(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】半導体装置、電子部品及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8242 20060101AFI20221212BHJP
H01L 27/108 20060101ALI20221212BHJP
H01L 21/8239 20060101ALI20221212BHJP
H01L 27/105 20060101ALI20221212BHJP
H01L 27/10 20060101ALI20221212BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20221212BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20221212BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20221212BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01L27/108 671Z
H01L27/105 441
H01L27/108 671C
H01L27/10 481
H01L29/78 613B
H01L29/78 618B
H01L27/06 102A
H01L27/088 D
H01L27/088 331E
H01L27/088 E
H01L27/088 H
(21)【出願番号】P 2019521526
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(86)【国際出願番号】 IB2018053722
(87)【国際公開番号】W WO2018220491
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2017110472
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017123211
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017221517
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018027614
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018027730
(32)【優先日】2018-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 清
(72)【発明者】
【氏名】熱海 知昭
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034249(JP,A)
【文献】特開2015-187904(JP,A)
【文献】特開2017-076788(JP,A)
【文献】特開2012-178555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8242
H01L 21/8239
H01L 27/10
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルアレイと、第1の駆動回路と、第2の駆動回路と、を有し、
前記セルアレイは、第1のメモリセル及び第2のメモリセルを有し、
前記第1の駆動回路は、選択信号を供給する機能を有し、
前記第2の駆動回路は、データの書き込み又は読み出しを行う機能を有し、
前記第1のメモリセルは、第1のトランジスタと、第1の容量素子と、を有し、
前記第2のメモリセルは、第2のトランジスタと、第2の容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1の容量素子と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2の容量素子と電気的に接続され、
前記第1の駆動回路は、第3のトランジスタを有し、
前記第2の駆動回路は、第4のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、前記第3のトランジスタ、及び前記第4のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、前記第3のトランジスタ、及び前記第4のトランジスタの極性は同一であり、
前記第1のトランジスタのチャネル形成領域及び前記第2のトランジスタのチャネル形成領域は、同一の半導体層に形成され
、
前記第1のトランジスタは、第1のゲート電極と、第1の絶縁層と、第1のバックゲートと、を有し、
前記第2のトランジスタは、第2のゲート電極と、第2の絶縁層と、第2のバックゲートと、を有し、
前記第1の絶縁層は、前記第1のゲート電極の側面と接する領域を有し、
前記第2の絶縁層は、前記第2のゲート電極の側面と接する領域を有し、
前記半導体層は、前記第1の絶縁層又は前記第2の絶縁層の側面と接する領域を有する導電層と、電気的に接続され、
前記第1のバックゲート及び前記第2のバックゲートは、同一の導電層によって構成されている半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
制御回路を有し、
前記制御回路は、前記第1の駆動回路及び前記第2の駆動回路の動作を制御する機能を有し、
前記制御回路は、第5のトランジスタを有し、
前記第5のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記第5のトランジスタの極性は、前記第1のトランジスタ、前記第2のトランジスタ、前記第3のトランジスタ、及び前記第4のトランジスタの極性と同一である半導体装置。
【請求項3】
請求項
1において、
前記半導体層は、表面に金属を含む層を有し、
前記金属を含む層は、前記第1のゲート電極、前記第2のゲート電極、
前記第1の絶縁層、及び
前記第2の絶縁層と重ならない領域に形成され、
前記金属は、前記半導体層の主成分とは異なる半導体装置。
【請求項4】
請求項
3において、
前記金属は、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、タングステン、又はクロムである半導体装置。
【請求項5】
パッケージ基板と、インターポーザと、集積回路と、請求項1に記載の半導体装置と、を有し、
前記集積回路および前記半導体装置は前記インターポーザ上に設けられ、
前記集積回路は前記インターポーザに設けられた配線を介して前記半導体装置と電気的に接続され、
前記集積回路または前記半導体装置の少なくとも一方は、前記インターポーザを介して前記パッケージ基板と電気的に接続する電子部品。
【請求項6】
請求項
5に記載の電子部品と、
マイクロフォン、スピーカ、またはカメラと、を有する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置及び電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、撮像装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、表示システム、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
また、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態様である。また、表示装置、撮像装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜太陽電池等を含む)、及び電子機器は半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0004】
特許文献1には、酸化物半導体を用いたトランジスタと、単結晶シリコンを用いたトランジスタによって構成された記憶装置が記載されている。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が極めて小さいことが記載されている。
【0005】
酸化物半導体としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛などの一元系金属の酸化物のみでなく、多元系金属の酸化物も知られている。多元系金属の酸化物の中でも、特に、In-Ga-Zn酸化物(以下、IGZOとも呼ぶ。)に関する研究が盛んに行われている。
【0006】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもない、CAAC(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(nanocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照。)。非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いてトランジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造およびnc構造よりも結晶性の低い酸化物半導体でさえも、微小な結晶を有することが、非特許文献4および非特許文献5に示されている。
【0007】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非特許文献6参照。)、その特性を利用したLSIおよびディスプレイが報告されている(非特許文献7および非特許文献8参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【非特許文献】
【0009】
【文献】S.Yamazaki et al.,“SID Symposium Digest of Technical Papers”,2012,volume 43,issue 1,p.183-186
【文献】S.Yamazaki et al.,“Japanese Journal of Applied Physics”,2014,volume 53,Number 4S,p.04ED18-1-04ED18-10
【文献】S.Ito et al.,“The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”,2013,p.151-154
【文献】S.Yamazaki et al.,“ECS Journal of Solid State Science and Technology”,2014,volume 3,issue 9,p.Q3012-Q3022
【文献】S.Yamazaki,“ECS Transactions”,2014,volume 64,issue 10,p.155-164
【文献】K.Kato et al.,“Japanese Journal of Applied Physics”,2012,volume 51,p.021201-1-021201-7
【文献】S.Matsuda et al.,“2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”,2015,p.T216-T217
【文献】S.Amano et al.,“SID Symposium Digest of Technical Papers”,2010,volume 41,issue 1,p.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一態様は、新規な半導体装置の提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、消費電力の小さい半導体装置の提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、信頼性の高い半導体装置の提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、レイアウトの自由度が高い半導体装置の提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、微細化又は高集積化が可能な半導体装置の提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、新規な電子部品の提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、新規な電子機器の提供を課題とする。
【0011】
なお、本発明の一態様は、必ずしも上記の課題の全てを解決する必要はなく、少なくとも一の課題を解決できるものであればよい。また、上記の課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。これら以外の課題は、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様に係る半導体装置は、セルアレイと、第1の駆動回路と、第2の駆動回路と、を有し、セルアレイは、第1のメモリセル及び第2のメモリセルを有し、第1の駆動回路は、選択信号を供給する機能を有し、第2の駆動回路は、データの書き込み又は読み出しを行う機能を有し、第1のメモリセルは、第1のトランジスタと、第1の容量素子と、を有し、第2のメモリセルは、第2のトランジスタと、第2の容量素子と、を有し、第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1の容量素子と電気的に接続され、第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第2の容量素子と電気的に接続され、第1の駆動回路は、第3のトランジスタを有し、第2の駆動回路は、第4のトランジスタを有し、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタの極性は同一であり、第1のトランジスタのチャネル形成領域及び第2のトランジスタのチャネル形成領域は、同一の半導体層に形成される半導体装置である。
【0013】
また、本発明の一態様に係る半導体装置は、制御回路を有し、制御回路は、第1の駆動回路及び第2の駆動回路の動作を制御する機能を有し、制御回路は、第5のトランジスタを有し、第5のトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、第5のトランジスタの極性は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、及び第4のトランジスタの極性と同一であってもよい。
【0014】
また、本発明の一態様に係る半導体装置において、第1のトランジスタは、第1のゲート電極と、第1の絶縁層と、を有し、第2のトランジスタは、第2のゲート電極と、第2の絶縁層と、を有し、第1の絶縁層は、第1のゲート電極の側面と接する領域を有し、第2の絶縁層は、第2のゲート電極の側面と接する領域を有し、半導体層は、第1の絶縁層又は第2の絶縁層の側面と接する領域を有する導電層と、電気的に接続されていてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様に係る半導体装置において、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタは、バックゲートを有し、第1のトランジスタのバックゲート及び第2のトランジスタのバックゲートは、同一の導電層によって構成されていてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様に係る半導体装置において、半導体層は、表面に金属を含む層を有し、金属を含む層は、第1のゲート電極、第2のゲート電極、第1の絶縁層、及び第2の絶縁層と重ならない領域に形成され、金属は、半導体層の主成分とは異なっていてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様に係る半導体装置において、金属は、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、タングステン、又はクロムであってもよい。
【0018】
本発明の一態様は、パッケージ基板と、インターポーザと、集積回路と、上記の半導体装置と、を有し、集積回路および半導体装置はインターポーザ上に設けられ、集積回路はインターポーザに設けられた配線を介して半導体装置と電気的に接続され、集積回路または半導体装置の少なくとも一方は、インターポーザを介してパッケージ基板と電気的に接続する電子部品である。
【0019】
また、本発明の一態様に係る電子機器は、上記の電子部品と、マイクロフォン、スピーカ、またはカメラと、を有する電子機器である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様により、新規な半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、消費電力の小さい半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、レイアウトの自由度が高い半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、微細化又は高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、新規な電子部品を提供することができる。又は、本発明の一態様により、新規な電子機器を提供することができる。
【0021】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。また、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。これら以外の効果は、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図12】半導体装置の構成例を示す上面図および断面図。
【
図16】半導体装置の構成例を示す上面図および断面図。
【
図21】半導体装置の構成例を示す上面図および断面図。
【
図22】半導体装置の構成例を示す上面図および断面図。
【
図23】半導体装置の構成例を示す上面図および断面図。
【
図24】半導体装置の構成例を示す上面図および断面図。
【
図28】半導体装置の構成例を示す斜視図および上面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態における説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0024】
また、本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタのチャネル形成領域に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してOSと呼ぶことができる。以下、チャネル形成領域に金属酸化物を含むトランジスタを、OSトランジスタとも表記する。
【0025】
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。金属酸化物の詳細については後述する。
【0026】
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に記載されているものとする。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0027】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
【0028】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、オン状態、又は、オフ状態になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0029】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0030】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0031】
また、図面上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0032】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために省略して示すことがある。また、図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0033】
また、特に上面図(「平面図」ともいう。)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載を省略する場合がある。
【0034】
また、本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0035】
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0036】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0037】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0038】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう。)と、が異なる場合がある。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0039】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
【0040】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0041】
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
【0042】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置について説明する。本発明の一態様に係る半導体装置は、OSトランジスタを用いて形成された記憶回路を有する。
【0043】
<記憶回路の構成例>
まず、本発明の一態様に係る半導体装置が有する記憶回路の構成例について説明する。
図1(A-1)に、記憶回路MEMの構成例を示す。
【0044】
記憶回路MEMは、セルアレイCA、駆動回路WD、駆動回路BDを有する。また、セルアレイCAは、マトリクス状に配置された複数のメモリセルMCによって構成されている。
【0045】
メモリセルMCは、データを記憶する機能を有する。メモリセルMCは、2値(ハイレベル及びローレベル)のデータを記憶する機能を有していてもよいし、4値以上の多値データを記憶する機能を有していてもよい。また、メモリセルMCはアナログデータを記憶する機能を有していてもよい。
【0046】
メモリセルMCは、配線WL及び配線BLと接続されている。なお、
図1(A-1)には、同じ行に属し、隣接する2つのメモリセルMCによって、一の配線BLが共有されている構成例を示している。
【0047】
駆動回路WDは、メモリセルMCを選択する機能を有する。具体的には、駆動回路WDは、データの書き込み又は読み出しを行うメモリセルMCを選択するための信号(以下、選択信号ともいう)を、配線WLに供給する機能を有する。
【0048】
駆動回路BDは、メモリセルMCにデータを書き込む機能と、メモリセルMCに記憶されたデータを読み出す機能と、を有する。具体的には、駆動回路BDは、データの書き込みを行うメモリセルMCと接続された配線BLに、メモリセルMCに記憶されるデータに対応する電位(以下、書き込み電位ともいう)を供給する機能を有する。また、駆動回路BDは、メモリセルMCに記憶されたデータに対応する電位(以下、読み出し電位ともいう)を読み出し、外部に出力する機能を有する。
【0049】
メモリセルMC、駆動回路WD、及び駆動回路BDは、OSトランジスタによって構成されている。酸化物半導体のバンドギャップは3.0eV以上であるため、OSトランジスタは熱励起によるリーク電流が小さく、またオフ電流が極めて小さい。なお、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態のときにソースとドレインとの間に流れる電流をいう。トランジスタのチャネル形成領域に用いられる酸化物半導体は、インジウム(In)および亜鉛(Zn)の少なくとも一方を含む酸化物半導体であることが好ましい。このような酸化物半導体としては、In-M-Zn酸化物(元素Mは、例えばAl、Ga、YまたはSn)が代表的である。電子供与体(ドナー)となる水分、水素などの不純物を低減し、かつ酸素欠損も低減することで、酸化物半導体をi型(真性)、又は実質的にi型にすることができる。このような酸化物半導体は、高純度化された酸化物半導体と呼ぶことができる。なお、OSトランジスタの詳細については、実施の形態3で説明する。
【0050】
OSトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、特にメモリセルMCに用いるトランジスタとして好適である。OSトランジスタは例えば、チャネル幅1μmあたりのオフ電流を、100zA/μm以下、又は10zA/μm以下、又は1zA/μm以下、又は10yA/μm以下とすることができる。OSトランジスタをメモリセルMCに用いることにより、メモリセルMCに記憶されたデータを極めて長期間に渡って保持することができる。
【0051】
図1(A-2)に、OSトランジスタを用いたメモリセルMCの構成例を示す。ここでは、隣接する2つのメモリセルMCを示しており、一方のメモリセルをメモリセルMCa、他方のメモリセルMCをメモリセルMCbとも呼ぶ。メモリセルMCaとメモリセルMCbによって、一の配線BLが共有されている。
【0052】
メモリセルMCはそれぞれ、トランジスタT及び容量素子Cを有する。メモリセルMCaが有するトランジスタT、容量素子CをそれぞれトランジスタTa、容量素子Caとも呼び、メモリセルMCbが有するトランジスタT、容量素子CをそれぞれトランジスタTb、容量素子Cbとも呼ぶ。また、メモリセルMCa、MCbと接続された配線WLを、それぞれ配線WLa、WLbとも呼ぶ。なお、トランジスタTはnチャネル型のOSトランジスタである。
【0053】
トランジスタTのゲートは配線WLと接続され、ソース又はドレインの一方は容量素子Cの一方の電極と接続され、ソース又はドレインの他方は配線BLと接続されている。容量素子Cの他方の電極は、定電位(例えば、接地電位など)が供給される配線VLと接続されている。なお、トランジスタTのソース又はドレインの一方、及び容量素子Cの一方の電極と接続されたノードを、ノードNとする。
【0054】
メモリセルMCにデータを書き込む際は、配線BLに書き込み電位を供給する。そして、配線WLに選択信号(ハイレベルの電位)を供給することにより、トランジスタTをオン状態にする。これにより、書き込み電位がノードNに供給される。その後、配線WLにローレベルの電位を供給することにより、トランジスタTをオフ状態にする。これにより、ノードNがフローティング状態となり、書き込み電位が保持される。
【0055】
メモリセルMCに記憶されたデータを読み出す際は、配線BLの電位が読み出し電位となる。配線WLに選択信号(ハイレベルの電位)を供給することにより、トランジスタTをオン状態にする。これにより、配線BLの電位がノードNの電位に応じて決定され、メモリセルMCに記憶されたデータが読み出される。
【0056】
トランジスタTにはOSトランジスタが用いられているため、トランジスタTがオフ状態である期間において、ノードNの電位が極めて長期間に渡って保持される。これにより、データのリフレッシュの頻度を極めて少なくすることが可能となり、消費電力を低減することができる。
【0057】
また、メモリセルMCは、容量素子Cの充放電によってデータの書き換えを行うため、メモリセルMCには原理的に書き換え回数に制約がなく、また、低エネルギーでデータの書き込みおよび読み出しが可能である。また、メモリセルMCの回路構成は単純であるため、記憶回路MEMの大容量化が容易である。
【0058】
図1(B)に、メモリセルMCの構成例を示す。ここでは特に、
図1(A-2)におけるメモリセルMCaとメモリセルMCbの断面図を示している。
【0059】
メモリセルMCaはトランジスタTa及び容量素子Caを有し、メモリセルMCbはトランジスタTb及び容量素子Cbを有する。トランジスタTaのゲートとしての機能を有する導電層は配線WLaと接続され、トランジスタTbのゲートとしての機能を有する導電層は配線WLbと接続されている。容量素子Caの電極としての機能を有する導電層は、配線VLと接続されている。容量素子Cbの電極としての機能を有する導電層は、配線VLと接続されている。
【0060】
また、トランジスタTa及びトランジスタTbは、一対のゲートを有していてもよい。なお、トランジスタが一対のゲートを有する場合、一方のゲートを第1のゲート、フロントゲート、又は単にゲートと呼ぶことがあり、他方のゲートを第2のゲート、又はバックゲートと呼ぶことがある。
【0061】
図1(A-2)には、トランジスタTa及びトランジスタTbがそれぞれバックゲートを有する構成例を示している。トランジスタTa及びトランジスタTbのバックゲートは、配線BGLと接続されている。配線BGLからトランジスタTa及びトランジスタTbのバックゲートに所定の電位を供給することにより、トランジスタTa及びトランジスタTbの閾値電圧を制御することができる。例えば、トランジスタTa及びトランジスタTbの閾値電圧を0Vより大きくすることができる。これにより、オフ電流を低減することができる。なお、トランジスタTa及びトランジスタTbのバックゲートは、同一の導電層によって構成されていてもよい。
【0062】
また、トランジスタTaとトランジスタTbは、共通の酸化物OXを用いて形成されている。そして、酸化物OXはトランジスタTa及びトランジスタTbの半導体層としての機能と、容量素子Ca及び容量素子Cbの電極としての機能と、を有する。すなわち、トランジスタTaのチャネル形成領域とトランジスタTbのチャネル形成領域は、同一の半導体層に形成される。また、酸化物OXは、配線BLと接続された導電層と接続されている。この配線BLと接続された導電層は、トランジスタTaのソース又はドレインとしての機能と、トランジスタTbのソース又はドレインとしての機能と、を有する。
【0063】
また、
図1(B)に示すように、トランジスタTaとトランジスタTbが配線BLを共有することにより、セルアレイCAの面積を縮小することができる。
図1(B)に示すメモリセルMCa及びメモリセルMCbのより具体的な構成については、実施の形態3において説明する。
【0064】
また、セルアレイCAに含まれるメモリセルMCを上記の構成とすることにより、セルアレイCAをnチャネル型のOSトランジスタを用いて構成することができる。このように、同一の極性のトランジスタによって構成されている回路を、以下、単極性回路ともいう。
【0065】
駆動回路WD及び駆動回路BDも、セルアレイCAと同様に、OSトランジスタを用いた単極性回路によって構成することができる。これにより、セルアレイCA、駆動回路WD、及び駆動回路BDが有するトランジスタの極性を同一にすることができ、記憶回路MEMを、OSトランジスタを用いた単極性回路によって構成することができる。この場合、セルアレイCA、駆動回路WD、及び駆動回路BDが有するトランジスタを、同一工程によって同時に製造することが可能となる。
【0066】
なお、OSトランジスタを用いた単極性回路は、半導体基板上に積層することもできる。そのため、半導体基板上に形成された回路の上方に、単極性回路によって構成された記憶回路MEMを積層することが可能となり、半導体装置の面積を縮小することが可能となる。
【0067】
<半導体装置の構成例1>
図2に、半導体装置10の構成例を示す。半導体装置10は、OSトランジスタを用いて構成された単極性回路を備えた層20を有する。層20には、
図1(A-1)に示す記憶回路MEMを設けることができる。
【0068】
駆動回路BDには、セルアレイCAに書き込まれるデータが外部から入力される。また、セルアレイCAから読み出されたデータは、駆動回路BDから外部に出力される。
【0069】
記憶回路MEMが有するセルアレイCA、駆動回路WD、駆動回路BDはそれぞれ、OSトランジスタを用いた単極性回路によって構成されている。これにより、記憶回路MEMを同一の層20に形成することができる。
【0070】
ここで、例えば記憶回路MEMが、層20に形成されたnチャネル型のOSトランジスタと、他の層に形成されたトランジスタ(半導体基板に形成されたトランジスタなど)を用いて構成されている場合、これらのトランジスタを接続するための接続部(コンタクトホール及び配線)が多数必要になる。特に、複数のメモリセルMCがOSトランジスタと他の層に形成されたトランジスタを用いて構成されている場合、各メモリセルMCにおいて2つの層の間の接続が必要となり、接続部の数の増大はより顕著になる。この接続部の増加は、回路レイアウトの自由度低下の原因になる。
【0071】
また、OSトランジスタに含まれる酸化物半導体への不純物(水素など)の混入は、OSトランジスタの劣化の原因になる。ここで、接続部が不純物の経路となり、接続部を介して層20に不純物が侵入し得る。そのため、2つの層の間の接続部が増加すると、酸化物半導体に混入する不純物が増加し、層20に形成されたOSトランジスタの劣化を招く。
【0072】
本発明の一態様においては、記憶回路MEMがOSトランジスタを用いた単極性回路によって構成されている。そのため、記憶回路MEMの内部における異なる層との接続が不要となる。これにより、接続部の数を削減することができ、回路レイアウトの自由度の向上、及びOSトランジスタの信頼性の向上を図ることができる。
【0073】
特に、メモリセルMCは多数設けられるため、メモリセルMCを単極性回路によって構成することにより、接続部の数を大幅に削減することができる。また、駆動回路WD及び駆動回路BDをセルアレイCAと同じ層に設けることにより、駆動回路WDとセルアレイCA、及び、駆動回路BDとセルアレイCAを接続する多数の配線WL及び配線BLが層間に設けられることを回避することができ、接続部の数をさらに削減することができる。
【0074】
なお、記憶回路MEMは例えば、コンピュータにおけるキャッシュメモリ、主記憶装置、又は補助記憶装置などとして用いることができる。
【0075】
また、層20は制御回路CCを有していてもよい。制御回路CCは、駆動回路WD及び駆動回路BDの動作を制御する機能を有する。具体的には、制御回路CCは、外部から入力された制御信号(アドレス信号、クロック信号、又はチップイネーブル信号など)に基づいて、駆動回路WD及び駆動回路BDの動作を制御するための各種信号を生成する機能を有する。
【0076】
駆動回路WDは、制御回路CCから供給された信号(アドレス信号、又は制御信号など)に基づいて選択信号を生成し、セルアレイCAに供給する。駆動回路BDは、制御回路CCから供給された信号(アドレス信号、又は制御信号など)に基づいて、外部から入力されたデータに対応する書き込み電位を生成し、セルアレイCAに出力する。また、駆動回路BDは、制御回路CCから供給された信号(アドレス信号、又は制御信号など)に基づいて、セルアレイCAから読み出されたデータを外部に出力する。
【0077】
制御回路CCは、OSトランジスタを用いた単極性回路によって構成されている。そのため、制御回路CCを層20に設けることができ、記憶回路MEMの動作を、同じ層に設けられた制御回路CCによって制御することができる。これにより、制御回路CCと、駆動回路WD及び駆動回路BDとの間の接続部を省略することができる。
【0078】
また、層20には他の回路を設けることもできる。例えば層20は、プロセッサ及び周辺回路を有していてもよい。この場合、プロセッサ及び周辺回路はOSトランジスタを用いた単極性回路によって構成される。
【0079】
プロセッサとしては、CPU(Central Processor Unit)、MPU(MicroProcessor Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを用いることができる。周辺回路としては、記憶回路、入出力回路、パワーマネージメントユニット、タイマー、カウンター、変換回路(AD変換回路、DA変換回路など)などを用いることができる。なお、周辺回路は複数設けられていてもよい。
【0080】
また、制御回路CCは、バスを介してプロセッサ及び周辺回路と接続されていてもよい。これにより、制御回路CC、プロセッサ及び周辺回路間でデータ又は信号の送受信を、バスを介して行うことができる。例えば、セルアレイCAから制御回路CCに出力されたデータを、プロセッサ又は周辺回路による処理に用いる、などの処理を行うことができる。
【0081】
なお、層20を半導体基板上に積層し、層20に入力される信号を半導体基板に形成された回路から供給することもできる。
図3に、層20が層30上に積層された構成例を示す。層30は、半導体基板に形成されたトランジスタによって構成された回路を有する。そして、当該回路は、制御回路CCに制御信号を出力する機能、又は、駆動回路BDにデータを出力する機能を有していてもよい。また、駆動回路BDから出力されたデータが、層30が有する回路に入力されてもよい。
【0082】
層20と層30の間でデータ又は信号の送受信が行われる場合、層20と層30は層間に設けられた配線によって接続される。
【0083】
以上のように、本発明の一態様においては、記憶回路MEMをOSトランジスタを用いた単極性回路によって構成することにより、層20と層30の間の接続部の数を削減することができる。なお、半導体装置10は、記憶装置や演算装置などとして用いることができる。
【0084】
なお、上記では層20に設けられる回路にOSトランジスタが用いられる構成について説明したが、酸化物半導体以外の半導体材料を含む膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタを用いることもできる。このようなトランジスタとしては、例えば、非晶質シリコン膜、微結晶シリコン膜、多結晶シリコン膜、単結晶シリコン膜、非晶質ゲルマニウム膜、微結晶ゲルマニウム膜、多結晶ゲルマニウム膜、又は単結晶ゲルマニウム膜を半導体層に用いたトランジスタが挙げられる。
【0085】
また、上記では制御回路CCが層20に設けられた構成について説明したが、制御回路CCは
図3に示す層30に設けられていてもよい。この場合、制御回路CCは半導体基板に形成されたトランジスタによって構成される。また、制御回路CCは、駆動回路WD及び駆動回路BDと、層20と層30間に形成された接続部を介して接続される。
【0086】
また、上記ではプロセッサ及び周辺回路が設けられた構成について説明したが、プロセッサ及び周辺回路は層30に設けられていてもよい。この場合、プロセッサ及び周辺回路は半導体基板に形成されたトランジスタによって構成される。
【0087】
<半導体装置の構成例2>
図2には、記憶回路MEMを有する層20が1層設けられた半導体装置10の構成例を示しているが、2層以上の層20を積層することもできる。
図4に、N層(Nは2以上の整数)の層20(層20_1乃至20_N)が積層された構成を示す。層20_1乃至20_Nはそれぞれ、記憶回路MEM_1乃至記MEM_Nを有する。なお、記憶回路MEM_1乃至記MEM_Nの構成及び機能は、
図2における記憶回路MEMと同様である。
【0088】
このように、記憶回路MEMを積層することにより、半導体装置10に記憶されるデータ量を増やすことができる。
【0089】
<半導体装置の構成例3>
図2には、層20に記憶回路MEMが設けられた構成例を示しているが、層20に設けられる回路は記憶回路MEMに限定されない。また、層20には機能の異なる複数の回路が設けられていてもよい。
図5に、層20が記憶回路MEM、FPGA、及びアナログ演算回路を有する構成例を示す。
【0090】
FPGAは、ユーザーが回路構成を任意に変更することが可能なデバイスである。FPGAの回路構成の変更は、FPGAのロジックエレメント及び配線間スイッチに設けられたコンフィギュレーションメモリに記憶されたデータ(コンフィギュレーションデータ)を変更することにより行われる。コンフィギュレーションメモリは、OSトランジスタを用いた単極性回路により構成することができる。
【0091】
アナログ演算回路は、アナログデータを用いた演算を行う機能を有する。このアナログデータは、アナログ演算回路に設けられたアナログメモリに記憶される。アナログ演算回路は、例えばAI(Artificial Intelligence)の演算に用いることができる。具体的には、ニューラルネットワークの積和演算を、層20に設けられたアナログ演算回路によって行うことができる。積和演算をアナログ演算回路によって行うことにより、回路規模の縮小及び消費電力の向上を図ることができる。アナログ演算回路に設けられるアナログメモリは、OSトランジスタを用いた単極性回路により構成することができる。
【0092】
なお、
図5においては同一の層20に記憶回路MEM、FPGA、及びアナログ演算回路が設けられた構成例を示しているが、これらの回路はそれぞれ別の層20に設けられていてもよい。
【0093】
<半導体装置の構成例4>
半導体装置10は、撮像装置としての機能を有していてもよい。
図6に、撮像装置としての機能を有する半導体装置10の構成例を示す。
図6に示す半導体装置10は、記憶回路MEMを有する層20(
図2参照)の上方に、層40が積層された構造を有する。
【0094】
層40は、複数の受光素子によって構成される受光部41を有する。受光部41は、照射された光42を電気信号に変換し、撮像データとして出力する機能を有する。
【0095】
受光素子としては、例えば、セレン系材料を光電変換層としたpn接合型フォトダイオードなどを用いることができる。セレン系材料を用いた光電変換素子は、可視光に対する外部量子効率が高く、高感度の光センサを実現することができる。
【0096】
セレン系材料はp型半導体として用いることができる。セレン系材料としては、単結晶セレンや多結晶セレンなどの結晶性セレン、非晶質セレン、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)、または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)などを用いることができる。
【0097】
上記pn接合型フォトダイオードのn型半導体は、バンドギャップが広く、可視光に対して透光性を有する材料で形成することが好ましい。例えば、亜鉛酸化物、ガリウム酸化物、インジウム酸化物、錫酸化物、またはそれらが混在した酸化物などを用いることができる。
【0098】
また、層40が有する受光素子として、p型シリコン半導体とn型シリコン半導体を用いたpn接合型フォトダイオードを用いてもよい。また、p型シリコン半導体とn型シリコン半導体の間にi型シリコン半導体層を設けたpin接合型フォトダイオードであってもよい。
【0099】
上記シリコンを用いたフォトダイオードは単結晶シリコン、非晶質シリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどを用いて形成することもできる。
【0100】
また、層40は、受光部41と接続された駆動回路43を有していてもよい。受光部41によって取得された撮像データは、駆動回路43によって読み出され、外部に出力される。なお、駆動回路43は、OSトランジスタを用いた単極性回路によって構成することができる。
【0101】
図6に示す半導体装置10は、カメラなどに内蔵されるセンサなどとして用いることができる。
【0102】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0103】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した記憶回路の具体的な構成例について説明する。
【0104】
図7に、記憶回路MEMの具体例な構成例を示す。
図7に示す記憶回路MEMは、一又は複数のセルアレイCAと、セルアレイCAと同数の増幅回路ACaを有する。また、記憶回路MEMは、複数のセンスアンプSAを備えた増幅回路ACb、駆動回路SAD、及び入出力回路IOを有する。
図1における駆動回路BDには、増幅回路ACa、増幅回路ACb、駆動回路SAD、入出力回路IOが含まれる。
【0105】
増幅回路ACaは、配線BLの電位を増幅する機能を有する。具体的には、セルアレイCAから配線BLに供給される電位(読み出し電位)が、増幅回路ACaによって増幅され、配線GBLに出力される。なお、増幅回路ACaは、配線BLの電位を配線GBLに出力するか否かを選択する機能を有していてもよい。そして、配線GBLに出力された電位は、増幅回路ACbに入力される。
【0106】
増幅回路ACbは、配線GBLの電位を増幅する機能を有する。具体的には、増幅回路ACbは、セルアレイCAから増幅回路ACaを介して出力された読み出し電位を増幅して、入出力回路IOに出力する機能を有する。また、増幅回路ACbは、入出力回路IOから入力された書き込み電位を増幅して、配線GBLに出力する機能を有する。増幅回路ACbによる電位の増幅には、複数のセンスアンプSAが用いられる。
【0107】
センスアンプSAは、2本の配線GBL間の電位差を増幅する機能を有する。具体的には、センスアンプSAは2本の配線GBLと接続され、一方の配線GBLの電位を基準電位とし、当該基準電位と、他方の配線GBLの電位との差を増幅する機能を有する。また、センスアンプSAは、2本の配線GBLの電位差を保持する機能を有する。
【0108】
なお、センスアンプSAの動作は、駆動回路SADによって制御することができる。駆動回路SADは、センスアンプSAの動作を制御するための制御信号や、アドレス信号などを受け取り、センスアンプSAの制御などを行う機能を有する。駆動回路SADによって、入出力回路IOに信号を出力するセンスアンプSAの選択や、入出力回路IOから出力された信号を受け取るセンスアンプSAの選択などが行われる。なお、駆動回路SADは、
図2における制御回路21と接続されていてもよい。
【0109】
入出力回路IOは、セルアレイCAからセンスアンプSAを介して読み出されたデータを、外部に出力する機能を有する。また、入出力回路IOは、外部から入力されたデータを、センスアンプSAを介してセルアレイCAに出力する機能を有する。
【0110】
なお、増幅回路ACbと入出力回路IOとの間には、さらに増幅回路が設けられていてもよい。当該増幅回路は、増幅回路ACbの出力を増幅して入出力回路IOに供給する機能と、入出力回路IOの出力を増幅して増幅回路ACbに供給する機能を有する。
【0111】
増幅回路ACa、増幅回路ACb、駆動回路SAD、及び入出力回路IOは、OSトランジスタを用いた単極性回路によって構成することができる。これにより、駆動回路BDを単極性回路によって構成することができ、駆動回路BDを
図2に示す層20に設けることができる。
【0112】
なお、記憶回路MEMに含まれる各回路は、
図8に示すように配置することもできる。
図8においては、複数のセルアレイCA及び増幅回路ACaが、増幅回路ACbを挟んで紙面上下方向に対向するように配置されている。また、センスアンプSAは、上側のセルアレイCAと接続された配線GBLと、下側のセルアレイCAと接続された配線GBLと接続されており、これらの配線GBLの電位差を増幅する。
【0113】
なお、
図7、
図8に示す記憶回路MEMのレイアウトを、それぞれ折り返し型、開放型と呼ぶことができる。
【0114】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0115】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置の具体的な構成例について、
図9乃至
図27を用いて説明する。
【0116】
<半導体装置の構成例>
図9乃至
図14は、本発明の一態様に係る、トランジスタ700、メモリセル600a、およびメモリセル600bを有する半導体装置の上面図および断面図である。なお、以下において、メモリセル600aとメモリセル600bをまとめてメモリセル600という場合がある。
【0117】
図9は、本発明の一態様に係る半導体装置の断面図であり、上記実施の形態に示す層20に対応している。
図10は、
図9とは異なる、本発明の一態様に係る半導体装置の断面図である。
図11は、
図9でチャネル長方向が示されているトランジスタ700のチャネル幅方向の断面図である。
図12(A)は、メモリセル600aおよびメモリセル600bの上面図である。また、
図12(B)、
図13(A)、および
図13(B)はメモリセル600aおよびメモリセル600bの断面図である。ここで、
図12(B)は、
図12(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図13(A)は、
図12(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200aのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、トランジスタ200bのチャネル幅方向の断面図は、
図13(A)に示すトランジスタ200aのチャネル幅方向の断面図と同様である。また、
図13(B)は、
図12(A)にA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図である。また、
図14は、
図12(A)にA7-A8の一点鎖線で示す部位の断面図である。なお、
図12(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
【0118】
ここで、トランジスタ700は、駆動回路WD、駆動回路BD、または制御回路CCに設けられたトランジスタに対応する。メモリセル600aはメモリセルMCaと対応し、トランジスタ200aはトランジスタTaと対応し、容量素子100aは容量素子Caと対応する。また、メモリセル600bはメモリセルMCbと対応し、トランジスタ200bはトランジスタTbと対応し、容量素子100bは容量素子Cbと対応する。なお、以下において、トランジスタ200aとトランジスタ200bをまとめてトランジスタ200という場合がある。また、以下において、容量素子100aと容量素子100bをまとめて容量素子100という場合がある。
【0119】
本実施の形態に示す半導体装置の層20に対応する層は、トランジスタ200aと、トランジスタ200bと、容量素子100aと、容量素子100bと、トランジスタ700と、層間膜として機能する絶縁体210、絶縁体212、絶縁体273、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体282、絶縁体284を有する。また、トランジスタ200aと電気的に接続して配線として機能する導電体203a、トランジスタ200bと電気的に接続して配線として機能する導電体203b、およびプラグとして機能する導電体240a、導電体240b、および導電体240cとを有する。また、トランジスタ700と電気的に接続して配線として機能する導電体703、およびプラグとして機能する導電体740aおよび導電体740bとを有する。また、絶縁体284上に、導電体240または導電体740と接続して配線層として機能する導電体112、および絶縁体150を設けてもよい。
【0120】
なお、以下において導電体203aおよび導電体203bをまとめて導電体203という場合がある。また、以下において導電体240a、導電体240bおよび導電体240cをまとめて導電体240という場合がある。また、以下において導電体740aおよび導電体740bをまとめて導電体740という場合がある。ここで、導電体703は導電体203と、導電体740は導電体240と、同じ層に形成され、同様の構成を有する。よって、導電体703は導電体203の、導電体740は導電体240の、記載を参酌することができる。
【0121】
なお、導電体203は、絶縁体212の開口の内壁に接して導電体203の第1の導電体が形成され、さらに内側に導電体203の第2の導電体が形成されている。ここで、導電体203の上面の高さと、絶縁体212の上面の高さは同程度にできる。なお、本実施の形態では、導電体203の第1の導電体および導電体203の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体203を単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。また、構造体が積層構造を有する場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。なお、および導電体703も導電体203と同様の構成を有する。
【0122】
絶縁体273は、トランジスタ200a、トランジスタ200b、トランジスタ700、および容量素子100の上に配置される。絶縁体274は絶縁体273上に配置される。絶縁体280は絶縁体274上に配置される。絶縁体282は絶縁体280上に配置される。絶縁体284は絶縁体282上に配置される。
【0123】
また、導電体240は、絶縁体273、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体284の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体284の上面の高さは同程度にできる。なお、本実施の形態では、導電体240が2層の積層構造である構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体240は、単層、又は3層以上の積層構造でもよい。なお、導電体740も導電体240と同様の構成を有する。
【0124】
図12、
図13(A)に示すように、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bは、基板(図示せず。)の上に配置された絶縁体214および絶縁体216と、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体205aおよび導電体205bと、絶縁体216、導電体205aおよび導電体205bの上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、絶縁体224の上に配置された酸化物230aと、酸化物230aの上に配置された酸化物230bと、酸化物230bの上に配置された酸化物230caおよび酸化物230cbと、酸化物230caの上に配置された絶縁体250aと、酸化物230cbの上に配置された絶縁体250bと、絶縁体250aの上に配置された金属酸化物252aと、絶縁体250bの上に配置された金属酸化物252bと、金属酸化物252aの上に配置された導電体260a(導電体260aa、および導電体260ab)と、金属酸化物252bの上に配置された導電体260b(導電体260ba、および導電体260bb)と、導電体260aの上に配置された絶縁体270aと、導電体260bの上に配置された絶縁体270bと、絶縁体270a上に配置された絶縁体271aと、絶縁体270b上に配置された絶縁体271bと、少なくとも酸化物230ca、絶縁体250a、金属酸化物252a、および導電体260aの側面と接して配置された絶縁体275aと、少なくとも酸化物230cb、絶縁体250b、金属酸化物252b、および導電体260bの側面と接して配置された絶縁体275bと、酸化物230aおよび酸化物230b上に形成された層242と、を有する。層242において、導電体260aと導電体260bの間に位置する部分を層242bといい、導電体260aを挟んで層242bの反対側に位置する部分を層242aといい、導電体260bを挟んで層242bの反対側に位置する部分を層242cという場合がある。層242bに接して導電体240bが配置される。
【0125】
トランジスタ200aにおいて、層242aがソース及びドレインの一方として機能し、層242bがソース及びドレインの他方として機能し、導電体260aがフロントゲートとして機能し、絶縁体250aがフロントゲートに対するゲート絶縁層として機能し、導電体205aがバックゲートとして機能し、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224がバックゲートに対するゲート絶縁層として機能する。また、トランジスタ200bにおいて、層242bがソース及びドレインの一方として機能し、層242cがソース及びドレインの他方として機能し、導電体260bがフロントゲートとして機能し、絶縁体250bがフロントゲートに対するゲート絶縁層として機能し、導電体205bがバックゲートとして機能し、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224がバックゲートに対するゲート絶縁層として機能する。また、導電体240bは、配線BLに相当する導電体に電気的に接続される。また、導電体260aは、配線WLaとして機能する、または配線WLaに相当する導電体に電気的に接続される。また、導電体260bは、配線WLbとして機能する、または配線WLbに相当する導電体に電気的に接続される。また、導電体203aおよび導電体203bは、配線BGLとして機能する。
【0126】
なお、以下において、酸化物230a、酸化物230b、酸化物230ca、および酸化物230cbをまとめて酸化物230という場合がある。また、以下において、酸化物230caおよび酸化物230cbをまとめて酸化物230cという場合がある。また、以下において導電体205aおよび導電体205bをまとめて導電体205という場合がある。また、以下において絶縁体250aおよび絶縁体250bをまとめて絶縁体250という場合がある。また、以下において金属酸化物252aおよび金属酸化物252bをまとめて金属酸化物252という場合がある。また、以下において導電体260aおよび導電体260bをまとめて導電体260という場合がある。また、導電体260aaおよび導電体260abをまとめて導電体260aという場合がある。また、導電体260baおよび導電体260bbをまとめて導電体260bという場合がある。また、以下において絶縁体270aおよび絶縁体270bをまとめて絶縁体270という場合がある。また、以下において絶縁体271aおよび絶縁体271bをまとめて絶縁体271という場合がある。また、以下において絶縁体275aおよび絶縁体275bをまとめて絶縁体275という場合がある。また、トランジスタ200bは、トランジスタ200aと同じ層に形成され、同様の構成を有する。よって、以下において、特段の記載がない限り、トランジスタ200bの構成は、トランジスタ200aの構成の記載を参酌することができる。
【0127】
また、
図9、
図11に示すように、トランジスタ700は、基板(図示せず。)の上に配置された絶縁体214および絶縁体216と、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれるように配置された導電体705と、絶縁体216と導電体705の上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体724と、絶縁体724の上に配置された酸化物730(酸化物730a、酸化物730b、および酸化物730c)と、酸化物730の上に配置された絶縁体750と、絶縁体750上に配置された金属酸化物752と、金属酸化物752の上に配置された導電体760(導電体760a、および導電体760b)と、導電体760の上に配置された絶縁体770と、絶縁体770上に配置された絶縁体771と、少なくとも酸化物730c、絶縁体750、金属酸化物752、および導電体760の側面と接して配置された絶縁体775と、酸化物730上に形成された層742と、を有する。また、層742の一方に接して導電体740aが配置され、層742の他方に接して導電体740bが配置される。
【0128】
トランジスタ700において、層742の一方がソース及びドレインの一方として機能し、層742の他方がソース及びドレインの他方として機能し、導電体760がフロントゲートとして機能し、導電体705がバックゲートとして機能する。
【0129】
ここで、トランジスタ700は、トランジスタ200と同じ層に形成され、同様の構成を有する。よって、酸化物730は、酸化物230と同様の構成を有し、酸化物230の記載を参酌することができる。導電体705は、導電体205と同様の構成を有し、導電体205の記載を参酌することができる。絶縁体724は、絶縁体224と同様の構成を有し、絶縁体224の記載を参酌することができる。絶縁体750は、絶縁体250と同様の構成を有し、絶縁体250の記載を参酌することができる。金属酸化物752は、金属酸化物252と同様の構成を有し、金属酸化物252の記載を参酌することができる。導電体760は、導電体260と同様の構成を有し、導電体260の記載を参酌することができる。絶縁体770は、絶縁体270と同様の構成を有し、絶縁体270の記載を参酌することができる。絶縁体771は、絶縁体271と同様の構成を有し、絶縁体271の記載を参酌することができる。絶縁体775は、絶縁体275と同様の構成を有し、絶縁体275の記載を参酌することができる。以下において、特段の記載がない限り、上記のようにトランジスタ700の構成は、トランジスタ200の構成の記載を参酌することができる。
【0130】
なお、トランジスタ200では、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、酸化物230bと酸化物230aの2層構造、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、または4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ700の酸化物730についても同様である。また、トランジスタ200では、導電体260aおよび導電体260bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。また、トランジスタ700の導電体760についても同様である。
【0131】
容量素子100aは、層242a(酸化物230でトランジスタ200aのソースおよびドレインの一方として機能する領域)と、層242a上の絶縁体130aと、絶縁体130a上の導電体120aと、を有する。導電体120aは、絶縁体130aを介して、少なくとも一部が層242aと重なるように、配置されることが好ましい。また、導電体120aの上に接して導電体240aが配置される。また、容量素子100bは、層242c(酸化物230でトランジスタ200bのソースおよびドレインの一方として機能する領域)と、層242c上の絶縁体130bと、絶縁体130b上の導電体120bと、を有する。導電体120bは、絶縁体130bを介して、少なくとも一部が層242bと重なるように、配置されることが好ましい。また、導電体120bの上に接して導電体240cが配置される。なお、以下において、絶縁体130aおよび絶縁体130bをまとめて絶縁体130という場合がある。また、以下において、導電体120aおよび導電体120bをまとめて導電体120という場合がある。
【0132】
容量素子100aにおいて、層242aは電極の一方として機能し、導電体120aは電極の他方として機能する。また、絶縁体130aは容量素子100aの誘電体として機能する。ここで、層242aは、トランジスタ200aのソースおよびドレインの一方、および容量素子100aの電極の一方としての機能を有しており、ノードNとして機能する。また、導電体240aは、配線VLに相当する導電体に電気的に接続される。
【0133】
容量素子100bにおいて、層242cは電極の一方として機能し、導電体120bは電極の他方として機能する。また、絶縁体130bは容量素子100bの誘電体として機能する。ここで、層242cは、トランジスタ200bのソースおよびドレインの一方、および容量素子100bの電極の一方としての機能を有しており、ノードNとして機能する。また、導電体240cは、配線VLに相当する導電体に電気的に接続される。
【0134】
なお、
図9などでは、絶縁体130aおよび絶縁体130bは、多層構造を有するものとして図示しているが、
図10に図示するように単層構造とすることもできる。また、
図9に示す構成において、導電体740aと740bとは近接して設ける構成としたが、
図10に図示するように離間して設ける構成とするもできる。また絶縁体280などに埋め込まれた配線VLと電気的に接続する導電体240aおよび導電体240cは、容量素子100aおよび容量素子100bの一方の電極がその機能を兼ねることで
図10に図示するように省略することが可能である。また、
図10において、配線BLは配線WLa、WLbと直交するように配置する構成を図示している。
【0135】
なお、
図12などでは、導電体240a、導電体240b、および導電体240cが直線上に配置されているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではなく、メモリセルアレイの回路配置や駆動方法に合わせて適宜配置すればよい。また、導電体240aおよび導電体240cは必ずしも設けなくてもよい。例えば、
図16に示すように、導電体120aおよび導電体120bを延伸させて配線としても機能させる場合は、導電体240aおよび導電体240cを設けなくてもよい。また、導電体120aおよび導電体120bと同様に、導電体260a、導電体260b、導電体203a、および導電体203bも配線として機能させてよく、その場合、トランジスタ200aまたはトランジスタ200bのチャネル幅方に延伸して設けてもよい。なお、
図16では、配線として機能する導電体120a、導電体120b、導電体203a、および導電体203bを導電体260aおよび導電体260bと同じ方向に延伸させているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではなく、メモリセルアレイの回路配置や駆動方法に合わせて適宜配置すればよい。
【0136】
図16に示すメモリセル600aおよびメモリセル600bは、
図17に図示するように、配線WLaおよび配線WLbと、配線BLとが直交(図中x方向とy方向)するように設ける構成とすることができる。また、配線VLは、配線WLaおよび配線WLbが延伸する方向(図中x方向)に設ける構成とすることができる。
【0137】
図16に示すメモリセル600aおよびメモリセル600bを、3行3列のマトリクス状に配置すると、
図18に示す上面図のようになる。導電体260を延伸させた配線は配線WL_1から配線WL_6となり、導電体120を延伸させた配線は配線VLとなる。また、導電体240bの上面に接して、配線BL_1から配線BL_3が設けられる。配線WL_1から配線WL_6の延伸方向と、配線BL_1から配線BL_3の延伸方向は、概略直交する。また、配線BL_1から配線BL_3の延伸方向に対して、配線VLの延伸方向を概略直交させて設けてもよい。
図18に示すように、メモリセル600aおよびメモリセル600bを、マトリクス状に配置することで、
図1等に示すセルアレイを構成することができる。なお、
図18では、メモリセル600aおよびメモリセル600bを3×3個配置する例を示しているが、本実施の形態はこれに限られることなく、セルアレイに含まれるメモリセルまたは配線等の、個数及び配置は、適宜設定すればよい。また、
図18の上面図では、図の明瞭化のために、
図16に示す一部の要素を省いて図示している。
【0138】
また、
図19は、
図18に示すX1-X2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図である。
図19に図示するように、配線BL_1と、配線WL_1乃至WL_4とは直交している。また、
図19に図示するように、配線BL_1と、配線VLとは直交している。また、配線VLは、隣接するメモリセル間で共有するように設けられている。
【0139】
また、
図18では、酸化物230の長辺が配線WLの延伸方向と概略直交するように、酸化物230および配線WLを設けたが、これに限られるものではない。例えば、
図20に示すように、酸化物230の長辺が配線WLの延伸方向と直交せず、酸化物230の長辺が配線WLの延伸方向に対して傾けて配置されるレイアウトにしてもよい。例えば、酸化物230の長辺と配線WLの延伸方向のなす角が、20°以上70°以下、好ましくは30°以上60°以下になるように、酸化物230と配線WLを設ければよい。
【0140】
このように、配線WLの延伸方向に対して酸化物230を傾けて配置することにより、メモリセルを密に配置することができる場合もある。よって、メモリセルアレイの占有面積を低減し、半導体装置の高集積化を図ることができる場合もある。
【0141】
図12(A)に示すように、容量素子100aの一部がトランジスタ200aと、重畳するように形成され、容量素子100bの一部がトランジスタ200bと、重畳するように形成される。これにより、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、および容量素子100bの投影面積の合計を小さくし、メモリセル600aおよびメモリセル600bの占有面積を低減することができる。よって、上記半導体装置の微細化および高集積化が容易になる。また、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、および容量素子100bを同じ工程で形成することができるので、工程を短縮し、生産性を向上させることができる。
【0142】
トランジスタ200aのソースおよびドレインの一方と、トランジスタ200bのソースおよびドレインの一方は、層242bを介して導電体240bと電気的に接続している。これにより、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bの配線BLとのコンタクト部が共有され、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bを配線BLと接続させるためのプラグとコンタクトホールの数を低減することができる。このように、ソースおよびドレインの一方と電気的に接続する配線を共有することで、メモリセルアレイの占有面積をさらに縮小することができる。
【0143】
なお、メモリセル600aおよびメモリセル600bにおいて、トランジスタ200aのチャネル長方向とトランジスタ200bのチャネル長方向が平行になるように、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、および容量素子100bを設けているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではない。
図1等に示すメモリセル600aおよびメモリセル600bは、半導体装置の構成の一例であり、回路構成や駆動方法に応じて、適切な構造のトランジスタを、適宜配置すればよい。
【0144】
次に、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bの半導体層として機能する酸化物230に係る詳細の説明を行う。以下において、特段の記載を行わない場合、トランジスタ700の酸化物730についても酸化物230の記載を参酌するものとする。トランジスタ200aおよびトランジスタ200bは、チャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域ともいう。)を含む酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、酸化物230ca、および酸化物230cb)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。
【0145】
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタ200は、非導通状態において極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタ200に用いることができる。
【0146】
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。また、酸化物230として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。
【0147】
ここで、酸化物半導体は、酸化物半導体を構成する元素の他に、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、クロム、タングステン、などの金属元素が添加されることで、金属化合物を形成し、低抵抗化する。なお、好ましくは、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステンなどを用いることが好ましい。
【0148】
酸化物半導体に、金属元素を添加するには、例えば、酸化物半導体上に、当該金属元素を含む金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を設けるとよい。また、当該膜を設けることで、当該膜と酸化物半導体との界面、または当該界面近傍に位置する酸化物半導体中の一部の酸素が該膜などに吸収され、酸素欠損を形成し、当該界面近傍が低抵抗化する場合がある。
【0149】
また、酸化物半導体上に、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を設けた後、窒素を含む雰囲気下で、熱処理を行うとよい。窒素を含む雰囲気下での熱処理により、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜から、当該膜の成分である金属元素が酸化物半導体へ、または酸化物半導体の成分である金属元素が当該膜へと、拡散し、酸化物半導体と、当該膜とが金属化合物を形成し、低抵抗化することができる。酸化物半導体に添加された金属元素は、酸化物半導体と金属元素と、金属化合物を形成することで、比較的安定な状態となるため、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0150】
また、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜と、酸化物半導体との界面に、化合物層(以下、異層ともいう。)が形成されていてもよい。なお、化合物層(異層)とは、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜の成分と、酸化物半導体の成分とを含む金属化合物を有する層とする。例えば、化合物層として、酸化物半導体の金属元素と、添加された金属元素とが、合金化した層が形成されていてもよい。当該合金化した層は、比較的安定な状態であり、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0151】
また、酸化物半導体に存在する水素は、酸化物半導体の低抵抗化した領域に拡散し、低抵抗化した領域に存在する酸素欠損の中に入った場合、比較的安定な状態となる。また、酸化物半導体に存在する酸素欠損中の水素は、250℃以上の熱処理によって、酸素欠損から抜け出し、酸化物半導体の低抵抗化した領域に拡散し、低抵抗化した領域に存在する酸素欠損の中に入り、比較的安定な状態となることがわかっている。従って、熱処理によって、酸化物半導体の低抵抗化した領域、または金属化合物が形成された領域は、より低抵抗化し、低抵抗化していない酸化物半導体は、高純度化(水、水素などの不純物の低減)し、より高抵抗化する傾向がある。
【0152】
また、酸化物半導体は、水素、または窒素などの不純物元素が存在すると、キャリア密度が増加する。酸化物半導体中の水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になり、酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ると、キャリア密度は増加する。また、水素の一部が、金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。つまり、窒素、または水素を有する酸化物半導体は、低抵抗化される。
【0153】
従って、酸化物半導体に、金属元素、並びに、水素、および窒素などの不純物元素を、選択的に添加することで、酸化物半導体に高抵抗領域、および低抵抗領域を設けることができる。つまり、酸化物230を選択的に低抵抗化することで、島状に加工した酸化物230に、キャリア密度が低い半導体として機能する領域と、ソース領域、またはドレイン領域として機能する低抵抗化した領域と、を設けることができる。
【0154】
ここで、
図12(B)において破線で囲む、領域239の拡大図を
図15に示す。
図15に示すように、領域239は、選択的に低抵抗化した酸化物230bを含んでいる。
【0155】
図15に示すように、酸化物230は、領域234a、領域234b、領域231a、領域231b、領域231c、領域232a、領域232b、領域232c、および領域232dを有する。ここで、領域234aはトランジスタ200aのチャネル形成領域として機能し、領域234bはトランジスタ200bのチャネル形成領域として機能する。また、領域231aはトランジスタ200aのソース領域およびドレイン領域の一方として機能し、領域231bはトランジスタ200aのソース領域およびドレイン領域の他方、およびトランジスタ200bのソース領域およびドレイン領域の一方として機能し、領域231cはトランジスタ200bのソース領域およびドレイン領域の他方として機能する。また、領域232aは領域234aと領域231aとの間に位置し、領域232bは領域234aと領域231bとの間に位置し、領域232cは領域234bと領域231bとの間に位置し、領域232dは領域234bと領域231cとの間に位置する。なお、以下において、領域234aおよび領域234bをまとめて領域234という場合がある。また、以下において、領域231a、領域231b、および領域231cをまとめて領域231という場合がある。領域232a、領域232b、領域232c、および領域232dをまとめて領域232という場合がある。
【0156】
なお、領域231aの上に絶縁体130aと導電体120aが設けられており、領域231aは容量素子100aの電極の一方として機能する。また、領域231cの上に絶縁体130bと導電体120bが設けられており、領域231cは容量素子100bの電極の一方として機能する。酸化物230の領域231は低抵抗化されており、導電性酸化物である。従って、容量素子100の電極の一方として機能することができる。
【0157】
ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231は、酸素濃度が低く、低抵抗化した領域である。また、チャネル形成領域として機能する領域234は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりも、酸素濃度が高く、キャリア密度が低い高抵抗領域である。また、領域232は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりも、酸素濃度が高く、キャリア密度が低く、かつ、チャネル形成領域として機能する領域234よりも、酸素濃度が低く、キャリア密度が高い領域である。
【0158】
なお、領域231は、金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域232、および領域234よりも高いことが好ましい。
【0159】
例えば、領域231は、酸化物230の他に、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロムなどの金属元素の中から選ばれるいずれか一つまたは複数の金属元素を有することが好ましい。
【0160】
領域231を形成するために、例えば、酸化物230の領域231に接して、金属元素を有する膜を設ければよい。当該金属元素を有する膜は、領域231の形成後に、エッチング処理などで除去すればよい。なお、当該金属元素を有する膜として、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜を用いることができる。その際、当該金属元素を有する膜と、酸化物230との間に、層242が形成されることが好ましい。例えば層242は、酸化物230の上面および側面に形成される場合がある。なお、層242は、当該金属元素を有する膜の成分と、酸化物230の成分とを含む金属化合物を有する層とし、化合物層と呼ぶこともできる。例えば、層242として、酸化物230中の金属元素と、添加された金属元素とが、合金化した層が形成されていてもよい。
【0161】
酸化物230に、金属元素が添加されることで、酸化物230中に、金属化合物が形成され、領域231を低抵抗化することができる。なお、当該金属化合物は、必ずしも、酸化物230中に形成されていなくともよい。例えば、酸化物230の表面に層242が形成されてもよいし、酸化物230と絶縁体130の間に層242が形成されてもよい。
【0162】
従って、領域231は、層242の低抵抗化領域も含む場合がある。よって、層242の少なくとも一部がトランジスタ200aまたはトランジスタ200bのソース領域またはドレイン領域として機能し得る。ここで、層242は、領域231a、領域231b、および領域231cに形成され、それぞれ、層242a、層242b、および層242cとなる。
【0163】
領域232は、絶縁体275と重畳する領域を有する。領域232は、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロムなどの金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が領域234よりも高いことが好ましい。例えば、酸化物230の領域231に接して、上記金属元素を有する膜を設けることで、上記金属元素を有する膜中の成分と、酸化物半導体の成分とが、金属化合物を形成する場合がある。当該金属化合物は、酸化物230に含まれる水素を引き寄せる場合がある。従って、領域231の近傍である領域232の水素の濃度が高くなる場合がある。
【0164】
なお、領域232a、および領域232bのいずれか一方または双方は、導電体260aと重畳する領域を有する構成としてもよい。当該構成とすることで、導電体260aと、領域232aおよび領域232bとを、オーバーラップさせることが可能となる。また、同様に、領域232c、および領域232dのいずれか一方または双方は、導電体260bと重畳する領域を有する構成としてもよい。当該構成とすることで、導電体260bと、領域232cおよび領域232dとを、オーバーラップさせることが可能となる。
【0165】
また、
図15では、領域234、領域231、および領域232が、酸化物230bに形成されているが、これに限られない。例えば、これらの領域は層242、酸化物230a、および酸化物230cにも、形成されていてもよい。また、
図15では、各領域の境界を、酸化物230の上面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、領域232が酸化物230bの表面近傍では導電体260側に張り出し、酸化物230bの下面近傍では、導電体240a側または導電体240b側に後退する形状になる場合がある。
【0166】
また、酸化物230において、各領域の境界は明確に検出することが困難な場合がある。各領域内で検出される金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素の濃度は、領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化(グラデーションともいう。)していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
【0167】
酸化物230を、選択的に低抵抗化するには、例えば、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロムなどの導電性を高める金属元素、および不純物の少なくとも一を、所望の領域に添加すればよい。なお、不純物としては、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素などを用いればよい。例えば、当該元素として、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、希ガス等が挙げられる。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、およびキセノン等がある。
【0168】
領域231は、上述の導電性を高める金属元素、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素の含有率を高くすることで、キャリア密度を高くし、低抵抗化を図ることができる。
【0169】
領域231を低抵抗化するために、例えば、酸化物230の領域231に接して、上記金属元素を有する膜を成膜するとよい。当該金属元素を有する膜としては、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜などを用いることができる。当該金属元素を有する膜は、少なくとも、絶縁体250、金属酸化物252、導電体260、絶縁体270、絶縁体271、および絶縁体275を介して、酸化物230上に設けることが好ましい。
【0170】
酸化物230と上記金属元素を有する膜とが接することにより、当該金属元素を有する膜の成分と、酸化物230の成分とが、金属化合物を形成し、領域231となり、低抵抗化する。また、酸化物230と当該金属元素を有する膜との界面、または当該界面近傍に位置する酸化物230中の酸素の一部が層242に吸収され、酸化物230に酸素欠損を形成し、低抵抗化し、領域231を形成する場合がある。
【0171】
また、酸化物230と、上記金属元素を有する膜とが、接した状態で、窒素を含む雰囲気下において熱処理を行うとよい。当該熱処理により、当該金属元素を有する膜から、当該金属元素を有する膜の成分である金属元素が酸化物230へ、または酸化物230の成分である金属元素が当該金属元素を有する膜へと、拡散し、酸化物230と、当該金属元素を有する膜とが金属化合物を形成し、低抵抗化する。このようにして、酸化物230と当該金属元素を有する膜との間に層242が形成される。ここで、当該金属元素を有する膜は、絶縁体250、金属酸化物252、導電体260、絶縁体270、絶縁体271、および絶縁体275を介して、酸化物230上に設けられているので、層242は、酸化物230の導電体260a、導電体260b、絶縁体275a、および絶縁体275bと重ならない領域に形成される。なお、その際、酸化物230の金属元素と、当該金属元素を有する膜の金属元素とが、合金化してもよい。従って、層242は合金を含む場合がある。当該合金は、比較的安定な状態であり、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0172】
上記熱処理は、例えば、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で行う。また、熱処理は減圧状態で行ってもよい。また、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、酸化性ガスを含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0173】
また、酸化物230中の水素は、領域231に拡散し、領域231に存在する酸素欠損の中に入った場合、比較的安定な状態となる。また、領域234に存在する酸素欠損中の水素は、250℃以上の熱処理によって、酸素欠損から抜け出し、領域231に拡散し、領域231に存在する酸素欠損の中に入り、比較的安定な状態となる。従って、熱処理によって、領域231は、より低抵抗化し、領域234は、高純度化(水、水素などの不純物の低減)し、より高抵抗化する。
【0174】
一方、酸化物230の導電体260、および絶縁体275と重畳する領域(領域234、および領域232)は、導電体260、および絶縁体275を介しているため、金属元素の添加が抑制される。また、酸化物230の領域234、および領域232において、酸化物230中の酸素原子が、上述した上記金属元素を有する膜へ吸収されることが抑制される。
【0175】
また、上記金属元素を有する膜に、酸化物230の領域231、および領域231に近接する領域232の酸素が吸収されることで、領域231、および領域232に酸素欠損が生じる場合がある。酸化物230中の水素が、当該酸素欠損に入ることで、領域231、および領域232のキャリア密度は増加する。従って、酸化物230の領域231、および領域232は、低抵抗化される。
【0176】
ここで、上記金属元素を有する膜が、水素を吸収する特性を有する場合、酸化物230中の水素は、当該膜へと吸収される。従って、酸化物230中の不純物である水素を低減することができる。上記金属元素を有する膜は、後の工程で、酸化物230から吸収した水素とともに除去してもよい。
【0177】
なお、上記金属元素を有する膜は、必ずしも除去しなくともよい。例えば、上記金属元素を有する膜を絶縁化し、高抵抗化している場合は、残存させてもよい。例えば、上記金属元素を有する膜は、酸化物230から吸収した酸素により、酸化し、絶縁体となり、高抵抗化する場合がある。その場合、上記金属元素を有する膜は、層間膜として機能する場合がある。
【0178】
また、例えば、上記金属元素を有する膜に、導電性を有する領域が残存している場合、熱処理を行うことにより、酸化させることで、絶縁体となり、高抵抗化する。当該熱処理は、例えば、酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。また、上記金属元素を有する膜の近傍に酸素を有する構造体がある場合、熱処理を行うことで、上記金属元素を有する膜は、当該構造体が有する酸素と反応し、酸化する場合がある。
【0179】
上記金属元素を有する膜を、絶縁体として残存させることで、層間膜および容量素子100の誘電体として機能させることができる。当該構造とする場合、上記金属元素を有する膜は、後工程で、絶縁化させることができる程度の膜厚で設ける。例えば、上記金属元素を有する膜は、0.5nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上2nm以下の膜厚で設けるとよい。なお、上記酸化性雰囲気下で熱処理を行う場合には、酸化物230と、上記金属元素を有する膜とが、接した状態で、窒素を含む雰囲気下において一度熱処理を行ったあとに行うと好適である。窒素を含む雰囲気下において、一度熱処理を行うことで、酸化物230中の酸素が上記金属元素を有する膜に拡散しやすくなる。
【0180】
また、層242を形成した後で、上記金属元素を有する膜が十分な導電性を有している場合、上記金属元素を有する膜の一部を除去して、トランジスタ200のソース電極またはドレイン電極として機能する導電体を形成してもよい。当該金属元素を有する膜の膜厚を十分厚く、例えば10nm以上200nm以下程度にしておくことで、ソース電極またはドレイン電極として機能する導電体に十分な導電性を与えることができる。ソース電極またはドレイン電極として機能する導電体は、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜としてもよい。
【0181】
上記において、領域231および領域232を形成する方法として、酸化物230の領域231に接して、金属元素を有する膜を設けて層242を形成する方法を示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230のキャリア密度を増大させ、低抵抗化させることができる元素をドーパントとして添加することによって、層242を形成してもよい。
【0182】
ドーパントとしては、酸素欠損を形成する元素、または酸素欠損と結合する元素などを用いればよい。このような元素としては、代表的には、ホウ素、またはリンが挙げられる。また、水素、炭素、窒素、フッ素、硫黄、塩素、チタン、希ガス等を用いてもよい。また、希ガス元素の代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノン等がある。また、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどの金属元素の中から選ばれるいずれか一つまたは複数の金属元素を添加してもよい。上述した中でもドーパントとしては、ホウ素、及びリンが好ましい。ホウ素、リンをドーパントとして用いる場合、アモルファスシリコン、または低温ポリシリコンの製造ラインの装置を使用することができるため、設備投資を抑制することができる。上記元素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)などを用いて測定すればよい。
【0183】
特に、層242に添加する元素として、酸化物を形成しやすい元素を用いることが好ましい。このような元素としては、代表的にはホウ素、リン、アルミニウム、マグネシウム等がある。層242に添加された当該元素は、酸化物230中の酸素を奪って酸化物を形成しうる。その結果、層242には多くの酸素欠損が生じる。当該酸素欠損と、酸化物230中の水素とが結合することでキャリアが生じ、極めて低抵抗な領域となる。さらに、層242に添加された元素は安定な酸化物の状態で層242に存在するため、その後の工程で高い温度を要する処理が行われたとしても、層242から脱離しにくい。すなわち、層242に添加する元素として、酸化物を形成しやすい元素を用いることで、酸化物230中に高温のプロセスを経ても高抵抗化しにくい領域を形成できる。
【0184】
ドーパントの添加によって層242を形成する場合、例えば、絶縁体271、絶縁体270、導電体260、金属酸化物252、絶縁体250、酸化物230c、および絶縁体275をマスクとしてドーパントを添加すればよい。これにより、酸化物230の当該マスクが重畳していない領域に、上記の元素を含む層242を形成することができる。また、絶縁体271、絶縁体270、導電体260、金属酸化物252、絶縁体250、酸化物230c、および絶縁体275をマスクとする代わりに、ダミーゲートを形成してマスクとしてもよい。この場合、ドーパントの添加後に絶縁体271、絶縁体270、導電体260、金属酸化物252、絶縁体250、酸化物230c、および絶縁体275を形成すればよい。
【0185】
ドーパントの添加方法としては、イオン化された原料ガスを質量分離して添加するイオン注入法、イオン化された原料ガスを質量分離せずに添加するイオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。質量分離を行う場合、添加するイオン種およびその濃度を厳密に制御することができる。一方、質量分離を行わない場合、短時間で高濃度のイオンを添加することができる。また、原子または分子のクラスターを生成してイオン化するイオンドーピング法を用いてもよい。なお、ドーパントを、イオン、ドナー、アクセプター、不純物または元素などと言い換えてもよい。
【0186】
また、層242に酸素欠損を形成する元素を添加して、熱処理を行うことで、チャネル形成領域として機能する領域234に含まれる水素を、層242に含まれる酸素欠損で捕獲できる場合がある。これにより、トランジスタ200に安定な電気特性を与え、信頼性の向上を図ることができる。
【0187】
ここで、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に不純物及び酸素欠損が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、チャネルが形成される領域234中の酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。
【0188】
そこで、
図15に示すように、絶縁体250、酸化物230bの領域232、および酸化物230cに接して、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素(過剰酸素ともいう。)を含む絶縁体275を設けることが好ましい。つまり、絶縁体275が有する過剰酸素が、酸化物230の領域234へと拡散することで、酸化物230の領域234における酸素欠損を低減することができる。
【0189】
また、絶縁体275に過剰酸素領域を設けるには、絶縁体275に接する絶縁体273として、酸化物を、スパッタリング法により成膜するとよい。酸化物の成膜にスパッタリング法を用いることにより、水または水素などの不純物の少ない絶縁体を成膜することができる。スパッタリング法を用いる場合は、例えば、対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いて成膜することが好ましい。対向ターゲット型のスパッタリング装置は、対向するターゲット間の高電界領域に被成膜面が晒されることなく成膜できるので、被成膜面がプラズマによる損傷を受けにくく成膜することができるので、絶縁体273となる絶縁体の成膜時に酸化物230への成膜ダメージを小さくすることができるので好ましい。対向ターゲット型のスパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(Vapor Deposition SP)(登録商標)と呼ぶことができる。
【0190】
スパッタリング法による成膜時には、ターゲットと基板との間には、イオンとスパッタされた粒子とが存在する。例えば、ターゲットは、電源が接続されており、電位E0が与えられる。また、基板は、接地電位などの電位E1が与えられる。ただし、基板が電気的に浮いていてもよい。また、ターゲットと基板の間には電位E2となる領域が存在する。各電位の大小関係は、E2>E1>E0である。
【0191】
プラズマ内のイオンが、電位差E2-E0によって加速され、ターゲットに衝突することにより、ターゲットからスパッタされた粒子がはじき出される。このスパッタされた粒子が成膜表面に付着し、堆積することにより成膜が行われる。また、一部のイオンはターゲットによって反跳し、反跳イオンとして、形成された膜を通過し、被成膜面と接する絶縁体275に取り込まれる場合がある。また、プラズマ内のイオンは、電位差E2-E1によって加速され、成膜表面を衝撃する。この際、一部のイオンは、絶縁体275内部まで到達する。イオンが絶縁体275に取り込まれることにより、イオンが取り込まれた領域が絶縁体275に形成される。つまり、イオンが酸素を含むイオンであった場合において、絶縁体275に過剰酸素領域が形成される。
【0192】
絶縁体275に過剰な酸素を導入することで、絶縁体275中に過剰酸素領域を形成することができる。絶縁体275の過剰な酸素は、酸化物230の領域234に供給され、酸化物230の酸素欠損を補償することができる。
【0193】
なお、絶縁体275は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることが好ましい。酸化窒化シリコンなどの材料は、過剰酸素領域を形成されやすい傾向がある。一方、上述の酸化窒化シリコンなどの材料と比較して、酸化物230は、スパッタリング法を用いた酸化膜を、酸化物230上に形成したとしても、過剰酸素領域が形成しにくい傾向がある。従って、過剰酸素領域を有する絶縁体275を、酸化物230の領域234の周辺に設けることで、酸化物230の領域234へ、絶縁体275の過剰酸素を効果的に供給することができる。
【0194】
また、絶縁体273は、酸化アルミニウムを用いることが好ましい。酸化アルミニウムは、酸化物230と近接した状態で、熱処理を行うことで、酸化物230中の水素を引き抜く場合がある。なお、酸化物230と、酸化アルミニウムとの間に層242が設けられている場合、層242中の水素を酸化アルミニウムが吸収し、水素が低減された層242は、酸化物230中の水素を吸収する場合がある。
図15に示す構成では、導電体240bを形成する前に、酸化アルミニウムが層242bから水素を吸収することができる。従って、酸化物230中の水素濃度を低減することができる。また、絶縁体273と、酸化物230とを近接した状態で熱処理を行うことで、絶縁体273から酸化物230、絶縁体224、または絶縁体222に酸素を供給できる場合がある。
【0195】
上記構成、または上記工程を組み合わせることで、酸化物230の選択的な低抵抗化を行うことができる。
【0196】
つまり、酸化物230に低抵抗領域を形成する際に、ゲート電極として機能する導電体260、および絶縁体275をマスクとすることで、自己整合的に酸化物230は低抵抗化する。そのため、複数のトランジスタ200を同時に形成する場合、トランジスタ間の電気特性バラつきを小さくすることができる。また、トランジスタ200のチャネル長は、導電体260の幅、または絶縁体275の成膜膜厚により決定され、導電体260の幅を最小加工寸法とすることにより、トランジスタ200の微細化が可能となる。
【0197】
以上より、各領域の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
【0198】
また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。また、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを半導体装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、半導体装置の消費電力を十分に低減することができる。
【0199】
以上より、オン電流が大きいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、オフ電流が小さいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。または、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有すると共に、信頼性を向上させた半導体装置を提供することができる。
【0200】
以下では、本実施の形態に示す半導体装置の層20に対応する層の詳細な構成について説明する。以下において、特段の記載を行わない場合、トランジスタ700の詳細な構成についてもトランジスタ200の詳細な構成の記載を参酌するものとする。
【0201】
導電体203は、
図12(A)、および
図13(A)に示すように、チャネル幅方向に延伸されており、導電体205に電位を印加する配線として機能する。なお、導電体203は、絶縁体212に埋め込まれて設けることが好ましい。
【0202】
導電体205aは、酸化物230および導電体260aと、導電体205bは、酸化物230および導電体260bと、重なるように配置する。また、導電体205aは導電体203aの上に、導電体205bは導電体203bの上に、接して設けるとよい。また、導電体205は、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。
【0203】
ここで、導電体260は、第1のゲート(フロントゲートともいう。)電極として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(バックゲートともいう。)電極として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200の閾値電圧を制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200の閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0204】
また、導電体203上に導電体205を設けることで、第1のゲート電極、および配線としての機能を有する導電体260と、導電体203との距離を適宜設計することが可能となる。つまり、導電体203と導電体260の間に絶縁体214および絶縁体216などが設けられることで、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減し、導電体203と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることができる。
【0205】
また、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減することで、トランジスタ200のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有するトランジスタにすることができる。また、導電体203と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることで、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。よって、絶縁体214および絶縁体216の膜厚を厚くすることが好ましい。なお、導電体203の延伸方向はこれに限られず、例えば、トランジスタ200のチャネル長方向に延伸されてもよい。
【0206】
なお、導電体205は、
図12(A)に示すように、酸化物230、および導電体260と重なるように配置する。また、導電体205は、酸化物230における領域234よりも、大きく設けるとよい。特に、
図13(A)に示すように、導電体205aは、酸化物230の領域234aのチャネル幅方向の端部よりも外側の領域に延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面において、導電体205aと、導電体260aとは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。なお、
図13(A)はトランジスタ200aを示しているが、トランジスタ200bについても同様である。
【0207】
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながり、酸化物230に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0208】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、および第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0209】
また、導電体205は、絶縁体214および絶縁体216の開口の内壁に接して第1の導電体が形成され、さらに内側に第2の導電体が形成されている。ここで、第1の導電体および第2の導電体の上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体205の第1の導電体および導電体205の第2の導電体を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205は、単層、または3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
【0210】
ここで、導電体205、または導電体203の第1の導電体は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0211】
導電体205、または導電体203の第1の導電体が酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体205、または導電体203の第2の導電体が酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。したがって、導電体205、または導電体203の第1の導電体としては、上記導電性材料を単層または積層とすればよい。これにより、水素、水などの不純物が、導電体203、および導電体205を通じて、トランジスタ200側に拡散するのを抑制することができる。
【0212】
また、導電体205の第2の導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205の第2の導電体を単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0213】
また、導電体203の第2の導電体は、配線として機能するため、導電体205の第2の導電体より導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体203の第2の導電体は積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0214】
特に、導電体203に、銅を用いることが好ましい。銅は抵抗が小さいため、配線等に用いることが好ましい。一方、銅は拡散しやすいため、酸化物230に拡散することで、トランジスタ200の電気特性を低下させる場合がある。そこで、例えば、絶縁体214には、銅の透過性が低い酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどの材料を用いることで、銅の拡散を抑えることができる。
【0215】
また、
図12等では、トランジスタ200aとトランジスタ200bにそれぞれ、バックゲートとして機能する導電体205a、導電体205bを設けたが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。トランジスタ200aとトランジスタ200bでバックゲートをそれぞれ独立して制御する必要がない場合、同一の導電層でトランジスタ200aのバックゲートとトランジスタ200bのバックゲートを兼ねることができる。例えば、
図21に示すように、導電体205aおよび導電体205bの代わりに導電体205cを設ける構成にすればよい。導電体205cは、トランジスタ200aのバックゲートおよびトランジスタ200bのバックゲートとして機能する。トランジスタ200aおよびトランジスタ200bのバックゲートを個別で設ける場合、当該バックゲートをパターニングするために、バックゲート間に間隔を設ける必要があるが、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bのバックゲートを同一の導電層で設けることにより、当該間隔を設ける必要がない。よって、メモリセル600a及びメモリセル600bの占有面積を低減し、本実施の形態に係る半導体装置をさらに高集積化することができる。また、導電体205cの下に配線BGLとして機能する導電体203cを設けてもよい。なお、導電体205cは、導電体205と同様の構成を有し、導電体205の記載を参酌することができる。また、導電体203cは、導電体203と同様の構成を有し、導電体203の記載を参酌することができる。
【0216】
また、
図21に示す半導体装置では、導電体205cの側面の一が絶縁体275aの側面の一と概略重なり、導電体205cの側面の一が絶縁体275bの側面の一と概略重なるように、配置しているが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、
図22に示すように、導電体205cの側面の一が導電体260aの側面の一と概略重なり、導電体205cの側面の一が導電体260bの側面の一と概略重なるように、配置してもよい。言い換えると、
図22では、導電体205cのトランジスタ200のチャネル長方向の長さが、
図21に示す導電体205cよりも短くなっている。
図22に示すように、導電体205cを設けることにより、
図21に示すトランジスタ200aおよびトランジスタ200bより、導電体205cの側面の一と領域231aの距離、および導電体205cの側面の一と領域231cの距離を、大きくし、これらの間に発生する寄生容量やリーク電流を低減することができる。
【0217】
なお、導電体205、絶縁体214、および絶縁体216は必ずしも設けなくともよい。その場合、導電体203の一部が第2のゲート電極として機能することができる。
【0218】
絶縁体210、絶縁体214、および絶縁体282は、水または水素などの不純物が、基板側または絶縁体284側からトランジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体210、絶縁体214、および絶縁体282は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0219】
例えば、絶縁体210、および絶縁体282として酸化アルミニウムなどを用い、絶縁体214として窒化シリコンなどを用いることが好ましい。これにより、水素、水などの不純物が絶縁体210および絶縁体214よりも基板側からトランジスタ200側に拡散することを抑制することができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体210および絶縁体214よりも基板側に、拡散することを抑制することができる。または、水素、水などの不純物が、絶縁体282よりも絶縁体284側からトランジスタ200側に拡散することを抑制することができる。
【0220】
また、導電体203の上に導電体205を積層して設ける構成にすることにより、導電体203と導電体205の間に絶縁体214を設けることができる。ここで、導電体203の第2の導電体に銅など拡散しやすい金属を用いても、絶縁体214として窒化シリコンなどを設けることにより、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを抑制することができる。
【0221】
また、層間膜として機能する絶縁体212、絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体284は、絶縁体210、または絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0222】
例えば、絶縁体212、絶縁体216、絶縁体280、および絶縁体284として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などの絶縁体を単層または積層で用いることができる。またはこれらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0223】
絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。また、トランジスタ700に設けられる絶縁体724も、絶縁体224と同様にゲート絶縁体としての機能を有する。なお、本実施の形態では、絶縁体224と絶縁体724は分離されているが、絶縁体224と絶縁体724がつながっていてもよい。
【0224】
ここで、酸化物230と接する絶縁体224は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体224には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
【0225】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3、または3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0226】
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)ことが好ましい。
【0227】
絶縁体222が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、絶縁体224が有する過剰酸素領域の酸素は、絶縁体220側へ拡散することなく、効率よく酸化物230へ供給することができる。また、導電体205が、絶縁体224が有する過剰酸素領域の酸素と反応することを抑制することができる。
【0228】
絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0229】
特に、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0230】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0231】
また、絶縁体220は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、high-k材料の絶縁体と絶縁体220とを組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0232】
なお、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0233】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の酸化物230cと、を有する。酸化物230b下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物230b上に酸化物230cを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0234】
なお、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230cは、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0235】
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物230aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0236】
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部において、伝導帯下端はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部における伝導帯下端は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0237】
具体的には、酸化物230aと酸化物230b、酸化物230bと酸化物230cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする。)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物230aおよび酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0238】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bとなる。酸化物230a、酸化物230cを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は高いオン電流を得られる。
【0239】
また、酸化物230は、領域231、領域232、および領域234を有する。なお、領域231の少なくとも一部は、絶縁体273と近接する領域を有する。また、領域232は、少なくとも、絶縁体275と重畳する領域を有する。
【0240】
なお、トランジスタ200をオンさせると、領域231a、または領域231bは、ソース領域、またはドレイン領域として機能する。一方、領域234の少なくとも一部は、チャネル形成領域として機能する。領域231と、領域234の間に領域232を有することで、トランジスタ200において、オン電流を大きくし、かつ、非導通時のリーク電流(オフ電流)を小さくすることができる。
【0241】
トランジスタ200において、領域232を設けることで、ソース領域およびドレイン領域として機能する領域231と、チャネルが形成される領域234との間に高抵抗領域が形成されないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。また、領域232を有することで、チャネル長方向において、ソース領域およびドレイン領域と、第1のゲート電極(導電体260)とが重ならないため、両者の間で不要な容量が形成されることを抑制できる。また、領域232を有することで、非導通時のリーク電流を小さくすることができる。
【0242】
つまり、各領域の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。例えば、トランジスタ200をオフ電流が小さくなる構成とし、トランジスタ700をオン電流が大きくなる構成にすることができる。
【0243】
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。例えば、領域234となる金属酸化物としては、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0244】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。
【0245】
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250aは酸化物230caの上面に接して、絶縁体250bは酸化物230cbの上面に接して、配置することが好ましい。絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。例えば、昇温脱離ガス分光法分析(TDS分析)にて、酸素分子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3、または3.0×1020atoms/cm3である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下の範囲が好ましい。
【0246】
絶縁体250として具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0247】
絶縁体250として加熱により酸素が放出される絶縁体を、酸化物230cの上面に接して設けることにより、絶縁体250から、酸化物230bの領域234に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0248】
また、絶縁体250が有する過剰酸素を、効率的に酸化物230へ供給するために、金属酸化物252を設けてもよい。従って、金属酸化物252は、絶縁体250からの酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物252を設けることで、絶縁体250から導電体260への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物230へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0249】
なお、金属酸化物252は、第1のゲートの一部としての機能を有してもよい。例えば、酸化物230として用いることができる酸化物半導体を、金属酸化物252として用いることができる。その場合、導電体260をスパッタリング法で成膜することで、金属酸化物252の電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0250】
また、金属酸化物252は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、金属酸化物252は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。当該積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0251】
トランジスタ200において、金属酸化物252を単層で示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、ゲート電極の一部として機能する金属酸化物と、ゲート絶縁体の一部として機能する金属酸化物とを積層して設けてもよい。
【0252】
金属酸化物252を有することで、ゲート電極として機能する場合は、導電体260からの電界の影響を弱めることなく、トランジスタ200のオン電流の向上を図ることができる。または、ゲート絶縁体として機能する場合は、絶縁体250と、金属酸化物252との物理的な厚みにより、導電体260と、酸化物230との間の距離を保つことで、導電体260と酸化物230との間のリーク電流を抑制することができる。従って、絶縁体250、および金属酸化物252との積層構造を設けることで、導電体260と酸化物230との間の物理的な距離、および導電体260から酸化物230へかかる電界強度を、容易に適宜調整することができる。
【0253】
具体的には、酸化物230に用いることができる酸化物半導体を低抵抗化することで、金属酸化物252として用いることができる。または、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0254】
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱履歴において、結晶化しにくいため好ましい。なお、金属酸化物252は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0255】
第1のゲート電極として機能する導電体260aは、導電体260aa、および導電体260aa上の導電体260abを有する。また、第1のゲート電極として機能する導電体260bは、導電体260ba、および導電体260ba上の導電体260bbを有する。導電体260aは、導電体205の第1の導電体と同様に、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0256】
導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250、および金属酸化物252が有する過剰酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。
【0257】
また、導電体260bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体260は、配線として機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0258】
また、
図13(A)に示すように、導電体205が、酸化物230のチャネル幅方向の端部よりも外側の領域に延伸している場合、導電体260は、当該領域において、絶縁体250を介して、導電体205と重畳していることが好ましい。つまり、酸化物230の側面の外側において、導電体205と、絶縁体250と、導電体260とは、積層構造を形成することが好ましい。
【0259】
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながり、酸化物230に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0260】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
【0261】
また、導電体260abの上にバリア膜として機能する絶縁体270aを、導電体260bbの上にバリア膜として機能する絶縁体270bを、配置してもよい。絶縁体270は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁体270よりも上方から拡散する酸素で導電体260が酸化するのを抑制することができる。また、絶縁体270よりも上方から拡散する水または水素などの不純物が、導電体260および絶縁体250を介して、酸化物230に混入することを抑制することができる。
【0262】
また、絶縁体270aの上にハードマスクとして機能する絶縁体271aを、絶縁体270bの上にハードマスクとして機能する絶縁体271bを、配置することが好ましい。絶縁体271を設けることで、導電体260の加工の際、導電体260の側面が概略垂直、具体的には、導電体260の側面と基板表面のなす角を、75度以上100度以下、好ましくは80度以上95度以下とすることができる。導電体260をこのような形状に加工することで、次に形成する絶縁体275を所望の形状に形成することができる。
【0263】
なお、絶縁体271に、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いることで、バリア膜としての機能を兼ねさせてもよい。その場合、絶縁体270は設けなくともよい。
【0264】
バッファ層として機能する絶縁体275aは、酸化物230caの側面、絶縁体250aの側面、金属酸化物252aの側面、導電体260aの側面、および絶縁体270aの側面に接して設ける。また、バッファ層として機能する絶縁体275bは、酸化物230cbの側面、絶縁体250bの側面、金属酸化物252bの側面、導電体260bの側面、および絶縁体270bの側面に接して設ける。
【0265】
絶縁体275aは、酸化物230ca、絶縁体250a、金属酸化物252a、導電体260a、絶縁体270a、および絶縁体271aを覆って、絶縁膜を成膜し、当該絶縁膜を異方性エッチング(例えば、ドライエッチング処理など)することで形成することができる。絶縁体275bも絶縁体275aと同時に形成することができる。
【0266】
例えば、絶縁体275として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で、容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
【0267】
また、絶縁体275は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体275として、酸化物230c、および絶縁体250と接して設けることで、絶縁体250から、酸化物230bの領域234に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体275中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0268】
絶縁体130は、比誘電率の大きい絶縁体を用いることが好ましく、絶縁体222などに用いることができる絶縁体を用いればよい。例えば、アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いることができる。アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。また、絶縁体130は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。絶縁体130は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などから、2層以上を選び積層構造としても良い。例えば、ALD法によって、酸化ハフニウム、酸化アルミニウムおよび酸化ハフニウムを順に成膜し、積層構造とすることが好ましい。酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムの膜厚は、それぞれ、0.5nm以上5nm以下とする。このような積層構造とすることで、容量値が大きく、かつ、リーク電流の小さな容量素子100とすることができる。
【0269】
図12(A)(B)に示すように、上面視において、絶縁体130の側面は、導電体120の側面と一致しているが、これに限られるものではない。例えば、絶縁体130をパターン形成せずに、絶縁体130がトランジスタ200a、トランジスタ200bおよびトランジスタ700を覆う構成にしてもよい。
【0270】
導電体120は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、図示しないが、導電体120は積層構造としても良く、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0271】
また、
図14に示すように、絶縁体130aおよび導電体120aは、酸化物230の側面まで覆って設けられることが好ましい。このような構成にすることで、酸化物230の側面方向でも容量素子100aを形成することができるので、容量素子100aの単位面積当たりの電気容量を大きくすることができる。なお、図示していないが、容量素子100bの絶縁体130bおよび導電体120bも、容量素子100aの絶縁体130aおよび導電体120aと同様に設けられることが好ましい。
【0272】
また、絶縁体130および導電体120の一部が、絶縁体271と重なるように、設けられることが好ましい。これにより、領域231a(領域231c)の絶縁体275側の端部まで容量素子の電極として機能させることができる。ここで、絶縁体275が形成されているので、導電体120と導電体260の寄生容量を低減することができる。
【0273】
絶縁体273は、絶縁体275a、絶縁体275b、絶縁体271a、絶縁体271b、層742、絶縁体775、絶縁体771、導電体120a、および導電体120b上に設けられることが好ましい。絶縁体273をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体275、および絶縁体775へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物230、および酸化物730中に酸素を供給することができる。また、絶縁体273を、酸化物230の層242c、および酸化物730の層742上に設けることで、酸化物230、および酸化物730中の水素を、絶縁体273へと引き抜くことができる。
【0274】
例えば、絶縁体273として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0275】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。
【0276】
また、絶縁体273の上に、絶縁体274を設ける。絶縁体274は、バリア性を有し、水素濃度が低減された膜を用いることが好ましい。例えば、絶縁体274としては、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコンなどを用いるとよい。バリア性を有する絶縁体273と、バリア性を有する絶縁体274を設けることで、層間膜など、他の構造体から不純物がトランジスタ200へ拡散することを抑制することができる。
【0277】
また、絶縁体274の上に、層間膜として機能する絶縁体280を設けることが好ましい。絶縁体280は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。なお、絶縁体280の上に絶縁体210と同様の絶縁体282を設けてもよい。絶縁体282をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体280の不純物を低減することができる。また、絶縁体282を設ける場合、絶縁体273および絶縁体274のいずれか一方または両方を設けない構成にしてもよい。また、絶縁体282上に絶縁体280と同様の絶縁体284を設けてもよい。
【0278】
また、絶縁体284、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体273に形成された開口に、導電体240a、導電体240b、導電体240c、導電体740a、および導電体740bを配置する。導電体240aおよび導電体240bは、導電体260aを挟んで対向して設け、導電体240bおよび導電体240cは、導電体260bを挟んで対向して設ける。導電体740aおよび導電体740bは、導電体760を挟んで対向して設ける。なお、導電体240a、導電体240b、導電体240c、導電体740a、および導電体740bの上面は、絶縁体284の上面と、同一平面上としてもよい。
【0279】
なお、絶縁体284、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体273、および絶縁体275の開口の内壁に接して導電体240bが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230の領域231bが位置しており、導電体240bが領域231bと接する。導電体740a、および導電体740bについても同様である。また、導電体240aは導電体120aと接し、導電体240cは導電体120bと接する。
【0280】
図12(B)、
図15に示すように、導電体240bは、導電体260aと導電体260bの間に配置される。ここで、導電体240bは、絶縁体275aおよび絶縁体275bの側面のいずれか一方または両方と接する領域を有することが好ましい。このとき、導電体240bを埋め込む開口において、絶縁体273が、絶縁体275aおよび絶縁体275bの側面のいずれか一方または両方と接する領域を有することが好ましい。
【0281】
導電体240bを埋め込む開口を形成するには、絶縁体280、絶縁体274、絶縁体273の開口形成時に、絶縁体275のエッチング速度が、絶縁体273のエッチング速度に比べて著しく小さい開口条件とすることが好ましい。絶縁体275のエッチング速度を1とすると、絶縁体273のエッチング速度は5以上が好ましく、より好ましくは10以上である。ここで、絶縁体275として用いる絶縁性材料は、上記のエッチング速度を満たすように、エッチング条件および絶縁体273として用いる絶縁性材料に合わせて適宜選択することが好ましい。例えば、絶縁体275として用いる絶縁性材料として、上記の絶縁性材料だけでなく、絶縁体270に用いることができる絶縁性材料を用いてもよい。
【0282】
また、絶縁体273および絶縁体274を設けない構成とする場合には、当該開口の形成時に、絶縁体275のエッチング速度が、絶縁体280のエッチング速度に比べて著しく小さい開口条件とすることが好ましく、絶縁体275のエッチング速度を1とすると、絶縁体280のエッチング速度は5以上が好ましく、より好ましくは10以上である。
【0283】
このように導電体240bを埋め込む開口を形成することで、当該開口の形成時に絶縁体275aおよび絶縁体275bがエッチングストッパーとして機能するので、当該開口が導電体260a及び導電体260bに達することを防ぐことができる。よって、導電体240b、およびそれを埋め込む開口を、自己整合的に形成することができる。例えば、
図23に示すように、導電体240a、導電体240b、および導電体240cを形成する開口がトランジスタ200b側にずれて形成されても、導電体240bと導電体260bは接触しない。また、導電体240bを形成する開口のトランジスタ200のチャネル長方向の幅を、絶縁体275aと絶縁体275bの距離より大きくすることで、
図23に示すように、当該開口の位置がずれて形成されても導電体240bは層242bと十分なコンタクトを取ることができる。なお、ここで、絶縁体271aおよび絶縁体271bにも、絶縁体275と同じ絶縁性材料を用いて、絶縁体271aおよび絶縁体271bもエッチングストッパーとして機能させてもよい。
【0284】
よって、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bのコンタクト部(導電体240b)と、トランジスタ200aのゲートと、トランジスタ200bのゲートと、の位置合わせのマージンを広くすることができ、これらの構成の間隔を小さく設計することができる。以上のようにして、上記半導体装置の微細化および高集積化を図ることができる。
【0285】
また、
図13(B)に示すように、導電体240bは、層242bを介して、酸化物230の側面と重畳することが好ましい。特に、導電体240bは、酸化物230のチャネル幅方向と交わる側面において、A5側の側面、およびA6側の側面の双方または一方と重畳することが好ましい。このように、導電体240bが、ソース領域またはドレイン領域となる領域231bにおいて、酸化物230の側面と重畳する構成とすることで、導電体240bとトランジスタ200のコンタクト部の投影面積を増やすことなく、コンタクト部の接触面積を増加させ、導電体240bとトランジスタ200の接触抵抗を低減することができる。これにより、トランジスタのソース電極およびドレイン電極の微細化を図りつつ、オン電流を大きくすることができる。なお、
図13(B)では、導電体240bのチャネル幅方向の長さは、酸化物230のチャネル幅方向の長さより大きいが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではなく、例えば、導電体240bのチャネル幅方向の長さが、酸化物230のチャネル幅方向の長さと同程度になる構成にしてもよい。
【0286】
また、導電体740a、および導電体740bも上記の導電体240bと同様の構成にすることができる。
【0287】
導電体240、および導電体740は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240、および導電体740は積層構造としてもよい。
【0288】
ここで、例えば、絶縁体284、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体273に開口を形成する際に、酸化物230において、領域231の低抵抗化した領域が除去され、低抵抗化していない酸化物230が露出する場合がある。その場合、導電体240の酸化物230と接する導電体(以下、導電体240の第1の導電体ともいう。)に用いる導電体として、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を用いるとよい。つまり、低抵抗化していない酸化物230と導電体240の第1の導電体とが接することで、金属化合物、または酸化物230に酸素欠損が形成され、酸化物230の領域231が、低抵抗化する。従って、導電体240の第1の導電体と接する酸化物230を低抵抗化することで、酸化物230と導電体240とのコンタクト抵抗を低減することができる。従って、導電体240の第1の導電体は、例えば、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、タングステン、などの金属元素を含むことが好ましい。導電体740も同様の構造にすればよい。
【0289】
また、導電体240、および導電体740を積層構造とする場合、絶縁体284、絶縁体282、絶縁体280、絶縁体274、および絶縁体273と接する導電体には、導電体205の第1の導電体などと同様に、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いることで、絶縁体284より上層から水素、水などの不純物が、導電体240、および導電体740を通じて酸化物230および酸化物730に混入するのを抑制することができる。
【0290】
なお、導電体240、および導電体740を設ける開口において、当該開口の内壁を、酸素や水素に対してバリア性のある絶縁体が覆っている構成にしてもよい。ここで、酸素や水素に対してバリア性のある絶縁体としては、絶縁体214と同様の絶縁体を用いればよく、例えば、酸化アルミニウムなどを用いることが好ましい。これにより、絶縁体280などから水素、水などの不純物が、導電体240および導電体740を通じて酸化物230、および酸化物730に混入するのを抑制することができる。また、当該絶縁体は、例えばALD法またはCVD法などを用いて成膜することで被覆性良く成膜することができる。
【0291】
また、図示しないが、導電体240、および導電体740の上面に接して配線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。なお、当該導電体は、導電体203などと同様に、絶縁体に設けられた開口に埋め込むように形成してもよい。
【0292】
また、絶縁体284上に、絶縁体150を設けてもよい。絶縁体150は、絶縁体280と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体150は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0293】
また、絶縁体150に形成された開口に導電体112を設けることが好ましい。導電体112はトランジスタ200、トランジスタ700、容量素子100などの配線として機能する。
【0294】
導電体112には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。又は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
【0295】
図9に示すように、導電体112は2層以上の積層構造にすればよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。なお、導電体112は、これに限定されず、例えば単層構造にしてもよい。
【0296】
以上のような構成で、上記実施の形態に示す半導体装置を形成することで、14nm世代以降のプロセスルールにも対応して、半導体装置の、微細化、高集積化を図ることができる。
【0297】
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。以下において、特段の記載を行わない場合、トランジスタ200に用いることができる構成材料は、トランジスタ700に用いることができるものとする。
【0298】
以下に示す構成材料の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
【0299】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0300】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを抑制することが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0301】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを抑制することが可能な成膜方法である。よって、欠陥の少ない膜が得られる。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
【0302】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
【0303】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0304】
また、当該構成材料の加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウエットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
【0305】
リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、レジスト上に直接描画を行うため、上述のレジスト露光用のマスクは不要となる。なお、レジストマスクは、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウエットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウエットエッチング処理を行う、またはウエットエッチング処理後にドライエッチング処理を行う、などで、除去することができる。
【0306】
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを用いる場合、当該構成材料上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。当該構成材料のエッチングは、レジストマスクを除去してから行ってもよいし、レジストマスクを残したまま行ってもよい。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することがある。当該構成材料のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去してもよい。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
【0307】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0308】
<<基板>>
トランジスタ200およびトランジスタ700を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0309】
また、基板として、可撓性基板を用いてもよい。なお、可撓性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可撓性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可撓性基板である基板に転置する方法もある。その場合には、非可撓性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。また、基板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板は、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下の厚さとなる領域を有する。基板を薄くすると、トランジスタを有する半導体装置を軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。すなわち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0310】
可撓性基板である基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそれらの繊維などを用いることができる。また、基板として、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。可撓性基板である基板は、線膨張率が低いほど環境による変形が抑制されて好ましい。可撓性基板である基板としては、例えば、線膨張率が1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である材質を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板である基板として好適である。
【0311】
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
【0312】
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
【0313】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
【0314】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがある。
【0315】
また、特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定である。そのため、例えば、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。また、例えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0316】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。
【0317】
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0318】
例えば、絶縁体273として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0319】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。また、酸化ハフニウムは、酸化アルミニウムよりもバリア性が低いが、膜厚を厚くすることによりバリア性を高めることができる。したがって、酸化ハフニウムの膜厚を調整することで、水素、および窒素の適切な添加量を調整することができる。
【0320】
例えば、ゲート絶縁体の一部として機能する絶縁体224および絶縁体250は、過剰酸素領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、過剰酸素領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
【0321】
また、例えば、ゲート絶縁体の一部として機能する絶縁体222において、アルミニウム、ハフニウム、およびガリウムの一種または複数種の酸化物を含む絶縁体を用いることができる。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0322】
例えば、絶縁体220には、熱に対して安定である酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いることが好ましい。ゲート絶縁体として、熱に対して安定な膜と、比誘電率が高い膜との積層構造とすることで、物理膜厚を保持したまま、ゲート絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0323】
上記積層構造とすることで、ゲート電極からの電界の影響を弱めることなく、オン電流の向上を図ることができる。また、ゲート絶縁体の物理的な厚みにより、ゲート電極と、チャネルが形成される領域との間の距離を保つことで、ゲート電極とチャネル形成領域との間のリーク電流を抑制することができる。
【0324】
絶縁体212、絶縁体216、絶縁体271、絶縁体275、絶縁体280、および絶縁体284は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。
【0325】
絶縁体210、絶縁体214、絶縁体270、絶縁体273、および絶縁体282としては、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。絶縁体270および絶縁体273としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いればよい。
【0326】
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0327】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0328】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0329】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0330】
導電体260、導電体203、導電体205、および導電体240としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0331】
<<金属酸化物>>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0332】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0333】
上記の金属のいずれか一又は複数を、金属酸化物の主成分として用いることができる。また、前述の層242に含まれる金属は、金属酸化物の主成分として用いられている金属とは異なる金属を選択することができる。
【0334】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0335】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0336】
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0337】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、およびCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
【0338】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(または正孔)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0339】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、および絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0340】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0341】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、および高い電界効果移動度を得ることができる。
【0342】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0343】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
【0344】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0345】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0346】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0347】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0348】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0349】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0350】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0351】
[金属酸化物を有するトランジスタ]
続いて、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合について説明する。
【0352】
なお、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0353】
ここで、金属酸化物の電気伝導の仮説の一例について説明する。
【0354】
固体中の電気伝導は、散乱中心と呼ばれる散乱源によって阻害される。例えば、単結晶シリコンの場合、格子散乱とイオン化不純物散乱が、主な散乱中心であることが知られている。換言すると、格子欠陥や不純物の少ない本質的な状態のとき、固体中の電気伝導の阻害要因がなく、キャリアの移動度は高い。
【0355】
上記のことは、金属酸化物に対しても、あてはまると推測される。例えば、化学量論的組成を満たす酸素よりも少ない酸素を含む金属酸化物では、酸素欠損VOが多く存在すると考えられる。この酸素欠損周りに存在する原子は、本質的な状態よりも、歪んだ場所に位置する。この酸素欠損による歪みが散乱中心となっている可能性がある。
【0356】
また、例えば、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む金属化合物では、過剰酸素が存在する。金属化合物中で遊離した状態で存在する過剰酸素は、電子を受け取ることで、O-やO2-になる。O-やO2-となった過剰酸素が散乱中心になる可能性がある。
【0357】
以上のことから、金属酸化物が、化学量論的組成を満たす酸素を含む本質的な状態を有する場合、キャリアの移動度は高いと考えられる。
【0358】
インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、とくに、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。これは、大きな結晶を形成するよりも、小さな結晶同士が連結する方が、歪みエネルギーが緩和されるためと考えられる。
【0359】
なお、小さな結晶同士が連結する領域においては、該領域の歪みエネルギーを緩和するために、欠陥が形成される場合がある。したがって、該領域に欠陥を形成することなく、歪みエネルギーを緩和させることで、キャリアの移動度を高くすることができる。
【0360】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物膜のキャリア密度を低くする場合においては、金属酸化物膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。例えば、金属酸化物は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上とすればよい。
【0361】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0362】
また、金属酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い金属酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0363】
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、金属酸化物中の不純物濃度を低減することが有効である。また、金属酸化物中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0364】
また、トランジスタの半導体に用いる金属酸化物として、結晶性の高い薄膜を用いることが好ましい。該薄膜を用いることで、トランジスタの安定性または信頼性を向上させることができる。該薄膜として、例えば、単結晶金属酸化物の薄膜または多結晶金属酸化物の薄膜が挙げられる。しかしながら、単結晶金属酸化物の薄膜または多結晶金属酸化物の薄膜を基板上に形成するには、高温またはレーザー加熱の工程が必要とされる。よって、製造工程のコストが増加し、さらに、スループットも低下してしまう。
【0365】
2009年に、CAAC構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(CAAC-IGZOと呼ぶ。)が発見されたことが、非特許文献1および非特許文献2で報告されている。ここでは、CAAC-IGZOは、c軸配向性を有する、結晶粒界が明確に確認されない、低温で基板上に形成可能である、ことが報告されている。さらに、CAAC-IGZOを用いたトランジスタは、優れた電気特性および信頼性を有することが報告されている。
【0366】
また、2013年には、nc構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(nc-IGZOと呼ぶ。)が発見された(非特許文献3参照。)。ここでは、nc-IGZOは、微小な領域(例えば、1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有し、異なる該領域間で結晶方位に規則性が見られないことが報告されている。
【0367】
非特許文献4および非特許文献5では、上記のCAAC-IGZO、nc-IGZO、および結晶性の低いIGZOのそれぞれの薄膜に対する電子線の照射による平均結晶サイズの推移が示されている。結晶性の低いIGZOの薄膜において、電子線が照射される前でさえ、1nm程度の結晶性IGZOが観察されている。よって、ここでは、IGZOにおいて、完全な非晶質構造(completely amorphous structure)の存在を確認できなかった、と報告されている。さらに、結晶性の低いIGZOの薄膜と比べて、CAAC-IGZOの薄膜およびnc-IGZOの薄膜は電子線照射に対する安定性が高いことが示されている。よって、トランジスタの半導体として、CAAC-IGZOの薄膜またはnc-IGZOの薄膜を用いることが好ましい。
【0368】
金属酸化物を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さい、具体的には、トランジスタのチャネル幅1μmあたりのオフ電流がyA/μm(10-24A/μm)オーダである、ことが非特許文献6に示されている。例えば、金属酸化物を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている(非特許文献7参照。)。
【0369】
また、金属酸化物を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該トランジスタの表示装置への応用が報告されている(非特許文献8参照。)。表示装置では、表示される画像が1秒間に数十回切り換っている。1秒間あたりの画像の切り換え回数はリフレッシュレートと呼ばれている。また、リフレッシュレートを駆動周波数と呼ぶこともある。このような人の目で知覚が困難である高速の画面の切り換えが、目の疲労の原因として考えられている。そこで、表示装置のリフレッシュレートを低下させて、画像の書き換え回数を減らすことが提案されている。また、リフレッシュレートを低下させた駆動により、表示装置の消費電力を低減することが可能である。このような駆動方法を、アイドリング・ストップ(IDS)駆動と呼ぶ。
【0370】
CAAC構造およびnc構造の発見は、CAAC構造またはnc構造を有する金属酸化物を用いたトランジスタの電気特性および信頼性の向上、ならびに、製造工程のコスト低下およびスループットの向上に貢献している。また、該トランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該トランジスタの表示装置およびLSIへの応用研究が進められている。
【0371】
[不純物]
ここで、金属酸化物中における各不純物の影響について説明する。
【0372】
金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、金属酸化物において欠陥準位が形成される。このため、金属酸化物におけるシリコンや炭素の濃度と、金属酸化物との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(SIMSにより得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0373】
また、金属酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0374】
また、金属酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、当該金属酸化物において、チャネル形成領域の窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、金属酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
【0375】
また、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
【0376】
不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0377】
<半導体装置の変形例>
以下では、
図24乃至
図27を用いて、本発明の一態様に係る半導体装置の一例について説明する。
【0378】
図24、
図25、および
図26に示す半導体装置は、トランジスタ200において、絶縁体275ではなく絶縁体272が設けられている点において、
図12乃至
図15に示す半導体装置と異なる。なお、その他の構成の記載については、
図12乃至
図15に示す半導体装置に係る記載を参酌することができる。また、図示しないが、トランジスタ700も同様に絶縁体775の代わりに絶縁体272相当の絶縁体が設けられている。
【0379】
図24(A)は、メモリセル600を有する半導体装置の上面図である。また、
図24(B)、
図25は当該半導体装置の断面図である。ここで、
図24(B)は、
図24(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bのチャネル長方向の断面図でもある。また、
図25は、
図24(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200aのチャネル幅方向の断面図でもある。なお、
図24(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。また、
図24(A)のA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面は、
図13(B)に示す構造と同じである。また
図24(B)において破線で囲む、領域239の拡大図を
図26に示す。
【0380】
絶縁体272は、酸化物230cの側面、絶縁体250の側面、金属酸化物252の側面、導電体260の側面、および絶縁体270の側面に接して設ける。ここで、絶縁体272は、バッファ層としての機能を有する。なお、絶縁体272は、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いてもよい。その場合、絶縁体272はバリア層としての機能も有する。
【0381】
例えば、絶縁体272として、ALD法を用いて成膜することが好ましい。ALD法を用いることで、緻密な薄膜を成膜することができる。絶縁体272は、例えば、酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。絶縁体272として、ALD法を用いて酸化アルミニウムを設ける場合、絶縁体272の膜厚は、0.5nm以上3.0nm以下とすることが好ましい。
【0382】
絶縁体272を設けることで、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で、絶縁体250、金属酸化物252、および導電体260の側面を覆うことができる。従って、絶縁体250、および金属酸化物252の端部などから酸化物230に水素、水などの不純物が混入するのを抑制することができる。そのため、酸化物230と、絶縁体250との界面における酸素欠損の形成が抑制され、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。つまり、絶縁体272は、ゲート電極およびゲート絶縁体の側面を保護するサイドバリアとしての機能を有する。
【0383】
また、上記のような材料を絶縁体272に用いることで、比較的容易に、導電体240b、導電体740a、または導電体740bを、トランジスタ200a、トランジスタ200b、またはトランジスタ700のゲートと、短絡させずに、自己整合的に形成することができる。これにより、トランジスタ200a、トランジスタ200b、またはトランジスタ700の占有面積を縮小することができるので、さらにメモリセルアレイの微細化および高集積化を図ることができる。
【0384】
また、上記実施の形態において、
図4に示すように、メモリセルアレイを含む層20を複数積層して配置する場合、
図27に示すように、トランジスタ700、メモリセル600a、メモリセル600bを含む層610を積層して配置してもよい。
図27では、層610を第1層から第N層まで積層している。
図27に示すように、複数のセルアレイを積層することにより、セルアレイの占有面積を増やすことなく、セルを集積して配置することができる。つまり、3Dセルアレイを構成することができる。
【0385】
本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オン電流の大きい半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、消費電力が低減された半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
【0386】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0387】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置10を電子部品に適用する例について説明する。なお、電子部品は、半導体パッケージ、またはICパッケージともいう。半導体パッケージの一つに、複数の半導体チップ(集積回路)を1つのパッケージに実装したMCM(Multi Chip Module)が知られている。
【0388】
図28(A)に、半導体装置300の斜視図を示す。
図28(B)は半導体装置300の上面図である。半導体装置300は電子部品であり、MCMでもある。半導体装置300は、パッケージ基板302(プリント基板)上にインターポーザ301が設けられ、インターポーザ301上にCPU303、GPU304、および複数の半導体装置10が設けられている。本実施の形態では、半導体装置10の一例として、複数のセルアレイを積層して形成した広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)を示している。
【0389】
なお、本実施の形態では、インターポーザ301上に設ける集積回路(半導体チップ)として、CPU、GPU、およびメモリ(記憶装置)を例示しているが、これら以外の集積回路を用いることもできる。
【0390】
パッケージ基板302は、セラミック基板、プラスチック基板、またはガラスエポキシ基板などを用いることができる。インターポーザ301は、シリコンインターポーザ、樹脂インターポーザなどを用いることができる。
【0391】
インターポーザ301は、複数の配線を有し、端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層または多層で設けられる。また、インターポーザ301は、インターポーザ301上に設けられた集積回路をパッケージ基板302に設けられた電極と電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザを「再配線基板」または「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ301に貫通電極を設けて、当該貫通電極を用いて集積回路とパッケージ基板302を電気的に接続する場合もある。また、シリコンインターポーザでは、貫通電極として、TSV(Through Silicon Via)を用いることも出来る。
【0392】
インターポーザ301としてシリコンインターポーザを用いることが好ましい。シリコンインターポーザでは能動素子を設ける必要が無いため、集積回路を作製するよりも低いコストで作製することができる。一方で、シリコンインターポーザの配線形成は半導体プロセスで行なうことができるため、樹脂インターポーザでは難しい微細配線の形成が容易である。
【0393】
HBMでは、広いメモリバンド幅を実現するために多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザには、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザには、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0394】
また、シリコンインターポーザを用いたMCMでは、集積回路とインターポーザ間の膨張係数の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路とシリコンインターポーザ間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)では、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0395】
図29(A)乃至(C)は、
図28(B)に一点鎖線で示したA1-A2間に相当する断面図である。
図29(A)および(B)は、本発明の一態様の半導体装置10を用いた半導体装置300の断面図である。
【0396】
まず、従来例の半導体装置300pについて説明する。
図29(C)は、従来例の半導体装置300pを説明するための断面図である。半導体装置300pは、CPU303(
図29(C)に図示せず。)、GPU304、および半導体装置10pを有する。半導体装置10pは、半導体装置10に相当する。
【0397】
図29(C)において、パッケージ基板302上に複数のバンプ311を介してインターポーザ301が設けられている。また、CPU303(
図29(C)に図示せず。)、GPU304、および半導体装置10pは、それぞれが異なるバンプ312を介してインターポーザ301上に設けられている。なお、バンプ312はバンプ311よりも小さい。バンプ311およびバンプ312は、金(Au)、ニッケル(Ni)、インジウム(In)、錫(Sn)などを含む導電性材料を用いて形成される。例えば、バンプとして半田を用いる場合がある。
【0398】
半導体装置10pは、半導体装置25a、半導体装置25b、半導体装置25c、および半導体装置35を有する。半導体装置25a、半導体装置25b、および半導体装置25cはそれぞれがセルアレイを有し、半導体装置35は半導体装置25a、半導体装置25b、および半導体装置25cを制御するための論理回路などを有する。半導体装置25a、半導体装置25b、半導体装置25c、および半導体装置35はそれぞれがシリコン基板を用いて形成さている。
【0399】
半導体装置25aは複数のバンプを介して半導体装置35上に重ねて設けられている。半導体装置25bは複数のバンプを介して半導体装置25a上に重ねて設けられている。半導体装置25cは複数のバンプを介して半導体装置25b上に重ねて設けられている。半導体装置25a、半導体装置25b、半導体装置25c、および半導体装置35は、それぞれにTSV313が設けられている。半導体装置25a、半導体装置25b、および半導体装置25cは、TSV313およびバンプ312を介して半導体装置35と電気的に接続されている。また、半導体装置35はTSV313およびバンプ312を介してインターポーザ301と電気的に接続している。
【0400】
半導体装置10pは、半導体装置25a、半導体装置25b、半導体装置25c、および半導体装置35それぞれがバンプ312を介して積層されているため、厚くなり易い。すなわち半導体装置300pの薄型化が難しい。また、TSV313を多用する必要があるため、製造コストの増加や、歩留まりの低下などが生じ易かった。
【0401】
次に、本発明の一態様の半導体装置10を用いた半導体装置300について説明する。半導体装置300は、半導体装置10pに換えて半導体装置10を用いる点が半導体装置300pと異なる。半導体装置10は、層20_1、層20_2、層20_3、および層30を有する。層20_1、層20_2、および層20_3はそれぞれがセルアレイを有し、層30は層20_1、層20_2、および層20_3を制御するための論理回路などを有する。層30として上記実施の形態に示した半導体基板を用いることができる。なお、半導体装置10については上記実施の形態で説明しているので、本実施の形態での詳細な説明は省略する。
【0402】
図29(A)は、層30をシリコン基板を用いて形成した半導体装置10の例を示している。層20_1は層30上に設けられ、層20_2は層20_1上に設けられ、層20_3は層20_2上に設けられている。層20_1、層20_2、および層20_3は、それぞれが薄膜プロセスを用いて形成されている。このため、層30と層20_1の間、層20_1と層20_2の間、層20_2と層20_3の間に隙間ができず、半導体装置10を薄くすることができる。すなわち半導体装置300は薄型化が容易である。また、層20_1、層20_2、および層20_3では、TSV313やバンプ312を設ける必要がないため、製造コストの低減および製造歩留まりの向上を図ることができる。また、半導体装置10は、半導体装置10pと比較してシリコン基板の使用を無くす、または減らすことが出来るため、半導体装置10pよりも製造コストを低減できる。
【0403】
図29(B)は、層20_1、層20_2、および層20_3と同様に、層30も薄膜プロセスを用いて形成した半導体装置10の例を示している。
図29(B)に示す半導体装置10では、層30をインターポーザ301上に直接形成するため、
図29(A)で層30とインターポーザ301の間に設けていたバンプ312を省略することができる。よって、
図29(A)に示した半導体装置300よりも、さらに薄型化しやすく、製造コストの低減および製造歩留まりの向上を図ることができる。
【0404】
図30(A)および(B)は、
図28(B)に一点鎖線で示したA1-A2間に相当する断面図である。
【0405】
半導体装置300の上にヒートシンク360(放熱板)を設ける場合は、
図30(A)に示すように、インターポーザ上に設けられた集積回路の高さを揃えることが好ましい。具体的には、インターポーザ上の半導体装置10の高さh1と、インターポーザ上のGPU304およびCPU303(
図30(A)に図示せず。)の高さh2を略等しくすることが好ましい。インターポーザ上に設けられた集積回路の高さを揃えることで、全ての集積回路をヒートシンク360と確実に接触させることができる。
【0406】
チャネルが形成される半導体層に金属酸化物の一種である酸化物半導体を用いたトランジスタ(「OSトランジスタ」ともいう。)は、動作温度が上昇してもオフ電流の増加が極めて少なく、安定して動作することができる。このため、半導体装置10をOSトランジスタで形成する場合は、
図30(B)に示すように、GPU304(およびCPU303。
図30(B)に図示せず。)よりも半導体装置10が低くても構わない。具体的には、h2よりもh1が小さくても構わない。OSトランジスタを用いることによって、半導体装置300の設計自由度を高めることができる。集積回路をOSトランジスタで形成することによって、ヒートシンク360を省略することもできる。
【0407】
半導体装置300を他の基板に実装するため、パッケージ基板302の底部に電極315を設けてもよい。
図31(A)は、電極315を半田ボールで形成する例を示している。パッケージ基板302の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。
図31(B)は、電極315を導電性のピンで形成する例を示している。パッケージ基板302の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
【0408】
半導体装置300は、BGAおよびPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded package)、またはQFN(Quad Flat Non-leaded package)などの実装方法を用いることができる。
【0409】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0410】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置および/または電子部品が搭載された電子機器の例について説明する。
【0411】
本発明の一態様に係る半導体装置および電子部品は、様々な電子機器に搭載することができる。電子機器の例としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0412】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0413】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0414】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
図32及び
図33に、電子機器の例を示す。
【0415】
図32(A)に示すロボット2100は、演算装置2110、照度センサ2101、マイクロフォン2102、上部カメラ2103、スピーカ2104、ディスプレイ2105、下部カメラ2106および障害物センサ2107、移動機構2108を備える。なお、ここでは一例として、人型のロボットを示している。
【0416】
ロボット2100において、演算装置2110、照度センサ2101、上部カメラ2103、下部カメラ2106および障害物センサ2107等に、上記半導体装置および/または上記電子部品を使用することができる。
【0417】
マイクロフォン2102は、使用者の話し声及び環境音等を検知する機能を有する。また、スピーカ2104は、音声を発する機能を有する。ロボット2100は、マイクロフォン2102およびスピーカ2104を用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
【0418】
ディスプレイ2105は、種々の情報の表示を行う機能を有する。ロボット2100は、使用者の望みの情報をディスプレイ2105に表示することが可能である。ディスプレイ2105は、タッチパネルを搭載していてもよい。
【0419】
上部カメラ2103および下部カメラ2106は、ロボット2100の周囲を撮像する機能を有する。また、障害物センサ2107は、ロボット2100が二足歩行で前進する際の進行方向における障害物の有無を察知することができる。ロボット2100は、上部カメラ2103、下部カメラ2106および障害物センサ2107を用いて、周囲の環境を認識し、安全に移動することが可能である。
【0420】
図32(B)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、カメラ2981等を有する。また、自動車2980は、赤外線レーダー、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなど各種センサなどを備える。自動車2980は、カメラ2981が撮影した画像を解析し、歩行者の有無など、周囲の交通状況を判断し、自動運転を行うことができる。
【0421】
自動車2980において、カメラ2981に上記半導体装置および/または上記電子部品を用いることができる。
【0422】
図32(C)に、互いに別々の言語で話す複数の人間のコミュニケーションにおいて、携帯電子機器2130に同時通訳を行わせる状況を示す。
【0423】
携帯電子機器2130は、マイクロフォンおよびスピーカ等を有し、使用者の話し声を認識してそれを話し相手の話す言語に翻訳する機能を有する。携帯電子機器2130の演算装置に、上記半導体装置および/または上記電子部品を使用することができる。
【0424】
図33(A)は、飛行体2120を示す外観図である。飛行体2120は、演算装置2121と、プロペラ2123と、カメラ2122と、を有し、自律して飛行する機能を有する。
【0425】
飛行体2120において、演算装置2121およびカメラ2122に上記半導体装置および/または上記電子部品を用いることができる。
【0426】
図33(B-1)及び
図33(B-2)に、飛行体2120の使用形態の例を示す。
図33(B-1)に示すように、飛行体2120は貨物2124の運搬に用いることができる。また、
図33(B-2)に示すように、飛行体2120に農薬を封入した容器2125を搭載し、飛行体2120を農薬の散布に用いることができる。
【0427】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0428】
10:半導体装置、20:層、21:制御回路、25a:半導体装置、25b:半導体装置、25c:半導体装置、30:層、35:半導体装置、40:層、41:受光部、42:光、43:駆動回路、100:容量素子、100a:容量素子、100b:容量素子、112:導電体、120:導電体、120a:導電体、120b:導電体、130:絶縁体、130a:絶縁体、130b:絶縁体、150:絶縁体、200:トランジスタ、200a:トランジスタ、200b:トランジスタ、203:導電体、203a:導電体、203b:導電体、203c:導電体、205:導電体、205a:導電体、205b:導電体、205c:導電体、210:絶縁体、212:絶縁体、214:絶縁体、216:絶縁体、220:絶縁体、222:絶縁体、224:絶縁体、230:酸化物、230a:酸化物、230b:酸化物、230c:酸化物、230ca:酸化物、230cb:酸化物、231:領域、231a:領域、231b:領域、231c:領域、232:領域、232a:領域、232b:領域、232c:領域、232d:領域、234:領域、234a:領域、234b:領域、239:領域、240:導電体、240a:導電体、240b:導電体、240c:導電体、242:層、242a:層、242b:層、242c:層、250:絶縁体、250a:絶縁体、250b:絶縁体、252:金属酸化物、252a:金属酸化物、252b:金属酸化物、260:導電体、260a:導電体、260aa:導電体、260ab:導電体、260b:導電体、260ba:導電体、260bb:導電体、270:絶縁体、270a:絶縁体、270b:絶縁体、271:絶縁体、271a:絶縁体、271b:絶縁体、272:絶縁体、273:絶縁体、274:絶縁体、275:絶縁体、275a:絶縁体、275b:絶縁体、280:絶縁体、282:絶縁体、284:絶縁体