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特許7192026柔軟な人間-機械協働のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】柔軟な人間-機械協働のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/16 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
B25J9/16
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021072015
(22)【出願日】2021-04-21
(62)【分割の表示】P 2020061903の分割
【原出願日】2015-08-28
(65)【公開番号】P2021107110
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2021-05-19
(31)【優先権主張番号】14/475,184
(32)【優先日】2014-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508280195
【氏名又は名称】ザ ジョンズ ホプキンス ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ケレハー ゲーリン
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ディー ヘイガー
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン リーデル
【審査官】臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-311613(JP,A)
【文献】特開平08-112790(JP,A)
【文献】特開2000-010618(JP,A)
【文献】国際公開第2007/096322(WO,A2)
【文献】国際公開第2008/119383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 9/16-13/02
G05B 19/42-19/423
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般化可能なユーザ-ロボット協働を可能にするためのコンピュータ実施方法であって、
ロボット機能および1つ以上のユーザ対話機能の構成物を提供するステップであって、前記ロボット機能が、ある作業動作タイプを実行するために、ロボットの少なくとも1つの機能をモデリングする、提供するステップと、
前記ロボット機能を、情報カーネルを用いて専用化して、専用化済みロボット機能を提供するステップであって、前記情報カーネルが、前記作業動作タイプに関連付けられた作業関連パラメータのセットをカプセル化する、提供するステップと、
前記専用化済みロボット機能のインスタンスを、前記作業関連パラメータのセットに基づいて、前記ロボットの前記少なくとも1つの機能を制御する、ロボット機能要素として提供するステップと、
前記1つ以上のユーザ対話機能の1つ以上のインスタンスを、1つ以上のユーザ対話機能要素として提供するステップと、
前記1つ以上のユーザ対話機能要素を介してユーザ入力を受信するため、前記ロボット機能要素を実行するステップと、
前記ユーザ入力および前記作業関連パラメータのセットに基づいて、前記ユーザ入力と協働して前記作業動作タイプの少なくとも1つの作業動作を実行するために、前記ロボットの前記少なくとも1つの機能を制御するステップと
を含むコンピュータ実施方法。
【請求項2】
前記1つ以上のユーザ対話機能要素を介して、1つ以上のユーザ・インタフェース(UI)を提供するステップと、
前記1つ以上のUIを介して、前記ユーザ入力を受信するステップと
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項3】
前記1つ以上のユーザ対話機能が、アドミッタンス制御対話機能を含み、前記コンピュータ実施方法が、
前記アドミッタンス制御対話機能のインスタンスを、アドミッタンス制御対話機能要素として提供するステップと、
前記アドミッタンス制御対話機能要素を介して、前記ロボットのユーザ操作を、前記ユーザ入力として受信するステップと
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項4】
前記アドミッタンス制御対話機能要素に基づいて、前記ロボットの前記ユーザ操作をユーザ実演モーションとして、受信する、アドミッタンス制御インストラクタ・インタフェースを提供するステップと、
前記ロボットの開始ポーズを決定するステップと、
前記ユーザ実演モーションの軌跡データを取得するステップと、
工具根本動作(TMP)を形成するため、前記ロボットの前記開始ポーズに基づいて、前記軌跡データを一般化するステップと、
前記TMPを記憶するステップと
をさらに含む請求項3に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項5】
前記作業動作タイプが、モーション制約を含み、前記情報カーネルの前記作業関連パラメータのセットが、工具タイプに関連付けられた工具パラメータのセットを含み、前記ロボット機能要素を実行するステップが、
前記工具タイプの工具が前記ロボットに取り付けられていることを検知するステップと、
前記工具タイプに関連付けられた前記工具パラメータのセットに基づいて、前記ユーザ入力に応答して前記少なくとも1つの作業動作を実行する際に前記ロボットの1つ以上のモーションを制約することによって、前記モーション制約を実施するステップと
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項6】
前記ロボットの前記1つ以上のモーションを制約するステップが、
前記ロボットの開始ポーズを取得するステップと、
前記ロボットの前記開始ポーズ、および前記工具タイプに関連付けられた前記工具パラメータのセットに基づいて、前記ロボットの前記1つ以上のモーションを制約するステップと
をさらに含む請求項5に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記工具パラメータのセットが、工具幾何形状および工具挙動制約を含み、前記コンピュータ実施方法が、
前記工具幾何形状および前記工具挙動制約に基づいて、前記ロボットの最大稼働空間のサブセットである、前記ロボットの工具制約稼働空間を生成するステップと、
前記ロボットの前記1つ以上のモーションを制約することによって、前記ロボットを前記工具制約稼働空間に制約するステップと
をさらに含む請求項5に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記情報カーネルの前記作業関連パラメータのセットが、知覚テンプレートを含み、前記ロボットの前記1つ以上のモーションを制約するステップが、
少なくとも1つの対象加工物の加工物特性のセットを取得するステップと、
前記ロボットの初期ポーズ、および前記加工物特性のセットに基づいて、前記ロボットの前記1つ以上のモーションを制約するステップと
をさらに含む請求項5に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
前記作業動作タイプが、モーション即時再生を含み、前記情報カーネルの前記作業関連パラメータのセットが、TMPを含み、前記ロボット機能要素を実行するステップが、
前記1つ以上のユーザ対話機能を介して、前記ロボットの開始ポーズを決定するステップと、
前記ロボットの前記開始ポーズ、および前記TMPの工具モーション軌跡に基づいて、前記少なくとも1つの作業動作を実行する際の前記ロボットの1つ以上のモーションを制御するステップと
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記情報カーネルの前記作業関連パラメータのセットが、知覚テンプレートを含み、前記ロボットの前記1つ以上のモーションを制御するステップが、
前記ロボットの稼働空間内の、少なくとも1つの加工物の加工物特性のセットを取得するステップと、
前記加工物特性のセットに基づいて、前記少なくとも1つの作業動作を実行する際の前記ロボットの前記1つ以上のモーションを基礎訓練するステップと
をさらに含む請求項9に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記ロボット機能および前記1つ以上のユーザ対話機能の前記構成物が、前記ロボット機能および前記1つ以上のユーザ対話機能の間の1つ以上のリンクを含み、前記コンピュータ実施方法が、
前記1つ以上のリンクの1つ以上のインスタンスを、前記ロボット機能要素を前記1つ以上のユーザ対話機能要素に接続する、1つ以上のリンク要素として提供するステップ
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記1つ以上のリンクの前記1つ以上のインスタンスを提供するステップが、
前記ロボット機能要素のUI要件を、前記ロボット機能要素のインタフェースに基づいて導出するステップであって、前記インタフェースが入力インタフェースまたは出力インタフェースの少なくとも1つを含む、導出するステップと、
前記UI要件に基づいて、少なくとも1つのリンクの少なくとも1つのインスタンスを、ロボット要素を前記少なくとも1つのユーザ対話機能要素に接続する、少なくとも1つのリンク要素として提供するステップと
をさらに含む請求項11に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項13】
前記ロボット機能および前記1つ以上のユーザ対話機能の前記構成物を含む、協働挙動を提供するステップと、
複数のロボット機能を、前記協働挙動のロボット機能構成物要件に基づいて選択するステップと、
前記複数のロボット機能を、前記ロボット機能として、ロボット機能の構成物へと構成するステップと、
ロボット機能の前記構成物を、前記協働挙動と関連付けるステップと
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項14】
前記複数のロボット機能を構成するステップが、
前記複数のロボット機能のうちの2つのロボット機能を、並列合成作用素または直列合成作用素の少なくとも1つを用いて構成するステップと
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項15】
ロボット機能の前記構成物の複数のUI要件を、互換関数をロボット機能の前記構成物に実行することによって導出するステップと、
前記複数のUI要件を満たす少なくとも1つのユーザ対話機能を決定するステップと、
前記複数のUI要件に基づいて、ロボット機能の前記構成物および前記少なくとも1つのユーザ対話機能の間のマッピングを生成するステップと
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項16】
複数のロボット機能要素を提供するステップであって、前記複数のロボット機能要素が、前記複数のロボット機能のインスタンスである、提供するステップと、
複数のユーザ対話機能要素を提供するステップであって、前記複数のユーザ対話機能要素が、前記1つ以上のユーザ対話機能および前記少なくとも1つのユーザ対話機能のインスタンスである、提供するステップと、
前記複数のロボット機能要素のロボット機能要素のペア間のリンクを、前記協働挙動のリンク要件に基づいて形成するステップであって、前記ロボット機能要素のペアが、配信者ロボット機能要素および購読者ロボット機能要素を含む、形成するステップと
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項17】
前記複数のロボット機能要素、前記複数のユーザ対話機能要素、および前記リンクを、独立した処理において、それぞれ提供するステップ
をさらに含む請求項1に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項18】
一般化可能なユーザ-ロボット協働を可能にするためのシステムであって、
命令を記憶する、非一時的メモリと、
前記命令を実行して、前記システムに、
ロボット機能および1つ以上のユーザ対話機能の構成物を提供するステップであって、前記ロボット機能が、ある作業動作タイプを実行するために、ロボットの少なくとも1つの機能をモデリングする、提供するステップと、
前記ロボット機能を、情報カーネルを用いて専用化して、専用化済みロボット機能を提供するステップであって、前記情報カーネルが、前記作業動作タイプに関連付けられた作業関連パラメータのセットをカプセル化する、提供するステップと、
前記専用化済みロボット機能のインスタンスを、前記作業関連パラメータのセットに基づいて、前記ロボットの前記少なくとも1つの機能を制御する、ロボット機能要素として提供するステップと、
前記1つ以上のユーザ対話機能の1つ以上のインスタンスを、1つ以上のユーザ対話機能要素として提供するステップと、
前記1つ以上のユーザ対話機能要素を介してユーザ入力を受信するため、前記ロボット機能要素を実行するステップと、
前記ユーザ入力および前記作業関連パラメータのセットに基づいて、前記ユーザ入力と協働して前記作業動作タイプの少なくとも1つの作業動作を実行するために、前記ロボットの前記少なくとも1つの機能を制御するステップと
を含む方法を実行させる、プロセッサと
を含むシステム。
【請求項19】
プロセッサ上で実行されたとき、
ロボット機能および1つ以上のユーザ対話機能の構成物を提供するステップであって、前記ロボット機能が、ある作業動作タイプを実行するために、ロボットの少なくとも1つの機能をモデリングする、提供するステップと、
前記ロボット機能を、情報カーネルを用いて専用化して、専用化済みロボット機能を提供するステップであって、前記情報カーネルが、前記作業動作タイプに関連付けられた作業関連パラメータのセットをカプセル化する、提供するステップと、
前記専用化済みロボット機能のインスタンスを、前記作業関連パラメータのセットに基づいて、前記ロボットの前記少なくとも1つの機能を制御する、ロボット機能要素として提供するステップと、
前記1つ以上のユーザ対話機能の1つ以上のインスタンスを、1つ以上のユーザ対話機能要素として提供するステップと、
前記1つ以上のユーザ対話機能要素を介してユーザ入力を受信するため、前記ロボット機能要素を実行するステップと、
前記ユーザ入力および前記作業関連パラメータのセットに基づいて、前記ユーザ入力と協働して前記作業動作タイプの少なくとも1つの作業動作を実行するために、前記ロボットの前記少なくとも1つの機能を制御するステップと
を含む方法を実行する命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2014年9月2日に出願された、Kelleher Guerin、Gregory D. Hager、およびSebastian Riedelらによる「System and Method for Flexible Human-Machine Collaboration」という表題の米国特許出願公開第14/475,184号明細書に関連したものであり、同出願を基礎とする出願優先権を主張し、その内容の全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
(政府支援に関する陳述)
本発明は、米国国立科学財団(National Science Foundation)によって授与されたグラント番号NRI-1227277のもと、米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明に対する一定の権利を有する。
【0003】
本開示は一般に、ロボット機能表現および人間-機械(human-machine)協働挙動の動的適応および再使用をサポートする一般化可能フレームワークを介した、人間-機械協働を可能にするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ロボットによる産業オートメーションは、溶接、裁断、プレス、塗装、重量物処理、精密材料加工、などの作業の規模拡大に多大な利点を提供することから、大規模製造において著しい成功を収めている。大規模製造におけるロボットオートメーションの成功は、その利用を中小製造業(以下、「SME」という。)にまで広げたいという長年の願望をもたらした。しかし、大規模製造とは対照的に、SMEの製造プロセスは概して、生産量が少なく、かつ/または製品が多岐にわたることを特徴とする。その結果、基盤施設、専門の社員、装置一式、および柔軟なロボットオートメーションのためのプログラミングを償却する能力が、SMEの場合は大きく減じてしまう。
【0005】
SMEでのプロセスには、時として高レベルなカスタマイズを要する作業が含まれるため、必然的に人間の手による技術や判断が必要となる。たとえば、修繕作業および受注生産プロセスは、予期せぬ加工物のばらつきや設備改造に順応しなくてはならない。そのような場合、既存の人間中心型製造プロセスでは、効果的な人間集中型プロセスに加えて、その繰り返しや軽減以外では、どこで、どのように、ロボットオートメーションが有用であり得るかの判断が困難なこともある。数名の熟練社員を擁する、特注家具の製造に特化したSMEを例にとる。このSMEは、ドリル作業またはサンダ作業など、巧妙な動作を伴う反復作業をロボット・システムを用いて自動化することにより、自社社員の効率性および生産性の向上を図ろうとする可能性がある。しかし、この場合、流通しているロボット・システムは役に立たない。なぜなら、こうしたロボット・システムでは、SMEが自社社員の既存の作業知識および作業経験を活用することが不可能だからである。
【0006】
したがって、先行技術が提示する、これらおよび他の問題を克服するためのシステムおよび方法が求められている。
【発明の概要】
【0007】
多くの作業領域において、自動化されたロボット・システムは未だ活用されていない。なぜなら、こうしたロボット・システムとの柔軟かつ効率的な対話を可能にする、適切な協働システムが存在しないからである。こうした作業領域の例としては、SMEでのプロセス、物理的な在宅障害者支援、協働型ロボット手術、などが挙げられる。これらの作業領域では、作業を手動で行うことや完全に自動化することは、どちらも望ましくなく、現実的でもない。したがって、柔軟かつ効率的なユーザ-ロボット対話を提供し、ユーザ対話に関して、持続時間、複雑性、および制約が異なる広範な作業を通じて有効な、協働型ロボット・システムおよび方法が求められている。
【0008】
さまざまな実施形態による、例示的協働型ロボット・システムは、広範な作業の実行に向けた一般化可能な方法で命令または訓練することが可能であり、再訓練することなく、優雅に作業間の切り換えを行うことができる。協働型ロボット・システムは、ユーザの役割とロボット機能の広がりに関して人間-ロボット協働動作をサポートするとともに、ロボット機能と、ユーザ・インタフェースまたは対話パラダイムである特定のユーザ対話機能へとロボット機能を関連付ける協働挙動とのセットを介して、人間-ロボット・システムをモデリングする。ロボット機能は、他のロボット機能と複合化すること、および特定の作業のために専用化することが可能である。作業を実行するために、協働型ロボット・システムは、工具アフォーダンスまたは工具挙動制約、工具根本動作、および知覚基礎訓練テンプレートなど、さまざまな作業関連情報またはパラメータを使用して、ロボット機能を動的に適応させることができる。特定の作業およびロボット機能について、協働型ロボット・システムは、利用可能なインタフェースの制約を受ける、作業を達成するためのロボット機能によって要求される1つ以上のユーザ対話モダリティを決定しなくてはならない。したがって、1つ以上のロボット機能および1つ以上のユーザ対話機能の構成物を含む協働挙動は、ユーザ対話のためのロボット機能の要件を満たすためにユーザ対話機能をロボット機能にマッピングしなくてはならない。
【0009】
本開示の実施形態は、ロボット機能表現および人間-機械協働挙動の動的適応および再使用をサポートする一般化可能フレームワークを介した、人間-機械協働を可能にするためのシステムおよび方法に関する。具体的には、ユーザ-ロボット協働を可能にするコンピュータ実施方法が、ロボット機能および1つ以上のユーザ対話機能の構成物を提供するステップであって、ロボット機能が、1つ以上のパラメータのセットに基づいて、ある作業動作タイプを実行するために、ロボットの少なくとも1つの機能をモデリングする、提供するステップと、ロボット機能を、情報カーネルを用いて専用化するステップであって、情報カーネルが、1つ以上のパラメータのセットをカプセル化する、専用化するステップと、ロボット機能および情報カーネルに基づいて、ロボット機能要素を提供するステップであって、ロボット機能要素が、ロボット機能のインスタンスである、提供するステップと、1つ以上のユーザ対話機能に基づいて、1つ以上の対話機能要素を提供するステップであって、1つ以上の対話機能要素が、1つ以上のユーザ対話機能のインスタンスである、提供するステップと、ロボット機能要素を、1つ以上の対話機能要素に接続するステップと、1つ以上の対話機能要素に基づいて、1つ以上のパラメータのセットに関連付けられたユーザ入力を取得するために、1つ以上のUIを提供するステップと、ユーザ入力および情報カーネルに基づいて、作業動作タイプの作業動作を実行するために、ロボット機能要素を介して、ロボットの少なくとも1つの機能を制御するステップとを含む。
【0010】
本開示の実施形態が持つさらなる目的および利点は、以下の記述に部分的に記載され、また同記述からある程度は明白なものとなるが、実施形態を実践すれば習得され得るものである。実施形態が持つ目的および利点は、添付の請求項において具体的に指し示す、諸要素および組み合わせによって実現され、達成される。
【0011】
以上の概要および以下の詳述は、ともに例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される実施形態を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】本開示の実施形態による、種々の工具に関連した、種々の工具挙動制約の例を示す図である。
図1B】本開示の実施形態による、ユーザがモーション軌跡を指定するためにロボットのアバターと対話可能な没入型仮想現実環境を示す図である。
図2】ユーザおよびロボットに結び付けられた機能の構成物を含む協働挙動の例を示す図である。
図3A】本開示の原理による、人間-機械協働システムの例示的一実施形態を示す図である。
図3B】本開示の原理による、人間-機械協働システムの例示的一実施形態を示す図である。
図4】本開示の原理による、協働挙動によって要求される挙動構成要素を指定する挙動マニフェストの例を示す図である。
図5】本開示の原理による、人間-機械協働システムによって提供されるユーザ・インタフェースの例を示す図である。
図6】本開示の実施形態による、ロボット機能表現および人間-機械協働挙動の動的適応および再使用をサポートする一般化可能フレームワークを介した、人間-機械協働を可能にするための例示的方法を示す流れ図である。
図7】本開示の実施形態による、人間-機械協働挙動の実装に向けた種々の機能およびリンクを提供するための例示的方法を示す流れ図である。
図8】本開示の実施形態による、人間-機械協働挙動の実装に向けた種々の機能およびリンクを提供するための例示的方法を示す流れ図である。
図9】本開示の実施形態による、人間-機械協働挙動を構成するための例示的方法を示す流れ図である。
図10】本開示に即して、開示の実施形態を実行するための例示的コンピュータ・システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面に示す例示的実施形態について、以下で詳しく論及する。同一または類似の部分に対する言及には、各図面を通して同一の参照番号が適宜使用される。
【0014】
簡潔に例示するために、本開示の原理は、主にその例示的実施形態を参照することによって説明される。ただし、同一の原理はあらゆる種類の情報およびシステムに対して等しく適用可能であり、その中で実装可能であること、ならびに、そのような変形形態はいずれも本開示の真の精神および範囲から逸脱するものではないことは、当業者であれば容易に認識されよう。さらに、以下の詳述において、特定の例示的実施形態を示す添付図面が参照される。これらの例示的実施形態に対し、本開示の精神および範囲から逸脱することなしに、電気的、機械的、論理的、および構造的な変更がなされ得る。したがって、以下の詳述は限定的な意味で捉えられるべきではなく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される。
【0015】
人間にとって安全(human-safe)な産業用ロボットの普及拡大は、SME、そして高齢者や障害者の補助や協働型外科ロボットなどの新たに浮かび上がってきた作業領域を対象とし、半構造化された諸作業のセットを中心に人間であるユーザとロボットとが対話を行う、協働型ロボット・システムへのかかわりに拍車をかけている。こうした作業領域で実行される作業の範囲は瞬く間に変わり得るため、完全な再プログラミングを必要とすることなく複数の作業に見事に適応する協働型ロボット・システムが求められている。
【0016】
本開示のさまざまな実施形態には、協働設計および使用パターンの広範な集まりをサポートするフレームワークを介した、人間-機械協働を可能にするためのシステムおよび方法が含まれる。本開示のさまざまな実施形態による例示的人間-機械協働システムは、再使用可能なロボット機能表現の構成、動的適応、および管理をサポートすることで、1つ以上のロボットが持つ、運用、訓練、問題解決、または再作業といった特定のモードが、1人以上の人間のユーザによって少なくとも1つは可能になるような、一般化可能フレームワークを実装する。ロボット機能表現の動的適応には、工具、加工物、および/またはロボットの稼働環境について協働システムが取り込む一般化情報およびパラメータが含まれ、これらは協働システムによって一般ロボット機能表現へと記憶され、種々の作業動作用に再使用することが可能である。作業動作の種類としては、たとえば、モーション制約、モーション即時再生、軌跡生成、などが挙げられ得る。また、ロボット機能表現の動的適応には、特定の作業動作を実行するために、一般ロボット機能表現の専用化が含まれる。一般化可能フレームワークは、人間-機械協働挙動の構成、再使用、および管理をサポートする。人間-機械協働挙動には、機能表現の構成物(たとえば、ロボット機能およびユーザ対話機能)、および機能表現間のマッピングが含まれる。一般化可能フレームワークを実装することにより、協働システムは、多岐にわたる作業および作業動作の実行に向けて一般化可能な方法で命令または訓練を受けることが可能になり、再訓練や完全な再プログラミングなしにタスク間の切り換えを見事に行うことが可能になる。
【0017】
本開示において、「ロボット」という言葉は、ロボットマニピュレータ、またはロボットマニピュレータのセットの代わりに使用される。一般に、ロボットとは、自動化または半自動化された製造用途向けの産業用ロボットマニピュレータまたは産業用ロボットマニピュレータのセットである。ロボットの包絡線空間(envelope space)とは、ロボットのエンドエフェクタが届き得る空間内の点のセットを含む、ロボットが物理的に移動または到達可能なモーション範囲である。エンドエフェクタは、ロボットに取り付けられたツールエフェクタ、またはロボットに取り付けられたグリッパ型エンドエフェクタによって把持または固定された工具となり得る。たとえば、ロボットの包絡線空間としては、ロボットのツールエフェクタ・ポイント(以下、「TEP」という、)が物理的に移動または到達することが可能なモーション範囲が挙げられ得る。ロボットのTEPは、ロボットに取り付けられたツールエフェクタの点群中の基準点(たとえば、ユーザが選択した点、ツールエフェクタの端点、ツールエフェクタがロボットへと取り付けられている点、など)、またはロボットのエンドエフェクタによって把持された工具の点群中の基準点(たとえば、ユーザが選択した点、工具の端点、エンドエフェクタが工具を把持している点、など)として定義され得る。ロボットの包絡線空間が持つサイズと形状は、ロボットの座標幾何学に依存し、ロボットの構造(たとえば、ジョイントのタイプ、ジョイントの移動範囲、ジョイントを接続するリンクの長さ、など)や自由度(以下、「DOF」という。)数といった、ロボットの設計に影響される。いくつかの実施形態では、ロボットの包絡線空間が持つサイズと形状は、ロボットに取り付けられたツールエフェクタ、またはロボットのエンドエフェクタによって把持された工具が持つ、サイズと形状にも影響される。ロボットは、そのロボットの包絡線空間内にあるすべてまたはほぼすべての点を通常は包含する、自身の最大稼働空間内で作業を実行することができる。協働システムは、1つ以上の制約を実施または適用するために、ロボットの稼働空間を、そのロボットの最大稼働空間内の点のサブセットに制限することができる。これについては、以下でより詳細に説明する。
【0018】
一般化可能フレームワークを通じて、協働システムは、少なくとも1人の人間ユーザと対話して、少なくとも1つのロボットと協働して作業を実行するのに使用される作業知識を取り込み、その後、取り込んだ作業知識を、そのロボットおよび/または少なくとも1つの他のロボットと協働して別の作業を実行するために、効率的かつ移植性のある方法で適応させることができる。協働システムは、より多くの作業知識を取り込むほど有能になり、協働システムが有能になるほど、作業ごとにユーザに求める情報も少なくなる。さらに、取り込んだ作業知識の性質は、低いレベル(たとえば、多数の特徴点を手動で指定する)から高いレベル(たとえば、ポイント・アンド・クリック入力、口頭での命令、など)へと発展し得る。システム機能が向上し、ユーザとの細かな対話の必要性が減少すれば、協働システムは、新たな用途に向けてスケールダウンすることや、環境的な構造または造形が欠如したため伝統的に自動化が採用されてこなかった環境へ徐々に導入することが可能になる。
【0019】
さまざまな実施形態において、一般化可能フレームワークは、(1)機能、すなわち、稀にしか変化しないパラメータに基づいて入力情報を出力情報または動作にマッピングする高次関数、および(2)協働挙動、すなわち、ある作業に関する少なくとも1つの未知の局面と、人間のユーザがその作業の完了に向けてロボットと協働するための少なくとも1つの適切なインタフェースとの間のマッピング、のためのモデルを定義し提供する。一般化可能フレームワークは、ロボット機能およびユーザ対話機能を含む、さまざまなクラスの機能を提供することができる。複数のロボット機能が、特定の作業に向けて専用化され得る再使用可能なロボット機能表現としての役割を果たすとともに、1つのロボット機能は、実行時における少なくとも1つのロボットの機能をモデリングし、ユーザ対話機能または他のロボット機能のどちらかと結び付くことができる。ユーザ対話機能は、入力コマンドの要求またはフィードバックの表示のどちらかにより、ユーザに1つ以上のインタフェースモダリティを提供する。一般化可能フレームワークによって提供される機能および協働挙動の使用を通じて、協働システムは、協働対話が持つ動的な性質を考慮することが可能な、柔軟な人間-ロボット協働に向けた環境構造を提供する。
【0020】
協働システムは、1つの状況から情報を取り込み一般化することで一般ロボット機能を作製し、次いで、一般ロボット機能を1つ以上の状況固有パラメータでインスタンス化およびパラメータ化することにより、さまざまな状況、さらには新規の状況に向けて、一般ロボット機能を専用化することができる。一般ロボット機能は、作業関連パラメータのセットを要求する、ある種の作業動作を実行する工具タイプに属する取り付けられた工具を使用するために、ロボットの機能を少なくとも1つモデリングする。さまざまな実施形態において、協働システムは、3種類の作業関連パラメータに基づいて、種々の作業動作に対し、ロボット機能を動的に適応させることができる。3種類の作業関連パラメータとは、工具挙動制約または工具アフォーダンス、工具根本動作、および知覚テンプレートである。
【0021】
ある工具に対する工具挙動制約は、その工具が持つ少なくとも1つの工具アフォーダンスに基づいて決定され得る。工具アフォーダンスとは、工具に備わった、ある実体(たとえば、ロボット、個人、別の工具、など)が自身を用いて1つ以上の動作を実行することを許容または可能にするような1つ以上の特徴、性質、属性、または特性である。協働システムは、モーションの実演、工具および加工物に関するパラメータ、ならびに1つ以上の作業動作をロボットの稼働環境に関連付けるパラメータを介して、情報を取り込むことができる。取り込んだ情報は、カプセル化および一般化した後、再使用可能なロボット機能表現に記憶することができる。たとえば、いくつかのドリルパラメータが2種類以上のドリルビットまたは加工物に対して有効となり、モーションを実演することによって、取り付けられたドリルビットの長手軸に平行な直線ドリルモーションなど、特定の状況に合わせて調整され得る、典型モーションを定義することができる。
【0022】
協働システムは、特定の作業動作または特定タイプの作業動作を実行するための1つ以上のロボット機能をロボット機能の構成物へと構成し、ユーザ対話のためのロボット機能の要件を満たす1つ以上のユーザ対話をロボット機能にマッピングすることにより、協働挙動を作成することができる。作業固有または部分作業固有となるロボットの補助または増強を実現するために、協働システムは、所与の作業に固有となる必要性に合わせて、エンドユーザによる実演ならびに/または僅かなパラメータ化および対話により、ロボット機能の構成物を修正する、かつ/またはロボット機能を専用化することができる。協働システムは、新たな作業を実行するために、既存のロボット機能および協働挙動の動的適応をサポートすることから、単純な作業に向けた迅速なロボット訓練が容易となり、複雑な作業に向けたロボット訓練をより直感的にする種々の工具および加工物との柔軟な対話が可能になる。一般化可能フレームワークを実装することにより、協働システムは、ユーザ(たとえば、エンドユーザ、オンサイトのエンジニア、など)による単純かつ直感的なロボットのプログラミング、再プログラミング、訓練、および再訓練を、ユーザ対話、ユーザ実演、種々の工具および加工物との柔軟な対話、などを通じて行うことを可能にする。
【0023】
協働システムは、作業知識および権限を、その知識を使用するために、ロボットへとオフロードすることができる。このことは、ロボット機能のインスタンスを、ロボット機能要素(「RC要素」)という形態で使用することによって実装され得る。協働システムは、ユーザがロボットと協働し、ロボットと対話し、かつ/またはロボットに入力を行うために、適切なユーザ・インタフェース(「UI」)要素を提供することもできる。このことは、ユーザ対話機能のインスタンスを、ユーザ対話機能要素(「IC要素」)という形態で使用することによって実装され得る。作業の実行に必要な機能要素のセット(たとえば、RC要素およびIC要素)は、作業の複雑性に応じて異なり得る。なぜなら、作業知識、当該知識の使用権限、および作業を実行するために要求されるユーザ入力は、その複雑性とともに変化し得るからである。
【0024】
(機能)
【0025】
さまざまな実施形態において、機能は、稀にしか変化しないパラメータと定義される情報カーネルに基づいて、入力情報を出力情報または動作にマッピングする高次関数と定義される。一般性が失われない限り、このようなパラメータは、実行時に評価される関数となり得る。協働システムは、機能を使用することにより、動的かつ不確かな環境において、1つ以上のロボット動作を成功裏に実行することができる。
【0026】
より形式的に言えば、機能Cは、C(κ):γ→φと定義することができ、このとき、κは情報カーネル、γは機能に対する入力のセット、φは出力のセットである。情報カーネルκが定義されない場合、機能Cは、インスタンス化されていない、または一般性のものであり、よって入力γに作用する必要な情報が欠けているとみなされる。一般化可能フレームワークは、直列構成である
【数1】
および並列構成である
【数2】
という、2つの合成作用素の定義も行う。当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、これら以外の合成作用素も可能であることは理解されよう。合成作用素の使用を通じて、機能Cは、他の機能を構成することができる。したがって、機能Cは、他の複数の機能のうちの1つの構成物となる可能性があり、その場合は1つの複合機能とみなすことができる。反対に、機能Cは、他の機能を含まない場合、1つの基盤機能とみなすことができる。
【0027】
直列合成作用素である
【数3】
は、一般に非可換であり、下式のように、ある機能の出力から別の機能の入力への連結を表す。
【0028】
【数4】
【0029】
並列合成作用素である
【数5】
は、可換であり、下式のように、2つの機能の集合和を表す。
【0030】
【数6】
【0031】
並列構成において、出力φおよびφは、一般性が失われない限り、互いに素であると仮定される。なぜなら機能は、CまたはCから矛盾する出力を選択する、決定関数を備えて構成され得るからである。加えて、両種の機能構成物は、複合化された機能に関する情報カーネルの集合和を要求する。
【0032】
機能は、ユーザ対話機能およびロボット機能に分類できる。ユーザ対話機能
【数7】
は、入力コマンドの要求またはフィードバックの表示のどちらかにより、ユーザに1つ以上のインタフェースモダリティを提供する。なお、上式において、
【数8】
は、協働システムが利用可能なすべてのユーザ対話機能のセットである。
【0033】
ロボット機能
【数9】
は、実行時における少なくとも1つのロボットの機能をモデリングし、1つ以上のユーザ対話機能および/または1つ以上の他のロボット機能と結び付くことができる。なお、上式において、
【数10】
は、協働システムが利用可能なすべてのロボット機能のセットである。ロボット機能の例を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
ロボット機能Rは、初めは一般性またはインスタンス化されていないものとなり得、この形態では、情報カーネルκのパラメータ化によって定義される作業空間および作業動作について一般化可能なものとなる。協働システムは、ロボット機能Rを特定の状況についての情報カーネルκでパラメータ化することにより、インスタンス化済みロボット機能R(κ)を形成することができる。次いで、協働システムは、インスタンス化済みロボット機能R(κ)を入力γと作用させることで、出力φを生成することができる。出力φは、例えば、1つ以上の特定の作業動作を実行させるためのロボットに対する命令である。
【0036】
一例として、モーション制約を実施するロボットと協働して精密なドリル穿孔を行うという作業を実行するのであれば、協働システムは、2つの機能を必要とする。2つの機能とは、ユーザからポーズコマンドを受け取るユーザ対話機能、および、特定のドリルについて説明する情報カーネルが課す制約を受けるロボットを動かす一般ロボット機能Rmcである。一般ロボット機能Rmcの例は、表1に示している。ドリルの使用に必要な共通モーション制約を含む情報カーネルκdrillを与えられることにより、協働システムは、一般ロボット機能Rmcをインスタンス化して、ドリルモーション制約を規定するためのインスタンス化済みロボット機能Rmc(κdrill)を形成することができる。この例では、情報カーネルκdrillが、ドリルの幾何特徴をデカルト制約にマッピングするためのパラメータをカプセル化し、協働システムは、これらのパラメータを、同じ特徴を有する任意の工具(たとえば、他のドリル)のために再使用することができる。さらに、協働システムは、一般ロボット機能Rmcをインスタンス化して、そのインタフェースであるγおよびφを変更することなく、ドリルのみならず他の工具にも制約を課すことができる。
【0037】
(専用化機能)
【0038】
さまざまな実施形態において、ユーザは、協働システムを使用して、指定されたパラメータのセット、実演、またはその他のユーザ提供情報に基づいて情報カーネルを定義する命令を通じた機能の専用化を行うことができる。命令は、ユーザによる実演またはパラメータ化を使用した、新たな情報カーネルの作成または既存の情報カーネルのパラメータ指定を行うための方法と定義することができる。精密なドリル穿孔を行うという上記の作業例を用いれば、ドリルするためのロボット機能Rmcを専用化するために、ユーザは、ドリルの幾何形状から制約された幾何形状へのマッピングを指定する命令Idrillを実行することができる。協働システムは、このマッピングをκdrillにカプセル化することが可能であり、そうする場合はRmcをRmc(κdrill)に専用化する。
【0039】
協働システムは、種々の作業動作を実行するのに有用なさまざまな情報クラスに基づいて機能を専用化することができる。このクラスには、(1)工具挙動制約を使用する工具アフォーダンス、(2)TMPを使用するモーション軌跡、および(3)知覚テンプレートを使用する知覚基礎訓練が含まれる。たとえば、協働システムは、ユーザが機能を専用化する命令を実行したことに応答して、機能を専用化することが可能であり、このときの命令は、(1)工具の働きを記述し、作業動作を実行する工具の使用法に対する1つ以上の挙動制御を提供する、工具挙動制御、(2)作業動作を実行する際に必要な1つ以上のモーションを記述する、TMP、および/または(3)ロボットの稼働環境に関する文脈において1つ以上の挙動制御を提供する、知覚テンプレートを指定するものである。当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、機能を専用化するのに他の情報クラスが使用され得ることは理解されよう。
【0040】
(工具挙動制約)
【0041】
工具は通常、特に産業生産の分野における、特定のユースケースを念頭に設計されており、作業を実行する工具がなし得るモーションには制約を伴うのが普通である。協働システムによって実装されるフレームワークは、工具使用が持つこの態様を、工具挙動制約として形式化する。より具体的に言えば、ある工具と関連付けられた工具挙動制約は、工具の働きに関して予め形成された観念を記述し、1つ以上の作業動作を実行する際に、工具の使用法に対する1つ以上の挙動制御および/またはモーション制約を施す。工具挙動制約は、工具が持つ少なくとも1つの工具アフォーダンスに基づいて決定され得る。工具アフォーダンスとは、工具に備わった、ある実体が自身を用いて1つ以上の動作を実行することを許容または可能にするような1つ以上の特徴、性質、属性、または特性であると定義される。工具またはその工具と実質的に等しい特性および特徴を持った別の工具の使用が必要となる作業において、その作業をロボットが実行または補助することをユーザが望む場合、そのユーザは、工具に関連付けられた少なくとも1つの工具挙動制約をパラメータ化して、その工具が作業を実行するためにどのように使用可能であるかに関する観念をロボットに与えることができる。ユーザは、ロボットが工具を把持する箇所や取り付ける箇所など、工具に関する幾何形状を指定することにより、工具に対する工具挙動制約をパラメータ化することができる。
【0042】
工具に関するロボット機能をモデリングする際、協働システムは、有用な動作を許容するゆえに、有用な動作を達成可能なモーションに対する制約が置かれる幾何特徴を、各工具または工具タイプが持つという事実を活用することができる。たとえば、ドリルの円筒状ビットは、ドリルのモーションを線に沿って制約するものであり、ドリルが穴あけに使用されるのであれば、取り付けられたドリルビットは軸並進方向を定義する。同様の制約は、穴あけパンチ器または板金プレス機にも適用される。別の例として、サンダまたは研磨工具は、一般に平らな作用面を持っており、このことが工具のモーションを、その平らな作用面に沿った接線方向の接触へと制約する。同様に、さまざまな工具挙動制約が、多くの場合直線か曲線に制限される裁断工具など、他の工具使用にも適用される。
【0043】
より形式的に言えば、工具tは、3-tuple t = <r,A,G>と表すことができ、このとき、rは工具tの3次元(「3-D」)幾何形状の表現またはモデル、A = <a、a、…、a>は挙動制約のセット、G = <g、g、…、g>は表現rを基準とした把持構成のセットである。協働システムは、工具tを用いて、実質的に同一の特性および特徴を共有する特定の工具クラスに含まれる、特定の工具または任意の工具を表すことができる。固定されたエンドエフェクタ、g ∈ SE(3)は、特定の工具関連位置であると仮定する。各挙動制約は、ペアa = <p,q>であり、このとき、p ∈ SE(3)は制約フレームであり、qは制約タイプ、すなわち、q ∈ {axis、curve、angle、plane、…}である。工具tについて、協働システムは、工具tの表現rを制約タイプqに適合させることにより、制約タイプqに基づいて制約フレームpを生成することができる。表現rは、工具tの全体または部分をモデリングすることができる。表現rの形をとる工具tの幾何形状を制約タイプqにマッピングすることにより、協働システムは、再使用可能な情報カーネルκを形成して、ロボット機能R(たとえば、表1に示すモーション制約機能Rmc)を、専用化済みロボット機能R(κ)へと専用化することができる。工具tがロボットに取り付けられている場合、協働システムは、専用化済みロボット機能R(κ)を作用させてロボットを制御することができる。種々の工具挙動制約の例を表2に示すとともに、図1Aに例示する。
【0044】
【表2】
【0045】
ロボットが工具を把持または捕捉する際、協働システムは、その工具に関連付けられた1つ以上の工具挙動制約を使用して、たとえばヌルスペース投影法を使用することによって制約されたDOFおよび外部制御されたDOFへと工具動作を解明することを可能にする1つ以上の制約を定義することができる。たとえば、協働システムは、工具の3-D点群など、工具の幾何特徴の表現を用いて開始することにより、工具に関連付けられた工具挙動制約を指定することができる。協働システムは、ユーザに、既存の表現を選択させるか、新たな表現を生成させるか、または既存の表現を選択かつ修正させることにより、工具の表現を提供することができる。さまざまな実施形態において、協働システムは、工具の表現を自律的に提供することもできる。ユーザは、協働システムを使用して、点群の領域を工具の原点として対話的に選択し、次いで制約タイプを選択することができる。選択した領域および制約タイプに基づいて、協働システムは、工具の原点を基準とした、工具先端フレームおよび1つ以上の工具挙動制約を決定することができる。協働システムは、ユーザの選択に基づいて、工具の任意の領域を、工具挙動制約にマッピングすることができる。協働システムは、ユーザの選択または他の検討要素に基づいて、工具のTEPとして、工具の点群からなる任意の領域を選択するか、工具の原点または工具先端フレームを使用することもできる。
【0046】
たとえば、工具tはドリルであると仮定すれば、協働システムは、取り付けられたビットの表現rbitを含むドリルの3-D表現rを規定し、次いで制約タイプqとして「axis」を選択することができる。よって、工具tがロボットに取り付けられる場合、表現rまたはrbitがロボットのモーションに軸方向の制約を課すとともに、ロボットは工具tを使用してドリル作業を実行する。表現rの形をとる工具tの幾何形状、および/または表現rbitの形をとる取り付けられたビットを、制約タイプqにマッピングすることにより、協働システムは、再使用可能な6DOF情報カーネルκdrillを形成し、たとえば、(表1に示した)モーション制約というロボット機能Rmcを、専用化済みロボット機能Rmc(κdrill)に専用化することができる。次いで、協働システムは、専用化済みロボット機能Rmc(κdrill)を作用させて、工具t使用時のロボットのモーションを制約することができる。
【0047】
(工具根本動作)
【0048】
TMPは、ロボットが作業を実行するために工具を用いて行うモーションを記述する。その工具は、特定の工具、または類似もしくは実質的に同一の特性および特徴を共有する工具クラスに含まれる任意の工具となり得る。さまざまな実施形態において、協働システムは、工具関連の特徴およびパラメータを取り込みつつも他のパラメータは制約されない状態に保つという方法で、再使用可能モーションをTMPとして表現することができる。TMPは、動的根本動作(「DMP」)を拡張することができる。DMPは、モーションの構造を保持しながら再パラメータ化が可能な再使用可能モーション表現のための基礎を提供する。
【0049】
TMPは、ロボットの稼働空間および/または環境の内部での、工具および1つ以上の点または他の制約に関する文脈において、軌跡データをカプセル化することができる。より形式的に言えばTMP Tは、T = <a,d>と表現することができ、このとき、a = <p,q>は工具に関連付けられた工具挙動制約であり、dは実演された軌跡を意味する。TMP Tは、工具挙動制約フレームp…pのうちの1つにおいて構成されたDMPとなり得、よって、協働システムは、何らかの任意のワールドフレームを基準としたロボットのエンドエフェクタの配向の代わりに、工具と軌跡フレームの間の相対的な配向または配列を取り込むことが可能になる。このようにすることで、TMP Tによって専用化されたロボット機能(たとえば表1に示した、モーション即時再生機能Rir、または軌跡ジェネレータ機能Rtg)は、異なる稼働環境に対して再パラメータ化が可能になり、そのモーションは、TMP Tのもとで専用化された工具挙動制約を共有するあらゆる工具に対し適切に再使用することが可能になる。
【0050】
協働システムは、初めにユーザの実演による軌跡データ、関連UI、またはその組み合わせを取得し、次いで工具の使用を伴うさまざまな作業で使用するための軌跡データを一般化することにより、工具に関連付けられたTMPを生成することができる。軌跡データは、工具を使用して作業を完了するための動作を実行するのに伴う1つ以上のモーションを記述する。協働システムは、ユーザの実演を介して軌跡データを取得することができるが、このことは、学習モードに入り、ユーザにモーションを実演させ、軌跡データの取込みを目的に実演されたモーションを知覚または感知することによって行われる。
【0051】
サンダ作業を例として用いると、ユーザは、開始点から外側へと進行する、サンダの表側を平面で用いた螺旋状のサンダ軌跡を実演することができる。協働システムは、この螺旋状のサンダ軌跡の様相、および軌跡の方向を基準とするサンダの配列または配向を取得または取り込むことができる。たとえば、協働システムは、サンダの表側が軌跡の方向に対して平行であることを取り込むことができる。協働システムは、開始点の文脈における螺旋状のサンダ軌跡、および螺旋状のサンダ軌跡の方向の文脈におけるサンダの配列または配向をカプセル化する、TMP Tsanderを生成することもできる。
【0052】
軌跡データの取得に続き、協働システムは、軌跡データを一般化することにより、TMPを生成することができる。協働システムは、TMPを新たな作業に向けて、たとえばユーザ指定の点および/またはその新たな作業に関連付けられた知覚テンプレートに基づいて適応させるか再パラメータ化することができる。さまざまな実施形態において、協働システムは、ユーザに6DOFポーズ軌跡に沿ったアドミッタンス制御を介してロボットを動かすことにより、TMPを取得することができる。協働システムは、ポーズ軌跡をDMPまたはTMPとして記憶することができ、これを使用して、ロボットの稼働空間内または環境内の1つ以上の対象点、および/もしくは1つ以上の知覚テンプレートを考慮した新規モーションを生成的に作成することができる。協働システムは、ロボットの初期ポーズを基準とするポーズ軌跡を記憶することも可能であり、それにより、新規モーションの生成時に、協働システムは、そのモーションを、何らかの任意の座標系ではなく、取り付けられた工具の工具先端フレームに制約することができる。工具挙動制約および機能内にカプセル化されたTMPのために、協働システムは、得られたフレーム、幾何情報、軌跡、および他のデータを、他の機能が利用可能な少なくとも1つの小さなデータベース内に保存することができる。上記のTMP Tsanderの例を用いれば、協働システムは、たとえTMP Tsanderが表面が異なる角度で装着されたサンダを用いて記録されたとしても、螺旋状のサンダ軌跡を、たとえばサンダの表側に平行となる方向に、正しく適用することができる。
【0053】
さまざまな実施形態において、協働システムは、工具を用いる作業の実行に伴う1つ以上のモーションをユーザが実演しているときに、工具に関連付けられた1つ以上の適用可能な工具挙動制約を実施することができる。より具体的に言えば、ユーザの実演中、協働システムは、ロボットの稼働空間を、ロボットの最大稼働空間内の点のサブセットに制約することにより、適用可能な工具挙動制約を実施または適用することができる。ユーザが自身による実演の中でロボットに指示または指導するために工具にまたは工具の付近に力を加える場合、ユーザによって加えられた力は、ロボット(たとえば、ロボットのTEP)が制約された稼働空間を外れてしまうような、1つ以上の望ましくない方向への、1つ以上の構成要素を持つ可能性がある。これに対処するために、協働システムは、制約された稼働空間内に留まるか、その中に復帰するよう、ロボットに命令することができる。ロボットは、ユーザによって加えられた望ましくない方向への力からなる構成要素のみに抵抗する、またはユーザによって加えられた力の全体に抵抗するなどすることにより、制約された稼働空間内に留まるよう命令され得る。ロボットは、ネガティブ・フォース・フィードバックを(たとえば、インピーダンス制御、振動または他の形態の触覚フィードバックなどを介して)提供すること、制約された稼働空間内のある点へとロボットを動かすこと、および/またはユーザにとって安全な場合にロボットを再配向することなどにより、制約された稼働空間へと復帰するように命令され得る。工具に関連付けられた適用可能な工具挙動制約を実施することにより、協働システムは、ユーザが、工具の使用方法を正確かつ効果的に実演することを可能にする。協働システムは、たとえば、工具に関する情報カーネルκtoolを形成し、情報カーネルκtoolを有するモーション制約機能Rmcを専用化済みロボット機能Rmc(κtool)へと専用化し、専用化済みロボット機能Rmc(κtool)のインスタンスをRC要素として提供し、適用可能な工具挙動制約に従ってロボットが制御されるようにRC要素を作用させることにより、モーションの実演中に、適用可能な工具挙動制約を実施することができる。
【0054】
たとえば、上記のドリル作業を実行するためのドリルモーションをユーザが実演する間、協働システムは、ドリルを作動させながら、ユーザが直線モーションにのみドリルを動かせるように、ロボットに命令することができる。これにより、1回のドリル動作を正確に実演する際に、ユーザは補助を受ける。こうしたことを協働システムが実現するためには、ロボットの稼働空間を、ドリルに取り付けられたドリルビットの長手軸に沿った直線状の点のセットに制約すればよい。ドリルの作動中、協働システムは、ユーザがドリルビットの長手軸から外れるような力を加えてロボットに指示しようとした場合であっても、ドリルビットの長手軸に沿った方向へのみ動くようにロボットに命令することができる。こうしたことは、たとえば、ユーザによって加えられた力に関する、1つ以上の望ましくない方向への1つ以上の構成要素に抵抗する(たとえば、ユーザによって加えられた力に関する、ドリルビットの長手軸に沿った方向への構成要素のみを許容する)ことによって行われる。代わりに、または加えて、協働システムは、ユーザによって加えられた力とは逆の制動力によるネガティブ・フィードバックを提供させる、ユーザにとって安全であれば制約された稼働空間へと復帰させる、ユーザにとって安全であれば制約された稼働空間へとドリルビットが復帰するようにエンドエフェクタを再配向させる、などの命令をロボットに与えることができる。別の例として、上記のサンダ作業を実行するためのサンダモーションをユーザが実演している間、協働システムは、サンダの作動中、平面に対し接線方向となるモーション(たとえば、平面モーション)、または事前定義された表面に対し接線方向となるモーションにのみユーザがサンダを動かせるようにする命令を、ロボットに与えることができる。
【0055】
(知覚テンプレート)
【0056】
知覚テンプレートは、加工されている対象加工物に関する1つ以上の特性やロボットの稼働空間内の1つ以上の点など、ロボットの稼働環境に関連付けられた知覚データを基準に記述される1つ以上の挙動制御を提供することにより、制約された工具動作の定義をサポートする。よって、知覚テンプレートとは、稼働環境の文脈における1つ以上の挙動制御を提供するものである。より形式的に言えば、知覚テンプレートPは、ペアP = <S,E>であり、選択された場面領域Sを、その場面における指定の幾何実体E = [e…e]に関連付けるものである。場面領域Sは、3-D点群またはred,green and blee plus depth(「RGBD」)データに関して選択された容積、ある画像に関して選択された2次元(「2-D」)領域、などとすることができる。複数の幾何実体Eのうちの1つの幾何実体eは、点、線または曲線、平面または表面、3-D空間、などの作業関連幾何特徴である。協働システムは、知覚テンプレートを使用して、工具挙動制約、TMP、および他の作業制約を知覚データに教え込むことができる。工具挙動制約およびTMPが、制約データおよびモーションデータを再使用するための機構を提供する一方、知覚テンプレートは、作業動作を実行するために指定が必要であるが、工具挙動制約またはTMPによって取り込まれない、作業関連パラメータを提供する。
【0057】
作業関連パラメータは、対象の加工物の位置および/または配向を基準に指定されるパラメータなど、ロボットの稼働環境に関してユーザが指定するものになり得る。代わりに、または加えて、協働システムは、ロボットの稼働環境を記述し、知覚テンプレートによって提供される作業関連パラメータと関連する、知覚データを取得することができる。協働システムは、知覚または検出(たとえば、センサ、カメラなどを用いる)、ユーザ対話(たとえば、対話によるセットアップ、ユーザの直接的な入力や選択など)、記憶されたデータ、またはこれらの組み合わせから、知覚データを取得することができる。協働システムは、適切な速度(たとえば、1Hz、5Hzなど)で知覚データを連続的に取得して、ユーザが対象の加工物を位置変更したり動かしたりすることを可能にさせ得る。記憶されたデータには、加工物の種類に関連付けられたデータ値や、類似する加工物の種類に対して類似の作業を実行するために予め入力されたデータ値など、1つ以上の再使用可能な作業関連パラメータに関連付けられたデータ値および情報が含まれ得る。ユーザは、知覚および/またはユーザ対話を介して取得したデータおよび情報を、対象の加工物またはその種類に関連付けられた1つ以上の知覚テンプレートに記憶させることもできる。
【0058】
さまざまな実施形態において、協働システムは、ロボット機能を作用させて作業動作を実行しながら、知覚データを取得することができる。知覚データの取得に続き、協働システムは、ロボット機能および任意の作業制約に関連付けられた任意の工具挙動制約およびTMPを基礎訓練するために、知覚データに基づいて作業関連パラメータを指定することができる。したがって、協働システムは、ロボットを基準とした対象の加工物の位置および/または配向など、ロボットの稼働環境についての先験的な知識なしに、作業動作を実行しながら作業関連パラメータを再使用することができる。
【0059】
流れていく部品に対して、ドリルを用いて半自動であるパターンの穿孔を繰り返し行うという作業を例にとれば、適用可能な知覚テンプレートPholesには、加工物表面を基準としたドリル角度や、加工物表面上の1つ以上の点を基準としたドリルすることになる穴のパターンなど、例示の作業を実行するために指定することが必要となる、作業関連パラメータが含まれ得る。穴のパターンは、加工物の表面に対してある角度をとる線として表すことができる。ロボット機能を作用させて作業動作を実行している間、協働システムは、知覚テンプレートPholesを使用して、対象となる加工物表面S、対象となる加工物表面S上の1つ以上の基準点、対象となる加工物表面Sの配向などの知覚データを取得することができる。流れる部品の各々に対して、協働システムは、知覚テンプレートPholesを使用して、(1)部品について記述した関連する知覚データを取得し、(2)知覚データに基づいて関連する作業関連パラメータを指定し、(3)専用化済みロボット機能R(Pholes)を形成するためにκ = Pholesと設定することによってロボット機能R(たとえば、表1に示した軌跡ジェネレータ機能Rtg)を専門化し、(4)専用化済みロボット機能R(Pholes)のインスタンスをRC要素として提供し、(5)対象表面Sを基準として指定された角度で、部品の対象表面S上の穴のパターンによって指定された位置にドリルするようロボットに命令するためにRC要素を使用することができる。
【0060】
知覚データは、1つ以上のセンサを使用して取得することや、ユーザや記憶されたデータから取得することが可能である。あるいは、これらの組み合わせによって取得されてもよい。たとえば、協働システムはまず、カメラによる入力奥行きデータを取得し、その入力奥行きデータ内の加工物の平面を1つ以上検知することにより、1つ以上の加工物表面およびその配向を知覚することができる。協働システムは、次いで、対象となる加工物表面、対象表面S上の1つ以上の基準点、および/または穴のパターンから、対象表面Sを選択するようにユーザを促すことができる。協働システムは、予め保存した穴のパターンをロードすることもできる。
【0061】
(機能専用化用インストラクタ)
【0062】
さまざまな実施形態において、協働システムは、指定されたパラメータのセット、実演、またはその他のユーザ提供情報に基づいて、命令を生成するためのインストラクタを少なくとも1つ提供する。インストラクタを使用して、新たな情報カーネルの作成、または既存の情報カーネルのパラメータ指定を行うことができる。これらの情報カーネルにより、協働システムは、ロボット機能を専用化することが可能になる。協働システムは、インストラクタを呼び出して、工具挙動制約、TMPの形態をとるモーション軌跡、知覚テンプレート、などの異なる情報クラスを取得することができる。
【0063】
1つ以上の工具挙動制約の指定する命令を生成するために、インストラクタは、ユーザによって、またはロボットに取り付けられた工具に基づいて選択された工具の表現(たとえば、3-D点群)を提供することができる。この表現には、少なくとも1つの工具の原点が含まれ得る。インストラクタは、表現内の領域および制約タイプを選択することが可能であり、どちらも自律的またはユーザとの対話による選択に基づいて行われる。インストラクタは、次いで、選択された領域および制約タイプに基づいて工具の表現を制約タイプに適合させて、制約フレームを定義することが可能であり、よって、工具の原点を基準とした、ツールエフェクタおよび1つ以上の工具挙動制約を生成することができる。ユーザ選択に基づいて、工具の任意の領域を工具挙動制約にマッピングすることができる。インストラクタは、工具挙動制約を記憶し、またフォーマットされた情報カーネルという形態をとる工具挙動制約を指定するための命令を生成することができる。この工具挙動制約は、表1に示したモーション制約機能Rmcなど、1つ以上の工具挙動制約を要求する任意の機能によってロードされ得る。
【0064】
1つ以上のTMPという形態をとる、指定された工具または指定されたクラス内の工具を使用するための1つ以上のモーション軌跡を指定する命令を生成するために、インストラクタは、モーション軌跡を取得するためのユーザ・インタフェースを提供することができる。たとえば、インストラクタは、図1Bに示すような没入型仮想現実(「VR」)環境を提供することができる。VR環境を通じて、ユーザは、ロボットのアバターと対話してモーション軌跡を指定することができる。ユーザは、ロボットが工具が把持しているのと同じ位置に、3-Dポインティング・デバイスなどの仮想工具プロキシを保持し、任意の数の6DOFモーション軌跡を実演することができる。インストラクタは、実演されたモーション軌跡を選択された工具に関する1つ以上のDMPとして記録し、そのDMPおよび工具に関連付けられた制約フレームに基づいて1つ以上のTMPを生成し、選択された工具または指定されたクラス内の工具のためにTMPを記憶することができる。TMPを指定するための命令は、表1に示したモーション即時再生機能Rirまたは軌跡ジェネレータ機能Rtgなど、1つ以上のTMPを要求する任意のロボット機能によってロード可能な、フォーマットされた情報カーネルを生成する。
【0065】
1つ以上の知覚テンプレートを指定する命令を生成するために、インストラクタは、ロボットの稼働環境内の場面を知覚し、その場面をリアルタイムで表示するとともにユーザがその場面内の1つ以上の点、線、または平面を選択できるようにする、ユーザ・インタフェースを提供することができる。たとえば、インストラクタは、RGBDセンサを使用して場面を知覚し、その場面内の候補特徴(たとえば、加工物の角頂、縁、面など)を検知し、同場面および任意の候補特徴の3-D描画をリアルタイムで表示することができる。インストラクタは、候補特徴から、少なくとも1つの基準特徴を、自律的またはユーザ選択に基づいて選択することができる。インストラクタは、ユーザ選択に基づいてテンプレート特徴を選択し、各テンプレート特徴の相対位置、角度、配向、奥行き、または基準特徴に関する他の属性など、基準特徴の文脈において各テンプレート特徴を定義することもできる。たとえば、インストラクタは、加工物の候補表面を基準表面として選択し、ドリルすることになるユーザが選択した穴のパターンをテンプレート特徴として選択することができる。パターン中の各穴の角度は、基準表面を基準にして定義することができ、各穴の位置は、基準表面の2つ以上の縁を基準にして定義することができる。インストラクタは、候補特徴、基準特徴、および/またはテンプレート特徴、ならびに知覚テンプレート内の特徴間の関係を記憶することができる。知覚テンプレートを指定するための命令は、表1に示した軌跡ジェネレータ機能Rtgなど、1つ以上の知覚テンプレートを要求する任意のロボット機能によってロード可能な、フォーマットされた情報カーネルを生成する。
【0066】
(協働挙動)
【0067】
協働挙動には、1つ以上のロボット機能からなる構成物、1つ以上のユーザ対話機能、およびロボット機能とユーザ対話機能の間のマッピングが含まれる。ロボット機能は特定の作業動作または特定タイプの作業動作を実行するようロボットを制御するために構築および複合化され得るが、協働システムは、任意の特定のロボット挙動および機能レベルについて、ユーザが協働システムおよび/またはロボットと対話するのに必要なインタフェースをユーザに提供する協働挙動に依存する。少なくともこの面で、協働システムは、高レベルなユーザ-ロボット協働関係にのみ焦点を当て、低レベルなインタフェース要素は無視している、既存のロボット・システムとは異なる。
【0068】
複合機能中の各ロボット機能について、協働システムは、ユーザにどういった入力を要求するか、ユーザにどういったフィードバックを提示すべきか、よって、どういったユーザ対話機能が要求されるか、に関する明示的な情報が必要となる。ロボット機能R = γ→φが、合成作用素(たとえば、n個のインスタンス化または専用化されたロボット機能{R(κ)、…、R(κ)}からなるセットに由来する
【数11】
および
【数12】
)を通じて複合化されると想定する。ロボット機能R、および協働システムが利用可能なすべてのユーザ・インタフェース機能のセットである
【数13】
について、互換関数である
【数14】
は、あらゆるフィードバック・ループは人間オペレータ(たとえばユーザ)を通じて閉じられることから、Rへの入力提供またはRからの出力受容のどちらか片方のみを行う
【数15】
で、ユーザ・インタフェース機能の適切なセット{U:γ→φ}を選択し、下式の通りになる。
【数16】
【0069】
よって、協働挙動Bは、ロボット機能Rの構成物と定義することができ、このとき、ロボット機能Rの構成物に対するすべてのユーザ対話要件は、ユーザ対話機能のセット
【数17】
によって満たされる。ロボット機能Rは、基礎ロボット機能または複合ロボット機能となり得る。図2は、ユーザおよびロボットに通信可能に結び付けられた機能の構成物を含む協働挙動の例を示す図である。協働システムは、ユーザとの間でどの情報をやりとりするかを制御するために協働挙動内の機能間のつながりは管理するが、機能に関連付けられたユーザ・インタフェースに関する個別の設計については一切設計も規定も行わないということに留意されたい。代わりに、機能の作成者または設計者は、機能に関連付けられたユーザ・インタフェースを自由に設計することができる。
【0070】
モーション制約を実施するロボットと協働してドリルで正確に穴をあけるという上記作業例を実行するために、協働システムは、機能の構成物を生成および/または修正し、その構成物を協働挙動Bに記憶させることができる。例示の作業の場合、ドリルに専用化されたモーション制約であるロボット機能Rmc(κdrill)は、少なくとも1つの6DOFコマンドをユーザに要求する。協働システムは、互換関数Δに基づいて、6DOFコマンドにマッチする要求出力を持った、フォース・ガイダンスというユーザ対話機能Uforceを選択することができる。したがって、協働挙動Bは、
【数18】
となり得る。協働システムは、同様の手法を用いて、ユーザによって手動でガイドされた位置に同様の穴をドリルするといった作業や、知覚テンプレートに関連して上述した半自動で流れる部品に対して穴のパターンを繰り返しドリルするといった作業例など、他の作業に向けたより複雑な対話要件を導出することが可能である。
【0071】
(例示的実施形態)
【0072】
図3Aおよび図3Bは、本開示の原理による協働システムの例示的実施形態を示す図である。図3Aを一例とする、さまざまな実施形態において、協働システムには、少なくとも1つのUI310を介して、少なくとも1人のユーザ(図示なし)と対話可能な、コンピュータ300が含まれ得る。コンピュータ300は、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、モバイル・デバイス、ロボット・コントローラ、サーバ、クラスタ他、これらの任意の組み合わせなど、当業者にはよく知られている汎用または特定用途向けコンピュータとすることができる。コンピュータ300は、仮想マシン、物理マシン他、これらの任意の組み合わせなど、任意の好適なタイプの機械であってもよい。コンピュータ300にインストールされるソフトウェアには、協働フレームワーク320、および少なくとも1つのオペレーティング・システム(「OS」)330が含まれ得る。
【0073】
協働フレームワーク320は、機能、リンク、および協働挙動についてのモデルを定義し提供する、上述の一般化可能フレームワークの例示的実装形態である。協働フレームワーク320は、少なくとも1つのロボット340および/または1人のユーザと通信および対話をすることにより、協働挙動に関連付けられた協働/支援機能を学習および/または提供することができる。たとえば、ユーザは、協働/支援機能に関連付けられた1つ以上のモーションを、そのモーションを通じてロボット340に指導することによるユーザ実演を介して、協働フレームワーク320に教示することができる。協働フレームワーク320は、UI310を使用してユーザと通信および対話することや、ビジュアル・ディスプレイ、ポインティング・デバイスまたはコントローラ、キーボード/キーパッド、電気音響変換器、運動または触覚ユーザ・インタフェース他、これらの任意の組み合わせなど、コンピュータ300の1つ以上の構成要素または周辺機器を介して、UI310を提供することができる。ポインティング・デバイスまたはコントローラには、たとえば、マウス、3-Dポインティング・デバイス、タッチスクリーン、タッチパッド、ジョイスティック、教示ペンダント、などが含まれ得る。協働フレームワーク320は、センサ、アクチュエータ他、これらの任意の組み合わせなど、ロボット340の1つ以上の構成要素を介して、UI310を提供することもできる。センサとしては、たとえば、力覚センサ、位置センサ、視覚センサ、触覚センサ、などが挙がり得る。当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成要素および周辺機器を用いてUI310が提供され得ることは理解されよう。
【0074】
協働フレームワーク320は、OS330によってサポートされ、かつ/またはOS330の上層に構築され得る。OS330は、市販、オープンソース、またはメーカ独自のオペレーティング・システム、もしくは、ソフトウェア機能の構成要素ベース構成ならびにネットワークおよびプロセス管理のためのミドルウェアとして機能することが可能な、ROBOT OPERATING SYSTEM(「ROS」)などのプラットフォームのいずれであってもよい。本開示の原理と整合性のある、よく知られたオペレーティング・システムの他の例としては、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)、ORACLE SOLARIS、MICROSOFT WINDOWS(登録商標)、MAC OS(登録商標)、OPEN VMS(登録商標)、およびIBM AIXが挙げられる。
【0075】
図3Aは、直接通信リンクを介することにより、UI310を提供し、通信可能にロボット340に連結されるものとして協働フレームワーク320が描かれているが、当業者であれば、協働フレームワーク320は、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、イントラネット、インターネットのような少なくとも1つの通信ネットワークを経由するネットワーク接続など、任意の好適なタイプの通信リンクを介して、UI310の提供および/またはロボット340への通信可能な連結がなされ得るということが理解されよう。また、当業者であれば、図3Aに描かれた協働システムに属する、単一コンピュータ構成およびさまざまな要素の配置は単なる典型にすぎず、以下でより詳細に説明を行う、図3Bに示したものを一例とする他の構成および配置も、本開示の精神および範囲から逸脱することなく可能であることも理解されよう。
【0076】
図3Aに示すように、協働フレームワーク320には、協働挙動、ロボット機能、およびロボット機能インタフェース(たとえば、入力γおよび出力φ)間のリンクを管理する挙動マネージャ322、ならびに、ユーザ対話機能を管理するUIマネージャ324が含まれる。独立した別個のモジュールまたは処理として動作する挙動マネージャ322およびUIマネージャ324を用いることで、協働フレームワーク320は、ユーザ対話機能から独立かつ別個に協働挙動、ロボット機能、およびリンクを管理して、協働挙動の概念定義との一貫性を保つことができる。ロボット機能とユーザ対話機能を明示的に分離することにより、挙動マネージャ322およびUIマネージャ324は、物理マシンか仮想マシンかを問わず、機械が通信可能に相互連結されている(たとえば、ネットワーク化されている)限り、独立した機械上で動作することが可能になる。さらに、協働フレームワーク320には、以下でより詳細に説明を行う、図3Bに示したものを一例とする、1つ以上の機械上で動作するUIマネージャ324の複数のインスタンスが含まれ得る。協働フレームワーク320には、1つ以上の機械(図示なし)上で分散方式で動作する挙動マネージャ322の複数のインスタンスも含まれ得る。
【0077】
(ロボット機能とリンクの管理)
【0078】
さまざまな実施形態において、協働フレームワーク320には、ロボット機能を構成(たとえば、作成、修正、記憶、削除、など)する他、実行時を含むさまざまな状態でRC要素を管理(たとえば、ロード、初期化、実行、停止、終了、アンロード、など)し、動的に適応(たとえば、専用化、一般化、再専用化、など)させるために、挙動マネージャ322を呼び出すことができる。協働フレームワーク320は、C++、PYTHONなど、1つ以上のプログラミング言語でロボット機能を作成することが可能であり、また複合要素へと構成可能なソフトウェア要素として、ロボット機能を実装することができる。ロボット機能は、ROSノードを拡張するか、これに基づくものとすることができる。ROSノードは、ソフトウェア要素(たとえば、ロボット機能のインスタンス)間の分類された接続のための通信レイヤおよびインタフェースを提供するものである。協働フレームワーク320は、ロボット機能の入力と出力の間のリンクを、配信(published)および購読(subscribed)されたROSトピックという形のリンク要素として実装することができる。
【0079】
協働フレームワーク320は、ロボット機能に関連付けられたROS launchファイルをコールすることにより、ロボット機能のインスタンスをRC要素として提供することができる。協働フレームワーク320によって提供されたRC要素は、インスタンス化されていない(すなわち一般性)、インスタンス化されている(すなわち専用化されている)、動作中、待機中、停止中、などを含めたいくつかの状態のうちの1つ以上をとり得る。一般RC要素は、自身のインタフェース(すなわち、機能の入力および出力)を読み書きするためのコード、および所望するタイプの作業動作を実行するためのコードを含むが、それと同時に、RC要素が機能するのに必要となる情報カーネルを受け入れる、インスタンス化されていない情報クラスを含む。協働フレームワーク320は、情報カーネルを、実行時にメモリにロードされ、情報クラスをインスタンス化することによりRC要素を専用化するのに使用される、明確に限定してフォーマットされたデータファイルとして実装することができる。協働フレームワーク320には、情報カーネルを生成し、その情報カーネルをすべての機能要素がアクセス可能なデータベースに記憶する、少なくとも1つのインストラクタが含まれ得る。
【0080】
協働フレームワーク320は、ロボット機能に基づく専用化されたRC要素を、ロボット機能と、要素launchファイル内の必要な情報カーネルとを指定することによって提供することができる。協働フレームワーク320は、既に専用化されているRC要素の情報カーネルを他の情報カーネルと交換することにより、実行時にその専用化されているRC要素を再専用化することができる。表1に示したモーション制約機能Rmcを例にとれば、協働フレームワーク320は、ある工具に関連付けられたパラメータを含む情報カーネルを、モーション制約機能Rmcをアンロードする必要なく、異なる工具に関連付けられたパラメータを含む別の情報カーネルと交換することができる。たとえば、協働フレームワーク320は、専用化されたモーション制約機能Rmc(κdrill)の情報カーネルκdrillを、Rmcをアンロードする必要なく、新たな専用化済みモーション制約機能Rmc(κsander)を形成するための情報カーネルκsanderと交換することができる。
【0081】
(ユーザ対話機能の管理)
【0082】
さまざまな実施形態において、協働フレームワーク320は、実行時を含むさまざまな状態で、ユーザ対話機能の作成、修正、ロード、アンロード、記憶、およびユーザ対話機能間での切り換えを行うために、UIマネージャ324を呼び出すことができる。協働フレームワーク320は、複合要素へと構成可能なソフトウェア要素として、ユーザ対話機能を実装することができる。RC要素と同様に、IC要素もROSノードを拡張するか、これに基づくものとすることができ、よって、共通の通信レイヤおよびインタフェースをRC要素と共有する。協働フレームワーク320は、IC要素を利用して、1つ以上の対話パラダイム(2-Dまたは3-Dディスプレイ、タッチスクリーンなどの周辺機器を用いたドライバまたは他のソフトウェア・インタフェースという形をとり得る)をユーザに提供する。たとえば、ロボットに取り付けられた6DOFジョイスティックをユーザが操作できるようにするアドミッタンス制御対話要素であれば、ユーザのモーションをアドミッタンス制御対話要素の入力γとし、命令されたポーズ出力を同対話要素の出力φとして、これらの間のマッピングを提供することが可能である。
【0083】
(協働挙動の管理)
【0084】
協働挙動を実装するために、協働フレームワーク320は、協働挙動に関するロボット機能の構成物を構成し、同構成物内のロボット機能のユーザ対話要件を導出し、導出したユーザ対話要件に基づいて同構成物内のロボット機能に対するユーザ対話機能のマッピングを行うことを目的とする、ツールを提供する。協働フレームワーク320は、構成物内のロボット機能間のリンクを指定することにより、構成物を構成することができる。さまざまな実施形態において、協働フレームワーク320は、かかる構成物を、挙動マニフェスト(YAML標準、JavaScript Object Notation、などに基づくデータ仕様またはシリアライゼーション形式によってフォーマットされたファイルとなり得る)を格納することによって構築することができる。各挙動マニフェストは、協働挙動に関する、1つ以上のロボット機能、ユーザ対話機能、およびリンクを、タグへとカプセル化することが可能であり、このタグのもとで、協働挙動に関して要求される機能およびリンクはリスト化される。1つ以上のlaunchファイル(たとえば、ROS launchファイル)および/または挙動マニフェストを含むファイルの中から、さまざまな機能を指定することが可能であり、1つ以上の配信および購読されたトピック(たとえば、ROS配信および購読トピック)に基づいて、リンクを指定することができる。たとえば、協働フレームワーク320は、利用可能な機能を指定する1つ以上のlaunchファイルを処理することが可能であり、協働挙動が要求するロボット機能、ユーザ対話機能、およびリンクをカプセル化する、挙動マニフェストを含んだ1つ以上のファイルを処理することが可能である。
【0085】
図4に示す挙動マニフェスト400は、ロボット機能、ユーザ対話機能、およびアドミッタンス制御協働挙動によって要求されるリンクを指定する、挙動マニフェストの一例である。挙動マニフェスト400(YAMLワイヤリング・フォーマット仕様となり得る)は、現在使用中の工具および/または現在加工中の加工物に基づいてロボットのモーションを制約するというオプションを、少なくとも1つのロボットに関する少なくとも1つのユーザ・アドミッタンス制御に付与する。挙動マニフェスト400には、最上位キーとして挙動名410、および要求される機能またはリンクのリスト425a-cに関する下位キーとして挙動タグ420a-cが含まれ得る。リスト425aには、要求されるロボット機能のセットを列挙することが可能であり、リスト425bには、要求されるユーザ対話機能のセットを列挙することが可能であり、リスト425cには、要求されるリンクのセットを列挙することが可能である。当業者であれば、挙動マニフェスト400のフォーマットおよび内容は単なる典型にすぎず、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他のフォーマットや内容を用いることも可能であることは理解されよう。
【0086】
始動中、協働フレームワーク320は、たとえば、協働フレームワーク320に関連付けられたプレフィックスを持つ任意のlaunchファイルについてローカル・ファイル・システムを解析することにより、利用可能なロボット機能のリストを構築するように挙動マネージャ322に命令することが可能であり、また挙動マニフェストを含む任意のファイルを検索および読み込むこともできる。挙動マネージャ322は、実行時を含むさまざまな状態において、または少なくとも1つの協働挙動がエンゲージしている状態で、協働挙動のロード、エンゲージ、エンゲージ解除、アンロード、および協働挙動間での切り換えを行うことができる。UIマネージャ324および/または協働フレームワーク320の別のモジュールは、1つ以上の管理UIを定義および提供することが可能であり、ユーザはこの管理UIを通じて、さまざまな管理機能を実行することができる。
【0087】
管理機能には、さまざまな機能(たとえば、ユーザが利用可能であるものの、ロードされていない、ロードされている、インスタンス化されていない(すなわち一般性)、インスタンス化されている(すなわち専用化されている)、動作中、待機中、停止中、などの状態となっている、ロボット機能および/またはユーザ対話機能)のリストの閲覧、新たな機能の作成、協働フレームワーク320がロード、インスタンス化(すなわち専用化)、インスタンス化解除(すなわち一般化)、再インスタンス化(すなわち再専用化)、アンロード、交換、細部加工、修正、削除、などを行うための既存の機能の選択、および異なる機能のために同一の方法で実行可能な他の機能が含まれ得る。管理機能には、さまざまな協働挙動(たとえば、ユーザが利用可能である、ロードされている、エンゲージされている、などの協働挙動)のリストの閲覧、新しい協働挙動の作成、協働フレームワーク320がロード、エンゲージ、エンゲージ解除、アンロード、交換、細部加工、修正、削除、などを行うための既存の協働挙動の選択、および異なる協働挙動のために同一の方法で実行可能な他の機能も含まれ得る。たとえば、ユーザは、管理UIを使用して、利用可能な協働挙動の一覧をブラウズし、協働フレームワーク320がロードおよび/またはエンゲージ、細部加工、修正、削除、などを行うための協働挙動を選択することができる。別の例として、ユーザは、管理UIを使用して、任意のエンゲージされた協働挙動があるかブラウズし、協働フレームワーク320がエンゲージ解除、アンロード、交換、細部加工、修正、などを行うための任意のエンゲージされた協働挙動を選択することができる。
【0088】
協働フレームワーク320またはその中の任意のモジュールが協働挙動をロードする命令を受信したことに応答して、挙動マネージャ322は、協働挙動に関連付けられた少なくとも1つの挙動マニフェストによって要求されるロボット機能の構成物を検索し、要求されたロボット機能のための独立した子プロセスとしてRC要素をローンチすることができる。これにより、挙動マネージャ322は、たとえば必要に応じて、開始、停止、再開始、終了、または削除することにより、RC要素を管理、そして優雅に移行することが可能になる。こうした移行の間、挙動マネージャ322は、ロボットを一時停止したり、一時停止状態に入るようにロボットに命令および待機したりすることができる。
【0089】
要求されたすべてのRC要素をローンチした後、挙動マネージャ322は、協働挙動によって要求されるすべてのリンクに関する挙動マニフェスト、および/または要求されたRC要素を監視することができる。要求されたリンクの各々について、挙動マネージャ322は、リンク要素、または、送信ノード(たとえば、所与のトピックに向けて配信しているRC要素)を購読し、受信ノード(たとえば、所与のトピックに購読されているRC要素)を配信するロジックを含む、明示的に生成された一時的な構成要素をスポーンすることができる。この抽出により、いくつかの利点が得られる。リンク要素を用いることにより、各リンクは、挙動マネージャ322内に直接リンク・ロジック(配信者および購読者)をスポーンさせるのではなく、自身のプロセスへと区分化されることが可能になり、それにより、挙動マネージャ322は、実行時のRC要素間のリンクを容易に認識できるようになる。また、この抽出により、接続された機能要素のグラフ型構造が維持されることから、有用なイントロスペクションも可能になる。たとえば、ユーザは、すべてが挙動マネージャ322の中央ハブに接続されている多数のRC要素ではなく、可視化ツール(たとえば、rqt_graph、ROSグラフ可視化ツール)を介して、RC要素間の明示的な接続を把握することができる。
【0090】
動作中の各RC要素およびリンク要素について独立した処理を用いる結果、挙動マネージャ322は、他のさまざまな挙動コマンドおよび管理行為を容易に実装および実行することが可能になる。協働挙動をアンロードするという命令に応答して、挙動マネージャ322は、協働挙動に関連付けられた動作中のRC要素およびリンク要素を単純に終了することができる。既にロードされた第1の協働挙動から、要求されたもののロードされていない第2の協働挙動への切り替えを行うという命令に応答して、挙動マネージャ322は、第1および第2の協働挙動によって共有されている共通のロボット機能を見つけ出して、第1および第2の協働挙動によって共有されていないRC要素およびリンク要素のみをロードおよびアンロードすることができる。
【0091】
挙動マネージャ322は、さまざまな状態において、個別のRC要素を加えるまたは省くことが可能であり、個別のリンクを作成または破棄することが可能である。たとえば、協働挙動のロード、さらにはエンゲージが行われた後、挙動マネージャ322は、1つ以上の新たな個別のRC要素および/またはリンク要素を協働挙動に加えることが可能であり、協働挙動に関連付けられた1つ以上の個別のRC要素および/またはリンク要素を省くことが可能である。協働挙動がエンゲージ状態にある場合、挙動マネージャ322は、協働挙動の機能をできるだけ多く保持しながら、個別のRC要素および/またはリンク要素を追加または削除することが可能である。挙動マネージャ322に対する要求または命令は、サービス(たとえばROSサービス)として実装可能であり、よってそれらの要求または命令は、グラフィカルUIへの接続、またはプログラムに従っての呼び出しが容易になされ得る。
【0092】
挙動マネージャ322は、協働フレームワーク320が実行中を含むさまざまな状態にあるときに、個別のRC要素を動的に適応させることもできる。たとえば、RC要素のロード後、挙動マネージャ322は、1つ以上の命令を通じて定義された情報カーネルを有するRC要素をインスタンス化または専用化することができる。挙動マネージャ322は、RC要素から既存の情報カーネルを切り離すことにより、専用化されたRC要素をインスタンス化解除または一般化することができる。挙動マネージャ322は、既存の情報カーネルを新たな情報カーネルと交換することで、専用化されたRC要素を再インスタンス化または再専用化することもできる。
【0093】
上述の通り、協働フレームワーク320は、RC要素またはリンク要素とは独立かつ別個に、協働挙動に関連付けられたIC要素を管理することができる。協働挙動に関するUI要件を満たすために、協働フレームワーク320のUIマネージャ324は、利用可能なユーザ対話機能に基づくIC要素のセットを提供することができる。UIマネージャ324は、挙動マネージャ322がRC要素をローンチするのと同様の方法で、独立した処理としてIC要素をローンチすることが可能であり、それにより、動作中のIC要素間での管理および移行がなされるとき、上述のものと同様の機能および利点をUIマネージャ324に提供する。さらに、IC要素は、RC要素およびリンク要素から独立した処理としてローンチされる。しかし、UIマネージャ324は、動作中のIC要素間の明示的なリンクを定義しない。代わりに、UIマネージャ324は、Δ(すなわち、互換関数)という上述した観念を利用して、特定のRC要素についてのIC要素の妥当性を判断することができる。さまざまな実施形態において、協働挙動に関連付けられた互換関数は、協働フレームワーク320によるロード時に当該協働挙動のために特定のIC要素が要求されることを明記することができ、このことは、協働挙動自身により(たとえば、挙動マニフェスト内で)、または協働挙動内の少なくとも1つの特定のロボット機能により(たとえば、launchファイル内で)行われる。図5は、サンダに関連付けられた工具挙動制約をユーザに選択および/または適用させるIC要素によって提供された工具挙動UI要素510が格納されたUI500の一例を描いており、UI500については、処理の一例にからめて以下でより詳細に説明する。
【0094】
さまざまな実施形態において、協働フレームワーク320は、互換関数Δに従い、ロボット機能に関する協働挙動の構成物内のロボット機能に関するすべてのユーザ対話要件を満たすことにより、協働挙動を作成することができる。RC要素として構成物内の各ロボット機能をロードした後、協働フレームワーク320は、ロボット機能に関するlaunchファイル内にリストされた要件に基づいてロボット機能によって要求されたユーザ対話機能を判断することができる。ロボット機能の要件は、1つ以上の明示的に要求されたユーザ対話機能および/または1つ以上の抽象インタフェース要件のリストをリストすることができる。たとえば、工具モーション制約機能は、ジョイスティックを用いたデカルト制御のために特定のユーザ対話機能を要求することができる。工具モーション制約機能は、テキスト・フィールド、ボタン、およびトグルなど、1つ以上の抽象インタフェース要件のリストを提供することもできる。協働フレームワーク320は、抽象インタフェース要件のリストを解析し、どのユーザ対話機能が抽象インタフェース要件にマッチするか判断することができる。次いで、協働フレームワーク320は、要求されたIC要素を検索およびロードし、各IC要素を、IC要素またはIC要素によって提供されるユーザ・インタフェースを要求する1つ以上のRC要素へ接続することができる。
【0095】
協働フレームワーク320またはその中の任意のモジュールが協働挙動をロードする命令を受信したことに応答して、UIマネージャ324は、協働挙動に関連付けられた挙動マニフェスト内にUI要件としてリストされるすべてのIC要素を自動的にロードすることができる。加えて、協働フレームワーク320が、全体としてこれらの協働挙動を超える特定のUI要件を持つ1つ以上の要件の高いRC要素をロードする場合、要件の高いRC要素は、自身のUI要件を、ロード処理中に、データ用に共有されたメモリ・スペース(たとえば、ROSパラメータ・サーバ)上でブロードキャストすることができる。ブロードキャストされたUI要件に応答して、UIマネージャ324は、要件の高いRC要素によって要求されたIC要素をロードすることができる。協働挙動および/または何らかの要件の高いRC要素によって要求されたIC要素をロードしたことに続いて、UIマネージャ324は、UI要件として適切な1つ以上のUI要素を提供し、何らかの必要な接続を確立するために、ロードされたIC要素をコールすることができる。UIが協働挙動のために必要な対話モダリティをユーザへと確実に提供するように、協働挙動の作成者または設計者は、少なくとも協働挙動に関するUI要件の最小セットを明示的に指定する必要がある。
【0096】
図3Bに示したものを一例とする、さまざまな実施形態において、協働システムには、独立したコンピュータ(図示なし)のグループ上で動作するモジュールを有する分散型協働フレームワーク350が含まれ得る。コンピュータのグループには、複数の汎用または特定用途向けコンピュータが含まれ得る。その例として、クライアント-サーバ・ネットワーク、ピア・ツー・ピア・ネットワーク、コンピュータ・クラスタ、グリッド、クラウド他、これらの任意の組み合わせが挙がり得る。コンピュータは、少なくとも1つのネットワーク360を介して通信可能に連結された任意のタイプ(たとえば、物理的、仮想的など)の機械とすることができる。ネットワーク360としては、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、イントラネット、インターネットなど、任意の好適なタイプの1つ以上の通信ネットワークが挙がり得る。たとえば、コンピュータのグループには、ROS上でネットワーク化された、独立した機械が含まれ得る。グループ内の各コンピュータは、同グループ内の少なくとも1つの他のコンピュータと通信可能に連結(たとえば、ネットワーク化)し得る。コンピュータのグループにインストールされたソフトウェアには、分散型協働フレームワーク350のモジュールおよび1つ以上のオペレーティング・システムの複数のインスタンス(図示なし)が含まれ得る。分散型協働フレームワーク350のモジュールは、オペレーティング・システムによってサポートされ、かつ/またはオペレーティング・システムの上層に構築され得る。このオペレーティング・システムは、市販、オープンソース、メーカ独自、またはROSや他の好適なオペレーティング・システムもしくはプラットフォームのいずれであってもよい。
【0097】
分散型協働フレームワーク350のモジュールには、RC要素およびリンク要素を管理する挙動マネージャ352と、IC要素を管理するUIマネージャの1つ以上のインスタンス354とが含まれ得る。分散型協働フレームワーク350は、1つ以上のUI370を使用して、1人以上のユーザと通信および対話することができる。このことは、コンピュータの1つ以上の構成要素もしくは周辺機器および/またはロボット380の1つ以上の構成要素を介してUI370を提供することによって行われる。当業者であれば、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、他の構成要素および周辺機器を介してUI370が提供され得ることは理解されよう。分散型協働フレームワーク350は、ネットワーク360を介し、1つ以上のロボット380および/またはそのユーザと通信および対話をすることにより、協働挙動に関連付けられた協働/支援機能を学習および/または提供することができる。
【0098】
協働フレームワーク350内でRC要素とIC要素を明示的に分割することにより、挙動マネージャ352およびUIマネージャ・インスタンス354のうちの少なくとも1つのインスタンスは、別々のコンピュータ上で動作することが可能になる。このような構成の柔軟性は、分散型協働フレームワーク350が、小さなUIフロント・エンドを持ちながらも、論理構成要素およびリンクを管理するために1つ以上の高い計算能力を要求する論理モジュールを必要とするシナリオにおいて、有用なものとなり得る。これらのシナリオにおけるパフォーマンスを最適化するために、分散型協働フレームワーク350は、計算能力の高いリモートなコンピュータまたはコンピュータ・クラスタ(図示なし)上で挙動マネージャ352を動作させ、UIマネージャ・インスタンス354の1つ以上の分散インスタンスを、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、モバイル・デバイス、ロボット・コントローラ、などの1つ以上の計算能力に劣るローカルなコンピュータ(図示なし)上で動作させることができる。
【0099】
さらに、UIマネージャ・インスタンス354は、UI370における、1つ以上の表示パラメータおよび各要素が持つ他の特性を、ローカルのコンピュータに接続された構成要素または周辺機器(たとえばディスプレイ)のタイプおよび性質に基づいてカスタマイズすることができる。たとえば、小型タッチスクリーン・タブレットに表示されたUI370のうちの1つのUI要素は、タッチ対話のために調整されたより大きなボタンを持つよりコンパクトなものとすることができる。別の例として、仮想現実デバイスを介して表示されているUI370のうちの1つのUI要素には、没入型UI要素が含まれ得る。UIマネージャ・インスタンス354を別々のコンピュータへと分散させること、およびUI370内のUI要素をカスタマイズすることを可能にする分散型協働フレームワーク350が持つ構成の柔軟性により、分散型協働フレームワーク350がユーザと対話するのに用いるハードウェア・プラットフォームに基づいて自動的にUI370が構成されることを可能にする領域特定の対話が可能になる。
【0100】
図3Aおよび図3Bに示し本明細書で説明したような協働システムの例示的実施形態は、諸概念を具体的に提示することを意図したものであり、当業者がこれらの実施形態を実践できるように十分詳細に説明されている。ただし、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態も利用可能であり、変更もなされ得る。
【0101】
図6は、本開示の実施形態による、再使用可能な機能表現の作成、動的適応、および管理、ならびに人間-機械協働挙動の作成、再使用、および管理をサポートする一般化可能フレームワークによって実行される処理600の流れ図である。処理600は、図3Aに示した協働フレームワーク320または図3Bに示した分散型協働フレームワーク350などの協働フレームワークによって実行され得る。処理600は、協働フレームワークをローンチまたは提供することによって開始可能である。あるいは、処理600は、協働フレームワークのローンチ中またはローンチ後に開始可能である。
【0102】
ブロック602において、協働フレームワークは、挙動マネージャ(たとえば、挙動マネージャ322、352)の少なくとも1つのインスタンスおよびUIマネージャ(たとえば、UIマネージャ324、354)の少なくとも1つのインスタンスを含む、モジュールを提供することができる。挙動マネージャおよびUIマネージャのインスタンスは、各々が独立した処理としてローンチおよび実行されることが可能であり、したがって、異なるコンピュータまたは機械上で動作することができる。起動中および/または起動後、協働フレームワークは、利用可能な機能および/または協働挙動のリストを1つ以上構築するように、挙動マネージャおよび/またはUIマネージャに命令することができる。リストには、ロボット機能(たとえば、一般ロボット機能、専用化済みロボット機能など)、ユーザ対話機能、リンク、RC要素(すなわち、1つ以上のロボット機能のインスタンス)、IC要素(すなわち、1つ以上のユーザ対話機能のインスタンス)、リンク要素(すなわち、1つ以上のリンクのインスタンス)、情報カーネル、協働挙動、などに関する1つ以上のリストが含まれ得る。協働フレームワークは、協働フレームワークに関連付けられたプレフィックスを持つ任意のlaunchファイルについてのローカル・ファイル・システムを解析することにより、利用可能な機能または協働挙動のリストを構築することが可能であり、また挙動マニフェスト(たとえば、挙動マニフェスト400)を含む任意のファイルを検索および読み込むことも可能である。
【0103】
次に、ブロック604において、協働フレームワークは、入力を受信して、協働挙動をエンゲージまたは構成することができる。協働フレームワークは、新たな協働挙動の作成、またはエンゲージおよび/もしくは修正する既存の協働挙動の選択を行う命令を、1つ以上のUI要素を介する、コマンド・シェルを介する、プログラムに従う、などして受信することが可能である。協働フレームワークが既存の協働挙動をエンゲージするための入力を受信する場合、協働フレームワークはブロック612に進むことができる。あるいは、分岐ブロック610において、協働フレームワークが新たな協働挙動の作成または既存の協働挙動の修正などの協働挙動の構成を行うための入力を受信する場合、協働フレームワークは、図9に関連して以下でより詳細に説明する処理900を実行することができる。
【0104】
ブロック612において、協働フレームワークは、少なくとも1人のユーザと対話し、作業を協働して実行するロボットを制御するための協働挙動を選択することができる。協働フレームワークは、協働挙動の機能を動的適応させることにより、ユーザとともに、特定の作業または特定の作業クラス内の作業を協働して実行するようにロボットを制御することができる。作業は、完了に向けて1つ以上の作業動作を要求することができ、協働フレームワークは、その作業動作を実行するために、1つ以上の協働挙動をエンゲージすることができる。ワーキング・メモリ内に協働挙動がロードされていなければ、ブロック614において、協働フレームワークは、機能に関する協働挙動の構成物を指定する協働挙動の仕様(たとえば、挙動マニフェスト400)を取得および解析することができる。
【0105】
次に、ブロック616において、協働フレームワークは、1つ以上の機能のインスタンスである、機能要素のセットを、協働挙動の機能構成物に基づいて提供することができる。機能要素のセットには、1つ以上のRC要素および1つ以上のIC要素が含まれる。さまざまな実施形態において、協働フレームワークは、以下でより詳細に説明する、図7に示した処理700を実行することにより、機能要素のセットを提供することができる。次いで、ブロック618において、協働フレームワークは、1つ以上の機能間の1つ以上のリンクのインスタンスであるリンク要素のセットを提供し、リンク要素のセットを用いて機能要素のセットを接続することができる。さまざまな実施形態において、協働フレームワークは、以下でより詳細に説明する、図8に示した処理800を実行することにより、リンク要素のセットの提供および機能要素のセットの接続を行うことができる。
【0106】
ブロック620において、協働フレームワークは、ユーザとの対話および作業を実行するためのロボットの制御に向けて、機能要素のセットを実行することにより、協働挙動をエンゲージすることができる。協働フレームワークは、RC要素の実行と、1つ以上のRC要素を使用し、ロボットに取り付けられた工具を用いて作業を完了するための1つ以上の作業動作を実行するためのロボットの1つ以上の機能の制御とを行うように、挙動マネージャに命令することができる。協働フレームワークは、1つ以上のIC要素を実行してユーザがロボットおよび/または協働フレームワークと対話することを可能にする1つ以上のUIを提供するようにUIマネージャに命令することもできる。協働フレームワークは、あらゆる時間において、エンゲージされた協働挙動のエンゲージ解除および/または動作中の機能要素の停止が可能である。たとえば、エンゲージされた協働挙動および/または動作中のRC要素のいずれかは、協働挙動のエンゲージ解除、または任意の動作中のRC要素、作業または作業動作の完了、エラーまたはセーフティ・アラーム、などの停止を命じるユーザからの命令または入力に応答して、エンゲージ解除または停止させることができる。協働フレームワークは、個々の機能要素および/またはリンク要素を追加または削除して機能要素間のリンクを確立または破棄する際に、協働挙動をエンゲージ解除することもできる。
【0107】
作業または作業動作の完了、あるいは協働挙動のエンゲージ解除に続き、分岐ブロック630において、協働フレームワークは、新たな作業または作業動作を実行するか否かを決定することができる。協働フレームワークが新たな作業を実行すると決定した場合、処理600は分岐ブロック640に進むことができ、そこで協働フレームワークは、協働挙動および/または機能要素のセット内の1つ以上の機能要素を再使用するか否かを決定することができる。たとえば、協働フレームワークは、協働挙動が、ユーザとともに新たな作業を協働して実行するのに好適か否かを判断することができる。協働フレームワークが協働挙動および/または機能要素のセット内の一部もしくは全部の機能要素を再使用すると決定した場合、協働フレームワークは、処理600がブロック620にジャンプする前に、新たな作業への移行に向けて協働挙動および/または機能要素のセットを準備することができる。たとえば、新たな作業の要件に基づいて、協働フレームワークは、RC要素のいずれかを一般化または再専用化し、機能要素のいずれかの間のリンクを再マッピングし、かつ/または機能およびリンク要素のいずれかを終了もしくはアンロードすることにより、移行に向けた機能要素のセットを準備することができる。
【0108】
分岐ブロック640で協働フレームワークが協働挙動を再使用しないと決定した場合、処理600はブロック642に進むことができる。ブロック642において、協働フレームワークは、処理600が分岐ブロック610へとジャンプして新たな作業の実行のために別の協働挙動をエンゲージまたは構成する前に、協働挙動のエンゲージ解除およびアンロード、ならびに/または機能およびリンク要素の一部もしくは全部を終了およびアンロードすることができる。協働フレームワークは、協働挙動に関してインスタンス化された機能およびリンク要素などを終了およびアンロードすることにより、協働挙動をアンロードすることができる。ただし、新たな作業に関する続く協働挙動が1つ以上の機能および/またはリンク要素を利用可能である場合、協働フレームワークは、ワーキング・メモリに機能および/またはリンク要素の一部もしくは全部を保持すること、ならびにRC要素の一部もしくは全部を再専用化することが可能である。一方、協働フレームワークが後続の協働挙動が再使用可能な機能やリンク要素を一切発見しなければ、協働フレームワークは、分岐ブロック610にジャンプして別の協働挙動をエンゲージまたは構成する前に、協働挙動をアンロードし、協働挙動に関連付けられたすべての機能およびリンク要素を終了およびアンロードすることができる。
【0109】
あるいは、分岐ブロック630で協働フレームワークが別の作業を実行しないと決定した場合、ブロック652において、協働フレームワークは、協働挙動のエンゲージ解除およびアンロード、協働挙動に関連付けられたすべての機能およびリンク要素の終了およびアンロード、挙動マネージャおよびUIマネージャの終了およびアンロード、ならびに/または協働フレームワークの終了およびアンロードを行うことができる。最後に、ブロック652の後、処理600は終了する。
【0110】
図7および図8は、本開示の実施形態による、人間-機械協働挙動に基づく再使用可能な機能表現の提供および動的適応に向けた、一般化可能フレームワークによって実行される、処理700および処理800の流れ図である。
【0111】
図7を参照する。協働フレームワークは、(図6に示した)ブロック614における現在の協働挙動の機能構成物の取得および解析を行いながら、またはその後に、処理700を実行することができる。処理700において、協働フレームワークは、機能構成物によって指定された1つ以上のロボット機能に基づいてRC要素を提供するために、挙動マネージャをコールすることができる。協働フレームワークは、機能構成物によって指定され、かつ/または機能構成物内の個々のロボット機能によって要求された、1つ以上のユーザ対話機能に基づいてIC要素をロードおよび実行するために、UIマネージャの少なくとも1つのインスタンスをコールすることもできる。協働フレームワークは、各RC要素および各IC要素を、独立したインスタンスまたは処理として提供することができる。
【0112】
ブロック702において、協働フレームワークは、機能構成物を解析し、機能構成物内で指定された機能を選択することができる。協働フレームワークは、機能構成物内で指定されたユーザ対話機能によって満たされていない少なくとも1つの抽象インタフェース要件を持つ要件の高いロボット機能があればそれを識別することもでき、挙動マネージャは、共有されたメモリ・スペース上で追加のUI要件をブロードキャストすることができる。それに応じて、UIマネージャは、追加のUI要件を満たすために、少なくとも1つのユーザ対話機能を選択することができる。UIマネージャは、要件の高いロボット機能に対して互換関数を実行することにより、適切なユーザ対話機能を選択することができる。次いで、ブロック704において、協働フレームワークは、選択された機能のタイプを判断することができる(たとえば、ロボット機能であるか、ユーザ対話機能であるか)。
【0113】
分岐ブロック710において、選択された機能がロボット機能であると判断されれば、処理700はブロック712に進むことができ、そこで協働フレームワークは、ロボット機能のインスタンスをRC要素として提供することができる。協働フレームワークは、協働挙動を使用して実行されることになる作業動作に関連付けられた1つ以上の作業動作タイプを基に作業動作を実行するのに適切な1つ以上の一般ロボット機能に基づいてRC要素を提供することができる。たとえば、協働フレームワークは、ロボット機能に関連付けられたlaunchファイルをコールしRC要素を作成するように挙動マネージャに命令することにより、RC要素を提供することができる。一般ロボット機能の例としては、モーション制約、モーション即時再生、軌跡生成、などが挙げられる。たとえば、先行する作業を実行するために、および/または予めロードされた協働挙動によって要求されたために、ロボット機能のインスタンスが利用可能であり既にメモリにロードされているのであれば、協働フレームワークは、新たなRC要素を作成する代わりに、既にロードされているRC要素を単純に適応させることができる。
【0114】
次に、ブロック714において、協働フレームワークは、RC要素をインスタンス化または専用化するのに用いる情報カーネルを少なくとも1つ提供することができる。情報カーネルは、RC要素によって要求される1つ以上の作業関連パラメータのセットをカプセル化し、情報カーネルにカプセル化可能なパラメータのタイプには、たとえば、工具挙動制御、TMP、知覚テンプレート、などが含まれる。協働フレームワークは、機能構成物および/またはRC要素によって要求されるパラメータのセットに基づいて情報カーネルを識別することができる。次いで、ブロック716において、協働フレームワークは、情報カーネルを用いて、RC要素を専用化することができる。RC要素が別の情報カーネルで既に専用化されている場合、協働フレームワークは、たとえば、RC要素を一般化し(たとえば、RC要素を別の情報カーネルから切り離し)、その後で情報カーネルを用いてRC要素を専用化することにより、RC要素を再専用化することができる。ブロック716の後、処理700は分岐ブロック720に進むことができる。
【0115】
あるいは、分岐ブロック710において、選択された機能がユーザ対話機能であると判断されれば、処理700はブロック718に進むことができ、そこで協働フレームワークは、ユーザ対話機能のインスタンスをIC要素として提供することができる。たとえば、協働フレームワークは、ユーザ対話機能に関連付けられたlaunchファイルをコールしIC要素を作成するようにUIマネージャに命令することにより、IC要素を提供することができる。UIマネージャは、IC要素がユーザとの対話に用いることになる、ユーザ・インタフェース(たとえば、ディスプレイ、ユーザ入力デバイス、など)の特性を判断し、次いで、それらの特性に基づいてIC要素をカスタマイズすることもできる。たとえば、先行する作業を実行するために、および/または予めロードされた協働挙動によって要求されたために、ユーザ対話機能のインスタンスが利用可能であり既にメモリにロードされているのであれば、協働フレームワークは、新たなIC要素を作成する代わりに、既にロードされているIC要素を単純に適応させることができる。ブロック718の後、処理700は分岐ブロック720に進むことができる。
【0116】
分岐ブロック720において、協働フレームワークは、機能構成物および/またはいずれかの要件の高いロボット機能の抽象インタフェース要件に基づいて、機能のインスタンスをさらに提供するか否かを判断することができる。提供する場合、処理700はブロック702にジャンプすることができる。あるいは、提供しない場合、協働フレームワークは、処理700を終了し、(図6に示した)ブロック618にジャンプすることができる。
【0117】
図8を参照する。協働フレームワークは、機能構成物内で指定されたロボット機能に関連付けられたRC要素を提供した後に、処理800を実行することができる。処理800において、協働フレームワークは、協働挙動の機能構成物によって指定されたリンクおよびマッピングに基づいてリンク要素を提供するために挙動マネージャをコールすることができ、また各リンク要素を独立したインスタンスまたは処理として提供することができる。
【0118】
ブロック802において、協働フレームワークは、ロボット機能間のリンクやロボット機能とユーザ対話機能の間のマッピングなど、機能間の1つ以上のリンクまたは接続について、機能構成物を解析することができる。次に、ブロック804において、協働フレームワークは、リンクまたはマッピングのインスタンスを、リンク要素として提供することができる。その後、ブロック806において、協働フレームワークは、そのリンク要素を使用して、関連する機能要素を接続することができる。たとえば、リンクは、機能構成物内で指定されたリンクまたはマッピングに基づいて、機能要素のペア間に形成され得る。機能要素のリンクされたペアには、配信者機能要素および購読者機能要素が含まれる。協働フレームワークは、トピックの形態をとるリンクされたペア間のリンクを形成することができ、このリンク内で配信者機能要素はトピックを配信し、購読者機能要素はトピックを購読する。
【0119】
最後に、分岐ブロック810において、協働フレームワークは、機能構成物内に残っている任意のリンクおよびマッピングに基づいて、リンク要素をさらに提供するか否かを判断することができる。提供する場合、処理800はブロック802にジャンプすることができる。あるいは、提供しない場合、協働フレームワークは、処理800を終了し、(図6に示した)ブロック620にジャンプすることができる。
【0120】
図9は、本開示の実施形態による、人間-機械協働挙動を構成するための例示的方法を示す流れ図である。協働フレームワークは、(図6に示した)ブロック610において協働挙動を構成するという入力を受信した後、処理900に実行することができる。ブロック902において、協働フレームワークは、コンポーザを提供することができ、これはたとえば、挙動マネージャおよび/またはUIマネージャにコンポーザを提供するよう命令することによって行われる。
【0121】
ブロック904において、協働フレームワークは、協働挙動に関する機能構成物を提供するようにコンポーザに命令することができる。協働挙動が新規であるか、機能構成物を含まない場合、コンポーザは、機能構成物を作成することができる。あるいは、協働挙動が機能構成物を含む場合、コンポーザは、機能構成物をロードすることができる。次に、ブロック906において、コンポーザは、利用可能なロボット機能、ユーザ対話機能、情報カーネル、合成作用素、などを含む挙動構成要素のリストを提供することができる。コンポーザは、任意の構成ファイルおよび/または協働フレームワークに関連付けられたプレフィックスを有するlaunchファイルについてローカル・ファイル・システムを解析することにより、利用可能な挙動構成要素のリストを構築することができる。
【0122】
ブロック908において、コンポーザは、たとえば1つ以上のUI要素またはコマンド・シェルを介する、プログラムに従う、などにより、ユーザから、機能構成物内の挙動構成要素を追加、修正、または削除するための入力を受信することができる。次いで、分岐ブロック920において、コンポーザは、1つ以上の挙動構成要素を追加または修正/削除するかどうかを判断することができる。
【0123】
分岐ブロック920において、ユーザは1つ以上の挙動構成要素を機能構成物に追加することを望んでいるとコンポーザが判断した場合、処理900は、ブロック922に進むことができ、そこでコンポーザは機能を選択することができる。コンポーザは、機能やコマンド・ラインに関するリストからのユーザの選択に応答して、機能を選択することができる。次に、ブロック924において、コンポーザは、選択された機能がロボット機能か否かを判断することができる。ロボット機能であれば、コンポーザは、そのロボット機能をインスタンス化または専用化するのに用いる情報カーネルを選択するようにユーザを促すことができる。次いで、ブロック926において、コンポーザは、選択された機能に関連付けられた合成作用素、および/または選択された機能を構成するのに用いる演算数(たとえば、別の機能)を選択することができる。コンポーザは、選択された機能、およびオプションで選択された作用素および/または機能構成物内の演算数を追加することができる。ブロック926の後、処理900は分岐ブロック940に進むことができる。
【0124】
あるいは、分岐ブロック920において、ユーザは機能構成物に由来する1つ以上の挙動構成要素を修正または削除することを望んでいるとコンポーザが判断した場合、処理900は、ブロック932に進むことができ、そこでコンポーザは、ユーザに機能構成物を提供し、機能構成物内の少なくとも1つの挙動構成要素を選択するためのユーザ入力を受信することができる。次いで、ブロック934において、コンポーザは、選択された挙動構成要素の修正、または選択された挙動構成要素の機能構成物からの削除を行うことができる。ブロック934の後、処理900は分岐ブロック940に進むことができる。
【0125】
分岐ブロック940において、コンポーザは、機能構成物の構成を継続するか否かを判断することができる。コンポーザは、その判断をユーザ入力に基づいて行うことができる。コンポーザは、互換関数に従い、機能構成物内のロボット機能のすべてのユーザ対話要件が、機能構成物内のユーザ対話機能によって満たされているか否かを判断することもできる。コンポーザが継続することを決定した場合、処理900はブロック906にジャンプすることができる。あるいは、コンポーザが継続しないことを決定した場合、処理900はブロック942に進むことができる。
【0126】
ブロック942において、コンポーザは、機能構成物内の機能間のリンクおよびマッピングを1つ以上提供することができる。コンポーザは、機能構成物を解析し、機能構成物内の1つ以上の合成作用素、ロボット機能の抽象インタフェース要件、ユーザ入力、などに基づいてリンクおよびマッピングを提供または導出することができる。最後に、ブロック944において、コンポーザは、協働挙動に関連付けられた挙動マニフェスト内の機能構成物を記憶することができる。図4にその一例を示す挙動マニフェストは、協働挙動に関する、1つ以上のロボット機能、ユーザ対話機能、およびリンク/マッピングを、タグへとカプセル化することが可能であり、このタグのもとで、協働挙動のために要求される機能およびリンク/マッピングがリストされる。最後に、ブロック944の後、協働フレームワークは、処理900を終了し、(図6に示した)ブロック610にジャンプすることができる。
【0127】
(例示的処理)
【0128】
協働フレームワークは、ユーザと協働してサンダ作業を実行するために、協働挙動を作成またはロードすることができる。協働挙動を作成またはロードし、協働挙動内で指定された少なくとも1つの一般ロボット機能をロードした後、協働フレームワークは、サンダがロボットに取り付けられているということを識別し、サンダに関連付けられたパラメータをカプセル化する少なくとも1つの情報カーネルを用いて一般ロボット機能をインスタンス化することができる。次いで、協働フレームワークは、既にロードされたのでなければ、インスタンス化されたロボット機能のUI要件に基づいて工具挙動対話機能をロードし、サンダに関連付けられた工具挙動制約をユーザに選択および/または適用させる工具挙動UI要素を提供することができる。たとえば、工具挙動対話機能は、協働挙動によって要求される機能でなくてもよい。次いで、協働フレームワークは、ユーザが、工具挙動制約内で指定された1つ以上の挙動制約を選択および実施した後、実施した挙動制約に基づいてロボットのモーションを制約できるようにする、(図5に示した)工具挙動UI要素510を提供するために、工具挙動対話機能を実行することができる。たとえば、協働フレームワークは、取り付けられたサンダのモーションがサンダ・パッドの平面範囲内にのみ制約されるように、挙動制約を実施または適用することができる。
【0129】
協働フレームワークは、必要であれば、ユーザに知覚テンプレートを選択および/または適用させる加工物対話機能を同様に識別およびロードし、次いで、1つ以上の加工物UI要素520において提供するために加工物対話機能を実行することができる。加工物UI要素520には、検出した加工物表面の3-Dレンダリング、および加工物上の1つ以上の対象位置をユーザが選択するための入力点群が含まれ得る。加工物UI要素520は、さらに、遠隔操作用に「選択された表面に位置合わせする」という知覚テンプレートをユーザがトグルできるようにすることも可能であり、これにより、取り付けられたサンダの配向が選択された平面または表面と垂直になるように制約することができる。協働フレームワークは、工具挙動および知覚テンプレートをユーザに選択させる加工物UI要素520を、ユーザがロボットをアドミッタンス・ガイドしながら協働フレームワークが実施可能な、より大きな工具制約遠隔操作挙動へと組み込むことができる。
【0130】
協働フレームワークは、サンダ作業を実行するための協働挙動によって要求されるTMPに関連付けられた1つ以上のユーザ実演モーションを記録または学習する、TMP記録要素530を提供することができる。協働フレームワークは、加工物の平面または表面上の点を選択して、選択した点において保存されたTMPをインスタンス化するために、TMP実装UI要素(図示なし)を作成することもできる。平面知覚テンプレートを指定する、3-Dビューにおける所望の加工物平面に関するユーザ選択を受信した後、協働フレームワークは、当該平面領域の垂直トップダウン・ビューを示すために、現在の2-Dカラー画像を歪曲することができる。その後、ユーザは、画像内の点のセットを選択することができ、ロボットは、UI要素540を介して指定された回数だけ各点においてTMP内でカプセル化されたモーションを自律的に実行するために協働挙動をエンゲージすることができる。このことは、TMP実装と呼ばれるより大きな挙動において利用できる。
【0131】
図10は、本開示の実施形態に即した、コンピュータ・システム1000を示す図である。一般に、人間-機械協働システムの実施形態(たとえば、協働フレームワーク320および分散型協働フレームワーク350)は、1つ以上のパーソナル・コンピュータ、サーバ、ワークステーション、組込式システム、多機能デバイス他、これらの組み合わせなど、さまざまなコンピュータ・システムにおいて実装可能である。協働システムまたはモジュールの特定の実施形態は、その中にコンピュータ・プログラムとして組み込まれる。コンピュータ・プログラムは、アクティブおよび非アクティブという両方のさまざまな形態で存在してよい。たとえば、コンピュータ・プログラムは、ソースコード内のプログラム命令、オブジェクト・コード、実行可能コードもしくは他のフォーマット、ファーム・プログラム、またはハードウェア記述言語(「HDL」)ファイルを含む、ソフトウェア・プログラムとして存在することができる。上記のいずれもが、圧縮または非圧縮された形態で、ストレージ・デバイスおよび信号を含む、コンピュータ可読媒体上で具体化され得る。ただし、説明のために、システム1000は、当業者に良く知られた汎用コンピュータとして示される。システム1000に含まれる可能性のある構成要素および周辺機器の例について以下で説明する。
【0132】
図示の通り、システム1000には、少なくとも1つのプロセッサ1002、キーボード1017、ポインティング・デバイス1018(たとえば、マウス、3-Dポインティング・デバイス、タッチパッド、など)、ディスプレイ1016、メイン・メモリ1010、入出力コントローラ1015、およびストレージ・デバイス1014が含まれ得る。ストレージ・デバイス1014には、たとえば、RAM、ROM、フラッシュ・メモリ、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光学ディスク・ストレージ、磁気ディスク・ストレージもしくは他の磁気ストレージ・デバイス、またはその他、命令もしくはデータ構造の形をとる所望のプログラム・コードを搬送もしくは記憶するのに使用可能でありコンピュータがアクセス可能な任意の媒体が含まれ得る。プリンタ・ドライバのコンピュータ・プログラム実施形態のコピーが、たとえば、ストレージ・デバイス1014に記憶されてよい。システム1000は、プリンタ(図示なし)など、追加の入出力デバイスを備えてもよい。システム1000のさまざまな構成要素は、システム・バス1012または類似の構造によって通信する。加えて、システム1000には、動作中はメモリ1010に常駐するオペレーティング・システム(「OS」)1020が含まれ得る。当業者であれば、システム1000には、複数のプロセッサ1002が含まれ得ることが理解されよう。たとえば、システム1000には、同一プロセッサの複数のコピーが含まれ得る。あるいは、システム1000には、さまざまなタイプのプロセッサの異種混合が含まれ得る。たとえば、システム1000は、あるプロセッサを一次プロセッサとして使用し、他のプロセッサをコプロセッサとして使用することができる。別の例として、システム1000には、1つ以上のマルチコア・プロセッサおよび1つ以上のシングルコア・プロセッサが含まれ得る。したがって、システム1000には、プロセッサ(たとえばプロセッサ1002)のセットを通じて任意の数の実行コアが含まれ得る。キーボード1017、ポインティング・デバイス1018、およびディスプレイ1016について、これらの構成要素は、当業者によく知られた構成要素を用いて実装されてよい。当業者であれば、システム1000には、他の構成要素および周辺機器が含まれ得ることも理解されよう。
【0133】
メイン・メモリ1010は、システム1000の一次ストレージ・エリアとして機能し、バーコード印刷システムにおけるプリンタ・ドライブなど、プロセッサ1002上で動作するアプリケーションにより能動的に使用されるデータを保持する。当業者であれば、アプリケーションとは各々が実行中に特定の作業のセットをシステム1000に実行させるように命令を下すためのコンピュータ命令のセットを含むソフトウェア・プログラムであり、「アプリケーション」という用語は、本教示の実施形態による、アプリケーション・ソフトウェア、アプリケーション・プログラム、デバイス・ドライバ、および/またはプログラムと区別なく使用され得るということを理解されよう。メモリ1010は、ランダム・アクセス・メモリ、または以下で記述する、当業者にはよく知られた、他の形態のメモリとして実装することができる。
【0134】
OS1020は、システム1000におけるハードウェアの直接制御および管理ならびにシステム操作を担うルーチンおよび命令の一体型集合である。加えて、OS1020は、アプリケーション・ソフトウェアおよびデバイス・ドライバを実行する基礎を提供する。たとえば、OS1020は、リソース割り当て、スケジューリング、入出力制御、およびメモリ管理などのサービスを提供することができる。OS1020は、主にソフトウェアとなり得るが、部分的または完全なハードウェア実装およびファームウェアを含むこともできる。本教示の原理と整合性のある、よく知られたオペレーティング・システムの例としては、ROBOT OPERATING SYSTEM、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)、ORACLE SOLARIS、MICROSOFT WINDOWS(登録商標)、MAC OS(登録商標)、OPEN VMS(登録商標)、およびIBM AIXが挙げられる。
【0135】
以上の記述は例示であり、当業者であれば、構成および実装の変形形態が思い浮かぶ可能性もある。たとえば、本明細書で開示した実施形態に関連して記述された、さまざまな例示的ロジック、ロジック・ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ(たとえば、プロセッサ1002)、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他のプログラマブル・ロジック・デバイス、ディスクリート・ゲートもしくはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア部品、または本明細書に記述された機能を実行するように設計された、これらの任意の組み合わせを用いて実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサとすることができるが、代わりにそのプロセッサを、任意の従来型プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステート・マシンとしてもよい。プロセッサは、たとえば、1つのマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、または他のこうした構成など、コンピューティング・デバイスの組み合わせとして実装されてもよい。
【0136】
1つまたは複数の例示的実施形態において、記述した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。ソフトウェア実装に関して、本明細書に記述した技法は、本明細書に記述した機能を実行するモジュール(たとえば、手続き、機能、サブプログラム、プログラム、ルーチン、サブルーチン、モジュール、ソフトウェア・パッケージ、クラス、など)を用いて実装され得る。モジュールは、情報、データ、変数、パラメータ、またはメモリ内容を受け渡しおよび/または受信することにより、別のモジュールまたはハードウェア回路と連結可能である。情報、変数、パラメータ、データ、などは、メモリ共有、メッセージ受け渡し、トークン受け渡し、ネットワーク送信、などを含む好適な任意の手段を用いて受け渡し、転送、または送信され得る。ソフトウェア・コードは、メモリ・ユニットに記憶可能であり、プロセッサによって実行され得る。メモリ・ユニットは、プロセッサ内、またはプロセッサの外部で実装可能であり、プロセッサ外部で実装される場合、メモリ・ユニットは当分野で知られているさまざまな手段によってプロセッサに通信可能に連結され得る。
【0137】
ソフトウェアで実装された場合、機能は、1つ以上の命令またはコードとして、コンピュータ可読媒体に記憶され、これを介して送信され得る。コンピュータ可読媒体には、ある場所から別の場所へのコンピュータ・プログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む、有形の非一時的コンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方が含まれる。記憶媒体は、コンピュータがアクセス可能な、任意の有形の非一時的媒体とすることができる。限定するものではないが、たとえば、そのような有形の非一時的コンピュータ可読媒体には、RAM、ROM、フラッシュ・メモリ、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光学ディスク・ストレージ、磁気ディスク・ストレージもしくは他の磁気ストレージ・デバイス、またはその他、命令もしくはデータ構造の形をとる所望のプログラム・コードを搬送もしくは記憶するのに使用可能でありコンピュータがアクセス可能な任意の媒体が含まれ得る。本明細書で用いるディスク(diskおよびdisc)には、CD、レーザ・ディスク、光学ディスク、DVD、フロッピー・ディスク、およびBlu-rayディスクが含まれ、ディスク(disk)は通常磁気的にデータを複製するものであり、ディスク(disc)はレーザを用いて光学的にデータを複製するものである。また、あらゆる接続も、コンピュータ可読媒体と呼ばれてよい。たとえば、ウェブサイト、サーバ、または他のリモート・ソースから、同軸ケーブル、ファイバ光ケーブル、撚り対線、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を使用して、ソフトウェアが送信される場合、同軸ケーブル、ファイバ光ケーブル、撚り対線、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術も、媒体という定義に包含される。
上に挙げたものの組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきものである。
【0138】
一実施形態において、単数または一体型として記述されたリソースは、複数または分散型とすることも可能であり、複数または分散型として記述されたリソースは、その実施にあたり統合されてもよい。したがって、本教示の範囲は、続く特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図している。本発明について、特定の実施形態を基に説明してきたが、当業者であれば、多数の修正形態が考えられ得ることは理解されよう。たとえば、プロキシ・サーバは、本明細書で言及されない追加の機能を備えてよい。また、本開示の実施形態は、専用の構成要素、ならびに/あるいはプログラマブル・プロセッサおよび/または他のプログラマブル・デバイスの任意の組み合わせを用いて実現可能である。上述の実施形態は特定のハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントを参照することができるが、当業者であれば、ハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントの異なる組み合わせも使用されてよく、ハードウェア内で実装されるものとして説明した個々の操作も、ソフトウェア内で実装可能であり、その逆も同様であるということは理解されよう。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
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図10