(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ホットシューアダプタ
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20221212BHJP
H01R 31/06 20060101ALI20221212BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20221212BHJP
【FI】
G03B17/56 J
H01R31/06 Z
G03B15/00 U
(21)【出願番号】P 2018245104
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】▲配▼島 康仁
(72)【発明者】
【氏名】高橋 清泰
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-130783(JP,A)
【文献】特開2014-086235(JP,A)
【文献】特開2017-117856(JP,A)
【文献】特開2009-065395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/00
H01R 31/06
H05K 5/222- 5/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラに装着可能なホットシューアダプタであって、
前記カメラのホットシューに挿入される嵌合舌片が下面に形成され、ケーブルを接続する為のコネクタが形成された側面に設けられた鈎部材を具備し、該鈎部材は前記側面の底辺から突出すると共に湾曲しつつ上方に立上がるホルダ部を有し、該ホルダ部は前記コネクタに接続された前記ケーブルの雄コネクタを保持する様構成されたホットシューアダプタ。
【請求項2】
前記鈎部材は、前記ホルダ部から前記側面と平行に延出する案内部と、該案内部の前記側面と対峙する面に、前記案内部の先端部から基部に向ってテーパ状に隆起し、テーパの終端で鋭角に立下がる回り止とを更に有し、該回り止は、前記雄コネクタのネック部を回転させた際の回転経路内に突出する様構成した請求項1に記載のホットシューアダプタ。
【請求項3】
前記ホルダ部は、上方に立上がりつつ前記側面に向って更に湾曲し、前記ホルダ部の先端に回り止が形成され、該回り止は、前記雄コネクタのネック部を回転させた際の回転経路内に突出する様構成した請求項1に記載のホットシューアダプタ。
【請求項4】
前記鈎部材を挾んで前記側面と隣接する側面に形成され、該隣接する側面の下端より下方に延出する誤挿入防止片を更に具備する請求項1~請求項3のうちのいずれか1項に記載のホットシューアダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラのホットシューに装着されるホットシューアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラの発展、普及に伴い、高精度の画像データを容易に且つ大量に取得可能となっている。更に、画像データの利用が進み、例えば、無人移動体にカメラを搭載し、連続画像を取得し、広範囲に亘る写真測量を行う場合、レーザスキャナで取得した点群データと画像との関連付けを行う場合等、画像データの利用が促進されている。
【0003】
遠隔操作でデジタルカメラによる写真撮影を行う場合、デジタルカメラにシャッタ駆動信号を入力し、更にカメラが実際に画像を取得した際のシャッタタイミング信号を抽出する信号入力用のホットシューアダプタがホットシューに装着される。
【0004】
信号入力用のホットシューアダプタとしては、市販のホットシューアダプタが使用可能である。この場合、デジタルカメラの撮影を制御する制御装置と、ホットシューアダプタとの連結は市販のケーブルが用いられ、このケーブルを介して信号の授受が行われている。
【0005】
市販のケーブルには、ホットシューアダプタと連結可能なコネクタが装備されている。ケーブルとホットシューアダプタとの接続は、ケーブルのコネクタをホットシューアダプタのコネクタに挿入することで可能となっている。
【0006】
一方、カメラが搭載される移動体としては、UAV(無人飛行体)、自動車、建設機械、農業機械等が挙げられる。これらの移動体は、移動や作業に伴い種々の振動を発する。この為、ケーブルのコネクタがホットシューアダプタのコネクタから外れる場合が発生する。
【0007】
ホットシューアダプタから抽出されたシャッタタイミング信号は、画像取得時間、画像取得時の位置情報等と関連付けられ、画像取得位置を特定する為の重要な信号となっている。
【0008】
この為、ケーブルのコネクタがホットシューアダプタのコネクタから外れた場合には、画像の取得位置が特定できず、取得した画像データ、及び関連するデータが無駄になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ケーブルの抜けを抑止可能なホットシューアダプタを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、カメラに装着可能なホットシューアダプタであって、ケーブルを接続する為のコネクタが形成された側面に設けられた鈎部材を具備し、該鈎部材は前記側面の底辺から突出すると共に湾曲しつつ上方に立上がるホルダ部を有し、該ホルダ部は前記コネクタに接続された前記ケーブルの雄コネクタを保持する様構成されたホットシューアダプタに係るものである。
【0011】
又本発明は、前記鈎部材は、前記ホルダ部から前記側面と平行に延出する案内部と、該案内部の前記側面と対峙する面に、前記案内部の先端部から基部に向ってテーパ状に隆起し、テーパの終端で鋭角に立下がる回り止とを更に有し、該回り止は、前記雄コネクタのネック部を回転させた際の回転経路内に突出する様構成したホットシューアダプタに係るものである。
【0012】
又本発明は、前記ホルダ部は、上方に立上がりつつ前記側面に向って更に湾曲し、前記ホルダ部の先端に回り止が形成され、該回り止は、前記雄コネクタのネック部を回転させた際の回転経路内に突出する様構成したホットシューアダプタに係るものである。
【0013】
更に又本発明は、前記鈎部材を挾んで前記側面と隣接する側面に形成され、該隣接する側面の下端より下方に延出する誤挿入防止片を更に具備するホットシューアダプタに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カメラに装着可能なホットシューアダプタであって、ケーブルを接続する為のコネクタが形成された側面に設けられた鈎部材を具備し、該鈎部材は前記側面の底辺から突出すると共に湾曲しつつ上方に立上がるホルダ部を有し、該ホルダ部は前記コネクタに接続された前記ケーブルの雄コネクタを保持する様構成されたので、該雄コネクタの軸心方向の変位が前記鈎部材によって抑止され、前記雄コネクタが前記コネクタから外れるのを抑止することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施例に係るホットシューアダプタが装着されたカメラの斜視図である。
【
図2】(A)は前記ホットシューアダプタの上面斜視図であり、(B)は前記ホットシューアダプタの下面斜視図である。
【
図3】(A)は
図2(A)のA矢視図であり、(B)は
図2(A)のB矢視図である。
【
図4】(A)は
図2(A)のC矢視図であり、(B)は
図2(A)のD矢視図である。
【
図5】前記ホットシューアダプタに対するケーブルの装着を説明する説明図である。
【
図6】前記ホットシューアダプタに対するケーブルの装着を説明する説明図である。
【
図7】本発明の第2の実施例に係るホットシューアダプタに対するケーブルの装着を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0017】
先ず、本発明の第1の実施例について説明する。
図1は、カメラ1にホットシューアダプタ2が装着された状態を示している。尚、
図1に於いて、前記カメラ1のレンズ側を前面とする。
【0018】
又、該カメラ1には、該カメラ1の位置測定用のプリズム3が設けられている。更に、前記ホットシューアダプタ2にはケーブル4が接続されている。
【0019】
前記ホットシューアダプタ2は、ホットシュー5に装着された時に、該ホットシュー5に設けられた接点(図示せず)と接続可能な接点(後述)を有している。又、前記ホットシューアダプタ2の側面には、入出力用のコネクタ6を有している。更に、該コネクタ6が形成された側面には、前記ケーブル4の抜けを抑制する為の鈎部材7が設けられている。
【0020】
前記ホットシューアダプタ2について、
図2~
図4を参照して更に説明する。
【0021】
該ホットシューアダプタ2は、所要の弾性を有する合成樹脂製のケースに、信号入出力用のインターフェースユニットが一体に内蔵された構成となっている。前記ホットシューアダプタ2の裏面2aには、嵌合舌片8が形成されている。該嵌合舌片8は、前記ホットシューアダプタ2の裏面2aと平行な板状の嵌合部8aと、該嵌合部8aを前記裏面2aから所定の間隔を空けて支持する支持部8bから構成され、前記嵌合部8aと前記支持部8bとは一体に成形されている。尚、該支持部8bの長手方向中央部には、1対のバネ板8cが設けられ、該バネ板8cは接地用の接点であると共に、左右方向に(前記支持部8bから離反する方向に)付勢されている。又、前記嵌合部8aの中央には、前記ホットシュー5の接点(図示せず)と接続可能な接点9が設けられている。尚、該接点9は、下方に(前記嵌合部8aから離反する方向に)付勢されたプランジャ構造となっている。
【0022】
前記裏面2aと前記嵌合部8aとは嵌合溝を形成し、嵌合溝の間隙は、前記ホットシュー5の厚みよりも僅かに大きくなっている。又、前記嵌合部8aの厚みは、該嵌合部8aを前記ホットシュー5と前記カメラ1との間に形成された装着溝と嵌合できる大きさとなっている。更に、前記支持部8bの幅は、左右の前記ホットシュー5間の間隔よりも僅かに小さくなっている。前記嵌合部8aを前記装着溝に嵌合させた際には、前記接点9が常にテンションをかけ、上下方向を密着状態にすると共に、前記バネ板8cが同時に左右方向にテンションをかけ、左右方向を密着状態にしている。
【0023】
又、前記ホットシューアダプタ2には、側面の下端から下方に延出する誤挿入防止片11が設けられている。該誤挿入防止片11が設けられる位置は、前記鈎部材7を挾んで前記コネクタ6が設けられた側面2bと隣接する側面であり、前記支持部8bの長手方向と交差する側面となっている。
【0024】
前記誤挿入防止片11が設けられることで、前記ホットシューアダプタ2の装着方向が限定され、該ホットシューアダプタ2が誤った方向から前記カメラ1に装着されるのを防止することができる。尚、前記ホットシューアダプタ2は前記嵌合舌片8を前記ホットシュー5の奥まで挿入することにより位置決めされる。前記誤挿入防止片11では位置決めされない。
【0025】
又、前記鈎部材7は、前記誤挿入防止片11が設けられた側面と前記コネクタ6が設けられた前記側面2bとが交差する角の下部(底辺)から水平に突出し、湾曲しつつ上方に立上がり、更に前記側面2bと平行に水平に延出する形状を有している。
【0026】
前記鈎部材7の水平に突出する部分、湾曲部、立上がり部は、前記ケーブル4の雄コネクタ12を保持するホルダ部7aを構成する。
【0027】
又、前記鈎部材7の水平に延出する部分は、棒形状を有し、前記ケーブル4を連結する際の案内部7bを構成する。該案内部7bの前記ホットシューアダプタ2の側面と対峙する面(内面)には、回り止7cが形成されている。該回り止7cは、前記案内部7bの先端部から基部に向ってテーパ状に隆起し、テーパの終端で鋭角(直角を含む)に立下がる形状を有している。尚、前記回り止7cは、前記雄コネクタ12を前記ホットシューアダプタ2に接続し、前記雄コネクタ12のネック部13を回転させた際の回転経路内に突出している。
【0028】
又、
図1に見られる様に、前記鈎部材7は、前記ケーブル4の前記雄コネクタ12を前記コネクタ6に挿脱する際に、前記雄コネクタ12と干渉しない様に、該雄コネクタ12の挿脱経路から外れた形状をしている。
【0029】
次に、
図5、
図6を参照して、本実施例の作用について説明する。
【0030】
図5、
図6は、前記ホットシューアダプタ2を前記カメラ1から外した状態を示しているが、該カメラ1に装着した状態でも同様に実施可能である。
【0031】
前記雄コネクタ12を前記コネクタ6に挿入し、完全に挿入された状態で、前記雄コネクタ12を
図6中、時計回り方向に回転させる。該雄コネクタ12の回転により、前記雄コネクタ12のネック部13が前記鈎部材7を撓ませつつ、前記ホットシューアダプタ2と前記鈎部材7との間に進入する。前記雄コネクタ12は前記鈎部材7に案内され、更に回り止7cを乗越え、前記ネック部13が前記ホルダ部7aに保持される。又、前記ネック部13が前記ホルダ部7aから外れた場合に、前記回り止7cは前記ネック部13が前記案内部7bから外れない様にしている。
【0032】
尚、該ホルダ部7aの内寸を前記ネック部13の外寸よりも若干小さくし、前記鈎部材7の弾性で前記ネック部13に保持力を与える様にしてもよい。
【0033】
前記ケーブル4を接続した状態では、前記雄コネクタ12の軸心方向の変位(該雄コネクタ12が前記コネクタ6から外れる方向の変位)は、前記鈎部材7により抑止される。又、前記雄コネクタ12の反時計回り方向の変位は、前記回り止7cによって抑止され、前記雄コネクタ12が前記ホルダ部7aに保持された状態が維持される。
【0034】
従って、前記ホットシューアダプタ2に振動が作用した場合であっても、前記ケーブル4が前記ホットシューアダプタ2から外れるのを防止することができる。
【0035】
又、前記誤挿入防止片11により、前記ホットシューアダプタ2を前記カメラ1に装着する際の装着方向が限定されるので、装着方向を誤ることがなく、作業性を向上させることができる。
【0036】
又、前記ケーブル4の前記ネック部13が前記ホルダ部7aに保持された状態では、前記ケーブル4は必ず前記プリズム3とは反対方向に延出する。従って、UAV等の移動体に前記カメラ1が搭載された際には、撮像方向に前記ケーブル4が延出し、撮像の妨げになるのを防止することができる。
【0037】
図7は、本発明の第2の実施例を示している。尚、
図7中、
図5中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。
【0038】
第2の実施例では、第1の実施例に於ける鈎部材7(
図5参照)に代えて、鈎部材14を形成している。
【0039】
該鈎部材14は、コネクタ6が設けられた側面2bであって、該側面2bの底辺から底面と平行に突出し、上方に立上がりつつ前記側面2bに向って湾曲し、更に上方に延出する形状を有している。
【0040】
前記鈎部材14の突出する部分、前記側面2bに向って湾曲する部分は、ケーブル4の雄コネクタ12のネック部13を保持するホルダ部14aを構成する。
【0041】
又、前記鈎部材14の前記ホルダ部14aから上方に突起する部分は、回り止14cとなっている。該回り止14cは、前記側面2bと対峙する面が面取りされ、該対峙する面は前記側面2bから離反する様傾斜している。即ち、前記回り止14cは、先端部から基部に向ってテーパ状に隆起し、テーパの終端で鋭角(直角を含む)に立ち下がる形状を有している。尚、前記回り止14cは、前記雄コネクタ12を前記ホットシューアダプタ2に接続し、前記ネック部13を回転させた際の回転経路内に突出している。
【0042】
前記ケーブル4のホットシューアダプタ2への接続は、第1の実施例と同様に、前記雄コネクタ12を前記コネクタ6に挿入し、更に前記雄コネクタ12を時計回り方向に回転させる。該雄コネクタ12を回転させることで、前記ネック部13が前記鈎部材14を撓ませつつ、前記ホットシューアダプタ2と前記鈎部材14との間に進入し前記ネック部13は前記回り止14cを乗越え、前記ホルダ部14aに保持される。
【0043】
第2の実施例に於いても、前記ケーブル4を接続した状態では、前記雄コネクタ12の軸心方向の変位が前記鈎部材14によって抑止され、反時計回り方向の変位は前記回り止14cによって抑止される。従って、前記ホットシューアダプタ2に振動が作用した場合であっても、前記ケーブル4が前記ホットシューアダプタ2から外れるのを防止することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 カメラ
2 ホットシューアダプタ
4 ケーブル
6 コネクタ
7 鈎部材
11 誤挿入防止片
12 雄コネクタ
13 ネック部
14 鈎部材