(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】電気式エアロゾル発生システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20221212BHJP
【FI】
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2019556739
(86)(22)【出願日】2018-01-02
(86)【国際出願番号】 EP2018050069
(87)【国際公開番号】W WO2018122410
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-10-09
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】JT INTERNATIONAL S.A.
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100138759
【氏名又は名称】大房 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ソリアーノ,イバン
(72)【発明者】
【氏名】アナビ,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】プロ,アレクサンドル
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503916(JP,A)
【文献】国際公開第2016/030661(WO,A1)
【文献】特開2011-241785(JP,A)
【文献】特表2016-517270(JP,A)
【文献】特開平05-184676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システム(36)であって、前記システムは、
前記エアロゾルを生成するために前記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、
前記エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路(18)であって、前記加熱システムは、前記流路と流体連通するように構成されている、流路と、
電気回路(8)とを備え、前記電気回路(8)は、
前記加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分に関連する特性を決定し、かつ、
前記2階時間微分の前記特性に基づいて前記流路の前記流れに関係する性質を決定するように構成され、前記流れに関係する前記性質は、前記エアロゾルの
量である、エアロゾル発生システム(36)。
【請求項2】
前記電気エネルギーの前記性質は、前記加熱システム(30)を通る電流に基づいている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流れに関係する前記性質は、
吸入の開始、吸入の終了、吸入の持続時間
のうちの1つまたは複数をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記2階時間微分と関連する前記特性は、前記2階時間微分における振動の性質に基づく、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記振動の性質は、前記振動の振幅(84)、面積、周期のうちの1つを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記振動は、前記流路を通じたユーザ吸入の開始に関連する最大値(80)および隣接する最小値(82)、ならびに/または終了に関連する最大値(108)および隣接する最小値(110)を含み、かつ/または、前記値によって境界される、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記特性は、前記最大値および前記隣接する最小値のピーク間振幅(84)である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記電気回路(8)は、前記流路(18)を通じたユーザ吸入の前に前記加熱システム(30)を予熱するために電気エネルギーを印加するように構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記電気回路(8)は、前記流れの前記決定された性質に基づいて情報を表示するためのユーザインターフェースに対する命令を生成するように構成されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記電気回路(8)は、前記流れに関係する前記性質と前記2階時間微分と関連付けられる前記特性との間の記憶された関係に基づいて、前記流れに関係する前記性質を決定するように構成されている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気回路(8)は、メモリと通信可能に結合された1つまたは複数の電子プロセッサを含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記システム(36)は、前記流路(18)の少なくとも一部、前記加熱システム(30)、および、貯蔵部(14)から前記加熱システム(30)へ前駆体を輸送するための前駆体輸送ユニット(16)を収容するように構成されたハウジング(35)を含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システム(36)の流れの性質を決定する方法であって、前記エアロゾル発生システム(36)は、電気回路(8)と、前記エアロゾルを生成するために前記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、前記エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路(18)であって、前記加熱システム(30)は、前記流路(18)と流体連通するように構成されている、流路とを備え、前記電気回路(8)によって実行される前記方法は、
前記加熱システム(30)を通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分に関連する特性を決定することと、
前記2階時間微分の前記特性に基づいて前記流れに関係する前記性質を決定することとを含み、前記流れに関係する前記性質は、前記エアロゾルの
量である、方法。
【請求項14】
前記流れの決定された性質に基づいて情報を表示するために、ユーザインターフェースのための命令を生成することと、この情報を表示することとをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
プログラム可能な電気回路(6)上で実行されると請求項13または請求項14に記載の方法を実行する命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項16】
エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するために電気式エアロゾル発生システム(36)の流れの性質を決定するための電気回路(8)であって、前記電気式エアロゾル発生システム(36)は、前記前駆体を加熱して前記エアロゾルを発生させるための電気式加熱システム(30)と、前記エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路(18)とをさらに備え、前記電気回路(8)は、
前記加熱システム(30)を通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分に関連付けられた特性を決定し、
前記2階時間微分の前記特性に基づく前記流れに関連する性質を決定する、
ように構成され、前記流れに関連する前記性質は、前記エアロゾルの
量である、電気回路(8)。
【請求項17】
前記流れの決定された性質に基づいて情報を表示するために、ユーザインターフェースのための命令を生成するようにさらに構成された、請求項16に記載の電気回路(8)。
【請求項18】
請求項15に記載のコンピュータプログラムを含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、エアロゾルがエアロゾル形成前駆体から形成されてユーザに送達される、電気式エアロゾル発生システムの分野に関する。特に、本開示は、エアロゾルを含む、上記システムを通る流れの性質を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
エアロゾル発生システムは、エアロゾル形成前駆体を貯蔵するための貯蔵部を備える。前駆体は液体を含む場合がある。加熱システムが、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するように構成された1つまたは複数の電気的に作動される抵抗加熱素子から形成され得る。エアロゾルは、システムの入口と出口との間に延伸する流路内に放出される。出口はマウスピースとして構成され得、ユーザにエアロゾルを送達するために、マウスピースを通じてユーザが吸入する。
【0003】
システムは、ユーザに送達される前駆体の1つまたは複数の成分の量を決定するために、前駆体の消耗の測定を実装することができる。補充が必要なときにユーザに知らせることができるように、貯蔵部に残っている前駆体の量を決定するために測定を実装することもできる。そのような測定は、貯蔵部と関連付けられる流量計またはレベル検知システムによって実装され得る。消耗を測定するための費用対効果がありかつ/または信頼できる手段を開発することが所望され得る。
【0004】
エアロゾル発生システムの開発にすでに投資された労力にかかわらず、さらなる改善が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示は、エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システムを提供し、システムは、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システムと、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路であって、加熱システムは、流路と流体連通するように構成されている、流路と、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分に関連する性質を決定し、2階時間微分の特性に基づいて流路の流れに関係する特性を決定するための電気回路とを備える。
【0006】
2階時間微分からの特性の決定を実装することによって、特性(上記性質における振動に関連する振幅、周期、立ち上がり時間またはピークの時間または面積など)を最も正確に位置特定および決定することができることが分かった。その結果、流れの性質を最も正確に計算することができる。特に、性質(例えば電力、電流または電圧)が定数として維持されるかまたは一定の温度を維持するための実施態様において、2階時間微分は、数値微分なしに電流より公称値に速く収束し、結果、特性を最も容易に決定することができることが分かった。
【0007】
実施形態では、流れに関係する性質は、エアロゾルの1つまたは複数の成分の量、吸入の開始、吸入の終わり、吸入の持続時間のうちの1つまたは複数である。「量」は、1つまたは複数の成分の有無とは対照的に、数量(例えば、質量)を参照し得る。
【0008】
実施形態では、特性は、振幅、周期、ならびに、吸入の強度、すなわち流量を推測することができる振動の最大値および/または最小値によって囲まれる面積のうちの1つまたは複数を含む。
【0009】
実施形態では、上記特徴の特性は、投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量に直接関係している。直接関係するとは、特徴の大きさが大きいほど、例えば、正比例または他の数学関数関係を介して、投与される成分の量が多いことを意味する。
【0010】
実施形態では、回路は、加熱システムの性質を定数として調整するための制御を実装することができ、例えば、加熱システムの温度が目標温度に調整されるか、または加熱システムにかかる電圧が目標電圧に調整される。上記制御は、パルス幅変調(PWM)、または、DC:DC変換器などの他の適切な手段によって実装することができる。実施形態では、上記調節された性質の、目標の大きさからの一時的な変位を、流路を通じた吸入および加熱システムの冷却の結果として決定することができる。電気エネルギーの性質に関連する特性は、少なくとも部分的に上記変位に基づき得る。
【0011】
実施形態では、回路は、例えば、加熱システムの電気抵抗を測定し、抵抗と温度との間の経験的関係に基づいて上記抵抗から温度を決定することによって、または専用の温度センサによって、加熱システムの温度の測定を実装することができる。
【0012】
本開示は、エアロゾル発生システムの流れの性質を決定する方法を提供し、この方法は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分に関連する特性を決定することと、2階時間微分の特性に基づいて流れに関係する性質を決定することとを含む。方法は、本明細書に開示されている実施形態の任意の方法を実装することができる。
【0013】
本開示は、エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システムを提供し、システムは、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システムと、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路であって、加熱システムは、流路と流体連通するように構成されている、流路と、電気回路であって、電気回路は、加熱システムを通じた電気エネルギーの振動の性質を決定することであり、振動は、流路を通じたユーザの吸入の開始および/または終了に起因する、決定すること、および、振動の特徴に基づいて(少なくとも部分的に基づくことを含む)吸入において投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量を決定することを行うための電気回路とを備える。
【0014】
吸入において投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量の計算を、ユーザの吸入の開始および/または終了に起因する振動の特性に少なくとも部分的に基づかせることによって全吸入の間の特性は、例えば、上記開始振動または終了振動の一方のみを識別することができる場合は、決定することは必要とされなくてもよい。
【0015】
実施形態では、特徴は、振幅、周期、ならびに、吸入の強度、すなわち流量を推測することができる振動の最大値および/または最小値によって囲まれる面積のうちの1つまたは複数を含む。
【0016】
ユーザの吸入の開始および/または終了に起因する振動は、吸入のそれぞれの開始および終了における電気エネルギーの性質の変化または変動を指し、特に、吸入の開始から終了までに起こり得る全体的な振動ではないことを理解されたい。ユーザの吸入の開始および/または終了に起因する振動の持続時間は、例えば、吸入の全持続時間の10または5%未満であり得る。実施形態において、この変動は、2階時間微分から特に明らかであり得る。
【0017】
実施形態では、上記特徴の大きさは、投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量に直接関係している。直接関係するとは、特徴の大きさが大きいほど、例えば、正比例または他の数学関数関係を介して、投与される成分の量が多いことを意味する。
【0018】
本開示は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の振動の特徴を決定する方法を提供し、この振動は、流路を通じたユーザの吸入の開始および/または終了に起因するものであり、振動の特徴に基づいて、吸入において投与されるエアロゾルの量が決定される。方法は、本明細書に開示されている実施形態の任意の方法を実装することができる。
【0019】
本開示は、エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システムを提供し、システムは、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システムと、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路とを備え、加熱システムは流路と流体連通して配置されている。回路は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を測定し、(例えば、上記測定された性質によって決定することができる加熱システムに冷却効果を与える、流路を通してのユーザ吸入中に)電気エネルギーの上記測定された性質から1つまたは複数の特性を決定し、決定された特性に基づいて、電気エネルギーの測定された性質と流れの性質との間の複数の異なる経験的関係から1つを選択し、流れの性質を決定するために、上記関係を実装する。
【0020】
測定された電気エネルギーの特性に基づいて、電気エネルギーの特性を流れの性質に関連付けることが可能である、特定の経験的に得られた関係を選択することによって、いくつかのうち最も適切な関係を実装して上記流れの性質を最も正確に計算することができる。
【0021】
実施形態では、電気エネルギーの性質は、加熱システムを通る電流もしくは電力、または加熱システムにわたる電位を含み得る。これらはすべて、回路によって、例えば、様々な電流および/または電位測定実施態様によって簡便に測定することができる。
【0022】
実施形態では、流れに関連する特性は、流路中のエアロゾルの1つまたは複数の成分の量であり、エアロゾルは、システムの噴霧器によって前駆体から生成される。流れはまた、ユーザの吸入によって流路を通して吸引される空気をも含み得る。
【0023】
実施形態では、特性は、上記電気エネルギーの振動の振幅もしくは周期もしくは面積、またはそれらの時間微分、流路を通じたユーザ吸入の開始時間、流路を通じたユーザ吸入の持続時間、加熱システムに電気エネルギーが印加される持続時間のうちの1つまたは複数に基づく。上記電気エネルギーの振動の振幅または周期または面積を選択することによって、吸入の強度、例えば、流量を決定することが可能になり得る。
【0024】
実施形態では、経験的関係は経験的に得られた数式を含む。経験的関係は、流れの性質としての出力値を含み得る。出力値は、各々が決定された特性または流れの別の特性(例えば、関係を選択するのに使用された同じ特性が入力および/または異なる特性として使用され得る)を含む1つまたは複数の入力値に関係し得る。
【0025】
実施形態では、電気回路は、上記第1の1つまたは複数の入力値が電気エネルギーの測定された性質から取得できるか否かを決定し、得られた入力値に基づいて上記関係を選択するように構成される。関連する入力値がすべて得られるか否かに基づいて関係を選択することによって、代表的な出力値を提供することができる関係のみを実装することができる。
【0026】
実施形態では、第1の関係は入力として1つまたは複数の入力値から成る第1のセットを含み、第2の関係は1つまたは複数の入力値から成る異なる第2のセットを含み、回路は、第1の入力値セットが取得可能である場合は第1の関係を実装し、そうではなく、第2の入力値セットが取得可能な場合は第2の関係を実装する。1つまたは複数の入力値を取得することができない第1の関係の代わりに、入力値をすべて取得することができる第2の関係を選択することによって、代表的な出力を取得することができる。
【0027】
実施形態では、第2の入力値セットは、第1の入力値セットのサブセットを形成する。(第1のセットよりも数値的に少ないが)第1の入力値セットの1つまたは複数からなるように第2の入力値セットを選択することにより、第1のセットを部分的に決定するときに第2のセットを決定することができ、したがって、第2のセットを得るために別個の計算ステップは必要ない。
【0028】
実施形態では、1つまたは複数の入力値の第1のセットは上記電気エネルギーの振動の振幅または周期または面積またはその時間微分を含み、1つまたは複数の入力値の第2のセットは上記電気エネルギーの振動の振幅またはその時間微分を含まない。振動の振幅または周期または面積を含むように第1のセットを選択することによって、第1の関係は吸入の強度、例えば流量に基づくことができ、正確な出力値を提供し、第2の関係を強度に基づかないことによって、あまり正確ではないがより信頼できる第2の関係が提供される。
【0029】
実施形態では、第1の入力値セットおよび第2の入力値セットは、流路を通じたユーザ吸入の持続時間および/または加熱システムに印加される電気エネルギーの持続時間(例えば、気化ボタンの作動の持続時間)を含む。上記持続時間を含むように共通の入力値を選択することによって、吸入のために送達されるエアロゾルの総量を決定するとき、流量のみとは対照的に、流路を通じた吸入の持続時間を考慮することができる。
【0030】
実施形態では、回路は、入力値のセットが得られない場合、前回のユーザの吸入から決定された出力値から出力値が決定されるように構成される。(例えば関連する入力値が得られないことに起因して)第1の(または第1および第2の両方の)関係が実装できない場合に、前回の吸入からの出力値を決定することによって、システムは出力値を決定する信頼できる手段を含む。
【0031】
本開示は、エアロゾル発生システムの流れの性質を決定する方法を提供し、方法は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を測定することと、電気エネルギーの上記測定された特性から1つまたは複数の性質を決定することと、決定された特性に基づいて、電気エネルギーの測定された性質と流れの性質との間の複数の異なる経験的関係から1つを選択することと、流れの性質を決定するために、上記関係を実施することとを含む。方法は、本明細書に開示されている実施形態の任意の方法を実装することができる。
【0032】
本開示は、エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システムを提供し、システムは、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システムと、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路であって、加熱システムは、流路と流体連通するように構成されている、流路と、電気回路とを備え、電気回路は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を安定させるために、加熱システムに所定量の電気エネルギーを印加し、電気回路は、加熱システムを通じた電気エネルギーの安定化された性質に基づいて、流路の流れに関係する性質を決定し、流れに関係する性質は、エアロゾルの1つまたは複数の成分の量のうちの1つまたは複数である。
【0033】
通過する電気エネルギーの性質を安定化させるために所定量の電気エネルギーを加熱システムに印加することによって、電気エネルギーの性質の特定の特徴(振動の振幅、周期または面積など)を、精度を増大させて抽出することができ、したがって、対応する精度を増大させて、流れに関係する性質を決定するために使用することができる。
【0034】
本開示は、エアロゾル発生システムの流れの性質を決定する方法を提供し、方法は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を安定させるために、加熱システムに所定量の電気エネルギーを印加することと、加熱システムを通じた電気エネルギーの安定化された性質に基づいて、流れに関係する性質を決定することとを含み、流れに関係する性質は、エアロゾルの1つまたは複数の成分の量のうちの1つまたは複数である。
【0035】
本開示は、前に開示されている方法のうちの1つまたは複数を実装するためのコンピュータプログラムまたは電気回路またはコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読媒体を提供する。
【0036】
図面の簡単な説明
本開示の実施形態の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照して以下の実施形態の説明から明らかになるであろう。図面では、同じ符号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】エアロゾル発生システムの実施形態の構成要素を示すブロック系統図である。
【
図2】
図1のシステムの実施形態の構成要素を示す概略図である。
【
図3】
図1のシステムの一実施形態を示す概略図である。
【
図4】上記システムを通る流れの性質を決定するために
図1のシステムによって実装される実施形態のプロセスを示す流れ図である。
【
図5】
図1のエアロゾル発生システムの実施形態の構成要素を示す概略図である。
【
図6】
図1のシステムの実施形態の回路、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を決定するための回路を示す概略図である。
【
図7】
図6の回路のより詳細な実装態様を示す概略図である。
【
図8】
図6または
図7の実施形態の回路の電気加熱システムを通る電流の一例を示すグラフ図である。
【
図9】
図9の電流およびその2階時間微分を示すグラフ図である。
【
図10】
図1のシステムの流路を通じたユーザの吸入の効果が詳細に示されている、
図6または
図7の実施形態回路の電気加熱システムを通る電流およびその2階時間微分の一例を示すグラフ図である。
【
図11】吸入が
図10に示すものよりも早く開始される、
図1のシステムの流路を通じたユーザの吸入の効果が詳細に示されている、
図6または
図7の実施形態回路の電気加熱システムを通る電流およびその2階時間微分の一例を示すグラフ図である。
【
図12】性質が、上記性質の決定の前に所定量の電気エネルギーによって安定化される、上記システムを通る流れの性質を決定するために
図1のシステムによって実装される実施形態のプロセスを示す流れ図である。
【
図13】性質が、その加熱システムを通じた電気エネルギーの性質における振動に基づき、振動は、上記システムを通る流れの吸入の開始および/または終了に起因する、上記システムを通る流れの性質を決定するために
図1のシステムによって実装される実施形態のプロセスを示す流れ図である。
【
図14】性質が、複数の異なる関係のうちの1つを使用して決定される、上記システムを通る流れの性質を決定するために
図1のシステムによって実装される実施形態のプロセスを示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
実施形態の詳細な説明
エアロゾル発生システムのいくつかの実施形態を説明する前に、システムは、以下の説明に記載されている構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示の利益を享受する当業者には、システムが、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践または実行され得ることが明らかであろう。
【0039】
本開示は、以下の説明に鑑みてより良好に理解され得る。
本明細書において使用される場合、用語「エアロゾル発生装置」または「装置」は、喫煙用のエアロゾルを含め、エアロゾル発生ユニット(例えば、ユーザによる吸入のために、例えばマウスピースにおいて装置の出口に送達される前に、凝縮してエアロゾルになる蒸気を生成するヒータまたは噴霧器)によって、ユーザにエアロゾルを送達する喫煙装置を含み得る。喫煙用エアロゾルとは、粒径0.5~7マイクロメートルのエアロゾルを指す場合がある。粒径は10または7マイクロメートル未満であり得る。装置は携帯可能であってもよい。「携帯可能」とは、ユーザによって保持されるときに使用される装置を指し得る。装置は、例えば、トリガによって制御することができる(エアロゾルの計量された用量とは対照的に)可変時間にわたって噴霧器を作動させることによって可変量のエアロゾルを生成するように適合させることができる。トリガは、蒸気発生ボタンおよび/または吸入センサなど、ユーザによって起動されてもよい。装置は、例えば、トリガによって制御することができる(エアロゾルの計量された用量とは対照的に)可変時間にわたって噴霧器を作動させることによって可変量のエアロゾルを生成するように適合させることができる。トリガは、蒸気発生ボタンおよび/または吸入センサなど、ユーザによって起動されてもよい。吸入センサは、吸入強度に基づいてより多くのまたはより少ない蒸気を供給することを可能にするように(巻きタバコ、葉巻、またはパイプなどのような従来の可燃性喫煙物品を喫煙することの効果を模倣するように)吸入強度および吸入持続時間を検知することができる。装置は、ヒータおよび/または加熱されるエアロゾル発生物質(エアロゾル前駆体)の温度を指定された目標温度に迅速に駆動し、その後、エアロゾル発生ユニットにおいて利用可能な基材(前駆体)の量にかかわらず、かつ、ユーザが吸入する強度にかかわらず、温度を目標温度に維持するための、例えば、比例積分微分(PID)コントローラなどの温度調製制御を含むことができる。
【0040】
本明細書において使用される場合、「エアロゾル発生システム」または「システム」という用語は、装置、ならびに任意選択的に、例えば、周辺デバイスおよび/または他のリモートコンピューティングデバイスなど、装置の機能に関連する他の回路/構成要素を含むことができる。
【0041】
本明細書において使用される婆、用語「エアロゾル」は、固体粒子、液滴、気体の以下のうちの1つまたは複数としての前駆体の懸濁液を含み得る。上記懸濁液は空気を含むガス中にあってもよい。本明細書におけるエアロゾルは、一般的に蒸気を指す/含む場合がある。エアロゾルは、前駆体の1つまたは複数の成分を含み得る。
【0042】
本明細書において使用される場合、用語「エアロゾル形成前駆体」もしくは「前駆体」または「エアロゾル形成物質」もしくは「物質」は、液体、固体、ゲル、他の物質のうちの1つまたは複数を指すことができる。前駆体は、本明細書で定義されるものとしてのエアロゾルを形成するために装置の噴霧器によって処理可能であり得る。前駆体は、ニコチン、カフェイン、または他の活性成分のうちの1つまたは複数を含み得る。活性成分は、液体であり得る担体によって運ばれ得る。担体は、プロピレングリコールまたはグリセリンを含み得る。香味料もまた存在し得る。香味料は、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナ油)などを含み得る。
【0043】
本明細書において使用される場合、用語「電気回路(electrical circuitry)」または「電気的回路(electric circuitry)」または「回路」または「制御回路」は、特定用途向け集積回路(ASIC)。電子/電気回路(例えば、トランジスタ、変圧器、抵抗器、コンデンサの組み合わせを含み得る受動的構成要素)、プロセッサ(共有、専用、またはグループ)、1つもしくは複数のソフトウェアもしくはファームウェアプログラムを実行することができるメモリ(共有、専用、またはグループ)、組み合わせ論理回路、または、他の適切なハードウェアもしくはソフトウェア構成要素のうちの1つまたは複数を参照する場合があり、その一部であり、またはそれを含み得る。電気回路は、装置上に集中化してもよく、または、例えば、システムの一部として、装置および/もしくは装置と通信する1つまたは複数の構成要素上に分散させることを含め、分散させてもよい。構成要素は、ネットワークベースのコンピュータ(例えば、リモートサーバ)、クラウドベースのコンピュータ、周辺デバイスのうちの1つまたは複数を含むことができる。回路は、1つもしくは複数のソフトウェアもしくはファームウェアモジュール内に実装することができ、または、1つもしくは複数のソフトウェアもしくはファームウェアモジュールによって、その回路に関連する機能を実装することができる。回路は、少なくとも部分的にハードウェアにおいて動作可能な論理を含み得る。
【0044】
本明細書において使用される場合、用語「プロセッサ」または「処理リソース」は、ASIC、マイクロコントローラ、FPGA、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)機能、状態機械または他の適切な構成要素を含む、処理のための1つまたは複数のユニットを指し得る。プロセッサは、メモリに記憶された機械可読命令および/またはプログラマブル論理としてコンピュータプログラムを含み得る。プロセッサは、例えば、システムの一部として装置に搭載されるおよび/または搭載されないなど、回路について説明したものに対応する様々な構成を有することができる。
【0045】
本明細書において使用される場合、用語「コンピュータ可読媒体(computer readable medium/media)」は、従来の非一時的メモリ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、メモリカード、DVD-ROM、フロッピー(登録商標)ディスク、光学ドライブのうちの1つまたは複数を含むことができる。メモリは、回路/プロセッサについて説明したものに対応する様々な構成を有することができる。
【0046】
本明細書において使用される場合、用語「通信リソース」は、電子情報転送のためのハードウェアおよび/またはファームウェアを指し得る。ワイヤレス通信リソースは、無線によって信号を送受信するためのハードウェアを含み得、例えば、電子技術者協会(IEEE)に記載されている802.11規格およびKirkland WashのBluetooth(登録商標) Special Interest GroupのBluetoothなどの、様々なプロトコル実装態様を含み得る。有線通信リソースは、ユニバーサルシリアルバス(USB)、高精細度マルチメディアインタフェース(HDMI(登録商標))または他のプロトコル実装態様を含み得る。装置は、周辺デバイスと通信するための通信リソースを含み得る。
【0047】
本明細書において使用される場合、「流路と流体連通するように配置された(されている)加熱システム」は、(限定されないが)加熱コイルのような加熱システムの構成要素と、流れに含まれる空気、前駆体、固体材料および/またはエアロゾルとの間など、加熱システムと、流路によって伝達される流れとの間の相互作用または交換を指し得る。例えば、コイルなどの加熱素子が流路内に配置されている場合、加熱システムは流路と流体連通している。この場合、加熱素子は流れを加熱し、逆に、流れは加熱素子に冷却効果を及ぼすことができる。
【0048】
本明細書において使用される場合、用語「ネットワーク」または「コンピュータネットワーク」は、電子情報転送のためのシステムを指し得る。ネットワークは、地上波公共移動通信ネットワーク(PLMN)、電話網(例えば公衆交換電話網(PSTN)および/またはワイヤレスネットワーク)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネットプロトコルマルチメディアサブシステム(IMS)ネットワーク、プライベートネットワーク、インターネット、イントラネットを含むことができる任意のタイプの1つまたは複数のネットワークを含むことができる。
【0049】
本明細書において使用される場合、用語「周辺デバイス」は、装置の周辺の電子部品を含み得る。周辺デバイスは、スマートフォン、PDA、ビデオゲームコントローラ、タブレット、ラップトップ、または他の同様のデバイスを含む電子コンピュータデバイスを含み得る。
【0050】
本明細書において使用される場合、用語「貯蔵部」は、前駆体を貯蔵するように適合された装置の一部分を指し得る。
【0051】
本明細書において使用される場合、用語「送達システム」は、吸入によってエアロゾルをユーザに送達するように動作可能なシステムを指し得る。送達システムは、マウスピースまたはマウスピースを含むアセンブリを含み得る。
【0052】
本明細書において使用される場合、「流路」という用語は、装置を通る経路または密閉された通路を指すことができ、それを通してユーザはエアロゾルの送達のために吸入することができる。流路はエアロゾルを受け入れるように構成することができる。
【0053】
本明細書において使用される場合、用語「流れ」は、流路内の流れを指すことができ、流路および/またはエアロゾルを通じた吸入に起因して流路内に誘導することができる空気を含むことができる。
【0054】
本明細書において使用される場合、用語「吸入」は、流路を通る流れを誘導するために減圧を生じさせるために(例えば、ユーザの肺からの膨張に起因して)ユーザが吸入することを指すことができる。
【0055】
本明細書において使用される場合、用語「噴霧器」は、前駆体からエアロゾルを形成するためのデバイスを指すことができる。噴霧器は、加熱システム、超音波または他の適切なシステムを含み得る。
【0056】
本明細書において使用される場合、用語「加熱システムを通じた電気エネルギーの性質」または「電気エネルギーの測定された性質」は、加熱システム(例えば、その1つまたは複数の電気抵抗要素)またはそれに関連付けられる構成要素(例えば、加熱システムまたは他の適切な動作構成と直列または並列に構成されている、分流抵抗器を含むことができる抵抗器)を通じたおよび/または介した電気エネルギーの電流、電位、電力、位相、他の関係する性質を指すか、または、それに基づくことができる。その性質はまた、温度依存抵抗に基づいて動作することができる温度センサのような、加熱システムとは異なるがそれに動作可能に近接して(すなわち、加熱システムを通じた電気エネルギーの代表的な測度を提供するために)配置された構成要素を通して測定される同様の性質をも含む。性質は、電気エネルギーの性質の時間依存性を指し得る。
【0057】
本明細書において使用される場合、用語「流れに関係する性質」または「流れの性質」は、流路内の流れに関連付けられる、エアロゾルおよび/または空気の流量(例えば、体積流量または質量流量)、吸入の持続時間、吸入の開始、吸入の終了、吸入の強度、流速、吸入と関連付けられ得る流れのエアロゾルの1つまたは複数の成分(例えば、ニコチン、カフェイン)および/または空気を含む、流れの量(例えば、体積または質量)のうちの1つまたは複数を指すことができる。
【0058】
本明細書において使用される場合、電気エネルギーの測定された性質に関する用語「2階時間微分の特性」は、以下の特徴、すなわち、例えば最大値または最小値などの定留点、鞍点を含む他の変曲点、ベースライン値に関するものであり得る静止点に関連する期間、直に連続するかまたは例えばベースラインの期間によって分離され得る静止点間の期間、ステップまたはその他の不連続性、例えばパルスの、ベースラインからの立ち上がりまたは立ち下がり、例えば振幅の25%など、パルスの振幅に関連する位置のうちの1つまたは複数を含む/参照することができる。様々な点は、大きさおよび/または時間的位置に関して特徴付けることができる。
【0059】
図1を参照すると、一実施形態のエアロゾル発生装置2は、電気エネルギーを供給するための電源4を含む。電気エネルギーは、噴霧器6および/または電気回路8に供給することができる。電源4は、電池の形態の電力源および/または外部電源への電気的接続を含むことができる。装置2は、そこからエアロゾルを形成するために前駆体を噴霧器6に輸送するための前駆体輸送システム10を含むことができる。送達システム12はエアロゾルをユーザに送達する。
【0060】
図1および
図2を参照すると、一実施形態のエアロゾル発生装置2は、前駆体を貯蔵するための貯蔵部14を有する前駆体輸送システム10を含む。貯蔵部14は、前駆体の物理的状態に応じて、リザーバ(図示せず)または他の適切な構成部分として構成することができる。前駆体輸送システム10は、貯蔵部14から噴霧器6に前駆体を輸送するための輸送ユニット16を含む。輸送ユニット16は、毛細管現象による輸送のために構成された吸収性部材(例えば、綿)、導管、弁、電気式ポンプを含んでもよい圧送システムのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0061】
図示されていない実施形態では、前駆体輸送システム10を省略することができる。そのような実施形態では、前駆体は消耗ポッドとして(例えば液体またはゲルとして)構成することができ、噴霧器はポッドのための加熱容器を含む。
【0062】
送達システム12は、噴霧器6からユーザにエアロゾルを輸送するための流路18を含む。噴霧器6は前駆体入口20を含む。噴霧器6は、噴霧器6を通る流れを通過させるための流路18の流入口22および出口24を含む。図示されていない実施形態では、流路18は出口24からエアロゾルを受け入れ、噴霧器6を通過しない。
【0063】
流路18は入口26を含み、入口26は装置2のハウジングを通して配置することができる。流路18は、ユーザへのエアロゾルおよび入口流を送達するための出口28を含む。出口28は、マウスピースまたは他の適切な送達部材として構成されてもよい。
【0064】
噴霧器6は加熱システム30を含み、これは1つまたは複数の電気抵抗加熱素子(図示せず)として構成することができる。加熱素子はワイヤまたはフィラメントとして構成されてもよい。加熱素子は、輸送ユニット16の前駆体を加熱するために前駆体輸送ユニット16に動作可能に接続することができる。1つまたは複数の加熱素子は、例えば、上記流れによって冷却されるように、流路18内に配置され、および/または、流路18と流体連通するように配置することができる。
【0065】
図示されていない実施形態では、カトマイザが、貯蔵部14、輸送システム10の輸送ユニット16、および加熱システム30を共通のハウジング内に統合する。所定量の前駆体を含むカトマイザ。
【0066】
回路8は、電源4から加熱システム30への電気エネルギーを調整する。加熱素子に近接して、前駆体を過飽和蒸気に変換することができ、続いてこの蒸気が凝縮して吸入可能なエアロゾルを形成する。前駆体がエアロゾルに変換されると、エアロゾルは、貯蔵部14が使い果たされるまで、輸送ユニット16によって、例えば圧送作用によって供給されるさらなる前駆体に置き換えられる。
【0067】
加熱システム30に供給される電気エネルギーは、回路8を用いて、電気式スイッチを介した、または例えば交流波形のチョッピングなど、他の適切な手段によるパルス幅変調(PWM)、高圧コンバータのような直流(DC)-DC変換器、線形レギュレータ、または、他の同様の回路のうちの1つによって制御することができる。
【0068】
回路8は、例えば、閉ループ制御などによって、加熱システム30の温度の何らかの形態の制御を実施する。実施形態に応じて、制御は、加熱システム30を通して(またはそれにわたって)目標値に留まるために、電位、電流、電力、温度、他の関係する量を調整することを含むことができる。
【0069】
加熱システム30は流路18内に配置された抵抗素子を含むことができるため、流路を通じた吸入は加熱システム30を冷却する効果を有する。上記冷却は、抵抗素子の電気抵抗に影響を及ぼし、したがって、冷却の程度は、ユーザの吸入の強度、すなわち流路を通じた流量を表すことができ、輸送ユニット16からエアロゾルとして送達される前駆体の量は吸入の強度に依存し得るため、抵抗は、本明細書において定義されるように流れの性質を決定するために使用することができる。
【0070】
電圧が加熱システム30にわたって一定であるように調整される実施形態では、吸入中に一定の電圧を維持するための電流の変化は吸入の強度を表すことができる。
【0071】
したがって、加熱システムの温度が、例えば比例積分微分(PID)または他の同様の制御アルゴリズムによって、目標温度に調整される実施形態では、吸入中に目標温度を維持するための電力(または電流のような他の関係する量)は、吸入の強度を表すことができる。
【0072】
加熱システム30の温度は、上記のように電気抵抗を測定することによって、および電気抵抗と温度との間の経験的に決定された関係を実装することによって決定することができる。代替的に、回路は、加熱システム30に動作可能に近接して配置された専用の温度センサを実装してもよい。
【0073】
後続の実施形態に提示される例は、加熱システム30の制御の前述の様々な形態に適合させることができることが理解されよう。
【0074】
回路8は、エアロゾル形成がいつ必要とされるかを検出するためのトリガ(図示せず)を備えることができる。回路8は、トリガの始動決定を受けて加熱システム30への電気エネルギーの供給を行うことができる。トリガは、エアロゾル形成が必要であることをユーザの行動が示唆するときを検出することができる。そのような要求は、吸入などによる暗黙的なものであってもよく、または、ボタンを押すなどによる明示的なものであってもよい。トリガは、ユーザの手の指によるものを含む、物理的接触(例えば、蒸気吸入ボタン)によって作動されるアクチュエータを含むことができる。例は、ボタンまたはダイヤルを含む。トリガは、流路18を通じたユーザの吸入を検出するように動作可能な吸入センサを備えることができる。吸入センサは、圧力応答型変位可能ダイヤフラムの容量検知によるものを含む、流圧を決定するように動作可能な流量計または圧力センサを含み得る。
【0075】
図3を参照すると、装置2の一実施形態の構成は、電源4とマウスピース34とを相互接続するカトマイザ32を備える。言及された構成要素は、差し込み式またはねじ込み接続タイプまたは他の適切な接続によることを含むモジュール方式で接続することができる。装置2は長手方向軸に沿って幾何学的に細長い。言及された構成要素は、葉巻または巻きタバコの形態を再現するように、細長い円筒形状の形態で構成され得る。図示されていない実施形態では、言及された構成要素は代替的に構成され、例えば噴霧器は貯蔵部から分離可能に構成されてもよい。言及された構成要素のうちの1つまたは複数は、共通のハウジング35内に配置することができる。
【0076】
図1~
図5を参照すると、エアロゾルを生成するための電気式エアロゾル発生システム36は、前述の実施形態または本明細書に開示されている他の実施形態のいずれかの特徴を実装することができる。システム36は、エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するように構成されており、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための加熱システム30を備える。流路18は、空気入口のための入口26と、エアロゾルおよび入口空気を送達するための出口28とを含む。加熱システム30は、流路の流れ50を受け入れることを含めて、流路18と流体連通するように構成されている。
【0077】
ブロック38において、電気回路8は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質を決定する(例えば測定する)。時間に対する性質の依存性を決定することができる。適切な性質の例は本明細書に開示されている通りであり、それは電流または電圧を含む。本明細書において使用される場合、用語「加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を決定する」または「加熱システムを通じた電気エネルギーの性質」は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の直接測定、および/または、加熱システムに関連する回路内の他の場所(例えば、分流抵抗器を含み得る、加熱システムと並列または直列の抵抗器)の電気エネルギーの性質の代表的な測定を参照し得る。
【0078】
ブロック40において、電気回路8は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの決定された性質の2階時間微分を決定する。本明細書において使用される場合、「2階時間微分の決定」または「2階時間微分に基づく」(または同様の用語)は、明示的な定式化を有しない、および、明示的な定式化を有する代表的な量を含み得る。2階微分の例示的な微分方法が提供される。
【0079】
ブロック42において、電気回路8は、最大値および最小値のピーク間値のような特徴を含む、2階時間微分の特性を決定し、その例は本明細書に開示されている通りである。用語「2階時間微分の特性」は、単一の特徴に限定されないと理解されるべきである。例えばその特性は、上記ピーク間値および最大値の時間を含み得る。さらなる例が提供される。
【0080】
電気回路8はブロック44において、2階時間微分の決定された特性を処理して流れに関係する性質を決定する。流れに関係する性質の例は、本明細書に開示されている通りであり、これは、ユーザが流路18を通して吸入する間に投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量を含む。
【0081】
実施形態では、流れに関係する性質は、流れに関係する性質と2階時間微分の特性との間の関係に基づいて決定することができる。例えば関係は、経験的データに基づいてもよく、その例は別途提示する。図示されていない他の実施形態では、回路8は代替的な手順ステップを実装することができる。例えば、特性に対して固定演算が実行される。
【0082】
電気回路8は、任意選択のブロック46において、流れに関係する決定された性質を出力し、これは、決定された性質を表示するために、および/または上記性質を記憶するためにユーザインターフェースに命令を提供することを含み得る。その例は別途提示する。
【0083】
本明細書における回路8の定義に従って、プロセスブロック38~46(またはそれに関連する他の任意のブロック、および本明細書に開示される他の実施形態の同様のプロセスステップ)は、装置2上で集中的に実行されてもよく、および/または、スマートフォンとして実装することができる、例えば周辺デバイス48などの、システム36に関連する他の回路上で分散されてもよい。
【0084】
ここで、ブロック38から始めて、
図4のブロックによって例示された手順ステップをより詳細に説明する。加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質を決定するための回路8は様々な方法で実装することができる。
【0085】
[加熱システムによる電気エネルギーの性質の決定]
図6を参照すると、回路8は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質を決定するための回路を実装する。回路8は、加熱システム30の加熱素子を通じたまたはそれにわたる電気エネルギーの性質を測定するための測定ユニット52を含む。測定ユニット52は、加熱システム30と直列に配置された抵抗器(例えば、分流抵抗器、図示せず)および抵抗器にわたる電位を測定するように構成された電位差計(図示せず)として実装することができる。抵抗器にわたる電位は、抵抗で除算することによって電流に変換することができる。したがって、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質は、電流および/または電位に基づき得る。プロセッサ54は、測定システム52からの信号に基づいて電気エネルギーの性質を決定する。
【0086】
図示されていない実施形態では、測定ユニットは、例えば、直に加熱システムにわたる電位、または位相および電力を含み得る他の性質を測定するように構成される電位差計など、他の実施態様を有してもよい。さらに、プロセッサは、例えば、アルゴリズムおよび/または組み合わせ論理回路としての電位差計など、測定ユニットの要素を実装することができる。プロセッサはまた、例えば、PWM制御、またはDC:DC変換のための、加熱システムへの電気エネルギーを制御するための制御システムの要素を実装することもできる。プロセッサ54は、後述するように、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質の変動の2階時間微分の決定、およびその後の、別途論じる流れに関係する性質の決定を実施することができる。
【0087】
加熱システム30は、単一または複数の加熱素子を備え得る。加熱素子の材料は、ニッケルなど、例えば30~90x104の高い抵抗温度係数αを有するように選択することができる。実施形態では、加熱システム30のその加熱素子または各加熱素子は、例えば150~350℃までなど、前駆体を燃焼させることなく前駆体を気化させるのに十分な範囲まで加熱することができる。
【0088】
図6の回路8のより詳細な実装態様である
図7を参照すると、回路8は例示の目的のための例示的な構成要素を含む。測定システム52は、加熱システム30と直列に配置された2mΩの分流抵抗器58として実装されている。加熱システム30は、200mΩの電気抵抗負荷を有する。増幅器60は分流抵抗器58にわたる電位を増幅する。この増幅器は50の利得を有するTexas Instruments製のINA215である。フィルタ62は、例えば、スプリアスモードを含む雑音を除去するために、増幅器60の出力をフィルタリングするように構成されている。プロセッサ54はマイクロコントローラ64として実装される。マイクロコントローラ64は、Texas instruments製のCC2540である。
【0089】
DC-DCコンバータ56(この実施形態ではバックコンバータとして実装されている)は、電源4から安定した連続電圧を供給するように構成されている。DC-DCコンバータは、Texas Instruments製のLM212 Buckである。電源4は3.7Vの公称供給量を有する。DC-DCコンバータ56は2.5Vの連続電圧を出力するが、1.9~2.75Vに制御することができる。マイクロコントローラ64は、DC-DCコンバータ56の制御を可能にする。電位差計66は、マイクロコントローラ64およびDC-DCコンバータ56に基準電圧を供給するように構成されている。電位差計66はMicrochip製のMCP4013である。電圧は、電位差計66の基準電圧を設定するマイクロコントローラ64によって制御される。
【0090】
分流抵抗器58の抵抗は比較的一定であるため、分流抵抗器58にわたる電位は、上記抵抗による除算によって電流に変換することができる。したがって、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質は、電流および/もしくは電位、または、電力のような、それらから導出することができる他の量に基づき得る。
【0091】
加熱システム30を通じた電気エネルギーの決定された性質の2階時間微分は、回路8の構成要素の特定の実装態様(例えば、抵抗)から比較的独立していることが理解されるであろう。さらに、上記独立性は、例えば、同じ装置2のバッチのものなど、同じ回路8を実装する電気構成要素の変動(例えば製造公差)の任意の影響を低減することができる。
【0092】
フィルタ62は、抵抗-キャパシタ(RC)フィルタなど、ローパスフィルタとして実装することができる。通過周波数は、20Hz未満であり得る。一実施形態では、フィルタ(または追加のフィルタ)が、任意選択的にプロセッサ54上に配置されたデジタルフィルタリングアルゴリズム(または論理回路)として実装される。デジタルフィルタは、有利には、プロセッサ54によって構成されるフィールドとすることができる。フィルタは、最小の歪みで信号対雑音比を増加させるために平滑化アルゴリズムを実装することができる。適切な実装態様は、Savitzky-Golayフィルタリングアルゴリズムを含む。一実施形態では、フィルタは、リザーバ内の気泡または他の変動に起因する振動をフィルタリング除去するように選択される。
【0093】
[加熱システムを通じた電気エネルギーの測定される性質の例]
図8~
図11を参照すると、線72は、
図6または
図7に示す実施形態の回路8を使用して測定されたときの加熱システム30を通る電流の時間依存性を表す。加熱システムを通じた電気エネルギーの他の性質を測定するときにも同様の時間依存性が得られ得る。性質の例は電力を含む。
【0094】
実施形態では(前述したように)、一定電位が加熱システム30にわたって維持される。加熱システム30を通る電流は、その加熱素子またはその各加熱素子を加熱させる。加熱素子の温度上昇は抵抗の増加を引き起こし、その結果、定電位の調整に起因して、加熱システム30を通る電流が減少する。
【0095】
図8を参照すると、T
0において、電気エネルギーが加熱システム30に印加される。加熱システム30を通る電流が指数関数的に減少することを観察することができる。これは、加熱システム30が加熱されるにつれて大幅な初期温度上昇を示し、その後一定温度に収束することに起因する。電気抵抗は温度に比例するため、一定の電位を維持するために、電流は対応する指数関数的減衰を示す。
【0096】
図示されていない実施形態では、回路8は、加熱システム30にわたって一定の電流を維持するように構成された定電流源を実装する。加熱素子の抵抗が増大するにつれて、定電流源にわたる電位が増大し、したがって電位は前述の実施形態の電流と同様の時間依存性を示す。加熱システムにわたる電力または他の代表的な量を測定するとき、同様の時間依存性が得られ得る。したがって、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質と流路の流れに関係する性質との間の関係は、回路8の実装態様に基づいて選択される様々な電気量に当てはまり得ることが理解されよう。
【0097】
ユーザが流路18を通じて吸入すると、例えば、加熱素子から流れへの熱エネルギーの対流熱伝達によって、熱が加熱システム30から流れ50へと放散される。したがって、加熱システム30の熱放散は、流路18を通る流れ50に関係している。加熱素子の温度はその電気抵抗に関係するため、温度は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質(例えば、回路8の実装態様に応じて加熱システム30にわたる電位または加熱システム30を通る電流)に影響を及ぼす。したがって、加熱システム30を通じた電気エネルギーは、後述するように、流路18内の流れ50の様々な性質に関係している。
【0098】
図10および
図11を参照すると、電流に対する流路18を通じたユーザの吸入の影響がより明確に示されており、線72は吸入中の電流を示し、線73は吸入がない場合の電流を示す。線78は線72の2階時間微分である。特に基準線74および76において、ユーザの吸入がそれぞれ開始および終了される。吸入の開始は、電流の初期振動75を引き起こし、続いて電流が増加する期間77および終了時の振動79が起こることが分かる。その効果は、電流の2階時間微分78においてより顕著である。線81において、初期振動75は、2階時間微分78に影響を及ぼさなくなる。線83において、終端振動79は、2階時間微分78に対して影響を及ぼし始める。
【0099】
図8および
図9を参照すると、電流は12アンペアを超える初期振幅から、0.5~1秒で8.5~7.5アンペア、1~2秒で7.5~7アンペア、約2秒後に6.5~7アンペアの公称値へと減少する。したがって、公称値を基準にすると、電流は最初の0.5秒で70%を超えて低下する。0.5秒後に加熱システム30を通る電流に対するユーザの吸入の影響を測定することが好ましい場合があり、電流は安定化しており、吸入に起因する振動の影響はより顕著に見え得る。
【0100】
したがって、ユーザ吸入は、ユーザ吸入の開始の影響を捉えることを可能にするために、所定量の電気エネルギーの供給に続いて、および/または加熱素子のいくらかの予熱とともに行われることが望ましい。
【0101】
本明細書において使用される場合、「公称値」は、回路8がそれによって動作するように設計され得る、電気エネルギーの信号の通常の動作値を指すことができる。公称値は、信号が収束する値、またはおおよそ収束する値を指し得る。
【0102】
図12を参照すると、回路8は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質を安定化させるための一実施形態のプロセスを実装する。このプロセスは、
図4に示されている実施形態のプロセス、または本明細書に開示されている別の実施形態と組み合わせて実装することができる。ブロック88において、回路8は所定量の電気エネルギーを加熱システム30に印加する。ブロック90において、所定量の電気エネルギーは、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質(例えば、例示的な実施形態における電流)を安定させる。ブロック92において、回路8は、所定量の電気エネルギーが印加された後の加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質に基づいて、すなわち上記性質が安定化された状態で、流路18の流れ50に関する性質を決定する。その例は別途提示する。
【0103】
所定量の電気エネルギーが印加された後の吸入(吸入の開始を含み得る)は、回路8の1つまたは複数の実施形態の動作モードを実装することによって保証され得る。一実施形態では、ブロック86において、前述のようにトリガの決定を受けて所定量の電気エネルギーが印加される。トリガは、ユーザの手の指によるものを含む、物理的接触(例えば、蒸気吸入ボタン)によって作動されるアクチュエータを含むことができる。電気回路8は、アクチュエータを実装することができ、作動持続時間にわたって噴霧器6に電気エネルギーが印加される。そのようなアクチュエータでは、ほとんどのユーザが0.5秒または1秒の作動後に吸入を開始することが分かった。したがって、回路8は、0.5~1秒前に所定量の電気エネルギーを印加するように特に構成することができる。上記構成は、加熱システム30への電気エネルギーの調整のためのプロセッサ54の制御システムによって実装することができる(例えば、DC-DCコンバータまたはPWMベースの制御システムが、最初の0.5~1秒間または他の適切な期間T1内に所定量の電気エネルギーを印加する)。
【0104】
他の実施形態では、回路8は、吸入を開始する意図を判定するために、動きセンサまたは顔認識センサ(例えば、画像処理を備えたカメラ)としてトリガを実装する。
【0105】
一実施形態では、回路8は、加熱システム30が所定の温度に加熱され、かつ/または電流が特定の公称値範囲(例えば、±40%または±25%)内にある場合にのみ、流路18を通した吸入の有効化を実装にする。回路8は、電気式の値または他の流量調整デバイスによって吸入を可能にし得る。
【0106】
図8および
図9を参照すると、回路8は第1の期間T
1にわたって所定量の電気エネルギーを印加する。流路18を通る吸入の開始は、T
1の後および後続の時間期間中に起こる、T
iにおける線74によって示される。したがって、回路8は、後述するように、流路を通る流れに関係する性質を決定する。回路8は、0.3~2秒、または0.6~1.5秒、または1もしくは0.5秒未満のT
1持続時間にわたって所定量の電気エネルギーを印加するように構成することができる。
【0107】
所定量の電気エネルギーが印加された後にTiが発生することを保証することが好ましいが、一実施形態では、流れの性質は吸入終了時の振動に基づく(その例は別途提示する)。したがって、いくつかの例では、所定量の電気エネルギーが完全に印加される前にTiが発生する。
【0108】
所定量の電気エネルギーは、20、25または30ジュール(各々±40%または±25%または±10%)であり得る。
図6および
図7の実施形態の実装態様において、所定量の電気エネルギーは、(前述の範囲によって定義されるように)T
1にわたって印加される2.5Vを含み得る。
【0109】
所定量の電気エネルギーは、加熱システム30の加熱素子を所定の温度範囲に予熱することが可能であり得、その温度範囲から上記吸入中に冷却され得る。所定の温度範囲は、前駆体の燃焼なしに前駆体の気化を引き起こすように、例えば、150~350℃または200~250℃に選択することができる。加熱素子の温度は、加熱システムの抵抗、専用の温度センサ、経験的データ(例えば、特定量のエネルギーが実験的に決定された温度範囲に影響を与えることが知られている)を含む様々な実装態様によって決定されてもよい。
【0110】
所定量の電気エネルギーは、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質を公称値の±25%または±40%に安定化させることが可能であり得る。この例では、電流の公称値は6.5アンペアと考えることができ、したがって+40%または+25%はそれぞれ9.1アンペアおよび8.1アンペアに等しく、T1中に8.1アンペアが発生する。回路8の他の実施形態の実施態様において、加熱システム30を通じた電気エネルギーの他の性質(例えば電位)にも同じ範囲を適用することができる。
【0111】
所定量の電気エネルギーは、流路を通じてユーザが吸入することによって引き起こされる振動を抽出し処理することができるように、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を安定化させることが可能であり得る。振動は、後述するように、1階または2階時間微分におけるものを含み得る。
【0112】
前述の安定化を達成するための具体的な電気エネルギー量は、装置2の実施態様に依存し、実装態様は、回路8、加熱素子の抵抗を含む加熱システム30、流路の実装態様を含む。したがって、特定の量の電気エネルギーが経験的データに基づいて決定され得ることが理解されよう。
【0113】
図9を参照すると、約2.5秒後、電流72は顕著な振動を示す(これは対応する2階時間微分74においてより明確に見られ得る)。振動は、加熱システム30の加熱素子の過熱によって引き起こされる電気的雑音である。したがって、電気的雑音が吸入の測定を妨げ得ないように、流路18を通じたユーザ吸入が電気的雑音の前に行われるように、回路8を構成することが望ましい場合がある。これは、ユーザの吸入の開始に可能な限り近づけて所定量の電気エネルギーを印加することによって達成することができる。
【0114】
2階時間微分は、加熱システム30を通じた電気エネルギーがその初期値から公称値まで減少するときに干渉を特に受けやすいため、流れの性質を計算するための2階時間微分の処理と組み合わせて、所定量の電気エネルギーを印加する回路8を実装することが望ましい場合がある。その例は別途提示する。
【0115】
しかしながら、いくつかの実施形態では、数値微分なしに加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質を処理して流れの性質を計算することができる。その例は別途提示する。
【0116】
[2階時間微分の決定]
図4、および
図9~
図11を参照すると、ブロック40において、回路8は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの決定された性質の時間に関して2階微分を決定する。
【0117】
2階時間微分の決定は、プロセッサ上に配置され得るアルゴリズム(または論理回路)によって実装され得る。有限差分法(例えば、ニュートンの差分商、対称差分または高次法)、または微分求積法などの他の方法が実装されてもよい。導関数の導出はまた、電気的構成要素によって決定することもでき、例えば、有限差分法は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質に遅延を導入するように構成されたコンデンサ、および、電気エネルギーの性質および電気エネルギーの遅延した性質から導関数を決定する差動増幅器によって実装される。
【0118】
2階時間微分の明示的な決定は必要とされないことが理解されるであろう。例えば、有限差分法を実装するとき、関数サンプリング点間の時間的変化が一定のままである場合には、小さい時間の変化は除算されなくてもよい。実施形態では、導関数の明示的な定式化が実装される。
【0119】
[2階時間微分の特性の決定]
図4を参照すると、ブロック42において、プロセッサに配置されたアルゴリズム(または論理回路)を含む回路8によって、2階時間微分の特性を抽出することができる。
【0120】
抽出されるべき特定の特性は、流路18の流れの性質を決定するために実装される特定の関係に依存し得る。その例は別途提示する。
【0121】
関係は、2階微分の1つまたは複数の特徴(入力値と呼ばれる)を含むクラスの抽出を必要とし得、それらはすべて「2階時間微分の特性」という用語に包含される。
【0122】
抽出されるべき特定のクラスに応じて、特徴抽出のための様々なプロセスを実装することができることが理解されるであろう。例えば、データ点の大きさを隣接するデータ点と比較することにより、定留点またはベースラインからの最初の上昇/下降を決定することができ、続いて、隣接する最大値および最小値のピーク間振幅または最大値もしくは最小値の振幅を決定することができる。
【0123】
[流れの性質を決定する]
図4を参照すると、ブロック44において、2階時間微分の決定された特性が処理されて流れの性質が決定される。処理は、流路18の流れ50の性質を決定するための特定の関係の実装を含み得る。この関係は、プロセッサ上に配置されたアルゴリズム(または論理回路)を含む回路8によって実装することができる。
【0124】
本明細書において使用される場合、用語「関係」は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質と流路18の流れの性質との間の関係を指すことができる。関係は、例えば、実験的に得られたデータによって得られる関係など、経験的な関係であり得る。経験的データは、回路8に関連するメモリに記憶することができる。したがって、実施形態では、「経験的関係」は「記憶された関係」として参照される場合もあり、用語「経験的」および「記憶された」は互換的に使用され得る。関係は、1つまたは複数の入力変数および出力変数を有する数学関数を含み得る。出力変数は流れの性質を含む。1つまたは複数の入力変数は、1つまたは複数の特性から成る前述のクラスを含む。
【0125】
適切な出力値の範囲は、「流れに関係する性質」の定義の下で提供される。適切な入力値の範囲(すなわちクラス)は、「2階時間微分の特性」、および/または加熱システム30を通じた電気エネルギーの他の特徴の定義の下で提供される。
【0126】
本明細書で定義される関係は、以下の実施例に鑑みてよりよく理解され得る。
[実施例1]
前述の実施形態、または本明細書に開示される別の実施形態の1つまたは複数の特徴を実装する例示的な実施形態をこれより提示する。
【0127】
式(1)において提供される関係は、流れの性質を決定するために回路8によって実装され得る。
【0128】
M=A.I
2+B.I+C.T
i+D.T
d+E.V-F…………………………(1)
ここで、出力値は、流路18を通じたユーザ吸入内に存在するエアロゾルの質量Mである。係数A~Fは、経験的データの回帰によって決定され、それぞれの値は0.5965、0.1223、0.002088、0.0004042、0.05651、134.0である。
図9を参照すると、入力値は、「I」として示されるピーク間振幅84、mV単位の「V」として示される加熱システム30にわたって維持される定電圧、ミリ秒単位の、加熱システムに印加される電気エネルギーの持続時間「T
d」、ミリ秒単位の吸入の開始時間「T
i」を含む。電圧Vは一般に定数であるため、EおよびVは単一の係数として置き換えることができる。
【0129】
ここで、上記の関係は、一例として以下のように利用される。
入力値は、2.51Vの電圧V、3.987秒の電気エネルギーの持続時間Td、1.035秒のTi、1.370の強度Iを含む。上記の関係から、Mは12.9mgと決定され、実験誤差は±2~3%である。実験的に得られるMの値は、前駆体を含む貯蔵部の消耗を測定することによって得られた。流路を通じたユーザ吸入は、18.33ml/sの較正された代表流量を有するポンプによって再現された。
【0130】
例えば、ニコチンなどのエアロゾルの個々の成分の量は、前駆体中のそれらの濃度に基づいて、例えば、濃度とMとの積によって決定することができる。
【0131】
図9を参照すると、2階時間微分を使用することによって、(1階時間微分または線72について観察されるものよりも)特性74(例えば、定留点)が線74についてより顕著であることが分かる。吸入の開始に関連付けられる、隣接する最大値80および最小値82のピーク間振幅84を決定するために、導関数74が処理される。線74によって示されるように、吸入の開始は最大値80として決定される。
【0132】
回路8は、正しい最大値80および最小値82を探索して見つけるために様々な条件を実装することができる。これらは、
図7に示される回路8の実装態様として、以下のように例示される。すなわち、加熱システムへの電気エネルギーの開始に続く1.5秒にわたって可能な最大値および最小値を決定し、隣接する最大値80と最小値82との間の最大差を決定し、隣接する最大値80と最小値82との間の時間差が1秒より大きい場合は無視し、ピーク間の絶対値84が0.19以下である場合は無視し、ピーク間の絶対値84は、後に発生する隣接する最大値と最小値とのピーク間の絶対値の1.18倍よりも大きくなければならず、ピーク間の絶対値84は、先行して発生している隣接する最大値と最小値とのピーク間の絶対値の1.13倍よりも大きくなければならない。
【0133】
回路8は、トリガ(例えば、気化ボタンまたは他の適切なトリガ)の作動の前述の持続時間によって、加熱システム30に印加されている電気エネルギーの持続時間Tdを決定することができる。回路8は、最大値80の時点までに吸入の開始Tiを決定することができる。吸入の代表的な持続時間(これは式1では使用されない)はTd-Tiによって決定され得る。
【0134】
それぞれ電流が公称値に達したとき、および公称値に収束しているときに吸入が開始される場合についての電流72および2階時間微分78が例示されている
図10および
図11を参照すると、ピーク間84は、両方の場合において同様の大きさを示し得ることが分かる。したがって、入力値の決定のために(1階微分値とは対照的に、または数値微分なしの電流とは対照的に)2階微分を利用することが有利であり得る。(電流の指数関数的減衰に起因する)ピーク間の大きさ84および開始時間T
iのいかなる依存性も、開始時間T
i.に対する式(1)の依存性に基づいて説明することができる。さらに、2階微分が数値微分なしの電流よりも速く公称値に収束することは明らかである。
【0135】
式(1)の変形形態では、吸入が十分に早く開始された場合、電流72の鞍点が線74で発生し得る。したがって、この関係は、鞍点を探索し、(80における最大値の代わりに)鞍点内のゼロ勾配点の開始を利用してピーク間84を導出するように適合させることができる。
【0136】
[実施例2]
前述の実施形態、または本明細書に開示される他の実施形態の1つまたは複数の特徴を実装する例示的な実施形態をこれより提示する。
【0137】
式(2)において提供される関係は、流れの性質を決定するために回路8によって実装され得る。
【0138】
M=X.Td+Y.V-Z…………………………(2)
ここで、出力値は、流路18を通じたユーザ吸入内に存在するエアロゾルの質量M(mg単位)である。係数X~Zは経験的データの回帰によって決定され、-0.00003115、0.1227、295.2のそれぞれの値を有する。入力値は、「V」(mV単位)として示される、加熱システム30にわたって維持される定電圧、加熱システムに印加される電気エネルギーの持続時間「Td」(ミリ秒単位)を含む。
【0139】
ここで、上記の関係は、一例として以下のように利用される。
入力値は、2.51Vの電圧V、3.987秒の電気エネルギーの持続時間Tdを含む。上記の関係から、Mは12.7mgと決定され、実験誤差は±4~6%である。実験的に得られるMの値は、前駆体を含む貯蔵部の消耗を測定することによって得られた。流路を通じたユーザ吸入は、18.33ml/sの較正された代表流量を有するポンプによって再現された。
【0140】
加熱システム30を通じた電気エネルギーの持続時間Tdは、実施例1について論じたように決定することができる。
【0141】
吸入の開始を決定することができず(例えば、最大値80を識別することができず)、したがって、式(1)の実施を妨げる場合、流れの性質を決定するために式(2)を実装することができる。
【0142】
[変形実施例]
実施例1および実施例2は、加熱システム30を通じた電気エネルギーと流路18の流れの性質との間の例示的な関係を提供することを理解されたい。他の関係が実装されてもよい。
【0143】
実施例1の変形は、入力値として、最大値80と最小値82との間の期間またはそれに関係する他の期間、最大値80および/または最小値82の下の面積、最大値または最小値82の大きさ(ピーク間84とは対照的に)のうちの1つまたは複数を含むことができ、吸入の終了に関係するものを含めて、代替の最大値および/または最小値が使用されてもよい。代替的に、吸入の開始および終了によって引き起こされる振動間の期間の勾配/期間を利用してもよい。他の変形では、入力値は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質の1階微分値から、または加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質(すなわち数値微分なしに)得られてもよい。
【0144】
さらなる変形では、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質における振動の特徴は、唯一の入力値として含む入力値として使用され得、例えば、式(1)は、唯一の入力値としてピーク間84を有するように適合され、これは実験データに基づくことができ、したがって、式中の時間依存性を置き換える。
【0145】
さらなる変形では、ユーザの吸入の持続時間は、2階時間微分から得られてもよく、吸入の開始時間および/または加熱システムに印加される電気エネルギーの持続時間の代わりに入力値として使用されてもよい。
【0146】
実施例2の変形は、入力値として、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質の2階微分値、または加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質(すなわち数値微分なし)から決定することができるユーザの吸入の持続時間を含むことができる。
【0147】
他の変形では、流れに関係した代替の性質が決定されてもよく、例えば式(1)または(2)は、代替的に、エアロゾルの体積、流れの質量または体積(すなわち、エアロゾルと空気との合計)、流れの速度を決定するように定式化されてもよい。
【0148】
[流れに関係する性質の出力]
流れの決定された性質は、それが何であるかに応じて、様々な方法で利用され得る。その性質は、ユーザインターフェース上(例えば、スマートフォン48などの周辺デバイス上、または装置2上)のユーザへの表示、システム36に関連するメモリでの記憶、装置2の制御の基礎としての使用(例えば、前駆体の消耗が閾値より大きいと判定され、エアロゾル発生が低減されるか、または他の様態で制御される)のうちの1つまたは複数として利用されてもよい。
【0149】
図5を参照すると、流れの性質がユーザインターフェース94上に表示される実施形態では、回路8は、流れの決定された性質に基づいて情報を表示するためのユーザインターフェース94に対する命令を生成する。命令は、ユーザインターフェース94を駆動するために、ディスプレイドライバによって処理するためのものであり得る。流れの性質が吸入中に存在するエアロゾルの1つまたは複数の成分の量である実施形態では、上記量(複数可)の数量、および/または複数の吸入の集合からの量を表示することができる。
【0150】
[流路を通じたユーザ吸入の開始または終了に基づく流れに関係する性質の決定]
図13を参照すると、記載されている実施形態は、ブロック100において、回路8が、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質を決定こと、ブロック102において、回路8が、流路18を通じたユーザ吸入の開始および/または終了に起因する振動を決定することを含む。このプロセスは、
図4および/または
図12に示されている実施形態のプロセス、または本明細書に開示されている別の実施形態と組み合わせて実装することができる。
【0151】
本明細書において使用される場合、「振動」は、最大値、最小値、鞍点のうちの1つまたは複数を参照し得る。最大値および最小値は隣接し得る。振動は、(電気的雑音または他の干渉によるのではなく)流路18を通じた吸入によって引き起こされ得る。さらに、実施形態では、「振動」は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の特徴またはパターンなど(ただし、これらに限定されない)、パラメータの特定の特徴またはパターンを指し得る。
図9~
図11を参照すると、そのような性質は、例えば、経時的な電流、および/またはその1階/2階微分であり得る。したがって、そのような実施形態では、「振動」は、
図9~
図11のグラフによって示されている関数など、性質の関数の一部文において発生する可能性がある。例えば、
図9では、線74と点82を通る垂直線(図示せず)との間の、またはそれに比較的近いグラフ72および/または78の部分が、「振動」として参照され得る。
図10および
図11を参照すると、グラフ72および/または78の、線74と81との間または83と76との間の部分に「振動」を見ることができる。
【0152】
本明細書において使用される場合、「振動の面積」は、その境界の少なくとも一部分が経時的な振動を表すグラフの少なくとも一部分によって形成される面積を指すことができる。したがって、一例では、
図10を参照すると、グラフ78の、線80と82との間の部分によって表される振動の面積は、1つの辺において、グラフ78の線80と82との間の部分の全体または部分(複数可)によって境界される面積を指すことができる。面積の他の辺は、「t」によって示される座標系の軸(時間軸)などの水平線によって、および/または、破線74および81(またはそれらの延長線)などの垂直線、;または、面積の境界を定義するのに適した他の線よって境界されてもよい。
【0153】
本明細書において使用される場合、「最大値」(振動の最大値または振動によって含まれる最大値)は極大値を指し得る。同様に、「最小値」(振動の最小値または振動によって含まれる最小値)は極小値を指し得る。一例では、
図10を参照すると、上述の振動の極大値80および/または108が、「最大値」として参照され得る。同様に、上述の振動の極小値82および/または110が、「最小値」として参照され得る。これらの例から分かるように、好ましい実施形態では、振動は最小値および/または最大値によって境界される。
【0154】
本明細書において使用される場合、「振幅」は、異なる時点間における加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の絶対差を指し得る。したがって、一例では、
図10を参照すると、「振幅」は、参照符号84または112によって示されるように、上述のような「最大値」および/または「最小値」の間の差(ピーク間振幅)を指し得る。代替的に、「振幅」は、時間軸からの最大値または最小値の距離(ピーク振幅)を指し得る。
【0155】
実施形態では、「振動の周期」は、上述のように「振動」の持続時間を指し得る。したがって、一例では、「周期」はそれぞれの「振動」の端点において開始および終了し得る。しかしながら、振動の開始点および終了点は自由に選択することができる。
【0156】
図13を参照すると、ブロック104において、回路8は、流れに関係する性質を決定するために振動の1つまたは複数の特徴を処理するように構成される。処理は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質と流路18の流れの性質との間の記載された関係についての入力値として使用される1つまたは複数の特徴を含み得、流れの性質は出力値である。ブロック106において、回路8は、(前述したように)流れに関係する性質を任意選択的に出力するように構成される。
【0157】
前述の実施例1を参照すると、ブロック104の流れに関係する性質は、流路18を通じた吸入において投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量を含むことができる。実施例1について論じたように、かつ
図10および
図11を参照して、入力値は、流路18を通じたユーザ吸入の開始に起因する振動から決定することができる。振動は2階時間微分78に基づくことができ、最大値80と隣接する最小値82とを含む。ピーク間振幅84は、最大値80および最小値82から抽出することができ、入力値として使用することができる。
【0158】
一実施形態では、入力値は、流路18を通じたユーザの吸入の終了に起因する振動から決定することができる。振動は2階時間微分78に基づくことができ、最大値108と隣接する最小値110とを含む。ピーク間振幅112は、最大値108および最小値110から抽出することができ、入力値として使用することができる。
【0159】
吸入の開始および終了の一方または両方からの振動は、流路18を通じた吸入において投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量に関係することが分かった。実施形態では、入力値は終了および開始に起因する振動から決定されてもよい。実施形態において、吸入の開始または終了に起因する振動の一方からの入力値が、他方が利用可能でない場合に使用され得る。
【0160】
加熱システム30を通じた電気エネルギーと流路18の流れの性質との間の実装される関係は、いずの入力値が決定されるかに基づいて選択され得ることが理解されるであろう。
【0161】
図9を参照すると、約2.5秒後、電流72は顕著な振動を示す(これは対応する2階時間微分74においてより明確に見られ得る)。振動は、加熱システム30の加熱素子の過熱によって引き起こされる電気的雑音である。電気的雑音がいつ発生するかに応じて、電気的雑音は吸入の開始および/または終了に関連する振動の決定を妨げる可能性がある。したがって、電気的雑音が吸入の測定を妨げ得ないように、流路18を通じたユーザ吸入が電気的雑音の前に行われるように、回路8を構成することが望ましい場合がある。
【0162】
図9を参照すると、吸入の終了に起因する振動は電気的雑音によって妨げられる。それゆえ、吸入の終了に起因する振動を正確に決定することは困難であり得る。したがって、吸入の終了における振動の決定を必要とせず、開始における振動の決定を必要とする加熱システム30を通じた電気エネルギーと流路18の流れの性質との間の関係(例えば実施例1の下で論じた関係)を実装することが望ましい場合がある。これは、開始におけるこの振動が干渉を受けにくいためである。
【0163】
変形では、振動を決定するために、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質の1階微分値、または加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質(すなわち数値微分なし)が利用され得る。しかしながら、
図10を参照すると、2階微分がより顕著な振動を提供し、より正確な出力値をもたらし得ることが分かる。
【0164】
実施形態では、回路8は、最大値および最小値を探索し位置特定するための条件に関して実施例1の下で例示されている1つまたは複数の所定の条件と比較することによって、吸入および/または吸入の終了に起因する振動を決定し得る。
【0165】
変形実施形態では、例えば、最大値と最小値との間の期間またはそれに関係する他の期間、最大値および/または最小値の下の面積、最大値または最小値の大きさ(ピーク間値とは対照的に)など、振動の他の特徴を入力値として利用することができる。
【0166】
実施例1を考慮すると、振幅84の大きさは、投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分Mの量に、すなわち式1の経験的関係を介して直接関係していることが理解され得る。振幅の大きさが大きいほど、例えば、正比例または他の数学関数関係を介して、投与される成分の量が多くなる。
【0167】
[回路によって実装される流れの性質を決定するための複数の関係]
記載されている実施形態は、加熱システムを通じた電気エネルギーと流路18の流れに関係する性質との間の複数の異なる関係のうちの1つに基づいて、流路18の流れに関係する性質を決定するために電気回路8を用いて実装され得る。
【0168】
特に、回路は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質(例えば、前述のような電流、または電力もしくは電圧などの別の性質)を測定すること、電気エネルギーの上記測定された性質(例えば、前述の実施例1もしくは実施例2または本明細書に記載の関係する変形の入力値、または他の類似の特性)から1つまたは複数の特性を決定すること、決定された特性に基づいて、電気エネルギーの測定された性質と本明細書で定義されるような流れの性質との間の複数の異なる経験的関係から1つを選択すること(例えば、実施例1もしくは実施例2または本明細書に記載の関係する変形の別の関係を選択すること)、本明細書で定義されるように流れの性質を決定するために上記関係を実装することを含むプロセスを実装することができる。
【0169】
関係の適切な例は、実施例1および実施例2ならびに本明細書に記載されている関係する変形として提供される。したがって、一実施形態では、回路8は、「クラス」として参照され得る優先順位または入力値のセットに従って、関係(例えば、実施例1もしくは実施例2または他の変形)を実装することができる。
【0170】
図14を参照すると、複数の関係を実施するための一実施形態のプロセスは、ブロック114において、回路8が、加熱システム30を通じた電気エネルギーの性質を測定することを含む(その例は前述した)。
【0171】
条件116において、回路8は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの決定された性質から、1つまたは複数の入力値から成る第1のクラスを決定することができるか否かを決定する。第1のクラスを決定することができる場合、ブロック118が実行されて、ブロック120において流れの性質が出力される。ブロック118は第1の関係を実装する。
【0172】
実施例1の式(1)を実装する実施形態では、第1のクラスは、「I」として示されるピーク間振幅84、「V」として示される加熱システム30にわたって維持される定電圧、加熱システムに印加される電気エネルギーの持続時間「Td」、吸入の開始時間「Ti」となる。したがって、条件116において、第1のクラスが決定され得る場合、ブロック118において、式(1)が実装される。ブロック120において、出力値は、流路18を通じたユーザ吸入内に存在するエアロゾルの質量Mである。
【0173】
条件116において第1のクラスを決定することができない(例えば、1つまたは複数の入力値を計算することができない)場合、条件122が実行される。条件112において、回路8は、加熱システム30を通じた電気エネルギーの決定された性質から、1つまたは複数の入力値から成る第2のクラスを決定することができるか否かを決定する。第2のクラスを決定することができる場合、ブロック124が実行されて、ブロック120において流れの性質が出力される。ブロック124は第2の関係を実装する。
【0174】
実施例2の式(2)を実装する実施形態では、第2のクラスは、加熱システムに印加される電気エネルギーの持続時間「Td」となる。したがって、条件116において、第2のクラスが決定され得る場合、ブロック124において、式(2)が実装される。ブロック120において、出力値は、流路18を通じたユーザ吸入内に存在するエアロゾルの質量Mである。
【0175】
変形実施形態では、2つより多くの関係が実装される。実施形態では、複数の関係に関係付けられたクラスは、特定の関係が優先順位に従って実装されるように決定することができる。
【0176】
条件116において第2のクラスを決定することができない(例えば、1つまたは複数の入力値を計算することができない)場合、ブロック126が実行される。ブロック126において、回路8は、流路18を通じた1つまたは複数の先行するユーザ吸入から決定される出力値に基づいて出力値を決定することができる(例えば、以前の吸入からの出力値が出力値として利用され、または、複数の先行する吸入からの出力値に基づく平均もしくは他の適切な表現が出力値として利用される)。先行する出力値に関係する情報は、回路8のプロセッサに通信可能に接続されたメモリに記憶することができる。
【0177】
式(1)および(2)が第1の関係および第2の関係として実装された前述の実施形態を参照すると、第2の関係に関連する第2のクラスの入力値は、第1の関係に関連する第1のクラスの入力値のサブセットである。このようにして実装される電気回路8は、第1のクラスからのすべての値を決定することができない場合に、第1のクラスの1つまたは複数の入力値を使用して第2の関係が都合よく実装されることを可能にする。そのような実装態様は、処理オーバーヘッドを低減することができる。
【0178】
実施形態はまた、以下の節に従って提供される。
第1節:エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システム(36)であって、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路(18)であって、加熱システムは、流路と流体連通するように構成されている、流路と、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分に関連する性質を決定し、2階時間微分の特性に基づいて流路の流れに関係する性質を決定するための電気回路(8)とを備える、エアロゾル発生システム(36)。
【0179】
第2節:電気エネルギーの性質が、加熱システム(30)を通る電流、加熱システムを通じた電力、加熱システムにわたる電位のうちの1つまたは複数に基づく、第1節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0180】
第3節:流れに関係する性質が、質量または体積によって測定することができるエアロゾルまたは流れの1つまたは複数の成分の量、吸入の開始、吸入の終了、吸入の持続時間のうちの1つまたは複数である、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0181】
第4節:2階時間微分の特性が、2階時間微分における振動の性質(80、82)に基づく、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0182】
第5節:振動が、流路を通じたユーザ吸入の開始および/または終了に関連する最大値および隣接する最小値を含む、任意の第4節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。隣接するとは、最大値および最小値に隣接するベースライン期間がないことを含み得る、直に近接することを指し得る。
【0183】
第6節:特性が、最大値および隣接する最小値のピーク間振幅(84)である、任意の第5節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0184】
第7節:電気回路(8)が、流路(18)を通じたユーザ吸入の前に加熱システム(30)を予熱するために電気エネルギーを印加する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0185】
第8節:回路(8)は、経路を通じたユーザ吸入の間に加熱システム(30)を通じた電気エネルギーの性質を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0186】
第9節:電気回路(8)が、流れの決定された性質に基づいて情報を表示するためのユーザインターフェースに対する命令を生成する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0187】
第10節:電気回路(8)が、流れに関係する性質と2階時間微分と関連付けられる特性との間の記憶された関係に基づいて、流れに関係する性質を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。関係は経験的関係を含み得る。
【0188】
第11節:電気回路(8)が、メモリと通信可能に結合された1つまたは複数の電子プロセッサを含む、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0189】
第12節:システム(36)が、流路(18)の少なくとも一部、加熱システム(30)、および、貯蔵部(14)から加熱システム(30)へ前駆体を輸送するための前駆体輸送ユニット(16)を収容するように構成されたハウジング(35)を含む、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0190】
第13節:エアロゾル発生システム(36)の流れの性質を決定する方法。方法は、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムを含み得る。方法は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分に関連する特性を決定することと、2階時間微分の特性に基づいて流れに関係する性質を決定することとを含む。
【0191】
第14節:エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システム(36)。システムは、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムを含み得る。システムは、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路(18)であって、加熱システムは、流路と流体連通するように構成されている、流路(18)と、電気回路(8)とを備え、電気回路(8)は、加熱システムを通じた電気エネルギーの振動の性質を安定させるために、加熱システムに少なくとも所定量の電気エネルギーを印加し、電気回路は、加熱システムを通じた電気エネルギーの安定化された性質に基づいて、流路の流れに関係する性質を決定する。安定化された性質は、印加された所定量の電気エネルギーに後続し得る。
【0192】
第15節:電気回路は、第1の時間期間にわたって所定量の電気エネルギーを印加し、後続の第2の時間期間にわたって流れに関する性質を決定するように動作可能である、第14節もしくは任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0193】
第16節:第1の時間期間は0.3~2または0.6~1.5秒である、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0194】
第17節:所定量の電気エネルギーが少なくとも10~50または15~40ジュール±40%または±20%である、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0195】
第18節:電気回路(8)は、ユーザのトリガ作動を判定し、応答して、加熱システム(30)を通じて上記所定量の電気エネルギーを印加する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。トリガは、手動で作動されるアクチュエータとすることができ、例えばボタンなど、ユーザの手の指による作動のためのものとすることができる。
【0196】
第19節:所定量の電気エネルギーは、加熱システム(30)を所定の温度範囲に予熱する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。流路を通じたユーザ吸入の間、熱エネルギーが流れの中に移動することによって温度を下げることができる。所定の温度範囲は150~350℃であり得る。
【0197】
第20節:所定量の電気エネルギーによって安定化されている、加熱手段を通じた電気エネルギーの性質が、電流または電位または電力である、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0198】
第21節:所定量の電気エネルギーが、加熱システム(30)を通じた電気エネルギーの性質を公称値の±25%または±40%に安定化させる、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0199】
第22節:電気回路は、流路を通じたユーザ吸入の間の流れの性質を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0200】
第23節:電気回路(8)が、流れに関係する性質と、加熱システム(30)を通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分と関連付けられる特性との間の関係に基づいて、流れに関係する性質を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0201】
第24節:流れに関係する性質が、エアロゾルの1つまたは複数の成分の量、吸入の開始、吸入の終了、吸入の持続時間のうちの1つまたは複数である、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0202】
第25節:電気回路(8)は、加熱システムに対する電気エネルギーの性質を一定に維持し、上記一定の性質は、流路の流れに関係する性質を決定するための加熱システムを通じた電気エネルギーの性質とは異なる、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。一定の性質は、電流、電位、電力のうちの1つであり得る。
【0203】
第26節:エアロゾル発生システム(36)の流れの性質を決定する方法。方法は、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムまたは方法を含み得る。方法は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を安定させるために、加熱システム(30)に所定量の電気エネルギーを印加することと、加熱システムを通じた電気エネルギーの安定化された性質に基づいて流れに関係する性質を決定することとを含む。
【0204】
第27節:エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システム(36)。システムは、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムを含み得る。システムは、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路(18)であって、加熱システムは、流路と流体連通するように構成されている、流路(18)と、電気回路(8)とを備え、電気回路(8)は、加熱システムを通じた電気エネルギーと流路の流れに関係する性質との間の複数の異なる関係のうちの1つに基づいて、流路の流れに関係する性質を決定する。関係は、例えば、電流、電力または電位など、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質を含み得る。
【0205】
第28節:電気回路が、優先順位に従って複数の上記関係のうちの1つを実装する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0206】
第29節:第1の関係が、加熱システムを通じた電気エネルギーに基づいて決定される第1の1つまたは複数の入力値に関係する流れの性質の出力値を含む、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0207】
第30節:電気回路(8)は、加熱システムを通じた電気エネルギーに基づいて上記第1の1つまたは複数の入力値を得ることができるか否かを判定し、取得可能である場合、第1の関係に基づいて出力値を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。回路は、流路を通じたユーザ吸入に関して上記値が得られ得るか否かを決定することができる。
【0208】
第31節:第1の1つまたは複数の入力値は、上記電気エネルギーの2階時間微分における振動の振幅、例えば、吸入の開始および/または終了に起因する振動、流路を通じたユーザ吸入の開始、流路を通じたユーザ吸入の持続時間、加熱システムに印加される電気エネルギーの持続時間のうちの1つまたは複数に基づく、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0209】
第32節:電気回路(8)は、加熱システムを通じた電気エネルギーに基づいて上記第1の1つまたは複数の入力値を取得不能であるかを判定し、複数の上記関係のうちの別の関係または第37節による情報に基づいて出力値を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0210】
第33節:第2の関係が、加熱システムを通じた電気エネルギーに基づいて決定される第2の1つまたは複数の入力値に関係する出力値を含み、電気回路(8)は、加熱システムを通じた電気エネルギーに基づいて、上記第2の1つまたは複数の入力値を得ることができるか否かを判定し、取得可能である場合、第2の関係に基づいて出力値を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0211】
第34節:第2の1つまたは複数の入力値は、第1の入力値のうちの1つまたは複数の入力値のサブセットである、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0212】
第35節:第2の1つまたは複数の入力値は、流路を通じたユーザ吸入の持続時間または加熱システムに印加される電気エネルギーの持続時間に基づく、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0213】
第36節:電気回路(8)は、加熱システムを通じた電気エネルギーに基づいて上記第2の1つまたは複数の入力値を取得不能であるかを判定し、複数の上記関係のうちの別の関係に基づいて、または、流路を通じた1つまたは複数の先行するユーザ吸入に関係付けられる情報に基づいて、出力値を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0214】
第37節:上記情報が、先行するユーザ吸入から決定される出力値に基づく、第36節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。この情報は、例えば、複数の吸入の平均または他の代表的な数量など、1つまたは複数の先行するユーザ吸入から決定された出力値に基づくことができる。情報は、例えばデフォルト値など、記憶された量に基づいてもよい。
【0215】
第38節:出力値が、流路を通じたユーザ吸入の間に投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量である、任意の先行する節または本明細書に記載されている別の実施形態のシステム。
【0216】
第39節:エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システム(36)。システムは、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムを含み得る。システムは、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路(18)であって、加熱システムは、流路と流体連通するように構成されている、流路(18)と、電気回路(8)とを備え、電気回路(8)は、1つまたは複数のクラスを決定し、クラスは、加熱システムを通じた電気エネルギーに基づく1つまたは複数の入力値を含み、電気回路は、加熱システムを通じた電気エネルギーと流路の流れに関係する性質との間の複数の異なる関係のうちの1つに基づいて、流路の流れに関係する性質に関係する出力値を決定し、関係は、決定されているクラスに従って選択される。
【0217】
第40節:エアロゾル発生システム(36)の流れの性質を決定する方法。方法は、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムまたは方法を含み得る。方法は、加熱システムを通じた電気エネルギーと上記出力値との間の複数の異なる関係のうちの1つに基づいて出力値を決定することを含む。
【0218】
第41節:エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システム(36)。システムは、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムを含み得る。システムは、エアロゾルを生成するために上記前駆体を加熱するための電気式加熱システム(30)と、エアロゾルを含む流れをユーザに輸送するための流路(18)であって、加熱システムは、流路と流体連通するように構成されている、流路(18)と、電気回路(8)であって、電気回路は、加熱システムを通じた電気エネルギーの振動の特徴を決定することであり、振動は、流路を通じたユーザの吸入の開始および/または終了に起因する、決定すること、および、振動の特徴に基づいて吸入において投与されるエアロゾルの1つまたは複数の成分の量を決定することを行うための電気回路とを備える。上記特徴は、上記振動の1つまたは複数の特徴を指すことができる。上記1つまたは複数の成分の量は、吸入について投与された合計量であり得る。
【0219】
第42節:振動が、隣接し得る最大値および/または最小値を含む、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0220】
第43節:最大値および/または最小値の特徴が、振幅(最大値と最小値とのピーク間を含む)、周期、最大値および/または最小値によって境界される面積のうちの1つまたは複数を含む、任意の先行する節または本明細書に記載されている別の実施形態のシステム。振幅は、隣接する最大値および最小値のピーク間振幅であり得る。
【0221】
第44節:振動は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の2階時間微分から決定される、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0222】
第44節:電気回路(8)は、流路を通じたユーザ吸入の間の流れの性質を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。
【0223】
第45節:電気回路(8)は、1つまたは複数の所定の条件と比較することによって、流路を通じたユーザ吸入の開始および/または終了に起因する振動を決定する、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステム。回路は、周期、振幅、他の最大値および/または最小値に対する時間的位置のうちの1つまたは複数を含む、最大値および/または最小値を探索するための様々な条件を実装することができる。
【0224】
第46節:エアロゾル形成前駆体からエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生システム(36)。システムは、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムを含み得る。
【0225】
第47節:エアロゾル発生システム(36)の流れの性質を決定する方法。方法は、任意の先行する節または本明細書に開示されている別の実施形態のシステムまたは方法を含み得る。方法は、加熱システムを通じた電気エネルギーの性質の振動の特徴を決定することであって、振動は、流路を通じたユーザの吸入の開始および/または終了に起因する、特徴を決定することと、振動の特徴に基づいて、吸入において投与されるエアロゾルの量を決定することとを含む。
【0226】
第48節:プログラム可能な電気回路(6)上で実行されたときに、第13節もしくは第26節もしくは第40節もしくは第47節、または任意の先行する節もしくは本明細書に開示されている別の実施形態の方法を実行する、コンピュータプログラム。
【0227】
第49節:電気式エアロゾル発生システムのための電気回路(8)であって、上記回路は、第13節もしくは第26節もしくは第40節もしくは第47節、または任意の先行する節もしくは本明細書に開示されている別の実施形態の方法を実装する、電気回路(8)。
【0228】
第50節:第48節のコンピュータプログラムを含むコンピュータ可読媒体。
開示された方法(または対応する装置、プログラム、データキャリアなど)はいずれも、具体的な実装態様に応じて、ホストまたはクライアントのいずれかによって実行され得る(すなわち、開示されている方法/装置は、通信(複数可)の形態であり、したがって、いずれかの「視点」から、すなわち、互いに対応する様式で実行され得る)。さらに、「受信」および「送信」という用語は「入力」および「出力」を包含し、無線波を送信および受信するRFの文脈に限定されないことが理解されよう。したがって、例えば、実施形態を実現するためのチップまたは他の装置または構成要素は、別のチップ、装置または構成要素への出力のためのデータを生成し得るか、または、入力として別のチップ、装置または構成要素からのデータを有し得、そのような出力または入力は、動名詞形、すなわち、「送信すること(transmitting)」および「受信すること(receiving)」を含む「送信(transmit)」および「受信(receive)」、ならびに、RFの文脈内でのそのような「送信すること」および「受信すること」として参照され得る。
【0229】
本明細書において使用される場合、「A、BまたはCのうちの少なくとも1つ」というスタイルおよび「A、BおよびCのうちの少なくとも1つ」という語句で使用される任意の語句は、それらの語句が、A、B、Cのあらゆる連結およびいくつかの順列、すなわち、A単独、B単独、C単独、任意の順序のAおよびB、任意の順序のAおよびC、任意の順序のBおよびC、ならびに任意の順序のA、B、Cを含むように、離接語「または」および離接語「および」を使用する。そのような語句において使用される3つより多いまたは少ない特徴があり得る。
【0230】
請求項において、括弧内に配置されたいかなる参照符号も請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「備えている(comprising)」という語は、請求項に列挙されているもの以外の他の要素またはステップの存在を排除するものではない。さらに、本明細書において使用される場合の「a」または「an」という用語は、1つまたは複数として定義される。また、請求項における「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」などの導入句の使用は、たとえ同じ請求項が「1つまたは複数」または「少なくとも1つ」の導入句および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による別の請求項要素の導入が、そのような導入されている請求項要素を含む任意特定の請求項を、そのような1つのみの要素を含む発明に限定することを暗示すると解釈されるべきではない。定冠詞の使用についても同じことが言える。別途明記しない限り、「第1」および「第2」などの用語は、そのような用語が記述する要素を任意に区別するために使用される。したがって、これらの用語は必ずしもそのような要素の時間的または他の優先順位付けを示すことを意図するものではない。特定の手段が相互に異なる請求項に列挙されているというだけの事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0231】
矛盾しているように別途明示的に述べられていない限り、または実施形態、実施例または請求項の物理特性などがそのような組み合わせを妨げない限り、前述の実施形態および実施例ならびに以下の請求項の特徴は任意の適切な構成、特にそうすることに有益な効果がある構成にともに統合することができる。これは任意の特定の利点のみに限定されるものではなく、代わりに「事後」の利点から生じる場合がある。これは、特徴の組み合わせが、記載されている形態、特に実施例(複数可)、実施形態(複数可)の形態(例えば番号付け)、または請求項(複数可)の従属性によって限定されないことを意味する。さらに、これはまた、「1つ実施形態では」、「一実施形態によれば」などの句にも当てはまり、これは文体的な表現形式に過ぎず、単独の実施形態に対する以下の特徴を同じまたは類似の表現の他のすべての事例に限定するものと解釈されるべきではない。これは、「一(an)」、「1つの(one)」、または「いくつかの(some)」実施形態への参照が、開示された任意の1つまたは複数の、および/またはすべての実施形態、またはそれらの組み合わせ(複数可)への参照であり得ることを意味する。また、同様に、「その(the)」実施形態への参照は、直前の実施形態に限定されないものとすることができる。
【0232】
本明細書において使用される場合、任意の機械実行可能命令、またはコンピュータ可読媒体が、開示されている方法を実行することができ、したがって方法という用語と同義的に、または互いに使用されることができる。
【0233】
1つまたは複数の実装態様の上記の説明は、例示および説明を提供するが、網羅的であること、または本発明の範囲を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして修正および変形が可能であるか、または本開示の様々な実装態様の実践から獲得され得る。
【符号の説明】
【0234】
参照符号のリスト
36 システム
2 装置
4 電源
6 噴霧器
20 前駆体入口
22 流入口
24 出口
30 加熱システム
8 回路
52 測定システム
58 シャント抵抗器
60 増幅器
62 フィルタ
54,64 プロセッサ
56 DC-DC変換器
10 前駆体輸送システム
14 貯蔵部
16 輸送ユニット
12 送達システム
34 マウスピース
18 流路
26 入口
28 出口
50 流れ
32 カトマイザ
36 ハウジング
34 マウスピース
42 周辺デバイス
94 ユーザインターフェース