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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】回転操作入力装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/20 20060101AFI20221212BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01H19/20 C
H01H25/04 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019002021
(22)【出願日】2019-01-09
(65)【公開番号】P2020113403
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 淳二
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-174806(JP,A)
【文献】特開2013-175399(JP,A)
【文献】特開2017-91610(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0126942(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00 - 21/88
H01H 25/00 - 25/06
H01H 89/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作部材の操作に応じた設定を行う回転操作入力装置であって、
前記回転操作部材の回転軸に対して同心円状に設けられ、前記回転操作部材の回転とともに回転する被検出部と、
前記被検出部を検出して前記回転操作部材の位相を検出する光センサと、
前記回転操作部材を回転自在に支持する支持部材と、
前記支持部材が固定された取り付け部材と、を有し、
前記被検出部は前記回転操作部材の外縁に沿って所定の間隔で設けられ、
前記回転操作部材の外縁には連続的にクリック感を発生させるための凹凸部が形成されており、
前記凹凸部の凹部は、前記回転操作部材の回転方向に沿って、前記被検出部の間に位置し、
前記凹凸部の凸部は前記被検出部と前記回転軸とを結んだ直線上に位置し、かつ前記凹凸部を付勢する付勢手段と前記被検出部とは前記凹凸部を挟んで互いに反対側に配置され、
前記回転操作部材は前記支持部材に揺動可能に支持されていることを特徴とする回転操作入力装置。
【請求項2】
回転操作部材の操作に応じた設定を行う回転操作入力装置であって、
前記回転操作部材の回転軸に対して同心円状に設けられ、前記回転操作部材の回転とともに回転する被検出部と、
前記被検出部を検出して前記回転操作部材の位相を検出する光センサと、
前記回転操作部材を回転自在に支持する支持部材と、
前記支持部材が固定された取り付け部材と、有し、
前記被検出部は前記回転操作部材の外縁に沿って所定の間隔で設けられ、
前記回転操作部材の外縁には連続的にクリック感を発生させるための凹凸部が形成されており、
前記凹凸部の凹部は、前記回転操作部材の回転方向に沿って、前記被検出部の間に位置し、
前記凹凸部の凸部は前記被検出部と前記回転軸とを結んだ直線上に位置し、かつ前記凹凸部を付勢する付勢手段と前記被検出部とは前記凹凸部を挟んで互いに反対側に配置され、
前記付勢手段は前記回転操作部材と前記支持部材との間に規定された空間に配置されており、
前記空間は前記付勢手段である弾性部材の厚みよりも大きいことを特徴とする回転操作入力装置。
【請求項3】
前記凹部の頂点を結んだ円の直径は前記被検出部を結んだ円の直径より大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転操作入力装置。
【請求項4】
前記凹部および前記凸部の数は前記被検出部の数と同数であることを特徴とする請求項1乃至3のいずか1項に記載の回転操作入力装置。
【請求項5】
前記付勢手段は円弧形状の弾性部材であり、
前記弾性部材の両端部には前記凹凸部に当接する湾曲部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずか1項に記載の回転操作入力装置。
【請求項6】
前記湾曲部はU字形状であることを特徴とする請求項5に記載の回転操作入力装置。
【請求項7】
前記回転操作部材には、前記空間を前記弾性部材の厚みよりも大きくするためのリブが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の回転操作入力装置。
【請求項8】
前記凹凸部の凸部の頂部は前記被検出部と前記回転軸とを結んだ直線上に位置することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の回転操作入力装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の回転操作入力装置と、
前記回転操作入力装置による設定に応じた制御を行う制御手段と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
前記凹凸部の凸部の頂部は前記被検出部と前記回転軸とを結んだ直線上に位置することを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作入力装置および電子機器に関し、特に、撮像装置などの電子機器で用いられる回転操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子機器の1つであるデジタルカメラなどの撮像装置では、筐体の背面側(つまり、撮影者側)において略平面部に撮影者が連続的に入力操作可能な回転操作入力装置(回転操作ダイヤル装置)が配置されている。
【0003】
一方、近年撮像装置においては撮像装置本体に対する小型化の要望があり、さらには、視認性向上のため撮像装置の背面側に設けられたLCDなどの表示装置における画面に対する大型化の要望がある。
【0004】
このため、回転操作ダイヤル装置に備えられた回転操作ダイヤルを適切にレイアウトするとともに、特に回転操作ダイヤルの外径を小型化することが求められている。さらには、回転操作ダイヤル装置の長年使用に対する信頼性を高めることが求められている。
【0005】
上述のような要望に対処するため、例えば、回転操作ダイヤルの回転を検出する検出部としてフォトインタラプタを用いた回転操作ダイヤル装置が知られている(特許文献1)。そして、特許文献1においては、フォトインタラプタを回転操作ダイヤルの外周縁側に配置し、回転操作力(クリック力)を生成するバネ部材およびクリック溝を回転中心軸側に配置するようにしている。これによって、特許文献1においては、フォトインタラプタおよびバネ部材などを互いに厚み方向において干渉しない位置関係に配置することによって回転操作ダイヤル装置を小型化するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-91611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献1においては、回転操作ダイヤルにクリック力を与えるクリック機構において、回転操作ダイヤルの裏面の軸部外周面と対向する位置にバネ部材を配設している。そして、回転操作ダイヤルに設けられた軸受け部外周面に、回転操作ダイヤルの回転に応じてバネ部材が振幅移動する凹凸面を形成してクリック力を発生させるようにしている。
【0008】
このため、回転操作ダイヤルの外径サイズを維持しつつクリック数、つまり、凹凸面の数を増加させた場合には、凹凸面における凹部および凸部が円周方向で接近することになってバネ部材が振幅する凹凸部の段差(高低差)が減少してしまう。この結果、撮影者はメリハリのある良好な操作感(クリック感)を得ることが難しい。
【0009】
さらに、特許文献1においては、操作力を生成するバネ部材が回転操作ダイヤルの外周縁側に設けられたフォトインタラプタと軸部外周面に設けられた凹凸面との間にレイアウトされている。このため、回転操作ダイヤルの外径を小さくした場合には、フォトインタラプタもその分軸中心側にずらす必要がある。これによって、バネ部材の振幅可能領域が減少してしまい回転操作力を増加させることが困難となる。
【0010】
その結果、例えば、操作力が軽いなどの操作品位の低下を招くばかりでなく、撮影者が回転操作ダイヤルを不用意に触れた際に誤操作が発生しやすくなってしまう。つまり、高い操作品位および誤操作防止などの観点から回転操作力をある程度高くする必要性があるものの、特許文献1においては、回転操作ダイヤル装置において小型化と高品位な操作力を両立させることが難しいという課題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、小型化を達成しつつ、メリハリのある良好な操作感を得るとともに耐久性に優れた回転操作入力装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明による回転操作入力装置は、回転操作部材の操作に応じた設定を行う回転操作入力装置であって、前記回転操作部材の回転軸に対して同心円状に設けられ、前記回転操作部材の回転とともに回転する被検出部と、前記被検出部を検出して前記回転操作部材の位相を検出する光センサと、前記回転操作部材を回転自在に支持する支持部材と、前記支持部材が固定された取り付け部材と、を有し、前記被検出部は前記回転操作部材の外縁に沿って所定の間隔で設けられ、前記回転操作部材の外縁には連続的にクリック感を発生させるための凹凸部が形成されており、前記凹凸部の凹部は、前記回転操作部材の回転方向に沿って、前記被検出部の間に位置し、前記凹凸部の凸部は前記被検出部と前記回転軸とを結んだ直線上に位置し、かつ前記凹凸部を付勢する付勢手段と前記被検出部とは前記凹凸部を挟んで互いに反対側に配置され、前記回転操作部材は前記支持部材に揺動可能に支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型化を達成して、かつメリハリのある良好な操作感を得るとともに耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態による回転操作入力装置を備える電子機器を背面側から示す斜視図である。
図2図1に示す回転操作ダイヤル装置を説明するための図である。
図3図1に示す回転操作ダイヤルの組み立てを説明するための図である。
図4図1に示す回転操作ダイヤルの動作を説明するための図である。
図5図1に示す回転操作ダイヤル5の回転クリックについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態による回転操作入力装置の一例について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態による回転操作入力装置を備える電子機器を背面側から示す斜視図である。なお、図示の電子機器は、例えば、デジタルカメラ(以下単にカメラと呼ぶ)などの撮像装置である。なお、ここでは、電子機器として、撮像装置を例に挙げて説明するが、電子機器は撮像装置に限定されない。
【0017】
カメラ1には、正面側(被写体側)にレンズ鏡筒2が備えられ、レンズ鏡筒2を介して光学像が撮像素子(図示せず)に結像する。そして、撮像素子は光学像に応じた画像を出力する。制御部(図示せず)は当該画像を、カメラ1の背面側に配置されたLCDなどの表示装置3に表示する。
【0018】
カメラ1の背面側から見て、表示装置3の右側には回転操作入力装置(以下回転操作ダイヤル装置)4に備えられた回転操作ダイヤル(回転操作部材)5が配置されている。回転操作ダイヤル5には、例えば、マニュアルフォーカスおよびホワイトバランスなどの連続的な入力操作が求められる撮影設定条件に応じた回転操作が割り当てられる。さらに、回転操作ダイヤル5には、複数方向の揺動操作および回転操作の複合操作として、ストロボ発光のオン/オフ/オートなどのトグル操作などの押し釦操作が割り当てられる。
【0019】
図2は、図1に示す回転操作ダイヤル装置を説明するための図である。
【0020】
回転操作ダイヤル装置4に備えられた回転操作ダイヤル5は回転可能にかつ上下左右の部分を押下された場合に釦操作可能に支持されている。表示板6には上下左右方向の釦機能を示すアイコンが90度間隔で、表示6A、6B、6C、および6Dとして表記されている。そして、表示板6は回転動作しないが、回転操作ダイヤル5が揺動した際に追従できるように揺動可能に支持されている。
【0021】
センター釦7は後述する表示板6の揺動しない部分(非搖動部)に回転不能に支持されている。つまり、回転操作ダイヤル装置4は外観上3つの部材で構成されており、回転する部材は回転操作ダイヤル5のみで、回転操作ダイヤル5を上下左右の方向に押圧操作した場合には、回転操作ダイヤル5と追従して表示板6が揺動する。さらに、センター釦7は独立して動作し、回転操作ダイヤル5の回転又は揺動の際においても連動せず、押下操作された時のみ可動して釦として機能する。
【0022】
なお、センター釦7は設定画面を表示し、さらに、各種設定を確定する際に用いられる。
【0023】
図示の例では、回転操作ダイヤル5にはカメラ1を用いて撮影を行う際の機能が割り当てられている。例えば、表示6Aには露出補正が割り当てられ、表示6Bにはストロボにおけるオート発光、強制発光、および発光禁止が割り当てられている。また、表示6Cにはオートフォーカスおいて通常、遠方、およびマクロが割り当てられ、表示6Dにはセルフタイマー時間においてセルフタイマー10秒およびセルフタイマー2秒が割り当てられている。これら表示6A~6Dのいずれかを選択する際には、回転操作ダイヤル5を回転させて表示6A~6Dを切り替えて、センター釦7の押下によって選択を確定する。
【0024】
また、センター釦7が押下げられると、例えば、露出補正、測光分布、ホワイトバランス、記録画素数、および圧縮率などを選択することができる。個々の階層機能選択手法として、回転操作ダイヤル5を回転させて選択を行い、センター釦7を押下操作することによって選択が決定される。さらには、画像再生の際には複数の画像から1つの画像を選択、そして確定して、回転操作ダイヤル5を回転させることによって画像の拡大又は縮小などを行うことができる。
【0025】
図3は、図1に示す回転操作ダイヤルの組み立てを説明するための図である。そして、図3(A)は図1に示すカメラにおいて回転操作ダイヤルを背面側から分解して示す斜視図であり、図3(B)は回転操作ダイヤルを正面側から分解して示す斜視図である。
【0026】
また、図4は、図1に示す回転操作ダイヤルの動作を説明するための図である。そして、図4(A)は回転操作ダイヤル装置を示す図であり、図4(B)は図4(A)に示すA-A線に沿った断面図である。
【0027】
図3および図4を参照して、回転操作ダイヤル5の回転を検出するための透過型光センサとして、一対のフォトインタラプタ(検出部)8aがフレキシブル基板8に実装されている。図示の例では、フォトインタラプタ8aは回転操作ダイヤル5の外周縁近傍(外縁近傍)に配置されている。これによって、後述するように、フォトインタラプタ8aの検出精度に対する遮光羽(被検出部)5eの幅又はフォトインタラプタ8aおよび遮光羽5eの位置などの寸法精度の影響が受けにくくなる。
【0028】
フレキシブル基板8において、フォトインタラプタ8aの実装面側には、センター釦7、前述の上下左右方向の釦、さらにその他の押圧釦に対応する複数のメタルドームスイッチ8bが一体に保持されている。そして、フレキシブル基板8はベースとなるプレート(取り付け部材)9に両面テープ10によって固定されている。フレキシブル基板8をプレート9に固定した構成をプレートユニット50と呼ぶ。
【0029】
ホルダー部材60は回転操作ダイヤル5を回転可能(回転自在)に、かつ複数方向に揺動可能に保持する。そして、ホルダー部材60は、内側環状部であるバネ保持部材(支持部材)11と外側環状部である揺動部材12とを有している。搖動部材12はバネ保持部材11よりも外周側に位置する。
【0030】
バネ部材(弾性部材:付勢手段)14は弓なりに湾曲した円弧形状14bを有し、その両端部にはU字形状の湾曲部14aが形成されている。そして、U字形状の内壁側がバネ保持部材11に設けられた2か所のバネ保持部11aの外周面と係合してバネ部材14がバネ保持部材11に保持される。さらに、バネ部材14の脱落を防止するため、そして、バネ部材14の初期状態を安定させるためのプリチャージ力を発生させるようにバネ保持部材11には2か所の脱落防止部11bが設けられている。
【0031】
上述の状態において、バネ保持部材11に設けられた複数のピン形状の加締め部11cをプレート9に形成された穴9aに位置決めして、プレート9の裏面側に突出した加締め部11cを加締してバネ保持部材11をプレート9に固定する。
【0032】
同様に、揺動部材12においても、揺動部材12に設けられた複数のピン形状の加締め部12aをプレート9に形成された穴9bに位置決めして、プレート9の裏面側に突出した加締め部12aを加締して搖動部材12をプレート9に固定する。
【0033】
図示の例では、バネ部材14は複雑な曲げ形状を有しておらず、加工しやすく部品の寸法も安定しやすい。また、バネ部材14はバネ保持部材11に設けられた2か所のバネ保持部11aと係合しているのみであり、加締め溶着などの作業が不要であるので組立やすい。
【0034】
続いて、ホルダー部材60に回転操作ダイヤル5を組み立てる工程について説明する。
【0035】
回転操作ダイヤル5に形成された軸5aを、バネ保持部材11に形成された嵌合穴11dに挿入して、回転操作ダイヤル5はバネ保持部材11に対して回転摺動可能となる。この際、バネ保持部材11に保持された回転操作ダイヤル5の回転軸方向の嵌合長寸法は回転軸長よりも短い。これによって、回転操作ダイヤル5はバネ保持部材11に対して回転可能となるととともに、若干傾くことが可能となって揺動することができる。
【0036】
揺動部材12において、回転操作ダイヤル5側の面には、回転操作ダイヤル5が回転する際に回転操作ダイヤル5に設けられた半円状のリブ5bと摺動部12bとが円周方向において略等間隔で4か所に設けられている。さらに、揺動部材12において、フレキシブル基板8側の面には、前述の複数のメタルドームスイッチ8bを押下するための複数の押し子部12dが摺動部12bの裏面において配置されている。また、環状部12cが摺動部12bおよび押し子部12dを接続するようにして配置されており、当該環状部12cは、摺動部12b又は押し子部12dに対して比較的薄肉に形成されて弾性変形が可能となる。
【0037】
次に、回転操作ダイヤル5に表示板6を組み立てる工程について説明する。
【0038】
まず始めに、回転操作ダイヤル5に形成された段付きの開口部5cに表示板6を挿入する。この際、表示板6に設けられた複数のピン形状の加締め部6aを、プレート9に形成された穴9cに位置決めするとともに、プレート9の裏面側に突出したピン形状を加締しめて表示板6をプレート9に固定する。そして、回転操作ダイヤル5に形成された半円状のリブ5dと表示板6に形成された受け面6bとが摺動可能となる。これによって、回転操作ダイヤル5の脱落を防止するようにしている。
【0039】
さらに、表示板6には外観上側6fおよび固定部6dよりも細い腕部形状部6eが形成れており、当該腕部形状部6eによって表示板6にバネ性を備えさせてプレート9に連結する。これによって、表示板6がプレート9に加締め固定された状態においても、表示板6は回転操作ダイヤル5と一体的に上下方向に揺動可能になる。
【0040】
このようにして、回転操作ダイヤル5はバネ保持部材11に形成された穴を中心として回転可能でかつ揺動可能に保持される。さらに、回転操作ダイヤル5は上下左右に配置されたメタルドームスイッチ8bに対応した位置で押下操作が可能となる。
【0041】
なお、回転操作ダイヤル5の揺動操作によって、バネ部材14が引っ掛かるなどの不具合が生じないようにするため、回転操作ダイヤル5には半円状のリブ5fが設けられている。そして、バネ部材14が当たる前にリブ5fがバネ保持部材11に当たるようにしている。
【0042】
このように、バネ部材14は回転操作ダイヤル5とバネ保持部材11との間に規定された空間に配置され、当該空間はバネ部材14の厚みよりも大きい。
【0043】
続いて、表示板6にセンター釦7を組み立てる工程ついて説明する。
【0044】
表示板6に設けられた穴部6cにセンター釦7を挿入した後、センター釦7に形成された長角軸7aを、表示板6に形成された長穴6gに位置決めして摺動可能に嵌合する。さらに、表示板6に形成された受け面6bの近傍に、センター釦7に形成された爪部7bをスナップフィットによって抜け止めする。これによってセンター釦7の押下操作が可能となる。
【0045】
次に、回転操作ダイヤル5の回転の検出について説明する。
【0046】
回転操作ダイヤル5には金属製の遮光羽5eがインサート成形により形成されており、遮光羽5eは回転操作ダイヤル5と一体的に回転および揺動する。つまり、回転操作ダイヤル5の回転軸に対して同心円状に遮光羽5eが設けられて、遮光羽5eは回転操作ダイヤル5の回転とともに回転する。
【0047】
回転操作ダイヤル5を回転操作した際、フォトインタラプタ8aに備えられた投光部と受光部とで送受される光が回転角度に応じて遮光および透過を繰り返すように遮光羽5eが均等な角度で配置されている。
【0048】
遮光羽5eの数は、回転操作ダイヤル5の裏面側外周縁に沿って連続的に形成された凹部5g又は凸部5hの数に対応しており、ここでは、遮光羽5eの数は12である。つまり、遮光羽5eの数は凹部5gおよび凸部5hの数と同数である。
【0049】
この結果、回転操作ダイヤル5を一回転操作した際には、クリック数および信号数はそれぞれ12クリックおよび12ポジションとなる。
【0050】
さらに、フォトインタラプタ8aは2つ配置されており、ここでは、2つのフォトインタラプタ8aは遮光羽5eによる遮光および透過に応じて発生する2つのパルス波形が常に半位相ずれるような関係に配置される。これによって、回転操作ダイヤル5の回転方向も検出することができる。
【0051】
なお、フォトインタラプタ8aと遮光羽5eとは、回転操作ダイヤル5の揺動操作によって互いに接触しないように所定のクリアランスをもって配置されている。
【0052】
図5は、図1に示す回転操作ダイヤル5の回転クリックについて説明するための図である。そして、図5(A)は図1に示す回転操作ダイヤル装置を底面側から見た側面図であり、図5(B)は回転操作ダイヤルが停止状態である際における図5(A)に示すB-B線に沿った断面図である。また、図5(C)は回転操作ダイヤルが中間ポジションの状態にある際における図5(A)に示すB-B線に沿った断面図である。
【0053】
前述ように、回転操作ダイヤル5には裏面側外周縁に沿って連続的に形成された凹凸部(図示の例では凹凸の各々を12か所)が設置されている。このため、回転操作ダイヤルの外径サイズを維持しつつクリック数、つまり、凹凸部の数を増やした場合に凹部5gおよび凸部5hが円周方向において接近したとしても、操作感に対する影響を受けにくくしてメリハリのある良好な操作感を得ることができる。
【0054】
バネ部材14が回転操作ダイヤル5に組み込まれた状態において、バネ部材14の両端部に形成されたU字形状の湾曲部14aは回転操作ダイヤル5の回転中心軸方向から外側に開こうとする方向に反発力を発生させる。よって、図5(B)に示すように、U字形状の湾曲部14aが凹部5gに留まり(当接し)、回転操作ダイヤル5を安定した位置に停止することができる。
【0055】
なお、この状態においては、遮光羽5eはフォトインタラプタ8aにおける光を遮光しない位置に配置されているので、回転操作ダイヤル5が停止した際におけるフォトインタラプタ8aの出力は常に一定の状態となる。
【0056】
回転操作ダイヤル5を回転操作した際には、図5(C)に示すように、U字形状の湾曲部14aが凸部5hに乗り上がる。その後、U字形状の湾曲部14aが凹部5gに落ち込むことによってバネ部材14が振幅移動してバネとして機能しクリック感を生じる。
【0057】
なお、この状態では、バネ部材14の弓なりに湾曲した円弧形状14b又はU字形状部の端部がバネ保持部材11又は回転操作ダイヤル5に干渉しないように十分なクリアランスが設定されている。
【0058】
この結果、回転操作ダイヤル5の回転途中において回転操作力にバラツキが発生することなくスムーズな操作を行うことができる。さらに、バネ部材14による凹凸部の摩耗を軽減させるため、そして、回転操作力を安定させるために、凹凸部の厚み方向の高さはバネ部材14の厚み方向の高さとほぼ等しくなるように設定される。
【0059】
ここで、回転操作ダイヤル5の小型化と回転操作力の向上とを両立させるためには、バネ部材14における振幅移動領域を十分確保する必要がある。
【0060】
続いて、遮光羽5eと凹凸部およびバネ部材14との関係について説明する。
【0061】
前述のように、遮光羽5eは回転操作ダイヤル5にインサート成形されている。そして、遮光羽5eの倒れを抑制するために、遮光羽5eの根元部分は樹脂で覆われる。そして、遮光羽5eの根元部分を覆う樹脂部に凹凸部を形成するとともに、1つの遮光羽5eと隣り合う遮光羽5eとの間に凹部5gを、そして、遮光羽5eと回転中心軸とを結んだ直線上に凸部5hを設ける。
【0062】
さらに、バネ部材14を、凹凸部を挟んで遮光羽5eと逆側(反対側)のスペース(空間)、つまり、回転操作ダイヤル5の回転中心軸側に配置する。ことによって、バネ部材14を遮光羽5eと接触回避することができ、さらに、バネ部材14の振幅スペースを効率的に十分確保することができる。その結果、回転操作力を向上させることができる。
【0063】
また、凹部5gの頂点同士を結ぶ直径を、遮光羽5e同士を結ぶ直径よりも大きくすることによって、さらにバネ部材14の振幅スペースを確保することができる。
【0064】
このように、本発明の実施の形態では、回転操作ダイヤル装置を小型化するとともに、メリハリのある良好な操作感を得てさらに耐久性を超え羽状得させることができる。そして、回転操作ダイヤル装置を低コストで作成することができる。
【0065】
なお、図示の例では、バネ保持部材11および揺動部材12を別体としているが、バネ保持部材11および揺動部材12を一体で構成するようにしてもよい。さらに、回転操作ダイヤル5と遮光羽5eとをインサート成形によって一体化するようにしたが、回転操作ダイヤル5および遮光羽5eを別体として、例えば、接着などによって固定するようにしてもよい。また、回転操作ダイヤル5自体に遮光羽5eの形状を形成するようにしてもよい。
【0066】
図示の例では、回転操作ダイヤル装置がセンター釦7を有する例について説明したが、センター釦7の存在は必須ではなく、センター釦7を備えない回転操作ダイヤル装置においても同様の効果が得られる。また、図示の例では、回転検出部としてフォトインタラプタ8aを用いるようにしたが、反射型タイプのフォトリフレクタを用いるようにしてもよい。
【0067】
上述の説明では、電子機器として沈胴式レンズを内蔵するコンパクトデジタルカメラについて説明したが、レンズユニットが着脱可能なデジタル一眼レフカメラ又は撮像装置以外の電子機器に本発明を適用することができる。
【0068】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
4 回転操作ダイヤル装置
5 回転操作ダイヤル
5e 遮光羽
5g 凹部
5h 凸部
6 表示板
6b 受け面
6d 固定部
8a フォトインタラプタ
11 バネ保持部材
図1
図2
図3
図4
図5