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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 47/02 20060101AFI20221212BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
F25B47/02 530C
F25B47/02 550H
F25B47/02 550K
F25B47/02 570C
F25B47/02 570Z
F25B1/00 101F
F25B1/00 101Z
F25B1/00 385Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020173042
(22)【出願日】2020-10-14
(62)【分割の表示】P 2019504282の分割
【原出願日】2017-03-10
(65)【公開番号】P2021012015
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2020-10-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梁池 悟
(72)【発明者】
【氏名】南迫 博和
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】平城 俊雅
【審判官】菅家 裕輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-68611(JP,A)
【文献】実開平6-73667(JP,U)
【文献】特開2005-283041(JP,A)
【文献】特開2002-122361(JP,A)
【文献】特開2011-174662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転モードとして暖房モードおよび除霜モードを含み、前記暖房モードにおいては冷媒が圧縮機、流路切替装置、第1熱交換器、膨張弁、および第2熱交換器の順に循環し、前記除霜モードにおいては前記冷媒が前記圧縮機、前記流路切替装置、前記第2熱交換器、前記膨張弁、および前記第1熱交換器の順に循環する冷凍サイクル装置であって、
前記圧縮機の吐出口と前記圧縮機の吸入口との間において前記圧縮機と並列に接続された流調弁と、
前記流調弁の開度を制御するとともに、前記運転モードを切り替えるように構成された制御装置とを備え、
前記運転モードは、前記流調弁が開かれている均圧モードをさらに含み、
前記均圧モードにおいて前記流調弁の流路抵抗は、前記流路切替装置の流路抵抗よりも大きく、
前記制御装置は、前記暖房モード、前記均圧モード、および前記除霜モードの順に前記運転モードを切り替えるように構成され、
前記流路切替装置は、前記冷凍サイクル装置の接続状態を第1接続状態と第2接続状態との間で切り替えるように構成され、
前記制御装置は、
前記暖房モードにおいては、前記接続状態を前記第1接続状態に設定し、前記圧縮機を稼働させ、前記膨張弁を開放し、前記流調弁を閉止し、
前記均圧モードにおいては、前記接続状態を前記第1接続状態に維持し、前記圧縮機を停止し、前記膨張弁を閉止し、前記開度を増加させ、
前記除霜モードにおいては、前記接続状態を前記第2接続状態に設定し、前記圧縮機を稼働させ、前記膨張弁を開放し、前記流調弁を閉止するように構成され、
前記制御装置は、前記除霜モードにおいて、前記接続状態の切替後であって、前記圧縮機の起動前に前記流調弁を閉止するように構成されている、冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記運転モードは、前記第1熱交換器内の前記冷媒の量を増加させるポンプダウンモードをさらに含み、
前記制御装置は、前記暖房モード、前記ポンプダウンモード、前記均圧モード、および前記除霜モードの順に前記運転モードを切り替え、
前記ポンプダウンモードにおいては、前記接続状態を前記第1接続状態に維持し、前記圧縮機を稼働させ、前記膨張弁を閉止し、前記流調弁を閉止するように構成されている、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記第1熱交換器と前記膨張弁との間に接続された冷媒貯留部をさらに備える、請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記流調弁に接続される第1流路を移動する前記冷媒の進行方向と直交する前記第1流路の断面における前記冷媒の通過部分の面積は、前記吸入口に接続される第2流路を移動する前記冷媒の進行方向と直交する前記第2流路の断面における前記冷媒の通過部分の面積よりも小さい、請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記均圧モードにおいて、前記流調弁のCv値は、前記流路切替装置のCv値よりも小さい、請求項1~のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒の循環方向を切り替えて、暖房モードにおいて蒸発器として機能していた熱交換器を凝縮器として機能させることにより、当該熱交換器の除霜を行なう冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷媒の循環方向を切り替えて、暖房モードにおいて蒸発器として機能していた熱交換器を凝縮器として機能させることにより、当該熱交換器の除霜を行なう冷凍サイクル装置が知られている。たとえば、特開2011-174662号公報(特許文献1)には、冷媒をレシーバに回収するポンプダウン運転を行なった後、冷媒回路を四方弁により暖房サイクルから冷房サイクルに切替えてデフロスト運転を開始する空気熱源ヒートポンプ給湯・空調装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-174662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除霜モードを開始するため、暖房モードにおける冷媒の循環方向を、四方弁のような流路切替装置によって切り替えると、暖房モードにおいて圧縮機の吐出口に接続されて凝縮器として機能していた第1熱交換器が、圧縮機の吸入口に接続される。一方、暖房モードにおいて圧縮機の吸入口に接続されて蒸発器として機能していた第2熱交換器は、除霜モードにおいて圧縮機の吐出口に接続される。暖房モードにおいては、圧縮機の吐出口(高圧側)に接続されていた第1熱交換器の圧力の方が、圧縮機の吸入口(低圧側)に接続されていた第2熱交換器の圧力よりも高い。除霜モードを開始するため、四方弁によって冷媒の循環方向を切り替えた直後においては、第1熱交換器と第2熱交換器との間で暖房モードにおける差圧が残存している。当該差圧が残存している状態で除霜モードを開始して圧縮機を稼働させると、第1熱交換器から第2熱交換器へ冷媒が大量に移動し得る。
【0005】
第1熱交換器に残存する冷媒量が少なくなると、第1熱交換器の圧力および温度が低下する。第1熱交換器の温度が低下すると、たとえば冷凍サイクル装置における結露、あるいは第1熱交換器において冷媒と熱交換し、暖房端末に熱を搬送する水等の熱媒体の凝固による配管の破損が生じ得る。その結果、冷凍サイクル装置の安定的な運転が困難になり得る。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器における、除霜モード開始時の温度低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る冷凍サイクル装置は、運転モードとして暖房モードおよび除霜モードを含む。暖房モードにおいては冷媒が圧縮機、流路切替装置、第1熱交換器、膨張弁、および第2熱交換器の順に循環する。除霜モードにおいては冷媒が圧縮機、流路切替装置、第2熱交換器、膨張弁、および第1熱交換器の順に循環する。冷凍サイクル装置は、流調弁と、制御装置とを備える。流調弁は、圧縮機の吐出口と圧縮機の吸入口との間において圧縮機と並列に接続されている。制御装置は、流調弁の開度を制御する。制御装置は、運転モードを切り替える。運転モードは、均圧モードをさらに含む。均圧モードおいては、流調弁が開かれている。均圧モードにおいては、流調弁の開度に対応する流調弁の流路抵抗が流路切替装置の流路抵抗よりも大きい。制御装置は、暖房モード、均圧モード、および除霜モードの順に運転モードを切り替える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る冷凍サイクル装置においては、運転モードが暖房モードから除霜モードに切り替わる場合、暖房モード、均圧モード、および除霜モードの順に実行される。均圧モードにおいては、流調弁が開放されているため、高圧側の冷媒が流調弁を介して低圧側に移動する。高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との均圧モードの終了時(除霜モードの開始時)における差圧は、均圧モードの開始時(暖房モードの終了時)における当該差圧よりも小さくなる。また、均圧モードにおける流調弁の開度に対応する流路抵抗は、流路切替装置の流路抵抗よりも大きい。そのため、均圧モードにおいて第1熱交換器から流出する冷媒量を抑制することができる。均圧モードにおいては、第1熱交換器から流出する冷媒量を抑制しながら、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との除霜モードの開始時における差圧を暖房モードの終了時における当該差圧よりも小さくすることができる。また、除霜モードの前に均圧モードを実行して、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との除霜モードの開始時における差圧を暖房モードの終了時の当該差圧よりも小さくすることにより、除霜モードの開始時に第1熱交換器から流出する冷媒量を抑制することができる。そのため、除霜モード開始時における第1熱交換器の温度低下を抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置を安定的に運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の機能構成および暖房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。
図2図1の冷凍サイクル装置の機能構成および除霜モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。
図3】暖房モードにおいて除霜開始条件が成立した場合に、図1の制御装置によって行なわれる処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図4図1の冷凍サイクル装置の機能構成および均圧モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。
図5】均圧モードにおいて図1の制御装置によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。
図6】除霜モードにおいて図1の制御装置によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。
図7図4における圧縮機の吸入口と四方弁とを接続する流路と、開閉弁からの冷媒が通過する流路との接続部分付近の拡大図である。
図8】実施の形態2に係る冷凍サイクル装置の機能構成および除霜モード開始時における冷媒の流れを併せて示す図である。
図9】除霜モードにおいて図8の制御装置によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。
図10】暖房モードにおいて除霜開始条件が成立した場合に、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置の制御装置によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。
図11】実施の形態3に係る冷凍サイクル装置の機能構成およびポンプダウンモードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。
図12】ポンプダウンモードにおいて図11の制御装置によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。
図13】実施の形態3の変形例1に係る冷凍サイクル装置の機能構成およびポンプダウンモードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。
図14】実施の形態3の変形例2に係る冷凍サイクル装置において、除霜開始条件が成立した場合に行なわれる処理の一例を示すフローチャートである。
図15】実施の形態3の変形例2に係る冷凍サイクル装置において、除霜開始条件が成立した場合に行なわれる処理の他の一例を示すフローチャートである。
図16】実施の形態4に係る冷凍サイクル装置の機能構成および均圧モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。
図17】実施の形態4の変形例に係る冷凍サイクル装置の機能構成および均圧モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。
図18】実施の形態5に係る冷凍サイクル装置の機能構成および均圧モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置1の機能構成および暖房モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。冷凍サイクル装置1の運転モードは、暖房モード、除霜モードを含む。図1に示されるように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機11と、熱交換器12と、膨張弁13と、熱交換器14と、四方弁15と、開閉弁16と、制御装置17とを備える。暖房モードにおいて冷媒は、圧縮機11、四方弁15、熱交換器12、膨張弁13、および熱交換器14の順に循環する。開閉弁16は、本発明の流調弁に対応する。
【0012】
圧縮機11は、低圧の気体の冷媒(ガス冷媒)を断熱圧縮し、高圧のガス冷媒を吐出する。
【0013】
四方弁15は、暖房モードにおいては圧縮機11の吐出口と熱交換器12とを接続するとともに、熱交換器14と圧縮機11の吸入口とを接続する。四方弁15は、暖房モードにおいては、冷媒が圧縮機11、四方弁15、熱交換器12、膨張弁13、および熱交換器14の順に循環するように流路を形成する。
【0014】
熱交換器12は、暖房モードにおいては凝縮器として機能する。圧縮機11からのガス冷媒は、熱交換器12において凝縮熱を放出して凝縮し、液体の冷媒(液冷媒)となる。熱交換器12においては、冷媒と、暖房端末100へ熱を搬送する熱媒体との間で熱交換が行なわれる。熱媒体としては、水あるいはブライン(塩水)を挙げることができる。
【0015】
膨張弁13は、液冷媒を断熱膨張させて減圧し、気液二相状態の湿り蒸気として流出させる。膨張弁13としては、たとえば電子制御式膨張弁(LEV:Linear Expansion Valve)を用いることができる。
【0016】
熱交換器14は、室外に配置されており、暖房モードにおいては蒸発器として機能する。膨張弁13からの湿り蒸気は、熱交換器14において外気からの気化熱を吸収して気化する。
【0017】
開閉弁16は、圧縮機11の吐出口と吸入口との間において圧縮機11と並列に接続されている。開閉弁16の流路抵抗は、四方弁15の流路抵抗よりも大きい。なお、開閉弁の流路抵抗とは、開閉弁が開放されている(開度が全開である)場合の流路抵抗である。すなわち、開閉弁16が開放されている場合の開閉弁16のCv値は、四方弁15のCv値よりも小さい。開閉弁16は、暖房モードにおいては閉止されている。
【0018】
制御装置17は、冷凍サイクル装置1の運転モードを切り替える。制御装置17は、圧縮機11の駆動周波数を制御して圧縮機11が単位時間あたりに吐出する冷媒量を制御する。制御装置17は、四方弁15を制御して、冷媒の循環方向を切り替える。制御装置17は、膨張弁13の開度を制御する。制御装置17は、開閉弁16の開閉を制御する。制御装置17は、圧力センサS1およびS2から圧縮機11の吸入口の冷媒の圧力(吸入圧力)および吐出口の冷媒の圧力(吐出圧力)をそれぞれ取得し、吐出圧力と吸入圧力との差圧を算出する。
【0019】
暖房モードにおいては、室外に配置され、蒸発器として機能する熱交換器14に霜が発生する場合がある。熱交換器14に霜が発生すると蒸発器として機能する熱交換器14の熱交換効率が低下し、冷凍サイクル装置1の性能が低下してしまう。冷凍サイクル装置1においては、熱交換器14に霜が発生した場合、暖房モードを中断して、熱交換器14に生じた霜を除去する除霜モードを行なう。
【0020】
図2は、図1の冷凍サイクル装置1の機能構成および除霜モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図2に示されるように、除霜モードにおいて四方弁15は、圧縮機11の吐出口と熱交換器14とを接続するとともに、熱交換器12と圧縮機11の吸入口とを接続する。四方弁15は、除霜モードにおいては、冷媒が圧縮機11、四方弁15、熱交換器14、膨張弁13、および熱交換器12の順に循環するように流路を形成する。熱交換器14は、除霜モードにおいては凝縮器として機能する。熱交換器14においては冷媒が液化するときに放出する凝縮熱によって、熱交換器14に生じた霜が溶解されて除去される。
【0021】
除霜モードにおいては、暖房モードにおいて高圧側に接続されていた熱交換器12が、低圧側に接続される。一方、暖房モードにおいて低圧側に接続されていた熱交換器14は、高圧側に接続される。暖房モードにおいては、高圧側に接続されていた熱交換器12の圧力の方が、低圧側に接続されていた熱交換器14の圧力よりも高い。除霜モードを開始した直後においては、熱交換器12と熱交換器14との間で暖房モードにおける差圧が残存している。当該差圧が残存している状態で除霜モードを開始して圧縮機11を稼働させると、熱交換器12から熱交換器14へ冷媒が大量に移動し得る。
【0022】
熱交換器12に残存する冷媒量が少なくなると、熱交換器12の圧力および温度が低下する。熱交換器12の温度が低下すると、たとえば冷凍サイクル装置1における結露、あるいは水等の熱媒体の凝固による配管の破損などが生じ得る。その結果、冷凍サイクル装置1の安定的な運転が困難になり得る。
【0023】
そこで、冷凍サイクル装置1においては、暖房モードにおいて除霜開始条件が成立した場合、暖房モード、均圧モード、および除霜モードの順に運転モードが切り替えられる。均圧モードにおいては、暖房モードにおける接続状態が維持されるとともに開閉弁16が開放され、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との除霜モードの開始時における差圧が暖房モードの終了時における当該差圧よりも小さくされる。開閉弁16の流路抵抗は、四方弁15の流路抵抗よりも大きいため、均圧モードにおいて熱交換器12から流出する冷媒量を抑制することができる。均圧モードにおいては、熱交換器12から流出する冷媒量を抑制しながら、高圧側の圧力と低圧側の圧力との除霜モードの開始時における差圧を暖房モードの終了時における当該差圧よりも小さくすることができる。また、除霜モードの前に均圧モードを実行して、除霜モードの開始時における高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧を暖房モードの終了時における当該差圧よりも小さくすることにより、除霜モードの開始時に熱交換器12から流出する冷媒量を抑制することができる。そのため、除霜モード開始時における熱交換器12の温度低下を抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置1を安定的に運転することができる。
【0024】
図3は、図1の制御装置17が冷凍サイクル装置1の運転モードを切り替える処理の流れを示すフローチャートである。以下ではステップを単にSと記載する。図3に示される処理は、冷凍サイクル装置1の包括的な制御を行なう不図示のメインルーチンによって実行される。
【0025】
図3に示されるように、制御装置17は、S10において冷凍サイクル装置1の終了条件が成立したか否かを判定する。冷凍サイクル装置1の終了条件としては、ユーザによる終了操作が行なわれたという条件、あるいはユーザによって設定された終了時刻が到来したという条件を挙げることができる。終了条件が成立している場合(S10においてYES)、制御装置17は、処理をメインルーチンに返す。終了条件が成立していない場合(S10においてNO)、制御装置17は、処理をS20に進める。制御装置17は、S20において暖房モードを実行する。暖房モードにおいて除霜開始条件が成立した場合、制御装置17は、処理をS200に進める。除霜開始条件としては、たとえば熱交換器14の温度が基準温度より小さいという条件、あるいは熱交換器14に生じた霜の量(着霜量)が基準量を超えたという条件を挙げることができる。着霜量は、熱交換器14の温度および熱交換器14周辺の湿度から算出することができる。
【0026】
制御装置17は、S200において均圧モードを実行した後、処理をS300に進める。制御装置17は、S300において除霜モードを実行した後、処理をS10に戻す。制御装置17は、暖房モード(S20)、均圧モード(S200)、および除霜モード(S300)の順に運転モードを切り替える。
【0027】
図4は、図1の冷凍サイクル装置1の機能構成および均圧モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図4に示されるように、均圧モードにおいて制御装置17は、圧縮機11を停止し、膨張弁13を閉止し、開閉弁16を開放する。均圧モードにおいては、四方弁15によって、暖房モードにおける圧縮機11の吐出口と熱交換器12との接続および熱交換器14と圧縮機11の吸入口との接続が維持される。膨張弁13が閉止されているため、冷媒の圧力の高い熱交換器12から膨張弁13を介して冷媒の圧力の低い熱交換器14へ冷媒が移動することが防止される。
【0028】
開閉弁16は開放されているため、熱交換器12から開閉弁16を経由して熱交換器14へ冷媒が流れる。開閉弁16の流路抵抗は四方弁15の流路抵抗より大きい。そのため、均圧モードを行なうことなく除霜モードを開始した場合に熱交換器12から流出する冷媒量よりも、均圧モードにおいて熱交換器12から流出する冷媒量の方が小さい。均圧モードにおいては、熱交換器12から流出する冷媒量を抑制しながら、高圧側の圧力と低圧側の圧力との除霜モードの開始時における差圧を暖房モード終了時における当該差圧よりも小さくすることができる。その結果、均圧モードの後に行なわれる除霜モードの開始時において、熱交換器12の温度低下を抑制することができる。
【0029】
図5は、均圧モードにおいて図1の制御装置17によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。図5に示される処理は、図3のS200において行なわれる処理である。
【0030】
図5に示されるように、制御装置17は、S201において圧縮機11を停止して処理をS202に進める。制御装置17は、S202において膨張弁13を閉止して処理をS203に進める。制御装置17は、S203において開閉弁16を開放して処理をS204に進める。制御装置17は、S204において、吐出圧力と吸入圧力との差圧が基準差圧より小さいか否かを判定する。吐出圧力と吸入圧力との差圧が基準差圧より小さい場合(S204においてYES)、制御装置17は、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧が十分に小さくなったとして、処理をメインルーチンに返す。吐出圧力と吸入圧力との差圧が基準差圧以上である場合(S204においてNO)、制御装置17は、処理をS205に進める。制御装置17は、S205において開閉弁16を開放してから基準時間が経過したか否かを判定する。開閉弁16を開放してから基準時間が経過している場合(S205においてYES)、制御装置17は、高圧側の冷媒と低圧側の冷媒との均圧が十分に行なわれたとして、処理をメインルーチンに返す。開閉弁16を開放してから基準時間が経過していない場合(S205においてNO)、制御装置17は、S206において一定時間待機した後、処理をS204に戻す。S204の基準差圧およびS205の基準時間は、実機実験あるいはシミュレーションによって適宜算出することができる。
【0031】
図6は、除霜モードにおいて図1の制御装置17によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。図6に示される処理は、図3のS300において行なわれる処理である。
【0032】
図6に示されるように、制御装置17は、S301において四方弁15を切り替えて、処理をS302に進める。制御装置17は、S302において開閉弁16を閉止して、処理をS303に進める。制御装置17は、S303において膨張弁13を適切な開度に開放して、処理をS304に進める。制御装置17は、S304において圧縮機11を起動し、処理をS305に進める。制御装置17は、S305において除霜終了条件が成立したか否かを判定する。除霜終了条件が成立している場合(S305においてYES)、制御装置17は、処理をメインルーチンに返す。除霜終了条件が成立していない場合(S305においてNO)、制御装置17は、S306において一定時間待機した後、処理をS305に戻す。除霜終了条件は、たとえば熱交換器14の温度が基準温度以上となったという条件、あるいは除霜モードを開始してから基準時間が経過したという条件を含む。
【0033】
再び図4を参照して、冷凍サイクル装置1においては、熱交換器12の高さは、四方弁15の高さよりも低い。また、圧縮機11の吸入口と四方弁15とを接続する流路と、開閉弁16からの冷媒が通過する流路との接続部分J10の高さは、四方弁15の高さよりも低い。そのため、冷媒は、熱交換器12から四方弁15へ移動し難くなる。また、冷媒は、接続部分J10から四方弁15へ移動し難くなる。その結果、均圧モードにおいて熱交換器12から流出する冷媒量をさらに抑制することができる。
【0034】
図7は、図4における圧縮機11の吸入口と四方弁15とを接続する流路RP1と、開閉弁16からの冷媒が通過する流路RP2との接続部分J10付近の拡大図である。図7に示されているように、冷凍サイクル装置1においては、流路RP1とRP2とのなす角度α1は0度より大きく、180度より小さい。そのため、流路RP2を流れる冷媒は、流路RP1とRP2との接続部分J10において流路RP1の内壁に衝突する。開閉弁16からの冷媒が流路RP1に合流し難くなるため、均圧モードにおいて開閉弁16を通過する単位時間当たりの冷媒量が減少する。その結果、均圧モードにおいて、熱交換器12から流出する冷媒量をさらに抑制することができる。
【0035】
また、冷凍サイクル装置1においては、図7に示されるように、流路RP2は、流路RP1より細い。すなわち、流路RP2を移動する冷媒の進行方向と直交する流路RP2の断面における冷媒の通過部分の面積は、流路RP1を移動する冷媒の進行方向と直交する流路RP1の断面における冷媒の通過部分の面積よりも小さい。流路RP2の太さが流路RP1の太さと同じである場合に比べて、均圧モードにおいて開閉弁16を通過する単位時間当たりの冷媒量を減少させることができる。その結果、熱交換器12から流出する冷媒量をさらに抑制することができる。また、流路RP2の太さが流路RP1の太さと同じである場合に比べて、冷凍サイクル装置1の製造コストを抑制することができる。
【0036】
以上、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置によれば、除霜モードの前に均圧モードを実行することにより、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器の除霜モード開始時における温度低下を抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置を安定的に運転することができる。
【0037】
実施の形態2.
実施の形態1においては、均圧モードにおいて開放した開閉弁を、除霜モードにおいて圧縮機を起動する前に閉止する場合について説明した。実施の形態2においては、除霜モードにおいて圧縮機を起動した後に開閉弁を閉止する場合について説明する。
【0038】
実施の形態2においては、除霜モードの開始時からしばらくの間、開閉弁を開放したまま圧縮機を稼働させる。開放弁が開放されている間、圧縮機から吐出された冷媒の一部が、開閉弁を介して圧縮機の吸入口へ戻される。開閉弁を介して圧縮機の吸入口へ戻された冷媒の分だけ、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器からの冷媒が圧縮機へ吸入され難くなる。その結果、当該熱交換器から、除霜モードの開始時に流出する冷媒量をさらに抑制することができる。
【0039】
実施の形態2と実施の形態1との違いは、除霜モードにおける処理の流れである。それ以外の点については実施の形態1と同様である。すなわち、実施の形態1の図2および図6が、実施の形態2の図8および図9にそれぞれ置き換わる。これら以外の構成は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0040】
図8は、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置2の機能構成および除霜モード開始時における冷媒の流れを併せて示す図である。図8に示されるように、冷凍サイクル装置2の除霜モードの開始時においては、開閉弁16は開放されている。開閉弁が開放されている間、圧縮機11から吐出された冷媒の一部が、開閉弁16を介して圧縮機11の吸入口へ戻される。
【0041】
図9は、除霜モードにおいて図8の制御装置17によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。図8に示されるように、制御装置17は、S311において四方弁15を切り替えた後、処理をS312に進める。制御装置17は、S312において膨張弁13を適切な開度に開放して、処理をS313に進める。制御装置17は、S313において圧縮機11を起動し、処理をS314に進める。制御装置17は、S314において除霜終了条件が成立したか否かを判定する。除霜終了条件が成立している場合(S314においてYES)、制御装置17は、処理をS315に進める。制御装置17は、S315において開閉弁16が開放しているか否かを判定する。開閉弁16が閉止している場合(S315においてNO)、制御装置17は、処理をメインルーチンに戻す。開閉弁16が開放している場合(S315においてYES)、制御装置17は、S316において開閉弁16を閉止した後、処理をメインルーチンに戻す。
【0042】
除霜終了条件が成立していない場合(S314においてNO)、制御装置17は、処理をS317に進める。制御装置17は、S317において、吸入圧力が基準圧力を超えているか否かを判定する。吸入圧力が基準圧力を超えている場合(S317においてYES)、制御装置17は、吸入圧力が十分に上昇したとして、S319において開閉弁16を閉止し、S320において一定時間待機した後、処理をS314に戻す。吸入圧力が基準圧力以下である場合(S317においてNO)、制御装置17は、処理をS318に進める。制御装置17は、S318において圧縮機11を起動してから基準時間が経過したか否かを判定する。圧縮機11を起動してから基準時間が経過している場合(S318においてYES)、吸入圧力を上昇させるのに十分な時間が経過したとして、S319において開閉弁16を閉止し、S320において一定時間待機した後、処理をS314に戻す。圧縮機11を起動してから基準時間が経過していない場合(S318においてNO)、制御装置は処理をS314に戻す。S317の基準圧力およびS318の基準時間は、実機実験あるいはシミュレーションによって適宜算出することができる。
【0043】
以上、実施の形態2に係る冷凍サイクル装置によっても、除霜モードの前に均圧モードを実行することにより、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器の除霜モード開始時における温度低下を抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置を安定的に運転することができる。
【0044】
実施の形態2においては、除霜モードの開始時からしばらくの間、開閉弁を開放したまま圧縮機を稼働させることにより、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器の除霜モード開始時における温度低下をさらに抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置をさらに安定的に運転することができる。
【0045】
実施の形態3.
実施の形態1においては、除霜開始条件が成立した場合に暖房モードの次に均圧モードが行なわれる場合について説明した。実施の形態3においては、除霜開始条件が成立した場合に、暖房モードの次にポンプダウンモードが行なわれ、ポンプダウンモードの次に均圧モードが行なわれる場合について説明する。ポンプダウンモードにおいては、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器内の冷媒量を増加させる。均圧モードの前にポンプダウンモードを実行することにより、均圧モード開始時における当該熱交換器内の冷媒量が実施の形態1よりも増加する。そのため、当該熱交換器の除霜モード開始時における温度低下をさらに抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置をさらに安定的に運転することができる。
【0046】
実施の形態3と実施の形態1との違いは、運転モードにポンプダウンモードが追加されることである。すなわち、実施の形態1の図3が実施の形態2の図10に置き換わる。それ以外の点については同様であるため、説明を繰り返さない。
【0047】
図10は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置の制御装置が冷凍サイクル装置の運転モードを切り替える処理の流れを示すフローチャートである。図10に示されるように、制御装置は、暖房モード(S20)において除霜開始条件が成立した場合、S100においてポンプダウンモードを実行する。その後、制御装置は、実施の形態1と同様に、S200において均圧モードを実行し、S300において除霜モードを実行する。制御装置は、除霜開始条件が成立した場合、暖房モード、ポンプダウンモード、均圧モード、および除霜モードの順に運転モードを切り替える。
【0048】
図11は、実施の形態3に係る冷凍サイクル装置3の機能構成およびポンプダウンモードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図11に示されるように、ポンプダウンモードにおいて制御装置17は、圧縮機11を稼働させ、膨張弁13を閉止し、開閉弁16を閉止する。ポンプダウンモードにおいては、四方弁15によって、圧縮機11の吐出口と熱交換器12との接続および熱交換器14と圧縮機11の吸入口との接続が維持される。圧縮機11が稼働しているとともに膨張弁13が閉止されているため、圧縮機11から吐出された冷媒は、熱交換器12へ貯留される。ポンプダウンモードが行なわれている間、熱交換器12内の冷媒量が増加する。均圧モードの開始時の熱交換器12内の冷媒量は、ポンプダウンモードを行なわない実施の形態1よりも増加する。均圧モードの後に行なわれる除霜モードの開始時において、熱交換器12内に残存している冷媒量は実施の形態1より増加するため、熱交換器12の温度低下を実施の形態1よりも抑制することができる。
【0049】
図12は、ポンプダウンモードにおいて図11の制御装置17によって行なわれる処理の流れを示すフローチャートである。図12に示される処理は、図10のS100において行なわれる処理である。
【0050】
図12に示されるように、制御装置17は、S101において膨張弁13を閉止して処理をS102に進める。制御装置17は、S102において、吸入圧力が基準圧力よりも小さいか否かを判定する。吸入圧力が基準圧力よりも小さい場合(S102においてYES)、制御装置17は、熱交換器12に十分に冷媒量が貯留されたことにより、圧縮機11に吸入される冷媒量が減少したとして、処理をメインルーチンに返す。吸入圧力が基準圧力以上である場合(S102においてNO)、制御装置17は、処理をS103に進める。制御装置17は、S103において膨張弁13を閉止してから基準時間が経過したか否かを判定する。膨張弁13を閉止してから基準時間が経過している場合(S103においてYES)、制御装置17は、熱交換器12内の冷媒量を増加させるのに十分な時間が経過したとして、処理をメインルーチンに返す。膨張弁13を閉止してから基準時間が経過していない場合(S103においてNO)、制御装置17は、S104において一定時間待機した後、処理をS102に戻す。
【0051】
実施の形態3の変形例1.
ポンプダウンモードにおいて熱交換器12に流入する冷媒量が、熱交換器12の容量を超える場合が想定される。そのような場合に備えて、図13に示される冷凍サイクル装置3Aのように、熱交換器12と膨張弁13との間に冷媒貯留器30が接続されていることが望ましい。熱交換器12に流入する冷媒量が熱交換器12の容量を超える場合、熱交換器12から流出した冷媒は、冷媒貯留器30に貯留される。そのため、ポンプダウンモードの終了時において高圧側に存在する冷媒量を実施の形態3よりも増加させることができる。その結果、熱交換器12の除霜モード開始時における温度低下をさらに抑制することができる。
【0052】
実施の形態3の変形例2.
暖房モードにおいて蒸発器として機能していた熱交換器に生じた霜の量(着霜量)が大きい程、除霜モードにおける当該熱交換器の熱容量は大きくなる。除霜の対象となる熱交換器の熱容量が大きくなるほど、除霜モードの開始時に当該熱交換器に流入する冷媒量は大きくなる。したがって、着霜量が大きくなるほど、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器から除霜モードの開始時に流出する冷媒量は増加する。逆に、着霜量が小さい場合、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器から除霜モードの開始時に流出する冷媒量は減少する。着霜量が小さい場合には、暖房モードの中断時間を短縮するため、ポンプダウンモードが行なわれる時間を短縮することが望ましい。たとえば図14に示される処理のように、着霜量が基準量よりも小さい場合(S30においてYES)に、図12のS103の基準時間を所定の割合だけ短縮してもよい(S40)。図14に示されるような処理を行なうことにより、ポンプダウンモード(S200)が行なわれる時間を短縮することができる。除霜開始条件が成立してから除霜モードが終了するまでの時間を短縮することができるため、暖房モードの中断時間を短縮することができる。
【0053】
あるいは、着霜量に応じてポンプダウンモードを行なうか否かを決定してもよい。たとえば図15に示される処理のように、着霜量が基準量よりも小さい場合(S30においてYES)は、ポンプダウンモードを行なわずに均圧モード(S200)を実行してもよい。図15に示されるような処理を行なうことにより、不必要なポンプダウンモードを回避することができる。その結果、暖房モードの中断時間を短縮することができる。
【0054】
以上、実施の形態3、変形例1、および変形例2に係る冷凍サイクル装置によっても、除霜モードの前に均圧モードを実行することにより、除霜モード開始時における暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器の温度低下を抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置を安定的に運転することができる。
【0055】
実施の形態3、変形例1、および変形例2に係る冷凍サイクル装置においては、均圧モードの前にポンプダウンモードを行なうことにより、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器内の冷媒量を増加させてから均圧モードを実行する。そのため、当該熱交換器の除霜モード開始時における温度低下をさらに抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置をさらに安定的に運転することができる。
【0056】
実施の形態4.
四方弁のような流路切替装置には、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧が基準差圧以上でないと、冷凍サイクル装置の接続状態を切り替えることができないものがある。実施の形態4においては、流路切替装置の動作を保証するため、当該差圧を基準差圧以上に保つ場合について説明する。
【0057】
実施の形態4と実施の形態1との違いは、実施の形態4においては、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧が基準差圧以上である場合に四方弁が動作可能であるということ、および当該差圧を基準差圧以上に保つ定差圧弁が備えられている点である。それ以外の構成については同様であるため、説明を繰り返さない。
【0058】
図16は、実施の形態4に係る冷凍サイクル装置4の機能構成および均圧モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図16に示されるように、冷凍サイクル装置4においては、図4に示される冷凍サイクル装置1の四方弁15が、四方弁154に置換されている。四方弁154は、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧が基準差圧以上である場合に動作可能である。また、冷凍サイクル装置4は、図4に示される冷凍サイクル装置1の構成に加えて、定差圧弁40をさらに備える。定差圧弁40は、圧縮機11の吐出口と吸入口との間において開閉弁16と直列に接続されている。定差圧弁40は、定差圧弁40の両端の圧力差を基準差圧以上に保つ機械式の弁である。
【0059】
冷凍サイクル装置4においては、定差圧弁40により高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧が基準差圧以上に維持される。そのため、当該差圧が基準差圧より小さいことにより四方弁154が動作しないという事態の発生を防止することができる。
【0060】
実施の形態4の変形例.
高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧を基準差圧以上とすることができる構成は、定差圧弁に限られない。たとえば、図17に示される冷凍サイクル装置4Aのように、開閉弁16に代えて開放状態において開度の段階的な調節が可能な弁41を用い、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧を基準差圧以上となるように弁41の開度を制御装置17によって調節してもよい。
【0061】
以上、実施の形態4および変形例に係る冷凍サイクル装置によっても、除霜モードの前に均圧モードを実行することにより、除霜モード開始時における暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器の温度低下を抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置を安定的に運転することができる。
【0062】
実施の形態4および変形例に係る冷凍サイクル装置によれば、高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差圧が基準差圧より小さいことにより流路切替装置が動作することができないという事態の発生を防止することができる。その結果、冷凍サイクル装置をさらに安定的に運転することができる。
【0063】
実施の形態5.
実施の形態5においては、開閉弁と圧縮機の吸入口との間に気液分離器が接続されている場合について説明する。暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器から均圧モードにおいて流出する冷媒は、均圧モードにおいて気液分離器に貯留される。除霜モード開始時には、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器からの冷媒に加えて、気液分離器からの冷媒も加わるため、除霜モードの開始時における当該熱交換器から流出する冷媒の量を実施の形態1よりも抑制することができる。
【0064】
また、開閉弁の流路抵抗を実施の形態1より小さくして暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器から流出する冷媒量を増加させた場合でも、均圧モードにおいて当該熱交換器からの冷媒は気液分離器に貯留される。除霜モード開始時において圧縮機に吸入される冷媒に気液分離器からの冷媒も加わるため、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器の温度低下を実施の形態1と同程度に抑制することができる。均圧モードに要する時間は、開閉弁の流路抵抗を実施の形態1よりも小さくしたことにより、実施の形態1よりも短縮することができる。その結果、暖房運転の中断時間を短縮することができる。
【0065】
図18は、実施の形態5に係る冷凍サイクル装置5の機能構成および均圧モードにおける冷媒の流れを併せて示す図である。図18に示されるように、冷凍サイクル装置5においては、図4に示される冷凍サイクル装置1の開閉弁16が開閉弁165に置き換えられている。開閉弁165が開放している状態の開閉弁165の流路抵抗は、四方弁15の流路抵抗より大きく、開閉弁165が開放している状態の開閉弁165の流路抵抗よりも小さい。また、冷凍サイクル装置5は、図4に示される冷凍サイクル装置1の構成に加えて、気液分離器50をさらに備える。気液分離器50は、開閉弁165と圧縮機11の吸入口との間に接続されている。気液分離器50は、貯留した液冷媒を吐出する吐出口LS1を含む。吐出口LS1は、圧縮機11の吸入口と四方弁15とを接続する流路の合流点J2に接続されている。吐出口LS1の高さは、合流点J2の高さよりも低い。
【0066】
均圧モードにおいて熱交換器12から流出した冷媒は、開閉弁165を通過した後、気液分離器50に貯留される。気液分離器50に貯留された液冷媒は、吐出口LS1から吐出され、合流点J2において熱交換器14へ向かう冷媒に合流する。
【0067】
均圧モードにおいて、熱交換器12からの冷媒は、開閉弁165を通過した後、気液分離器50に貯留される。除霜モード開始時には、熱交換器12からの冷媒に加えて、気液分離器50からの冷媒も加わるため、除霜モードの開始時における熱交換器12から流出する冷媒の量を抑制することができる。また、開閉弁165の流路抵抗が実施の形態1の開閉弁165の流路抵抗よりも小さいため、均圧モードに要する時間を実施の形態1よりも短縮することができる。さらに、吐出口LS1の高さが合流点J2の高さよりも低いため、気液分離器50から吐出される冷媒量を抑制することができる。その結果、高圧側から低圧側に移動する冷媒量をさらに抑制することができる。
【0068】
以上、実施の形態5に係る冷凍サイクル装置によっても、除霜モードの前に均圧モードを実行することにより、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器の除霜モード開始時における温度低下を抑制することができる。その結果、冷凍サイクル装置を安定的に運転することができる。
【0069】
実施の形態5に係る冷凍サイクル装置によれば、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器からの冷媒を、気液分離器に貯留することにより、暖房モードにおいて凝縮器として機能していた熱交換器から、除霜モード開始時において流出する冷媒量を抑制することができる。また、開閉弁の流路抵抗を実施の形態1よりも小さくすることができるため、均圧モードに要する時間を、実施の形態1よりも小さくすることができる。
【0070】
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1,2,3A,4,4A,5 冷凍サイクル装置、11 圧縮機、12,14 熱交換器、13 膨張弁、15,154 四方弁、16,165 開閉弁、17 制御装置、30 冷媒貯留器、40 定差圧弁、41 弁、50 気液分離器、100 暖房端末、LS1 吐出口、RP1,RP2 流路、S1,S2 圧力センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18