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特許7191779効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器
<図1>
  • 特許-効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器 図1
  • 特許-効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器 図2
  • 特許-効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器 図3
  • 特許-効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器 図4
  • 特許-効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器 図5
  • 特許-効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器 図6
  • 特許-効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器 図7
  • 特許-効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】効率及びパワーエレクトロニクスの寿命を向上させるための協調型電力変換器
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/493 20070101AFI20221212BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H02M7/493
H02M7/06 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019110025
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020010592
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】62/693,236
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/216,694
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】トッド・カリン
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-063581(JP,A)
【文献】特開2008-099436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/493
H02M 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力システムにおける複数の電力変換器を制御する方法であって、
マスターコントローラを使用して入力を受信している前記複数の電力変換器のスイッチング時間を制御し、それによって、前記複数の電力変換器のうちの少なくとも一つを、前記複数の電力変換器のうちの少なくとも他の一つと異なる時間で切り替えて、結合点で合計出力を提供すること、
前記マスターコントローラから各電力変換器への制御信号を調整することにより前記合計出力を所要出力波形に制御すること、
前記マスターコントローラが少なくとも一つの電力変換器との通信を失ったことを判断すること、及び
前記マスターコントローラが前記通信を失ったと判断された場合に、前記少なくとも一つの電力変換器を標準のパルス幅変調を使用して動作させることと、
前記マスターコントローラにおいて、所望の出力を出力するために、前記標準のパルス幅変調を使用して動作する前記少なくとも一つの電力変換器以外の電力変換器の動作を調整することと、を含む方法。
【請求項2】
前記マスターコントローラからの制御信号を調整することが、前記電力システム内の全高調波歪を監視することと、前記全高調波歪を制御するために前記電力変換器の動作周波数又はスイッチング時間のうちの少なくとも一つを調整することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
通信を確認するために、前記マスターコントローラから各電力変換器へ周期的に信号を送信することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記電力変換器が、直流入力を受け取り、交流出力を出力するインバータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記電力変換器が、交流入力を受け取り、直流出力を生成する整流器を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マスターコントローラが、前記スイッチング時間を前記整流器内の少なくとも一つのトランジスタに割り当てる、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記マスターコントローラが独立した要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マスターコントローラが、前記複数の電力変換器のうちの一つであり、前記結合点に最も近い前記電力変換器である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電力変換器に関し、より詳細には電力変換器の全高調波歪を維持又は低減しながら効率を向上させることに関する。
【0002】
電力変換器は、太陽光インバータ、電気自動車(EV)用の充電システム、風力タービン用の変換器、エレクトロニクス用の電源などを含む。一般的に、それらは直流(DC)電力を交流(AC)電力に、又は交流電力を直流に変換するために使用される。例えばパルス幅変調を使用するような複数種類の電力変換器において、全高調波歪(THD)を規定範囲内に維持するために比較的速い(典型的には2~20KHz)変調周波数を必要とする。これらの速いスイッチング速度は、全体的な変換効率に影響を与えるトランジスタ内の著しいスイッチング損失をもたらす。これらの損失はトランジスタ内で熱を発生させ、しばしば電子機器の寿命を縮めるサーマルサイクリングを引き起こす。
【0003】
一つの従来技術の手法は、米国特許公開第2013/0033907号に論じられているように、パルス幅変調(PWM)シーケンスの発射角度を制御することにより単一変換器からの全高調波歪を改善する。米国特許公開第2009/0283129号に論じられているように、太陽エネルギーの場合、最小のアクティブ/パッシブフィルタを使用し、複数のインバータからの発射角度をインターリーブして低高調波電流を生成することもできる。別の手法は、米国特許第5,345,375号に開示されているように、グリッドオペレータにより有効電流を注入して高調波を低減する。
【0004】
しかしながら、より高い変換効率及びより長い電子機器の寿命を有する他の手法が望ましい。
【0005】
本明細書に示す態様によれば、電力システムにおける複数の電力変換器を制御する方法は以下を含む:マスターコントローラを使用して複数の電力変換器のスイッチング時間を制御して入力を受信し、そのような複数の電力変換器のうち少なくとも一つは複数の電力変換器のうち少なくとももう一つと異なる時間に切り替えて結合点で合計出力を供給し、またマスターコントローラから各電力変換器への制御信号を調整することにより合計出力を所要出力に制御する。
【0006】
本明細書に示す態様によれば、電力システムにおける複数の電力変換器を制御する方法は以下を含む:基本周波数を決定する;動作周波数を電力変換器に割り当て、そのうち動作周波数は各電力変換器に対して基本周波数の倍数である;割り当てられた周波数で複数の電力変換器を動作させる;電力変換器の各出力を合計して出力を生成する。
【0007】
本明細書に示す態様によれば、一組の電力変換器の調整方法は以下を含む:各電力変換器に切り替え時間を割り当てることにより少なくとも一つの電力変換器は少なくとももう一つの電力変換器と異なる時間に切り替え、そのうち切り替え時間の更新は追加の通信を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】共通の結合点を有する電力変換器アレイの実施形態を示す。
図2】二つの異なる電力変換器の間の変調波における異なる位相オフセットの切り替え時間を決定するグラフ表示を示す。
図3】二つの異なる位相オフセット電力変換器のスイッチ状態を示す。
図4】二つの異なる位相オフセット電力変換器の各電流出力を示す。
図5】共通結合点での電流出力を示す。
図6】THDを範囲内に維持しながら複数の電力変換器を制御して効率を向上させる方法を示す。
図7】二つのインバータが異なる位相オフセットで動作できる二つのインバータシステムにおける一つの位相のグラフ表示を示す。
図8】電力変換器を整流器とする実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に使用される用語「電力変換器」は、交流(AC)又は直流(DC)のいずれか一つの異なる種類の電力間で変換する任意の装置を意味する。これはソーラーパネル又は他の代替エネルギー源などのDC電源をACに変換するインバータを含んでもよい。それはACをDCに変換する整流器、例えば電気自動車又は直流を必要とする他の充電器、又はACをACに変換する例えば可変速モータドライブをも含んでもよい。
【0010】
図1は、一組の電力変換器の例を示す。変換器10のような電力変換器は変換器アレイに配置される。共通結合点、典型的には交流配電グリッドへの接続は位置12で生じる。共通結合点では、しばしばTHDをある限度以下、例えば4%以下に低減する必要がある。電力変換器が、グリッド内の全体高調波歪を低減するために特定の高調波を注入/抽出することも望ましい可能性がある。そのような場合、意図された注入電力はもはや低いTHDを持たない。10などの各電力変換器は、共通結合点から電力を抽出(又は注入)し、11などの位置で電力を注入(又は抽出)する。位置11と12の電力はAC又はDCのいずれかであることができる。理解を容易にするために、以下の説明において、その特定の実施に対する制限は意図されておらず、いかなる意味も含まれるべきではないという理解のもとにインバータに焦点を当てることがある。重要な統一品質は、各電力変換器のパルスタイミングを調整することにより共通結合点で注入される高調波を制御することである。
【0011】
第一実施形態では、システムはマスターコントローラを有する。マスターコントローラは、変換器14のような変換器のうちの一つに組み込まれてもよく、又はそれは独立した制御要素であってもよい。制御要素の実施形態では、変換器14は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなどの形態を取ってもよい。
【0012】
動作中、マスターコントローラは各変換器における変調波の位相オフセットを制御する。ここでは、位相オフセット制御はパルス幅変調の概念下で説明されるが、一般的な位相オフセット制御は複数の電力変換器の切り替えタイミングを制御する任意の技術を指すことと認識すべきである。位相オフセット制御では、図2に示すように、一部のインバータは変調波に対して異なる位相オフセットを有する。図7の例では、電力変換器はインバータからなり、各インバータはソーラーパネルなどのDC電源に接続されている。所望の出力は制御波形20として示すAC波形である。三相電力を供給するためにこのユニットを複数回繰り返してもよい。マスターコントローラは、制御波形と変調波形22及び24との交点を見つけることによって各インバータに対するスイッチング時間を設定する。この方法は、正確なスイッチング時間を生成するための多くの従来技術の方法のうちの一つに過ぎず、各インバータのパルススイッチング時間を決定する任意の方法を使用できることを意図している。図3は、図7のトランジスタT1 76及びT3 79の状態を示す。トランジスタT2 78及びT4 81はそれぞれT1 76及びT3 79とは逆に切り替えられることに留意すべきである。
【0013】
図2は三相インバータシステムの一相分の波形を示す。他のアーキテクチャにおいて、本発明は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)に基づく3レベルインバータからなってもよい。位相オフセット制御を使用しているため、インバータの変調周波数を標準値から約20KHzまで下げることができる。これにより、転流数が少なくなり、したがってトランジスタのスイッチング損失が低くなる。この効率の向上と加熱速度の低下により、温度サイクルと平均温度による熱応力が減少するため、トランジスタの寿命が長くなる。更に、スイッチング損失及び伝導損失は通常、トランジスタの選択で相殺されるため、実施形態は、インバータがより低い伝導損失を有するトランジスタを使用することを可能にする。
【0014】
各インバータは、交流電圧の局所的測定を通して同期クロック信号を決定する。各インバータの電圧信号が位相オフセット技術のために高周波成分で歪む可能性があるとしても、ベース周波数のゼロ時間はソフトウェアで見つけることができる。これは、測定電圧にローパスフィルタ又はローリング平均フィルタを適用することによって実現できる。このゼロ時間は、位相オフセットの追加基準を提供するために、各インバータによって使用される。この技術は、インバータのクロックが不完全であっても、各インバータからの位相出力に長期のドリフトがないという利点を有する。
【0015】
マスターコントローラは、ローカルエリアネットワーク又は無線ネットワークを介してインバータと通信してもよい。マスターコントローラは、グリッド電圧及びインバータから生成された交流電圧を監視してもよい。マスターコントローラは、各インバータの位相オフセットを最適化する。マスターコントローラは、一つのインバータがより低い出力電流を生成する部分的シェーディングのような、モジュール出力電力における時間的に変化する変化を考慮に入れるために制御方式の再調整をロバストに実行する必要がある。
【0016】
制御方式に加えて、マスターコントローラは各インバータとの通信を管理する。マスターコントローラは、一つ又は複数のインバータとの通信、例えばキープアライブ信号を損失する可能性がある。一実施形態では、キープアライブ信号が失われた場合、すべてのインバータは、高周波PWMを使用して正弦波を生成するなどの標準動作モードに戻ってもよい。これは、インバータが高い全高調波歪(THD)で共通結合点に出力を生成するのを阻止するためである。一実施形態では、THDが設定値を超えた場合、マスターコントローラはAC切断を動作することができる。
【0017】
別の実施形態では、マスターコントローラは、通信を確認するために各インバータにクエリを送信することができる。特定のインバータがマスターコントローラと通信できない場合、そのインバータは通常のPWMスイッチングに切り替わってもよい。マスターコントローラは、残りのインバータが再最適化された協調波形を出力するようにアルゴリズムを調整してもよい。
【0018】
マスターコントローラを使用することにより、さまざまなインバータの位相を調整して、THDを低減し、動作効率を高めた合計出力を生成することができる。図2は、インバータ切り替え時間が制御信号20と変調波22との交点により計算される従来のPWM制御を示す。インバータ回路の非理想性を考慮して正確な切り替え時間を決定する他の方法もある。
【0019】
図2は、制御信号20と、互いに180度位相オフセットになる三角変調波22及び24を示す。図7中、制御信号20が変調波22より大きい場合、トランジスタT1 76は「オン」になり、T2 78は「オフ」になる。図3に示すように、同様に、制御信号21が変調信号24より大きい場合、トランジスタT3 79は「オン」になり、T4 81は「オフ」になる。PWM制御信号はインバータに印加され、一実施形態ではそれはIGBTハーフブリッジであってもよい。これにより、二つのインバータからのリップル出力が互いに位相オフセットになる。二つ以上のインバータでは、0度及び180度以外の複数の異なる位相オフセットが各インバータ又は異なる位相に適用されることができる。
【0020】
図4は、各インバータからの電流出力を示し、変調30の出力は出力40として示し、変調32の出力は出力44に示す。図4の電流出力はそれぞれ高い全高調波歪を有する。しかしながら、共通結合点では、THDは減少する。図5は、共通結合点48での電流を示す。二つの異なる位相オフセットを持つ二つのインバータの場合、メインリップル周波数は2倍に増加する。より異なる位相オフセットを持つインバータが多ければ多いほど、リップル周波数は更に高くなる。
【0021】
マスターコントローラを使用すると、さまざまな電力変換器間で調整された位相オフセットを設定して、高効率変換と低全高調波歪を保証することができる。あるいは、基本周波数の倍数などの所定の変調周波数で電力変換器を設定することができる。どの場合にも、電力変換器のスイッチングは、より低いTHDでより効率的なスイッチングを提供するように制御される。図6は、電力変換器の制御方法の実施形態を示す。
【0022】
マスターコントローラを使用する実施形態では、50において、マスターコントローラは電力変換器のスイッチング時間を制御する。スイッチング時間は位相オフセットで初期設定されるが、マスターコントローラは52で所望の出力を得るために必要に応じて動作を調整することができる。これは、THDを監視し、それが所望のレベルを下回らないことを確実にするために必要に応じて動作を調整することを含んでもよい。調整は、THDが限界内になるまで54で変調周波数を増加してもよい。
【0023】
上述のように、別の調整は、マスターコントローラと任意の変換器との間の通信が失われた際に発生する可能性がある。一つの変換器がマスターコントローラに応答しない場合、又はマスターコントローラが電力変換器からの信号の確認応答を欠いている場合、通信が失われる可能性がある。通信が失われた場合、マスターコントローラは、56で残りの変換器の動作を調整することにより高い効率と低いTHDを保証してもよい。図6に示すように、これは58で変換器の動作周波数を調整し、又はそれは通信を失った変換器をマスターコントローラから切断させ、それを59で「通常」又は標準PWM動作に戻すことを引き起こす可能性がある。
【0024】
マスターコントローラが存在しない実施形態では、この方法は電力変換器のスイッチング時間の制御のみを含む。この実施形態では、電力変換器は、基本周波数の倍数であるプリセット変調周波数及び位相を有することができる。例えば、基本周波数が60Hzの場合、一つのインバータの変調周波数は300Hz、位相オフセットは0、別の300Hzの変調周波数は180度の位相オフセットになる。
【0025】
異なる電力変換器に異なる変調周波数を使用することもできる。これは従来のPWM技術を使用することを可能にするが、電力変換器は異なる周波数で変調するので、それらの変調周波数と制御信号との間の交点は変化し、効率を維持しながらTHDの制御を可能にする。
【0026】
別の通信がない電力変換器間のタイミングを同期させるために、各変換器は位相決定技術を使用して局所的ゼロ交差点を決定することができる。これは、ローカルインバータ電圧を記録し、60Hzでフーリエ変換の位相を見つけることによってソフトウェアで達成してもよい。これにより、インバータは、局所的な歪みの可能性のある波形のみを使用してクロックを同期させることができる。
【0027】
複数の電力変換器は、固定位相オフセット及び変調周波数、又は電力変換器の起動時に何らかの定義された分布とは異なるように選択されたもので事前にプログラムされてもよい。位相オフセットが起動時に何らかのランダム分布から選択される場合、新しい位相オフセットを選択するために必要とされる別の通信オーバーヘッドはない。一実施形態では、電力変換器がそれらの電力を循環させると、各電力変換器はプリセット分布から位相オフセットを選択する。このようにして、オペレータは各電力変換器へのそれぞれの通信チャネルを有することなくすべての位相オフセットをリセットすることができる。別の実施形態では、各電力サイクルは所定の設定を通して電力変換器を切り替える。このようにして、電力変換器によって生成されたTHDは任意の別の通信要件で修正することができる。
【0028】
マスターコントローラ及びリアルタイム調整の実施形態、及び基本周波数のプリセット倍数の実施形態は電力変換器システムに適用してもよく、そのうち電力変換器はDCACインバータを含み、又は電力変換器はACDC整流器、又はACからACへ変換する可変速ドライブを含む。図7はインバータの例を示す。
【0029】
図7は、並列に接続された二つのハーフブリッジインバータ70及び74を示す。出力電力は結合点Vで合計される。ソーラーパネル、DC/DC変換器、コンデンサなどの電源は、DC 64とマークされたブロックに含まれている。トランジスタ76及び78は、DC電源の短絡を回避するために逆に切り替わってもよい。この実施形態では、ローパスフィルタ、この場合はLCLローパスフィルタ80及び82がある。出力電力はVで合計され、負荷抵抗Rによって引き出される。
【0030】
マスターコントローラの場合、マスターコントローラは、これらのインバータの各変調を互いに位相オフセットにするように設定し、必要に応じて調整してTHDを範囲内に維持するように確保する。マスターコントローラがない場合、各インバータの変調周波数は基本周波数の倍数になるように設定される。
【0031】
図8は、整流器となる電力変換器を示し、この特定の実施形態では、それは単位電力整流器である。図8の実施形態では、整流器負荷は、スイッチVswのスイッチング電圧によって制御されることができ、スイッチング電圧は、制御信号と変調周波数信号との組み合わせによって制御される。これは、マスターコントローラによって設定及び監視されても、又は基本周波数の倍数に従ってあらかじめ設定されてもよい。いずれの場合も、整流器は、AC電源から複数のDC負荷に対応する複数の整流器からなる一組のうちの一つである。
【0032】
このようにして、電力変換システムにおいて全体の効率を向上させ、THDを低減又は制御することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8