(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】局所化されたエッチング用途のための半導体材料を保護するための改良されたマスク
(51)【国際特許分類】
H01L 21/314 20060101AFI20221212BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20221212BHJP
G03F 7/36 20060101ALI20221212BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01L21/314 A
H01L21/306 B
G03F7/36
G03F7/20 501
G03F7/20 521
(21)【出願番号】P 2020504705
(86)(22)【出願日】2018-07-31
(86)【国際出願番号】 EP2018070687
(87)【国際公開番号】W WO2019025418
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-30
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】アルノー エトケベリー
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ-マリー ゴンサルベス
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック ペルール
(72)【発明者】
【氏名】マチュー フレグノー
(72)【発明者】
【氏名】アナイス ルバ
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-010357(JP,A)
【文献】特開平01-044927(JP,A)
【文献】国際公開第2016/048336(WO,A1)
【文献】特開2002-151464(JP,A)
【文献】特表2014-518449(JP,A)
【文献】特開平01-052155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/314
H01L 21/306
G03F 7/36
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体材料の化学的エッチングの方法であって、
前記半導体材料(SC)の第1の表面区域上への少なくとも1つのマスク(PLP)の堆積、および、
前記マスク(PLP)によって被覆されていない前記半導体材料(SC)の第2の表面区域の化学的攻撃(HBr)によるエッチング(S31)、
を含んでなり、
前記マスクは、ポ
リホスファゼンを含む材料から作られている、
そして、
前記マスク(PLP)の前記堆積が、
- 前記半導体材料(SC)の前記第2の表面区域上への少なくとも1つの除去可能なプレマスク(PM)の堆積、
- ポリホスファゼンの前記堆積、そして前記ポリホスファゼンは、前記プレマスクには接着していない、
- 前記半導体材料(SC)の前記第2の表面区域を暴露するような、前記除去可能なプレマスク(PM)の除去(HF)、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記マスク(PLP)の前記堆積が、電気化学的プロセスによるポリホスファゼンの堆積を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記マスク(PLP)の前記堆積が、液体アンモニア中への浸漬プロセス、それに続くポリホスファゼンの前記堆積を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記プレマスクが、酸窒化ケイ素(SiO
xN
y)を基にした材料から生成される、請求項
1~3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記除去可能なプレマスク(PM)が、フッ化水素(HF)溶液中への浸漬によって除去される、請求項
4記載の方法。
【請求項6】
前記第1の
表面区域を被覆する前記マスクを形成するために、ポリホスファゼンの前記堆積が、ビームによってエッチングされる、請求項2または3記載の方法。
【請求項7】
前記ビームが、電子ピーム(eB)である、請求項
6記載の方法
。
【請求項8】
前記エッチングが、酸化性溶液(HBr)を適用することによって行われる、請求項1~
7のいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料、例えば半導体(特には、III-VまたはII-VI族半導体)の選択的なエッチングの分野に関し、そしてより具体的には化学的な攻撃、すなわち化学的エッチングによってそのようなエッチング方法を実施するために用いられるマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
化学的エッチング用マスクを含む技術は、特には保護される半導体の部分を被覆するマスクの保護の品質に関して、結果として得られるエッチングの細かさ、および他の関連する特徴に関して、引き続き改善の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、この状況を改善するのに役立つ。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明は、半導体材料を、化学的な攻撃、すなわち化学的エッチングによってエッチングするためのエッチング方法を提供し、本方法は、
- 半導体材料の第1の表面区域上への少なくとも1つのマスクの堆積、および、
- そのマスクによって被覆されていない半導体材料の第2の表面区域の、化学的エッチング、すなわち化学的攻撃による、化学的エッチング、
を含んでいる。
【0005】
特には、このマスクは、ポリホスファゼンを含む材料から作られている。
【0006】
この材料は、本明細書で以下に与えられる態様の例によって示されるように、下にある材料、特に半導体の保護に特に効果的である。従って、上記の方法の第2の工程で行われるエッチングは、非常に攻撃的な溶液で行われることができ、それにもかかわらず、マスクの高度に効果的な保護のために、エッチングは、特に細かく、そして極めて良好に規定され、そしてそれ故に保護されていない区域に非常に局所化されることが、それにも関わらずに観察されている。
【0007】
1つの態様では、このマスクの堆積は、電気化学的プロセス、電気化学的堆積、によるポリホスファゼンの制御された堆積を含んでいる。
【0008】
このマスクの堆積は、液体アンモニアへの浸漬のプロセス、それに続くポリホスファゼンの堆積を含むことができる。
電気化学的堆積の代替として、堆積は、「無電解」と表される方法によって、単純に電気エネルギーの使用なしで行われることができる。これらの2つの場合において、本方法は、上記の液体アンモニア(場合により溶解された五塩化リンもしくは「PCl5」と混合された)への浸漬を含むことができる。
【0009】
マスクの堆積は、加えて、
- 半導体材料の前記の第2の表面区域上への少なくとも1つの除去可能なプレマスクの堆積、
- ポリホスファゼンの堆積(電気化学的プロセスまたは液体アンモニアの噴霧による)、そしてポリホスファゼンはプレマスクに付着していない、
- 半導体材料の前記の第2の表面区域を暴露するように除去可能なプレマスクの単純な除去、次いで実際のエッチング操作自体を実施する、
を含むことができる。
【0010】
例えば、プレマスクは、酸窒化ケイ素SiOxNyを基にした材料から生成されることができる。
【0011】
除去可能なプレマスクは、典型的にはフッ化水素溶液中への浸漬によって取り除かれることができる。
【0012】
1つの態様では、プレマスクの使用の代替として、ポリホスファゼンの堆積は、第1の区域を被覆する前記のマスクを形成するために、光線によって単純にエッチングされることができる。
この光線は、電子線またはレーザー光であることができる。
【0013】
マスクによって保護されていない領域での半導体への化学的攻撃は、酸化性エッチング溶液(例えば、以下に記載される「HBr」型の溶液)の適用によって行われることができる。
【0014】
また、本発明は、化学的エッチング、すなわち化学的攻撃、に対して半導体材料を保護するための保護マスクに関し、このマスクは、ポリホスファゼンを含む材料で作られている。
【0015】
有利には、このマスクは、従って、わずか数ナノメートルの水準の厚さを有することができる。
【0016】
本発明の他の利点および特徴は、限定するものではない態様の例の詳細な説明を読むことによって、そして添付の図面を吟味することによって、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】
図1Aは、第1の態様におけるポリホスファゼン系のマスクを堆積するための工程を概略的に示している。
【
図1B】
図1Bは、第2の、代替の態様におけるポリホスファゼン系のマスクを堆積するための工程を概略的に示している。
【
図1C】
図1Cは、上記の第1および第2の態様の一方のもしくは他方におけるポリホスファゼン系のマスクによって部分的に被覆された半導体のエッチングのための工程を概略的に示している。
【
図2】
図2は、この例におけるリン化インジウム(InP)半導体を被覆する複数のマスクの連続を含む線に沿った、異なる原子種についてのXPC(表面化学分析のためのX線光電子分光法)信号の変化を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ポリホスファゼン膜は、半導体材料の表面の化学的反応性に対して保護する、保護特性を有している。ポリホスファゼンは、特にはリンおよび窒素で作られた特定の骨格を含む、無機ポリマー(炭素原子を有しない)である。これは特には文献、”Fully Protective yet Functionalizable Monolayer on InP”(Anne-Marie Goncalves, Nicolas Mezailles, Charles Mathieu, Pascal Le Floch, Arnaud Etcheberry)、Chemistry of Materials、2010、N 22、p.3114-3120、に記載されている。
【0019】
それらのポリホスファゼン膜は、電気化学的プロセスによって、または接触がなされることなく、「無電解」の種類の方法、例えばPCl5に加えられた液体アンモニア(溶液で)によって、得られることができる。
【0020】
ポリホスファゼン膜から得られた厚さは、ナノメートル(例えば、2~10nmの範囲)であり、そしてそのような厚さは、それらの保護特性を確実にするのに十分であることが観察されている。
【0021】
この種類の膜によって被覆された表面の化学的な不活性を確実にすることは、特には、それらの空気との(酸素、水蒸気などとの)相互作用による表面の再酸化に関して、この膜の主要な保護能力の1つである。
【0022】
この主要な保護能力は、1年超の期間に亘って試験され、そしてこの試験は、この膜の優れた保護能力を示している。この種類の膜の挙動は、半導体の連続した溶解を発生させる酸化性の水溶液の存在で試験されている。この事実のために、それらの酸化性の水溶液は、この場合には、保護される区域を規定するポリホスファゼン膜堆積物によって境界を定められたマスクパターンで、前もって被覆された表面上に、構造(「MESA」構造または「ボロボロの(en rubans)」などと称される)を発生させるために、湿式エッチング技術において、エッチング溶液として用いられることができる。
【0023】
満足な結果を与える例として、「無電解」プロセスによって得られたポリホスファゼン膜で被覆されたリン化インジウム(InP)のような種類のIII-V半導体合金の表面が、酸性または中性であることができる臭素水溶液(HBr/Br2)に対して試験された。ポリホスファゼン膜で被覆されなかった半導体の表面上で、この水溶液はInP半導体(n型またはp型の、半導体の分極が半導体に影響を有していない)の溶解を引き起こす。この溶解は用いられた濃度について、顕著かつ迅速である(分当たりに数マイクロメートル)。
【0024】
一方で、ポリホスファゼン膜によって保護された表面は、水性の二臭素系溶液の特に攻撃的なエッチングの現象に対して、完全な安定性を示すことが観察される。この膜は、試験された全ての酸性、中性または塩基性溶液に対して安定であることが見出された。このポリホスファゼンの湿式エッチングに対するマスクキング能力は、従ってIII-VまたはII-VI族の半導体材料に対する湿式エッチング技術のための全てのエッチング溶液と効果的に作用することができる。
【0025】
従って、慣用の膜(典型的にはシリカ膜またはより一般的にはSiOx,または他の同様の材料)によって保護されていない半導体の表面の有意な水準の溶解(1もしくは2以上のμm/分)をもたらすことができる酸化性の水溶液に対して、電気化学的プロセスによって、または「無電解」プロセスによって得られたポリホスファゼンに基づいた不動態膜によって被覆された半導体の表面の化学的な安定性を観察することが可能であり、そして半導体の選択的なエッチングについて工業的な用途においてここで提案される。
【0026】
一般性を失うことなくここに提示される態様の例では、ポリホスファゼン膜で被覆された、および被覆されていない(比較の目的のために)の両方のInPなどの種類のIII-V族半導体の場合は、Br2酸の水溶液の存在で、ポリホスファゼンは、そのマスクによって保護された区域に通常は「侵入」する非常に攻撃的な化学的攻撃に対して非常に効果的なマスクとして用いられることができる。従って、ポリホスファゼンの使用は、非常に攻撃的な溶液の使用をさせ、一方で、マスキングは数ナノメートルの水準の厚さを維持し続けることを可能にさせる。更に、ポリホスファゼンによって与えられる保護は、非常に耐久性があり、そして従って半導体から作られた部品の品質を、それらの動作の継続時間または耐用年数に亘って向上させる。
【0027】
この態様の例では、HBr酸または付随する塩、例えばKBrが、Br-/Br2対を、異なる水準のpHを試験することの可能性を与えることによって一定の水準に維持するためにエッチング溶液中に導入される。従って、その配合物の攻撃の能力は、Br2(または溶液中の(Br3))の濃度によって調整される水準で、経時的に一定に維持される。
【0028】
半導体の保護されていない表面は、従って経時的に一定である、酸化性の攻撃によって攻撃的な溶解を受ける。
【0029】
一方で、ポリホスファゼン膜によって保護された表面は、溶解からは完全に免れる。
【0030】
実際に、溶液中の溶解された微量もしくは「超微量」のインジウムおよびリンを、溶解された表面積の約数nm/cm2の検出閾値での「ICP-OES」(誘導結合プラズマ-発光分析)によって検出するために、溶液で分析が行われた。完全に保護された表面の試験は、覆われていない表面の試験と、同じ化学的配合物および同じ実験条件(流体力学、温度など)で比較された。
【0031】
数桁の大きさの差異が観察され、保護された表面では、検出されない、または測定装置の検出下限界の溶液を生じさせる。ポリホスファゼン膜で被覆された表面の保護は、従って完全である。
【0032】
これらの表面の保護は、ポリホスファゼン膜でのコーティングの処理プロセスに付された表面のXPS分析によって示されることができた。XPS分析(表面の化学的分析のためのX線光電子分光法)で、絶対的な化学的特徴が与えられる。
図2を参照すると、
図1Aに示された、工程S3で与えられる種類のポリホスファゼン膜(そしてプレマスクを有する)で被覆されたInP表面を代表する信号は、
- 窒素、
- 高エネルギーリン、
- 炭素質汚染物質に本質的に結合された炭素および、空気へのその暴露の間にポリホスファゼン膜の汚染物質にこれも結合された酸素、
次いで低エネルギーリンおよび、インジウムに特有の特徴的信号の組み合わせからなることができ、それらは、今度は、その膜のナノメートルの厚さのために膜を通過する、InP合金のマトリックスの応答に結び付けられる。
【0033】
図2を参照すると、それらの信号は、マスクの連続を含む線に沿って完全に相補的であり、それらの全ての信号は、実際に、それでもなお目視できるままであるInPの「隠された」表面を被覆する、膜の存在を反映している。従って、ナノメートル厚さの膜は実際に存在する。
【0034】
更には、マトリックス信号の検出水準は、不動態膜の厚さの定性的な測定方法である。特には、XPS応答の経時での恒常性が観察され、そして水性の二臭素を基にした酸性の酸化性溶液の存在での膜の顕著な安定性を示しており、このことは、浸漬された表面の全体に亘る保護された試料の溶液中の溶解生成物の検出がないことと整合している。
【0035】
また、XPSによる検出は、InP表面の完全な安定性を示すことを可能とさせる。溶解された表面は、薄膜中の酸化物の成長が容易に認識でき、そして識別可能であるXPS痕跡を与え、それはリンへの、そして特にはインジウムへの帰属を与え、それは完全に認識され、そして記録される。ポリホスファゼンによって保護された表面の分析は、溶解に結び付くそのような信号が完全にないことを示している。XPS分析は、従って2つの元素の、不動態化された表面上の酸化性溶液への反応性が完全にないことの証拠を与える。
【0036】
ポリホスファゼン膜で被覆された表面は、従って化学的エッチングから完全に保護されており、そのことはポリホスファゼンを、化学的マスクとしての使用に対して選択される材料とさせる。
【0037】
通常は、ポリホスファゼンは、酸性のpH(HBrおよび/またはH2SO4)で、塩基性のpHでと同様に(例えば、フェリシアニドを基にした攻撃の場合)、または中性のpH(例えば、H2O2の存在で)で、安定であることが見出されてきたことに注目しなければならない。従って、それは、化学的エッチング法、すなわち化学的攻撃(特には、いずれかの酸化性溶液による)に含まれるマスクとして選択される材料である。
【0038】
化学的エッチングのためのエッチングマスクの目的でのポリホスファゼン膜の使用は、局所化されたマスクを含む、マイクロエレクトロニクスおよび/またはオプトエレクトロニクスの文脈において、ミラー上に局所化されたエッチング、局所化された不動態を、それらもまた局所化された接触または成長をもたらしながら、発生させるように操作的に実施されることができる。
【0039】
ここで上記に示されているように、ポリホスファゼン系マスキング材料の新規な族は、そのような用途と適合性がある。
【0040】
「無電解」法または電気化学的方法においては、ポリホスファゼンの局所化された成長の区域が、構成単位、例えば酸窒化ケイ素SiOxNy、の堆積による半導体表面の予めのマスク形成を適用することによって生成されることができる。
【0041】
従って、
図1Aを参照して、第1の工程S0の間に、処理される、例えば、化学的な酸洗い、脱酸素、または他の関連するプロセスによって前もって清澄化される、半導体SC(III-VまたはII-VIまたは他の好適な半導体の種類)の表面が得られる。
【0042】
次いで、工程S1では、SiO
xN
yのプレマスクPMが、マスク材料のこの種類についてそれ自体が知られている技術に従って選択的な区域によって堆積されることが可能である。それらの第1の水準のマスクPMは、液体アンモニアおよび関連した「無電解」処理配合物に適用可能である。また、それらのマスクは、電気化学的機構によるポリホスファゼン膜の成長に適用可能である。従って、工程S2では、工程S1においてプレマスクPMを有して示された表面は、液体アンモニアで被覆され、その上にポリホスファゼンPLPが堆積される。この反応の最後に、工程S3において、ポリホスファゼンPLPの非常に薄い膜(数ナノメートルの水準の)が得られ、それが、プレマスクPMでは暴露されたまま残された半導体SCの表面を被覆する。他方で、ポリホスファゼンPLPは、プレマスクPM上には堆積されていない。
図1Aでは、工程S3において、ポリホスファゼン膜PLPが表され、ポリホスファゼン膜PLPは、SiO
xN
yに基づくプレマスクPMの厚さよりも薄い厚さを有している。実際に、ポリホスファゼン膜PLP(数ナノメートル)は、プレマスク(数マイクロメートル)よりもはるかに薄い。表面SCのマスクされていない区域におけるポリホスファゼンPLPのそれらの相補的な構成単位は、従って、「ネガ」のマスクを形成する。その後に、SiOxNyによってマスクされた区域の選択的な排除が行われることができ、それによってポリホスファゼンで被覆されていない全ての区域を暴露させる。
【0043】
実際に、次の工程S4では、SiOxNyのプレマスクは、それ自体知られている技術、例えばフッ化水素HF中への浸漬によって取り除かれることができる。従って、次の工程S5では、ポリホスファゼンで被覆された区域のみが残り、その間に、被覆されていない半導体SCの剥き出しの表面が暴露されたまま残される。
【0044】
他の態様では、完全に被覆するポロホスファゼン膜のエッチングは、電子またはイオンの入射ビームを含むエッチングを誘発する電子もしくはイオンビームによって、あるいはより良好な横方向の空間的解像度を与えるレーザービームのいずれかで実施されることができる。
【0045】
従って、以下に、そして
図1Bを参照して記載されるこの第2の態様に対して、第1の工程S21は、半導体SCの表面を液体アンモニアALで、次いでポリホスファゼンPLPで、
図1Bに示された工程S22に示されているように、半導体SCの表面の全体に亘る、後者の薄膜(厚さは数ナノメートルと測定される)の堆積を目的として、完全に被覆することからなることができる。
【0046】
次いで、工程S23では、反応性ビーム、例えば電子ビームeB(または「eビーム」)あるいは更にはより一般的にはイオンビーム、あるいは実際には更にはレーザービームがポリホスファゼン膜の区域によって選択的にエッチングするために用いられる。工程S24では、エッチングで、半導体SCの剥き出しの表面が暴露され、一方でPLPポリホスファゼンマスクは残される。
【0047】
次いで、
図1Aおよび1Bをそれぞれ参照してここに上記で詳細に説明され、そして議論された1つの、もしくは他の態様では、化学的攻撃HBrが、
図1Cに示された工程S31で示されるように半導体SCの暴露された区域にもたらされることができる。例えば、半導体SCが基材SUB(例えば、ガラス基材または金属基材)上に堆積された薄層からなる場合には、この化学的攻撃は、次いで被覆されていない区域において半導体SCを除去することがき、そしてそれによって
図1Cに示された工程S32に示されたように基材SUBを剥き出しにさせる。
【0048】
極めて明らかなように、本発明は、例示のためにここに上記された態様に限定されず、むしろ本発明は他の異なる態様に拡張されることができる。
【0049】
従って、例えば、液体アンモニアの適用によって先行された、PLPマスクの堆積のための「無電解」型の堆積方法の記載が、ここに上記で与えられた。しかしながら、代替法は、半導体SCの表面の区域を電気絶縁性のプレマスクで被覆すること、そしてその後に電気化学的に誘発されたポリホスファゼンの堆積を適用し、後者が、暴露されたままの半導体の表面の区域上にのみ堆積されることからなることができる。