IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ルェヤン(スーツォ)バイオロジー サイエンス アンド テクノロジー シーオー.,エルティーディーの特許一覧

特許7192092抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用
<>
  • 特許-抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用 図1
  • 特許-抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用 図2
  • 特許-抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用 図3
  • 特許-抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用 図4
  • 特許-抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用 図5
  • 特許-抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20221212BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20221212BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20221212BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20221212BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20221212BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20221212BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20221212BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20221212BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20221212BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20221212BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61P9/00
A61P29/00
A61P35/00
C07K16/28
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/63 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021508276
(86)(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2019101785
(87)【国際公開番号】W WO2020038404
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】201810958670.2
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910767966.0
(32)【優先日】2019-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518338286
【氏名又は名称】ルェヤン(スーツォ)バイオロジー サイエンス アンド テクノロジー シーオー.,エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】呉燕燕
(72)【発明者】
【氏名】崔文俊
(72)【発明者】
【氏名】胡▲チン▼▲フェ▼
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-035155(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/13
A61K 39/395
A61P 9/00
A61P 29/00
A61P 35/00
C07K 16/28
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
C12N 5/10
C12N 15/63
CAplus/REGISTRY(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つの重鎖CDR及び3つの軽鎖CDRを有する抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体であって、
重鎖の可変領域は、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み;軽鎖の可変領域は、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、
重鎖CDR1は、SEQ ID NO:1で示されるアミノ酸配列であり;
重鎖CDR2は、SEQ ID NO:2で示されるアミノ酸配列であり;
重鎖CDR3は、SEQ ID NO:3で示されるアミノ酸配列であり;
軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:4で示されるアミノ酸配列であり;
軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:5で示されるアミノ酸配列であり;
軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:6で示されるアミノ酸配列である、
ことを特徴とする、抗体。
【請求項2】
前記重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:79であり;
前記軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:80である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
請求項1に記載の抗体をコードする、ことを特徴とする、核酸分子。
【請求項4】
請求項3に記載の核酸分子を含有するベクター。
【請求項5】
請求項1~2のいずれか一項に記載のアミノ酸配列、請求項3に記載の核酸分子又は請求項4に記載のベクターを含有する宿主細胞。
【請求項6】
請求項1~2のいずれか一項に記載の抗体を含有するコンジュゲート。
【請求項7】
疾患治療薬又は検出試薬の調製における請求項1~2のいずれか一項に記載の抗体、請求項3に記載の核酸分子、請求項4に記載のベクター、請求項5に記載の宿主細胞、又は請求項6に記載のコンジュゲートの使用。
【請求項8】
疾患は、悪性腫瘍、心血管疾患または炎症性疾患であることを特徴とする、疾患治療薬又は検出試薬の調製における請求項1~2のいずれか一項に記載の抗体、請求項3に記載の核酸分子、請求項4に記載のベクター、請求項5に記載の宿主細胞、又は請求項6に記載のコンジュゲートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ医薬品分野に関し、特に抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Claudinsファミリーは、上皮細胞間の密着結合の骨格タンパク質であり、密着結合の形成に関わり、密着結合が細胞の極性配列とバリア機能を維持し、これらの発現異常が密着結合の構造と機能の破壊につながり、多くの病気の原因となる症例でもある。様々な上皮由来の腫瘍によりClaudinsファミリーの発現異常が観察され、これらの腫瘍の発生、進展と密接に関係し、Claudinファミリーは、診断、治療及び予後判断などの面において幅広い応用の見通しがあることが研究により示されているため、Claudinsファミリーが腫瘍研究の新しいホットスポットになっている。
【0003】
ヒト由来のClaudin18遺伝子には、2つの異なる最初のエクソンがあるため、2つのサブタイプのClaudin18.1及びClaudin18.2を生成できる。これら2つの分子のN末端側の69アミノ酸の構造は、異なり最初の細胞外領域のリング構造に位置している。Claudin18の2つのサブタイプは、それぞれ異なる組織で転写・増幅され、この中のClaudin18.1は、主に肺組織で発現され、Claudin18.2が胃組織で特異的に発現されている。
【0004】
2006年になるとSanadaらは、claudin-18遺伝子の発現が胃癌の57%でダウンレギュレートされていることを発見した。免疫組織化学的解析によりclaudin-18は、正常な胃粘膜及び十二指腸パネート細胞の細胞膜に発現したが、一部の腸上皮化生と胃腺腫の90%では、claudin-18の発現が低下しており、同時に、腸型胃癌での発現低下が他のタイプの胃癌よりも一般的であり、早期胃癌の発生に関与している可能性があると推測されている。生存分析は、胃癌におけるclaudin-18発現の減少が進行した患者の予後不良に関連していることを示し、claudin-18発現の減少が胃癌患者の予後不良の要因であると考えられている。
【0005】
2008年になるとSahinらの研究により、原発性胃腺癌組織の77%にClaudin18.2の発現が存在していることが確認された。極めて重要なことは、56%の組織の発現量が60%以上に達していることである。上記の研究結果と一致するのは、腸型胃癌におけるClaudin18.2タンパク質の発現はダウンレギュレートされたが、びまん性胃癌におけるClaudin18.2タンパク質の発現は、より高かった。しかし膵臓、食道、卵巣等の組織は、通常の状態下でClaudin18.2タンパク質の発現がなく、対応する腫瘍組織内でClaudin18.2タンパク質を大量に発現することができる。したがってClaudin18.2タンパク質は、臨床腫瘍の診断と治療のターゲットとして使用できる。しかしこのタンパク質を標的として開発された抗体は、見られない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、良好な特異性、高い親和性及び安定性を有する抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の目的は、具体的に以下のように、抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体のアミノ酸配列を提供することである。すなわち、
3つの重鎖相補性決定領域(重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3)及び3つの軽鎖相補性決定領域(軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3)を有する抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体であって、
重鎖CDR1は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:73のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
重鎖CDR2は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:74のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
重鎖CDR3は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:75のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:52、SEQ IDNO:58、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:76のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:77のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:78のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択される。
【0008】
好ましくは、重鎖CDR1は、SEQ ID NO:1であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:2であり、重鎖CDR3 はSEQ ID NO:3であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:4であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:5であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:6であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:7であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:8であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:9であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:10であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:11であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:12であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:13であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:14であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:15であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:16であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:17であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:18であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:19であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:20であり、重鎖CDR3 はSEQ ID NO:21であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:22であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:23であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:24であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:25であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:26であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:27であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:28であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:29であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:30であり;又は重鎖CDR1 は、SEQ ID NO:31であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:32であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:33であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:34であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:35であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:36であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:37であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:38であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:39であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:40であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:41であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:42であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:43であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:44であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:45であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:46であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:47であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:48であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:49であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:50であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:51であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:52であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:53であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:54であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:55であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:56であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:57であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:58であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:59であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:60であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:61であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:62であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:63であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:64であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:65であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:66であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:67であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:68であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:69であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:70であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:71であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:72であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:73であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:74であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:75であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:76であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:77であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:78である。
【0009】
好ましくは、重鎖の可変領域は、上記の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み;軽鎖の可変領域は、上記の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む。
【0010】
好ましくは、重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:79、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:85;SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:89、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:95、SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:99、SEQ ID NO:101又はSEQ ID NO:103のいずれかから選択され;
好ましくは、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:82、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:86;SEQ ID NO:88、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:94、SEQ ID NO:96、SEQ ID NO:98、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:102又はSEQ ID NO:104のいずれかから選択される。
【0011】
好ましくは、
前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:79であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:80であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:81であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:82であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:83であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:84であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:85であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:86であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:87であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:88であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:89であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:90であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:91であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:92であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:93であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:94であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:95であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:96であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:97であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:98であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:99であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:100であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:101であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:102であり;
又は前記重鎖の可変領域は、SEQ ID NO:103であり、前記軽鎖の可変領域はSEQ ID NO:104である。
【0012】
好ましくは、重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列aと少なくとも50%の相同性を有する類似の配列であり、前記配列aはSEQ ID NO:79、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:85;SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:89、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:95、SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:99、SEQ ID NO:101又はSEQ ID NO:103のいずれかである。
【0013】
好ましくは、軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、配列bと少なくとも50%の相同性を有する類似の配列であり、前記配列bは、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:82、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:86;SEQ ID NO:88、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:94、SEQ ID NO:96、SEQ ID NO:98、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:102又はSEQ ID NO:104のいずれかである。
【0014】
重鎖のアミノ酸配列は、重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3及び軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3を含み;重鎖CDR1は、SEQ ID NO:1であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:2であり、重鎖CDR3 はSEQ ID NO:3であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:4であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:5であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:6であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:7であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:8であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:9であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:10であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:11であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:12であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:13であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:14であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:15であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:16であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:17であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:18であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:19であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:20であり、重鎖CDR3 はSEQ ID NO:21であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:22であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:23であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:24であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:25であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:26であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:27であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:28であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:29であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:30であり;又は重鎖CDR1 は、SEQ ID NO:31であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:32であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:33であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:34であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:35であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:36であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:37であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:38であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:39であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:40であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:41であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:42であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:43であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:44であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:45であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:46であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:47であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:48であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:49であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:50であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:51であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:52であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:53であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:54であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:55であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:56であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:57であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:58であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:59であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:60であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:61であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:62であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:63であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:64であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:65であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:66であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:67であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:68であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:69であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:70であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:71であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:72であり;又は重鎖CDR1は、SEQ ID NO:73であり、重鎖CDR2はSEQ ID NO:74であり、重鎖CDR3はSEQ ID NO:75であり、かつ軽鎖CDR1はSEQ ID NO:76であり、軽鎖CDR2はSEQ ID NO:77であり、軽鎖CDR3はSEQ ID NO:78である。
【0015】
好ましくは、抗体のアミノ酸配列は、上記の重鎖の可変領域及び軽鎖の可変領域を含む。
【0016】
本発明の第2の目的は、具体的に以下のように、抗ヒトclaudin18.2モノクローナル抗体の核酸配列を提供することである。すなわち、
重鎖CDR及び/又は軽鎖CDRをコードすることができる核酸配列を含む核酸分子であって、重鎖CDR1は、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:37、SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:49、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:61、SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:73のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
重鎖CDR2は、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:50、SEQ ID NO:56、SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:74のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
重鎖CDR3は、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:45、SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:57、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:69、SEQ ID NO:75のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
軽鎖CDR1は、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:40、SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:58、SEQ ID NO:64、SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:76のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
軽鎖CDR2は、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:41、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:53、SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:65、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:77のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択され;
軽鎖CDR3は、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:42、SEQ ID NO:48、SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:66、SEQ ID NO:72、SEQ ID NO:78のいずれか、又はこれらの1つと相同性が50%を超える類似の配列から選択される。
【0017】
核酸分子であって、重鎖の可変領域及び/又は軽鎖の可変領域をコードすることができる核酸配列を含み、重鎖の可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:79、SEQ ID NO:81、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:85;SEQ ID NO:87、SEQ ID NO:89、SEQ ID NO:91、SEQ ID NO:93、SEQ ID NO:95、SEQ ID NO:97、SEQ ID NO:99、SEQ ID NO:101 又はSEQ ID NO:103のいずれかから選択され;
軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は、SEQ ID NO:80、SEQ ID NO:82、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:86;SEQ ID NO:88、SEQ ID NO:90、SEQ ID NO:92、SEQ ID NO:94、SEQ ID NO:96、SEQ ID NO:98、SEQ ID NO:100、SEQ ID NO:102 又はSEQ ID NO:104のいずれかから選択されることを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記のいずれか1つに記載の核酸分子を含有するベクターをさらに提供する。
【0019】
本発明は、上記のいずれか1つに記載のアミノ酸配列、核酸分子又は上記ベクターを含有する宿主細胞をさらに提供する。
【0020】
本発明は、上記のいずれか1つに記載の抗体を含有するコンジュゲートをさらに提供する。
【0021】
本発明は、主成分及び補助的成分を含有する組成物を提供し、前記主成分は上記のいずれか1つに記載の抗体又は上記のいずれか1つに記載の核酸分子又は上記ベクター、上記宿主細胞或いは上記コンジュゲートのうち1種又は複数種を含有し;前記補助的成分は、薬学的に許容される担体又は賦形剤、及び任意に選択された他の生物活性物質から選択される。
【0022】
前記他の生物活性物質は、他の抗体、融合タンパク質又は薬物(例えば放射線療法及び化学療法薬などの抗腫瘍薬)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明は、疾患治療薬又は検出試薬の調製における上記の抗体、核酸分子、ベクター、宿主細胞、コンジュゲート、及び組成物の使用をさらに提供する。
【0024】
前記疾患は、悪性腫瘍、心血管疾患または炎症性疾患である。
【0025】
本発明は、上記のいずれか1つに記載の抗体を含有する診断試薬又はキットをさらに提供する。前記診断試薬又はキットは、インビトロ(例えば細胞又は組織)或いはインビボ(例えばヒト又は動物モデル)でclaudin18.2に関連する疾患を診断する。
【0026】
以下に本発明をさら描写する。本発明において、特段の規定がない限り、本明細書で使用される技術と科学用語は、当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有している。かつ、本明細書で使用されるタンパク質と核酸化学、分子生物学、細胞と組織培養、微生物学、免疫学に関する用語及び実験室の操作手順はすべて、対応する分野で広く使用される用語及び従来の手順である。同時に、本発明をよりよく理解するため、関連する用語の定義及び説明を以下に提供する。本明細書で言及される用語「抗体」は、完全な抗体及び任意の抗原結合性断片(すなわち、「抗原結合部位」)又は一本鎖を含む。「抗体」とは、ジスルフィド結合によって互いに接続された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質又はその抗原結合部位を意味する。各重鎖は、重鎖可変領域と重鎖定常領域で構成される。
【0027】
本発明において、「相同性」は、最良アラインメントにおける2つのポリヌクレオチド配列間又は2つのポリペプチド配列間の配列類似性を意味する。
【0028】
上述の説明は、本発明の技術的解決手段の概要に過ぎず、本発明の技術的手段をより明確に理解し、明細書の内容に従ってそれを実施できるため、本発明の好ましい実施例及び添付の図面を参照しつつ以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1ヒト化抗体のADCC効果を示すグラフである。
図2ヒト化抗体のCDC効果を示すグラフである。
図3ヒト化抗体の増殖阻害効果を示すグラフである。
図4ヒト化抗体のエンドサイトーシス効果を示すグラフである。
図5マウスモデルにおける抗体の効果を示すグラフである。
図6マウスモデルにおける抗体の効果のヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、モノクローナル抗体及びその使用を開示する。当業者は、本明細書の内容の示唆を介してプロセスパラメータを適切に改善することで実現できる。特に、すべての類似の置換及び修正は当業者にとって自明であり、それらはすべて本発明に含まれると見なされることを指摘すべきである。本発明の方法及び使用は、好ましい実施例を通じて描写されてきた。当業者が、本発明の内容及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及び使用に修正又は適切な変更及び組み合わせることで、本発明の技術を実現及び使用することができる。
【0031】
本発明によって提供されるモノクローナル抗体及びその使用において、用いる原料及び試薬は、いずれも市場で入手できる。
【0032】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
【実施例
【0033】
1.抗原の準備
GST-ECDタンパク質の調製
ヒトクローディン18.2の最初の細胞外ドメインの部分配列をベクターpGEX-KG(抗原配列1)上に構築し、構築した発現ベクターをE.coli TG1菌株に移入し、LB培地とIPTG誘導法により抗原タンパク質を発現させる。回収したE.coli TG1菌体をホモジナイザーで破砕し、Glutathione Sepharose 4 Fast Flow(GE,Cat#17-5132-01)でアフィニティー精製し、HiTrap Capto Q(GE,Cat#11001302)カラムで二次精製を行うと共にタンパク質をPBS、pH7.4に透析して、純度>85%の抗原タンパク質を得た。
【0034】
DNA免疫原の調製
claudin18.2の最初の細胞外ドメインの部分配列又は完全長配列を免疫原(抗原配列2、抗原配列3)としてpcDNA3.1ベクター上に構築した。
【0035】
Human claudin18.1及びhuman claudin18.2の安定細胞系の構築
human claudin18.1及びhuman claudin18.2の完全長配列をベクターpcDNA3.1(-)にクローニングし、LipofectamineTM 3000Transfection Reagent(Thermo,Cat#L3000150)試薬で構築した発現ベクターをHEK293F細胞に移入し、400μg/ml G418(Gibco,Cat#10131-027)でスクリーニングし、QPCR及びFACSのスクリーニング・検証を経た後、安定発現のHEK293F_human claudin18.1及びHEK293F_human claudin18.2細胞系を得た。
【0036】
human claudin18.2の完全長配列をアデノウイルスベクターにクローニングし、LipofectamineTM 3000 Transfection Reagent(Thermo,Cat#L3000150)試薬で構築した発現ベクターをCHO-K1細胞に移入し、5μg/mL puromycin(Gibco,Cat#10131-027)でスクリーニングし、Q-PCR及びFACSのスクリーニング・検証を経た後、安定発現のCHO-K1_human claudin18.2細胞系を得た。
【0037】
2.動物の免疫
human claudin18.2に対する高い親和性と高い特異性の抗体を得るため、この実験では、いくつかのBalb/cマウス及びC57BL/6マウスを免疫する一連の抗原の組み合わせ(DNA免疫、タンパク質免疫及び細胞系全細胞性免疫)を設計した。古典的な免疫スケジュールを使用して免疫することで、マウスの免疫反応を誘発する。マウス血清を採取し、GST-ECDタンパク質細胞系を抗原として使用し、ELISA法又はCHO-K1_human claudin18.2細胞系を使用してFACSを実行して血清力価を測定し、高力価の対応するマウスを選択して融合に入った。
【0038】
3.ハイブリドーマの融合とスクリーニング
融合する前に、マウス骨髄腫のSP2/0状態を調整して、その増殖密度が1×10を超えないようにする。動物は3日前に最終免疫を行い、1日前にSP2/0細胞を培養し、プレーティングの数は2.0×10細胞/ウェルであり、電気融合装置を介して融合し、脾細胞又はリンパ節細胞とSP2/0細胞の比率が10:1~5:1であり、各ウェルの脾細胞の数が1×10 を超えないようにする。採取した上清をELISA結合法とフローサイトメーターで細胞結合活性を測定し、3回のスクリーニング実験で陽性であったハイブリドーマ細胞株を得た。
【0039】
A.ELISA結合方法
GST-ECDをPBSpH7.4コーティング溶液で0.5μg/mlに希釈して96ウェルプレートをコーティングし、各ウェルに100μlを加え、ブロッキング後にハイブリドーマ培養上清を加え、洗浄後、Peroxidase-AffiniPure Goat Anti-Mouse IgG,Fcγ Fragment Specific(minX Hu,Bov,HrsSrProt)を加え、洗浄後に発色基質を加えてインキュベートし、反応終了後にOD450の吸光度値を読み取った。
【0040】
B.細胞ELISA試験
1×10細胞/ウェルの96ウェルプレートをCHO-K1_human claudin18.2細胞系でコーティングし、96ウェルプレートをブロッキングした後、一次抗体はハイブリドーマ上清、陽性抗体、アイソタイプコントロール及びPBSである。一次抗体をインキュベートした後、細胞を洗浄し、Peroxidase-AffiniPure Goat Anti-Mouse IgG、Fcγ Fragment Specific(min X Hu、Bov、Hrs Sr Prot)を二次抗体としてインキュベートし、洗浄後、発色基質を加えてインキュベートし、反応終了後にOD450の吸光度値を読み取った。
【0041】
C.フローサイトメーターによるハイブリドーマ上清の細胞結合活性の測定
ハイブリドーマ上清を、HEK293F_human claudin18.1、HEK293F_human claudin18.2細胞系及びCHO-K1_human claudin18.2細胞系でフローサイトメトリー結合実験に供し、標的クローンとしてhuman claudin18.2で特異的にクローニングした。
【0042】
各反応に50μlの2.5×10細胞を使用し、一次抗体はハイブリドーマ上清、陽性抗体、アイソタイプコントロール及びPBSである。一次抗体をインキュベートした後、細胞を洗浄し、二次抗体としてGoat anti-Mouse IgG iFlour647(GenScript,3μg/ml)を二次抗体としてインキュベートし、洗浄後、フローサイトメーターで蛍光シグナルを読み取った。
【0043】
4.ヒト/マウスキメラ抗体の調製と活性の同定
A.マウス耐性遺伝子の獲得
ハイブリドーマ細胞株をTrizol(Ambion15596-026)キットで抽出してハイブリドーマ細胞のトータルRNAを抽出した後、Takara PrimeScript 1st Strand cDNA合成キットでトータルRNAを逆転写してcDNAを調製し、縮重プライマーを使用して、抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域配列をそれぞれ増幅した。
【0044】
B.ヒト/マウスキメラ抗体の構築
マウス抗の軽鎖可変領域配列をヒトIgG kappa CL領域配列とスプライシングして、完全長の軽鎖配列を取得し、完全な遺伝子合成により、窒素末端シグナルペプチドを含むベクターpcDNA3.1に構築して軽鎖発現ベクターを得た。
【0045】
マウス抗の重鎖可変領域配列をヒトIgG4 S228PのCH1、CH2及びCH3領域配列とスプライシングして、完全長の重鎖配列を取得し、完全な遺伝子合成により、窒素末端シグナルペプチドを含むベクターpcDNA3.1に構築して重鎖発現ベクターを得た。
【0046】
C.ヒト/マウスのキメラ抗体の発現と精製
軽鎖・重鎖の発現ベクターをコトランスフェクションによりHEK293F細胞に一過性にトランスフェクトし、トランスフェクトした293F細胞を7日間培養し、培養上清を回収した。次に、上清中のキメラ抗体をprotein Aアフィニティークロマトグラフィーカラムによって精製し、PBSpH7.4に透析した。A280法で濃度を測定し、SDS-PAGEで分析した。
【0047】
D.フローサイトメーターによるヒト/マウスキメラ抗体と細胞との結合能の測定
ヒト/マウスキメラ抗体とHEK293F_human claudin18.1及びHEK293F_human claudin18.2 細胞系との結合能の測定
各反応に100μlの2.0×10cells/mlを使用し、一次抗体は、精製されたヒト/マウスキメラ抗体、陽性抗体(IMAB362及びAnti-Claudin18 antibody[34H14L15](abcam,Cat#ab203563))、アイソタイプコントロール、及び1% BSA in PBSである。一次抗体をインキュベートした後、細胞を洗浄し、Goat anti-human IgG Fc(FITC)(abcam,Cat#ab97224)及びヤギAnti-Rabbit IgG H&L(Alexa Fluor(登録商標) 488)(abcam,Cat#ab150077)を二次抗体としてインキュベートし、洗浄後フローサイトメーターで蛍光シグナルを読み取った。
【0048】
F.フローサイトメーターによるヒト/マウスキメラ抗体と癌細胞系との結合能の測定
各反応に100μlの1.0×10cells/mlを使用し、一次抗体は、ヒト/マウスキメラ抗体、陽性抗体(IMAB362)、アイソタイプコントロール及び1% BSA in PBSである。一次抗体をインキュベートした後、細胞を洗浄し、Goat anti-human IgG Fc(FITC)(abcam,Cat#ab97224)を二次抗体としてインキュベートし、洗浄後フローサイトメーターで蛍光シグナルを読み取った。
【0049】
5.マウス由来抗体のヒト化
マウス抗体の可変領域配列を分析し、ヒト生殖細胞系列(germline)遺伝子とアラインメントし、マウス由来抗体フレームワーク領域配列と相同性の最も高いヒト軽鎖及び重鎖生殖細胞系列遺伝子フレームワーク領域配列を基本フレームワークとして選択するか、フレームワーク領域の特定のアミノ酸を選択して逆突然変異を行い、マウス由来抗体のCDR領域配列を選択したヒト生殖細胞系列遺伝子のフレームワーク領域配列と移植し、スプライシング後、ヒト化抗体の軽鎖・重鎖可変領域配列が遺伝子合成を通じてそれぞれヒトIgG4重鎖Fc及びヒトIgG kappa CLを含む発現ベクターに構築された。構築されたヒト化抗体の軽鎖・重鎖ベクターは、1対1のペアのHEK293Fの一過性発現を行った。一過性細胞の培養上清中の抗体がアフィニティー精製及び透析された後、A280法で濃度を測定し、SDSPAGEによって濃度及び純度を分析した後、FACS法でHEK293F_human claudin18.2細胞系との親和性を測定した。
【0050】
6.抗体のADCC実験
HEK293F_human claudin18.2細胞系でFPLC精製後の本発明のヒト化抗体依存性細胞媒介性細胞毒性を測定した。
【0051】
エフェクター細胞PBMC(NK細胞や単球などのエフェクター細胞を含む)は、健康な献血者から提供された新鮮な血液サンプルに由来する。新鮮な血液は、DPBS(Gibco,14190-144)で4倍に希釈され、Ficoll-Paque Plus(GE,Healthcare)密度勾配遠心分離法でエフェクター細胞PBMCを抽出した。CLDN18A2を安定に発現するHEK293F_human claudin18.2細胞系を標的細胞として使用した。培地(RPMI1640 medium(Gibco,11835-030)+1%FBS(Gibco,10099-141))を使用して、被験抗体と対照抗体の濃度を最終濃度10ug/mlに希釈してから8つの勾配で5倍希釈し、96ウェル細胞のU字型培養プレート(Corning,3799)に加えた。あらかじめ希釈した40μl/ウェルの標的細胞(1E4細胞/ウェル)を96ウェル培養プレートに加えた。40μl/ウェルの希釈エフェクター細胞(2.5E5細胞/ウェル)を96ウェルプレートに加え、エフェクター細胞:標的細胞の比率(25:1)であった。エフェクター細胞と標的細胞にコントロールとして培地を加え、よく混合し、37℃、5%COの条件下で6時間インキュベートした。インキュベーション後、1500rpm/ min(Eppendorf、5810R)で10分間遠心分離した。70μl/ウェルの上清を96ウェル細胞培養プレート(Corning,3599)にピペットで入れた。LDH(Roche,4744934001)キットを使用し、多機能マイクロプレートリーダー(Thermo,MULTISKAN FC)でOD492/OD620をテストした。細胞毒性のパーセントは、下式で計算された。
【0052】
Cytotoxicity(%)=100×(OD sample-OD Target cell only-ODPBMC Only)/(OD Target cell lysis-OD Target cell only)×%。
【0053】
7.抗体のCDCテスト
CLDN18A2を安定に発現するHEK293F_human claudin18.2細胞株を標的細胞として使用した。培地(RPMI1640 medium(Gibco,11835-030)+1%FBS(Gibco,10099-141))を使用して、被験抗体と対照抗体の濃度を最終濃度50ug/mLに希釈してから8つの勾配で5倍希釈し、補体(Quidel、A113)を最終濃度1:50(V/V)に希釈した。あらかじめ希釈した抗体40μl/ウェルを96ウェル細胞培養プレート(Corning,3917)に加えた。あらかじめ希釈した40μl/ウェルの標的細胞(1E4細胞/ウェル)を96ウェル培養プレートに加えた。96ウェルプレートに40μl/ウェルの希釈補体を加えた。エフェクター細胞と補体をコントロールとして培地を加え、よく混合し、37℃、5%COの条件下で6時間培養した。インキュベーション後、50μl/ウェルのCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay(Promega,G7571)を96ウェル細胞培養プレートに加えた。多機能マイクロプレートリーダー(BioTek、Synergy2)で化学発光値をテストし、細胞毒性のパーセントを下式で計算された。
【0054】
Cytotoxicity(%)=100×(1-(RLU Sample-RLUPNHS)/(RLU Cell+PNHS-RLUPNHS))×%。
【0055】
8.抗原性エピトープマッピング
本発明の抗体によって認識される抗原のエピトープマッピング法は、Johan Rockberg《分子生物学の方法》(ISBN978-1-4939-7839-7)の「エピトープマッピング法」に従って実施される。
【0056】
要するに、エピトープマッピング用のオーバーラップペプチドライブラリーのペプチドは、抗原配列に基づいて設計され、GenScript社で合成され、高親和性ELISAプレートでペプチドをコーティングし、まずNa2CO3/NaHCO3,pH9.59のコーティングバッファーでペプチドを希釈すると共に37℃で約2時間コーティングし、ウェル内のコーティング溶液を廃棄し、次にPBS,pH7.4のコーティングバッファーで希釈したペプチドをウェルに加え、37℃で約2時間コーティングし、ウェル内のコーティング溶液を廃棄し、最後にddH2Oで希釈したポリペプチドをウェルに加え、4℃で3回目のコーティングを行って一晩静置した。0.1%Tween-20を含むPBSTで洗浄し、3%BSA/PBSTでブロッキングした。本発明の抗体、陽性対照、アイソタイプ及び0.5%BSA/PBSTを一次抗体として0.5%BSA/PBSTで希釈し、37℃で2時間インキュベートし、0.1%Tween-20を含むPBSTで洗浄し;HRPグループと結合したヤギ抗ヒトFc断片抗体(Solarbio,Cat#SE101)を二次抗体として0.5%BSA/PBSTで希釈し、37℃で1時間インキュベートし、0.1%Tween-20を含むPBSTで洗浄した後、TMBにより発色(Solarbio,Cat#PR1200)させると共にOD450吸光度値を測定した。
【0057】
9.ヒト化抗体の種結合特性及び親和性の測定
ヒト化抗体の種結合特性は、実施例4の方法に従ってフローサイトメトリー検査を行った。pcDNA3.1(+)ベクターを使用して、マウス、ラット、ウサギ及びチンパンジー用のCLDN18A2発現ベクターを構築し、ExpiFectamineTM293 Transfection Kit(gibico,Cat#A14524)を使用して、上記の発現ベクターをHEK293F細胞に一過性にトランスフェクションし、トランスフェクション後48時間サンプリングして測定した。ブランクHEK293F細胞を陰性対照として使用し、ヒトCLDN18A1及びヒトCLDN18A2を安定に発現するHEK293F細胞系を陽性対照としてフローサイトメトリー分析を行った。
【0058】
各反応は100μlの2.0×10cells/mll細胞を使用し、一次抗体はFPLCによって精製された本発明のヒト化抗体、陽性抗体(IMAB362及びAnti-Claudin18 antibody[34H14L15](abcam,Cat#ab203563))、アイソタイプコントロール及び1%BSA in PBSである。一次抗体のインキュベーション後、細胞を洗浄し、Goat anti-human IgG Fc(FITC)(abcam,Cat#ab97224)及びヤギAnti-Rabbit IgG H&L(Alexa Fluor(登録商標) 488)(abcam,Cat#ab150077)を二次抗体としてインキュベートし、洗浄後にフローサイトメーターで蛍光シグナルを読み取った。
【0059】
10.増殖阻害
CLDN18A2を安定に発現するHEK293F_human claudin18.2細胞系を試験細胞として使用した。培地(FreeStyleTM293 Expression Medium(Gibco,12338-018))を使用して、被験抗体とアイソタイプコントロール抗体の濃度を15ug/mlの最終濃度に希釈し、次に3.16倍で8つの勾配に希釈した。あらかじめ希釈した抗体50μl/ウェルを96ウェル細胞培養プレートに加えた(Corning,3610)。あらかじめ希釈した細胞((5E3細胞/ウェル/))50μl/ウェルを96ウェル培養プレートに加えた。よく混合した後、37℃、5%COの条件下で7日間培養した。インキュベーション後、50μl/ウェルのCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay(Promega,G7571)を96ウェル細胞培養プレートに加えた。多機能マイクロプレートリーダー(BioTek、Synergy2)で化学発光値をテストした。細胞毒性のパーセントは下式で計算された。
【0060】
Cytotoxicity(%)=100×(RLUCell only-RLU Sample)/RLU Cell only×%。
【0061】
11.エンドサイトーシス
CLDN18A2を安定に発現するHEK293F_human claudin18.2細胞系を検出細胞として使用した。培地(FreeStyleTM 293 Expression Medium (Gibco,12338-018))を使用して、被験抗体とアイソタイプコントロール抗体の濃度を40nM,120 ul Fab -ZAP(Advanced Targeting Systems,IT-51)+120uL抗体又はSaporin (Advanced Targeting Systems,PR-1)に希釈してよく混合し、37℃、5%COの条件下で1時間インキュベートした後、8つの勾配で2.5倍希釈した。あらかじめ希釈した抗体50μl/ウェルを96ウェル細胞培養プレートに加えた(Corning,3610)。あらかじめ希釈した細胞(5E3細胞/ウェル/)50μl/ウェルを96ウェル培養プレートに加えた。よく混合した後、37℃、5%COの条件下で7日間培養した。インキュベーション後、50μl/ウェルのCellTiter-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay(Promega,G7571)を96ウェル細胞培養プレートに加えた。多機能マイクロプレートリーダー(BioTek、Synergy2)で化学発光値をテストし、4パラメーター方程式で曲線を適合させ、化学発光値Lumを使用して抗体濃度又は細胞毒性のパーセントをプロットし、下式で計算された。
【0062】
Cytotoxicity(%)=100×(RLUCell only-RLU Sample)/RLU Cell only×%
12.マウスモデルにおける抗体の効果
A.マウスにおける遅発性・高発現のCLDN18A2腫瘍の治療
ヒト胃癌細胞NUGC-4の右腋窩に50匹の雌BALB/cヌードマウスを皮下接種し、腫瘍体積が適切なサイズに成長したとき、腫瘍体積が37.54~124.64mm3の36匹の担癌マウスを選別して1-陰性対照群、2-陽性対照群(0.2mg/マウス)、3-RB0011-FK-13群(0.2mg/マウス)、4-RB0011-FK-1群(0.2mg/マウス)、5-RB0011-FK-2群(0.2mg/マウス)及び6-186CG4-mut群(0.2mg /マウス)の6群にランダムに分け、1群につき6匹の動物となり、グループ化後に週2回、4週間静脈内投与した。最初の投与後、1日2回一般的な臨床観察を行い、週2回計量及び腫瘍径の測定を行い、D29で動物を安楽死させ、腫瘍組織を抽出及び秤量し、腫瘍体積、相対腫瘍体積(RTV)、及び相対腫瘍増殖率(T/C%)を計算した。
【0063】
結果
1.ヒト/マウスキメラ抗体の調製と活性の同定
a.フローサイトメーターによるヒト/マウスのキメラ抗体と細胞との結合能の測定
1つの弱陽性クローン(170B3)及び2つの強陽性クローン(180G8及び186F7)をスクリーニングして、HEK293F_humanクローディン18.2を特異的に標的とした。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
b.フローサイトメーターによるヒト/マウスキメラ抗体と癌細胞系との結合能の測定
スクリーニングされた2つの強陽性クローン(180G8及び186F7)は、NUGC-4に結合することができる。
【0067】
【表3】
【0068】
c.FACS法によるヒト/マウスキメラ抗体とHEK293F_human claudin18.2細胞系との親和性の測定
【0069】
【表4】
【0070】
2.ヒト化抗体のADCC効果
2つのヒト化抗体とHEK293F_human claudin18.2細胞系は、ADCC効果を示し、EC50がそれぞれ0.019μg/mlと0.003μg/mlであった。図1を参照のこと。
【0071】
3.ヒト化抗体のCDC効果
2つのヒト化抗体とHEK293F_human claudin18.2細胞系は、明らかなCDC効果を示さなかった。図2を参照のこと。
【0072】
4.抗原性エピトープマッピング
【0073】
【表5】
【0074】
5. ヒト化抗体の種結合特性及び親和性の測定(EC50(nM))
【0075】
【表6】
【0076】
e.増殖阻害
2つのヒト化抗体は、HEK293F_human claudin18.2細胞系に対して明らかな増殖阻害効果を示さなかった。図3を参照のこと。
【0077】
6.増殖阻害
2つのヒト化抗体は、HEK293F_human claudin18.2細胞株に対して一定のエンドサイトーシス効果を示した。図4を参照のこと。
【0078】
7.マウスモデルにおける抗体の効果
a.マウスにおける遅発性・高発現のCLDN18A2腫瘍の治療
この実験は、ヒト胃癌NUGC-4のBALB/cヌードマウスモデルの確立に成功した。この実験の条件下で、陽性対照物質、被験物質RB0011-FK-13、RB0011-FK-1、RB0011-FK-2及び186CG4-mutを2mg/マウスの用量で週2回投与した。合計静脈内投与4週間後、ヒト胃癌NUGC-4のBALB/cヌードマウスの増殖を阻害する効果がある。図5及び図6を参照のこと。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
0007192092000001.app