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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20221212BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20221212BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20221212BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1343
G02F1/1368
G02F1/13357
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018235699
(22)【出願日】2018-12-17
(65)【公開番号】P2020098245
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 良朗
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕之
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/022887(WO,A1)
【文献】特開平09-080581(JP,A)
【文献】特開平01-251012(JP,A)
【文献】実開昭54-153234(JP,U)
【文献】特開2014-211573(JP,A)
【文献】特開2012-128457(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0063407(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0154566(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/1343
G02F 1/1368
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カメラと、
第1偏光板と、
第2偏光板と、
前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に設けられた液晶パネルと、を備え、
前記液晶パネルは、
第1方向及び第2方向にマトリクス状に配置された複数の画素を備え、画像を表示する第1領域と、
前記第1カメラに重畳する第2領域と、
第1走査線と、
前記第1走査線と交差する第1信号線と、
前記第1走査線及び前記第1信号線と電気的に接続された第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子と電気的に接続された第1制御電極と、を備え、
前記第1制御電極は、前記第1カメラに重畳し、環状の第1領域に設けられ
前記第1走査線は、前記第1領域において前記第1方向に沿って延出し、前記第2領域において前記第1制御電極の外縁部に沿って円弧状に形成され、
前記第1信号線は、前記第1領域において前記第2方向に沿って延出し、前記第2領域において前記第1制御電極の外縁部に沿って円弧状に形成され、
前記複数の画素の夫々は、画素電極と、前記画素電極と電気的に接続されたスイッチング素子と、を有し、
前記複数の画素は、前記第2領域に対して前記第1方向に隣接する少なくとも1つの第1画素を含み、
前記第1画素が有する前記スイッチング素子は、前記第1走査線と電気的に接続されている、電子機器。
【請求項2】
前記複数の画素は、前記第2領域に対して前記第2方向に隣接する少なくとも1つの第2画素を含み、
前記第2画素が有する前記スイッチング素子は、前記第1信号線と電気的に接続されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1制御電極は、環状の第1ベース電極と、複数の第1帯電極と、を備え、
前記第1帯電極は、前記第1ベース電極に接続されている、請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記液晶パネルは、さらに、液晶層と、前記第1カメラと前記液晶層との間に設けられた共通電極と、前記共通電極と前記液晶層との間に設けられた絶縁膜と、を備え、
前記第1制御電極は、前記絶縁膜と前記液晶層との間に設けられ、前記共通電極に重畳している、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記液晶パネルは、さらに、液晶層と、前記第1カメラと前記液晶層との間に設けられた共通電極と、を備え、
前記共通電極は、前記第1帯電極と交互に並んだ第2帯電極を備えている、請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1制御電極に供給される電圧の極性は、前記共通電極に供給される電圧の極性とは逆極性である、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
記画素電極は、複数の第3帯電極を備え、
前記第3帯電極のピッチは、前記第1帯電極のピッチと同等であり、
前記第1帯電極及び前記第3帯電極は、前記第1走査線に対して斜めに交差する方向に延出し、
前記第1帯電極は、前記第3帯電極と平行に延出している、請求項4乃至6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記液晶パネルは、さらに、前記第1領域の外縁部に沿って設けられた遮光層を備えている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
さらに、前記第1カメラの背面側に設けられた第2カメラを備え、
前記液晶パネルは、
第2走査線と、
前記第2走査線と交差する第2信号線と、
前記第2走査線及び前記第2信号線と電気的に接続された第2スイッチング素子と、
前記第2スイッチング素子と電気的に接続された第2制御電極と、を備え、
前記第2制御電極は、前記第2カメラに重畳し、環状の第2領域に設けられ、
前記液晶パネルは、前記第1領域と前記第2領域との間で折り曲げられている、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
さらに、光源と、
前記光源と対向する側面を有する導光板と、を備え、
前記導光板は、第1貫通孔を有し、
前記第1カメラは、前記第1貫通孔に重畳している、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
さらに、前記導光板と前記液晶パネルとの間に設けられた光学シートを備え、
前記光学シートは、前記第1貫通孔に重畳する第2貫通孔を有している、請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
さらに、反射シートを備え、
前記導光板は、前記反射シートと前記光学シートとの間に設けられ、
前記反射シートは、前記第1貫通孔に重畳する第3貫通孔を有している、請求項11に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示部及びカメラを同一面側に備えたスマートフォン等の電子機器が広く実用化されている。このような電子機器では、カメラが表示部の外側に設けられており、カメラを設置するためのスペースを確保する一方で、表示部を拡大する要望が高まっている。また、鮮明な写真を撮影可能とすることが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-40908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、表示部を拡大することが可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、
第1カメラと、第1偏光板と、第2偏光板と、前記第1偏光板と前記第2偏光板との間に設けられた液晶パネルと、を備え、前記液晶パネルは、第1走査線と、前記第1走査線と交差する第1信号線と、前記第1走査線及び前記第1信号線と電気的に接続された第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子と電気的に接続された第1制御電極と、を備え、前記第1制御電極は、前記第1カメラに重畳し、環状の第1領域に設けられている、電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示した表示装置DSP及びカメラ1を含む断面図である。
図3図3は、図1に示した液晶パネルPNLの一構成例を示す平面図である。
図4図4は、図3に示した画素PXを含む液晶素子LCDの断面図である。
図5図5は、カメラ1に重畳する液晶素子LCDの一構成例を示す平面図である。
図6図6は、図5に示した制御電極CT1乃至CT3の一構成例を示す平面図である。
図7図7は、図6に示した制御電極CT1乃至CT3を拡大して示す平面図である。
図8図8は、図5に示した領域A21及びA22を含む液晶素子LCDの断面図である。
図9図9は、領域A2に設けられる遮光層BMBの一構成例を示す平面図である。
図10図10は、図5に示した制御電極CT1乃至CT3、及び、共通電極CEの他の構成例を示す平面図である。
図11図11は、図10に示した制御電極CT1及び共通電極CEを含む液晶素子LCDの断面図である。
図12図12は、他の実施形態の電子機器100を示す平面図である。
図13図13は、図12に示した電子機器100に適用される液晶パネルPNLの一構成例を示す平面図である。
図14図14は、図13に示した液晶パネルPNLの折り曲げ状態を示す断面図である。
図15図15は、カメラ30に重畳する液晶素子LCDの一構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態の表示装置DSPの一構成例を示す分解斜視図である。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第1方向X及び第2方向Yは、表示装置DSPを構成する基板の主面と平行な方向に相当し、第3方向Zは、表示装置DSPの厚さ方向に相当する。
【0009】
表示装置DSPは、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2と、液晶パネルPNLと、光学シートOSと、導光板LGと、光源EMと、反射シートRSと、を備えている。反射シートRS、導光板LG、光学シートOS、第1偏光板PL1、液晶パネルPNL、及び、第2偏光板PL2は、この順に第3方向Zに沿って並んでいる。複数の光源EMは、第1方向Xに沿って間隔をおいて並んでいる。第1偏光板PL1、第2偏光板PL2、及び、液晶パネルPNLは、第3方向Zに沿って進行する光に対して、光学的なスイッチ機能を備えた液晶素子LCDを構成している。このような液晶素子LCDは、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面内の領域毎に、透光または遮光する機能を発揮するものである。
このような表示装置DSPを組み込んだ電子機器100は、カメラ1を備えている。
【0010】
液晶パネルPNLは、例えばX-Y平面と平行な平板状に形成されている。液晶パネルPNLは、第1偏光板PL1と第2偏光板PL2との間に設けられている。液晶パネルPNLは、画像を表示する表示部DAと、表示部DAを囲む額縁状の非表示部NDAと、を備えている。本実施形態では、液晶パネルPNLが第3方向Zにおいてカメラ1に重畳しており、特に、表示部DAがカメラ1に重畳している。液晶パネルPNLの詳細な構成について、ここでは説明を省略するが、液晶パネルPNLは、基板主面に沿った横電界を利用する表示モード、基板主面の法線に沿った縦電界を利用する表示モード、基板主面に対して斜め方向に傾斜した傾斜電界を利用する表示モード、さらには、上記の横電界、縦電界、及び、傾斜電界を適宜組み合わせて利用する表示モードに対応したいずれの構成を備えていてもよい。ここでの基板主面とは、X-Y平面と平行な面である。
【0011】
第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、液晶パネルPNLに対して、少なくとも表示部DAに重畳するように配置されている。また、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、第3方向Zにおいて、カメラ1に重畳している。
【0012】
導光板LGは、光源EMに対向する側面SAと、側面SAの反対側の側面SBと、液晶パネルPNLに対向する主面SCと、主面SCの反対側の主面SDと、第1貫通孔TH1と、を有している。第1貫通孔TH1は、第2方向Yにおいて、側面SAと側面SBとの間に位置し、側面SAよりも側面SBに近接している。カメラ1は、第3方向Zにおいて、第1貫通孔TH1に重畳している。
【0013】
複数の光学シートOSは、導光板LGと液晶パネルPNLとの間に設けられ、主面SCに対向している。光学シートOSの各々は、第1貫通孔TH1に重畳する第2貫通孔TH2を有している。光学シートOSは、例えば、プリズムシートや拡散シートである。
【0014】
反射シートRSは、主面SDに対向している。つまり、導光板LGは、反射シートRSと光学シートOSとの間に設けられている。反射シートRSは、第1貫通孔TH1に重畳する第3貫通孔TH3を有している。第3貫通孔TH3、第1貫通孔TH1、及び、第2貫通孔TH2は、第3方向Zに沿ってこの順に並び、同一直線上に設けられている。反射シートRSは、例えば金属からなるフレームに固定されていてもよい。その場合、フレームにも第1貫通孔TH1に重畳する貫通孔を設けてもよい。
【0015】
光源EMは、例えば、発光ダイオード(LED)であり、白色の照明光を出射する。光源EMから出射される照明光は、側面SAから入射し、導光板LGの内部を進行する。そして、導光板LGによって導光された照明光は、主面SCから液晶パネルPNLに向かって出射され、液晶パネルPNLを照明する。液晶パネルPNL、第1偏光板PL1、及び、第2偏光板PL2は、表示部DAにおいて、照明光を選択的に透過することで、画像を表示する。
【0016】
図2は、図1に示した表示装置DSP及びカメラ1を含む断面図である。液晶パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCと、シールSEと、を備えている。シールSEは、非表示部NDAに設けられ、第1基板SUB1と第2基板SUB2とを接着するとともに、液晶層LCを封止している。
以下、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の主要部について、簡単に説明する。第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と、配向膜AL1と、を備えている。第2基板SUB2は、第2絶縁基板20と、カラーフィルタ層CFと、遮光層BMAと、透明層OCと、配向膜AL2と、を備えている。
【0017】
第1絶縁基板10及び第2絶縁基板20は、ガラス基板や可撓性の樹脂基板などの透明基板である。配向膜AL1及びAL2は、液晶層LCに接している。カラーフィルタ層CF、遮光層BMA、及び、透明層OCは、第2絶縁基板20と液晶層LCとの間に設けられている。遮光層BMAは、非表示部NDAに設けられている。表示部DAと非表示部NDAとの境界Bは、遮光層BMAの内側端に相当する。シールSEは、遮光層BMAと重畳する位置に設けられている。カラーフィルタ層CFの詳細については、ここでは省略するが、例えば、カラーフィルタ層CFは、赤色、緑色、青色のそれぞれのカラーフィルタを備えている。透明層OCは、カラーフィルタ層CF及び遮光層BMAを覆っている。透明層OCは、例えば、透明な有機絶縁膜である。
【0018】
本実施形態において、表示部DAは、カラーフィルタ層CFが配置された領域A1と、カラーフィルタ層CFが配置されていない領域A2と、を有している。透明層OCは、領域A1及び領域A2に亘って配置され、領域A1においてはカラーフィルタ層CFに接し、領域A2においては第2絶縁基板20に接している。カメラ1と表示部DAとの位置関係に着目すると、カメラ1は、領域A2に重畳している。つまり、カラーフィルタ層CFは、カメラ1に重畳していない。
【0019】
第1偏光板PL1は、第1絶縁基板10に接着されている。第2偏光板PL2は、第2絶縁基板20に接着されている。第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、領域A1及び領域A2に亘って配置され、カメラ1に重畳している。なお、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2は、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層などを備えていてもよい。
例えば、第2偏光板PL2または第1偏光板PL1に、超複屈折フィルムを備えることも可能である。超複屈折フィルムは、直線偏光が入射したときに透過光を非偏光化(自然光化)する。このため、被写体に偏光を発するものが含まれていても違和感なく撮影が可能となる。例えば、カメラ1の被写体に液晶表示装置等が映り込んだ場合に、液晶表示装置からは直線偏光が出射されているので、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2と、被写体となっている液晶表示装置の偏光板との角度の関係で、カメラ1に入射する被写体(液晶表示装置)の明るさが変化し、撮影時に違和感を生ずるおそれがある。しかしながら、第2偏光板PL2または第1偏光板PL1に超複屈折フィルムを備えることで、違和感を生じさせる明るさの変化を抑えることが可能である。
超複屈折性を示すフィルムとしては、例えば東洋紡(株)のコスモシャイン(登録商標)などが好適に用いられる。ここで超複屈折性とは、可視域、例えば波長が550nmの光に対して、800nm以上の面内方向のリタデーションに相当する。
【0020】
第1貫通孔TH1、第2貫通孔TH2、及び、第3貫通孔TH3は、互いに重畳し、液晶パネルPNLの下方に開放されたスペースSPを形成している。カメラ1は、第1貫通孔TH1等によって形成されたスペースSPに設けられている。カメラ1は、例えば、少なくとも1つのレンズを含む光学系2と、イメージセンサ(撮像素子)3と、ケース4と、を備えている。ケース4は、光学系2及びイメージセンサ3を収容している。光学系2は、液晶パネルPNLとイメージセンサ3との間に設けられており、カメラ1は液晶パネルPNLを介して受光可能である。カメラ1は、配線基板Fに電気的に接続されている。なお、カメラ1は、必ずしも第1貫通孔TH1内に設けられる必要はなく、スペースSPの外側に設けられていてもよい。いずれにしても、カメラ1は、第3方向Zにおいて第1貫通孔TH1に重畳する位置に設けられていればよい。本実施形態では、第1貫通孔TH1に重畳するカメラ1を設けた例について説明したが、第1貫通孔TH1及び光学系2を通して照射された光を受光して電気信号を出力する受光素子が第1貫通孔TH1に重畳していてもよい。
【0021】
本実施形態によれば、カメラ1は、液晶パネルPNLの表示部DAに重畳している。このため、非表示部NDAにカメラ1を設置するためのスペースを設ける必要がない。したがって、カメラ1が非表示部NDAに重畳している場合、あるいは、カメラ1が表示部DAに重畳することなくカメラ1及び液晶パネルPNLが第2方向Yに並んで配置された場合と比較して、表示部DAを拡大することができ、非表示部NDAの額縁幅を縮小することができる。
【0022】
また、カメラ1がカラーフィルタ層CFに重畳していないため、液晶パネルPNLを介してカメラ1に入射した光は、カラーフィルタ層CFの影響をほとんど受けない。このため、カラーフィルタ層CFによる不所望な吸収や色付きを抑制することができる。
【0023】
なお、図2に示した例では、カラーフィルタ層CFは、第2基板SUB2に設けられたが、第1基板SUB1に設けられていてもよい。また、カラーフィルタ層CFは、他の観点では、領域A2に設けられてもよい。
【0024】
図3は、図1に示した液晶パネルPNLの一構成例を示す平面図である。図3において、液晶層LC及びシールSEは、互いに異なる斜線で示している。表示部DAは、ノッチ部を含まない略四角形の領域であり、シールSEで囲まれた内側に位置している。平面視で、領域A2は、一点鎖線で示す略円形状に形成され、カメラ1に重畳している。なお、図3において、カメラ1の外形を点線で示している。領域A2については後に詳述する。
【0025】
カラーフィルタ層CFが領域A1に設けられ、領域A2には設けられない場合、領域A1はカラー表示が可能な領域に相当し、領域A2はモノクロ表示が可能な領域に相当する。領域A2では、白(または透明)表示から黒表示までの段階的な表示が可能であり、中間調(グレー)の表示も可能である。なお、カラーフィルタ層CFが領域A2に設けられた場合、領域A2も、領域A1と同様にカラー表示が可能である。
【0026】
液晶パネルPNLは、領域A1において、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された画素PXを備えている。画素PXは、カメラ1に重畳していない。図3において拡大して示すように、各画素PXは、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT)によって構成され、走査線G及び信号線Sと電気的に接続されている。画素電極PEは、スイッチング素子SWと電気的に接続されている。画素電極PEの各々は、共通電極CEと対向している。液晶層LCは、画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって駆動される。容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0027】
配線基板5は、第1基板SUB1の延出部Exに実装されている。ICチップ6は、配線基板5に電気的に接続されている。なお、ICチップ6は、延出部Exに実装されてもよい。ICチップ6は、例えば、画像表示に必要な信号を出力するディスプレイドライバなどを内蔵している。配線基板5は、折り曲げ可能なフレキシブルプリント回路基板である。
【0028】
図4は、図3に示した画素PXを含む液晶素子LCDの断面図である。ここでは、横電界を利用する表示モードに対応した液晶パネルPNLを備えた液晶素子LCDについて説明する。液晶パネルPNLは、第1偏光板PL1と第2偏光板PL2との間に設けられている。
【0029】
第1基板SUB1は、第1絶縁基板10と配向膜AL1との間に、絶縁膜11及び12と、共通電極CEと、画素電極PEと、を備えている。なお、図3に示した走査線、信号線、及び、スイッチング素子は、例えば、第1絶縁基板10と共通電極CEとの間に設けられている。共通電極CEは、絶縁膜11の上に設けられ、絶縁膜12によって覆われている。画素電極PEは、絶縁膜12の上に設けられ、配向膜AL1によって覆われている。画素電極PEは、絶縁膜12を介して、共通電極CEと対向している。共通電極CE及び画素電極PEは、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。絶縁膜11は、詳述しないが、無機絶縁膜及び有機絶縁膜を含んでいる。絶縁膜12は、例えば、シリコン窒化物等の無機絶縁膜である。
【0030】
第2基板SUB2において、遮光層BMBは、図2を参照して説明した非表示部NDAの遮光層BMAと一体的に形成されている。カラーフィルタ層CFは、赤色のカラーフィルタCFR、緑色のカラーフィルタCFG、及び、青色のカラーフィルタCFBを含んでいる。カラーフィルタCFGは、画素電極PEと対向している。他のカラーフィルタCFR及びCFBも、それぞれ図示しない他の画素電極PEと対向している。
【0031】
液晶素子LCDを駆動する駆動部DRは、例えば、図3に示した走査線Gと電気的に接続された走査線駆動回路、及び、信号線Sと電気的に接続された信号線駆動回路を含んでいる。駆動部DRは、各画素PXに対して、画像表示に必要な信号を出力し、液晶素子LCDの透過率を制御する。液晶素子LCDの透過率は、液晶層LCに印加される電圧の大きさに応じて制御される。
【0032】
例えば、画素PXにおいて、液晶層LCに電圧が印加されていないオフ状態では、液晶層LCに含まれる液晶分子LMは、配向膜AL1及びAL2の間で所定の方向に初期配向している。このようなオフ状態では、図1に示した光源EMから画素PXに導光された光は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2によって吸収される。このため、液晶素子LCDは、オフ状態の画素PXにおいて、黒を表示する。
一方、液晶層LCに電圧が印加されたオン状態では、液晶分子LMは、画素電極PEと共通電極CEとの間に形成された電界により初期配向方向とは異なる方向に配向し、その配向方向は電界によって制御される。このようなオン状態では、画素PXに導光された光の一部は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を透過する。このため、液晶素子LCDは、オン状態の画素PXにおいて、カラーフィルタ層CFに応じた色を表示する。
上記の例は、オフ状態で黒を表示する所謂ノーマリーブラックモードに相当するが、オン状態で黒を表示する(オフ状態で白を表示する)ノーマリーホワイトモードが適用されてもよい。
【0033】
図5は、カメラ1に重畳する液晶素子LCDの一構成例を示す平面図である。液晶素子LCDは、カメラ1に重畳する領域A2として、3つの領域A21乃至A23を有している。領域A21及びA22は、それぞれ環状に形成されている。領域A23は、ほぼ円形状に形成されている。領域A22は領域A21の内側に隣接し、領域A23は領域A22の内側に隣接している。3つの領域A21乃至A23は、カメラ1の光軸OXを中心としてほぼ等方的に形成される。なお、領域A2は、4つ以上の領域に分割されてもよいし、2つの領域に分割されてもよい。また、環状の例として、外形が真円である場合を示しているが、外形が楕円等の真円以外の形状であってもよい。
カメラ1は、図2を参照して説明したように、導光板LGの第1貫通孔TH1に設けられており、3つの領域A21乃至A23はいずれも第1貫通孔TH1に重畳している。カメラ1の外形は点線で示し、第1貫通孔TH1は一点鎖線で示している。
【0034】
制御電極CT1は、領域A21に設けられ、概略環状に形成されている。制御電極CT2は、領域A22に設けられ、概略環状に形成されている。制御電極CT3は、領域A23に設けられ、概略円形状に形成されている。
【0035】
走査線G1は、領域A1においては、第1方向Xに沿って延出している。信号線S1は、領域A1においては、第2方向Yに沿って延出している。走査線G1及び信号線S1は、領域A21(あるいは制御電極CT1)の外縁部に沿って円弧状に形成されており、領域A21乃至A23には重畳しない。
スイッチング素子SW1は、走査線G1及び信号線S1の交差部に設けられ、走査線G1及び信号線S1と電気的に接続されている。制御電極CT1は、スイッチング素子SW1と電気的に接続されている。
【0036】
走査線G2は、第1方向Xに沿って延出し、領域A21と交差している。信号線S2は、第2方向Yに沿って延出し、領域A21と交差している。つまり、走査線G2の一部、及び、信号線S2の一部は、制御電極CT1に重畳している。また、走査線G2及び信号線S2は、領域A22(あるいは制御電極CT2)の外縁部に沿って円弧状に形成されており、領域A22及びA23には重畳しない。また、走査線G2及び信号線S2は、領域A21及びA22の間(あるいは制御電極CT1及びCT2の間)に設けられている。
スイッチング素子SW2は、走査線G2及び信号線S2の交差部に設けられ、走査線G2及び信号線S2と電気的に接続されている。制御電極CT2は、スイッチング素子SW2と電気的に接続されている。
【0037】
走査線G3は、第1方向Xに沿って延出し、領域A21及びA22と交差している。信号線S3は、第2方向Yに沿って延出し、領域A21及びA22と交差している。つまり、走査線G3の一部、及び、信号線S3の一部は、制御電極CT1及びCT2に重畳している。また、走査線G3及び信号線S3は、領域A23(あるいは制御電極CT3)の外縁部に沿って円弧状に形成されており、領域A23には重畳しない。また、走査線G3及び信号線S3は、領域A22及びA23の間(あるいは制御電極CT2及びCT3の間)に設けられている。
スイッチング素子SW3は、走査線G3及び信号線S3の交差部に設けられ、走査線G3及び信号線S3と電気的に接続されている。制御電極CT3は、スイッチング素子SW3と電気的に接続されている。
【0038】
図示した例では、走査線G1及びG3は、同一側(走査線G2から離間する側)に凸の半円形状に形成され、走査線G2は、走査線G3とは反対側(走査線G3から離間する側)に凸の半円形状に形成されている。これにより、走査線G1乃至G3は、領域A2において交差しない。
また、信号線S1及びS3は、同一側(信号線S2から離間する側)に凸の半円形状に形成され、信号線S2は、信号線S3とは反対側(信号線S3から離間する側)に凸の半円形状に形成されている。これにより、信号線S1乃至S3は、領域A2において交差しない。
【0039】
走査線G1に着目すると、領域A1の画素PX11において、走査線G1は、信号線S11と交差している。信号線S11は、領域A2とは交差しない。スイッチング素子SW11は、走査線G1及び信号線S11の交差部に設けられ、走査線G1及び信号線S11と電気的に接続されている。画素電極PE11は、スイッチング素子SW11と電気的に接続されている。他の走査線G2及びG3についても、領域A1の各画素PXでは、画素PX11と同様に構成されている。
信号線S1に着目すると、領域A1の画素PX21において、信号線S1は、走査線G21と交差している。走査線G21は、領域A2とは交差しない。スイッチング素子SW21は、走査線G21及び信号線S1の交差部に設けられ、走査線G21及び信号線S1と電気的に接続されている。画素電極PE21は、スイッチング素子SW21と電気的に接続されている。他の信号線S2及びS3についても、領域A1の各画素PXでは、画素PX21と同様に構成されている。
【0040】
なお、図示した例において、走査線G1、G3、及び、G2が第2方向Yに沿ってこの順に並んでいるが、並び順はこの例に限らない。また、走査線G1と走査線G3との間、あるいは、走査線G3と走査線G2との間に、他の走査線が介在していてもよい。
同様に、信号線S1、S3、及び、S2が第1方向Xに沿ってこの順に並んでいるが、並び順はこの例に限らない。また、信号線S1と信号線S3との間、あるいは、信号線S3と信号線S2との間に他の信号線が介在していてもよい。
【0041】
図6は、図5に示した制御電極CT1乃至CT3の一構成例を示す平面図である。
制御電極CT1は、環状のベース電極B11及びB12と、複数の帯電極P1と、を備えている。ベース電極B12は、ベース電極B11の内側に設けられている。帯電極P1の各々は、ベース電極B11及びB12の間に設けられ、ベース電極B11及びB12に接続されている。
制御電極CT2は、環状のベース電極B21及びB22と、複数の帯電極P2と、を備えている。ベース電極B22は、ベース電極B21の内側に設けられている。帯電極P2の各々は、ベース電極B21及びB22の間に設けられ、ベース電極B21及びB22に接続されている。
制御電極CT3は、環状のベース電極B31と、複数の帯電極P3と、を備えている。帯電極P3の各々は、ベース電極B31の内側に設けられ、ベース電極B31に接続されている。
図示した例では、帯電極P1、ベース電極B11及びB12は一体的に形成され、帯電極P2、ベース電極B21及びB22は一体的に形成され、帯電極P3、ベース電極B31及びB32は一体的に形成されている。
【0042】
図7は、図6に示した制御電極CT1乃至CT3を拡大して示す平面図である。
帯電極P1乃至P3は、いずれも波状に形成され、概ね第2方向Yに沿って延出している。また、帯電極P1乃至P3は、第1方向Xに沿って等ピッチPT1で並んでいる。
一方、画素電極PE11は、複数の帯電極PAを備えている。帯電極PAの形状は、帯電極P1の形状と同様であり、第1方向Xに沿ってピッチPT2で並んでいる。ピッチPT2は、ピッチPT1と同等である。帯電極P1乃至P3、及び、帯電極PAのそれぞれの延出方向は、走査線G1の延出方向(第1方向X)に対して斜めに交差する方向である。また、帯電極P1乃至P3の延出方向は、帯電極PAの延出方向と平行である。
【0043】
図4に示した遮光層BMBは、領域A2にも設けられている。図示した例では、平面視で、遮光層BMBは、ベース電極B11、ベース電極B12及びB21、及び、ベース電極B22及びB31にそれぞれ重畳し、帯電極P1乃至P3の一部にも重畳している。
【0044】
図8は、図5に示した領域A21及びA22を含む液晶素子LCDの断面図である。
第1基板SUB1において、絶縁膜11及び12、共通電極CE、及び、配向膜AL1は、図4に示した画素PXから領域A21及びA22に亘って延出している。つまり、共通電極CEはカメラ1と液晶層LCとの間に設けられ、絶縁膜12は共通電極CEと液晶層LCとの間に設けられている。図7に示したベース電極B11及びB12、及び、帯電極P1を含む制御電極CT1は、絶縁膜12と液晶層LCとの間に設けられ、共通電極CEに重畳している。また、ベース電極B21及びB22、及び、帯電極P2を含む制御電極CT2も、絶縁膜12と液晶層LCとの間に設けられ、共通電極CEに重畳している。制御電極CT1及びCT2は、図4に示した画素電極PEと同一層に設けられ、画素電極PEと同一材料である透明な導電材料によって形成されている。制御電極CT1及びCT2は、配向膜AL1によって覆われている。図示しない制御電極CT3についても、制御電極CT1と同様に構成されている。
第2基板SUB2においては、カラーフィルタ層が設けられていない。すなわち、透明層OCは、制御電極CT1及びCT2の直上において、第2絶縁基板20に接している。遮光層BMBは、制御電極CT1及びCT2の間に設けられ、その一部が制御電極CT1及びCT2と重畳している。
【0045】
領域A21及びA22における透過率は、図4に示した画素PXと同様に、駆動部DRにより制御される。すなわち、液晶素子LCDは、液晶層LCに電圧が印加されていないオフ状態の領域A21及びA22において、画素PXと同様に、最小透過率を有し、黒を表示する。つまり、液晶素子LCDは、領域A21及びA22において、遮光機能を発揮する。
【0046】
一方、液晶層LCに電圧が印加されたオン状態では、領域A21及びA22の液晶分子LMは、初期配向方向とは異なる方向に配向し、その配向方向は電界によって制御される。つまり、領域A21の液晶分子LMの配向方向は、制御電極CT1と共通電極CEとの間に形成された電界によって制御される。また、領域A22の液晶分子LMの配向方向は、制御電極CT2と共通電極CEとの間に形成された電界によって制御される。同様に、領域A23の液晶分子LMの配向方向は、制御電極CT3と共通電極CEとの間に形成された電界によって制御される。
このようなオン状態では、領域A21及びA22に導光された光の一部は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2を透過する。液晶素子LCDは、オン状態の領域A21及びA22において、最大透過率の場合に、白を表示する、あるいは、透明状態となる。また、液晶素子LCDは、最小透過率と最大透過率との間の中間透過率となるように制御された場合に、グレーを表示する場合もありうる。つまり、液晶素子LCDは、領域A21及びA22において、透光機能を発揮する。図示しない領域A23の透過率についても、領域A21と同様に制御される。
【0047】
図9は、領域A2に設けられる遮光層BMBの一構成例を示す平面図である。遮光層BMBは、領域A21の外縁部に沿って設けられている。また、遮光層BMBは、領域A21の内縁部及び領域A22の外縁部に跨って設けられている。さらに、遮光層BMBは、領域A22の内縁部及び領域A23の外縁部に跨って設けられている。
遮光層BMBは、領域A21の外側において走査線G1及び信号線S1と重畳し、領域A21において走査線G2及びG3、信号線S2及びS3、及び、スイッチング素子SW1と重畳している。遮光層BMBは、領域A22において、走査線G3、信号線S3、及び、スイッチング素子SW2と重畳している。遮光層BMBは、領域A23において、スイッチング素子SW3と重畳している。
【0048】
このような液晶素子LCDは、領域A21乃至A23毎に透光または遮光することにより、カメラ1のシャッターとして機能することができる。すなわち、カメラ1が光を取り込み可能な状態において領域A21乃至A23のすべてがオフ状態に設定され、撮影に必要な時間だけ、領域A21乃至A23の少なくとも1つがオン状態にスイッチされことで、液晶素子LCDに入射した光がカメラ1に取り込まれる。
【0049】
また、液晶素子LCDは、領域A21乃至A23毎に透光または遮光することにより、カメラ1に入射する光量を調整する絞りとして機能することができる。例えば、領域A21乃至A23のすべてがオン状態である第1絞り、領域A21がオフ状態であり領域A22及びA23がオン状態である第2絞り、及び、領域A21及びA22がオフ状態であり領域A23がオン状態である第3絞りを実現することができる。第1絞りの場合に、透光する光量あるいは透光する領域の面積が最大となる。また、第3絞りの場合に、透光する光量あるいは透光する領域の面積が最小となる。なお、領域A21乃至A23のすべてがオフ状態である場合には、透光する光量はほぼゼロである。透光する領域の面積が小さいほど、カメラ1に入射する光線が制限され、光学系2における収差の影響を低減することができ、鮮鋭度を向上することができ、さらには、焦点深度を大きくすることもできる。つまり、透光する領域の面積を調整することにより、被写体の明るさ、鮮鋭度、焦点深度などを調整することができる。また、周囲の明るさに応じてカメラ1に取り込む光の量を調整することができ、明るい場所でも暗い場所でも鮮明な写真を撮影することができる。
【0050】
また、領域A2の各制御電極CT1乃至CT3は、第1基板SUB1において画素電極PEと同様に構成されている。しかも、各制御電極CT1乃至CT3は、スイッチング素子を介して信号線と電気的に接続されているため、画素電極PEに映像信号を書き込むのと同様に、ICチップ6あるいはディスプレイドライバからの信号によって制御される。このため、新たな周辺装置の追加が抑制され、低コスト化、コンパクト化、及び、軽量化が可能となる。加えて、複数のカメラを用いることなく、光学特性を可変することができ、単体のカメラ1のみで、光学特性の異なる情報を取得することができ、より高品位な写真の撮影が可能となる。
【0051】
また、制御電極CT1乃至CT3における帯電極P1乃至P3の延出方向は、画素電極PEにおける帯電極PAの延出方向と平行である。このため、領域A1及びA2の双方に亘って配置される第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2により、画素PXの黒表示及びカラー表示のスイッチングが可能であるとともに、領域A21乃至A23の遮光及び透光のスイッチングが可能となる。
【0052】
図10は、図5に示した制御電極CT1乃至CT3、及び、共通電極CEの他の構成例を示す平面図である。
図6に示した例と同様に、制御電極CT1は、ベース電極B11及びB12と、複数の帯電極P1と、を備えている。制御電極CT2は、ベース電極B21及びB22と、複数の帯電極P2と、を備えている。制御電極CT3は、ベース電極B31と、複数の帯電極P3と、を備えている。
【0053】
共通電極CEは、環状のベース電極B41と、複数の帯電極P4と、を備えている。帯電極P4は、ベース電極B41の内側に設けられ、ベース電極B41と一体的に形成されている。帯電極P4の形状は、帯電極P1の形状と同様である。平面視で、帯電極P1及びP4は、交互に並んでいる。同様に、帯電極P2及びP4も交互に並び、帯電極P3及びP4も交互に並んでいる。帯電極P1のピッチ、帯電極P2のピッチ、帯電極P3のピッチ、及び、帯電極P4のピッチは、いずれも等しい。
帯電極P4は、制御電極CT1と重畳する領域において、隣接する帯電極P1のほぼ中間に位置している。同様に、帯電極P4は、制御電極CT2と重畳する領域において、隣接する帯電極P2のほぼ中間に位置している。帯電極P4は、制御電極CT3と重畳する領域において、隣接する帯電極P3のほぼ中間に位置している。
【0054】
なお、ここに示す共通電極CEは、図4に示した画素PXの共通電極CEとは電気的に絶縁されていてもよいし、画素PXの共通電極CEと一体的に形成されていてもよい。
【0055】
図11は、図10に示した制御電極CT1及び共通電極CEを含む液晶素子LCDの断面図である。
第1基板SUB1において、共通電極CEはカメラ1と液晶層LCとの間に設けられ、絶縁膜12は共通電極CEと液晶層LCとの間に設けられ、制御電極CT1は絶縁膜12と液晶層LCとの間に設けられている。制御電極CT1の帯電極P1、及び、共通電極CEの帯電極P4は、第1方向Xに沿って交互に並んでいる。
【0056】
制御電極CT1は、図5を参照して説明したように、スイッチング素子SW1を介して信号線S1と電気的に接続されている。共通電極CEは、スイッチング素子SW4を介して信号線S4と電気的に接続されている。信号線S1及び信号線S4の位置関係については、特に限定されるものではないが、第1方向Xに沿って隣接する場合がある。例えば、信号線S1から供給される映像信号の極性は、信号線S4から供給される映像信号の極性とは逆である。図示した構成例において、信号線S1から制御電極CT1に供給される電圧の極性は、信号線S4から共通電極CEに供給される電圧の極性とは逆極性である。これにより、制御電極CT1と共通電極CEとの間により大きな電位差を形成することができる。
【0057】
このような構成例によれば、上記の構成例と同様の効果が得られる。また、帯電極P1及びP4のピッチが図7を参照して説明した帯電極PAのピッチPT2より大きい場合であっても、液晶分子LMの配向方向を制御するのに十分大きな電界を形成することができる。換言すると、領域A2において隣接する帯電極の間隔は、画素PXにおいて隣接する帯電極の間隔よりも拡大することができる。これにより、カメラ1に重畳する領域A2における光の回折を抑制することができ、より高品位な写真の撮影が可能となる。
【0058】
次に、他の実施形態について説明する。
図12は、他の実施形態の電子機器100を示す平面図である。図12の(A)は、電子機器100の正面側を示す平面図である。図3に示した構成例と同様に、カメラ1は、表示部DAに重畳している。カメラ1は、電子機器100の正面側を撮影するものである。図12の(B)は、電子機器100の背面側を示す平面図である。背面側には、正面側のカメラ1とは別のカメラ30が設けられている。カメラ30は、電子機器100の背面側を撮影するものである。なお、背面側には、複数のカメラ30が設けられる場合もありうる。
【0059】
図13は、図12に示した電子機器100に適用される液晶パネルPNLの一構成例を示す平面図である。液晶パネルPNLは、折り曲げ可能なフレキシブルディスプレイであるが、図13に示した平面図では、折り曲げられていない状態を示している。液晶パネルPNLは、折り曲げ部BDを有している。液晶パネルPNLは、折り曲げられた際に、カメラ30に重畳する領域A3を有している。領域A3は、領域A2と同様に構成され、液晶層LCを含むものである。つまり、折り曲げ部BDは、領域A2と領域A3との間に位置している。液晶パネルPNLは、領域A2と領域A3との間で折り曲げられる。
【0060】
図14は、図13に示した液晶パネルPNLの折り曲げ状態を示す断面図である。なお、ここでは光学シート及び反射シートの図示を省略するが、光学シート及び反射シートは、折り曲げ部BDよりもカメラ30に近接する側には設けられていない。液晶パネルPNLは、領域A2と領域A3との間で折り曲げられている。第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2も、液晶パネルPNLと同様に折り曲げられている。カメラ1及びカメラ30は、折り曲げられた第1偏光板PL1の内側に設けられている。カメラ1は領域A2に重畳し、カメラ30は領域A30に重畳している。また、カメラ1及びカメラ30の各々は、第1偏光板PL1及び第2偏光板PL2、及び、液晶パネルPNLに重畳している。カメラ1によって受光される光L1の進行方向は、カメラ30によって受光される光L30の進行方向とは逆である。
【0061】
図15は、カメラ30に重畳する液晶素子LCDの一構成例を示す平面図である。液晶素子LCDは、カメラ30に重畳する領域A3として、3つの領域A31乃至A33を有している。領域A31及びA32は、それぞれ環状に形成されている。領域A33は、ほぼ円形状に形成されている。領域A32は領域A31の内側に隣接し、領域A33は領域A32の内側に隣接している。なお、領域A3は、4つ以上の領域に分割されてもよいし、2つの領域に分割されてもよい。領域A31乃至A33は、図5に示した領域A21乃至A23と同様に構成されている。以下に、各領域について簡単に説明する。
【0062】
スイッチング素子SW31は、走査線G31及び信号線S31と電気的に接続されている。制御電極CT31は、領域A31に設けられ、スイッチング素子SW31と電気的に接続されている。スイッチング素子SW32は、走査線G32及び信号線S32と電気的に接続されている。制御電極CT32は、領域A32に設けられ、スイッチング素子SW32と電気的に接続されている。スイッチング素子SW33は、走査線G33及び信号線S33と電気的に接続されている。制御電極CT33は、領域A33に設けられ、スイッチング素子SW33と電気的に接続されている。制御電極CT31乃至CT33は、例えば、図6と同様に構成されている。
【0063】
このような他の実施形態によれば、上記の実施形態と同様の効果が得られる。加えて、液晶素子LCDは、カメラ1及び30の双方のシャッター機能あるいは絞り機能を実現することができる。これにより、メカニカルなシャッター機構あるいはメカニカルな絞り機構を備える電子機器と比較して、薄型化及び軽量化が可能となる。
【0064】
以上説明したように、本実施形態によれば、表示部を拡大することが可能な電子機器を提供することができる。また、鮮明な写真を撮影することが可能な電子機器を提供することができる。
【0065】
本実施形態において、例えば、カメラ1は第1カメラに相当し、偏光板PL1は第1偏光板に相当し、偏光板PL2は第2偏光板に相当し、走査線G1は第1走査線に相当し、信号線S1は第1信号線に相当し、スイッチング素子SW1は第1スイッチング素子に相当し、制御電極CT1は第1制御電極に相当し、領域A21は第1領域に相当し、ベース電極B11は第1ベース電極に相当し、帯電極P1は第1帯電極に相当し、帯電極P4は第2帯電極に相当し、帯電極PAは第3帯電極に相当する。
また、カメラ30は第2カメラに相当し、走査線G31は第2走査線に相当し、信号線S31は第2信号線に相当し、スイッチング素子SW31は第2スイッチング素子に相当し、制御電極CT31は第2制御電極に相当し、領域A31は第2領域に相当する。
【0066】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
100…電子機器
DSP…表示装置 LCD…液晶素子 PNL…液晶パネル PL1…第1偏光板 PL2…第2偏光板
1…カメラ 30…カメラ
G…走査線 S…信号線 SW…スイッチング素子 CT…制御電極 CE…共通電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15