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特許7191665画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/525 20060101AFI20221212BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20221212BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B41J2/525
B41J2/21
B41J2/01 401
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2018229551
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2020090061
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武末 直也
(72)【発明者】
【氏名】石川 尚
(72)【発明者】
【氏名】山田 顕季
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-313634(JP,A)
【文献】特表2004-503186(JP,A)
【文献】特開2014-000739(JP,A)
【文献】特開2014-113819(JP,A)
【文献】特開2016-127479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/525
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の色材それぞれに対応する画像に基づいて、前記複数種類の色材それぞれについてのドットの配置を決定するための画像処理装置であって、
前記画像の所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が既に決定された色材に対応するドットの配置情報を取得する取得手段と、
前記所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が決定されていない所定の色材に対する目標値を前記画像に基づいて導出する目標値導出手段と、
前記配置情報に基づいて、前記所定領域に含まれる各画素の評価値を導出する評価値導出手段と、
前記目標値と前記評価値とに基づいて、前記所定領域における前記所定の色材のドットの配置を決定するドット配置決定手段と、
を有し、
前記評価値は、前記所定領域に含まれる複数の画素のそれぞれについて、前記所定の色材のドットを配置する優先度を示す値であり、
前記評価値導出手段は、前記所定領域において、既に配置されたドットの数が少ない画素であるほど前記優先度が高くなるように、前記評価値を設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記評価値導出手段は、前記所定領域に含まれる各画素について予め定められた基準値と前記配置情報とに基づいて、前記所定領域に含まれる各画素の評価値を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
複数種類の色材それぞれに対応する画像に基づいて、前記複数種類の色材それぞれについてのドットの配置を決定するための画像処理装置であって、
前記画像の所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が既に決定された色材に対応するドットの配置情報を取得する取得手段と、
前記所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が決定されていない所定の色材に対する目標値を前記画像に基づいて導出する目標値導出手段と、
前記配置情報に基づいて、前記所定領域に含まれる各画素の評価値を導出する評価値導出手段と、
前記目標値と前記評価値とに基づいて、前記所定領域における前記所定の色材のドットの配置を決定するドット配置決定手段と、
を有し、
前記評価値は、前記所定領域に含まれる複数の画素のそれぞれについて、前記所定の色材のドットを配置する優先度を示す値であり、
前記評価値導出手段は、前記所定領域に含まれる各画素について、前記所定の色材のドットの配置を抑制する程度を示す排他値を、前記配置情報に基づいて導出し、
前記所定領域において、前記排他値が大きいほど前記優先度が低くなるように、前記評価値を導出することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記排他値は、前記所定領域に含まれる複数の画素のそれぞれについて、既に配置されたドットの数と重み係数を色材ごとに乗算し、前記乗算して得られた値を、前記ドットの配置が既に決定された色材について加算することにより導出されることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
記録媒体に形成されるドットの光学濃度が高い色材ほど、前記重み係数の値は大きいことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
記録媒体に形成されるドットの彩度が高い色材ほど、前記重み係数の値は大きいことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記評価値導出手段は、前記所定領域に含まれる各画素の階調値と、前記所定領域に含まれる各画素について予め定められた基準値と、前記排他値とに基づいて、前記所定領域に含まれる各画素について前記評価値を導出することを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記評価値導出手段は、前記階調値が大きい画素ほど前記評価値が大きくなるように前記評価値を導出することを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記基準値は、前記所定領域に含まれる各画素について、前記所定の色材のドットを配置する優先度の基準を示す値であり、前記評価値導出手段は、前記基準値が大きい画素ほど前記評価値が大きくなるように前記評価値を導出することを特徴とする請求項7または8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記評価値導出手段は、前記階調値から前記基準値および前記排他値を減算することによって前記評価値を導出することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記評価値導出手段は、前記階調値を正規化した値から、前記基準値を前記階調値と同じレンジで正規化した値と、前記排他値を前記階調値と同じレンジで正規化した値を、減算することによって前記評価値を導出することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記所定の色材は、前記複数種類の色材の中から光学濃度が高い順に設定されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記所定領域は、前記画像を分割して得られる複数の単位領域の中から順番に設定され、
前記複数種類の色材の中から前記所定の色材が設定される順番は、前記複数の単位領域ごとに変更されることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記目標値導出手段は、前記所定領域に含まれる各画素の階調値の平均値を、閾値マトリクスの前記所定領域に対応する各画素の閾値と比較することにより前記目標値を導出することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記評価値導出手段は、前記閾値マトリクスに基づいて前記評価値を導出することを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記目標値は、前記所定領域に配置するべき前記所定の色材のドット数であることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記目標値は、前記所定領域に対応する記録媒体上の領域に付与するべき前記所定の色材の量に相応し、前記ドット配置決定手段は、前記所定領域の中からドットを配置する画素とドットのサイズを決定することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記複数種類の色材は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローを含むことを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記ドット配置決定手段が決定した前記所定の色材のドットの配置に基づいて、記録媒体にドットを記録する記録手段を更に有することを特徴とする請求項1から18のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項20】
複数種類の色材それぞれに対応する画像に基づいて、前記複数種類の色材それぞれについてのドットの配置を決定するための画像処理方法であって、
前記画像の所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が既に決定された色材に対応するドットの配置情報を取得する取得工程と、
前記所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が決定されていない所定の色材に対する目標値を前記画像に基づいて導出する目標値導出工程と、
前記配置情報に基づいて、前記所定領域に含まれる各画素の評価値を導出する評価値導出工程と、
前記目標値と前記評価値とに基づいて、前記所定領域における前記所定の色材のドットの配置を決定するドット配置決定工程と、
を有し、
前記評価値は、前記所定領域に含まれる複数の画素のそれぞれについて、前記所定の色材のドットを配置する優先度を示す値であり、
前記評価値導出工程は、前記所定領域において、既に配置されたドットの数が少ない画素であるほど前記優先度が高くなるように、前記評価値を設定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項21】
複数種類の色材それぞれに対応する画像に基づいて、前記複数種類の色材それぞれについてのドットの配置を決定するための画像処理方法であって、
前記画像の所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が既に決定された色材に対応するドットの配置情報を取得する取得工程と、
前記所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が決定されていない所定の色材に対する目標値を前記画像に基づいて導出する目標値導出工程と、
前記配置情報に基づいて、前記所定領域に含まれる各画素の評価値を導出する評価値導出工程と、
前記目標値と前記評価値とに基づいて、前記所定領域における前記所定の色材のドットの配置を決定するドット配置決定工程と、
を有し、
前記評価値は、前記所定領域に含まれる複数の画素のそれぞれについて、前記所定の色材のドットを配置する優先度を示す値であり、
前記評価値導出工程は、前記所定領域に含まれる各画素について、前記所定の色材のドットの配置を抑制する程度を示す排他値を、前記配置情報に基づいて導出し、
前記所定領域において、前記排他値が大きいほど前記優先度が低くなるように、前記評価値を導出することを特徴とする画像処理方法。
【請求項22】
請求項1から19のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成するための量子化データを生成する画像処理装置、画像処理方法、プログラムおよび記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
擬似階調法を用いて画像を記録する際の量子化方法として、ディザ法が知られている。ディザ法とは、個々の画素に対応づけられた閾値が配列されて成るディザマトリクスを用い、これら閾値と画像データが示す画素値とを比較して、ドットの記録または非記録を画素ごとに決定する方法である。
【0003】
特許文献1には、記録装置で用いる複数種類の色材に対応する画像データの間で、1つのディザマトリクスを、補正をかけながら共通に利用するディザ法が開示されている。具体的には、先行して処理する色の画像データについては、ディザマトリクスに記憶されている閾値をそのまま用いて量子化処理を行う。そして、後続して処理する色の画像データについては、ディザマトリクスに記憶されている閾値を、先行して処理した色の画像データに基づいて補正し、補正後の閾値を用いて量子化処理を行う。
【0004】
また、特許文献2には、ディザ法を採用しながらも、同じ画素に重複して記録するドットの数や大きさに上限を設け、上限を超えた画素についてはその差分に基づいて、周囲の画素の画素値を変更する量子化方法が開示されている。
【0005】
特許文献1、2によれば、異なる色のドットが記録媒体上の同じ位置に重複して記録される頻度を抑え、ドットの重なりに伴う発色不良を緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6867884号明細書
【文献】特開2014-739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら特許文献1では、先行して処理を行う色の画像データに特徴的なパターンが含まれていると、その画像データと閾値マトリクスとの干渉が、後続して処理を行う色のドット配置に影響し、画像全体の粒状感を悪化させてしまう場合がある。
【0008】
また、特許文献2においては、異なる色のドットが同じ画素に重複して配置される頻度は抑えられるものの、当該画素で発生した差分が周囲の画素に分配されるため、周囲の画素にドットが配置される確率が高くなり、結果として粒状感が損なわれる場合がある。
【0009】
すなわち、特許文献1や2においては、ドットの重なりに伴う発色不良は緩和できるものの、テクスチャや粒状感が抑えられた画像を安定して出力することは困難な状況であった。
【0010】
本発明は上記問題点を解消するためになされたものである。よってその目的とするところは、複数種類の色材を用いて画像を記録する場合において、ドットの重なりに伴う発色不良を緩和しつつ、粒状感が抑えられた画像を出力可能な量子化処理を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために本発明は、複数種類の色材それぞれに対応する画像に基づいて、前記複数種類の色材それぞれについてのドットの配置を決定するための画像処理装置であって、前記画像の所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が既に決定された色材に対応するドットの配置情報を取得する取得手段と、前記所定領域について、前記複数種類の色材のうちドットの配置が決定されていない所定の色材に対する目標値を前記画像に基づいて導出する目標値導出手段と、前記配置情報に基づいて、前記所定領域に含まれる各画素の評価値を導出する評価値導出手段と、前記目標値と前記評価値とに基づいて、前記所定領域における前記所定の色材のドットの配置を決定するドット配置決定手段と、を有し、前記評価値は、前記所定領域に含まれる複数の画素のそれぞれについて、前記所定の色材のドットを配置する優先度を示す値であり、前記評価値導出手段は、前記所定領域において、既に配置されたドットの数が少ない画素であるほど前記優先度が高くなるように、前記評価値を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数種類の色材を用いて画像を記録する場合において、ドットの重なりに伴う発色不良を緩和しつつ、粒状感が抑えられた画像を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】記録装置および記録ヘッドの概略図である。
図2】制御の構成を説明するためのブロック図である。
図3】画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。
図4】第1の実施形態におけるソフトウェア構成を説明するためのブロック図である。
図5】第1の実施形態の量子化処理の工程を説明するためのフローチャートである。
図6】処理対象領域の設定方法を説明するための概念図である。
図7】第1の実施形態の量子化処理の様子を示す図である。
図8】第2の実施形態の量子化処理の様子を示す図である。
図9】第3の実施形態におけるソフトウェア構成を説明するためのブロック図である。
図10】第3の実施形態の量子化処理の工程を説明するためのフローチャートである。
図11】第1色についての量子化処理の様子を示す図である。
図12】第2色についての量子化処理の様子を示す図である。
図13】第3色についての量子化処理の様子を示す図である。
図14】第4色についての量子化処理の様子を示す図である。
図15】第3の実施形態の効果を説明するための比較図である。
図16】第3の実施形態の効果を説明するための比較図である。
図17】本発明の効果を説明するための比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例にすぎず、本発明は図示された構成に必ずしも限定されるものではない。
【0015】
(第1の実施形態)
図1(a)および(b)は、本実施形態で使用する記録装置100及び記録ヘッド102の概略図である。本実施形態で使用する記録装置100は、シリアル型のインクジェット記録装置とする。図において、x方向は記録ヘッドの主走査方向、y方向は記録媒体Sの搬送方向、z方向はインクの吐出方向をそれぞれ示す。
【0016】
図1(b)に示すように、記録ヘッド102には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)のインクを夫々吐出するノズル列が、x方向に並列配置されている。また、夫々のノズル列には、記録データに従ってインクをz方向に吐出するノズル101が、y方向に複数配列されている。
【0017】
図1(a)に示すように、記録ヘッド102はキャリッジ103に装着され、キャリッジ103はキャリッジ軸107に沿って±x方向に移動可能である。キャリッジ103が±x方向に移動する間に、記録ヘッド102が記録データに従って吐出口101からインクを吐出することにより、記録媒体Sに1バンド分の画像が記録される。記録ヘッド102の吐出口面と対向する位置には、平板からなるプラテン105が配されている。プラテン105は、記録ヘッド102によって記録される領域の記録媒体Sを背面から支持し、記録ヘッド102の吐出口面と記録媒体Sとの距離を一定に保っている。
【0018】
記録ヘッド102による1バンド分の記録走査が完了すると、記録媒体Sを挟持する2組の搬送ローラ104が回転し、上記1バンド分に相当する距離だけ記録媒体を+y方向に搬送する。以上のような記録ヘッド102による1バンド分の記録走査と、搬送ローラ104による記録媒体Sの搬送動作とを交互に繰り返すことにより、記録媒体Sには段階的に画像が形成されていく。
【0019】
図2は、本実施形態における制御の構成を説明するためのブロック図である。画像処理装置200はホストPCなどからなり、CPU201は、不揮発性の記憶部であるHDD203に保持されるプログラムに従って揮発性の記憶部であるRAM202をワークエリアとしながら各種処理を実行する。例えばCPU201は、キーボード・マウスI/F 205を介してユーザより受信したコマンドやHDD303に保持されるプログラムに従って、記録装置100が記録可能な記録データを生成し、これを記録装置100に出力する。また、データ転送I/F 204を介して記録装置100から受信した情報をディスプレイI/F 206を介して不図示のディスプレイに表示する。
【0020】
一方、記録装置100において、CPU211は、不揮発性の記憶部であるROM213に保持されるプログラムに従って揮発性の記憶部であるRAM212をワークエリアとしながら各種処理を実行する。更に、記録装置100は、高速な画像処理を行うための画像処理アクセラレータ216、記録ヘッド102を制御するためのヘッドコントローラ215を備えている。
【0021】
画像処理アクセラレータ216は、CPU211よりも高速に画像処理を実行可能なハードウェアである。画像処理アクセラレータ216は、CPU211が画像処理に必要なパラメータとデータをRAM212の所定のアドレスに書き込むことにより起動され、上記パラメータとデータを読み込んだ後、上記データに対し所定の画像処理を実行する。但し、画像処理アクセラレータ216は必須な要素ではなく、同等の処理はCPU211で実行してもよい。
【0022】
ヘッドコントローラ215は、記録ヘッド102に記録データを供給するとともに、記録ヘッド102の記録動作を制御する。ヘッドコントローラ215は、CPU211が、記録ヘッド102が記録可能な記録データと制御パラメータをRAM212の所定のアドレスに書き込むことにより起動され、当該記録データに従って吐出動作を実行する。
【0023】
キャリッジコントローラ217は、CPU211の指示に従ってキャリッジ103の±x方向への移動を制御する。また、搬送コントローラ218は、CPU211の指示に従って搬送ローラ104の回転即ち記録媒体Sの搬送を制御する。
【0024】
画像処理装置200のデータ転送I/F 204および記録装置100のデータ転送I/F 214における接続方式としては、USB、IEEE1394、LAN等を用いることができる。
【0025】
図3は、印刷コマンドが発生した際に画像処理装置200のCPU201が実行する画像処理の工程を説明するためのフローチャートである。本処理は、CPU201が、HDD203に記憶されたプログラムに従ってRAM202をワークエリアとして利用しながら実行する。
【0026】
本処理が開始されると、CPU201は、まず、アプリケーションプログラムなどで作成された画像データを取得しRAM202に展開する。本実施形態では個々の画素についてレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)それぞれの輝度を示す8bit(256階調)の画素値を有する画像データが取得されるものとする。以下、このように例えばR、G、Bのような複数の成分の画素値を有する画素によって構成される画像データを、その成分を用いてRGBデータのように表記する。
【0027】
S301において、CPU201はRAM202に展開した画像データに対し、色補正処理を実行する。色補正処理とは、sRGB等の規格化された色空間を表現する画像データを、記録装置100が記録可能な色空間に対応づけた画像データに変換するための処理である。具体的には、CPU201は、予め記憶されたRGBの3次元ルックアップテーブルを参照し、8bit(256階調)の画素値を有するRGBデータを、8bit(256階調)の画素値を有するR´G´B´データに変換する。
【0028】
S302において、CPU201はS301で生成したR´G´B´データに対し、色変換処理を実行する。色変換処理とは、輝度情報を示すR´G´B´データを、記録装置100が使用するインク色に対応した、K、C、M、及びYのそれぞれの濃度情報を示すデータに変換するための処理である。具体的には、CPU201は、予め記録された3次元ルックアップテーブルを参照し、各画素の8bit(256階調)のR´G´B´データを、8bit(256階調)のKCMYごとのデータに変換する。色変換処理された各インク色に対応したデータをまとめてKCMYデータと呼ぶ。
【0029】
S303において、CPU201はS302で生成したKCMYデータに対し、量子化処理を行う。量子化処理については後に詳しく説明するが、この量子化処理によって、8bit(256階調)のKCMYデータは、1bitのK´C´M´Y´データに変換される。本実施形態において、K´C´M´Y´データは、KCMYの各インク色について、ドットの記録(1)又は非記録(0)を画素ごとに指定する2値データとする。
【0030】
S304において、CPU201はS303で生成したK´C´M´Y´データを記録データとして記録装置100に出力する。以上で本処理が終了する。
【0031】
記録データを受信した記録装置100のCPU211は、記録データをRAM212に展開する。そして、ヘッドコントローラ215、キャリッジコントローラ217及び搬送コントローラ218を制御しながら、RAM212に展開した記録データに従って、記録媒体に画像を記録する。
【0032】
図4は、本実施形態の量子化処理における機能構成を説明するためのブロック図である。以下、簡単に各ブロックの役割を説明する。S302のインク色分解処理で生成されたKCMYデータは、インク色ごとに領域選択部401に入力される。以下、KCMYデータを構成するインク色ごとのデータを、本明細書では階調データと称する。各階調データは、同じ画素数であり、縦方向の画素数および横方向の画素数も同じである。図4において、第1色はブラック(K)、第2色はシアン(C)、第3色はマゼンタ(M)、第4色はイエロー(Y)とする。
【0033】
領域選択部401は、複数の画素で構成される階調データを複数の単位領域に分割し、その中から1つの単位領域を処理対象領域として設定する。このとき領域選択部401は、各色の階調データについて、同じ位置の複数の単位領域により分割する。そして、設定した処理対象領域に対応する各色の階調データをインク色選択部402に提供する。
【0034】
インク色選択部402は、メモリに保存されている量子化順情報408を参照し、第1色~第4色の中から処理対象色を選択し、選択したインク色の処理対象領域に対応する階調データを、目標ドット数設定部403に提供する。量子化順情報408は、量子化処理を実行する色順を示す情報である。
【0035】
目標ドット数設定部403は、メモリに保存されている閾値マトリクス411を参照し、インク色選択部402から提供された階調データに基づいて、処理対象領域に配置するべき目標ドット数Dを色ごとに設定する。目標ドット数とは、処理対象領域においてドットを配置すべき数である。ここでは量子化処理により、各画素をドットの記録(1)又は非記録(0)を画素ごとに指定する2値に変換する。すなわち目標ドット数とは、処理対象領域に含まれる画素のうち、量子化により記録を示す値(ここでは、1)にすべき画素の数とも言い換えることができる。そして、設定した目標ドット数Dを、処理対象領域に対応する階調データと共に基準値取得部404に提供する。
【0036】
基準値取得部404は、メモリに保存されている基準値情報409を参照し、処理対象色の処理対象領域に対応する基準値Rを取得する。本実施形態において、基準値情報409とは、処理対象領域701における夫々の画素に対しドットを配置する優先順位を、基準値として暫定的に示す情報である。
【0037】
評価値設定部405は、メモリに保存されている排他値情報410を参照し、排他値情報と基準値取得部404が取得した基準値Rとに基づいて、処理対象色の処理対象領域に含まれる画素のそれぞれに対し評価値Evを設定する。ここで排他値とは、ドットが重ならないよう制御するために用いられるドットの配置に関する情報である。詳細な算出方法は後述するが、ここでは排他値が大きい画素ほど、ドットを配置しない方がよいことを意味する。処理対象領域に含まれる各画素の排他値を含む排他値情報として、本実施形態では累積ドット数情報410を用いる。評価値Evは、ドットを配置する最終的な優先順位を示す値である。
【0038】
ドット配置部406は、評価値設定部405が設定した評価値Evと、目標ドット数決定部が決定した目標ドット数Dに基づいて、処理対象領域に含まれる個々の画素についてドットを配置する。また、ドット配置部406は、配置した結果に基づいて累積ドット数情報410を更新する。
【0039】
量子化データ作成部407は、ドット配置部406が生成したドット配置データに基づいて、記録装置100が記録可能な量子化データを生成し、記録データとして記録装置100に出力する。ここで言う各色の量子化データは、図3のフローチャートで説明したK´C´M´Y´データに相当する。
【0040】
なお、図4において、メモリは、図2で説明した画像処理装置200における不揮発性のHDD203と揮発性のRAM202を統合して示したものである。また、以上説明した各ブロックは、実質的には図2に示したCPU201が実行するソフトウェア上の機能単位である。
【0041】
図5は、CPU201が、S303の量子化処理において、図4に示す各ブロックを用いながら実行する処理工程を説明するためのフローチャートである。また、図6および図7(a)~(k)は、本実施形態の量子化処理の様子、および個々の画素が有する画素値が変換される様子を具体的に説明するための図である。以下、図6図7(a)~(k)を参照しながら、図5に示すフローチャートに従って、本実施形態で実行する量子化処理を詳細に説明する。
【0042】
本処理が開始されると、まずS500において領域選択部401は、印刷対象となる画像領域の中から1つの単位領域を処理対象領域として設定する。
【0043】
図6は、処理対象領域の設定方法を説明するための概念図である。領域選択部401は、印刷対象となる画像領域600を、同型の複数の単位領域601に分割し、その中から1つの単位領域を処理対象領域として設定する。本実施形態では印刷対象となる画像領域を4画素×4画素の単位で区画し、それぞれの4画素×4画素領域を単位領域601として扱う。そして、これら複数の単位領域601を順番に処理対象領域701に設定して所定の量子化処理を行う。図6では、斜線で示した単位領域が処理対象領域701として設定された様子を示している。処理対象領域を設定する順番は特に限定されるものではないが、本実施形態では図の左上から+x方向に順番に設定し、最端部の処理が修了すると+y方向に隣接する段に移る順番とする。
【0044】
図5のフローチャートに戻る。S500で処理対象領域が設定されると、インク色選択部402は、S501において、ブラック(第1色)、シアン(第2色)、マゼンタ(第3色)、イエロー(第4色)の中から処理対象色を設定する。処理対象色に設定する色順序は、量子化順情報408としてHDD203のメモリに予め格納されており、インク色選択部402は、本工程が行われる度に新たな色を量子化順情報408が示す色順序に従って設定する。
【0045】
S502において、インク色選択部402は、処理対象領域の処理対象色の階調データをメモリに展開する。図7(a)は、S502で展開される階調データの一例を示す。処理対象領域701に含まれる4×4の画素のそれぞれに0~255の階調値Iが対応づけられている。
【0046】
S503において、目標ドット数設定部403は、処理対象領域に配置すべき処理対象色の目標ドット数を設定する。本実施形態では、目標ドット数設定部403は、予めメモリに記憶されている閾値マトリクス411を参照することによって、目標ドット数Dを設定する。
【0047】
図7(b)は、S503で参照される閾値マトリクス411の一例を示す。閾値マトリクス411は、0から254の何れかの閾値Thが画素位置に対応づけて記憶されている。図7(b)では、8画素×8画素の画素領域のみを示しているが、実際には更に広い画素領域に対し画素位置と閾値Thが対応づけて記憶されている。
【0048】
目標ドット数設定部403は、まず、処理対象領域の処理対象色の階調データに基づいて、処理対象領域における階調値Iの平均値Aveを算出する。次に目標ドット数設定部403は、このような閾値マトリクス411の中から処理対象領域に対応する4×4(16個)の閾値Thマトリクス(太線で囲った領域)を読み出し、各画素に対応する閾値Thを、図7(a)に示す階調値Iの平均値Aveと比較する。そして、16画素のうち、平均値Aveが閾値よりも大きくなる画素の数をカウントし、そのカウント値を処理対象領域701の処理対象色の目標ドット数Dとして設定する。
【0049】
すなわち、処理対象領域の階調データが図7(a)の場合、階調値Iの平均値は、Ave=1756/16=109.75と算出される。そして、図7(b)の太線に含まれる16個の画素のうち、閾値ThがAve>Thとなる画素の数は7個である。よってこの場合、処理対象領域701の目標ドット数Dは、D=7となる。
【0050】
なお、本実施形態の閾値マトリクス411は、ドットの分散性を重視したブルーノイズ特性を有するものとする。すなわち、閾値マトリクス411に含まれる0~254の閾値の小さい順にドットを配置して行ったとき、ドットの数によらず分散性に優れたドット配置が安定して得られることとなる。その上で、閾値マトリクス411は、16画素×16画素や256画素×256画素など所定の領域内において、同値の閾値Thが同数ずつ配置されていることが好ましい。すなわち、例えば256画素×256画素の領域においては、0~254の値が、257もしくは256個ずつ含まれていることが好ましい。
【0051】
図5のフローチャートに戻る。S504において、基準値取得部404は、予めメモリに記憶されている基準値情報を取得する。
【0052】
図7(c)~(e)は、基準値情報409の例を示す図である。ここでは処理対象領域701は、4画素かける4画素の16画素なので、基準値情報は16画素それぞれについて、1~16のうちいずれかの値が暫定的な優先順位として対応付けられた情報である。
【0053】
ここで、図7(e)は、本実施形態における基準値情報を示している。基準値取得部404は、図7(b)に示した閾値マトリクス411の中から処理対象領域701に対応する4画素×4画素領域を読み出し、閾値Thが小さい画素の順に1~16の基準値Rを配して基準値情報を作成する。この場合、閾値マトリクス411を基準値情報として併用できるので、基準値情報のために用意するメモリ容量を節約することができる。本実施形態では閾値マトリクスに基づいて基準値情報を作成するものとしたが、予め用意された基準値情報を保持しておいてもよい。たとえば図7(d)は、予め保持された場合の基準値情報である。量子化処理に用いる閾値マトリクスと同様に、基準値情報もドット分散型である。ドット分散型の場合、基準値情報は優先順位を示す値が分散して配置されている。このように閾値マトリクスおよびドット分散型の基準値情報を用いることにより、高い分散性でドットを配置し、粒状感を抑えることができる。図7(c)~(e)に示すいずれの基準値情報においても、1~16に示す基準値Rはドットが配される優先順位の暫定値を示している。すなわち、ドットが配される暫定的な優先順位は、基準値が「1」の画素で最も高く基準値が「16」の画素で最も低いことを意味する。
【0054】
図5のフローチャートに戻る。S505において、評価値設定部405は、メモリに記憶されている累積ドット数情報を取得する。本実施形態において累積ドット数情報とは、量子化処理によって処理対象領域において既に配置されたドットの累積数を、処理対象領域に含まれる画素ごとに記憶した情報である。つまり処理対象色より前に量子化処理を実行された色がある場合に、他の色に対応するドットの累積数が累積ドット数情報として保持されている。よって、処理対象色が第1色(ブラック)である場合、累積ドット数情報は処理対象領域内の全画素について「0」が設定されている。
【0055】
図7(f)は、累積ドット数情報の一例を示す。ここでは、現在の処理対象色が第2色(シアン)であり、累積ドット数情報に第1色(ブラック)の量子化の結果が反映された状態を示している。すなわち、図7(f)に示す16画素の中で、「1」が示されている画素は既にドットが1つ配置されたことを示し、「0」が示されている画素はドットが1つも配置されていないことを示している。本実施形態では、このような累積ドット数情報を排他値情報として利用して、次に処理対象色となる色のドット配置を決める。以下、累積ドット数情報を排他値情報、個々の画素の累積ドット数を排他値Hと称する。
【0056】
S506において、評価値設定部405は、S505で取得した排他値情報と、S504で取得した基準値情報に基づいて、処理対象領域に含まれる個々の画素についての評価値Evを設定する。評価値設定部405は、処理対象領域に含まれる画素を、排他値が小さく、かつ基準値が小さい画素ほど評価値Evが高くなるように評価値Evを設定する。なお評価値Evは、優先順位を示す値であるので、その値が小さいほど優先順位が高い。。
【0057】
図7(g)および(h)は、図7(e)で示す基準値情報と、図7(f)に示す排他値情報に基づいて、評価値Evを設定する手順を示す図である。本実施形態では、異なる色のドットをなるべく同じ画素に配置しないようにする。そのため、排他値情報が図7(f)の場合、評価値設定部405は、まず排他値Hが「0」である5つの画素のみを抽出し、それら5つの画素の中でドットを記録する優先順位(評価値)を図7(e)で示す基準値情報に基づいて設定する。すなわち、排他値Hが「0」である5つの画素に対し、基準値Rが小さい画素の順に、評価値Ev=1~5を設定する。図7(g)は、排他値Hが「0」である5つの画素に対し評価値Ev=1~5が設定された状態を示している。
【0058】
次に、CPU201は、排他値Hが「1」である残りの画素に対し、基準値Rが小さい画素の順に、評価値Ev=6~16を設定する。図7(h)は、全画素について評価値Ev=1~16が設定された状態を示している。
【0059】
図5のフローチャートに戻る。S507において、ドット配置部406は、S503で設定された目標ドット数DとS506で設定された評価値Evとに基づいて、処理対象領域に処理対象色のドットを配置する。具体的には、処理対象領域に対し、目標ドット数Dが示す数のドットを、S506で設定された評価値Evが小さい順に、個々の画素に1つずつ配置し、ドット配置データを生成する。ドットを配置された画素には1を、ドットを配置されなかった画素には0を格納することにより、ドット配置部406は処理対象領域における処理対象色のドット配置データを生成する。
【0060】
図7(i)は、評価値Evが図7(h)のように設定され、且つ、目標ドット数DがD=7であった処理対象領域に対して決定されるドット配置を模式的に示す図である。図7において、黒で示した領域が処理対象色のドットを配置する画素、白で示した領域が処理対象色のドットを配置しない画素をそれぞれ示している。図7(i)では、図7(f)において排他値Hが「0」である画素の全てと排他値Hが「1」である画素の一部にドットが配置されていることがわかる。図7(k)は、図7(i)に示すドット配置データに従って生成された量子化データを示している。処理対象領域の個々の画素について、処理対象色のドットが配置された画素に記録(1)、それ以外の画素に非記録(0)が対応づけられている。このような処理対象領域の記録(1)または非記録(0)を示す量子化データは、量子化データ作成部407に出力される。
【0061】
S508において、ドット配置部406は、S507で生成されたドット配置データに基づいて、排他値情報(累積ドット情報)を更新する。すなわち、S507で処理対象色のドットが配置された画素に対応する排他値Hに1を加算し、新たな排他値情報(累積ドット情報)としてメモリに保存する。
【0062】
図7(j)は、図7(i)に示すドット配置データに従って、図7(f)に示す排他値情報を更新した結果を示している。図7(j)において、排他値Hが「2」である画素は、第1色のドットと第2色のドットが共に配置されたことを意味し、排他値Hが「1」である画素は、第1色のドットと第2色のいずれか一方のドットが配置されたことを意味している。
【0063】
図5のフローチャートに戻る。S509において、量子化データ作成部407は、S507で生成したドット配置データに従って、処理対象色の量子化データを生成する。本実施形態において量子化データ作成部407は、領域毎の量子化データを蓄積し、処理対象色の画像全体の量子化データを作成する。
【0064】
S510において、領域選択部401は、処理対象領域に対し全てのインク色についての量子化処理が完了したか否かを判定する。未だ量子化処理が行われていないインク色が残っている場合はS501に戻り、次の処理対象色を設定した後、新たに設定された処理対象色についてS502~S509の処理を行う。一方、S510において、処理対象領域に対する全てのインク色についての量子化処理が完了したと判定した場合はS511に進む。
【0065】
S511において、量子化データ作成部407は、全ての単位領域に対しS502~S509の量子化処理が完了したか否かを判定する。未だ量子化処理が行われていない単位領域が残っている場合はS500に戻り、次の単位領域を領域選択部401が新たな処理対象領域として設定し、新たな処理対象領域についてS501~S510の処理を行う。一方、S511において、全ての単位領域に対し量子化処理が完了したと判定した場合は本処理を終了する。
【0066】
以上説明した一連の処理によれば、処理対象領域において、排他値Hの値が小さいほど、すなわち先行処理されたインク色において配置されたドット数が少ないほど、その画素に対し小さな値の評価値Evが設定される。そして、評価値Evが小さい画素であるほど、処理対象領域の中で処理対象色のドットが優先的に配置される。その結果、処理対象領域において1つの画素に配置されるドットの数が抑えられ、記録媒体においてはドットの重なりに伴う発色不良を緩和しつつ、粒状感を抑えることができる。
【0067】
また、処理対象領域という複数の画素で構成される単位領域の中でドットの再配置を行うため、画像データと閾値マトリクスとの干渉を抑えることができる。その上で、個々の単位領域においては、各インク色について階調データが示す数(目標ドット数)のドットが配されるため、上記再配置を行っても、階調データが示す濃度および色相は単位領域の中で保存され記録媒体上で再現することができる。
【0068】
すなわち、本実施形態によれば、複数種類の色材を用いて画像を記録する場合において、ドットの重なりに伴う発色不良を緩和しつつ、粒状感が抑えられた画像を出力することが可能となる。
【0069】
本実施形態では、ブルーノイズ特性を有する閾値マトリクスと、ドット分散型の基準値情報を用いて量子化処理を実行した。一方、量子化処理にはドットをできるだけ集中させるドット集中型もあるが、本実施形態をドット集中型に適用することもできる。図7(c)はドット集中型の基準値情報を示す。ドット集中型の場合は、複数のドットが記録媒体上でクラスター状に記録されるため、出力濃度がドット間の位置ズレに影響され難く、画素が有する階調値と出力濃度とを線形に保つことができる。
【0070】
(第2の実施形態)
本実施形態においても、図1図4で説明した画像処理装置を用い、図5に示すフローチャートに従って量子化処理を行う。本実施形態では、排他値情報(累積ドット情報)の内容を第1の実施形態と異ならせる。第1の実施形態では、処理対象色のドットを配置することが決定された画素において、処理対象色がいずれのインク色であっても、更新前の排他値Hに「1」を加算した。これに対し本実施形態では、インク色ごとに異なる重み係数wiを用意し、更新前の排他値Hに処理対象色の重み係数wiを加算する。
【0071】
本実施形態では、各インク色の重み係数を、記録媒体上に記録されたドットの光学濃度の比に基づいて設定する。ここでは、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの組み合わせにおいて、4:2:2:1の光学濃度比が得られるものとし、ブラックの重み係数を「4」、シアンの重み係数を「2」、マゼンタの重み係数を「2」、イエローの重み係数を「1」とする。
【0072】
図8(a)~(h)は、本実施形態におけるドット配置データと排他値情報の関係を示す図である。以下、図8(a)~(h)を参照しながら図5のフローチャートに従って、本実施形態における量子化処理について説明する。なお、本実施形態においても、S501では、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの順に処理対象色が設定されるものとする。
【0073】
図8(a)は処理対象色が第1色(ブラック)であった場合に、S507で設定されたドット配置データの例を示す。また、図8(b)は、この場合にS508で更新される排他値情報を示す。図8(b)では、図8(a)でドットが配された画素についてのみ初期値「0」に対しブラックの重み係数「4」が加算されている。
【0074】
図8(c)は、処理対象色が第2色(シアン)であった場合に、S507で設定されたドット配置データの例を示す。シアンドットは、図8(b)に示す排他値情報に基づいてドットが配置されるため、シアンのドット配置データは、図8(a)に示すブラックのドット配置データと概ね排他の関係にある。
【0075】
図8(d)は、処理対象色がシアンであった場合にS508で更新される排他値情報を示す。図8(d)では、図8(c)でシアンドットが配された画素についてのみ、図8(b)に示す排他値Hにシアンの重み係数「2」が加算されている。
【0076】
以下、このような状態で、処理対象色が第3色(マゼンタ)に設定された場合について説明する。ここでは、S503で目標ドット数がD=7に設定され、S504では図8(e)に示す基準値情報が得られたとする。
【0077】
この場合、S506でCPU201は、図8(d)に示す排他値情報を参照し、図8(e)に示す基準値Rの並び替えを行う。具体的には、最初に排他値Hが「0」である3つの画素に対し、基準値Rが小さい画素の順に評価値Ev=1~3を設定する。次に、排他値が「2」である7つの画素に対し、基準値Rが小さい画素の順に評価値Ev=4~10を設定する。更に、累積ドット数が「4」である4つの画素に対し、基準値Rが小さい順に評価値Ev=11~15を設定する。最後に、累積ドット数が「6」である1つの画素に評価値Ev=16を設定する。図8(f)は、このようにして各画素の評価値Evが設定さて得られる評価値情報を示している。
【0078】
S507において、CPU201は、処理対象領域に対し、目標ドット数Dが示す7つのドットを、S506で設定された評価値Evが小さい画素の順に1つずつ配置し、ドット配置データを生成する。図8(g)は、このようにして生成されたドット配置データを示す。図8(d)に示す排他値情報において、排他値Hが少ない画素に対し優先的にマゼンタドットが配置されていることがわかる。
【0079】
より詳しく説明する。ブラック、シアン、マゼンタのドット配置データを示す図8(a)、(c)及び(g)を比較した場合、マゼンタドットはブラックドットもシアンドットも配置されていない画素に優先的に配置され、次にシアンドットのみが配置されている画素に配置されている。これは、ブラックの重み係数「4」がシアンの重み係数「2」よりも大きいため、ブラックドットが配置された画素の評価値Evが、シアンドットが配置された画素の評価値Evよりも大きくなり、マゼンタドットを配置する優先順位が低くなるためである。そして、このようなマゼンタドットを配置する優先順位は、ドットが配置されていない画素、シアンドットのみが配置された画素、ブラックドットのみが配置された画素、ブラックドットとシアンドットが配置された画素、の順に低くなる。
【0080】
S508において、CPU201は、S507で生成されたドット配置データに基づいて、排他値情報を更新する。すなわち、S507で処理対象色のドットが配置された画素の排他値Hにマゼンタの重み係数w2=2を加算し、新たな排他値情報としてメモリに保存する。図8(h)は、S508で更新された排他値情報を示す。図8(g)でドットが配された画素についてのみ、図8(d)に示す排他値にマゼンタの重み係数w2=2が加算されている。図8(g)に示す排他値情報は、この後、CPU201が第4色(イエロー)のドット配置データを生成する際に利用される。
【0081】
記録媒体において、複数のインク色を重ねて形成される重複ドットは、1つのインク色によって形成される単ドットに比べて、目立ち易く発色性も低下する。しかしながら、同じ重複ドットであっても、ドットの目立ち方や発色性は、重複ドットを形成するインク色の組み合わせによって異なる。例えば、シアンとイエローによって形成される重複ドットは、ブラックとシアンによって形成される重複ドットよりも目立ち難く、粒状感に与える影響も小さい。本実施形態のようにインク色ごとに異なる重み係数を用いて排他値Hを管理し、排他値Hの少ない画素に優先的に処理対象色のドットを配置すれば、重複ドットを記録せざるを得ない状況でも、発色性の低下をなるべく抑えながら粒状感を抑制することができる。
【0082】
なお、以上では、記録媒体に記録されたドットの光学濃度の比に基づいて各色の重み係数を設定したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、グリーン、オレンジ、パープルなどの特色インクにおいてドットを重複させた場合の彩度低下は、上述した4色インクにおいてドットを重複させた場合の彩度低下よりも画像に対する影響が大きい。よって、このような場合には、光学濃度のみでなく色相や彩度などのような他の要素に基づいて、各インク色の重み係数を設定することが好ましい。
【0083】
一方、ブラックとグレーやシアンとライトシアンのような特定のインク色の組み合わせでは、ドットを重複しても色相や彩度は然程影響を受けない。よって、このような場合には、排他値情報をインク色に対応づけて複数用意し、排他値Hを更新する際の重み係数を、排他値情報ごとに異ならせてもよい。そして、夫々のインク色が処理対象色となったときに、S505では、複数の排他値情報の中から対応する1つの排他値情報を取得すればよい。
【0084】
例えば、グレーのための排他値情報におけるブラックの重み係数は、シアンのための排他値情報におけるブラックの重み係数よりも、小さく設定することが好ましい。また、ライトシアンのための排他値情報におけるシアンの重み係数は、マゼンタのための排他値情報におけるシアンの重み係数よりも、小さく設定することが好ましい。このようにすれば、色相が類似するインク色同士の重複が、色相が異なるインク色同士の重複よりも優先され、画像全体の発色性を向上させることができる。
【0085】
更に、上記のような重み係数は、処理対象領域ごとに変更されてもよい。例えば、図3のS301で得られたR´G´B´データが示す処理対象領域の色相がG(グリーン)に近い場合、シアンドットとイエロードットの重複は優先させることが好ましい場合がある。このような場合には、イエローのための排他値情報において、シアンの重み係数をブラックやマゼンタの重み係数よりも小さく設定すればよい。
【0086】
以上説明した本実施形態によれば、複数の色材を用いて画像を記録する場合において、ドットの重なりに伴う発色不良を緩和しつつ、粒状感が抑えられた画像を出力することが可能となる。
【0087】
(第3の実施形態)
本実施形態においても、図1図2で説明した画像処理装置を用い図3で示したフローチャートに従って、一連の画像処理を行う。
【0088】
図9は、本実施形態の量子化処理におけるソフトウェア構成を説明するためのブロック図である。図4と異なる点は、評価値設定部901が閾値マトリクス411を基準値情報として利用すること、および累積ドット数情報410の代わりにドット配置履歴情報903を用意していることである。ここで、ドット配置履歴情報903とは、既にドット配置データが生成されたインク色についてのドット配置情報が、インク色に対応づけて保存された情報である。本実施形態の評価値設定部901は、閾値マトリクス411とドット配置履歴情報903とを用いて、各画素についての評価値Evを設定する。また、本実施形態のドット配置部902は、設定したドット配置データに基づいてドット配置履歴情報903を更新する。
【0089】
図10は、本実施形態のCPU201が、S303の量子化処理において、図9に示す各ブロックを用いながら実行する処理工程を説明するためのフローチャートである。また、図11(a)~(j)は、処理対象色が第1色(ブラック)である場合の量子化処理の様子を具体的に説明するための図である。以下では、図11(a)~(j)を参照しながら、図10に示すフローチャートに従って、第1色(ブラック)のための量子化処理について説明する。
【0090】
S1002において、CPU201は、処理対象領域のブラックの階調データをメモリに展開する。ここでは、図11(a)に示す階調データが展開されたものとする。S1003において、CPU201は、処理対象領域に配置すべきブラックの目標ドット数Dを設定する。具体的には、まず、閾値マトリクス411の中から処理対象領域に対応する4×4の閾値を読み出し、個々の閾値を、図11(a)に示す階調データの階調値の平均値Aveと比較する。そして、16画素のうち、平均値Aveが閾値よりも大きくなる画素の数をカウントし、そのカウント値を目標ドット数Dとして設定する。階調データが図11(a)の場合、平均値AveはAve=128となる。また、処理対象領域に対応づけて読み出された4×4の閾値が図11(c)に示すものとすると、目標ドット数はD=8に設定される。
【0091】
S1004において、CPU201は、予めメモリに記憶されている基準値情報を取得し展開する。ここではS1003でも利用した、図11(c)に示す4×4の閾値を、基準値情報として利用する。
【0092】
S1005において、CPU201は、メモリに保存されているドット配置履歴情報903(図9参照)を取得する。本実施形態においてドット配置履歴情報とは、処理対象領域において、量子化処理が終了しているインク色それぞれについてのドット配置データである。処理対象色が第1色(ブラック)である場合、CPU201はヌルデータを取得することになる。処理対象色が第2色(シアン)である場合、CPU201はブラックのドット配置履歴情報を取得する。処理対象色が第3色(マゼンタ)である場合、CPU201は、ブラックのドット配置履歴情報とシアンのドット配置履歴情報とを取得する。
【0093】
S1006において、CPU201は、S1005で取得したドット配置履歴情報と、S1004で取得した基準値情報(図11(c))に基づいて、処理対象領域に含まれる各画素について評価値Evを導出し設定する。以下、本実施形態における評価値導出方法を詳しく説明する。
【0094】
評価値Evを求めるために、本実施形態のCPU201は、まず処理対象領域に含まれる各画素について第1の評価値Ev1を求める。第1の評価値Ev1は(式1)に従って求める。
E1=(I/Imax)-(R/Rmax)-(H/Hmax)(式1)
【0095】
ここで、Iは、階調データが示す注目画素の階調値であり、Imaxはその最大値を示す。本実施形態では、階調データが8bit(256階調)であるので、Imax=255となる。例えば、階調データが16bit(65536階調)の場合は、Imax=65535となる。図11(b)は、処理対象領域に対応する4×4画素についての正規化値(I/Imax)を示している。(I/Imax)は、0~1の値を有する実数となり、値が大きい画素ほどドットが配置される可能性が高いことを意味する。
【0096】
Rは、基準値情報が示す各画素の基準値であり、Rmaxはその最大値を示す。本実施形態の場合、基準値情報が閾値マトリクス411から得られるため、Rmax=254となる。図11(d)は、基準値情報の正規化値(R/Rmax)を示している。(R/Rmax)は、0~1の値を有する実数となり、値が大きい画素ほどドットが配置される暫定的な優先度が低いことを意味する。
【0097】
Hは、ドット配置履歴情報から得られる排他値である。本実施形態において、排他値Hnは(式2)を用いて求めることができる。
H=Σ(wi×Di) (式2)
【0098】
ここで、iは処理対象色の処理順位を示す番号である。本実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの順に量子化処理を行っているので、処置対象インクがブラックの場合はi=1、シアンの場合はi=2、マゼンタの場合はi=3、イエローの場合はi=4となる。また、wiは、夫々のインク色に対する重み係数を示す。本実施形態では、各インク色の重み係数を、記録媒体上に記録されたドットの光学濃度の比に基づいて設定し、w1=4、w2=2、w3=2、w4=1とする。
【0099】
また、(式2)において、Diは、各画素に配されたインク色iのドットの数を示す。例えばある画素にブラックドットが1つ配された場合、当該画素においてD1=1となる。更に、Σは1~(i-1)番目までの総和を示す。
【0100】
このように、排他値Hは、それぞれの画素に配されたドット数Diにインク色iに固有の重み係数wiを乗算し、これを処理対象色よりも前に処理された全てのインク色iについて加算することによって算出される。処理対象色が第1色(ブラック)である場合、すなわちi=1の場合、全画素について排他値HはH=0となる。このため、(式2)を用いて得られる4画素×4画素の排他値情報は図11(e)のようになる。
【0101】
一方、(式1)において、Hmaxは処理対象領域における排他値Hの最大値を示す。本実施形態では、排他値Hを最大値Hmaxで正規化した値(H/Hmax)を排他制御値Hnと称す。排他制御値Hnは、0~1の値を有する実数となり、値が大きい画素ほどドットが配置され難いことを示す。なお、処理対象色が第1色(ブラック)の場合、最大値はHmax=0となるが、排他制御値Hnは0に固定する。図11(f)は、処理対象色が第1色(ブラック)である場合の、処理対象領域における排他制御値情報を示している。
【0102】
図11(g)は、図11(b)の正規化後の階調データ(I/Imax)と、図11(d)の正規化後の基準値情報(R/Rmax)と、図11(f)の排他制御値情報(Hn)に基づき、(式1)に従って算出した第1の評価値情報を示す図である。本実施形態において、第1の評価値Ev1は、個々の画素についての、ドットが配置される容易度を示す値となる。正の値が大きい画素ほどドットが配置されやすく、負の値が大きい画素ほどドットが配置され難いことを示す。
【0103】
次に、CPU201は、処理対象領域において、第1の評価値Ev1が大きい画素の順に、1~16の値を第2の評価値Ev2として設定する。この際、第1の評価値Ev1が同値である画素が複数存在する場合は、より大きな階調値Iを有する画素を優先したり、処理対象領域の左上に位置する画素を優先したり、ランダムに設定したりすればよい。
【0104】
図11(h)は、処理対象領域に含まれる個々の画素について第2の評価値Ev2=1~16が設定された評価値情報を示している。以下、第2の評価値Ev2を、本実施形態では単に評価値Evと称す。
【0105】
図10のフローチャートに戻る。S1007において、CPU201は、S1003で設定された目標ドット数DとS1006で設定された評価値Evとに基づいて、処理対象領域に含まれる各画素に処理対象色のドットを配置する。具体的には、処理対象領域に対し、目標ドット数Dが示す数のドットを、S1006で設定された評価値Evが小さい画素の順に1つずつ配置し、ドット配置データを生成する。
【0106】
図11(i)は、目標ドット数DがD=8である処理対象領域に対し、図11(h)の評価値情報に基づいて、S1007のドット配置決定処理で生成されたドット配置データを示す図である。図において、黒で示した領域がブラックドットを配置する画素、白で示した領域がブラックドットを配置しない画素を示している。
【0107】
S1008において、CPU201は、S1007で生成されたドット配置データに基づいて、ドット配置履歴情報を更新する。具体的には、S1007にて生成されたドット配置データをインク色iと対応付けてメモリに保存する。本例の場合、図11(i)で示すドット配置データを第1色(ブラック)に対応づけてメモリに保存する。保存されたドット配置履歴情報は、この後処理対象色が変更された後のS1005において、第1色(ブラック)のドット配置履歴情報としてメモリより読み出される。
【0108】
S1009において、CPU201は、S1007で生成したドット配置データに従って量子化データを生成し、メモリに保存する。図11(j)は、図11(i)に示すドット配置データに従って生成された量子化データを示している。
【0109】
以上説明したブラックのための処理が完了すると、次にCPU201はS1001に戻り、第2色(シアン)を処理対象色に設定し、S1002~S1009の処理を行う。
【0110】
図12(a)~(j)は、処理対象色が第2色(シアン)である場合の処理の様子を図11(a)~(j)と同様に示す図である。図12(a)は、S1002で展開されたシアンの階調データとする。この場合、階調データの正規化値(I/Imax)は、図12(b)のようになる。
【0111】
また、図12(c)は、シアン用の閾値マトリクスから読み出された処理対象領域に対応する4×4の閾値であり、S1003ではこの情報に基づいてシアンの目標ドット数DがD=4に設定される。また、図12(c)に示す4×4の閾値は、基準値情報Rとしても利用され、基準値情報Rの正規化値(R/Rmax)は、図12(d)のようになる。
【0112】
図12(e)は、処理対象色がシアンである場合に導出される排他値情報である。排他値情報は、第1色(ブラック)のドット配置履歴情報(図11(i)量子化データを同じ情報)を参照し、(式2)に従って各画素の排他値Hを求めることによって導出される。 図12(e)に示す排他値情報の場合、排他値Hの最大値はHmax=4となり、各画素の排他値Hを正規化して得られる排他制御値情報は、図12(f)のようになる。
【0113】
図12(g)は、図12(b)に示す正規化後の階調データ(I/Imax)と、同図(d)に示す正規化後の基準値情報(R/Rmax)と、同図(f)に示す排他値制御値情報に基づき、(式1)に従って導出される第1の評価値情報を示す図である。また、図12(h)は、図12(g)の排他値制御値情報に基づいて導出されるシアンのための評価値情報である。更に、図12(i)は、評価値Evが図12(h)のように設定され、且つ、目標ドット数DがD=4である処理対象領域に対して設定されるドット配置データであり、図12(j)は図12(i)に基づく量子化データである。図12(i)に示すドット配置データは、図11(i)に示す第1色(ブラック)のドット配置データに対し、排他の位置にドットが配されていることが分かる。
【0114】
その後は、以上説明した流れに従って、処理対象領域に対する第3色(マゼンタ)の処理と第4色(イエロー)の処理をこの順番で行う。具体的な処理は、第1色(ブラック)、第2色(シアン)と同様であるので、ここでの説明は省略する。なお、図13(a)~(j)は、処理対象色が第3色(マゼンタ)である場合の処理の様子を図11(a)~(j)と同様に示す図である。また 図14(a)~(j)は、処理対象色が第4色(イエロー)である場合の処理の様子を図11(a)~(j)と同様に示す図である。
【0115】
以上説明した本実施形態によれば、各画素について、階調値Iと、基準値R及び排他値Hの3つのパラメータで構成された(式1)に基づいて、ドットを配置する優先度を示す評価値Evを求めている。このため、基準値Rと排他値Hの2つのパラメータで評価値Evを設定する上記実施形態に比べ、各画素の階調値Iを、その画素の量子化の結果により積極的に反映させることができる。
【0116】
例えば、写真画像を印刷する際には、個々の画素の階調値よりも画像全体の一様性を重視し、第1、第2の実施形態のように単位領域の中でドットを重複させず分散させることが好ましい。しかしながら、文字や線画を含むグラフィック画像を印刷する際には、オブジェクトの鮮鋭性やコントラストを重視するために、各画素が有する階調値をその画素のドットの有無になるべく反映させることが好ましい場合もある。本実施形態のように、階調値Iと、基準値R及び排他値Hの3つのパラメータを含む(式1)に基づいてドットを配置すれば、各画素が有する階調値をその画素のドットの有無に反映させながら、異色ドットの重なりを抑制することができる。その結果、鮮鋭性と発色性に優れた画像を出力することが可能となる。
【0117】
この際、ドットの配置を促すように作用する(I/Imax)と、ドットの配置を抑制するように作用する(H/Hmax)に対し、1~0の値を有する重み係数Wp、Whをそれぞれ乗算して、鮮鋭性と発色性のバランスを調整してもよい。この場合、例えば重み係数Wpを大きくすれば、鮮鋭性やコントラストが維持された画像を出力することができる。重み係数Whを大きくすれば、異色ドットの排他率を高め、発色性に優れた画像を出力することができる。
【0118】
更に、基準値Rの正規化値(R/Rmax)に対する重み係数Wrを用意し、その値を大きくすれば、閾値マトリクスが定義する配置順序の影響を強めることが可能となる。例えば閾値マトリクスとして分散性に優れたブルーノイズ特性を有するものを用意すれば、分散性に優れたドット配置を得ることができる。このような重み係数Wp、Wr、Whは、インク色や印刷モード、記録媒体の種類などに応じて適宜変更してもよい。
【0119】
本実施形態によれば、基準値Rと排他値Hのほかに階調値Iに基づいて評価値Evを導出しているため、異なる色材のドットが重複して配される頻度が第1、第2の実施形態よりも高くなる。このことは、第1、第2の実施形態に比べて、粒状感を上昇させる要因にもなるが、その一方で、記録装置の様々な誤差やばらつきに対する画像品位の耐性(ロバスト性)を高める効果も得られる。以下、簡単に説明する。
【0120】
例えば、第1インクのドットと第2インクのドットが互いに排他となるようにドット配置データが生成されたとしても、第1インクの記録ヘッドと第2インクの記録ヘッドの間で記録位置ずれが起こった場合、記録媒体上では幾つかの重複ドットが生成される。そして、このような記録位置ずれの量が記録ヘッドの往復走査や記録媒体のコックリングに伴って変動すると、生成される重複ドットの数も記録位置ずれ量に伴って変動し、記録媒体上において濃度ムラや色ムラとして感知される。
【0121】
これに対し、本実施形態のように異なる色材の重複ドットが予め所定の割合で生成されるようにすると、異なる位置に記録されるべき2つのドットが重複する箇所も生じるが、重複すべき2つのドットが分離する箇所も生じる。このため、記録ヘッドの往復走査や記録媒体のコックリングに伴って記録位置ずれ量が変動しても、重複ドットの割合は一定の範囲に抑えられ、記録媒体上において濃度ムラや色ムラは感知され難くなる。このような記録位置ずれに対する画像のロバスト性は、上述した重み係数Whを変化させることによって調整が可能である。
【0122】
以下、本実施形態の効果を、具体例を挙げて説明する。例えば、本実施形態のような評価値Evを求めず、図11(c)に示す基準値情報に従って、8個分のドットを配置した場合、ドット配置データは図15(a)のようになる。この図15(a)を、本実施形態のドット配置データである図11(i)と比較すると、本実施形態のドット配置データを示す図11(i)の方が、図15(a)よりも、図11(a)に示す階調データの特徴が現れていることが分かる。すなわち、本実施形態によれば、評価値Evを求める際の(式1)に階調値Iを含ませることにより、階調データの特徴を量子化の結果により強く反映させることができる。
【0123】
次に、評価値Evを導出する際の(式1)に排他値Hを含ませる効果について説明する。例えば、(式1)に排他値Hの項を設けず、図12(a)に示す第2色(シアン)の階調データと、図12(c)に示す基準値情報に従って、第1評価値情報を求めると、図16(a)のようになる。そして、この評価値情報に従って4個分のドットを配置した場合、ドット配置データは図16(b)のようになる。
【0124】
一方、図12(c)に示す基準値情報に従って4個分のドットをそのまま配置した場合も、ドット配置データは図16(b)のようになる。この図16(b)を、本実施形態のドット配置データである図11(i)と比較すると、図16(b)は、図11(i)に示す第1色(ブラック)のドット配置データに対する排他性が図11(i)より劣っているのが分かる。
【0125】
すなわち、本実施形態によれば、評価値Evを導出する際の(式1)に排他値Hを含ませることにより、処理対象色のドット配置データの、既に量子化処理が完了したインクのドット配置データに対する排他性を高めることができる。
【0126】
なお、(式1)では、階調値I、基準値R、排他値Hのそれぞれを0~1のレンジで正規化した値に対し、加減算を行って第1の評価値Ev1を求めたが、このような正規化処理は必須ではない。階調値I、基準値R、排他値Hは、同じレンジに整えられれば良く、例えば8bitで表現される1~256の整数であってもよいし、16bitで表現される1~65536の整数であってもよい。
【0127】
ところで、本実施形態のように、閾値マトリクスの中から処理対象領域に対応する領域を基準値情報として用いる場合、基準値情報の内容は単位領域ごとに異なっている。ここで、本実施形態のような目標ドット数Dを設定せず、基準値情報をそのままディザマトリクスとして用いて、図11(a)に示す階調データにディザ処理を行った場合を考える。この場合、図11(c)に示す基準値情報からは図11(i)に示すドット配置データが得られるが、図15(b)に示す基準値情報からは図15(c)に示すドット配置データが得られる。すなわち、図11(a)に示す同じ階調データに従って量子化されたドット配置データであっても、片方の単位領域では8個のドットが配置され、片方の単位領域では11個のドットが配置されることになる。その結果、記録媒体上では濃度ムラや色ムラの発生が懸念される。
【0128】
これに対し、本実施形態のように単位領域に含まれる階調値の平均値を求め、この平均値に基づいて単位領域に配するドットの数を設定すれば、基準値情報の内容が変動しても、配置されるドット数のばらつきを単位領域間である程度安定させることができる。図15(d)および(e)は、図15(b)に示す基準値情報を用い、図11(a)の階調データに基づいて本実施形態の処理を実行した場合の第1の評価値情報とドット配置データをそれぞれ示している。図15(e)では9個のドットが配され、8個のドットが配される図11(i)とほぼ同等の濃度を表現することができる。
【0129】
また、図11図14に示すように、本実施形態では4つのインク色に対し異なる閾値マトリクスを用意して目標ドット数Dと評価値Evを求めたが、閾値マトリクスは各色で共通化してもよい。この場合、処理済のインク色のドット配置データの総和である排他値情報が、全色で共通する閾値マトリクスに準じた情報となり、結果として全てのインク色の総和として閾値マトリクスに準じた分散性を得ることができる。よって、特に分散性を高めることを重視する場合には、例えばブルーノイズ特性を有する閾値マトリクスを1つ用意し、この閾値マトリクスを各色で共通の基準値情報として利用すればよい。このようにすれば、全てのインク色の総和として高い分散性を有する滑らかな画像を出力することが可能となる。
【0130】
但し、本実施形態は、基準値情報として必ずしも閾値マトリクスを利用しなくてもよい。基準値情報は第1の実施形態のように1~16(又は0~15)の整数として、閾値マトリクスとは別に用意してもよい。この場合、基準値の正規化に用いる最大値はRmax=16(又は15)となる。
【0131】
図17(a)~(c)は、特許文献1の方法で量子化処理を行った場合を本発明と比較するための図である。図17(a)は、図12(a)と同様、処理対象領域に対応する第2色(シアン)の階調データを示す。一方、図17(b)は、特許文献1の方法に従ってシフト処理して得られるシアンデータのための閾値マトリクスを示している。
【0132】
図17(b)は、図11(c)に示すマトリクスの各閾値から、図11(a)の階調データが示す各階調値Iを減算し、その値が負になった場合のみ255を加算して得られるマトリクスである。そして、このようにして得られた図17(b)の閾値マトリクスを用い、図17(a)の階調データに従ってディザ処理を行うと、図17(c)のようなドット配置データが得られる。図17(c)に示すドット配置データを、図12(i)に示す本実施形態の第2色(シアン)のドット配置データと比較すると、図17(c)は、図11(i)に示す第1色のドット配置データに対する排他性が図12(i)よりも劣っているのが分かる。
【0133】
特許文献1の方法では、先行して量子化処理を行う第1色の階調値が均一であり、且つ後続して量子化処理を行う第2色の階調値も均一である場合に、第1色のドットと第2色のドットを完全排他に配置することができる。しかしながら、実際の画像において、各画素の階調値は図11(a)のようにある程度ばらついていることは多く、特許文献1の方法では、第1色と第2色のドットを安定した排他関係のもとで記録することは難しい。
【0134】
これに対し、本実施形態では、第1色と第2色のドット数の和が単位領域の画素数(16)を超えない範囲であれば、図11(i)と図12(i)に示すように、第1色のドットと第2色のドットを単位領域内で完全排他の関係で配置することができる。そして、このような排他関係を、いずれの単位領域でも維持することができる。すなわち、本実施形態によれば、異なる色のドットが記録媒体上の同じ位置に重複して記録される頻度を特許文献1よりも更に抑制し、更に発色性の高い画像を出力することが可能となる。
【0135】
なお、ここでは、本実施形態で用いた図11図12を特許文献1の図17(a)~(c)と比較し、本実施形態の効果として説明したが、このような効果は、第1、第2の実施形態でも同様に得ることができる。
(その他の実施形態)
以上の実施形態では、階調値Iを記録(1)又は非記録(0)の2値データに変換する場合について説明したが、本発明は階調値を3値以上に量子化する場合にも応用することができる。量子化値が3値以上の場合、各画素の量子化値は、1画素に対応する記録媒体上のエリアに記録するドットの数やサイズを調整することによって、表現することができる。
【0136】
例えば量子化値が3値である場合を例に具体的に説明する。この場合、まずImaxを調整して、階調値Iから0~2の正規化値(I/Imax)を得る。そして、正規化値(I/Imax)が1よりも大きな画素には、当該画素に対しまず1ドットを配置する。更に、当該画素の正規化値(I/Imax)から1を減算し、得られた値を当該画素の新たな正規化値とする。
【0137】
その後、新たな正規化値に基づいて、未だドットが配されていない画素とともに上記実施形態で説明した方法で評価値Evを求め、再びドットを配置する。そして、結果的に2つのドットが配置された画素の量子化値は「2」とし、記録媒体上の該当エリアには2つのドットを記録する。また、結果的に1つのドットが配置された画素の量子化値は「1」とし、記録媒体上の該当エリアには1つのドットを記録する。更に、結果的にドットが配置されない画素の量子化値は「0」とし、記録媒体上の該当エリアには1つのドットも記録しない。この場合、第1、第2の実施形態の累積ドット情報や、第3の実施形態のドット配置履歴情報には、0~2の量子化値をそのまま保存すればよい。
【0138】
なお、1画素に対応するエリアに2つのドットを記録する方法としては、例えば、図1に示した記録ヘッド102において、複数の吐出口101が配列してなる吐出口列を、各インク色についてx方向に2列ずつ用意すればよい。また、記録媒体の同一画像領域に対し記録ヘッド102による複数回の記録走査を行うマルチパス記録方法を採用してもよい。更に、3値以上の量子化値に対しインデックス展開処理を施すことによって、更に解像度の高い2値データを生成しこれを最終的な記録データとしてもよい。
【0139】
また、3値以上の量子化値をドット数でなくドットサイズで表現する場合は、量子化値が「2」である画素には大ドットを配し、量子化値が「1」である画素には小ドットを配し、量子化値が「0」である画素にはドットを配さないようにすればよい。この場合、図5のS503や図10のS1003で設定される目標ドット数は、ドット数およびドットサイズによって統合される、処理対象領域に対応する記録媒体上の領域に付与するべき処理対象色のインク量に相応する目標値となる。また、図4の目標ドット数設定部403は、そのような目標値を導出し設定するための目標値導出部となる。
【0140】
以上では、階調データにおける階調値の平均値を、閾値マトリクスの閾値と比較することによって、処理対象領域における目標ドット数Dを設定したが、目標ドット数の設定方法はこれに限定されない。例えば、処理対象領域に対応する複数の階調値Iの和SUMとランダムに設定される自然数N(1≦N≦255)を用いて、(式3)に従って目標ドット数Dを導出することもできる。
SUM<N のとき D=0
SUM≧N のとき D=INT((SUM-N)/255)+1 (式3)
【0141】
ここで、INT(x)はxを超えない自然数を返す関数とする。例えば第1の実施形態で示した図7(a)の階調データにおいて、SUM=1756となる。ここで、N=128とし、(式3)を用いて目標ドット数を求めると、SUM≧N であるため、
D=((1756-128)/255)+1=7
となる。なお、ここではNを階調値Iの中心値128としたが、Nはこのような中心値に対し大きくずれない程度にランダムに設定されることが好ましい。このようにすれば、大サイズの閾値マトリクスをメモリに記憶しておくことなく、処理対象領域の目標ドット数を求めることができる。
【0142】
また、以上では、量子化順情報408に記憶されている色順序に従って、第1色をブラック、第2色をシアン、第3色をマゼンタ、第4色をイエローとしたが、本発明はこのような形態に限定されない。但し、遅い順番のインク色ほど排他値に比べて基準値情報が評価値情報に反映され難くなるため、分散性が損なわれる傾向がある。このため、本実施形態では記録媒体上に記録されたドットの光学濃度が高い順に処理を行い、最も分散性が損なわれやすい第4色に最も光学濃度が低いイエローを適用した。
【0143】
但し、処理の色順序については単位領域ごとに変更してもよい。特に分散型の基準値情報を用いる場合には、全ての単位領域の処理を同じ色順序で行っていると、繰り返しパターンやテクスチャが視認される場合がある。このような場合には、単位領域ごとに処理の色順序を切替えれば、これらパターンやテクスチャを画像全体で目立ち難くすることができる。この際、例えば、視覚的に目立ち難いイエローを第4色に固定しておきながら、ブラック、シアンおよびマゼンタの間で、第1色~第3色を順番に切替えてもよい。
【0144】
更に、上記処理の色順序は、画像データに基づいて設定されてもよい。例えば、図3のS301で得られたR´G´B´データが示す処理対象領域の色相がG(グリーン)に近い場合は、第1色をシアン、第2色をイエローとし、第3色をブラック、第4色をマゼンタとしてもよい。
【0145】
また、図5および図10で説明したフローチャートでは、処理対象領域を設定した後、設定された処理対象領域に対し処理対象色を設定したが、これらの設定順序は逆であってもよい。すなわち、まず処理対象色を設定し、設定された処理対象色についての量子化処理を単位領域の全てに対して行い、その後、処理対象色を次のインク色に切替えてもよい。但しこの場合、累積ドット数情報やドット配置履歴情報を記憶するためのメモリ領域を全ての単位領域について用意する必要がある。よって、このようなメモリ領域を節約できるという点では、図5および図10で説明したフローチャートに従った順番のほうが好ましいと言える。
【0146】
また、以上では、予めメモリに記憶された閾値マトリクスや基準値情報に基づいて、処理対象領域のための基準値情報を取得したが、このような基準値情報は、量子化処理を行う際に階調データなどに基づいて生成してもよい。例えば、処理対象領域に対応する階調データを参照し、単に階調値が大きい画素から順番に1~16の基準値を割り当ててもよい。また、階調データに対し、所定のエッジ処理やフィルタリング処理を施した後に、階調値が大きい画素から順番に1~16の基準値を割り当ててもよい。このようにすれば、画像の特徴(エッジやインク量)などのパラメータに応じて基準値Rを生成してから、この基準値Rをもとに排他処理が行われるため、画像の特徴を適量に再現しながらドットの重なりに伴う発色不良を緩和することができる。
【0147】
また、以上では図6を参照し、4画素×4画素を単位領域に対応づけたが、無論本発明の単位領域はこのようなサイズや形状に限定されない。単位領域は更に大きなサイズであってもよいし、x方向の画素数とy方向の画素数は等しくなくてもよい。単位領域に含まれる画素数が少ないほど、処理に使用するメモリを少なく抑えることができ、階調値Iひいては画像の特徴が、出力画像に現れやすくなる。一方、単位領域に対応する画素数を多くするほど、単位領域内の排他性およびこれに伴う発色性を向上させ、粒状感を低減することができる。
【0148】
但し、単位領域の大きさをn画素×m画素としたとき、画像データが有するx方向およびy方向の画素数はnおよびmそれぞれの倍数であることが好ましい。よって、このような条件が満たされない場合は、画像データに対し、x方向およびy方向の画素数がnおよびmの倍数となるように、x方向およびy方向の端部の所定領域に白データを付随することが好ましい。
【0149】
以上では、図3に示す画像処理の全てを図2に示す画像処理装置(ホストPC)200で行う内容で説明したが、無論本発明はこのような形態に限定されない。図3に示す画像処理の一部をホストPCで行い、残りの処理を記録装置100が行ってもよいし、全ての処理を記録装置100が行ってもよい。更に、図5図10で説明した量子化処理の途中までの工程をホストPCが行い、残りの工程を記録装置が行う形態としてもよい。いずれにせよ、本発明の量子化処理を行う装置が本発明の画像処理装置となり、量子化処理がホスト装置と記録装置の協働で行われる場合は、これらプリントシステム全体が本発明の画像処理装置となる。
【0150】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0151】
200 画像処理装置
403 目標ドット数設定部
405 評価値設定部
406 ドット配置部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17