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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】基材の表面のコーティング方法
(51)【国際特許分類】
   C09C 1/36 20060101AFI20221212BHJP
   C09C 3/06 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
C09C1/36
C09C3/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018535358
(86)(22)【出願日】2017-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2017000015
(87)【国際公開番号】W WO2017118608
(87)【国際公開日】2017-07-13
【審査請求日】2019-10-03
(31)【優先権主張番号】16000024.6
(32)【優先日】2016-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592039299
【氏名又は名称】クローノス インターナショナル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KRONOS INTERNATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】Peschstrasse 5, D-51373 Leverkusen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ノアベアト バイアー
【審査官】仁科 努
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-254560(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104192888(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104069847(CN,A)
【文献】国際公開第1998/026011(WO,A1)
【文献】特表2015-527429(JP,A)
【文献】特開2010-024445(JP,A)
【文献】国際公開第2001/019928(WO,A1)
【文献】特開2004-083904(JP,A)
【文献】特開平11-011948(JP,A)
【文献】特開2017-149946(JP,A)
【文献】特開2016-196542(JP,A)
【文献】特表2015-533758(JP,A)
【文献】特開2007-056214(JP,A)
【文献】特開平09-269014(JP,A)
【文献】特開平08-104824(JP,A)
【文献】特開2012-046404(JP,A)
【文献】特開昭59-172559(JP,A)
【文献】特開昭63-152671(JP,A)
【文献】特開昭55-155059(JP,A)
【文献】特表2011-522910(JP,A)
【文献】特開2006-037090(JP,A)
【文献】特開平10-130527(JP,A)
【文献】特開2005-220008(JP,A)
【文献】米国特許第04375989(US,A)
【文献】中国特許出願公開第1837296(CN,A)
【文献】特公平06-011873(JP,B2)
【文献】特公平02-012504(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/36
C09C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の金属酸化物含有コーティングの質量基準比表面積を減少させる方法であって、溶液中の金属イオンの酸化物換算に対するアニオンのモル比を少なくとも3.5まで増加させることによって、金属イオンと多価アニオンとを含む水溶液から金属酸化物を沈殿させ、かつ、前記基材が、二酸化チタンである無機顔料である、前記方法。
【請求項2】
前記沈殿金属酸化物が酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムおよび酸化ケイ素からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多価アニオンが硫酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、イソアスコルビン酸イオン、およびシュウ酸イオンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物が酸化アルミニウムであり、前記アニオンが硫酸イオンであることを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
金属イオンの酸化物換算に対するアニオンのモル比を、3.5~8に増加させることによって、水溶液から前記金属酸化物を沈殿させることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、無機粒子などの基材の表面を、金属酸化物でコーティングする方法であって、金属酸化物コーティングの質量基準比表面積の減少が達成される方法に関する。特に、本発明は、酸化アルミニウムを用いた二酸化チタン顔料粒子の表面コーティングに関する。
【0002】
発明の技術的背景
無機粒子、特に無機顔料粒子は、耐磨耗性、表面電荷、分散性、ならびに耐酸性および耐光性などの特定の特性を変更するために表面コーティングされることが多い。したがって、米国特許第2,885,366号明細書(US 2,885,366)は、ニッケルまたは鉄粉、ガラス繊維または二酸化チタンなどの基材粒子への高密度二酸化ケイ素被膜の適用について記載している。欧州特許出願公開第0130272号明細書(EP 0 130 272 A1)および米国特許第27,818号明細書(US Re 27,818)は、得られた顔料の特性を調整するために、着色顔料および白色顔料を、様々な酸化物および水酸化物を用いてコーティングすることを開示している。
【0003】
特に二酸化チタン顔料は、それらの製造方法の過程において、主に無水および/または水性の酸化アルミニウム化合物でコーティングされるが、難溶性アルミニウム化合物でもコーティングされる。このようにして、顔料と残りの成分との相溶性が、使用者の系中で、例えばコーティング中で高められる、すなわち、白色顔料の典型的な特性、例えば分散性、光沢度または不透明度が改善される。
【0004】
当業者は、アルミニウム酸化物/水酸化物を沈殿させるための様々な方法を特許文献から知っている。米国特許第6,616,746号明細書(US 6,616,746 B2)は、pHを移動させて酸化アルミニウムを沈殿させる方法であって、アルカリ性pHの水性二酸化チタン懸濁液を使用し、まずアルミン酸ナトリウムを投入し、続いて硫酸をpH5に達するまで加える方法に関する。
【0005】
米国特許第27,818号明細書(US Re 27,818)は、まず硫酸アルミニウムを投入し、続いて塩基または別のアルカリ性反応物質を用いて中性pHにし、同時に酸化アルミニウムを沈殿させる類似の手順を開示している。
【0006】
しかしながら、通常、酸化アルミニウムは一定のpHで沈殿する。したがって、水溶性アルカリ性アルミニウム化合物および酸性化合物、例えば酸または水溶性の酸性アルミニウム化合物を一定のpHで懸濁液に加えて、酸化アルミニウムを沈殿させる。あるいは、水溶性の酸性アルミニウム化合物およびアルカリ性化合物、例えば塩基または水溶性アルカリ性アルミニウム化合物を用いて酸化アルミニウムを沈殿させてもよい。これらの方法の変法は、例えば、欧州特許第1603978号明細書(EP 1 603 978 B1)および欧州特許第1989264号明細書(EP 1 989 264 B1)に開示されている。
【0007】
しかしながら、二酸化チタン顔料の表面を酸化アルミニウム/水酸化物でコーティングする既知の方法は、粒子表面のさらなる改変、例えばBETによって決定され得る質量基準比表面積の増加、または等電点のシフトにつながる。コーティングの分野では、追加の表面によって、結果的に、分散剤やバインダーなどの添加剤の必要量が増加する。このことは、配合物の追加コストがかかり、配合物を最適化するための自由度を制限するので不利である。
【0008】
したがって、当該技術分野では、所望の量の酸化アルミニウムを適用できる方法であるにも拘わらず、比表面積や等電点の位置などの特性をさらに独立に制御できる方法が求められている。さらに、分散剤およびバインダーの割合が低いコーティング系が求められている。
【0009】
発明の課題および簡単な説明
本発明が基づく課題は、基材、特に無機粒子の表面を金属酸化物でコーティングする方法であって、従来技術の方法よりも小さい質量基準比表面積をもたらす方法を提供することである。
【0010】
この課題は、基材上の金属酸化物含有コーティングの質量基準比表面積を減少させる方法であって、溶液中の金属イオンに対するアニオンのモル比を少なくとも3まで増加させることによって、金属イオンと多価アニオンとを含む水溶液から金属酸化物を沈殿させる方法によって解決される。
【0011】
本発明の他の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。
【0012】
発明の詳細な説明
μm等でのサイズ、質量%または体積%での濃度、pH等に関して以下に開示されるすべての値は、当業者に知られているような測定誤差の範囲内の値をすべて含むものとして理解されるべきである。
【0013】
本明細書で使用される「金属酸化物」は、純粋な金属酸化物相と、対応するすべての水酸化物または水含有金属酸化物相との両方に関する。
【0014】
様々な水溶性の前駆体化合物からの酸化アルミニウムなどの金属酸化物の沈殿は、一般に自発的かつ完全に進行する。特に、二酸化チタン顔料を製造する場合、最初に沈殿した水を含む金属酸化物化合物は、懸濁フィルターペーストを乾燥させ、粉砕し、無水金属酸化物に化学量論的に近似させるなどの後の処理工程の間に脱水される。
【0015】
本発明の範囲内の研究は、沈殿した金属酸化物のいくつかの表面特性、例えば、比表面積または等電点(IEP)が沈殿の間、懸濁液中の多価アニオンの存在によって影響されることを示した。適切なアニオンとしては、硫酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、イソアスコルビン酸イオンおよびシュウ酸イオンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明によって使用されるこれらの多価アニオンは、以下において「沈殿添加剤」とも呼ばれる。特に、沈殿した金属酸化物の性質は、本発明により沈殿させるべき金属イオンに対する懸濁液中に存在するアニオンの定量比を通して制御され得る。
【0016】
理論により拘束されないが、アニオンは濃度に依存してキレート配位子として作用し、その結果、金属酸化物の沈殿は、濃縮の中間生成物としての多核クラスターを安定化することによって進行すると考えられる。したがって、所望の金属酸化物への最終的な濃縮は、平均して、基材が(例えば、分散した粒子として)浮遊している液相上でよりも、基材表面(例えば、粒子表面)上でより頻繁に進行し、その後にはじめて酸化物は基材表面または粒子表面に移動する。このようにして、同じ組成について表面上の質量基準比表面積がより小さい、金属酸化物層の改善された表面がもたらされる。同時に、金属酸化物がコーティングされた基材表面の等電点(IEP)のpHは、純粋な金属酸化物のIEPに向かってシフトする。
【0017】
本発明による方法は、水溶液から基材表面上への金属酸化物の沈殿に適用可能である。アルミニウム、ジルコニウム、およびケイ素の金属酸化物が特に適している。適切な多価アニオンとしては、硫酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、イソアスコルビン酸イオンおよびシュウ酸イオンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
基材は好ましくは無機粒子である。好適な無機粒子は、白色顔料、例えば、二酸化チタン(C.I.ピグメントホワイト6)、ジンクホワイト、加鉛酸化亜鉛;硫化亜鉛、リトポン;黒色顔料、例えば、酸化鉄ブラック(C.I.ピグメントブラック11)、鉄マンガンブラック、スピネルブラック(C.I.ピグメントブラック27);カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7);着色顔料、例えば、酸化クロム、酸化クロム水和物グリーン;クロムグリーン(C.I.ピグメントグリーン48);コバルトグリーン(C.I.ピグメントグリーン50);ウルトラマリングリーン;コバルトブルー(C.I.ピグメントブルー28および36;C.I.ピグメントブルー72);ウルトラマリンブルー;マンガンブルー;ウルトラマリンバイオレット;コバルトおよびマンガンバイオレット;酸化鉄レッド(C.I.ピグメントレッド101);カドミウムスルホセレン化物(C.I.ピグメントレッド108);硫化セリウム(C.I.ピグメントレッド265);モリブデンレッド(C.I.ピグメントレッド104);ウルトラマリンレッド;酸化鉄ブラウン(C.I.ピグメントブラウン6および7)、混合ブラウン、スピネルおよびコランダム相(C.I.ピグメントブラウン29、31、33、34、35、37、39および40)、クロムチタンイエロー(C.I.ピグメントブラウン24)、クロムオレンジ;硫化セリウム(C.I.ピグメントオレンジ75);酸化鉄イエロー(C.I.ピグメントイエロー42);ニッケルチタンイエロー(C.I.ピグメントイエロー53;C.I.ピグメントイエロー157、158、159、160、161、162、163、164および189);クロムチタンイエロー;スピネル相(C.I.ピグメントイエロー119);硫化カドミウムおよび硫化カドミウム亜鉛(C.I.ピグメントイエロー37および35);クロムイエロー(C.I.ピグメントイエロー34)、およびビスマスバナデート(C.I.ピグメントイエロー184)からなる群から選択される無機顔料であり得る。
【0019】
さらに、無機顔料は、従来から硫化亜鉛、天然および沈降チョークなどの充填剤として使用されており、硫酸バリウムは基材としても使用され得る。
【0020】
好ましくは、無機顔料は、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ハンタイト、鉛白、リトポン、クリストバライト、チャイナクレー、およびそれらの混合物からなる群から選択される。二酸化チタンは、その顔料特性とその高いモース硬度のために、本明細書に開示されるすべての基材の中で最も好ましい。二酸化チタンは、ルチル型、アナターゼ型またはブルッカイト型の結晶構造であっていてよく、通常は、ルチル型またはアナターゼ型の結晶構造である。ルチル型は、アナターゼ型に比べて光分解触媒活性が低いため、特に適している。
【0021】
特定の実施形態では、本発明は、1mm未満の好ましい粒径を有する無機粒子の水性懸濁液から進行する。好ましくは、これらの粒子は、0.1~5μm、より好ましくは0.2~0.4μmのサイズを有する。懸濁液は好ましくは約200g/l~800g/l、特に300g/l~500g/lの固形分を有する。任意で、通常の分散剤が含有され得る。
【0022】
本発明による表面コーティングの前に、SiO、ZrO、TiO、SnO、Al、P等の他の無機酸化物のうち1つ以上の層が、任意で混合剤および/または共沈殿で、粒子表面に適用されていてもよい。
【0023】
選択された金属イオンおよび選択されたアニオンが懸濁液に添加される。選択された金属イオンは、好ましくは、沈殿させるべき金属酸化物の前駆体化合物の水溶液の形で添加される。アニオンは、対応する塩の水溶液の形でおよび/または対応する酸として添加される。また、それらは金属酸化物の前駆体化合物に既に含有されていてよい。適切な化合物は従来技術で知られている。特に二酸化チタンの表面処理の場合、一般的に使用される化合物は本発明による方法で使用され得る。
【0024】
例えば、酸化アルミニウムが硫酸イオンの存在下で沈殿する場合、硫酸アルミニウム溶液またはアルミン酸ナトリウム溶液が酸化アルミニウムの前駆体化合物として使用され得る。本発明に必要とされる懸濁液中のアニオン濃度を達成可能にするのに適した化合物としては、例えば可溶性硫酸塩、例えば硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、および硫酸が挙げられる。
【0025】
pH制御を含む沈殿の実施は、しっかりと確立された通常の手順で行う。
【0026】
本発明によれば、多価アニオンとしては、例えば硫酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、イソアスコルビン酸イオンおよびシュウ酸イオンが適している。硫酸イオンが好ましくは使用される。沈殿させるべき金属酸化物は、好ましくはアルミニウム、ジルコニウム、およびケイ素の酸化物である。特定の実施形態では、酸化アルミニウムは、硫酸イオンの存在下で二酸化チタン粒子の表面上に沈殿する。
【0027】
原則として、二酸化チタン顔料粒子の表面処理時に硫酸イオンの存在下で酸化アルミニウムを沈殿させることは従来から知られている。しかしながら、前駆体化合物として硫酸アルミニウムを用い、pH制御のために例えばNaOHを使用する公知の方法では、反応中に存在する硫酸イオンのモル比は、Alに対して3よりも小さい。今日まで、沈殿した酸化アルミニウムの比表面積(BET)、ひいては表面処理される二酸化チタン粒子の比表面積を、沈殿の間の、懸濁液におけるアルミニウムイオンに対する硫酸イオンのモル比を通して制御できることは知られていなかった。
【0028】
したがって、金属酸化物は、好ましくは金属イオンに対するアニオンのモル比を3~8に、より好ましくは3.2~6に、さらに一層好ましくは3.5~5に、最も好ましくは4.2に増加させることによって水溶液から沈殿する。
【0029】
また、本発明は、その他の点では組成をほぼ変えること無く、粒子の等電点(IEP)は選択的にシフトさせることができることを教示している。例えば、酸化アルミニウムがコーティングされた二酸化チタン顔料のIEPは、SO/Alモル比を増加させることによってより高い値にシフトし、通常のコーティング材料に分散した顔料粒子の静電安定化が改善されるという利点がある。
【0030】
実施例
本発明は、以下の実施例によってより詳細に説明されるが、それによって本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
実施例A1
1リットル当たり0.45kgの二酸化チタン濃度を有する、硫酸法により得られた二酸化チタン粒子の水懸濁液を、サンドミルし、続いて1リットル当たり0.35kgの二酸化チタン濃度に希釈し、60℃で温度制御し、NaOHでpHを約10に調整した。その後、30分かけて、硫酸アルミニウム水溶液(濃度107g/L、Al換算)を、TiOを基準としてAl換算で2.7質量%の量で添加した。続いて45分かけて、30%NaOHを、pHが約4になるような量で撹拌しながら加えた。さらに120分撹拌した後、NaOHでpHを7.6に調整した。
【0032】
その後、粒子を懸濁液から分離し、洗浄し、160℃で乾燥させ、スチームミルで微粉化し、比表面積(BET)および等電点(IEP)をpHの関数として決定した。測定値を第1表に示す。
【0033】
実施例A2
実施例A1と同様であるが、60℃で温度制御し、pHを10に調整した後、装入物にさらに、二酸化チタン1kg当たり0.5モルのNaSOを加えた。
【表1】
【0034】
実施例B1
実施例A1と同様に調製し、サンドミルし、pH10に調整した二酸化チタン懸濁液を用いて方法を開始する。その後、硫酸アルミニウム水溶液(濃度107g/L、Al換算)および水酸化ナトリウムを、同時に、約4の一定のpHが得られる量で90分間かけて撹拌しながら加えた(固定pH処理)。さらに120分撹拌した後、前述と同様にpHを7.6に調整した。
【0035】
その後、粒子を懸濁液から分離し、洗浄し、160℃で乾燥させ、スチームミルで微粉化し、比表面積(BET)および等電点(IEP)をpHの関数として決定した。測定値を第2表に示す。
【0036】
実施例B2
実施例B1と同様であるが、60℃で温度制御し、pHを10に調整した後、さらに二酸化チタン1kg当たり0.5モルのNaSOを加えた。
【表2】
【0037】
結論
実施例は、溶液中で沈殿させるべき金属(アルミニウム)イオンに対するアニオン(硫酸イオン)のモル比を増やすことで、質量基準比表面積(コーティングされた粒子のBET)を減少させ、したがってよりコンパクトなコーティングをもたらすことを示している。このことは等電点(IEP)の決定値からも導き出すことができる。SO/Alのモル比が高くなり、BET値が下がるにつれて、等電点のpHが上昇し、したがって純粋なAl表面の等電点のpH(pH約9)に近づく。値が9より小さいと、粒子の表面に未被覆TiOの領域がまだ存在している(pH約6でのIEP)と結論付けることができる。