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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/36 20060101AFI20221212BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20221212BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
E06B7/36 F
E05B1/00 311J
E06B3/46
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019109454
(22)【出願日】2019-06-12
(65)【公開番号】P2020200703
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】竹長 宰児
(72)【発明者】
【氏名】片峰 瞳
(72)【発明者】
【氏名】矢代 幸広
(72)【発明者】
【氏名】小石 恵
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/110473(WO,A1)
【文献】実開昭54-183949(JP,U)
【文献】特開2019-35317(JP,A)
【文献】特開平9-125831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00
E06B 3/42-3/46
E06B 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を形成する枠体と、
前記枠体に案内されてスライドし前記開口を開閉自在に設けられる障子と、
を有し、
前記枠体は、前記開口を閉じた前記障子の戸先が収容され、当該戸先と見込み方向に対向する戸先対向壁部を有する戸先収容部を有し、
前記障子は、前記開口を閉じた前記障子の前記戸先側に設けられ、見込み方向において前記戸先対向壁部よりも突出し、開閉時に操作する把手を有し、
前記把手は、前記障子の面内方向における前記戸先対向壁部の先端の位置との間隔が、当該把手が突出する先端側よりも基端側の方が狭い側面を有しており、
前記側面は、前記障子の見付け面に対する傾斜角度が互いに相違する第1傾斜部と第2傾斜部とを有し、前記基端側に位置する前記第1傾斜部は、前記先端側に位置する前記第2傾斜部よりも傾斜が緩く、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部との境界部は、前記戸先対向壁部よりも前記先端側に位置していることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項に記載の建具であって、
前記戸先対向壁部には、前記障子に当接されるシール材が設けられていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドする障子を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
スライドする障子を有する建具としては、例えば、枠体と、該枠体の内側に配置される障子とを備え、障子が有するガラスパネルの外縁を覆う戸先框に引手が設けられている建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この建具の引手は、指掛け部と対向し、戸先框から指掛け部に向かってガラス面に近づくように傾斜する傾斜部を有している。そして、指掛け部と召合せ框との見込み方向の間隙を広くすることにより、引手にて障子を開ける際に、指を挟むことを防止し、傾斜部を設けることにより、指掛け部と召合せ框との間から手指を安全に引き抜くことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-285836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の引手は、傾斜部を設けて、指掛け部と召合せ框との間から手指を引き抜き易くしているとはいうものの、見込み方向において、指掛け部と召合せ框との間に手指が挿入されてしまうので、指を挟む虞がある。また、スライドする障子の操作による指挟みは、障子を開けるときばかりでなく、障子を閉じるときにも発生する虞がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、より安全に障子を閉じることが可能な建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するための主たる発明は、開口を形成する枠体と、前記枠体に案内されてスライドし前記開口を開閉自在に設けられる障子と、を有し、前記枠体は、前記開口を閉じた前記障子の戸先が収容され、当該戸先と見込み方向に対向する戸先対向壁部を有する戸先収容部を有し、前記障子は、前記開口を閉じた前記障子の前記戸先側に設けられ、見込み方向において前記戸先対向壁部よりも突出し、開閉時に操作する把手を有し、前記把手は、前記障子の面内方向における前記戸先対向壁部の先端の位置との間隔が、当該把手が突出する先端側よりも基端側の方が狭い側面を有していることを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より安全に障子を閉じることが可能な建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明にかかる建具の一例を示す浴室建具を浴室側から見た図である。
図2】本実施形態にかかる建具の横断面図である。
図3図2におけるA部の拡大図である。
図4】把手の構成を示す縦断面図である。
図5】把手の構成を示す分解斜視図である。
図6】把手の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。本実施形態では、浴室に用いられる浴室建具を例に挙げて説明する。
【0009】
以下の説明においては、浴室建具(以下、建具という)が建物に取り付けられている状態で浴室側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、浴室の内外方向を見込み方向として示す。建具の各部位であっても、また、建具を構成する各部材については単体の状態であっても、建具が取り付けられた状態で上下方向、左右方向、見込み方向等となる方向にて方向を特定して説明する。
【0010】
建具1は、図1に示すように、建物に取り付けられている枠体3の左側の領域に袖壁4が設けられており、袖壁4の脱衣室側に2枚の引き違い障子2a、2bが重ねて収容される浴室用の建具1である。
【0011】
枠体3は、左右の縦枠30、31と、左右の縦枠30、31の上下端部に掛け渡される上下の横枠32と、左右の縦枠30、31と左右方向に各々間隔を空けて上下の横枠32間に設けられる縦骨33と、を有している。右の縦枠30、上下の横枠32、及び、縦骨33により浴室の出入口をなす開口3a(図2)が形成されている。左の縦枠31、上下の横枠32、及び、縦骨33の内側にはパネル体4aが装着されて、袖壁4をなしている。
【0012】
2枚の障子2a、2bは、上下の横枠32に設けられているレール(不図示)に案内されて、左右方向にスライド可能に支持されている。2枚の障子2は、いずれも、右側に位置する戸先框21と、左側に位置する召合せ框22と、戸先框21及び召合せ框22の上下の端部同士を連結する上下の横框23とが矩形状に接合された框体20と、框体20の内側に周端部が収容されて装着されたガラス24と、を有している。
【0013】
図2に示すように、2枚の障子2a、2bのうち脱衣室側をスライドする第1障子2aは、袖壁4の脱衣室側に収容されている状態から、戸先框21が右の縦枠30と係合する位置まで移動可能である。浴室側をスライドする第2障子2bは、袖壁4の脱衣室側に収容されている状態から、戸先框21が、閉じた状態の第1障子2aの召合せ框22と見込み方向に対向し、召合せ框22が、縦骨33と見込み方向に対向する位置まで移動可能である。第1障子2aの召合せ框22と、第2障子2bの戸先框21とには、互いに係合する係合部21a、22aを有している。
【0014】
2枚の障子2が袖壁4の脱衣室側に収容されている状態から、第1障子2aを右方向にスライドさせると、第1障子2aの召合せ框22が第2障子2bの戸先框21の脱衣室側を通過する際に、互いの係合部21a、22aが係合し、第1障子2aを右方向にスライド移動させることにより、第2障子2bも第1障子2aとともにスライド移動する。このため、障子2a、2bを開閉するために操作する把手25は、第1障子2aの戸先框21に設けられている。
【0015】
第1障子2aの戸先框21が右の縦枠30と係合して、浴室の出入口をなす開口3aが、第1障子2aと第2障子2bとにより閉止される。第1障子2aの戸先框21は、右の縦枠30に設けられている戸先収容部30aに収容される。
【0016】
戸先収容部30aは、図3に示すように、右の縦枠30が有する見込み面をなす見込み壁部30bと、見込み壁部30bから左方向に突出され、上下方向において全長に亘って設けられている2つの突出片30c、30dとにより形成されている。2つの突出片30c、30dは、見込み方向に間隔を空けて設けられており、2つの突出片30c、30dの間隔は、第1障子2aが有する戸先框21の見込み方向の厚みよりも広く構成されている。すなわち、2つの突出片30c、30dのうちの浴室側に位置する突出片(以下、浴室側突出片という)30cは、閉じた状態の第1障子2aの戸先框21における浴室側の面21bと対向しており、2つの突出片30c、30dのうちの脱衣室側に位置する突出片(以下、脱衣室側突出片という)30dは、閉じた状態の第1障子2aの戸先框21における脱衣室側の面21cと対向している。ここで、浴室側突出片30c及び脱衣室側突出片30dが戸先対向壁部に相当する。
【0017】
浴室側突出片30cの先端部には、脱衣室側に軟質合成樹脂製のシール材26が嵌合されるシール材嵌合部30eが設けられている。シール材嵌合部30eは、浴室側突出片30cの先端から脱衣室側に延出された先端延出部30fと、先端延出部30fの右側に間隔を空けて対向する右側延出部30gとを有しており、先端延出部30fと右側延出部30gとの先端部分は、互いに対向する側に延出されて鉤状をなしている。
【0018】
シール材26は、戸先収容部30aに収容された第1障子2aの戸先框21に当接されて、浴室側突出片30cと第1障子2aの戸先框21との間の、水密性・気密性を確保する。また、第1障子2a及び第2障子2bにより開口3aを閉じた状態では、図2に示すように、第2障子2bの戸先框21に設けられたシール材27が第1障子2aの召合せ框22に当接され、縦骨33に設けられたシール材27が第2障子2bの召合せ框22に当接されて水密性・気密性が確保されている。第2障子2b及び縦骨33に設けられるシール材27は、例えば、モヘアと呼ばれる繊維が起毛状(ブラシ状)をなす部材である。
【0019】
把手25は、図3図4に示すように、第1障子2aの戸先框21の浴室側及び脱衣室側にそれぞれ設けられている。浴室側及び脱衣室側の把手25の外形形状は同一であり、戸先框21から各々見込み方向に突出させて設けられている。戸先框21は、長手方向に貫通する中空部21dを有し、中空部21dを形成して浴室に臨む浴室側壁部21e、及び、中空部21dを形成して脱衣室に臨む脱衣室側壁部21fから各々把手25が突出している。
【0020】
各把手25は、上下方向に沿う縦長の部位であり、基端側となる戸先框21側が、突出している先端側よりも、左右方向の幅が広く形成されている。各把手25の水平断面における外径形状は、見込み方向に沿う線に対して線対称の形状をなし、突出している方向に向かって幅が漸次狭くなる傾斜を有している。各把手25は、戸先框21の見付け面に対する傾斜角度が、基端側の部位と、先端側の部位とで互いに相違しており、基端側が先端側の部位よりも傾斜が緩い第1傾斜部25aをなし、先端側が第2傾斜部25bをなしている。
【0021】
浴室側の把手25における第1傾斜部25aと第2傾斜部25bとの境界部25cは、浴室側突出片30cよりも浴室側に位置しており、脱衣室側の把手25における第1傾斜部25aと第2傾斜部25bとの境界部25cは、脱衣室側突出片30dよりも脱衣室側に位置している。より具体的には、例えば、浴室側の把手25における第1傾斜部25aと第2傾斜部25bとの境界部25cは、浴室側突出片30cの先端部に設けられているシール材嵌合部30eをなす先端延出部30fの脱衣室側の縁30hよりも浴室側に位置している。すなわち、第1傾斜部25aは、障子2aの面内方向における浴室側突出片30cの先端の位置Tとの間隔が、当該把手25の先端側よりも基端側の方が狭い側面をなしている。
【0022】
把手25は、図5に示すように、浴室側と脱衣室側とから戸先框21を挟んで取り付けられる2つの把手カバー250と、戸先框21に固定されて把手カバー250が係止される2つの被係止部材251、252と、2つの被係止部材251、252を、戸先框21を見込み方向から挟むように固定する2つの固定部材253と、各把手カバー250の上下端部に各々嵌合されるカバーキャップ254と、を有している。
【0023】
浴室側及び脱衣室側の把手カバー250は、上述した把手25の水平断面における外形形状をなす同一の部材である。把手カバー250は、アルミナ樹脂製の押し出し成形部材であり、内側には、第1傾斜部25a側と第2傾斜部25b側とを分かつ仕切り壁250aが設けられている。このため、把手カバー250の内側には、仕切り壁250aより先端側に上下方向に貫通する中空部250bが設けられており、仕切り壁250aより基端側は、上下方向と戸先框21側が開放されている。把手カバー250の戸先框21側の縁には、内側に突出する突起250cが長手方向に沿って設けられている。
【0024】
2つの被係止部材251、252は、把手カバー250とほぼ同じ長さを有している。各被係止部材251、252は、戸先框21の浴室側壁部21e、及び、脱衣室側壁部21fに当接される平板状の当接板部251a、252aと、各当接板部251a、252aの左右方向における縁部から見込み方向に突出されて、把手カバー250の突起250cが係止される被係止部251b、252bと、を有し、上端部側と下端部側とが固定部材253を用いて戸先框21に固定される。
【0025】
浴室側壁部21eに当接される当接板部251aを有する被係止部材251は、上側と下部側とに、各々固定部材253の後述する挿通部253aが挿通される第1挿通孔251cが設けられている。脱衣室側壁部21fに当接される当接板部252aを有する被係止部材252は、上部側と下部側とに、各々固定部材253の後述する挿通部253aの2つの固定部材突出部253bが挿通される2つの第2挿通孔252cと、固定部材253に螺合されるビス255が挿通される第3挿通孔252dと、が設けられている。また、2つの被係止部材251、252の上端部側と下端部側には、カバーキャップ254の後述する嵌合片254cが嵌合される嵌合孔251e、252eが設けられている。
【0026】
戸先框21の浴室側壁部21eには、被係止部材251が取り付けられたときに第1挿通孔251cと重なる位置に第4挿通孔21gが設けられており、脱衣室側壁部21fには、被係止部材252が取り付けられたときに第2挿通孔252c及び第3挿通孔252dと重なる位置に第5挿通孔(不図示)及び第6挿通孔(不図示)が設けられている。
【0027】
固定部材253は、第1挿通孔251c及び第4挿通孔21gを浴室側から挿通される挿通部253aと、挿通部253aが第1挿通孔251c及び第4挿通孔21gからに挿通されて当接板部251aの浴室側の面に当接される固定部材当接部253cと、を有している。固定部材当接部253cは、第1挿通孔251cより大きな外径をなし、固定部材253を戸先框21に固定するためのビス255が螺合されるプレートナット256が側方から挿入されるスリット253dが設けられている。
【0028】
挿通部253aは、第1挿通孔251c及び第4挿通孔21gから挿通されて中空部21d内に配置される固定部材本体部253eと、固定部材本体部253eの上端側と下端側とに設けられ脱衣室側に突出する固定部材突出部253bと、を有している。挿通部253aが第1挿通孔251c及び第4挿通孔21gに挿通されて固定部材当接部253cが脱衣室側壁部21fに当接した状態で、固定部材本体部253eは脱衣室側壁部21fと見込み方向に僅かに間隔が空くように形成されており、固定部材突出部253bは、第2挿通孔252c及び第5挿通孔に挿通されて当接板部252aよりも脱衣室側に突出するように形成されている。
【0029】
固定部材本体部253eには、上下の固定部材突出部253b間に、ビス255が挿通される第7挿通孔253fが設けられており、第7挿通孔253fは、スリット253dと連通するとともに固定部材当接部253cを貫通している。
【0030】
カバーキャップ254は、戸先框21に取り付けられた把手カバー250の上端部または下端部を覆うキャップ本体部254aと、キャップ本体部254aから上下方向に突出して、中空部250bに挿入されるキャップ挿入部254b及び仕切り壁250aよりも戸先框21側に挿入されて嵌合孔251e、252eに嵌合する嵌合片254cと、を有している。
【0031】
把手25の取り付け方法は、まず、戸先框21の浴室側に被係止部材251を、脱衣室側に被係止部材252を、それぞれ当接板部251a、252aを当接させて配置する。このとき、被係止部材251は、第1挿通孔251cが戸先框21の第4挿通孔21gと重なるように配置し、被係止部材252は、第2挿通孔252c及び第3挿通孔252dが戸先框21の第5挿通孔21h及び第6挿通孔と重なるように配置する。
【0032】
次に、スリット253d内にプレートナット256が挿入されている固定部材253の挿通部253aを浴室側から第1挿通孔251c及び第4挿通孔21gに挿入する。このとき、固定部材突出部253bは、第2挿通孔252c及び第5挿通孔から脱衣室側に突出させる。また、このとき固定部材253の固定部材本体部253eは、脱衣室側壁部21fに当接していない。
【0033】
次に、脱衣室側からビス255を第6挿通孔21i、第3挿通孔252d、及び、第7挿通孔253fに挿通し、スリット253d内のプレートナット256に螺合して、2つの被係止部材251、252を戸先框21に固定する。この状態で、固定部材253の固定部材当接部253cは、当接板部251aよりも浴室側に突出しており、固定部材253の固定部材突出部253bは、当接板部252aよりも脱衣室側に突出している。
【0034】
次に、戸先框21に固定された2つの被係止部材251、252の被係止部251b、252bに、把手カバー250の突起250cを係止して、把手カバー250を戸先框21に取り付ける。このとき、戸先框21に取り付けられた把手カバー250の仕切り壁250aと当接板部251a、252aとの見込み方向の間隔は、固定部材253の固定部材当接部253cの当接板部251aからの突出量、または、固定部材253の固定部材突出部253bの当接板部252aからの突出量よりも僅かに狭く形成されている。
【0035】
このため、戸先框21に取り付けられ、浴室側に配置されている把手カバー250は、固定部材当接部253cにより浴室側に押圧され、脱衣室側に配置されている把手カバー250は、固定部材突出部253bにより脱衣室側に押圧される。把手カバー250が浴室側または脱衣室側に押圧されることにより、各仕切り壁250aよりも戸先框21側で被係止部251b、252bに突起250cが係止されている把手カバー250は、把手カバー250と当接板部251a、252aとの間で突っ張るように力が作用し、より確実に把手カバー250が係止されている。
【0036】
次に、戸先框21に取り付けられた把手カバー250の上下の端部に各々カバーキャップ254を嵌合して把手25の取り付けが完了する。
【0037】
本実施形態の建具1によれば、障子2aの把手25が、障子2aの面内方向における浴室側突出片30cの先端の位置Tとの間隔が、当該把手25の突出している先端側よりも基端側の方が狭い第1傾斜部25aを有しているので、障子2aを閉じたときには、浴室側突出片30cの先端の位置Tと第1傾斜部25aとの間の空間は、把手25における基端側よりも先端側の方が広くなる。このため、把手25の第1傾斜部25aに手を添えて障子2aを閉じる際に障子2aが枠体3に近づくと手の指が浴室側突出片30cの先端と接触し、更に障子2aを閉じると、指が浴室側突出片30cに押されて空間が広い把手25の先端側に案内される。このため、障子2aを閉じた際に、ユーザーが指を挟むことを防止することが可能である
【0038】
また、浴室側突出片30cに設けられているシール材26により障子2aとの間の気密性・水密性が確保される。このため、より高い気密性・水密性が求められる建具1として使用することが可能である。
【0039】
上記実施形態においては、把手25の側面が、傾斜角度が異なる第1傾斜部25aと第2傾斜部25bをなしている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、図6に示すように、基端側の部位は、突出している方向に向かって幅が漸次狭くなり、把手25の内側に窪む湾曲面25dをなしており、先端側の部位は、湾曲面25dと繋がって見込み方向に沿う平面25eをなしており、湾曲面25dと平面25eとの境界部25fが、浴室側突出片30cよりも浴室側に位置している形態であっても構わない。この場合には、把手25の側面に手を添えて障子2aを閉じる際に指が浴室側突出片30cの先端と接触し、更に障子2aを閉じることにより、指が湾曲面25dから平面25eに沿って把手25の先端側に案内される。このため、障子2aを閉じた際に、指を速やかに把手25の先端側に移動させることが可能である。
【0040】
また、把手25の側面が、把手25の内側に窪む湾曲面25dなので、平面の場合よりも、把手25の基端側における、側面の戸先側の空間が広い。このため、指をより早く広い空間側に移動させることが可能である。
【0041】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0042】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
開口を形成する枠体と、前記枠体に案内されてスライドし前記開口を開閉自在に設けられる障子と、を有し、前記枠体は、前記開口を閉じた前記障子の戸先が収容され、当該戸先と見込み方向に対向する戸先対向壁部を有する戸先収容部を有し、前記障子は、前記開口を閉じた前記障子の前記戸先側に設けられ、見込み方向において前記戸先対向壁部よりも突出し、開閉時に操作する把手を有し、前記把手は、前記障子の面内方向における前記戸先対向壁部の先端の位置との間隔が、当該把手が突出する先端側よりも基端側の方が狭い側面を有していることを特徴とする建具である。
【0043】
このような建具によれば、障子の把手が、障子の面内方向における戸先対向壁部の先端の位置との間隔が、当該把手の先端側よりも基端側の方が狭い側面を有しているので、障子を閉じたときには、戸先対向壁部の先端の位置と側面との間の空間は、把手における基端側よりも先端側の方が広くなる。このため、把手の側面に手を添えて障子を閉じる際に障子が枠体に近づくと手の指が戸先対向壁部の先端と接触し、更に障子を閉じると、指が戸先対向壁部に押されて空間が広い把手の先端側に案内される。このため、障子を閉じた際に、ユーザーが指を挟むことを防止することが可能である。
【0044】
かかる建具であって、前記側面は、前記把手の内側に窪む湾曲面であることを特徴とする。
このような建具によれば、側面は、把手の内側に窪む湾曲面なので、平面の場合よりも、把手の基端側における、側面の戸先側の空間が広くなる。このため、指をより早く広い空間側に移動させることが可能である。
【0045】
かかる建具であって、前記側面は、見込み方向に対して傾斜する平面であることを特徴とする。
このような建具によれば、把手の側面に手を添えて障子を閉じる際に指が戸先対向壁部の先端と接触し、更に障子を閉じることにより、指が傾斜する平面に沿って把手の先端側に案内される。このため、障子を閉じた際に、指を速やかに把手の先端側に移動させることが可能である。
【0046】
かかる建具であって、前記戸先対向壁部には、前記障子に当接されるシール材が設けられていることを特徴とする。
このような建具によれば、戸先対向壁部に設けられているシール材により障子との間の気密性・水密性が確保される。このため、より高い気密性・水密性が求められる建具として使用することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 建具、2a 第1障子、2b 第2障子、3 枠体、3a 開口、
21 戸先框、25 把手、25a 第1傾斜面、25b 第2傾斜面、
25c 境界部、25d 湾曲面、25e 平面、25f 境界部、26 シール材、
30a 戸先収容部、30c 浴室側突出片、30f 先端延出部、
30h 先端延出部の脱衣室側の縁、
T 面内方向における浴室側突出片の先端の位置、
図1
図2
図3
図4
図5
図6