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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】筒形カットアウト
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/44 20060101AFI20221212BHJP
   H01H 85/042 20060101ALI20221212BHJP
   H01H 85/20 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01H85/44
H01H85/042
H01H85/20 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019067005
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020167046
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000102636
【氏名又は名称】エナジーサポート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小寺 克昌
(72)【発明者】
【氏名】福田 裕輔
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-059154(JP,U)
【文献】特開2012-099388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/44
H01H 85/042
H01H 85/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部電極と下部電極とをヒューズ筒が電気的に接続し、前記ヒューズ筒の着脱により開閉が行われる筒形カットアウトであって、
前記上部電極が取り付けられる本体上部と、
前記本体上部の下端に接続され前記下部電極が取り付けられ樹脂からなる下部カバーと、を備え、
前記下部カバーには、耐雷素子を収納する収納部が側面に一体に設けられ、
前記収納部は、前記耐雷素子を挿入する開口部と、前記開口部を閉じる蓋部と、前記耐雷素子と前記収納部の底部との間に空間を設ける段差部とを備える
筒形カットアウト。
【請求項2】
前記本体上部を支持して腕金に取り付けられる取付金具と前記耐雷素子との間で放電される
請求項1に記載の筒形カットアウト。
【請求項3】
上部電極と下部電極とをヒューズ筒が電気的に接続し、前記ヒューズ筒の着脱により開閉が行われる筒形カットアウトであって、
前記上部電極が取り付けられる本体上部と、
前記本体上部の下端に接続され前記下部電極が取り付けられ樹脂からなる下部カバーと、を備え、
前記下部カバーには、耐雷素子を収納する収納部が側面に一体に設けられ、
前記収納部は、前記耐雷素子を挿入する開口部と、前記開口部を閉じる蓋部とを備え、
前記耐雷素子と前記蓋部とが接続され、
前記本体上部を支持して腕金に取り付けられる取付金具と前記蓋部とが接続されている
筒形カットアウト。
【請求項4】
前記耐雷素子と前記蓋部とが接続され、
前記本体上部を支持して腕金に取り付けられる取付金具と前記蓋部とが接続されている
請求項1に記載の筒形カットアウト。
【請求項5】
上部電極と下部電極とをヒューズ筒が電気的に接続し、前記ヒューズ筒の着脱により開閉が行われる筒形カットアウトであって、
前記上部電極が取り付けられる本体上部と、
前記本体上部の下端に接続され前記下部電極が取り付けられ樹脂からなる下部カバーと、を備え、
前記下部カバーには、耐雷素子を収納する収納部が側面に一体に設けられ、
前記本体上部は、前記上部電極が取り付けられ樹脂からなる上部カバーと、
前記上部カバーが上端に接続され、前記下部カバーが下端に接続される接続部材と、を備え
前記上部カバーの下端と前記下部カバーの上端とが接続されてい
筒形カットアウト。
【請求項6】
前記本体上部は、前記上部電極が取り付けられ樹脂からなる上部カバーと、
前記上部カバーが上端に接続され、前記下部カバーが下端に接続される接続部材と、を備える
請求項1~4のいずれか一項に記載の筒形カットアウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒形カットアウトに関する。
【背景技術】
【0002】
過負荷電流や短絡電流、雷サージに対して変圧器を保護する筒形カットアウトが変圧器の一次側に設置されている(例えば、特許文献1参照)。
筒形カットアウトは、磁器製の円筒状の本体碍子内にヒューズ筒が収納されている。本体碍子の上端に上部電極が固定されるとともに、本体碍子の下部側面に下部電極が固定されている。ヒューズ筒は、上部電極と下部電極とを接続する。ヒューズ筒の上端には、管状の上部接触子を固定した絶縁筒が設けられる。絶縁筒には、環状の接触部を有する下部接触子が貫装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-125207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、筒形カットアウトには、限流素子を内蔵したアレスタが本体碍子の外周面に差し込まれている。このアレスタは、碍子に覆われており、磁器からなる本体碍子の質量がさらに増加することとなる。筒形カットアウトは、電柱等に設置する際には、作業者が運ばなければならないため、筒形カットアウトの質量の低減が求められている。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、質量を低減することのできる筒形カットアウトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する筒形カットアウトは、上部電極と下部電極とをヒューズ筒が電気的に接続し、前記ヒューズ筒の着脱により開閉が行われる筒形カットアウトであって、前記上部電極が取り付けられる本体上部と、前記本体上部の下端に接続され前記下部電極が取り付けられ樹脂からなる下部カバーと、を備え、前記下部カバーには、耐雷素子を収納する収納部が側面に一体に設けられている。
【0007】
上記構成によれば、下部電極が設けられる部分が樹脂からなり、耐雷素子を収納する収納部が下部カバーの側面に一体に設けられている。よって、筒形カットアウトの質量を低減することができる。
【0008】
上記筒形カットアウトについて、前記収納部は、前記耐雷素子を挿入する開口部と、前記開口部を閉じる蓋部とを備えることが好ましい。
上記構成によれば、耐雷素子を収納部の開口部から挿入して蓋部を閉じることで耐雷素子を筒形カットアウトに容易に取り付けることができる。また、耐雷素子を収納部の開口部から挿入して蓋部を閉じることで耐雷素子を密閉することができる。
【0009】
上記筒形カットアウトについて、前記収納部は、前記耐雷素子と前記収納部の底部との間に空間を設ける段差部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、耐雷素子を収納部に挿入すると段差部によって耐雷素子と収納部の底部との間に空間ができる。このため、この空間によって放電ギャップを形成することができ、放電ギャップを形成するための別の部材が不要である。
【0010】
上記筒形カットアウトについて、前記本体上部を支持して腕金に取り付けられる取付金具と前記耐雷素子との間で放電されることが好ましい。
上記構成によれば、雷サージが侵入したときに、筒形カットアウトの内部から耐雷素子を介して取付金具から接地に接続された腕金に放電される。また、耐雷素子の外部側突起の形状を変更することで取付金具との放電ギャップ及び位置関係を変更することができる。
【0011】
上記筒形カットアウトについて、前記耐雷素子と前記蓋部とが接続され、前記本体上部を支持して腕金に取り付けられる取付金具と前記蓋部とが接続されていることが好ましい。上記構成によれば、雷サージが侵入したときに、筒形カットアウトの内部から耐雷素子及び収納部の蓋部を介して取付金具から接地に接続された腕金に放電される。
【0012】
上記筒形カットアウトについて、前記本体上部は、前記上部電極が取り付けられ樹脂からなる上部カバーと、前記上部カバーが上端に接続され、前記下部カバーが下端に接続される接続部材と、を備えることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、樹脂からなる上部カバーに上部電極が取り付けられ、樹脂からなる下部カバーに下部電極が取り付けられている。このため、接続部材に上部電極及び下部電極を取り付ける部分が不要であり、接続部材の全長も短くすることができる。よって、筒形カットアウトの質量を更に低減することができる。
【0014】
上記筒形カットアウトについて、前記上部カバーの下端と前記下部カバーの上端とが接続されていることが好ましい。
上記構成によれば、上部カバーの下端と下部カバーの上端とが接続されるため、上部カバーと接続部材、下部カバーと接続部材との接続に加えて、上部カバーと下部カバーとの組み付けを強固にすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、質量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】筒形カットアウトの第1の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
図2】筒形カットアウトの第2の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
図3】筒形カットアウトの第3の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
図4】筒形カットアウトの第4の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
図5】筒形カットアウトの第5の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
図6】筒形カットアウトの第6の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
図7】筒形カットアウトの第7の実施形態の概略構成を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、図1を参照して、筒形カットアウトの第1の実施形態について説明する。
図1に示すように、筒形カットアウト1は、上部電極44が取り付けられる本体上部10と、下部電極54が取り付けられる下部カバー30とを備えている。筒形カットアウト1は、取付金具80によって電柱等の腕金に取り付けられる。取付金具80は、本体上部10の延出方向中央の外周に固定されている。
【0018】
本体上部10は、磁器製の円筒形状であって、上端から下端までの内径が同一である。本体上部10の外周面10Aには、複数の襞13が設けられている。襞13は、本体上部10の外周面10Aから立設して本体上部10の径方向へ延出した円板状である。襞13は、本体上部10の上端部11側に3個、本体上部10の下端12側に3個設けられている。なお、襞13の個数及び長さ等は所望の絶縁距離に合わせて変更可能である。
【0019】
本体上部10の上端部11には、上部電極44を取り付けるための内径が縮径した貫通孔11Aが形成されている。本体上部10の上端部11の内側には、円錐状の上部モールドコーン40が挿入されている。本体上部10の上端部11と上部モールドコーン40とは接着剤によって接着されている。上部モールドコーン40には、上部引出線41が貫装されている。上部引出線41の基端には、螺子42が螺着されている。螺子42には、上部電極44が取り付けられ、螺子42と上部電極44とは、接続線43によって電気的に接続されている。上部モールドコーン40の上部引出線41には、配電線路の外部電線が接続される。
【0020】
下部カバー30は、樹脂からなる円筒状の部材である。下部カバー30は、本体上部10の下端12に接続される。下部カバー30の外径は、本体上部10の外径よりも長い。下部カバー30は、下部カバー30の上端から上方へ延出する下部挿入部31を備えている。下部挿入部31は、円筒状であって、本体上部10の内側に位置している。本体上部10の下端12の内壁と下部挿入部31とは、接着剤によって接着されている。
【0021】
下部カバー30は、下部カバー30の側壁30Aから側方へ延出する側壁延出部32を備えている。側壁延出部32は、円筒状である。側壁延出部32の底部である側壁30Aには、円状の貫通孔32Aが形成されている。
【0022】
下部カバー30の側面の側壁延出部32には、円柱状の下部モールドコーン50が挿入されている。下部モールドコーン50には、下部引出線51が貫装されている。下部引出線51の基端には、接続線52が接続されている。接続線52は、側壁30Aの貫通孔32Aに挿通されて、下部電極54に螺子止めされている。下部電極54は、円筒状の取付部材55に固定されている。下部カバー30の内壁には、係合溝30Bが形成されている。取付部材55は、係合溝30Bに係合して下部カバー30に取り付けられている。接続線52は、雌螺子を有する板53によって下部カバー30に固定されている。下部モールドコーン50の下部引出線51には、配電線路に設けられた変圧器等の機器が外部電線を介して接続される。また、側壁延出部32は、下部モールドコーン50との接触部よりも下部引出線51の延出方向へ延出している。このため、側壁延出部32によって下部モールドコーン50の可動範囲を制限することができる。
【0023】
下部カバー30は、下部カバー30の側壁30Aから側方へ延出する収納部33を備えている。収納部33は、円筒状であって、耐雷素子20を収納する。耐雷素子20は、両端に設けられた電極の間にZnO(酸化亜鉛)系の非直線抵抗素子である限流素子が挟着され、その外周には弾力性に富む絶縁材料によってモールド成型されている。耐雷素子20の収納部33の内部側には、内部側突起20Aが設けられている。耐雷素子20の収納部33の外部側には、外部側突起20Bが設けられている。耐雷素子20は、両電極が水平方向に位置する向きで収納部33に収納される。
【0024】
収納部33は、耐雷素子20を挿入する開口部33Aと、開口部33Aを閉じる蓋部34とを備えている。開口部33Aは、下部カバー30の側方に向かって開口している。耐雷素子20は、収納部33の開口部33Aから挿入されて、収納部33の内部に収納される。蓋部34は、絶縁材料からなる。蓋部34には、耐雷素子20の外部側突起20Bが露出する貫通孔34Aが形成されている。蓋部34は、螺子によって収納部33に固定される。
【0025】
収納部33の底部である側壁30Aには、円状の貫通孔33Bが形成されている。貫通孔33Bには、ボルト21が貫通されて、ボルト21とナット22とによって収納部33と下部カバー30の内側とが電気的に接続されている。ボルト21には、接続線23の一端が接続されている。接続線23の他端は、下部電極54に螺子止めされている。
【0026】
収納部33は、襞33Cを備えている。襞33Cは、収納部33の外周面に立設して収納部33の径方向へ延出して円板状に設けられている。
収納部33の内部には、段差部33Dが形成されている。段差部33Dは、収納部33の耐雷素子20が位置する部分の内径よりも縮径することで形成されている。段差部33Dは、耐雷素子20と接触している。段差部33Dによって耐雷素子20と収納部33の底部との間に空間ができる。この空間によって放電ギャップが形成される。耐雷素子20の内部側突起20Aとボルト21の頭との距離を内部ギャップG1とする。
【0027】
取付金具80には、耐雷素子20側へ屈曲した接続金具81の一端が固定されている。そして、接続金具81の他端には、耐雷素子20との間で放電ギャップを形成する閃絡金具82が固定されている。すなわち、接続金具81は、取付金具80と閃絡金具82とを接続する。耐雷素子20の外部側突起20Bと閃絡金具82との距離を外部ギャップG2とする。
【0028】
筒形カットアウト1は、本体上部10と下部カバー30との内部にヒューズ筒60が収納される。ヒューズ筒60は、上部電極44と下部電極54とを電気的に接続する。筒形カットアウト1は、ヒューズ筒60の着脱により開閉が行われる。
【0029】
ヒューズ筒60の上端には、管状の上部接触子61を固定した絶縁筒62が設けられている。絶縁筒62には、環状の接触部を有する下部接触子66が貫装されている。絶縁筒62の下端には、表示筒67が固着されている。下部接触子66と表示筒67との間にはばね68が介在されている。絶縁筒62内には、ヒューズ63が上部接触子61と下部接触子66との間にばね68によって張設されている。ヒューズ63は、ヒューズエレメント64とヒューズリード線65とが直列に接続されている。ヒューズリード線65の先端は、締付螺子69によって下部接触子66に締付固定されている。ヒューズ筒60の上部接触子61と下部接触子66とは、ヒューズエレメント64、ヒューズリード線65を介して電気的に接続されている。ヒューズエレメント64は、過電流等により規定値を越える電流が流れると溶断する。ヒューズ筒60の上部接触子61の先端には、消弧ガスを発生する尿素又はメラミン樹脂等で形成される消弧棒70が収納されている。本体上部10とヒューズ筒60との間には、消弧ガスを発生する尿素又はメラミン樹脂等で形成される円筒状の消弧筒73が設置されている。消弧筒73の下端は、下部カバー30の上端に接触している。
【0030】
下部カバー30の下端開口部35には、下端開口部35を閉じる図示しない閉蓋部材が着脱可能に取り付けられる。閉蓋部材は、ヒューズ筒60のヒューズエレメント64が溶断した際に表示筒67が下方に突出することで押圧されて、下端開口部35から外れる。下部カバー30と閉蓋部材とは、紐によって接続されている。閉蓋部材が下端開口部35から外れたときには、閉蓋部材は紐によってぶら下がる。
【0031】
次に、上記のように構成された筒形カットアウト1の作用について説明する。
筒形カットアウト1に過電流が流れると、ヒューズ63のヒューズエレメント64が溶断する。このとき、ヒューズリード線65の緊張状態が解除され、ヒューズ筒60の絶縁筒62がばね68の弾性力により下方に向かって移動する。ヒューズ筒60の絶縁筒62は、下部接触子66に係止される位置まで強制移動する。上部電極44から上部接触子61が外れるとともに、絶縁筒62が下部カバー30の下方へ突出する。このとき、表示筒67の押圧によって閉蓋部材が下端開口部35から外れ、表示筒67が下端開口部35から突出する。したがって、筒形カットアウト1のヒューズエレメント64が溶断したことが外部に報知される。作業者は、下部カバー30の下方へ突出した表示筒67にて過電流通過の旨を視認することができる。
【0032】
工事等で配電線路の負荷開放を行うときには、下端開口部35から閉蓋部材を取り外す。そして、作業者が図示しない操作棒を下部カバー30内に挿入して、操作棒をヒューズ筒60の下部接触子66に嵌合させる。
【0033】
続いて、操作棒がヒューズ筒60と嵌合した状態で、操作棒を下方へ引っ張ると、下部電極54と下部接触子66との係合が外れるため、ヒューズ筒60を筒形カットアウト1から引き抜くことができる。このとき、上部電極44とヒューズ筒60の上部接触子61との間にアークが発生すると、消弧棒70及び消弧筒73から消弧ガスが発生し、消弧棒70と消弧筒73との細隙により消弧される。
【0034】
雷サージが侵入したときには、内部ギャップG1及び外部ギャップG2にこの雷サージの電圧が印加され、この雷サージの電圧が内部ギャップG1及び外部ギャップG2の設定値より大きければ内部ギャップG1及び外部ギャップG2で放電が起こる。雷サージは、上部引出線41-上部電極44-上部接触子61-ヒューズ63-下部接触子63-下部電極54-内部ギャップG1-耐雷素子20-外部ギャップG2-閃絡金具82-接続金具81-取付金具80を経て大地に放電される。
【0035】
過電圧が耐雷素子20に印加されると、耐雷素子20は、素子自体が備える電圧電流特性の非直線性により、その抵抗値を減じて雷サージの大電流を通し、過電圧の消滅後はその抵抗値を回復して続流の放電を直ちに制限及び遮断し、速やかに絶縁を回復する。このため、耐雷素子20によって、続流が発生せず、筒形カットアウト1のヒューズ63の断線が確実に防止される。
【0036】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、下部電極54が取り付けられる下部カバー30が樹脂製であるため、下部カバー30まで磁器製であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。また、耐雷素子20を収納する収納部33が下部カバー30と一体であるため、耐雷素子を有する部材が別体であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。
【0037】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)下部電極54が設けられる部分が樹脂からなり、耐雷素子20を収納する収納部33が下部カバー30の側面に一体に設けられている。よって、筒形カットアウト1の質量を低減することができる。
【0038】
(2)耐雷素子20を収納部33の開口部33Aから挿入して蓋部34を閉じることで耐雷素子20を筒形カットアウト1に容易に取り付けることができる。
(3)耐雷素子20を収納部33に挿入すると段差部33Dによって耐雷素子20と収納部33の底部との間に空間ができる。このため、この空間によって内部ギャップG1を形成することができ、内部ギャップを形成するための別の部材が不要である。
【0039】
(4)雷サージが侵入したときに、筒形カットアウト1の下部電極54-内部ギャップG1-耐雷素子20-外部ギャップG2-閃絡金具82-接続金具81-取付金具80を経て接地に接続された腕金に放電される。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、図2を参照して、筒形カットアウトの第2の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、外部ギャップG2がない点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0041】
図2に示すように、収納部33の開口部33Aには、開口部33Aを閉じる蓋部36が螺子によって固定されている。蓋部36は、導通材料からなる。耐雷素子20の収納部33の外部側は、蓋部36に電気的に接続されている。閃絡金具82は、蓋部36を固定する螺子によって蓋部36とともに収納部33に固定されている。すなわち、閃絡金具82は、蓋部36と電気的に接続されている。
【0042】
次に、上記のように構成された筒形カットアウト1の作用について説明する。
雷サージが侵入したときには、内部ギャップG1にこの雷サージの電圧が印加され、この雷サージの電圧が内部ギャップG1の設定値より大きければ内部ギャップG1で放電が起こる。雷サージは、上部引出線41-上部電極44-上部接触子61-ヒューズ63-下部接触子63-下部電極54-内部ギャップG1-耐雷素子20-蓋部36-閃絡金具82-接続金具81-取付金具80を経て大地に放電される。
【0043】
過電圧が耐雷素子20に印加されると、耐雷素子20は、素子自体が備える電圧電流特性の非直線性により、その抵抗値を減じて雷サージの大電流を通し、過電圧の消滅後はその抵抗値を回復して続流の放電を直ちに制限及び遮断し、速やかに絶縁を回復する。このため、耐雷素子20によって、続流が発生せず、筒形カットアウト1のヒューズ63の断線が防止される。
【0044】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、下部電極54が取り付けられる下部カバー30が樹脂製であるため、下部カバー30まで磁器製であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。また、耐雷素子20を収納する収納部33が下部カバー30と一体であるため、耐雷素子を有する部材が別体であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。
【0045】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(1)~(3)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(5)雷サージが侵入したときに、筒形カットアウト1の内部から耐雷素子20及び収納部33の蓋部36を介して取付金具80から接地に接続された腕金に放電される。
【0046】
(第3の実施形態)
以下、図3を参照して、筒形カットアウトの第3の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、耐雷素子20の両電極が上下方向に位置して設けられる点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0047】
図3に示すように、下部カバー30は、下部カバー30の側壁30Aから側方へ突出する収納部37を備えている。収納部37は、円筒状であって、耐雷素子20を収納する。収納部37は、耐雷素子20を挿入する開口部37Aと、開口部37Aを閉じる蓋部34とを備えている。開口部37Aは、下方に向かって開口している。耐雷素子20は、収納部37の開口部37Aから挿入されて、収納部37の内部に収納される。蓋部34は、貫通孔34Aがなく絶縁材料からなる。蓋部34と開口部37Aとの間には、導通材料からなる板状の放電金具36Aが挟まれている。
【0048】
耐雷素子20の収納部37の内部側には、内部側突起20Aが設けられている。収納部37の底部には、内部側突起20Aと対向する固定突起24が固定されている。固定突起24には、接続線23の一端が接続されている。内部側突起20Aと固定突起24とによって放電ギャップが形成される。内部側突起20Aと固定突起24との距離を内部ギャップG3とする。耐雷素子20の収納部37の外部側は、放電金具36Aに電気的に接続されている。放電金具36Aは、蓋部34とともに螺子によって収納部37に固定される。耐雷素子20は、両電極が上下方向に位置する向きで収納部37に収納される。なお、蓋部34を固定する螺子も絶縁材料からなる。
【0049】
収納部37は、襞37Bを備えている。襞37Bは、収納部37の外周面に立設して収納部37の側方へ延出して設けられている。蓋部34は、閃絡金具82側へ延出している。放電金具36Aは、蓋部34と最下端の襞37Bとの間を閃絡金具82側へ延出し、蓋部34よりも突出していない。よって、耐雷素子20の放電部は、外部に露出してない。放電金具36Aの先端と閃絡金具82との距離を外部ギャップG4とする。よって、放電金具36Aの先端側の長さを変更することで、外部ギャップG4を容易に変更することができる。
【0050】
次に、上記のように構成された筒形カットアウト1の作用について説明する。
雷サージが侵入したときには、内部ギャップG3及び外部ギャップG4にこの雷サージの電圧が印加され、この雷サージの電圧が内部ギャップG1及び外部ギャップG4の設定値より大きければ内部ギャップG1及び外部ギャップG4で放電が起こる。雷サージは、上部引出線41-上部電極44-上部接触子61-ヒューズ63-下部接触子63-下部電極54-内部ギャップG3-耐雷素子20-放電金具36A-外部ギャップG4-閃絡金具82-接続金具81-取付金具80を経て大地に放電される。
【0051】
過電圧が耐雷素子20に印加されると、耐雷素子20は、素子自体が備える電圧電流特性の非直線性により、その抵抗値を減じて雷サージの大電流を通し、過電圧の消滅後はその抵抗値を回復して続流の放電を直ちに制限及び遮断し、速やかに絶縁を回復する。このため、耐雷素子20によって、続流が発生せず、筒形カットアウト1のヒューズ63の断線が防止される。
【0052】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、下部電極54が取り付けられる下部カバー30が樹脂製であるため、下部カバー30まで磁器製であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。また、耐雷素子20を収納する収納部37が下部カバー30と一体であるため、耐雷素子を有する部材が別体であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。
【0053】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(1)~(3)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(6)雷サージが侵入したときに、筒形カットアウト1の内部から耐雷素子20及び収納部37の放電金具36Aを介して取付金具80から接地に接続された腕金に放電される。また、蓋部34を介するので、蓋部36の形状を変更することで取付金具80との放電ギャップ及び位置関係を変更することができる。
【0054】
(第4の実施形態)
以下、図4を参照して、筒形カットアウトの第4の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、外部ギャップG2がない点が上記第3の実施形態と異なっている。以下、第3の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0055】
図4に示すように、収納部37の開口部37Aには、開口部37Aを閉じる蓋部36が螺子によって固定されている。蓋部36は、導通材料からなる。耐雷素子20の収納部37の外部側は、蓋部36に電気的に接続されている。閃絡金具82は、蓋部36を固定する螺子とは別の螺子82Aによって蓋部36に接続されている。すなわち、閃絡金具82は、蓋部36と電気的に接続されている。
【0056】
次に、上記のように構成された筒形カットアウト1の作用について説明する。
雷サージが侵入したときには、内部ギャップG3にこの雷サージの電圧が印加され、この雷サージの電圧が内部ギャップG3の設定値より大きければ内部ギャップG3で放電が起こる。雷サージは、上部引出線41-上部電極44-上部接触子61-ヒューズ63-下部接触子63-下部電極54-内部ギャップG3-耐雷素子20-蓋部36-閃絡金具82-接続金具81-取付金具80を経て大地に放電される。
【0057】
過電圧が耐雷素子20に印加されると、耐雷素子20は、素子自体が備える電圧電流特性の非直線性により、その抵抗値を減じて雷サージの大電流を通し、過電圧の消滅後はその抵抗値を回復して続流の放電を直ちに制限及び遮断し、速やかに絶縁を回復する。このため、耐雷素子20によって、続流が発生せず、筒形カットアウト1のヒューズ63の断線が防止される。
【0058】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、下部電極54が取り付けられる下部カバー30が樹脂製であるため、下部カバー30まで磁器製であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。また、耐雷素子20を収納する収納部37が下部カバー30と一体であるため、耐雷素子を有する部材が別体であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。
【0059】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(1)~(3)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(7)雷サージが侵入したときに、筒形カットアウト1の内部から耐雷素子20及び収納部37の蓋部36を介して取付金具80から接地に接続された腕金に放電される。
【0060】
(第5の実施形態)
以下、図5を参照して、筒形カットアウトの第5の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、取付金具80から延出する閃絡金具82を備えない点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0061】
図5に示すように、下部カバー30は、下部カバー30の側壁30Aから側方且つ上方へ突出する収納部38を備えている。収納部38は、円筒状であって、耐雷素子20を収納する。収納部38は、耐雷素子20を挿入する開口部38Aと、開口部38Aを閉じる蓋部34とを備えている。蓋部34は、絶縁材料からなる。開口部38Aは、上方に向かって開口している。耐雷素子20は、収納部38の開口部38Aから挿入されて、収納部38の内部に収納される。
【0062】
耐雷素子20の収納部38の内部側には、内部側突起20Aが設けられている。収納部38の底部には、内部側突起20Aと対向する固定突起24が固定されている。固定突起24には、接続線23の一端が接続されている。内部側突起20Aと固定突起24とによって放電ギャップが形成される。内部側突起20Aと固定突起24との距離を内部ギャップG5とする。耐雷素子20の収納部38の外部側は、蓋部34に電気的に接続されている。蓋部36は、螺子によって収納部38に固定される。耐雷素子20は、両電極が上下方向に位置する向きで収納部38に収納される。
【0063】
収納部38は、襞38Bを備えている。襞38Bは、収納部38の外周面に立設して収納部37の側方へ延出して設けられている。
蓋部34には、耐雷素子20の外部側突起20Bが露出する貫通孔34Aが形成されている。蓋部34は、螺子によって収納部38に固定される。取付金具80には、耐雷素子20の外部側突起20Bとの間で放電ギャップを形成するボルト83が固定されている。耐雷素子20の外部側突起20Bとボルト83の頭との距離を外部ギャップG6とする。
【0064】
次に、上記のように構成された筒形カットアウト1の作用について説明する。
雷サージが侵入したときには、内部ギャップG5及び外部ギャップG6にこの雷サージの電圧が印加され、この雷サージの電圧が内部ギャップG5及び外部ギャップG6の設定値より大きければ内部ギャップG5及び外部ギャップG6で放電が起こる。雷サージは、上部引出線41-上部電極44-上部接触子61-ヒューズ63-下部接触子63-下部電極54-内部ギャップG5-耐雷素子20-外部ギャップG6-ボルト83-取付金具80を経て大地に放電される。
【0065】
過電圧が耐雷素子20に印加されると、耐雷素子20は、素子自体が備える電圧電流特性の非直線性により、その抵抗値を減じて雷サージの大電流を通し、過電圧の消滅後はその抵抗値を回復して続流の放電を直ちに制限及び遮断し、速やかに絶縁を回復する。このため、耐雷素子20によって、続流が発生せず、筒形カットアウト1のヒューズ63の断線が防止される。
【0066】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、下部電極54が取り付けられる下部カバー30が樹脂製であるため、下部カバー30まで磁器製であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。また、耐雷素子20を収納する収納部38が下部カバー30と一体であるため、耐雷素子を有する部材が別体であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。
【0067】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(1)~(4)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(8)接続金具81及び閃絡金具82を省略することができる。
【0068】
(第6の実施形態)
以下、図6を参照して、筒形カットアウトの第6の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、外部ギャップG6がない点が上記第5の実施形態と異なっている。以下、第5の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
図6に示すように、収納部38の開口部38Aには、開口部38Aを閉じる蓋部36が螺子によって固定されている。蓋部36は、導通材料からなる。耐雷素子20の収納部38の外部側は、蓋部36に電気的に接続されている。閃絡金具82の一端は、蓋部36を固定する螺子によって蓋部36とともに収納部38に固定されている。すなわち、閃絡金具82は、蓋部36と電気的に接続されている。閃絡金具82の他端は、ボルト84によって取付金具80に固定されている。すなわち、閃絡金具82と取付金具80とは電気的に接続されている。
【0070】
次に、上記のように構成された筒形カットアウト1の作用について説明する。
雷サージが侵入したときには、内部ギャップG5にこの雷サージの電圧が印加され、この雷サージの電圧が内部ギャップG5の設定値より大きければ内部ギャップG5で放電が起こる。雷サージは、上部引出線41-上部電極44-上部接触子61-ヒューズ63-下部接触子63-下部電極54-内部ギャップG5-耐雷素子20-蓋部36-閃絡金具82-取付金具80を経て大地に放電される。
【0071】
過電圧が耐雷素子20に印加されると、耐雷素子20は、素子自体が備える電圧電流特性の非直線性により、その抵抗値を減じて雷サージの大電流を通し、過電圧の消滅後はその抵抗値を回復して続流の放電を直ちに制限及び遮断し、速やかに絶縁を回復する。このため、耐雷素子20によって、続流が発生せず、筒形カットアウト1のヒューズ63の断線が防止される。
【0072】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、下部電極54が取り付けられる下部カバー30が樹脂製であるため、下部カバー30まで磁器製であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。また、耐雷素子20を収納する収納部38が下部カバー30と一体であるため、耐雷素子を有する部材が別体であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。
【0073】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(1)~(3)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(9)雷サージが侵入したときに、筒形カットアウト1の内部から耐雷素子20及び収納部38の蓋部36を介して取付金具80から接地に接続された腕金に放電される。
【0074】
(第7の実施形態)
以下、図7を参照して、筒形カットアウトの第7の実施形態について説明する。この実施形態の筒形カットアウトは、本体上部10が上部カバーと接続部材との2部材を備える点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0075】
図7に示すように、筒形カットアウト1は、上部電極44が取り付けられる上部カバー90と、下部電極54が取り付けられる下部カバー30と、上部カバー90と下部カバー30とに接続される接続部材110とを備えている。筒形カットアウト1は、取付金具80によって電柱等の腕金に取り付けられる。取付金具80は、接続部材110の延出方向中央の外周に固定されている。
【0076】
接続部材110は、上部カバー90及び下部カバー30よりも高い強度を有する材料からなり、磁器製である。接続部材110は、外周面110Aに襞が設けられていない円筒形状であって、上端から下端までの内径が同一であるとともに、上端から下端までの外径が同一である。磁器製の接続部材110の形状が単純であるため、製造時に襞を形成する筒の作業を省略することができ、製造コストを低減することができる。
【0077】
上部カバー90は、樹脂又はゴム等の絶縁材料からなる。上部カバー90は、有底円筒状の部材であって、接続部材110の上端111から上方に延出する上部延出部91を備えている。上部延出部91の底部には、円状の貫通孔91Aが形成されている。また、上部カバー90は、上部延出部91の底部から下方に延出する上部挿入部92を備えている。上部挿入部92は、円筒状であって、接続部材110の内側に位置している。
【0078】
上部カバー90は、襞93を備えている。襞93は、上部延出部91の外周面91Bに設けられている。襞93は、上部延出部91の外周面91Bから側方に立設して下方へ延出する第1襞93Aと、第1襞93Aの途中から下方へ延出する第2襞93Bとを備えている。
【0079】
上部延出部91の底部には、段差面91Cが形成されている。段差面91Cは、上部延出部91の外径よりも上部挿入部92の外径が短いことで形成されている。段差面91Cは、接続部材110の上端111と接触している。
【0080】
上部挿入部92の外周面には、シール部材92Aが取り付けられている。シール部材92Aは例えばOリングである。シール部材92Aは、接続部材110の内周面と接触している。シール部材92Aは、接続部材110の上端111において、接続部材110の内部と外部との間を密封する。上部挿入部92の下端の内周面には、雌螺子92Bが設けられている。なお、上部挿入部92の雌螺子92Bは、上部カバー90と下部カバー30との接続部分に相当し、下部挿入部31と係合する。
【0081】
上部カバー90の上部延出部91の内側には、円柱状の上部モールドコーン40が挿入されている。上部モールドコーン40には、上部引出線41が貫装されている。上部引出線41の基端には、螺子42が螺着されている。螺子42には、上部電極44が取り付けられ、螺子42と上部電極44とは、接続線43によって電気的に接続されている。上部モールドコーン40の上部引出線41には、配電線路の外部電線が接続される。上部モールドコーン40と取付金具80との絶縁距離は、襞93により確保されている。また、上部延出部91は、上部モールドコーン40との接触部よりも上部引出線41の延出方向へ延出している。このため、上部延出部91によって上部モールドコーン40の可動範囲を制限することができる。
【0082】
下部挿入部31は、円筒状であって、接続部材110の内側に位置している。下部挿入部31は、消弧ガスを発生する尿素又はメラミン樹脂等で形成されている。なお、下部カバー30も下部挿入部31とともに同じ絶縁材料から形成してもよいし、異なる絶縁材料から形成してもよい。
【0083】
下部カバー30は、襞39を備えている。襞39は、下部カバー30の側壁30Aのうち接続部材110寄りに複数設けられている。襞39は、下部カバー30の側壁30Aから側方へ延出して円板状に設けられている。
【0084】
下部カバー30の下部挿入部31の基端には、段差面30Cが形成されている。段差面30Cは、下部カバー30の外径よりも下部挿入部31の外径が短いことで形成されている。段差面30Cは、接続部材110の下端112と接触している。
【0085】
下部挿入部31の外周面には、シール部材31Aが取り付けられている。シール部材31Aは例えばOリングである。シール部材31Aは、接続部材110の内周面と接触している。シール部材31Aは、接続部材110の下端112において、接続部材110の内部と外部との間を密封する。下部挿入部31の上端の外周面には、雄螺子31Bが設けられている。下部挿入部31の雄螺子31Bは、上部挿入部92の雌螺子92Bと螺合する。なお、下部挿入部31の雄螺子31Bは、上部カバー90と下部カバー30との接続部分に相当し、上部挿入部92と係合する。下部モールドコーン50と取付金具80との絶縁距離は、襞39により確保されている。
【0086】
筒形カットアウト1は、接続部材110と下部カバー30との内部にヒューズ筒60が収納される。ヒューズ筒60は、上部電極44と下部電極54とを電気的に接続する。筒形カットアウト1は、ヒューズ筒60の着脱により開閉が行われる。
【0087】
次に、上記のように構成された筒形カットアウト1の作用について説明する。
筒形カットアウト1に過電流が流れると、ヒューズ63のヒューズエレメント64が溶断する。このとき、ヒューズリード線65の緊張状態が解除され、ヒューズ筒60の絶縁筒62がばね68の弾性力により下方に向かって移動する。ヒューズ筒60の絶縁筒62は、下部接触子66に係止される位置まで強制移動する。上部電極44から上部接触子61が外れるとともに、絶縁筒62が下部カバー30の下方へ突出する。このとき、表示筒67の押圧によって閉蓋部材が下端開口部35から外れ、表示筒67が下端開口部35から突出する。したがって、筒形カットアウト1のヒューズエレメント64が溶断したことが外部に報知される。作業者は、下部カバー30の下方へ突出した表示筒67にて過電流通過の旨を視認することができる。
【0088】
工事等で配電線路の負荷開放を行うときには、下端開口部35から閉蓋部材を取り外す。そして、作業者が図示しない操作棒を下部カバー30内に挿入して、操作棒をヒューズ筒60の下部接触子66に嵌合させる。
【0089】
続いて、操作棒がヒューズ筒60と嵌合した状態で、操作棒を下方へ引っ張ると、下部電極54と下部接触子66との係合が外れるため、ヒューズ筒60を筒形カットアウト1から引き抜くことができる。このとき、上部電極44とヒューズ筒60の上部接触子61との間にアークが発生すると、消弧棒70及び下部挿入部31から消弧ガスが発生し、消弧棒70と下部挿入部31との細隙により消弧される。
【0090】
雷サージが侵入したときには、内部ギャップG1及び外部ギャップG2にこの雷サージの電圧が印加され、この雷サージの電圧が内部ギャップG1及び外部ギャップG2の設定値より大きければ内部ギャップG1及び外部ギャップG2で放電が起こる。雷サージは、上部引出線41-上部電極44-上部接触子61-ヒューズ63-下部接触子63-下部電極54-内部ギャップG1-耐雷素子20-外部ギャップG2-閃絡金具82-接続金具81-取付金具80を経て大地に放電される。
【0091】
過電圧が耐雷素子20に印加されると、耐雷素子20は、素子自体が備える電圧電流特性の非直線性により、その抵抗値を減じて雷サージの大電流を通し、過電圧の消滅後はその抵抗値を回復して続流の放電を直ちに制限及び遮断し、速やかに絶縁を回復する。このため、耐雷素子20によって、続流が発生せず、筒形カットアウト1のヒューズ63の断線が確実に防止される。
【0092】
さて、上記のように構成された筒形カットアウト1は、上部電極44が取り付けられる上部カバー90と下部電極54が取り付けられる下部カバー30が樹脂製であるため、上部カバー90及び下部カバー30まで磁器製であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。また、接続部材110を上端から下端まで同径の円筒形状としたため、従来の形状の製造に比べて接続部材110の製造に係る工数を低減することができる。また、耐雷素子20を収納する収納部33が下部カバー30と一体であるため、耐雷素子を有する部材が別体であった従来の筒形カットアウトと比べて質量を低減することができる。
【0093】
次に、本実施形態の効果について説明する。なお、第1の実施形態の(1)~(4)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(10)樹脂からなる上部カバー90に上部電極44が取り付けられ、樹脂からなる下部カバー30に下部電極54が取り付けられている。このため、接続部材110に上部電極44及び下部電極54を取り付ける部分が不要であり、接続部材110の全長も短くすることができる。よって、筒形カットアウト1の質量を更に低減することができる。
【0094】
(11)上部カバー90の下端と下部カバー30の上端とが接続される。このため、上部カバー90と接続部材110、下部カバー30と接続部材110との接続に加えて、上部カバー90と下部カバー30との組み付けを強固にすることができる。
【0095】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0096】
・上記第7の実施形態の上部カバー90、接続部材110、及び下部カバー30を備える構成において、第1~6の実施形態の収納部33及び耐雷素子20の構成を採用してもよい。
【0097】
・上記第7の実施形態では、上部カバー90の上部挿入部92の下端部に雌螺子92Bを設けるとともに、下部カバー30の下部挿入部31の上端部に雄螺子31Bを設けた。しかしながら、上部カバー90の上部挿入部92の下端部に雄螺子を設けるとともに、下部カバー30の下部挿入部31の上端部に雌螺子を設けてもよい。
【0098】
・上記第7の実施形態では、上部カバー90の下端部と下部カバー30の上端部とを螺合させたが、上部カバー90の下端部と下部カバー30の上端部とを係合する構成や嵌合する構成を設けてもよい。また、上部カバー90の下端部と下部カバー30の上端部とを接続させるだけでもよい。
【0099】
・上記第7の実施形態では、接続部材110を上端から下端までの内径及び上端から下端までの外径ともに同一の円筒としたが、上端から下端までの内径及び外径を異ならせてもよい。例えば、接続部材110の取付金具80を取り付ける部分の外径を縮小させてもよい。また、接続部材110の上端111にフランジを形成して上部カバー90との接触面積を拡大してもよい。同様に、接続部材110の下端112にフランジを形成して下部カバー30との接触面積を拡大してもよい。
【0100】
・上記第7の実施形態において、接続部材110の上端111と上部カバー90の段差面91Cとの間にシール部材としてのパッキンを設置してもよいし、接続部材110の上端111と上部カバー90の段差面91Cとの間を接着剤によって接着してもよい。このようにすれば、接続部材110と上部カバー90との密着性能が向上し、筒形カットアウト1の絶縁性能を高めることができる。
【0101】
・上記第7の実施形態において、接続部材110の下端112と下部カバー30の段差面30Cとの間にシール部材としてのパッキンを設置してもよいし、接続部材110の下端112と下部カバー30の段差面30Cとの間を接着剤によって接着してもよい。このようにすれば、接続部材110と下部カバー30との密着性能が向上し、筒形カットアウト1の絶縁性能を高めることができる。
【0102】
・上記第7の実施形態では、接続部材110を円筒としたが、接続部材110を多角形の筒としてもよい。
・上記第7の実施形態では、接続部材110を磁器製としたが、接続部材110を繊維強化プラスチック(FRP)等の樹脂で形成してもよい。また、接続部材110を鉄等の金属で形成してもよい。金属で形成すれば、加工が容易である。
【0103】
・上記各構成において、上部カバー90、下部カバー30、上部モールドコーン40、及び下部モールドコーン50の少なくとも一つにフッ素樹脂又はフッ素系材料を添加した絶縁材料を用いてもよい。このようにすれば、絶縁性能が高まり、沿面距離を短くすることができる。ひいては、筒形カットアウト1の質量を低減することができる。
【0104】
・上記各実施形態において、上部カバー90と上部モールドコーン40とを一体としてもよい。また、下部カバー30と下部モールドコーン50とを一体としてもよい。このような構成によれば、部品点数を減らすことができ、部品加工及び組立作業を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0105】
1…筒形カットアウト、10…本体上部、10A…外周面、11…上端部、11A…貫通孔、12…下端、13…襞、20…耐雷素子、20A…内部側突起、20B…外部側突起、21…ボルト、22…ナット、23…接続線、24…固定突起、30…下部カバー、30A…側壁、30B…係合溝、30C…段差面、31…下部挿入部、31A…シール部材、31B…雄螺子、32…側壁延出部、32A…貫通孔、33…収納部、33A…開口部、33B…貫通孔、33C…襞、33D…段差部、34…蓋部、34A…貫通孔、35…下端開口部、36…蓋部、36A…放電金具、37…収納部、37A…開口部、38…収納部、38A…開口部、39…襞、40…上部モールドコーン、41…上部引出線、42…螺子、43…接続線、44…上部電極、50…下部モールドコーン、51…下部引出線、52…接続線、53…板、54…下部電極、55…取付部材、60…ヒューズ筒、61…上部接触子、62…絶縁筒、63…ヒューズ、64…ヒューズエレメント、65…ヒューズリード線、66…下部接触子、67…表示筒、68…ばね、69…締付螺子、70…消弧棒、73…消弧筒、80…取付金具、81…接続金具、82…閃絡金具、83…ボルト、84…ボルト、90…上部カバー、91…上部延出部、91A…貫通孔、91B…外周面、91C…段差面、92…上部挿入部、92A…シール部材、92B…雌螺子、93…襞、93A…第1襞、93B…第2襞、110…接続部材、111…上端、112…下端、G1,G3,G5…内部ギャップ、G2,G4,G6…外部ギャップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7