(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
G03G21/16 119
(21)【出願番号】P 2018227620
(22)【出願日】2018-12-04
【審査請求日】2021-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】小口 浩平
(72)【発明者】
【氏名】山下 昌敏
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-163959(JP,A)
【文献】特開2016-133614(JP,A)
【文献】特開2001-242669(JP,A)
【文献】特開2000-82881(JP,A)
【文献】特開2003-71420(JP,A)
【文献】特開2003-237176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通孔を有する第1板金と、
前記第1板金と対向して配置される第2板金と、
前記第1板金と前記第2板金の間に配置さ
れる第3板金と、
前記第1板金と前記第3板金を固定する第1固定部材と、
を備え、
前記第1固定部材は、第1面と、前記第1面に対して交差する交差方向に延びる第2面と、を有し、
前記第3板金は、
前記第1板金と前記第2板金が対向する対向方向において、外方へ突出するように設けられ、前記第1貫通孔を貫通する第1凸部を備え、前記第1凸部が前記第1固定部材の前記第1面に固定され、前記第1板金は、前記第1固定部材の前記第2面に固定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第3板金は、被支持体を支持する第1部分と、前記対向方向に前記第1部分との稜線が延びるように折り曲げられた第2部分と、を有する基部と、前記第2部分から前記対向方向へ延びる前記第1凸部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1固定部材の前記第2面は、前記第1面
に対して直交する方向に延びる面であることを特徴とする請求項1
または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2板金には、前記第2板金に対して固定される第3面と、前記第3面に対して交差する方向に延びる第4面を有する第2固定部材が設けられ、
前記第3板金は、前記第2板金に形成された
第2貫通孔を貫通し、前記第2固定部材の前記第4面に固定されていることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1板金と前記第2板金の間に配置される第4板金を備え、
前記第4板金は、前記対向方向において、外方へ突出するように設けられ、前記第2貫通孔を貫通する第2凸部を備え、
前記第1固定部材は、前記第1面に前記第1凸部と前記第2凸部、前記第2面に前記第1板金が固定されていることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1板金と前記第2板金の間には、前記第1板金及び前記第2板金に連結される、前記第3板金及び前記第4板金と異なる第5板金が設けられていることを特徴とする請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第5板金は、感光体にレーザ光を照射して、感光体を露光する露光部を支持することを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
記録材に画像を形成する画像形成部を前記第1板金と前記第2板金との間に備え、
前記記録材は、前記第1板金と前記第2板金との間において、前記第3板金に対して前記第3板金の前記第2部分が設けられた一端側を通り、前記第3板金の下方から前記第3板金の上方へ搬送されることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
第1板金と、
前記第1板金に対して交差する交差方向に延びる基部と、前記基部の前記交差方向の一端から前記交差方向に延びる凸部と、を有する第2板金と、
前記第1板金と前記第2板金を固定する固定部材と、
備え、
前記第2板金は、前記第1板金の一方の面の側に前記基部が位置し、前記第1板金の一方の面と対向する他方の面の側に前記凸部が位置し、
前記固定部材は、前記凸部と、前記第1板金の前記他方の面と、にそれぞれ固定されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記凸部は、前記第1板金に設けられた貫通孔を貫通していることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記第1板金と前記第2板金を挟む第3板金と、
前記第2板金の基部と平行に延び、前記第1板金に接続された第4板金と、が設けられていることを特徴とする請求項9または10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第4板金は、感光体にレーザ光を照射して、感光体を露光する露光部を支持することを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
記録材に画像を形成する画像形成部を前記第1板金と前記第3板金との間に備え、
前記記録材は、前記第1板金と前記第3板金との間において、前記第2板金に対して前記第2板金の一端側を通り、前記第3板金の下方から前記第3板金の上方へ搬送されることを特徴とする請求項11または12に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ)などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、枠体として、板金を組み合わせた構成が広く採用されている(特許文献1)。特許文献1では、
図16に示す様に、レーザスキャナユニットを支持する光学ステー171、シート搬送系を支持するメインステー181、定着装置を支持する定着ステー161の端部を曲げて曲げ部161a、171a、181aを形成する。そして曲げ部161a、171a、181aを溶接部Wにおいてスポット溶接によって右側板151、左側板141に連結させて、板金を組み合わせた枠体126を形成する構成が記載されている。
【0003】
特許文献2では、
図17に示す様に、板金を組み合わせた枠体として、板金ステー202が左側板200と右側板201に連結されている構成が記載されている。板金ステー202は、水平に延在する基部202aと、この基部202aから立ち上げられた締結部202bとを備えている。締結部202bは、左側板200に形成された貫通孔200aを貫通し、左側板200に対してビス203により締結されている。
【0004】
特許文献3では、
図18に示す様に、板金を組み合わせた枠体として、左側板300、右側板301の端部を直角に折り曲げて形成したフランジ部302に対して、断面コ字状の支持部材303を締結する。そして支持部材303に板金ステー304を連結する構成が記載されている。
【0005】
このように板金を組み合わせて枠体を形成することで、モールドで一体的に形成された枠体と比較して、精度を出しやすい利点、平板形状のために物流が容易となる利点など多くの利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-163959号公報
【文献】特開2013-109141号公報
【文献】特開2001-242669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
板金は、その板厚方向に直交する方向の外力を受けた場合には変形しづらい反面、板厚方向への撓み剛性やねじれ剛性が低く、板厚方向の外力が付与されると変形しやすい性質がある。このため、特許文献1に記載の構成では、右側板151や左側板141に外力が付与された場合、曲げ部161a、171a、181aに曲げ部161a、171a、181aの板厚方向の力が作用し、曲げ角度が簡単に変化してしまう。
【0008】
このように曲げ部161a、171a、181aの曲げ角度が変化すると、枠体に支持された部材の相互の位置関係が崩れる。この場合、例えばレーザスキャナユニットと感光ドラムとの位置関係が崩れると、画像のひずみや色ずれが発生し、画像品質に悪影響を及ぼす。
【0009】
そこで本発明はこのような現状に鑑み、板金を組み合わせて形成された枠体の変形を抑制することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、第1貫通孔を有する第1板金と、前記第1板金と対向して配置される第2板金と、前記第1板金と前記第2板金の間に配置される第3板金と、前記第1板金と前記第3板金を固定する第1固定部材と、を備え、前記第1固定部材は、第1面と、前記第1面に対して交差する交差方向に延びる第2面と、を有し、前記第3板金は、前記第1板金と前記第2板金が対向する対向方向において、外方へ突出するように設けられ、前記第1貫通孔を貫通する第1凸部を備え、前記第1凸部が前記第1固定部材の前記第1面に固定され、前記第1板金は、前記第1固定部材の前記第2面に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置において、板金を組み合わせて形成された枠体の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図5】定着ステー、光学ステー、メインステーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
図1は、画像形成装置Aの斜視図である。
図2は、画像形成装置Aの断面概略図である。
図1、
図2に示す様に、画像形成装置Aは、シートにトナー像を転写して画像を形成する画像形成部99と、画像形成部99に向けてシートを供給する給送ユニット18と、シートにトナー像を定着させる定着装置21を備える。
【0015】
給送ユニット18は、シートSを積載収容するシートカセット19と、給送ローラ20を備える。給送ローラ20は、シートカセット19に積載収容されたシートSを給送する。
【0016】
画像形成部99は、プロセスカートリッジP(PY、PM、PC、PK)、中間転写ユニット11、レーザスキャナユニット90、一次転写ローラ16(16Y、16M、16C、16K)などを備える。プロセスカートリッジPは、感光ドラム10(10Y、10M、10C、10K)、帯電ローラ92(92Y、92M、92C、92K)、現像装置93(93Y、93M、93C、93K)を備える。
【0017】
中間転写ユニット11は、中間転写ベルト12、テンションローラ13、二次転写ローラ14、アシストローラ15、二次転写対向ローラ17を備える。中間転写ベルト12は、テンションローラ13、二次転写対向ローラ17、アシストローラ15に掛け回された可撓性を有する無端状のベルトであり、二次転写対向ローラ17の回転に従動して周回移動する。
【0018】
また画像形成装置Aの枠体26(
図3)は、外装カバー2に覆われている。また画像形成装置Aの正面側には、画像形成装置Aの装置本体に対して開閉可能な開閉カバー3が設けられている。
【0019】
次に、画像形成動作について説明する。まず不図示の制御部が画像形成ジョブ信号を受信すると、給送ローラ20、搬送ローラ95a、95bによってシートカセット19に積載収納されたシートSが、二次転写ローラ14と二次転写対向ローラ17から形成される二次転写部に搬送される。
【0020】
一方、画像形成部においては、まず帯電ローラ92により感光体としての感光ドラム10表面が一様に帯電させられる。その後、不図示の外部機器等から送信された画像データに応じて、露光部としてのレーザスキャナユニット90が各色の感光ドラム10表面にレーザ光を照射し、感光体としての感光ドラム10表面に静電潜像を形成する。
【0021】
その後、現像装置93により感光ドラム10表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させ、感光ドラム10表面にトナー像を形成する。感光ドラム10表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ16にバイアスが印加されることで、中間転写ベルト12にそれぞれ一次転写される。これにより中間転写ベルト12表面にフルカラーのトナー像が形成される。
【0022】
その後、中間転写ベルト12が周回移動することで、トナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ14にバイアスが印加されることで、中間転写ベルト12上のトナー像がシートSに転写される。
【0023】
次に、トナー像が転写されたシートSは、定着装置21において加熱、加圧処理が施され、これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、トナー像が定着されたシートSは、排出ローラ22によって排出部23に排出される。
【0024】
<画像形成装置の枠体>
次に、画像形成装置Aの枠体26の構成について説明する。
【0025】
図3は、画像形成装置Aの枠体26の斜視図であり、
図4は枠体26の断面概略図である。
図3、
図4に示す様に、枠体26は、左側板41、右側板51、定着ステー61、光学ステー71、メインステー81から主に構成されている。これらの部材は、ヤング率が21×10
3kgf/mm
2、ポアソン比が0.30、板厚が0.8mmの板金(金属板)をプレス加工等によりそれぞれ所望の形状に加工して製造されている。また、これらの部材の寸法は、
図4に示す通りである。
【0026】
第1板金としての左側板41と、第2板金としての右側板51は、互いに対向するとともに略平行に配置されている。左側板41には、貫通孔41a、41bが形成されている。右側板51には、貫通孔51a、51bが形成されている。
【0027】
また第4板金としての定着ステー61、第5板金としての光学ステー71、第3板金としてのメインステー81は、感光ドラム10の回転軸線方向において左側板41と右側板51の間に配置され、左側板41と右側板51に連結されている。第5板金としての光学ステー71は、露光部としてのレーザスキャナユニット90を支持する部材である。第3板金としてのメインステー81は、中間転写ユニット11や給送ユニット18を支持する部材である。第4板金としての定着ステー61は、定着装置21を支持する部材である。
【0028】
また第1板金としての左側板41には、固定部材であり第1固定部材でもあるLアングル31が固定されている。また第2板金としての右側板51には、第2固定部材としてのLアングル36(
図8)が固定されている。Lアングル31、36の構成や機能については後述する。
【0029】
図5は、定着ステー61、光学ステー71、メインステー81の斜視図である。
図5に示す様に、定着ステー61、第5板金としての光学ステー71、メインステー81は、左側板41、右側板51における貫通孔41a、41b、51a、51bが形成された面に対して略平行になるように曲げられた曲げ部61a、71a、81aを有する。
【0030】
定着ステー61の曲げ部61a、光学ステー71の曲げ部71a、メインステー81の曲げ部81aは、溶接部W(
図3など)において、第1板金としての左側板41、第2板金としての右側板51に対してスポット溶接される。これにより第4板金としての定着ステー61、第5板金としての光学ステー71、第3板金としてのメインステー81は、左側板41、右側板51に対して連結される。
【0031】
また第4板金としての定着ステー61は、鉛直方向に延びる面である直交面61bを有する。直交面61bの両端部は、曲げ部61aよりも外側へ突出している。
【0032】
また第3板金としてのメインステー81は、直交面61bと同一平面上に、鉛直方向に延びる面である直交面81bを有する。直交面81bの両端部は、曲げ部81aよりも外側へ突出している。
【0033】
図6は、Lアングル31の拡大斜視図である。
図6に示す様に、固定部材であり第1固定部材でもあるLアングル31は、左側板41の貫通孔41a、41bが形成された面に対して平行な面であり、左側板41に固定される第一固定部31aを有する。第一固定部31aは、左側板41における右側板51が配置された側の面と反対側の面に固定されている。また左側板41の貫通孔41a、41bが形成された面と交差する方向に延びる面である第二固定部31bを有する。第2面としての第二固定部31bは、第1面としての第一固定部31aから垂直に曲げられた面であり、左側板41における貫通孔41a、41bが形成された面に直交する方向に延びた面である。
【0034】
定着ステー61の直交面61bは、貫通孔41aから左側板41の外側へと進入し、固定部材であり第1固定部材でもあるLアングル31の第二固定部31bに固定される。ここで直交面61bは、第2面としての第二固定部31bと平行の面である。従って、第2面としての第二固定部31bと直交面61bは、左側板41の貫通孔41a、41bが形成された面に対する法線方向に延びる一体的な面を形成する。
【0035】
またメインステー81の直交面81bは、貫通孔41bから左側板41の外側へと突出し、固定部材であり第1固定部材でもあるLアングル31の第二固定部31bに固定される。ここで直交面81bは、第2面としての第二固定部31bと平行の面である。従って、直交面81bと第2面としての第二固定部31bは、左側板41の貫通孔41a、41bが形成された面に対する法線方向に延びる一体的な面を形成する。
【0036】
図8に示すLアングル36に関しても、同様の構成である。即ち、第2固定部材としてのLアングル36は、右側板51の貫通孔51a、51bが形成された面に対して平行な面であり、右側板51に固定される第3面としての第一固定部36aを有する。第一固定部36aは、右側板51における左側板41が配置された側の面と反対側の面に固定されている。また右側板51の貫通孔51a、51bが形成された面と交差する方向に延びる第4面としての第二固定部36bを有する。第4面としての第二固定部36bは、第3面としての第一固定部36aから垂直に曲げられた面であり、右側板51における貫通孔51a、51bが形成された面に直交する方向に延びた面である。
【0037】
定着ステー61の直交面61bは、貫通孔51aから右側板51の外側へと突出し、第2固定部材としてのLアングル36の第二固定部36bに固定される。ここで直交面61bは、第4面としての第二固定部36bと平行の面である。従って、直交面61bと第二固定部36bは、右側板51の貫通孔51a、51bが形成された面に対する法線方向に延びる一体的な面を形成する。
【0038】
またメインステー81の直交面81bは、貫通孔51bから右側板51の外側へと突出し、第2固定部材としてのLアングル36の第二固定部36bに固定される。ここで直交面81bは、第4面としての第二固定部36bと平行の面である。従って、直交面81bと第二固定部36bは、右側板51の貫通孔51a、51bが形成された面に対する法線方向に延びる一体的な面を形成する。
【0039】
<枠体への外力の影響>
次に、枠体26に外力が付与された時の影響について説明する。
【0040】
図7は、Lアングル31の第二固定部31b付近で切断した枠体26の断面概略図である。
図7に示す様に、右側板51の上端部の荷重点K1に対して、右側板51の板厚方向(矢印Y方向)の外力F1が付与される場合を想定する。
【0041】
この場合、曲げ部61a、71a、81aに、曲げ部61a、71a、81aの板厚方向の外力F1が作用し、これらが変形して曲げ角度が変化する。これにより定着ステー61、光学ステー71、メインステー81の左側板41、右側板51に対する相対位置が変化し、また右側板51における荷重点K1が矢印Y方向に移動する。このように相対位置が変化すると、露光部としてのレーザスキャナユニット90と、感光体としての感光ドラム10との位置関係が崩れ、画像不良に繋がる。
【0042】
これに対して本実施形態では、上述したように、Lアングル31、36を設け、定着ステー61の直交面61b、メインステー81の直交面81bを、Lアングル31、36の第二固定部31b、第二固定部36bに固定している。このため、外力F1が付与された際に、第二固定部31b、第二固定部36b、直交面61b、直交面81bが一体の面を成し、これらの板厚方向に直交する方向の外力F1を受け、外力F1に抗する。
【0043】
上述した通り、板金は板厚方向に変形しやすく、板厚方向に直交する方向に変形しづらい性質を持つ。従って、第二固定部31b、36b、直交面61b、81bがこれらの板厚方向に直交する方向の外力F1に抗することで、曲げ部61a、71a、81aの変形を抑制することができる。このため、定着ステー61、光学ステー71、メインステー81の左側板41、右側板51に対する相対位置変化を小さくすることができる。よって、レーザスキャナユニット90と感光ドラム10との位置関係が崩れることを抑制し、画像不良を抑制することができる。
【0044】
図8は、枠体26の斜視図である。
図9は、枠体26の断面概略図である。
図8、
図9に示す様に、右側板51の下端部の荷重点K2に対して、鉛直方向(矢印Z方向)の外力F2が付与される場合を想定する。
【0045】
この場合、定着ステー61、光学ステー71、メインステー81に、曲げ部61a、71a、81aの板厚方向の外力F2が作用し、これらの部材がねじれ変形し、右側板51が上方に移動する。これにより定着ステー61、光学ステー71、メインステー81、右側板51の左側板41に対する相対位置が変化する。このように相対位置が変化すると、露光部としてのレーザスキャナユニット90と感光体としての感光ドラム10との位置関係が崩れ、画像不良に繋がる。
【0046】
これに対して本実施形態では、定着ステー61の直交面61b、メインステー81の直交面81bを、Lアングル31、36の第二固定部31b、36bが一体の面を成し、これらの板厚方向に直交する方向で外力F2を受け、外力F2に抗する。従って、定着ステー61、光学ステー71、メインステー81のねじれ変形や右側板51の上方への移動を抑制することができる。従って、レーザスキャナユニット90と感光ドラム10との位置関係が崩れることを抑制し、画像不良を抑制することができる。
【0047】
<FEMによる解析結果>
次に、本実施形態の構成と、比較例の構成において、FEM(有限要素法)を利用して、外力F1、F2を付与した時の荷重点K1の矢印Y方向への移動量d1(
図7)と、荷重点K2の矢印Z方向への移動量d2(
図8)を解析した結果について説明する。
【0048】
図16は、比較例に係る枠体126の斜視図である。
図16に示す様に、比較例に係る枠体126は、本実施形態の構成と異なり、Lアングル31、36を有さず、定着ステー161やメインステー181は溶接のみによって左側板141、右側板151に連結されている。その他の構成や、板金の種類、板厚、寸法は、本実施形態の構成と同様である。
【0049】
また本解析において、枠体26が設置面に接地する接地点P1~P4(
図8)の拘束条件は、次の通りである。即ち、P1:矢印Z方向を拘束、P2:d1測定時は矢印Z方向を拘束、d2測定時は拘束なし、P3:矢印Y、Z方向を拘束、P4:矢印X、Y、Z方向を拘束である。
【0050】
FEMによる解析の結果、比較例の構成では、F1=1kgf、F2=1kgf、枠体26の総重量が2170gの場合、d1=0.45mm、d2=10.7mmであった。これに対して本実施形態の構成では、F1=1kgf、F2=1kgfの場合、d1=0.21mm、d2=7.2mmであった。
【0051】
また本実施形態の構成において、F1=1kgf、F2=1kgf、枠体26を構成する各板金の板厚を0.8mmから0.7mmに変更した場合、枠体26の総重量は1919g(7.85g/cm3)、d1=0.30mm、d2=10.3mmであった。
【0052】
このようにFEMによる解析結果からも、本実施形態の構成により、枠体26の変形が抑制されることが確認された。また枠体26を構成する板金の板厚を、比較例のものよりも薄くしたにもかかわらず、比較例の構成よりも変形を抑制できることが確認された。
【0053】
なお、本実施形態の構成において、定着ステー61の直交面61bとLアングル31の第二固定部31bを、左側板41を介して固定する構成としても、枠体26の変形を抑制することができる。同様に、定着ステー61の直交面61bとLアングル36の第二固定部36bを、右側板51を介して固定する構成としての、枠体26の変形を抑制することができる。
【0054】
図10は、その構成を示した枠体26の斜視図である。
図11は、
図10に示すJ-J断面で枠体26をXY平面で切断した断面図である。
図10、
図11に示す様に、定着ステー61の直交面61bの両端部には、左側板41、右側板51におけるLアングル31の第一固定部31a、Lアングル36の第一固定部36aが固定された面と略平行の方向に曲げられた曲げ部61b1が設けられている。またメインステー81の直交面81bの両端部には、左側板41、右側板51にLアングル31のおける第一固定部31a、Lアングル36の第一固定部36aが固定された面と略平行の方向に曲げられた曲げ部81b1が設けられている。
【0055】
曲げ部61b1と曲げ部81b1は、その曲げ部分の根元付近において、左側板41、右側板51に対して溶接されている。Lアングル31の第1面としての第一固定部31aは、第二固定部31bとの境界付近、つまりLアングル31の曲げ部分の根元付近において、左側板41に対して溶接されている。Lアングル36の第3面としての第一固定部36aは、第二固定部36bとの境界付近、つまりLアングル36の曲げ部分の根元付近において、右側板51に対して溶接されている。
【0056】
このような構成により、第二固定部31b、36b、直交面61b、直交面81bが、直接的に連結された状態に近くなる。従って、上述した構成と同様に、外力F1、F2(
図7、
図8)が付与された際に、第二固定部31b、36b、直交面61b、81bが、これらの板厚方向と直交する方向の外力F1、F2を受け、外力F1、F2に抗する。従って、枠体26の変形を抑制することができる。
【0057】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図12は、本実施形態に係る枠体26の斜視図である。
図12に示す様に、本実施形態に係る枠体26は、第1実施形態の構成に対して、固定部材であり第1固定部材でもあるLアングル31を左側板41の内側の面に固定し、第2固定部材としてのLアングル36を右側板51の内側の面に固定する構成である。その他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0059】
このような構成により、Lアングル31、36における第4板金としての定着ステー61と第3板金としてのメインステー81に対する固定部である第二固定部31b、36bは、左側板41と右側板51の内側に位置する。従って、左側板41や右側板51の外側に他の部材がある場合に、他の部材とLアングル31、36が干渉しないため、他の部材の配置の自由度を向上させることができる。
【0060】
また本実施形態の構成は、第1実施形態の構成と、Lアングル31、36における左側板41、右側板51の板圧方向の位置が異なるだけで、枠体26に対して作用する外力F1、F2(
図7、
図8)に抗するメカニズムは同様である。従って、本実施形態の構成によれば、枠体26の変形を抑制することができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。上記第1実施形態、第2実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0062】
図13は、本実施形態に係る枠体26の斜視図である。
図13に示す様に、本実施形態に係る枠体26は、固定部材であり第1固定部材でもあるLアングル31の第二固定部31bが、第1板金としての左側板41の貫通孔41a、41bを通って左側板41の内側に進入している。そして第二固定部31bは、左側板41の内側の位置において、第4板金としての定着ステー61の直交面61b、第3板金としてのメインステー81の直交面81bと固定されている。
【0063】
同様に、第1固定部材としてのLアングル36の第二固定部36bは、第2板金としての右側板51の貫通孔51a、51bを通って右側板51の内側に進入している。そして右側板51の内側の位置において定着ステー61の直交面61b、メインステー81の直交面81bに対して固定されている。その他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0064】
このような構成であっても、第1実施形態の構成の枠体26に対して作用する外力F1、F2(
図7、
図8)に抗するメカニズムと同様のメカニズムにより、枠体26の変形を抑制することができる。
【0065】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る画像形成装置の構成について説明する。上記第1~第3実施形態と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
図14、
図15は、本実施形態に係る枠体26をそれぞれ別の角度から見た斜視図である。
図14、
図15に示す様に、本実施形態の枠体26は、左側板41と右側板51にLアングル31、36を設けない代わりに、曲げ部41c、51cを形成する構成である。その他の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0067】
第1板金としての左側板41には、貫通孔41xが形成されている。曲げ部41cは、左側板41において、貫通孔41xと隣接し、右側板51から離れる方向に曲げ起こされた部分である。
【0068】
第2板金としての右側板51には、貫通孔51xが形成されている。曲げ部51cは、右側板51において、貫通孔51xと隣接し、右側板51から離れる方向に曲げ起こされた部分である。
【0069】
第4板金としての定着ステー61の直交面61bは、貫通孔41xから左側板41の外側へと進入し、曲げ部41cに溶接によって固定される。第3板金としてのメインステー81の直交面81bは、貫通孔41xから左側板41の外側へと進入し、曲げ部41cに溶接によって固定される。
【0070】
定着ステー61の直交面61bは、貫通孔51xから右側板51の外側へと進入し、曲げ部51cに溶接によって固定される。メインステー81の直交面81bは、貫通孔51xから右側板51の外側へと進入し、曲げ部51cに溶接によって固定される。
【0071】
このような構成により、外力F1、F2(
図7、
図8)が付与された際に、曲げ部41c、51c、直交面61b、直交面81bが一体の面を成し、これらの板厚方向と直交する方向の外力F1、F2を受け、外力F1、F2に抗する。従って、枠体26の変形を抑制することができる。
【0072】
なお、上記第1~第3実施形態では、左側板41、右側板51にそれぞれLアングル31、36を設ける構成について説明したものの、少なくても一方にLアングルを設ければ、枠体26の変形を抑制する効果を得ることができる。同様に、上記第4実施形態では、左側板41、右側板51にそれぞれ曲げ部41c、51cを設ける構成について説明したものの、少なくても一方に曲げ部を設ければ、枠体26の変形を抑制する効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0073】
10…感光ドラム(感光体)
26…枠体
31…Lアングル(固定部材、第1固定部材)
31a…第一固定部(第1面)
31b…第二固定部(第2面)
36…Lアングル(第2固定部材)
36a…第一固定部(第3面)
36b…第二固定部(第4面)
41…左側板(第1板金)
41a…貫通孔
41b…貫通孔
41c…曲げ部
41x…貫通孔
51…右側板(第2板金)
51a…貫通孔
51b…貫通孔
51c…曲げ部
51x…貫通孔
61…定着ステー(第4板金)
71…光学ステー(第5板金)
81…メインステー(第3板金)
A…画像形成装置