(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】ケーブル及び関連する導通監視システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/276 20210101AFI20221212BHJP
A61B 5/287 20210101ALI20221212BHJP
A61B 5/367 20210101ALI20221212BHJP
【FI】
A61B5/276
A61B5/287
A61B5/367
(21)【出願番号】P 2020515913
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2018057003
(87)【国際公開番号】W WO2019053624
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-20
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パーチャック,ヨハイ
(72)【発明者】
【氏名】ロットマン,エヤル
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02179751(GB,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0262391(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0152962(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0167286(US,A1)
【文献】特開2006-212348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05- 5/0538
A61B 5/24- 5/398
G01R31/08
G01R31/50-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療器具と接続して使用するためのケーブルであって、
前記医療器具の処理ユニットと電気的に連結されるように構成されている近位端と、前記医療器具と共に使用される1つ以上のセンサを備えて構成されている、又は前記センサに電気的に連結されるように構成されている遠位端と、を含み、
前記ケーブルは、各センサについて、前記センサから前記処理ユニットに
センサ信号を伝送するように構成されているセンサ信号導体を含み、
前記ケーブルは、前記ケーブルの前記遠位端に埋め込まれたインダクタコイルと、前記処理ユニットから前記インダクタコイルに
導通信号を伝送するように構成されているインダクタコイル導体と、を含み、それによって、医療処置中に、
前記導通信号が、各センサについて前記インダクタコイルによって前記センサ信号導体に付与され、各センサについて前記センサ信号の適切な接続を示すために前記処理ユニットに戻されるように、前記導通信号を前記ケーブルを通じて前記処理ユニットを介して送信することができる、ケーブル。
【請求項2】
前記インダクタコイル導体が、前記センサ信号導体によって伝導される前記センサ信号と干渉しない導通信号を伝導するように構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記ケーブルの前記遠位端が、センサコンポーネントコネクタと連結するコネクタとして構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項4】
前記ケーブルの前記遠位端が、前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つを備えて構成されている、請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
心臓カテーテルとして構成されている、請求項4に記載のケーブル。
【請求項6】
処理ユニットと連結された、請求項1に記載のケーブルを含む監視システムであって、前記処理ユニットは、
前記インダクタコイル導体の近位端に連結された回路を有する導通信号発生器と、
前記センサ信号導体に戻る前記導通信号を検出するための回路を備えて構成されている、前記センサ信号導体に連結された導通信号検出ユニットと、を備える、監視システム。
【請求項7】
前記導通信号検出ユニットによる前記導通信号の検出に基づいて、前記ケーブルの前記信号導体の接続性を示すように構成されているディスプレイを更に備える、請求項6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記導通信号発生器が、前記
センサ信号導体によって伝達されるセンサ信号と干渉しない導通信号を生成するように構成されている、請求項6に記載の監視システム。
【請求項9】
前記
導通信号検出ユニットが、前記センサ信号から戻ってくる導通信号を分離するためのフィルタリング構成要素を含む、請求項8に記載の監視システム。
【請求項10】
電気装置と接続して使用するためのケーブルであって、
前記電気装置の処理ユニットと電気的に連結されるように構成されている近位端と、前記電気装置と共に使用される1つ以上の電気部品を備えて構成されている、又は前記電気部品に電気的に連結されるように構成されている遠位端と、を含み、
前記ケーブルは、前記電気部品と前記処理ユニットとの間で電流を伝達するように構成されている、各前記電気部品のコンポーネント導体を含み、
前記ケーブルは、前記ケーブルの前記遠位端に埋め込まれたインダクタコイルと、前記処理ユニットから前記インダクタコイルに
導通信号を伝送するように構成されているインダクタコイル導体と、を含み、それによって、
前記導通信号が、各電気部品について前記インダクタコイルによって前記コンポーネント導体に付与され、各前記電気部品について前記電流の適切な接続を示すために前記処理ユニットに戻されるように、前記導通信号を前記ケーブルを通じて前記処理ユニットを介して送信することができる、ケーブル。
【請求項11】
処理ユニットと連結された、請求項
10に記載のケーブルを含む監視システムであって、前記処理ユニットは、
前記インダクタコイル導体の近位端に連結された回路を有する導通信号発生器と、
前記コンポーネント導体に戻る前記導通信号を検出するための回路を備えて構成されている、前記コンポーネント導体に連結された導通信号検出ユニットと、を備える、監視システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
ケーブル、関連する導通監視システム及び方法は、医療器具と接続して使用されるセンサからのセンサ信号などの電気部品の電流の導通の監視を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0002】
一実施形態では、例示的なケーブルは、医療器具の処理ユニットと電気的に連結されるように構成されている近位端と、医療器具と共に使用される1つ以上のセンサに電気的に連結されるように構成されている遠位端と、を含む。各センサのセンサ信号導体は、センサから処理ユニットに信号を伝送するように構成されている。インダクタコイルは、ケーブルの遠位端に埋め込まれている。インダクタコイル導体は、処理ユニットからインダクタコイルに導通信号を伝送するように構成されている。
【0003】
例えば、医療処置中に、各センサについて導通信号がインダクタコイルによってセンサ信号導体に付与されるように、導通信号をケーブルを通じて処理ユニットを介して送信することができる。次いで、付与された導通信号は、各センサについてセンサ信号の適切な接続性を示すために処理ユニットに戻される。
【0004】
ケーブルは、好ましくは、インダクタコイル導体が、センサ信号導体によって伝導されるセンサ信号と干渉しない導通信号を伝導するように構成されているように、構成される。ケーブルの遠位端は、1つ以上のセンサ用に構成されたセンサコンポーネントコネクタと連結するコネクタであってよい。あるいは、ケーブルの遠位端は、ケーブルが心臓カテーテルとして構成されているときなどに、1つ以上のセンサを含むことができる。
【0005】
例示的な監視システムは、そのようなケーブルの近位端に連結された処理ユニットを含む。処理ユニットは、ケーブルのインダクタコイル導体の近位端に連結された回路を有する導通信号発生器と、センサ信号導体に戻る導通信号を検出する回路を備えて構成されたケーブルのセンサ信号導体に連結された導通信号検出ユニットと、を有する。導通信号発生器は、好ましくは、信号センサ導体によって伝達されるセンサ信号と干渉しない導通信号を生成するように構成されている。導通信号ユニット回路は、センサ信号から戻ってくる導通信号を分離するために、フィルタリング構成要素を含むことができる。
【0006】
ディスプレイを用いて、導通信号検出ユニットによる導通信号の検出に基づいて、ケーブルの信号導体の接続性を示すことができる。したがって、監視システムが部品である医療器具のセンサの接続状態情報は、医師やその他医療器具の操作者に表示され得る。
【0007】
例示的な方法は、医療処置中にセンサ信号の適切な通信を確実にする。処理ユニットと、各接続されたセンサについてセンサ信号導体を介して1つ以上のセンサを処理ユニットに電気的に連結するケーブルと、を含む、医療器具が提供される。導通信号が、各接続されたセンサについてケーブルの遠位端でセンサ信号導体に付与されるように、導通信号は、ケーブルの導通信号導体を通じて処理ユニットを介して送信される。付与された導通信号は、各接続されたセンサについてセンサ信号の適切な接続性を示すために処理ユニットに戻される。好ましくは、導通信号はセンサ信号と干渉せず、インダクタコイルによってセンサ信号導体に付与される。方法は、上記のようなケーブルの様々な実施形態を採用することができる。
【0008】
導通信号発生器は、導通信号を生成することができ、導通信号検出ユニットは、センサ信号導体に戻る導通信号を検出することができる。関連するディスプレイを用いて、導通信号検出ユニットによる導通信号の検出に基づいて、ケーブルの信号導体の接続性を示すことができる。方法は、フィルタリング回路を使用して、センサ信号から戻ってくる導通信号を分離することを更に含んでもよい。
【0009】
他の例には、器機の処理ユニットを1つ以上の電気部品に電気的に連結するために、他の電気器機と共に使用されるケーブルを含む。例示的なケーブルは、電気部品と、処理ユニット並びにケーブルの遠位端に埋め込まれたインダクタコイルとの間に電流を流すように構成されている各電気部品のためのコンポーネント導体を含む。インダクタコイル導体は、処理ユニットからインダクタコイルに信号を伝送するように構成されている。導通信号が、各電気部品についてインダクタコイルによってコンポーネント導体に付与されるように、導通信号をケーブルを通じて処理ユニットを介して送信することができる。次いで、付与された導通信号は、各電気部品について電流の適切な接続性を示すために処理ユニットに戻される。
【0010】
処理ユニットと連結しているこのようなケーブルを含む監視システムは、インダクタコイル導体の近位端に連結された回路を有する導通信号発生器と、コンポーネント導体に戻る導通信号を検出する回路を備えて構成されているコンポーネント導体に連結された導通信号検出ユニットと、を有することができる。
【0011】
本発明の他の目的及び利点は、当業者には図面及び以下の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の実施形態は、添付図面の図において、制限としてではなく、例として示される。
【
図1】本発明の教示に従って医学的診断及びその他の処置を実施するための医療用システムの例示的な概略絵図である。
【
図2A】遠位コネクタ及び近位コネクタを有する、
図1の例示的な医療システムに接続して使用される例示的なケーブルの斜視図である。
【
図3B】
図2Aのケーブルの近位コネクタの切欠端面図である。
【
図4】本発明の教示による、導通信号の処理に使用するための例示的な回路構成の概略図である。
【
図5】本発明の教示による、例示的な視覚表示を表示する
図1の医療システムのモニターの立面図である。
【
図6】本発明の教示に従って作製され、
図1の医療用システムで使用するように構成されたプローブの遠位端の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本特許出願において参照により組み込まれる文書は、本明細書において明示的又は暗示的になされる定義と対立する様式で定義される用語を含み得る。何らかの対立が生じる場合、本明細書における定義が支配するとみなされるべきである。
【0014】
近代的な医療機器を使用する医療手技の実施中、様々なセンサは、その情報を医師が頼る様々な異なる機能に利用され得る。
【0015】
例えば、
図1は、医療処置中に情報52を生成して表示し、かつ患者28内の様々なプローブの配置を制御するために用いられる例示的な医療用システム20の図である。例示的なシステムは、心臓カテーテルなどのプローブ22、コンソール24、及び付随するプローブ制御ユニット25を含む。プローブ22は、例えば、患者28の心臓26内の電位をマッピングする、又はアブレーション処置を実施するなどの診断又は治療処置のために用いることができる。あるいは、プローブ22は、心臓、肺、又は他の体器官におけるその他の治療及び/又は診断目的、並びに耳鼻咽喉(ENT)処置のために、必要な変更を加えて使用してもよい。
【0016】
医師又はその他のオペレータ30は、プローブ制御ユニット25を用いて、例えば、プローブ22の遠位端32が患者の心臓26の心腔に入るように、プローブ22を患者28の脈管系に挿入することができる。コンソール24は、磁気位置検知を使用して、心臓26内部の遠位端部32の位置座標を決定し得る。位置座標を決定するために、コンソール24内の駆動回路34が磁場発生器36を駆動して、患者28の身体内で磁場を生成し得る。磁場発生器36は、患者28外の既知の位置で患者28の胴体下方に配置され得るコイルを含んでもよい。これらのコイルは、心臓26を含む所定の可動範囲内に磁場を生成し得る。
【0017】
プローブ22の遠位端32内の位置センサ38が、これらの磁場に応答して電気信号を生成し得る。信号プロセッサ40が、位置座標及び配向座標の両方を含むプローブ22の遠位端32の位置座標を判定するために、これらの信号を処理し得る。上記で説明された位置検知の既知の方法は、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)のCARTO(商標)ナビゲーションシステムに実装されており、本明細書で引用される特許及び特許出願で詳細に説明されている。
【0018】
この実施例では、位置センサ38は、遠位端32の位置座標を示す信号をコンソール24に送信するように構成される。位置センサ38は、例えば、ある種類の磁気センサ、又はインピーダンス型若しくは超音波型位置センサなどの他の種類の位置検出器を備えることができる。
【0019】
プローブ22はまた、遠位端32内に収容された力センサ54も含むことができる。力センサ54は、遠位端部32によって心臓26の心内膜組織に加えられる力を測定し、コンソール24に送信される信号を生成し得る。力センサ54は、遠位端32のバネによって接続された磁界送信機及び受信機を含むことができ、バネのたわみの測定値に基づいて力の指示を生成することができる。この種類のプローブ及び力センサの更なる詳細は、参照によってそれらがあたかも完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0093806号及び同第2009/0138007号で説明されている。あるいは、遠位端32は、例えば、光ファイバ又はインピーダンス測定を用いることのできる別の種類の力センサを含んでもよい。
【0020】
プローブ22は、遠位端32に連結され、インピーダンス系位置検出器として機能するように構成された電極48を含んでもよい。更に又はあるいは、電極48は、特定の生理学的性質、例えば、複数の位置のうちの1つ又は2つ以上における心組織の局所表面電位を測定するように構成されてもよい。電極48は、心臓26の心内膜組織をアブレーションするために高周波(RF)エネルギーを印加するように構成されてもよい。
【0021】
例示的な医療用システム20は、磁気式センサを用いて遠位端32の位置を測定するように構成され得るが、その他の位置追跡技術(例えば、インピーダンス式センサ)を用いてもよい。磁気位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第6,788,967号、同第6,690,963号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、及び同第6,177,792号に記載されており、これらは参照によってこれらがあたかも本明細書に完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。インピーダンス式位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,983,126号、及び同第5,944,022号に記載されており、これらは参照によってこれらがあたかも本明細書に完全に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0022】
信号プロセッサ40は、プローブ22からの信号を受信してコンソール24の他の構成要素を制御するのに適したフロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、汎用コンピュータ内に含まれ得る。信号プロセッサ40は、本明細書に記載される機能を実行するように、ソフトウェアを使用してプログラムされてもよい。このソフトウェアは、例えばネットワークを介して電子形態でコンソール24にダウンロードするか、又は光学式、磁気式、若しくは電子式記憶媒体などの非一過性の有形媒体上で提供することができる。あるいは、信号プロセッサ40の機能の一部又は全てが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0023】
図1の実施例では、コンソール24は更に、ケーブル44によって外部センサ46に接続され得る。外部センサ46は、例えば接着剤パッチを使用して患者の皮膚に取り付けることができる体表面電極及び/又は位置センサを含み得る。体表面電極は、心組織の分極及び脱分極によって生成される電気インパルスを検出することができる。位置センサは、高度なカテーテルロケーション及び/又は磁気式位置センサを使用して、使用中にプローブ22の位置を特定することができる。
図1に示されてはいないが、外部センサ46は、患者28が着用するように構成されたベストに組み込まれていてもよい。外部センサ46は、患者28の呼吸周期の識別及び追跡を補助することができる。外部センサ46は、ケーブル44を介してコンソール24に情報を送信するために接続される。
【0024】
診断処置中、信号プロセッサ40は、情報52を示すことができ、かつ/又は情報52を表すデータをメモリ58に格納することができる。メモリ58としては、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性及び/又は不揮発性メモリが挙げられ得る。
【0025】
プローブ制御ユニット25は、1つ又は2つ以上の入力装置59を使用して選択可能な情報52に基づいて、プローブを操作するために医師30によって操作されるように構成することができる。あるいは、医療用システム20は、医師30が、表示される情報52基づいてプローブ制御ユニット25を操作してプローブ22を操る間にコンソール24を操る第2の操作者を含んでもよい。
【0026】
心不整脈を治療するための1つの選択肢は、介入カテーテルに基づく処置であり得る。介入カテーテルに基づく処置は、心臓アブレーションと呼ばれる技術を含み得る。このような処置では、通常は、カテーテルを患者の鼠径部領域から心臓内に前進させる。一旦所定の位置に置かれたら、高周波(RF)エネルギーを、適切な心臓の状態を回復させることを目的として、カテーテルを介し、患者の心腔内の特定の位置に送達することができる。
【0027】
CARTO(商標)Navigation Systemなどの複雑な医療システムを利用する医師は、このような装置の操作を素早く習得することが期待されるプレッシャーの大きい作業環境にいることが日常的である。そのような器具が従来持つ複雑性及び備えられる様々な特徴により、これらのシステムの有用性及び利用可能性を高めることを目的とする新たな設計の態様は、歓迎される改善である。例えば、外部センサ46、変換電極48、位置センサ38又は力センサ54が、処置などの間に信頼できない又は一貫しない信号を生成する場合、医師又は操作者30は、これら及び他の構成要素がシステム20に適切に接続されていることを示す信頼性が高く直感的な特徴から利益を得るだろう。
【0028】
信頼性の高いセンサデータを受信することは、このような医療処置を成功裏に実行する際の重要な要因である。病院において医療機器の使用を可能にするために、センサーケーブルは、米国規格協会(ANSI)及び医療器具開発協会(AAMI)によって公表されたANSI/AAMI EC53などの様々な業界規格を満たす必要とされ得る。また、ケーブルは、国際電気標準会議により公表された医療用電気設備の安全性及び有効性に関する一連の技術規格であるIEC 60601を満たす必要があり得る。ケーブルはまた、国際的なDIN及びCEマーク認定を満たすように有益に製造され得る。
【0029】
このような規格の遵守は、最低要件とみなされる場合がある。信頼できるセンサ情報がコンソールに通信されていることを確実にするために、本明細書に開示される実施形態は、所与のセンサ又はシステム構成要素が適切に接続されているか否かを示す信号の生成を可能にするために、インダクタコイルを利用する監視システムを採用する。
【0030】
図2A~
図2B及び
図3A~
図3Bは、
図1の例示的な医療システムに接続して使用されるケーブル44の例示的な構成を示す。この例では、ケーブル44は、センサ信号導体210a~dを含む。センサ信号導体210a~dは、センサ46からシステムコンソール24の処理ユニット40に信号を伝導するために使用される。近位コネクタ220は、ケーブル44をコンソール24の処理ユニット40と、嵌合コンソールコネクタ(図示せず)を介して電気的に連結するために使用される。遠位コネクタ230は、ケーブル44をセンサ46と、嵌合センサコンポーネントコネクタ(図示せず)を介して電気的に連結するために使用される。
【0031】
図3Aで最も良く分かるように、遠位コネクタ230は、センサ46のセンサ信号ワイヤのそれぞれのコネクタ接触ソケットと嵌合するための、それぞれのセンサ信号導体210a~dの遠位端に対応する接続ピン310a~dを含む。
図3Bに示すように、近位コネクタ220は、コンソールコネクタのそれぞれのコネクタ接点と嵌合するための、それぞれのセンサ信号導体210a~dの近位端に対応する接点312a~dを含む。したがって、ケーブルは、両端が接続されたときに、センサ46からそれぞれのセンサ信号をケーブル44の長さにわたって処理ユニット40に伝導する。
【0032】
遠位コネクタ230は、2つのインダクタコイル導体214及びケーブル44の関連する近位コネクタ接点314を介してコンソール24の処理ユニット40に接続するように構成されている、埋め込まれたインダクタコイル232を含む。処理ユニットは、ケーブル44の近位コネクタ220がコンソール24に連結されると、導通回路が形成され、選択された導通信号が処理ユニット40からインダクタコイル232に送信され得るように構成されている。処理ユニット40から送信された導通信号を受信すると、埋め込まれたインダクタコイル232は、導通信号をセンサ信号導体のそれぞれに付与する電磁場を生成する。したがって、導通信号が生成されている間、ケーブル44がセンサ46及びコンソール24の両方に連結されると、処理ユニット40への接続が適切に機能していることを条件として、ケーブルのセンサ信号導体210a~dによって処理ユニットへと伝導される信号はそれぞれ、導通信号と組み合わされたそれぞれのセンサ46からのセンサ信号の両方を含む。処理ユニットへの接続が適切に機能しない場合、導通信号の適切な受信は起こらない。
【0033】
導通信号は、好ましくは、周波数に基づいて、又は別の方法で、センサ46によって生成された信号と干渉しないように生成される。これにより、センサ信号の正確な受信を可能にする一方で、コンソール24で受信されたセンサ信号からの導通信号の比較的容易な分離をも可能にする。
【0034】
この例では、ケーブル44の近位コネクタ220がコンソール24と直接連結するように具体的に構成されているが、近位コネクタ220は、延長ケーブル(図示せず)と連結され、続いてコンソール24に接続されてもよい。このような実施形態では、延長ケーブルは、ケーブルセンサ信号導体並びに導通信号回路用の導体のそれぞれに対応する導体を含む。このような構成における導通信号の受信を適切に返すことはまた、延長ケーブルの両端の電気的連結も適切に機能していることも示す。
【0035】
図4は、導通信号を生成し、ケーブル44から受信した組み合わされたセンサ及び導通信号の分離を処理するための、コンソール24の処理ユニット40で使用される例示的な回路構成を提供する。処理ユニット40は、ケーブル44のインダクタコイル導体214と電気的に連結して、選択的に生成された導通信号をインダクタコイル232に提供するために、関連する回路402を備える信号回路発生器400と共に構成されている。
【0036】
それぞれの組み合わせたセンサ及び導通信号を受信するために、入力リード405(2本のみ図示されている)を提供することができる。各組み合わされた信号は、第1及び第2のフィルタ410、420に向けられる。第1のフィルタ410は、センサ信号から導通信号をフィルタリングするように構成されている。第2のフィルタ420は、導通信号からセンサ信号をフィルタリングするように構成されている。その後、フィルタリング後センサ信号425は、受信したセンサ信号の種類について通常の方法で処理される信号プロセッサ430に供給される。
【0037】
フィルタリング後導通信号435は、導通信号検出ユニット440に供給される。導通信号の有無に基づいて、各個別のセンサ信号の導通を追跡するために、フィルタリング後導通信号は、導通信号検出ユニット440に個別に供給されてもよい。代替的に、組み合わされたフィルタリング後導通信号435が所定の強度未満である場合、所与のケーブルからのフィルタリング後導通信号435の全てを組み合わせて、ケーブルのセンサ導通不良の信号を提供するために、コンバイナー450を提供することができる。
【0038】
センサ信号と干渉しない導通信号を生成する一例は、センサ信号が比較的低い周波数である場合に、比較的高い周波数の導通信号を生成することである。このような例では、
図4に示す第1のフィルタ410は、高周波数導通信号をフィルタリングするためのローパスフィルタとして構成することができ、第2のフィルタ420は、低周波数センサ信号をフィルタリングするためのハイパスフィルタとして構成することができる。
【0039】
図5は、
図1の医療システム20を利用する心臓の処置中にディスプレイ50上に表示されている、各センサ64に関するセンサ信号の適切な接続性の視覚的表示の例である。この例では、ケーブル44を使用してセンサ46をコンソール24に接続し、個々のフィルタリング後導通信号435は、導通信号検出ユニット440に供給される。
【0040】
このような処置の間、ディスプレイの一部を使用して、心臓510の三次元モデルと、処理ユニット40及び様々なセンサによって供給される心電図データ520を表示することができる。センサ接続検証ディスプレイ530は、それぞれ順次番号付けされたアイコンによって、4つのセンサ46の接続性を示すために提供される。正の接続アイコン531は白丸印として描画され、信号導体の不良接続を示す負の接続アイコン532は、×を有する丸印として描画される。この例では、第3のセンサに対応する感覚信号導体は、導通信号処理ユニット440に適切に伝達されず、そのため、操作者30に、対応する負の接続アイコン532によってそれぞれのセンサ46の接続不良を通知する。
【0041】
当業者には理解されるように、このような警告又はアラートは、オーディオデバイス、物理的デバイス、及び/又は他の視覚デバイスによって伝達され得る。上述の例示的なディスプレイは、負の導通信号が検出されるとき、聴覚的通知、又は点滅、拡大、変色、ないしは別の区別可能なアイコンなどの追加の通知機構を用いて強調されてもよい。同様に、この例におけるセンサ接続検証ディスプレイ530の複雑性、サイズ、配置、配列、アイコン、及び他のグラフィック要素は、ユーザ及び設計者の好みによって変更される場合がある。
【0042】
図6は、
図1の医療器具20と共に使用される、インダクタコイル610がプローブ22の遠位端32に組み込まれる更なる実施形態を示す。この実施形態では、コイル610は、ケーブル44の導体214などのプローブの長さを横断するインダクタコイル導体と関連付けられる。したがって、ケーブル44のインダクタコイル231に関して上述したように導通回路に接続されるとき、インダクタコイル610を使用して、プローブ22の変換電極48、位置センサ38及び力センサ54に関連付けられたセンサ信号を伝送する導体に、導通信号を付与することができる。結果として、プローブの遠位センサ38、54、48のそれぞれの導通性/接続性を、
図5に関して上述したセンサ46と同様の方法で、ないしは所望の別の方法で、ディスプレイ50上で監視することができる。
【0043】
上記の例は、センサ信号の形態の電流の導通を監視することを目的としているが、任意の種類の電気部品の電流の導通を、類似のケーブル構成を使用して監視することができる。例えば、ケーブルは、近位端が電気装置の処理ユニットと電気的に連結されるように構成され、遠位端が、センサであり得る(センサでなくてもよい)電気装置と共に使用される1つ以上の電気部品を備えて構成されている、又はこの部品に電気的に連結されるように構成されている、一般的な電気装置に接続して使用するために提供され得る。
【0044】
そのような場合、ケーブルは、電気部品と処理ユニットとの間で電流を伝達するように構成されている、各電気部品のコンポーネント導体を含んでもよい。ケーブルはまた、ケーブルの遠位端に埋め込まれたインダクタコイルと、処理ユニットからインダクタコイルに信号を伝送するように構成されているインダクタコイル導体と、を含む。次いで、導通信号が、各電気部品についてインダクタコイルによってコンポーネント導体に付与され、各電気部品について電流の適切な接続性/導通性を示すために処理ユニットに戻るように、導通信号をケーブルを通じて処理ユニットを介して送信することができる。
【0045】
例示的な監視システムは、一般的な電気装置の処理ユニットと連結されたこのようなケーブルを使用して構築することができる。例示的な監視システムは、インダクタコイル導体の近位端に連結された回路を有する導通信号発生器と、
図4に示されるものと同様のコンポーネント導体に戻る導通信号を検出する回路を備えて構成されているコンポーネント導体に連結された導通信号検出ユニットと、を含むことができる。
【0046】
他の方法及び実施形態も当業者には明らかであり、本発明の範囲内となる。
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