(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】タービン
(51)【国際特許分類】
F01D 1/32 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
F01D1/32
(21)【出願番号】P 2019528550
(86)(22)【出願日】2017-12-20
(86)【国際出願番号】 AU2017051423
(87)【国際公開番号】W WO2018112530
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-11-19
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519080849
【氏名又は名称】シー アイ コーポレーション ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】C I Corporation Pty Ltd
【住所又は居所原語表記】c/- Crowe Horwath, Suite 403, Pivotal Point, 50 Marine Parade, Southport, Queensland, Australia
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エル サフティ アーメッド
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0033808(US,A1)
【文献】米国特許第04336039(US,A)
【文献】米国特許第07722313(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンロータアセンブリであって、
単体構造本体であって、前記ロータアセンブリ内に流体を注入するための少なくとも1つの入口と、前記単体構造本体に囲まれ、前記単体構造本体の中心から放射状に延びており出口部において終了している複数の流路と、を含む、前記単体構造本体、
を含み、
前記少なくとも1つの入口が前記複数の流路それぞれと流体連通しており、
前記単体構造本体が、一方向において見たときに実質的に円形であり、垂直方向に見たときに、弓状の胴部を有する鐘形状であり、
作動流体が前記出口部から出るときに回転力を発生させる目的で、前記複数の流路の各々の前記出口部が、それぞれ、前記本体のリップ部の側面縁部に設けられており、前記リップ部の実質的に接線方向に向いており、
接線方向の推力を発生させてロータを回転させるために、前記出口部がそれぞれ収束-発散ノズルを含み、
前記ロータアセンブリの回転をもたらすために、前記ロータアセンブリ内への作動流体の軸方向の流れを半径方向の流れに変換する目的で、前記複数の流路それぞれが、前記入口と前記収束-発散ノズルとの間で、制約部なしに弓状でありかつ連続的であ
り、
前記複数の流路それぞれが、少なくとも部分的に、前記入口に隣接する前記本体の部分から、前記複数の流路の前記出口部まで延びる螺旋状であり、
前記本体が、焼結または3D印刷される金属材料またはエラストマ材料から形成されている、
タービンロータアセンブリ。
【請求項2】
発電するために使用される利用可能な仕事を発生させる目的で、軸に連結される、請求項1に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項3】
前記ロータアセンブリに取り付けられている
ロータ磁気カップリング部を介して軸に連結されて
いるタービンロータアセンブリであって、前記
ロータ磁気カップリング部が、前記軸に取り付けられている
軸磁気カップリング部に磁気的に関連付けられている、請求項
2に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項4】
前記タービンロータアセンブリが作動流体によって駆動される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項5】
前記作動流体が圧縮性かつ液化可能な蒸気である、請求項4に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項6】
前記作動流体が非共沸流体混合物である、請求項4に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項7】
前記本体が、一方向において見たときに実質的に円形であり、垂直方向に見たときに実質的に円錐または円錐台である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項8】
前記出口部それぞれが互いに同一平面上である、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項9】
前記本体に
前記ロータ磁気カップリング部を取り付けるための固定具を受け入れるため、前記本体の下側壁から延びる、前記本体に設けられている開口部、をさらに含む、請求項
3に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項10】
前記本体を形成するために使用される材料の量が減少するように、本体の下側壁が、前記本体の前記弓状の胴部と同心になるように延在している、請求項
1から9のいずれか1項に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項11】
前記本体に設けられている前記複数の流路それぞれが、少なくとも1つの収束領域を含む、請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項12】
前記ロータが形成されるときに前記流路に統合されるノズルを形成するために、各流路における前記収束領域が、各流路からの前記出口部の横、ただし前記出口部から間隔をおいて設けられている、請求項
11に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項13】
前記収束領域の少なくとも入口側、前記流路と前記少なくとも1つの収束領域との間に、弓状の遷移部が設けられている、請求項
11または請求項
12に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの収束領域から下流に、各流路からの前記出口部の横、ただし前記出口部から間隔をおいて、各流路に発散領域が設けられている、請求項
10から請求項
13のいずれか1項に記載のタービンロータアセンブリ。
【請求項15】
前記収束領域が、前記流路の断面積のおよそ1/2である、請求項
11から請求項
14のいずれか1項に記載のタービンロータアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体を利用して回転エネルギを生成するタービンアセンブリおよびタービンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタービンの基本的な動作は、膨張ガスまたは加圧流体(例えば蒸気流または加圧液体(まとめて作動流体として知られている))が、ドラムまたは軸の周囲に取り付けられた翼または一連の翼に導かれる。作動流体はタービン室に入り、中心の軸の周囲に取り付けられているタービン翼に当たり、これにより軸を回転させて有用な仕事を提供する。タービン軸の仕事を利用して、軸に結合される発電機などの装置を駆動する。軸は、一般には、水平軸線上の密封された潤滑軸受に取り付けられており、この軸受は、潤滑不良を回避するために冷却する必要がある。軸の仕事に利用されないエネルギは、消費された作動流体における廃熱として排ガスに現れ、したがってこれらの排ガスは高い温度または高い速度のいずれかを有する。高圧の作動流体の移動と、翼型タービンの高速回転とによって、大きな騒音が発生する。
【0003】
現在使用されている別のタイプのタービンは、純反動タービン(pure reaction turbine)であり、このタービンでは、ロータ本体が、回転するタービンヘッド内の流路の中央に位置する静止した作動流体入口(stationary working fluid inlet)の周囲に取り付けられている。ロータ本体には、ロータ本体内の流路と流体連通している周囲に取り付けられたノズルが設けられている。作動流体は、中央に取り付けられている静止した作動流体入口を通じて、このタイプのロータの流路に導入され、この作動流体は、ロータ本体の中を流れて、周囲に取り付けられたノズルから排出される。ノズルは、排出される高圧の作動流体によってロータの推力および回転がもたらされるように向けられている。従来の翼型タービンと同様に、利用可能な軸の仕事を取り出す目的で、通常ではロータが軸に結合されている。
【0004】
上述したタービンおよびロータそれぞれに関する主たる問題点の1つは、タービンおよびロータに関連付けられる軸が、従来のタービンにおけるタービン翼のための中央に取り付けられる軸であるか、純反動タービンの静止した作動流体流路入口であるかにかかわらず、この軸を、軸またはロータの回転と、作動流体が漏れ得ないようにする低摩擦支持機構の両方を可能にする何らかの方法で、支持しなければならないことである。摩擦に起因する仕事出力の損失は、実質的に、(i)従来のタービンの場合には軸と支持部との間、または(ii)純反動タービンの場合にはロータと静止した作動流体流路入口との間、であり得る。
【0005】
これに加えて、上述した両方のタービンの作動流体は、1種類の作動流体のみに制限される。
【0006】
両方のタイプのタービンに関する1つの別の問題点は、乱流の動き、超音速流、タービンの翼に対する作動流体の衝突に加えて、従来の軸流タービンの場合のタービン翼の動きまたは超音速流、純反動タービンのロータアームの動き、に関連付けられる騒音放射である。
【0007】
特に、純反動タービンの静止した作動流体入口およびロータ形状に関するさらなる問題点として、注入された作動流体が、周囲に取り付けられたノズル以外によってロータから消失することを防止する、または少なくとも消失量を減らすために、作動流体の入口とロータを互いに密封する必要があり、これによりタービンの効率が低下する。これを達成することのできる1つの方法は、回転する軸受および密封部材の複雑な多部品構造によるものである。上述したタービンの、軸受が回転する密封構造では、頻繁な保守間隔が要求される。
【0008】
両方のタイプのタービンは、作動流体の所与の温度および圧力における回転速度が設計により制限され、従来のタービンの場合には翼の形状またはサイズ、純反動タービンの場合にはロータアームの形状またはサイズを変更することなしには、回転速度を調整することができない。
【0009】
なお当然ながら、本明細書において従来技術の刊行物が参照されている場合、その参照は、豪州および任意の他の国においてその刊行物がこの技術分野における共通の一般的知識の一部を形成していることを認めるものではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した欠点の少なくとも1つを少なくとも部分的に克服しうる、または有用もしくは商業的な選択肢を消費者に提供しうるタービン、を対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記に鑑み、本発明は、一形態においては、広義には、タービンロータアセンブリであって、単体構造本体(unitary body)であり、ロータアセンブリ内に流体を注入するための少なくとも1つの入口と、単体構造本体の中を延びており出口部において終了している複数の流路と、を含む、単体構造本体、を含み、少なくとも1つの流体入口を通じて本体に入る流体の少なくとも一部が、流路それぞれに流れ込むことができるように、少なくとも1つの入口が複数の流路それぞれと流体連通している、タービンロータアセンブリ、に属する。
【0012】
本発明のタービンロータアセンブリは、特定の用途として発電に使用される、中速、中トルクのロータアセンブリであるように設計されている。本発明のタービンロータアセンブリの主たる利点の1つは、タービンの特徴により、本アセンブリには、オルタネータを動作させるために減速装置が必要ないことである。本ロータアセンブリは、発電するために使用することのできる利用可能な仕事を発生させる目的で回転するように設計されており、好ましくは軸に関連付けられる。本ロータアセンブリは、磁気カップリング(magnetic coupling)または類似するタイプのカップリングを介して軸に関連付けられることが好ましい。
【0013】
本発明の文脈において、用語「中速」とは、好ましくは毎分100回転を超えて毎分6000回転に近いことを意味する。ロータアセンブリの中程度の速度の回転と、軸受が破損した場合の損傷または怪我の可能性とを考慮すると、本アセンブリの中程度の速度のロータは、通常では閉じたハウジング内で使用され、したがって利用可能な仕事を取り出すため、好ましい磁気カップリングを使用して高速ロータを軸に関連付ける。
【0014】
本発明の中程度の速度のタービンロータアセンブリは、作動流体によって駆動されることが好ましく、好ましい流体は、冷媒または類似する圧縮性かつ液化可能な蒸気である。好ましい作動流体は、本タービンロータの中程度の速度の回転を駆動する目的で、一般には入口を介してロータアセンブリに供給され、ロータ内の流路を通り、ロータに画成されている収束-発散出口(converging and diverging outlet)から排出される。本発明のタービンは、非共沸流体混合物(zeotropic fluid mixture)を使用して動作することもできる。
【0015】
本発明の中程度の速度のロータは、複数の流路を含む本体を含み、各流路は出口の収束-発散部分において終了している。
【0016】
本タービンロータアセンブリは、単体構造本体であって、ロータアセンブリ内に流体を注入するための少なくとも1つの入口と、単体構造本体の中を延びており出口部において終了している複数の流路と、を含む、単体構造本体、を含み、少なくとも1つの入口が複数の流路それぞれと流体連通している。
【0017】
本体は、一方向において見たときに実質的に円形であり、垂直方向に見たときに実質的に円錐または部分円錐(円錐台)であることが好ましい。本体は、円錐台形状であり、ただし真に円錐の形状が有する実質的に平坦な胴部ではなく、弓状の胴部を有する鐘形状であることが特に好ましい。
【0018】
好ましい実施形態においては、複数の流路の出口部は、通常では本体のリップ部の側面縁部(lateral side edge)に設けられている。好ましい作動流体または作動ガスが出口部から出るときに回転力を発生させる目的で、出口部はリップ部の実質的に接線方向に向いていることが好ましい。所望の接線方向の推力を発生させてロータを回転させるために、出口部は収束-発散ノズルを含むことが好ましい。
【0019】
それぞれの流路の出口部は、回転を駆動する目的で一般には互いに一様にジグザグ状である(staggered)またはわずかにオフセットされている。
【0020】
最大限の回転速度を発生させるために、駆動力のすべてではないにせよ大部分が同じ平面内に印加されてバランスよく回転を駆動する目的で、出口部は互いに同一平面上であることが好ましい。
【0021】
複数の流路それぞれは、少なくとも部分的に、入口に隣接する本体の部分から、好ましくは本体のリップ部の側面縁部に設けられている複数の流路の出口部まで延びる螺旋状であることが好ましい。
【0022】
流路は、それぞれ、好ましい実質的に円錐または円錐台の本体の入口に隣接する本体の部分から周囲リップ部に向かって延びており、ただし流路の終端部がリップ部に対して実質的に接線方向を向くように、流路が周囲リップ部に向かって延びるにつれて入口から弧または曲線を描いて離れていくことが好ましい。すべての流路は、一般に本体の中を同じ方向に延びている。本体内に形成されている複数の流路は、本体を中心に等間隔に配置されていることが好ましい。
【0023】
本発明のロータアセンブリには、偶数本の流路が設けられることが好ましい。通常では本ロータアセンブリには5~15本の流路が画成されるが、設けられる流路の数は一般にロータアセンブリのサイズに依存し、より大きいロータアセンブリは、より小さいロータアセンブリより多くの流路を含む。
【0024】
ロータアセンブリの回転をもたらすために、ロータアセンブリ内への軸方向の流れを半径方向の流れに変換する目的で、複数の流路が弓状であることが好ましい。流路それぞれは、連続的に弓状であることが好ましく、その全長にわたり実質的に均一な寸法であり、障害物、または損失水頭をもたらす他の形状(オリフィス、あるいは渦もしくは乱流を発生させる形状など)のいずれも存在しないことが好ましい。流路に入ってからノズルまでの流れは、ほぼ理想的な層流にできる限り近いべきである。
【0025】
磁気カップリング部を本体に取り付けるための1つまたは複数の固定具を受け入れるため、本体の下側壁から延びる少なくとも1つの(一般には複数の)開口部が、本体に設けられていることがさらに好ましい。これら取付け開口部は、好ましくは隣り合う流路部の間、より好ましくは、1つおきの隣り合う流路部の間、に設けられている。
【0026】
5本以上の流路を有する特に好ましい実施形態においては、4つの取付け開口部が設けられ、1つの開口部それぞれが、本体内に延びる細長い固定具用である。
【0027】
本体を形成するために使用される材料の量を最小にし、したがって本体の重量を低減する目的で、本体の下側壁は、本体の好ましい弓状の胴部と実質的に同心に延在していることができる。本体に強度をもたらす必要がある場合、1つまたは複数の、より厚い部分を本体に設けてもよい。
【0028】
上述したように、本体は、焼結または3D印刷することのできる金属材料またはエラストマ材料から形成されていることが好ましい。
【0029】
流路は、本体の内部を貫いて画成するまたは形成することができる。金属のルータ加工(routing)など機械加工工程(CNCルータなど)を使用することもできるが、本体を形成する特に好ましい方法は、金属の3次元印刷技術または焼結技術であり、なぜならこれらの技術では、内部に流路が形成された単体構造本体を形成することができるためである。
【0030】
本体に設けられている複数の流路それぞれは、少なくとも1つの収束領域(convergence zone)を含むことが好ましい。複数の流路それぞれに1つの収束領域が設けられていることが好ましい。
【0031】
各流路における好ましい収束領域は、各流路からの出口の横、ただし出口から間隔をおいて設けられていることが好ましい。収束領域を有する流路の特定の形状は、ロータが形成されるときに流路に統合されるノズルを形成することが好ましい。収束領域は、機能的には、一般に、収束領域内の流体の流れの速度を高める役割を果たし、このことも、ロータアセンブリの回転速度を最大にするうえで役立つ。一般には、好ましくは収束領域の少なくとも入口側に、好ましくは収束領域の入口側および出口側の両方に、流路と収束領域との間に弓状の遷移部が存在する。
【0032】
本体に設けられる複数の流路それぞれは、少なくとも1つの発散領域(divergence zone)を含むことが好ましい。複数の流路それぞれに1つの発散領域が設けられることが好ましい。
【0033】
各流路における好ましい発散領域は、各流路からの出口の横、ただし出口から間隔をおいて設けられていることが好ましい。発散領域を有する流路の特定の形状は、ロータが形成されるときに流路に統合されるノズルを形成することが好ましい。発散領域は、機能的には、一般に、流体の流れの速度を高める役割を果たし、このことも、ロータアセンブリの回転速度を最大にするうえで役立つ。一般には、流路と発散領域との間に弓状の遷移部が存在する。
【0034】
最も好ましい領域においては、各流路が、収束領域への弓状の遷移部を含み、次に弓状の遷移部を経て、収束領域より出口に近い発散領域に発散していることが好ましい。収束領域が流路の断面積のおよそ1/2であり、発散領域が流路の断面積にほぼ等しいことが好ましい。重要な点として、各流路は、移動距離全体にわたり障害物なしに実質的に均一な断面積を有し、好ましい収束-発散ノズルのみが、流路を通る流れを形作ることが好ましい。
【0035】
入口は管状であり、複数の流路それぞれに流体を供給することが好ましい。好ましい入口は、ロータアセンブリの出口が設けられている平面に好ましくは実質的に垂直に、本体に設けられている。
【0036】
ロータに入る流体が、流路の少なくとも1つに(好ましくは流路すべてに均一に)流入するように強いられるように、入口の内側終端部が複数の流路それぞれの上端部に近いことが特に好ましい。
【0037】
好ましい入口は、好ましい鐘形状または3次元放物線形状の本体と一体に形成される。好ましい入口は、通常ではロータアセンブリと一緒に回転する。その場合、回転できるように入口を取り付ける目的で、入口に外部位置(external locations)が設けられていることが好ましい。
【0038】
別の構造においては、入口を本体とは個別に形成して所定の位置に固定することができ、ロータは入口に対して回転し、ただしこれはあまり好ましくなく、なぜなら入口がロータアセンブリと一緒に回転しない場合には、ロータの高速特性に起因して、入口をロータに密封することに関連する問題が生じうるためである。
【0039】
使用時に、本タービンロータアセンブリが1つまたは複数の支持部材に支持されることが考えられる。任意の適切な支持部材を設けることができるが、本発明の好ましい実施形態においては、1つまたは複数の支持部材は軸受を備えている。タービンロータアセンブリの回転によって軸受の対応する回転がもたらされるように、軸受は回転する軸受を備えていることが好ましい。本発明の最も好ましい実施形態においては、2つ以上の軸受を設けることができる。
【0040】
1つまたは複数の軸受は、任意の適切な材料から作製してよいが、本発明の好ましい実施形態においては、1つまたは複数の軸受は、比較的に低摩擦の材料から作製することができる。したがって、本発明のいくつかの実施形態においては、金属またはポリマから軸受を作製することができる。しかしながら本発明の特定の実施形態においては、セラミックから軸受を作製することができる。
【0041】
本明細書に説明されている特徴のいずれも、本発明の範囲内で、本明細書に説明されている別の特徴の任意の1つまたは複数と、任意の組合せにおいて組み合わせることができる。
【0042】
本明細書の中での従来技術の参照は、その従来技術が共通の一般的な知識の一部を形成していることを認める、または示唆するものではなく、かつそのように解釈すべきではない。
【0043】
本発明の好ましい特徴、実施形態、および変形形態は、当業者が本発明を実行するための十分な情報を提供する以下の「発明を実施するための形態」から認識することができる。「発明を実施するための形態」は、先行する「発明の概要」の範囲をいかようにも制限するようにはみなされないものとする。「発明を実施するための形態」では、以下の複数の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に係るタービンロータアセンブリの平面図である。
【
図2】
図1に示したタービンロータアセンブリを、下から見た図である。
【
図3】
図1に示したタービンロータアセンブリの不等角投影図であり、明確さを目的として本体の上部を部分的に透明に示した図である。
【
図4】
図1に示したタービンロータアセンブリの、線A-Aに沿った断面図である。
【
図5】本発明の好ましい実施形態に係るタービンロータアセンブリの本体の等角図であり、内部の構造が見えるように入口および本体の上部を透明に示した図である。
【
図8】
図1に示したタービンロータアセンブリの等角図であり、明確さを目的として本体の底部を部分的に透明に示した図である。
【
図10】
図1に示したタービンロータアセンブリの側面図である。
【
図11】本発明の好ましい実施形態に係る磁気カップリング要素の等角図である。
【
図12】
図11に示した磁気カップリング要素の、線B-Bに沿った側断面図である。
【
図13】本発明の好ましい実施形態に係るタービンロータアセンブリの等角図である。
【
図14】ロータハウジングの内側の、本発明の好ましい実施形態に係るタービンロータアセンブリの側面断面図である。
【
図15】好ましい実施形態に係るタービンの、部分的に透明な等角図であり、流れの初期におけるタービンの中の流れのパターンを示す図である。
【
図16】
図15に示したタービンの、
図15の後の部分的に透明な等角図であり、流れの経路を示す図である。
【
図17】
図15に示したタービンの、
図16の後の部分的に透明な等角図であり、流れの経路を示す図である。
【
図18】
図17に示したタービンの別の図であり、流れの経路を示す図である。
【
図19】
図17に示したタービンのさらに別の図であり、流れの経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、ロータアセンブリを提供する。
【0046】
添付の図に示したタービンロータ10は、単体構造本体であって、流体をロータ10の中に注入するための少なくとも1つの入口15と、単体構造本体の中を延びており出口13において終了している複数の流路12と、を含む単体構造本体、を含み、少なくとも1つの入口15が複数の流路12それぞれと流体連通している。
【0047】
このロータ10を含む、
図14に示したタービンロータアセンブリは、特定の用途として発電に使用される、中速、中トルクのロータアセンブリであるように設計されている。ロータは、ハウジング52の中で回転するように設計されており、発電するために使用することのできる利用可能な仕事を発生させる目的でテイクオフ軸(takeoff shaft)(図示していない)に関連付けられる。本ロータアセンブリは、磁気カップリング部53を介してテイクオフ軸に関連付けられていることが好ましく、磁気カップリング部53は
図11および
図12にさらに詳しく示してある。磁気カップリング部をロータ10に直接取り付けるために、ロータ10に開口部を設けることができる。
【0048】
本発明の中程度の速度のタービンロータアセンブリは、作動流体によって駆動されることが好ましく、好ましい流体は、冷媒または類似する圧縮性ガスである。好ましい作動流体は、本タービンロータの中程度の速度の回転を駆動する目的で、一般には入口を介してロータアセンブリに供給され、ロータ内の流路を通り、ロータに画成されている収束-発散出口から排出される。本発明のタービンは、非共沸流体混合物を使用して動作することもできる。
【0049】
本発明の中程度の速度のロータは、複数の流路12を含む単体構造本体を含み、各流路12は収束-発散部分に関連付けられる出口13において終了している。
【0050】
図示したように、本体は、一方向において見たときに実質的に円形であり、垂直方向に見たときに実質的に円錐または部分円錐(円錐台)である。本体は、円錐台形状であり、ただし真に円錐の形状が有する実質的に平坦な胴部ではなく、弓状の胴部を有する鐘形状であることが特に好ましい。
【0051】
好ましい実施形態においては、複数の流路12の出口13は、通常では本体のリップ部の側面縁部に設けられている。出口13は、好ましい作動流体または作動ガスが出口13から出るときに回転力を発生させる目的で、リップ部の実質的に接線方向に向いていることが好ましい。所望の接線方向の推力を発生させてロータを回転させるために、出口13それぞれは収束-発散ノズルに関連付けられていることが好ましい。
【0052】
それぞれの流路12の出口13は、回転を駆動する目的で一般には互いに一様にジグザグ状である、またはわずかにオフセットされている。
【0053】
最大限の回転速度を発生させるために、駆動力のすべてではないにせよ大部分が同じ平面内に印加されてバランスよく回転を駆動する目的で、出口13は互いに同一平面上であることが好ましい。
【0054】
複数の流路12それぞれは、少なくとも部分的に、入口15に隣接する本体の部分から、好ましくは本体のリップ部の側面縁部に設けられている複数の流路12の出口13まで延びる螺旋状であることが好ましい。
【0055】
流路12は、それぞれ、好ましい実質的に円錐または円錐台の本体の入口15に隣接する本体の部分から周囲リップ部に向かって延びており、ただし流路12の終端部がリップ部に対して実質的に接線方向を向くように、流路12が周囲リップ部に向かって延びるにつれて入口15から弧または曲線を描いて離れていくことが好ましい。すべての流路12は、一般に本体の中を同じ方向に延びている。本体内に形成されている複数の流路12は、本体を中心に等間隔に配置されていることが好ましい。
【0056】
本発明のロータアセンブリには、偶数本の流路12が設けられることが好ましい。通常では、本ロータアセンブリには5~15本の流路12が画成されるが、設けられる流路12の数は一般にロータアセンブリのサイズに依存し、より大きいロータアセンブリは、より小さいロータアセンブリより多くの流路を含む。
【0057】
ロータアセンブリの回転をもたらすために、ロータアセンブリ内への軸方向の流れを半径方向の流れに変換する目的で、複数の流路12が弓状であることが好ましい。
【0058】
磁気カップリング部53を本体に取り付けるための1つまたは複数の固定具18を受け入れるため、本体の下側壁から延びる少なくとも1つの(一般には複数の)開口部17が、本体に設けられていることがさらに好ましい。これら取付け開口部17は、好ましくは隣り合う流路12の間、より好ましくは1つおきの隣り合う流路12の間、に設けられている。
【0059】
5本以上の流路を有する特に好ましい実施形態においては、4つの取付け開口部17が設けられ、1つの開口部それぞれが、本体内に延びる細長い固定具18用である。
【0060】
本体を形成するために使用される材料の量を最小にし、したがって本体の重量を低減する目的で、本体の下側壁19は、本体の外側壁21の好ましい弓状の胴部と実質的に同心に延在していることができる。本体に強度をもたらす必要がある場合、1つまたは複数の、より厚い部分を本体に設けてもよい。
【0061】
上述したように、本体は、金属材料から形成されていることが好ましい。本体を形成する特に好ましい方法は、金属の3次元印刷技術であり、なぜならこの技術では、内部に流路12が形成された単体構造本体を形成することができるためである。
【0062】
本体に設けられた複数の流路12それぞれは、収束領域22への弓状の遷移部を含み、次に弓状の遷移部を経て、収束領域22より出口に近い発散領域20に発散していることが好ましい。収束領域22が流路12の断面積のおよそ1/2であり、発散領域20が流路12の断面積にほぼ等しいことが好ましい。重要な点として、各流路12は、移動距離全体にわたり障害物なしに実質的に均一な断面積を有し、好ましい収束-発散ノズル(収束領域への好ましい弓状の遷移部と、次に弓状の遷移部および発散領域から形成されている)のみが、流路12を通る流れを形作ることが好ましい。
【0063】
収束-発散ノズルは、機能的には、流体の流れの速度を高める役割を果たし、このことも、ロータアセンブリの回転速度を最大にするうえで役立つ。
【0064】
入口15は管状であり、複数の流路12それぞれに流体を供給することが好ましい。好ましい入口15は、ロータアセンブリの出口13が設けられている平面に好ましくは実質的に垂直に、本体に設けられている。
【0065】
ロータに入る流体が、流路12の少なくとも1つに(好ましくは流路12すべてに均一に)流入するように強いられるように、入口15の内側終端部が複数の流路12それぞれの上端部に近いことが特に好ましい。
【0066】
好ましい入口は、本体の好ましい鐘形状部と一体に形成される。好ましい入口は、通常ではロータアセンブリと一緒に回転する。その場合、回転できるように入口を取り付ける目的で、入口に外部位置23が設けられていることが好ましい。
【0067】
本明細書およびクレーム(存在時)において、語「備えている」およびその活用形(「備える」、「備えた」を含む)は、記載された整数それぞれを含むが、1つまたは複数のさらなる整数が含まれることを除外するものではない。
【0068】
本明細書全体を通じて「一実施形態」または「実施形態」の参照は、その実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通じてさまざまな箇所に現れる表現「一実施形態においては」または「実施形態においては」は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているとは限らない。さらには、特定の特徴、構造、または特性を、1つまたは複数の組合せにおいて任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0069】
ここまで本発明について、法律に準拠し、程度の差はあるが構造上または方法上の特徴に特有な専門用語で説明してきた。本明細書に記載されている手段は、本発明を実施するための好ましい形態を含むため、本発明は、図示または記載されている特定の特徴に制限されないことを理解されたい。したがって本発明は、当業者によって適切に解釈される、添付のクレーム(存在時)の厳密な範囲内での本発明の任意の形態または修正形態において、特許請求されるものである。