(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】特に電動自転車用のプラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20221212BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221212BHJP
B60L 53/16 20190101ALI20221212BHJP
【FI】
H01R13/631
B60L50/60
B60L53/16
(21)【出願番号】P 2020549590
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2019056660
(87)【国際公開番号】W WO2019175430
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-09-15
(31)【優先権主張番号】102018106160.9
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507072933
【氏名又は名称】ヒルシュマン オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hirschmann Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Oberer Paspelsweg 6-8, A-6830 Rankweil Brederis, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル リンセダー
(72)【発明者】
【氏名】ヨウネス ナハイト
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/124700(WO,A1)
【文献】特開2015-220213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/631
B60L 50/60
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタ(1)、エネルギ蓄積器および駆動ユニットを備えた装置であって、
前記プラグコネクタ(1)を介して前記エネルギ蓄積器が前記駆動ユニットに接続可能であり、前記エネルギ蓄積器は旋回過程によってその組み込み位置へ移行させられ、該移行の際に同時に前記プラグコネクタ(1)による接触接続が生じ、
前記プラグコネクタ(1)は2つの差し込み接続部から成っており、一方の差し込み接続部は組み込みスリーブ(2)であり、他方の差し込み接続部は組み込みプラグ(3)であり、
前記組み込みプラグ(3)はフランジ(4)に支持されており、前記フランジ(4)と前記組み込みプラグ(3)との間にプラグ支持体(5)が配置されており、
前記組み込みプラグ(3)が、位置固定されて前記プラグ支持体(5)に配置されており、これに対して、前記プラグ支持体(5)が、一方側のみの、ばねでの支持により、浮動可能に、前記フランジ(4)に支持されている、
装置。
【請求項2】
所定の用途(例えば電動自転車、電気車両、電子機器およびこれらに類似のもの)のためのプラグコネクタ(1)であって、
前記プラグコネクタ(1)を介してエネルギ蓄積器が駆動ユニットに接続可能であり、前記エネルギ蓄積器は旋回過程によってその組み込み位置へ移行させられ、該移行の際に同時に前記プラグコネクタ(1)による接触接続が生じ
、
前記プラグコネクタ(1)は2つの差し込み接続部から成っており、一方の差し込み接続部は組み込みスリーブ(2)であり、他方の差し込み接続部は組み込みプラグ(3)であり、
前記組み込みプラグ(3)はフランジ(4)に支持されており、前記フランジ(4)と前記組み込みプラグ(3)との間にプラグ支持体(5)が配置されており、
前記組み込みプラグ(3)が、位置固定されて前記プラグ支持体(5)に配置されており、これに対して、前記プラグ支持体(5)が、一方側のみの、ばねでの支持により、浮動可能に、前記フランジ(4)に支持されている、
プラグコネクタ(1)。
【請求項3】
前記組み込みプラグ(3)は、上方へ向いた端部の幾らか下方に、周状のシールを有する、
請求項
2記載のプラグコネクタ(1)。
【請求項4】
前記装置は、電動自転車、電気車両、電子機器またはこれらに類似のものである、
請求項
1記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ蓄積器、特に蓄電池と駆動ユニット、特に電気モータとの間を電気的に接続するためのプラグコネクタを備えた装置、ならびにプラグコネクタに関する。
【0002】
さらに本発明は、Eバイクとも称され、駆動または駆動補助のために、蓄電池からエネルギを受け取る電気モータを有する、電動自転車にも関する。電動自転車は、それ自体公知の方式のフレームを有しており、当該フレームは、エネルギ蓄積器を少なくとも部分的に、特には完全に収容するのに適しておりかつそのために構成されている。このために、エネルギ蓄積器は、フレーム内に挿入されており、または当該フレームから再び取り出すことができる。この場合、蓄電池は、プラグコネクタの一方の部材として、組み込みスリーブとも称される差し込み接続部を有する必要がある。蓄電池が挿入されるフレームの領域には、プラグコネクタの他方の部材、すなわち組み込みプラグとも称されることのある他方の差し込み接続部が配置される。蓄電池がフレームに挿入されると、2つの差し込み接続部が相互に接続され、これにより、プラグコネクタおよび相応の電気モータケーブルを介して、場合により制御装置が中間接続されて、蓄電池への電気的接続が形成される。
【0003】
本発明の基礎とする課題は、装置内のエネルギ蓄積器および/または駆動ユニットの組み込み位置を考慮して、装置のエネルギ蓄積器を装置の駆動ユニットに接続することのできる、プラグコネクタを備えた装置ならびにプラグコネクタを提供することである。
【0004】
当該課題は、2つの独立請求項1および2の特徴により解決される。
【0005】
1つは、本発明により、プラグコネクタ、エネルギ蓄積器および駆動ユニットを備えた装置であって、プラグコネクタを介してエネルギ蓄積器が駆動ユニットに接続可能であり、エネルギ蓄積器は旋回過程によってその組み込み位置へ移行させられ、当該移行の際に同時にプラグコネクタによる接触接続が生じるように構成されている。
【0006】
もう1つは、本発明により、所定の用途(例えば電動自転車、電気車両、電子機器およびこれらに類似のもの)のためのプラグコネクタであって、プラグコネクタを介してエネルギ蓄積器が駆動ユニットに接続可能であり、エネルギ蓄積器は旋回過程によってその組み込み位置へ移行させられ、当該移行の際に同時にプラグコネクタによる接触接続が生じるように構成されている。
【0007】
2つの(代替的なもしくは補完的な)構成により、装置内のエネルギ蓄積器および/または駆動ユニットの組み込み位置を考慮して、装置のエネルギ蓄積器を装置の駆動ユニットに接続することのできるプラグコネクタを備えた装置(例えばEバイク)またはプラグコネクタが実現される。
【0008】
本発明の発展形態では、プラグコネクタが2つの差し込み接続部から成っており、一方の差し込み接続部が組み込みスリーブであり、他方の差し込み接続部が組み込みプラグであるように構成される。これにより、組み合わさってプラグコネクタを形成する2つの差し込み接続部を、一方では駆動ユニットの領域の組み込み条件に、他方ではエネルギ蓄積器の領域の組み込み条件に正確に適合させ、相応に取り付けることができる。
【0009】
例えば、Eバイクで、蓄電池を簡単にフレームに挿入しかつそこから再び取り外し可能とし、同時にフレームに定置式に配置するために、旋回過程が必要である。
【0010】
したがって、本発明の発展形態では、組み込みコネクタがフランジに支持され、フランジと組み込みプラグとの間にプラグ支持体が配置されるように構成される。
【0011】
蓄電池は、フレーム内で旋回可能とすべきである。このために、自転車フレーム内の組み込みプラグは、こうした旋回が許容されるよう、多部材から形成される。組み込みプラグは、自転車フレーム内にねじ込まれるフランジから成っている。つまり、当該フランジは、固有の構成部材である。当該フランジには、自転車フレーム内の対応するねじ溝へのねじ込みのためのねじ山を設けることができる。これにより、フレームへのフランジの固定手段が得られるが、場合により、ねじ込み後にフランジがフレーム内での設定された最終位置に到達しているかどうかに注意しなければならない。こうした定義された最終位置に到達させるために、ねじ込みに代えて、フランジを直接にねじ込むのではなく、まず開口内、凹部内またはこれらに類似のもの内へ挿入し、その後、適切な手法でフレームに固定する、好適にはねじ止めするように構成してもよい。ねじ止めに代えてまたはこれに加えて、接着、クリップ止め、ラッチ止め、リテーナを用いた取り付けまたは同様の作用を有する固定も考えられる。さらに、フランジを場合により中間部材内に挿入し、例えばこれをさらにクリップ止めすることにより固定し、ついで当該中間部材を自転車フレーム内に挿入して、適切な手法で(特にフランジについて既述したのと同様の手法で)固定してもよいことに言及しておく。すなわち、必ずしもフランジをつねに直接にフレームに取り付ける必要はない。
【0012】
当該フランジではプラグが浮動可能に支持されており、これにより、軸線を中心として回転運動が可能である。一方側のみの、例えばばねでの支持により、浮動可能に支持された当該組み込みプラグは、プラグコネクタが差し込まれていない状態では斜めに位置しており、蓄電池の旋回過程が完全に終了するまで、蓄電池側の組み込みスリーブとの接触接続が許容される。「浮動可能に」とは、プラグが蓄電池の挿入時に旋回可能であることと理解されたい。例えばEバイクでは、「斜め」のフレームの表面が基準面であり、または別様に定義するならば、フランジの載置面とプラグカラーとの間の角度が、「直立状」、好適には90°であるのに対して、蓄電池がばねでの支持によって取り付けられるのでない場合、プラグカラーは10°だけ斜めに傾くことになる。この場合、蓄電池の搭載後または旋回後、直立状の位置が達成され、このときにばねに圧力がかかる。10°という角度の大きさは、組み込み状況に応じて、±25%だけ、好適には±10%だけ変化してよい。
【0013】
ここでは本発明を電動自転車に関連して説明したが、本発明はこうした適用分野に限定されない。もちろん、本発明のプラグコネクタは、当該プラグコネクタを介してエネルギ蓄積器が駆動ユニットに接続可能であり、エネルギ蓄積器は旋回過程によってその組み込み位置へ移行させられ、当該移行の際に同時にプラグコネクタによる接触接続が生じる、他の用途(例えば電気車両、電子機器およびこれらに類似のもの)にも使用可能である。
【0014】
以下に、電動自転車で適用されるプラグコネクタに即して本発明を説明する。ここではプラグコネクタの主要な要素のみを図示および説明し、駆動ユニット(電気モータ)、エネルギ蓄積器(蓄電池)および自転車自体は、よりわかりやすくするために図示していない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】複数のビューで、2つの差し込み接続部(組み込みスリーブ2および組み込みプラグ3)が組み合わさって成るプラグコネクタ1を示す図である。
【
図2】プラグコネクタ1を実現すべく組み込みプラグ3の対応部分への差し込みに適しておりかつ差し込みのために構成された、組み込みスリーブ2の種々のビューを示す図である。
【
図3】種々のビューで、組み込みプラグ3、フランジ4およびプラグ支持体5(および任意手段としてのケーブル6)から成るユニットを示す図である。
【0016】
図1には、複数のビューで、2つの差し込み接続部(組み込みスリーブ2および組み込みプラグ3)が組み合わさって成るプラグコネクタ1が示されている。組み込みプラグ3はフランジ4に支持されており、フランジ4と組み込みプラグ3との間にプラグ支持体5が配置されている。組み込みプラグ3は、好適には位置固定されて、プラグ支持体5に配置されており、これに対して、プラグ支持体5は、可動に、特に旋回可能に、フランジ4に支持されている。つまり、ここでは、本発明の一発展形態の一構成、すなわち組み込みプラグ3が位置固定されてプラグ支持体5に配置されており、これに対してプラグ支持体5が可動に、特に旋回可能にフランジ4に支持されていることが示されている。これに代わる図示していない本発明の一構成では、組み込みプラグ3が可動に、特に旋回可能にプラグ支持体5に配置され、これに対してプラグ支持体5が位置固定されてフランジ4に支持されることも考えられる。
【0017】
組み込みプラグ3に組み込みスリーブ2を差し込むことができ、このために、2つの差し込み接続部2,3は、相互に対応する差し込み形状および差し込み寸法を有する。
【0018】
図1の右方の図では、本発明の一発展形態として、組み込みプラグ3が、上方を向いた端部の幾らか下方に周状のシールを有することが見て取れる。当該シールにより、組み込みプラグ3とそこに差し込まれる組み込みスリーブ2との間の長手方向の水密性が実現される。
【0019】
図2には、プラグコネクタ1を実現すべく組み込みプラグ3の対応部分への差し込みに適しておりかつそのために構成された、組み込みスリーブ2の種々のビューが示されている。当該組み込みスリーブ2は、定置式にまたはケーブル6を介して、ここには図示していないエネルギ蓄積器、特に蓄電池に接続されている。これは、組み込みスリーブ2がエネルギ蓄積器に対して相対的に位置固定されており、すなわち不動であって、エネルギ蓄積器と共に取り扱われることを意味する。特に、図示の組み込みスリーブ2は、蓄電池の運動、特に旋回運動による組み込みプラグ3への差し込みに適しておりかつそのために構成されている。
【0020】
図3には、種々のビューで、組み込みプラグ3、フランジ4およびプラグ支持体5(および任意手段としてのケーブル6)から成るユニットが示されている。組み込みプラグ3は、定置式にかつ不動にプラグ支持体5に配置されており、これに対してプラグ支持体5は、可動に、特に旋回可能にフランジ4に配置されていることが見て取れる。フランジ4は、例えば電動自転車のフレーム内の適切な位置に定置式に取り付けられ、例えばねじ止めされる。こうした配置により、組み込みプラグ3をプラグ支持体5と共にフランジ4内で可動とし、特に旋回可能とすることができる。当該旋回は、例えば、
図1の左方の図と中央の図とを比較することで、または
図1の左方の図と右方の図とを比較することで、きわめて良好に見て取れる。当該各図には10°での旋回が示されているが、10°より大きいまたは10°より小さい角度または別の運動方向も可能である。
【0021】
組み込みプラグ3がプラグ支持体5の上方でフランジ4に配置される、特に
図3に示した実施形態のほか、プラグ支持体5を省略して、直接に組み込みプラグ3をフランジ4に配置することも考えられる。
【0022】
フランジ4は、組み込みプラグ3を直接に旋回させて受容するため、またはプラグ支持体5を受容するために受容領域を有し、当該受容領域の外輪郭により、例えば電気車両、特に電動自転車の適切な位置、例えばフレーム内に配置可能である。取り付けのために、当該受容領域は、周状に突出した、例えば開口を有するフレームを有し、フランジ4をその組み込み箇所に配置してその組み込み位置で固定するために、当該開口を通して、固定手段、例えばねじ、リベットまたはこれらに類似のものを導通させることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 プラグコネクタ
2 組み込みスリーブ
3 組み込みプラグ
4 フランジ
5 プラグ支持体
6 ケーブル