(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】内視鏡用光源装置、内視鏡装置及び光量調整方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A61B1/06 610
(21)【出願番号】P 2020556472
(86)(22)【出願日】2018-11-12
(86)【国際出願番号】 JP2018041802
(87)【国際公開番号】W WO2020100184
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【氏名又は名称】井上 一
(74)【代理人】
【識別番号】100166523
【氏名又は名称】西河 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】田中 哲史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 光一郎
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/120907(WO,A1)
【文献】特開2007-227681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00-9/90
F21S 2/00-45/70
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色領域に属する狭帯域光である第1の光を射出する第1の光源、青色領域に属する狭帯域光であり、前記第1の光とは中心波長の異なる第2の光を射出する第2の光源、緑色領域に属する第3の光を射出する第3の光源、及び、赤色領域に属する狭帯域光である第4の光を射出する第4の光源を有し、被写体を照明するための照明光を生成する光源部と、
光量比設定値に基づいて、
前記第1~第4の光源の光量を調整する光源コントローラと、
を含み、
前記光量比設定値は、色バランスを調整するための第1光量比と、色表現を調整するための第2光量比と、を両立するように、前記第1~第4の光源の射出光量が設定されており、
前記第1光量比は、前記第1の光及び前記第2の光の光量が加算された光量と、前記第3の光の光量と、前記第4の光の光量と、の比であり、
前記第2光量比は、前記第1の光と前記第2の光の光量比であり、
前記光源コントローラは、
前記光量比設定値に基づいて、前記第1光量比を維持した状態で、前記第2光量比を調整するように、前記第1~第4の光源の光量を調整することで、前記被写体を撮像した画像の黄色領域から赤色領域における色表現を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記光源コントローラは、
前記青色領域に属する前記第1の光及び前記第2の光の光量の和を、前記第1光量比に基づいて所定の範囲内に保つと共に、前記青色領域に属する前記第1の光及び前記第2の光の光量を、前記第2光量比に基づいて調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記光源部は、
赤色領域に属する狭帯域光であり、前記第4の光とは中心波長の異なる第5の光を射出する第5の光源を
有し、
前記光量比設定値は、
前記第1~第5の光源の光量を調整するための設定値であり、
前記第1光量比は、前記第1の光及び前記第2の光の光量が加算された光量と、前記第3の光の光量と、前記第4の光及び前記第5の光の光量が加算された光量と、の比であり、
前記第2光量比は、前記第1の光と、前記第2の光の光量比であり、
第3光量比は、前記第4の光と、前記第5の光の光量比であり、
前記光源コントローラは、
前記光量比設定値に基づいて、
前記第1光量比を維持した状態で、前記第2光量比を調整するように、前記第1~第5の光源の光量を調整することで、前記被写体を撮像した画像の黄色領域から赤色領域における色表現を調整
する、さらに、
前記光量比設定値に基づいて、
前記第1光量比を維持した状態で、前記第3光量比を調整するように、前記第1~第5の光源の光量を調整することで、前記被写体を撮像した画像の赤色領域における色表現を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記光源コントローラは、
前記照明光の演色性の目標に対応した前記光量比設定値に基づいて、前記
第1~第4の光の各光の光量を調整することで、前記照明光の前記色バランスを、前記演色性に対応した色バランスに調整し、前記画像の前記色表現を、前記演色性に対応した色表現に調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記光源コントローラは、
前記演色性の目標により特定される前記第1光量比の許容調整範囲と、前記演色性の目標により特定される前記第2光量比の許容調整範囲と、を満たす前記光量比設定値に基づいて、前記
第1~第4の光の各光の光量を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記演色性の目標は、キセノン光源の色バランス、及び前記キセノン光源を用いて撮像される画像の色表現であることを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記光源コントローラは、
撮像素子の分光感度特性と、前記
第1~第4の光の分光特性とにより設定される前記光量比設定値に基づいて、前記
第1~第4の光の各光の光量を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項8】
請求項1において、
前記光量比設定値を記憶する記憶部を含み、
前記光源コントローラは、
前記記憶部に記憶された前記光量比設定値に基づいて、前記
第1~第4の光の各光の光量を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項9】
請求項1において、
前記光源コントローラは、
前記第1光量比を設定する色バランス制御回路と、
前記第2光量比を設定する色表現制御回路と、
を有し、
前記色バランス制御回路により設定された前記第1光量比と、前記色表現制御回路により設定された前記第2光量比とに基づいて、前記光量比設定値を設定することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記色バランス制御回路は、
内視鏡装置の入力部から入力される情報に基づいて前記第1光量比を設定し、
前記色表現制御回路は、
前記入力部から入力される前記情報に基づいて前記第2光量比を設定することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項11】
請求項10において、
記憶部を含み、
前記光源コントローラは、
設定モードにおいて、前記色バランス制御回路により設定された前記第1光量比と、前記色表現制御回路により設定された前記第2光量比とに基づいて、前記光量比設定値を前記記憶部に記憶させ、
通常動作モードにおいて、前記記憶部に記憶された前記光量比設定値に基づいて、前記
第1~第4の光の各光の光量を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項12】
請求項1において、
前記光源コントローラは、
内視鏡装置に第1内視鏡スコープが装着されたとき、前記第1内視鏡スコープに対応した第1光量比設定値に基づいて、前記
第1~第4の光の各光の光量を調整し、
前記内視鏡装置に第2内視鏡スコープが装着されたとき、前記第2内視鏡スコープに対応し且つ前記第1光量比設定値とは異なる第2光量比設定値に基づいて、前記
第1~第4の光の各光の光量を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記第1内視鏡スコープ及び前記第2内視鏡スコープは、
時分割の前記
第1~第4の光に照明される前記被写体をモノクロ撮像素子が撮像する面順次方式の内視鏡スコープ、及び前記照明光に照明される前記被写体を原色ベイヤ撮像素子が撮像する原色型の内視鏡スコープ、前記照明光に照明される前記被写体を補色撮像素子が撮像する補色型の内視鏡スコープのうちの、いずれか2つであることを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記
第1~第4の光の各光の光量をセンシングする光センサを含み、
前記光源コントローラは、
内視鏡スコープから前記被写体に照射される前記照明光が、前記光量比設定値が示す光量比となるように、前記光センサによりセンシングされた光量に基づいて、前記
第1~第4の光の光量を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項15】
請求項14において、
前記光源部は、
前記
第1~第4の光を前記内視鏡スコープに入射させる光合波部を有し、
前記光センサは、
前記
第1~第4の光が前記光合波部を通過するときの減衰と等しい波長特性を有する光学フィルタを有し、
前記光源コントローラは、
前記光センサからの出力に基づいて、前記
第1~第4の光の光量を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項16】
青色領域に属する狭帯域光である第1の光を射出する第1の光源、青色領域に属する狭帯域光であり、前記第1の光とは中心波長の異なる第2の光を射出する第2の光源、緑色領域に属する第3の光を射出する第3の光源、赤色領域に属する狭帯域光である第4の光を射出する第4の光源、及び赤色領域に属する狭帯域光であり、前記第4の光とは中心波長の異なる第5の光を射出する第5の光源を有し、被写体に照射するための照明光を生成する光源部と、
光量比設定値に基づいて、前記第1~第5の
光源の光量を調整する光源コントローラと、
を含み、
前記光量比設定値は、色バランスを調整するための第1光量比と、色表現を調整するための第2光量比及び第3光量比と、を両立するように、前記第1~第5の光源の射出光量が設定されており、
前記第1光量比は、前記第1の光及び前記第2の光の光量が加算された光量と、前記第3の光の光量と、前記第4の光及び前記第5の光の光量が加算された光量と、の比であり、
前記第2光量比は、前記第1の光と、前記第2の光と、の光量比であり、
前記第3光量比は、前記第4の光と、前記第5の光と、の光量比であり、
前記光源コントローラは、
前記光量比設定値に基づいて、
前記第1光量比を維持した状態で、前記第2光量比を調整するように、前記第1~第5の光源の光量を調整することで、前記被写体を撮像した画像の黄色領域から赤色領域における色表現を調整
する、さらに、
前記光量比設定値に基づいて、
前記第1光量比を維持した状態で、前記第3光量比を調整するように、前記第1~第5の光源の光量を調整することで、前記被写体を撮像した画像の赤色領域における色表現を調整することを特徴とする内視鏡用光源装置。
【請求項17】
請求項1に記載された内視鏡用光源装置と、
内視鏡スコープと、
を含むことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項18】
青色領域に属する狭帯域光である第1の光
を射出する第1の光源
、青色領域に属する狭帯域光であり、前記第1の光とは中心波長の異なる第2の光を射出する第2の光源
、緑色領域に属する第3の光を射出する第3の光源
、赤色領域に属する狭帯域光である第4の光
を射出する第4の光源
、及び、赤色領域に属する狭帯域光であり、前記第4の光とは中心波長の異なる第5の光を射出する第5の光源
の各々の光量を調整する光量調整方法であって、
光源コントローラが、
色バランスを調整するための第1光量比と、色表現を調整するための第2光量比及び第3光量比と、を両立するように前記第1~第5の光源の射出光量が設定されている光量比設定値に基づいて、
前記第1~第5の光源の光量を調整し、
前記光源コントローラが、前記光量比設定値に基づいて、
前記第1の光及び前記第2の光の光量が加算された光量と、前記第3の光の光量と、前記第4の光及び前記第5の光の光量が加算された光量との比である前記第1光量比を維持した状態で、前記第1の光と前記第2の光の光量比である前記第2光量比を調整するように、前記第1~第5の光源の光量を調整することで、被写体を撮像した画像の黄色領域から赤色領域における色表現を調整し、
前記光源コントローラが、前記光量比設定値に基づいて、
前記第1光量比を維持した状態で、前記第4の光と前記第5の光の光量比である前記第3光量比を調整するように、前記第1~第5の光源の光量を調整することで、前記被写体を撮像した前記画像の赤色領域における色表現を調整することを特徴とする光量調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用光源装置、内視鏡装置及び光量調整方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡装置において、互いに異なる波長で発光する複数の半導体光源を組み合わせた照明技術が知られている。このような照明技術における照明光のスペクトルは、キセノン光源等の白色光源のスペクトルと異なるのが通常である。複数の光源を組み合わせた場合のスペクトルは、複数の光源が射出する光の光量比によって決まる。
【0003】
複数の光源が射出する光の光量比を調整する技術が、例えば特許文献1、2に開示されている。特許文献1では、半導体光源としてレーザを用いており、レーザの個体差を補正するために、照明光の色バランスが変わらないように複数のレーザの光量比を調整する。特許文献2では、半導体光源としてLEDを用いており、赤色領域、緑色領域及び青色領域の各々において、LEDの光量積分値とキセノン光源の光量積分値とを一致させることで、キセノン光源と同等な白色光を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/120907号
【文献】特開2016-144624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内視鏡装置において、互いに波長が異なる複数の光源により照明光を発生させる場合において、複数の光源の光量比を調整することで、照明光の色バランスと画像の色表現を各々独立にチューニングしたいという課題がある。色バランスは、いわゆるホワイトバランスであり、色温度に関係する。色表現は、いわゆる色の度合いに関係しており、例えば生体の赤味又は黄色味等に関係する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、互いに波長の異なる4以上の光を射出する4以上の光源を有し、前記4以上の光を照明光として内視鏡スコープに入射する光源部と、色バランスに関する第1光量比及び色表現に関する第2光量比を設定するための光量比設定値に基づいて、前記4以上の光の各光の光量を調整する光源コントローラと、を含み、可視光の波長領域に含まれる青色領域、緑色領域及び赤色領域の各々に、前記4以上の光のうち少なくとも1つずつの光が属し、前記青色領域、前記緑色領域及び前記赤色領域のいずれかの領域である第1色領域に、前記4以上の光のうち2以上の光が属し、前記第1色領域に属する前記2以上の光は、狭帯域光であり、前記第1光量比は、前記青色領域に属する光と前記緑色領域に属する光と前記赤色領域に属する光の光量比であり、前記第2光量比は、前記第1色領域に属する前記2以上の光の光量比であり、前記光源コントローラは、前記光量比設定値に基づいて前記4以上の光の光量比を調整することで、前記照明光の色バランスと、前記内視鏡スコープの撮像素子によって撮像される画像の明度、彩度及び色相の少なくとも一つを含む前記画像の色表現と、を調整する内視鏡用光源装置に関係する。
【0007】
また本発明の他の態様は、上記に記載された内視鏡用光源装置と、前記内視鏡スコープと、を含む内視鏡装置に関係する。
【0008】
また本発明の更に他の態様は、可視光の波長領域に含まれる青色領域、緑色領域及び赤色領域の各々に4以上の光のうち少なくとも1つずつの光が属し、前記青色領域、前記緑色領域及び前記赤色領域のいずれかの領域である第1色領域に前記4以上の光のうち2以上の光が属し、前記第1色領域に属する前記2以上の光は、狭帯域光であり、第1光量比は、前記青色領域に属する光と前記緑色領域に属する光と前記赤色領域に属する光の光量比であり、第2光量比は、前記第1色領域に属する前記2以上の光の光量比である場合において、互いに波長の異なる前記4以上の光を照明光として内視鏡スコープに入射し、色バランスに関する前記第1光量比及び色表現に関する前記第2光量比を設定するための光量比設定値に基づいて、前記4以上の光の各光の光量を調整することで、前記照明光の色バランスと、前記内視鏡スコープの撮像素子によって撮像される画像の明度、彩度及び色相の少なくとも一つを含む前記画像の色表現と、を調整する内視鏡用光源装置の作動方法に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】第1実施形態における照明光のスペクトル例。
【
図8】第3実施形態における照明光のスペクトル例。
【
図9】第4実施形態における照明光のスペクトル例。
【
図10】第5実施形態における照明光のスペクトル例。
【
図11】第6実施形態における照明光のスペクトル例。
【
図12】インジゴカルミン及びクリスタルバイオレット、トルイジンブルーの分光吸収率特性。
【
図13】第7実施形態における照明光のスペクトル例。
【
図14】第9実施形態における光源装置の詳細な構成例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.内視鏡装置
【0012】
図1は、内視鏡装置10の構成例である。なお以下では、一般的な内視鏡と共通する構成及び動作については説明を省略し、本発明に関連する特徴部を中心に説明する。また以下では、消化器用の医療用内視鏡を例に説明するが、本発明の適用対象はこれに限定されない。即ち、本明細書で言う内視鏡とは、様々な観察対象物の凹部内面を観察するための挿入部を備える機器一般を言うものとする。例えば、内視鏡とは、生体の診察に用いる医療用内視鏡、又は工業用内視鏡である。
【0013】
図1の内視鏡装置10は、制御装置100と内視鏡スコープ200と表示部300と入力部600とを含む。なお、表示部300をディスプレイ、表示装置とも呼ぶ。また入力部600を入力装置、操作装置とも呼ぶ。
【0014】
まず、内視鏡装置10の構成について説明する。
【0015】
内視鏡スコープ200は、挿入部210と操作部220と接続ケーブル230とコネクタ240とにより構成されている。挿入部210は、可撓性を有しており、生体の体腔内に挿入可能である。生体の体腔は、本実施形態における被写体である。医師等のユーザは、操作部220を把持すると共に、操作部220を用いて内視鏡装置10を操作する。接続ケーブル230は、制御装置100と内視鏡スコープ200を接続するケーブルであり、可撓性を有する。コネクタ240は、接続ケーブル230の一端に設けられており、制御装置100と内視鏡スコープ200を着脱可能にする。
【0016】
挿入部210の先端には、照明光を被写体に向けて射出する照明レンズ211、212と、被写体の表面から反射又は散乱された照明光を受光することで画像を撮像する撮像ユニット213と、が配置されている。
【0017】
内視鏡スコープ200には、導光路214が設けられている。導光路214は、照明レンズ211、212と光学的に接続される。制御装置100に光源部140が設けられており、導光路214は、光源部140から射出される照明光を照明レンズ211、212まで導光する。導光路214は、光ファイバ束等のライトガイドである。ライトガイドは、コネクタ240から、接続ケーブル230、操作部220内を経由して、照明レンズ211、212まで延びている。
【0018】
照明レンズ211、212は、ライトガイドにより導光された照明光を所望の放射角となるように広げる。照明レンズ211、212の各々は、単数または複数のレンズにより構成された照明光学系である。
【0019】
撮像ユニット213は、撮像光学系と撮像素子を有している。撮像素子は、例えばCMOS型イメージャである。イメージャは、ベイヤ型に配列されたRGB原色カラーフィルタが搭載されたベイヤ型イメージャ、又は補色カラーフィルタが搭載された補色イメージャ、又はモノクロイメージャである。モノクロイメージャは、面順次方式の内視鏡スコープに用いられる。なお、撮像素子として、CMOS型イメージャの他にCCDを用いることも可能である。
【0020】
内視鏡スコープ200には画像信号線215が設けられており、撮像ユニット213が撮像した画像の画像信号を制御装置100まで伝送する。画像信号線215は、挿入部210、操作部220、接続ケーブル230内に配置されており、コネクタ240を介して制御装置100へ電気的に接続されている。なお、画像信号線215は、光通信用の光ファイバ等であってもよい。
【0021】
制御装置100は、照明光を射出する光源装置160と、処理回路110とを含む。処理回路110は、撮像ユニット213からの画像信号に対して画像処理を行ったり、内視鏡装置10の各部を制御したりする。
【0022】
処理回路110は、複数の回路部品が基板に実装された回路装置により実現される。或いは、処理回路110は、プロセッサ或いはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路装置であってもよい。処理回路110がプロセッサである場合、処理回路110の動作を記述したプログラムをプロセッサが実行することで、処理回路110の動作が実現される。プログラムは、例えば、図示しないメモリに記憶されている。
【0023】
表示部300は、処理回路110により画像処理された被写体の画像を表示する。表示部300は、一般に用いられている種々の表示デバイスであり、例えば液晶モニタ等である。表示部300は、画像信号を伝送する電気配線により、制御装置100と電気的に接続されている。
【0024】
入力部600は、ユーザからの操作を受け付け、その操作情報を処理回路110へ出力する。入力部600は、例えばボタン又はダイヤル、キーボード、マウス、タッチパネル等である。タッチパネルは表示部300に設けられる。或いは、入力部600は、PC(Personal Computer)等の情報処理装置に接続されるインターフェースであってもよい。インターフェースは、情報処理装置からの入力情報を受け付け、その入力情報を処理回路110へ出力する。インターフェースは、例えばUSB(Universal Serial Bus)又はLAN(Local Area Network)等の通信インターフェースである。
【0025】
光源装置160は、照明光を射出する光源部140と、光源部140を制御する光源コントローラ150と、光量比設定値を記憶する記憶部170と、を含む。
【0026】
光源部140は、互いに波長の異なる4以上の光を射出する4以上の光源を有する。光源部140は、その4以上の光を照明光として内視鏡スコープ200に入射する。4以上の光源の各々は、発光素子である。例えば、発光素子は、発光ダイオード(LED: Light Emitting Diode)又は半導体レーザ等の半導体光源である。
【0027】
可視光の波長領域は、赤色領域、緑色領域及び青色領域を含む。これら各領域には、照明光を構成する4以上の光のうち1つずつが、属している。且つ、赤色領域、緑色領域及び青色領域のいずれかの領域には、4以上の光のうち2以上の光が属している。この領域を第1色領域と呼ぶことにする。第1色領域に属する2以上の光は、狭帯域光である。第1色領域に属する光以外の光は、狭帯域光であってもよいし、狭帯域光でなくてもよい。なお、照明光の詳細な例については後述する。
【0028】
光源コントローラ150は、例えば、光源を駆動する駆動回路と、駆動回路を制御する制御回路又はプロセッサと、を含むことができる。或いは、光源に駆動回路が含まれる場合には、光源コントローラ150は、光源の駆動回路を制御する制御回路又はプロセッサであってもよい。
【0029】
光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて上記4以上の光の各光の光量を調整する。光量比設定値は、色バランスに関する第1光量比及び色表現に関する第2光量比を設定するための設定値である。第1光量比は、赤色領域に属する光と緑色領域に属する光と青色領域に属する光の光量比である。上述のように第1色領域には2以上の光が属する。このとき、その2以上の光の光量の合計が、第1色領域に属する光の光量となる。第2光量比は、第1色領域に属する2以上の光の光量比である。光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて4以上の光の光量比を調整することで、照明光の色バランスと画像の色表現とを調整する。色バランスは、照明光における赤色と緑色と青色のバランスであり、例えば照明光の色温度のことである。画像の色表現は、色バランスとは異なり、例えば青味又は赤味等、各色の度合いのことである。具体的には、色表現は、画像の明度、彩度及び色相の少なくとも一つを含む。即ち、色の度合いが調整されるということは、明度、彩度及び色相の少なくとも一つが調整されるということである。
【0030】
光量比設定値は、第1光量比及び第2光量比を同時に実現する1つの光量比であってもよいし、或いは第1光量比及び第2光量比が別々に指定されたものであってもよい。例えば、半導体光源は電流値と発光量に相関がある。この場合、光量比設定値は、第1光量比及び第2光量比を実現する電流値を指定するものであってもよい。例えば、光量比設定値は、記憶部170に記憶されている。光源コントローラ150は、記憶部170から読み出した光量比設定値に基づいて、照明光を制御する。或いは、光量比設定値は、入力部600を介して処理回路110に入力される。光源コントローラ150は、処理回路110からの光量比設定値に基づいて、照明光を制御する。
【0031】
記憶部170として種々の記憶装置を想定できる。例えば、記憶部170は、RAM又はROM、不揮発性メモリ等の半導体メモリである。或いは、記憶部170は、ハードディスクドライブ等の磁気記憶装置であってもよい。
【0032】
光源コントローラ150が光源の発光量を制御する手法は種々想定できる。例えば光源が発光ダイオードである場合、電流調光又はPWM調光、パルス数調光、それらの組み合わせ等の手法がある。電流調光では、光源コントローラ150は、発光ダイオードを駆動する駆動電流を変化させることで光量を調整する。PWM調光では、光源コントローラ150は、所定の撮像期間内に発光する時間を変化させることで光量を調整する。パルス数調光では、光源コントローラ150は、所定の撮像期間内に発光させるパルスの数を変化させることで光量を調整する。また、光源コントローラ150は、これら3つの調光手法のうち2つ又は3つを組み合わせて用いてもよい。
【0033】
以上のように複数の光源を用いて照明光を発生させた場合において、照明光の色バランスと画像の色表現を各々独立にチューニングしたいという課題がある。例えば、内視鏡装置のユーザは、内視鏡画像における被写体の色などに基づいて診断を行うが、その診断において、文献或いは過去の経験を参考にしている。このとき、文献或いは過去の経験に即した色バランスや色味が再現されていることが望ましい。
【0034】
この点、本実施形態によれば、光源コントローラ150は、照明光を構成する4以上の光の光量比を光量比設定値に基づいて調整することで、照明光の色バランスと画像の色表現とを調整する。これにより、照明光の色バランスと画像の色表現を各々独立に調整することが可能になる。例えば、照明光を構成する4以上の光の光量比が調整されることで、文献或いは過去の経験に即した色バランスや色表現を再現できる。
【0035】
具体的には、光源コントローラ150は、第1色領域に属する2以上の光の光量の和を、第1光量比に基づいて所定の範囲内に保つ。且つ、光源コントローラ150は、第1色領域に属する2以上の狭帯域光の光量を、第2光量比に基づいて調整する。
【0036】
上述したように、第1光量比は照明光の色バランスを設定する光量比であり、第2光量比は色表現を設定する光量比である。即ち、光源コントローラ150は、第1光量比によって照明光の色バランスを設定すると共に、その色バランスを保ちながら第2光量比に基づいて画像の色表現を調整する。これにより、照明光の色バランスと画像の色表現が独立に調整され、目標とする色バランス及び色表現が実現される。
【0037】
ここで、所定の範囲は、第1光量比によって設定される色バランスを実現できる許容範囲である。例えば、第1光量比が、赤色領域の光量:緑色領域の光量:青色領域の光量=1:1:1であり、第1色領域が赤色領域であるとする。このとき、赤色領域の光量は、赤色領域に属する2以上の光の光量の和である。赤色領域の光量は、例えば0.9~1.1等の所定の範囲内に保たれる。但し、0.9~1.1は所定の範囲の一例であって、所定の範囲はこれに限定されない。許容範囲は、一般的な画像処理技術により、画質に大きな影響を与えることなく補正可能な範囲に入っていれば良い。すなわち、色帯域ごとにゲインを掛けて明るさを補正する場合、一般的な内視鏡観察では±50%程度であれば使用に耐えうる。±30%程度であれば、大多くの用途で場合、問題なく使用できる。±10%程度に収めることで、画像ノイズや明部、暗部の色合いにも影響を与えることはほとんど無く、精密な診察や治療にも問題なく利用できる。さらに最新の画像処理技術を用いることで許容範囲を広げることも可能である。
【0038】
なお、照明光は、内視鏡スコープ200に搭載された撮像素子を経由して表示部300に表示される。このとき、撮像素子や表示部300の分光特性も色バランスに影響してくる。最終的に表示部300に表示される色バランスを所望のバランスに設定するため、撮像素子の分光特性と表示部300の分光特性などを考慮してもよい。より詳細には、撮像素子213の受光感度の分光特性、及び撮像素子に搭載されたUV/IRカットフィルタの分光特性、カラーフィルタが搭載されている場合はその分光特性、照明光を導光する導光路214の分光特性、照明レンズ211、212の分光特性、撮像光学系の分光特性等を考慮してもよい。第1光量比は、これらの要素のうち1以上が考慮された光量比であってもよい。更に、表示部300の色再現に関する特性が考慮された第1光量比となっていることが、望ましい。
【0039】
以下、詳細な実施形態について説明する。なお、以下の複数の実施形態は適宜に組み合わされてもよい。
【0040】
2.第1実施形態
【0041】
第1実施形態では、互いに波長が異なる5つの光により照明光が構成される場合を説明する。なお後述するように、4つ又は6以上の光により照明光が構成されてもよい。
【0042】
図2は、第1実施形態における照明光のスペクトル例である。
図2に示すように、可視光の波長領域は青色領域と緑色領域と赤色領域を含む。例えば、青色領域は400nm~495nmであり、緑色領域は496nm~585nmであり、赤色領域は585nm~680nmである。なお波長帯域を波長帯域とも呼ぶ。
【0043】
青色領域は、領域BVと領域BBに分割され、赤色領域は領域BAと領域BRに分割される。照明光は、領域BVを有する光IVと、領域BBを有する光IBと、領域BGを有する光IGと、領域BAを有する光IAと、領域BRを有する光IRと、により構成されている。光IV、IB、IA、IRは、狭帯域光である。狭帯域光とは、その光が属する色領域よりも狭い波長領域を有する光である。例えば光IVは、青色領域より狭い領域BVを有する。緑色領域に属する光IGは、緑色領域と同程度の領域BGを有する広帯域光である。なお、光IGは、緑色領域より狭い波長領域を有する狭帯域光であってもよい。領域BV、BB、BG、BA、BRは、それぞれ紫、青、緑、アンバー、赤に対応する。但し、領域分割はこれに限定されない。なお、上述した第1色領域は、
図2において青色領域又は赤色領域である。
【0044】
図3は、光源装置160の第1の詳細な構成例である。なお
図3において内視鏡スコープ200のコネクタ及び導光路214のみを図示し、その他の構成要素について図示を省略している。
【0045】
光源部140は、紫の光IVを射出する光源LDVと、青の光IBを射出する光源LDBと、緑の光IGを射出する光源LDGと、アンバーの光IAを射出する光源LDAと、赤の光IRを射出する光源LDRと、光合波部141と、を含む。また光源部140は、光源の配光を変更したり並行光化したりするためのレンズ等を、更に含んでもよい。
【0046】
例えば、紫の光IVの領域BVは400nm≦BV≦440nmであり、青の光IBの領域BBは440nm<BB≦495nmであり、緑の光IGの領域BGは495nm<BG≦585nmであり、アンバーの光IAの領域BAは586nm<BA≦615nmであり、赤の光IRの領域BRは615nm<BR≦680nmである。なお、短波長側の境界を400nmとし、長波長側の境界を680nmとしたが、400nmより短波長側に照明光の波長成分が存在してもよいし、680nmより長波長側に照明光の波長成分が存在してもよい。
【0047】
光合波部141は、上記5色の光を合波して導光路214に入射させる。光合波部141は、光IV、IB、IG、IA、IRを合波するダイクロイックミラーDC1~DC4である。或いは、光合波部141は、5つの入射端と1つの出射端を有する光ファイバ又は光ファイバ束であってもよい。
【0048】
ダイクロイックミラーDC1~DC4は、互いに異なる光学特性を有している。即ち、DC1は、光IVを透過し、光IBを反射する。DC2は、光IV及びIBを透過し、光IGを反射する。DC3は、光IV及びIB、IGを透過し、光IAを反射する。DC4は、光IV及びIB、IG、IAを透過し、光IRを反射する。なお、ここでの“透過する”は、光がピーク強度となる波長を含む主要部分を透過することである。また、ここでの“反射する”とは、主要部分を反射することである。即ち、スペクトルの主要部分でない裾野部分はカットされてもよい。即ち、ダイクロイックミラーDC1~DC4は、各光の不要な部分をカットするフィルタとしても機能している。この結果、ダイクロイックミラーDC1~DC4により合波された照明光は、互いに略重なりの無い5つの独立したスペクトルを有する。即ち、領域BV、BB、BG、BA、BRの各々には、ひとつずつの光が属しており、隣接する領域の光はほとんど含まれない。
【0049】
光源部140は、内視鏡装置の観察目的に応じて、白色照明と特殊光照明を射出可能に構成されている。例えば光路に図示しないフィルタが挿入されることで、特殊光照明が実現される。フィルタは、特殊光のスペクトルに合わせた分光特性になっている。光源部140が白色照明を射出するとき、5つの光源全てが発光し、5つの光全ての主要部分が導光路214に入射する。
【0050】
光源コントローラ150は、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRに対して駆動電流を出力することで、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRを発光させる。また光源コントローラ150は、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRの発光タイミングを同期制御する。即ち、内視鏡スコープが面順次方式である場合、光源コントローラ150は、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRを、所定の発光シーケンスに従って順次に発光させる。内視鏡スコープの撮像素子が原色ベイヤ型又は補色型である場合、光源コントローラ150は、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRを同時に発光させる。
【0051】
光源コントローラ150は、色バランスを調整する色バランス制御回路151と、色表現を調整する色表現制御回路152と、を含む。
【0052】
色バランス制御回路151は、コネクタ240に接続された導光路214の入射端に入射する照明光の色バランスが、第1光量比となるように、5つの光の光量比を調整する。光IV、IB、IG、IA、IRの光量を、それぞれBpv、Bpb、Gp、Rpa、Rprとする。色バランス制御回路151は、例えば(Bpv+Bpb):Gp:(Rpa+Rpr)=1:1:1となるように光量比を調整する。なお1:1:1は一例である。即ち、第1光量比は、所望の色温度又は所望のカラーバランスとなるように、調整される。色バランスの調整においては、Bpv:Bpb又はRpa:Rprを、任意に設定できる。即ち、何れか一方が消灯していたとしても、色バランスが第1光量比となるように調整すればよい。
【0053】
色表現制御回路152は、内視鏡スコープ200の撮像素子により撮像される画像の色表現を調整する。即ち、色表現制御回路152は、表示部300に表示される画像の色表現を調整する。色表現制御回路152は、赤色領域に属する2つの光の光量比Rpa:Rprを赤色用光量比に調整することで、所望の色表現を実現する。また色表現制御回路152は、青色領域に属する2つの光の光量比Bpv:Bpbを青色用光量比に調整することで、所望の色表現を実現する。例えば、従来の内視鏡において広く使われているキセノン光源で生体表面を照明したときの生体内面の色表現と略等しい色表現となるように、色表現制御回路152が光量比を制御する。色表現の調整において、たとえば色差ΔE等を指標にすることが可能である。
【0054】
光量比設定値は、第1光量比と赤色光量比と青色光量比により決まる光量比である。第1実施形態においては、青色光量比が第2光量比であり、赤色光量比が第3光量比である。色バランス及び色表現が調整された結果が、例えば下式(1)~(3)であるとする。
Bp:Gp:Rp=0.9:1.0:0.8 ・・・(1)
Bpv:Bpb=0.4:0.5 ・・・(2)
Rpa:Rpr=0.5:0.3 ・・・(3)
【0055】
このとき、光量比設定値は下式(4)となる。
Bpv:Bpb:Gp:Rpa:Rpr=0.4:0.5:1.0:0.5:0.3
・・・(4)
【0056】
光源コントローラ150が、光量比設定値により光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRを発光させることで、光源装置160が、所望の色バランスと色表現を両立した照明光を照射することが可能となる。例えば、キセノン光源等の白色光源によって被写体を照明したときの色バランスと同じ色バランスとなるように、照明光の色バランスが調整される。また例えば、赤い被写体を撮像したときに、画像上において、その被写体が赤く見えるように、画像の色表現が調整される。また例えば、キセノン光源等の白色光源を有する内視鏡装置によって病変部を撮影したときの画像と、同等の色味を有する画像が撮影されるように、画像の色表現が調整される。また例えば、病変部と正常部とが識別しやすいように、画像の色表現が調整される。
【0057】
図4、
図5は、青色光量比Bpv:Bpbと色表現の関係を説明する図である。青色領域における光IVとIBの光量比Bpv:Bpbを変化させることで、画像の青味又は黄色味を調整できる。即ち、
図4に示すように、青の光IBの光量を相対的に大きくすることで、画像の青味を強くできる。また、
図5に示すように、紫の光IVの光量を相対的に大きくすることで、画像の黄色味を強くできる。
【0058】
青の領域BBは、紫の領域BVよりも視感度が高い。このため、青色領域の光量Bpv+Bpbを維持した状態で、紫の光IVの光量を相対的に大きくすると、画面上では相対的に青味が減少する。このとき、第1光量比Bp:Gp:Rpにより色バランスは維持されているため、色バランスを保ったまま、青味が減少することになる。青味が減少すると、青と補色関係にある黄色味が強くなると考えられる。一方、青色領域の光量Bpv+Bpbを維持した状態で、青の光IBの光量を相対的に大きくすると、画面上では相対的に青味が増加する。生体において青い被写体が少ないため、青味が増加することで黄色味が減少し、その結果としてピンク色が強くなる。或いは、生体の赤色に青色が加わると、生体は紫がかった赤に見える。これが結果的に、ピンク色が強くなったように見えている可能性もある。以上のように、生体のような赤色から肌色に近い画像において、青色光量比Bpv:Bpbを制御することで、黄色領域から赤色領域における色表現を制御できる。
【0059】
図6、
図7は、赤色光量比Rpa:Rprと色表現の関係を説明する図である。赤色領域における光IAとIRの光量比Rpa:Rprを変化させることで、画像の赤味を調整できる。即ち、
図6に示すように、アンバーの光IAの光量を相対的に大きくすることで、画像の赤味を弱くできる。また、
図7に示すように、赤の光IRの光量を相対的に大きくすることで、画像の赤味を強くできる。
【0060】
赤色領域は生体の色に近い波長領域であるため、光の色と画像の色の相関性が高いと考えられる。即ち、赤色領域の光量Rpa+Rprを維持した状態で、アンバーの光IAの光量を相対的に大きくすると、画像の赤味が減少し、画像がオレンジ色に近くなる。一方、赤色領域の光量Rpa+Rprを維持した状態で、赤の光IRの光量を相対的に大きくすると、画像の赤味が増加する。第1光量比Bp:Gp:Rpにより色バランスは維持されているため、色バランスを保ったまま、赤色領域における色表現を調整できる。
【0061】
例えば、以下の手順により光量比が決定される。まず、本実施形態の内視鏡装置10により、胃の粘膜を模したサンプルを撮影する。また、色表現の目標となる画像、例えばキセノン光源によりサンプルを照明したときの画像を取得する。そして、内視鏡装置10により撮像された画像の色表現が、目標となる画像の色表現と類似したものとなるように、青色光量比Bpv:Bpb及び赤色光量比Rpa:Rprを設定する。これにより、胃の粘膜等を観察対象物としたときの色表現を調整できる。即ち、観察対象物を撮像した画像の青味又は黄色味、赤味を調整できる。なお、これらの光量比は、内視鏡スコープ200が有する撮像素子及び撮像光学系の分光特性に応じて調整されることが望ましい。また、これらの光量比は、観察対象物に応じて調整されてもよい。また、これらの光量比は、ユーザの好みに応じて調整されてもよい。
【0062】
次に、色バランスを調整する詳細な手法を説明する。
【0063】
色バランスの調整において、内視鏡スコープ200の撮像素子に搭載されたカラーフィルタの特性と、撮像素子の波長感度特性を考慮して、光量比が設定される。これにより、撮像素子で撮像したときの照明光の色が調整される。
【0064】
青色領域と緑色領域と赤色領域における撮像素子のカラーフィルタのスペクトル形状を、それぞれB(λ)、G(λ)、R(λ)とする。λは波長である。撮像素子の画素の分光感度特性をIm(λ)とする。光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRの発光スペクトルを、それぞれVL(λ)、BL(λ)、GL(λ)、AL(λ)、RL(λ)とする。最大光量に対する青色領域と緑色領域と赤色領域の光量比を、それぞれPb、Pg、Prとする。ここでの最大光量は、青色領域と緑色領域と赤色領域の光量のうち最大のものである。下式(5)を波長λで積分したものをBpとし、下式(6)を波長λで積分したものをGpとし、下式(7)を波長λで積分したものをRpとする。
B(λ)×Im(λ)×(VL(λ)+BL(λ))×Pb ・・・(5)
G(λ)×Im(λ)×GL(λ)×Pg ・・・(6)
R(λ)×Im(λ)×(AL(λ)+RL(λ))×Pr ・・・(7)
【0065】
Bpは、白色の被写体を撮像したときに、青色領域において撮像素子が受光する光量である。Gpは、白色の被写体を撮像したときに、緑色領域において撮像素子が受光する光量である。Rpは、白色の被写体を撮像したときに、赤色領域において撮像素子が受光する光量である。Bp:Gp:Rpは色バランスを表す。即ち、光源コントローラ150は、撮像素子が受光する照明光の色が所望の色となるように、Bp:Gp:Rpを調整することで、色バランスを調整する。このとき、VL(λ)とBL(λ)の大きさの比が変わっても、積分したBpが同じ光量であれば、色バランスは変わらない。言い換えるとBpが一定の範囲で、VL(λ)とBL(λ)の大きさの比を調整しても色バランスに影響を与えない。
【0066】
以上では、撮像素子やカラーフィルタの分光特性も考慮して設定する方法を記載した。これは精密な色バランス調整が必要な場合に行うもので、必須ではない。例えば、撮像素子の特性が異なる複数種類の内視鏡スコープと光源装置160とが組み合わされる場合、代表的な撮像素子を想定してひとつの色バランスを代表値として取得し、それを使いまわしても良い。このようにすることで、色バランスのパターンを減らすことが出来る。逆に、撮像素子の種類だけでなく固体ごとに色バランスを取得しても良い。このようにすることで、個体ごとに精密な色バランスを取得、設定することが可能となる。
【0067】
次に、色表現を調整する詳細な手法を説明する。
【0068】
最大光量に対する光IV、IB、IG、IA、IRの光量比を、それぞれPbv、Pbb、Pg、Pra、Prrとする。ここでの最大光量は、光IV、IB、IG、IA、IRの光量のうち最大のものである。第1調整状態におけるPbv、Pbb、Pra、PrrをPbv1、Pbb1、Pra1、Prr1とする。また第2調整状態におけるPbv、Pbb、Pra、PrrをPbv2、Pbb2、Pra2、Prr2とする。
【0069】
青色領域における色表現の調整において、下式(8)を満足する範囲で、Pbv、Pbbが調整されることで、所望の色表現が実現される。
B(λ)×Im(λ)×(VL(λ)×Pbv1+BL(λ)×Pbb1)=B(λ)×Im(λ)×(VL(λ)×Pbv2+BL(λ)×Pbb2) ・・・(8)
【0070】
ここでB(λ)×Im(λ)は互いに等しいので、結局、下式(9)を満たすように調整されればよい。
VL(λ)×Pbv1+BL(λ)×Pbb1=VL(λ)×Pbv2+BL(λ)×Pbb2 ・・・(9)
【0071】
赤色領域における色表現の調整において、下式(10)を満足する範囲で、Pra、Prrが調整されることで、所望の色表現が実現される。なお、ここでは青色帯域における色表現の調整と同様にR(λ)×Im(λ)は変化しないことを用いている。
AL(λ)×Pba1+RL(λ)×Pbr1=AL(λ)×Pba2+RL(λ)×Pbr2 ・・・(10)
【0072】
このように調整されることで、色バランスを崩すことなく、色表現が調整される。なお、内視鏡装置10の製造時等において作業者が、或いは実使用時においてユーザが、実際に画像を確認しながら微調整を行ってもよい。
【0073】
下式(11)を波長λで積分したものをBpvとし、下式(12)を波長λで積分したものをBpbとし、下式(13)を波長λで積分したものをRpaとし、下式(14)を波長λで積分したものをRprとする。
B(λ)×Im(λ)×VL(λ)×Pbv ・・・(11)
B(λ)×Im(λ)×BL(λ)×Pbb ・・・(12)
R(λ)×Im(λ)×AL(λ)×Pba ・・・(13)
R(λ)×Im(λ)×RL(λ)×Pbr ・・・(14)
【0074】
このとき、下式(15)、(16)が成り立つ。
Bp=Bpv+Bpb ・・・(15)
Rp=Rpa+Rpr ・・・(16)
【0075】
光量比設定値は、Bpv:Bpb:Gp:Rpa:Rprである。これは、第1光量比Bp:Gp:Rpと青色光量比Bpv:Bpbと赤色光量比Rpa:Rprとを含んでいる。このようにすることで、光量比としてパラメータをまとめて取り扱うことが出来る。或いは、光量比設定値として、第1光量比Bp:Gp:Rpと青色光量比Bpv:Bpbと赤色光量比Rpa:Rprとが別々に設定されてもよい。このようにすることで、色バランスと色表現のパラメータを独立に扱いやすい。たとえば、色バランスを維持したまま色表現のみを変更したい場合、青色光量比Bpv:Bpb又は赤色光量比Rpa:Rprを変更すればよい。
【0076】
光量比設定値は、内視鏡装置10に装着された内視鏡スコープの種類に応じて設定されてもよい。例えば、内視鏡スコープ200は、IDを記憶した不図示のメモリ等を含み、光源コントローラ150が、そのIDを取得する。光源コントローラ150は、IDに基づいて撮像素子を識別し、それに対応した光量比設定値に基づいて光源部140を制御する。或いは、内視鏡スコープ200が、光量設定値を記憶した不図示のメモリ等を含み、光源コントローラ150が、その光量比設定値を取得し、その取得した光量比設定値に基づいて光源部140を制御してもよい。
【0077】
次に、光源装置160の動作を説明する。光源装置160は、設定モードと通常動作モードを有する。
【0078】
設定モードは、例えば内視鏡装置10の製造時等において設定される。設定モードにおいて、作業者が、入力部600を操作して色バランス及び色表現を設定する。処理回路110は、その設定情報を光源コントローラ150に出力する。色バランス制御回路151及び色表現制御回路152は、設定情報に基づいて光量比設定値を設定し、光源コントローラ150は、光量比設定値に対応した光量比で光源部140を発光させる。作業者は、所望の色バランス及び色表現となるように、色バランス及び色表現を調整する。光源コントローラ150は、最終的に決定された光量比設定値を記憶部170に書き込む。なお、設定モードにおいて光量比設定値が自動設定されてもよい。即ち、色表現制御回路152は、光源部の各LEDの発光スペクトルが測定された測定結果に基づいて、所望の色バランスおよび色表現となるように光量比設定値を導出し、その光量比設定値を記憶部170に書き込んでもよい。
【0079】
通常動作モードは、内視鏡装置10の通常動作時、即ちユーザが内視鏡装置10を用いる際のモードである。通常動作モードにおいて、光源装置160に電源が投入され、通常の立上シーケンスに従って光源装置160が立ち上がる。光源装置160に内視鏡スコープ200が接続されると、光源コントローラ150は、接続された内視鏡スコープ200に対応した光量比設定値を記憶部170から読み出し、その光量比設定値に対応した光量比で光源部140を発光させる。
【0080】
光源コントローラ150は、いわゆる調光回路を含む。調光回路は、画像の明るさに基づいて、画像の明るさを一定に保つように光源部140の発光量を制御する。発光量は、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRの総発光量である。このとき、光源コントローラ150は、光量比Bpv:Bpb:Gp:Rpa:Rprを変化させないように発光量を制御する。即ち、色バランス及び色表現が変化しないように画像の明るさが調光される。例えば、光源コントローラ150は、Bpv、Bpb、Gp、Rpa、Rprに同一のゲインを乗じることで各光源の発光量を決める。
【0081】
以上の第1実施形態によれば、光源部140は、第1~第5の光(IV、IB、IG、IA、IR)を射出する第1~第5の光源(LDV、LDB、LDG、LDA、LDR)を含む。光量比設定値は、第1光量比(Bp:Gp:Rp)と第2光量比(青色光量比Bpv:Bpb)と第3光量比(赤色光量比Rpa:Rpr)とを設定するための設定値である。光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて、第1の光(IV)と第2の光(IB)の光量比を第2光量比に調整することで、画像の青色又は黄色の度合いを調整する。また光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて、第4の光(IA)と第5の光(IR)の光量比を第3光量比に調整することで、画像の赤色の度合いを調整する。
【0082】
このようにすれば、照明光の色バランスと画像の色表現を独立に調整可能である。色バランスを所望の色バランスに調整すると共に、その色バランスを維持しつつ色表現を所望の色表現に調整できる。また、光源装置160が調光機能を有する場合には、上記調整された色バランス及び色表現を維持した状態で調光可能な光源装置を提供できる。
【0083】
また本実施形態では、光源コントローラ150は、照明光の演色性の目標に対応した光量比設定値に基づいて、第1~第5の光の光量を調整することで、照明光の色バランスを、演色性に対応した色バランスに調整し、画像の色表現を、演色性に対応した色表現に調整する。
【0084】
このようにすれば、目標とする演色性の照明光によって撮影された画像の色バランス及び色表現を再現する照明光を、本実施形態の光源装置160が発生できるようになる。演色性の目標は、例えば病変部の色を再現するような演色性である。
【0085】
また本実施形態では、光源コントローラ150は、演色性の目標により特定される第1光量比の許容調整範囲と、演色性の目標により特定される第2光量比の許容調整範囲と、を満たす光量比設定値に基づいて、第1~第5の光の光量を調整する。また光源コントローラ150は、演色性の目標により特定される第2光量比の許容調整範囲を更に満たす光量比設定値に基づいて、第1~第5の光の光量を調整してもよい。
【0086】
このようにすれば、目標とする演色性の照明光によって撮影された画像の色バランス及び色表現を、ある許容範囲内において再現する照明光を、本実施形態の光源装置160が発生できるようになる。
【0087】
なお、第1実施形態において、第1光量比の許容調整範囲は、Bp:Gp:RpにおけるBp、Gp、Rp各々の調整範囲である。第2光量比の許容調整範囲は、Bpv:BpbにおけるBpv、Bpb各々の調整範囲である。第3光量比の許容調整範囲は、Rpa:RprにおけるRpa、Rpr各々の調整範囲である。これらの調整範囲は、目標とする演色性が実現される範囲である。
【0088】
また本実施形態では、演色性の目標は、キセノン光源の色バランス、及びキセノン光源を用いて撮像される画像の色表現である。キセノン光源の色バランス、色表現とは、キセノン光源を用いて撮像された画像の色表現である。特に、癌に代表される病変組織と正常組織との色味を再現できる色バランス、色表現となるように調整することが望ましい。また、内視鏡の用途に応じて、胃炎やピロリ菌の有無や除去状況など、内視鏡で観察、診断対象とする特徴部の、正常組織との色味の違いについて、キセノン光源の色バランス、色表現を再現できるように調整することが望ましい。
【0089】
このようにすれば、キセノン光源によって撮影された画像の色バランス及び色表現を再現する照明光を、本実施形態の光源装置160が発生できるようになる。
【0090】
また本実施形態では、光源コントローラ150は、撮像素子の分光感度特性と、第1~第5の光の分光特性とにより設定される光量比設定値に基づいて、第1~第5の光の光量を調整する。
【0091】
このようにすれば、撮像素子によって撮像された画像における色バランス及び色表現を、撮像素子の分光感度特性を考慮した正確な色バランス及び色表現に調整できる。
【0092】
また本実施形態では、光源コントローラ150は、記憶部170に記憶された光量比設定値に基づいて、第1~第5の光の光量を調整する。
【0093】
このようにすれば、光源コントローラ150は、記憶部170に記憶された光量比設定値により指定される第1光量比及び第2光量比で第1~第5の光源を発光させることができる。これにより、照明光が所望の色バランスに調整され、画像が所望の色表現に調整される。
【0094】
また本実施形態では、光源コントローラ150は、色バランス制御回路151により設定された第1光量比と、色表現制御回路152により設定された第2光量比とに基づいて、光量比設定値を設定する。
【0095】
このようにすれば、色バランス制御回路151が照明光の色バランスを調整し、色表現制御回路152が画像の色バランスを調整できる。
【0096】
また本実施形態では、色バランス制御回路151は、内視鏡装置10の入力部600から入力される情報に基づいて第1光量比を設定する。色表現制御回路152は、入力部600から入力される情報に基づいて第2光量比を設定する。
【0097】
このようにすれば、作業者又はユーザが入力部600を介して色バランス及び色表現を調整できる。
【0098】
また本実施形態では、光源コントローラ150は、設定モードにおいて、色バランス制御回路151により設定された第1光量比と、色表現制御回路152により設定された第2光量比とに基づいて、光量比設定値を記憶部170に記憶させる。光源コントローラ150は、通常動作モードにおいて、記憶部170に記憶された光量比設定値に基づいて、第1~第5の光の光量を調整する。
【0099】
このようにすれば、設定モードにおいて、所望の色バランス及び色表現となるように光量比を設定し、その光量比設定値を記憶部170に記憶させることができる。そして、通常動作モードにおいて、記憶部170から読み出した光量比設定値に基づいて、所望の色バランス及び色表現となる照明光を発生できる。
【0100】
3.第2実施形態
【0101】
第2実施形態では、通常動作モードにおいてユーザが入力部600を介して色表現を調整できる。即ち、色表現制御回路152は、入力部600から入力される情報に基づいて青色光量比Bpv:Bpbと赤色光量比Rpa:Rprを設定する。また色バランス制御回路151は、記憶部170から読み出した光量比設定値に基づいて第1光量比Bp:Gp:Rpを設定する。
【0102】
具体的には、ユーザは入力部600から所望の色表現情報を入力する。色表現制御回路152は、所望の色表現となる青色光量比と赤色光量比を算出する。光源コントローラ150は、算出された青色光量比及び赤色光量比と、第1光量比とに基づいて、光源部140を制御する。
【0103】
色表現制御回路152は、色バランスを変更せず、色表現のみが変更されるように青色光量比と赤色光量比を算出する。例えば、画像の黄色味を増加させる情報が入力部600から入力された場合、色表現制御回路152は、現状のBpv:Bpbに比べて、Bpvを相対的に大きくするように、Bpv:Bpbを変更する。このとき、色表現制御回路152は、Bp=Bpv+Bpbが変化しないようにBpv:Bpbを変更する。なお、入力部600から入力される色表現情報は、色の度合いそのものの情報であってもよいし、色の度合いの変化を示す情報であってもよい。また、希望とする色表現の画像を入力部600に読み込ませてもよい。また入力部600が様々な色表現のサンプルを記憶しており、それを表示部300に表示し、ユーザに希望のサンプルを選択させてもよい。
【0104】
4.第3実施形態
【0105】
図8は、第3実施形態における照明光のスペクトル例である。
図8に示すように、第3実施形態では、波長領域が隣接する2つの光のスペクトルが、互いに重なっている。
図8では、光IVとIBのスペクトルが重なり、光IGとIAのスペクトルが重なり、光IAとIRのスペクトルが重なる場合を示す。なお、スペクトルの重なり方は
図8に限定されない。例えば、光IBとIGのスペクトルが重なってもよい。
【0106】
隣接する2つのスペクトルが重なる場合、重なり部分の光量を考慮して各光の光量を算出する必要がある。光IVのスペクトルが領域BBにはみ出した部分をVb(λ)とし、光IBのスペクトルが領域BVにはみ出した部分をBv(λ)とする。光IAのスペクトルが領域BGにはみ出した部分をAg(λ)とし、光IAのスペクトルが領域BRにはみ出した部分をAr(λ)とする。
【0107】
色バランスの算出手法を説明する。下式(17)を波長λで積分したものをBp’とし、下式(18)を波長λで積分したものをGp’とし、下式(19)を波長λで積分したものをRp’とする。色バランスに関する第1光量比は、Bp’:Gp’:Rp’である。
B(λ)×Im(λ)×(VL(λ)+BL(λ))×Pb ・・・(17)
G(λ)×Im(λ)×(GL(λ)×Pg+Ag(λ)×Pra) ・・・(18)
R(λ)×Im(λ)×(AL(λ)+RL(λ))×Pr ・・・(19)
【0108】
色表現の算出手法を説明する。下式(20)を領域BV内の波長λで積分したものをBpv’とし、下式(22)を領域BB内の波長λで積分したものをBpb’とし、下式(22)を領域BA内の波長λで積分したものをRpa’とし、下式(23)を領域BR内の波長λで積分したものをRpr’とする。色表現に関する光量比は、青色光量比Bpv’:Bpb’、及び赤色光量比Rpa’:Rpr’である。
B(λ)×Im(λ)×VL(λ)×Pbv+BL(λ)×Pbb ・・・(20)
B(λ)×Im(λ)×BL(λ)×Pbb+VL(λ)×Pbv ・・・(21)
R(λ)×Im(λ)×AL(λ)×Pba ・・・(22)
R(λ)×Im(λ)×RL(λ)×Pbr+AL(λ)×Pba ・・・(23)
【0109】
このとき、下式(24)、(25)が成り立つ。
Bp’=Bpv’+Bpb’ ・・・(24)
Rp’=Rpa’+Rpr’ ・・・(25)
【0110】
以上より、Bpv’:Bpb’:Gp’:Rpa’:Rpr’が所望の色バランス及び色表現となるように、光IV、IB、IG、IA、IRの光量比が調整される。調整手法は、第1実施形態等で説明した手法と同様である。
【0111】
5.第4実施形態
【0112】
図9は、第4実施形態における照明光のスペクトル例である。第4実施形態では、赤色領域のみが領域BAと領域BRに分割され、青色領域は分割されない。照明光は、領域BBXを有する光IBXと、領域BGを有する光IGと、領域BAを有する光IAと、領域BRを有する光IRと、により構成されている。光IA、IRは、狭帯域光である。青色領域に属する光IBXは、青色領域と同じ領域BBXを有する広帯域光である。なお、光IBXは、青色領域より狭い波長領域を有する狭帯域光であってもよい。
【0113】
第4実施形態によれば、光源部140は、第1~第4の光(IBX、IG、IA、IR)を射出する第1~第4の光源を含む。第1光量比は、第1の光(IBX)の光量と、第2の光(IG)の光量と、第3の光(IA)及び第4の光(IR)の光量が加算された光量と、の比である。第2光量比は、第3の光(IA)と第4の光(IR)の光量比(赤色光量比Rpa:Rpr)である。光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて、第3の光(IA)と第4の光(IR)の光量比を第2光量比に調整することで、画像の赤色の度合いを調整する。
【0114】
このようにすれば、照明光の色バランスと画像の赤味を独立に調整可能である。また、赤色領域における色表現のみを調整可能とすることで、シンプルな構成の光源装置160で色表現を調整できる。
【0115】
6.第5実施形態
【0116】
図10は、第5実施形態における照明光のスペクトル例である。第5実施形態では、青色領域のみが領域BVと領域BBに分割され、赤色領域は分割されない。照明光は、領域BVを有する光IVと、領域BBを有する光IBと、領域BGを有する光IGと、領域BRXを有する光IRXと、により構成されている。光IV、IBは、狭帯域光である。赤色領域に属する光IRXは、赤色領域と同じ領域BRXを有する広帯域光である。なお、光IRXは、赤色領域より狭い波長領域を有する狭帯域光であってもよい。
【0117】
第5実施形態によれば、光源部140は、第1~第4の光(IV、IB、IG、IRX)を射出する第1~第4の光源を含む。第1光量比は、第1の光(IV)及び第2の光(IB)の光量が加算された光量と、第3の光(IG)の光量と、第4の光(IRX)の光量と、の比である。第2光量比は、第1の光(IV)と第2の光(IB)の光量比(青色光量比Bpv:Bpb)である。光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて、第1の光(IV)と第2の光(IB)の光量比を第2光量比に調整することで、画像の青色又は黄色の度合いを調整する。
【0118】
このようにすれば、照明光の色バランスと画像の青味又は黄色味を独立に調整可能である。また、青色領域における色表現のみを調整可能とすることで、シンプルな構成の光源装置160で色表現を調整できる。
【0119】
7.第6実施形態
【0120】
図11は、第6実施形態における照明光のスペクトル例である。第6実施形態では、青色領域及び緑色領域、赤色領域の全てが、2つの領域に分割されている。照明光は、領域BVを有する光IVと、領域BBを有する光IBと、領域BG1を有する光IG1と、領域BG2を有する光IG2と、領域BAを有する光IAと、領域BRを有する光IRと、により構成されている。光IV、IB、IG1、IG2、IA、IRは、狭帯域光である。
【0121】
第6実施形態によれば、光源部140は、第1~第6の光(IV、IB、IG1、IG2、IA、IR)を射出する第1~第6の光源を含む。光量比設定値は、第1~第4光量比を設定するための設定値である。第1光量比は、第1の光(IV)及び第2の光(IB)の光量が加算された光量と、第3の光(IG1)及び第4の光(IG2)の光量が加算された光量と、第5の光(IA)及び第6の光(IR)の光量が加算された光量と、の比である。第2光量比は、第1の光(IV)と第2の光(IB)の光量比(青色光量比Bpv:Bpb)である。第3光量比は、第3の光(IG1)と第4の光(IG2)の光量比(Gpg1:Gpg2)である。Gpg1は第3の光(IG1)の光量であり、Gpg2は第4の光(IG2)の光量である。第4光量比は、第5の光(IA)と第6の光(IR)の光量比(赤色光量比Rpa:Rpr)である。光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて、第1の光(IV)と第2の光(IB)の光量比を第2光量比に調整することで、画像の青色又は黄色の度合いを調整する。光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて、第3の光(IG1)と第4の光(IG2)の光量比を第3光量比に調整することで、画像の緑色の度合いを調整する。光源コントローラ150は、光量比設定値に基づいて、第5の光(IA)と第6の光(IR)の光量比を第4光量比に調整することで、画像の赤色の度合いを調整する。
【0122】
このようにすれば、照明光の色バランスと、青色領域及び緑色領域、赤色領域の各々における画像の色表現とを、独立に調整可能である。青色領域及び緑色領域、赤色領域の各々における画像の色表現が調整可能であるため、画像における様々な色の度合いを調整できる。
【0123】
図12を用いて、緑色の度合い調整について説明する。
図12には、内視鏡分野で一般的に用いられる散布薬剤であるインジゴカルミン及びクリスタルバイオレット、トルイジンブルーの分光吸収率特性を示す。
図12に示すように、これらの薬剤は緑色領域において急峻な分光吸収率特性を有する。このため、緑色領域に属し且つ波長が異なる光IG1、IG2の光量比を調整することで、薬剤が散布された被写体における色表現を調整できる。例えば、短波長側の緑である光IG1の光量を相対的に上げると、薬剤が散布された被写体は青みを帯びた緑色となる。長波長側の緑である光IG2の光量を相対的に上げると、薬剤が散布された被写体は黄色みを帯びた緑色の色表現となる。薬剤の見え方をキセノン光源による色表現に近づけるように、色表現を調整することが可能となる。
【0124】
8.第7実施形態
【0125】
図13は、第7実施形態における照明光のスペクトル例である。第7実施形態では、赤色領域が3つの領域BA、BR1、BR2に分割されている。領域BV、BB、BG、BA、BR1、BR2には、それぞれ、光IV、IB、IG、IA、IR1、IR2が属する。
図13には、光源がレーザである場合のスペクトル例を示している。即ち、光IV、IB、IG、IA、IR1、IR2は、レーザ光による狭帯域光である。
【0126】
光源コントローラ150は、光IVとIBの光量比を調整することで、画像の青味又は黄色味を調整する。また光源コントローラ150は、領域BAとBR1とBR2の光量比を調整することで、画像の赤味を調整する。赤色領域において3つの光の光量比が調整されることで、赤色領域における色表現を精密に調整できる。生体の画像は赤色成分が多いため、赤色領域における色表現を精密に調整できることで、生体の色表現をより精密に調整できる。
【0127】
なお第7実施形態では光源がレーザである場合を例に説明したが、光源はレーザに限定さない。また第1~第6実施形態では光源が発光ダイオードである場合を例に説明したが、光源は発光ダイオードに限定されない。即ち、第1~第7実施形態において、種々の光源を採用可能である。例えば光源として、レーザ、又は発光ダイオード、又はレーザと発光ダイオードのハイブリッド光源、又はスーパールミネッセントダイオード、レーザと蛍光体を組み合わせた光源、又は発光ダイオードと蛍光体を組み合わせた光源、又はこれらを組み合わせた光源等を採用できる。
【0128】
9.第8実施形態
【0129】
第8実施形態では、光源コントローラ150は、内視鏡装置10に装着された内視鏡スコープの撮像素子に応じて、光量比設定値を変更する。撮像素子はモノクロ撮像素子又は原色ベイヤ撮像素子又は補色撮像素子である。モノクロ撮像素子はUVフィルタ又はIRフィルタ等を含むが、各画素で色が異なるカラーフィルタを含まない。原色ベイヤ撮像素子は、ベイヤ型カラーフィルタが設けられた撮像素子である。補色撮像素子は、補色カラーフィルタが設けられた撮像素子である。
【0130】
光源装置160と内視鏡スコープ200が接続されると、光源コントローラ150は、光源装置160に接続された内視鏡スコープ200の撮像素子に対応した光量比設定値を読み出す。撮像素子に対応した光量比設定値は、例えば内視鏡スコープ200に搭載されたメモリ、又は光源装置160の記憶部170に記憶されている。光源コントローラ150は、読み出された光量比設定値から光源の光量比を決定する。これにより、光源装置160に接続された内視鏡スコープ200の撮像素子に対応した第1光量比及び第2光量比が設定される。即ち、光源装置160に接続された内視鏡スコープ200の撮像素子に対応した色バランス及び色表現を実現する光量比が設定される。
【0131】
また第8実施形態では、光源コントローラ150は、内視鏡装置10に装着された内視鏡スコープの撮像素子に応じて、更に光源の発光タイミングを変更してもよい。光源の発光タイミングとして、面順次方式及び同時方式がある。面順次方式は、時分割に射出される複数の光により照明される被写体を、モノクロ撮像素子が撮像する方式である。同時方式は、同時に射出される複数の光により照明される被写体を、撮像素子が撮像する方式である。
【0132】
光源装置160と内視鏡スコープ200が接続されると、光源コントローラ150は、光源装置160に接続された内視鏡スコープ200に搭載された撮像素子の種類に関する情報を読み出す。撮像素子の種類に関する情報は、例えば内視鏡スコープ200に搭載されたメモリ、又は光源装置160の記憶部170に記憶されている。光源コントローラ150は、読み出された撮像素子の種類に関する情報から光源の発光タイミングを決定する。即ち、光源コントローラ150は、同時式発光か、面順次式発光か、を決定する。
【0133】
撮像素子がモノクロ撮像素子であった場合、光源コントローラ150は、モノクロ撮像素子に対応して決定された光量比に基づいて複数の光源を順次に発光させる。例えば、赤の光源LDR及びアンバーの光源LDAを同時に発光させ、次に緑の光源LDGを発光させ、次に青の光源LDB及び紫の光源LDVを同時に発光させる。撮像素子が原色ベイヤ撮像素子又は補色撮像素子であった場合、光源コントローラ150は、原色ベイヤ撮像素子又は補色撮像素子に対応して決定された光量比に基づいて複数の光源を同時に発光させる。
【0134】
第8実施形態によれば、内視鏡装置10に第1内視鏡スコープが装着されたとき、光源コントローラ150は、第1内視鏡スコープに対応した第1光量比設定値に基づいて、照明光を構成する4以上の光の光量を調整する。内視鏡装置10に第2内視鏡スコープが装着されたとき、光源コントローラ150は、第2内視鏡スコープに対応し且つ第1光量比設定値とは異なる第2光量比設定値に基づいて、照明光を構成する4以上の光の光量を調整する。なお、上記では内視鏡スコープの撮像素子に応じて光量比設定値が設定される場合を例に説明したが、内視鏡スコープの機種等に応じて光量比設定値が設定されてもよい。
【0135】
このようにすれば、内視鏡装置10に装着された内視鏡スコープの撮像素子又は内視鏡スコープの機種等に応じて、照明光の色バランス及び画像の色表現を調整することができる。
【0136】
10.第9実施形態
【0137】
図14は、第9実施形態における光源装置160の詳細な構成例である。第9実施形態では、光源部140は、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRと、光センサSS1~SS5と、レンズLN1~LN6と、光合波部141と、を含む。光合波部141は、ダイクロイックミラーDC1~DC4を含む。
【0138】
内視鏡スコープが接続されるコネクタ240から遠い側から近い側に向かって、短波長側の光源から順に配置されている。レンズLN1は、光源LDVが射出する光をダイクロイックミラーDC1に入射させる。同様に、レンズLN2、LN3、LN4、LN5は、それぞれ、光源LDB、LDG、LDA、LDRが射出する光を、ダイクロイックミラーDC1、DC2、DC3、DC4に入射させる。ダイクロイックミラーDC1~DC4は、光源LDB、LDG、LDA、LDRが射出する光を合波する。レンズLN6は、合波された光をコネクタ240に入射させる。
【0139】
光センサSS1は、光源LDVからレンズLN1に向かう光路の外に配置される。即ち、光センサSS1は、光源LDVから射出される光のうち、光路外の漏れ光を検出する。同様に、光センサSS2、SS3、SS4、SS5は、それぞれ、光源LDB、LDG、LDA、LDRからレンズLN2、LN3、LN4、LN5に向かう光路の外に配置される。即ち、光センサSS2、SS3、SS4、SS5は、それぞれ、光源LDB、LDG、LDA、LDRから射出される光のうち、光路外の漏れ光を検出する。光センサSS1~SS5の受光面は、光源の射出面に対向している。このため、光センサSS1~SS5は、レンズ又はダイクロイックミラーからの反射散乱光を受光しにくい。光センサSS1は、光源LDVからの光が光合波部141を通過するときの減衰と等しい波長特性を有する光学フィルタを有する。同様に、光センサSS2~SS5は、光源LDB、LDG、LDA、LDRからの光が光合波部141を通過するときの減衰と等しい波長特性を有する光学フィルタを有する。「等しい」は略等しい場合を含む。即ち、光学フィルタの波長特性が、光合波部141を通過するときの減衰と厳密に等しい場合に限定されない。なお、光センサSS1~SS5は、受光量のレンジを適正化するためのND(Neutral Density)フィルタを含んでもよい。
【0140】
図15は、ダイクロイックミラーDC1~DC4の分光透過率特性である。ダイクロイックミラーDC1~DC4は、誘電体多層ミラーである。ダイクロイックミラーDC1~DC4の分光透過率特性は、いずれも短波長側の透過率が高く(略100%)、且つ長波長側が低い(略0%)。誘電体多層膜ミラーは、透過しない光を、ほぼ全て反射する。即ち、100%から透過率を減じた値が、略反射率となる。各ダイクロイックミラーにおける透過率の変化は、なるべく急峻になるように設計されることが望ましい。ただし、コストなどを考慮して、適当な傾きとなるようにすることも好適である。
【0141】
図15の分光透過率特性によれば、全てのダイクロイックミラーの透過率特性が、短波長側が高く長波長側が低い特性となっている。このため、たとえば雰囲気温度が変化した場合でも全てのダイクロイックミラーの透過率特性が同じ方向に波長シフトするため、光源装置160から射出される照明光の光量の変化を小さくできる。また、同様の理由から、雰囲気温度が変化した場合でも光量比の変化を小さくすることも出来る。
【0142】
光源コントローラ150は、内視鏡スコープから被写体に照射される照明光が、光量比設定値が示す光量比となるように、光センサSS1~SS5によりセンシングされた光量に基づいて、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRの発光量を調整する。
【0143】
即ち、光源コントローラ150は、光センサSS1~SS5によりセンシングされた光量に基づいて、実際の光量比を算出し、その算出した光量比と光量比設定値とを比較し、その比較結果に基づいて、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRの発光量をフィードバック制御する。このようにすれば、光源の個体差による発光量のばらつき、又は光源の経年劣化による発光量の変化を、フィードバック制御により補正できる。これにより、正確な光量比を実現できるので、正確な色バランス及び色表現を実現できる。
【0144】
また光センサSS1~SS5は、光学フィルタを有し、光学フィルタは、光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRから射出される光が光合波部141を通過するときの減衰と等しい波長特性を有する。上述のように、「等しい」は略等しい場合を含む。光源コントローラ150は、光センサSS1~SS5からの出力に基づいて、それらの光の光量を調整する。
【0145】
即ち、光源の発光量と、光合波部141における減衰率とを乗算したものが、光合波部141の射出端における光量となる。光センサSS1~SS5に光学フィルタが設けられることで、光センサSS1~SS5の受光量は、光合波部141における減衰が考慮されたものとなる。光源コントローラ150が、この光センサSS1~SS5の出力に基づいて発光量を調整することで、光合波部141の射出端における光量が、光量比設定値を満たす光量となるように、光源の発光量をフィードバック制御する。このようにすれば、光合波部141の射出端において、光量比設定値を満たす光量となるので、正確な色バランス及び色表現を実現できる。なお、光センサSS1~SS5は、波長カットフィルタを含んでもよい。光源LDV、LDB、LDG、LDA、LDRから射出された光がコネクタ240に向かう光路上に、ダイクロイックミラーDC1~DC4が設けられている。波長カットフィルタは、このダイクロイックミラーDC1~DC4によりカットされる波長域の光を、除去する。このようにすることで、光量比設定値に対して、より精密な光源の発光量のフィードバック制御が可能となる。
【0146】
以上、本発明を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、各実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0147】
10 内視鏡装置、100 制御装置、110 処理回路、140 光源部、141 光合波部、150 光源コントローラ、151 色バランス制御回路、152 色表現制御回路、160 光源装置、170 記憶部、200 内視鏡スコープ、210 挿入部、211,212 照明レンズ、213 撮像ユニット、214 導光路、215 画像信号線、220 操作部、230 接続ケーブル、240 コネクタ、300 表示部、600 入力部、BV,BB,BG,BA,BR 領域、IV,IB,IG,IA,IR 光、LDV,LDB,LDG,LDA,LDR 光源、SS1~SS5 光センサ