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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両のカウルステー構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/02 20060101AFI20221212BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20221212BHJP
   B62J 6/027 20200101ALI20221212BHJP
   B62J 50/21 20200101ALI20221212BHJP
【FI】
B62J17/02
B62J23/00 A
B62J6/027
B62J50/21
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021030845
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2021155025
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】202011013462
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】ナルワル ビカス ディープ
(72)【発明者】
【氏名】ベニワル モヒート クマール
(72)【発明者】
【氏名】ダム アマンディープ シン
(72)【発明者】
【氏名】堀内 哲
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-20648(JP,U)
【文献】実開昭51-20654(JP,U)
【文献】特開2014-4886(JP,A)
【文献】特開2013-193594(JP,A)
【文献】特開2011-201351(JP,A)
【文献】特開2010-42706(JP,A)
【文献】米国特許第5785374(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 17/02
B62J 23/00
B62J 6/027
B62J 50/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部に配置されるヘッドパイプ(21)と、
前記ヘッドパイプ(21)に支持され、前記車体前部を覆うカウル(40)を支持するカウルステー(49)と、を備え、
前記カウルステー(49)は、
前記ヘッドパイプ(21)から前上方に延び、車両部品(80,90)を支持するフロントステー(50)と、
前記ヘッドパイプ(21)の後方に配置され、前記フロントステー(50)に接続されるミドルステー(60L,60R)と、を備え
前記ミドルステー(60L,60R)は、左右一対設けられ、
前記左右のミドルステー(60L,60R)は、車幅方向外方にそれぞれ延びた後に前記フロントステー(50)に接続されることを特徴とする鞍乗り型車両のカウルステー構造。
【請求項2】
前記フロントステー(50)は、前記ヘッドパイプ(21)から前上方に延びてメータ(80)を支持するメータ支持部(51)を有し、
前記フロントステー(50)の一部(54L,54R)は、前記メータ支持部(51)の下方で後方に延びることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両のカウルステー構造。
【請求項3】
前記ヘッドパイプ(21)から後方に延びるメインフレーム(22)と、
前記メインフレーム(22)に支持されるキーシリンダーブラケット(70)と、を更に備え、
前記ミドルステー(60L,60R)は、前記キーシリンダーブラケット(70)に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗り型車両のカウルステー構造。
【請求項4】
前記フロントステー(50)は、メータ(80)を支持するメータ支持部(51)を有し、
前記フロントステー(50)と前記ミドルステー(60L,60R)との接続部(JM)は、前記ヘッドパイプ(21)と前記フロントステー(50)との接続部(JH)の後上方に配置され、
前記メータ支持部(51)は、前記フロントステー(50)と前記ミドルステー(60L,60R)との接続部(JM)の上方に配置され、かつ、前記ヘッドパイプ(21)と前記フロントステー(50)との接続部(JH)の前方に配置されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウルステー構造。
【請求項5】
前記フロントステー(50)は、ヘッドライト(90)の上部及び下部をそれぞれ支持する上下一対の横架部(56,57)を備え、
前記フロントステー(50)と前記ミドルステー(60L,60R)との接続部(JM)は、上下方向において前記上下一対の横架部(56,57)の間に配置されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の鞍乗り型車両のカウルステー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両のカウルステー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、カウルを支持するカウルステーを備える自動二輪車のカウルステー構造が開示されている。カウルステーは、ヘッドパイプの前方に設けられる。カウルステーは、メータ及びヘッドライトを支持している。カウルステーは、メータの左右側方からメータの後方に向かって延びる左右の凸条部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-42706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の機能上、カウルステーには様々な車両部品が搭載される。そのため、車両部品の保持力を高めることが望まれる。
【0005】
本発明の態様は、車両部品の保持力を高めることができる鞍乗り型車両のカウルステー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の鞍乗り型車両のカウルステー構造は、車体前部に配置されるヘッドパイプ(21)と、前記ヘッドパイプ(21)に支持され、前記車体前部を覆うカウル(40)を支持するカウルステー(49)と、を備え、前記カウルステー(49)は、前記ヘッドパイプ(21)から前上方に延び、車両部品(80,90)を支持するフロントステー(50)と、前記ヘッドパイプ(21)の後方に配置され、前記フロントステー(50)に接続されるミドルステー(60L,60R)と、を備え、前記ミドルステー(60L,60R)は、左右一対設けられ、前記左右のミドルステー(60L,60R)は、車幅方向外方にそれぞれ延びた後に前記フロントステー(50)に接続される
この構成によれば、フロントステーがヘッドパイプだけでなく、ミドルステーでも支持される。そのため、フロントステーに支持される車両部品をミドルステーでも支持することができる。したがって、車両部品の保持力を高めることができる。加えて、左右のミドルステー及びフロントステーによってヘッドパイプが囲繞されるため、車両部品の保持力をより効果的に高めることができる。
【0007】
本発明の一態様において、前記フロントステー(50)は、前記ヘッドパイプ(21)から前上方に延びてメータ(80)を支持するメータ支持部(51)を有し、前記フロントステー(50)の一部(54L,54R)は、前記メータ支持部(51)の下方で後方に延びてもよい。
この構成によれば、メータ周りに大きなスペースを要しないため、メータ周りのレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0009】
本発明の一態様において、前記ヘッドパイプ(21)から後方に延びるメインフレーム(22)と、前記メインフレーム(22)に支持されるキーシリンダーブラケット(70)と、を更に備え、前記ミドルステー(60L,60R)は、前記キーシリンダーブラケット(70)に接続されてもよい。
この構成によれば、キーシリンダーブラケットがミドルステーのブラケットを兼ねるため、部品点数を削減できる。
【0010】
本発明の一態様において、前記フロントステー(50)は、メータ(80)を支持するメータ支持部(51)を有し、前記フロントステー(50)と前記ミドルステー(60L,60R)との接続部(JM)は、前記ヘッドパイプ(21)と前記フロントステー(50)との接続部(JH)の後上方に配置され、前記メータ支持部(51)は、前記フロントステー(50)と前記ミドルステー(60L,60R)との接続部(JM)の上方に配置され、かつ、前記ヘッドパイプ(21)と前記フロントステー(50)との接続部(JH)の前方に配置されてもよい。
この構成によれば、メータ支持部がフロントステーとミドルステーとの接続部の下方に配置される場合と比較して、メータ支持部の回りのモーメントが局所的に過大になることを抑制することができる。すなわち、重量物であるメータをフロントステーで支持する場合、各接続部へのモーメントをバランスよく分散できる。したがって、メータの保持力をより効果的に高めることができる。
【0011】
本発明の一態様において、前記フロントステー(50)は、ヘッドライト(90)の上部及び下部をそれぞれ支持する上下一対の横架部(56,57)を備え、前記フロントステー(50)と前記ミドルステー(60L,60R)との接続部(JM)は、上下方向において前記上下一対の横架部(56,57)の間に配置されてもよい。
この構成によれば、重量物であるヘッドライトの上部及び下部を上下一対の横架部でそれぞれ支持する場合、フロントステーとミドルステーとの接続部とヘッドライトの重心との間の距離を可及的に小さくすることができる。したがって、ヘッドライトの保持力をより効果的に高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、車両部品の保持力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
図2】実施形態に係る自動二輪車の上面図である。
図3】実施形態に係る自動二輪車の前面図である。
図4】実施形態に係る自動二輪車の後面図である。
図5】実施形態に係るカウルを取り外した車両前部の左側面図である。
図6】実施形態に係るカウルを取り外した車両前部の前面図である。
図7】実施形態に係るカウルステー構造の斜視図である。
図8】実施形態に係るカウルステー構造の左側面図である。
図9】実施形態に係るミドルステーの斜視図である。
図10図6のX-X断面を含む図である。
図11図5のXI-XI断面を含む図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UP、車体左右中心を示す線CLが示される。以下、車両の構成要素において、車両左側に位置する要素の符号末尾には「L」を付し、車両右側に位置する要素の符号末尾には「R」を付すことがある。
【0015】
<車両全体>
図1は、鞍乗り型車両の一例としての自動二輪車1を示す。以下、自動二輪車を単に「車両」ということがある。
図1を参照し、自動二輪車1は、操向輪である前輪3と、駆動輪である後輪4と、を備える。前輪3は、ハンドル2によって操向される。後輪4は、車両の動力源であるエンジン10によって駆動される。
【0016】
ステアリング系部品は、ハンドル2及び前輪3を含む。ステアリング系部品は、車体フレーム20のヘッドパイプ21に操向可能に支持される。エンジン10は、車体フレーム20の前後中央部に位置する。
【0017】
車体フレーム20は、ヘッドパイプ21、メインフレーム22、ダウンフレーム23及びシートレール24を備える。
ヘッドパイプ21は、車体前部に配置される。側面視で、ヘッドパイプ21は、ヘッドパイプ21の上端が後方に位置し、かつ、ヘッドパイプ21の下端が前方に位置するように傾斜する。
【0018】
メインフレーム22は、ヘッドパイプ21から後方に延びる。メインフレーム22は、シリンダ12の上方をヘッドパイプ21から斜め後下方に延びる。
ダウンフレーム23は、ヘッドパイプ21から下方に延びる。ダウンフレームは、シリンダ12の前方をヘッドパイプ21からメインフレーム22よりも急傾斜で後下方に延びる。
シートレール24は、メインフレーム22の後部から後方に延びる。
【0019】
エンジン10は、車両の動力源である。例えば、エンジン10は、単気筒エンジンである。エンジン10は、クランクケース11及びシリンダ12を備える。シリンダ12は、クランクケース11の前上部から斜め前上方に起立する。シリンダ12は、クランクケース11に一体に結合される。
【0020】
シリンダ12は、シリンダブロック12a、シリンダヘッド12b及びヘッドカバー12cを備える。
シリンダブロック12aは、クランクケース11と一体に設けられる。
シリンダヘッド12bは、シリンダブロック12aの上部に取り付けられる。燃焼室(不図示)は、シリンダヘッド12bの内部に形成される。
ヘッドカバー12cは、シリンダヘッド12bの上部に取り付けられる。
【0021】
変速機13は、クランクケース11の後部に設けられる。クランクケース11の後部は、クラッチ及びトランスミッションを収容する変速機ケースを兼ねる。変速機13は、エンジン10の動力を外部に取り出すための図示しない出力軸を備える。
【0022】
クランクケース11の前部は、ブラケット28を介してダウンフレーム23に支持される。クランクケース11の後部は、左右ピボットプレート25に支持される。左右ピボットプレート25には、前後に延びるスイングアーム5の前端部が揺動可能に支持される。
スイングアーム5の後部には、後輪4の車軸が支持される。変速機13の出力軸と後輪4の車軸とは、ドライブチェーン等を含む動力伝達機構(例えば、チェーン式伝動機構)を介して連結される。スイングアーム5の前部と、車体フレーム20との間には、リアサスペンション6が設けられる。
【0023】
燃料タンク7は、ヘッドパイプ21の後方に配置される。燃料タンク7は、シリンダ12の上方に配置される。燃料タンク7は、メインフレーム22に支持される。燃料タンク7は、メインフレーム22を上方及び側方から覆う。
【0024】
シート8は、燃料タンク7の後方に配置される。シート8は、シートレール24に支持される。シート8は、シートレール24に沿うように前後方向に延びる。シート8は、乗員が着座する前座部8aと、同乗者が着座する後座部8bと、を備える。
【0025】
シリンダ12(具体的にはシリンダヘッド12b)の後面には、吸気配管30が接続される。
シリンダ12(具体的にはシリンダヘッド12b)の前面には、排気管31が接続される。排気管31は、シリンダヘッド12bの前面からクランクケース11の前方を斜め下後方へ延びる。その後、排気管31は、クランクケース11の下方を通って右後方へ延びる。マフラ32は、排気管31の後端(下流端)に接続される(図2参照)。
【0026】
図1において、符号15はフロントフォーク、符号16はフロントフェンダ、符号17はドレスガード(サリーガード)をそれぞれ示す。図2において、符号130L,130Rは左右のハンドルカバー、符号111はクラッチレバー、符号112はブレーキレバーをそれぞれ示す。図3において、符号46はスクリーン、符号90はヘッドライト、符号140はフロントウインカをそれぞれ示す。図4において、符号80はメータ、符号160はリアウインカを示す。
【0027】
<車体カバー>
車両は、車体フレーム20の周囲を覆う車体カバー39を備える。車体カバー39は、車体前部を覆う前部車体カバー40(カウル)を備える。前部車体カバー40は、燃料タンク7の側方を覆うタンクカバー41L,41Rと、ヘッドパイプ21の前方に配置されるフロントカウル42と、ヘッドパイプ21の側方に配置されるサイドカバー43L,43Rと、フロントカウル42の側方に配置されるフロントガーニッシュ44L,44Rと、サイドカバー43L,43Rの側方に配置されるサイドガーニッシュ45L,45Rと、を備える。前部車体カバー40は、車体フレーム20等に複数個所で取り付けられる。
【0028】
<カウルステー構造>
図5に示すように、カウルステー構造48は、車両の前部に設けられる。カウルステー構造48は、ヘッドパイプ21、メインフレーム22、カウルステー49及びキーシリンダーブラケット70を備える。
【0029】
カウルステー49は、ヘッドパイプ21に支持される。カウルステー49は、車体前部カバー40(図1参照)を支持する。カウルステー49は、ヘッドパイプ21から前上方に延びるフロントステー50と、ヘッドパイプ21の後方に配置されるミドルステー60L,60R(図7参照)と、を備える。
【0030】
<フロントステー>
フロントステー50は、メータ80及びヘッドライト90等の車両部品を支持する。フロントステー50は、ヘッドパイプ21から前上方に延びてメータ80を支持するメータ支持部51を有する。フロントステー50の一部54L,54R(図7参照)は、メータ支持部51の下方で後方に延びる。
【0031】
フロントステー50は、メータ80を支持するメータ支持部51と、ヘッドパイプ21の前下部から前方に延びるステー連結部52と、ヘッドパイプ21の前方でメータ支持部51とステー連結部52とを連結する前方連結部53と、ヘッドパイプ21の左右側方で前方連結部53とミドルステー60L,60Rとを連結する側方連結部54L,54R(図7参照)と、を備える。
【0032】
ステー連結部52は、側面視で前上方に突出する外形を有する。ステー連結部52は、側面視で前上方に凸の三角形状の開口52aを有する。ステー連結部52の後上部には、ヘッドライト90等のハーネスクランプを支持するクランプ支持部52bが設けられる。ステー連結部52の後部は、ヘッドパイプ21の前下部に設けられたブラケット52cに、上下一対のボルト52dで固定される。
【0033】
前方連結部53は、ヘッドパイプ21の前方に配置される。前方連結部53は、前後方向に開放する形状を有する(図6参照)。図6に示すように、前方連結部53は、左右一対の縦架部55L,55Rと、ヘッドライト90の上部及び下部をそれぞれ支持する上下一対の横架部56,57(上横架部56及び下横架部57)と、を備える。
【0034】
前方連結部53において上横架部56を除く部分(左右一対の縦架部55L,55R及び下横架部57)は、前面視でU字状を有する。左右一対の縦架部55L,55R及び下横架部57は、同一の部材で一体に形成される。
【0035】
図5に示すように、縦架部55L,55Rは、側面視で上下に延びるクランク状を有する。縦架部55L,55Rは、ヘッドパイプ21の上方で上下に延びる上延在部55aと、上延在部55aの下端から前下方に傾斜して延びる傾斜延在部55bと、傾斜延在部55bの下端から下方に延びる下延在部55cと、を備える。側面視で、メータ支持部51は、縦架部55L,55Rと上下方向にて重なる位置関係にある。
【0036】
実施形態によれば、縦架部55L,55Rの上部が後方に下がることで、重量物であり、車体上部に取り付けられることが求められるメータ80の取付位置を車体後方側にすることができる。結果、支持点(例えば、図8に示すF/M接続部JM)からメータ80の取付位置(例えば、メータ支持部51の上端)までの距離を短くすることができるため、モーメントを小さくすることができる。
また、縦架部55L,55Rの上部が後方に下がることで、フロントステー50の一部54L,54Rの長さを短くすることができるため、強度の向上に寄与する。
【0037】
図6に示すように、上横架部56は、車幅方向に延びる直線状を有する。上横架部56は、左右の上延在部55aの間に配置される。上横架部56の車幅方向外端は、上延在部55aの車幅方向内側に連結される。
【0038】
下横架部57は、上横架部56の前下方に配置される(図5参照)。下横架部57は、車幅方向に延びる直線状を有する。下横架部57の車幅方向中央は、ステー連結部52の前端に連結される。下横架部57の車幅方向外端は、下延在部55cの下端に連結される。下横架部57は、側面視でヘッドパイプ21の略中央の高さと同じ位置にある。
【0039】
側方連結部54L,54Rは、フロントステー50の一部(フロントステー50のうちメータ支持部51の下方で後方に延びる部分)に相当する。側方連結部54L,54Rは、ヘッドパイプ21の左右側方に配置される。側方連結部54L,54Rは、左右一対設けられる。
【0040】
側方連結部54L,54Rは、縦架部55L,55Rとミドルステー60L,60Rとの間で前後に延びるクランク状を有する。側面視で、側方連結部54L,54Rは、側方連結部54L,54Rの前端が上方に位置し、かつ、側方連結部54L,54Rの後端が下方に位置するように傾斜して延びている(図5参照)。
【0041】
図5に示すように、側方連結部54L,54Rの前端は、上延在部55aの車幅方向外側に連結される。側方連結部54L,54Rの前端は、上横架部56の車幅方向外端の下方に配置される。
側方連結部54L,54Rの後端は、ミドルステー60L,60Rの車幅方向外端に連結される。
【0042】
<ミドルステー>
図7に示すように、ミドルステー60L,60Rは、ヘッドパイプ21の後方に配置される。ミドルステー60L,60Rは、フロントステー50に接続される。ミドルステー60L,60Rは、左右一対設けられる。左右のミドルステー60L,60Rは、車幅方向中央側から車幅方向外方にそれぞれ延びた後にフロントステー50に接続される。ミドルステー60L,60Rの車幅方向内端は、キーシリンダーブラケット70に接続される。
【0043】
ミドルステー60L,60Rは、ミドルステー60L,60Rの車幅方向内側に配置される内ブラケット61と、ミドルステー60L,60Rの車幅方向外側に配置される外ブラケット62と、内ブラケット61と外ブラケット62とを連結する連結パイプ63と、を備える。
【0044】
図5に示すように、内ブラケット61は、ヘッドパイプ21の上部後方に配置される。内ブラケット61は、メインフレーム22の前部上方に配置される。内ブラケット61は、側方連結部54L,54Rの後端の前方に配置される。内ブラケット61の前端は、キーシリンダーブラケット70に連結される。
【0045】
外ブラケット62は、側面視で側方連結部54L,54Rと交差するように延びる。側面視で、外ブラケット62は、外ブラケット62の上端が後方に位置し、かつ、外ブラケット62の下端が前方に位置するように傾斜して延びる。外ブラケット62の上下中間部は、側方連結部54L,54Rの後端に連結される。
【0046】
連結パイプ63は、車幅方向に屈曲して延びる(図7参照)。連結パイプ63は、内ブラケット61と外ブラケット62との間に配置される。前面視で、連結パイプ63は、連結パイプ63の車幅方向外端が上方に位置し、かつ、連結パイプ63の車幅方向内端が下方に位置するように傾斜して延びる(図6参照)。連結パイプ63の車幅方向内端は、内ブラケット61の後端に連結される。連結パイプ63の車幅方向外端は、外ブラケット62の下端に連結される。連結パイプ63には、クランプ等の車両部品を取り付けるためのブラケット65,66が設けられてもよい(図9参照)。
【0047】
<キーシリンダーブラケット>
キーシリンダーブラケット70は、キーシリンダー69を支持する。キーシリンダーブラケット70は、メインフレーム22に支持される。キーシリンダーブラケット70は、キーシリンダー69を支持する上部ステー71と、上部ステー71とメインフレーム22とを連結する下部ステー72と、を備える。
【0048】
図7に示すように、上部ステー71は、ヘッドパイプ21上端の後方で起立する起立壁73と、起立壁73の下部から車幅方向外方に突出し前後方向に厚みのある左右一対の側壁74L,74Rと、左右一対の側壁74L,74R及び起立壁73の下端をそれぞれ連結するように車幅方向に延びる底壁75と、起立壁73と底壁75とを連結するように上下に延びる左右一対の縦壁76L,76Rと、を備える。起立壁73、左右一対の側壁74L,74R、底壁75及び左右一対の縦壁76L,76Rは、同一の部材で一体に形成される。
【0049】
起立壁73は、側面視でヘッドパイプ21と略平行に起立する(図5参照)。起立壁73は、前後に開口する複数の貫通孔73a~73cを有する。
側壁74L,74Rは、起立壁73の車幅方向外端から車幅方向外方に向かうに従って後方に位置するように傾斜する。側壁74L,74Rの車幅方向外端は、内ブラケット61の前端の車幅方向内側に連結される(図9参照)。
【0050】
上面視で、底壁75は、後方に開放するU字状を有する。底壁75の車幅方向外端は、下部ステー72の車幅方向外端に連結される。
縦壁76L,76Rは、起立壁73と側壁74L,74Rとの連結部に沿って延びる。縦壁76L,76Rの前後長さは、起立壁73の上端から底壁75に向かうに従って徐々に大きくなっている。
【0051】
下部ステー72は、メインフレーム22の上部を跨ぐように車幅方向に延びる。下部ステー72の車幅方向中央には、車幅方向に延びる長孔72aが設けられる。側面視で、下部ステー72は、前下方に開放するU字状(逆U字状)を有する(図5参照)。
【0052】
<ヘッドライトの支持構造>
図6に示すように、ヘッドライト90の上部は、上横架部56に支持される。
ヘッドライト90の上部は、ヘッドライト90上部の左右側部から上方に突出する左右一対のボス91L,91Rを備える。上横架部56の左右側部には、前面視でL字状の上ブラケット58L,58Rが連結される。
【0053】
図10に示すように、上ブラケット58L,58Rは、上下に開口する挿通孔58aを有する。ボス91L,91Rは、第一ラバーマウント95(弾性部材)を介して上ブラケット58L,58Rの挿通孔58aに差し込まれる。
【0054】
図5に示すように、ヘッドライト90の下部は、下横架部57に支持される。
図11に示すように、ヘッドライト90の下部は、ヘッドライト90下部の左右側部から後方に突出する左右一対の突出部92L,92Rを備える。後面視で、突出部92L,92Rは、上下方向に対して斜めに交差している。
【0055】
下横架部57の左右側部には、車幅方向外側に屈曲して起立する左右一対の起立片59L,59Rが連結される。後面視で、起立片59L,59Rの上部は、突出部92L,92Rに沿うように傾斜している。突出部92L,92Rは、第二ラバーマウント96(弾性部材)並びにボルト及びナットを介して起立片59L,59Rの上部に取り付けられる。
【0056】
例えば、ヘッドライト90上部の左右のボス91L,91Rに第一ラバーマウント95を取り付けた状態で、ボス91L,91Rを上ブラケット58L,58Rの挿通孔58aに下方から差し込む(図10参照)。次に、ヘッドライト90下部の左右の突出部92L,92Rに第二ラバーマウント96を取り付けた状態で、突出部92L,92Rを起立片59L,59Rの外側に配置する(図11参照)。次に、突出部92L,92R及び起立片59L,59Rの各挿通孔(不図示)に外側からボルト97を挿通し、ナット98に螺合する。これにより、ヘッドライト90の上部及び下部を上横架部56及び下横架部57にそれぞれ取り付けることができる。
【0057】
<フロントステーの各接続部の配置>
フロントステーの各接続部の配置について、図8を用いて説明する。
以下、フロントステー50とミドルステー60L,60Rとの接続部JMを「F/M接続部JM」、ヘッドパイプ21とフロントステー50との接続部JHを「H/F接続部JH」とする。F/M接続部JMは、フロントステー50の側方連結部54L,54Rの後端とミドルステー60L,60Rの外ブラケット62の上下中間部とを連結するボルトの軸心部である。H/F接続部JHは、ステー連結部52の後部を連結するためにヘッドパイプ21の前下部に設けられたブラケット52cの上下中央部である。
【0058】
図8に示すように、F/M接続部JMは、H/F接続部JHの後上方に配置される。メータ支持部51は、F/M接続部JMの上方に配置される。メータ支持部51は、H/F接続部JHの前方に配置される。F/M接続部JMは、上横架部56と下横架部57との間に配置される。
【0059】
<作用効果>
以上説明したように、上記実施形態の自動二輪車1のカウルステー構造48は、車体前部に配置されるヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21に支持され、車体前部を覆う前部車体カバー40を支持するカウルステー49と、を備え、カウルステー49は、ヘッドパイプ21から前上方に延び、車両部品80,90を支持するフロントステー50と、ヘッドパイプ21の後方に配置され、フロントステー50に接続されるミドルステー60L,60Rと、を備える。
実施形態によれば、フロントステー50がヘッドパイプ21だけでなく、ミドルステー60L,60Rでも支持される。そのため、フロントステー50に支持される車両部品80,90をミドルステー60L,60Rでも支持することができる。したがって、車両部品80,90の保持力を高めることができる。
【0060】
実施形態によれば、フロントステー50は、ヘッドパイプ21から前上方に延びてメータ80を支持するメータ支持部51を有し、フロントステー50の一部54L,54Rは、メータ支持部51の下方で後方に延びることで、以下の効果を奏する。
メータ80周りに大きなスペースを要しないため、メータ80周りのレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0061】
実施形態によれば、ミドルステー60L,60Rは、左右一対設けられ、左右のミドルステー60L,60Rは、車幅方向外方にそれぞれ延びた後にフロントステー50に接続されることで、以下の効果を奏する。
左右のミドルステー60L,60R及びフロントステー50によってヘッドパイプ21が囲繞されるため、車両部品80,90の保持力をより効果的に高めることができる。
【0062】
実施形態によれば、カウルステー構造48は、ヘッドパイプ21から後方に延びるメインフレーム22と、メインフレーム22に支持されるキーシリンダーブラケット70と、を更に備え、ミドルステー60L,60Rは、キーシリンダーブラケット70に接続されることで、以下の効果を奏する。
キーシリンダーブラケット70がミドルステー60L,60Rのブラケットを兼ねるため、部品点数を削減できる。
【0063】
実施形態によれば、フロントステー50は、メータ80を支持するメータ支持部51を有し、F/M接続部JMは、H/F接続部JHの後上方に配置され、メータ支持部51は、F/M接続部JMの上方に配置され、かつ、H/F接続部JHの前方に配置されることで、以下の効果を奏する。
メータ支持部51がF/M接続部JMの下方に配置される場合と比較して、メータ支持部51の回りのモーメントが局所的に過大になることを抑制することができる。すなわち、重量物であるメータ80をフロントステー50で支持する場合、各接続部へのモーメントをバランスよく分散できる。したがって、メータ80の保持力をより効果的に高めることができる。
【0064】
実施形態によれば、フロントステー50は、ヘッドライト90の上部及び下部をそれぞれ支持する上下一対の横架部56,57を備え、F/M接続部JMは、上下一対の横架部56,57の間に配置されることで、以下の効果を奏する。
重量物であるヘッドライト90の上部及び下部を上下一対の横架部56,57でそれぞれ支持する場合、F/M接続部JMとヘッドライト90の重心との間の距離を可及的に小さくすることができる。したがって、ヘッドライト90の保持力をより効果的に高めることができる。
【0065】
<変形例>
上記実施形態では、フロントステー50は、ヘッドパイプ21から前上方に延びてメータ80を支持するメータ支持部51を有し、フロントステー50の一部54L,54Rは、メータ支持部51の下方で後方に延びる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、フロントステー50は、ヘッドパイプ21から前上方に延びる中途部でメータ支持部51を有してもよい。例えば、フロントステー50の一部54L,54Rは、メータ支持部51の配置位置以上(上下高さ以上)の上下位置で後方に延びてもよい。例えば、メータ支持部51の配置位置やフロントステー50の形状は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0066】
上記実施形態では、ミドルステー60L,60Rは、左右一対設けられ、左右のミドルステー60L,60Rは、車幅方向外方にそれぞれ延びた後にフロントステー50に接続される例を挙げて説明したが、これに限らない。
例えば、ミドルステー60L,60Rは、左右のいずれか一方にのみ設けられてもよい。例えば、フロントステー50は、左右のミドルステー60L,60Lのいずれか一方のみによってキーシリンダーブラケット70に接続されてもよい。
例えば、ミドルステー60L,60Rは、前後方向にのみ延びてもよい。
例えば、ミドルステー60L,60Rを1つのみ備える場合、ミドルステー60L,60Rは、単独でヘッドパイプ21に接続されてもよい。例えば、ミドルステー60L,60Rの設置数や形状は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0067】
上記実施形態では、カウルステー構造48は、ヘッドパイプ21から後方に延びるメインフレーム22と、メインフレーム22に支持されるキーシリンダーブラケット70と、を更に備え、ミドルステー60L,60Rは、キーシリンダーブラケット70に接続される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ミドルステー60L,60Rは、キーシリンダーブラケット70と異なる部位に接続されてもよい。例えば、ミドルステー60L,60Rは、キーシリンダーブラケット70とは別のブラケットに接続されてもよい。
【0068】
上記実施形態では、フロントステー50は、メータ80を支持するメータ支持部51を有し、F/M接続部JMは、H/F接続部JHの後上方に配置され、メータ支持部51は、F/M接続部JMの上方に配置され、かつ、H/F接続部JHの前方に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、メータ支持部51は、F/M接続部JMの下方に配置されてもよい。例えば、フロントステー50の各接続部の配置位置は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0069】
上記実施形態では、フロントステー50は、ヘッドライト90の上部及び下部をそれぞれ支持する上下一対の横架部56,57を備え、F/M接続部JMは、上下一対の横架部56,57の間に配置される例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、F/M接続部JMは、上横架部56の上方に配置されてもよい。例えば、F/M接続部JMは、下横架部57の下方に配置されてもよい。例えば、F/M接続部JMの配置位置は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0070】
上記実施形態では、エンジン10が単気筒エンジンである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、エンジン10は多気筒エンジンであってもよい。エンジン10は、種々の形式を採用可能である。
【0071】
本発明は上記実施形態に限られるものではなく、上記鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれる。上記鞍乗り型車両には、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪且つ後二輪の他に、前二輪且つ後一輪の車両も含む)の車両又は四輪の車両も含まれる。
【0072】
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
21 ヘッドパイプ
22 メインフレーム
40 前部車体カバー(カウル)
48 カウルステー構造
49 カウルステー
50 フロントステー
51 メータ支持部
54L,54R 側方連結部(フロントステーの一部)
56 上横架部(横架部)
57 下横架部(横架部)
60L,60R ミドルステー
70 キーシリンダーブラケット
80 メータ(車両部品)
90 ヘッドライト(車両部品)
JM F/M接続部(フロントステーとミドルステーとの接続部)
JH H/F接続部(ヘッドパイプとフロントステーとの接続部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11