(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】外科用装置および外科用装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3205 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
A61B17/3205
(21)【出願番号】P 2021195250
(22)【出願日】2021-12-01
(62)【分割の表示】P 2017174937の分割
【原出願日】2017-09-12
【審査請求日】2021-12-01
(32)【優先日】2016-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロン・エフラス
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(72)【発明者】
【氏名】イリヤ・シットニツキー
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-092662(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0313286(US,A1)
【文献】特開平03-151954(JP,A)
【文献】米国特許第5792167(US,A)
【文献】米国特許第6183433(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用装置であって、
前記外科用装置の遠位端部に取り付けられており、患者体の創面切除部位から組織を創面切除するように構成されている創面切除デバイスと、
前記創面切除部位から前記創面切除された組織を中空管の内部を通して排除するように構成される中空管と、
灌注流体を灌注アセンブリに形成された1つ又は2つ以上のオリフィスを介して、前記中空管の内部を通して排除されている途中の前記創面切除された組織に供給するように構成される灌注アセンブリと、
を備え、
前記灌注アセンブリが前記中空管の内側に装着されており、前記1つ又は2つ以上のオリフィスが、前記灌注アセンブリの長手方向に沿って分散されている複数のオリフィスを含む、外科用装置。
【請求項2】
各オリフィスが、前記オリフィスを介して送達される前記灌注流体の選択された灌注圧力を調整するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中空管に沿って真空を適用することにより前記創面切除された組織を排除するのを支援するように構成されている吸引アセンブリを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数のオリフィスが、前記灌注流体を同じ灌注角度で送達するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のオリフィスが少なくとも第1オリフィス及び第2オリフィスを含み、前記第1オリフィスが前記第2オリフィスよりも前記創面切除デバイスに近接して置かれ、前記灌注アセンブリが、前記第1オリフィスを介して以前に灌注された前記創面切除された組織に前記第2オリフィスを介して前記灌注を適用するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記灌注アセンブリが、前記中空管に沿う前記灌注流体の灌注圧力の分散を決定するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記複数のオリフィスが、少なくとも、第1灌注角度で前記灌注流体を供給するように構成されている第1オリフィスと、前記第1灌注角度とは異なる第2灌注角度で前記灌注流体を供給するように構成されている第2オリフィスと、を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
外科用装置を製造する方法であって、
前記外科用装置の遠位端部に、患者体の創面切除部位から組織を創面切除するように構成されている創面切除デバイスを取り付けることと、
前記創面切除デバイスに、前記創面切除部位から前記創面切除された組織を中空管の内部を通して排除するように構成される中空管を結合することと、
前記中空管に、灌注アセンブリに形成される1つ又は2つ以上のオリフィスを介して、前記中空管の内部を通して排除されている途中の前記創面切除された組織に灌注流体を供給するための灌注アセンブリを取り付けることと、
を含み、
前記灌注アセンブリが前記中空管の内側に装着されており、前記1つ又は2つ以上のオリフィスが、前記灌注アセンブリの長手方向に沿って分散されている複数のオリフィスを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、医療用デブリーダに関し、特に、デブリーダにおける潅注のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療用デブリーダは、患者の鼻に施術する副鼻腔形成(sinuplasty)処置のような様々な処置で使用される。デブリーダを使用するための従来技術の例を以下に示す。
【0003】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,371,934号では、体内の関節から関節炎を引き起こす破片を除去する灌注システムを記載し、システムはハンドピース及びハンドピースに連結可能な先端を含む。先端は、灌注管腔を形成するシャフト、及びシャフトの少なくとも一部に沿って配置されるデブリーダを含む。デブリーダは、関節の内部表面を創面切除するための実質的に平坦な創面切除面を画定する。デブリーダは、シャフトから創面切除面まで延出する複数の剛毛を含む場合がある。
【0004】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0148835号は、遠位ハウジング、外側支持管、内側駆動管、カプラ及び整流子部分を含む屈曲可能な医療デバイスを記載する。カプラ及び整流子部分は、屈曲の間、内側駆動管の遠位端部を軸方向に拘束し、デバイスの遠位端部を潤滑、冷却及び灌注するための流体を供給するのに役立つ。
【0005】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,183,433号は、内部潅注による外科的吸引切断器具を記載している。器具は、開口部を備える切断チャンバを画定する管状外側部材、外側管状部材に可動式に受容される遠位切断エッジを備える内側部材、及び切断チャンバと連通する出口を介して切断チャンバに流体を供給するフラッシング機構を含む。
【0006】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0148729号は、脳腫瘍の少なくとも一部を除去する方法を記載し、最初に組織除去デバイスの遠位端部に配置する前向き組織カッターを脳腫瘍に接触することを含む。組織除去デバイスは、約10mm以下の直径を有するシャフトを含むことができ、いくつかの実施形態では、組織カッターはシャフトの直径を超えて横方向に延出しない。次に方法は、組織カッターを用いて脳腫瘍から組織を切断することを含み得る。次に方法は、組織除去デバイスの遠位端部からデバイスの近位端部へ向かう方向で、シャフトのチャネルを通して切断された組織を移動させることを含んでもよい。
【0007】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,293,957は、洞デブリーダ器具を利用する洞手術を実行する方法を記載する。方法は、器具の遠位端部を洞内の外科術部位に位置付ける工程と、組織切断面を回転させることで洞内の外科術部位で組織を切断する工程と、吸引通路を通って洞から切断された組織を除去する工程と、流体通路を通して組織切断面へ流体を供給する工程とを含み、外科術部位へ流体を導入することなく切断された組織の除去を促す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で説明する本発明の一実施形態は、創面切除デバイス、中空管、及び潅注アセンブリを含む外科用装置を提供する。創面切除デバイスは、外科用装置の遠位端部に取り付けられて、患者体の創面切除部位から組織を創面切除するように構成される。中空管は、創面切除部位から創面切除された組織を排除するように構成される。灌注アセンブリは、中空管に形成された1つ又は2つ以上のオリフィスを介して、排除されている創面切除された組織へ灌注流体を供給するように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、各オリフィスは、オリフィスを介して送達された灌注流体の選択された灌注圧力を調整するように構成される。別の実施形態では、灌注アセンブリは中空管の内側に装着される。更に別の実施形態では、外科用装置は吸引アセンブリを含み、それは中空管に沿って真空を適用することで創面切除された組織の排除を支援するように構成される。
【0010】
一実施形態では、外科用装置は、更に中空管の周りに配置されるスリーブを含み、スリーブと中空管の外部との間に中間管腔を形成し、灌注アセンブリは、中間管腔を介して1つ又は2つ以上の灌注オリフィスに灌注流体を供給するように構成される。別の実施形態では、中空管はその長手方向軸を中心に回転するように構成されることで、少なくとも所与のオリフィスがスリーブの内側周辺の周りを移動し、その結果、灌注流体は所与のオリフィスを介して、内側周辺の周りに分散する複数の異なる位置に供給される。更に別の実施形態では、スリーブは、患者体に遠位端部を挿入するための挿入管を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のオリフィスは、中空管に沿って分散される複数のオリフィスを含む。別の実施形態では、複数のオリフィスは、同じ灌注角度で灌注流体を送達するように構成される。更に別の実施形態では、複数のオリフィスは、少なくとも第1及び第2オリフィスを含み、第1オリフィスは第2オリフィスよりも創面切除デバイスに近接して置かれ、そして灌注アセンブリは、以前に第1オリフィスを介して灌注された創面切除された組織に第2オリフィスを介して灌注を適用するように構成される。
【0012】
一実施形態では、灌注アセンブリは、中空管に沿う灌注流体の灌注圧力の分散を決定するように構成される。別の実施形態では、複数のオリフィスは少なくとも、第1灌注角度で灌注流体を供給するように構成される第1オリフィスと、第1灌注角度とは異なる第2灌注角度で灌注流体を供給するように構成される第2オリフィスとを含む。更なる別の実施形態では、中空管は、中空管に沿って分散された1つ又は2つ以上の開口部で穿孔されており、灌注アセンブリは、中空管の外側周辺に結合され、その結果、各々のオリフィスは開口部のそれぞれ1つに面している。
【0013】
本発明の一実施形態によると、患者体の創面切除部位から組織を創面切除することを含む外科的方法が更に提供される。創面切除された組織は、中空管を通って、創面切除部位から排除される。灌注流体は、中空管に形成された1つ又は2つ以上のオリフィスを介して、排除されている創面切除された組織に供給される。
【0014】
本発明の一実施形態によると、外科用装置を製造する方法が更に提供され、方法は、外科用装置の遠位端部に、患者体の創面切除部位から組織を創面切除するように構成される創面切除デバイスを取り付けることを含む。創面切除部位から創面切除された組織を排除するように構成された中空管は、創面切除デバイスに結合される。灌注アセンブリは、中空管に形成された1つ又は2つ以上のオリフィスを介して、排除されている創面切除された組織に灌注流体を供給するために用いられ、中空管に取り付けられる。
【0015】
本発明は、図面と総合すれば、以下の発明を実施するための形態からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の1つの実施形態による外科的システムを用いた副鼻腔形成処置の概略的絵図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態による副鼻腔形成処置外科的システムに用いられるデブリーダの遠位端部の模式的側面図である。
【
図3】本発明の別の実施形態による副鼻腔形成処置外科的システムに用いられるデブリーダの遠位端部の模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概説
副鼻腔形成のような様々な医療処置では、創面切除カテーテルが人体から組織を除去するために用いられてもよい。カテーテルは、組織を除去するカッター及び創面切除された組織がそこを通って排除される中空管を含んでもよい。いくつかの場合では、創面切除された組織は、排除の間に中空管に固着して詰まらせることがあり、これにより医療処置を中断させ、体内に少なくとも幾分かの創面切除された組織を不適切に残存させることがあり得る。
【0018】
カッターに近接する単一点で灌注を供給することが原則として可能であり、切断中又は切断直後に創面切除された組織を洗い流す。しかしながら、そのような灌注は、中空管に沿う更なる点で、特に大型又は粗い創面切除された組織の場合に発生し得る、創面切除された組織の詰まりを防止できない。
【0019】
以下に記載する本発明の実施形態は、創面切除された組織を人体から排除するための改善された技術を提供する。開示された技術において、組織排除は、1つ又は2つ以上の灌注オリフィスを含む灌注アセンブリを用いて創面切除された組織に灌注流体を供給することにより実行される。典型的な実施形態では、複数の灌注オリフィスは、中空管に沿って分散される。管に沿う複数の点で灌注が適用されることで、カッターから離れるほど詰まりの可能性は低くなると考えられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、灌注アセンブリは各オリフィスからの灌注の角度を決定してもよい。更に、灌注アセンブリは、灌注の圧力を、個別のオリフィス、又はオリフィス群から中空管に適用する際に制御してもよい。別の実施形態では、灌注アセンブリは中空管に連続的に流体を供給し、同時に流体及び創面切除された組織は連続的に人体から排除されてもよい。
【0021】
開示された灌注アセンブリは、複数の分散された灌注オリフィスを用いて管に沿って創面切除された組織の信頼できる排除を可能にする。更に、開示された技術は、単一処置の間に複数の選択された組織片の除去を可能にし、したがって、1つ又は2つ以上の創面切除された組織片を除去した後に洗浄のためにカテーテルを後退する必要性を回避する。
【0022】
システムの説明
図1は、本発明の1つの実施形態による外科システム20を用いた副鼻腔形成処置の概略的絵図である。システム20は、例えば創面切除部位で鼻のポリープ45(挿入
図40に図示されている)のような組織を取り除くために、患者22の鼻26の中に医師24が挿入するカテーテル28を備える。カテーテル28は、カテーテルの遠位端部38を制御するよう構成された近位端部30を備える。
【0023】
システム20は、プロセッサ34を含むコンソール33を更に備えるが、このプロセッサ34は典型的には、信号をケーブル32を通してカテーテル28から受信するため及び本明細書に説明されるシステム20の他の構成要素を制御するために好適なフロントエンド及びインターフェイス回路を有する汎用コンピュータである。コンソール33は、入力デバイス48と表示装置36とを更に備え、コンソールは、プロセッサ34から受信されたデータを表示し、ユーザ(例えば医師24)によって挿入された入力を受信するように構成されている。
【0024】
挿入
図40及び43を参照すると、遠位端部38は典型的には、患者22の鼻の中に挿入するための剛性のある中空挿入管58を備える。管58は、回転シャフト56(
図2に詳細に図示)の周りに同軸に配設されている。シャフト56は、例えば直流(DC)モーターのような任意の好適な機構を用いて駆動され得るが、直流モーターは、それに印加される電流の極性によって、時計回りにも反時計回りにも回転可能である。
【0025】
一部の実施形態においては、管58は開口部44を有する。シャフト56は、挿入管の開口部44に位置揃えされる副鼻腔形成カッター46のような創面切除デバイスを備える。カッター46は、シャフトと共に回転するように構成され、ポリープ45を切断する。
【0026】
次に、挿入
図40を参照する。副鼻腔形成処置の間、医師24はカテーテル28をナビゲートし、開口部44は創面切除部位(例えば、ポリープ45)に面する。別の実施形態では、カテーテル28は、ポリープ45をその中に引くための吸引を適用してもよく、カッター46は開口部44を閉塞することなく、ポリープ45は管58の中に開口部44を通って挿入され得る。ひとたびポリープ45が開口部44を通過すると、医師24は、コンソール33又は近位端部30を用いてカッター46を含むシャフト56を回転させて、ポリープ45の少なくとも一部を取り除くことができる。
【0027】
カテーテル28は、例えば近位端部30に配置される排出管(不図示)の中に、取り除いたポリープを除去する。ポリープ45は、カッター46により除去された後、管58に沿う任意の点で固着して詰まりを引き起こす場合がある。
【0028】
いくつかの実施形態では、システム20は、管58の内側周辺に沿って装着された灌注アセンブリ42を含む。灌注アセンブリ42は、1つ又は2つ以上のオリフィス、例えば、カッター46及び管58に沿って分散される複数のオリフィスを介して流体66を供給することにより除去されたポリープを灌注するように構成され、創面切除されたポリープを排除し、管58の詰まりを防止する。
【0029】
別の実施形態では、カテーテル28は、灌注と併せて流体吸引を適用してもよく、創面切除されたポリープと共に流体66の排除を改善する。吸引は、近位端部30又はコンソール33に置かれた内部真空ポンプ(図示なし)を用いて実行されてもよい。アセンブリ42は、更に
図2において以下に記載される。
【0030】
簡単かつ明瞭なものとするため、
図1は、開示されている技法に関連する要素のみを示す。システム20は典型的には、開示されている技法とは直接には関連しない追加的なモジュール及び要素を備えるが、それらは
図1及び対応する説明からは意図的に省略されている。
【0031】
あるいは、プロセッサ34の機能のうちの一部又は全てが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0032】
副鼻腔形成カッターの灌注
副鼻腔形成処置は、典型的には、カテーテル28を、例えば患者の鼻の中に挿入し、ポリープ45(又は任意の別の組織)の位置へナビゲートし、カッター46のような創面切除デバイスを用いてポリープ(又は別の組織)を除去することを含む。除去されたポリープ(又は別の組織)は、大型であり、及び/又はきめが粗い場合があり、その結果、管58に沿う任意の点で固着され、したがって管を詰まらせ、副鼻腔形成処置を中断させることがある。
【0033】
原則的には、切断プロセス中にカッター46の近くにのみ灌注を適用することが可能であるが、そのような溶液は、たとえ灌注が既に上流(例えば、カッター46の近く)に適用されている場合でも、管58に沿う点で詰まりを防止することができない。開示された技術は、管58の1つ又は2つ以上の点で加圧された灌注流体を供給することにより、管58の詰まりを減少又は排除し、創面切除された組織の排除を確実にする。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態による、遠位端部38の概略側面図である。遠位端部38は、上述のように、カッター46及び灌注アセンブリ42を含む。灌注アセンブリ42は、アセンブリ42に沿って置かれた複数の灌注オリフィス54、54A及び54Bを含む。
図2に示すように、オリフィス54A及び54Bは、カッター46に近接して置かれ、オリフィス54は群60にグループ化されて遠位端部38に沿って置かれ、そしてカテーテル28に沿ってカッター46から離れるように続いてもよい。
【0035】
各オリフィス(例えば、54A、54B及び54)は、所望する構成可能な送達角度で管58の内部管腔に加圧流体66を送達するように構成される。
図2の例では、オリフィス54は、流体66をアセンブリ42に直交して送達するように構成され、一方、オリフィス54A及び54Bは、非直交角度で流体66を送達するように構成される。代替的な実施形態では、全てのオリフィスは、実質的に同様の選択された角度で流体を送達してもよい。
【0036】
図2の例では、デブリ50は、ポリープ45の除去された部分、又は排除されている任意の別の組織を表す。いくつかの実施形態では、加圧流体66は、カッター46から、管58に沿って、近位端部30に向かいデブリ50を運ぶ(矢印52で表す)。別の実施形態では、システム20は、カテーテル28に吸引力を(例えば、真空ポンプを用いて)適用してもよく、デブリ50及び流体66を近位端部30に向けて引く。吸引力は、通常、適度となり、適用された吸引力によって、開口部44の組織への不適切な粘着を防止する。
【0037】
一実施形態では、アセンブリ42は、各個別のオリフィスからの送達圧力又は流体66を制御してもよい。例えば、オリフィス54Aは、オリフィス54Bよりも高い圧力レベルで流体66を送達してもよい。別の実施形態では、各オリフィスは、所定の選択された圧力で流体66を送達するように構成される。これにより、アセンブリ42は、流体66の十分に大きな内部圧力を維持し、その結果、近位(例えば、オリフィス54)及び遠位オリフィス(例えば、54A、54B)を含む全てのオリフィスは、実質的に均一な圧力で流体を送達する。
【0038】
図2の例では、灌注アセンブリ42は、管58の内側に、管の長さに沿って置かれる。別の実施形態では、アセンブリ42は、様々な別の構成を有してもよく、様々な別の位置で管58に結合されてもよい。例えば、アセンブリ42は、管58の内側周辺の周りに巻き付けられてもよく、オリフィスは、
図2に示すように、直線状に配置されるよりも、挿入管58の内側周辺の周りにカスケード配置で装着される。この配置は、管58の内側周辺に沿う特定位置に不適切に粘着する場合があるデブリ50の部分の分離を支援し得る。
【0039】
別の実施形態では、管58の壁は穿孔されてもよく、アセンブリ42は管58の外側周辺に結合されてもよく、その結果、各オリフィス(例えば、54、54A及び54B)は、流体66を管58の内部管腔に送達するそれぞれ穴の正面に配置される。
【0040】
図3は、本発明の別の実施形態による、遠位端部39の概略側面図である。遠位端部39は、例えば、上記
図1の遠位端部38を実装するために用いられてもよい。いくつかの実施形態では、遠位端部は、回転シャフト57の周りに同軸上に配置される管58を含み、それは上記
図1のシャフト56と同様である。しかしながら、シャフト56とは異なり、シャフト57は、シャフト57に沿う任意の適切な位置に置かれてもよい複数の灌注オリフィス70によって穿孔される。一実施形態では、シャフト57はカッター46に結合され、シャフト及びカッターは共に回転する。遠位端部39は、オリフィス70を介して矢印52の方向にシャフト管腔に流入する流体66を引くために吸引力を適用するように構成され、デブリ50を近位端部に向けて、シャフト57の内部管腔を通して排除する。
【0041】
動作中、流体66は管58の内面とシャフト57の外面との間に形成される管腔を通って、近位端部から遠位端部39の方向に流れる。シャフト57は、その長手方向軸(すなわち、矢印52に平行する)の周りを回転し、その結果、オリフィス70の各々は、管58の内側周辺の周りを回転する。例えば、オリフィス70Fは、円72Fに沿って回転する。更に、オリフィス70の各々は、回転軸に対する任意の所望の送達角度でその円に沿ってオリフィスが移動する間、流体66をシャフト57の内部管腔に送達するように構成される。
【0042】
上記の例は、
図1及び
図2に示す灌注モジュール42と、
図3に示すシャフト57の特定の構成を指し、そして概念的に明確にするために純粋に選択される。代替的な実施形態では、他の任意の適当な構成を用いることができる。例えば、創面切除デバイスは、必ずしも回転カッターを含む必要はないが、代替的に鋏形外科用装置を含んでもよい。更に、代替的に、創面切除デバイスは、ポリープ45を切断するように遠位先端に向かって直線的に移動し、且つ開口部44の中に切断される新規物体の挿入を可能とするように近位端に向かって直線的に後退するカッターを含んでもよい。
【0043】
代替的な実施形態では、開示された技術は、組織が切断され、その後、吸引カテーテルを用いて排除される様々な別の種類の外科術処置において、必要な変更を加えることにより使用されてもよい。
【0044】
例えば、創面切除は、患者体のある外部表面に適用されてもよい。表面組織への外部創面切除及び灌注は、上述の処置と同様に実行されるが、患者体へ管58を挿入しない。
【0045】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は理解されよう。むしろ本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及びその一部の組み合わせの両方、並びに上述の説明を読むことで当業者により想到されるであろう、従来技術において開示されていない変形及び修正を含むものである。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 外科用装置であって、
前記外科用装置の遠位端部に取り付けられており、患者体の創面切除部位から組織を創面切除するように構成されている創面切除デバイスと、
前記創面切除部位から前記創面切除された組織を排除するように構成される中空管と、
灌注流体を前記中空管に形成された1つ又は2つ以上のオリフィスを介して、排除されている前記創面切除された組織に供給するように構成される灌注アセンブリと、
を備える、外科用装置。
(2) 各オリフィスが、前記オリフィスを介して送達される前記灌注流体の選択された灌注圧力を調整するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記灌注アセンブリが前記中空管の内側に装着されている、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記中空管に沿って真空を適用することにより前記創面切除された組織を排除するのを支援するように構成されている吸引アセンブリを含む、実施態様1に記載の装置。
(5) スリーブと前記中空管の外部との間に中間管腔を形成するように前記中空管の周りに配置されたスリーブを含み、前記灌注アセンブリが、前記中間管腔を介して前記1つ又は2つ以上の灌注オリフィスに前記灌注流体を供給するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0047】
(6) 前記中空管が、その長手方向軸の周りを回転するように構成されることで、少なくとも所与のオリフィスが前記スリーブの内側周辺の周りを移動し、その結果、前記灌注流体が前記所与のオリフィスを介して、前記内側周辺の周りに分散された複数の異なる位置に供給されている、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記スリーブが、前記遠位端部を患者体に挿入するための挿入管を含む、実施態様5に記載の装置。
(8) 前記1つ又は2つ以上のオリフィスが、前記中空管に沿って分散されている複数のオリフィスを含む、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記複数のオリフィスが、前記灌注流体を同じ灌注角度で送達するように構成されている、実施態様8に記載の装置。
(10) 前記複数のオリフィスが少なくとも第1オリフィス及び第2オリフィスを含み、前記第1オリフィスが前記第2オリフィスよりも前記創面切除デバイスに近接して置かれ、前記灌注アセンブリが、前記第1オリフィスを介して以前に灌注された前記創面切除された組織に前記第2オリフィスを介して前記灌注を適用するように構成されている、実施態様8に記載の装置。
【0048】
(11) 前記灌注アセンブリが、前記中空管に沿う前記灌注流体の灌注圧力の分散を決定するように構成されている、実施態様8に記載の装置。
(12) 前記複数のオリフィスが、少なくとも、第1灌注角度で前記灌注流体を供給するように構成されている第1オリフィスと、前記第1灌注角度とは異なる第2灌注角度で前記灌注流体を供給するように構成されている第2オリフィスと、を含む、実施態様8に記載の装置。
(13) 前記中空管が、前記中空管に沿って分散される1つ又は2つ以上の開口部で穿孔されており、前記灌注アセンブリが、前記中空管の外側周辺に結合されて、前記オリフィスの各々が前記開口部のそれぞれ1つに面している、実施態様8に記載の装置。
(14) 外科的方法であって、
患者体の創面切除部位から組織を創面切除することと、
前記創面切除された組織を、中空管を通して前記創面切除部位から排除することと、
前記中空管に形成された1つ又は2つ以上のオリフィスを介して排除されている前記創面切除された組織に灌注流体を供給することと、
を含む、外科的方法。
(15) 前記灌注流体を供給することが、各オリフィスにより、前記オリフィスを介して送達される前記灌注流体の選択された灌注圧力を調整することを含む、実施態様14に記載の方法。
【0049】
(16) 前記灌注アセンブリが前記中空管の内側に装着されている、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記創面切除された組織を排除することが、前記中空管に沿って真空を適用することを含む、実施態様14に記載の方法。
(18) スリーブが前記中空管の周りに配置されて前記スリーブと前記中空管の外部との間に中間管腔を形成し、前記灌注流体を供給することが、前記中間管腔を介して前記オリフィスに前記灌注流体を供給することを含む、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記中空管がその長手方向軸の周りを回転することで、少なくとも所与のオリフィスが前記スリーブの内側周辺の周りを移動し、前記灌注流体を供給することが、前記所与のオリフィスを介して前記内側周辺の周りに分散される複数の異なる位置へ前記灌注流体を供給することを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記スリーブが、患者体に前記遠位端部を挿入するための挿入管を含む、実施態様18に記載の方法。
【0050】
(21) 前記1つ又は2つ以上のオリフィスが、前記中空管に沿って分散される複数のオリフィスを含む、実施態様14に記載の方法。
(22) 前記灌注流体を供給することが、前記複数のオリフィスの各々を介して同じ灌注角度で前記灌注流体を送達することを含む、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記複数のオリフィスが、少なくとも第1オリフィス及び第2オリフィスを含み、前記第1オリフィスは前記第2オリフィスよりも前記創面切除デバイスに近接して置かれ、前記灌注流体を供給することが、前記第1オリフィスを介して以前に灌注された前記創面切除された組織に、前記第2オリフィスを介して前記灌注流体を供給することを含む、実施態様21に記載の方法。
(24) 前記灌注流体を供給することが、前記中空管に沿う前記灌注流体の灌注圧力の分散を決定することを含む、実施態様21に記載の方法。
(25) 前記灌注流体を供給することが、前記灌注流体を、第1オリフィスを介して第1灌注角度で、且つ第2オリフィスを介して前記第1灌注角度とは異なる第2灌注角度で送達することを含む、実施態様21に記載の方法。
【0051】
(26) 前記中空管が、前記中空管に沿って分散される1つ又は2つ以上の開口部で穿孔されており、前記灌注アセンブリが、前記中空管の外側周辺に結合されることで、前記オリフィスの各々が前記開口部のそれぞれ1つに面している、実施態様21に記載の方法。
(27) 前記組織を創面切除することは、患者体に創面切除デバイス及び前記中空管の少なくとも一部を挿入することを含む、実施態様21に記載の方法。
(28) 外科用装置を製造する方法であって、
前記外科用装置の遠位端部に、患者体の創面切除部位から組織を創面切除するように構成されている創面切除デバイスを取り付けることと、
前記創面切除デバイスに、前記創面切除部位から前記創面切除された組織を排除するように構成される中空管を結合することと、
前記中空管に、前記中空管に形成される1つ又は2つ以上のオリフィスを介して、排除されている前記創面切除された組織に灌注流体を供給するための灌注アセンブリを取り付けることと、
を含む、方法。
(29) 前記灌注アセンブリを取り付けることが、前記中空管の周りにスリーブを配置する一方で、前記スリーブと前記中空管の外部との間に中間管腔を維持し、前記灌注流体を、前記中間管腔を介して前記1つ又は2つ以上のオリフィスに供給することを含む、実施態様28に記載の方法。
(30) 前記スリーブを配置することが、患者体に前記遠位端部を挿入するための挿入管を配置することを含む、実施態様28に記載の方法。
【0052】
(31) 前記1つ又は2つ以上のオリフィスが、前記中空管に沿って分散されている複数のオリフィスを含む、実施態様28に記載の方法。