取付支援システムの一例を示す第2のブロック図である。
部材取付支援システム100Aは、サーバ装置30を含まない。代わりに端末20が管理部27を備え、保温ブロック3の取付完了時刻や取付位置を記憶部25に記録する。また、表示制御部22が、支援画像を生成する。例えば、端末20Aをマスタ機、端末20B等の他の端末20をスレーブ機として、端末20B等のスレーブ機が、RFIDタグ10から取得した取付位置情報の通知(図3のステップS17,ステップS22)や、解放通知(図3のステップS24)、完了通知(図3のステップS27)をマスタ機である端末20Aに対して行い、端末20Aがその都度、支援画像の生成(図3のステップS18,S29)や進捗記録(図3のステップS25,S28)を行って、スレーブ機やモニタ71~73へ支援画像を送信してもよい。あるいは、各端末20で進捗記録を行って、その結果を互いに送信しあって同期し、各端末20で支援画像を生成してもよい。
このようにサーバ装置が無くても、本実施形態の部材取付支援システムを実現することができる。
【0058】
なお、上記実施形態では、モニタ71~73を設けることとしたが、モニタ71~73は必須ではない。端末20の表示画面(入出力部23)に支援画像を表示させることにより、図3の処理を行ってもよい。また、端末20の表示画面には、支援画像を表示せず、モニタ71~73にのみ支援画像を表示するようにしてもよい。また、端末20は、表示画面を備えていなくてもよい。端末20に設けられたボタン(ハードウェア)と、上記で説明した「起動」、「解放」、「完了」などを対応付けることにより、上記の機能を実現してもよい。
【0059】
また、上記の実施形態では、RFIDタグ10が取付位置情報(エリア情報、区画情報)を含んでいることとしたが、RFIDタグ10の識別情報を記憶させ、サーバ装置30にて、識別情報を取付位置情報に変換するように構成してもよい。
【0060】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態による部材取付支援システムについて図7を参照して説明する。第一実施形態では、作業員5が、腕章6に設けられた端末20を用いて、保温ブロック3のRFIDタグ10が記憶する取付位置情報を読み取り、取付位置の具体的な場所をモニタ71等で確認する例を用いて説明を行った。第二実施形態においては、端末20を、例えば、モニタ71等の付近に固定して設置し、作業員5が、保温ブロック3を持って、端末20の場所まで移動して、端末20に接続されたRFIDリーダやバーコードリーダなどの読み取り装置(読取部21)に、取付位置情報を読み取らせて、その結果をモニタ71等に表示する構成とする。
【0061】
図7は、本発明の第二実施形態における部材取付支援システムの概略図である。
本発明の第二実施形態に係る部材取付支援システム100Bの構成のうち、本発明の第一実施形態に係る部材取付支援システム100を構成する機能部と同じものには同じ符号を付し、それぞれの説明を省略する。本実施形態の部材取付支援システム100Bでは、端末20が、作業員5A~5Dの腕章6ではなく、所定の位置に固定して設置されている。例えば、端末20a、20b、20cは、それぞれモニタ71、72、73の近くに設置されている。端末20a~20cは、第一実施形態と同様にスマートフォン等の携帯端末であってもよいが、PC(Personal Computer)等の据え置き型のコンピュータによって構成されていてもよい。端末20a~20cが備える機能部は、図2を用いて説明したものと同様であるが、例えば、端末20a~20cには、RFIDリーダやバーコードリーダが接続され、これらが読取部21a~21cを構成していてもよい。また、端末20a~20cには、図示しないキーボード及びマウス、モニタ71~73が接続され、これらが入出力部23aを構成していてもよく、例えば、端末20aの表示制御部22aは、モニタ71に画像を表示する。
【0062】
(取付支援機能など)
部材取付支援システム100Bの動作について説明する。例えば、作業員5Aは、収容庫41から保温ブロック3aを運び出す。作業員5Bは、作業員5Aからその保温ブロック3aを受け取る。作業員5Bは、例えば、モニタ72の近くまで保温ブロック3aを運び、端末20bに接続されたRFIDリーダ(図示せず)に、RFIDタグ10aが記憶する取付位置情報を読み取らせる。端末20bは、RFIDタグ10aから取付位置情報を取得し、サーバ装置30へ送信する。
【0063】
同様に作業員5Cは、収容庫42から保温ブロック3bを運び出す。作業員5Dは、保温ブロック3bを作業員5Cから受け取って、モニタ73付近の端末20cに接続された図示しないRFIDリーダ(読取部21c)に近づける。すると、端末20cは、RFIDリーダが読み取ったRFIDタグ10bが記憶する取付位置情報を取得し、サーバ装置30へ送信する。
【0064】
以降の処理は、第一実施形態と同様である。例えば、サーバ装置30は、ケーシング1上の保温ブロック3a,3bの取付位置を表示する支援画像を生成し、生成した支援画像を端末20a~20c、モニタ71~73へ送信する。端末20a、20b、20cは、それぞれの表示画面に支援画像を表示する。また、モニタ71、72、73は支援画像を表示する。作業員5Bは、モニタ72に表示された取付位置を確認して、保温ブロック3aをエリアaの取付位置8aに取り付ける。作業員5Dは、モニタ73に表示された取付位置を確認して、保温ブロック3bをエリアbの取付位置8bに取り付ける。
【0065】
次に作業員5B、5Dが保温ブロック3を取り付けると、端末20a、20bへそれぞれ保温ブロック3a、3bの取り付けが完了したことを示す情報を入力する。すると、第一実施形態と同様の処理により、端末20a、20bは、各端末の識別情報と共に保温ブロック3a,3bの取り付け完了をサーバ装置30へ通知する。サーバ装置30は、作業の進捗を記録し、作業状況を反映した支援画像を生成する。端末20a~20c、モニタ71~73は、作業状況を反映した支援画像をサーバ装置30から受信し、その支援画像を表示する。
【0066】
本実施形態の部材取付支援システム100Bによれば、作業員5A~5Dは、腕章6を装着すること無く、保温ブロック3の取り付け位置を容易に把握することができる。これにより、第一実施形態に比べて簡便なシステム構成によって、保温ブロック3の取り付け作業の時間短縮、作業効率の向上といった、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
<第三実施形態>
以下、本発明の第三実施形態による部材取付支援システムについて、図8図15を参照して説明する。本発明の第三実施形態に係る構成のうち、本発明の第一実施形態、第二実施形態に係る部材取付支援システム100~100Bの構成と同じものには同じ符号を付し、それぞれの説明を省略する。上記のように部材取付支援システム100~100Bは、保温ブロック3の取り付け位置を案内する機能を提供する。これに対し、第三実施形態に係る部材取付支援システム100Cは、保温ブロック3の取り付け位置を表示するだけではなく、取り外した保温ブロック3の収容場所を記憶し、表示する機能を提供する。例えば、定期点検時には、保温ブロック3をケーシング1から取り外し、点検後に再び保温ブロック3を取り付ける作業を行う。保温ブロック3の収容場所を表示する機能によって、点検後に保温ブロック3をケーシング1に再び取り付けるときに、保温ブロック3を探す手間を省くことができる。
【0068】
図8は、本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの一例を示すブロック図である。
部材取付支援システム100Cは、保温ブロック3に設けられたRFIDタグ10と、端末20と、端末50と、サーバ装置30Cとを含む。
RFIDタグ10、端末20については、第一実施形態、第二実施形態に示す構成と同様のため説明を省略する。
サーバ装置30は、管理部31と、表示制御部32と、記憶部33と、通信部34と、収容場所記録部35と、を備える。
収容場所記録部35は、作業員5が保温ブロック3を収容した場所を、保温ブロック3ごとに記録する。
【0069】
端末50は、読取部51と、表示制御部52と、入出力部53と、制御部54と、記憶部55と、通信部56と、を備える。端末50は、スマートフォンなどの携帯端末、又は、PCなどの据え置き型のコンピュータで構成される。
読取部51は、NFC(Near Field Communication)等の無線通信によって、RFIDタグ10と通信を行う。読取部51は、通信により、RFIDタグ10が記憶する取付位置情報を取得する。読取部51は、端末50に接続されたRFIDリーダやバーコードリーダであってもよい。
表示制御部52は、端末50の表示画面に表示する画像を生成する。例えば、表示制御部52は、「起動」、「収容開始」、「次へ」など保温ブロックの収容と運び出しに用いるボタンを表示した画像を生成する。
入出力部53は、端末50への入出力を行う。例えば、入出力部53は、端末50に設けられた表示画面や、端末50に設けられたハードウェアのボタン、表示画面に設けられたタッチパネル、端末50に接続されたモニタ、キーボードなどを含む。
【0070】
制御部54は、入出力部53を介して作業員5が行った操作などに基づいて、端末50の動作を制御する。例えば、作業員5が表示画面に表示された「起動」ボタンを押下すると、制御部54は、読取部51を起動する。また、作業員5が表示画面に表示された「収容開始」ボタンを押下すると、保温ブロック3の収容作業を開始することを、通信部56を介してサーバ装置30Cへ送信する。
記憶部55は、種々の情報を記憶する。
通信部56は、サーバ装置30Cと無線LAN(local area network)等により通信を行う。
以下、端末50Aが備える機能部を、読取部51A、表示制御部52A、入出力部53A、制御部54A、記憶部55A、通信部56Aのように記載する。端末50Cについても同様である。
【0071】
図9は、本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの第1の概略図である。
図9に本実施形態の部材取付支援システム100Cを示す。図1の構成と異なり、作業員5Aが装着する腕章6Aには、端末50Aが設けられ、作業員5Bが装着する腕章6Bには、端末20Bが設けられている。作業員5Cが装着する腕章6Cには、端末50Cが設けられ、作業員5Dが装着する腕章6Dには、端末20Dが設けられている。
【0072】
(収容場所の記録)
まず、保温ブロック3を取り外す場面について説明する。例えば、定期点検の開始時に作業員5Bがケーシング1のエリアaから保温ブロック3aを取り外す。作業員5Aは、その保温ブロック3aを作業員5Bから受け取って収容庫41に収容する。同様に作業員5Dがエリアbから保温ブロック3bを取り外し、作業員5Cがその保温ブロック3bを収容庫42に収容する。
【0073】
図10は、本発明の第三実施形態に係る保温ブロックの収容時における部材取付支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図11は、本発明の第三実施形態に係る保温ブロックの収容場所の記録処理を説明する図である。
まず、作業員5Aは、例えば、端末50Aの表示画面に表示された「収容開始」ボタンを押下する等して、保温ブロック3の収容作業の開始を示す情報を端末50Aに入力する。端末50Aでは、入出力部53Aがその入力を受け付ける。通信部56Aは、収容作業の開始と端末50Aの識別情報とをサーバ装置30Cに通知する(ステップS41)。サーバ装置30Cでは、通信部34がこの通知を受信する。また、表示制御部32が、収容場所画像を生成する(ステップS42)。図11(a)に収容場所画像の一例を示す。図11(a)は、例えば、収容庫41の平面図であり、収容庫41の床面を所定の大きさの領域に区分けして各領域に「P1」、「P2」等の識別番号を付した様子を示している。「P1」等は、1つの保温ブロック3を収容する場所である。表示制御部32は、図11(a)に例示する収容場所画像を生成し、通信部34が収容場所画像を端末50Aに送信する(ステップS43)。端末50Aでは、通信部56Aが収容場所画像を受信し、表示制御部52Aが端末50Aの表示画面に収容場所画像を表示する(ステップS44)。
また、作業員5Aが端末50Aの表示画面の「起動」ボタンを押下する。すると、制御部54Aは、読取部51A(RFIDの機能)を起動する(ステップS45)。
【0074】
一方、作業員5Bは、保温ブロック3aをケーシング1から取り外し、作業員5Aに渡す。この際、読取部51Aは、受け取った保温ブロック3のRFID10から取付位置情報を取得する(ステップS46)。保温ブロック3を収容する場面では、取付位置情報は、保温ブロック3の識別情報として機能する。読取部51Aは、取得した取付位置情報を制御部54Aに出力する。
【0075】
作業員5Aは、受け取った保温ブロック3aを、収容庫41まで運び、庫内の何れかの場所に置く(収容する)。作業員5Aは、端末50Aが表示する収容場所画像の中から、保温ブロック3を置いた位置に相当する収容場所(「P1」、「P2」等)を選択して、保温ブロック3の収容場所を入力する(ステップS47)。入出力部53Aは、この入力を受け付け、選択された収容場所の情報を制御部54Aに出力する。制御部54Aは、通信部56Aを介して、端末50Aの識別情報と共に取付位置情報と収容場所の情報(「P1」等)をサーバ装置30へ送信する(ステップS48)。
【0076】
サーバ装置30Cでは、通信部34を介して、収容場所記録部35がこれらの情報を取得する。収容場所記録部35は、取付位置情報(保温ブロック3の識別情報)と収容場所の情報を対応付けて記憶部33に記録する(ステップS49)。図11(b)に収容場所の情報が記録されたテーブルの例を示す。図11(b)に示すように記憶部33が記憶するテーブルは、取付位置情報と収容場所の情報と取り付け順を対応付けて記憶している。取り付け順は、取付位置情報ごとに予め定められている。例えば、図5を用いて説明したように、保温ブロック3は、その取付位置に応じて、そのような順に取り付けると作業効率が向上するかが分かっている。図11(b)のテーブルでは、例えば、この作業効率を向上させる順番に従って、最初に取り付けるべき保温ブロック3から順に取り付け順を示す数字1,2,3・・・が対応付けられている。収容場所記録部35は、端末50Aから取付位置情報と収容場所の情報が送信されると、「取付位置情報」フィールドに受信した取付位置情報に対応する値を持つレコードの「収容場所情報」フィールドに受信した収容場所の情報を格納する。
【0077】
次に表示制御部32が、収容場所画像を更新する(ステップS50)。例えば、収容場所の情報として「P1」を受信した場合、表示制御部32は、「P1」の位置をグレーアウトした収容場所画像を生成する。通信部34は、更新後の収容場所画像を端末50Aに送信する(ステップS51)。端末50Aでは、通信部56Aが更新後の収容場所画像を受信し、表示制御部52Aが更新後の収容場所画像を表示する(ステップS52)。この表示により、作業員5Aは、自分が置いた保温ブロック3の収容場所が記録されたことを確認することができる。
【0078】
作業員5A、5Bは、エリアaの全ての保温ブロック3が取り外されて、収容されるまで、同様の作業を繰り返す。エリアbについても同様に、作業員5Dが保温ブロック3bを取り外し、作業員5Cは、その保温ブロック3bを収容庫42に収容しつつ、端末50Cにその収容場所を入力する作業を繰り返す。端末50Cは、その度に保温ブロック3bの取付位置情報と収容場所の情報をサーバ装置30Cへ送信する。このようにして、ケーシング1から全ての保温ブロック3が取り外されて収容されると、サーバ装置30Cには、全ての保温ブロック3の収容場所の情報が記録される。
【0079】
(収容場所の表示)
次に点検後に保温ブロック3をケーシング1に取り付ける作業について説明する。作業員5Aは、収容庫41から予め定められた作業順に保温ブロック3を運び出し、作業員5Bに渡す。作業員5Bは、受け取った保温ブロック3をエリアaの適切な取付位置に取り付ける。同様に作業員5Cは、収容庫42から保温ブロック3を運び出し、作業員5Dがその保温ブロック3を受け取って、エリアbの適切な取付位置に取り付ける。なお、作業員5B、5Dによる取付作業支援については、第一実施形態と同様である。
【0080】
図12は、本発明の第三実施形態に係る保温ブロックの運び出し時における部材取付支援システムの動作の一例を示すフローチャートである。
まず、作業員5Aは、例えば、端末50Aの表示画面に表示された「取付開始」ボタンを押下する等して、保温ブロック3aの取り付け作業の開始を示す情報を端末50Aに入力する。端末50Aでは、入出力部53Aがその入力を受け付ける。通信部56Aは、取り付け作業の開始と端末50Aの識別情報とをサーバ装置30Cに通知する(ステップS61)。サーバ装置30Cでは、通信部34がこの通知を受信する。すると、表示制御部32が、最初に取り付けるべき保温ブロック3の収容場所を示す収容場所画像を生成する(ステップS62)。具体的には、表示制御部32は、図11(b)に例示するテーブルから取り付け順が「1」のデータを参照し、取付位置情報と収容場所情報を読み出す。そして、例えば、最初に取り付けるべき保温ブロック3が「P8」に収容されている場合、表示制御部32は、図11(a)に例示する収容場所画像において、「P8」だけを他の領域(「P1」など)とは異なる態様で表示した画像を生成する。例えば、表示制御部32は、P8の文字や背景を他の領域とは異なる色で表示したり、点滅させたりして強調表示した画像を生成する。通信部34は、この収容場所画像と最初に取り付けるべき保温ブロック3の取付位置情報(識別情報)を端末50Aに送信する(ステップS63)。端末50Aでは、通信部56Aが収容場所画像を受信し、表示制御部52Aが、端末50Aの表示画面に収容場所画像を表示する(ステップS64)。作業員5Aは、この表示を参照して、収容庫41内の「P8」に対応する場所から保温ブロック3aを運び出して、作業員5Bに渡す。
【0081】
なお、作業員5Aが、「P8」に対応する場所から保温ブロック3aを運び出す際に、端末50Aの読取部51Aが、保温ブロック3aのRFIDタグ10から取付位置情報を読み取り、サーバ装置30Cから取得した取付位置情報と照合し、不一致ならば、エラーメッセージを表示するように構成してもよい。
【0082】
保温ブロック3aを受け取った作業員5Bは、第一実施形態と同様にして、端末20Bを用いて、保温ブロック3aの取付位置情報を読み取らせ、取り付け位置を端末20Bの表示画面やモニタ72等に表示させる。作業員5Bは、モニタ72等に表示された取付位置を参照しながら、保温ブロック3を取り付ける。
【0083】
一方、最初に取り付けるべき保温ブロック3aを作業員5Bへ渡すと、作業員5Aは、例えば、端末50Aの表示画面に表示された「次へ」ボタンを押下する等して、次に取り付けるべき保温ブロック3の収容場所を要求する情報を端末50Aに入力する。入出力部53Aはその入力を受け付け、通信部56Aは、次の保温ブロック3の収容場所を要求する情報と端末50Aの識別情報とをサーバ装置30Cに通知する(ステップS65)。サーバ装置30Cでは、通信部34がこの通知を受信し、表示制御部32が、次に取り付けるべき保温ブロック3の収容場所を示す収容場所画像を生成する(ステップS66)。具体的には、表示制御部32は、図11(b)のテーブルを参照して、取り付け順が「2」のレコードを特定し、取付位置情報と収容場所情報を読み出す。そして、表示制御部32は、次の収容場所を強調表示した収容場所画像を生成する。通信部34は、この収容場所画像と次に取り付けるべき保温ブロックの取付位置情報を端末50Aに送信する(ステップS67)。端末50Aでは、通信部56Aが収容場所画像を受信し、表示制御部52Aが表示画面に収容場所画像を表示する(ステップS68)。作業員5Aは、この表示を参照して、次に取り付けるべき保温ブロック3を運び出して、作業員5Bに渡す。
【0084】
このようにして、作業員5A、5Bは、エリアaの全ての保温ブロック3aが取り付けられるまで同様の作業を繰り返す。エリアbについても同様に、サーバ装置30Cは、作業員5Cが身に付けている端末50Cへ取り付け順に保温ブロック3bの収容場所を通知し、作業員5Cは、その案内に従って保温ブロック3bを収容庫42から運び出す。また、作業員5Dは、端末20Dを用いて、保温ブロック3を作業員5Cから受け取り、エリアbへ取り付ける作業を繰り返す。
【0085】
本実施形態によれば、作業員5は、次に取り付けるべき保温ブロック3の収容場所を、把握することができるので、迷わずに次に取り付けるべき保温ブロック3を見つけることができる。これにより、保温ブロック3の取り付け作業の効率を向上することができる。また、作業員5は、図5で例示したようにケーシング1から取り外した保温ブロック3を取り付け順に並べることなく、任意の場所に収容することができる。
なお、上記説明では、保温ブロック3を収容したり運び出したりする作業員5A、5Cと、保温ブロック3の取り外しと取り付けを行う作業員5B、5Dとが協同して作業を行うこととしたが、一人の作業員5が、保温ブロック3の取り外し、収容、運び出し、取り付けという一連の作業を行ってもよい。その場合、例えば、端末20に端末50に機能を実装し、作業員5は、その端末20が備えられた腕章6を装着するようにしてもよい。
【0086】
また、上記説明では、保温ブロック3を収容するたびに、その収容位置を端末50へ入力する、つまり、収容と読み取りおよび収容場所の入力を1セットとしてやることとしたが、これに限定されない。例えば、全ての保温ブロック3を収容し終えた後に一括して、読み取りおよび収容場所の入力を行ってもよい。具体的には、ある特定の作業員5(例えば、作業員5A)が、収容庫41、42に置かれた全ての保温ブロック3に対し、一つずつ端末50Aを用いて取付位置情報を読み取らせ、収容場所を記録するようにしてもよい。このようにすることで、保温ブロック3の収容作業を行う作業員5は、収容場所を記録する作業を行わなくてよい。
【0087】
また、図9の構成例では、作業員5の腕章6に端末20、端末50を設けることとしたが、第三実施形態は、第二実施形態と組み合わせることも可能である。
図13は、本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの第2の概略図である。図13に示す部材取付支援システム100C1では、図9の構成と異なり、作業員5Aが装着する腕章6Aには、端末50Aが設けられ、作業員5Bは腕章6を装着していない。また、作業員5Cが装着する腕章6Cには、端末50Cが設けられ、作業員5Dは腕章6を装着していない。このような構成の場合、作業員5Aは、端末50Aを操作しながら、保温ブロック3aの収容と運び出しを行う。作業員5Bは、作業員5Aから受け取った保温ブロック3aを、例えば、端末20bまで運び、読取部21bにRFIDタグ10を読み取らせ、モニタ72に表示される取付位置を参照して、保温ブロック3aをケーシング1の適切な位置へ取り付ける。作業員5C,5Dについても同様である。
【0088】
例えば、モニタ72、73を参照して取り付け位置を一度把握すれば、あとは正確な位置に取り付けることができる熟練した作業員が存在する。図13に例示する構成によれば、作業員5B,5Dは、腕章6を装着せずに身軽な装備で、取り付け作業を行うことができる。また、部材取付支援システム100C1のコストを抑制することができる。
【0089】
また、図13の構成例とは反対に、端末50を据え置き型とする構成も可能である。
図14は、本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの第3の概略図である。図14に示す部材取付支援システム100C2では、図13の構成と異なり、作業員5Aは腕章6を装着せず、作業員5Bは、端末20Bが設けられた腕章6Bを装着している。また、作業員5Cは腕章6を装着せず、作業員5Dは、端末20Cが設けられた腕章6Dを装着している。また、モニタ71の近くに端末50を固定して設置し、作業員5A、5Cは、保温ブロック3を持って端末50が設置された位置まで移動して、端末50に接続されたRFIDリーダ等(読取部51)に取付位置情報を読み取らせる。さらに収容庫41の収容場所画像と収容庫42の収容場所画像を切り替えられるようにしておき、作業員5A、5Cが、その場で保温ブロック3の収容予定位置を入力する。そして、作業員5A、5Cはそれぞれが入力した収容庫41、42の収容予定位置に保温ブロック3を収容する。あるいは、作業員5A、5Cは、RFIDリーダに取付位置情報を読み取らせた後に保温ブロック3を収容し、収容後に、実際の収容位置を端末50へ入力してもよい。また、保温ブロックを取り付ける場面では、作業員5Aは、モニタ71に表示された収容場所を確認しながら保温ブロック3aの運び出しを行う。作業員5Bは、作業員5Aから受け取った保温ブロック3aについて、端末20BにRFIDタグ10を読み取らせる。作業員5Bは、端末20Bの表示画面に表示される取付位置を参照して、保温ブロック3aをケーシング1の適切な位置へ取り付ける。作業員5C,5Dについても同様である。なお、次に図15に例示するように端末50及びモニタは、収容庫41と収容庫42のそれぞれについて設置してもよい。
【0090】
図14に例示する構成によれば、例えば、複数の作業員5が協同で収容庫41に保温ブロック3を収容するような場合、モニタ71の収容場所画像を参照し、次の保温ブロック3をどこに収容するかを相談しながら作業することができる。
【0091】
なお、端末20、端末50を共に据え置き型とすることも可能である。
図15は、本発明の第三実施形態における部材取付支援システムの第4の概略図である。図15に示す部材取付支援システム100C3では、作業員5A~5Dは腕章6を装着せず、端末50a、50bがそれぞれモニタ71a、71bの近くに固定して設置され、端末20b、20cがそれぞれモニタ72、73の近くに固定して設置される。
作業員5Aは、保温ブロック3を持って端末50aが設置された位置まで移動して、取付位置情報を読み取らせて収容作業を行う。また、作業員5Aは、モニタ71aの表示に基づいて、保温ブロック3aを取り付け順に運び出す。そして、作業員5Bは、作業員5Aが運び出した保温ブロック3aを受け取って端末20bが設置された位置まで移動して、取付位置情報を読み取らせ、モニタ72にその取付位置を表示させる。
同様に作業員5Cは、端末50b、モニタ71Bを用いて保温ブロック3bの収容と運び出しを行う。また、作業員5Dは、端末20cとモニタ73を用いて取付作業を行う。
【0092】
図15に例示する構成によれば、図9図13図14に例示した構成に比べて簡便で、低コストにシステムの導入・運用を行うことができる。
【0093】
なお、第一実施形態においてサーバ装置30を設けない構成を示したが(図6)、第三実施形態においても、端末20を図6に例示した構成とし、さらに端末50に、サーバ装置30Cの収容場所記録部35、表示制御部32の収容場所画像を生成する機能、記憶部33のテーブルを実装し、サーバ装置30Cを設けない構成とすることも可能である。 また、第三実施形態において、1つの端末装置に端末20の機能と端末50の機能の両方を実装し、この端末装置を腕章6に設けたり、モニタ71等の近くに設置したりしてもよい。
【0094】
また、上記の第一実施形態~第三実施形態では、保温ブロック3に取付位置情報を記憶させたRFIDタグ10を取り付けることとしたが、RFIDタグ10の代わりに取付位置情報を示すコード情報(バーコード、QRコード(登録商標)等)を表示したラベル等を保温ブロック3の表面に張り付けてもよい。この場合、端末20、端末50にコード情報読み取りのためのアプリケーションをインストールしたり、端末20、端末50にコード読取装置(バーコードリーダ等)を取り付けたりして、取付位置情報を読み取る。
【0095】
また、上記の第一実施形態~第三実施形態の説明では、端末20や端末50が設けられた腕章6を装着する例を説明したが、端末20が出力する支援画像や端末50が出力する収容場所画像をグラス型のディスプレイへ表示させるようにしてもよい。あるいは、端末20や端末50の機能を、グラス型のウェアラブル端末に実装してもよい。また、拡張現実の技術を適用して、例えば、支援画像の場合、実際のケーシング1に保温ブロック3の取り付け位置を重ねて表示するようにしてもよい。グラス型のディスプレイ等を利用することにより、両手を自由に使うことができる為、作業効率を向上することができる。
また、上記実施形態では、支援画像の表示により保温ブロック3の取り付け位置を表示し、収容場所画像により次に取り付けるべき保温ブロック3の収容場所を表示することとしたが、音声によって案内してもよい。例えば、図9の構成の場合、腕章6Aの端末50Aに接続(または内蔵)されたスピーカが収容場所を音声により案内し、作業員5Aは、案内された場所から保温ブロック3aを運び出して作業員5Bに渡す。作業員5Bは、腕章6Bの端末20Bに接続されたRFIDリーダを用いてRFIDタグ10aが記憶する取付位置情報を読み取らせる。すると、端末20Bに内蔵(または接続)されたスピーカは、保温ブロック3aの取付位置(エリア情報、区画情報)を音声により案内する。音声案内により、作業員5Aは、モニタ71等を参照することなく保温ブロック3aの運び出しができる。作業員5Bは、モニタ72等を参照することなく保温ブロック3aの取り付け作業を行うことができる。
【0096】
端末20、サーバ装置30、端末50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、入出力インタフェース、通信インタフェース等を備えるコンピュータに実装される。そして、上述した各機能部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置に記憶されている。CPUは、プログラムを補助記憶装置から読み出して主記憶装置に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPUは、プログラムに従って、記憶領域を主記憶装置に確保する。また、CPUは、プログラムに従って、処理中のデータを記憶する記憶領域を補助記憶装置に確保する。
【0097】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態の部材取付支援システム適用先は、ガスタービンを構成する高温機器に限定されない。なお、RFIDタグ10やコード情報を表示したラベルは、識別情報記憶部の一例である。RFIDリーダやバーコードリーダが接続された端末20および端末50は、端末装置の一例である。モニタ71~73、端末20の表示画面は表示装置の一例である。図11(b)に例示するテーブルを記憶する記憶部33は収容場所記憶部の一例である。端末20に接続されたスピーカまたは内蔵されたスピーカ、端末50に接続されたスピーカまたは内蔵されたスピーカは音声出力装置の一例である。
上記の実施形態では、取付位置情報は、エリア情報と区画情報を含むこととしたが、作業員5A、5Cは区画情報を知らなくてもよいので、RFIDタグ10a,10bから作業員5A、5Cが携帯する端末20A、20Cには、エリア情報だけが送信されてもよい。そして、作業員5A、5Cが参照するモニタ71と、端末20A、20Cの表示装置には、エリア情報だけが表示されてもよい。また、RFIDタグ10a,10bから作業員5B、5Dが携帯する端末20B、20Dには、区画情報だけが送信されてもよい。そして、作業員5B、5Dが参照するモニタ72,73と、端末20B、20Dの表示装置には、区画情報だけが表示されてもよい。あるいは、RFIDタグ10a,10bから作業員5B、5Dが携帯する端末20B、20Dには、エリア情報と区画情報が送信されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1・・・ケーシング
2・・・器具
3、3a、3b・・・保温ブロック
5、5A、5B、5C、5D・・・作業員
6、6A、6B、6C、6D・・・腕章
8、8a、8b・・・取付位置
10、10a、10b・・・RFIDタグ
20、20A、20B、20a、20b、20c・・・端末
21、21A、21B・・・読取部
22、22A、22B・・・表示制御部
23、23A、23B・・・入出力部
24、24A、24B・・・制御部
25、25A、25B・・・記憶部
26、26A、26B・・・通信部
27A、27B・・・管理部
30・・・サーバ装置
31・・・管理部
32・・・表示制御部
33・・・記憶部
34・・・通信部
41、42・・・収容庫
50、50A、50B・・・端末
51、51A・・・読取部
52、52A・・・表示制御部
53、53A・・・入出力部
54、54A・・・制御部
55、55A・・・記憶部
56、56A・・・通信部
71、72、73・・・モニタ
100、100A・・・部材取付支援システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15