(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素
(51)【国際特許分類】
C03C 27/12 20060101AFI20221212BHJP
B60J 3/04 20060101ALI20221212BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20221212BHJP
G02F 1/1334 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
C03C27/12 L
B60J3/04
G02F1/13 505
G02F1/1334
(21)【出願番号】P 2020568691
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2019064767
(87)【国際公開番号】W WO2019238521
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-10
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン-ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100193404
【氏名又は名称】倉田 佳貴
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン マンツ
(72)【発明者】
【氏名】イェファーソン ド ロザリオ
(72)【発明者】
【氏名】マルセル クライン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ラブロト
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス シュツネルスキー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン シュールセ
(72)【発明者】
【氏名】バレンティン シュルツ
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-208861(JP,A)
【文献】特開平08-136903(JP,A)
【文献】特開2005-049380(JP,A)
【文献】特開2004-131335(JP,A)
【文献】特表2016-504217(JP,A)
【文献】国際公開第2017/135182(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/157626(WO,A1)
【文献】特開2014-063153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/00
B60J 3/00
G02F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素(5):
第1のキャリアフィルム(14)、第1の表面電極(12)、活性層(11)、第2の表面電極(13)、及び第2のキャリアフィルム(15)から作られているスタック配列、
ここで、前記第2のキャリアフィルム(15)は、前記第1のキャリアフィルム(14)のそれぞれの側縁を越えている全側面の突出領域(15.1)を有し、かつ第1のキャリアフィルム(14)の少なくとも1つのエッジ領域(14.1)及び前記第2のキャリアフィルム(15)の突出領域(15.1)に、バリアフィルム(4)が配置されている。
【請求項2】
前記突出
領域の幅uが、少なくとも4mmである、請求項1に記載の機能要素(5)。
【請求項3】
前記第1のキャリアフィルム(14)と前記第2のキャリアフィルム(15)との間の前記活性層(11)の出口表面(20.1)が、前記バリアフィルム(4)によってシールされている、請求項1又は2に記載の機能要素(5)。
【請求項4】
前記活性層(11)は、液晶を含有しているか、又はそれからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の機能要素(5)。
【請求項5】
前記突出領域(15.1)において、前記バリアフィルム(4)及び前記第2のキャリアフィルム(15)が、少なくとも部分的に、又はそれらの表面全体にわたって、互いに接合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の機能要素(5)。
【請求項6】
前記エッジ領域(14.1)において、前記バリアフィルム(4)及び前記第1のキャリアフィルム(14)が、部分的に、又はそれらの表面全体にわたって、互いに接合されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の機能要素(5)。
【請求項7】
以下を含む、電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素(5)を有する複合ペイン(100):
外側ペイン(1)、第1の中間層(3a)、第2の中間層(3b)、及び内側ペイン(2)から作られているスタック配列、
ここで、前記中間層(3a、3b)が、少なくとも1種の可塑剤を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマーフィルムを含み、
請求項1~6のいずれか一項に記載の電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素(5)が、第1の中間層(3a)と第2の中間層(3b)との間に、少なくとも部分的に配置されている。
【請求項8】
前記中間層(3a、3b)が、少なくとも3重量%の可塑剤を含有している、請求項7に記載の複合ペイン(100)。
【請求項9】
前記中間層(3a、3b)が、少なくとも60重量%のポリビニルブチラール(PVB)を含有している、請求項7又は8に記載の複合ペイン(100)。
【請求項10】
前記バリアフィルム(4)が、前記バリアフィルム(4)を通る可塑剤の拡散を抑制するように実施されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
【請求項11】
前記バリアフィルム(4)は、
3重量%未満の可塑剤含有率を有するか、又は可塑剤を含まない、請求項7~10のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
【請求項12】
前記機能要素(5)が、第3の中間層(3c)によって外周を包囲されている、請求項7~11のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
【請求項13】
電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素の製造方法であって、少なくとも:
(a)第1のキャリアフィルム(14)、第1の表面電極(12)、活性層(11)、第2の表面電極(13)、及び第2のキャリアフィルム(15)で作られているスタック配列を提供し、
(b)前記第1のキャリアフィルム(14)を、幅uの領域だけ、全ての側縁(5.1、5.2、5.3、5.4)で切削し、これによって、前記第2のキャリアフィルム(15)の突出領域(15.1)を作製し、
(c)前記突出領域(15.1)、前記活性層(11)の出口表面(20.1)、及び前記第1のキャリアフィルム(14)の隣接するエッジ領域(14.1)に、バリアフィルム(4)を配置する、
方法。
【請求項14】
乗物又は建物の内部グレージング又は外部グレージングとしての、
及びサンスクリーン又はプライバシースクリーンとしての、請求項7~12のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)の使用
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素、特に、電気的に制御可能なサンバイザーを有するウィンドシールド、そのような機能要素を製造する方法、並びに機能要素を有する複合ペインに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物の分野及び建設の分野では、電気的に制御可能な機能要素を有する複合ペインがサンスクリーン又はプライバシースクリーンとしてしばしば使用される。
【0003】
これによれば、例えば、サンバイザーが電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素の形態で一体化されているウィンドシールドが知られている。特に、可視範囲の電磁放射線の透過率又は散乱特性は、電気的に制御可能である。機能要素は通常、フィルム状であり、複合ペインに積層されているか、又は接着されている。ウィンドシールドの場合、運転者は、太陽光に対するペイン自体の透過率挙動を制御することができる。これによれば、従来の機械的サンバイザーを省略することができる。その結果、乗物の重量を軽減し、屋根領域の空間を得ることができる。更に、サンバイザーの電気制御は、機械式サンバイザーの手での折り曲げよりも便利である。
【0004】
このような電気的に制御可能なサンバイザーを備えたウィンドシールドは例えば、国際公開第2014/086555号パンフレット、国際公開第2017/157626号パンフレット、独国特許出願公開第102013001334号明細書、独国特許第102005049081号明細書、独国特許出願公開第102005007427号明細書、及び独国特許出願公開第102007027296号明細書から公知である。
【0005】
典型的な電気的に制御可能な機能要素は例えば、米国特許出願公開第2005/227061号明細書から公知であるように、エレクトロクロミック層構造又は懸濁粒子デバイス(SPD)フィルムを含む。電気的に制御可能なサンスクリーンを実現するための更なる可能な機能要素は、例えば独国実用新案登録出願公開第202018102520号明細書から公知であるように、いわゆるPDLC機能要素(ポリマー分散液晶)である。それらの活性層は、ポリマーマトリックス中に埋め込まれた液晶を含有している。電圧が印加されていないとき、液晶は不規則に配向し、その結果、活性層を通過する光の強い散乱が生じる。表面電極に電圧を印加すると、液晶はそれ自体が共通の方向に整列し、活性層を通る光の透過率が増加する。PDLC機能要素は、全透過率を減少させ、その代わりに散乱を増加させることにより、作用をより弱くして、曇りに対する防護を確実にする。
【0006】
従来技術では、積層された機能要素、特にPDLC機能要素は例えば、国際公開第2010/032068号パンフレットから公知であるように、エッジ領域にしばしば存在し、ぎらつき、及び陰影の変化などの望ましくないエージング現象が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
(原文に記載なし)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、特にその耐エージング性に関して改善された、電気的に制御可能な光学特性を有する改善された機能要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、独立請求項1による機能要素によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項から明らかになる。
【0010】
本発明の更なる態様は、本発明による機能要素を有する改善された複合ペイン、並びに機能要素の製造方法、複合ペインの製造方法、及びそれらの使用を含む。
【0011】
電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素は、少なくとも以下を含む:
第1のキャリアフィルム、第1の表面電極、活性層、第2の表面電極、及び第2のキャリアフィルムから作られているスタック配列、
ここで、第2のキャリアフィルムは、第1のキャリアフィルムを越えている突出領域を有し、かつ第1のキャリアフィルムの少なくとも1つのエッジ領域及び第2のキャリアフィルムの突出領域上に、バリアフィルムが配置されている。
【0012】
本発明による機能要素の有利な実施形態では、バリアフィルムが第2のキャリアフィルムの突出領域と、活性層の出口表面が配置される第1のキャリアフィルムのエッジ領域との間の領域に及んでいる。これにより、バリアフィルムは、第1のキャリアフィルムと第2のキャリアフィルムとの間の活性層の出口表面を、それぞれの側縁でシールしている。
【0013】
第1の表面電極は、第1のキャリアフィルムの内側表面に配置されており、好ましくは第1のキャリアフィルムに直接結合されている。第2の表面電極は、第2のキャリアフィルムの内側表面に配置されており、好ましくはそれに直接結合されている。第2のキャリアフィルムとバリアフィルムとの間には、第2の表面電極のみを配置することができる。代替的には、第2の表面電極をこの領域で除去して、バリアフィルムと第2のキャリアフィルムとの間の接着及び結合を改善することができる。
【0014】
これによれば、バリアフィルムは、第2のキャリアフィルムの内側表面上の突出領域、及び第1のキャリアフィルムの外側表面のエッジ領域に配置されている。バリアフィルムは、第1のキャリアフィルムと第2のキャリアフィルムとの間に位置する活性層の出口表面をそれぞれの側縁部で覆い、シールする。これは、小型で高さの低いデザインを可能にし、このデザインは、複合ペインに特に良好に積層することができる。バリアフィルムは、有利には第2のキャリアフィルムの周囲を通っておらず、また、第2のキャリアフィルムの外側表面に接触していない。
【0015】
本発明による機能要素の有利な発展形態では、第2のキャリアフィルムは、第1のキャリアフィルムを越えている突出部を有し、すなわち、第2のキャリアフィルムは、幅uを有する突出領域を有する。換言すれば、第2のキャリアフィルムは、この領域においてより広い寸法にされている。
【0016】
用語「突出」又は「突出すること」は、一般的に使用されているように、側面(水平)方向に何かを越えて突出することを意味する。この場合、第2のキャリアフィルムが第1のキャリアフィルムを越えて機能要素の平面内に突出している。ここで、一般的に使用されているように、「側」は、側方又は横方向を意味している。
【0017】
突出領域は、有利には少なくとも3mm、好ましくは少なくとも5mm、特に好ましくは少なくとも8mmの幅uを有する。
【0018】
突出領域は、好ましくは50mm、好ましくは20mm、特に好ましくは10mmの最大幅uを有する。
【0019】
本発明による機能要素の有利な発展形態では、少なくとも1つの側縁、好ましくは3つの側縁、特に好ましくは全ての側縁が、第1のキャリアフィルムを越えている第2のキャリアフィルムの突出領域を有し、この突出領域は、それぞれ1つ、3つ、又はそれ以上のバリアフィルムで覆われている。表面電極の接触領域では、スタック配列が逆になっている。この領域は、完全な側縁又は複数の側縁まで広がっていてもよい。
【0020】
有利には、バリアフィルムは、第1のキャリアフィルムの外側表面に実質的に及び/又は隙間なく結合されており、好ましくは融着及び/又は接着されている。
【0021】
更に、バリアフィルムは、有利には第2のキャリアフィルムの内側表面に実質的に及び/又は隙間なく結合されており、好ましくは融着及び/又は接着されている。バリアフィルムは、第2のキャリアフィルムの内側表面に、点においてのみ結合されており、好ましくは融着及び/又は接着されていることが特に有利である。
【0022】
バリアフィルムは、第1のキャリアフィルムに、完全に、若しくは部分的に、又は第1及び第2のキャリアフィルムに、完全に、若しくは部分的に結合されていてよい。
【0023】
本発明による機能要素の有利な実施形態では、第1のキャリアフィルム上のバリアフィルムのエッジ領域の幅wは、少なくとも3mm、好ましくは少なくとも4mm、特に好ましくは少なくとも5mm、特に少なくとも8mmである。
【0024】
本発明による機能要素の別の有利な実施形態では、第1のキャリアフィルム上のバリアフィルムのエッジ領域の幅wは、50mm未満、好ましくは30mm未満、特に好ましくは10mm未満である。
【0025】
本発明による複合ペインは、
外側ペイン、第1の中間層、第2の中間層、及び内側ペインから作られているスタック配列を少なくとも含み、中間層は、それぞれ少なくとも1種の可塑剤を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマーフィルムを含み、
電気的に制御可能な光学特性を有する本発明による機能要素が、第1の中間層と第2の中間層との間に少なくとも部分的に配置されている。
【0026】
複合ペインは例えば、乗物のウィンドシールド若しくはルーフパネル、又は別の乗物用グレージング、例えば、乗物における、好ましくは鉄道車両若しくはバスにおける分離ペインであってもよい。代替的には、複合ペインは、建築用グレージング、例えば建物の外面における建築用グレージング、又は建物の内部における分離ペインとすることができる。
【0027】
「外側ペイン」及び「内側ペイン」という用語は、任意に2つの異なるペインを記述する。特に、外側ペインを「第1のペイン」、内側ペインを「第2のペイン」と呼ぶことができる。
【0028】
乗物又は建物の窓開口部に複合ペインを設けて外部環境から内部を隔てている場合、「内側ペイン」は、本発明において、内部(乗物内部)に面するペイン(第2のペイン)を指し、「外側ペイン」は、外部環境に面するペイン(第1のペイン)を指す。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
機能要素は、複合ペインの両側に配置されていてもよい。換言すれば、第1のキャリアフィルムは、機能要素の外側ペインに面する側に、又は機能要素の内側ペインに面する側に配置されている。
【0030】
本発明による複合ペインは、第1の中間層と第2の中間層との間に、少なくとも部分的に配置されている、電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素を含む。第1及び第2の中間層は、通例、外側ペイン及び内側ペインと同じ寸法を有する。機能的要素は、好ましくはフィルム状である。
【0031】
既に上述したように、本発明による機能要素では、バリアフィルム並びに第1のキャリアフィルム及び/又は第2のキャリアフィルムは、点で局所的に、部分的に、又はそれらの表面全体にわたって、互いに固定して結合されていてよく、例えば、融着又は接着されていてよい。その結果、中間層からの可塑剤に対する十分かつ確実な拡散バリアが生成され、機能要素のエッジ領域の曇りが低減又は抑制される。
【0032】
本発明による複合ペインの別の有利な実施形態では、1つ又は複数のバリアフィルムは、好ましくは(例えば、複合ペインに積層することによって)第1及び第2のキャリアフィルムに押し付けられている。これによれば、接着、融着、又は溶接(例えば、局所加熱による)は任意である。その結果、中間層からの可塑剤に対する十分かつ確実な拡散バリアが生成され、機能要素のエッジ領域の曇りが低減又は抑制される。
【0033】
本発明の機能要素の別の有利な実施形態では、バリアフィルムは、第1及び第2のキャリアフィルムの隣接する表面に、バリアフィルムの表面全体にわたって接合されており、好ましくは接着されており、例えば接着剤、特にアクリルをベースとする接着剤、好ましくはアクリレートをベースとする接着剤、及び最も特に好ましくは50%超のメタクリル酸メチルを含有している接着剤によって接着されている。これは、組立中及び積層中のバリアフィルムの滑りを抑制し、バリアフィルムを機能要素に強固にかつ隙間なく接合させるという特別な利点を有する。その結果、とりわけ、バリアフィルムと機能要素との間の空気介在物が抑制され、このような複合ペインの光学的品質は特に高くなる。
【0034】
代替的には、アクリルをベースとする液体でバリアフィルムを固定することができる。積層中、この液体は、真空によってバリアフィルムとキャリアフィルムとの間の接触領域から吸引されるか、又はフィルム中に拡散する。
【0035】
本発明による複合ペインの別の有利な実施形態では、積層プロセス中の脱気中に、バリアフィルムと機能要素との間に捕捉された空気が逃げることができ、複合ペインの品質を低下させる空気介在物が残らないように、バリアフィルムは、第1及び/又は第2のキャリアフィルムに部分的にのみ接続されている。
【0036】
本発明は、エージング中の中間層から機能要素の内部への可塑剤の拡散が、ぎらつき又は透過率の変化をもたらし、それによって、複合ペインの視野及び美観が損なわれるという、本発明者による認識に基づく。中間層から機能要素への、特に機能要素の側縁への可塑剤の拡散を妨げるか又は抑制するバリアフィルムで機能要素をシールした結果として、このようなエージング現象は、有意に低減されるか又は完全に抑制される。ここで、キャリアフィルム及びバリア層の材料は、可塑剤の拡散が抑制又は低減されるように選択される。
【0037】
活性層の出口表面の領域、すなわち、可塑剤が活性層に浸透し得る表面におけるシールは、バリアフィルムを介して行われ、ここで、このバリアフィルムは、第2のキャリアフィルムの突出領域及び/又は第1のキャリアフィルムの突出領域に隣接して結合されているか、これらに隣接して押し付けられているか(例えば、複合ペインの内部での積層によって)、接着されているか(例えば、接着剤で)、又は溶接されている(例えば、局所加熱によって)。
【0038】
本発明による複合ペインの有利な実施形態では、中間層は、ポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマーを含有している。
【0039】
本発明による複合ペインの特に有利な実施形態では、中間層は、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%、特に好ましくは少なくとも20重量%、更により好ましくは少なくとも30重量%、特に少なくとも40重量%の可塑剤を含有している。好ましくは、可塑剤は、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノアート)を含有しているか、又はそれから作られている。
【0040】
可塑剤は、プラスチックをより柔らかく、より可撓性で、より滑らかに、及び/又はより弾性にする化学物質である。可塑剤は、プラスチックの熱弾性範囲をより低い温度に変化させ、それによって、プラスチックが使用温度の範囲において望ましい、より弾性的性質を有するようにする。他の好ましい可塑剤は、カルボン酸エステル、特に低揮発性カルボン酸エステル、脂肪、油、軟質樹脂、及びカンファーである。他の可塑剤は、好ましくはトリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールの脂肪族ジエステルである。可塑剤として特に好ましく使用されるのは、3G7、3G8、又は4G7であり、ここで、最初の数字はエチレングリコール単位の数を示し、最後の数字は化合物のカルボン酸部分中の炭素原子の数を示す。したがって、3G8は、トリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノアート)、言い換えれば、式C4H9CH(CH2CH3)CO(OCH2CH2)3O2CCH(CH2CH3)C4H9の化合物を表す。
【0041】
本発明による複合ペインの別の特に有利な実施形態では、中間層は、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも97重量%のポリビニルブチラールを含有している。
【0042】
各中間層の厚さは、好ましくは0.2mm~2mm、特に好ましくは0.3mm~1mm、特に0.3mm~0.5mm、例えば0.38mmである。
【0043】
本発明による機能要素の有利な実施形態では、バリアフィルムは、中間層からバリアフィルムを通る可塑剤の拡散を抑制するように実施される。
【0044】
本発明による機能要素の特に有利な実施形態では、バリアフィルムは、可塑剤が少なく、好ましくは3重量%未満、特に好ましくは1重量%未満、特に0.5重量%未満の可塑剤含有率を有する。最も特に好ましくは、バリアフィルムは、可塑剤を含まない、換言すれば、可塑剤が意図的に添加されていない。バリアフィルムは、ポリマー、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリフッ化ビニル(PVF)を含有しているか、又はそれらから作られている。バリアフィルムは、3重量%未満の可塑剤含有率を有する可塑剤が少ないポリビニルブチラール(PVB)を含有していてもよい。
【0045】
本発明による制御可能な機能要素は、2つの表面電極の間に活性層を含む。活性層は、表面電極に印加された電圧により制御することができる制御可能な光学特性を有する。表面電極及び活性層は、典型的には機能要素の表面に実質的に平行に、かつ複合ペイン内において外側ペイン及び内側ペインの表面に実質的に平行に配置されている。表面電極は、それ自体公知の方法で、外部電圧源に電気的に接続されている。電気的接触は、適切な接続ケーブル、例えば、いわゆるバスバー、例えば、導電性材料のストリップ又は導電性インプリントを介して表面電極に任意に接続される箔導体によって実現される。
【0046】
表面電極は、好ましくは透明な導電層として設計される。表面電極は、少なくとも金属、金属合金、又は透明導電性酸化物(TCO)を含有していることが好ましい。表面電極は例えば、銀、金、銅、ニッケル、クロム、タングステン、インジウムスズ酸化物(ITO)、ガリウムドープ酸化亜鉛若しくはアルミニウムドープ酸化亜鉛、及び/又はフッ素ドープ酸化スズ若しくはアンチモンドープ酸化スズを含有していてよい。表面電極は、好ましくは10nm~2μm、特に好ましくは20nm~1μm、最も好ましくは30nm~500nmの厚さを有する。
【0047】
機能要素は、活性層及び表面電極の他に、それ自体公知の他の層、例えば、バリア層、ブロッキング層、反射防止層、IR反射層、保護層、及び/又は平滑化層を有することができる。
【0048】
機能要素は、2つの外側キャリアフィルムを有する複層フィルムとして存在する。このような複層フィルムでは、表面電極及び活性層が2つのキャリアフィルムの間に配置されている。ここで、「外側キャリアフィルム」とは、キャリアフィルムが複層フィルムの2つの表面を形成することを意味する。これによれば、機能要素を、有利に処理されることができる積層フィルムとして提供することができる。機能要素は、有利には損傷、特に腐食からキャリアフィルムによって保護されている。複層フィルムは、示された順序で、少なくとも1つの第1のキャリアフィルム、1つの第1の表面電極、1つの活性層、第2の表面電極、及び第2のキャリアフィルムを含む。キャリアフィルムは、特に表面電極を担持し、かつ液体又は軟質の活性層に必要な機械的安定性を与える。
【0049】
キャリアフィルムは、好ましくは少なくとも1種の熱可塑性ポリマー、特に好ましくは可塑剤が少ない又は可塑剤を含まないポリエチレンテレフタレート(PET)を含有している。これは、複層フィルムの安定性の点で特に有利である。しかしながら、キャリアフィルムは、可塑剤が少ない又は可塑剤を含まない他のポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸樹脂、キャスティング樹脂、アクリレート、フッ素化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニル、及び/若しくはエチレン-テトラフルオロエチレンを含有することができるか、又はそれらから作られていてよい。各キャリアフィルムの厚さは、好ましくは0.04mm~1mm、特に好ましくは0.04mm~0.2mmである。
【0050】
キャリアフィルムは、それぞれ、活性層に面して、表面電極として作用する導電性コーティングを有する。
【0051】
本発明による複合ペインの別の有利な実施形態では、機能要素は、PDLC機能要素(ポリマー分散液晶)である。PDLC機能要素の活性層は、ポリマーマトリックスに埋め込まれた液晶を含有している。表面電極に電圧が印加されていないとき、液晶は不規則に配向し、その結果、活性層を通過する光の強い散乱が生じる。それによれば、複合ペインは、ほぼ均一な光源となる。表面電極上に電圧を印加すると、液晶は、共通の方向に整列し、活性層を通る光の透過率が増加する。ペインの後ろにある物が視認できるようになる。
【0052】
しかしながら、原則として、他の種類の制御可能な機能要素、例えば、エレクトロクロミック機能要素又はSPD機能要素(懸濁粒子デバイス)を使用することも可能である。言及された制御可能な機能要素及びそれらの動作モードは、それ自体当業者に知られているので、ここでは詳細な説明を省略することができる。
【0053】
複層フィルムとしての機能要素は、商業的に入手可能である。一体化されるべき機能要素は、典型的には比較的大きな寸法の複層フィルムから所望の形状及びサイズで切り出される。これは、例えばナイフを用いて機械的に行うことができる。有利な実施形態では、切断は、レーザーを使用して行われる。この場合、機械的切断よりも側縁が安定であることが実証されている。側縁を機械的に切断すると、層構造が損傷し、かつ機能要素がもはや切り替わらなくなる危険性があり、これは、視覚的に目立ち、ペインの美観に悪影響を及ぼす。
【0054】
本発明による複合ペインでは、機能要素が第1の中間層の領域を介して外側ペインに接合され、第2の中間層の領域を介して内側ペインに接合されている。中間層は、2つの層の間に機能要素が挿入された状態で、互いに上下に、好ましくは面状に配置されており、互いに積層されている。次いで、機能要素に重なっている中間層の領域は、機能要素をペインに接合する領域を形成している。中間層が互いに直接接触しているペインの他の領域では、2つのもとの層がおそらくもはや識別できず、代わりに1つの均質な中間層が存在するように、2つの中間層は積層中に融解することができる。
【0055】
中間層は例えば、単一の熱可塑性フィルムによって作られていてよい。また、中間層は、2層、3層、又は複層のフィルムスタックとして作られていてもよく、個々のフィルムは、同じ又は異なる特性を有する。中間層は、異なる熱可塑性フィルムの部分から作られ、隣接する側縁を有していてもよい。
【0056】
本発明による複合ペインの有利な発展形態では、これを介して機能要素が外側ペイン又は内側ペインに接合される第1又は第2の中間層の領域は、色味付け又は着色されている。これによれば、可視スペクトル範囲におけるこの領域の透過率は、色味付けされていない層又は着色されていない層と比較して低減される。これによれば、中間層の色味付けされている/着色されている領域は、ウィンドシールドの透過率をサンバイザーの領域において低下させる。特に、色味付けがより中立な外観をもたらし、このことにより、観察者にとってより心地よい効果をもたらされるので、機能要素の美的印象が改善される。
【0057】
機能強化のために、音響的に最適化されたペインのための中間層は、3つの個々の層からなっていてよい。この場合、中間層の厚さは0.05mm~0.2mmである。
【0058】
別の代替形態は、赤外線反射コーティングPETフィルムによる熱的改良である。この場合、外側に向いている中間層も、少なくとも3つの中間層(PVB-PET-PVB)からなっている。IR反射機能層は、内側又は外側に向けられていてよい。
【0059】
本発明において、「電気的に制御可能な光学特性」とは、無限に制御可能な特性だけでなく、2つ以上の不連続な状態の間で切り換えることができる特性をも意味する。
【0060】
サンバイザーの電気的制御は例えば、車両のダッシュボードに一体化されたスイッチ、回転ノブ、又はスライダーを使用して行われる。しかしながら、サンバイザーを制御するためのスイッチ領域は、切り替えるべき複合ペインに、例えばウィンドシールドに一体化することもでき、例えば容量性スイッチ領域であってよい。代替的に又は追加的に、サンバイザーは、非接触の方法によって、例えば、ジェスチャー認識によって、又はカメラ及び適切な評価電子機器によって検出される瞳孔若しくは瞼の状態に応じて、制御され得る。代替的に又は追加的に、サンバイザーは、ペインへの光の入射を検出するセンサーによって制御することができる。
【0061】
透明状態において、中間層の色味付けされた又は着色された領域は、好ましくは1%~50%、特に好ましくは10%~40%の可視スペクトル範囲の透過率を有する。これにより、グレア保護及び視覚的外観に関して特に良好な結果が達成される。
【0062】
中間層は、単一の熱可塑性フィルムによって作られていてよく、ここで、色味付けされた又は着色された領域は、局所的な色味付け又は着色によって作製される。このようなフィルムは例えば、共押出によって得ることができる。代替的には、色味付けされていないフィルム部分、及び色味付けされた又は着色されたフィルム部分を組み合わせて、熱可塑性層を作製することができる。
【0063】
色味付けされた又は着色された領域は、均一に色味付け又は着色されていてよく、換言すれば、位置に依存しない透過率を有することができる。しかしながら、色味付け又は着色は、不均一であってもよく、特に透過率の連続的な変化が実現され得る。一実施形態では、透過率レベルは、色味付けされた又は着色された領域において、少なくとも部分的に、上縁からの距離が増加するにつれて増加する。これによれば、色味付けされた又は着色された領域の急激に色が変わっている箇所が抑制され、それによって、サンバイザーからウィンドシールドの透明領域への移行が緩やかになり、美的により魅力的に見えるようにされる。
【0064】
有利な実施形態では、第1の中間層の領域、すなわち、機能要素と外側ペインとの間の領域は、色味付けされている。これは、外側ペインを上方から見たときに、特に美的な印象を与える。機能要素と内側ペインとの間の第2の中間層の領域は、任意選択で、追加的に色味付け又は着色されていてよい。
【0065】
電気的に制御可能な機能要素を有する複合ペインは、有利には、電気的に制御可能なサンバイザーを備えたウィンドシールドとして実施することができる。
【0066】
このようなウィンドシールドは、上縁及び下縁、並びに上縁と下縁との間に延在している2つの側縁を有する。「上縁」とは設置位置において上向きを指す縁をいい、「下縁」とは設置位置において下向きを指す縁をいう。上縁は、しばしば「屋根縁」と称され、下縁は、しばしば「エンジン縁」と称される。
【0067】
ウィンドシールドは、中央視野を有し、その光学的品質は、高い要求を満足する必要がある。中央視野は、高い(典型的には70%超の)光透過率を有しなければならない。前記中央視野は特に、当業者が視野B、視野領域B、又はゾーンBと称する視野である。視野B及びその技術的要件は、国際連合欧州経済委員会(UN/ECE:Economic Commission for Europe for Europe of the United Nations)の規則第43号(ECE-R43、「Uniform Provisions of Safety Glazing Materials and Their Installation on Vehicles」)に規定されている。ここで、視野Bは、付録18に定義されている。
【0068】
これによれば、機能要素は、有利には中央視野(視野B)の上方に配置されている。このことは、機能要素が中央視野とウィンドシールドの上縁との間の領域に配置されていることを意味している。機能要素は、この領域全体を覆う必要はないが、この領域の内側に完全に配置され、中央視野の内側に突出していない。換言すれば、機能要素は、中央視野よりもウィンドシールドの上縁との距離が近い。これによれば、中央視野の透過率は、折り曲げた状態の従来の機械式サンバイザーと同様の位置に配置された機能要素に影響されない。
【0069】
ウィンドシールドは、好ましくは自動車、特に好ましくは乗用車に設けられる。
【0070】
好ましい実施態様において、機能要素は、より正確には機能要素の側縁が、第3の中間層によって外周を包囲されている。第3の中間層は、機能要素が挿入される凹部を有する枠状にデザインされている。第3の中間層は、切断によって凹部が導入される熱可塑性フィルムによって作られていてもよい。代替的に、第3の中間層は、機能要素の周りの複数のフィルム部材から構成されていてもよい。中間層は、好ましくは互いに面状に配置されている合計で少なくとも3つの熱可塑性層から作られており、内側にある層は、機能要素が配置される凹部を有する。製造中、第3の中間層は、第1の中間層と第2の中間層との間に配置され、全ての中間層の側縁は、好ましくは一致して配置される。第3の中間層は、好ましくは、機能要素とほぼ同じ厚さを有する。これによれば、局所的に制限された機能要素によって導入されるウィンドシールドの厚さの局所的な差異が補償され、それによって、積層中のガラス破損を回避できるようにされる。
【0071】
ウィンドシールドを通して見たときに視認可能である機能要素の側縁は、好ましくは、機能要素の側縁と中間層の関連する側縁との間に隙間が存在しないように、第3の中間層と同一平面上に配置されている。これは、特に、典型的には視認可能な機能要素の下縁に当てはまる。これにより、第3の中間層と機能要素との境界が視覚的に目立たなくなる。
【0072】
好ましい実施形態では、機能要素の下縁及び中間層の色味付けされた領域の下縁が、ウィンドシールドの上縁の形状に適合され、より魅力的な視覚的印象をもたらす。ウィンドシールドの上縁は、典型的には湾曲しており、特に凹状に湾曲しているので、機能要素及び色味付けされた領域の下縁も湾曲していることが好ましい。特に好ましくは、機能要素の下縁は、ウィンドシールドの上縁と実質的に平行である。しかしながら、各々が直線状で、互いに対してある角度で配置され、実質的にV字状の上縁を形成する、2つの半部材からサンバイザーを構成することも可能である。
【0073】
本発明の一実施形態では、機能要素は、分離ラインによってセグメントに分割されている。分離ラインは特に、表面電極のセグメントが互いに分離されるように、表面電極に導入されていてよい。個々のセグメントは、別々に作動させることができるように、互いに独立して電圧源に接続されている。これによれば、サンバイザーの異なる領域を独立して切り替えることができる。特に好ましくは、分離ライン及びセグメントは、設置位置において水平に配置される。これによれば、サンバイザーの高さは、ユーザーによって制御することができる。用語「水平」は、ここでは広く解釈されるべきであり、ウィンドシールドにおいて、ウィンドシールドの側縁の間に延びている伸長方向を指す。分離ラインは、必ずしも直線状である必要はないが、わずかに湾曲していてよく、好ましくはウィンドシールドの上縁の可能性のある湾曲に適合させることができ、特にウィンドシールドの上縁と実質的に平行であってよい。当然、垂直分離ラインも考えられる。
【0074】
分離ラインは例えば、5μm~500μm、特に20μm~200μmの幅を有する。セグメントの幅、すなわち隣接する分離ライン間の距離は、個々の場合の要求に従って当業者によって適切に選択することができる。
【0075】
分離ラインは、機能要素の製造中に、レーザーアブレーション、機械的切断、又はエッチングによって導入することができる。既に積層された複層フィルムは、その後、レーザーアブレーションによってセグメント化することもできる。
【0076】
機能要素の上縁及び側縁又は全ての側縁は、好ましくは不透明なマスキング印刷によって、又は外側の枠によって、複合ペインを通る視野が隠されている。ウィンドシールドは、典型的には、不透明なエナメルで作られた周囲マスキング印刷を有し、周囲マスキング印刷は、特に、ウインドウの設置に使用される接着剤を視覚的に隠し、UV放射線から接着剤を保護するのに役立つ。この周囲マスキング印刷は、好ましくは機能要素の上縁及び側縁並びに必要な電気的接続部を隠蔽するためにも使用される。この場合、サンバイザーは、有利にはウィンドシールドの外観に一体化され、その下縁のみが、観察者に潜在的に認識可能である。好ましくは、外側ペイン及び内側ペインの両方が、両側からの視野が防止されるようにマスキング印刷を有する。
【0077】
機能要素は例えば、いわゆる受光窓又はカメラ窓の領域に凹部又は穴を有することもできる。これらの領域は、制御可能な機能要素によってその機能がビーム経路で損なわれ得るセンサー又はカメラ、例えば降雨センサーを備えるように提供される。また、機能要素間の距離が受光窓又はカメラ窓のための空間を提供している、互いに離れている少なくとも2つの機能要素を有するサンバイザーを実現することも可能である。
【0078】
機能要素(又は、複数の機能要素の上述の場合においては、機能要素の全体)は、好ましくは複合ペイン又はウィンドシールドの幅全体から、例えば、2mm~50mmの幅を有する両側のエッジ領域を引いた幅にわたって配置されている。また、機能要素は、好ましくは例えば、上縁から2mm~200mmの距離を有する。これによれば、機能要素は、中間層の内部に封入され、周囲の大気との接触及び腐食から保護される。
【0079】
外側ペイン及び内側ペインは、窓ペインには通例であるように、好ましくはガラス、特に好ましくはソーダ石灰ガラスで作られている。しかしながら、ペインは、他のタイプのガラス、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、若しくはアルミノケイ酸ガラス、又は硬質の透明なプラスチック、例えば、ポリカーボネート若しくはポリメチルメタクリレートで作られていてもよい。ペインは、透明であってもよく、又は色味付け若しくは着色されていてもよい。ウィンドシールドは、中央視野において適切な光透過率を有しなければならず、好ましくは、ECE-R43による主要な視野ゾーンAにおいて少なくとも70%の光透過率を有しなければならない。
【0080】
外側ペイン、内側ペイン、及び/又は中間層は、それ自体公知の更なる適切なコーティング、例えば、反射防止コーティング、非粘着性コーティング、引掻き防止コーティング、光触媒コーティング、又は太陽光保護コーティング、又は低Eコーティングを有することができる。
【0081】
外側ペイン及び内側ペインの厚さは、幅広く変化させることができ、これによれば、個々のケースの要求に適合させることができる。外側ペイン及び内側ペインは、好ましくは0.5mm~5mm、特に好ましくは1mm~3mmの厚さを有する。
【0082】
本発明はまた、少なくとも以下を行う、電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素を製造する方法を含む:
(a)第1のキャリアフィルム、第1の表面電極、活性層、第2の表面電極、及び第2のキャリアフィルムで作られているスタック配列を提供し、
(b)第1のキャリアフィルムを、幅uの領域だけ、少なくとも1つの側縁、好ましくは全ての側縁で切削し、これによって、第2のキャリアフィルムの突出領域を作製し、
(c)突出領域、活性層の出口表面、及び第1のキャリアフィルムの隣接するエッジ領域上に、バリアフィルムを配置する。
【0083】
本発明によるバリア層の配置によって、出口表面を確実かつ耐久的にシールする。
【0084】
本発明による方法の有利な実施形態では、工程(c)において、バリアフィルム並びに第1及び/又は第2のキャリアフィルムを、例えば、アクリル接着剤又はアクリレート接着剤を用いて、部分的に又は完全に互いに接着する。このように固定したバリアフィルムは、特に自動化により、より容易かつより正確に加工することができる。
【0085】
本発明による方法の有利な実施形態では、バスバーなどの電気接点を、第2のキャリアフィルムの突出領域に配置する。電気接点を、ここで、第2のキャリアフィルム上の表面電極に接続することができる。
【0086】
本発明による方法の有利な実施形態では、他の側縁の少なくとも1つの領域において、第2のキャリアフィルムを切削して、第1のキャリアフィルムの突出領域を作製し、そして突出領域、活性層の出口表面、及び第2のキャリアフィルムの隣接するエッジ領域に他のバリアフィルムを配置する。有利には、この領域には、バスバーのような追加の電気接点を配置することができる。ここで、電気接点は、第1のキャリアフィルム上の表面電極に接続することができる。
【0087】
本発明はまた、少なくとも以下を行う、本発明による複合ペインを製造する方法を含む:
(a)1つの外側ペイン、1つの第1の中間層、電気的に制御可能な光学特性を有する1つの機能要素、1つの第2の中間層、及び1つの内側ペインを、この順序で互いに上下に配置し、
(b)外側ペイン及び内側ペインを積層によって接合し、埋め込まれた機能要素を有する中間層を、第1の中間層及び第2の中間層から作製する。
【0088】
機能要素の表面電極の電気的接触は、好ましくは複合ペインの積層の前に行う。
【0089】
存在する任意の印刷、例えば、不透明なマスキング印刷、又は機能要素の電気的接触のための印刷されたバスバーは、好ましくはスクリーン印刷によって適用する。
【0090】
積層は、好ましくは熱、真空、及び/又は圧力の作用下で行う。それ自体公知の方法、例えば、オートクレーブ法、真空バッグ法、真空リング法、カレンダー法、真空ラミネーター、又はそれらの組合せを、積層に使用することができる。
【0091】
本発明は更に、乗物又は建物の内部グレージング又は外部グレージングとしての、電気的に制御可能な機能要素を有する本発明による複合ペインの使用を含み、ここで、電気的に制御可能な機能要素は、サンスクリーンとして、熱保護部として、又はプライバシースクリーンとして使用される。
【0092】
本発明は更に、乗物のウィンドシールド又はルーフパネルとしての、本発明による複合ペインの使用を含み、ここで、電気的に制御可能な機能要素は、サンバイザーとして使用される。ここでも、ローラーブラインド又はバイザーを排除して、太陽光の入光を個々に局所的に適合させることができるように、セグメント化が有利であり得る。
【0093】
本発明の主要な利点は、ウィンドシールドとしての複合ペインの場合、従来の乗物屋根に取り付けられ、機械的に折り曲げ可能なサンバイザーを省略することができることにある。したがって、本発明は、このような従来のサンバイザーを有しない乗物、好ましくは自動車、特に乗用車も含む。
【0094】
また、本発明は、電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素を、ウィンドシールドの外側ペイン又は内側ペインと接合するための、中間層の色味付けされた又は着色された領域の使用を含み、ここで、電気的に制御可能なサンバイザーは、中間層の色味付けされた又は着色された領域及び機能要素によって実現される。当然、色味付けされた又は着色された領域はまた、表面全体にわたって広がることができ、中間層全体を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
本発明を、図面及び例示的な実施形態を参照して詳細に説明する。図面は、概略図であり、縮尺通りではない。図面は本発明を限定するものではない。それらは、以下を描いている:
【0096】
【
図1】
図1は、本発明による機能要素の詳細の拡大図である。
【
図2】
図2Aは、本発明による複合ペインの平面図である。
図2Bは、断面線X-X’に沿った
図2Aの複合ペインの断面図である。
【
図3】
図3A、3B、3Cは、本発明による機能要素を製造するための個々の工程を示す図である。
【
図4】
図4は、フローチャートを参照した、本発明による方法の例示的な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0097】
図1は、機能要素の側縁5.1の領域における、本発明による機能要素5の詳細の拡大図を示す。
【0098】
制御可能な機能要素5は例えば、第1の表面電極12と第2の表面電極13との間に配置されている活性層11を含む、PDLC複層フィルムである。第1の表面電極12は、活性層11とは反対を向いている表面に、表面電極12を安定させる第1のキャリアフィルム14を有する。第2の表面電極13は、活性層11とは反対を向いている表面に、第2の表面電極13を安定させる第2のキャリアフィルム15を有する。ここで、活性層11は、その内部に液晶が分散しているポリマーマトリックスを含み、この液晶は、表面電極12、13に印加される電位に応じて配向し、これによって、光学特性を制御することができる。キャリアフィルム14、15は、PETで作られており、その厚さは、例えば、0.14mmである。キャリアフィルム14、15には、活性層11に面している約100nmの厚さを有するITOのコーティングが施されており、このコーティングが表面電極12、13を形成している。表面電極12、13は例えば、スパッタ法によって公知の方法で適用される。表面電極12、13は、(銀含有スクリーン印刷物によって作られている)バスバー(図示せず)及び接続ケーブル(図示せず)を介して乗物の電気システムに接続することができる。
【0099】
図示した例示的な実施形態では、第2のキャリアフィルム15は、第1のキャリアフィルム14と比較して長く、この第2のキャリアフィルム15は、以下では突出部又は突出領域15.1とも呼ばれる。言い換えれば、第2のキャリアフィルム15は、機能要素5の平面において第1のキャリアフィルム14を越えて突出している。
【0100】
バリアフィルム4は、第2のキャリアフィルム15上の側縁5.1における突出領域15.1、及び第1のキャリアフィルム14の幅wのエッジ領域に配置されており、面状に接合されている。その結果、活性層11の出口表面20.1は、側縁5.1で完全に覆われ、シールされている。バリアフィルム4は、第2のキャリアフィルム15の内側表面、及び第1のキャリアフィルム14の外側表面のエッジ領域14.1上に配置されている。キャリアフィルムの内側表面及びキャリアフィルムの外側表面は、ここでは機能要素5に対する表面を指す。
【0101】
この例では、機能要素の全ての側縁(
図1には示していない)において、追加のバリアフィルム4が第2のキャリアフィルムの突出領域に配置されている。
【0102】
図2A及び
図2Bは、それぞれ、本発明による複合ペイン100の詳細を示す。複合ペイン100は、第1の中間層3a及び第2の中間層3bを介して互いに接合された外側ペイン1及び内側ペイン2を含む。外側ペイン1は、2.1mmの厚さを有し、例えば、透明なソーダ石灰ガラスから作られている。内側ペイン2は1.6mmの厚さを有し、また、例えば、透明なソーダ石灰ガラスから作られている。複合ペイン100は、以下で「上縁」と呼ばれるDで参照される第1の縁を有する。複合ペイン100は、上縁Dの反対側に配置されており、以下で「下縁」と呼ばれるMで参照される第2の縁を有する。複合ペイン100は例えば、他のペインとともに窓の枠に建築用グレージングとして配置して、断熱グレージングユニットを作製することができる。当然、複合ペイン100は、乗物のルーフパネルとして、又は適切な寸法で、ウィンドシールドなどとして実施及び使用することもできる。
【0103】
第1の中間層3aと第2の中間層3bとの間には、電圧により光学特性を制御可能な本発明の機能要素5が配置されている。簡単にするために、電気リード線は示していない。
【0104】
ここで、
図1の発明による機能要素は例えば、拡大領域Zであり、これは、
図3Cにおいても以下で再現される。
【0105】
中間層3a、3bは、それぞれ厚さ0.38mmの熱可塑性フィルムを含む。中間層3a、3bは例えば、78重量%のポリビニルブチラール(PVB)、及び可塑剤としての20重量%のトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノアート)から作られる。
【0106】
ここで、第2のキャリアフィルム15は例えば、第1のキャリアフィルム14を越えている、例えば、5mmの全側面の突出部uを有する。ここで、「全側面」とは、機能要素5のそれぞれの側縁5.1、5.2、5.3、5.4を越えている突出部uがあることを意味する。ここでは、枠の形状で実施されている一片のバリアフィルム4は例えば、第2のキャリアフィルム15の全側面の突出領域15.1、及び第1のキャリアフィルム14の幅wのエッジ領域14.1に配置され、そこに接着されている。活性層11の出口表面20.1は、バリアフィルム4の全側面のフレームの形状のデザインの結果として、全側面でシールされている。
【0107】
当然、第2のキャリアフィルムと第1のキャリアフィルムとの間の活性層の出口表面は、個々の側縁5.1、5.2、5.3、5.4で、それぞれ1つ又は複数のストリップ形状のバリアフィルムで覆われ、シールされていてもよい。
【0108】
ここで、バリアフィルム4は例えば、実質的にPET、換言すれば、少なくとも97重量%までのPETで作られている。バリアフィルム4a、4bは、0.5重量%未満の可塑剤を含有し、側縁5.1、5.2、5.3、5.4に及ぶ中間層3a、3bから本発明による機能要素5の活性層11への可塑剤の拡散を低減又は抑制するのに適している。
【0109】
エージング試験において、中間層3a、3bから機能要素5内への可塑剤の拡散及び結果として生じる機能要素5の劣化が抑制されるので、このような複合ペイン100は、機能要素5のエッジ領域において有意に減少したぎらつきを示す。
【0110】
本発明による機能要素5の有利な発展形態では、バリアフィルム4をキャリアフィルム14、15に固定して接着する接着手段、例えばアクリレートをベースとする接着剤が、バリアフィルム4と、第2のキャリアフィルム15の接触部分及び第1のキャリアフィルム14のエッジ領域14.1の接触部分との間に配置されている。接着接続は、組立中のバリアフィルム4の滑りを抑制する。同時に、バリアフィルム4が第2のキャリアフィルム15及び第1のキャリアフィルム14に固定して置かれているので、気泡の混入及び結果として生じる視覚的な乱れ又は障害が抑制される。
【0111】
当然、本発明による複合ペインは、ここに提示される例示的な実施形態に限定されない。ここに提示されていない更なる例示的な実施形態は例えば、乗物のウィンドシールド又はルーフパネルを含み、またサンバイザーとしての電気的に制御可能な機能要素5の使用を含む。
【0112】
【0113】
図4は、工程S1~S3を有するフローチャートを参照して、本発明による製造方法の例示的な実施形態を示す。
【0114】
最初に、第1の工程S1において、第1のキャリアフィルム14、第1の表面電極12、活性層11、第2の表面電極13、及び第2のキャリアフィルム15から作られているスタック配列を提供する。
【0115】
このようなスタック配列は例えば、複層フィルム材料としてメートル単位で市販されている。その後、製品をカスタマイズし、例えばレーザー切断によって、後に使用する寸法へとトリミングする。
【0116】
図3Aは、このようなスタック配列の側縁5.1の拡大図を示す。スタック配列の種々の要素、すなわち、第1のキャリアフィルム14、第1の表面電極12、活性層11、第2の表面電極13、及び第2のキャリアフィルム15は、同じ寸法を有し、互いに合同に積層されている。
【0117】
第2の工程S2では、例えば、第1のキャリアフィルム14を、少なくとも1つの側縁(ここでは5.1)で幅uの領域だけ切削し、それによって、第2のキャリアフィルム15の突出領域15.1を作製する。これにより得た結果物を
図3Bに示す。
【0118】
第3の工程S3では、第2のキャリアフィルム15の突出領域15.1、活性層11の出口表面20.1、及び第1のキャリアフィルム(14)の幅wの隣接するエッジ領域(14.1)上に、バリアフィルム4を配置する。これにより得た結果物を
図3Cに示す。
【0119】
バリアフィルム4は、任意選択で、例えば、接着、溶融、又は溶接によって、部分的に、又は表面全体にわたって、第1のキャリアフィルム14に接合することができる。
【0120】
これとは独立して、複合ペイン100の内部に本発明による機能要素5を積層し、完成した積層複合ペイン100に内部圧力を加えることによって、バリアフィルム4を第1のキャリアフィルム14及び第2のキャリアフィルム15に強固に押し付けて固定し、その結果、気密なシールが得られる。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1~16に記載する。
〈項目1〉
以下を含む、電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素(5):
第1のキャリアフィルム(14)、第1の表面電極(12)、活性層(11)、第2の表面電極(13)、及び第2のキャリアフィルム(15)から作られているスタック配列、
ここで、前記第2のキャリアフィルム(15)は、前記第1のキャリアフィルム(14)を越えている突出領域(15.1)を有し、かつ第1のキャリアフィルム(14)の少なくとも1つのエッジ領域(14.1)及び前記第2のキャリアフィルム(15)の突出領域(15.1)に、バリアフィルム(4)が配置されている。
〈項目2〉
前記突出部uが、前記第2のキャリアフィルム(15)の少なくとも1つの側縁(5.1)、好ましくは3つの側縁(5.1、5.2、5.3)、特に好ましくは全ての側縁(5.1、5.2、5.3、5.4)に配置されている、項目1に記載の機能要素(5)。
〈項目3〉
前記突出部uが、少なくとも4mm、好ましくは6mm、特に好ましくは6mm~20mm、特に好ましくは8mm~10mmである、項目1又は2に記載の機能要素(5)。
〈項目4〉
前記第1のキャリアフィルム(14)と前記第2のキャリアフィルム(15)との間の前記活性層(11)の出口表面(20.1)が、前記バリアフィルム(4)によってシールされている、項目1~3のいずれかに記載の機能要素(5)。
〈項目5〉
前記活性層(11)は、液晶、好ましくはポリマー分散液晶(PDLC)を含有しているか、又はそれからなる、項目1~4のいずれか一項に記載の機能要素(5)。
〈項目6〉
前記突出領域(15.1)において、前記バリアフィルム(4)及び前記第2のキャリアフィルム(15)が、少なくとも部分的に、又はそれらの表面全体にわたって、互いに接合されおり、好ましくは互いに接着されているか、又は互いに溶接されている、項目1~5のいずれか一項に記載の機能要素(5)。
〈項目7〉
前記エッジ領域(14.1)において、前記バリアフィルム(4)及び前記第1のキャリアフィルム(14)が、部分的に、又はそれらの表面全体にわたって、互いに接合されており、好ましくは接着されている、項目1~6のいずれか一項に記載の機能要素(5)。
〈項目8〉
以下を含む、電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素(5)を有する複合ペイン(100):
外側ペイン(1)、第1の中間層(3a)、第2の中間層(3b)、及び内側ペイン(2)から作られているスタック配列、
ここで、前記中間層(3a、3b)が、少なくとも1種の可塑剤を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマーフィルムを含み、
項目1~7のいずれか一項に記載の電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素(5)が、第1の中間層(3a)と第2の中間層(3b)との間に、少なくとも部分的に配置されている。
〈項目9〉
前記中間層(3a、3b)が、少なくとも3重量%、好ましくは少なくとも5重量%、特に好ましくは少なくとも20重量%、更により好ましくは少なくとも30重量%、特に少なくとも40重量%の可塑剤を含有しており、かつ前記可塑剤が、好ましくはトリエチレングリコール又はテトラエチレングリコールの脂肪族ジエステル、特に好ましくはトリエチレングリコールビス(2-エチルヘキサノアート)を含有しているか、又はそれから作られている、項目8に記載の複合ペイン(100)。
〈項目10〉
前記中間層(3a、3b)が、少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%、特に好ましくは少なくとも90重量%、特に少なくとも97重量%のポリビニルブチラール(PVB)を含有している、項目8又は9に記載の複合ペイン(100)。
〈項目11〉
前記バリアフィルム(4)が、前記バリアフィルム(4)を通る可塑剤の拡散を抑制するように実施されている、項目8~10のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
〈項目12〉
前記バリアフィルム(4)は、可塑剤が少ないか、又は可塑剤を含まず、かつ好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリフッ化ビニル(PVF)を含有しているか、又はそれから作られている、項目8~11のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
〈項目13〉
前記機能要素(5)が、第3の中間層(3c)によって外周を包囲されている、項目8~12のいずれか一項に記載の複合ペイン(100)。
〈項目14〉
電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素の製造方法であって、少なくとも:
(a)第1のキャリアフィルム(14)、第1の表面電極(12)、活性層(11)、第2の表面電極(13)、及び第2のキャリアフィルム(15)で作られているスタック配列を提供し、
(b)前記第1のキャリアフィルム(14)を、幅uの領域だけ、少なくとも1つの側縁(5.1)で切削し、これによって、前記第2のキャリアフィルム(15)の突出領域(15.1)を作製し、
(c)前記突出領域(15.1)、前記活性層(11)の出口表面(20.1)、及び前記第1のキャリアフィルム(14)の隣接するエッジ領域(14.1)に、バリアフィルム(4)を配置する、
方法。
〈項目15〉
他の側縁の少なくとも1つの領域において前記第2のキャリアフィルム(15)を切削し、これによって、前記第1のキャリアフィルム(14)の突出領域を作製し、そして前記突出領域、前記活性層(11)の出口表面(20.1)、及び前記第2のキャリアフィルム(15)の隣接するエッジ領域に、他のバリアフィルム(4)を配置する、項目14に記載の方法。
〈項目16〉
乗物又は建物の内部グレージング又は外部グレージングとしての、項目1~7のいずれか一項に記載の電気的に制御可能な機能要素(5)とを有する複合ペイン(100)の使用、及びサンスクリーン又はプライバシースクリーンとしての電気的に制御可能な前記機能要素(5)を有する複合ペイン(100)の使用。
【符号の説明】
【0121】
1 外側ペイン
2 内側ペイン
3a 第1の中間層
3b 第2の中間層
4 バリアフィルム
5 電気的に制御可能な光学特性を有する機能要素
5.1,5.2,5.3,5.4 機能要素5の側縁
11 機能要素5の活性層
12 機能要素5の第1の表面電極
13 機能要素5の第2の表面電極
14 第1のキャリアフィルム
14.1 第1のキャリアフィルム14のエッジ領域
15 第2のキャリアフィルム
15.1 第2のキャリアフィルム15の突出領域
16 分離ライン
20.1 出口表面
100 複合ペイン
B ウィンドシールドの中央視野
D ウィンドシールドの上縁、屋根縁
M ウィンドシールドの下縁、エンジン縁
u 突出部、突出領域15.1の幅
w エッジ領域14.1の幅
S1、S2、S3 工程
X-X’ 断面線
Z 拡大領域