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  • 特許-自律車両用の行動計画システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】自律車両用の行動計画システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20221212BHJP
   B60W 30/14 20060101ALI20221212BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20221212BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W30/14
B60W40/02
G08G1/16 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019548707
(86)(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2018055536
(87)【国際公開番号】W WO2018162521
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2019-09-06
(31)【優先権主張番号】62/468,140
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】セイエド アッバース サーダート
(72)【発明者】
【氏名】トーマス グレーサー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン エス. ハーディ
(72)【発明者】
【氏名】ミトゥン ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】イェアク ミュラー
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-129804(JP,A)
【文献】特開2016-017914(JP,A)
【文献】特開2008-305014(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1898232(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00~60/00
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数のプロセッサによって、自律車両の未来の全周囲環境を予測し、
1つ又は複数の前記プロセッサによって、前記自律車両について起こり得る行動順序の組合せから成る木構造のグラフ探索を実行することにより、前記自律車両について起こり得る軌跡を生成し、
1つ又は複数の前記プロセッサによって、現在の局所的な交通状況に基づいて、前記自律車両の前記未来の全周囲環境における動的な各障害物の運動及び反応を予測し、
1つ又は複数の前記プロセッサによって、複数の時間ステップにわたって反復的に、前記自律車両の前記未来の全周囲環境の予測、前記自律車両について起こり得る軌跡の生成、並びに、前記動的な各障害物の運動及び反応の予測を実行する、
ことを含む方法。
【請求項2】
自律車両用のシステムにおいて、
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数の前記プロセッサによって使用されるコンピュータプログラムが記憶されている1つ又は複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体と、
を備えており、
前記コンピュータプログラムは、1つ又は複数の前記プロセッサに、
自律車両の未来の全周囲環境を予測させ、
前記自律車両について起こり得る行動順序の組合せから成る木構造のグラフ探索を実行させることにより、前記自律車両について起こり得る軌跡を生成させ、
現在の局所的な交通状況に基づいて、前記自律車両の前記未来の全周囲環境における動的な各障害物の運動及び反応を予測させ、
複数の時間ステップにわたって反復的に、前記自律車両の前記未来の全周囲環境の予測、前記自律車両について起こり得る軌跡の生成、並びに、前記動的な各障害物の運動及び反応の予測を実行させる、
自律車両用のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的には、自律車両に関し、さらに詳細には、自律車両用の行動計画システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
本明細書において別段の指示がない限り、このセクションで説明する題材は本願の特許請求の範囲に対する従来技術ではなく、これらをこのセクションに含めたからといって従来技術であると認められるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
慣例の行動計画装置は、自律車両が発見的遷移条件に基づいて特定の行動を取ることを決定する、有限状態機械(FSM:finite state machine)によるアプローチに基づいている。しかしながら、このFSMアプローチにおいては、自律車両は、その自律車両の周囲環境における変化に受動的に反応することしかできず、所定の行動がどのような影響を及ぼして、未来の交通状況をどのように進展させるかについての未来の展望は提供されない。図1及び図2には、FSMアプローチを使用する従来技術による行動計画装置によって評価される、1台のターゲット車両を用いる「車線追従」行動、又は、隣の車線上の2台のターゲット車両間への「車線変更」行動のような種々の、起こり得る行動が示されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本明細書に開示される特定の実施の形態の概要が、以下に記載されている。これらの態様が、単にこれらの特定の実施の形態の簡単な概要を読者に提供するために提示されたものであって、本開示の範囲を限定することを意図したものではないことを理解すべきである。それどころか、本開示は、以下に記載されていない可能性もある種々の態様を包含することができる。
【0005】
本開示の実施の形態は、1台又は複数台の車両の反応及び1台又は複数台の車両との相互作用を評価するためのコンピュータプログラムが記憶されている非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に関し、コンピュータプログラムは、自車両について起こり得る行動順序組合せから成る木構造を通した探索と、1台又は複数台の車両の反応及び1台又は複数台の車両との相互作用の捕捉とを機械に実行させるための命令の集合からなるルーチンを含む。
【0006】
本開示の実施の形態の他の態様は、方法であり、この方法においては、1つ又は複数のプロセッサによって、自律車両の未来の周囲環境を推定し、自律車両について起こり得る軌跡を生成し、現在の局所的な交通状況に基づいて、自律車両の未来の周囲環境における動的な各障害物の運動及び反応を予測し、複数の時間ステップにわたって反復的に予測を生成する。この方法においては、さらに、1つ又は複数のプロセッサによって、行動決定時間分解能が、反復的な予測分解能から切り離される。
【0007】
本開示の実施の形態の他の態様は、1つ又は複数のプロセッサと、1つ又は複数のプロセッサによって使用されるコンピュータプログラムが記憶されている1つ又は複数の非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を有する、自律車両用のシステムであり、コンピュータプログラムは、1つ又は複数のプロセッサに、自律車両の未来の周囲環境を推定させ、自律車両について起こり得る軌跡を生成させ、現在の局所的な交通状況に基づいて、自律車両の未来の周囲環境における動的な各障害物の運動及び反応を予測させ、複数の時間ステップにわたって反復的に予測を生成させる。
【0008】
図面の簡単な説明
本開示のこれらの特徴及び他の特徴、態様及び利点は、複数の図面を通じて同様の符号が同様の技術を表している添付の図面を参照して、以下の特定の例示的な実施の形態の詳細な説明を読むことにより、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来技術によるFSMを実装した自律車両用の行動計画装置を使用する、1つの起こり得る車線追従行動を示す簡略図である。
図2】従来技術によるFSMを実装した自律車両用の行動計画装置を使用する、1つの起こり得る車線変更行動を示す簡略図である。
図3A】本開示の1つの実施の形態による自動運転システムを示す図である。
図3B】本開示の上記の実施の形態による自律車両の近傍に複数の隣接車両が存在する複数車線道路及び地図の鳥瞰図を示す簡略図である。
図4A】本開示の説明した実施の形態による、複数の隣接車両が近傍に存在する状態で自律的に走行する自律車両の1つの図である。
図4B】本開示の説明した実施の形態による、複数の隣接車両が近傍に存在する状態で自律的に走行する自律車両の1つの図である。
図4C】本開示の説明した実施の形態による、複数の隣接車両が近傍に存在する状態で自律的に走行する自律車両の1つの図である。
図4D】本開示の説明した実施の形態による、複数の隣接車両が近傍に存在する状態で自律的に走行する自律車両の1つの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
以下の説明は、記載された実施の形態をあらゆる当業者が構成し、使用することを可能にするために提示され、特定の用途及びその要求の脈絡において提供される。記載された実施の形態に対する様々な変更は、当業者には自明であり、本明細書において定義される一般的な原理は、記載された実施の形態の精神及び範囲から逸脱することなく、他の実施の形態及び用途に適用することができる。従って、記載された実施の形態は、図示される実施の形態に限定されず、本明細書に開示される原理及び特徴と一致する、極めて広い範囲に調和すべきである。
【0011】
図3A及び図3Bには、本開示の1つの態様による自動運転システム100が示されている。図3Aに図示されているように、運転システム100を、車両114若しくは機械装置に組み込むことができ、又は、任意の適当な携帯可能装置/容器若しくはモバイル装置/容器のいずれかに組み込みことができる。本開示の特定の態様は、車両の特定のタイプとの組み合わせにおいて特に有益であるが、しかしながら、車両は、自動車、トラック、オートバイ、バス、ボート、スポーツユーティリティビークル(SUV)、自転車、飛行機、ヘリコプタ、芝刈り機、レクリエーショナルビークル、アミューズメントパーク用車両、路面電車、ゴルフカート、列車、トロリー、超軽量飛行機などを含む任意のタイプの車両であってもよい。ただし、車両はこれらに限定されるものではない。車両は、1つ又は複数の自動運転システムを有することができる。機械装置は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、タブレット、又は、腕時計、眼鏡、ゴーグルなどのウェアラブル装置、又は、任意の適当な携帯可能装置を含む任意のタイプの装置であってよい。ただし、装置はこれらに限定されるものではない。図3Aに図示したように、自動運転システム100には、プロセッサ108と、コンピュータ可読媒体110と、通信モジュール112とが含まれている。ルート計画モジュール102と、行動計画モジュール104と、軌跡計画モジュール106とは、自動運転システム100に設けることができる。
【0012】
ルート計画モジュール102と、行動計画モジュール104と、軌跡計画モジュール106と、プロセッサ108と、コンピュータ可読媒体110と、通信モジュール112とが同じブロック100内に存在しているが、当業者であれば、ルート計画モジュール102と、行動計画モジュール104と、軌跡計画モジュール106と、プロセッサ108と、コンピュータ可読媒体110と、通信モジュール112とが、同じブロック100に収容されていてもよいし、収容されていなくてもよいことを理解するであろう。本明細書において説明する種々の態様においては、プロセッサ108と、コンピュータ可読媒体110と、通信モジュール112とを、自動運転システム100の外部に設けられているコンピュータに組み込みことができる。他の態様においては、本明細書において説明するプロセスの一部が、車両114に内に設けられたプロセッサにおいて実行され、その他のプロセスが、機械装置116内に設けられたリモートプロセッサにおいて実行される。
【0013】
コンピュータ可読媒体110は、ルート計画モジュール102と、行動計画モジュール104と、軌跡計画モジュール106と、プロセッサ108とがアクセスし得る情報を記憶しており、これらの情報には、ルート計画モジュール102と、行動計画モジュール104と、軌跡計画モジュール106と、プロセッサ108とによって実行されるか、そうでなければそれらが使用することができるコンピュータ実行可能命令が含まれる。プロセッサ108は、任意の慣例のプロセッサであってよい。代替的に、プロセッサ108は、ASICのような専用の装置であってもよい。
【0014】
通信モジュール112は、1つ又は複数の電子制御ユニット、1つ又は複数のプロセッサのような他のコンピュータやネットワークと直接的又は間接的に有線/無線により通信を行う。センサのような他の検出装置、タッチディスプレイ、マウス、キーボード、音声入力部、カメラのようなユーザインタフェース、及び、コンピュータに実装された他の適当なモジュールを、システム100に組み込むことができ、又は、通信を行うことができるようにシステム100に接続することができる。
【0015】
ルート計画モジュール102において実行されるルート処理、行動計画モジュール104において実行される行動処理、及び、軌跡計画モジュール106において実行される軌跡処理のプロセスによって、設定可能な期間T中に、或る周囲環境を自車両が通過する際に従うことができるルート、行動及び軌跡の候補が生成される。一部の態様においては、ルート計画モジュール102、行動計画モジュール104及び軌跡計画モジュール106がプロセッサ108においてプログラムされたコンピュータ実行可能命令であることによって、ルート、行動及び軌跡の候補を生成するためのルート処理、行動処理及び軌跡処理をプロセッサ108において実行することができる。
【0016】
図3Bに図示したように、行動計画モジュール104は、自律車両について起こり得る行動順序組合せから成る木構造の限定的な水平方向の探索を実行し、この水平方向の探索と、反復的な全周囲環境予測とを組み合わせて、他の交通関与者の反応及び他の交通関与者との相互作用を捕捉するように動作することができる。例えば、行動計画モジュール104は、限定された期間又は計画範囲まで、自車両の起こり得る行動から成る木構造を効率的に探索するための最適なグラフ探索を実行する。前述の期間には、この期間を評価することができる開始時点及び終了時点が含まれる。また、前述の期間は、探索空間の大きさに制約を課して、効率的な再計画を実現するために必要である。
【0017】
終了時点に迅速に到達し、それによって、起こり得るすべての経路又はエッジを通ることなく、最適な経路を発見することができるようにするために、グラフ探索技術が使用される。グラフ探索技術は、水平方向の探索技術であってよい。しかしながら、他の適当なグラフ探索技術を使用することもできる。計画期間の終了時における所定の自車両位置についての効用コストを推定するために、事前に計算された静的コストが使用される。1つの実施の形態においては、設定可能な期間T中に自車両114が周囲環境を通過する際に従うことができるグラフ探索技術が軌跡計画モジュール106に含まれる。他の実施の形態においては、グラフ探索技術が、行動計画モジュール104に記憶されている。続いて、生成された軌跡がコンピュータ可読媒体110に記憶される。反復的な行動探索全周囲環境予測を使用する行動計画についてのさらなる詳細を以下において説明する。
【0018】
図4Aから図4Dは、本開示の説明した1つの実施の形態による、複数の隣接車両160,162の近傍において、二車線道路200を自律的に走行する自律車両114の図である。図4Aに図示したように、車両160は、現在、二車線道路200の左側車線上の同じ見込み経路202を辿っている。自律車両114は、現在、二車線道路200の右側車線に位置している。左側車線と右側車線とは、境界線204によって隔てられている。本明細書において説明する自律車両114又は「自車両」は、車線追従行動を開始し、次の時間ステップにおいて切り換えることができる、起こり得るすべての行動を列挙する。1つの態様においては、図4Aに図示したように、自車両114が車線追従行動を継続し、二車線道路200の右側車線上の同じ見込み経路208を辿る。他の態様においては、車線変更行動がより低いイニシャルコストを有する場合に、自車両114の自動運転システム100は、車線追従行動から車線変更行動への切り換えを行うことができ、また、図4Bにおいては、自車両114に関して計画された経路210が、境界線204を横断して隣接車両160の見込み経路202に接近するように図示されている。水平方向の探索がプログラミングされている行動計画モジュール104は、車線追従行動から車線変更行動への切り換えの可能性を探る。1つの実施の形態においては、反復的な全周囲環境予測が使用され、これによって、水平方向の探索は、他の車両160、162の起こり得る行動を明示的に包括的に探索することなく、他の車両160、162の反応及び他の車両160、162との相互作用を評価することができる。反復的な全周囲環境予測によって、水平方向の探索の扱い易さは維持される。水平方向のグラフ探索において新たな行動が評価される度に、自車両114が、選択された行動、例えば車線追従行動、車線変更行動又は車線変更行動中止に従うという前提のもとで、自車両114の未来の周囲環境を推定する予測プロセスが次の時間ステップで実行される。この予測プロセスには、自車両114の現在の局所的な交通状況を基礎とした、自車両114について起こり得る軌跡の生成と、それに続く、自車両114の周囲環境における動的な各障害物の運動及び反応の予測とが含まれる。さらにこの予測プロセスには、他の車両が現在の交通状況に対して、短い時間ステップにわたり繰り返しどのように反応する可能性があるかという予測の生成が含まれる。水平方向のグラフ探索は、他の車両160、162に対する能動的な計画を行うことを一切要求することなく、自車両114と他の交通関与者との間の相互作用をモデリングすることができる。この反復的で受動的な予測は、自車両114及び他の交通関与者に対して共同の能動的な計画の実施を試みるよりもはるかにコストがかからず、また、はるかに良好にスケーリングすることができる。
【0019】
1つの態様においては、自車両114は、車線変更行動を継続することができ、又は、車線変更行動から車線変更行動中止への切り換えを行うことができる。図4Cに図示したように、自車両114は、隣接車両160の見込み経路202に進入することによって車線変更行動を継続し、それによって、計画された経路210が、見込み経路202に併合される。自車両114が、車線変更を行わないことを決定し、又は、図4Dに図示したように、後方から来る隣接車両160が見込み経路202に接近していることに起因して車線変更をすることができそうにないと判定した場合には、自車両114の自動運転システム100は、車線変更行動から車線変更行動中止への切り換えを行う。自車両114に対して計画された経路212は、二車線道路200の左側車線に接近するために、境界線204を横断するように図示されている。
【0020】
ここで再び図4Bを参照すると、時間ステップt1において、自車両114は、車線変更軌跡を生成するが、しかしながら、左側車線の他の車両160はまだ反応を示していない。時間ステップt2において、自車両は、図4Cに図示したような車線変更行動を継続し、又は、図4Dに示したような車線変更行動中止への切り換えを行うと、自車両軌跡に従って自車両114は部分的に左側車線に入るので、左側車線の車両160はそれに対して反応する。一部の実施の形態においては、時間ステップの小さな部分集合における切り換え行動だけを評価するように行動探索が限定されるので、反復的な予測時間分解能は、行動探索時間分解能から効果的に切り離される。これによって、計算効率が大幅に改善され、より長い計画期間を評価することができるようになるので、よりインテリジェントな行動決定が行われる。インテリジェントな自動運転意思決定のために自車両の起こり得る行動の木構造についての限定的な水平方向の探索によって、意思決定性能が大幅に改善される。1つの実施例においては、自車両114が、未来の時間ステップにおける行動について予測される効用を明示的に評価する。他の実施例においては、自車両114が、その自車両114自体の予想される未来の状態に基づいて、他の作用因の行動を理解して、増分的に予測する。自車両114は、安全性、快適性及びその目標への進捗状況を最大にするために、各行動遷移の起こり得る種々のタイミングを明示的に評価して比較する。反復的な予測によって、周囲環境内の動的な各障害物についての共同の予測計画を実施する必要なく、他の動的な障害物が自車両114に対してどのように反応し、また、自車両114とどのように相互作用するかを理解するための行動探索が実現される。限定的な分岐点によって、行動決定時間分解能が、反復的な予測分解能から切り離され、これは、より長い計画期間のより効率的な探索を実現する。
【0021】
上述した実施の形態は例として示されたものであり、これらの実施の形態は様々な変更及び代替形態の影響を受けやすいことを理解されたい。さらに、特許請求の範囲は、開示された特定の形態に限定されるものではなく、むしろ、本開示の精神及び範囲に属するすべての変更、等価物及び代替物を包含するものであることを理解されたい。
【0022】
本開示の範囲内の実施の形態はまた、そこに格納されているコンピュータ実行可能命令又はデータ構造を搬送又は保持するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体又は機械可読媒体を含むものとしてよい。そのような非一時的なコンピュータ可読記憶媒体又は機械可読媒体は、汎用コンピュータ又は専用コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であるものとしてよい。限定ではなく例として、このような非一時的なコンピュータ可読記憶媒体又は機械可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置又は所望のプログラムコード手段をコンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形態で所持又は格納するために使用することができる任意の他の媒体を含み得る。上記のものの組み合わせもまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体又は機械可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0023】
実施の形態が、通信ネットワークを介して(ハードワイヤードリンク、無線リンク又はそれらの組み合わせのいずれかによって)リンクされたローカル及びリモート処理装置によってタスクが実行される分散型コンピューティング環境において実施されてもよい。
【0024】
コンピュータ実行可能命令は、例えば汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は専用処理装置に特定の機能又は機能群を実行させる命令及びデータを含む。コンピュータ実行可能命令は、スタンドアロン又はネットワーク環境にあるコンピュータによって実行されるプログラムモジュールも含む。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント及びデータ構造等を含む。コンピュータ実行可能命令、関連付けられたデータ構造及びプログラムモジュールは、本明細書に開示された方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の例を表す。そのような実行可能命令又は関連付けられたデータ構造の特定のシーケンスは、そのようなステップで説明された機能を実現するための対応する動作の例を表す。
【0025】
本特許を様々な実施の形態を参照して説明したが、これらの実施の形態は例示的なものであり、本開示の範囲はそれらに限定されない、ということを理解されたい。多くの変形、変更、追加及び改良が可能である。より一般的には、本特許に従った実施の形態を、前後関係に沿って又は特定の実施の形態で説明した。機能性が、本開示の様々な実施の形態と異なって、別個にされてもよく、又は、ブロックに結合されてもよく、又は、異なる用語で表されてもよい。これら及び他の変形、変更、追加及び改良は、以下の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲内に含まれ得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D