IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トプコンの特許一覧

特許7191736アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法
<>
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図1
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図2
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図3
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図4
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図5
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図6
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図7
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図8
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図9
  • 特許-アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】アスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019043393
(22)【出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2020147897
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】高木 幸雄
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-180107(JP,A)
【文献】特開2011-169017(JP,A)
【文献】特開平04-179711(JP,A)
【文献】特開平03-199501(JP,A)
【文献】特開平03-166405(JP,A)
【文献】実開平04-097910(JP,U)
【文献】特開2005-121388(JP,A)
【文献】特開2011-247652(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0255918(US,A1)
【文献】特開2014-206043(JP,A)
【文献】特開2017-172189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体と、該走行体に牽引されたスクリードと、該スクリードと一体的に設けられ前方に延出するレベリングアームと、前記走行体に上下変位可能に設けられ、前記レベリングアームの先端部を前記走行体に連結する支持軸と、該支持軸を上下移動させるピボットシリンダと、制御装置とを具備するアスファルトフィニッシャであって、前記レベリングアームの前記支持軸の近傍であり、該支持軸に対して既知の第1点の高さを検出する第1検出部と、前記レベリングアームの前記第1点から所定距離に位置する第2点の高さを検出する第2検出部とを更に具備し、前記制御装置は、舗装設計線を有し、前記第1検出部が検出する前記第1点の舗装設計線に関する高さ変化量ΔAと前記第2検出部が検出する前記第2点の舗装設計線に関する高さ変化量ΔBに基づき前記支持軸を-(ΔA+ΔB)変位させる様、前記ピボットシリンダを制御し、前記スクリード底面のアタック角αが所定値に維持される様構成されたアスファルトフィニッシャ。
【請求項2】
前記第1検出部は前記第1点に設けられた超音波センサであり、前記第2検出部は前記第2点に設けられた超音波センサである請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項3】
前記第1検出部は前記第1点に設けられた受光器と、定速で回転照射されるレーザ光線から構成され、前記第2検出部は前記第2点に設けられた受光器と前記レーザ光線から構成され、前記レーザ光線は複数のファンビームから構成され、少なくとも1つのファンビームは水平面に対して既知の角度で傾斜され、前記受光器は前記ファンビームを受光した際の受光時間差に基づき前記ΔA、前記ΔBを検出する様構成された請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項4】
前記第1検出部は前記第1点に設けられたプリズムと、該プリズムを追尾測定するトータルステーションから構成され、前記第2検出部は前記第2点に設けられたプリズムと前記トータルステーションから構成され、前記トータルステーションは前記プリズムを交互に測定し、それぞれの高さを測定し、測定結果に基づき前記ΔA、前記ΔBを検出する様構成された請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項5】
前記第1検出部は前記第1点に設けられたプリズムと、該プリズムを追尾測定する第1のトータルステーションから構成され、前記第2検出部は前記第2点に設けられたプリズムと第2のトータルステーションから構成され、前記第1、第2のトータルステーションは前記第1、第2のプリズムのそれぞれの高さを測定し、測定結果に基づき前記ΔA、前記ΔBを検出する様構成された請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項6】
前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか一方は、前記レベリングアームの傾斜を測定する傾斜センサを有し、該傾斜センサが検出した傾斜角、第1点と第2点間の距離及び前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか一方が検出した高さに基づき高さを検出する様構成された請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項7】
前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか他方は、超音波センサである請求項6に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項8】
前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか他方は、受光器と、定速で回転照射されるレーザ光線から構成され、前記レーザ光線は複数のファンビームから構成され、少なくとも1つのファンビームは水平面に対して既知の角度で傾斜され、前記受光器は前記ファンビームを受光した際の受光時間差に基づき高さを検出する様構成された請求項6に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項9】
前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか他方は、プリズムと、該プリズムを追尾測定するトータルステーションから構成され、前記トータルステーションは前記プリズムの高さを測定する様構成された請求項6に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項10】
前記制御装置は、舗装設計線として舗装施工全範囲の設計データを有し、前記第1検出部が検出する第1点の設計データに関する高さ変化量ΔAと前記第2検出部が検出する第2点の設計データに関する高さ変化量ΔBに基づき前記支持軸を-(ΔA+ΔB)変位させる様、前記ピボットシリンダを制御し、前記スクリード底面のアタック角αが所定値に維持される様構成された請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項11】
前記走行体は地心座標を取得する複数のGNSSを更に具備し、前記制御装置は、舗装施工全範囲の現地盤の3次元実測データと設計データとを有し、GNSSにより施工位置の地心座標を取得し、該地心座標での前記3次元実測データと設計データとの比較で前記ΔA、前記ΔBを算出する様構成された請求項1に記載のアスファルトフィニッシャ。
【請求項12】
走行体と、該走行体に牽引されたスクリードと、該スクリードと一体的に設けられ前方に延出するレベリングアームと、前記走行体に上下変位可能に設けられ、前記レベリングアームの先端部を前記走行体に連結する支持軸と、該支持軸を上下移動させるピボットシリンダと、制御装置とを具備するアスファルトフィニッシャであって、前記レベリングアームの前記支持軸の近傍であり、該支持軸に対して既知の第1点の高さと、前記レベリングアームの前記第1点から所定距離に位置する第2点の高さとをそれぞれ検出し、検出した高さと舗装設計線とから前記第1点の高さ変化量ΔAと前記第2点の高さ変化量ΔBとを検出し、前記支持軸を-(ΔA+ΔB)変位させる様、前記ピボットシリンダを制御するスクリード制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装工事に於いてアスファルト合材を敷均すアスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
舗装工事の最終工程として、アスファルト合材を均一に敷均す作業があり、アスファルト合材を敷均す作業はアスファルトフィニッシャによって行われる。
【0003】
アスファルトフィニッシャ1の概略について図10により説明する。
【0004】
走行体2の前部には、アスファルト合材を入れるホッパ3が設けられている。該ホッパ3内のアスファルト合材は前記走行体2の下部に位置するフィーダ(図示せず)によって後方(図10中右方)に移送され、その後該フィーダに対して直交する方向に設けられたスクリュースプレッダ(図示せず)によって左右に均等に広げられてスクリード4によって敷均される。
【0005】
該スクリード4はレベリングアーム5の後端に固定的に設けられ、該レベリングアーム5の前端は支持軸6を介して前記走行体2の側面に連結されている。該支持軸6は、前後の車輪7,8間の略中央に位置し、上下動可能に設けられている。又、前記支持軸6はピボットシリンダ9に連結され、該ピボットシリンダ9よって上下に移動操作される様になっている。該ピボットシリンダ9の上下変位により前記レベリングアーム5、前記スクリード4は該スクリード4の接地点を中心に一体的に傾動する様になっている。
【0006】
前記スクリード4は前記レベリングアーム5を介して走行体2に牽引され、又前記スクリード4は前記レベリングアーム5の前記支持軸6を支点として上下に自在に変位可能となっている。
【0007】
所定温度、例えば約160℃に加熱されたアスファルト合材がダンプカー等によって搬送され、前記ホッパ3に投入される。アスファルト合材はフィーダにより走行体2の中央を通って後方に送られ、スクリュースプレッダで左右方向(道路の幅方向)に広げられ、前記スクリード4の前側に盛上げられる。
【0008】
前記スクリード4の底面は、アタック角(作業角)αが形成される様、前側が高くなる様に傾斜される。
【0009】
前記走行体2が前進することで、アスファルト合材がスクリード4の下面にもぐり込み、前記スクリード4の自重により、アスファルト合材が道路表面に押圧され、均一に敷均され、アスファルト合材による舗装が施工される。
【0010】
ここで、アスファルト合材の舗装厚は、アスファルト合材の粘度、アスファルト合材の温度、前記走行体2の速度、前記アタック角α、前記スクリード4の重量等の力の釣合によって決定される。アスファルト合材の粘度、アスファルト合材の温度、前記走行体2の速度、前記スクリード4の重量は、舗装施工中大きな変動はないとすると、舗装厚を決定する主たる要因は、アタック角となる。
【0011】
釣合った状態でのアタック角をα0 とすると、アタック角αをα0 より大きくすれば、もぐり込み量が大きくなり、舗装厚が増大する。舗装厚の増加と共にアタック角αは減少し、更に力の釣合が成立したところ(α=α0 )で舗装厚が安定する。又、アタック角を小さくすると、もぐり込み量が小さくなり、舗装厚が減少し、舗装厚の減少と共にアタック角αは増加し、更に力の釣合が成立したところ(α=α0 )で舗装厚が安定する。
【0012】
前記アタック角αは、前記支持軸6の上下変位によって増減し、前記支持軸6が前記ピボットシリンダ9によって上昇されるとアタック角αは増大し、前記支持軸6がピボットシリンダ9によって下降されるとアタック角αは減少する。従って、舗装厚を増減する場合は、前記ピボットシリンダ9によるアタック角αを増減すればよい。更に、アタック角αを一定に保つことで、平坦で舗装厚を一定とすることができる。
【0013】
然し乍ら、現地盤(舗装前の路面)は、ロードローラにより平らに均されているが、多少の凹凸(不陸)は残置している。この為、前記走行体2が凹凸を乗上げ、乗下げることで前記走行体2が揺動する。前記スクリード4は前記走行体2に牽引されており、前記走行体2が揺動することで前記支持軸6が上下に変位する。
【0014】
この支持軸6の上下変位は、アタック角αの変動に現れるので、舗装厚が変動し、現地盤の不陸の影響が舗装表面に現れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特公平7-49646号公報
【文献】特公平7-96762号公報
【文献】特開2013-2276号公報
【文献】特開2002-339314号公報
【文献】特開2005-121388号公報
【文献】米国特許第10066346号明細書
【文献】特開平9-264743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、現地盤の不陸をキャンセルし舗装表面を平坦に仕上げることが可能なアスファルトフィニッシャ及びスクリード制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、走行体と、該走行体に牽引されたスクリードと、該スクリードと一体的に設けられ前方に延出するレベリングアームと、前記走行体に上下変位可能に設けられ、前記レベリングアームの先端部を前記走行体に連結する支持軸と、該支持軸を上下移動させるピボットシリンダと、制御装置とを具備するアスファルトフィニッシャであって、前記レベリングアームの前記支持軸の近傍であり、該支持軸に対して既知の第1点の高さを検出する第1検出部と、前記レベリングアームの前記第1点から所定距離に位置する第2点の高さを検出する第2検出部とを更に具備し、前記制御装置は、舗装設計線を有し、前記第1検出部が検出する前記第1点の舗装設計線に関する高さ変化量ΔAと前記第2検出部が検出する前記第2点の舗装設計線に関する高さ変化量ΔBに基づき前記支持軸を-(ΔA+ΔB)変位させる様、前記ピボットシリンダを制御し、前記スクリード底面のアタック角αが所定値に維持される様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0018】
又本発明は、前記第1検出部は前記第1点に設けられた超音波センサであり、前記第2検出部は前記第2点に設けられた超音波センサであるアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0019】
又本発明は、前記第1検出部は前記第1点に設けられた受光器と、定速で回転照射されるレーザ光線から構成され、前記第2検出部は前記第2点に設けられた受光器と前記レーザ光線から構成され、前記レーザ光線は複数のファンビームから構成され、少なくとも1つのファンビームは水平面に対して既知の角度で傾斜され、前記受光器は前記ファンビームを受光した際の受光時間差に基づき前記ΔA、前記ΔBを検出する様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0020】
又本発明は、前記第1検出部は前記第1点に設けられたプリズムと、該プリズムを追尾測定するトータルステーションから構成され、前記第2検出部は前記第2点に設けられたプリズムと前記トータルステーションから構成され、前記トータルステーションは前記プリズムを交互に測定し、それぞれの高さを測定し、測定結果に基づき前記ΔA、前記ΔBを検出する様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0021】
又本発明は、前記第1検出部は前記第1点に設けられたプリズムと、該プリズムを追尾測定する第1のトータルステーションから構成され、前記第2検出部は前記第2点に設けられたプリズムと第2のトータルステーションから構成され、前記第1、第2のトータルステーションは前記第1、第2のプリズムのそれぞれの高さを測定し、測定結果に基づき前記ΔA、前記ΔBを検出する様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0022】
又本発明は、前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか一方は、前記レベリングアームの傾斜を測定する傾斜センサを有し、該傾斜センサが検出した傾斜角、第1点と第2点間の距離及び前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか一方が検出した高さに基づき高さを検出する様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0023】
又本発明は、前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか他方は、超音波センサであるアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0024】
又本発明は、前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか他方は、受光器と、定速で回転照射されるレーザ光線から構成され、前記レーザ光線は複数のファンビームから構成され、少なくとも1つのファンビームは水平面に対して既知の角度で傾斜され、前記受光器は前記ファンビームを受光した際の受光時間差に基づき高さを検出する様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0025】
又本発明は、前記第1検出部、前記第2検出部のいずれか他方は、プリズムと、該プリズムを追尾測定するトータルステーションから構成され、前記トータルステーションは前記プリズムの高さを測定する様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0026】
又本発明は、前記制御装置は、舗装設計線として舗装施工全範囲の設計データを有し、前記第1検出部が検出する第1点の設計データに関する高さ変化量ΔAと前記第2検出部が検出する第2点の設計データに関する高さ変化量ΔBに基づき前記支持軸を-(ΔA+ΔB)変位させる様、前記ピボットシリンダを制御し、前記スクリード底面のアタック角αが所定値に維持される様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0027】
又本発明は、前記走行体は地心座標を取得する複数のGNSSを更に具備し、前記制御装置は、舗装施工全範囲の現地盤の3次元実測データと設計データとを有し、GNSSにより施工位置の地心座標を取得し、該地心座標での前記3次元実測データと設計データとの比較で前記ΔA、前記ΔBを算出する様構成されたアスファルトフィニッシャに関するものである。
【0028】
更に又本発明は、走行体と、該走行体に牽引されたスクリードと、該スクリードと一体的に設けられ前方に延出するレベリングアームと、前記走行体に上下変位可能に設けられ、前記レベリングアームの先端部を前記走行体に連結する支持軸と、該支持軸を上下移動させるピボットシリンダと、制御装置とを具備するアスファルトフィニッシャであって、前記レベリングアームの前記支持軸の近傍であり、該支持軸に対して既知の第1点の高さと、前記レベリングアームの前記第1点から所定距離に位置する第2点の高さとをそれぞれ検出し、検出した高さと舗装設計線とから前記第1点の高さ変化量ΔAと前記第2点の高さ変化量ΔBとを検出し、前記支持軸を-(ΔA+ΔB)変位させる様、前記ピボットシリンダを制御するスクリード制御方法に関するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、走行体と、該走行体に牽引されたスクリードと、該スクリードと一体的に設けられ前方に延出するレベリングアームと、前記走行体に上下変位可能に設けられ、前記レベリングアームの先端部を前記走行体に連結する支持軸と、該支持軸を上下移動させるピボットシリンダと、制御装置とを具備するアスファルトフィニッシャであって、前記レベリングアームの前記支持軸の近傍であり、該支持軸に対して既知の第1点の高さを検出する第1検出部と、前記レベリングアームの前記第1点から所定距離に位置する第2点の高さを検出する第2検出部とを更に具備し、前記制御装置は、舗装設計線を有し、前記第1検出部が検出する前記第1点の舗装設計線に関する高さ変化量ΔAと前記第2検出部が検出する前記第2点の舗装設計線に関する高さ変化量ΔBに基づき前記支持軸を-(ΔA+ΔB)変位させる様、前記ピボットシリンダを制御し、前記スクリード底面のアタック角αが所定値に維持される様構成されたので、前記走行体の揺動によりアタック角αが増減しても直ちに修正することができ、前記走行体の揺動に拘らず高精度に平坦な舗装面を実現できる。
【0030】
又本発明によれば、走行体と、該走行体に牽引されたスクリードと、該スクリードと一体的に設けられ前方に延出するレベリングアームと、前記走行体に上下変位可能に設けられ、前記レベリングアームの先端部を前記走行体に連結する支持軸と、該支持軸を上下移動させるピボットシリンダと、制御装置とを具備するアスファルトフィニッシャであって、前記レベリングアームの前記支持軸の近傍であり、該支持軸に対して既知の第1点の高さと、前記レベリングアームの前記第1点から所定距離に位置する第2点の高さとをそれぞれ検出し、検出した高さと舗装設計線とから前記第1点の高さ変化量ΔAと前記第2点の高さ変化量ΔBとを検出し、前記支持軸を-(ΔA+ΔB)変位させる様、前記ピボットシリンダを制御するので、前記スクリード底面のアタック角αが所定値に維持され、前記走行体の揺動に拘らず高精度に平坦な舗装面を実現できるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1の実施例の概略構成図である。
図2】第1の実施例の制御概略図である。
図3】第2の実施例の概略構成図である。
図4】第2の実施例の説明図である。
図5】第3の実施例の説明図である。
図6】第4の実施例の説明図である。
図7】第5の実施例の説明図である。
図8】第6の実施例の説明図である。
図9】(A)(B)は、第7の実施例の説明図である。
図10】従来のアスファルトフィニッシャの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0033】
図1図2は第1の実施例の概略を示しており、図1中、図10中で示したものと同一のものには同符号を付し、その詳細については説明を省略する。又、図1中、11は現地盤を示し、12aは舗装設計線、12bは舗装施工後の舗装表面を示している。尚、図1中では、現地盤11の凹凸が誇張して表示されている。
【0034】
スクリード4からは前方に向ってレベリングアーム5が延出し、該レベリングアーム5の先端は支持軸6に連結されている。該支持軸6はガイド13により走行体2に対して上下方向に移動可能に支持されている。該支持軸6にはピボットシリンダ9が連結され、該ピボットシリンダ9の駆動(伸縮)で前記支持軸6は上下方向に移動される。
【0035】
前記レベリングアーム5の前記支持軸6近傍の位置に、且つ該支持軸6から既知の距離にA点の高さを検出する第1検出器15が設けられ、該第1検出器15と前記スクリード4との間に位置し、且つ、前記A点から既知の距離にあるB点の高さを検出する第2検出器16が設けられる。
【0036】
前記第1検出器15と前記第2検出器16との距離は既知であり、前記支持軸6と前記第2検出器16との距離も既知となっている。
【0037】
前記第1検出器15、前記第2検出器16はそれぞれ、0点(検出基準点)を設定可能となっている。
【0038】
尚、前記第1検出器15、前記第2検出器16としては、超音波式高さ検出器、接触式高さ検出器等が挙げられる。
【0039】
図2中、19は制御装置を示し、前記第1検出器15、前記第2検出器16の検出結果に基づき、前記ピボットシリンダ9を制御してアタック角αを一定に、或は増減を制御する。
【0040】
前記第1検出器15、前記第2検出器16の検出結果は、前記制御装置19に送信される。該制御装置19は、記憶部20を有し、該記憶部20には前記ピボットシリンダ9を制御し、アタック角αを制御する為のプログラムが格納されている。該制御装置19はプログラムにより前記ピボットシリンダ9の伸縮を制御する。
【0041】
尚、図1ではアスファルトフィニッシャ1の左側面(進行方向に向って左側の側面)のみを示しているが、前記レベリングアーム5、前記支持軸6、前記ピボットシリンダ9、前記第1検出器15、前記第2検出器16は、右側面も同様の構成であり、レベリングアーム5′、支持軸6′、ピボットシリンダ9′、第1検出器15′、前記第2検出器16′が設けられていることは言う迄もない。
【0042】
前記第1検出器15,15′、前記第2検出器16,16′の検出結果は、制御装置19に送信され、該制御装置19は検出結果に基づき前記ピボットシリンダ9,9′の伸縮を個別に制御する。
【0043】
左右同様であるので、以下は左側面に関して説明する。
【0044】
前記アスファルトフィニッシャ1は前記舗装表面12bが前記舗装設計線12aと合致する様に舗装を施工する。
【0045】
前記第1検出器15、前記第2検出器16は、それぞれA点、B点に於ける前記舗装設計線12aからの高さを検出する。該舗装設計線12aを示すものとしては、例えば縁石の上面、或は前記舗装設計線12aと平行に張られ、前記舗装設計線12aとの間隔(距離)が既知であるセンサロープ等が挙げられる。
【0046】
前記第1検出器15、前記第2検出器16は、前記アスファルトフィニッシャ1が平坦な場所にあり、前記スクリード4が前記舗装設計線12a上に位置する状態で設定値のアタック角α0 となる場合を基準として、0設定される。又、この時の前記支持軸6の前記舗装設計線12aに対する高さをH1とし、前記支持軸6を通過し、前記舗装設計線12aと平行な線を仮想基準線26とする。
【0047】
前記走行体2が走行する(図1中、左方に移動)と、前輪7、後輪8は現地盤11に倣って転動するので、前記走行体2は前記現地盤11の不陸を乗上げ、乗下げ、揺動しつつ移動する。
【0048】
例えば、後輪8の上下動が無く、前輪7が不陸を乗下げた場合、前記支持軸6は乗下げ量に対応して下方に移動する。尚、該支持軸6が前記前輪7、後輪8の中間に位置する場合は、乗下げ量の略1/2だけ下方に変位する。前記支持軸6の変位に追従して前記レベリングアーム5の先端も変位し、該レベリングアーム5は前記スクリード4の接地点を中心に下方に傾斜する。この為、前記アタック角αが減少する。
【0049】
又、前輪7の上下動が無く、後輪8が不陸を乗下げた場合、前記支持軸6は乗下げ量に対応して乗下げ量の略1/2だけ下方に変位する。この為、前記アタック角αが減少する。
【0050】
同様に前記前輪7、前記後輪8が不陸を乗上げた場合も、前記アタック角αが増加する。
【0051】
上記した様に、アタック角αの増減によって舗装厚が増減するが、本実施例では、前記第1検出器15、前記第2検出器16に基づき、前記ピボットシリンダ9を制御して前記アタック角αを一定(アタック角α0 )に制御する。
【0052】
先ず、前記第1検出器15からのみ変位ΔAが検出された場合、前記第1検出器15が前記舗装設計線12aに対して上方に+ΔA変位したことを意味し、前記支持軸6が前記舗装設計線12aに対して上方に+ΔA変位したことを意味する。従って、この状態ではアタック角αが増加している。前記制御装置19は前記ピボットシリンダ9を制御して、前記支持軸6をΔAだけ下方に(-ΔA)変位させ、該支持軸6を前記舗装設計線12aに対してH1位置に保持する。即ち、アタック角αを一定に制御する。
【0053】
同様に、前記第1検出器15からのみ変位-ΔAが検出された場合、前記第1検出器15が前記舗装設計線12aから下方に-ΔA変位したことを意味し、前記制御装置19は前記ピボットシリンダ9を制御して、前記支持軸6を+ΔAだけ上方に変位させ、該支持軸6を前記舗装設計線12aに対してH1位置に保持する。
【0054】
ここで、A点の変位ΔAについての制御は、前記走行体2が前記現地盤11の不陸によって揺動する時、その揺動量(上下動)をキャンセルして、前記支持軸6(牽引点)を計画線(仮想基準線26)の通りに牽引する為の制御となる。
【0055】
次に、前記第2検出器16からのみ変位ΔBが検出された場合、前記第2検出器16が前記舗装設計線12aに対し上方に+ΔB変位したことを意味する。
【0056】
即ち、前記第2検出器16からのみ変位ΔBが検出された場合は、前記仮想基準線26を-ΔBだけ下方にオフセットし、前記ピボットシリンダ9の制御を行う。即ち、前記ピボットシリンダ9により前記支持軸6を-ΔBだけ下方に変位させる。基準線がオフセットされた為、前記第1検出器15に影響を与えない。以下、前記第2検出器16についての制御の記述については、仮想基準線のオフセットのことを指すものとする。
【0057】
次に、前記第2検出器16からのみ変位-ΔBが検出された場合、同様にして、前記仮想基準線26を+ΔBだけ上方にオフセットし、前記ピボットシリンダ9により前記支持軸6を+ΔBだけ上方に変位させる。
【0058】
ここで、B点の変位ΔBについての制御は、前記スクリード4を計画線(舗装設計線12a)の通りに制御し、舗装する為の制御となる。
【0059】
更に又、前記第1検出器15から変位ΔAが検出され、同時に前記第2検出器16から変位ΔBが検出された場合ついて説明する。
【0060】
A点、B点について同時に変位ΔA、変位ΔBが検出された場合、制御量はそれぞれの変位量の符号を反転させた合計となる。例えば、A点で+ΔAの変位量、B点で+ΔBの変位量が検知されたとすると、前記制御装置19はA点の仮想基準線26を-ΔBだけ下方にオフセットする。このオフセットによりA点での新たな検出変位量はΔA2=ΔA+ΔBとなる。制御信号としては、符号が反転され、-(ΔA+ΔB)となる。
【0061】
前記制御装置19は、-(ΔA+ΔB)だけ前記ピボットシリンダ9により前記支持軸6を-(ΔA+ΔB)だけ下方に移動させれば、-ΔBだけ仮想基準線26をオフセットした状態で、アタック角α0 を実現できる。
【0062】
以上まとめると、前記第1検出器15、第2検出器16の検出結果に対して以下の対応を実行することで、アタック角αを所定値に制御できる。
【0063】
1.前記第1検出器15からのみ変位ΔAが検出された場合、前記制御装置19は前記ピボットシリンダ9を駆動して、前記支持軸6を-ΔA変位させる。
【0064】
2.前記第2検出器16からのみ変位ΔBが検出された場合、前記制御装置19は前記ピボットシリンダ9を駆動して、前記支持軸6を-ΔB変位させる。
【0065】
3.前記第1検出器15から変位ΔAが検出され、前記第2検出器16から変位ΔBが同時に検出された場合、前記制御装置19は前記ピボットシリンダ9を駆動して、前記支持軸6を-(ΔA+ΔB)変位させる。
【0066】
而して、前記アスファルトフィニッシャ1が現地盤11を走行し、不陸による揺動があった場合、アタック角αを設定角に維持することができる。更に、前記第1検出器15、第2検出器16の検出結果に基づき、直ちに前記支持軸6の最終的な位置に制御するので、即ち設定アタック角αに制御するので、応答遅れが無く、高精度の平坦度が得られる。
【0067】
尚、従来の方法では、走行体2の移動による力の釣合でアタック角αを設定角に復元、或は制御するので、タイムラグは避けられなかった。
【0068】
尚、上記説明では走行装置として車輪が用いられたが、クローラ式の走行装置であってもよい。
【0069】
図3図4は、回転レーザ装置21を用いて第1検出器15、第2検出器16の高さ検出を行う第2の実施例を示している。尚、図3中、図1中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0070】
第2の実施例に於ける前記第1検出器15、第2検出器16は受光装置から構成される。該受光装置は点状の受光器(図示せず)を具備し、定速で回転照射されるレーザ光線22を受光する。該レーザ光線22は前記回転レーザ装置21によって水平回転され、レーザ光線22は複数のファンビーム(図示では3のファンビーム22a,22b,22c)で構成される。尚、図示では、3のファンビームによりN字状に構成されている。
【0071】
ファンビーム22a,22b,22cは既知の広がり角を有し、少なくとも1つのファンビーム22bは水平面に対して既知の角度で傾斜している。前記受光器が該ファンビーム22a,22b,22cを受光し、各ファンビーム間の受光時間差を検出することで、前記回転レーザ装置21を基準とした受光器迄の距離、受光器の高さを測定できる様になっている。尚、前記受光装置、前記回転レーザ装置を用いた測定システムについては特開2005-121388号公報(特許文献5)に示されるシステムを使用することができる。
【0072】
前記第1検出器15はレベリングアーム5の支持軸6の近傍に垂直に立設された支柱24の上端に設けられており、又該支柱24と前記レベリングアーム5との連結点24aと前記第1検出器15(受光器)間の距離は既知となっている。更に、前記連結点24aと前記支持軸6との距離も既知となっている。従って、前記第1検出器15と前記支持軸6との距離、位置関係は既知となっている。
【0073】
前記第2検出器16は前記レベリングアーム5の所定位置に垂直に立設された支柱25の上端に設けられている。又該支柱25と前記レベリングアーム5との連結点25aと前記第2検出器16(受光器)間の距離は既知となっている。更に、前記連結点25aと前記支持軸6との距離も既知となっている。従って、前記第2検出器16と前記支持軸6との距離、位置関係は既知であり、前記第1検出器15と前記第2検出器16との距離も既知となっている。
【0074】
図4中、23は前記レーザ光線22が形成するレーザ基準面を示しており、該レーザ基準面23の高さは既知、例えば前記舗装設計線12aに対して既知の高さとなっている。前記第1検出器15、前記第2検出器16が前記レーザ光線22を受光することで、前記レーザ基準面23に対する前記第1検出器15、前記第2検出器16の高さ位置が測定され、前記舗装設計線12aに対する前記連結点24a、前記連結点25aに対する高さ位置が測定され、同様に高さ位置の変動も測定される。
【0075】
従って、第1の実施例と同様に、前記連結点24aの変位ΔA、前記連結点25aの変位ΔBに基づきアタック角αを設定角に維持する様、前記ピボットシリンダ9が制御される。
【0076】
尚、第2の実施例では、前記回転レーザ装置21を基準として前記第1検出器15、前記第2検出器16の測距を行うことができる。前記回転レーザ装置21を既知の3次元座標(地心座標)に設置することで、前記第1検出器15、前記第2検出器16の3次元座標をリアルタイムで測定することができる。
【0077】
従って、前記アスファルトフィニッシャ1の制御部に舗装施工範囲全域の舗装施工面の3次元データ(舗装設計データ)を格納し、舗装設計データと前記回転レーザ装置21による前記第1検出器15、第2検出器16の3次元測定結果に基づき舗装施工範囲全域の舗装を施工することができる。尚、舗装設計データの高さデータは前記舗装設計線12aと同等である。
【0078】
第2の実施例では、舗装施工現場でセンサロープ等を張る等の作業が省略でき、又複雑な曲面でも容易に舗装を施工できる。
【0079】
尚、前記アスファルトフィニッシャ1にGNSS受信機を設け、該GNSS受信機の受信結果に基づき前記アスファルトフィニッシャ1の現位置の地心座標をリアルタイムで取得する様にしてもよい。
【0080】
図5は第3の実施例を示している。
【0081】
第3の実施例では、予め施工範囲全域の現地盤11の3次元データを取得する。3次元データの取得について、レーザスキャナによる3次元座標付の点群データを取得するか、或は小型無人飛行体(ドローン)にカメラを搭載し、施工範囲全域の写真を取得し、写真測量による3次元座標を取得するか、或はプリズムを設けたプローブ又は車輪付きの測量ポール等で道路表面をたどらせ、プリズムをトータルステーションで追尾、測定することで、路面の形状を取得するか(特許文献7)等については、適宜選択し、施工範囲全域の現地盤11の3次元データ28を実測して取得する(現地盤の3次元実測データ28とする)。
【0082】
更に、現地盤11の3次元実測データを取得する方法としては、米国特許第10066346号明細書(特許文献6)を使用することができる。
【0083】
実測値は、アスファルトフィニッシャ1の制御部の記憶部に格納される。
【0084】
又、施工範囲全域の3次元設計データを演算、作成し、設計データ29を前記記憶部に格納する。
【0085】
前記アスファルトフィニッシャ1にはGNSS受信機(図示せず)が複数設けられ、該GNSS受信機は前記アスファルトフィニッシャ1の機械中心(或は基準点)に対して既知の位置に設けられている。該GNSS受信機の受信結果に基づき前記アスファルトフィニッシャ1の現位置の地心座標をリアルタイムで取得することができる。前記GNSSが取得した地心座標から、前記アスファルトフィニッシャ1の機械中心、更に舗装施工位置の地心座標がリアルタイムで取得できる。
【0086】
尚、前記GNSS受信機を複数設けることで、前記アスファルトフィニッシャ1の進行方向に対する向きを測定することができる。
【0087】
又、レベリングアーム5には第1検出器15、第2検出器16として超音波センサが設けられ、第1検出器15、第2検出器16によりアスファルト舗装施工位置(現位置)での施工舗装厚を測定する。
【0088】
現位置の地心座標は前記GNSS受信機の受信結果から測定でき、現位置の地心座標に於ける現地盤実測値(3次元座標)の高さ座標と設計データ(3次元座標)の高さ座標に基づき現位置での設計舗装厚を求める。この設計舗装厚と施工舗装厚を比較し、施工舗装厚が設計舗装厚となる様に前記ピボットシリンダ9を制御する。前記設計舗装厚は舗装施工の基準となるものであり、前記舗装設計線12aに相当する。
【0089】
尚、この時の前記ピボットシリンダ9の制御も、第1検出器15、第2検出器16の検出値と前記設計データとの比較で、ΔA、ΔBを求め、第1の実施例で説明したと同様な制御を実行する。
【0090】
更に、A点、B点での高さを求める方法としては、上記した方法以外にも種々考えられる。
【0091】
図6は第4の実施例を示し、第4の実施例ではA点、B点での高さを求める方法として、追尾機能を有するトータルステーション31が用いられた場合を示している。
【0092】
レベリングアーム5に立設された支柱24,25の上端にプリズム32,33を設け、前記トータルステーション31により前記プリズム32と前記プリズム33とをそれぞれ追尾しつつ交互に測定する。前記トータルステーション31では、プリズム32,33の3次元座標を測定するので、A点、B点での高さも同様に求めることができる。
【0093】
尚、前記支柱24,25間は既知の距離であり、更に支柱24,25迄の距離は前記トータルステーション31で高精度に測定されるので、前記トータルステーション31の設置点を中心とする前記支柱24,25間の水平角は演算により高精度に求めることができる。
【0094】
従って、得られた水平角で視準方向を交互に回転すればよいので、前記プリズム32と前記プリズム33とを高速で交互に視準した際も、両プリズム32,33に対するトラッキング状態を維持することができる。
【0095】
尚、トータルステーションを2台設置し、第1トータルステーションにより前記プリズム32を追尾測定し、第2トータルステーションにより前記プリズム33を追尾測定し、それぞれの測定結果に基づきA点、B点での高さを求めてもよい。尚、第1トータルステーション、第2トータルステーションは既知の関係で設置されている。
【0096】
図7は第5の実施例を示し、第5の実施例に示される方法では、レベリングアーム5に対して1つの超音波センサと傾斜センサとを設けて、A点、B点での高さを求めている。
【0097】
B点の高さを検出する第2検出器16として超音波センサが用いられ、前記レベリングアーム5の所要位置に該レベリングアーム5の傾斜を検出する傾斜センサ35が設けられる。前記第2検出器16が設けられた位置と支持軸6との距離Lは既知となっている。
【0098】
前記第2検出器16によりB点の高さが検出されると、前記傾斜センサ35が検出した傾斜角と距離Lに基づきA点の高さが検出できる。
【0099】
従って、B点の高さの変化ΔB、A点の高さの変化ΔAに基づき第1の実施例で説明したと同様な制御を実行することができる。
【0100】
尚、A点の高さを超音波センサ(第1検出器15)により検出し、A点の高さと前記傾斜センサ35が検出する傾斜角に基づきB点の高さを演算する様にしてもよい。
【0101】
図8は第6の実施例を示し、第6の実施例では第5の実施例で示した方法に於いて、A点、B点での高さの検出方法として(図示ではB点を検出している)、図3図4で示した方法を用いている。
【0102】
レベリングアーム5に支柱25を立設し、上端に第2検出器16として受光装置が設けられている。該第2検出器16は、回転レーザを受光、検出し、受光結果に基づきB点での高さを検出する。B点での高さと傾斜センサ35が検出する傾斜角と前記距離Lに基づきA点の高さが演算される。
【0103】
図9は第7の実施例を示し、第7の実施例では、A点又はB点の高さを測定する方法としてトータルステーション31が用いられている。
【0104】
図9(A)に於いて、レベリングアーム5のB点に対応して支柱25が立設され、上端にプリズム33が設けられ、該プリズム33について前記トータルステーション31が追尾しつつ、3次元座標を測定する。B点の高さが測定されることで、他方のA点については、傾斜センサ35が検出する傾斜角と距離Lに基づき高さを求めることができる。
【0105】
図9(B)では、レベリングアーム5のA点に対応して支柱24が立設され、上端にプリズム32が設けられ、トータルステーション31によりA点の高さが測定される。他方のB点については、同様に傾斜センサ35が検出する傾斜角と前記距離Lに基づきに高さを求めることができる。
【0106】
A点、B点の高さ測定について、上記実施例に限定されるものではなく、その他種々の測定方法を使用することができる。例えば、超音波センサに代えレーザ測長器を用いる等である。
【符号の説明】
【0107】
1 アスファルトフィニッシャ
2 走行体
4 スクリード
5 レベリングアーム
6 支持軸
9 ピボットシリンダ
11 現地盤
12a 舗装設計線
12b 舗装表面
15 第1検出器
16 第2検出器
19 制御装置
21 回転レーザ装置
28 3次元実測データ
29 設計データ
31 トータルステーション
35 傾斜センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10