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特許7191870臭素化難燃剤及びポリウレタンフォームにおけるその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】臭素化難燃剤及びポリウレタンフォームにおけるその用途
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20221212BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20221212BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221212BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20221212BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20221212BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20221212BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20221212BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20221212BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/42
C08G18/48
C08G18/00 H
C08L75/04
C08K5/05
C08K5/521
C08K5/103
C08G101:00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019572740
(86)(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2018039578
(87)【国際公開番号】W WO2019067047
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】62/564,532
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594066006
【氏名又は名称】アルベマール コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ツェー-チョン
(72)【発明者】
【氏名】イベイ,アウグスト・シーザー
(72)【発明者】
【氏名】オデイ,ジョセフ・モーガン
【審査官】佐藤 のぞみ
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/210593(WO,A1)
【文献】特表2006-520424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101:00
C08L 75/00-75/16
C08K 3/00-13/08
C09K 21/00-21/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,3-ジブロモアリルアルコールを含む成分から形成されたポリウレタンフォーム。
【請求項2】
軟質ポリウレタンフォームである、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項3】
硬質ポリウレタンフォームである、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項4】
i)テトラブロモフタル酸無水物とジエチレングリコール及びプロピレングリコールとの混合エステル、及び/またはii)トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート含む、請求項1に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項5】
2,3-ジブロモアリルアルコール、少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つの触媒、及び少なくとも1つの界面活性剤を含んでいる配合物。
【請求項6】
前記ポリオールがポリエーテルポリオール及び/またはポリエステルポリオールである、請求項5に記載の配合物。
【請求項7】
前記発泡剤が水を含む、請求項5に記載の配合物。
【請求項8】
前記配合物の総重量に基づいて、2,3-ジブロモアリルアルコールの量が1重量%~25重量%であり、ポリオールの量が40重量%~80重量%であり、界面活性剤の量が0.1重量%~5重量%であり、発泡剤の量が0.5重量%~20重量%であ、及び触媒の量が0.25重量%~10重量%である、請求項5に記載の配合物。
【請求項9】
前記ポリオールが3~7の官能性を有する、請求項5に記載の配合物。
【請求項10】
水が唯一の発泡剤である、請求項5~9のいずれかに記載の配合物。
【請求項11】
少なくとも1つのポリイソシアネートと、請求項5~10のいずれかに記載の配合物とを含む成分から形成されたポリウレタンフォーム。
【請求項12】
ポリウレタンフォームを形成するプロセスであって、
A)少なくとも1つのイソシアネート及び/またはポリイソシアネートと、B)2,3-ジブロモアリルアルコール、少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つの触媒、及び少なくとも1つの界面活性剤から形成される配合物とを接触させて、混合物を形成すること;ならびに
前記混合物を硬化させてポリウレタンフォームを形成することと、を包含する、
前記プロセス。
【請求項13】
A)及びB)が、イソシアネート指数が8~200であるような量であり、軟質ポリウレタンフォームが形成される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
A)及びB)が、イソシアネート指数が8~1000であるような量であり、硬質ポリウレタンフォームが形成される、請求項12に記載のプロセス。
【請求項15】
請求項12~14のいずれかに記載のように形成されたポリウレタンフォーム。
【請求項16】
2,3-ジブロモアリルアルコール、少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つの触媒、少なくとも1つの界面活性剤、及び少なくとも1つのポリイソシアネートを含む成分から形成されるポリウレタンフォーム。
【請求項17】
前記ポリオールが芳香族ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールであり;ここで、前記発泡剤が、水、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,2-ビス(トリフルオロメチル)エテン、またはこれらの任意の2つ以上の混合物であ;ここで、前記触媒が、オクタン酸カリウム及び/またはジブチルビス(ドデシルチオ)スタンナンであ;ここで、前記界面活性剤がシリコーングリコールであ;及びここで、前記ポリイソシアネートはジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項16に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項18】
前記ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、2,3-ジブロモアリルアルコールの量が1.5重量%~10重量%であ;ここで、ポリオールの量が25重量%~35重量%であ;ここで、触媒の量が0.5重量%~4重量%であ;及び界面活性剤の量が、0.25重量%~2.5重量%である、請求項16または17に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項19】
前記芳香族ポリエステルポリオールが、1.75~2.75の官能価及び200~350の範囲のヒドロキシル価を有する、請求項17に記載のポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質及び硬質のポリウレタンフォームにおける難燃剤として有用な臭素化短鎖アルコールに関する。
【背景技術】
【0002】
耐火性は、ポリウレタンフォームの重要な特性である。適用される火災安全基準を満たすために、さまざまな化合物またはその混合物が効果的に使用されている。トリス(1-クロロ-2-プロピル)リン酸塩(TCPP)は、ポリウレタンフォームで広く使用される難燃剤である。しかしながら、TCPPは、ポリウレタンフォーム形成においては、非反応性の化合物であって、フォームから浸出するかまたは移行し得る。これによって健康及び環境上の懸念が生じる。
【発明の概要】
【0003】
難燃剤として開示されている臭素化イソシアネート反応性化合物は、2,3-ジブロモブタン-1,4-ジオール(例えば、米国特許第4,002,580号)である。しかし、2,3-ジブロモブタン-1,4-ジオール(DBBD)は、高い融点の固体であり、ポリウレタンフォームの用途に有用であるためには事前に溶解するための追加ステップを要する。
【0004】
従って、加工条件で液体であり、かつ加工(混合及びポンピング)を容易にするために低粘度を有する難燃剤を有することが望ましいであろう。難燃剤としての有効性に加えて、ポリウレタンフォームの製造プロセスに適合しており、かつ時間が経ってもポリウレタンフォームから移行せず、健康及び環境への影響を軽減する化合物を提供することが望ましい。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の要旨
本発明は、難燃性ポリウレタンフォームを製造するための配合物及びプロセスを提供する。より具体的には、本発明は、ポリウレタン形態で有用なイソシアネート反応性臭素化難燃剤化合物を提供する。特に、本発明は、連続気泡スプレーフォーム、独立気泡スプレーフォーム、硬質パネルフォーム、及び軟質フォームを含むポリウレタンフォームにおける2,3-ジブロモ-2-プロペン-1-オール(2,3-ジブロモアリルアルコールまたはDBAA)の適用に関する。
【0006】
本発明の実施形態は、DBAAを含む成分から形成されたポリウレタンフォームである。
【0007】
また、難燃性硬質ポリウレタンフォームの製造に使用できる配合物も提供される。
【0008】
本発明の他の実施形態は、ポリウレタンフォームを形成するためのプロセスを包含する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のさらに詳細な説明
本文書を通して使用される場合、「反応性臭素化難燃剤」という語句とは、「イソシアネート反応性臭素化難燃剤」と同等の意味を有する。
【0010】
ポリウレタンフォームは、典型的には、2つの主要な液体成分、すなわち、ポリイソシアネート(A側)及びポリオール(B側)を接触させることにより製造される。ポリイソシアネート以外のすべての成分を含むB側(ここでは、本発明の配合物)は、液体の形態であることが望ましい。本明細書で使用される場合、「液体」という用語は、配合物が、B側配合物が使用される条件で、液体状態であることを意味する。ポリウレタンフォームの形成に関するさらなる情報については、例えば、米国特許第3,954,684;同第4,209,609号;同第5,356,943号;同第5,563,180号;及び同第6,121,338号を参照のこと。
【0011】
本発明は、ジブロモアリルアルコール(DBAA)で難燃化されたポリウレタンフォームに関する。これらのフォームは、DBAA、少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つの触媒、及び少なくとも1つの界面活性剤を含む配合物から形成され、これらの配合物はポリイソシアネートと接触される。
【0012】
イソシアネート反応性臭素化難燃剤は、ポリウレタン形成中に別のポリウレタン形成成分について利用可能であり、かつそれと反応し得る少なくとも1つの官能基を含み、その結果、得られるポリウレタンは化学結合した形で反応性臭素化難燃剤を含む。反応性臭素化難燃剤の官能基は、ポリウレタンフォームの調製中にイソシアネート基と反応すると考えられている;通常、反応性臭素化難燃剤の官能(反応性)基はヒドロキシル基である。
【0013】
本発明の実施に使用されるイソシアネート反応性臭素化難燃剤、2,3-ジブロモ-プロプ-2-エン-1-オールは、公知の分子(本明細書ではジブロモアリルアルコールまたはDBAAとも呼ばれる)であり、CAS(登録商標)レジストリ番号7228-11-7(Chemical Abstracts Service)を有する。DBAAは市販されていないが、溶媒中の室温でのプロパルギルアルコール(2-プロピン-1-オール)及び元素状臭素(Br)からのDBAAの合成は、公知である。過去において、DBAAは、リン化合物を製造するための中間体として使用されてきた(米国特許第3,950,457号を参照のこと)。
【0014】
DBAAは、軟質ポリウレタンフォームと硬質ポリウレタンフォームの両方の形成に使用され得る。DBAAは、ポリウレタンフォームの一部となる反応性成分である。これには、DBAAがフォームから移行しないという利点がある。別の利点は、DBAAの臭素含有量が高いことである(74重量%)。DBAAを含むポリウレタンフォームに含めることができる他の難燃剤としては、テトラブロモフタル酸無水物とジエチレングリコール及びプロピレングリコールの混合エステル、トリス(1-クロロ-2-プロピル)リン酸塩、または両方のトリス(1-クロロ-2-プロピル)リン酸塩、及びテトラブロモフタル酸無水物とジエチレングリコール及びプロピレングリコールとの混合エステルが挙げられる。
【0015】
ポリウレタンフォームを形成するためのプロセスにおいてB側として使用され得る本発明の配合物は、DBAA、ポリオール、発泡剤、触媒、及び界面活性剤を含む。
【0016】
本発明のポリウレタンフォームを形成するには、難燃剤量のDBAAを使用する。難燃剤の量とは、望ましいレベルの難燃性を得るために必要なDBAAの量を意味する。難燃剤の量は、典型的には、配合物B(B側の成分)の総重量に基づいて、約1重量%~約25重量%、好ましくは約3重量%~約20重量%、より好ましくは約3重量%~約18%の範囲である。
【0017】
本発明の実施においてポリウレタンフォームを形成する際に使用されるポリオール(複数可)は、軟質ポリウレタンフォームまたは硬質ポリウレタンフォームを製造するために典型的に使用される任意のポリオールであってもよい。しばしば、ポリオールの混合物を使用し、特定のポリオールを、形成されるポリウレタンフォームの特性に対する効果のために選択する。
【0018】
軟質ポリウレタンフォームが形成されているとき、ポリオールとは通常、最大約150mgKOH/g、好ましくは約5mgKOH/g~約150mgKOH/g、より好ましくは約10~約100mgKOH/g、さらにより好ましくは約20mgKOH/g~約75mgKOH/gの範囲のヒドロキシル数を有するポリオールまたはポリオールの混合物である。重合体ポリオールが使用される場合、それらは通常、約2,000~約10,000、好ましくは約3,000~約8,000の範囲の分子量を有する。
【0019】
硬質ポリウレタンフォームが、形成されているとき、ポリオールは通常、約100~約850mgKOH/gの範囲、好ましくは約110~約600mgKOH/gの範囲のヒドロキシル数を有するポリオールまたはポリオール類の混合物である。重合体ポリオールが使用される場合、それらは典型的には約250~約5000、しばしば約400~約3000の範囲の分子量を有する。
【0020】
ポリウレタンフォームを形成するのに適したポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。2つ以上のポリオールの混合物を使用してもよい。硬質ポリウレタンフォームを形成するための好ましいポリオールとしては、ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0021】
使用され得るポリオキシアルキレングリコールとしては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ならびにブロック及びヘテロポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレングリコールが挙げられる。
【0022】
脂肪族ポリオールは、典型的には1分子あたり最大約18個の炭素原子を含む。適切な脂肪族ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、異性体ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、テトラエチレングリコール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、スクロース、及びアルファ-メチルグリコシドが挙げられる。
【0023】
ポリエーテルポリオールは、アルキレンラジカル中に2~約8個の炭素を有する1つ以上のアルキレンオキシドと、2つ以上のヒドロキシル基を含む開始剤分子とを反応させることにより生成される。適切なポリエーテルポリオールとしては、スクロース/グリセリンポリエーテルポリオール;グリセリン、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドに基づくスクロースポリエーテルポリオール;グリセリン開始ポリエーテルポリオール、例えば、グリセリン/酸化プロピレンポリエーテルポリオール;及びマンニッヒベースのポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0024】
ポリエステルポリオールは、ポリカルボン酸またはそれらの誘導体、例えばそれらの酸塩化物または無水物をポリオールと重合させることにより生成される。適切なポリエステルポリオールとしては、芳香族ポリエステルポリオール及びジエチレングリコール無水フタル酸ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0025】
軟質及び硬質の両方のポリウレタンフォームを形成するために、ポリオールの量は、典型的には、B側成分(配合物)の総重量に基づいて、約40重量%~約80重量%、しばしば約50重量%~約70重量%の範囲である。これらの量は、2つ以上のポリオールが存在する場合、配合物中のポリオールの総量を指す。
【0026】
軟質及び硬質のポリウレタンフォームを形成するために、本発明で使用され得る発泡剤としては、水;揮発性炭化水素、炭化水素、例えば、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン;ハロカーボン(完全ハロゲン化クロロフルオロカーボン)、特にトリクロロフルオロメタン(CFC-11);及びハロ炭化水素(水素含有クロロフルオロカーボン、またはHCFC類)、例えば、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-142b)、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)が挙げられる。任意の2つ以上の発泡剤の混合物を使用してもよい。いくつかの場合には、DBAAによって、水が唯一の発泡剤である配合物が可能になる。
【0027】
軟質ポリウレタンフォームを形成する場合、本発明の実施における他の適切な発泡剤としては、ジクロロメタン(塩化メチレン)及びアセトンが挙げられる。軟質ポリウレタンフォームの好ましい発泡剤としては水を含む。軟質ポリウレタンフォームを形成するための発泡剤の量は、B側成分(配合物)の総重量に基づいて、約0.5重量%~約20重量%、好ましくは約2.5重量%~約15重量%の範囲であり得る。
【0028】
硬質ポリウレタンフォームを形成する場合、本発明の実施において使用され得る発泡剤としては、部分フッ素化炭化水素(HFC類)が挙げられる。硬質フォームに適切な発泡剤としては、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオオロプロペン(HFO-1233zd(E))、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(HFC-356mffm)及び1,2-ビス(トリフルオロメチル)エテン;及び炭化水素、例えば、n-ペンタン、イソペンタン、及びシクロペンタンが挙げられる。任意の2つ以上の発泡剤の混合物を使用してもよい。
【0029】
硬質フォームを形成する場合の好ましい発泡剤としては、水、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、1,2-ビス(トリフルオロメチル)エテン、及び水と、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、または1,2-ビス(トリフルオロメチル)エテンの混合物が挙げられる。いくつかの例では、2,3-ジブロモアリルアルコールによって、水が唯一の発泡剤である配合物が可能になる。硬質フォームを形成するための発泡剤の量は、B側成分(配合物)の総重量に基づいて、約0.5重量%~約20重量%、好ましくは約2.5重量%~約15重量%の範囲であり得る。
【0030】
軟質または硬質のいずれかのポリウレタンフォームを形成する場合、本発明の実施において使用され得る触媒の種類としては、第三級アミン、スズ触媒、典型的には有機スズ化合物、ビスマス触媒、他の有機金属触媒、及び有機カルボン酸のカリウム塩が挙げられる。同じタイプ及び/または異なるタイプの触媒の混合物を、本発明の実施に使用してもよい。
【0031】
アミン触媒では、アミン上の基は好ましくはアルキル基であり;より好ましくは、この基は、エーテル基または飽和アルコール基などの酸素含有基である。適切なアミン触媒としては、ジメチルエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルベンジルアミン、テトラメチルジプロピレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリス(ジメチルアミノプロピル)-ヒドロトリアジン、1-メチル-4-(2-ジメチルアミノエチル)ピペラジン、1,4-ジアザ(2,2,2)ビシクロオクタン、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-ココモルホリン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、及びエタノールアミン触媒、例えば、ジメチルエタノールアミン、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、及びN,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミンが挙げられる。軟質フォームにとって好ましい触媒としては、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノールが挙げられる。硬質ポリウレタンフォームにとっては、アミン触媒は、好ましくは三級アミンである。
【0032】
触媒として使用され得るスズ化合物の種類としては、ジアルキル(ジアルキルチオ)スタンナン、有機カルボン酸の第一スズ(II)塩、及びカルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩が挙げられる。本発明の実施における適切なスズ触媒としては、ジブチルビス(ドデシルチオ)スタンナン、オクタン酸第一スズ(II)、酢酸第一スズ(II)、ジラウリン酸ジブチルスズ、及び二酢酸ジオクチルスズが挙げられる。
【0033】
さらに別のタイプの触媒は、有機カルボン酸の1つ以上のカリウム塩である。適切なカリウム塩としては、酢酸カリウム及びオクタン酸カリウムが挙げられる。
【0034】
触媒は通常、軟質及び硬質の両方のポリウレタンフォームについて、配合物(B側成分)の総重量に基づいて、約0.25重量%~約10重量%、好ましくは約1重量%~約8重量%の総量で使用される。これらの量とは、2つ以上の触媒が存在する場合は、配合物中の触媒の総量を指す。
【0035】
ポリウレタンフォームの生成には、界面活性剤が必要な場合が多く、軟質及び硬質の両方のポリウレタンフォームを形成する場合、通常は界面活性剤が使用される。
【0036】
軟質及び硬質の両方のポリウレタンフォームにとって、適切なシリコーン系界面活性剤としては、シリコーングリコール、シリコーングリコールコポリマー、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、例えば、ポリエーテルポリジメチルシロキサンコポリマー、ポリシロキサンポリオキソアルキレンコポリマー、ポリシロキサンポリオキソアルキレンコポリマー、ポリシロキサンコポリマーなどが挙げられる。シリコーン系界面活性剤は、軟質及び硬質の両方のポリウレタンフォームを形成するための好ましい種類の界面活性剤である。ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン及びポリシロキサンコポリマーは、好ましいシリコーン系の界面活性剤である。
【0037】
典型的にはポリアルキレンオキシドである気泡開放剤(セルオープナー:cell opener)は、軟質フォーム用の好ましい種類の界面活性剤である。本発明の実施における適切なポリアルキレンオキシド気泡開放剤としては、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールアリルメチルジエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテルアセテート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールグリセロールエーテル、ポリエチレン-ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレン-ポリプロピレングリコールモノアリルモノメチルジエーテル、及びポリエチレン-ポリプロピレングリコールアリルエーテルアセテートが挙げられる。
【0038】
硬質ポリウレタンフォームを形成する場合に使用され得る他の界面活性剤としては、乳化剤、例えば、ヒマシ油硫酸ナトリウムまたは脂肪酸のナトリウム塩;アミンとの脂肪酸塩、例えば、オレイン酸ジエチルアミン及びステアリン酸ジエタノールアミン;スルホン酸の塩、例えば、ドデシルベンゼンジスルホン酸及びリシノール酸のアルカリ金属またはアンモニウム塩;エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アルコール;エーテルアミン第四級アンモニア化合物;2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩;ヒドロキシ-ノニルフェニル-N-メチルグリシン酸ナトリウム(N-((2-ヒドロキシ-5-ノニルフェニル)メチル)-N-メチル-グリシンのナトリウム塩)、及びヒマシ油が挙げられる。
【0039】
軟質及び硬質の両方のポリウレタンフォームを形成するために、界面活性剤は通常、B側成分(配合物)の総重量に基づいて、約0.1重量%~約5重量%、好ましくは約0.5重量%~約5重量%の量で使用される。これらの量とは、2つ以上の界面活性剤が存在する場合、配合物中の界面活性剤の総量を指す。
【0040】
本発明の配合物に含まれ得る1つ以上の任意の添加剤としては、軟質または硬質のいずれかのポリウレタンフォームを形成する場合、抗酸化剤、希釈剤、鎖延長剤または架橋剤、相乗剤(好ましくはメラミン)、安定剤、静真菌剤、顔料、色素、充填剤、帯電防止剤、及び可塑剤が挙げられる。
【0041】
配合物の成分は、任意の順序で組み合わされてもよい;好ましくは、発泡剤は最後に添加される成分である。より好ましくは、DBAAは、ポリオール(複数可)と組み合わされ、その後、界面活性剤、触媒、及び任意の成分、その後に発泡剤が組み合わされる。
【0042】
本発明の実施においてポリウレタンフォームを形成する際に使用されるイソシアネートまたはポリイソシアネート(A側成分)は、必要に応じて、軟質ポリウレタンフォームまたは硬質ポリウレタンフォームを生成するために使用され得る、任意のイソシアネートまたはポリイソシアネートであり得る。重合体ポリイソシアネートが使用される場合、それは、好ましくは、約25重量%~約50重量%、好ましくは約25重量%~約40重量%のイソシアネート(NCO)含有量を有する。
【0043】
硬質ポリウレタンフォームを形成する場合、一般にはイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を有する。イソシアネートは芳香族であっても、または脂肪族であってもよい。硬質ポリウレタンフォームを形成する場合、ポリイソシアネートが使用され、このポリイソシアネートは芳香族であっても、または脂肪族であってもよい。本発明の実施における軟質及び硬質の両方のポリウレタンフォームに適したポリイソシアネートとしては、限定するものではないが、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7-ヘプタメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート及びそれらの異性体、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、他のアルキル化ベンゼンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI、時にはメチレンジイソシアネートとも呼ばれる)、1-メトキシフェニル-2,4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ダイフェンイルメタンジイソシアネート及び2,4’-ダイフェンイルメタンジイソシアネートの混合物、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、4,4’、4”-トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン2,4,6-トリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’、5,5’-テトライソシアネート、重合体ポリイソシアネート、例えば、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、及び前述の任意の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0044】
本発明の軟質及び硬質両方のポリウレタンフォームの形成に使用され得るポリイソシアネートとしては、一般に重合体メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)と呼ばれるイソシアネート、ポリイソシアネート系のプレポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。重合体MDIは、さまざまな量の異性体ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびに3環、4環、及び4環以上のオリゴマーを含む。一般に、約25重量%以上のイソシアネート含有量を有する市販の重合体のMDIが使用され得る。好ましい重合体MDIは、約30重量%以上のイソシアネート含有量を有する。ポリイソシアネート混合物が全体がとして液体のままである限り、他のイソシアネートが少量で重合体MDIと共に存在してもよい。好ましくは、ポリイソシアネートは、重合体MDIである。
【0045】
本発明のポリウレタンフォーム組成物は、A側及びB側の成分から形成され、ここでこのA側は、上記のような1つ以上のイソシアネートまたはポリイソシアネートであり、B側は、本発明の配合物を含む。ポリウレタン形成反応は一般には、室温で迅速に生じ;通常は、A側及びB側は、それらが接触するとすぐに互いに反応し始め、反応(硬化)を続けてポリウレタンフォームを形成する。多くの場合、A側とB側の混合物は、ポリウレタンフォームを形成するために噴霧されるか、またはキャストされる。
【0046】
本発明のプロセスでは、ポリウレタンフォームを形成するために、A)少なくとも1つのイソシアネート及び/またはポリイソシアネートを、B)2,3-ジブロモアリルアルコール、少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つの発泡剤、少なくとも1つの触媒、及び少なくとも1つの界面活性剤と接触させて、混合物を形成させ;その混合物を硬化させてポリウレタンフォームを形成させる。
【0047】
イソシアネート及び/またはポリイソシアネートの量は、イソシアネート指数に関して定義され得る。
イソシアネート指数=使用されるイソシアネートの実際の当量×100
反応性水素の理論上の当量
【0048】
イソシアネートの理論的当量は、B側からの反応性水素1当量あたりのイソシアネート1当量に等しい。本発明のプロセスでは、イソシアネート指数値は典型的には、80~200、または約90~約150におよぶ。硬質ポリウレタンフォームは通常は、イソシアネート指数が約85~約1000、より好ましくは約95~約400、より好ましくは約95~約200の範囲になるような量で、ポリイソシアネートと、イソシアネート反応性水素原子(例えば、ヒドロキシル基)を有する化合物とを一緒にすることによって形成される。
【0049】
ポリウレタンフォームを形成するために、ポリオールまたはポリオール類の混合物によって典型的には提供される配合物(B側)の官能価(すなわち、1分子あたりのヒドロキシル基の平均数)は、通常約2以上、好ましくは2~約8;さらに好ましくは約3以上、特に約3~約8、さらに特には約3~約7である。モノアルコールとして、DBAAは、1という官能価(すなわち、分子中に1つのヒドロキシル基)を有し、これは連鎖停止剤であるため、配合物中のポリオールの少なくとも一部は、1分子あたり3つ以上のヒドロキシル基を有し、ポリウレタンフォームを形成する。DBAAは、B側の平均官能価の計算に含まれる。
【0050】
ポリウレタンフォームでは、2,3-ジブロモアリルアルコールは、一般に、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、約0.5重量%~約12.5重量%、好ましくは約1.5重量%~約10重量%、より好ましくは約1.5重量%~約9%である。ポリオールは、典型的には、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、約20重量%~約40重量%、多くの場合約25重量%~約35重量%の範囲である。界面活性剤は、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、約0.05重量%~約2.5重量%、好ましくは約0.25重量%~約2.5重量%の量で存在する。この触媒は、ポリウレタンフォームの総重量に基づいて、約0.125重量%~約5重量%、好ましくは約0.5重量%~約4重量%の総量で存在する。これらの量は、2つ以上のその種の成分が存在する場合のフォーム内の各種類の成分の総量を指す。
【0051】
本発明で形成された硬質ポリウレタンフォームは、最終用途の適用に応じて変化する密度を有する。連続気泡断熱フォームの場合、密度範囲は一般に、約0.4lb/ft~約1.2lb/ft(6.3kg/m~18.9kg/m)である。独立気泡断熱フォームの場合、密度範囲は通常、約1.6lb/ft~約3.5lb/ft(25.6kg/m~56.1kg/m)である。成形された建築用フォームの場合、密度範囲は、通常約4.0lb/ft~約31lb/ft(64.0kg/m~497kg/m)である。
【0052】
本発明で形成される軟質ポリウレタンフォームは、約0.5~約1.0lb/ft(8~16kg/m)の密度範囲を有する。軟質ポリウレタンフォームは、通常、成形フォーム、スラブストックフォームなどの物品を形成するために使用され、家具及び自動車の座席のクッション材として、マットレスに、カーペットの裏地として、おむつの親水性フォームとして、及び包装用フォームとして使用され得る。
【0053】
以下の実施例は、例示の目的で提示しており、本発明の範囲に制限を課すことを意図するものではない。以下の実施例における全てのパーセンテージは、特に明記しない限り重量による。
【実施例
【0054】
実施例-一般
本実施例では、使用されるいくつかの物質は、それらの商品名によって言及される。さらに具体的には以下である:
DBAA:2,3-ジブロモアリルアルコール
Saytex(登録商標)RB-79:テトラブロモフタル酸無水物とジエチレングリコール及びプロピレングリコールの混合エステル(Albemarle Corporation)。
TCPP:トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート。
DE:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
Voranol(登録商標)280:約7.0の官能価、約280のヒドロキシル数、及び約1400の平均分子量を有するポリエーテルポリオール;Voranol(登録商標)370:7.0の官能価を有するスクロース/グリセリンポリエーテルポリオール;Voranol(登録商標)490:4.3の官能価を有するスクロース/グリセリンポリエーテルポリオール(全てのVoranol(登録商標)材料は、Dow Chemical Companyの製品である)。
Vorasurf(登録商標)504は、非シリコーン有機界面活性剤サーファクタント(Dow Chemical Company)。
Terate(登録商標)HT 5503:225~約245の範囲のヒドロキシル数、官能価2、及び239という等価重量を有する芳香族ポリエステルポリオール;Terate(登録商標)HT 5349:約2.45の官能価、及び295~315というヒドロキシル数を有する芳香族ポリエステルポリオール(Terate(登録商標)材料は、Invista Corporationの製品である)。
Stepanpol(登録商標)PS-3152は、2の官能価、及び315のヒドロキシル価を有するジエチレングリコール-フタル酸無水物ポリエステルポリオールである(Stepan Chemical Company)。
Carpol(登録商標)GP-5171:約3の官能価、35のヒドロキシル数、及び約5000の平均分子量を有するグリセリン開始ポリエーテルポリオール;Carpol(登録商標)GP-5015:3の官能価、34のヒドロキシル数、及び約5000の平均分子量を有するグリセリン開始ポリエーテルポリオール;Carpol(登録商標)GP-1500:3の官能価、112のヒドロキシル数、及び約1500の平均分子量を有するグリセリン開始ポリエーテルポリオール;Carpol(登録商標)GSP-280:7の官能価、280のヒドロキシル価、及び約1400の平均分子量を有するグリセリン、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドに基づくスクロースポリエーテルポリオール;Carpol(登録商標)GSP-355:4.5の官能価、355のヒドロキシル価を有するグリセリン/スクロース開始ポリエーテルポリオール;Carpol(登録商標)MX-470:約4の官能価、470のヒドロキシル数、及び480の平均分子量を有するマンニッヒ系のポリエーテルポリオール;Carpol(登録商標)GP-700:3の官能価、240のヒドロキシル数、及び約700の平均分子量を有するグリセリン及びプロピレンオキシドポリエーテルポリオール(全てのCarpol(登録商標)材料は、Carpenter Companyの製品である)。
Terol(登録商標)250は、2の官能価及び235~255の範囲のヒドロキシル数を有する芳香族ポリエステルポリオールである(Huntsman Corporation)。
Dabco(登録商標)DC193:シリコーングリコール界面活性剤。Dabco(登録商標)T:ヒドロキシル基を有するアミン;Dabco(登録商標)T-120:ジブチルビス(ドデシルチオ)スタンナン;Dabco(登録商標)PM-300:2-ブトキシエタノール;Dabco(登録商標)DC5598:シリコーングリコールコポリマー界面活性剤;Dabco(登録商標)K-15:オクタン酸カリウム;Dabco(登録商標)TMR:2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩;(全てのDabco(登録商標)材料は、Air Products and Chemicals、Incの製品である)。
Polycat(登録商標)204:アミン触媒(Air Products and Chemicals、Inc)。
Tomamine(登録商標)Q17-2 PGは、イソプロピルアルコール中のエーテルアミン四級アンモニア界面活性剤(75%)である(Air Products and Chemicals, Inc.)。
Tegostab(登録商標)B 8871:ポリシロキサンコポリマー;Tegostab(登録商標)B 8407:ポリエーテルポリジメチルシロキサンコポリマー(両方とも、Evonik Industries AG,Essen,Germanyの製品である)。
Jeffcat(登録商標)ZR-70は、2-(2-ジメチルアミノエトキシ)エタノール、エタノールアミン触媒である;Jeffcat(登録商標)Z-110は、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン;Jeffcat(登録商標)ZF-20は、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル(全てのJeffcat(登録商標)材料は、Huntsman Corp.,The Woodlands,TXの製品である)。
Pel-cat 9506は、オクタン酸カリウム及び酢酸カリウムの混合物である;Pel-cat 9858-Aは、ナトリウムヒドロキシ-ノニルフェニル-N-メチルグリシネートである(両方ともEle Corporationの製品)。
Solstice(登録商標)LBA:トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(Honeywell Inc.)。
Genetron(登録商標)245fa:1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(Honeywell Inc.)。
Opteon(商標)1100:1,2-ビス(トリフルオロメチル)エテン;Formacel(登録商標)1100(The Chemours Company)とも呼ばれる。
Papi(登録商標)27:31.4重量%のNCO、25℃で150~225cpsの粘度、及び134というイソシアネート等価重量を有する、重合体ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(Dow Chemical Company)。
【0055】
コーン熱量測定は、ASTM E-1354に従って、火炎試験技術デュアルコーン熱量計(Fire Testing Technology Dual Cone Calorimeter)で実施された。全ての実施例に関して、予測煙指数(Predicted Smoke Index)計算のコーン熱量測定試験では、40kW/mの入射熱流束を使用し、予測火炎伝播指数(Predicted Flame Spread Index)計算のコーン熱量測定試験では100kW/mの入射熱流束を使用した。コーン熱量計でのサンプルの燃焼中に放出される熱の最大値である、ピーク発熱速度(PHRR)を測定した。ピーク発熱速度の値は、好ましくは、250未満である。予測煙指数計算について、及び予測火炎伝播指数計算についてのASTM E-84燃焼プロファイルは、コーン熱量測定の結果から計算した。以前にコーン熱量計及びASTM E-84相関研究から導出された数式を使用して、コーン熱量計の結果を、ASTM E-84のように予測数に変換した。火炎伝播指数(Flame Spread Index)の目標値は、25未満、好ましくは20未満であり、煙密度指数(Smoke Density Index)の目標値は450未満、好ましくは200未満であった。「煙指数(Smoke Index)」という用語は、「煙発生指数(Smoke Developed Index)」及び「煙密度指数(Smoke Density Index)」とも呼ばれる「煙発生密度(smoke density developed)」の略である。
【0056】
いくつかのサンプルについて、寸法安定性を決定した;寸法安定性における好ましい容積変化は、±15%である。いくつかのサンプルを熱伝導率試験にかけ、R値は、熱伝導率から計算した。R値(またはR値)は、断熱効率または熱抵抗(材料がそれ自体の熱伝達を遅くする能力)の尺度であり、建築及び建設業界でよく使用される。R値が高いほど、材料は熱伝達をよく防ぎ、ポリウレタンフォームのR値は、好ましくは約6.5以上である。
【0057】
実施例1-22
実施例1~16で報告された結果は、1ロットあたり5個のサンプルを有する3個のロットの平均である(各試験につき合計15個のサンプル)。特に明記しない限り、各施行におけるA側とB側の容積比は1:1であった。実施例1~16のポリウレタンフォームは、以下の手順1に従って調製した。実施例17~19のポリウレタンフォームは、以下の手順2に従って調製した。実施例20~22のポリウレタンフォームは、以下の手順1に従って調製した。実施例1~22のすべての施行において、A側はPapi(登録商標)27であった。
【0058】
手順1:B側を形成するために、DBAA、ポリオール、界面活性剤、難燃剤、発泡剤及び触媒を、0.5ガロン(1.9L)の再密閉可能な容器に秤量し、2000rpmで、60秒間、または目に見える相分離のない均一な混合物が得られるまで、ボウタイ攪拌機で混合した。450gのスケール(A側とB側の合計)で、必要な量のB側の混合物を秤量し、1リットルの紙コップに加えた。
【0059】
重合体MDIは、その必要量の約10%を250mLの紙コップに秤量すること、3秒以内に重合体MDIを注ぎ出し、湿った250mLカップを再度風袋引きすること、及び全量の重合体MDIを加えることにより湿らせた。次いで、重合体MDIを3秒以内にB側混合物を含む1リットルのカップに注ぎ、1リットルの紙コップの内容物を2000rpmで5秒間直ちに混合した。このプロセスにより、使用されるMDIの量は、必要な量の±1%以内である。
【0060】
フォームが上昇している間に、ただし、フォームが1リットルの紙コップの上部に到達する前に、そのコップを裏返して紙シート上に保持した。泡が上昇し続ける間、カップは泡の上昇を妨げることなく上方に導かれた。フォームが、一旦、それ自体及びカップを支えるのに十分な強度になれば、カップのガイドを中止した。フォームを少なくとも24時間静置した後、コーン熱量計試験用の試料を生成するためにフォームを切断した。各試験片を秤量して、フォーム密度を決定した。
【0061】
手順2:各ポリウレタンフォームを調製するために、触媒(複数可)以外のB側成分(DBAA、ポリオール、界面活性剤、難燃剤、及び発泡剤)のブレンドを作成した。ポリイソシアネート及びB側の配合物を16オンス(473mL)の紙コップに秤量して、次いでこれを、ボウタイ攪拌機で、2000rpmで、15秒間混合し、この時点で、攪拌を続けながら触媒(複数可)を混合物に注入した。20秒の時点で、攪拌を停止し、その反応混合物を直ちに、ポリエチレン袋で裏打ちされた、10インチ×10インチ×10インチ(25.4cm×25.4cm×25.4cm)の木製箱型に注いで、その箱を閉じた。15分後、ポリエチレン袋に入れられた立方体のフォームを、金型から取り出した。フォームを少なくとも24時間静置した後、コーン熱量計試験用の試験片を生成するためにフォームを切断した。各試験片を秤量して、フォーム密度を決定した。触媒は、A側とB側が接触した後に追加し、これは、実験室規模での取り扱いとタイミングに関連している;より大きなスケールでは、触媒はB側の配合物に含まれる。
【0062】
実施例1~4では、連続気泡スプレーポリウレタンフォームを調製した。実施例2及び3は比較例である。成分の量及び加工情報を表1に列挙する;試験結果を表2にまとめる。実施例1~4では、水が唯一の発泡剤であった。
【0063】
実施例5~10では、独立気泡スプレーポリウレタンフォームを調製した。実施例5、6、8、及び9は比較例である。実施例9では、Saytex(登録商標)RB-79難燃剤を、2-ブトキシエタノールの溶液として添加した。成分の量及び加工情報を表3に列挙する;試験結果を表4にまとめる。
【0064】
実施例11-16では、独立気泡スプレーポリウレタンフォームを調製した。実施例12~16は比較例である。成分の量及び加工情報を表5に列挙する;試験結果を表6にまとめる。
【0065】
実施例17~19では、パネルポリウレタンフォームを調製した。実施例17及び18は比較例である。成分の量及び加工情報を表7に列挙する;試験結果を表8にまとめる。
【0066】
実施例20~22では、独立気泡スプレーポリウレタンフォームを調製した。実施例21の実行の施行1ならびに実施例22の施行1及び2は比較例である。実施例20~22の成分の量及び加工情報は、表9A~B、表11A~B、及び表13A~Cに列挙する;実施例20~22の試験結果は、表10A~B、12A~B、及び14A~Cにまとめている。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
表1及び2は、連続気泡フォーム中のTCPP及びRB-79に比べてはるかに少ない量のDBAAを使用して、フォームのクラス1の難燃性評点が達成され得ることを示している。DBAAを含むポリウレタンフォームは、TCPPまたはSaytex(登録商標)RB-79難燃剤を含むフォームよりもはるかに優れた寸法安定性を有した。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
表3及び4は、独立気泡フォーム中のRB-79単独またはTCPP及びRB-79の組み合わせに比べてはるかに少ない量のDBAAを使用して、フォームのクラス1という難燃性評価を達成できることを示す。DBAAを含むポリウレタンフォームは、TCPP及び/またはSaytex(登録商標)RB-79難燃剤を含むフォームと比較してR値が改善された。
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】
表7及び8は、パネルのフォームにDBAAを使用することにより、フォームのクラス1という難燃性等級が達成されることを示している。
【0078】
【表9A】
【0079】
【表9B】
【0080】
【表10A】
【0081】
【表10B】
【0082】
【表11A-1】
【0083】
【表11A-2】
【0084】
【表11A-3】
【0085】
【表11B-1】
【0086】
【表11B-2】
【0087】
【表11B-3】
【0088】
【表11B-4】
【0089】
【表12A】
【0090】
【表12B】
【0091】
【表13A-1】
【0092】
【表13A-2】
【0093】
【表13B-1】
【0094】
【表13B-2】
【0095】
【表13B-3】
【0096】
【表13B-4】
【0097】
【表13C】
【0098】
【表14A】
【0099】
【表14B】
【0100】
【表14C】
【0101】
本明細書または特許請求の範囲のいずれかで化学名または化学式で言及される構成要素は、単数または複数で言及されるかどうかにかかわらず、化学名または化学タイプで言及される別の物質と接触する前に存在するものとして識別される(例えば、別の構成要素、溶媒など)。そのような変化、変換、及び/または反応は、特定の成分を本開示に従うために必要な条件下で一緒にすることの自然な結果であるため、結果として生じる混合物または溶液でどのような化学変化、変換、及び/または反応が起こるかは問題ではない。したがって、この構成要素は、所望の操作の実行または所望の組成物の形成に関連して一緒にされる成分として識別される。また、本明細書の特許請求の範囲は、現在形の物質、構成要素、及び/または成分に言及している場合でも(「含む」、「である」など)、本開示に従う1つ以上の他の物質、構成要素、及び/または成分とこれが最初に接触されるか、ブレンドされるかまたは混合される直前の時点でそれが存在するかのように、この物質、構成要素、または成分を指すものである。したがって、物質、構成要素、または成分は、本開示及び化学者の通常の技術に従って実施された場合、接触、ブレンドまたは混合の操作の過程で、化学反応または変換により元の同一性を失った可能性があるという事実には、実質上の懸念はない。
【0102】
本明細書に記載及び請求される本発明は、本明細書に開示される特定の例及び実施形態によって範囲が限定されるものではない。なぜなら、これらの実施例及び実施形態は、本発明のいくつかの態様の例示を意図しているからである。等価な実施形態は、本発明の範囲内にあるものとする。実際、本明細書に示され説明されたものに加えて、本発明の様々な修正が前述の説明から当業者に明らかになるであろう。そのような修正はまた、添付の特許請求の範囲内で失敗することも意図している。