(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 17/10 20200101AFI20221212BHJP
B62J 17/00 20200101ALI20221212BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B62J17/10
B62J17/00
B62J23/00 A
(21)【出願番号】P 2020153271
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2021-05-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発明を掲載したホームページのアドレス:https://www.honda.co.jp/news/2020/2200806.html https://www.honda.co.jp/CBR600RR/?from=newslink_text 掲載年月日:令和2年8月6日 展示日:令和2年8月9日~10日 展示会名、開催場所:MFJ全日本ロードレース選手権 シリーズ第1戦スーパーバイクレース in SUGO(宮城県柴田郡村田町菅生6-1スポーツランドSUGO) 発明を掲載したホームページのアドレス:https://www.honda.co.jp/news/2020/2200821-cbr600rr.html 掲載年月日:令和2年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗城 大亮
(72)【発明者】
【氏名】石栗 嘉之
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-196097(JP,A)
【文献】特開2019-189089(JP,A)
【文献】特開2016-135656(JP,A)
【文献】特開2006-281949(JP,A)
【文献】国際公開第2015/071935(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/10
B62J 17/00
B62J 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を覆うカウル(40)と、前記カウル(40)から車幅方向外側に延出する翼部(61)とを備える鞍乗り型車両において、
前記カウル(40)は、第1のカウル(42)と、前記第1のカウル(42)に合わさる第2のカウル(45)とを備え、
前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)と前記第2のカウル(45)とが合わさる合わせ部(60)において前記第1のカウル(42)に一体に形成され
、
前記合わせ部(60)では、前記第1のカウル(42)の下縁部(42a)と前記第2のカウル(45)の上縁部(45b)とが合わさり、前記合わせ部(60)は、車両側面視で車両前後方向に延び、
前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)の前記下縁部(42a)から車幅方向外側に延出することを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記合わせ部(60)は、車両側面視で、前記合わせ部(60)の前端(60a)よりも後端(60b)が上方に位置するように傾斜して設けられ、
前記翼部(61)は、車両側面視で、前記合わせ部(60)に沿うように後上がりに傾斜していることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)から車幅方向外側に延出する板状の翼本体(70)と、車両側面視で前記翼本体(70)の前縁(70a)から後下方に延出する前壁部(71)と、車両側面視で前記翼本体(70)の後縁(70b)から前下方に延出する後壁部(72)とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記第2のカウル(45)から車幅方向外側に延出する補強部材(65)が設けられ、
前記補強部材(65)は、前記合わせ部(60)において前記翼部(61)に接続されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)から車幅方向外側に延出する板状の翼本体(70)と、車両側面視で前記翼本体(70)の前縁(70a)から後下方に延出する前壁部(71)と、車両側面視で前記翼本体(70)の後縁(70b)から前下方に延出する後壁部(72)とを備え、
前記第2のカウル(45)から車幅方向外側に延出する板状の補強部材(65)が設けられ、
前記補強部材(65)は、前記翼部(61)に下方から合わさって前記翼部(61)に接続され、
前記補強部材(65)の前縁(65b)は前記前壁部(71)に後方から係合し、前記補強部材(65)の後縁(65c)は前記後壁部(72)に前方から係合することを特徴とする請求項1又は2記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
車体を覆うカウル(40)と、前記カウル(40)から車幅方向外側に延出する翼部(61)とを備える鞍乗り型車両において、
前記カウル(40)は、第1のカウル(42)と、前記第1のカウル(42)に合わさる第2のカウル(45)とを備え、
前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)と前記第2のカウル(45)とが合わさる合わせ部(60)において前記第1のカウル(42)に一体に形成され、
前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)から車幅方向外側に延出する板状の翼本体(70)と、車両側面視で前記翼本体(70)の前縁(70a)から後下方に延出する前壁部(71)と、車両側面視で前記翼本体(70)の後縁(70b)から前下方に延出する後壁部(72)とを備え、
前記第2のカウル(45)から車幅方向外側に延出する板状の補強部材(65)が設けられ、
前記補強部材(65)は、前記翼部(61)に下方から合わさって前記翼部(61)に接続され、
前記補強部材(65)の前縁(65b)は前記前壁部(71)に後方から係合し、前記補強部材(65)の後縁(65c)は前記後壁部(72)に前方から係合することを特徴とす
る鞍乗り型車両。
【請求項7】
車両側面視で、前記翼部(61)と前記補強部材(65)とによって翼断面部(75)が形成され、
前記翼断面部(75)において、前記翼本体(70)は平面状であり、前記補強部材(65)は下方に凸に湾曲する曲面状であることを特徴とする請求項
5又は6記載の鞍乗り型車両。
【請求項8】
前記補強部材(65)は、前記第2のカウル(45)とは別体で設けられ、前記第2のカウル(45)に取り付けられることを特徴とする請求項
4から7のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【請求項9】
前記翼部(61)は、車幅方向外側の端部(70d)に、下方に延出する側壁部(74)を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体を覆うカウルに、車幅方向外側に延出する翼部を備え、走行時に翼部によってダウンフォースを発生させる鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、翼部は、上下に延びる一枚のカウルの上下の中間部に配置され、ボルトでカウルに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、翼部は、外側に露出して鞍乗り型車両の外観性に影響する部材であるが、上記従来の鞍乗り型車両では、翼部がカウルにボルトで固定されるため、翼部とカウルとの一体感を得ることが難しい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両において、翼部とカウルとの一体感を出して、鞍乗り型車両の外観性を向上できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、車体を覆うカウル(40)と、前記カウル(40)から車幅方向外側に延出する翼部(61)とを備える鞍乗り型車両において、前記カウル(40)は、第1のカウル(42)と、前記第1のカウル(42)に合わさる第2のカウル(45)とを備え、前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)と前記第2のカウル(45)とが合わさる合わせ部(60)において前記第1のカウル(42)に一体に形成され、前記合わせ部(60)では、前記第1のカウル(42)の下縁部(42a)と前記第2のカウル(45)の上縁部(45b)とが合わさり、前記合わせ部(60)は、車両側面視で車両前後方向に延び、前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)の前記下縁部(42a)から車幅方向外側に延出することを特徴とする。
【0006】
また、上述の構成において、前記合わせ部(60)は、車両側面視で、前記合わせ部(60)の前端(60a)よりも後端(60b)が上方に位置するように傾斜して設けられ、前記翼部(61)は、車両側面視で、前記合わせ部(60)に沿うように後上がりに傾斜していても良い。
【0007】
さらに、上述の構成において、前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)から車幅方向外側に延出する板状の翼本体(70)と、車両側面視で前記翼本体(70)の前縁(70a)から後下方に延出する前壁部(71)と、車両側面視で前記翼本体(70)の後縁(70b)から前下方に延出する後壁部(72)とを備えても良い。
また、上述の構成において、前記第2のカウル(45)から車幅方向外側に延出する補強部材(65)が設けられ、前記補強部材(65)は、前記合わせ部(60)において前記翼部(61)に接続されても良い。
【0008】
また、上述の構成において、前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)から車幅方向外側に延出する板状の翼本体(70)と、車両側面視で前記翼本体(70)の前縁(70a)から後下方に延出する前壁部(71)と、車両側面視で前記翼本体(70)の後縁(70b)から前下方に延出する後壁部(72)とを備え、前記第2のカウル(45)から車幅方向外側に延出する板状の補強部材(65)が設けられ、前記補強部材(65)は、前記翼部(61)に下方から合わさって前記翼部(61)に接続され、前記補強部材(65)の前縁(65b)は前記前壁部(71)に後方から係合し、前記補強部材(65)の後縁(65c)は前記後壁部(72)に前方から係合しても良い。
また、車体を覆うカウル(40)と、前記カウル(40)から車幅方向外側に延出する翼部(61)とを備える鞍乗り型車両において、前記カウル(40)は、第1のカウル(42)と、前記第1のカウル(42)に合わさる第2のカウル(45)とを備え、前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)と前記第2のカウル(45)とが合わさる合わせ部(60)において前記第1のカウル(42)に一体に形成され、前記翼部(61)は、前記第1のカウル(42)から車幅方向外側に延出する板状の翼本体(70)と、車両側面視で前記翼本体(70)の前縁(70a)から後下方に延出する前壁部(71)と、車両側面視で前記翼本体(70)の後縁(70b)から前下方に延出する後壁部(72)とを備え、前記第2のカウル(45)から車幅方向外側に延出する板状の補強部材(65)が設けられ、前記補強部材(65)は、前記翼部(61)に下方から合わさって前記翼部(61)に接続され、前記補強部材(65)の前縁(65b)は前記前壁部(71)に後方から係合し、前記補強部材(65)の後縁(65c)は前記後壁部(72)に前方から係合することを特徴とする。
また、上述の構成において、車両側面視で、前記翼部(61)と前記補強部材(65)とによって翼断面部(75)が形成され、前記翼断面部(75)において、前記翼本体(70)は平面状であり、前記補強部材(65)は下方に凸に湾曲する曲面状であっても良い。
【0009】
また、上述の構成において、前記補強部材(65)は、前記第2のカウル(45)とは別体で設けられ、前記第2のカウル(45)に取り付けられても良い。
また、上述の構成において、前記翼部(61)は、車幅方向外側の端部(70d)に、下方に延出する側壁部(74)を備えても良い。
【発明の効果】
【0010】
鞍乗り型車両は、車体を覆うカウルと、カウルから車幅方向外側に延出する翼部とを備え、カウルは、第1のカウルと、第1のカウルに合わさる第2のカウルとを備え、翼部は、第1のカウルと第2のカウルとが合わさる合わせ部において第1のカウルに一体に形成されている。
この構成によれば、第1のカウルと第2のカウルとが合わさる合わせ部において第1のカウルに一体に翼部が設けられるため、カウルと翼部との一体感を出すことができるとともに、翼部を第1のカウルと第2のカウルとの合わせ部の外観上のアクセントにできる。このため、鞍乗り型車両の外観性を向上できる。
【0011】
また、上述の構成において、合わせ部では、第1のカウルの下縁部と第2のカウルの上縁部とが合わさり、合わせ部は、車両側面視で車両前後方向に延び、翼部は、第1のカウルの下縁部から車幅方向外側に延出しても良い。
この構成によれば、翼部を合わせ部に沿うように車両前後方向に延ばすことができ、翼部によって効果的にダウンフォースを発生させることができる。
また、上述の構成において、合わせ部は、車両側面視で、合わせ部の前端よりも後端が上方に位置するように傾斜して設けられ、翼部は、車両側面視で、合わせ部に沿うように後上がりに傾斜していても良い。
この構成によれば、後上がりに傾斜する翼部によって効果的にダウンフォースを発生させることができる。
【0012】
さらに、上述の構成において、翼部は、第1のカウルから車幅方向外側に延出する板状の翼本体と、車両側面視で翼本体の前縁から後下方に延出する前壁部と、車両側面視で翼本体の後縁から前下方に延出する後壁部とを備えても良い。
この構成によれば、前壁部及び後壁部によって翼部の剛性を向上できる。
また、上述の構成において、第2のカウルから車幅方向外側に延出する補強部材が設けられ、補強部材は、合わせ部において翼部に接続されても良い。
この構成によれば、第2のカウルに設けられる補強部材によって翼部の剛性を向上できる。
【0013】
また、上述の構成において、翼部は、第1のカウルから車幅方向外側に延出する板状の翼本体と、車両側面視で翼本体の前縁から後下方に延出する前壁部と、車両側面視で翼本体の後縁から前下方に延出する後壁部とを備え、第2のカウルから車幅方向外側に延出する板状の補強部材が設けられ、補強部材は、翼部に下方から合わさって翼部に接続され、補強部材の前縁は前壁部に後方から係合し、補強部材の後縁は後壁部に前方から係合しても良い。
この構成によれば、前壁部、後壁部、及び補強部材によって翼部の剛性を向上できる。また、板状の補強部材は、翼部に下方から合わさるとともに、前壁部に後方から係合し、後壁部に前方から係合するため、外側に目立ち難い。このため、カウルと翼部との一体感を出すことができ、外観性が良い。
また、上述の構成において、車両側面視で、翼部と補強部材とによって翼断面部が形成され、翼断面部において、翼本体は平面状であり、補強部材は下方に凸に湾曲する曲面状であっても良い。
この構成によれば、翼部と補強部材とによって翼断面部が形成されるため、効果的にダウンフォースを発生させることができる。
【0014】
また、上述の構成において、補強部材は、第2のカウルとは別体で設けられ、第2のカウルに取り付けられても良い。
この構成によれば、第2のカウルの製造が容易になるとともに、組み付けの自由度が高くなり、組み付け性が良い。
また、上述の構成において、翼部は、車幅方向外側の端部に、下方に延出する側壁部を備えても良い。
この構成によれば、翼部の車幅方向外側の端部の側壁部によって走行風を整流でき、空気抵抗を低減できる。また、翼部に下方から合わさる補強部材が設けられる場合には、補強部材の露出を側壁部によって低減でき、外観性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【
図4】自動二輪車においてカウルの前部を示す左側面図である。
【
図6】上側サイドカウル及び補強部材を取り外した状態における自動二輪車の前部の左側面図である。
【
図7】自動二輪車の前部を前上方側から見た斜視図である。
【
図11】ヘッドライトカウル及びヘッドライトの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車1の左側面図である。
自動二輪車1は、車体フレーム10にパワーユニットとしてのエンジン11が支持され、前輪2を操舵可能に支持する操舵系12が車体フレーム10の前端に操舵可能に支持され、後輪3を支持するスイングアーム13が車体フレーム10の後部に設けられる車両である。
自動二輪車1は、乗員がシート14に跨るようにして着座する鞍乗り型車両であり、シート14は、車体フレーム10の後部の上方に設けられる。なお、上記パワーユニットは、電動モーターであっても良い。
【0018】
車体フレーム10は、車幅の中央に位置する単一のヘッドパイプ15と、左右一対のメインフレーム16と、左右一対のピボットフレーム18と、左右一対のシートフレーム19とを備える。
ヘッドパイプ15は、車体フレーム10の前端に設けられ、操舵系12を支持する。
メインフレーム16は、ヘッドパイプ15から後下がりに後方へ延びる。
ピボットフレーム18は、メインフレーム16の後端部から下方に延びる。
シートフレーム19は、メインフレーム16の後端部から後方へ延びる。
【0019】
操舵系12は、ヘッドパイプ15に回動自在に軸支されるステアリングシャフト(不図示)と、左右一対のフロントフォーク21と、上記ステアリングシャフトの上端に固定されて左右のフロントフォーク21の上部を連結するトップブリッジ22(
図7)と、上記ステアリングシャフトの下端に固定されて左右のフロントフォーク21を連結するボトムブリッジ23(
図10)と、フロントフォーク21の上部に固定される操向ハンドル24とを備える。
前輪2は、左右のフロントフォーク21の下端部間に渡される前輪車軸2aに軸支される。
【0020】
スイングアーム13の前端部を支持するピボット軸26は、左右のピボットフレーム18を車幅方向に繋ぐ軸である。
スイングアーム13は、ピボット軸26を中心に上下に揺動自在である。後輪3は、スイングアーム13の後端部に設けられる後輪車軸3aに支持される。
【0021】
エンジン11は、メインフレーム16の下方でピボットフレーム18の前方に配置され、車体フレーム10に支持される。
エンジン11は、車幅方向に延びるクランク軸(不図示)を収容するクランクケース30と、クランクケース30の前部の上部から上方に延びるシリンダー部31とを備える。
【0022】
クランクケース30の後部には、エンジン11の出力軸(不図示)が設けられる。エンジン11の回転は、上記出力軸と後輪3との間に掛け渡される動力伝達部材32を介して後輪3に伝達される。
【0023】
エンジン11の排気管33は、シリンダー部31の前面の排気ポートから下方に引き出され、クランクケース30の下方を通って後方に延びる。
燃料タンク35は、メインフレーム16の後部の上方に配置され、車両前後方向では、シート14の前方且つヘッドパイプ15の後方に配置される。
エンジン11の吸気系のエアクリーナーボックス36は、エンジン11の上方で左右のメインフレーム16の間に配置される。エアクリーナーボックス36は、車両前後方向では、ヘッドパイプ15と燃料タンク35との間に配置される。エアクリーナーボックス36に供給する吸気を取り込む吸気ダクト37は、ヘッドパイプ15の前方に配置される。
エンジン11の冷却水を放熱させるラジエーター38は、前輪2の後方且つシリンダー部31の前方に配置される。
【0024】
自動二輪車1は、車体フレーム10、エンジン11、及び燃料タンク35等の車体を覆うカウル40を備える。
カウル40は、操舵系12の上部及びヘッドパイプ15を前方側から覆うフロントカウル41と、ヘッドパイプ15の前方側の部分を車幅方向外側から覆う左右一対の上側サイドカウル42(第1のカウル)と、左右の上側サイドカウル42の間でフロントカウル41の下方に設けられるヘッドライトカウル43と、左右の上側サイドカウル42の間を下方から覆う下面カウル44(
図3)とを備える。
また、カウル40は、エンジン11等を車幅方向外側から覆う左右一対のサイドカウル45(第2のカウル)と、上側サイドカウル42及びサイドカウル45に対し車幅方向内側に配置される左右一対のインナーカウル46と、インナーカウル46の後方に配置される左右一対のサブカウル47とを備える。
【0025】
また、カウル40は、エアクリーナーボックス36を上方側から覆う前側タンクカバー48と、燃料タンク35を上方側から覆う後側タンクカバー49と、エンジン11の下部を外側方から覆うアンダーカウル50とを備える。
ヘッドライト51は、ヘッドパイプ15の前方に配置され、フロントカウル41及びヘッドライトカウル43によって前方から覆われる。
【0026】
図2は、カウル40の左側面図である。
図3は、カウル40を上方から見た平面図である。
図3では、前側タンクカバー48及び後側タンクカバー49は不図示である。
図1~
図3を参照し、フロントカウル41は、車両側面視で後上がりに傾斜して配置される。
ヘッドライトカウル43は、フロントカウル41の下縁部41aに接続され、フロントカウル41の下方に位置する。
上側サイドカウル42は、ヘッドライトカウル43の車幅方向外側の端部及びフロントカウル41の下縁部41aに接続され、フロントカウル41に対し後方に延びる。上側サイドカウル42は、ヘッドライト51を車幅方向外側から覆う。
下面カウル44は、ヘッドライト51を下方から覆う。
【0027】
サイドカウル45は、上側サイドカウル42の下縁部42aに接続され、上側サイドカウル42に対し後方及び下方に延びる。サイドカウル45は、メインフレーム16、シリンダー部31、及びラジエーター38等を車幅方向外側から覆う。サイドカウル45は、ラジエーター38に対し後方の位置に、サイドカウル45を車幅方向に貫通する開口45aを備える。
【0028】
インナーカウル46は、上側サイドカウル42の上縁部42bから車幅方向内側に延びる上面部46aと、上面部46aの車幅方向内側の縁部から下方に延びる内側面部46bとを備える。内側面部46bは、上側サイドカウル42を車幅方向内側から覆う。
サブカウル47は、インナーカウル46の後縁部46cからメインフレーム16に沿って後下方に延び、メインフレーム16を車幅方向外側から覆う。サブカウル47の下縁部は、サイドカウル45の上縁部45bに接続される。
【0029】
後側タンクカバー49の前縁部は、前側タンクカバー48の後縁部48aに接続される。
前側タンクカバー48の左右の下縁部、及び後側タンクカバー49の左右の下縁部は、サブカウル47の上縁部47aに接続される。
アンダーカウル50は、前部の上縁部がサイドカウル45の下縁部45cに接続される。
【0030】
図1を参照し、自動二輪車1の後部には、車体においてシート14の下方の部分を覆う後部サイドカバー52と、シート14の後方側で車体を覆うリアカバー53とが設けられる。
前輪2を上方から覆うフロントフェンダー54は、フロントカウル41の下方でフロントフォーク21に取り付けられる。
シート14の乗員が足を置く左右一対のステップ55は、ピボットフレーム18の後方に配置され、ピボットフレーム18に支持される。
左右一対のウインカー56は、フロントカウル41の左右の側縁部41bの後方の位置から、側縁部41bに対し車幅方向外側に突出する。
【0031】
図4は、自動二輪車1においてカウル40の前部を示す左側面図である。
図5は、自動二輪車1を前方から見た正面図である。
図6は、上側サイドカウル42及び後述の補強部材65を取り外した状態における自動二輪車1の前部の左側面図である。カウル40は、左右略対称に形成されるため、カウル40についてはカウル40の左側の部分を参照して説明する。
図4~
図6を参照し、上側サイドカウル42は、車体の前部を車幅方向外側から覆う板部材であり、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜している。
【0032】
サイドカウル45は、上側サイドカウル42の下方に配置される。サイドカウル45は、車体の前部を車幅方向外側から覆う板部材であり、サイドカウル45の前部は、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜している。
サイドカウル45の上部には、車両側面視で車両前後方向に延びる稜線45dが設けられる。稜線45dは、車両側面視では、後上がりの姿勢で車両前後方向に延びる。
サイドカウル45において稜線45dの上方の部分は、稜線45dから上方に向かうに従って車幅方向内側に位置するように傾斜している。
サイドカウル45において稜線45dの下方の部分は、稜線45dから下方に向かうに従って車幅方向内側に位置するように傾斜している。
【0033】
カウル40は、上側サイドカウル42とサイドカウル45とが合わさる合わせ部60を備える。
合わせ部60では、上側サイドカウル42の下縁部42aとサイドカウル45の上縁部45bとが合わさり、下縁部42aと上縁部45bとが接続される。
上側サイドカウル42の下縁部42a及びサイドカウル45の上縁部45bは、車両側面視で後上がりに傾斜する。上縁部45bの前部は、稜線45dの上方に位置するとともに、稜線45dよりも大きな傾斜で後上がりに傾斜する。
合わせ部60は、車両側面視で、合わせ部60の前端60aよりも後端60bが上方に位置するように、後上がりの姿勢で車両前後方向に延びる。
【0034】
カウル40は、上側サイドカウル42の外側面42cから車幅方向外側に延出する翼部61を備える。翼部61は、合わせ部60において、上側サイドカウル42の下縁部42aから車幅方向外側に突出する。
【0035】
図6を参照し、合わせ部60においてサイドカウル45の上縁部45bには、サイドカウル45が車幅方向内側に凹む段部62が設けられる。段部62は、サイドカウル45の外側面部の上縁から車幅方向内側に延びる壁部62aと、壁部62aの車幅方向内側の端部から上方に延びる縦壁部62bとを備える。
縦壁部62bの前部及び後部には、縦壁部62bを車幅方向に貫通する固定孔62cがそれぞれ設けられる。また、縦壁部62bにおいて前後の固定孔62cの間の位置には、係合部62dが設けられる。
【0036】
図7は、自動二輪車1の前部を前上方側から見た斜視図である。
合わせ部60においてサイドカウル45の上縁部45bには、板状の補強部材(翼部底壁)65が取り付けられる。補強部材65は、サイドカウル45から車幅方向外側に延出する。補強部材65は、サイドカウル45とは別体で設けられる部品であり、サイドカウル45の段部62に取り付けられる。
補強部材65は、板厚方向を上下方向に指向させて配置される板状部65aを備える。
板状部65aは、上方から見ると、車幅方向内側から車幅方向外側に向かうに従って先細るように形成された略矩形の板である。
補強部材65は、車両側面視では、上縁部45bに沿って後上がりの姿勢で車両前後方向に延びる。
【0037】
補強部材65は、板状部65aの前縁から上方に延びる前側リブ65bと、板状部65aの後縁から上方に延びる後側リブ65cと、板状部65aの車幅方向の内縁から上方に延びる内側リブ65dと、板状部65aの車幅方向の外縁から上方に延びる外側リブ65eとを備える。
前側リブ65bは、補強部材65の前縁を構成し、後側リブ65cは、補強部材65の後縁を構成する。
内側リブ65dは、補強部材65の車幅方向の内縁を構成し、外側リブ65eは、補強部材65の車幅方向の外縁を構成する。
【0038】
上面視において、前側リブ65bは、車幅方向外側に向かうに従って後方に位置するように延び、後側リブ65cは、車幅方向外側に向かうに従って前方に位置するように延びる。
車両前後方向において、外側リブ65eは、内側リブ65dよりも短い。
板状部65aの上面には、内側リブ65dから車幅方向外側に延びる補強リブ65fが前後に複数設けられる。
【0039】
補強部材65は、段部62の壁部62aに板状部65aの端部が上方から重なるとともに、内側リブ65dが段部62の縦壁部62bに車幅方向外側から当接するようにして段部62に取り付けられる。
図6及び
図7を参照し、縦壁部62bの一対の固定孔62cには、軸状の固定具66が車幅方向内側から挿通される。補強部材65は、固定孔62cに挿通された固定具66が内側リブ65dに車幅方向内側から挿通されることで、段部62に固定される。
また、補強部材65は、段部62の係合部62d(
図6)に係合する。
【0040】
図8は、
図5のVIII-VIII断面図である。
図9は、
図4のIX-IX断面図である。
図10は、
図4のX-X断面図である。
図3~
図5、及び
図8~
図10を参照し、翼部61は、合わせ部60において、上側サイドカウル42の下縁部42aから車幅方向外側に延出する板状部である。
上側サイドカウル42は、樹脂を型によって成形した樹脂成形品であり、翼部61は、樹脂成形の際に、上側サイドカウル42の外側面42cと一体に形成される。すなわち、翼部61は、上側サイドカウル42に一体に形成される。
【0041】
翼部61は、車両正面視では、上側サイドカウル42の外側面42cから車幅方向外側に向かうに従って下方に位置するように傾斜する。
また、翼部61は、車両側面視では、後方に向かうに従って位置が高くなるように後上がりの姿勢で配置される。翼部61は、車両側面視で、後上がりの合わせ部60に沿うように後上がりの姿勢で配置される。
図8及び
図10を参照し、翼部61は、サイドカウル45の稜線45dに対し車幅方向内側且つ上方の位置から車幅方向外側に延びる。
【0042】
翼部61は、上側サイドカウル42の外側面42cから車幅方向外側に延出する板状の翼本体70を備える。翼部61は、翼本体70の板厚方向が上下方向を指向する向きで配置される。翼本体70は、上方から見ると、車幅方向内側から車幅方向外側に向かうに従って先細るように形成された略矩形の板である。
上面視において、翼本体70の前縁70aは、車幅方向外側に向かうに従って後方に位置するように延び、翼本体70の後縁70bは、車幅方向外側に向かうに従って前方に位置するように延びる。
翼本体70の車幅方向の内縁70cは、外側面42cに接続される接続部であり、車両前後方向に延びる。
翼本体70の車幅方向の外縁70dは、車両前後方向に延びる。外縁70dは、翼部61の車幅方向外側の端部である。外縁70dは、上面視では、後方に向かうに従って車幅方向外側に位置するように傾斜する。外縁70dは、内縁70cよりも車両前後方向に短く、内縁70cよりも下方に位置する。
【0043】
翼部61は、車両側面視で、翼本体70の前縁70aから後下方に延出する前壁部71と、後縁70bから前下方に延出する後壁部72とを備える。後壁部72は、前壁部71よりも上方に位置する。
【0044】
また、翼部61は、翼本体70の外縁70dから上方に延出する整流壁73と、外縁70dから下方に延出する側壁部74とを備える。
整流壁73は、外縁70dに沿って車両前後方向に延びる。整流壁73は、後方に向かうに従って上下の長さが大きくなる。
側壁部74は、外縁70dに沿って車両前後方向に延びる。側壁部74は、後方に向かうに従って上下の長さが大きくなる。
前壁部71、後壁部72、整流壁73、及び側壁部74は、翼本体70の補強リブとして機能する。このため、翼部61の剛性を向上できる。
【0045】
図7~
図10を参照し、補強部材65は、合わせ部60において上側サイドカウル42の翼部61に下方から合わさって翼部61に接続される。
詳細には、補強部材65は、翼部61の翼本体70の下面に下方から合わさり、翼本体70を下方から覆う。上面視において、補強部材65の外形は、翼部61の外形よりもサイズが小さく形成されており、上面視では、補強部材65は、翼部61が補強部材65に上方から重なることで翼部61の下方に隠れる。
【0046】
補強部材65は、翼本体70の下面側において翼部61の前壁部71と後壁部72との間のスペースに配置される。
補強部材65の前縁である前側リブ65bは、翼部61の前壁部71に後方から係合する。
補強部材65の後縁である後側リブ65cは、翼部61の後壁部72に後方から係合する。
補強部材65の車幅方向の外縁である外側リブ65eは、翼部61の側壁部74の車幅方向内側で側壁部74に近接して配置される。
このように、補強部材65が翼部61に接続されることで、翼部61の剛性が向上する。
【0047】
図6、
図7、及び
図9を参照し、上側サイドカウル42は、車幅方向の内側面から車幅方向内側に突出する取付部68(
図9)を、前後に一対備える。取付部68は、固定孔62c及び補強部材65の内側リブ65dに挿通される筒状部68aを備える。
一対の取付部68は、上側サイドカウル42の一対の固定孔62cに対応する位置に設けられる。ここでは、後側の取付部68は不図示であるが、前後の取付部68は同様に構成される。取付部68は、翼本体70の内縁70cの近傍に配置される。
【0048】
上側サイドカウル42は、合わせ部60において、サイドカウル45の固定孔62cに挿通される固定具66が取付部68の筒状部68aに締結されることで、サイドカウル45に固定される。
補強部材65は、固定具66の締結力によって、内側リブ65dがサイドカウル45の縦壁部62bと上側サイドカウル42の取付部68との間に挟持されることで、サイドカウル45に固定される。すなわち、補強部材65は、固定具66によって、サイドカウル45に対し上側サイドカウル42と共締めされる。
【0049】
合わせ部60では、上側サイドカウル42は、固定具66によってサイドカウル45の上縁部45bの段部62に接続されるとともに、翼部61に下方から合わさる補強部材65を介しサイドカウル45に接続される。
翼部61は、合わせ部60において、車両側面視で、サイドカウル45の上縁部45bに車幅方向外側から重なる。上縁部45bの一部は、翼部61によって車幅方向外側から覆われて隠れる。
図4に示すように、車両側面視で、翼部61の後方に位置する合わせ部60の後部は、翼部61に連続して後端60bまで後上方に延びる。
【0050】
図8に示すように、車両側面視では、翼部61と補強部材65とによって翼断面部75が形成される。翼断面部75は、車両前後方向に細長く、且つ、後上がりに傾斜する。翼断面部75は、翼部61の車幅方向内側の端部から車幅方向外側の端部まで形成される。
翼断面部75では、翼本体70は、平面状の平面部75aを構成する。平面部75aは、車両側面視で、後上がりの姿勢で車両前後方向に延びる。
また、翼断面部75では、翼部61の前壁部71、補強部材65、及び翼部61の後壁部72によって、下方に凸に湾曲する曲面状の曲面部75bが構成される。
自動二輪車1の走行風は、翼本体70の平面部75a及び曲面部75bに沿って後方に流れる。翼断面部75は、上面が平面状であり、下面が下方に凸に湾曲する曲面状であるため、自動二輪車1を下方に押し付けるダウンフォースを効率良く発生させることができる。
【0051】
翼部61は、上側サイドカウル42とサイドカウル45とが合わさる合わせ部60において上側サイドカウル42に一体に設けられ、合わせ部60の後部は、車両側面視で、翼部61に連続して後方に延びる。これにより、上側サイドカウル42に対する翼部61の分割部が形成されないため、上側サイドカウル42と翼部61との一体感を出すことができる。また、車両側面視で、翼部61と合わせ部60とが前後に連続するように見えるため、カウル40の外観性が良い。
【0052】
補強部材65の前縁である前側リブ65bの上部は、翼部61の前壁部71によって前方から覆われる。これにより、翼部61の前壁部71によって補強部材65の一部を隠すことができ、補強部材65によって翼部61を補強しつつ、補強部材65が目立つことを抑制できる。また、翼部61の前壁部71は、翼断面部75の曲面部75bの前端部として機能するため、ダウンフォースを効率良く発生させることができる。
補強部材65の後縁である後側リブ65cの上部は、翼部61の後壁部72によって後方から覆われる。これにより、翼部61の後壁部72によって補強部材65の一部を隠すことができ、補強部材65によって翼部61を補強しつつ、補強部材65が目立つことを抑制できる。また、翼部61の後壁部72は、翼断面部75の曲面部75bの後端部として機能するため、ダウンフォースを効率良く発生させることができる。
また、補強部材65は、翼部61の側壁部74によって車幅方向外側から覆われ、側壁部74によって隠される。このため、補強部材65によって翼部61を補強しつつ、補強部材65が目立つことを抑制できる。
【0053】
翼部61に沿って後方に流れる走行風の一部は、整流壁73及び側壁部74によって整流される。これにより、翼部61の周辺を流れる走行風の乱れを低減でき、走行風をスムーズに流すことができる。このため、翼部61によって効率良くダウンフォースを発生させることができる。
図1を参照し、翼部61は、サイドカウル45の開口45aの前上方に位置する。このため、開口45aから外側に流れるラジエーター38の排風が翼部61に流れることを防止できる。
【0054】
図11は、ヘッドライトカウル43及びヘッドライト51の正面図である。
図4~
図7、及び
図11を参照し、ヘッドライト51は、左右一対で設けられ、左右のヘッドライト51は、互いに車幅方向に離間して配置される。
各ヘッドライト51は、光源80と、光源80を収納するケース状のハウジング81と、ハウジング81に取り付けられて光源80を前方から覆うレンズ82とを備える。
【0055】
ヘッドライトカウル43は、左右のヘッドライト51を前方から覆う左右一対のカバー部90と、左右のカバー部90の間に設けられて左右のカバー部90を車幅方向に接続するダクト部91とを一体に備える。
ダクト部91は、車幅の中央を車両前後方向に延びる筒状部である。ダクト部91は、左右のヘッドライト51の間を車両前後方向に延び、ダクト部91の後端部は吸気ダクト37(
図4)に接続される。
【0056】
ダクト部91の前端面は、吸気口91aである。吸気口91aは、左右のヘッドライト51の間から前方に開口する。吸気口91aの上部は、フロントカウル41の下端部における左右の中央部に形成された切り欠き部41cから前方に開口する。吸気口91aから取り入れられた吸気は、ダクト部91から吸気ダクト37に流れる。
【0057】
左右のカバー部90は、ダクト部91の前端部の左右の側部からそれぞれ車幅方向外側に延出する。左右のカバー部90は、上面視では、ダクト部91から車幅方向外側に向かうに従って後方に位置するように傾斜している。
カバー部90は、ヘッドライト51のレンズ82を前方に露出させる前面開口90aを備える。前面開口90aは車幅方向に細長い長孔である。
【0058】
ヘッドライト51のレンズ82は、前面開口90aから前方に露出する投光面83を備える。ヘッドライト51の光は、投光面83から前方に照射される。投光面83は、前面開口90aに対応して車幅方向に細長く形成される。投光面83は、上面視では、車幅方向外側に向かうに従って後方に位置するように傾斜している。
車両正面視では、投光面83の下縁83a及び上縁83bは、車幅方向外側に向かうに従って上方に位置するように傾斜している。また、車両正面視では、投光面83の車幅方向外側の側縁83cは、下縁83aよりも大きな傾斜で、車幅方向外側に向かうに従って上方に位置するように設けられる。
【0059】
ヘッドライトカウル43の下端部には、前方に突出する顎状部92が設けられる。
顎状部92は、ダクト部91の下端部から各カバー部90の車幅方向外側の端部までレール状に連続して設けられる。すなわち、顎状部92は、ヘッドライトカウル43における車幅方向の略全長に亘って設けられる。
顎状部92は、車両正面視では、車幅の中央から車幅方向外側に向かうに従って上方に位置するように傾斜している。また、顎状部92は、上面視では、車幅の中央から車幅方向外側に向かうに従って後方に位置するように傾斜している。
詳細には、顎状部92は、ダクト部91の下端部から投光面83の下方を投光面83の下縁83aに沿って車幅方向外側に延びる正面部92aと、正面部92aの外端から投光面83の側縁83cに沿って車幅方向外側に延びる側部92bとを備える。
車両正面視では、顎状部92の側部92bは、正面部92aよりも大きな傾斜で上方に延びる。
【0060】
ヘッドライトカウル43に当たる走行風の一部は、顎状部92に沿って車幅方向外側に流れる。このため、走行風を投光面83に効率良く送ることができる。
また、顎状部92は、側部92bが正面部92aよりも大きな傾斜で上方に延びるため、顎状部92に沿って流れる走行風を、側部92bで上方側に向けて流すことができる。
【0061】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、自動二輪車1は、車体を覆うカウル40と、カウル40から車幅方向外側に延出する翼部61とを備え、カウル40は、第1のカウルとしての上側サイドカウル42と、上側サイドカウル42に合わさる第2のカウルとしてのサイドカウル45とを備え、翼部61は、上側サイドカウル42とサイドカウル45とが合わさる合わせ部60において上側サイドカウル42に一体に形成されている。
この構成によれば、上側サイドカウル42とサイドカウル45とが合わさる合わせ部60において上側サイドカウル42に一体に翼部61が設けられるため、カウル40と翼部61との一体感を出すことができるとともに、翼部61を上側サイドカウル42とサイドカウル45との合わせ部60の外観上のアクセントにできる。このため、自動二輪車1の外観性を向上できる。
【0062】
また、合わせ部60では、上側サイドカウル42の下縁部42aとサイドカウル45の上縁部45bとが合わさり、合わせ部60は、車両側面視で車両前後方向に延び、翼部61は、上側サイドカウル42の下縁部42aから車幅方向外側に延出する。
この構成によれば、翼部61を合わせ部60に沿うように車両前後方向に延ばすことができ、翼部61によって効果的にダウンフォースを発生させることができる。
また、合わせ部60は、車両側面視で、合わせ部60の前端60aよりも後端60bが上方に位置するように傾斜して設けられ、翼部61は、車両側面視で、合わせ部60に沿うように後上がりに傾斜している。
この構成によれば、後上がりに傾斜する翼部61によって効果的にダウンフォースを発生させることができる。
【0063】
さらに、翼部61は、上側サイドカウル42から車幅方向外側に延出する板状の翼本体70と、車両側面視で翼本体70の前縁70aから後下方に延出する前壁部71と、車両側面視で翼本体70の後縁70bから前下方に延出する後壁部72とを備える。
この構成によれば、前壁部71及び後壁部72によって翼部61の剛性を向上できる。
また、サイドカウル45から車幅方向外側に延出する補強部材65が設けられ、補強部材65は、合わせ部60において翼部61に接続される。
この構成によれば、サイドカウル45に設けられる補強部材65によって翼部61の剛性を向上できる。
【0064】
また、翼部61は、上側サイドカウル42から車幅方向外側に延出する板状の翼本体70と、車両側面視で翼本体70の前縁70aから後下方に延出する前壁部71と、車両側面視で翼本体70の後縁70bから前下方に延出する後壁部72とを備え、サイドカウル45から車幅方向外側に延出する板状の補強部材65が設けられ、補強部材65は、翼部61に下方から合わさって翼部61に接続され、補強部材65の前縁である前側リブ65bは前壁部71に後方から係合し、補強部材65の後縁である後側リブ65cは後壁部72に前方から係合する。
この構成によれば、前壁部71、後壁部72、及び補強部材65によって翼部61の剛性を向上できる。また、板状の補強部材65は、翼部61に下方から合わさるとともに、前壁部71に後方から係合し、後壁部72に前方から係合するため、外側に目立ち難い。このため、カウル40と翼部61との一体感を出すことができ、外観性が良い。
また、車両側面視で、翼部61と補強部材65とによって翼断面部75が形成され、翼断面部75において、翼本体70は平面状であり、補強部材65は下方に凸に湾曲する曲面状である。
この構成によれば、翼部61と補強部材65とによって翼断面部75が形成されるため、効果的にダウンフォースを発生させることができる。
【0065】
また、補強部材65は、サイドカウル45とは別体で設けられ、サイドカウル45に取り付けられる。
この構成によれば、サイドカウル45の製造が容易になるとともに、組み付けの自由度が高くなり、組み付け性が良い。
また、翼部61は、車幅方向外側の端部である外縁70dに、下方に延出する側壁部74を備えても良い。
この構成によれば、翼部61の外縁70dの側壁部74によって走行風を整流でき、空気抵抗を低減できる。また、外側方への補強部材65の露出を側壁部74によって低減でき、外観性が良い。
【0066】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記実施の形態では、補強部材65は、サイドカウル45とは別体で設けられ、サイドカウル45に取り付けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、補強部材65は、樹脂成形によってサイドカウル45に一体に形成されていても良い。
また、上記実施の形態では、自動二輪車1を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備える3輪の車両及び4輪以上を備える鞍乗り型車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
40 カウル
42 上側サイドカウル(第1のカウル)
42a 下縁部
45 サイドカウル(第2のカウル)
45b 上縁部
60 合わせ部
60a 前端
60b 後端
61 翼部
65 補強部材
65b 前側リブ(補強部材の前縁)
65c 後側リブ(補強部材の後縁)
70 翼本体
70a 前縁
70b 後縁
70d 外縁(車幅方向外側の端部)
71 前壁部
72 後壁部
74 側壁部
75 翼断面部