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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/14 20060101AFI20221212BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20221212BHJP
【FI】
G01S5/14
G01S5/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021142172
(22)【出願日】2021-09-01
(62)【分割の表示】P 2016161504の分割
【原出願日】2016-08-19
(65)【公開番号】P2021183987
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】平間 美香
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-520171(JP,A)
【文献】特開2014-078916(JP,A)
【文献】特開2016-050861(JP,A)
【文献】特表2000-511369(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0290924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
G01S 19/00 - 19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測位の対象となる領域内に設置された複数の第1通信機と、前記領域内を移動する第2通信機との間の近距離無線通信の電波強度を時間帯ごとに記録する記録手段と、
第1通信機と第2通信機の組合せによって異なり、同一の時間帯で記録された前記電波強度の中から、最大の電波強度を抽出し、当該最大の電波強度を抽出した日時と同一の日時において、当該最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せ以外の組合せで一又は複数の上位の電波強度を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した前記最大の電波強度が閾値以上であることを条件に、前記第2通信機の位置を、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置とし、前記抽出手段が抽出した前記最大の電波強度が閾値未満であることを条件に、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置と、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せ以外の組合せで抽出した上位の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置とに基づいて、前記第2通信機の位置を求める測位手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が、各領域の境界部分に設置されている場合には、当該最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置されていない領域にある前記第1通信機の電波強度から上位の電波強度を抽出し、
前記測位手段は、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置されていない領域にある前記第1通信機の電波強度に基づいて、二点測位又は三点測位により前記第2通信機の位置を求める、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記測位手段は、前記抽出手段が抽出した前記最大の電波強度が閾値未満であることを条件に、前記第1通信機ごとに測位方式が指定された測位設定情報に基づいて、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置と、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せ以外の組合せで抽出した上位の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置とに基づいて、前記第2通信機の位置を求める、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置を、
測位の対象となる領域内に設置された複数の第1通信機と、前記領域内を移動する第2通信機との間の近距離無線通信の電波強度を時間帯ごとに記録する記録手段と、
第1通信機と第2通信機の組合せによって異なり、同一の時間帯で記録された前記電波強度の中から、最大の電波強度を抽出し、当該最大の電波強度を抽出した日時と同一の日時において、当該最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せ以外の組合せで、一又は複数の上位の電波強度を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した前記最大の電波強度が閾値以上であることを条件に、前記第2通信機の位置を、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置とし、前記抽出手段が抽出した前記最大の電波強度が閾値未満であることを条件に、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置と、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せ以外の組合せで抽出した上位を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける電波強度の前記第1通信機が設置された位置とに基づいて、前記第2通信機の位置を求める測位手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、近距離無線技術を利用した測位システムが知られている。このような測位システムは、発信器から送信された発信器を識別可能な発信器コードと、送信された発信器コードの電波強度とに基づいて、発信器コードを受信した受信器の位置を測位している。また、測位システムは、複数の発信器から送信された識別情報と、その電波強度とに基づいて測位することで、受信器の位置の精度を高めている。さらに、測位システムは、複数の発信器から送信された発信器コードと、その電波強度とに基づいて測位する場合には、各発信器から送信された電波強度の比率により受信器の位置を測位している。
【0003】
ところで、発信器から送信される発信器コードの電波強度は、様々な要因によって変化し、発信器が設置される環境によっては、想定しているよりも強い電波強度が観測される場合がある。このような場合、従来の測位システムでは、受信器と発信器とが略同じ位置に存在する場合であっても、他の発信器から送信された発信器コードと、その電波強度とを含めて受信器の位置を測位する。すなわち、従来の測位システムは、近くにない発信器から送信された発信器コードの電波強度が想定よりも強い場合に、その電波強度の影響を強く受けるため、受信器の位置を正しく測位することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、正しい位置を測位することができる情報処理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の情報処理装置は、記録手段と、抽出手段と、測位手段とを備える。前記記録手段は、測位の対象となる領域内に設置された複数の第1通信機と、前記領域内を移動する第2通信機との間の近距離無線通信の電波強度を時間帯ごとに記録する。前記抽出手段は、第1通信機と第2通信機の組合せによって異なり、同一の時間帯で記録された前記電波強度の中から、最大の電波強度を抽出し、当該最大の電波強度を抽出した日時と同一の日時において、当該最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せ以外の組合せで一又は複数の上位の電波強度を抽出する。前記測位手段は、前記抽出手段が抽出した前記最大の電波強度が閾値以上であることを条件に、前記第2通信機の位置を、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置とし、前記抽出手段が抽出した前記最大の電波強度が閾値未満であることを条件に、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置と、前記最大の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せ以外の組合せで抽出した上位の電波強度を示す第1通信機と第2通信機の組合せにおける前記第1通信機が設置された位置とに基づいて、前記第2通信機の位置を求める。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る測位システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、発信器のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、受信器のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、サーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、測位設定テーブルのデータ構成の一例を示す説明図である。
図6図6は、測定値テーブルのデータ構成の一例を示す説明図である。
図7図7は、経路テーブルのデータ構成の一例を示す説明図である。
図8図8は、測位システムの各装置が有する特徴的な機能構成を示すブロック図である。
図9図9は、測位システムを操作するGUI画面の一例を示す説明図である。
図10図10は、受信処理の一例を示すフローチャート図である。
図11図11は、測位処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態に係る情報処理装置、測位システム、及びプログラムについて詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、情報処理装置、測位システム、及びプログラムの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。
【0008】
図1は、実施形態に係る測位システム1の一例を示す説明図である。測位システム1は、一又は複数の発信器10と、受信器20と、サーバ装置30とを備える。受信器20と、サーバ装置30とは、インターネットやVPN(Virtual Private Network)やLAN(Local Area Network)等のネットワーク40を介して、通信可能に接続されている。
【0009】
発信器10は、本実施形態の第1通信機に対応する。発信器10は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信により発信器10自身を識別可能な識別情報として発信器コードを送信する。発信器10は、測位システム1が導入された施設等の領域において、位置検出の要所となる各位置にそれぞれ設置される。
【0010】
受信器20は、スマートフォン等の携帯可能な測位対象の第2通信機である。受信器20は、発信器10から送信された発信器コードを受信する。受信器20は、発信器10から送信された発信器コードを受信したことを条件に、受信情報をサーバ装置30に送信する。受信情報とは、発信器10から発信器コードを受信したことを通知する情報である。受信情報は、受信器コードと、日時情報と、発信器コードと、受信電波強度とを含む。受信器コードは、受信器20を識別可能な識別情報である。すなわち、受信器コードは、受信情報の送信元となる受信器20を示す情報である。日時情報は、受信器20が発信器10から発信器コードを受信した日時を示す情報である。なお、日時情報は、時間帯を示す情報であってもよい。発信器コードは、受信器20が発信器10から受信した発信器コードである。受信電波強度は、発信器10と受信器20との間の近距離無線通信における電波強度である。さらに詳しくは、受信電波強度は、受信器20が発信器10から発信器コードを受信した際の電波強度である(以下、RSSI(Received Signal Strength Indicator)と称す)。
【0011】
サーバ装置30は、本実施形態の情報処理装置に対応する。サーバ装置30は、受信器20から送信された受信情報に基づいて、受信器20がある位置を測位する。また、サーバ装置30は、受信器20の移動経路が示された画面を表示する。なお、サーバ装置30は、一台で構成されていてもよいし、複数台で構成されていてもよい。
【0012】
次に、測位システム1における測位方法の概要を説明する。
【0013】
発信器10は、不特定の受信器20に発信器コードを送信する。受信器20は、一又は複数の発信器10から発信器コードを受信した場合に、各々の発信器コードに対応した受信情報をサーバ装置30に送信する。
【0014】
サーバ装置30は、受信情報を受信した場合に、予め定められた設定に基づいて、一点測位、二点測位及び三点測位の何れか一の測位方法により受信器20の位置を測位する。一点測位の場合には、サーバ装置30は、受信した発信器コードの発信器10の設置位置からRSSIに基づいて算出した距離の位置に受信器20があると判断する。
【0015】
二点測位の場合には、サーバ装置30は、受信した2つの発信器コードの各々の発信器10の設置位置と、各発信器コードのRSSIの比率とに基づいて、受信器20の位置を測位する。さらに詳しく、サーバ装置30は、各発信器10から受信したRSSIの比率を、受信器20から各発信器10まで距離の比率として距離を算出する。例えば、発信器Aと発信器Bとの距離が10mであったとする。この場合に、発信器Aから受信した発信器コードのRSSIが-50dBであり、発信器Bから受信した発信器コードのRSSIが-50dBであったとする。この場合には、サーバ装置30は、発信器Aから5mであり、且つ発信器Bから5mの距離に受信器20があると判定する。
【0016】
三点測位の場合には、サーバ装置30は、受信した3つの発信器コードの各々の発信器10の設置位置と、各発信器コードのRSSIに基づいて算出した距離とに基づいて、受信器20の位置を測位する。さらに詳しく、サーバ装置30は、各発信器10から受信した発信器コードのRSSIに基づいて、各発信器10から受信器20までの距離を算出する。そして、サーバ装置30は、各発信器10からの距離を満たす位置に受信器20があると判定する。例えば、発信器C、発信器D、及び発信器Eのそれぞれから受信した発信器コードのRSSIに基づいて、三点測位を実行した場合を例に説明する。RSSIに基づいて算出した発信器10から受信器20までの距離が、発信器Cでは3m、発信器Dでは4m、発信器Eでは5mであったとする。この場合には、サーバ装置30は、発信器Cから3mであり、且つ発信器Dから4mであり、且つ発信器Eから5mの距離に受信器20があると判定する。なお、三点測位は、発信器10が3つの場合に限らず、4つ以上の場合であっても実行することができる。
【0017】
次に、本実施形態に係る測位システム1が備える各装置のハードウェア構成について説明する。
【0018】
図2は、発信器10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。発信器10は、制御部101、記憶部102、及び近距離無線通信部103を備える。制御部101、記憶部102、及び近距離無線通信部103は、システムバス104を介して相互に接続している。
【0019】
制御部101は、発信器10の全体の動作を制御し、発信器10が有する各種の機能を実現する。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、発信器10の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりする記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部102等に格納されたプログラムを実行する。
【0020】
記憶部102は、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の不揮発性の記憶装置である。記憶部102は、制御プログラム105を記憶する。制御プログラム105は、オペレーティングシステムや、発信器10が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム105には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0021】
近距離無線通信部103は、BLE等の近距離無線通信により発信器コードを不特定の受信器20に送信する。
【0022】
図3は、受信器20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。受信器20は、制御部201、記憶部202、近距離無線通信部203、測定部204、センサ部205、通信部206、表示部207、及び操作部208を備える。制御部201、記憶部202、近距離無線通信部203、測定部204、センサ部205、通信部206、表示部207、及び操作部208は、システムバス209を介して相互に接続している。
【0023】
制御部201は、受信器20の全体の動作を制御し、受信器20が有する各種の機能を実現する。制御部201は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、受信器20の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりする記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部202等に格納されたプログラムを実行する。
【0024】
記憶部202は、フラッシュメモリや、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性の記憶装置である。記憶部202は、制御プログラム210を記憶する。制御プログラム210は、オペレーティングシステムや、受信器20が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム210には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0025】
近距離無線通信部203は、発信器10がBLE等の近距離無線通信により送信した発信器コードを受信する。
【0026】
測定部204は、近距離無線通信部203が受信した発信器コードのRSSIを測定する電子回路である。
【0027】
センサ部205は、受信器20の移動を検知するセンサである。例えば、センサ部205は、加速度センサ、角速度センサ、又は磁気センサ等である。
【0028】
通信部206は、ネットワーク40を介して、サーバ装置30と通信するためのインタフェースである。
【0029】
表示部207は、液晶表示装置(LCD)である。なお、表示部207は、液晶表示装置に限らず、有機EL表示装置等であってもよい。操作部208は、表示部207に積層されたタッチパネル等である。なお、操作部208は、タッチパネルに限らず、ハードウェアスイッチ等であってもよい。
【0030】
図4は、サーバ装置30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。サーバ装置30は、制御部301、記憶部302、通信部303、表示部304、及び操作部305を備える。制御部301、記憶部302、通信部303、表示部304、及び操作部305は、システムバス306を介して相互に接続している。
【0031】
制御部301は、サーバ装置30の全体の動作を制御し、サーバ装置30が有する各種の機能を実現する。制御部301は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、サーバ装置30の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりする記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部302等に格納されたプログラムを実行する。
【0032】
記憶部302は、HDDや、SSD等の不揮発性の記憶装置である。記憶部302は、制御プログラム307と、地図情報308と、測位設定テーブル309と、測定値テーブル310と、経路テーブル311とを記憶する。なお、地図情報308と、測位設定テーブル309と、測定値テーブル310と、経路テーブル311とは、サーバ装置30に限らず、受信器20等の他の装置が記憶していてもよい。
【0033】
制御プログラム307は、オペレーティングシステムや、サーバ装置30が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム307には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0034】
地図情報308は、測位システム1における受信器20を測位可能な範囲の地図を示した情報である。
【0035】
図5は、測位設定テーブル309のデータ構成の一例を示す説明図である。測位設定テーブル309は、発信器コードごとに受信器20の測位に関する各種設定を記憶したデータテーブルである。測位設定テーブル309は、発信器コードと、設置位置と、受信閾値と、接近閾値と、測位方式と、グループと、領域区分とを関連付けて記憶する。
【0036】
発信器コードは、対象の発信器コードを示す情報である。設置位置は、発信器コードを送信する発信器10が設置された位置を示す情報である。例えば、設置位置は、地図情報308において位置を示す座標である。または、設置位置は、緯度や経度等を示す情報であってもよい。受信閾値は、測位に用いるRSSIの下限の閾値である。接近閾値は、測位に用いるRSSIの上限の閾値である。測位方式は、測位方式の設定を示す情報である。例えば、測位方式は、一点測位、二点測位及び三点測位の何れか一つが設定される。なお、測位方式には、設置される場所に応じた方式を設定される。例えば、道幅が細い一本道等の道幅方向の何処に存在しているかを測位する必要がない場合等には、一点測位又は二点測位が好ましい。グループには、二点測量又は三点測量の場合に、RSSIの比較対象となる発信器10の発信器コードが設定される。二点測量又は三点測量を実行する場合に、RSSIを比較する発信器10は、グループから選択される。なお、グループに何れの発信器コードを設定するかは任意であるが、例えば対象の発信器コードの発信器10が設置されている位置周辺に設置されている発信器10の発信器コードを設定される。位置周辺に設置されている発信器10とは、例えば、隣接する発信器10等である。領域区分は、受信器20の測位する領域を指定する情報である。例えば、領域区分は、一階や二階等の階数の指定である。また、領域区分には、発信器10が設置された位置が隣接した各領域の境界部分である場合には、各領域の境界部分であることを示す情報が設定される。この場合には、グループに設定された他の領域にある発信器10の発信器コードのRSSIも測位の対象にされる。
【0037】
図6は、測定値テーブル310のデータ構成の一例を示す説明図である。測定値テーブル310は、受信器20が受信した発信器コードのRSSIを時系列順に記録したデータテーブルである。測定値テーブル310は、受信器コードと、日時情報と、発信器コードと、RSSIとを関連付けて記憶する。受信器コードは、発信器コードを受信した受信器20を識別可能な識別情報である。日時情報は、発信器コードを受信した日時を示す情報である。なお、日時情報は、時間帯を示す情報であってもよい。例えば、日時情報は、「2016/07/08 14:14:57」の場合には、「2016/07/08 14:14:57:00~2016/07/08 14:14:57:59」との時間帯を示す情報であってもよい。発信器コードは、受信した発信器コードを示す情報である。RSSIは、受信した発信器コードのRSSIの値を示す情報である。
【0038】
図7は、経路テーブル311のデータ構成の一例を示す説明図である。経路テーブル311は、測位システム1により測位された受信器20の経路を記憶したデータテーブルである。すなわち、経路テーブル311は、測位システム1により測位された受信器20の位置を時系列順に記憶したデータテーブルである。経路テーブル311は、受信器コードと、日時情報と、測位位置と、所在領域とを関連付けて記憶する。受信器コードは、測位された受信器20を示す受信器コードである。日時情報は、受信器20が測位された日時を示す情報である。なお、日時情報は、時間帯を示す情報であってもよい。測位位置は、測位された日時における受信器20の位置を示す情報である。所在領域は、測位された日時に受信器20があった領域を示す情報である。例えば、領域は、一階や二階等の回数を示す情報等である。
【0039】
通信部303は、ネットワーク40を介して、受信器20と通信するためのインタフェースである。
【0040】
表示部304は、液晶表示装置(LCD)である。なお、表示部304は、液晶表示装置に限らず、有機EL表示装置等であってもよい。
【0041】
操作部305は、キーボードや、マウス等の入力装置である。操作部305は、サーバ装置30に対する操作を受け付ける。
【0042】
次に、本実施形態に係る測位システム1が備える各装置が有する特徴的な機能について説明する。ここで、図8は、測位システム1の各装置が有する特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【0043】
発信器10の制御部101は、記憶部102に記憶された制御プログラム105をRAMに展開し、制御プログラム105に従って動作することで、図8に示す各機能部をRAMに生成する。具体的には、発信器10の制御部101は、機能部として、近距離無線通信制御部1001を備える。
【0044】
近距離無線通信制御部1001は、近距離無線通信部103を制御して、発信器10自身を識別可能な識別情報である発信器コードを送信する。なお、近距離無線通信制御部1001は、設定に応じて送信する発信器コードの電波強度を変更してもよい。近距離無線通信制御部1001は、発信器10の近くに電波の吸収体等がある場合には、より強い電波強度で発信器コードを送信することにより受信器20は適切な電波強度の発信器コードを受信することができる。
【0045】
受信器20の制御部201は、記憶部202に記憶された制御プログラム210をRAMに展開し、制御プログラム210に従って動作することで、図8に示す各機能部をRAMに生成する。具体的には、受信器20の制御部201は、機能部として、近距離無線通信制御部2001と、通信制御部2002と、表示制御部2003と、操作制御部2004と、受信制御部2006とを備える。
【0046】
近距離無線通信制御部2001は、近距離無線通信部203を制御して、発信器10から送信された発信器コードを受信する。
【0047】
通信制御部2002は、通信部206を制御して、サーバ装置30と通信する。表示制御部2003は、表示部207を制御して、各種画面を表示させる。
【0048】
操作制御部2004は、操作部208を制御して、各種装置を受け付ける。なお、操作制御部2004は、操作部208に限らず、ジェスチャー等により各種装置を受け付けてもよい。この場合には、センサ部205がジェスチャーを検知するモーションセンサを備えていればよい。そして、操作制御部2004は、モーションセンサを制御して、各種装置を受け付ければよい。
【0049】
測定制御部2005は、測定部204を制御して近距離無線通信部203が受信した発信器コードのRSSIを測定する。
【0050】
受信制御部2006は、近距離無線通信制御部2001による発信器コードの受信を制御する。さらに詳しくは、受信制御部2006は、受信器20の測位を開始する測位開始要求が入力されたことを条件に、発信器コードの受信を開始する。なお、測位開始要求は、通信制御部2002がサーバ装置30等から受け付けた情報であってもよし、操作制御部2004が受け付けた操作であってもよい。受信制御部2006は、測位開始要求が入力されたことを条件に、受信器20の測位の準備として測位に関する各種設定等が示された設定情報を要求する。すなわち、受信制御部2006は、測位設定テーブル309等の設定情報の送信要求を通信制御部2002に送信させる。受信制御部2006は、通信制御部2002が測位設定テーブル309等の設定情報を受信したことを条件に、待機モードからスキャンモードにモードを変更する。待機モードは、発信器10から送信された発信器コードの受信を待機するモードである。スキャンモードは、発信器10から送信された発信器コードを受信するモードである。
【0051】
受信制御部2006は、スキャンモードにおいて近距離無線通信制御部2001が発信器コードを受信したことを条件に、受信した発信器コードのRSSIを測定制御部2005に測定させる。ここで、近距離無線通信のRSSIは、壁等による反射や、吸収体による減衰等による影響を受けやすい。すなわち、測定制御部2005は、様々な要因により異常な値のRSSIを測定してしまうことがある。このように、異常な値のRSSIが測定結果に含まれていると、測位を正しく行うことができない。
【0052】
そこで、受信制御部2006は、測定したRSSIに基づいて、RSSIが正常か否か、つまり受信した発信器コードを採用可能であるか否かを判定する。ここで、RSSIの判定方法は、種々の方法を用いることができる。例えば、受信制御部2006は、受信した発信器コードのRSSIが測位設定テーブル309の受信閾値以上であるか否かを判定する。受信制御部2006は、RSSIが受信閾値以上である場合に正常であると判定する。一方、受信制御部2006は、RSSIが受信閾値未満である場合に正常ではないと判定する。
【0053】
また、受信制御部2006は、統計的手法によりRSSIが採用可能であるか否か判定する。すなわち、受信制御部2006は、3単位時間における中央値や平均値や統計学における分散を用いてばらつきが許容範囲内であるか否か等により正常か否か判定する。受信制御部2006は、RSSIが正常であることを条件に、通信制御部2002に受信情報をサーバ装置30に向けて送信させる。
【0054】
サーバ装置30の制御部301は、記憶部302に記憶された制御プログラム307をRAMに展開し、制御プログラム307に従って動作することで、図8に示す各機能部をRAMに生成する。具体的には、サーバ装置30の制御部301は、機能部として、通信制御部3001と、操作制御部3002と、距離算出部3003と、測位制御部3004と、経路記録部3005と、表示制御部3006とを備える。
【0055】
通信制御部3001は、通信部303を制御して、受信器20と通信する。
【0056】
操作制御部3002は、操作部305を制御して、各種装置を受け付ける。
【0057】
距離算出部3003は、発信器10が送信した発信器コードのRSSIに基づいて、発信器10から受信器20までの距離を算出する。距離算出部3003は、数式(1)によりRSSIを使用して発信器10から受信器20までの距離を算出する。
【0058】
RSSI(r) = A - 10 * B / log10(r)・・・(1)
rは、発信器10から受信器20までの距離を示す。
Aは、発信器10の電波を1m離れた位置で計測した場合のRSSI値を示す。
Bは、電波の減衰の定数を示す。理論的には2となる。
【0059】
測位制御部3004は、本実施形態の記録手段、抽出手段、及び測位手段として機能する。測位制御部3004は、受信器20の測位について制御する。さらに詳しくは、測位制御部3004は、通信制御部3001が受信情報を受信したことを条件に、受信情報に含まれる受信器コード及び日時情報に関連付けて発信器コードごとにRSSIを測定値テーブル310に記録させる。
【0060】
そして、測位制御部3004は、受信器20の測位において、測位対象の日時に受信した発信器コードのRSSIから測位に適したRSSIを測定値テーブル310から抽出する。具体的には、測位制御部3004は、測定値テーブル310の同一の日時情報において最もRSSIが高い発信器コードを抽出する。測位制御部3004は、抽出した発信器コードの測位方式を測位設定テーブル309から抽出する。測定方式が一点測位の場合には、測位制御部3004は、抽出した発信器コードの設置位置と、抽出した発信器コードのRSSIから距離算出部3003が算出した距離とに基づいて受信器20の位置を測位する。
【0061】
また、測定方式が二点測位又は三点測位の場合には、測位制御部3004は、抽出した発信器コードの測位方式に応じた複数の発信器10を、測位設定テーブル309のグループから選択する。すなわち、測位制御部3004は、選択した複数の発信器10から送信された発信器コードのRSSIを測定値テーブル310から抽出する。測位方式が二点測位の場合には、測位制御部3004は、同一の日時情報において抽出した発信器コード以外に最もRSSIが高い発信器コードを測定値テーブル310のグループから抽出する。そして、測位制御部3004は、抽出した2つの発信器10が設置されている位置を示す設置位置と、抽出した2つの発信器10から受信した発信器コードのRSSIの比率により受信器20の位置を測位する。
【0062】
一方、測位方式が三点測位の場合には、測位制御部3004は、同一の日時情報において抽出した発信器コード以外にRSSI値が高い発信器コードの上位2つを測定値テーブル310のグループから抽出する。そして、測位制御部3004は、抽出した3つの発信器10が設置されている位置を示す設置位置と、抽出した3つの発信器10から受信した発信器コードに基づいて算出した各発信器10からの其々の距離とにより受信器20の位置を測位する。
【0063】
ここで、測位制御部3004は、二点測位及び三点測位の場合には、複数の発信器10から受信した発信器コードのRSSIに基づいて、各発信器10から受信器20までの距離を算出する。よって、測位制御部3004は、最もRSSIが高い発信器コードの発信器10が設置された位置周辺に受信器20がある場合であっても、他の発信器10から受信した発信器コードのRSSIも受信器20の位置の算出対象に含めてしまう。そのため、他の発信器10から受信した発信器コードのRSSIによっては、測位制御部3004は、最もRSSIが高い発信器コードの発信器10が設置された位置周辺に受信器20があると判定できなくなる場合がある。そこで、測位制御部3004は、二点測位及び三点測位を用いる場合であっても、発信器コードのRSSIが測位設定テーブル309の接近閾値以上であることを条件に、発信器コードの発信器10の位置に受信器20が存在すると判断する。
【0064】
また、測位制御部3004は、抽出した複数の発信器コードのRSSIの比率が閾値以上であることを条件に、RSSIが高い発信器コードの発信器10が設置された位置に、受信器20があると判断してもよい。例えば、測位制御部3004は、一の発信器10から送信された発信器コードのRSSIが、他の発信器10のから送信された発信器コードのRSSIよりも著しく高いことを条件に、RSSIが高い発信器コードの発信器10が設置された位置周辺に、受信器20が存在すると判断する。
【0065】
また、測位制御部3004は、対象外の領域にある発信器10から送信された発信器コードのRSSIに基づいて、受信器20の位置を測位してしまうことを防止することが好ましい。例えば、受信器20が一階に所在しているにも関わらず、2階にある発信器10から送信された発信器コードのRSSIを使用して測位を行うと受信器20の正しい位置を測位することができない。そこで、測位制御部3004は、対象外の領域にある発信器10から送信された発信器コードのRSSIを測位の対象から除外する。具体的には、測位制御部3004は、測定値テーブル310から発信器コードを抽出する際に、測位設定テーブル309に時系列順に記録された前回の領域区分と、経路テーブル311の所在領域とが異なっている発信器コードを除外する。
【0066】
但し、測位制御部3004は、測位設定テーブル309の領域区分が各領域の境界部分を示している場合には、最もRSSIが高い発信器コードの発信器10が設置されていない領域にある発信器10の発信器コードのRSSIを抽出する。具体的には、測位制御部3004は、測位設定テーブル309のグループに設定された他の領域に存在する発信器10が送信した発信器コードのRSSIを抽出する。そして、測位制御部3004は、抽出したRSSIを用いて二点測位又は三点測位により、受信器20の位置を測位する。
【0067】
経路記録部3005は、測位制御部3004が測位した受信器20の位置に関する情報を、経路テーブル311に時系列順に記憶させる。すなわち、経路記録部3005は、測位制御部3004が測位した各受信器20の日時ごとに測位位置と、所在領域とを経路テーブル311に時系列順に記録させる。これにより、経路記録部3005は、受信器20が移動した経路を導出する。
【0068】
表示制御部3006は、表示部304を制御して、各種画面を表示させる。例えば、表示制御部3006は、測位システム1を操作するGUI(Graphical User Interface)画面を表示部304に表示させる。ここで、図9は、測位システム1を操作するGUI画面3100の一例を示す説明図である。GUI画面3100は、モード選択領域3110と、対象日時表示領域3120と、表示操作領域3130と、設定表示領域3140と、移動経路表示領域3150と、設定操作領域3160とを備える。
【0069】
モード選択領域3110は、モードを選択する領域である。モードには、リアルタイムモードと、シミュレーションモードとがある。リアルタイムモードは、受信器20から送信された受信情報を逐次表示するモードである。シミュレーションモードは、受信器20から過去に送信された受信情報を表示するモードである。また、シミュレーションモードには、実行モードと、再計算実行モードとがある。実行モードは、過去に受信したRSSIを元にすでに位置算出された測位結果を呼び出して表示する。再計算実行モードは、設定表示領域3140にて変更された設定値を用いて受信器20の位置の算出を再計算し、更新された所在位置を表示するモードである。
【0070】
対象日時表示領域3120は、シミュレーションモードにおける対象日時を表示した領域である。表示操作領域3130は、移動経路表示領域3150における測位結果の表示を操作する操作子が表示された領域である。表示操作領域3130は、「再生」「停止」「一時停止」「巻戻し」「早送り」「再生倍速」「タイムバー」「再計算」等の操作を入力する操作子がある。「再生」は、測位結果を時系列順に表示させる操作子である。「停止」は、測位結果の時系列順の表示を停止させる操作子である。「一時停止」は、測位結果の時系列順の表示を一時的に停止させる操作子である。「巻戻し」は、測位結果を時系列順に表示させる操作子である。「早送り」は、測位結果を所定の倍速で時系列順に表示させる操作子である。「再生倍速」は、測位結果を選択した数値の倍速で時系列順に表示させる操作子である。「タイムバー」は、任意の測位結果を表示させる操作子である。「再計算」は、設定表示領域3140に表示された設定値に基づいて、受信器20の測位を再計算させる操作子である。
【0071】
設定表示領域3140は、発信器コードごとに受信器20の測位に関する各種設定を表示する領域である。すなわち、設定表示領域3140は、測位設定テーブル309に記憶された各種設定を表示する領域である。ユーザ等は、設定表示領域3140の各種設定の設定値を変更することができる。移動経路表示領域3150は、地図情報308に重ねて、経路テーブル311に記憶された受信器20の測位結果を時系列順に表示する領域である。移動経路表示領域3150において発信器10は、白抜き丸で表現されている。白抜き丸の内側には、発信器コードが表示されている。一方、受信器20は、黒丸で表示されている。設定操作領域3160は、設定表示領域3140に表示された設定について操作する操作子が表示された領域である。設定操作領域3160は、「保存」「発信器に設定」を入力する操作子がある。「保存」は、設定表示領域3140の設定を記憶部302等に保存する操作子である。「発信器に設定」は、設定表示領域3140の設定を受信器20に設定する操作子である。
【0072】
次に、実施形態に係る測位システム1の受信器20が実行する受信処理について説明する。ここで、図10は、実施形態に係る測位システム1の受信器20が実行する受信処理の一例を示すフローチャート図である。
【0073】
受信制御部2006は、受信器20の測位を開始する測位開始要求が入力されたか否かを判定する(ステップS11)。測位開始要求が入力されていないことを条件に(ステップS11;No)、受信器20は、測位開始要求が満たされるまで待機する。
【0074】
一方、測位開始要求が入力されたことを条件に(ステップS11;Yes)、通信制御部2002、サーバ装置30に測位設定テーブル309等の設定情報の送信要求を送信する(ステップS12)。通信制御部2002は、測位設定テーブル309等の設定情報を受信したか否かを判定する(ステップS13)。測位設定テーブル309等の設定情報を受信していないことを条件に(ステップS13;No)、受信器20は、測位設定テーブル309等の設定情報を受信するまで待機する。
【0075】
一方、測位設定テーブル309を受信したことを条件に(ステップS13;Yes)、受信制御部2006は、発信器10から送信された発信器コードを受信するスキャンモードに設定する(ステップS14)。
【0076】
近距離無線通信制御部2001は、発信器コードを受信したか否かを判定する(ステップS15)。発信器コードを受信していないことを条件に(ステップS15;No)、受信器20は、発信器コードを受信するまで待機する。
【0077】
発信器コードを受信したことを条件に(ステップS15;Yes)、測定制御部2005は、受信した発信器コードのRSSIを計測する(ステップS16)。
【0078】
受信制御部2006は、RSSIから受信した発信器コードを測位対象と採用可能であるか否かを判定する(ステップS17)。採用可能であることを条件に(ステップS17;No)、受信器20は、ステップS15に移行する。
【0079】
一方、採用不可能であることを条件に(ステップS17;Yes)、受信制御部2006は、受信情報を生成する(ステップS18)。受信器20の通信制御部2002は、生成した受信情報をサーバ装置30に送信する(ステップS19)。
【0080】
以上により、受信器20は、受信処理を終了する。
【0081】
次に、実施形態に係る測位システム1のサーバ装置30が実行する測位処理について説明する。ここで、図11は、実施形態に係る測位システム1のサーバ装置30が実行する測位処理の一例を示すフローチャート図である。
【0082】
通信制御部3001は、受信情報を受信したか否かを判定する(ステップS21)。受信情報を受信していないことを条件に(ステップS21;No)、サーバ装置30は、受信情報を受信するまで待機する。
【0083】
一方、受信情報を受信したことを条件に(ステップS21;Yes)、測位制御部3004は、受信した受信情報を測定値テーブル310に記憶させる(ステップS22)。
【0084】
測位制御部3004は、測定値テーブル310から発信器コードを選択する(ステップS23)。具体的には、測位制御部3004は、経路テーブル311の所在領域と異なる領域区分の発信器10から送信された発信器コードを除いた、測定値テーブル310の日時ごとの最も強いRSSIの発信器コードを選択する。
【0085】
測位制御部3004は、選択した発信器コードに関連付けられた測定方式を測位設定テーブル309から抽出する(ステップS24)。
【0086】
測位制御部3004は、選択した発信器コードのRSSIが接近閾値以上であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0087】
RSSIが接近閾値未満であることを条件に(ステップS25;No)、測位制御部3004は、測定方式に応じた数の発信器コードを選択する(ステップS26)。測位制御部3004は、確定した測定方式により受信器20の位置を測位する(ステップS27)。
【0088】
一方、RSSIが接近閾値以上であることを条件に(ステップS25;Yes)、測位制御部3004は、最も強いRSSIの発信器コードの発信器10の位置周辺に受信器20が存在すると判断する(ステップS28)。
【0089】
以上により、サーバ装置30は、測位処理を終了する。
【0090】
以上のように、本実施形態に係る測位システム1によれば、サーバ装置30は、受信器20が受信した発信器コードのRSSIの閾値以上であった場合に、発信器コードの発信器10と同じ位置に受信器20が存在すると判断する。よって、サーバ装置30は、正しい位置を測位することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0092】
また、上記実施形態において、発信器10は、所定の位置に設置される。そして、受信器20は、ユーザ等に携帯されて移動すると説明している。しかしながら、発信器10と受信器20との何れが固定されるかは任意である。すなわち、受信器20が、所定の位置に設置される。そして、発信器10が、ユーザ等に携帯されて移動する形態であってもよい。
【0093】
また、上記実施形態において、測位システム1が備える各装置の機能について説明している。しかしながら、上記実施形態の各装置の機能の割り当ては、一例であって他の割り当てであってもよい。すなわち、発信器10が備える機能の一部又は全部を、受信器20又はサーバ装置30が備えていてもよい。または、受信器20が備える機能の一部又は全部を、発信器10又はサーバ装置30が備えていてもよい。または、サーバ装置30が備える機能の一部又は全部を、発信器10又は受信器20が備えていてもよい。
【0094】
上記実施形態において、情報処理装置をサーバ装置30に適用した場合について説明した。しかし、情報処理装置はスマートフォン等である受信器20であってもよい。また、発信器10がスマートフォン等である場合には、情報処理装置はスマートフォン等である発信器10であってもよい。
【0095】
上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らないものとする。例えば、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0096】
また、上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 測位システム
10 発信器
20 受信器
30 サーバ装置
309 測位設定テーブル
310 測定値テーブル
311 経路テーブル
1001 近距離無線通信制御部
2001 近距離無線通信制御部
2002 通信制御部
2003 表示制御部
2004 操作制御部
2005 測定制御部
2006 受信制御部
3001 通信制御部
3002 操作制御部
3003 距離算出部
3004 測位制御部
3005 経路記録部
3006 表示制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0098】
【文献】特許第4396801号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11