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特許7191838統合された偏光器を有するディスプレイデバイスのための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】統合された偏光器を有するディスプレイデバイスのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20221212BHJP
   G02B 27/28 20060101ALI20221212BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20221212BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20221212BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/28 Z
G02B5/30
G02B5/18
H04N5/64 511A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2019543798
(86)(22)【出願日】2018-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 US2018018222
(87)【国際公開番号】W WO2018152233
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】62/459,984
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チェン, フイ-チュアン
(72)【発明者】
【氏名】ヨー, イヴァン リー チェン
(72)【発明者】
【氏名】エドウィン, ライオネル アーネスト
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-315727(JP,A)
【文献】特開2002-107655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0242392(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0335404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02B 27/28
G02B 5/30
G02B 5/18
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を視認者の眼に投影するための接眼レンズユニットであって、前記接眼レンズユニットは、
世界側と、前記世界側と反対の視認者側とを有する接眼レンズであって、前記接眼レンズは、
入力結合回折光学要素と、
直交瞳エクスパンダ回折光学要素と、
射出瞳エクスパンダ回折光学要素と
を備える、接眼レンズと、
前記接眼レンズの前記世界側に隣接して配置されている湾曲審美用レンズと、
前記接眼レンズと前記湾曲審美用レンズとの間に配置されている偏光器と、
前記接眼レンズと前記偏光器との間に配置されている1/4波長板と
を備える、接眼レンズユニット。
【請求項2】
前記偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を備える、請求項1に記載の接眼レンズユニット。
【請求項3】
前記接眼レンズユニットは、ダイクロイック偏光器をさらに備え、前記ダイクロイック偏光器は、ワイヤグリッド偏光器と前記1/4波長板との間に位置付けられている、請求項2に記載の接眼レンズユニット。
【請求項4】
前記偏光器は、ダイクロイック偏光器を備える、請求項1に記載の接眼レンズユニット。
【請求項5】
画像を視認者の眼に投影するための接眼レンズユニットであって、前記接眼レンズユニットは、
世界側と、前記世界側と反対の視認者側とを有する接眼レンズであって、前記接眼レンズは、
入力結合回折光学要素と、
直交瞳エクスパンダ回折光学要素と、
射出瞳エクスパンダ回折光学要素と
を備える、接眼レンズと、
前記接眼レンズの前記世界側に隣接して配置されている液晶減衰器であって、前記液晶減衰器は、
前記接眼レンズの前記世界側に隣接するワイヤグリッド偏光器と、
液晶要素であって、前記ワイヤグリッド偏光器は、前記液晶要素と前記接眼レンズとの間に配置されている、液晶要素と、
ダイクロイック偏光器であって、前記液晶要素は、前記ワイヤグリッド偏光器と前記ダイクロイック偏光器との間に配置されている、ダイクロイック偏光器と
を備える、液晶減衰器と
を備える、接眼レンズユニット。
【請求項6】
前記接眼レンズユニットは、湾曲審美用レンズをさらに備え、前記ダイクロイック偏光器は、前記液晶要素と前記湾曲審美用レンズとの間に配置されている、請求項5に記載の接眼レンズユニット。
【請求項7】
前記湾曲審美用レンズは、屈折力によって特徴付けられている、請求項6に記載の接眼レンズユニット。
【請求項8】
前記ワイヤグリッド偏光器は、前記接眼レンズにラミネートされている、請求項5に記載の接眼レンズユニット。
【請求項9】
前記ワイヤグリッド偏光器は、前記液晶要素にラミネートされている、請求項5に記載の接眼レンズユニット。
【請求項10】
前記ワイヤグリッド偏光器は、第1の偏光を有する光を透過させるように動作可能であり、かつ、前記第1の偏光に直交する第2の偏光を有する光を反射させるように動作可能である、請求項5に記載の接眼レンズユニット。
【請求項11】
前記偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を備え、
前記接眼レンズユニットは、
液晶要素であって、前記ワイヤグリッド偏光器は、前記液晶要素と前記接眼レンズとの間に配置されている、液晶要素と、
ダイクロイック偏光器であって、前記液晶要素は、前記ワイヤグリッド偏光器と前記ダイクロイック偏光器との間に配置されている、ダイクロイック偏光器と
をさらに備える、請求項1に記載の接眼レンズユニット。
【請求項12】
前記接眼レンズは、1よりも大きいp-偏光を有する光に関する結合効率に対するs-偏光を有する光に関する結合効率の比によって特徴付けられている偏光感度によって特徴付けられている、請求項1に記載の接眼レンズユニット。
【請求項13】
前記比は、3:1よりも大きい、請求項12に記載の接眼レンズユニット。
【請求項14】
前記比は、20:1よりも大きい、請求項13に記載の接眼レンズユニット。
【請求項15】
前記入力結合回折光学要素は、格子を備え、前記直交瞳エクスパンダ回折光学要素は、格子を備え、前記射出瞳エクスパンダ回折光学要素は、格子を備える、請求項1に記載の接眼レンズユニット。
【請求項16】
前記偏光器は、吸収性偏光器を備える、請求項1に記載の接眼レンズユニット。
【請求項17】
前記接眼レンズは、1よりも大きい前記第1の偏光を有する光に関する結合効率に対する前記第2の偏光を有する光に関する結合効率の比によって特徴付けられている偏光感度によって特徴付けられている、請求項10に記載の接眼レンズユニット。
【請求項18】
前記比は、3:1よりも大きい、請求項17に記載の接眼レンズユニット。
【請求項19】
前記比は、20:1よりも大きい、請求項18に記載の接眼レンズユニット。
【請求項20】
前記入力結合回折光学要素は、格子を備え、前記直交瞳エクスパンダ回折光学要素は、格子を備え、前記射出瞳エクスパンダ回折光学要素は、格子を備える、請求項5に記載の接眼レンズユニット。
【請求項21】
前記接眼レンズおよび前記湾曲審美用レンズおよび前記ワイヤグリッド偏光器は、光学軸に沿って位置付けられており、前記ワイヤグリッド偏光器のワイヤグリッドは、前記光学軸に直交して配向されている、請求項6に記載の接眼レンズユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2017年2月16日に出願され、”Method and System for Display Device with Integrated Polarizer”と題された米国仮特許出願第62/459,984号に対する優先権を主張するものであり、該米国仮特許出願の開示の全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
現代のコンピューティングおよびディスプレイ技術は、いわゆる「仮想現実」(「VR」)または「拡張現実」(「AR」)体験のためのシステムの開発を促進しており、デジタル的に再現された画像またはその一部が、現実であるように見える、またはそのように知覚され得る様式で、視認者に提示される。VRシナリオは、典型的には、他の実際の実世界の視覚的入力に対する透過性を伴わずに、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴い、ARシナリオは、典型的には、視認者の周囲の実際の世界の可視化に対する拡張としての、デジタルまたは仮想画像情報の提示を伴う。
【0003】
これらのディスプレイ技術において成された進歩にもかかわらず、当技術分野において、拡張現実システム、特に、ディスプレイシステムに関連する改良された方法およびシステムの必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、概して、ウェアラブルディスプレイを含む、投影ディスプレイシステムに関連する方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、1つ以上の統合された偏光器および改良されたシステム性能を伴う、接眼レンズユニットのための方法およびシステムを提供する。本開示は、コンピュータビジョンおよび画像ディスプレイシステムにおける種々の用途に適用可能である。
【0005】
いくつかの投影ディスプレイシステムでは、プロジェクタからの光が、接眼レンズの中に結合されることができ、これは、ひいては、画像を視認者の眼に投影する。視認者の眼のために意図されるプロジェクタからの光に加え、プロジェクタ以外の源から生じる光、例えば、視認者の近傍の天井灯からの光も、接眼レンズの中に結合され、それによって、視認者に提示されるアーチファクトをもたらし得る。
【0006】
本開示の実施形態によると、光学要素、例えば、偏光器、波長板、および/または湾曲され得る、審美用レンズが、接眼レンズと統合される。これらの光学要素と接眼レンズの統合は、偏光制御が、利用され、プロジェクタ以外の源からの光の結合効率を減少させるため、低レベルのアーチファクト生産をもたらし得る。
【0007】
本開示のある実施形態によると、画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットが、提供される。接眼レンズユニットは、世界側と、世界側と反対の視認者側とを有する、接眼レンズと、接眼レンズの世界側に隣接して配置される、偏光器とを含む。ある実施例では、偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を備える。いくつかの実施形態では、ワイヤグリッド偏光器は、p-偏光を透過させ、s-偏光を反射させるように動作可能である。いくつかの実施形態では、偏光器は、吸収性偏光器を含むことができる。
【0008】
別の本開示の実施形態によると、画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットは、世界側と、世界側と反対の視認者側とを有する、接眼レンズと、接眼レンズの世界側に隣接して配置される、湾曲審美用レンズと、接眼レンズと湾曲審美用レンズとの間に配置される、偏光器とを含む。
【0009】
本開示の別の実施形態によると、画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットは、世界側と、世界側と反対の視認者側とを有する、接眼レンズと、接眼レンズの世界側に隣接して配置される、湾曲審美用レンズと、接眼レンズと湾曲審美用レンズとの間に配置される、偏光器とを含む。
【0010】
本開示のさらに別の実施形態によると、画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットは、世界側と、世界側と反対の視認者側とを有する、接眼レンズと、接眼レンズの世界側に隣接して配置される、湾曲審美用レンズと、接眼レンズと湾曲審美用レンズとの間に配置される、偏光器と、接眼レンズと偏光器との間に配置される、1/4波長板とを含む。ある実施形態では、偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を備える。ある実施形態では、接眼レンズユニットはまた、ワイヤグリッド偏光器と1/4波長板との間に位置付けられる、ダイクロイック偏光器を含むことができる。
【0011】
従来の技法に優る多数の利点が、本開示の方法によって達成される。例えば、本開示の実施形態は、視認者体験に悪影響を及ぼし得る、望ましくないアーチファクトを低減させる方法およびシステムを提供する。加えて、いくつかの実施形態は、世界光、接眼レンズによって放出される光、または両方を再利用する。動的減衰機能性が、いくつかの実施形態によって、例えば、接眼レンズによって放出される光の再利用と組み合わせて提供される。本開示のこれらおよび他の実施形態は、その利点および特徴の多くとともに、下記のテキストおよび添付の図と併せてより詳細に説明される。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットであって、前記接眼レンズユニットは、
世界側と、前記世界側と反対の視認者側とを有する接眼レンズと、
前記接眼レンズの世界側に隣接して配置される偏光器と
を備える、接眼レンズユニット。
(項目2)
前記偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を備える、項目1に記載の接眼レンズユニット。
(項目3)
前記ワイヤグリッド偏光器は、第1の偏光を有する光を透過させ、前記第1の偏光に直交する第2の偏光を有する光を反射させるように動作可能である、項目2に記載の接眼レンズユニット。
(項目4)
液晶要素であって、前記ワイヤグリッド偏光器は、前記液晶要素と前記接眼レンズとの間に配置される、液晶要素と、
ダイクロイック偏光器であって、前記液晶要素は、前記ワイヤグリッド偏光器と前記ダイクロイック偏光器との間に配置される、ダイクロイック偏光器と
をさらに備える、項目2に記載の接眼レンズユニット。
(項目5)
前記接眼レンズは、37度を上回る入射角における光に関する偏光感度によって特徴付けられる、項目2に記載の接眼レンズユニット。
(項目6)
前記偏光感度は、1を上回る前記第1の偏光を有する光に関する結合効率に対する前記第2の偏光を有する光に関する結合効率の比によって特徴付けられる、項目5に記載の接眼レンズユニット。
(項目7)
前記比は、3:1を上回る、項目6に記載の接眼レンズユニット。
(項目8)
前記比は、20:1を上回る、項目7に記載の接眼レンズユニット。
(項目9)
前記接眼レンズは、入力結合回折光学要素と、直交瞳エクスパンダ回折光学要素と、射出瞳エクスパンダ回折光学要素とを含み、前記偏光感度は、前記射出瞳エクスパンダと関連付けられる、項目5に記載の接眼レンズユニット。
(項目10)
前記入力結合回折光学要素は、格子を備え、前記直交瞳エクスパンダ回折光学要素は、格子を備え、前記射出瞳エクスパンダ回折光学要素は、格子を備える、項目9に記載の接眼レンズユニット。
(項目11)
前記偏光器は、吸収性偏光器を備える、項目1に記載の接眼レンズユニット。
(項目12)
前記接眼レンズと前記偏光器との間に配置される波長板をさらに備える、項目1に記載の接眼レンズユニット。
(項目13)
前記波長板は、37度を上回る入射角において可視波長における1/4波長板を備える、項目12に記載の接眼レンズユニット。
(項目14)
審美用レンズをさらに備え、前記偏光器は、前記審美用レンズと前記接眼レンズとの間に配置される、項目1に記載の接眼レンズユニット。
(項目15)
前記審美用レンズは、湾曲審美用レンズを備える、項目14に記載の接眼レンズユニット。
(項目16)
前記接眼レンズ、前記湾曲審美用レンズ、および前記偏光器は、光学軸に沿って位置付けられ、前記偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を備え、前記ワイヤグリッド偏光器のワイヤグリッドは、前記光学軸に直交して配向される、項目15に記載の接眼レンズユニット。
(項目17)
前記偏光器と前記湾曲審美用レンズとの間に配置される液晶要素と、
前記液晶要素と前記湾曲審美用レンズとの間に配置されるダイクロイック偏光器と
をさらに備える、項目15に記載の接眼レンズユニット。
(項目18)
前記偏光器および前記ダイクロイック偏光器は、第1の偏光を有する光を透過させるように動作可能である、項目17に記載の接眼レンズユニット。
(項目19)
画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットであって、前記接眼レンズユニットは、
世界側と、前記世界側と反対の視認者側とを有する接眼レンズと、
前記接眼レンズの世界側に隣接して配置される湾曲審美用レンズと、
前記接眼レンズと前記湾曲審美用レンズとの間に配置される偏光器と、
前記接眼レンズと前記偏光器との間に配置される1/4波長板と
を備える、接眼レンズユニット。
(項目20)
前記偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を備える、項目19に記載の接眼レンズユニット。
(項目21)
ワイヤグリッド偏光器と前記1/4波長板との間に位置付けられる、ダイクロイック偏光器をさらに備える、項目20に記載の接眼レンズユニット。
(項目22)
前記偏光器は、ダイクロイック偏光器を備える、項目19に記載の接眼レンズユニット。
(項目23)
画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットであって、前記接眼レンズユニットは、
世界側と、前記世界側と反対の視認者側とを有する接眼レンズと、
前記接眼レンズの世界側に隣接して配置される液晶減衰器であって、前記液晶減衰器は、
前記接眼レンズの世界側に隣接するワイヤグリッド偏光器と、
液晶要素であって、前記ワイヤグリッド偏光器は、前記液晶要素と前記接眼レンズとの間に配置される、液晶要素と、
ダイクロイック偏光器であって、前記液晶要素は、前記ワイヤグリッド偏光器と前記ダイクロイック偏光器との間に配置される、ダイクロイック偏光器と
を備える、液晶減衰器と
を備える、接眼レンズユニット。
(項目24)
湾曲審美用レンズをさらに備え、前記ダイクロイック偏光器は、前記液晶要素と湾曲審美用レンズとの間に配置される、項目23に記載の接眼レンズユニット。
(項目25)
前記湾曲審美用レンズは、屈折力によって特徴付けられる、項目24に記載の接眼レンズユニット。
(項目26)
前記ワイヤグリッド偏光器は、前記接眼レンズにラミネートされる、項目23に記載の接眼レンズユニット。
(項目27)
前記ワイヤグリッド偏光器は、前記液晶要素にラミネートされる、項目23に記載の接眼レンズユニット。
(項目28)
前記ワイヤグリッド偏光器は、第1の偏光を有する光を透過させ、前記第1の偏光に直交する第2の偏光を有する光を反射させるように動作可能である、項目23に記載の接眼レンズユニット。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書に開示される実施形態の教示は、付随の図面と併せて以下の詳細な説明を検討することによって容易に理解されることができる。
【0013】
図1図1は、いくつかの実施形態による、デジタルまたは仮想画像を視認者に提示するために使用され得る、視認光学アセンブリ(VOA)内の光経路を図式的に図示する。
【0014】
図2図2は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された偏光器を図示する、側面図である。
【0015】
図3図3は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された、偏光器および波長板を図示する、側面図である。
【0016】
図4図4は、いくつかの実施形態による、接眼レンズおよび湾曲レンズと統合された、偏光器を図示する、側面図である。
【0017】
図5図5は、いくつかの実施形態による、接眼レンズおよび湾曲レンズと統合された、偏光器および波長板を図示する、側面図である。
【0018】
図6図6は、いくつかの実施形態による、接眼レンズおよび湾曲レンズと統合された、吸収性偏光器および波長板を図示する、側面図である。
【0019】
図7図7は、いくつかの実施形態による、接眼レンズおよび湾曲レンズと統合された、偏光器のセットおよび波長板を図示する、側面図である。
【0020】
図8図8は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された偏光器を図示する、側面図である。
【0021】
図9図9は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された、偏光器および波長板を図示する、側面図である。
【0022】
図10図10は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された、偏光器のセットおよび液晶要素を図示する、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図および以下の説明は、例証としてのみの種々の実施形態に関する。以下の議論から、本明細書に開示される構造および方法の代替実施形態が、本明細書で議論される原理から逸脱することなく、採用され得る実行可能代替物として容易に認識されるであろうことに留意されたい。ここで、その実施例が付随の図に図示される、いくつかの実施形態が、詳細に参照されるであろう。
【0024】
本開示は、概して、ウェアラブルディスプレイを含む、投影ディスプレイシステムに関連する方法およびシステムに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、1つ以上の統合された偏光器および改良されたシステム性能を伴う、接眼レンズユニットのための方法およびシステムを提供する。本開示は、コンピュータビジョンおよび画像ディスプレイシステムにおける種々の用途に適用可能である。
【0025】
図1は、いくつかの実施形態による、デジタルまたは仮想画像を視認者に提示するために使用され得る、視認光学アセンブリ(VOA)内の光経路を図式的に図示する。VOAは、プロジェクタ101と、視認者の眼102の周囲に装着され得る、接眼レンズ100とを含む。いくつかの実施形態では、プロジェクタ101は、赤色LED群と、緑色LED群と、青色LED群とを含んでもよい。例えば、プロジェクタ101は、いくつかの実施形態によると、2つの赤色LEDと、2つの緑色LEDと、2つの青色LEDとを含んでもよい。接眼レンズ100は、1つ以上の接眼レンズ層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、接眼レンズ100は、3つの色、すなわち、赤色、緑色、および青色の各々に対して1つの接眼レンズ層の、3つの接眼レンズ層を含む。いくつかの実施形態では、接眼レンズ100は、6つの接眼レンズ層、すなわち、仮想画像を1つの深度平面に形成するために構成される、3つの色の各々に対する1セットの接眼レンズ層と、仮想画像を別の深度平面に形成するために構成される、3つの色の各々に対する別のセットの接眼レンズ層とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、接眼レンズ100は、3つ以上の異なる深度平面のために、3つの色の各々に対して3つ以上の接眼レンズ層を含んでもよい。各接眼レンズ層は、平面導波管を含み、内部結合格子107と、直交瞳エクスパンダ(OPE)領域108と、射出瞳エクスパンダ(EPE)領域109とを含んでもよい。
【0026】
プロジェクタ101は、画像光を接眼レンズ100の接眼レンズ層内の内部結合格子107上に投影する。内部結合格子107は、プロジェクタ101からの画像光を平面導波管の中に結合し、OPE領域108に向かう方向に伝搬させる。平面導波管は、全内部反射(TIR)によって、画像光を水平方向に伝搬させる。接眼レンズ層のOPE領域108はまた、EPE領域109に向かって平面導波管内を伝搬する画像光の一部を結合かつ再指向する、回折要素を含む。EPE領域109は、平面導波管内を伝搬する画像光の一部を接眼レンズ層の平面と略垂直方向に、視認者の眼102に向かって結合かつ指向する、回折要素を含む。本方式では、プロジェクタ101によって投影された画像が、視認者の眼102によって視認され得る。
【0027】
上記に説明されるように、プロジェクタ101によって生成された画像光は、3原色、すなわち、青色(B)、緑色(G)、および赤色(R)の光を含んでもよい。そのような画像光は、各構成色における画像光が接眼レンズ100内の個別の導波管に結合され得るように、構成色に分離されることができる。
【0028】
図2は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された偏光器を図示する、側面図である。図2は、接眼レンズ210と、偏光器220とを含む、接眼レンズユニット200を図示する。接眼レンズユニット200は、画像を視認者の眼に投影する。接眼レンズ210は、世界側212と、世界側212と反対の視認者側214とを含む。いくつかの実施形態では、偏光器220は、ワイヤグリッド偏光器であってもよく、いくつかの実施形態では、偏光器220は、例えば、ダイクロイック偏光器等の吸収性偏光器であってもよい。
【0029】
世界光と称され得、世界光線205によって表される、場面からの入射光は、s-偏光と、p-偏光との両方を含む。アーチファクトは、高角度光、すなわち、例えば、天井灯から、大入射角で接眼レンズユニット200上に入射する光が、例えば、回折によって、EPEを通して視認者の眼102に向かって、接眼レンズユニット200の中に結合されるときに生産され得る。
【0030】
図2に図示される実施形態では、偏光器220は、ワイヤグリッド偏光器であって、第1の偏光(例えば、p-偏光)を有する光を透過させ、第1の偏光に直交する第2の偏光を有する光(例えば、s-偏光)を反射させるように配向される。図2に図示されるように、世界光線205のp-偏光は、接眼レンズ210上に衝突し、接眼レンズ210内に存在する回折光学要素を通して、接眼レンズ210の中に効率的に結合されることができない。偏光器220は、ワイヤグリッド偏光器であってもよい。ワイヤグリッド偏光器が、利用される場合、ワイヤグリッド偏光器の透過軸は、ワイヤグリッド偏光器が、p-偏光を透過させ、s-偏光を反射させ得るように、整合または配向されることができる。
【0031】
偏光器220は、ダイクロイック偏光器であってもよい。ダイクロイック偏光器が、利用される場合、図2に図示されるように、s-偏光を著しく反射させるのではなく、s-偏光は、ダイクロイック偏光器によって実質的に吸収されるであろう。
【0032】
本開示の実施形態によると、接眼レンズ210設計は、接眼レンズ210内の回折構造が偏光敏感な様式において光を回折するようなものとなる。その結果、例えば、EPEを通した回折による、接眼レンズ210の中への高入射角における光の結合は、一方の偏光が他方より強くなる、例えば、着目設計波長では、約1:3の偏光感度となる。故に、いくつかの設計では、s-偏光は、p-偏光より効率的に接眼レンズ210の中に結合され(例えば、3:1の比で)、これは、アーチファクト強度における75%低減をもたらし得る。本開示は、本偏光感度に限定されず、他の偏光感度は、本開示の範囲内に含まれる。例えば、マルチステップ格子設計を伴う回折光学要素が、利用され、偏光感度を1:20まで増加させ、設計波長における95%のアーチファクト強度低減および他の波長に関する有意な低減(例えば、約83%低減)をもたらすことができる。したがって、図2に図示されるように、s-偏光を有する高角度光は、偏光器220によって遮断され、p-偏光を有する光は、接眼レンズ210の中に殆ど結合されず、レインボーアーチファクトにおける低減をもたらす。
【0033】
図2は、ワイヤグリッド偏光器として実装される偏光器220を図示するが、これは、本開示によって要求されず、吸収性偏光器もまた、本開示の実施形態において利用されることができる。当業者は、多くの変形例、修正、および代替物を認識するであろう。
【0034】
実施形態では、接眼レンズ210は、基準角度を上回る入射角における光に関する偏光感度によって特徴付けられる。本基準角度は、構成に応じて変動し得る。例えば、いくつかの実施形態では、基準角度は、37度である。本偏光感度は、1を上回るp-偏光に関する結合効率に対するs-偏光に関する結合効率の比をもたらし得る。図2に図示されるように、偏光器220は、s-偏光を反射または吸収するため、接眼レンズ210上に入射するp-偏光は、接眼レンズ210の中に著しく結合されず、それによって、接眼レンズ210の視認者側214の右の減少振幅の点線光線によって表される、視認者に向かう入射光の回折を低減または排除する。図1に図示されるように、接眼レンズ100は、入力結合回折光学要素(例えば、入力結合格子)と、直交瞳エクスパンダ回折光学要素(例えば、直交瞳エクスパンダ格子)と、射出瞳エクスパンダ回折光学要素(例えば、射出瞳エクスパンダ格子)とを含むことができ、偏光感度は、射出瞳エクスパンダ(例えば、格子)と関連付けられることができる。接眼レンズ100/210の設計に応じて、比は、3:1を上回る、20:1を上回る、または同等物であることができる。
【0035】
当業者に明白となるであろうように、図2に図示される偏光状態は、接眼レンズ210および特定の接眼レンズ210の偏光感度の必要に応じて、切り替えられ得る。高入射角におけるs-偏光の結合効率が、p-偏光の結合効率と比較して低い場合、s-偏光は、透過され得、p-偏光は、反射および/または吸収され得る。当業者は、多くの変形例、修正、および代替物を認識するであろう。
【0036】
図3は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された、偏光器および波長板を図示する、側面図である。接眼レンズが、他の偏光状態に関する低結合効率によって特徴付けられる実装では、適切な角度に配置される波長板の統合が、利用され、視認者に向かって生成される低レベルのアーチファクトを生産することができる。接眼レンズユニット300は、接眼レンズ210と偏光器220との間に配置される、波長板310を含む。図示される実施形態では、波長板310は、37度を上回る入射角において可視波長における1/4波長板であって、光線305によって図示されるp-偏光の、光線307によって図示される円偏光への変換をもたらす。接眼レンズ210の中への円偏光の低結合効率は、低レベルのアーチファクト生成をもたらす。したがって、本開示のいくつかの実施形態によると、高結合効率を伴う偏光状態は、反射または吸収され、低結合効率を伴う偏光状態のみが接眼レンズ210上に衝突するように残し、それによって、望ましくないアーチファクトを低減させる。当業者は、多くの変形例、修正、および代替物を認識するであろう。
【0037】
図2および3に図示されないが、本開示のいくつかの実施形態は、図4に図示されるもの等の審美用レンズを利用する。偏光器は、審美用レンズと接眼レンズとの間に配置されることができ、本明細書により完全に議論されるように、湾曲されることができる。
【0038】
いくつかの実装では、世界光と称され得る場面からの入射光が、湾曲審美用レンズを通して通過し、法線方向入射において接眼レンズから反射し、法線方向に対してある角度において湾曲審美用レンズの内側表面から反射されるときに、「世界残影」と称される効果が、形成され得る。これらの反射光線は、場面からの入射光に対してある角度で進行しているため、残影画像が、形成され、視認者体験に悪影響を及ぼし得る。残影画像は、異なる拡大率を有し得る。下記の図8に関連して議論されるように、反射コーティングによる湾曲審美用レンズの内側表面のコーティングは、接眼レンズから世界に向かって投影された光を反射させることによって、視認者プライバシを改良することができるが、また、接眼レンズに向かって反射をもたらし、残影画像を生産し得る。
【0039】
図4は、いくつかの実施形態による、接眼レンズおよび湾曲レンズと統合された、偏光器を図示する、側面図である。図4は、接眼レンズ410と、偏光器420と、湾曲審美用レンズ430とを含む、接眼レンズユニット400を図示する。接眼レンズユニット400は、画像を視認者の眼に投影する。接眼レンズユニット400は、世界残影のレベルを低減させ、視認者体験を改良する。接眼レンズ410は、世界側412と、世界側412と反対の視認者側414とを有する。接眼レンズ410は、世界側412または視認者側414上のいずれかにおいて、反射防止(AR)コーティングでコーティングされ、これらの表面からの反射を低減させることができる。偏光器420は、接眼レンズ410の世界側412に隣接して配置される。いくつかの実施形態では、偏光器220は、ワイヤグリッド偏光器であってもよく、いくつかの実施形態では、偏光器220は、例えば、ダイクロイック偏光器等の吸収性偏光器であってもよい。湾曲審美用レンズ430は、偏光器420が接眼レンズ410と湾曲審美用レンズ430との間にあるように、偏光器420に隣接して配置される。湾曲審美用レンズ430は、屈折力を有し、視認者のための処方箋レンズとして機能してもよい。他の実施形態では、湾曲審美用レンズ430は、屈折力を有していなくてもよく、その場合、審美用機能のみを果たす。
【0040】
世界光と称され得、世界光線405によって表される、場面からの入射光は、s-偏光と、p-偏光との両方を含む。接眼レンズ410、湾曲審美用レンズ430、および偏光器420は、世界光線405と平行な光学軸に沿って位置付けられることができ、偏光器420は、光学軸に直交して配向されることができる。世界光線405内の光は、湾曲審美用レンズ430を通して通過し、偏光器420に向かって伝搬する。湾曲審美用レンズ430を通して通過する、世界光(すなわち、世界光線405)の一部は、光線407によって表される。光線407は、偏光器420上に衝突する。
【0041】
図4に図示される実施形態では、偏光器420は、ワイヤグリッド偏光器であって、p-偏光を透過させ、s-偏光を反射させるように配向される。故に、p-偏光は、偏光器420を通して通過し、接眼レンズ410上に衝突し、光線409として透過され、視認者によって視認される。
【0042】
光線407が、偏光器420上に衝突するにつれて、s-偏光状態における光は、反射光線411として、湾曲審美用レンズ430に向かって戻るように反射される。反射光線411は、接眼レンズ410の平面に対して法線方向となるであろうが、明確性の目的のために、角度付けられるように図示される。湾曲審美用レンズ430の内側表面(すなわち、右表面)からの反射後、s-偏光の一部は、湾曲審美用レンズ430が湾曲されるため、法線方向に対して非ゼロ角度において、偏光器420および接眼レンズ410に向かって戻るように反射される。上記に議論されるように、非ゼロ角度において反射された本光は、法線方向入射における世界光から形成される画像と異なる拡大率を伴う画像(残影画像と称される)をもたらすであろう。光線413および415によって図示されるように、s-偏光は、複数の反射を偏光器420と湾曲審美用レンズ430との間にもたらし、光の一部が、湾曲審美用レンズ430によって視認者に向かって反射され、光の一部が、湾曲審美用レンズ430を通して世界に向かって通過するにつれて、振幅を減少させるであろう。故に、本開示の実施形態は、偏光器420を使用して、一方の偏光を反射させ、視認者に到達し得る、非ゼロ入射角において湾曲審美用レンズ430の内側表面から反射される光の量を低減させることによって、世界残影の大きさを低減させる。
【0043】
s-偏光を反射させる、ワイヤグリッド偏光器が、図4に図示されるが、ダイクロイック偏光器も、本開示の実施形態に従って利用され得る。この場合、図4に図示されるように、s-偏光を著しく反射させるのではなく、s-偏光は、ダイクロイック偏光器によって、実質的に吸収されるであろう。当業者に明白となるであろうように、図4に図示される偏光状態は、特定の用途の必要に応じて切り替えられ得、s-偏光は、透過され、p-偏光は、反射および/または吸収される。当業者は、多くの変形例、修正、および代替物を認識するであろう。
【0044】
図5は、いくつかの実施形態による、接眼レンズおよび湾曲レンズと統合された、偏光器および波長板を図示する、側面図である。図5は、接眼レンズ510と、偏光器520と、湾曲審美用レンズ530と、1/4波長板540とを含む、接眼レンズユニット500を図示する。接眼レンズユニット500は、画像を視認者の眼に投影する。接眼レンズ510は、世界側512と、世界側512と反対の視認者側514とを有する。接眼レンズ510は、1つ以上の表面上においてARコーティングされ、それによって、反射を低減させ、システム性能を改良することができる。湾曲審美用レンズ530は、接眼レンズ510の世界側512に隣接して配置され、偏光器520は、接眼レンズ520と湾曲審美用レンズ530との間に配置され、1/4波長板540は、接眼レンズ510と偏光器520との間に配置される。
【0045】
p-偏光と、s-偏光との両方を含む、世界光線505によって表される世界光は、湾曲審美用レンズ530上に入射し、それを通して通過する。偏光器520は、本実施形態では、s-偏光が、吸収され、p-偏光が、通過されるように、ダイクロイック偏光器として実装される。1/4波長板540は、偏光器520によって通過されたp-偏光が、回転され、接眼レンズ510上に衝突する円偏光(例えば、左円偏光)を生産するように、p-偏光およびs-偏光軸に対して45°の角度で配向される。円偏光の一部の反射が、反射光線515(例えば、右円偏光)によって図示されるように、もたらされ得る。偏光器(例えば、偏光器520)および1/4波長板(例えば、1/4波長板540)を伴わない接眼レンズユニットでは、反射光線515は、審美用レンズ(例えば、審美用レンズ530)に到達し、接眼レンズ(例えば、接眼レンズ510)に向かって戻るように反射され得る。反射画像は、審美用レンズ530に応じて、拡大または縮小され得る。これらの歪曲された反射画像は、世界残影画像をもたらし得る。いくつかの実施形態では、偏光器520は、ワイヤグリッド偏光器である。反射光線515は、1/4波長板540によって、s-偏光516に変換されることができる。s-偏光516は、ワイヤグリッド偏光器520によって反射され、s-偏光517のままであることができ、これは、1/4波長板540によって変換され、円偏光518となる。円偏光518は、世界光線505と平行であるため、視認者のための明度を改良することができる。例えば、円偏光518は、世界光線505と同一画像/光を示す。これは、接眼レンズ510がフレネル反射を有する場合、接眼レンズ510のシースルー明度を増加させることに役立ち得る。さらに、世界残影画像は、生産されない。
【0046】
いくつかの実施形態では、反射経路では、反射光線515は、s-偏光に変換されることができる。s-偏光は、ダイクロイック偏光器によって吸収されるであろう。p-偏光は、反射経路内に存在する場合(例えば、1/4波長板540の不整合に起因して、または世界側514から湾曲審美用レンズ530に向かっての接眼レンズ510からの放出のため)、偏光器520によって反射され、1/4波長板540によって円偏光に変換され、接眼レンズ510に向かって伝搬することができる。円偏光518は、世界光線505と平行であるため、世界残影画像は、生産されず、接眼レンズ510から反射されたp-偏光における光は、再利用され、視認者のための明度を改良する。
【0047】
図6は、いくつかの実施形態による、接眼レンズおよび湾曲レンズと統合された、吸収性偏光器および波長板を図示する、側面図である。図6に図示される実施形態は、図5に図示される実施形態と共通要素を共有し、図5に関連して提供される説明は、必要に応じて、図6に適用可能である。図6は、接眼レンズ610と、ダイクロイック偏光器620と、湾曲審美用レンズ630と、1/4波長板640とを含む、接眼レンズユニット600を図示する。
【0048】
世界光線605によって表される世界光は、p-偏光と、s-偏光との両方を含む。s-偏光は、ダイクロイック偏光器620によって吸収され、p-偏光は、1/4波長板640によって円偏光に変換される。接眼レンズ610から反射された光は、1/4波長板640によってs-偏光に変換され、ダイクロイック偏光器620によって吸収される。
【0049】
図7は、いくつかの実施形態による、接眼レンズおよび湾曲レンズと統合された、偏光器のセットおよび波長板を図示する、側面図である。図7に図示される実施形態は、図4および6に図示される実施形態と共通要素を共有し、図4および6に関連して提供される説明は、必要に応じて、図7に適用可能である。例えば、湾曲審美用レンズとワイヤグリッド偏光器の組み合わせが、図4に図示され、ダイクロイック偏光器、1/4波長板、および接眼レンズの組み合わせが、図6に図示される。図7は、接眼レンズ710と、ワイヤグリッド偏光器720と、ダイクロイック偏光器725と、湾曲審美用レンズ730と、1/4波長板740とを含む、接眼レンズユニット700を図示する。ダイクロイック偏光器725は、ワイヤグリッド偏光器720と1/4波長板740との間に位置付けられる。
【0050】
世界光は、p-偏光と、s-偏光との両方を含む。s-偏光は、ワイヤグリッド偏光器720によって湾曲審美用レンズ730に向かって反射される。図4に関連して議論されるように、ワイヤグリッド偏光器720によって反射されたs-偏光状態における光は、接眼レンズ710の平面に対して法線方向となるであろうが、明確性の目的のために、角度付けられるように図示される。湾曲審美用レンズ730の内側表面(すなわち、右表面)から反射後、s-偏光の一部は、湾曲審美用レンズ730が湾曲されるため、法線方向に対して非ゼロ角度において、ワイヤグリッド偏光器720に向かって戻るように反射される。s-偏光が、ワイヤグリッド偏光器720と湾曲審美用レンズ730との間で複数の反射を受けるにつれて、s-偏光の振幅は、減少するであろう。
【0051】
ワイヤグリッド偏光器720およびダイクロイック偏光器725を通して通過する、p-偏光は、1/4波長板740によって円偏光に変換され、接眼レンズ710を通して視認者に通過し得る。接眼レンズ710から反射された光は、s-偏光に変換され、ダイクロイック偏光器725によって吸収されるであろう。
【0052】
接眼レンズ710を通して投影された光が、視認者および世界の両方に向かって投影される、実装では、世界に向かう光の投影は、視認者のための画像明度を減少させ得る。したがって、本開示の実施形態は、光再利用を実装し、視認者のための画像明度を増加させる。加えて、世界に向かって投影される光は、潜在的に、他者によっても視認され得るため、本開示の実施形態は、世界に向かって投影される光を低減させることによって、視認者のプライバシを改良する。
【0053】
図8は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された偏光器を図示する、側面図である。図8に図示される実施形態は、図2に図示される実施形態と共通要素を共有し、図2に関連して提供される説明は、必要に応じて、図8に適用可能である。図8は、接眼レンズ810と、ワイヤグリッド偏光器820とを含む、接眼レンズユニット800を図示する。接眼レンズ810は、世界側812と、世界側812と反対のユーザ側814とを有する。s-偏光における接眼レンズ810の世界側812から世界に向かって放出される光は、ワイヤグリッド偏光器820によって接眼レンズ810に向かって反射される。したがって、視認者側814から放出されるs-偏光における光は、視認者に向かって指向され、世界側814から放出されるs-偏光における光は、ワイヤグリッド偏光器820からの反射によって再利用され、視認者に向かって指向される。故に、本開示の実施形態は、光再利用の実装を通して、視認者のための画像明度を増加させる。
【0054】
図9は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された、偏光器および波長板を図示する、側面図である。図9に図示される実施形態は、図8に図示される実施形態と共通要素を共有し、図8に関連して提供される説明は、必要に応じて、図9に適用可能である。図9は、接眼レンズ910と、ワイヤグリッド偏光器920と、波長板940とを含む、接眼レンズユニット900を図示する。波長板940は、光の偏光状態を変化させるための波長板である。いくつかの実施形態では、波長板940は、1/4波長板である。接眼レンズ910によって放出される光が、円形または楕円偏光である場合、放出される光の偏光状態は、ワイヤグリッド偏光器920の反射軸と整合される光を提供するように制御されることができる。図示される実施形態では、接眼レンズ910から放出される円偏光は、1/4波長板940によってs-偏光に変換され、ワイヤグリッド偏光器920によって反射され、視認者への透過のために再利用される。
【0055】
世界光の再利用に加え、接眼レンズ910によって放出される光も、図8および9に図示されるように、再利用され得ることに留意されたい。これらの実施形態では、視認者プライバシは、接眼レンズ810/910によって放出される光が、接眼レンズユニット800/900を世界側から観察する者による視認のために殆ど利用可能ではないため、向上され得る。
【0056】
図10は、いくつかの実施形態による、接眼レンズと統合された、偏光器のセットおよび液晶要素を図示する、側面図である。液晶セルとも称される、液晶要素は、液晶減衰器の要素として動作し、動的減衰器機能性を有効にし、これは、視認者の周囲の明度に応じて、有用であり得る。液晶セルは、ピクセル化される場合、また、局在化オクルージョンを実施することができる。例えば、視認者が、屋内に居るとき、周囲光の量は、低くあり得、接眼レンズユニットによる減衰は、無視可能である、またはゼロまで低減され得る。しかしながら、視認者が、例えば、晴れた日に屋外を移動するとき、周囲光レベルは、著しく増加し得、接眼レンズユニットは、接眼レンズによって放出される光が、世界光と比較して、無視可能ではなくなるであろうように、世界光を動的に減衰させる能力から利点を享受し得る。
【0057】
図10は、接眼レンズ1010と、液晶減衰器1020と、随意の湾曲審美用レンズ1030とを含む、接眼レンズユニット1000を図示する。接眼レンズ1010は、世界側1012と、世界側1012に隣接する視認者側1014とを有する。液晶減衰器1020は、湾曲審美用レンズ1030と接眼レンズ1010との間の接眼レンズ1010の世界側1012に隣接して配置される。液晶減衰器1020は、液晶要素1024の両面に隣接して、偏光器を含む。ワイヤグリッド偏光器1022は、接眼レンズ1010の世界側1012に隣接し、液晶要素1024は、ワイヤグリッド偏光器1022に隣接し、ダイクロイック偏光器1026は、液晶要素1024に隣接する。ワイヤグリッド偏光器1022およびダイクロイック偏光器1026は、液晶要素1024から空間的に分離されるように図示されるが、典型的には、これらの偏光器1022/1026は、液晶要素1024の表面と接触し得ることを理解されたい。例えば、ワイヤグリッド偏光器1022は、液晶要素1024にラミネートされることができる。加えて、空間分離は、ワイヤグリッド偏光器1022と接眼レンズ1010との間に図示されるが、これは、要求されず、これらの要素は、物理的に接触することができる。例えば、ワイヤグリッド偏光器1022は、接眼レンズ1010にラミネートされることができる。当業者は、多くの変形例、修正、および代替物を認識するであろう。
【0058】
接眼レンズユニット1000は、世界光の動的減衰および接眼レンズ1010から放出される光の再利用の両方を実施し、それによって、画像明度を増加させる。世界からの世界光線1005入射は、p-偏光と、s-偏光との両方を含む。ダイクロイック偏光器1026は、s-偏光を吸収し、p-偏光を通過させる。透過モードでは、液晶要素1024は、光の偏光状態を変化させず、p-偏光は、接眼レンズ1010を通して視認者まで通過する。減衰モードでは、液晶要素1024は、光の偏光をs-偏光に回転させるために使用され、これは、ワイヤグリッド偏光器1022によって反射される。したがって、液晶要素1024によって付与される偏光回転の制御を通して、動的減衰機能性が、達成される。図10に図示される実施形態では、ワイヤグリッド偏光器1022は、p-偏光を通過させ、s-偏光を反射させるように動作可能であって、ダイクロイック偏光器1026は、p-偏光を透過させるように動作可能であるが、これは、本開示によって要求されない。他の実施形態では、偏光状態は、特定の用途の必要に応じて、切り替えられることができる。当業者は、多くの変形例、修正、および代替物を認識するであろう。
【0059】
動的減衰に加え、接眼レンズ1010から放出される光は、再利用される。再び、図10を参照すると、s-偏光における接眼レンズ1010の世界側1012から放出される光は、ワイヤグリッド偏光器1022によって接眼レンズ1010に向かって反射され、そこで、s-偏光における接眼レンズ1010の視認者側1014から放出される光とともに、視認者に向かって伝搬する。ダイクロイック偏光器1026に隣接して配置される、湾曲審美用レンズ1030が、いくつかの実施形態では、随意に、追加されることができる。
【0060】
本開示のいくつかの側面によると、画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットが、提供される。接眼レンズユニットは、世界側と、世界側と反対の視認者側とを有する、接眼レンズと、接眼レンズの世界側に隣接して配置される、偏光器とを含む。偏光器は、例えば、p-偏光を透過させ、s-偏光を反射させるように動作可能である、ワイヤグリッド偏光器を含むことができる。接眼レンズユニットはまた、ワイヤグリッド偏光器に隣接する、液晶要素と、液晶要素に隣接する、ダイクロイック偏光器とを含むことができる。偏光器は、吸収性偏光器を含むことができる。一実施形態では、接眼レンズは、37度を上回る入射角における光に関する偏光感度によって特徴付けられる。例えば、偏光感度は、1を上回るp-偏光の結合効率に対するs-偏光に関する結合効率の比によって特徴付けられることができる。比は、3:1を上回る、または20:1を上回ることができる。接眼レンズは、入力結合回折光学要素と、直交瞳エクスパンダ回折光学要素と、射出瞳エクスパンダ回折光学要素とを含むことができ、偏光感度は、射出瞳エクスパンダと関連付けられる。
【0061】
本開示のいくつかの側面によると、入力結合回折光学要素は、格子を含み、直交瞳エクスパンダ回折光学要素は、格子を含み、射出瞳エクスパンダ回折光学要素は、格子を含む。接眼レンズユニットはさらに、接眼レンズと偏光器との間に配置される、波長板を含むことができる。例えば、波長板は、37度を上回る入射角において可視波長における1/4波長板を含む。さらに、接眼レンズユニットは、加えて、審美用レンズを含むことができ、偏光器は、審美用レンズと接眼レンズとの間に配置される。審美用レンズは、湾曲審美用レンズを含んでもよい。特定の実施例では、接眼レンズ、湾曲審美用レンズ、および偏光器は、光学軸に沿って位置付けられる。偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を含むことができ、ワイヤグリッド偏光器のワイヤグリッドは、光学軸に直交して配向されることができる。
【0062】
いくつかの側面では、接眼レンズユニットは、偏光器と湾曲審美用レンズとの間に配置される、液晶要素と、液晶要素と湾曲審美用レンズとの間に配置される、ダイクロイック偏光器とを含む。ワイヤグリッド偏光器およびダイクロイック偏光器は、p-偏光を透過させるように動作可能であることができる。
【0063】
本開示のいくつかの側面では、画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットが、提供される。接眼レンズユニットは、世界側と、世界側と反対の視認者側とを有する、接眼レンズと、接眼レンズの世界側に隣接して配置される、湾曲審美用レンズと、接眼レンズと湾曲審美用レンズとの間に配置される、偏光器と、接眼レンズと偏光器との間に配置される、1/4波長板とを含む。偏光器は、ワイヤグリッド偏光器を含むことができる。接眼レンズユニットはまた、ワイヤグリッド偏光器と1/4波長板との間に位置付けられる、ダイクロイック偏光器を含むことができる。実施例として、偏光器は、ダイクロイック偏光器を含むことができる。
【0064】
本開示のいくつかの側面では、画像を視認者の眼に投影させるための接眼レンズユニットが、提供される。接眼レンズユニットは、世界側と、世界側と反対の視認者側とを有する、接眼レンズと、接眼レンズの世界側に隣接して配置される、液晶減衰器とを含む。液晶減衰器は、接眼レンズの世界側に隣接する、ワイヤグリッド偏光器と、ワイヤグリッド偏光器に隣接する、液晶要素と、液晶要素に隣接する、ダイクロイック偏光器とを含む。ある実施例では、接眼レンズユニットはまた、ダイクロイック偏光器に隣接して配置される、湾曲審美用レンズを含む。例えば、湾曲審美用レンズは、屈折力によって特徴付けられることができる。ワイヤグリッド偏光器は、接眼レンズにラミネートされる、例えば、液晶要素にラミネートされることができる。ワイヤグリッド偏光器は、p-偏光を通過させ、s-偏光を反射させるように動作可能であることができる。
【0065】
また、本明細書に説明される実施例および実施形態は、例証目的のためのものにすぎず、それに照らした種々の修正または変更が、当業者に示唆され、本願の精神および権限および添付の請求項の範囲内に含まれるものとすることを理解されたい。
【0066】
本開示の熟読に応じて、当業者は、依然として、本明細書の開示される原理を通した運動ベースのコンテンツナビゲーションのためのシステムおよびプロセスに関する、付加的代替構造および機能設計を理解するであろう。したがって、特定の実施形態および用途が図示かつ説明されたが、開示される実施形態は、本明細書に開示される精密な構造およびコンポーネントに限定されないことを理解されたい。当業者に明白となるであろう、種々の修正、変更、および変形例が、添付の請求項に定義される精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される方法および装置の配列、動作、および詳細において成され得る。
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