(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20221212BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20221212BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20221212BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
B60L53/80
B60L53/14
(21)【出願番号】P 2019141956
(22)【出願日】2019-08-01
(62)【分割の表示】P 2018086347の分割
【原出願日】2018-04-27
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2017192210
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】松元 隆志
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 大二郎
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0162212(US,A1)
【文献】特開平06-205538(JP,A)
【文献】特開2017-085743(JP,A)
【文献】実開平02-095161(JP,U)
【文献】特開2000-182145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/80
B60L 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電を必要とするバッテリが収容位置で収容される充電装置であって、
バッテリが載置される充電台と、
前記充電台に設けられ、前記バッテリのバッテリ側充電コネクタに係合される装置側充電コネクタと、
を備え、
前記充電台は、前記装置側充電コネクタが通されるコネクタ孔が形成された充電用トレイと、
前記装置側充電コネクタを上下方向に変位させる昇降機構と、
を有し、
前記昇降機構は、指令信号を受けて前記装置側充電コネクタを上昇させる駆動部を有し、
前記駆動部は、前記コネクタ孔の位置が前記装置側充電コネクタの位置と対応するときに、前記指令信号に基づいて前記装置側充電コネクタを上昇させて該装置側充電コネクタを前記コネクタ孔に通す充電装置。
【請求項2】
請求項1記載の充電装置において、前記昇降機構は、前記駆動部の駆動力を前記装置側充電コネクタに伝達するリンク部を有する充電装置。
【請求項3】
請求項2記載の充電装置において、前記リンク部は、前記装置側充電コネクタに連結され、且つ前記駆動部の駆動力によって回動する回動部材を有し、
前記回動部材が回動することで前記装置側充電コネクタが昇降する充電装置。
【請求項4】
請求項3記載の充電装置において、該充電装置は、前記駆動部の駆動に伴って前後方向に変位する変位部材を有し、
前記変位部材が変位することで前記回動部材が回動する充電装置。
【請求項5】
請求項4記載の充電装置において、前記駆動部がウォームを有し、且つ前記変位部材が歯部を有し、
前記昇降機構は、前記ウォームに噛合する第1ギヤと、前記歯部に噛合する第2ギヤと、前記第1ギヤと前記第2ギヤとを連結する伝達軸とを有し、
前記ウォームが回転することに伴って前記第2ギヤが回転することで、前記変位部材が前後方向に変位する充電装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の充電装置において、前記駆動部が前記充電用トレイの下方に配置されている充電装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の充電装置において、前記装置側充電コネクタは、孔が形成された被案内部を有し、且つ前記昇降機構は、前記孔に通された案内部を有する充電装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の充電装置において、前記充電台は、前記充電用トレイを前後方向にスライドさせるスライド機構を備え、
前記充電用トレイがスライドして前記コネクタ孔の位置が前記装置側充電コネクタの位置に対応した後、前記指令信号に基づいて前記装置側充電コネクタを上昇させて該装置側充電コネクタを前記コネクタ孔に通す充電装置
。
【請求項9】
請求項8記載の充電装置において、前記充電用トレイがスライドして前記コネクタ孔の位置が前記装置側充電コネクタの位置に対応したことを検出する検出器を有する充電装置。
【請求項10】
請求項9記載の充電装置において、前記充電台は、前記バッテリの一側面に沿って延在する背板を有し、
前記背板に判定用突起が設けられ、前記バッテリは、該バッテリの上面よりも高い位置に前記判定用突起が進入可能な進入口を備え、
前記判定用突起が前記進入口に進入したとき、前記検出器が、前記コネクタ孔の位置が前記装置側充電コネクタの位置に対応したことを検出する充電装置。
【請求項11】
請求
項10記載の充電装置において、前記バッテリは、該バッテリの前記上面に対して離間し、且つ該上面の略中央に設けられて直線状に延在する取っ手部と、
前記取っ手部の一端部に設けられて該取っ手部の延在方向に対して略直交する方向に延在するとともに、前記進入口が形成される進入口形成部と、
をさらに備える充電装置。
【請求項12】
請求項11記載の充電装置において、前記バッテリは、前記上面から突出して前記取っ手部の他端部に連なり、上端の前記上面からの距離が少なくとも前記進入口の下端の前記上面からの距離よりも大きく、前記上面との間が閉塞部である突出部をさらに備える充電装置。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか1項に記載の充電装置において、前記充電用トレイを位置決め固定するロック機構を備え、
前記ロック機構は、前記充電用トレイがスライドして前記コネクタ孔の位置が前記装置側充電コネクタの位置と対応したときに前記充電用トレイを位置決め固定する一方、前記装置側充電コネクタが下降することに連動して前記充電用トレイの位置決め固定を解除する充電装置。
【請求項14】
請求項13記載の充電装置において、前記充電台は、前記位置決め固定が解除された際に前記充電用トレイを前方に向けて弾発付勢する弾性部材を有する充電装置。
【請求項15】
請求項13又は14記載の充電装置において、前記ロック機構は、案内部材に沿って変位可能なカム部材を有し、前記駆動部の駆動力が伝達された前記カム部材が前記案内部材に沿って変位することで、前記充電用トレイを位置決め固定するか、又は前記充電用トレイの位置決め固定を解除する充電装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の充電装置において、前記充電台を複数個備え、且つ前記装置側充電コネクタ及び前記昇降機構が前記複数個の充電台の各々に設けられた充電装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の充電装置において、前記バッテリが可搬式である充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリは、排ガス等を排出することがないクリーンな駆動源であり、しかも、放電終了後に充電を行えば再利用が可能であること、商用電源から充電を行うことが容易であること等の利点を有することから、広汎に用いられるに至っている。例えば、特許文献1には、電動スクータの駆動源として用いることが可能なバッテリ(特許文献1においては「携帯式電気エネルギ蓄電装置」と表されている)が提案されている。
【0003】
このバッテリは、横断面が略正方形をなし且つ上下端部が開口した筒状の外殻と、該外殻の上端部及び下端部のそれぞれに位置するカバー(トップケース)及びベース(ボトムケース)を含むハウジングを有する。そして、該ハウジング内に、複数の個別のバッテリコアパックが内蔵される。さらに、前記カバーにはハンドルが設けられている。ユーザは、このハンドルを把持して、電動スクータの座面の下に配置されたコンパートメントに対してバッテリを出し入れすることが可能である、とのことである。
【0004】
バッテリを充電するための充電装置は、複数個を同時に充電可能であることが好ましい。充電済であり必要なときに使用可能なバッテリを多数個保管しておくことができるからである。この種の充電装置としては、特許文献2に開示されたものが知られている。この充電装置は、バッテリ(携帯型電気エネルギ貯蔵装置)を個別に収容する収容器を複数個有し、このため、バッテリを収集、充電及び分配することが可能である。
【0005】
さらに、特許文献3には、電動アシストサイクル用の充電済バッテリを供給するバッテリ供給装置が開示されている。このバッテリ供給装置はその正面中央部にバッテリを供給返却するためのドアを有する室が設けられ、室内にはバッテリを供給返却するためのバッテリ供給口が設けられている。このバッテリ供給装置を構成するハウジングの内部には、上部バッテリ供給機構と下部バッテリ供給機構とが収容されている。両バッテリ供給機構は同一構成であり、回転テーブルを有するとともに、該回転テーブルの外周部に、バッテリを保持する8個のスロットが設けられる。各スロットは、回転テーブルの回転中心に対して角度45°で離間している。各スロットは傾斜が可能であり、傾斜状態で、バッテリを供給ないし返却するためのバッテリ供給口と接合される。バッテリ供給口は、チャージャ(充電器)とバッテリ用電源供給部の上方、すなわち、ハウジングの比較的高い位置に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2016-534518号公報
【文献】特表2014-527689号公報
【文献】特開2000-182145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電動二輪車等の駆動源として用いられるバッテリ等は、大容量を確保するべく大型であり、略直方体形状をなすことが多い。このような形状の大型バッテリを充電装置に収容するときには、縦長の起立姿勢とすることが好ましい。起立姿勢とすることで、バッテリを重力によって充電装置内に収容することが容易となるからである。
【0008】
この場合、バッテリ側充電コネクタはバッテリの底面に設けられる。従って、バッテリを充電装置内に収容するとき、ユーザがバッテリ側充電コネクタを視認することはできない。このため、ユーザがバッテリを誤った方向(姿勢)で充電装置内に収容すると、バッテリ側充電コネクタと装置側充電コネクタの位置が対応していないため、充電がなされない。しかも、この場合、雄型である装置側充電コネクタが損傷する懸念がある。
【0009】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、ユーザがバッテリを誤った姿勢として挿入しても装置側充電コネクタが損傷することを回避することが可能な充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、充電を必要とするバッテリが収容位置で収容されるとともに充電済のバッテリを収容位置に移送して該収容位置から取り出し可能とするマガジン式充電装置であって、
回転テーブルと、
回転テーブルを回転させる駆動装置と、
回転テーブル上に設けられてバッテリが載置される充電台と、
充電台に設けられ、バッテリのバッテリ側充電コネクタに係合される装置側充電コネクタと、
を備え、
充電台は、装置側充電コネクタが通されるコネクタ孔が形成された充電用トレイと、
充電用トレイを前後方向に変位させるスライド機構と、
バッテリの一側面に沿って延在する背板と、
装置側充電コネクタを上下方向に変位させる昇降機構と、
を有し、
背板に判定用突起が設けられるとともに、
バッテリは、該バッテリの上面に対して離間し、且つ該天井面の略中央に設けられて直線状に延在する取っ手部と、
取っ手部の一端部に設けられて取っ手部の延在方向に対して略直交する方向に延在するとともに、判定用突起が進入する進入口を有する進入口形成部と、
上面から突出して取っ手部の他端部に連なり、上端の上面からの距離が少なくとも進入口の下端の上面からの距離よりも大きく、上面との間が閉塞部である突出部と、
を有していることを特徴とする。
【0011】
このマガジン式充電装置では、充電用トレイをスライド機構の作用下にスライドさせ、これによりバッテリに形成された進入口に判定用突起を進入させた後、装置側充電コネクタを上昇させることが可能である。換言すれば、進入口に判定用突起が進入していない状態では、装置側充電コネクタは下降した位置を保つ。すなわち、バッテリを、進入口が形成された側の端面が判定用突起に臨む姿勢として充電用トレイに載置した場合にのみ、昇降機構の作用下に装置側充電コネクタが上昇してバッテリ側充電コネクタに係合する。そして、この係合によってバッテリに充電がなされる。
【0012】
要するに、ユーザがバッテリを誤った姿勢で充電用トレイに載置したときには、例えば、閉塞部が判定用突起に当接して充電用トレイをそれ以上背板側にスライドさせることができなくなる。この状況下では、装置側充電コネクタが上昇することがない。このため、装置側充電コネクタがバッテリの底面に当接して損傷することを回避することができる。
【0013】
しかも、正規姿勢のバッテリの進入口に判定用突起が進入した後に装置側充電コネクタが上昇すると、バッテリが下方から押圧される。このために判定用突起に挿入荷重反力が作用するので、バッテリが堅牢に固定される。すなわち、バッテリにガタツキが起こることが抑制される。このため、装置側充電コネクタとバッテリ側充電コネクタの係合が解除される懸念が払拭される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バッテリに進入口を設けるとともに、マガジン式充電装置を構成する背板に判定用突起を設け、バッテリをマガジン式充電装置に収容したときには該判定用突起を進入口に進入させ、その後に装置側充電コネクタを上昇させてバッテリ側充電コネクタに係合させるようにしている。すなわち、バッテリが誤った姿勢であるために判定用突起が進入口に進入していないときには、装置側充電コネクタが上昇することがない。このため、装置側充電コネクタがバッテリの底面に当接して損傷することを回避することができる。
【0015】
また、判定用突起が進入口に進入した状態で装置側充電コネクタを上昇させてバッテリ側充電コネクタに係合すると、バッテリが下方から押圧されるので判定用突起に挿入荷重反力が作用する。このためにバッテリが堅牢に保持されるので、該バッテリにガタツキが起こることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1Aはバッテリの一方向からの概略全体斜視図であり、
図1Bは別方向からの概略全体斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るマガジン式充電装置の概略全体斜視図である。
【
図4】ケーシングを省略して第1単位マガジン、第2単位マガジンを示した正面模式図である。
【
図6】第1単位マガジンを構成する充電部において、充電用トレイが若干前方に位置した状態を示す要部概略斜視図である。
【
図7】
図6の充電用トレイが最後方に位置するとともに、コネクタ孔に装置側充電コネクタが通された状態を示す要部概略斜視図である。
【
図8】第1単位マガジンを構成する下段側回転テーブル上におけるバッテリの配置位置を示す概略平面図である。
【
図9】下段側回転テーブルの下方に配置されるスライド機構、ロック機構及び昇降機構を示した概略平面図である。
【
図10】
図9に示すロック機構の要部概略斜視図である。
【
図11】
図10に示す状態から移動板が変位し、リンク部材が若干回動した状態を示す要部概略斜視図である。
【
図12】
図11に示す状態からリンク部材が一層回動して移動板が解放された状態を示す要部概略斜視図である。
【
図13】
図9に示す昇降機構の要部概略斜視図である。
【
図14】
図13の昇降機構の作用下に装置側充電コネクタが下降した状態を示す要部概略側面図である。
【
図15】
図13の昇降機構の作用下に装置側充電コネクタが上昇した状態を示す要部概略側面図である。
【
図16】下段側回転テーブルの下方からの概略全体斜視図である。
【
図17】第1カムフォロワ~第3カムフォロワによって下段側回転テーブルが支持されている状態を示す要部概略平面図である。
【
図18】第1カムフォロワ、第2カムフォロワ及びベアリング受によって下段側回転テーブルが支持されている状態を示す要部概略平面図である。
【
図19】開閉式シャッタとしての第1開閉シャッタの要部概略斜視図である。
【
図20】シャッタ本体が開状態にあるときの要部概略平面図である。
【
図21】
図3に示すマガジン式充電装置を設置した充電ステーションの概略平面図である。
【
図22】前進する爪部材の姿勢と、該爪部材とカム部材との位置関係を示した概略フロー図である。
【
図23】爪部材が前進し、且つロック機構が充電用トレイを拘束したときの状態を示す概略平面図である。
【
図24】下段側回転テーブルのインデックス回転及びバッテリの充電状態を示すフローである。
【
図25】スライド機構を構成するラックスライドが後退するとともにロック機構が充電用トレイを解放する動作がなされた状態を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る充電装置につき、好適な実施の形態としてマガジン式充電装置を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
先ず、
図1A及び
図1Bに示すバッテリ10につき説明する。該バッテリ10は縦長の略直方体形状であり、例えば、電動二輪車EB(
図21参照)の駆動力供給源として用いられる。このバッテリ10の上面には、長手方向両端部が折曲されて該上面に連なることでアーチ形状をなすアーチ部12(第2取っ手部)と、上縁部が円弧状に湾曲したタブ状突出部14(突出部)とが互いに対向するように設けられる。タブ状突出部14の上端とバッテリ10の底面との距離H2は、アーチ部12の下端とバッテリ10の底面との距離H1よりも大きく設定される。なお、タブ状突出部14の突出高さとアーチ部12の突出高さは略同等である。
【0019】
アーチ部12の上端からタブ状突出部14の上端にかけては、把持用バー16(第1取っ手部)が橋架される。すなわち、把持用バー16は、アーチ部12の延在方向に対して略直交する方向に延在する。ここで、アーチ部12及びタブ状突出部14の両上端がバッテリ10の上面から突出しているため、把持用バー16は、バッテリ10の上面に対して離間する。従って、把持用バー16とバッテリ10の上面との間に把持用クリアランス18が形成される。ユーザは、この把持用クリアランス18に手(指)を差し込んで把持用バー16を把持することが可能である。
【0020】
また、アーチ部12とバッテリ10の上面の間には、進入口20が開口する。この進入口20には、後述する判定用突起108(
図6及び
図7参照)が進入する。進入口20は、把持用クリアランス18に連なる。これに対し、タブ状突出部14には開口が形成されていない。すなわち、タブ状突出部14とバッテリ10の上面との間は閉塞部である。
【0021】
図1A、
図1B及び
図2に示すように、バッテリ10には、アーチ部12(進入口20)側が設けられた側の底面にバッテリ側充電コネクタ22が設けられる。このバッテリ側充電コネクタ22が、後述する装置側充電コネクタ112(
図7参照)に係合することで、下段側充電器52a又は上段側充電器52b(
図4参照)とバッテリ10とが両コネクタ22、112を介して電気的に接続され、充電がなされる。なお、バッテリ側充電コネクタ22は、複数の板状端子進入凹部24と、該板状端子進入凹部24を間に挟む2個のロッド進入凹部26とからなる(
図2参照)。
【0022】
以上のように構成されるバッテリ10を平面視したとき、その形状は、略正方形又は略長方形である(特に
図8参照)。この場合、バッテリ10の平面視の形状がその他の形状である場合に比して、下段側回転テーブル54a上のスペースを有効に利用することができる。
【0023】
次に、マガジン式充電装置につき説明する。
図3は、マガジン式充電装置30の概略全体斜視図である。このマガジン式充電装置30は、上下方向に配設(積層)された2個の単位マガジン、すなわち、第1単位マガジン32a、第2単位マガジン32bを有し、これら第1単位マガジン32a、第2単位マガジン32bは、1個のケーシング34内に収容されている。第1単位マガジン32a、第2単位マガジン32bのそれぞれは4個のバッテリ10を収納することが可能であり、バッテリ10を第1単位マガジン32aに収容するための第1収容位置36a、第2単位マガジン32bに収容するための第2収容位置36bには、開閉式シャッタとしての第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bがそれぞれ設けられている。
図3から諒解されるように、第1収容位置36a、第2収容位置36bは平面視上互いにオフセット配置されている。第1収容位置36a、第2収容位置36bは、バッテリ10を取り出す取り出し位置でもあるが、この点については後述する。
【0024】
また、ケーシング34には、図示しない受信器(通信手段)が搭載されている。受信器は、ユーザが所持するスマートフォンやRFキー、又は電動二輪車EB(
図21参照)が発信する信号を受信する。ケーシング34内に設けられた制御装置60(
図4参照)は、受信器がこの信号を受けたことを認識し、その後の制御を行う。
【0025】
図4に、ケーシング34の図示を省略したマガジン式充電装置30を模式的に示す。第1単位マガジン32aを構成する下側ベースプレート50aには、第1単位マガジン32aに搭載されたバッテリ10を充電するための下段側充電器52aと、下段側回転テーブル54aを回転させるための下段側駆動用モータ56aとが互いに近接するように設けられる。一方、第2単位マガジン32bを構成する中側ベースプレート50bには、上段側回転テーブル54bを回転させるための上段側駆動用モータ56bが設けられる。第1単位マガジン32aと第2単位マガジン32bは、中側ベースプレート50bで区画される。
【0026】
図3及び
図4から諒解されるように、第1単位マガジン32aと第2単位マガジン32bは上下に積層され、且つ下段側回転テーブル54aと上段側回転テーブル54bは互いにオフセット配置されている。下段側充電器52a及び下段側駆動用モータ56aと、上段側駆動用モータ56bは、このオフセット配置によって生じたスペースに配置されている。このため、マガジン式充電装置30の1台あたりの占有面積が小さくなる。
【0027】
また、下段側駆動用モータ56aは下段側回転テーブル54aの側方、上段側駆動用モータ56bは上段側回転テーブル54bの側方に配設される。このため、下段側回転テーブル54a及び上段側回転テーブル54bの各高さ位置が、下段側駆動用モータ56a、上段側駆動用モータ56bの高さに制約を受けることがない。換言すれば、下段側回転テーブル54a及び上段側回転テーブル54bを、バッテリ10の挿入・取り出しが容易となる高さに配設することができる。
【0028】
第2単位マガジン32bの上方には、第2単位マガジン32bに搭載されたバッテリ10を充電するための上段側充電器52bと、前記制御装置60とが設けられた上側ベースプレート50cが配設される。
【0029】
次に、第1単位マガジン32aにつき詳述する。
図5は、第1単位マガジン32aの概略分解斜視図である。第1単位マガジン32aにおいては、下側ベースプレート50a上を下段側回転テーブル54aがインデックス回転することに伴い、バッテリ10を載置した充電部90が一体的にインデックス回転する。前記第1開閉シャッタ38aは、第1収容位置36a(
図3参照)において、充電部90の一部を露呈可能に覆う。換言すれば、第1収容位置36aに位置する充電部90は、第1開閉シャッタ38aが開いたとき、ケーシング34の外部に露呈する。
【0030】
前記充電部90につき説明する。
図6及び
図7は、第1単位マガジン32aを構成する充電部90の要部概略斜視図である。充電部90は、下段側回転テーブル54aと一体的に回転する回転盤92と、該回転盤92に設けられた4個の充電台100とを有する。充電台100同士は背板102で区画され、各充電台100には充電用トレイ104が設けられる。充電台100の一部は、回転盤92に形成された貫挿孔105に通されており、下段側回転テーブル54a及び回転盤92と一体的に回転する(
図5参照)。
【0031】
背板102には、近接センサ106が設置されるとともに、該近接センサ106の上方に略U字形状の判定用突起108が突出形成される。背板102の一部は、回転盤92の下面から突出するとともに下段側回転テーブル54aに連結される。すなわち、背板102は、起立姿勢となる状態で下段側回転テーブル54aに支持されている。このため、背板102も下段側回転テーブル54a及び回転盤92と一体的に回転する。
【0032】
背板102の内側端面は、別の背板102の端面からオフセットされた部位に配置される。このため、4枚の背板102同士が組み合わされることにより、その組み合わせ中心に、四角柱状の中空部802が形成される。
【0033】
図8に示すように、1個の充電台100には1個のバッテリ10を載置することが可能である。なお、この
図8に示されるように、4個のバッテリ10は、平面視において、完全対向位置から若干オフセットされている。ここで、バッテリ10を明瞭に区別するべく
図8中の4個のバッテリ10を第1バッテリ10a、第2バッテリ10b、第3バッテリ10c、第4バッテリ10dと表すと、第1バッテリ10aと第3バッテリ10cが向かい合い、且つ第2バッテリ10bと第4バッテリ10dが向かい合う。
【0034】
また、互いに向かい合う第1バッテリ10aと第3バッテリ10cの左側同士の隅部に接する左側仮想線L1、右側同士の隅部に接する右側仮想線L2とを引いたとき、左側仮想線L1は第2バッテリ10bに交差する。同様に、右側仮想線L2は第4バッテリ10dに交差する。
【0035】
さらに、横方向に互いに隣り合う第2バッテリ10bと第3バッテリ10cは上端の位置が異なり、縦方向に互いに隣り合う第1バッテリ10aと第2バッテリ10bは左端の位置が異なる。ここで、上記の「左」、「右」及び「上」は、ユーザが充電部90を平面視したときの方向を表し、バッテリ10の右方、左方、上方を意味するものではない。
【0036】
このように、向かい合うバッテリ10同士、及び隣り合うバッテリ10同士は、互いがオフセットされるようにケーシング34内の充電台100に載置される。このため、4個のバッテリ10を正方形の頂点位置に配置して完全対向させる場合に比して、下段側回転テーブル54a上のスペースを有効に活用することができる。
【0037】
なお、
図8から諒解されるように、隣り合うバッテリ10同士、すなわち、第1バッテリ10aと第2バッテリ10b、第2バッテリ10bと第3バッテリ10c、第3バッテリ10cと第4バッテリ10d、第4バッテリ10dと第1バッテリ10aでは、把持用バー16の延在方向が互いに略直交する。
【0038】
図6及び
図7に示す充電用トレイ104は、矢印A方向、すなわち、正面視で前後(A1方向、A2方向)にスライドが可能である。なお、以降の図面中の矢印A方向は、
図6及び
図7中の矢印A方向に一致する。以下、充電用トレイ104のスライド方向に合わせ、装置側充電コネクタ112から離間する側(A1方向側)を「前方」、近接する側(A2方向側)を「後方」と表記することもある。また、以降の説明における「前端」はA1側の端部を表し、「後端」はA2側の端部を表す。
【0039】
充電用トレイ104は、第1収容位置36aにおいてバッテリ10が載置されていないときは最前方に位置する。なお、
図6では、充電用トレイ104が若干前方に偏倚した状態を示している。そして、充電用トレイ104は、バッテリ10が載置された後、後方側(A2側)にスライドされる。この後方へのスライドの際にコネクタ孔110の位置が装置側充電コネクタ112の位置に対応したとき、
図7に示すように、該装置側充電コネクタ112が上昇してコネクタ孔110を通る。
【0040】
ここで、第1収容位置36a以外の充電台100では、充電用トレイ104が最後方(A2側)に位置するとともに、そのコネクタ孔110に装置側充電コネクタ112が通され、且つバッテリ10が載置されている。このため、第1収容位置36a以外の充電用トレイ104が前方にスライドすることはない。
【0041】
充電台100は、貫挿孔105を挟んで充電用トレイ104に対向する支持盤200を含む。すなわち、支持盤200は、充電用トレイ104の下方に配置される。該支持盤200は、下段側回転テーブル54aの上面に位置決め固定される(
図5参照)。
【0042】
図9に詳細を示すように、装置側充電コネクタ112は支持盤200上に昇降可能に配置される。装置側充電コネクタ112は、板状端子進入凹部24に対して進入又は離脱する板状端子114と、該板状端子114を間に挟む2個の係合ロッド116とを有する。係合ロッド116は、前記ロッド進入凹部26に対して進入又は離脱する。
【0043】
装置側充電コネクタ112は、係合ロッド116の外方に設けられた2個の被案内部120を含む(
図13参照)。この被案内部120には、上下方向に沿って案内孔122が貫通形成される。案内孔122には、後述するガイドロッド526が摺動可能に挿通されている。
【0044】
支持盤200上には、充電用トレイ104を前後にスライド可能とするスライド機構300と、後方にスライドした充電用トレイ104を位置決め固定するロック機構400と、装置側充電コネクタ112を昇降させる昇降機構500とが設けられる。
【0045】
スライド機構300は、充電用トレイ104が滑動する複数個の可倒式ローラ302と、充電用トレイ104の下面に連結される移動板304と、充電用トレイ104の下面に設けられた2個の掛止板305とを有する。可倒式ローラ302は、支持盤200上に立設された複数個の衝撃吸収スプリング306を挟む位置に設けられる。
【0046】
スライド機構300は、支持盤200に立設されたスプリング固定部308をさらに有する。該スプリング固定部308と掛止板305との間には、トレイ排出用スプリング310(弾性部材)が張設される。すなわち、トレイ排出用スプリング310の、装置側充電コネクタ112から離間した前端は、位置決め固定されたスプリング固定部308に掛止されている。一方、装置側充電コネクタ112に近接する後端は、充電用トレイ104とともに変位する掛止板305に掛止される。
【0047】
図10に示すように、移動板304の下方には円柱形状をなす2本の脚部312が垂下するように設けられる。脚部312同士には、略楕円形状の楕円板314が橋架される。
【0048】
図9及び
図10に示すように、ロック機構400は、支持盤200上に設けられた1組のラック用案内レール402に沿って変位可能なラックスライド404と、このラックスライド404に付設された変位板405に支持されてラックスライド404及び変位板405と一体的に変位する爪部材406と、カム部材408と、スナッチロック410とを有する。
【0049】
この中のラック用案内レール402は矢印A方向に沿って延在しており、ラックスライド404、変位板405及び爪部材406は、装置側充電コネクタ112に対して接近又は離間するように変位する(後退又は前進する)。なお、
図9では、ラックスライド404、変位板405及び爪部材406が装置側充電コネクタ112に最大に接近した状態、すなわち、最後方に位置している状態を示している。このとき、充電用トレイ104も背板102側(A2方向側)に後退している(
図7参照)。また、装置側充電コネクタ112は下死点に位置する。
【0050】
爪部材406は、矢印A方向に対して略直交するように突出した第1カム部412を有する。爪部材406の、後端の一隅角部には図示しない挿通孔が形成されるとともに、この挿通孔に第1回動軸414が嵌合される。爪部材406は、第1回動軸414を介して変位板405に連結されるとともに、第1回動軸414を中心として回動することが可能である。さらに、爪部材406の、前記一隅角部に対向する別の隅角部には、第1リターンスプリング416の一端が掛止される。
【0051】
ラック用案内レール402の1本には、その長手方向に直交する方向に対して突出するように平板形状のスプリング掛止部418が設けられる。このスプリング掛止部418には、前記第1リターンスプリング416の他端が掛止される。すなわち、第1リターンスプリング416は、爪部材406をスプリング掛止部418側(前方であるA1側)に引張付勢する。
【0052】
ラック用案内レール402の、装置側充電コネクタ112に近接する後端には、ラック用案内レール402の長手方向(矢印A方向)に対して略直交する方向に延在する1組のカム用案内レール420が支持される。前記カム部材408は、その上端部がカム用案内レール420に摺動可能に挟持されている。
【0053】
カム部材408は、ラックスライド404が装置側充電コネクタ112に対して接近又は離間するように変位することに伴って、カム用案内レール420に案内されながら、ラックスライド404の変位方向と略直交する方向に変位する。この点については後述する。
【0054】
カム部材408は、爪部材406の第1カム部412と協働する第2カム部424を有する。該第2カム部424は、第1カム部412に対向する。
【0055】
スナッチロック410は、リンク部材430と、フック部材432と、これらリンク部材430及びフック部材432を回動可能に支持するバックアッププレート434とを有する。
【0056】
リンク部材430の後端には、連結軸436を介してカム部材408の一端が連結される。また、リンク部材430の前端は、第2回動軸440(特に
図12参照)を介してバックアッププレート434に回動可能に連結されている。このため、カム部材408がカム用案内レール420に沿って変位すると、
図11及び
図12に示すように、リンク部材430が姿勢を変える。
【0057】
リンク部材430は、連結軸436と第2回動軸440との中間の部位において、フック部材432に指向して突出した第1隆起部442を有する。
【0058】
フック部材432は、その略中央部に設けられた第3回動軸444を介して、バックアッププレート434に回転自在に支持されている。
【0059】
フック部材432には、リンク部材430の第1隆起部442に向かって突出した第2隆起部446が設けられる。第1隆起部442と第2隆起部446は、リンク部材430及びフック部材432が回動したとき、互いを乗り越えることが可能である(
図10~
図12参照)。
【0060】
フック部材432の前端には、リンク部材430に臨む部位をU字に切り欠いた形状のフック部450が形成される。移動板304の脚部312は、リンク部材430とフック部材432が所定の位置関係にあるとき、フック部450によって拘束される。後述するように、この拘束により、充電用トレイ104が最後方に位置決め固定される。その一方で、ラックスライド404が装置側充電コネクタ112に向かって変位する(後退する)とともに爪部材406がカム部材408を押圧すると、フック部材432が
図11及び
図12に示すように回動する。この回動により、フック部450から移動板304の脚部312が解放される。
【0061】
フック部材432とリンク部材430との間には第2リターンスプリング452が張設される。第2リターンスプリング452の一端は、フック部材432の後端に係止され、第2リターンスプリング452の他端は、リンク部材430における連結軸436と第1隆起部442の中間の部位に係止される。該第2リターンスプリング452は、フック部材432の後端をリンク部材430に指向して引張付勢する。
【0062】
装置側充電コネクタ112を昇降させる昇降機構500は、
図13に示すように、昇降用モータ502と、ウォーム504と、ウォームギヤ506と、平歯を有するラック側ギヤ508と、ラックスライド404と装置側充電コネクタ112とを連結するリンク部510とを有する。ウォーム504は昇降用モータ502の回転軸に設けられ、且つ前記ウォームギヤ506と噛合する。ウォームギヤ506とラック側ギヤ508は伝達軸512を介して連結されており、このラック側ギヤ508は、ラックスライド404の下面に設けられた図示しない歯部に噛合する。
【0063】
リンク部510は、ラックスライド404の後端に設けられて矢印A方向に略直交する方向に延在する第1軸514と、その上端に該第1軸514を通す長穴516が形成されて装置側充電コネクタ112の下方まで延在する1組のアーム部材518とを有する。アーム部材518は、A2側からA1側に傾斜するように延在し、その後に屈曲してA1側からA2側に傾斜するように延在する。1組のアーム部材518間の屈曲点には、第2軸520が通される。
【0064】
さらに、アーム部材518の後端は、被案内部120の近傍に設けられた軸受部522に連結される。すなわち、軸受部522は、矢印A方向に沿って延在する長穴524が形成される。アーム部材518の後端同士には第3軸525が連結されており、該第3軸525が長穴524に通されている。
【0065】
前記昇降用モータ502が付勢されると、ウォーム504、ウォームギヤ506、伝達軸512及びラック側ギヤ508が回転する。このため、ラックスライド404が
図11におけるA1方向に沿って変位する。後述するように、この変位に追従し、
図14及び
図15に示すようにアーム部材518が回動する。なお、
図14は装置側充電コネクタ112が下死点に位置している状態を示し、
図15は上死点に位置している状態を示している。
【0066】
昇降機構500は、装置側充電コネクタ112の被案内部120の案内孔122に挿通されたガイドロッド526をさらに有する。該ガイドロッド526は、上昇又は下降する装置側充電コネクタ112を案内する。
【0067】
なお、前記トレイ排出用スプリング310は、充電用トレイ104がスナッチロック410によって拘束されないとき、伸長して充電用トレイ104をA1方向側に引張付勢する。
【0068】
次に、充電部90の下方に設けられる下段側回転テーブル54aについて説明する。
【0069】
下側ベースプレート50aには、
図17に示すように、下段側回転テーブル54aの位置を保持するための位相保持用シリンダ600(位置決め機構)が設けられる。この位相保持用シリンダ600は進退ロッド602を有し、該進退ロッド602は、前進したときに下段側回転テーブル54aの側周壁に形成された係合凹部604に進入する。これにより、下段側回転テーブル54aの回転が阻止され且つその位相で保持される。
【0070】
下側ベースプレート50aには、さらに、重荷重を受ける第1カムフォロワ606、軽荷重を受ける第2カムフォロワ608、下段側回転テーブル54aの芯出しのための第3カムフォロワ610、インタロックスイッチ612が設けられる。下段側回転テーブル54aは、第1カムフォロワ606、第2カムフォロワ608及び第3カムフォロワ610に支持されることより、下側ベースプレート50aから若干離間した上方に位置することが可能となっている。
【0071】
図16に示すように、下段側回転テーブル54aは、円盤形状体613の側周壁に対し、該円盤形状体613よりも厚みが若干大きなリング体614が外嵌されることで構成されている。第1カムフォロワ606及び第2カムフォロワ608は、円盤形状体613の下面に対して摺接する。一方、第3カムフォロワ610は、リング体614の内周壁に形成された滑動溝615内で滑動する。また、リング体614の外周壁には、タイミングベルト616が巻回される巻回溝(図示せず)が形成される。
【0072】
リング体614の外周壁には、前記係合凹部604とラッチ溝620が形成される。これら係合凹部604とラッチ溝620は、90°毎に配置されている。
【0073】
下側ベースプレート50aには、
図18に示すように、第3カムフォロワ610に代替してベアリング622を設けるようにしてもよい。この場合、下段側回転テーブル54a(円盤形状体613)にベアリング受624を設け、ベアリング622とベアリング受624で下段側回転テーブル54aの芯出しを行うことができる。このため、部品点数が低減するという利点がある。従って、第3カムフォロワ610を設ける必要は特にない。
【0074】
タイミングベルト616は、下段側駆動用モータ56aの回転軸に外嵌されたプーリ630に架け渡されている。従って、下段側駆動用モータ56aの回転軸が回転することに追従してプーリ630が回転動作するとともにタイミングベルト616が周回動作し、さらに、下段側回転テーブル54aが回転する。インタロックスイッチ612は、このように回転動作する下段側回転テーブル54aの前記ラッチ溝620を検出する。
【0075】
図19に示すように、第1開閉シャッタ38aは、シャッタ本体700を有する。シャッタ本体700は、シャッタ開閉用モータ702の作用下に回動する。この中、シャッタ本体700は、扇形状をなしバッテリ10の上面側(アーチ部12、タブ状突出部14及び把持用バー16)を覆う第1部分704と、バッテリ10の側面を覆う第2部分706と、第1部分704と第2部分706の間に介在して湾曲するように連なる第3部分708とを有する。さらに、第1部分704の中心に円環状の駆動力伝達部710が設けられるとともに、該駆動力伝達部710内にシャッタ用ベアリングホルダ712、及びシャッタ用ベアリング714が設けられる。
【0076】
図20に示すように、シャッタ本体700は、平面視において、前記シャッタ用ベアリング714の中心と第2部分706の外周とを結ぶ半径が互いに相違する第4部分716及び第5部分718と、これら第4部分716と第5部分718の間に介在する第6部分720とをさらに有する。
【0077】
シャッタ用ベアリング714は、充電台100に載置されたバッテリ10の上端(アーチ部12、タブ状突出部14及び把持用バー16)よりも高い位置に設けられる。これにより、バッテリ10がシャッタ用ベアリング714に干渉することが回避される。
【0078】
また、シャッタ開閉用モータ702は、シャッタ用ベアリング714の側方で且つ下段側回転テーブル54aの外周よりも外方に設けられる(
図20参照)。すなわち、シャッタ開閉用モータ702が下段側回転テーブル54aの下方又は上方に重なる位置に配置されることはない。このため、マガジン式充電装置30の高さを小さくすることができ、小型化を図ることができる。
【0079】
シャッタ用ベアリング714の外方には、伝達機構としての大プーリ722(又は大スプロケット)が設けられる。この大プーリ722と、シャッタ開閉用モータ702の回転軸に設けられた小プーリ724(又は小スプロケット)とに、開閉用ベルト726(又は開閉用チェーン)が巻掛される。なお、大プーリ722にはトルクリミッタ728を設けることが好ましい。
【0080】
前記装置側充電コネクタ112には、送電用ケーブル800(ケーブル)が電気的に接続される。この送電用ケーブル800は、下段側回転テーブル54aの中心に形成された貫通孔801(
図5、
図16及び
図17参照)に通され、該中心の上方で、充電台100に載置されたバッテリ10の上端よりも高い位置から、背板102同士が組み合わされることで構成される四角柱状の中空部802(
図6及び
図7参照)に通される。また、送電用ケーブル800同士は集束バンド804によって集束されており、これにより、捻れが下段側充電器52aに伝播することが防止されている。
【0081】
第2単位マガジン32bは、第1単位マガジン32aに準じて構成されている。このため、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、第2単位マガジン32bにおいて、第1単位マガジン32aの下側ベースプレート50aに対応する部材は、中側ベースプレート50bである。
【0082】
本実施の形態に係るマガジン式充電装置30は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき、バッテリ10の固定方法との関係で説明する。なお、以下では、2個のバッテリ10を同時に交換する場合を例示するが、交換個数を1個のみとしてもよいことは勿論である。
【0083】
バッテリ10は、例えば、
図21に示す電動二輪車EBの駆動源として用いられる。電動二輪車EBの走行に用いられ、放電容量が低下したバッテリ10に対しては、上記のマガジン式充電装置30にて充電がなされる。
【0084】
マガジン式充電装置30は、屋外に設けられた所定の充電ステーションSTに設置される。ユーザは、電動二輪車EBに乗車した状態、又は、徒歩でマガジン式充電装置30に接近すればよい。この時点では、第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bの双方とも閉状態である。
【0085】
上記したように、電動二輪車EB、又は、ユーザが所持するスマートフォンやRFキーには発信器が設けられている。マガジン式充電装置30のケーシング34に設けられた前記受信器は、発信器が発信した信号を受信する。予め設定された所定の時間にわたって受信器が受信したことを認識した制御装置60は、前記シャッタ開閉用モータ702(
図19参照)に対し、「シャッタを開く」との指令信号を発する。制御装置60は、前記受信器が発信器からの信号を所定時間受信している場合、前記シャッタ38a、38bの開状態を維持する。
【0086】
電動二輪車EB等が充電ステーションSTを通過するのみの場合もある。このときには、受信器が発信器からの信号を受信しても、その受信期間は短時間である。この場合、シャッタ本体700が回転しないように制御がなされる。
【0087】
「シャッタを開く」との指令信号に基づいてシャッタ開閉用モータ702が付勢され、前記小プーリ724が回転するとともに開閉用ベルト726が周回動作する。その結果として伝達機構である大プーリ722が回転し、該大プーリ722が設けられた駆動力伝達部710を中心としてシャッタ本体700が回転する(
図19及び
図20参照)。従って、第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bが開状態となる。これにより、第1収容位置36a、第2収容位置36bに位置する各充電部90、ひいては充電台100がケーシング34の外部に露呈する。
【0088】
このように、本実施の形態によれば、シャッタ本体700が自動的に回転するので、ユーザがシャッタ本体700を回転させる必要がない。従って、マガジン式充電装置30に接近するのみで充電済のバッテリ10を取り出し、且つ使用済であったり、蓄電量が十分でないバッテリ10をマガジン式充電装置30にセットすることができる。
【0089】
図20に示すように、シャッタ本体700には、平面視において、シャッタ用ベアリング714の中心と第2部分706の外周とを結ぶ半径長さが互いに相違する第4部分716と第5部分718とを有する。このため、シャッタ本体700が閉状態から開状態となるときに必要な奥行き方向の長さが短くなる。従って、マガジン式充電装置30の1台あたりの設置面積を小さくすることができる。
【0090】
シャッタ本体700が開いている途中で、例えば、ユーザの手等の物体がシャッタ本体700に当接することがあり得る。この際、シャッタ本体700にトルクが作用する。大プーリ722にトルクリミッタ728が設けられている場合、制御装置60は、該トルクリミッタ728を介してトルクが作用したことを検知するとともに、シャッタ本体700の開動作を停止する。従って、シャッタ本体700やシャッタ用ベアリング714に過度の負荷が作用することが回避されるとともに、物体がシャッタ本体700に挟まれることが回避される。なお、開動作の停止に代替し、シャッタ本体700を開動作から閉動作に切り替えるようにしてもよい。
【0091】
第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bが開状態となった後、ユーザは、第1単位マガジン32a、第2単位マガジン32bの各充電台100の、前方にスライドした状態を維持している充電用トレイ104に対し、充電を必要とするバッテリ10を、進入口20が背板102(判定用突起108)を臨む姿勢として載置する。すなわち、
図3に示す第1収容位置36a、第2収容位置36bから充電を必要とするバッテリ10をケーシング34内に挿入する。第1収容位置36a、第2収容位置36bが互いにオフセットされているので、第1単位マガジン32a、第2単位マガジン32bの各充電台100からの充電済のバッテリ10の取り出し、及び各充電台100への、充電を必要とするバッテリ10の挿入が著しく容易となる。
【0092】
充電を必要とするバッテリ10を充電用トレイ104に載置する際、ユーザが誤って把持用バー16から手を離す事態が想定される。この場合、落下したバッテリ10の荷重を衝撃吸収スプリング306(
図9参照)及び第1カムフォロワ606(
図17及び
図18参照)が受けるとともに、可倒式ローラ302が下方に倒れる。従って、充電用トレイ104やロック機構400、可倒式ローラ302のローラ本体を含むスライド機構300等が破損することが回避される。
【0093】
充電を必要とするバッテリ10を充電用トレイ104に載置するとき、装置側充電コネクタ112は下降して下段側回転テーブル54aの下方に位置している(
図6参照)。このため、例えば、ユーザが誤ってタブ状突出部14が背板102(判定用突起108)を臨むようにしてバッテリ10を充電用トレイ104に載置したときであっても、バッテリ側充電コネクタ22が存在しない底面が装置側充電コネクタ112に当接することが有効に防止される。従って、この当接に起因して装置側充電コネクタ112が破損することが回避される。
【0094】
ユーザは、充電用トレイ104にバッテリ10を載置した後、充電用トレイ104を背板102側に向かって押圧する。換言すれば、充電用トレイ104をバッテリ10ごと背板102側(後方であるA2方向側)にスライドさせる。このスライドに伴って掛止板305が充電用トレイ104と一体的に後方に変位するので、それまで収縮していたトレイ排出用スプリング310が伸長する。ユーザが充電用トレイ104を最も後方までスライドさせたとき、充電用トレイ104は、スナッチロック410によりその位置にロックされる。このときのスナッチロック410の動作を以下さらに説明する。
【0095】
充電用トレイ104が後方にスライドされる前の状態では、スナッチロック410は、
図12に示すように、フック部材432のフック部450がリンク部材430の前端から離間している。このとき、第2隆起部446は、第1隆起部442よりも前方にあり、第1隆起部442から離間している。
【0096】
充電用トレイ104が、後方にスライドされると、後方側の脚部312が、フック部450の後端側の内壁を押圧する。この押圧により、フック部材432が、第3回動軸444を中心として回動し、フック部450がリンク部材430の前端に接近するとともに、第2リターンスプリング452が徐々に伸長する。
【0097】
フック部材432の回動量が大きくなると、第2隆起部446が第1隆起部442に係合してこれを押圧する。
【0098】
やがて、第2隆起部446が第1隆起部442を乗り越えると、フック部材432が第2リターンスプリング452を介してリンク部材430を引き寄せる。これによりリンク部材430の姿勢が、すなわちリンク部材430のA方向に対する傾斜の向きが変わり、カム部材408は爪部材406側に変位する。そして、フック部材432及びリンク部材430の回動が停止する。
【0099】
フック部材432の回動が停止した状態では、フック部450の開口はリンク部材430に臨む。すなわち、フック部450が閉じる(
図9及び
図10参照)。また、この状態では、第2隆起部446は第1隆起部442よりも後方に位置する。この状態で、充電用トレイ104を前方にスライドさせようとしても、第2隆起部446が第1隆起部442を押す作用がフック部材432とリンク部材430に無理な動きを強いることになるので、充電用トレイ104はスライドしない。このため、脚部312がフック部450に拘束され、充電用トレイ104が装置側充電コネクタ112に近接した位置でロックされる。
【0100】
背板102側にスライドされたバッテリ10の進入口20には、判定用突起108が進入する。この進入に対応し、背板102に設けられた近接センサ106がバッテリ10の存在を検出する。この検出信号を受けた制御装置60は、「バッテリ10が正規の充電位置まで移動した」と認識する。
【0101】
これに対し、バッテリ10が誤って挿入されたためにタブ状突出部14が背板102側に臨んでいるときには、タブ状突出部14が判定用突起108に当接する。
図1Aに示すようにH2>H1であることから、タブ状突出部14の上端がアーチ部12の下端(進入口20の底辺)よりも高く、且つ該タブ状突出部14が閉塞部であるためである。従って、バッテリ10が停止し、充電用トレイ104をそれ以上後方にスライドさせることができなくなる。この場合、近接センサ106がバッテリ10の存在を検出することはなく、制御装置60が「バッテリ10が正規の充電位置まで移動した」と認識することもない。ユーザは、この状況を視認することにより、バッテリ10の方向(姿勢)を誤って挿入したことを認識することができる。この場合にはバッテリ10を取り出し、正規の姿勢で入れ直せばよい。
【0102】
制御装置60は、「バッテリ10が正規の充電位置まで移動した」と認識した場合、指令信号によって昇降用モータ502(
図9及び
図13参照)を付勢する。これに伴ってウォーム504が回転するとともに、ウォームギヤ506、伝達軸512及びラック側ギヤ508が従動回転し、その結果、ラックスライド404が装置側充電コネクタ112から離間する方向に変位する。すなわち、ラックスライド404は、A1方向に向かって前進する。
【0103】
ラックスライド404の前進に伴い、該ラックスライド404の後端に設けられた第1軸514も一体的にA1方向に向かって前進する。従って、第1軸514が長穴516に通されたアーム部材518の上端が、前方(A1方向)に引っ張られる。これにより、アーム部材518の下端が上昇する。その結果、該アーム部材518が、
図14に示す姿勢から
図15に示す姿勢となるように回動する。被案内部120がガイドロッド526に拘束されているため、装置側充電コネクタ112は、アーム部材518が回動することに追従して鉛直上方に向かって上昇する。
【0104】
ここで、ラックスライド404が前進しても、カム部材408が爪部材406側に変位した位置を保持し、後述する充電用トレイ104のロック解除はされないことについて説明する。ラックスライド404が前進すると、変位板405及び爪部材406が一体的に前進する。この際、
図22に示すように、前進する爪部材406の第1カム部412の先端が、カム部材408の第2カム部424の先端に干渉する。
【0105】
ラックスライド404がさらに前進しようとすると、第1カム部412は、その先端がカム部材408の第2カム部424の先端に干渉しているので、第2カム部424から押圧される。この押圧を受けた爪部材406は、第1回動軸414を中心として、第1カム部412が後方に移動するように回動する。同時に、第1リターンスプリング416が伸長する。
【0106】
上記の回動により、第2カム部424に対する第1カム部412の干渉が回避される。ラックスライド404の前進に伴って第1カム部412が第2カム部424よりも前方に位置すると、第1リターンスプリング416が収縮し、爪部材406を前方側に引張付勢する。その結果、爪部材406が上記とは逆方向に回動して元の姿勢に戻る。なお、爪部材406のそれ以上の逆方向の回動は制限されている。
【0107】
装置側充電コネクタ112の被案内部120は、上昇する間、案内孔122に通されたガイドロッド526に案内される。これにより、装置側充電コネクタ112がコネクタ孔110側に向かって上昇する。
図23に、ラックスライド404、変位板405及び爪部材406が最大に前進した状態を示す。
【0108】
以上のようにして上昇した装置側充電コネクタ112は、充電用トレイ104のコネクタ孔110を通るとともにバッテリ側充電コネクタ22に係合される。すなわち、板状端子114が板状端子進入凹部24(
図2参照)に進入し、且つ2個の係合ロッド116がロッド進入凹部26に進入する。
【0109】
バッテリ側充電コネクタ22に対する装置側充電コネクタ112の係合と、進入口20に対する判定用突起108の進入とにより、バッテリ10が充電台100上に堅牢に支持される。特に、判定用突起108は、進入口20の底辺に対して挿入荷重反力を負荷する。このため、バッテリ10が位置ズレないしガタツキを起こしたり、転倒したりすることが防止される。
【0110】
このように、本実施の形態によれば、充電を必要とするバッテリ10を第1収容位置36a、第2収容位置36bからマガジン式充電装置30のケーシング34内に挿入(収容)する際に当該バッテリ10を載置した充電用トレイ104を背板102側にスライドさせるという簡便な作業を行うことのみで、バッテリ10が正規の姿勢で挿入されているか否かを判断し得る。同時に、装置側充電コネクタ112又はバッテリ側充電コネクタ22の破損を防止し得るとともに、バッテリ10を堅牢に保持することが可能となる。
【0111】
又は、ユーザが充電を必要とするバッテリ10を挿入して一定時間が経過しても装置側充電コネクタ112が上昇しないときに警告音を発するようにしてもよい。これにより、ユーザは、充電を必要とするバッテリ10を誤った姿勢で挿入しているのか、ないしは装置側充電コネクタ112が何らかの原因で上昇していないのかを認識することが可能である。
【0112】
その後、制御装置60はシャッタ開閉用モータ702に指令信号を発して小プーリ724を回転させ、開閉用ベルト726を周回動作させて大プーリ722を回転させる。その結果、駆動力伝達部710を中心としてシャッタ本体700が回転し(
図20参照)、第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bが閉状態となる。これにより、ユーザがケーシング34内に手を入れること等が防止される。
【0113】
このように、本実施の形態では、バッテリ10や充電台100がケーシング34及び第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bによって保護される。従って、屋外であってもバッテリ10や充電台100等が雨水や粉塵に接することが回避される。すなわち、マガジン式充電装置30は、屋外においても好適に使用することができる。
【0114】
制御装置60は、次に、下段側駆動用モータ56a及び上段側駆動用モータ56bを付勢する。これによりタイミングベルト616が周回動作することに伴い、下段側回転テーブル54a及び上段側回転テーブル54bが回転する。この際の回転動作を、第1単位マガジン32aを例とし、
図24にそのフローを示す。なお、
図24中の「空」、「小」、「中」及び「満」は、それぞれ、それ以上の放電が困難で充電を必要とするバッテリ10、充電が開始されて放電容量が回復しつつある充電中のバッテリ10、充電開始からある程度が経過して放電容量が大きく回復した充電中のバッテリ10、放電容量が回復して満充電にある満充電済のバッテリ10を表す。すなわち、「空」は、バッテリ10が存在しないことを意味するものではない。
【0115】
充電を必要とするバッテリ10(「空」)が上記のようにして第1収容位置36aからケーシング34内に挿入されると、下段側回転テーブル54aは、時計回り(右方向)に90°インデックス回転する。これにより、回転盤92を含む充電部90も一体的にインデックス回転するので、満充電済のバッテリ10が第1収容位置36aに移送される。
【0116】
なお、インデックス回転した後の下段側回転テーブル54aの位相判定は、インタロックスイッチ612(
図17及び
図18参照)がラッチ溝620の位置を検出することによってなされる。そして、下段側回転テーブル54aが90°インデックス回転していると判定された後は、位相保持用シリンダ600の進退ロッド602が前進し、係合凹部604に進入する。この進入(係合)により、下段側回転テーブル54aの回転が阻止される。
【0117】
また、下段側回転テーブル54aのインデックス回転時、第2カムフォロワ608が下段側回転テーブル54aのガタツキを防止するとともに、第3カムフォロワ610によって回転中心の位置が保たれる。
【0118】
勿論、第2単位マガジン32bを構成する上段側回転テーブル54bも上記と同様に動作する。
【0119】
下段側回転テーブル54aが90°インデックス回転したことを認識した制御装置60は、指令信号によって、満充電済のバッテリ10が移送された第1収容位置36a、第2収容位置36bに位置した充電台100の支持盤200に設けられた昇降用モータ502(
図9及び
図13参照)のみを付勢する。すなわち、残余の3個の昇降用モータ502が上記の付勢と同時に付勢されることはない。
【0120】
昇降用モータ502が付勢されることに伴い、ウォーム504が上記とは逆方向に回転する。この回転に追従してウォームギヤ506、伝達軸512及びラック側ギヤ508が回転することに伴い、ラックスライド404が装置側充電コネクタ112に接近するように変位する。すなわち、A2方向に後退する。
【0121】
ラックスライド404の後退に伴い、第1軸514が一体的にA2方向に向かって後退する。これに伴ってアーム部材518の上端が後方(A2方向)に引っ張られることにより、アーム部材518の下端が下降する。すなわち、該アーム部材518が、
図15に示す姿勢から
図14に示す姿勢となるように回動する。この回動に追従し、装置側充電コネクタ112が下降してバッテリ側充電コネクタ22から離脱するとともに、充電用トレイ104のコネクタ孔110を通って下段側回転テーブル54aの下方に位置する。下降の最中、装置側充電コネクタ112はガイドロッド526に案内される。
【0122】
ラックスライド404が上記したように装置側充電コネクタ112に向かって後退すると、該装置側充電コネクタ112と一体的に進行する爪部材406の第1カム部412がカム部材408の第2カム部424を押圧する。この押圧を受けたカム部材408は、カム用案内レール420に沿って、ラック用案内レール402から離間する方向に変位する。
【0123】
従って、リンク部材430が、フック部材432から離れる向きに姿勢を変え、第2隆起部446が第1隆起部442を乗り越えて、第1隆起部442よりも前方(A1方向側)に位置する。これに伴い、リンク部材430は、第2リターンスプリング452を介してフック部材432を引き寄せる。
【0124】
フック部材432は、第3回動軸444を中心に回動し、フック部450がリンク部材430から離間する(
図12参照)。すなわち、フック部450が開く。
【0125】
その結果、
図10に示すように、脚部312がフック部450から解放される。この解放に伴い、トレイ排出用スプリング310が収縮するとともに、収縮したトレイ排出用スプリング310によって充電用トレイ104が前方に引張付勢される。
【0126】
従って、充電用トレイ104は、掛止板305と一体的に装置側充電コネクタ112とは逆方向、すなわち、前方であるA1方向側にスライドする。
図25に、充電用トレイ104が前進したときのスライド機構300やロック機構400の状態を、支持盤200と併せて示す。
【0127】
このように、第1収容位置36aでは充電用トレイ104が前進位置に戻される。この際、充電されたバッテリ10も一体的に前進して背板102から離間する。従って、バッテリ10の進入口20が背板102の判定用突起108から離脱する。
【0128】
本実施の形態では、充電されたバッテリ10が背板102から離間したことが近接センサ106で検出された後、制御装置60からシャッタ開閉用モータ702に指令信号が発信される。その結果、小プーリ724が回転して開閉用ベルト726が周回動作し、さらに、大プーリ722が回転して第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bが開状態となる。その後、ユーザは、第1収容位置36a、第2収容位置36bに移送された満充電済のバッテリ10をケーシング34から取り出し、電動二輪車EBに装着すればよい。
【0129】
図8に示すように、隣り合うバッテリ10同士では把持用バー16の延在方向が互いに略直交する。従って、ユーザが満充電済のバッテリ10を取り出すときの把持用バー16の延在方向は、充電を必要とするバッテリ10を収容したときの把持用バー16の延在方向に一致する。このため、バッテリ10の取り出しが容易である。
【0130】
上記したように、第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bは、充電用トレイ104及びバッテリ10が第1収容位置36a、第2収容位置36bに移送された後に開状態となる。このため、ユーザが、充電部90がインデックス回転している最中にケーシング34内に手を入れること等が防止される。
【0131】
充電済のバッテリ10が取り出された後、制御装置60からシャッタ開閉用モータ702に指令信号が発信され、第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bが閉状態となる。このため、ユーザがバッテリ10の取り出し途中でシャッタ本体700に手が当たることが回避される。また、取り出し後にユーザがケーシング34内に手を入れること等が防止される。
【0132】
以上のようにして充電済のバッテリ10が取り出されることにより、第1収容位置36a、第2収容位置36bでバッテリ10が不在となる。この状況下で、下段側充電器52a、上段側充電器52bから送電用ケーブル800を介して装置側充電コネクタ112に電力が供給される。従って、第1単位マガジン32a、第2単位マガジン32bに残る各3個(計6個)のバッテリ10に対する充電が進行し、それまで「空」であった充電を必要とするバッテリ10が「小」となる。同様に「小」であったバッテリ10が「中」、「中」であったバッテリ10が「満」となる。第1収容位置36a、第2収容位置36bでは、バッテリ10が不在のままである。
【0133】
第2のユーザは、上記と同様にして第1収容位置36a、第2収容位置36bからケーシング34内に充電を必要とするバッテリ10を収容する。この場合も上記と同様に、下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54bが時計回り(右方向)に90°インデックス回転する。従って、下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54bは、初期位置から180°インデックス回転したことになる。
【0134】
第1収容位置36a、第2収容位置36bに到達した満充電済のバッテリ10(「満」)が取り出された後、この状態、すなわち、上記と同様に第1収容位置36a、第2収容位置36bではバッテリ10が不在のままで充電がなされる。その結果、「空」、「小」及び「中」が「小」、「中」及び「満」となる。
【0135】
第3のユーザは、上記と同様にして第1収容位置36a、第2収容位置36bからケーシング34内に充電を必要とするバッテリ10を収容する。この場合、下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54bが反時計回り(左方向)に270°インデックス回転する。従って、下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54bの初期位置からのインデックス回転は-90°となる。
【0136】
第1収容位置36a、第2収容位置36bに到達した満充電済のバッテリ10(「満」)が取り出された後、この状態、すなわち、上記と同様に第1収容位置36a、第2収容位置36bではバッテリ10が不在のままで、第1収容位置36a、第2収容位置36b以外の位置の充電部90にてバッテリ10の充電がなされる。その結果、「空」、「小」及び「中」が「小」、「中」及び「満」となる。
【0137】
第4のユーザは、上記と同様に第1収容位置36a、第2収容位置36bからケーシング34内に充電を必要とするバッテリ10を収容する。この際、下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54bが時計回り(右方向)に90°インデックス回転する。従って、下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54bの初期位置からのインデックス回転は0°となる。
【0138】
第1収容位置36a、第2収容位置36bに到達した満充電済のバッテリ10(「満」)が取り出された後、この状態、すなわち、上記と同様に第1収容位置36a、第2収容位置36bではバッテリ10が不在のまま充電がなされる。この充電により、「空」、「小」及び「中」が「小」、「中」及び「満」となる。
【0139】
第5のユーザ以降は、上記のインデックス回転が繰り返される。このように、本実施の形態では、下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54bが時計回り方向又は反時計回り方向のいずれかのみに回転するのではなく、所定のインデックス角度まで一方向にインデックス回転した後は、残る一方向に向かって所定のインデックス角度まで逆回転する。従って、送電用ケーブル800(
図6、
図7及び
図19参照)に対しては、所定の回転角内での捻り及び捻り戻しがなされるのみである。すなわち、同一方向への捻れが継続されることはなく、このため、送電用ケーブル800が損傷することが有効に回避される。
【0140】
また、送電用ケーブル800は、充電台100に載置されたバッテリ10の上端よりも高い位置から、背板102同士が組み合わされることで構成される四角柱状の中空部802に通されて装置側充電コネクタ112に電気的に接続される。このため、送電用ケーブル800の、捻れの基点から装置側充電コネクタ112までの長さを大きくすることができる。この場合、捻れの基点から装置側充電コネクタ112までの長さが小さい場合に比して、送電用ケーブル800の捻れ度合いを低くすることができる。このことによっても、送電用ケーブル800が損傷することが有効に回避される。
【0141】
しかも、下段側回転テーブル54aが回転している最中も充電を継続することが可能である。
【0142】
さらに、下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54bが上記のようにインデックス回転するため、ユーザは、満充電されたバッテリ10を容易に取り出すことができる。
【0143】
第1のユーザがバッテリ10を交換した後に即座に第2のユーザがバッテリ10を交換する場合には、受信器は、発信器が発した信号を継続して受ける。このように受信が所定時間継続してなされる場合、第1のユーザが充電を必要とするバッテリ10を挿入した後にシャッタ本体700を開状態で維持するようにしてもよい。これにより、第2のユーザが迅速に充電を必要とするバッテリ10を満充電済のバッテリ10に交換することができる。
【0144】
しかも、本実施の形態では、マガジン式の下段側回転テーブル54a、上段側回転テーブル54b(充電台100)に複数個のバッテリ10を充電しながら保管している。従って、複数人のユーザの、充電を必要とするバッテリ10の交換要請に対応することができる。
【0145】
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0146】
例えば、単位マガジンの個数を増加し、且つ積層するようにしてもよい。又は、1個の単位マガジンのみでマガジン式充電装置を構成するようにしてもよい。
【0147】
また、下段側回転テーブル54aを、複数個のギヤ(ギヤ群)によって回転させるようにしてもよい。この場合、モータの回転軸、及び下段側回転テーブル54aの各々にギヤを設け、モータの回転軸に取り付けたギヤで直接、又は1個以上の別のギヤで間接的に、下段側回転テーブル54aに設けたギヤを回転付勢すればよい。上段側回転テーブル54bについても同様である。
【0148】
開閉式シャッタも、上記と同じく複数個のギヤによって構成し、該ギヤの作用下に第1開閉シャッタ38a、第2開閉シャッタ38bを開閉するようにしてもよい。
【0149】
さらに、バッテリ10の取出検知手段は、充電済のバッテリ10が充電台100から取り出された後であっても、ユーザの検知状態が維持されている場合にはシャッタ38a、38bを開状態で保持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0150】
10…バッテリ 12…アーチ部
14…タブ状突出部 16…把持用バー
18…把持用クリアランス 20…進入口
22…バッテリ側充電コネクタ 30…マガジン式充電装置
32a、32b…単位マガジン 34…ケーシング
36a、36b…収容位置 38a、38b…開閉シャッタ
50a~50c…ベースプレート 52a、52b…充電器
54a、54b…回転テーブル 56a、56b…駆動用モータ
60…制御装置 90…充電部
100…充電台 102…背板
104…充電用トレイ 106…近接センサ
108…判定用突起 110…コネクタ孔
112…装置側充電コネクタ 120…被案内部
200…支持盤 300…スライド機構
302…可倒式ローラ 304…移動板
305…掛止板 306…衝撃吸収スプリング
310…トレイ排出用スプリング 312…脚部
400…ロック機構 402…ラック用案内レール
404…ラックスライド 405…変位板
406…爪部材 408…カム部材
410…スナッチロック 412、424…カム部
414、440、444…回動軸 416、452…リターンスプリング
418…スプリング掛止部 420…カム用案内レール
430…リンク部材 432…フック部材
434…バックアッププレート 442、446…隆起部
450…フック部 500…昇降機構
502…昇降用モータ 504…ウォーム
506…ウォームギヤ 508…ラック側ギヤ
510…リンク部 512…伝達軸
518…アーム部材 600…位相保持用シリンダ
602…進退ロッド 604…係合凹部
606…第1カムフォロワ 608…第2カムフォロワ
610…第3カムフォロワ 612…インタロックスイッチ
613…円盤形状体 614…リング体
616…タイミングベルト 620…ラッチ溝
622…ベアリング 624…ベアリング受
700…シャッタ本体 702…シャッタ開閉用モータ
704…第1部分 706…第2部分
708…第3部分 710…駆動力伝達部
716…第4部分 718…第5部分
720…第6部分 722…大プーリ
724…小プーリ 726…開閉用ベルト
728…トルクリミッタ 800…送電用ケーブル
802…中空部 804…集束バンド
EB…電動二輪車