(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】トナーバインダー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/087 20060101AFI20221212BHJP
C08F 220/28 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
G03G9/087 325
G03G9/087
C08F220/28
(21)【出願番号】P 2021105004
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2020152644
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】千葉 宙
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-219642(JP,A)
【文献】特開2019-219645(JP,A)
【文献】特開2017-203851(JP,A)
【文献】特開2019-219652(JP,A)
【文献】特開2011-209718(JP,A)
【文献】特開2019-200415(JP,A)
【文献】特開2018-100371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/087
C08F 220/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ビニル樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、
結晶性ビニル樹脂(A)が単量体(a)と単量体(b)を含む単量体組成物(A0)の重合体であり、
単量体(a)がエステル基を1個有し、鎖状炭化水素基を有する炭素数が21~40の(メタ)アクリレートであり、
単量体(b)がエステル基を2個以上有し、鎖状炭化水素基を有する炭素数が24~44の(メタ)アクリレートであり、
単量体(a)と単量体(b)の重量比(a)/(b)が95/5~99.5/0.5であるトナーバインダー。
【請求項2】
前記単量体(b)が下記一般式(1)で表される化合物である請求項1に記載のトナーバインダー。
【化1】
[一般式(1)中、R
1は水素原子またはメチル基であり、R
2は炭素数2~3のアルキレン基であり、R
3は炭素数18~36の鎖状炭化水素基である。]
【請求項3】
単量体組成物(A0)の重量を基準として前記単量体(a)の重量割合が35~90重量%である請求項1又は2に記載のトナーバインダー。
【請求項4】
トナーバインダーの重量を基準として前記ビニル樹脂(A)の重量割合が35~99重量%である請求項1~3のいずれか1項に記載のトナーバインダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトナーバインダーに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター等における画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用のトナーには、近年の省エネルギー化の観点から低温定着性の更なる向上が要求されている。
また、低速度から高速度までの幅広い速度範囲で紙への定着を問題なく行うために、トナーには定着ローラーからの高い分離性が要求される。これらに加え、電子写真方式におけるトナーの現像工程、転写工程を問題なく行うために安定した帯電特性や、現像槽内で固着しない保存安定性が要求される。
【0003】
トナーバインダーは、上述のようなトナー特性に大きな影響を与えるものであり、トナーバインダーによる低温定着化技術として、非晶性ポリエステル樹脂や、非晶性のスチレン-アクリル樹脂のガラス転移温度を下げることが挙げられるが、この方法では保存安定性が悪くなるという問題点がある。
そこで近年、シャープメルト性に優れた結晶性樹脂をトナーバインダーとして用いることで、低温定着性を向上させる手法が提案されている。
前記結晶性樹脂として、結晶性アルキル(メタ)アクリレート樹脂を用いることで、低温定着性が向上することが知られている(例えば、特許文献1~4)。
しかしながら、特許文献1~4に記載のトナーバインダーは、低温定着性及び定着ローラーからの分離性を両立させつつ、帯電安定性及び保存安定性を満足させることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-193069号公報
【文献】特開2019-214706号公報
【文献】特開2019-219653号公報
【文献】特開2019-219655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、低温定着性と定着ローラーからの高い分離性を両立させつつ、帯電安定性及び保存安定性を満足するトナーバインダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち本発明は結晶性ビニル樹脂(A)を含有するトナーバインダーであって、結晶性ビニル樹脂(A)が単量体(a)と単量体(b)を含む単量体組成物(A0)の重合体であり、単量体(a)がエステル基を1個有し、鎖状炭化水素基を有する炭素数が21~40の(メタ)アクリレートであり、単量体(b)がエステル基を2個以上有し、鎖状炭化水素基を有する炭素数が24~44の(メタ)アクリレートであり、単量体(a)と単量体(b)の重量比(a)/(b)が95/5~99.5/0.5であるトナーバインダーである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、低温定着性と定着ローラーからの高い分離性を両立させつつ、帯電安定性及び保存安定性を満足するトナーバインダーを提供することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のトナーバインダーは、結晶性ビニル樹脂(A)を含有するトナーバインダーである。結晶性ビニル樹脂(A)は結晶性のビニル樹脂であり、エステル基を1個有し、鎖状炭化水素基を有する炭素数が21~40の(メタ)アクリレートである単量体(a)とエステル基を2個以上有し、鎖状炭化水素基を有する炭素数が24~44の(メタ)アクリレートである単量体(b)を含む単量体組成物(A0)の重合体である。
なお、本発明において「結晶性」とは、下記に記載の示差走査熱量測定(DSC測定ともいう)により得られる示差走査熱量曲線の昇温過程において、DSC曲線に極大があり、吸熱ピークのピークトップ温度を有することを意味する。
【0009】
結晶性ビニル樹脂(A)の吸熱ピークのピークトップ温度の測定方法を以下に記載する。
示差走査熱量計{例えば「DSCQ20」[TA Instruments(株)製]}を用いて測定する。結晶性ビニル樹脂(B)を20℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃から10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程の吸熱ピークのトップを示す温度を結晶性ビニル樹脂(A)の吸熱ピークのピークトップ温度とする。
【0010】
単量体(a)はエステル基を1個有し、鎖状炭化水素基を有する炭素数が21~40の(メタ)アクリレートであり、単量体(a)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
単量体(a)の炭素数が21以上であると結晶性及び保存安定性が良好となり、炭素数が40以下であると低温定着性が良好となる。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味する。
【0011】
単量体(a)としては、直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有する(メタ)アクリレート[オクタデシル(メタ)アクリレート(ステアリル(メタ)アクリレート)、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ヘンエイコサニル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート、モンタニル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート及びドトリアコンチル(メタ)アクリレート等]及び分岐のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有する(メタ)アクリレート[2-デシルテトラデシル(メタ)アクリレート等]が挙げられる。
これらの内、結晶性、保存安定性及び低温定着性の観点から、好ましくは直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有する(メタ)アクリレートであり、より好ましくは直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~30)を有する(メタ)アクリレートであり、さらに好ましくはオクタデシル(メタ)アクリレート(ステアリル(メタ)アクリレート)、エイコシル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、リグノセリル(メタ)アクリレート、セリル(メタ)アクリレート及びトリアコンチル(メタ)アクリレートであり、特に好ましくはオクタデシルアクリレート(ステアリルアクリレート)、エイコシルアクリレート、ベヘニルアクリレート及びリグノセリルアクリレートであり、最も好ましくはベヘニルアクリレートである。
【0012】
単量体(b)は、エステル基を2個以上有し、鎖状炭化水素基を有する炭素数が24~44の(メタ)アクリレートであり、単量体(b)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
単量体(b)の炭素数が24以上であると結晶性及び保存安定性が良好となり、炭素数が44以下であると低温定着性が良好となる。
さらに、単量体(b)がエステル基を2個以上有すると離型剤との相溶化が抑制され定着ローラーからの分離性が良好となる。また、結晶性の観点から、単量体(b)はエステル基を2~4個有することが好ましく、より好ましくは2~3個であり、さらに好ましくは2個である。
【0013】
単量体(b)としては、下記一般式(1)~(3)で表される化合物が挙げられる。
【化1】
【0014】
一般式(1)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2~3のアルキレン基であり、R3は炭素数18~36の鎖状炭化水素基である。
【0015】
R2の炭素数2~3のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基(1,2-プロピレン基)及びトリメチレン基(1,3-プロピレン基)が挙げられる。
また、R3の炭素数18~36の鎖状炭化水素基としては、直鎖のアルキル基(オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ペプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ドトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基及びヘキサトリアコンチル基等)及び分岐のアルキル基(2-デシルテトラデシル基等)等が挙げられる。R3のうち、結晶性及び保存安定性の観点から、好ましくは直鎖のアルキル基である。
【0016】
下記一般式(1)で表される化合物としては、単量体(a)で例示した直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有する(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とのマイケル付加物、分岐のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有する(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とのマイケル付加物、直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するアルコール(ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール及び1-トリアコンタノール等)と(メタ)アクリル酸カルボキシアルキル(アクリル酸カルボキシエチル及びメタクリル酸カルボキシエチル等)とのエステル、分岐のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するアルコール(2-デシル-1-テトラデカノール等)と(メタ)アクリル酸カルボキシアルキル(アクリル酸カルボキシエチル及びメタクリル酸カルボキシエチル等)とのエステル、直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するアルコールとアクリル酸ダイマーとのエステル、及び分岐のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するアルコールとアクリル酸ダイマーとのエステル等が挙げられる。これらの内、定着ローラーからの分離性、結晶性、保存安定性及び低温定着性の観点から、好ましくは直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有する(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とのマイケル付加物、直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するアルコールと(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルとのエステル及び直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するアルコールとアクリル酸ダイマーとのエステルであり、より好ましくは直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~30)を有する(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とのマイケル付加物、直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~30)を有するアルコールと(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルとのエステル及び直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~30)を有するアルコールとアクリル酸ダイマーとのエステルである。
なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」及び/又は「メタクリル酸」を意味する。
【化2】
【0017】
一般式(2)中、R4は水素原子またはメチル基であり、R5は水素原子またはメチル基であり、R6は炭素数18~36のアルキレン基である。
【0018】
R6の炭素数18~36のアルキレン基としては、直鎖のアルキレン基(オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、エイコサメチレン基、ヘンエイコサメチレン基、ドコサメチレン基、トリコサメチレン基、テトラコサメチレン基、ペンタコサメチレン基、ヘキサコサメチレン基、ヘプタコサメチレン基、オクタコサメチレン基等)及び分岐のアルキレン基(2-デシルテトラデカメチレン基)等が挙げられる。R6のうち、結晶性及び保存安定性の観点から、好ましくは直鎖のアルキレン基である。
【0019】
下記一般式(2)で表される化合物としては、炭素数18~36のアルキレン基を有するジオールとアクリル酸とのエステル(オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート等)等が挙げられる。
【化3】
【0020】
一般式(3)中、R7は水素原子またはメチル基であり、R8は炭素数2~3のアルキレン基であり、R9は炭素数18~36の鎖状炭化水素基である。
【0021】
R8の炭素数2~3のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基(1,2-プロピレン基)及びトリメチレン基(1,3-プロピレン基)が挙げられる。
また、R9の炭素数18~36の鎖状炭化水素基としては、直鎖のアルキル基(オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ペプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ドトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基及びヘキサトリアコンチル基等)及び分岐のアルキル基(2-デシルテトラデシル基等)等が挙げられる。R9のうち、結晶性及び保存安定性の観点から、好ましくは直鎖のアルキル基である。
【0022】
下記一般式(3)で表される化合物としては、単量体(a)で例示した直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するカルボン酸(ベヘン酸等)と(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとのエステル、分岐のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するカルボン酸と(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとのエステル、直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するカルボン酸のヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸とのエステル及び分岐のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するカルボン酸のヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸とのエステル等が挙げられる。これらの内、定着ローラーからの分離性、結晶性、保存安定性及び低温定着性の観点から、好ましくは直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するカルボン酸(ベヘン酸等)と(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとのエステル及び直鎖のアルキル基(アルキル基の炭素数18~36)を有するカルボン酸のヒドロキシアルキルと(メタ)アクリル酸とのエステルである。
【0023】
上記単量体(b)の内、結晶性、保存安定性、分離性及び低温定着性の観点から、一般式(1)で表される化合物が好ましい。
また、単量体(b)が有する鎖状炭化水素基の炭素数は、結晶性の観点から、単量体(a)が有する鎖状炭化水素基の炭素数と同じ数であることが好ましく、単量体(b)が有する鎖状炭化水素基の炭素数は、好ましくは18~36であり、より好ましくは18~30であり、さらに好ましくは18~22、特に好ましくは22である。
【0024】
単量体(a)及び単量体(b)を含む単量体組成物(A0)は、必要により他の単量体を併用してもよく、例えば、単量体(a)及び単量体(b)以外の単量体(d)が挙げられる。単量体(d)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
単量体(d)としては、ビニル炭化水素(d1)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(d2)、ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(d3)、含窒素ビニルモノマー(d4)、エポキシ基含有ビニルモノマー(d5)、ハロゲン元素含有ビニルモノマー(d6)、及びその他のエステルモノマー(d7)等が挙げられる。
【0025】
ビニル炭化水素(d1)としては、脂肪族ビニル炭化水素、脂環式ビニル炭化水素及び芳香族ビニル炭化水素等が挙げられる。
脂肪族ビニル炭化水素としては、アルケン及びアルカジエン等が挙げられる。
アルケンの具体的な例としてはエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン及び前記以外のα-オレフィン等が挙げられる。
アルカジエンの具体的な例としてはブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン及び1,7-オクタジエン等が挙げられる。
脂環式ビニル炭化水素としては、モノ-もしくはジ-シクロアルケン及びアルカジエンが挙げられ、具体的な例としてはシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン及びテルペン類(ピネン、リモネン、インデン等)等が挙げられる。
芳香族ビニル炭化水素としては、スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体等が挙げられ、具体的にはα-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン及びビニルナフタレン等が挙げられる。
【0026】
カルボキシル基含有ビニルモノマー(d2)としては、炭素数3~20の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸及びその無水物等が挙げられる。
具体的には、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、及び桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニルモノマー等挙げられる。
【0027】
ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(d3)としては、ヒドロキシスチレン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えばアクリル酸2-ヒドロキシエチル等)、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1-ブテン-3-オール、2-ブテン-1-オール、2-ブテン-1,4-ジオール、プロパルギルアルコール、2-ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び蔗糖アリルエーテル等が挙げられる。
【0028】
含窒素ビニルモノマー(d4)としては、アミノ基含有ビニルモノマー、アミド基含有ビニルモノマー、ニトリル基含有ビニルモノマー、4級アンモニウムカチオン基含有ビニルモノマー及びニトロ基含有ビニルモノマー等が挙げられる。
アミノ基含有ビニルモノマーとしては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、N-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン、クロチルアミン、N,N-ジメチルアミノスチレン、メチルα-アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N-ビニルピロール、N-ビニルチオピロリドン、N-アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、及びこれらの塩等が挙げられる。
アミド基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’-メチレン-ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N-メチルN-ビニルアセトアミド、及びN-ビニルピロリドン等が挙げられる。
ニトリル基含有ビニルモノマーとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等が挙げられる。
4級アンモニウムカチオン基含有ビニルモノマーとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド及びジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニルモノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等が挙げられる。
ニトロ基含有ビニルモノマーとしてはニトロスチレン等が挙げられる。
【0029】
エポキシ基含有ビニルモノマー(d5)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート及びp-ビニルフェニルフェニルオキサイド等が挙げられる。
【0030】
ハロゲン元素含有ビニルモノマー(d6)としては、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロルスチレン、ブロムスチレン、ジクロルスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等が挙げられる。
【0031】
その他のエステルモノマー(d7)としては、例えばアルキル基の炭素数が1~17のアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリル酸メチル)、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレート等]、炭素数5~30のアルキレンエーテル(メタ)アクリレート[メトキシ-トリエチレングリコールアクリレート、エトキシ-ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコールアクリレート及びメトキシジプロピレングルコールアクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート等]、炭素数4~15の脂肪族ビニルエステル及び炭素数9~15の芳香族ビニルエステル[酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、及びメチル-4-ビニルベンゾエート等]が挙げられる。
【0032】
これらの単量体(d)の内、保存安定性、帯電安定性及び定着ローラーからの分離性の観点から好ましいのはビニル炭化水素(d1)、カルボキシル基含有ビニルモノマー(d2)、ヒドロキシル基含有ビニルモノマー(d3)、含窒素ビニルモノマー(d4)、及びその他のエステルモノマー(d7)であり、より好ましくは芳香族ビニル炭化水素、炭素数3~20の不飽和モノカルボン酸、ニトリル基含有ビニルモノマー、アルキル基の炭素数が1~17のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数4~15の脂肪族ビニルエステル、炭素数5~30のアルキレンエーテル(メタ)アクリレート及びポリ(メタ)アクリレートである。
【0033】
結晶性ビニル樹脂(A)における単量体組成物(A0)中の単量体(a)と単量体(b)の重量比(a)/(b)は95/5~99.5/0.5である。重量比(a)/(b)が上記範囲であることにより、低温定着性と定着ローラーからの分離性を両立することができる。
また、結晶性ビニル樹脂(A)における単量体組成物(A0)中の単量体(a)の重量割合は、単量体組成物(A0)の重量を基準として、好ましくは35重量%以上であり、より好ましくは45重量%以上であり、さらに好ましくは55重量%である。単量体(a)の重量割合が35重量%以上であると結晶性及び低温定着性が良好となる。一方、単量体(a)の重量割合の上限については定着ローラーからの分離性の観点より、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、更に好ましくは70重量%以下である。一態様において、単量体組成物(A0)の重量を基準として35~90重量%であることが好ましく、より好ましくは45~80重量%、さらに好ましくは55~70重量%である。
【0034】
結晶性ビニル樹脂(A)における単量体組成物(A0)中の単量体(b)の重量割合は、単量体組成物(A0)の重量を基準として、好ましくは0.1重量%以上であり、より好ましくは0.2重量%以上であり、さらに好ましくは0.3重量%である。単量体(a)の重量割合が0.1重量%以上であると定着ローラーからの分離性が良好となる。一方、単量体(a)の重量割合の上限については結晶性及び低温定着性の観点より、好ましくは5重量%以下、より好ましくは4重量%以下、さらに好ましくは3重量%以下である。一態様において、単量体組成物(A0)の重量を基準として0.1~5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.2~4重量%、さらに好ましくは0.3~3重量%である。
【0035】
単量体組成物(A0)に単量体(d)を含む場合は、保存安定性、帯電安定性の観点から、単量体組成物(A0)中の単量体(d)の重量割合は5~60重量%であることが好ましく、より好ましくは5~50重量%、さらに好ましくは5~40重量%である。
【0036】
本発明における結晶性ビニル樹脂(A)は、単量体組成物を公知の方法(例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合及びリビングカチオン重合等)で重合することで製造できる。ラジカル重合の場合は、例えば、前記単量体を溶媒(トルエン等)中でラジカル反応開始剤(c)とともに反応させる溶液重合法(特開平5-117330号公報等)により合成することが出来る。
また、ラジカル反応開始剤は公知のラジカル反応開始剤(c)を用いてもよい。ラジカル反応開始剤(c)としては、特に制限されず、無機過酸化物(c1)、有機過酸化物(c2)及びアゾ化合物(c3)等が挙げられる。また、これらのラジカル反応開始剤を併用することもできる。
【0037】
無機過酸化物(c1)としては、特に限定されないが、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0038】
有機過酸化物(c2)としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)へキサン、ジ-t-へキシルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシへキシン-3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m-トルイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート及びt-ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。
【0039】
アゾ化合物(c3)としては、特に制限されないが、例えば、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)及びアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0040】
結晶性ビニル樹脂(A)の吸熱ピークのピークトップ温度(TmA)は、低温定着性及び保存安定性の観点から、好ましくは40~100℃であり、より好ましくは45~90℃である。吸熱ピークトップ温度が40℃以上の場合は保存安定性が良好となり、100℃以下の場合は低温定着性が良好となる。
但し、結晶性ビニル樹脂(A)の吸熱ピークトップ温度(TmA)とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて結晶性ビニル樹脂(A)を20℃から150℃まで10℃/分の条件で第1回目の昇温した後、150℃から0℃まで10℃/分の条件で冷却し、続いて0℃から150℃まで10℃/分の条件で昇温する第2回目の昇温過程における結晶性ビニル樹脂(A)の吸熱ピークのピークトップ温度である。
【0041】
本発明における結晶性ビニル樹脂(A)の酸価は60mgKOH/g以下が好ましい。酸価が60mgKOH/g以下であると吸熱ピークのピークトップ温度Tmが上がることや吸湿性が下がることにより耐熱保存性が良好になる。結晶性ビニル樹脂(A)の酸価は、より好ましくは50mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは40mgKOH/g以下であり、特に好ましくは0~30mgKOH/gである。
結晶性ビニル樹脂(A)の酸価は、単量体の酸価及び酸価を有する単量体の含有量で調整できる。(A)の酸価は、例えばJISK0070などの方法で測定される。
【0042】
本発明における結晶性ビニル樹脂(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量は、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から2,000~200,000であることが好ましく、より好ましくは5,000~100,000であり、さらに好ましくは10,000~70,000であり、特に好ましくは20,000~60,000である。
【0043】
本発明において、結晶性ビニル樹脂(A)の数平均分子量(以下、Mnと略称することがある。)、重量平均分子量(以下、Mwと略称することがある。)は、GPCを用いて以下の条件で測定することができる。
装置(一例) : HLC-8120 [東ソー(株)製]
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
移動相 : テトラヒドロフラン(重合禁止剤を含まない)
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)[東ソー(株)製]
分子量の測定は、0.25重量%になるように試料をテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)に溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
なお、後述する非晶性ビニル樹脂(B)及びトナーバインダーについても、上記と同様の方法でMn、Mwを求めることができる。
【0044】
本発明のトナーバインダーは、結晶性ビニル樹脂(A)以外のトナーバインダー用樹脂として公知であるその他の樹脂を含有してもよい。その他の樹脂としてはビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられ、上記樹脂の2種以上を併用しても良い。これらのうち低温定着性及び保存安定性の観点から、好ましくはビニル樹脂、ポリエステル樹脂であり、特に好ましくは、ビニル樹脂である。
【0045】
結晶性ビニル樹脂(A)以外のビニル樹脂としては、結晶性ビニル樹脂(A)以外の結晶性ビニル樹脂(A’)及び非晶性ビニル樹脂(B)が挙げられ、保存安定性の観点から、非晶性ビニル樹脂(B)が好ましい。
【0046】
非晶性ビニル樹脂(B)は非晶性のビニル樹脂であればその樹脂の組成は特に限定されないが、帯電安定性及び保存安定性の観点から、スチレンを含む単量体組成物(B0)の重合体であることが好ましい。
本発明において、「非晶性」とは、上記結晶性ビニル樹脂(A)の吸熱ピークのピークトップ温度の測定方法と同様の測定条件により示差走査熱量計(DSC)を用いて試料の転移温度測定を行った場合に、吸熱ピークのピークトップ温度が存在しないことを意味する。
【0047】
スチレンを含む単量体組成物(B0)は、必要により他の単量体を併用してもよく、結晶性ビニル樹脂(A)で例示した単量体と同様のものが挙げられる。これらの単量体は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよく、例えば、スチレン-アルキル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-アルキル(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、及びスチレン-アルキル(メタ)アクリレート-アクリロニトリル共重合体等が挙げられる。
上記のうち好ましくはスチレン-アルキル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-アルキル(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、及びスチレン-アルキル(メタ)アクリレート-アクリロニトリル共重合体等であり、更に好ましくはスチレン-アルキル(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸共重合体、及びスチレン-アルキル(メタ)アクリレート-アクリロニトリル共重合体等である。
【0048】
本発明における非晶性ビニル樹脂(B)は、結晶性ビニル樹脂(A)と同様の方法で製造できる。ラジカル重合の場合のラジカル反応開始剤(c)も同様のものが挙げられる。
【0049】
本発明において、結晶性ビニル樹脂(A)の含有割合は、低温定着性、保存安定性及び定着ローラーからの分離性の観点から、トナーバインダーの重量を基準として35~99重量%であることが好ましい。より好ましくは40~80重量%であり、さらに好ましくは50~80重量%であり、特に好ましくは60~80重量%である。
【0050】
本発明において、非晶性ビニル樹脂(B)等のその他の樹脂を含む場合、その他の樹脂の含有割合は、低温定着性、保存安定性及び定着ローラーからの分離性の観点から、トナーバインダーの重量を基準として好ましくは1~65重量%であり、より好ましくは20~60重量%であり、さらに好ましくは20~50重量%であり、特に好ましくは20~40重量%である。
【0051】
本発明のトナーバインダーのガラス転移温度(Tg)は、低温定着性と耐熱保存性の観点から、25~80℃であることが好ましく、さらに好ましくは40~65℃である。
Tgが80℃以下であると低温定着性が良好になり、25℃以上であると保存安定性が良好になる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えばTA Instruments(株)製、DSCQ20を用いて、ASTM D3418-82に規定の方法(DSC法)で測定することができる。
【0052】
本発明のトナーバインダーの吸熱ピークのピークトップ温度(TmC)は、低温定着性及び保存安定性の観点から、好ましくは40~100℃であり、より好ましくは45~90℃である。吸熱ピークトップ温度が40℃以上の場合は保存安定性が良好となり、100℃以下の場合は低温定着性が良好となる。
トナーバインダーの吸熱ピークのピークトップ温度(TmC)は結晶性ビニル樹脂(A)と同様の条件で測定することができる。
【0053】
本発明のトナーバインダーの酸価は、帯電安定性及び保存安定性の観点から、60mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が60mgKOH/g以下であると吸熱ピークのピークトップ温度(TmC)が上がることや吸湿性が下がることで保存安定性が良好になる。トナーバインダーの酸価は、より好ましくは1~50mgKOH/gであり、さらに好ましくは2~40mgKOH/gである。
トナーバインダーの酸価は、結晶性ビニル樹脂(A)及び必要により添加する非晶性ビニル樹脂(B)を構成する単量体の酸価や酸価を有する単量体の含有量で調整できる。トナーバインダーの酸価は、例えばJISK0070などの方法で測定される。
【0054】
本発明のトナーバインダーの重量平均分子量(Mw)は、保存安定性及び低温定着性と定着ローラーからの分離性との両立の観点から、5,000~200,000が好ましく、より好ましくは10,000~180,000、さらに好ましくは20,000~150,000であり、特に好ましくは25,000~100,000である。
トナーバインダーの重量平均分子量は結晶性ビニル樹脂(A)と同様の条件で測定することができる。
【0055】
トナーバインダーの製造方法について説明する。
トナーバインダーは結晶性ビニル樹脂(A)を含有していれば特に限定されず、例えば結晶性ビニル樹脂(A)、必要により用いるその他の樹脂及び添加剤を混合する場合の混合方法は公知の方法でよく、混合方法としては、粉体混合、溶融混合及び溶剤混合等が挙げられる。また、結晶性ビニル樹脂(A)、必要により用いるその他の樹脂及び添加剤は、トナーを製造するときに同時に混合してもよい。
【0056】
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間に均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続式混合装置としては、スタティックミキサー、エクストルーダー、コンティニアスニーダー及び3本ロール等が挙げられる。
溶剤混合の方法としては、結晶性ビニル樹脂(A)及びその他の樹脂を溶剤(酢酸エチル、THF及びアセトン等)に溶解し、均一化させた後、脱溶剤及び粉砕する方法や、結晶性ビニル樹脂(A)及びその他の樹脂を溶剤(酢酸エチル、THF及びアセトン等)に溶解し、水中に分散させた後、造粒及び脱溶剤する方法等が挙げられる。
【0057】
また、本発明のさらに好適なトナーバインダーの製造方法としては、低温定着性、帯電安定性及び保存安定性の観点から、結晶性ビニル樹脂(A)の存在下、非晶性ビニル樹脂(B)の単量体組成物(B0)を重合させ、結晶性ビニル樹脂(A)と非晶性ビニル樹脂(B)を含有するトナーバインダーを得る製造方法が挙げられる。
【0058】
結晶性ビニル樹脂(A)の存在下で非晶性ビニル樹脂(B)の単量体組成物(B0)を重合する場合は、当該工程における重合温度は110℃~190℃であることが均一性や生産性の観点から好ましい。重合温度は、より好ましくは120~190℃であり、さらに好ましくは130~190℃であり、特に好ましくは140~170℃であり、最も好ましくは140~155℃である。重合温度が190℃以下であると結晶性ビニル樹脂(A)の分解が起こりにくく保存安定性を良好なものとすることができる。重合温度が110℃以上であると結晶性ビニル樹脂(A)の粘度が低くなり、結晶性ビニル樹脂(A)と単量体組成物(B0)との均一性が良好なものとすることができ、より均一性に優れたトナーバインダーを得ることが可能になる。
【0059】
結晶性ビニル樹脂(A)の存在下で非晶性ビニル樹脂(B)の単量体組成物(B0)を重合する場合は、当該工程における、反応前の非晶性ビニル樹脂(B)の単量体組成物(B0)と結晶性ビニル樹脂(A)の重量比[(B0):(A)]が、[1:99]~[65:35]であることが好ましく、より好ましくは[20:80]~[60:40]であり、さらに好ましくは[40:60]~[60:40]である。
【0060】
結晶性ビニル樹脂(A)の存在下で非晶性ビニル樹脂(B)の単量体組成物(B0)を重合する場合は、重合工程以外の他の工程を含んでいてもよい。他の工程としては特に制限されず、一般的なトナーバインダーの製造工程で行われる工程を採用することができる。
他の工程としては、例えば、有機溶剤や開始剤分解残渣等を除去するため重合工程後に反応系内を減圧する工程(減圧工程)、重合工程により得られたトナーバインダーを取り出して粉砕する工程(粉砕工程)等挙げられる。
【0061】
前記減圧工程の温度は好ましくは110~190℃であり、より好ましくは130~190℃であり、更に好ましくは140~170℃である。
【0062】
前記減圧工程の減圧度は、保存安定性及び生産性の観点から、好ましくは0.01~30kPa、より好ましくは0.05~20kPa、更に好ましくは0.08~10kPa、特に好ましくは0.1~5kPaである。
【0063】
本発明のトナーバインダーは、トナーへ適用することが有用である。トナーは、本発明のトナーバインダーを含有する。
【0064】
トナーは、本発明のトナーバインダー以外に、必要により、着色剤、離型剤、荷電制御剤及び流動化剤等から選ばれる1種以上の公知の添加剤を含有してもよい。
【0065】
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料及び顔料等のすべてを使用することができる。例えば、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられる。着色剤は、これらのいずれか単独であってもよく、2種以上が混合されたものであってもよい。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末若しくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、トナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1~40重量部、より好ましくは3~10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、トナーバインダー100重量部に対して、好ましくは20~150重量部、より好ましくは40~120重量部である。
【0066】
離型剤としては、定試験力押出形細管式レオメータフローテスタによるフロー軟化点(T1/2)が50~170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナバワックス、モンタンワックス及びそれらの脱酸ワックス、エステルワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
【0067】
離型剤のフロー軟化点(T1/2)は以下の条件で測定される値である。
<フロー軟化点(T1/2)の測定方法>
試験力押出形細管式レオメータフローテスタ[たとえば、(株)島津製作所製、CFT-500D]を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)をフロー軟化点(T1/2)とする。
【0068】
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-ヘキセン、1-ドデセン、1-オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及びそれをさらに熱減成して得られるものを含む](例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体)、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1~18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1~18)エステル等]等との共重合体等が挙げられる。
【0069】
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のHi-Mic-2095、Hi-Mic-1090、Hi-Mic-1080、Hi-Mic-1070、Hi-Mic-2065、Hi-Mic-1045、Hi-Mic-2045等が挙げられる。
【0070】
パラフィンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のParaffin WAX-155、Paraffin WAX-150、Paraffin WAX-145、Paraffin WAX-140、Paraffin WAX-135、HNP-3、HNP-5、HNP-9、HNP-10、HNP-11、HNP-12、HNP-51等が挙げられる。
【0071】
フィッシャートロプシュワックスとしては、サゾール社製のSasolwax C80等が挙げられる。
【0072】
カルナバワックスとしては、株式会社加藤洋行社製の精製カルナウバワックス 特製1号等が挙げられる。
【0073】
エステルワックスとしては、脂肪酸エステルワックス(例えば、日油社製のニッサンエレクトールWEP-2、WEP-3、WEP-4、WEP-5及びWEP-8等)等が挙げられる。
【0074】
高級アルコール類としては、炭素数30~50の脂肪族アルコール等であり、例えばトリアコンタノールが挙げられる。脂肪酸類としては、炭素数30~50の脂肪酸等であり、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
【0075】
脂肪酸アミドとしては、三菱ケミカル社製のダイヤミッドY、ダイヤミッド200等が挙げられる。
【0076】
荷電制御剤としては、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよく、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素ポリマー及びハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
【0077】
流動化剤としては、シリカ、チタニア、アルミナ、炭酸カルシウム、脂肪酸金属塩、シリコーン樹脂粒子及びフッ素樹脂粒子等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。トナーの帯電性の観点からシリカが好ましい。また、シリカは、トナーの転写性の観点から疎水性シリカであることが好ましい。
【0078】
トナー中のトナーバインダーの含有量はトナー重量に基づき、好ましくは30~97重量%、より好ましくは40~95重量%、更に好ましくは45~92重量%である。
着色剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0.05~60重量%、より好ましくは0.1~55重量%、更に好ましくは0.5~50重量%である。
離型剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0.5~20重量%、更に好ましくは1~10重量%である。
荷電制御剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0~20重量%、より好ましくは0.1~10重量%、更に好ましくは0.5~7.5重量%である。
流動化剤の含有量はトナー重量に基づき、好ましくは0~10重量%、より好ましくは0~5重量%、更に好ましくは0.1~4重量%である。
また、添加剤の含有量の合計量はトナー重量に基づき、好ましくは3~70重量%、より好ましくは4~58重量%、更に好ましくは5~50重量%である。
トナーの組成比を上記の範囲とすることで、低温定着性と定着ローラーからの高い分離性を両立させつつ、帯電安定性が良好なトナーを容易に得ることができる。
【0079】
トナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法及び重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5~20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター{例えば、商品名:マルチサイザーIII[ベックマン・コールター(株)製]}を用いて測定される。
【0080】
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3~15μmが好ましい。
【0081】
トナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。キャリア粒子を用いる場合、トナーとキャリア粒子との重量比は、1/99~99/1が好ましい。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
なお、トナーは、キャリア粒子を含まなくてもよい。
【0082】
トナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法及びフラッシュ定着方法等が適用できる。
【0083】
本発明のトナーバインダーを用いて作製したトナーは、電子写真法、静電記録法や静電印刷法等において、静電荷像または磁気潜像の現像に用いられる。さらに詳しくは、特にフルカラー用に好適な静電荷像または磁気潜像の現像に用いられる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り「部」は重量部を示す。
【0085】
結晶性ビニル樹脂及びトナーバインダーの各物性値については次の方法により測定した。
【0086】
酸価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。ただし、測定溶媒はアセトン、メタノール及びトルエンの混合溶媒(アセトン:メタノール:トルエン=12.5:12.5:75)とした。
【0087】
重量平均分子量は、下記の条件でGPCを用いて測定した。
装置:HLC-8120 [東ソー(株)製]
カラム:TSK GEL GMH6 2本 [東ソー(株)製]
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
移動相: テトラヒドロフラン(重合禁止剤を含まない)
試料溶液注入量:100μL
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1,050 2,800 5,970 9,100 18,100 37,900 96,400 190,000 355,000 1,090,000 2,890,000)[東ソー(株)製]
重量平均分子量の測定では、0.25重量%になるように試料をTHFに溶解し、不溶解分を孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ別したものを試料溶液とした。
【0088】
結晶性ビニル樹脂(A)の吸熱ピークのピークトップ温度(TmA)は、示差走査熱量計「DSCQ20」[TA Instruments(株)製]を用いて測定した。結晶性ビニル樹脂(A)を20℃から10℃/分の条件で150℃まで第1回目の昇温を行い、続いて150℃から10℃/分の条件で0℃まで冷却し、続いて0℃から10℃/分の条件で150℃まで第2回目の昇温をした際の第2回目の昇温過程の吸熱ピークのトップを示す温度を結晶性ビニル樹脂(A)の吸熱ピークのピークトップ温度(TmA)とした。トナーバインダー(C)の吸熱ピークトップ温度(Tmc)も(TmA)と同様に測定した。
【0089】
ガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments(株)製DSC Q20を用いて、ASTM D3418-82に規定の方法(DSC法)で測定した。ガラス転移温度の測定条件を記載する。
<測定条件>
(1)30℃から20℃/分で150℃まで昇温
(2)150℃で10分間保持
(3)20℃/分で-35℃まで冷却
(4)-35℃で10分間保持
(5)20℃/分で150℃まで昇温
(6)(5)の過程にて測定される示差走査熱量曲線を解析した。
【0090】
<製造例1>[ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、ベヘニルアルコール[Sasol社製]50.0部、トルエン50.0部、アクリル酸カルボキシエチル[富士フィルム和光純薬(株)製、以下同様]22.0部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2.0部を加え、30分撹拌した後、空気を30mL/分の流量で吹き込みながら95℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を40kPaに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30.0部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物を得た。
【0091】
<製造例2>[ステアリルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、ステアリルアルコール[日油(株)製]50.0部、トルエン50.0部、アクリル酸カルボキシエチル26.6部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2.0部を加え、30分撹拌した後、空気を30mL/分の流量で吹き込みながら95℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を40kPaに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、ステアリルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物を得た。
【0092】
<製造例3>[1-トリアコンタノールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、1-トリアコンタノール[東京化成工業(株)製、以下同様]50.0部、トルエン50.0部、アクリル酸カルボキシエチル16.4部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2.0部を加え、30分撹拌した後、空気を30mL/分の流量で吹き込みながら95℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を40kPaに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、1-トリアコンタノールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物を得た。
【0093】
<製造例4>[ベヘニルメタクリレートとメタクリル酸のマイケル付加物の合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器にメタクリル酸[三菱ケミカル株式会社製]97.3部、トルエン445.0部、ベヘニルメタクリレート[BASF(株)製]445.0部、ハイドロキノン1.5部を投入し、撹拌して均一化した。その後、トリエチルアミン[(株)ダイセル製]10.0部を加え、30分撹拌した後、90℃で5時間反応させた。その後、反応溶液を室温まで冷却後、10重量%塩酸35.0部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン1.5部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、ベヘニルメタクリレートとメタクリル酸のマイケル付加物を得た。
【0094】
<製造例5>[結晶性ビニル樹脂(A-1)の製造]
オートクレーブにキシレン175.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート440.0部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物10.0部、スチレン150.0部、アクリロニトリル150.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン65.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを3.0部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-1)を得た。
【0095】
<製造例6>[結晶性ビニル樹脂(A-2)の製造]
オートクレーブにキシレン175.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート429.0部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物21.0部、スチレン150.0部、アクリロニトリル150.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン65.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを3.0部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-2)を得た。
【0096】
<製造例7>[結晶性ビニル樹脂(A-3)の製造]
オートクレーブにキシレン175.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート447.2部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物2.8部、スチレン150.0部、アクリロニトリル150.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン65.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを3.0部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-3)を得た。
【0097】
<製造例8>[結晶性ビニル樹脂(A-4)の製造]
オートクレーブにキシレン175.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ステアリルアクリレート520.0部、ステアリルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物5.0部、スチレン150.0部、アクリロニトリル75.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.2部、及びキシレン65.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にステアリルアクリレートの反応率を確認した。ステアリルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.1部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-4)を得た。
【0098】
<製造例9>[トリアコンチルアクリレートの合成]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、空気導入管、減圧装置、減水装置を備えた反応容器に、1-トリアコンタノール50部、トルエン50部、アクリル酸12部、ハイドロキノン0.05部を投入し、撹拌して均一化した。その後、パラトルエンスルホン酸2部を加え、30分撹拌した後、空気を30mL/分の流量で吹き込みながら100℃で生成する水を除去しながら5時間反応させた。その後、反応容器内の圧力を40kPaに調整し、生成する水を除去しながらさらに3時間反応させた。反応溶液を室温まで冷却後、10重量%水酸化ナトリウム水溶液30部を加えて1時間撹拌したのち静置して有機相と水相を分離させた。有機相を分液及び遠心分離操作で採取し、ハイドロキノン0.01部を投入し、空気を吹き込みながら減圧で溶媒を除去し、トリアコンチルアクリレートを得た。
【0099】
<製造例10>[結晶性ビニル樹脂(A-5)の製造]
オートクレーブにキシレン175.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。トリアコンチルアクリレート665.0部、1-トリアコンタノールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物10.0部、スチレン37.5部、ブチルアクリレート37.5部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン65.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にトリアコンチルアクリレートの反応率を確認した。トリアコンチルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを3.0部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-5)を得た。
【0100】
<製造例11>[結晶性ビニル樹脂(A-6)の製造]
オートクレーブにキシレン180.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート410.0部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物10.0部、スチレン140.0部、アクリル酸メチル140.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.4部、及びキシレン105.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン15.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.7部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-6)を得た。
【0101】
<製造例12>[結晶性ビニル樹脂(A-7)の製造]
オートクレーブにトルエン208.0部を仕込み、密閉状態で60℃まで昇温した。ベヘニルメタクリレート357.5部、ベヘニルメタクリレートとメタクリル酸のマイケル付加物2.5部、スチレン90.0部、メタクリロニトリル102.0部、メタクリル酸48.0部、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)[富士フィルム和光純薬(株)製、以下同様]0.6部、及びトルエン176.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を60℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをトルエン16.0部で洗浄した。更に同温度で4時間保持した後、1時間かけて80℃に昇温し、80℃で1時間保持した。70℃まで冷却後にベヘニルメタクリレートの反応率を確認した。ベヘニルメタアクリレートの反応率が95%未満であったため、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)を0.3部投入し、80℃で2時間反応させ、反応率が95%以上まで反応させた。120℃で6時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-7)を得た。
【0102】
<製造例13>[結晶性ビニル樹脂(A-8)の製造]
オートクレーブにキシレン245.0部、ベヘニルアクリレート250.0部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物10.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温し、170℃で2時間保持した。スチレン233.4部、アクリル酸メチル130.0部、アクリル酸26.7部、ジ-t-ブチルパーオキシド2.6部、及びキシレン91.0部の混合溶液を25℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、1.5時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン14.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.3部投入し、170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-8)を得た。
【0103】
<製造例14>[結晶性ビニル樹脂(A-9)の製造]
オートクレーブにキシレン162.5部、ベヘニルアクリレート715.0部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物35.0部を仕込み、撹拌下解放状態で130℃まで昇温後、130℃で密閉にした。2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.3部、及びキシレン80.0部の混合溶液を25℃に温調し、オートクレーブ内温度を130℃にコントロールしながら、2時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン7.5部で洗浄した。70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%以上であったため、170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-9)を得た。
【0104】
<製造例15>[結晶性ビニル樹脂(A-10)の製造]
オートクレーブにキシレン137.5部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート445.0部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物5.0部、スチレン75.0部、アクリロニトリル150.0部、メトキシ-ポリエチレングリコールアクリレート[ライトアクリレート130A、共栄社化学(株)]75.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン100.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン12.5部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを1.3部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-10)を得た。
【0105】
<製造例16>[結晶性ビニル樹脂(A-11)の製造]
オートクレーブにキシレン112.5部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート440.0部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物10.0部、スチレン75.0部、アクリル酸メチル70.5部、アクリロニトリル112.5部、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート[ライトアクリレート1.6HX-A、共栄社化学(株)]4.5部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル[日本触媒(株)製]37.5部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン130.0部の混合溶液を50℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン7.5部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、60℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを1.9部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で3時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A-11)を得た。
【0106】
<比較製造例1>[結晶性ビニル樹脂(A’-1)の製造]
オートクレーブにキシレン175.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート448.2部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物1.8部、スチレン150.0部、アクリロニトリル150.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン65.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを3.0部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A’-1)を得た。
【0107】
<比較製造例2>[結晶性ビニル樹脂(A’-2)の製造]
オートクレーブにキシレン175.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート450.0部、スチレン150.0部、アクリロニトリル150.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン65.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを3.0部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A’-2)を得た。
【0108】
<比較製造例3>[結晶性ビニル樹脂(A’-3)の製造]
オートクレーブにキシレン175.0部を仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態で170℃まで昇温した。ベヘニルアクリレート425.0部、ベヘニルアルコールとアクリル酸カルボキシエチルの反応物25.0部、スチレン150.0部、アクリロニトリル150.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド1.5部、及びキシレン65.0部の混合溶液を60℃に温調し、オートクレーブ内温度を170℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン10.0部で洗浄した。更に同温度で0.5時間保持した後、70℃まで冷却後にベヘニルアクリレートの反応率を確認した。ベヘニルアクリレートの反応率が95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを3.0部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行い、結晶性ビニル樹脂(A’-3)を得た。
【0109】
結晶性ビニル樹脂(A-1)~(A-11)及び(A’-1)~(A’-3)の組成及び物性値を表1に示す。
【0110】
【0111】
<実施例1>[トナーバインダー(C-1)の製造]
オートクレーブにキシレン23.4部、結晶性ビニル樹脂(A-1)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン8.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.3部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-1)を得た。
【0112】
<実施例2>[トナーバインダー(C-2)の製造]
オートクレーブにキシレン23.4部、結晶性ビニル樹脂(A-2)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン8.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.3部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-2)を得た。
【0113】
<実施例3>[トナーバインダー(C-3)の製造]
オートクレーブにキシレン23.4部、結晶性ビニル樹脂(A-3)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン8.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.3部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-3)を得た。
【0114】
<実施例4>[トナーバインダー(C-4)の製造]
オートクレーブにキシレン23.4部、結晶性ビニル樹脂(A-4)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン8.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.3部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-4)を得た。
【0115】
<実施例5>[トナーバインダー(C-5)の製造]
オートクレーブにキシレン20.0部、結晶性ビニル樹脂(A-5)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン33.0部、ブチルアクリレート15.0部、アクリロニトリル12.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.05部、及びキシレン11.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を150℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.7部で洗浄した。更に150℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.12部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-5)を得た。
【0116】
<実施例6>[トナーバインダー(C-6)の製造]
オートクレーブにキシレン15.0部、結晶性ビニル樹脂(A-6)を80.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン11.0部、ブチルアクリレート5.0部、アクリロニトリル4.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.02部、及びキシレン8.8部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を150℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.3部で洗浄した。更に150℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.05部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-6)を得た。
【0117】
<実施例7>[トナーバインダー(C-7)の製造]
オートクレーブに結晶性ビニル樹脂(A-7)を95.0部仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換し、撹拌下密閉状態で140℃まで昇温した。スチレン3.6部、ブチルアクリレート1.4部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.01部、及びキシレン4.3部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を150℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.1部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.02部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で1時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-7)を得た。
【0118】
<実施例8>[トナーバインダー(C-8)の製造]
オートクレーブにキシレン13.3部、結晶性ビニル樹脂(A-8)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン19.0部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.0部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.04部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-8)を得た。
【0119】
<実施例10>[トナーバインダー(C-10)の製造]
オートクレーブにキシレン13.3部、結晶性ビニル樹脂(A-10)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン30.0部、ブチルアクリレート12.0部、アクリル酸メチル6.0部、アクリロニトリル12.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.05部、及びキシレン18.3部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を150℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン18.3部で洗浄した。更に150℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.11部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-10)を得た。
【0120】
<実施例11>[トナーバインダー(C-11)の製造]
オートクレーブにキシレン29.6部、結晶性ビニル樹脂(A-11)を60.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン16.8部、ブチルアクリレート6.4部、アクリル酸メチル6.8部、アクリロニトリル10.0部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.03部、及びキシレン17.3部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン2.5部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。60℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%未満であったため、さらにジ-t-ブチルパーオキシドを0.11部投入し、反応率が95%以上まで反応させた。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C-11)を得た。
【0121】
<比較例1>[トナーバインダー(C’-1)の製造]
オートクレーブにキシレン23.4部、結晶性ビニル樹脂(A’-1)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン8.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.3部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C’-1)を得た。
【0122】
<比較例2>[トナーバインダー(C’-2)の製造]
オートクレーブにキシレン23.4部、結晶性ビニル樹脂(A’-2)を40.0部仕込み、撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン8.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.3部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C’-2)を得た。
【0123】
<比較例3>[トナーバインダー(C’-3)の製造]
オートクレーブにキシレン23.4部、結晶性ビニル樹脂(A’-3)を40.0部仕込んだ。撹拌下解放状態で140℃まで昇温後、撹拌下密閉状態にした。スチレン42.9部、ブチルアクリレート16.2部、アクリル酸0.9部、ジ-t-ブチルパーオキシド0.09部、及びキシレン8.7部の混合溶液を、オートクレーブ内温度を140℃にコントロールしながら、3時間かけて滴下し重合を行った。滴下後、滴下ラインをキシレン1.3部で洗浄した。更に140℃で1時間保持した後、170℃まで1時間かけて昇温し、開始剤を分解させた。120℃まで冷却後にスチレンの反応率を確認したところ95%以上であった。170℃で5時間0.5~2.5kPaの減圧下で脱溶剤を行った。得られたものを冷却することにより、トナーバインダー(C’-3)を得た。
【0124】
トナーバインダー(C-1)~(C-11)及び(C’-1)~(C’-3)の組成及び物性値を表2に示す。なおトナーバインダー(C-9)は結晶性ビニル樹脂(A-9)をそのままトナーバインダーとして使用した。
【0125】
【0126】
<実施例12> [トナー(T-1)の製造]
実施例1に係るトナーバインダー(C-1)86部に対して、顔料のカーボンブラック[三菱ケミカル(株)製、MA-100]7部、離型剤のフィッシャー・トロプッシュワックス[日本精蝋(株)製、FT-0070]5部、荷電制御剤[保土谷化学工業(株)製、T-77]1部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製、FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製、PCM-30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[(株)栗本鐵工所製、KJ-25]を用いて微粉砕した後、エルボージェット分級機[(株)マツボー製、EJ-L-3(LABO)型]で分級し、体積平均粒径D50が7μmのトナー粒子を得た。
ついで、トナー粒子100部に流動化剤として疎水性シリカ[日本アエロジル(株)製、アエロジルR972]1部をサンプルミルにて混合して、実施例12に係るトナー(T-1)を得た。
【0127】
<実施例13~22> [トナー(T-2)~(T-11)の製造]
表3に記載した原料の配合部数で、実施例12と同様にトナーを製造し、実施例13~22に係るトナー(T-2)~(T-11)を得た。
【0128】
<比較例4~6> [トナー(T’-1)~(T’-3)の製造]
表3に記載した原料の配合部数で、実施例12と同様にトナーを製造し、比較例4~6に係るトナー(T’-1)~(T’-3)を得た。
【0129】
各実施例及び比較例で得られたトナーバインダーを使用したトナーの組成と評価結果を表3に示す。
【0130】
【0131】
[評価方法]
以下に、得られたトナー(T-1)~(T-11)及び(T’-1)~(T’-3)の低温定着性、定着ローラーからの分離性、帯電安定性及び保存安定性の測定方法と評価方法を、判定基準を含めて説明する。
【0132】
<低温定着性>
トナーを紙面上に1.00mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)213mm/秒、加熱ローラーの温度90~180℃の範囲を5℃刻みで通した。次に定着画像へのコールドオフセットの有無を目視し、コールドオフセットの発生温度(MFT)を測定した。
コールドオフセットの発生温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味し、この評価条件では、MFTは一般には125℃以下であることが好ましい。
【0133】
<定着ローラーからの分離性>
トナーを紙面上に1.00mg/cm2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。この紙をソフトローラーに定着速度(加熱ローラーの周速)320mm/秒、加熱ローラーの温度150~180℃の範囲を5℃刻みで、1回ずつ通し、紙が変形して出てきた累計回数をカウントした。累計回数が少ないほど定着ローラーからの分離性が優れることを意味する。下記の判定基準で判定を行った。この評価条件では、◎または○であることが好ましい。
[判定基準]
◎:紙が変形して出てきた累計回数が0
○:紙が変形して出てきた累計回数が1または2
△:紙が変形して出てきた累計回数が3または4
×:紙が変形して出てきた累計回数が5以上
【0134】
<帯電安定性>
トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック(株)製、F-150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。調湿したトナーが入った前記のガラス瓶を密栓し、ターブラーシェーカーミキサーにセットして50rpmで10分間及び60分間摩擦撹拌し、それぞれの時間での帯電量をブローオフ帯電量測定装置[京セラケミカル(株)製]を用いて測定した。
得られた値を用いて「摩擦時間60分後の帯電量/摩擦時間10分後の帯電量」を計算し、これを帯電安定性指数とした。
本帯電安定性指数が大きいほど帯電維持率に優れることを意味する。この評価条件では0.8以上であると好ましい。
【0135】
<保存安定性>
トナー1gとアエロジルR8200(エボニックジャパン(株)製)0.013gをシェイカーで1時間混合し、混合物を密閉容器に入れ、温度45℃、湿度80%の雰囲気で48時間静置し、パウダーテスターで凝集性を測定し、保存安定性を評価した。
下記方法により求められる凝集性試験の数値が低いほど、保存安定性に優れることを意味する。この評価条件では、10%以下であることが好ましい。
装置: POWDER TESTER model PT-X(ホソカワミクロン製)
篩の目開き: 355μm、250μm、150μm
振動幅: 1mm
振動時間: 30秒
操作方法: パウダーテスターの振動台に、篩を上段355μm、中段250μm、下段150μmの順でセットし、上段の篩にトナーを1g乗せ、1mmの振動幅で30秒間振動させて、各篩上に残存したトナーの重量を測定。
凝集性: 測定に使用したトナー重量と篩後の残存トナー重量から算出。
凝集性(%)=(U/N+M/N×3/5+L/N×1/5)×100
U:上段の重量、M:中段の重量、L:下段の重量、N:サンプルの重量(1g)
【0136】
表3の評価結果から明らかなように、実施例12~22に係るトナー(T-1)~(T-11)はいずれもすべての性能評価において優れた結果が得られた。一方、比較例4~6に係るトナー(T’-1)~(T’-3)は、いくつかの性能項目が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明のトナーバインダーは、低温定着性及び定着ローラーからの分離性を両立させつつ、帯電安定性及び保存安定性を満足させる点で優れており、電子写真、静電記録や静電印刷等に用いる、静電荷像現像用トナーとして好適に使用できる。
さらに、塗料用添加剤、接着剤用添加剤、電子ペーパー用粒子などの用途として有用である。