(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】育毛促進及び脱毛または過剰な毛髪脱落の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20221212BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20221212BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K9/20
A61P17/14
(21)【出願番号】P 2020501509
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(86)【国際出願番号】 AU2018050719
(87)【国際公開番号】W WO2019010535
(87)【国際公開日】2019-01-17
【審査請求日】2021-07-07
(32)【優先日】2017-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】517152472
【氏名又は名称】サムソン クリニカル プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア,ロドニー
【審査官】淺野 美奈
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504135(JP,A)
【文献】国際公開第2016/065426(WO,A1)
【文献】特開2009-091325(JP,A)
【文献】国際公開第1999/040898(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/506
A61K 9/20
A61P 17/14
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔粘
膜を通じた吸収のための、有効用量のミノキシジルを含有する、対象における脱毛または過剰な毛髪脱落の治療あるいは対象における育毛促進のための
口腔内崩壊薬物。
【請求項2】
前記口腔粘膜は、舌下粘膜、頬側粘膜、口唇粘膜、及び/または歯槽粘膜の1つまたは複数から選択される、請求項1に記載の
口腔内崩壊薬物。
【請求項3】
前記有効用量のミノキシジルは、唾液の存在下で崩壊する形状をしている、及び/または
前記有効用量のミノキシジルは、0.25ng/mL~10ng/mLのミノキシジル血中濃度をもたらす、請求項1または2に記載の
口腔内崩壊薬物。
【請求項4】
前記有効用量のミノキシジルは、0.05mg~3mgの範囲内にある、請求項1から3のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物。
【請求項5】
前記有効用量のミノキシジルは、少なくとも3日ごとに投与される、請求項1から4のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物。
【請求項6】
前記有効用量のミノキシジルは、以下から選択される形状をしている、請求項1から5のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物:ストリップ、カシェ剤、ペレット、フィルム、トローチ剤、錠剤、脂質マトリクス錠剤、カプセル剤、丸剤、粒剤、ペレット剤、散剤、ドロップ剤、噴霧剤、及びロゼンジ剤。
【請求項7】
さらに、以下を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物:アルドステロンアンタゴニスト、5α-レダクターゼ阻害剤、非ステロイド性抗アンドロゲン薬、及び/またはステロイド系抗アンドロゲン薬。
【請求項8】
さらに、スピロノラクトンを10mg~500mgの範囲内で含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物。
【請求項9】
さらに、塩化ナトリウムを10mg~200mgの範囲内で含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物。
【請求項10】
さらに、以下の1種または複数を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物:
(i)フィナステリドを0.1mg~1mgの範囲内で;
(ii)デュタステリドを0.01mg~1mgの範囲内で;
(iii)フルタミドを10mg~500mgの範囲内で;
(iv)酢酸シプロテロンを1mg~100mgの範囲内で;
(v)ビカルタミドを1mg~100mgの範囲内で;
(vi)エンザルタミドを1mg~100mgの範囲内で;
(vii)ニルタミドを1mg~100mgの範囲内で;
(viii)ドロスペリドンを0.1mg~10mgの範囲内で;
(ix)アパルタミドを1mg~100mgの範囲内で;及び
(x)ブセレリンを0.1mg~10mgの範囲内で。
【請求項11】
前記脱毛または過剰な毛髪脱落は、以下の1種または複数の結果である、請求項1から10のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物;毛包小型化、円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、休止期脱毛、成長期脱毛、化学療法誘導型脱毛、男性型脱毛症、女性型脱毛症、連珠毛、甲状腺の問題、貧血、多嚢胞性卵巣症候群、瘢痕性脱毛症(毛孔性扁平苔癬、円板状エリテマトーデス、禿髪性毛包炎)、先天性貧毛症、成長期脱毛症候群、貧毛症、及び栄養不良。
【請求項12】
育毛促進は、対象における髭成長の促進及び/または毛髪長の延長を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の
口腔内崩壊薬物。
【請求項13】
対象における脱毛または過剰な毛髪脱落の治療あるいは対象における育毛促進のための口腔内崩壊組成物であって、以下;
(i)ミノキシジルを0.05mg~3mgの範囲内で;または
(ii)ミノキシジルを0.05mg~3mgの範囲内で、及びスピロノラクトンを10mg~500mgの範囲内で、
含む、組成物。
【請求項14】
以下から選択される形状をしている、請求項13に記載の組成物:ストリップ、カシェ剤、ペレット、フィルム、トローチ剤、錠剤、脂質マトリクス錠剤、カプセル剤、丸剤、粒剤、ペレット剤、散剤、ドロップ剤、噴霧剤、及びロゼンジ剤。
【請求項15】
(i)唾液の存在下で前記組成物の崩壊を補助する崩壊剤;
(ii)唾液中の酵素により作用を受けて崩壊を促進することができる作用剤;及び
(iii)風味修飾剤
の一以上を含む、請求項13または14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象における過剰な毛髪脱落または脱毛の治療のためのあるいは対象における育毛促進のための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
頭皮の毛包は、連続して毛髪を生成しているのではない。毛包は、2年以上続く場合もある成長段階を循環し、それから再び新たな毛髪繊維を成長させ始める3か月前まで、休止段階に戻る。健康なヒト頭皮では、いつでも、毛包の約80%~90%が毛髪を成長させている。こうした活性毛包は、いわゆる成長期にある。頭皮毛包の残りの10%~20%は、休止期と呼ばれる休止段階にあり、その時、これらの毛包はまったく毛髪繊維を成長させない。抜け毛の脱落の実際量の変化は、複数の脱毛症状で生じ、そのような症状として、成長期脱毛、化学療法誘導型脱毛、急性及び慢性休止期脱毛、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、男性型脱毛(MPHL)、ならびに女性型脱毛(FPHL)が挙げられる。
【0003】
男性は、一般的に、特に洗髪後に脱毛または毛髪脱落の増加を訴える。抜け毛の実際量の変化は、複数の脱毛症状で生じ、そのような症状として、成長期脱毛、化学療法誘導型脱毛、急性及び慢性休止期脱毛、円形脱毛症、瘢痕性脱毛症、ならびに男性型脱毛(MPHL)が挙げられる。
【0004】
女性型脱毛(FPHL)は、女性の診察で遭遇する脱毛の最も一般的な原因である(Messenger et al.2010)。FPHLは、臨床的には中前頭皮にわたるびまん性毛髪菲薄化及び組織学的には毛包小型化を特徴とする複雑な多因子遺伝子疾患である。小型化毛包の割合は、脱毛の重症度に合わせて増加する(Messenger et al.2006)。FPHLは、生活の質に悪影響を及ぼし、FPHLの有病率は年齢とともに上昇する。700人を超える女性の集団研究では、FPHLは、年齢20~29の女性では12%、80歳を超える女性では57%見つかった。脱毛の重症度も、年齢とともに上昇する。
【0005】
脱毛の増加または過剰な毛髪脱落をもたらす症状の1つは、休止期脱毛(TE)である。この症状は、男性及び女性両方に影響を及ぼすが、女性でより一般的に生じる。TEは、頭皮からびまん性で休止期棍毛が過剰に脱落することを特徴とする非瘢痕性脱毛症である。TEは、一般に、きっかけとなる事象、例えば、出産、重病、または大掛かりな手術などの8~12週間後に始まり、3~6ヶ月のうちに解消される。いったん解消されると、自然治癒した休止期脱毛は、遡及的に急性休止期脱毛と診断することが可能である(Harrison S and Sinclair R,2002)。6ヶ月を超えて存続する休止期脱落は、慢性休止期脱毛と呼ばれる(CTE)(Whiting,DA 1996)。
【0006】
外用ミノキシジルは、CTE治療として示唆されてきたが、結果は様々であり、残念な結果が多い。頭皮にローションを塗布することも、多くの個体にとって望ましくない。というのも、ローション塗布は、毛髪を油っぽく見せることになる可能性があり、そのことは、服薬遵守を妨げる可能性がある。また、高濃度の外用ミノキシジルは、肝臓でミノキシジルが分解されて硫酸ミノキシジルになるために、血圧に悪影響を及ぼす可能性がある。現在、慢性休止期脱毛に適用可能なFDAまたはTGA治療は存在しない。
【0007】
脱毛及び過剰な毛髪脱落の症状のための、ならびに育毛促進(毛髪長及び髭成長の増大を含む)のための新規治療が必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ある用量のミノキシジルを投与し、それが口腔粘膜または鼻腔粘膜により吸収されることによる、対象における過剰な毛髪脱落または脱毛の治療あるいは対象における育毛促進の方法及び組成物に関する。そのような方法及び組成物は、有利なことに、下部胃腸管(これには、胃、小腸、大腸、及び直腸が含まれる)を介して血流に入る薬物と比べて、速く作用する。そのような組成物は、投与が容易であり、従来治療、すなわち下部胃腸管で吸収され、したがって患者が嚥下しなければならない錠剤、及び毛髪を油っぽく見せることになるまたは毛髪の見た目及び感触にマイナスの影響を及ぼすことになる可能性がある外用ローションなどと比べて、患者が服薬遵守をより達成しやすい。また、口腔粘膜または鼻腔粘膜を通じた吸収は、薬物が、肝臓の初回通過代謝を迂回することを可能にする。
【0009】
1つの態様において、本発明は、対象に、口腔粘膜または鼻腔粘膜を通じて有効量のミノキシジルを投与することによる、対象における過剰な毛髪脱落または脱毛の治療あるいは対象における育毛促進の方法を提供する。
【0010】
ある実施形態において、口腔粘膜は、舌下粘膜、頬側粘膜、口唇粘膜、及び/または歯槽粘膜の1つまたは複数から選択される。ある実施形態において、口腔粘膜は、舌下粘膜である。ある実施形態において、口腔粘膜は、頬側粘膜である。ある実施形態において、口腔粘膜は、口唇粘膜である。
【0011】
1つの態様において、本発明は、対象に口腔内崩壊用量のミノキシジルを投与することによる、対象における過剰な毛髪脱落または脱毛の治療あるいは対象における育毛促進の方法を提供する。
【0012】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、唾液の存在下で崩壊する形状をしている。1つの実施形態において、本用量のミノキシジルは、唾液及び水の存在下で崩壊する形状をしている。
【0013】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.25ng/mL~約10ng/mLのミノキシジル血中濃度をもたらす。
【0014】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.05mg~3mg、または約0.1mg~2.5mg、または約0.15mg~2mg、または約0.15mg~1.5mg、または約0.15mg~1mg、または約0.15mg~0.8mg、または約0.15mg~0.5mg、または約0.5mg~0.25mgの範囲内であるか、あるいは、約0.1mg、または約0.15mg、または約0.24mg、または約0.25mg、または約0.45mg、または約1.35mgである。
【0015】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.45mgである。
【0016】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、少なくとも3日ごとに、または少なくとも2日ごとに、または少なくとも毎日、または少なくとも1日2回、投与される。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、毎日投与される。
【0017】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、以下から選択される形状をしている:ストリップ、カシェ剤、ペレット、フィルム、トローチ剤、錠剤、脂質マトリクス錠剤、カプセル剤、丸剤、粒剤、ペレット剤、散剤、ドロップ剤、噴霧剤、及びロゼンジ剤。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、ストリップの形状をしている。ある実
施形態において、本用量のミノキシジルは、カシェ剤の形状をしている。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、ペレットの形状をしている。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、フィルムの形状をしている。
【0018】
ある実施形態において、本発明は、本明細書中記載されるとおりの剤形を1種または複数提供する。ある実施形態において、本発明は、本明細書中記載されるとおりのストリップを1つまたは複数含むパッケージを提供する。ある実施形態において、本発明は、本明細書中記載されるとおりのカシェ剤を1つまたは複数含むパッケージを提供する。ある実施形態において、本発明は、本明細書中記載されるとおりのフィルムを1つまたは複数含むパッケージを提供する。
【0019】
ある実施形態において、本方法は、さらに、アルドステロンアンタゴニスト、5α-レダクターゼ阻害剤、非ステロイド性抗アンドロゲン薬、及び/またはステロイド系抗アンドロゲン薬を投与することを含む。
【0020】
ある実施形態において、本方法は、さらに、スピロノラクトンを、約10mg~500mg、または約10mg~400mg、または約10mg~300mg、または約15mg~200mg、または約15mg~150mg、または約18mg~100mg、または約20mg~80mg、または約20mg~50mg、または約22mg~40mg、または約23mg~35mg、または約23mg~30mgの範囲内で、または約25mg投与することを含む。ある実施形態において、スピロノラクトンは、約25mgの濃度である。
【0021】
ある実施形態において、本方法は、さらに、医薬用量の塩を投与することを含む。ある実施形態において、医薬用量の塩は、塩化ナトリウムであることが可能である。ある実施形態において、本方法は、さらに、塩化ナトリウムを、約10mg~200mg、約15mg~150mg、または約15mg~125mg、または約20mg~100mg、または約25mg~80mg、または約30mg~70mg、または約40mg~60mg、または約45mg~55mgの範囲で投与することを含む。ある実施形態において、塩化ナトリウムは、少なくとも10mg、または少なくとも15mg、または少なくとも20mg、または少なくとも25mg、または少なくとも30mg、または少なくとも35mg、または少なくとも40mg、または少なくとも45mg、または少なくとも50mg、または少なくとも100mg、または少なくとも200mgの濃度で投与される。ある実施形態において、塩化ナトリウムは、約50mgの濃度で投与される。ある実施形態において、塩化ナトリウムは、約20mgの濃度で投与される。
【0022】
ある実施形態において、本方法は、さらに、以下の1種または複数を投与することを含む:(i)フィナステリドを約0.1mg~1mgの範囲内で;(ii)デュタステリドを約0.01mg~1mgの範囲内で;(iii)フルタミドを約10mg~500mgの範囲内で;(iv)酢酸シプロテロンを約1mg~100mgの範囲内で;(v)ビカルタミドを約1mg~100mgの範囲内で;(vi)エンザルタミドを約1mg~100mgの範囲内で;(vii)ニルタミドを約1mg~100mgの範囲内で;(viii)ドロスペリドンを約0.1mg~10mgの範囲内で;(ix)アパルタミドを約1mg~100mgの範囲内で;及び/または(x)ブセレリンを約0.1mg~10mgの範囲内で。
【0023】
ある実施形態において、本方法は、さらに、賦形剤を投与することを含む。ある実施形態において、賦形剤は、以下の1種または複数から選択される:デンプン、コーンデンプン、コロイド状二酸化ケイ素、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース、無水ラクトース、ドクサートナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、結晶セルロース
、安息香酸ナトリウム、及びデンプングリコール酸ナトリウム。
【0024】
ある実施形態において、本方法は、さらに、亜鉛を投与することを含む。ある実施形態において、本方法は、さらに、亜鉛を、1日、約0.1mg~100mg、または約0.1mg~75mg、または約0.1mg~50mg、または約0.1mg~20mg、または約1mg~15mg、または約2.5mg~15mg、または約5mg~13mg、または約8mg~12mg、または約10mg~12mgの範囲内で投与することを含む。ある実施形態において、亜鉛濃度は、1日約5mgである。ある実施形態において、亜鉛濃度は、1日約8mgである。ある実施形態において、亜鉛濃度は、1日約12mgである。
【0025】
ある実施形態において、本方法は、さらに、セレンを投与することを含む。ある実施形態において、本方法は、さらに、セレンを、1日、約10μg~200μg、または約15μg~150μg、または約15μg~125μg、または約20μg~100μg、または約25μg~80μg、または約30μg~70μg、または約40μg~60μg、または約45μg~55μgの範囲内で投与することを含む。ある実施形態において、セレンは、1日約50μgの濃度で投与される。ある実施形態において、セレンは、1日約20μgの濃度で投与される。
【0026】
ある実施形態において、本方法は、さらに、カフェインを投与することを含む。ある実施形態において、本方法は、さらに、カフェインを、1日、約50mg~250mg、または約60mg~240mg、または約80mg~220mg、または約100mg~200mg、または約100mg~150mgの範囲内で投与することを含む。
【0027】
ある実施形態において、本方法は、さらに、甘草を投与することを含む。ある実施形態において、本方法は、さらに、甘草を、1日、約50mg~250mg、または約60mg~240mg、または約80mg~220mg、または約100mg~200mg、または約100mg~150mgの範囲内で投与することを含む。
【0028】
ある実施形態において、本方法は、さらに、ビタミンを投与することを含み、ビタミンは、以下から選択される:ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、及びビタミンD。
【0029】
ある実施形態において、本方法は、さらに、アミノ酸を投与することを含み、アミノ酸は、チロシン、メチオニン、チミン、アルギニン、システイン、リシン、及びシステインから選択される。
【0030】
ある実施形態において、脱毛または過剰な毛髪脱落は、以下の1種または複数の結果である;毛包小型化、円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、休止期脱毛、成長期脱毛、化学療法誘導型脱毛、男性型脱毛症、女性型脱毛症、連珠毛、甲状腺の問題、貧血、多嚢胞性卵巣症候群、瘢痕性脱毛症(毛孔性扁平苔癬、円板状エリテマトーデス、禿髪性毛包炎)、先天性貧毛症、成長期脱毛症候群、貧毛症、及び栄養不良。ある実施形態において、成長期脱毛には、円形脱毛症、成長期脱毛症候群、及び薬物誘導型脱毛が含まれる。ある実施形態において、脱毛または過剰な毛髪脱落は、男性型脱毛症の結果である。ある実施形態において、脱毛または過剰な毛髪脱落は、女性型脱毛症の結果である。ある実施形態において、脱毛または過剰な毛髪脱落は、休止期脱毛の結果である。
【0031】
ある実施形態において、育毛促進は、対象における髭成長の促進を含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛髪長の延長を含む。
【0032】
1つの態様において、本発明は、対象における脱毛または過剰な毛髪脱落の治療あるい
は対象における育毛促進のための口腔内崩壊組成物を提供し、本組成物は以下を含む;(i)ミノキシジルを約0.05mg~3mgの範囲内で;(ii)ミノキシジルを約0.1mgの濃度で;(iii)ミノキシジルを約0.15mgの濃度で;(iv)ミノキシジルを約0.24mgの濃度で;(v)ミノキシジルを約0.25mgの濃度で;(vi)ミノキシジルを約0.45mgの濃度で;(vi)ミノキシジルを約1.35mgの濃度で;(vii)ミノキシジルを約0.05mg~3mgの範囲内で、及びスピロノラクトンを約10mg~500mgの範囲内で;または(viii)ミノキシジルを約0.15mg~1.35mgの範囲内で、及びスピロノラクトンを約10mg~500mgの範囲内で。
【0033】
ある実施形態において、組成物は、以下から選択される形状をしている:ストリップ、カシェ剤、フィルム、トローチ剤、錠剤(ミニ錠剤を含む)、脂質マトリクス錠剤、カプセル剤、丸剤、粒剤、ペレット剤、散剤、ドロップ剤、噴霧剤、及びロゼンジ剤。ある実施形態において、噴霧剤は、散剤である。ある実施形態において、組成物は、以下から選択される形状をしている:ストリップ、カシェ剤、ペレット、及びフィルム。ある実施形態において、組成物は、ストリップである。ある実施形態において、組成物は、カシェ剤である。ある実施形態において、組成物は、ペレットである。ある実施形態において、組成物は、フィルムである。ある実施形態において、組成物は、トローチ剤である。ある実施形態において、組成物は、錠剤である。ある実施形態において、組成物は、カプセル剤である。ある実施形態において、組成物は、丸剤である。ある実施形態において、組成物は、散剤である。ある実施形態において、組成物は、ドロップ剤である。ある実施形態において、組成物は、噴霧剤である。ある実施形態において、組成物は、ロゼンジ剤である。
【0034】
ある態様において、本発明は、口腔粘膜または鼻腔粘膜への投与を介した、対象における脱毛または過剰な毛髪脱落の治療あるいは対象における育毛促進のための組成物を提供し、本組成物は以下;(i)ミノキシジルを約0.05mg~3mgの範囲内で;(ii)ミノキシジルを約0.1mgの濃度で;(iii)ミノキシジルを約0.15mgの濃度で;(iv)ミノキシジルを約0.24mgの濃度で;(v)ミノキシジルを約0.25mgの濃度で;(vi)ミノキシジルを約0.45mgの濃度で;(vi)ミノキシジルを約1.35mgの濃度で;(vii)ミノキシジルを約0.05mg~3mgの範囲内で、及びスピロノラクトンを約10mg~500mgの範囲内で;または(viii)ミノキシジルを約0.15mg~1.35mgの範囲内で、及びスピロノラクトンを約10mg~500mgの範囲内で、含み;本組成物は、ストリップ、カシェ剤、ペレット、またはフィルムの形状をしている。
【0035】
ある実施形態において、組成物は、さらに、唾液の存在下で組成物の崩壊を補助する崩壊剤を含む。
【0036】
ある実施形態において、組成物は、さらに、唾液中の酵素による作用を受けて、崩壊を促進することができる作用剤を含む。
【0037】
ある実施形態において、組成物は、さらに、風味修飾剤を含む。
【0038】
ある態様において、本発明は、鼻腔粘膜への投与を介した、対象における脱毛または過剰な毛髪脱落の治療あるいは対象における育毛促進のための組成物を提供し、本組成物は以下;(i)ミノキシジルを約0.05mg~3mgの範囲内で;(ii)ミノキシジルを約0.1mgの濃度で;(iii)ミノキシジルを約0.15mgの濃度で;(iv)ミノキシジルを約0.24mgの濃度で;(v)ミノキシジルを約0.25mgの濃度で;(vi)ミノキシジルを約0.45mgの濃度で;(vi)ミノキシジルを約1.35
mgの濃度で;(vii)ミノキシジルを約0.05mg~3mgの範囲内で、及びスピロノラクトンを約10mg~500mgの範囲内で;または(viii)ミノキシジルを約0.15mg~1.35mgの範囲内で、及びスピロノラクトンを約10mg~500mgの範囲内で、含み;本組成物は、ドロップ剤または噴霧剤の形状をしている。
【0039】
ある実施形態において、組成物は、さらに、以下の1種または複数を含む:(i)塩化ナトリウムを約10~200mgの濃度で;(ii)塩化ナトリウムを約50mgの濃度で;(iii)亜鉛を約0.1~100mgの濃度で;(iv)亜鉛を約8mgの濃度で;(v)セレンを20μg~200μgの濃度で;(vi)カフェインを約50mg~250mgの濃度で;(vii)甘草を約50mg~250mgの濃度で;(viii)少なくとも1種のビタミン;及び/または(ix)少なくとも1種のアミノ酸。
【0040】
ある実施形態において、組成物は、さらに、以下の1種または複数を含む:(i)フィナステリドを約0.1mg~1mgの範囲内で;(ii)デュタステリドを約0.01mg~1mgの範囲内で;(iii)フルタミドを約10mg~500mgの範囲内で;(iv)スピロノラクトンを約10mg~500mgの範囲内で;(v)酢酸シプロテロンを約1mg~100mgの範囲内で;(vi)ビカルタミドを約10mg~500mgの範囲内で;(vii)エンザルタミドを約1mg~100mgの範囲内で;(viii)ニルタミドを約1mg~100mgの範囲内で;(ix)ドロスペリドンを約0.1mg~10mgの範囲内で;(x)アパルタミドを、約1mg~100mgの範囲内で;及び/または(xi)ブセレリンを約0.1mg~10mgの範囲内で。
【0041】
ある実施形態において、脱毛または過剰な毛髪脱落は、以下の1種または複数の結果である;毛包小型化、円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、休止期脱毛(慢性及び急性)、成長期脱毛、化学療法誘導型脱毛、男性型脱毛症、女性型脱毛症、甲状腺の問題、連珠毛、貧血、多嚢胞性卵巣症候群、瘢痕性脱毛症(毛孔性扁平苔癬、円板状エリテマトーデス、禿髪性毛包炎)、先天性貧毛症、貧毛症、及び栄養不良。ある実施形態において、症状は、男性型脱毛症である。ある実施形態において、症状は、女性型脱毛症である。ある実施形態において、症状は、アンドロゲン性脱毛症である。ある実施形態において、症状は、休止期脱毛である。ある実施形態において、症状は、慢性休止期脱毛である。ある実施形態において、症状は、急性休止期脱毛である。
【0042】
ある実施形態において、育毛促進は、対象における髭成長の促進を含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛髪長の延長を含む。本明細書中任意の例に従って記載されるとおり、ミノキシジルは、脱毛または過剰な毛髪脱落のための他の治療1種または複数とともに付加的に投与することができる。ある実施形態において、脱毛または過剰な毛髪脱落のための他の治療として、経口、静脈内、及び/または外用で投与される治療が挙げられる。ある実施形態において、ミノキシジルは、経口抗アンドロゲン薬とともに付加的に投与される。治療の例として、以下が挙げられる:フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(アボダート)、フルタミド、スピロノラクトン(アルダクトン)、シメチジン(タガメット)、酢酸シプロテロン、ビカルタミド、エンザルタミド、ニルタミド、アパルタミド、ブセレリン、トランスレチノイン酸、経口避妊薬、例えば、低用量のアンドロゲン指数の経口避妊薬、エストロゲン、及び/またはプロゲステロンなど。
【0043】
ある実施形態において、本明細書中記載されるとおりの本用量のミノキシジル及び組成物は、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤4(HDAC4)阻害剤を含まない。
【0044】
本明細書中任意の例に従って記載されるとおり、対象は、脱毛または過剰な毛髪脱落を特徴とする症状を有する。本明細書中任意の例に従って記載されるとおり、対象は、毛包小型化を特徴とする症状を有する。本明細書中任意の例に従って記載されるとおり、脱毛
または過剰な毛髪脱落は、遺伝子状態の結果である。本明細書中任意の例に従って記載されるとおり、脱毛または過剰な毛髪脱落は、環境要因の結果である。症状の例として、円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、休止期脱毛、成長期脱毛(化学療法に伴うもの)、男性型脱毛症、女性型脱毛症、連珠毛、甲状腺の問題(例えば、甲状腺機能低下症及び甲状腺機能亢進症を特徴とする疾患)、鱗屑感染、貧血、多嚢胞性卵巣症候群、瘢痕性脱毛症(毛孔性扁平苔癬、円板状エリテマトーデス、禿髪性毛包炎)、先天性貧毛症、貧毛症、及び栄養不良が挙げられる。ある実施形態において、症状は、アンドロゲン性脱毛症である。
【0045】
本明細書中任意の例に従って記載されるとおり、ミノキシジルは、化学療法治療後の化学療法誘導型脱毛または過剰な毛髪脱落あるいは育毛促進の治療のため、化学療法治療の前、最中、または後に投与することができる。本明細書中任意の例に従って記載されるとおり、対象は、哺乳類である。本明細書中任意の例に従って記載されるとおり、対象は、ヒトである。ある実施形態において、対象は、男性の場合がある。ある実施形態において、対象は、女性の場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】ミノキシジル5mgを含む舌下ミノキシジル剤形を示す。
【
図2】患者1の頭皮の1区分を示し、(A)はベースライン、(B)はトローチ剤形の舌下ミノキシジルで12週間治療後である。ベースラインでは合計毛髪数は、108本(硬毛100;軟毛8)であり、12週間後の合計毛髪数は129本(硬毛123;軟毛6)であり、21本(19.4%)増加した。
【
図3】患者1の毛髪分け目を示し、(A)はベースライン、(B)はトローチ剤形の舌下ミノキシジルで12週間治療後である。
【
図4】患者2の頭皮の1区分を示し、(A)はベースライン、(B)はトローチ剤形の舌下ミノキシジルで12週間治療後である。ベースラインでは合計毛髪数は、167本(硬毛151;軟毛16)であり、12週間後の合計毛髪数は199本(硬毛186;軟毛13)であり、32本(19.2%)増加した。
【
図5】患者2の毛髪分け目を示し、(A)はベースライン、(B)はトローチ剤形の舌下ミノキシジルで12週間治療後である。
【
図6】患者3の頭皮の1区分を示し、(A)はベースライン、(B)はトローチ剤形の舌下ミノキシジルで12週間治療後である。ベースラインでは合計毛髪数は、61本(硬毛50;軟毛11)であり、12週間後の合計毛髪数は84本(硬毛71;軟毛13)であり、23本(37.7%)増加した。
【
図7】患者3の毛髪分け目を示し、(A)はベースライン、(B)はトローチ剤形の舌下ミノキシジルで12週間治療後である。
【
図8】本発明の実施形態を示し、(A)口腔内崩壊性フィルム、(B)個別包装された口腔内崩壊性フィルムである。
【
図9】患者の、ベースライン、及び0.45mg舌下ミノキシジルで毎日治療して8週間後の全体写真である。
【
図10】患者の、ベースライン、及び0.45mg舌下ミノキシジルで毎日治療して8週間後の全体写真である。
【
図11】患者の、ベースライン、及び0.45mg舌下ミノキシジルで毎日治療して8週間後の全体写真である。
【
図12】女性患者の、ベースライン、及び0.45mg舌下ミノキシジルで毎日治療して8週間後の超接写写真を示す。
【
図13】男性患者の、ベースライン、及び0.45mg舌下ミノキシジルで毎日治療して8週間後の超接写写真を示す。
【
図14】男性患者の、ベースライン、及び0.45mg舌下ミノキシジルで毎日治療して8週間後の超接写写真を示す。
【
図15】(A)最初の時点(左)及びその後の時点(右)で撮影した画像中の刈り込まれた毛髪を1対1(H2H)対応させたフォトトリコグラムの例を示す。毛髪を1本ずつ個別に同定して番号付けしてある。H2H技法は、関心対象領域中の同一毛髪を異なる時点で同定することを可能にする。右側画像中の矢印は、初期画像(左)に存在せず、新たに同定された毛髪を示す。超接写するために頭皮で印付ける点を決定するのに占有スポットテンプレートを補助として使用する。スポットのペア(×3)を、患者の頭皮で同定して印付けることになる:ペアの1つはフォトトリコグラム用であり、2つはフォトトリコスコピースポットである。スポットの例を(B)に示す。スポットは、患者の頭皮に入れ墨で施す。(C)に示すとおりの仮想入れ墨技術を用いて、あらかじめ印付けしたスポットが整列していること及び画像が同一方向を向いていることを確実にする。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書中記載される場合、「ミノキシジル」、別称「2,4-ジアミノ-6-ピペリジノピリミジン3-オキシド」または「2,4-ピリミジンジアミン,6-(1-ピペリジニル)-,3-オキシド」または「2,6-ジアミノ-4-ピペリジノピリミジン-1-オキシド」は、ピペリジノピリミジン誘導体であり、強力な血管拡張剤である(CAS
ID:38304-91-5)。「ミノキシジル」という用語は、広義で使用されて、「ミノキシジル」自体だけでなく、その薬学上許容される誘導体も含む。適切な誘導体として、薬学上許容される塩、薬学上許容される溶媒和物、薬学上許容される水和物、薬学上許容される硫酸塩、薬学上許容される無水物、薬学上許容される鏡像異性体、薬学上許容されるエステル、薬学上許容される異性体、薬学上許容される多型、薬学上許容されるプロドラッグ、薬学上許容される互変異性体、薬学上許容される複合体などが挙げられる。
【0048】
ある実施形態において、本明細書中記載されるとおりのミノキシジルは、対象中で変換されて、硫酸ミノキシジルになる。ある実施形態において、本明細書中記載されるとおりのミノキシジルは、毛包で変換されて、硫酸ミノキシジルになる。
【0049】
本明細書中記載される場合、「スピロノラクトン」は、アルドステロンアンタゴニストであり、50年にわたりカリウム保持性利尿薬として使用されてきた(CAS ID:52-01-7)。これは、構造的にはステロイドであり、4つの環を持つ基本的なステロイド核を有する。
【0050】
本明細書中記載される場合、「フィナステリド」、別称「プロペシア」は、II型5α-レダクターゼ阻害剤であり、これは、テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する酵素である5α-レダクターゼの活性を阻害することにより作用する(CAS ID:98319-26-7)。フィナステリドは、良性前立腺肥大症及び男性型脱毛症の治療用の合成薬であり、経口投与可能である。
【0051】
本明細書中記載される場合、「デュタステリド」は、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害する5-αレダクターゼ阻害剤である(CAS ID:164656-23-9)。
【0052】
本明細書中記載される場合、「フルタミド」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬である(CAS ID:13311-84-7)。
【0053】
本明細書中記載される場合、「シプロテロン」は、ステロイド系抗アンドロゲン薬である(CAS ID:2098-66-0)。
【0054】
本明細書中記載される場合、「ビカルタミド」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬で
ある(CAS ID:90357-06-5)。
【0055】
本明細書中記載される場合、「エンザルタミド」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬である(CAS ID:90357-06-5)。
【0056】
本明細書中記載される場合、「ニルタミド」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬である(CAS ID:90357-06-5)。
【0057】
本明細書中記載される場合、「アパルタミド」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬である(CAS ID:90357-06-5)。
【0058】
本明細書中記載される場合、「ブセレリン」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬である(CAS ID:90357-06-5)。
【0059】
本明細書中記載される場合、「ノコギリヤシ」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬である(CAS ID:90357-06-5)。
【0060】
本明細書中記載される場合、「アゼライン酸」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬である(CAS ID:90357-06-5)。
【0061】
本明細書中記載される場合、「ブセレリン」は、非ステロイド性抗アンドロゲン薬である(CAS ID:90357-06-5)。
【0062】
本明細書中記載される場合、「対象」という用語は、哺乳類、特にヒトを示す。ある実施形態において、対象は、男性である。ある実施形態において、対象は、女性である。
【0063】
本明細書中使用される場合、脱毛または毛髪脱落を「治療する」または脱毛または毛髪脱落の「治療」という用語は、以下を意味する:(1)状態、障害、または症状に苦しむ可能性があるあるいはその素因を持つ可能性があるが、状態、障害、または症状の臨床症候または無症候性の症状をまだ経験または提示していない哺乳類において発生する状態、障害、または症状の臨床症候の出現を防ぐまたは遅らせること、(2)状態、障害、または症状を阻害すること、すなわち、疾患の発症またはその少なくとも1つの臨床症候もしくは無症候性の症状の発生を停止または減少させること、あるいは(3)疾患を軽減すること、すなわち、状態、障害、もしくは症状、またはその臨床症候もしくは無症候性の症状の少なくとも1つの退縮を引き起こすこと。
【0064】
本明細書中使用される場合、育毛を「促進する」または育毛の「促進」という用語は、育毛を誘導するまたは支援することを示す。ある実施形態において、本発明は、対象において髭成長を促進する。ある実施形態において、育毛促進は、毛周期の成長期段階にある毛包の数を増加させる。ある実施形態において、育毛促進は、毛周期の成長期段階の長さを伸ばすことを含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛周期の成長期段階の開始を増加させることを含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛周期の休止期段階の長さを短縮することを含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛周期の退行期段階の長さを短縮することを含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛周期のケノゲン(kenogen)の長さを短縮することを含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛髪長を延長させることを含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛髪繊維の径を増加させることを含む。ある実施形態において、育毛促進は、毛包にある毛髪の数を増加させることを含む。ある実施形態において、育毛促進は、前頭頭皮硬毛の数を増加させることを含む。
【0065】
本明細書中記載されるとおりの方法及び組成物は、「脱毛」の治療に関連する。「脱毛」の1つの特定形態は、頭皮など、通常は毛髪が存在する皮膚領域から毛髪が抜け落ちたものと説明される「毛髪脱落」である。毛髪脱落は、正常レベルの毛髪脱落または過剰レベルの毛髪脱落いずれかで記載することができる。過剰な脱毛または毛髪脱落は、以下の症状の1つの結果である場合がある:円形脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、休止期脱毛(慢性及び急性)、成長期脱毛、化学療法誘導型脱毛、男性型脱毛症、女性型脱毛症、甲状腺の問題、連珠毛、貧血、先天性貧毛症、貧毛症、短毛髪成長期症候群、成長期脱毛症候群、薬物誘導型及び化学療法誘導型脱毛、瘢痕性脱毛症(毛孔性扁平苔癬、円板状エリテマトーデス、禿髪性毛包炎)、多嚢胞性卵巣症候群、瘢痕性脱毛症(毛孔性扁平苔癬、円板状エリテマトーデス、禿髪性毛包炎)、先天性貧毛症、貧毛症、または栄養不良。ある実施形態において、症状は、男性型脱毛症である。ある実施形態において、症状は、アンドロゲン性脱毛症である。ある実施形態において、症状は、休止期脱毛である。ある実施形態において、症状は、慢性休止期脱毛である。ある実施形態において、症状は、急性休止期脱毛である。ある実施形態において、対象は、女性である。ある実施形態において、対象は、男性である。
【0066】
ある実施形態において、本明細書中記載されるとおりの方法及び組成物は、化学療法誘導型脱毛または過剰な毛髪脱落を減少させ、及び/または化学療法誘導型脱毛または過剰な毛髪脱落からの回復率を上昇させる。ある実施形態において、本明細書中記載されるとおりの方法及び組成物は、円形脱毛症の再発を減少させ、及び/または円形脱毛症からの回復率を上昇させる。
【0067】
本明細書中記載される場合、「口腔粘膜」は、口腔の内側を覆う粘膜を示し、これには、舌下粘膜、頬側粘膜、口唇粘膜、及び/または歯槽粘膜が含まれる。当業者なら分かるとおり、本明細書中記載されるとおりの方法及び組成物は、口腔粘膜を横断することにより血流に入ることができるある用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物に関連する。腸で吸収される用量とは対照的に、口/口腔で吸収される用量は、肝臓での初回通過代謝を迂回する。
【0068】
ある実施形態において、本明細書中記載されるとおりの方法及び組成物は、ある用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物に関連し、少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%は、口腔粘膜を横断することにより血流に入る。ある実施形態において、少なくとも60%が、口腔粘膜を横断することにより血流に入る。ある実施形態において、少なくとも70%が、口腔粘膜を横断することにより血流に入る。
【0069】
対照的に、多くの経口投与薬物は、経口投与用に配合された丸剤または錠剤であり(嚥下され)、腸で吸収される。例えば、保健省薬品・医薬品行政局(TGA)により重症治療抵抗性高血圧症の成人用に認可されたとおりのミノキシジル用量を経口投与した場合、95%が胃腸で吸収される。
【0070】
本明細書中使用される場合、「口腔内崩壊性」という用語は、口/口腔で溶解、崩壊、及び/または分散して、口/口腔での吸収を可能にする用量または剤形を示す。そのような剤形は、「口内溶解」剤形とも称する場合がある。ある実施形態において、口腔内崩壊性用量の少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%は、口/口腔で吸収される。ある実施形態において、口腔内崩壊性用量の少なくとも60%が、口/口腔で吸収される。ある実施形態において、口腔内崩壊性用量の少なくとも70%が、口/口腔で吸収される。
【0071】
本明細書中使用される場合、「舌下」または「舌下で」という用語は、薬理学的投与経路を示し、この経路では、所望の物質が、拡散し、舌の下にある組織を通じて血流へと能動輸送される、及び/またはエンドサイトーシスにより取り込まれる。舌の下にある組織は、非常に多数の毛細血管を含有し、いったん、毛細血管に物質が入ると、その物質は静脈循環に入る。好適な例において、本明細書中記載されるとおりの用量または剤形は、舌下用量であり、舌下用量の少なくとも30%、または少なくとも40%、または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%は、舌下で吸収される。ある実施形態において、舌下用量の少なくとも60%が、舌下で吸収される。ある実施形態において、舌下用量の少なくとも70%が、舌下で吸収される。
【0072】
本明細書中使用される場合、「鼻腔粘膜」は、鼻道を覆う粘膜を示す。当業者なら分かるとおり、本明細書中記載されるとおりの方法及び組成物は、鼻腔粘膜を横断することにより血流に入ることができるある用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物に関連する。
【0073】
ミノキシジルは、受動拡散、能動もしくは担体輸送、及び/またはエンドサイトーシスにより、口腔粘膜または鼻腔粘膜を横断して吸収される可能性がある。
【0074】
当業者なら分かるとおり、本明細書中記載されるとおりの用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、口腔及び/または鼻腔粘膜を横断した吸収用に配合される。口腔粘膜を横断した吸収は、舌下粘膜、頬側粘膜、口唇粘膜、及び/または歯槽粘膜の1つまたは複数を横断した吸収を含む場合がある。好適な実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、舌下粘膜を横断した吸収用に配合される。好適な実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、頬側粘膜を横断した吸収用に配合される。
【0075】
当業者なら分かるとおり、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、ミノキシジルが口腔粘膜を横断することを可能にする任意の剤形で配合することができ、そのような剤形として、ストリップ、カシェ剤、フィルム、トローチ剤、液状マトリクス錠剤、錠剤(ミニ錠剤を含む)、カプセル剤、丸剤、粒剤、ペレット剤、散剤、ドロップ剤、噴霧剤、及びロゼンジ剤が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、噴霧剤は、散剤である。ある実施形態において、散剤は、サシェに封入されている。ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、舌下に置かれた場合に崩壊するストリップ、カシェ剤、ペレット、またはフィルムとして配合される。ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、「口腔内崩壊性ストリップ」、「口腔内崩壊性カシェ剤」、または「口腔内崩壊性フィルム」として配合される。ある実施形態において、ストリップ、カシェ剤、またはフィルムは、舌下で分散/崩壊する。ある実施形態において、フィルムは、例えば、Nagaraju et al.(2013)に記載されるとおり、急速放出型、粘膜付着性溶解消失型、または粘膜付着性持続放出型フィルムから選択することができる。ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、経口ロゼンジ剤として配合される。ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、噴霧剤に配合される。ある実施形態において、噴霧剤は、頬側粘膜及び/または舌下粘膜に噴霧することができる。ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、ナノ粒子組成物ではない。ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、液体ではない。ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、フォーム剤ではない。
【0076】
本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、ミノキシジルが確実に口腔で吸収されるようにするため、急速崩壊するように配合することができる。ある実施形態において、そのような用量または組成物は、唾液及び/または水の存在下で崩壊するように配合されることになる。ある実施形態において、そのような配合物は、唾液の存在下及び/または水の存在下で用量または組成物の崩壊を補助する崩壊剤を含むことができる。
【0077】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.25ng/mL~約10ng/mLのミノキシジル血中濃度をもたらす。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.25ng/mL~約8ng/mLのミノキシジル血中濃度をもたらす。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.25ng/mL~約7ng/mLのミノキシジル血中濃度をもたらす。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.25ng/mL~約6ng/mLのミノキシジル血中濃度をもたらす。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.25ng/mL~約5ng/mLのミノキシジル血中濃度をもたらす。ある実施形態において、本用量のミノキシジルは、約0.25ng/mL~約4ng/mLのミノキシジル血中濃度をもたらす。ある実施形態において、血中濃度は、血漿濃度である。ある実施形態において、血中濃度は、血清濃度である。血中ミノキシジル濃度は、当業者に既知の任意の方法により測定することができ、そのような方法として、例えば、LC MS/MS分析が挙げられる。
【0078】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、約0℃~約40℃で安定である。
【0079】
本明細書中使用される場合、「崩壊剤(disintegrating agent)」、「崩壊剤(disintegration agent)」、または「崩壊剤(disintegrant/s)」は、用量または配合物に添加される、口腔及び/または鼻腔での配合物の崩壊/分散を促進する作用剤を示し、崩壊剤には、超崩壊剤及び沸騰剤が含まれる。崩壊剤は、吸水、毛細管作用、膨潤、変形、反発(例えば、気体の放出)、及び湿潤熱により作用することができる。
【0080】
崩壊剤の例は、Gad et al.(2008)及びRowe et al.(2009)に見ることができ、例えば、デンプン、変性デンプン、架橋デンプン、架橋アルギン酸、変性セルロース及び架橋ポビドン、結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム(Primojel、エキスプロタブ)、Cassia fistulaガム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、デンプンUSP、デンプン1500、アビセル、Solka Floc、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Polyplasdone、アンバーライト、メチルセルロース、AC-Di-Sol、二酸化炭素、Lepidum sativum、ローカストビーンガム、Nymce ZSX、Primellose、Solutab、Vivasol、クロスポビドン、クロスポビドンM、コリドン、ポリプラスドン、Plantago ovata穀皮、Plantago ovata粘液、クエン酸、Satialgine、ダイズ多糖類、重炭酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、処理寒天、Emcosoy、及びケイ酸カルシウムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
口腔内崩壊性フィルムで使用するのに特に適した崩壊剤は、Nagaraju et al.(2013)に記載される。
【0082】
ある実施形態において、崩壊剤は、10秒未満で少なくとも2倍、または10秒未満で少なくとも3倍、または10秒未満で少なくとも4倍、または10秒未満で少なくとも5倍、または10秒未満で少なくとも6倍、または10秒未満で少なくとも7倍、または1
0秒未満で少なくとも8倍に膨潤する。ある実施形態において、崩壊剤は、30秒未満で少なくとも2倍、または30秒未満で少なくとも3倍、または30秒未満で少なくとも4倍、または30秒未満で少なくとも5倍、または30秒未満で少なくとも6倍、または30秒未満で少なくとも7倍、または30秒未満で少なくとも8倍、または30秒未満で少なくとも9倍、または30秒未満で少なくとも10倍、または30秒未満で少なくとも11倍、または30秒未満で少なくとも12倍に膨潤する。
【0083】
ある実施形態において、用量または組成物は、口腔崩壊酵素が口腔で崩壊を促進するように配合される。ある実施形態において、口腔崩壊酵素は、アミラーゼ(デンプンに作用する)、プロテアーゼ(ゼラチンに作用する)、セルラーゼ(セルロース及び/またはその誘導体に作用する)及び/またはインベルターゼ(ショ糖に作用する)である。
【0084】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、口に置かれてから、2分以内、または1分以内、または50秒以内、または40秒以内、または30秒以内、または20秒以内、または10秒以内に崩壊/分散するように配合される。崩壊速度は、当業者に既知の任意の方法により評価することができる。
【0085】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、舌下に置かれてから、2分以内、または1分以内、または50秒以内、または40秒以内、または30秒以内、または20秒以内、または10秒以内に崩壊/分散するように配合される。崩壊速度は、当業者に既知の任意の方法により評価することができる。
【0086】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、ミノキシジルが口腔または鼻腔粘膜に付着するのを補助することにより吸収を促進する作用剤を含むことができる。
【0087】
ある実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、対象にとっての用量または組成物の風味を改善する風味修飾剤を含むことができる。風味修飾剤として、甘味剤及び香味剤が挙げられる。風味修飾剤の例は、Gad et al.(2008)、Rowe et al.(2009)、及びNagaraju et al.(2013)に見ることができ、例えば、マンニトール、アスパルテーム、ショ糖、ブドウ糖、果糖、グルコース、マルトース、ネオテーム、アリテーム、サッカリン、及びソルビトールが挙げられる。
【0088】
本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、ミノキシジルが鼻腔粘膜を横断することを可能にする任意の形状に配合することができ、そのような形状として、以下が挙げられるが、それらに限定されない;ストリップ、カシェ剤、ペレット、フィルム、粒剤、散剤、ドロップ剤、及び噴霧剤/ミスト剤。好適な実施形態において、本用量のミノキシジルまたはミノキシジルを含む組成物は、噴霧剤/ミスト剤として配合され、これは、鼻腔に投与される。
【0089】
当業者なら分かるとおり、そのような剤形または組成物は、当業者に既知の任意の方法により調製することができ、そのような方法として、例えば、以下を挙げることができる:凍結乾燥法(freeze-drying)または凍結乾燥法(lyophilisation)、昇華法、噴霧乾燥法、鋳造成形法、塊状押出し(mass extrusion)、直接圧縮法、溶融造粒法、沸騰法、3D印刷法、インクジェット技法(ミノキシジルを、ストリップ、カシェ剤、及びフィルムに塗布するため)。そのような方法の例は、Dey et al(2010);Jamroz et al(2017);Singh et al(2012)に見ることができる。
【0090】
本明細書中記載されるとおりのフィルムは、当業者に既知の任意の方法によっても調製することができ、例えば、Nagaraju et al.(2013)、Amin et al.(2015)、及びIrfan et al.(2016)に記載される方法により調製することができ、そのような方法として、鋳造及び乾燥法(溶媒流延法及び半固体鋳造法)、射出法(ホットメルト射出法または固溶体射出法)、ローリング成形法、噴霧技法が挙げられる。
【0091】
1つの例において、ホットメルト射出法によるフィルムの製造は、以下を含む:親水性酸不溶性重合体の混合、ミノキシジル及び可塑剤を添加、射出、射出物を乾燥及び切断してフィルムにすること。
【0092】
1つの例において、溶媒流延法によるフィルムの製造は、以下を含む:ミノキシジルを含む溶媒分散液の調製、溶媒分散液の鋳込み、溶媒分散液の乾燥、フィルムの剥ぎ取り、フィルムの包装。
【0093】
1つの例において、固溶体射出法によるフィルムの製造は、以下を含む:ミノキシジルを適切な溶媒と混合すること、ミノキシジルと溶媒の混合物を非混和性成分とともに溶融重合体に加えること、固溶体を切断してフィルムにすること。
【0094】
1つの例において、ローリング成形法によるフィルムの製造は、以下を含む:ミノキシジル及び重合体を含む水またはアルコールの分散液を調製すること、分散液をローラーに施すこと、溶媒をエバポレートすること、切断してフィルムにすること。
【0095】
本明細書中記載されるとおりのフィルムは、以下の1種または複数を含むことができる:膜形成剤、可塑剤、風味修飾剤、界面活性剤、増粘剤、及び/または安定剤、唾液分泌促進剤、着色剤。
【0096】
「膜形成剤」は、膜を形成することができる重合体を示す。ある実施形態において、膜形成剤は、以下から選択することができる:ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、プルラン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ペクチン、デンプン、ポリ酢酸ビニル(PVA)、及びアルギン酸ナトリウム。
【0097】
「可塑剤」は、フィルムの柔軟性を改善する及び/または脆性を低下させる作用剤を示す。ある実施形態において、可塑剤は、以下から選択することができる:グリセリン、ソルビトール、プロピレングリセロール、グリセロール、ヒマシ油、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、及び他のクエン酸エステル。
【0098】
ある実施形態において、本明細書中記載されるとおりの剤形及び組成物は、ヒドロキシアパタイトを含まない。
【0099】
本明細書中で行われてきた、文書、行為、材料、装置、論文などの説明は、本出願の各権利の優先日より前にそれが存在していたという理由で、それらの一部または全部が先行技術の基礎の一部を形成することの承認として、または本開示と関連する分野における共通一般知識であったとして受け取られるべきではない。
【0100】
本明細書全体を通じて、「含む(comprise)」という用語、またはその変形、例えば「含む(comprises)」または「含む(comprising)」は、記述された要素、整数、もしくは工程、または要素、整数、もしくは工程の群を含むが、他のどのような要素、整数、もしくは工程、または要素、整数、もしくは工程の群も排除し
ないことを意味するものとして理解される。
【0101】
当業者には分かるとおり、本開示の広義の一般的範囲から逸脱することなく、多数の変形及び/または修飾が上記の例示に対して行われ得る。したがって、本発明の例示は、あらゆる面において、限定ではなく例として見なされるべきである。
【0102】
本出願は、2018年7月12日出願のオーストラリア仮出願番号第2017902722号、表題「Promoting hair growth and treatment of hair loss or excessive hair shedding」の優先権を主張し、その全内容は、本明細書中参照として援用される。
【0103】
本明細書中開示されるまたは本出願の明細書中示される、工程、特長、整数、組成物、及び/または化合物は個別にまたはまとめて、ならびに2つ以上のそれらの工程及び特長のありとあらゆる組み合わせ。
【実施例】
【0104】
実施例1:舌下ミノキシジルトローチ剤の調製
【0105】
甘味のあるマンゴー香味剤を含む舌下ミノキシジル(0.25mg)トローチ剤を、以下に記載のとおりに調製した:
【0106】
材料:ミノキシジル、甘味のあるマンゴー香味剤粉末、基材としてPCCA Rapid Dissolve Tablet粉末(商標)。
【0107】
配合手順:
【0108】
各錠剤に組み入れるミノキシジルの合計重量を決定する。PCCA Rapid Dissolve Tablet粉末基材の量から、工程1の重量を差し引く。この計算量が、各錠剤あたりに使用すべきPCCA Rapid Dissolve Tablet粉末基材の重量である。Rapid Dissolve Tablet型を使用する場合、型に充填するのに必要とされる成分を96倍する。対流オーブンを110℃に予熱する。注:ミノキシジルは、温度110℃で30分間安定である。幾何学的希釈の原則を利用して、乳鉢及び乳棒で、ミノキシジル、甘味のあるマンゴー香味剤粉末、及びPCCA Rapid Dissolve Tablet粉末基材をまとめて倍散し、粒子径を低下させて、均一混合物を得る。Rapid Dissolve Tablet型に充填するため、RDT型の底板に配合粉末の約半分を流し入れ、穴の充填を開始する。さらに配合粉末を加えて穴を全て充填する。板の角を軽く叩いて、粉末を穴に落とす。追加の粉末を加えて、穴を水平に充填する。穴の間の余分な粉末を除去し、それは保存しておく。焼成準備でのRDTのプレスは、3工程プロセスを必要とする。工程1、粉末をRDT型天板でプレスする。天板を外し、残存配合粉末の一部で穴を充填する。穴の間の余分な粉末を除去し、それは保存しておく。工程2、天板で再度プレスする。天板を外し、残存配合粉末で穴を充填する。工程3、天板で再度プレスし、天板を外す。充填したRDT底板を、対流オーブンの中段で、100℃~110℃で30分間焼成する。RDT型を対流オーブンから取り出し、室温で5分を超えない時間だけ放冷する。RDT型から錠剤を取り出し、RDTは、さらに15~30分間放冷する。錠剤をAmber Roundブリスターパックに入れて包装する。上記プロトコルを用いて調製したトローチ剤の使用期限は、180日間と推定される。
【0109】
実施例2:舌下ミノキシジルポリグリセリントローチ剤の調製
舌下ミノキシジル(0.25mg)ポリグリセリントローチ剤は、以下に記載のとおり
に調製した:
【0110】
材料:ミノキシジル、シリカゲル(PPTD)微粒子、香味剤、基材としてPCCAポリグリセリントローチ(商標)。
【0111】
配合手順:ビーカー中、攪拌しながら、溶融PCCAポリグリセリントローチ基材を50℃~55℃で溶融させた(溶融は、マイクロ波では行わなかった)。乳鉢及び乳棒を使用して、ミノキシジル及びシリカゲルをまとめて倍散して、微細粉末にした。工程2の粉末を、溶融した基材に振り入れて、均等に分散するまで混合した。次に、香味剤を加え、組成物を十分に混合した。次いで、混合物を型に注ぎ入れ、室温で凝固させた。上記プロトコルを用いて調製したトローチ剤の使用期限は、180日間と推定される。
【0112】
実施例3:0.45mg舌下ミノキシジルまたは偽薬のミニ錠剤の調製
舌下ミノキシジル錠剤を、以下に記載のとおりに調製した:
【0113】
材料:ミノキシジル、結晶セルロース(PH-102)(Fargon、#2059/165002784)、ポリエチレングリコール1450MW NF(基材A;PCCA、#30-1013)、及びシリカゲルPPTD微粒子(PCCA#30-1009)。
【0114】
配合手順:型の一面を、Lab Film-Parafilm M(商標)で覆う。適切な寸法のビーカー中、基材Aを50℃で溶融させる。乳鉢及び乳棒を使用して、ミノキシジルまたは偽薬を、結晶セルロース(PH-102)倍散剤及びシリカゲルとまとめて倍散して、微細粉末にする。溶融した基材を撹拌しながら、粉末をそこに振り入れる。ふるいを使用することで、粒子径を確実に小さくする助けとする。加熱を中断し、懸濁液になるまで撹拌する。適切な寸法のシリンジを使用して、溶融混合物をTablet Triturate 200mg型に分注し、室温で凝固させる。最終生成物は、日光から保護すべきであり、気密性容器に入れて保存すべきである。
【0115】
実施例4:1mgミノキシジルカプセル剤(比較例)の調製
経口ミノキシジル錠剤を、以下に記載のとおりに調製した:
【0116】
材料:ミノキシジル、結晶セルロース(PH-102)(Fargon、#2059/165002784).
【0117】
配合手順:幾何学的希釈の原則を利用して、乳鉢及び乳棒で、ミノキシジル及び結晶セルロース(PH-102)を倍散剤とまとめて混合する。Profiller 1000カプセル装置を用いて、サイズ#3のカプセルに封入する。配合後の使用期日は、180日と推定される。
【0118】
実施例5:患者の血圧に対する舌下ミノキシジルの評価
各個人(5)に、舌下ミノキシジル(
図1に示すとおり、舌下トローチ剤として2.5mg配合)を投与し、投与後、6時間、血圧をモニタリングした。評価した期間中、有害症候、体位性低血圧、または血圧変化は、記録されなかった。
【0119】
実施例6:毛髪数に対する舌下ミノキシジルの評価
3人の女性を12週間、舌下ミノキシジル(実施例2で調製したとおりの舌下トローチ剤として0.25mg配合)で毎日処置した。
図2~
図7及び表1に示すとおり、3人の患者全員で合計毛髪数の増加が観察された。増加範囲は、19.2%~37.7%までに及んだ。
【0120】
【0121】
実施例7:男性型脱毛の治療用舌下ミノキシジルの薬物動態
目的:
【0122】
AGAの男性及び女性における、ミノキシジルの舌下投与の薬力学及び降圧効果を調査すること。
【0123】
概要:
【0124】
ハミルトン・ノーウッド分類ステージIII vertex、IV、またはVの男性及びSinclairステージ2~5型の脱毛の女性を、ミノキシジル0.45mgを舌下で用いて処置した。毛髪数の計測は、ベースライン及び6週間後に撮影された皮膚鏡検画像で行った。ミノキシジルの血清濃度及び血圧を、ベースライン、最初の用量の直後、ならびに15分、30分、1、2、4、6、及び24時間に再度評価した。定常状態血清濃度を、8週間の毎日投与の後に測定した。13人の患者で毛髪数計測を行った。6週間で、患者は全員、前頭部及び頭頂部の両方で硬毛が増加した。前頭頭皮硬毛の平均増加数は、69.13毛髪/cm2(範囲は4~133毛髪/cm2)であり、頭頂頭皮硬毛数では、97.38(範囲は31~253毛髪/cm2)であった。患者は全員、6週間で、頭皮全体写真において軽度または中度いずれかの改善を示した。血清濃度は、5人の患者で、ミノキシジルの最初の用量後に測定した。ピーク血清濃度は、全て、1時間以内に到達し、2時間後、血清中に検出可能なミノキシジルは存在しなかった。平均ピーク濃度は、1.42ng/ml(範囲は2.6~0.6ng/ml)であった。ミノキシジル0.45の舌下投与は、血圧に影響を及ぼさなかった。有害事象は記録されなかった。最短で6週間の間毎日、ミノキシジル0.45mgを舌下で投与された患者の中で、血清中にミノキシジルは検出されなかった。ミノキシジル0.45mgの単回舌下用量後の平均ピーク血清濃度は、1時間後に到達したもので、1.42ng/mlであり、5%ミノキシジルローション(1.8ng/ml)の外用塗布後に見られる平均ピーク血清濃度より低く、またあらゆる血行動態効果に関する最低量閾値よりも十分に低かった(20ng/ml)。ミノキシジルは、2時間後には検出不能であり、連続投与により蓄積しない。ミノキシジル0.45mgの1日1回舌下投与で見られた毛髪の再成長は、外用または経口ミノキシジルによるものよりも大きく、またより早く検出される。本発明者らは、舌下ミノキシジルが、外用または経口ミノキシジルのいずれよりも優れた安全性及び有効性プロファイルを有することを提唱する。
【0125】
序文:
【0126】
ミノキシジルは、ピペリジノピリミジン誘導体であり、重度高血圧症に経口で有効な強力な血管拡張剤である。その血行動態効果に関して、ミノキシジルはプロドラッグであり、肝酵素スルホトランスフェラーゼにより活性化されて、硫酸ミノキシジルになる。毎日5~100mg用量の経口ミノキシジルは、高血圧患者では血圧の大幅な低下をもたらす可能性があるが、正常血圧の個体の血圧には最低限の効果しかなかった。反射性頻脈及び
ナトリウム貯留は、交感神経活動の増加の結果として生じる可能性がある。ミノキシジルの12時間定常状態静脈内注入を用いて、血清濃度/血行動態反応関連性を調査した。あらゆる血行動態反応に関する血清濃度閾値は、20ng/mlである(Ferry et
al.,1996)。
【0127】
ヒトでは、経口ミノキシジルは、胃腸管を通じて十分に吸収される(>90%)。投与から1時間後、2.5mg及び5mgのミノキシジル経口用量は、それぞれ、18.5及び41ng/mLのピーク血清濃度をもたらした。経口ミノキシジルは、1979年に、高血圧治療用としてFDAにより認可された。男性型アンドロゲン性脱毛症の脱毛を改善することが最初に見つかったのは、1980年であった。外用で使用した場合、ミノキシジルは、MPHLの男性の約60%で脱毛を停止させるまたは軽度から中度の毛髪再成長を誘導することが示された。外用ミノキシジルは、5%濃度で、12ヶ月で平均12.3%の毛髪数の増加をもたらすことが示された。外用ミノキシジルは、1988年に、男性型脱毛治療用としてFDSにより初めて認可された。これは、局所的刺激及び低出現率の接触皮膚炎という副作用のみを伴う安全な治療法であるように思われる。治療を中止した場合、治療が施されていなかった場合に存在すると思われる脱毛状態への臨床的後退が6ヶ月以内に生じる。患者にとっては、有益な効果が何であれ、それを維持するためには、使用を無期限で続けなければならない。
【0128】
外用ミノキシジルは、血圧または脈拍数に最小限の効果しか有さない。外用ミノキシジルの育毛に対する効果は、用量に関連する。約1.5~4%のミノキシジルが外用で吸収される。1日2回の用量より頻繁に使用しても、吸収をさらに増やすことはない。というのも、最初の用量が、試験した投与間隔よりも長い期間、皮膚で飽和しているからである。
【0129】
頭皮に1日2回外用塗布した後のミノキシジルの平均血清濃度は、2%ミノキシジル(20mg/ml)で0.7ng/mlであり、5%ミノキシジル(50mg/ml)で1.8ng/mlである。皮膚吸収の個体差により、ピーク濃度の相当な違いがもたらされ、ミノキシジル5%ローションを使用した患者の約10%は、10ng/mlを超える濃度に到達する。記録された血清濃度の最高値は、18.2ng/mlであったが、これは、血行動態効果が最初に報告されたときの血清濃度(20ng/ml)より低い。
【0130】
2006年には、5%ミノキシジルフォーム剤も、男性AGA用に認可され、2014年には、女性型脱毛用に認可された。フォーム剤で皮膚吸収の増加が生じ、フォーム剤3グラムを頭皮に外用で塗布した場合、平均血清濃度11.5ng/mlが見られる。
【0131】
経口ミノキシジル(嚥下され、腸で吸収される用量)も、アンドロゲン性脱毛症の治療に使用されてきた。外用5%ミノキシジル1日1回の治療対経口ミノキシジル1mgを毎日の治療を24週間比較する付き合わせ比較試験では(社内資料)、年齢20~68歳でSinclairステージ2~5のFPHLの女性41人を治療した。ベースラインの平均毛髪密度は、どちらの群も95毛髪/cm2であった。外用ミノキシジル群の硬毛数の増加平均は、7/cm2であり、経口ミノキシジル群では27/cm2であった。平均的な頭皮の有毛面積は630cm2であるので、頭皮毛髪数は、ベースラインで、約60,000本である。毛髪密度が7毛髪/cm2上昇すると、4600本の毛髪がさらに生えてくることになり、一方毛髪密度が27毛髪/cm2上昇すると、17,000本の毛髪がさらに生えてくると思われる。
【0132】
ミノキシジルの舌下投与の薬力学及び降圧効果を調査する目的で、以下を評価した:
【0133】
1.アンドロゲン性脱毛症の男性26人及び女性10人の毛髪再成長に対する1日1回
の舌下ミノキシジル0.45mg(実施例3で調製したとおり)の効果を調査した。
【0134】
2.ミノキシジル(実施例3で調製したとおり)の単回用量後、7人の患者のミノキシジル血清濃度を測定した。ミノキシジル血清濃度及び血圧を、ベースライン、初回用量直後、ならびに15分、30分、1、2、4、6、及び24時間後に再び評価した。
【0135】
3.舌下ミノキシジル0.45mg(実施例3で調製したとおり)を1日1回、最短で6週間摂取した患者の定常状態ミノキシジル血清濃度を測定し、様々な用量のミノキシジルカプセル剤を最短で6週間摂取した患者の濃度と比較した。
【0136】
結果:
【0137】
1.毛髪数-全体写真:結果の盲検評価は、0.45mgを舌下で投与された患者のうち5人が、試験処方の開始から8週間後、正中線毛髪密度のわずかな上昇を示したことを示す。最短6週間ミノキシジル0.45mgを舌下で毎日投与された患者2人の臨床評価は、毛髪密度に中度の上昇(+2)を示した。
【0138】
1.毛髪数-超接写写真:最短6週間ミノキシジル0.45mgを舌下で毎日投与された患者13人で毛髪数計測を行った。患者は全員、前頭部及び頭頂部の両方で毛髪数の増加を提示した。前頭頭皮硬毛の毛髪数のベースライン平均は、189.33毛髪/cm2(範囲110~249毛髪/cm2)であり、頭頂頭皮硬毛では、185.25(範囲64~313毛髪/cm2)であった。前頭頭皮硬毛の増加平均は、69.13毛髪/cm2(範囲4~133毛髪/cm2)であり、頭頂頭皮硬毛では97.38(範囲31~253毛髪/cm2)であった。前頭頭皮の毛髪数は、倍率にして、最小で1.02倍及び最大で1.9倍の増加を示す(範囲110~358毛髪/cm2)。頭頂頭皮部の増加倍率は、最小で1.13倍であり、最大で5倍である(範囲64~317毛髪/cm2)。
【0139】
2.単回用量後のミノキシジル血漿レベル:5人の患者に舌下ミノキシジルを投与し、7人の患者に偽薬を投与した。ピーク血清濃度は全て、1時間以内に到達し、2時間後には、血清中に検出可能なミノキシジルは存在しなかった。平均ピーク濃度は、1.42ng/ml(範囲2.6~0.6ng/ml)であった。これは、2.5mgミノキシジル錠剤で見られるピークレベルより10倍低く、5mgミノキシジル錠剤で見られるピーク用量より25倍低い。ミノキシジルがピーク濃度となった時点で、血圧の変化は、どの患者においても検出されなかった。
【0140】
3.ミノキシジル定常状態濃度:最短6週間ミノキシジル0.45mgを舌下で毎日投与された患者2人を評価した。これらの患者の誰にもミノキシジルは検出されなかった。30人の患者に、2~12ヶ月の間、ミノキシジルを舌下で投与した。副作用は報告されなかった。生化学的異常は検出されなかった。多毛症、頻脈症、体液貯留、または体位性低血圧を生じた患者はおらず、平均血圧の低下もなかった。試験参加者は全員、24週間の治療を完了した。
【0141】
ミノキシジル0.45mgの単回舌下用量後のピーク血清濃度は、1時間で到達し、2時間後には、ミノキシジルは血清中に検出されなくなる。平均ピーク血清濃度は1.42ng/mlであったが、これはミノキシジル2%(0.7ng/ml)の外用塗布後に見られる平均ピーク血清濃度より高く、しかし5%ミノキシジルローション(1.8ng/ml)の外用塗布後に見られる平均ピーク血清濃度より低く、また、あらゆる血行動態効果に関する最小用量閾値(20ng/ml)より十分に低い。ミノキシジルは、連続舌下投与しても蓄積せず、またミノキシジルは、舌下ミノキシジルを使用した患者の誰の血清中にも検出されなかった。
【0142】
ミノキシジル0.45mgの1日1回舌下投与で見られた毛髪の再成長は、外用または経口ミノキシジルによるものよりも大きく、またより早く検出される。前頭頭皮硬毛の増加平均は、69.13毛髪/cm2(範囲4~133毛髪/cm2)であり、頭頂頭皮硬毛では97.38(範囲31~253毛髪/cm2)であった。これは、前頭頭皮にわたり毛髪数がベースラインから36.5%増加したことを表し、頭頂頭皮ではベースラインから52.5%増加したことを表す。背景データは、ミノキシジルローションが、毛髪密度の7毛髪/cm2上昇をもたらし、経口ミノキシジルが毛髪密度の27毛髪/cm2上昇をもたらすことを示唆する。
【0143】
本発明者らは、舌下ミノキシジルが、外用または経口ミノキシジルのいずれよりも優れた安全性及び有効性プロファイルを有することを提唱する。ミノキシジルは、経口で摂取された場合、胃腸粘膜を通じて吸収されて、肝臓に輸送され、そこで広範囲の初回通過代謝を受ける。代謝産物は、不活性であるか、硫酸ミノキシジルの場合には全身性で活性であるが、皮膚に拡散して標的組織、すなわち毛包球に到達する可能性が低いか、いずれかである。
【0144】
ミノキシジルが、舌下で摂取される場合、これは、口腔粘膜を通じて吸収されて血液循環に入り、毛包に直接送達される。酵素スルホトランスフェラーゼ(毛球外根鞘上皮に見られる)による毛包内での活性代謝産物硫酸ミノキシジルへの変換は、分子が大きくなりすぎて拡散して出て行けなくなるため、硫酸ミノキシジルを毛包内に捕獲しておく。
【0145】
循環ミノキシジルは、プロドラッグであるため、どのような血液学的効果も有さない。循環ミノキシジルは、迅速に排出され、1時間後には血液循環中で検出不能になる。
【0146】
外用ミノキシジルの皮膚吸収は、4倍から1~4%まで様々である。その結果、患者によってはミノキシジルローションの外用塗布後に全身症候が出ることがある。ミノキシジルの舌下吸収はほぼ100%であるため、ピーク血清濃度の個人間変動は最小限であり、したがって、全身症候は患者の誰にも見られず、外用ミノキシジルで起こるよりもはるかに起こりにくいように思われる。肝臓スルホトランスフェラーゼの個人間変動は、よく認識されているので、患者によっては、たとえ低用量で使用したとしても、ミノキシジルの経口摂取後に全身症候が見られる可能性がある。舌下投与は、肝臓初回通過代謝を迂回するので、全身症候は、経口ミノキシジルで起こるよりもはるかに起こりにくい。
【0147】
驚いたことに、舌下ミノキシジル0.45mgは、経口ミノキシジル1mgよりも多くの毛髪を成長させ、毛包の生体利用度がより高いことを反映している可能性が最も高い。
【0148】
実施例8:女性型脱毛(FPHL)または男性型脱毛(MPHL)いずれかと診断された患者における低用量舌下ミノキシジルの評価
【0149】
目的:
女性型脱毛(FPHL)または男性型脱毛(MPHL)いずれかと診断された男性及び女性における、ミノキシジルの舌下投与の薬力学及び降圧効果を調査すること。
【0150】
序文:
【0151】
FPHL及びMPHLはどちらもアンドロゲン性脱毛症(AGA)により生じる。AGAは、社会で最も一般的な脱毛原因である。AGAでは、脱毛は、遺伝的に易罹患生の個体においてアンドロゲン介在型毛包小型化により生じる。病的状態は、主に心理的であるが、早期発症MPHLは、前立腺癌及び循環器疾患のリスク上昇と関連しており、身体的
魅力の低下、不安、及び時には抑うつを引き起こす可能性がある。女性では、FPHLは、高血圧、高コレステロール血症、遅発性糖尿病と関連し、多嚢胞性卵巣症候群の特徴である場合がある。FPHLは、自信の低下、身体的魅力、不安、気分、及び抑うつも引き起こす可能性がある。
【0152】
ミノキシジルローションは、10%プロピレングリコール水基材を用いて2%溶液で塗布した場合に、患者の30%で軟毛を硬毛に変換するのに有効であることが示されてきている。溶液1mlを、頭皮に1日2回塗布する。一時的な休止期脱毛が、最初の8週間以内で起こる可能性がある。5%溶液を用いた治療は、女性及び男性両方において2%溶液に比べて優れた育毛をもたらした。プロピレングリコールを含まないフォーム配合物は、引き起こされる皮膚副作用が少ない。
【0153】
公開されたMPHLの臨床試験は、外用ミノキシジル治療に限定される。組織学的には、外用ミノキシジルで治療された患者は、成長期にある毛包数が増加し、毛髪径がより太くなる。
【0154】
試験計画:
【0155】
この試験は、舌下ミノキシジルの効果を偽薬と比較する単一施設、無作為化、二重盲検試験である。試験参加者は、試験処方を24週間投与され、続いて4週間後に経過観察で来診する。目的及び評価項目を表2にまとめる。
【0156】
目的は、40人の試験参加者を登録することである。男性及び女性試験参加者は、無作為に分けられて、1)0.45mg舌下ミノキシジルを1日1回、または2)偽薬、いずれかを投与される。
【0157】
試験のための来診は、スクリーニング時、ならびに試験の0、8、16、24、及び28週目に予定される。試験2週目(来診3回目)は、施設スタッフによる電話相談になる。
【0158】
【0159】
試験参加者:
【0160】
年齢18歳~65歳の男性及び女性であり、それぞれ、MPHL及びFPHLと臨床診断されている患者。患者は、健康状態が良好であり、以下に概要を述べる選択基準及び除外基準を満たしていた/満たす。
【0161】
舌下ミノキシジルは、活性ミノキシジルの単回0.45mg用量として提供された/される。各参加者は、治療来診1回目で、試験期間中の群に無作為に割り振られる。
【0162】
選択基準:年齢18歳~75歳の男性及び女性;ハミルトン・ノーウッド分類スコアが3(III)Vertex、4(IV)、4(IV)a、5(V)、5(V)a、及び6
のMPHL、またはSinclair尺度のスコアが2~5のFPHLという臨床診断;妊娠の可能性がある女性患者は、受胎調節の適切な方法を使用することに同意し、スクリーニング来診及びその後の全ての来診時に尿妊娠検査が陰性である;治験責任医師による判断では、全身の健康状態が良好である;全ての試験来診に参加し、ならびに治療計画及び要求される臨床検査に従う意思があり、またそうすることが可能である;試験期間中、スクリーニング来診時と同じ髪型を維持する意思がある;白髪を隠すために毛髪を染めている患者の場合、治療来診の2~3日前に毛髪を染めに行く意思がある;試験期間中、穏やかな非薬用シャンプー及びコンディショナーを使用する意思がある;頭皮に1ミリメートルの一過性入れ墨を入れる意思がある;説明・同意用紙(ICF)を理解することができ、そこに署名及び日付を書く意思がある。
【0163】
除外基準:試験中または治療来診1回目の前12週間以内に、5アルファレダクターゼアンタゴニスト処方(例えば、フィナステリド、デュタステリド)、抗アンドロゲン薬治療(例えば、スピロノラクトン、フルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン)、外用または経口ミノキシジルを含むPHL治療を受けている;試験中または治療来診1回目の前6週間以内に、いかなるものであっても頭皮育毛製品(ケトコナゾールシャンプー、外用プロスタグランジンもしくはプロスタノイド治療、アミネキシル、ナイオキシン、Fusion Hair 101、多血小板血漿注射、低レベルLED光線治療)を使用している;疾患、障害、または医学療法、あるいは反応の臨床評価もしくは写真評価を混乱させる可能性のある他の種類の脱毛による、治療範囲での頭皮脱毛がある;頭皮に、皮膚疾患(例えば、乾癬、アトピー性皮膚炎、皮膚癌、湿疹、日焼け、脂漏性皮膚炎)、切傷、及びまたは擦過傷がある、あるいは治験責任医師の所見では、試験参加者にリスクを及ぼす可能性がある、または試験の実行もしくは評価を間違える可能性がある、治療範囲の状態である(例えば、日焼け、入れ墨);毛髪回復手術の履歴がある;反応評価を妨げる可能性のある、頭を覆うカツラ、ヘアエクステンション、または付け毛を現在使用している;試験処方に含まれるいずれかの成分に対して、過敏症またはアレルギーの病歴がある;染料顔料に対して既知のアレルギーがある;現在、あるいはスクリーニング来診前の3ヶ月以内または治験製品の半減期の5倍の長さ、いずれか長い方で、その他の治験薬または医療用デバイス試験に参加しており、その試験は、研究的治験処方の投与または医療用デバイスの使用を含んでいた;治験製品に対して既知の敏感性がある;治験責任医師の判断では、臨床上意義のある心不整脈の病歴がある試験参加者;治験責任医師の初見では、試験の目的を妨げるまたは試験参加者にリスクをもたらす可能性がある、病歴、臨床検査値、心電図(ECG)、またはバイタルサインから臨床上意義のある所見を有する試験参加者;降圧薬処方(心臓&腎臓併存症)を使用している;妊娠している、妊娠を計画している、または育児中である。
【0164】
36人の試験参加者をスクリーニングした。スクリーニングした男性数/女性数は、26/10であった。スクリーニング後、7人を除外した(試験処方を投与する前):女性2人、男性5人。7人がスクリーニング失格であった:女性3人、男性4人。一般的理由:脱毛の最低基準を満たさなかった。登録された試験参加者の人数(試験処方を開始した):21人(女性4人、男性17人)。男性参加者の1人は、処方投与された後、除外された(4週間後、頭痛部位の訴え)。
【0165】
【0166】
0.45mg舌下ミノキシジル用量:
【0167】
舌下ミノキシジル用量は、実施例3に記載のとおりに調製した。
【0168】
データ分析のサブグループ:
【0169】
8週目まで完遂した試験参加者数:12(女性2人、男性10人)。試験が進むことで、提供されるデータは、8週間(0.45mg舌下ミノキシジル)投与された参加者のものとなった。この時点は、試験に計画された治療期間(24週間)の3分の1に当たる。これら12人の試験参加者からのデータを、8週目のマークで分析した。試験は依然として継続中であるので、分析は、盲検で行った。
【0170】
この試験のデータ群:
【0171】
人数統計;治験責任医師の頭皮評価:Sinclair尺度(女性)またはハミルトン・ノーウッド(男性)分類等級;全体写真;超接写写真;脱毛の履歴;舌下ミノキシジル薬物動態;8週目の治験責任医師の尺度評価(男性の場合はハミルトン・ノーウッド尺度及び女性の場合はSinclair尺度);患者報告結果;皮膚科学的生活の質指数(男性);男性の育毛アンケート(男性);女性のAGAの生活の質に関するアンケート(女性);Sinclair尺度(女性)及び毛髪脱落尺度(全員)。
【0172】
臨床評価:
【0173】
臨床検査分析用の非絶食時血液及び尿試料は、資格を持った試験スタッフにより、スクリーニングで、8、24、28週目に採取する。全ての試料は、民間の病理試験所により施設外で処理及び分析される。最低でも、以下の試験を行う:
【0174】
化学検査パネル:アルブミン、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、血中尿素窒素、重炭酸塩、カルシウム(補正後合計)、塩化物、尿素、クレアチニン、グルコース、乳酸デヒドロゲナーゼ、カリウム、ナトリウム、ビリルビン(合計)。
【0175】
血液検査:ヘモグロビン、ヘマトクリット、赤血球(RBC)、白血球(WBC)分類、及び血小板数。
【0176】
尿検査:色、透明度、比重、pH、タンパク質、グルコース、ケトン、亜硝酸塩、白血球、及び潜血。尿検査値が正常範囲を超えており、顕微鏡検査が臨床上妥当であると治験責任医師が判断した場合には、尿顕微鏡検査を行う。
【0177】
治験責任医師または医療計画者は、最初の治療来診の前に、各試験参加者のスクリーニ
ング来診時臨床検査試験の結果を再検討しなければならない。試験参加者は、検査値についてスクリーニング来診時の結果のいずれかが正常範囲外にあり、治験責任医師の所見では、それが臨床上意義のあるものであるならば、治療来診1日目に無作為で群に割り振られてはならない。臨床検査試験の結果は、検査所の標準報告書で報告される。
【0178】
病歴、バイタルサイン、及び心電図の結果も収集する。
【0179】
人数統計/バイタルサイン/安全血圧:
【0180】
試験に登録された21人の試験参加者のうち、12人が、8週目の来診まで完遂した。これら12人の試験参加者を、ここから、試験集団と称する。登録された試験参加者のうち相当のパーセンテージは、コーカサス人と同定され(8人の試験参加者、66.6%)、3人は、アジア人と同定され(25%)、1人はアフリカ系アメリカ人(8%)と同定される。試験参加者の平均年齢は、48.25であり、スクリーニング時最も若い試験参加者は、25歳であり、最高齢は61歳である。どちらも男性参加者である。スクリーニング時に併存症の報告はなかったが、ただしスクリーニング時に数人の患者で低脂血症が報告され、これは病歴登録と判断された。2人の女性参加者の平均体重は、68.8kgであった。これら2人のうち、1人の試験参加者は、BMI計算に基づき肥満に分類された(34.02)。男性参加者の平均体重は、89.4kgであった。最も体重の重い男性は、135kgあり、BMIが39.4で、そのため肥満に分類された。8週目の来診時、全ての試験参加者で、明らかな有害事象は報告されなかった。安全血液プロファイルは、正常範囲内の表示に戻った。無作為分類の日及びその後の8週目に採取された血圧表示に、有意差はなかった。呼吸数及び鼓膜温度も、全ての試験参加者で、正常範囲内であり、有意差はなかった。試験集団の12人の試験参加者の人数統計を以下の表4に記載する。
【0181】
【0182】
治験責任医師の頭皮評価:Sinclair尺度(女性)またはハミルトン・ノーウッド(男性)分類等級
【0183】
女性参加者の脱毛重症度の最低基準は、グレード2であり、最大はグレード5である。スクリーニング時のISAは、各女性参加者について、Sinclair尺度2及び3であった。8週目の来診時、女性参加者の1人について、グレード3~2のわずかな上昇が、治験責任医師により観察された。しかしながら、もう1人については、変化は観察されなかった。試験は進行中であり、薬物処方は依然として盲検であるので、毛髪密度の変化の最終的な治療結果(24週目)は、この報告では結論づけることができない。男性参加者の登録の最低基準は、グレードIII-Vertexであり、最大はVIである。このデータ群で分析された男性のうち2人は、最低基準を満たしており、10人の男性参加者のうち最も重症であったのは、グレードVaであった。
【0184】
全体写真:
【0185】
標準化された全体写真を、試験0週目(薬物処方の施行前)及び8週目に撮影する。その後の16、24、及び28週目の来診も、全体写真を含める。頭頂及び前頭頭皮の写真を、固定された高さから、専用SLRカメラで撮影する。12人の患者全員について現在照合された全体写真を、盲検評価者により評価させた。ベースラインと8週目とでの写真の比較は、指定盲検評価者により行われた。評価の結果は、12人の試験参加者のうち2人の写真が、毛髪密度の低下を示唆することを示す。8人の試験参加者の評価結果は、毛髪密度のわずか~中度の増加を示唆する。代表的な画像を、
図9、
図10、及び
図11に
示す。
【0186】
超接写写真:
【0187】
標準化された頭皮超接写撮影(SSM):治療範囲の標準化されたカラー頭皮超接写写真を、試験0週目(薬物処方の施行前)、8、16、24、及び28週目に収集する。評価は、FotoFinder Leviacamを用いて、Tricholab(TL)スナップ撮影ソフトウェアで行う。Leviacamには、着脱式レンズが装着されている。SSMは、2つの部分で行う:1)毛髪の1対1(H2H)付き合わせフォトトリコグラム、及び2)H2H-付き合わせフォトトリコスコピーである。最初のSSM手順は、ベースライン(0週目)で行う。超接写撮影のために頭皮で印付ける点を決定するのに占有スポットテンプレートを補助として使用する。スポットのペア(×3)を、患者の頭皮で印付ける:ペアの1つはフォトトリコグラム用であり、2つはフォトトリコスコピースポットである。代表的な画像を、
図12、
図13、
図14、及び
図15に示す。
【0188】
H2H付き合わせの背景:H2H付き合わせは、治療期間全体を通じて、個々の毛髪、ならびに同時期にわたり出現してきた新たな毛髪(空の毛包から)の同定を可能にする。これは、正確な本数を提供し、試験処方により誘導された変化の有効性と関連づける。H2H付き合わせは、以下の評価を提供する:
1.毛髪数&密度、毛包位置
2.毛幹太さ及びその分布
3.軟毛&硬毛のパーセンテージ、累積毛髪太さ、毛包単位密度のパーセンテージ、単髪毛包単位のパーセンテージ、多髪毛包単位のパーセンテージの派生量。
【0189】
3つの上記パラメーターのそれぞれについて、比較は、計数及び直径から派生するものが可能である。H2H付き合わせ手順は、全体平均のレベルでは視認できないと思われる同一毛髪の毛幹径に対する非常にわずかな処方効果の信頼できる検出を可能にする。治療前後で行われた患者検査の比較分析も、個々の毛髪レベルで行われて、統計上最も重要な結果(レベル2のH2H付き合わせ)を得るとともに、処方に対する頭皮反応の深い理解を得る。
【0190】
H2H付き合わせフォトトリコグラム:関心対象領域(ROI)は、あらかじめ印付されたスポット(複数可)周囲の範囲として規定される。円形剃毛用テンプレート(直径2cm)を用いて、ROIを剃毛し、今後の来診時に将来的に同定するために小さい美容用入れ墨をその範囲に施す。続いて、その範囲の画像を3枚撮影し、うまく撮影できるたびにブラッシングして、個々の毛髪の房全てを動かし、それらが高い精度で同定できるようにする。また、この手順は、育毛速度、ならびに成長期/休止期率の評価を可能にする。
【0191】
H2H付き合わせフォトトリコスコピー:H2Hフォトトリコスコピーは、従来必要であった試験参加者毛髪の剃毛または刈り込みをせずに、毛髪及び頭皮ROIの超接写撮影を可能にする。上記したように、専用スポットテンプレートを用いて、頭皮に2対のスポット(前頭及び前頭頭頂範囲)を印付けする。続いて、その範囲の画像を3枚撮影し、うまく撮影できるたびに再度ブラッシングして、個々の毛髪の房全てを動かし、それらが高い精度で同定できるようにする。仮想入れ墨技術を用いて、あらかじめ印付けしたスポットが整列していること及び画像が同一方向を向いていることを確実にする。画像は全て、分析及び比較報告(ベースラインとその後の来診との間で)用に中央サーバーにアップロードされる。
【0192】
脱毛の履歴:
【0193】
8人の試験参加者は、母方または父方の親戚が脱毛を患っていたことを報告した。これら8人のうち、5人は、脱毛が父方の親戚であると報告した。脱毛を患っている兄弟の報告もあるが(5人の試験参加者)、その兄弟が男性であるか女性であるかは不明である。12人の試験参加者のうち3人は、脱毛の家族歴がないことを報告した。試験参加者のうち半分未満で、脱毛について以前に治療を試みたことがあると報告された。治療は、主に、外用ミノキシジル(Regaine)を用いたものであった。外用ミノキシジルの治療期間は、記録されておらず、外用ミノキシジルと試験処方の開始の間の時間的経過も記録されなかった。しかしながら、治験責任医師は、関連する基準を注記の上で試験参加者を登録した(除外基準1.試験中または治療来診1回目の前12週間以内に、5-アルファレダクターゼアンタゴニスト処方(例えば、フィナステリド、デュタステリド)、抗アンドロゲン薬治療(例えば、スピロノラクトン、フルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン)、外用または経口ミノキシジルを含むPHL治療を受けている。)
【0194】
舌下ミノキシジルの薬物動態:
【0195】
舌下ミノキシジル用量の薬物動態を評価して、臨床試験から収集されたヒト血漿試料中のミノキシジル濃度を特定した。
【0196】
材料:ミノキシジル、マイクロピペッター及びピペット、ヒト由来血漿(Sigma Aldrich、St Louis、MO、#P9523-5mL)、C18カラム(Ascentis(登録商標)Express 53822-USupelco、Sigma-Aldrich、CastleHill、New South Wales、Australia)、酢酸エチル(EMSURE(登録商標)、Merck、#1.09623.2511)、メタノール(LiChrosolv(登録商標)LC-MSグレード、Merck)、及びHPLCバイアル(Grace Discovery Sciences、Epping、VIC、Australia、#12962)。
【0197】
溶液及び溶液調製:ヒト由来血漿(Sigma Aldrich、#P9523-5mL):取扱説明書に従い、MilliQ水5mLをボトルに入れ、十分に混合して、ヒト血漿のブランクを構築する。ミノキシジル:原液(1mg/mL):ミノキシジル(1mg)をメタノール1mLに溶解させ、冷蔵庫に貯蔵する。作業液の作成:原液10μLをメタノール990μLに加えて、10μg/mLの溶液を得る。10μg/mLの溶液20μLをメタノール980μLに加えて、200ng/mLの溶液を得る。200ng/mL作業液から、系列希釈して、2.5、5、10、20、及び50ng/mLを作成する。移動相A(0.1%ギ酸含有MilliQ水):0.1%ギ酸1mLをMilliQ水1Lに加える。移動相B(メタノール):LC-MS超純度メタノールを、移動相Bとして使用する。
【0198】
方法:対照及び臨床ヒト血漿試料を、室温で解凍し、続いて1,4000rpmで5分間遠心した。次に、ミノキシジル作業液20μL分取分を、ヒト血漿ブランク180μLに添加して、較正試料として、1.5mLエッペンドルフ管中最終濃度0.25、0.5、1、2、及び5ng/mLとした。次いで、臨床試料及び較正曲線試料の両方について、液液抽出用にLC-MSグレードの酢酸エチル(1000μL)を混合物に加え、ただちに10秒間ボルテックスし、次いで恒温/シェーカーに、室温で15分間入れておいた。ボルテックス工程を5秒間繰り返した。次に、試料を14,000rpmで5分間遠心し、上清(980μL)を清浄なエッペンドルフ管に移す。次いで、穏やかな窒素ガス流下でこれを蒸発乾固させる(約20~25分間)。次いで、残渣の入ったエッペンドルフ管にメタノール(100μL)を加え、10秒間ボルテックスし、続いて14,000rpmで5分間遠心する。内容物(約95μL)を、LC-MS分析用HPLCバイアル(8050-2)に移す。メタノールを含まない残存試料は、その後の使用のために4℃で
貯蔵する。LC MS/MS分析のため、各試料10μLを、多重反応モニタリングによりポジティブモードのエレクトロスプレーイオン化を使用する、Shimadzu LC
MS 8050-2システムのAscentis(登録商標)Express C18カラム(粒子径2.7μm、内径2.1×50mm)に注入する(m/z210~164)。臨床試料中の濃度不明のミノキシジルを、Shimadzu処理システム(LCソリューションバージョン1.24 SP1)を用いて、較正試料との比較により特定する。
【0199】
患者報告結果:
【0200】
男性の皮膚科学的生活の質指数(DLQI)及び女性のAGAの生活の質に関するアンケート(WAA-QOL)の初期評価:女性参加者による反応は、ベースライン及び8週目来診時両方で、スコアがより高いことに相応して、概してより消極的であった。生活の質に対する影響は、男性参加者と比較してより明白であった。男性の育毛アンケート反応のスコアにおける有意差は、0週目と8週目の間で記録されなかった。満点のスコアである38は、現在の育毛に不満であることを表した。平均スコアは、0週目で25(SD:2.19)であり、8週目で24.7(SD:4.08)であった。10人の男性参加者全員のスコア中央値は、それぞれ、24.5及び25であった。女性患者は2人とも、ベースライン来診時及び8週目来診時、Sinclair尺度で平均グレード3(上記
図1)を報告した。これは、治験責任医師による彼らの脱毛重症度のグレードと一致した。
【0201】
参照文献
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