(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20221212BHJP
B65D 43/04 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
B41J2/175 113
B41J2/175 133
B65D43/04
(21)【出願番号】P 2021174690
(22)【出願日】2021-10-26
(62)【分割の表示】P 2017085552の分割
【原出願日】2017-04-24
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2016086464
(32)【優先日】2016-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋村 亮
(72)【発明者】
【氏名】柴 彰
(72)【発明者】
【氏名】吉居 和哉
(72)【発明者】
【氏名】池邉 儀裕
(72)【発明者】
【氏名】宮下 岳穂
(72)【発明者】
【氏名】山室 友生
(72)【発明者】
【氏名】新井 篤
(72)【発明者】
【氏名】大平 賢利
(72)【発明者】
【氏名】折原 辰昌
(72)【発明者】
【氏名】奥原 宏文
(72)【発明者】
【氏名】松下 和正
(72)【発明者】
【氏名】古谷 美怜
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-022725(JP,A)
【文献】特開平09-070983(JP,A)
【文献】特開2016-132165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B65D 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドに供給される液体を収容する収容室と、前記収容室に液体を供給可能な供給口と、前記供給口に着脱自在に取り付けられ、前記収容室の外部から前記供給口の開口面を覆う覆部と、前記覆部が前記供給口から取り外された状態で前記覆部を支持可能な支持部と、前記収容室の外部に位置し、前記覆部に対して突出する凸部と、を備えた栓部材と、を備えた液体収容容器と、
前記液体収容容器が内部に組み込まれた状態で前記液体収容容器を外部から視認可能な容器カバーを備えた装置本体であって、前記装置本体を構成する筺体の第1面に前記容器カバーを備える前記装置本体と、
を有する液体吐出装置において、
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記覆部の重心を通り、前記重心と前記支持部とを結ぶ直線に直交する直線に対して、一方側に前記凸部が配置され、他方側に前記支持部が配置され、前記支持部は、前記凸部に対し、前記装置本体における前記第1面の裏面である第2面の側に位置し、前記凸部は前記第1面の側へ突出し、
前記支持部は、前記覆部と、前記栓部材とは別の部材と、を接続し、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記支持部は、前記支持部の前記別の部材との接続部から前記供給口の側へ延在しており、
前記覆部と別体で形成されており、
前記供給口は、前記支持部の前記接続部に対し、前記装置本体における前記第1面の側に位置し、
複数の前記収容室と、前記複数の収容室の前記供給口に夫々取り付けられた前記栓部材と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
液体を吐出する液体吐出ヘッドに供給される液体を収容する収容室と、前記収容室に液体を供給可能な供給口と、前記供給口に着脱自在に取り付けられ、前記収容室の外部から前記供給口の開口面を覆う覆部と、前記覆部が前記供給口から取り外された状態で前記覆部を支持可能な支持部と、前記収容室の外部に位置し、前記覆部に対して突出する凸部と、を備えた栓部材と、を備えた液体収容容器と、
前記液体収容容器が内部に組み込まれた状態で前記液体収容容器を外部から視認可能な容器カバーを備えた装置本体であって、前記装置本体を構成する筺体の第1面に前記容器カバーを備える前記装置本体と、
を有する液体吐出装置において、
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記覆部の重心を通り、前記重心と前記支持部とを結ぶ直線に直交する直線に対して、一方側に前記凸部が配置され、他方側に前記支持部が配置され、前記支持部は、前記凸部に対し、前記装置本体における前記第1面の裏面である第2面の側に位置し、前記凸部は前記第1面の側へ突出し、
前記支持部は、前記覆部と、前記栓部材とは別の部材と、を接続し、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記支持部は、前記支持部の前記別の部材との接続部から前記供給口の側へ延在しており、
前記供給口は、前記支持部の前記接続部に対し、前記装置本体における前記第1面の側に位置し、
複数の前記収容室と、前記複数の収容室の前記供給口に夫々取り付けられた前記栓部材と、を備え、
前記栓部材は、前記供給口に挿入される部分を備えていない、キャップ式の部材であることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
前記凸部は、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記覆部の、前記開口面に沿う上面に対して突出していることを特徴とする請求項1
または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記覆部の、前記開口面と略直交する側面に対して突出していることを特徴とする請求項1
または2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記支持部は、前記覆部と一体で形成されていることを特徴とする請求項
2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記凸部の一部は、前記重心と前記支持部とを結ぶ前記直線の延長線の上に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項
5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記凸部は前記一方側における前記覆部の端部に対して突出していることを特徴とする請求項1ないし請求項
6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記支持部の一部は、前記重心と前記支持部とを結ぶ前記直線の延長線の上に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項
7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記収容室と前記供給口とが設けられた収容容器本体を備え、
前記別の部材は前記収容容器本体であることを特徴とする請求項1ないし請求項
8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記凸部は先端に出張り形状が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項
9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記覆部は、前記凸部が前記支持部の側へ引き上げられることで前記供給口から取り外し可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項
10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
液体を吐出する液体吐出ヘッドに供給される液体を収容する収容室と、前記収容室に液体を供給可能な供給口と、前記供給口に着脱自在に取り付けられ、前記収容室の外部から前記供給口の開口面を覆う覆部と、前記覆部が前記供給口から取り外された状態で前記覆部を支持可能な支持部と、前記覆部を前記供給口から取り外す際に力を加えられるつまみ部と、を備えた栓部材と、を備えた液体収容容器と、
前記液体収容容器が内部に組み込まれた状態で前記液体収容容器を外部から視認可能な容器カバーを備えた装置本体であって、前記装置本体を構成する筺体の第1面に前記容器カバーを備える前記装置本体と、
を有する液体吐出装置において、
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記覆部の重心を通り、前記重心と前記支持部とを結ぶ直線に直交する直線に対して、一方側に前記つまみ部が配置され、他方側に前記支持部が配置され、前記支持部は、前記つまみ部に対し、前記装置本体における前記第1面の裏面である第2面の側に位置し、前記つまみ部は前記第1面の側へ突出し、
前記支持部は、前記覆部と、前記栓部材とは別の部材と、を接続し、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記支持部は、前記支持部の前記別の部材との接続部から前記供給口の側へ延在しており、
前記覆部と別体で形成されており、
前記供給口は、前記支持部の前記接続部に対し、前記装置本体における前記第1面の側に位置し、
複数の前記収容室と、前記複数の収容室の前記供給口に夫々取り付けられた前記栓部材と、を備えることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項13】
液体を吐出する液体吐出ヘッドに供給される液体を収容する収容室と、前記収容室に液体を供給可能な供給口と、前記供給口に着脱自在に取り付けられ、前記収容室の外部から前記供給口の開口面を覆う覆部と、前記覆部が前記供給口から取り外された状態で前記覆部を支持可能な支持部と、前記覆部を前記供給口から取り外す際に力を加えられるつまみ部と、を備えた栓部材と、を備えた液体収容容器と、
前記液体収容容器が内部に組み込まれた状態で前記液体収容容器を外部から視認可能な容器カバーを備えた装置本体であって、前記装置本体を構成する筺体の第1面に前記容器カバーを備える前記装置本体と、
を有する液体吐出装置において、
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記覆部の重心を通り、前記重心と前記支持部とを結ぶ直線に直交する直線に対して、一方側に前記つまみ部が配置され、他方側に前記支持部が配置され、前記支持部は、前記つまみ部に対し、前記装置本体における前記第1面の裏面である第2面の側に位置し、前記つまみ部は前記第1面の側へ突出し、
前記支持部は、前記覆部と、前記栓部材とは別の部材と、を接続し、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記支持部は、前記支持部の前記別の部材との接続部から前記供給口の側へ延在しており、
前記供給口は、前記支持部の前記接続部に対し、前記装置本体における前記第1面の側に位置し、
複数の前記収容室と、前記複数の収容室の前記供給口に夫々取り付けられた前記栓部材と、を備え
前記栓部材は、前記供給口に挿入される部分を備えていない、キャップ式の部材であることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項14】
前記つまみ部は、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記覆部の、前記開口面に沿う上面に対して突出していることを特徴とする請求項
12または13に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記つまみ部は、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記覆部の、前記開口面と略直交する側面に対して突出していることを特徴とする請求項
12または13に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記支持部は、前記覆部と一体で形成されていることを特徴とする請求項1
3に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記つまみ部の一部は、前記重心と前記支持部とを結ぶ前記直線の延長線の上に配置されることを特徴とする請求項
12ないし請求項
16のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記つまみ部は前記一方側における前記覆部の端部に対して突出していることを特徴とする請求項
12ないし請求項
17のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記支持部の一部は、前記重心と前記支持部とを結ぶ前記直線の延長線の上に配置されることを特徴とする請求項
12ないし請求項
18のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項20】
前記収容室と前記供給口とが設けられた収容容器本体を備え、
前記別の部材は前記収容容器本体であることを特徴とする請求項
12ないし請求項
19のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項21】
前記つまみ部は先端に出張り形状が設けられていることを特徴とする請求項
12ないし請求項
20のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項22】
前記覆部は、前記つまみ部が前記支持部の側へ引き上げられることで前記供給口から取り外し可能に構成されていることを特徴とする請求項
12ないし請求項
21のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項23】
前記液体吐出ヘッドを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項
22のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項24】
前記容器カバーは、前記装置本体の前記第1面の側に配設された前記複数の収容室を覆うことを特徴とする請求項1ないし請求項
23のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項25】
前記液体収容容器が前記装置本体の内部に組み込まれた状態で、前記供給口から前記覆部が取り外されて前記供給口から前記収容室に液体を供給可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項
24のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容可能な液体収容容器を備えた液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日用いられている液体吐出装置は、液体等の液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体吐出ヘッドに供給される液体を貯留する液体収容容器と、を備えたものが一般的である。液体収容容器から液体吐出ヘッドへは、チューブや液体流路を介して液体が供給される。
【0003】
一方、特許文献1には、上記のように液体収容容器から液体吐出ヘッドへ液体を供給するタイプの液体吐出装置に比べ、大容量の液体収容容器を備え、液体収容容器が備えた注入口から液体を注入する液体吐出装置が開示されている。特許文献1の液体吐出装置が備える液体収容容器は、液体を注入するための注入口と、その注入口からの液体の漏れを防止する栓部材とを備えている。栓部材は注入口に対して着脱可能な構造であり、液体を注入する際は注入口から外され、それ以外の時は液体が外部に漏れ出すのを防ぐため注入口に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
栓部材は、注入口に圧嵌されることで液体収容容器に取り付けられ、液体収容容器からの液体の漏れを防ぐ。栓部材を液体収容容器の注入口から取り外す際には、栓部材に設けられているつまみ部をつまんで引くことで取り外すが、栓部材は注入口に対して圧嵌されており、栓部材の圧嵌されている部分における全周囲で作用する摩擦力に対抗して取り外すことになる。したがって、栓部材を取り外す際には強い力が必要となる。また、栓部材が外れる際には、圧嵌されていた部分で一気に摩擦力が無くなるため、栓部材が勢いよく外れて、液体収容容器内の液体が外部に飛散してしまうという課題がある。
【0006】
よって本発明は、液体収容容器からの液体の漏れを防ぎ、液体を飛散させることなく開くことができる栓部材を備えた液体収容容器を有する液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明の液体収吐出装置は、液体を吐出する液体吐出ヘッドに供給される液体を収容する収容室と、前記収容室に液体を供給可能な供給口と、前記供給口に着脱自在に取り付けられ、前記収容室の外部から前記供給口の開口面を覆う覆部と、前記覆部が前記供給口から取り外された状態で前記覆部を支持可能な支持部と、前記収容室の外部に位置し、前記覆部に対して突出する凸部と、を備えた栓部材と、を備えた液体収容容器と、前記液体収容容器が内部に組み込まれた状態で前記液体収容容器を外部から視認可能な容器カバーを備えた装置本体であって、前記装置本体を構成する筺体の第1面に前記容器カバーを備える前記装置本体と、を有する液体吐出装置において、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記開口面に直交する方向から見て、前記覆部の重心を通り、前記重心と前記支持部とを結ぶ直線に直交する直線に対して、一方側に前記凸部が配置され、他方側に前記支持部が配置され、前記支持部は、前記凸部に対し、前記装置本体における前記第1面の裏面である第2面の側に位置し、前記凸部は前記第1面の側へ突出し、前記支持部は、前記覆部と、前記栓部材とは別の部材と、を接続し、前記覆部が前記供給口に取り付けられた状態で、前記支持部は、前記支持部の前記別の部材との接続部から前記供給口の側へ延在しており、前記覆部と別体で形成されており、前記供給口は、前記支持部の前記接続部に対し、前記装置本体における前記第1面の側に位置し、複数の前記収容室と、前記複数の収容室の前記供給口に夫々取り付けられた前記栓部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体収容容器からの液体の漏れを防ぎ、液体を飛散させることなく開くことができる栓部材を備えた液体収容容器を有する液体吐出装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】液体吐出装置の機構部を示した斜視図である。
【
図3】液体補充容器によって液体を補充される液体吐出装置を示した斜視図である。
【
図4】液体吐出装置の液体収容容器を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態を適用可能な液体吐出装置200の機構部を示した斜視図であり、
図2は、液体吐出装置200の断面を示した図である。液体吐出装置200は、給送部1、搬送部2、吐出部3、供給部4、表示部5を備えている。給送部1は、給送ローラ10を用いてプリント媒体の束から1枚ずつプリント媒体を分離して搬送部2に供給する。搬送部2は、給送部1の搬送方向下流側に設けられ、プリント媒体を保持するプラテン13を搬送ローラ11と排紙ローラ12との間に備えている。搬送部2は、給送ローラ10から給送されたプリント媒体を搬送ローラ11、排紙ローラ12等を用いて搬送する。
【0011】
吐出部3は、キャリッジ14に搭載された液体吐出ヘッド15により、プリント媒体に液体を吐出する。搬送部2により搬送されたプリント媒体は、プラテン13により鉛直下方から支持される。そして鉛直上方に位置する液体吐出ヘッド15から液体を吐出することにより、画像情報に基づいた画像を形成する。液体収容容器16は、容器内に液体を収容可能であり、供給部4は、液体収容容器16の貯留室100(収容室)から流路101および可撓性の供給チューブ17を介して液体吐出ヘッド15まで液体を供給可能に構成されている。本実施形態では、液体はインクであり、詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本の供給チューブ17が液体収容容器16から延出され、これらが束ねられた状態で液体吐出ヘッド15と接続されている。液体吐出ヘッド15に供給された液体が液体吐出ヘッド15の吐出口から吐出されると、液体吐出ヘッド15には吐出された分と同量の液体が液体収容容器16より供給される。そして、液体収容容器16には、液体吐出ヘッド15へ供給された液体と同量の空気が液体収容容器16の鉛直上方に設けられた大気連通口102より流入する。表示部5は、動作中の装置の状態をユーザに知らせたり、ユーザによる動作選択の際の表示に用いられる。
【0012】
図3は、液体補充容器201によって液体を補充される液体吐出装置200を示した斜視図である。図のように、本実施形態の液体吐出装置200では、液体を供給する際には、容器カバー7を開き、液体補充容器201から液体収容容器16が備える供給口106を介して貯留室100の内部に液体を供給する。供給口106には供給口106に対して着脱自在の栓部材105が設けられており、液体補充容器201で補充を行う際には、供給口106の栓部材105を外して液体の供給を行う。なお、液体収容容器16は、本実施形態のように液体吐出装置200本体に組み込まれた構成に限定されず、液体収容容器16から液体吐出ヘッド15に液体を供給可能であれば、液体収容容器16が液体吐出装置200本体の外部に設けられた構成であってもよい。
【0013】
図4は、本実施形態を適用可能な液体吐出装置200の液体収容容器16を示した斜視図である。本実施形態における液体収容容器16は、ポリプロピレン等の合成樹脂で成形され、概ね直方体の外形を呈する。液体収容容器16は、前壁1010と、右壁1020と、左壁1030と、上壁1040と、下壁1050とを有する。前壁1010は、下壁1050から概ね上下方向に延びる立壁1010Aと、立壁1010Aの上端に接続され且つ上下方向及び前後方向対して傾斜された傾斜壁1010B(外壁の一例)とで構成されている。傾斜壁1010Bは、立壁1010Aに対して後方側に傾斜しており、この傾斜壁1010Bに供給口106が形成されている。
【0014】
一方、液体収容容器16の後面は開放されている。そして、右壁1020、左壁1030、色間壁1021、1022、1023、上壁1040、下壁1050の後端部にフィルム1060が溶着されることによって、液体収容容器16が封止され、後面である後壁が形成される。すなわちフィルム1060によって液体収容容器16の後壁が形成される。こうして液室1110が形成される。
【0015】
図5(a)、(b)は、
図4のV-Vにおける断面を示した図であり、本発明における栓部材105の一実施形態を示した図である。
図5(a)は、栓部材105が供給口106に装着された様子を示しており、栓部材105は、液体漏れ防止のシール性を得るため、供給口106に圧嵌されるので、ゴムのような可撓性部材によって形成されるのが一般的である。栓部材105は、供給口106に装着された状態で貯留室100や供給口106に対する外部に位置する本体部105Eと、供給口に挿入されて供給口を塞ぐ栓部105Cと、を備えている。栓部材105が供給口106を上下方向から挟み込むように弾性変形して供給口106に装着される。
【0016】
本実施形態における本体部105Eは、供給口106から取り外される時にユーザが栓部材105に力を加えることが可能な凸部105Aと、液体収容容器本体と接続可能な支持部105Bと、供給口106の開口面を覆う覆部105Dと、を備えている。凸部105Aは、栓部材105の覆部105Dの上面104から突出して設けられている。なお、上面104は、栓部材105が供給口106に取り付けられた状態で供給口106の開口面に沿っている。また、凸部105Aの根元部と支持部105Bとは、栓部材105の中心部105CPに対して一方側と他方側とに分かれて配置されている。つまり、凸部105Aと、支持部105Bとは、栓部材105が供給口106に取り付けられた際に、供給口106の開口面と略垂直に交わる栓部材105の中心軸を含む面を挟んで一方側と他方側とに配置されている。
【0017】
より具体的に凸部105Aと支持部105Bとの配置について
図5(c)を用いて説明する。
図5(c)は、栓部材105が供給口106に取り付けられた状態を、供給口106の開口面に直交する方向から見た上面図である。本実施形態では、覆部105Dはその上面104の形状が円形であり、栓部材105の中心部105CPとは、
図5(c)に示すように覆部105Dの上面104の中心である。また、本実施形態では、上面104の形状が円形であり、上面104の中心と上面104の重心とが同じ位置にあるため、「中心(部)」と「重心(部)」とを言い換えて説明することもある。また、
図5(c)に示す中心部CPを通る仮想直線Yは、中心部105CP(重心部)と支持部105Bとを結ぶ仮想直線Xに直交している。ここで、栓部材105が供給口106に取り付けられた状態で、仮想直線Yに対し、覆部105Dの一方側に凸部105Aが配置され、覆部105Dの他方側に支持部105Bが配置される。
【0018】
なお、本明細書でいう凸部105Aが「突出する」とは、ユーザがつまんだり、力を加えたりすることができる程度に凸部105Aが十分に突出している状態をいう。凸部105Aと支持部105Bとがこのような配置で設けられていることで、ユーザが供給口106から栓部材105を取り外す際に、凸部105Aをつまんで支持部105Bの方へ引き上げることが促される。このように、栓部材105の一方に設けられた凸部105Aを支持部105Bの方へ引き上げることで、栓部材105は、凸部105Aが設けられた側から徐々に変形して供給口106から外れることになり、比較的弱い力での取り外しが可能となる。また、一方側からの栓部材105の変形によって、圧嵌されている部分は、徐々に力が開放されて外れることから、栓部材105が供給口106から外れる際に一気に外れることがなく、液体収容容器16内の液体が外部に飛散するのを抑制することができる。更に、栓部材105は、栓部材105を支持可能な支持部105Bを備えており、支持部105Bによって栓部材の覆部105Dが液体収容容器本体と接続されているため、脱落することが無い。なお、支持部105Bによって栓部材105が接続されるのは、液体収容容器本体に限定するものではなく、栓部材105が落下しなければ何に接続されていてもよい。
【0019】
図5(b)は、栓部材105を開ける際に、ユーザから力が加えられて変形した栓部材105を示した図である。ユーザが図中矢印方向に凸部105Aを引っ張ると、栓部材105は、供給口106の支持部105Bが設けられている側の一部を支点にして、角度θを増やしつつ傾いて変形する。この時、栓部材105にかかる力の関係は、凸部105Aの付け根を力点PP、供給口106の支持部105Bが設けられている側の一部を支点SP、支点SPと反対側の供給口下部に位置する点を作用点WPとするテコの原理となる。ここで、支点SPから力点PPまでの距離:L1とし、作用点WPから支点SPまでの距離:L2とする。距離L1を距離L2よりも長くとる(距離L1>距離L2)ことで、力点PPに加えた小さな力は作用点WPにおいて大きな力となり、強い力を必要とすることなく供給口106から栓部材105を取り外すことができる。
【0020】
なお、
図5(c)に示すように、栓部材105が供給口106に取り付けられた状態で、凸部105Aの一部が上述の仮想直線Xの延長線の上に配置されることが好ましい。このように配置することで、ユーザが供給口106から栓部材105を取り外す際に、凸部105Aをつまんで支持部105Bの方へ引き上げることがより促されるためである。また、
図5(c)に示すように、凸部105Aが仮想直線Yに対する一方側における覆部105Dの端部に配置され、支持部105Bが他方側における覆部105Dの端部に配置されていることが好ましい。このように配置することで、凸部105Aと支持部105Bとの距離が長くなり、
図5(b)で説明したような距離L1を長くすることができるため、供給口106から栓部材105をより取り外し易くすることができるためである。なお、凸部105Aと支持部105Bとの配置は
図5(c)に示すような配置に限定されるものではない。すなわち、凸部105Aは仮想直線Yに対する覆部105Dの一方側の領域であればいずれの位置に配置されてもよく、また、支持部105Bは仮想直線Yに対する覆部105Dの他方側の領域であればいずれの位置に配置されていてもよい。
【0021】
なお、凸部105Aの形状はこれに限るものでなく、例えば凸部の先端に球状や直方体の出張り形状を設けてもよい。先端に出張り形状を設けることで、ユーザが凸部をつまんだ際に指にかかりやすくなり、凸部に容易に力を加えることが可能となる。
【0022】
また、支持部105Bは、栓部材105と一体に形成されていても、別体で形成されていてもよい。
【0023】
また、覆部105Dの上面形状は上述したような円形に限るものでなく、例えば長方形などの対称形状や、非対称形状でもよい。これらの場合も、栓部材105の重心、すなわち、覆部105Dの上面104に一様に質量を分布させた際の質量中心を通る、上述の仮想直線Yに対し、一方側に凸部105Aを配置し、他方側に支持部105Bを配置すればよい。
【0024】
(変形例)
以下、本実施形態の変形例を説明する。
図6(a)から(c)は、本実施形態の変形例の栓部材を示した図である。
図6(a)の栓部材205は凸部205Aを備えており、この凸部205Aは栓部材105の覆部105Cの側面207から突出して設けられている。また、凸部205Aの根元部と支持部105Bとは、栓部材105の中心部105CPに対して一方側と他方側とに分かれて配置されている。また、
図6(b)の栓部材305は、凸部305Aを備えており、凸部305Aは、栓部材105の覆部105Cの側面307に複数の溝部を設けることで形成されている。凸部305Aは、ユーザが栓部材305を外すにあたり側面307に指をかけた際に、側面307と指との摩擦力を高めるように作用する。なお、凸部305Aと支持部105Bとは、栓部材105の中心部105CPに対して一方側と他方側とに分かれて配置されている。また、
図6(c)の栓部材405は、凸部405Aを備えており、凸部405Aは、栓部材105の覆部105Cの側面407に切り欠き408を設けることで形成されている。この凸部405Aは、ユーザが栓部材405を外すにあたり側面407に指をかけた際に、側面407と指との摩擦力を高めるように作用する。なお、凸部405Aと支持部105Bとは、栓部材105の中心部105CPに対して一方側と他方側とに分かれて配置されている。なお、それぞれの変形例における覆部105Cの側面は、栓部材105が供給口106に取り付けられた状態で、供給口106の開口面と略直交している。
【0025】
なお、本実施形態では、栓部材は本体部と栓部とを備えている構成を説明したが、これに限定するものではなく、栓部を備えず本体部のみで構成されるいわゆるキャップ式の部材でもよい。
【0026】
このように、供給口を閉じる栓部材において、凸部と支持部105Bとを、栓部材105の中心部105CPに対して一方側と他方側とに分けて配置する。これによって、液体収容容器からの液体の漏れを防ぎ、液体を飛散させることなく開くことができる栓部材を備えた液体収容容器およびそれを備えた液体吐出装置を実現することができた。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0028】
図7(a)、(b)は、本実施形態における栓部材505の一実施形態を示した図である。栓部材505は
図7(a)のように、供給口106の内壁と当接して変形するように、栓部材505における圧嵌される部分の外周に突起部505Dを有し、栓部材505を供給口106に装着する際、その突起部505Dを変形させて供給口106を密閉する。なお、突起部505Dの断面形状は例えばR形状や三角形状がよい。
【0029】
図7(b)は、栓部材505を開ける際に、栓部材505にユーザから力が加えられた様子を示した図である。ユーザが図中矢印方向に凸部505Aを引っ張ると、栓部材505は、支持部105Bが設けられている側の突起部505Dを支点にして、角度θを増やしつつ傾いて変形する。この時、栓部材505にかかる力の関係は、凸部根元を力点PP、支持部105Bが設けられている側の突起部505Dと供給口側面との当接部を支点SP、また支点SPと反対側の供給口下部に位置する点を作用点WPとするテコの原理となる。
【0030】
本実施形態の栓部材505によれば、供給口106内壁と突起部505Dとの圧嵌による突起部505Dの弾性変形で供給口106が密閉される。従って上記したテコの原理で容易かつ液体を飛散することなく栓部材を取り外すことができる。
【0031】
このように、栓部材505における圧嵌される部分の外周に突起部505Dを設け、突起部505Dを変形させて供給口106を密閉する構成とする。これによって、液体収容容器からの液体の漏れを防ぎ、液体を飛散させることなく開くことができる栓部材を備えた液体収容容器およびそれを備えた液体吐出装置を実現することができた。
【符号の説明】
【0032】
15 液体吐出ヘッド
16 液体収容容器
105 栓部材
105A 凸部
105B 支持部
106 供給口
200 液体吐出装置