(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】高粘度の媒体のためのフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/96 20060101AFI20221212BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20221212BHJP
B29C 48/69 20190101ALI20221212BHJP
【FI】
B01D29/02 G
B01D29/04 510B
B29C48/69
(21)【出願番号】P 2021509814
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 DE2019100756
(87)【国際公開番号】W WO2020038533
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】102018120445.0
(32)【優先日】2018-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514054214
【氏名又は名称】グノイス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Gneuss GmbH
【住所又は居所原語表記】Moenichhusen 42, D-32549 Bad Oeynhausen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル グノイス
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ グノイス
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン グノイス
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-513806(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0314815(US,A1)
【文献】特表2019-527618(JP,A)
【文献】国際公開第2018/019336(WO,A1)
【文献】特開2012-239999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 23/00-35/04
B01D 35/08-37/08
B29C 48/00-48/96
B01D 35/00-35/04
B01D 35/08-35/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高粘度の媒体のためのフィルタ装置(100;100’)であって、少なくとも、
-少なくとも1つの流入通路(15;15’)を備えた前側ケーシングエレメント(11;11’)、および少なくとも1つの流出通路を備えた後側ケーシングエレメント(12;12’)を含むケーシング(10;10’)、
-前記両ケーシングエレメント(11,12;11’,12’)の間に回転可能に支持されたスクリーンホイール(20;20’)であって、前記スクリーンホイールは、複数n個のスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)を有しており、前記スクリーンキャビティにはそれぞれ少なくとも1つのスクリーンインサートエレメントを設けることができ、前記スクリーンキャビティは、前記ケーシングエレメント(11,12;11’,12’)に対してシールするためにそれぞれ少なくとも1つのシールウェブによって取り囲まれている、スクリーンホイール(20;20’)、
-前記ケーシング(10;10’)によってカバーされている濾過領域(17;17’)であって、前記濾過領域は、前記流入通路(15,15’)と前記流出通路とに連通しており、前記濾過領域において少なくとも1つのスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)が貫流可能である、濾過領域(17;17’)、
-メンテナンス領域(16;16’)であって、前記メンテナンス領域では、少なくとも1つのスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)が開放されて前記ケーシング(10;10’)の外側に位置している、かつ/または少なくとも1つのスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)にケーシング外側からアクセス可能である、メンテナンス領域(16;16’)、
-前記ケーシング(10;10’)における2つの遮断領域(18.1,18.2;18.1’,18.2’)であって、それぞれ前記濾過領域(17;17’)と前記メンテナンス領域(16;16’)との間に形成されており、前記遮断領域ではそれぞれ少なくとも1つのスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)がシールウェブと共に完全に、前記前側ケーシングエレメントと前記後側ケーシングエレメント(11,12;11’,12’)とによって遮蔽可能であって前記流入通路(15,15’)および前記流出通路とは連通していない、2つの遮断領域(18.1,18.2;18.1’,18.2’)
を備えるフィルタ装置(100;100’)において、
-前記スクリーンホイール(20;20’)において、互いに隣接する複数のスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)が少なくとも1つのフィルタグループ(2;2’,4’)を形成するようにまとめられており、前記フィルタグループは、前記ケーシング(10;10’)の前記濾過領域(17;17’)と少なくとも部分的にオーバラップした状態で、貫流可能であり、その際に、前記ケーシング(10;10’)の前記濾過領域(17;17’)によって覆われる、前記スクリーンホイール(20;20’)上の面積は、1つのスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)よりも大きく、
-前記スクリーンホイール(20;20’)上の、前記フィルタグループ(2;2’,4’)の側方両側にそれぞれ少なくとも1つの閉じられた遮断セグメント(23;23.1’,23.2’)が設けられており、前記遮断セグメントは、前記ケーシング(10;10’)の前記遮断領域(18.1,18.2;18.1’,18.2’)内に位置した際に、前記スクリーンホイール(20;20’)の両側で前記ケーシングエレメント(11,12;11’,12)に対してシールされており、前記ケーシング(10;10’)における前記遮断領域(18.1,18.2;18.1’,18.2’)はそれぞれ、シールウェブを含む1つのスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)よりも大きいか、またはこれと同じ大きさである、
ことを特徴とするフィルタ装置(100;100’)。
【請求項2】
前記ケーシングエレメント(11,12;11’,12’)は、前記濾過領域(17;17’)で前記スクリーンホイール(20;20’)に面した表面に、それぞれ
凹部または少なくとも1つの溢流通路を有している、請求項1記載のフィルタ装置(100;100’)。
【請求項3】
前記遮断セグメント(23;23.1’,23.2’)は、前記スクリーンホイール(20)上において、前記フィルタグループ(2;2’,4’)よりも小さい面積を占めている、請求項1または2記載のフィルタ装置(100;100’)。
【請求項4】
前記メンテナンス領域には、それぞれ、1つのスクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)よりも大きい、または1つのスクリーンキャビティと同じ大きさのケーシング開口(16;16’)が設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のフィルタ装置(100;100’)。
【請求項5】
前記スクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)内の前記スクリーンインサートエレメントと、前記スクリーンホイール(20;20’)の側面における該スクリーンキャビティの凹部とは円
環セグメント形状である、請求項1から4までのいずれか1項記載のフィルタ装置(100;100’)。
【請求項6】
前記スクリーンホイール(20’)は様々な大きさの円環セグメント面に分割されており、遮断セグメント(23;23.1’,23.2’)として機能する円環セグメント面は、前記スクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)を有する前記フィルタグループ(2;2’,4’)における円環セグメント面よりも大きい、請求項5記載のフィルタ装置(100;100’)。
【請求項7】
前記スクリーンキャビティ(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)における前記スクリーンインサートエレメントと、前記スクリーンホイール(20;20’)の側面における所属の切欠きとは円形である、請求項1から4までのいずれか1項記載のフィルタ装置(100;100’)。
【請求項8】
-前記スクリーンホイール(20)はn個の円環セグメント面(21.1,・・・,21.7)に分割されており、この場合、nは6以上であって、
-互いに隣接して位置する3個の円環セグメント面(23.1,23.2,23.3)は1つの共通の遮断セグメント(23)を形成しており、(n-3)個の円環セグメント面が1つのフィルタグループ(2)を形成している、
請求項1から6までのいずれか1項記載のフィルタ装置(100)。
【請求項9】
前記メンテナンス領域には、1つの円環セグメント面(21.1,・・・,21.7;21.1’,・・・,21.8’)の大きさを有するケーシング開口(16)が設けられている、請求項8記載のフィルタ装置(100)。
【請求項10】
円環セグメント面(21.1,・・・,21.7;23.1,23.2,23.3)の個数は、n=8~12である、請求項8または9記載のフィルタ装置(100)。
【請求項11】
-前記スクリーンホイール(20’)はn個の円環セグメント面(21.1’,・・・,21.8’)に分割されており、この場合、nは6以上であって、
-前記スクリーンホイール(20’)の直径上で対向する側にそれぞれ1つのフィルタグループ(2’,4’)が形成されていて、前記フィルタグループはそれぞれ少なくとも2つの互いに隣接して位置するスクリーンキャビティ(21.1’,・・・,21.8’)を含んでおり、
-前記フィルタグループ(2’,4’)の間にそれぞれ少なくとも1つの円環セグメント面が遮断セグメント(23.1’,23.2’)として形成されており、
-前記メンテナンス領域には、1つのフィルタグループ(2’,4’)よりも大きい、または1つのフィルタグループと同じ大きさのケーシング開口(16’)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載のフィルタ装置(100’)。
【請求項12】
濾過運転のための作業位置では、スクリーンインサートエレメントを装着可能な全てのスクリーンキャビティ(21.1’,・・・,21.8’)が、前記濾過領域(17’)に位置する1つのフィルタグループ(2’,4’)に配置されているか、または前記メンテナンス領域(16’)に位置する1つのフィルタグループ(2’,4’)に配置されている、請求項11記載のフィルタ装置(100’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念の特徴を有する高粘度の媒体のためのフィルタ装置に関する。
【0002】
高粘度の媒体から、特にプラスチック溶融物から汚染粒子を分離するために、スクリーンピン型チェンジャまたはスクリーンホイール型チェンジャのような様々な構造形式が公知であり、これらの構造は、フィルタ媒体が取り付けられる複数のスクリーンキャビティを、可動な支持体エレメント上に有しているということを共通の特徴として有している。1つのスクリーン個所が汚染されると、当該スクリーン個所は、流路から外へ出されて、他のスクリーン個所がそこに入ってくる。これにより、連続運転を可能にする構造形式では、スクリーンキャビティのうちの1つにおけるスクリーン交換中に、少なくとも別のスクリーンキャビティを介して液体が引き続き流れることができることが保証されている。汚染されたスクリーン個所は次いで逆洗位置にもたらされ、逆洗によりクリーニングされる。逆洗による洗浄では不十分な場合は、スクリーンエレメントを交換することができるように、そのスクリーンキャビティを、ケーシング外側のメンテナンス位置まで移動させる、またはそこでケーシング開口からアクセス可能となるようにする。
【0003】
連続運転形式により、持続的で故障の少ない濾過運転が可能であるが、いくつかの使用例では以下のような欠点を伴う:
-全ての構造形式では、スクリーンキャビティ内の貫流される流路の外側でプラスチック溶融物が温度影響下で静止している滞留時間が長すぎると、多くのプラスチック溶融物は化学的かつ/または熱的に損傷されるおそれがあるということが問題である。
-スクリーンピン型チェンジャ式のフィルタ装置では、フィルタ面を任意に拡大することはできない。1つのスクリーンエレメントを使用状態に保持し、そして別のものを在庫で準備し、さらには、スクリーンエレメントの交換のために少なくとも1つの逆洗位置および/またはメンテナンス開口を提供するためには、通常、少なくとも4つのスクリーンキャビティが必要である。スクリーンキャビティにおける実質的な面積の拡大は、スクリーンピン直径とケーシング長さとを過度に拡大することになる。キャンドルフィルタ等の使用による面積の拡大は、ピンにおけるスペースが限られているために、やはり限定的にしか可能ではない。
-例えば独国特許発明第102016113979号明細書に記載されているスクリーンホイールの形式でも、各スクリーンキャビティを個別にケーシングに対してシールしなければならないので、濾過のために利用可能なスクリーンホイール上の面積が制限されている。独国特許出願公開第102010036810号明細書に開示されているように、複数のスクリーン個所が同時に貫流されることは可能だが、濾過運転の際には常に少なくとも2つの別のスクリーン個所がケーシングの内側に位置していて、すなわち少なくとも一方は、貫流されるスクリーンキャビティの手前に、他方は貫流されるスクリーンキャビティの後方位置している。スクリーンホイールがさらに回転する際に、液体がケーシングから流出するのを阻止するために、両側で少なくともそれぞれ1つのスクリーンキャビティの幅ぶんだけ、ケーシングと重なっている必要がある。殆ど遮断位置にあるこれらのスクリーンキャビティは、特に、熱影響下で静止しているプラスチック溶融物の劣化という上述した問題に敏感である。これにより、それぞれ回転方向で、濾過運転時に静止している位置のすぐ後方のスクリーンホイール上の位置が、最も危険にさらされている。何故ならば、そこに付着している溶融物が、次の前進で、直接製造フローに到るからである。待機時間中の劣化生成物が、スクリーンエレメントの清浄側に生じると、これは直接製品を汚染する。
【0004】
さらに、著しく大きなフィルタ面積で作業できるようにするために、例えば、独国特許出願公開第102005061770号明細書により、大面積フィルタが公知であるが、メンテナンスのためにはこのフィルタを完全に停止させなければならない。
【0005】
したがって、本発明の課題は、冒頭で述べた形式の高粘度の媒体のためのフィルタ装置を改善して、有効濾過面積を増加させ、この際に同時に、所定のプラスチック溶融物の熱分解の問題も考慮することである。
【0006】
この課題は請求項1に記載の特徴を備えた高粘度の媒体のためのフィルタ装置により解決される。
【0007】
本発明による手段は、すなわちスクリーンホイール形式のフィルタ装置に基づく。本発明の本質は、以下の特徴である:
-依然として、スクリーンホイールは、好適には角度分割により、複数の円環セグメントに分割されていて、これらの円環セグメントのうちの多くは、貫通されていて、スクリーンキャビティを形成している。スペースを最適に利用するために、スクリーンキャビティ自体が、円環セグメントの形状を有することができるが、円形であってもよい。「セグメント」という概念は、すなわちまずは、スクリーンホイール上の複数の位置のうちの1つだけを意味する。
-スクリーンキャビティを有する、互いに隣接して位置する複数のセグメントが、全体として貫流可能な1つのフィルタグループを形成しているので、濾過のために大きな面積が提供される。
-濾過の際には複数のスクリーンキャビティを、複数の円環セグメントから成るユニットとして利用するが、これらのスクリーンキャビティには全て、固有の周囲のシールウェブが設けられており、このシールウェブを介して、スクリーンキャビティはケーシングに対して個々にシール可能である。スクリーンホイールのスクリーンキャビティをクリーニングしなければならない場合には、溶融物がケーシングから流出することなく、作動運転状態でスクリーンホイールを回転させることができる。この場合、フィルタグループの面積は一時的に減じられるが、濾過は続行することができる。スクリーンキャビティは、次々に個々にメンテナンス開口においてアクセス可能となり、その後再び、回転されてケーシング内に戻って、これにより全体のフィルタグループを再び貫流できるようになる。
-フィルタグループのそれぞれ前後に位置する、利用されていないメンテナンス位置でもある遮断位置では、スクリーンキャビティは全く設けられない。確かにこれにより、スクリーンホイール上の僅かな面積の割合は、濾過のために利用できない。しかしながらこれにより、材料が分解する可能性がある、長期間にわたって熱影響下で動かない中空スペースがケーシング内に生じることはない。
【0008】
「シールウェブ」という用語は具体的には、1つのスクリーンキャビティを取り囲む一定の幅を有する隆起した領域を言うことができる。しかしながらシールウェブは、著しく大きな面積領域の内側の、シール作用のために必要な最低限の幅を有した仮想のストリップであってもよい。例えば、円形のスクリーンキャビティが1つのセグメントに設けられている場合には、円形のキャビティの側方に大きなシール面が提供される。しかしながらそのうち、ケーシングに対するスクリーンキャビティのシール作用を得るためには、とりわけ媒体の粘度および圧力に応じた最低限の幅を有した何らかの無端リングしか必要ではない。シールウェブは、このようなスクリーンキャビティを直接取り囲むことができるので、シールウェブも円形である、またはシールウェブは、キャビティのために破断されていないスクリーンホイールの側面のどこかに位置していてもよい。セグメントの、破断されていない完全に残っている面もシールウェブとして利用することができる。したがって、シールウェブがどのように延在していて、どの程度の幅であるかは重要ではない。重要であるのは、シールウェブの必要最小限の幅が、面しているセグメント面の完全に内側にあるということだけであり、この場合さらに、濾過を行うことができる面積を最大にするために、隣接するセグメントがちょうど境界領域に共通の1つのシールウェブを有することもできる。
【0009】
本発明の第1の好適な実施形態では、スクリーンホイールは、円環セグメントの半分よりも多くを濾過のためにアクティブに利用している唯1つのフィルタグループのみを有している。通常の濾過運転では、ケーシングの内側に位置する遮断セグメントとしては2つの円環セグメントが残っていて、これら2つの遮断セグメントの間に、スクリーンキャビティを有さない第3の円環セグメントが残っていて、この第3の円環セグメントはケーシングの外側のメンテナンス開口に位置している。すなわち要するに、個々にシール可能な複数のスクリーンキャビティから成るフィルタグループである1つの大きなセグメントと、スクリーンキャビティを有していない1つの比較的小さなセグメントとが、スクリーンホイール上に存在している。
【0010】
角度分割の数は、すなわち角度分割により生じる円環セグメントの個数は、少なくとも6であるが、好適には8~12である。図示したように、常に3つの位置は、濾過運転に利用することはできないので、最小限の数のn=6のセグメントの場合でも少なくともまだ、面積の半分は濾過運転のために利用可能である。n=8である場合は、利用可能な面積と利用不能な面積との比は少なくとも5:3であり、n=12の場合は9:3にもなる。スクリーンホイールがメンテナンス目的で既に回転されてはいるが、濾過運転は、減じられたフィルタ面を介して続行される場合に、セグメント数が多くなるほど、減じられる面も小さくなる。
【0011】
利用不能な位置の数は最低限3つで一定のままであるので、論理的には確かに、上記比率は、円環セグメントの個数が増えるほどますます改善される。しかしながらこの場合、本発明による濾過領域は、それぞれそれ自体がシール可能でなければならない個々のセグメントから成っており、これにより個々のセグメント間には常に、利用可能なフィルタ面積にかかわらずやはり一定の最小限の幅を要するシールウェブの幅を考慮しなければならいことは無視されている。すなわちキャビティの個数が増えるほど、濾過領域の内側にはシール面としてより多くの面積が生じ、これは濾過のためには利用不能である。このような考えから、スクリーンホイールの分割は、実質的には12よりも多いキャビティは有利ではない。
【0012】
すなわち、スクリーンホイールの分割は好適には8~12の円環セグメントとなるように行われ、そのうちの最低3つのセグメントは、2つが遮断セグメントとして、1つはメンテナンス開口のために必要であり、濾過のためには利用できないので、結果として濾過領域は少なくとも5つの互いに隣接して位置するセグメントを含む。これにより、遮断セグメントが濾過領域を通過している間であっても、全てのスクリーンホイール位置で常に少なくとも2つの貫流可能なスクリーンキャビティが存在している。
【0013】
第2の好適な実施形態では、2つの同じ大きさのフィルタグループが設けられており、これらのグループの間に両側でそれぞれ1つの個々の遮断セグメントが形成されている。このために、メンテナンス領域におけるケーシング開口の大きさは、ここでスクリーンキャビティにあるスクリーンエレメントを交換するためにまたはクリーニングするために、ケーシングの外側に1つの完全なフィルタグループを配置することができるような大きさに合わせられている。したがって、ケーシングはメンテナンス開口の側でディアボロ形状若しくは扇形状を有している。したがって、スクリーンホイール上には、交互に濾過運転およびメンテナンス位置へともたらされる2つのフィルタグループが存在している。比較的大きなフィルタグループを個別にシール可能な複数のスクリーンキャビティへと分割することの利点は、スクリーンホイールのどの角度位置でも、ケーシングから溶融物が流出するおそれがないということである。遮断領域でケーシングによってカバーされる面は常に、1つの円環セグメントと少なくとも同じ大きさであるか、またはそれよりも大きい。濾過運転時には、供給通路および流出通路の領域では、個別のスクリーンキャビティとしては認められないが、さらに回転させて遮断領域を通過する場合にのみそれとして認められる個別のスクリーンキャビティに分割することにより、スクリーンホイールのどの位置でも流路が完全には遮断されないので、殆ど連続的な運転が可能である。
【0014】
したがって、第2の実施形態による本発明の実質的な原理は、スクリーンホイールの所定の作業位置において、一方のフィルタグループの全てのスクリーンキャビティは同時に貫流され、他方のフィルタグループの全てのスクリーンキャビティはメンテナンス領域に位置するということである。これらの間の交換は、流体流の完全な中断なしに行われる。
【0015】
本発明の詳細な説明で円環セグメントの形状について言及する場合は、一般的に、中央のハブを含むスクリーンホイールのリングディスクを複数の区分に分割したものを意味し、それが正確な円セグメント形状であることは重要ではない。台形またはその他の類似の形状も、本発明により設けられるスクリーンホイール上の区分に分割するために適している。
【0016】
セグメント間の仮想の分割線、またはシールウェブ縁等の形状で目に見える分割線も好適には、半径方向の放射状の線として延在している。しかしながら実際の分離線を半径とはずらして配置することも、かつ/または円環セグメントを様々な大きさに形成することも可能である。例えば、シール効果を高めるために、遮断セグメントを、フィルタエレメントが装着される区分、すなわちいわゆるスクリーンキャビティよりも大きく形成することが好適であり得る。
【0017】
最後に、濾過のために利用可能な、スクリーンおよびその他のフィルタエレメントを設けることができる、スクリーンホイールにおける開口も、円セグメント形状だけでなく円形であってもよい。円セグメント形状により、利用可能な面積は最良に利用されるが、円形の切欠きおよび、キャンドルフィルタまたは積層されたフィルタディスクのような相応のインサートも考えられる。重要であるのは、スクリーン開口の具体的な形状にかかわらず、スクリーンホイールに面するケーシング部分の内面に、複数のスクリーンキャビティを取り囲みしたがってシールすることができる輪郭線およびシール線が存在することである。このような輪郭線の内側では、ケーシング面は、ウェブ等によって中断されてはならず、このことは好適には、場合によっては存在するウェブを、例えば溢流通路によって中断することによって、またはケーシング半部の内面に全面的に凹部を形成することによっても同様に、達成される。
【0018】
以下に、本発明を図示した実施例につきより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態によるフィルタ装置を示す斜視図である。
【
図2】第1の実施形態によるフィルタ装置のためのスクリーンホイールを示す平面図である。
【
図3】スクリーンホイールの第1の位置と共にフィルタ装置を示す正面図である。
【
図4】スクリーンホイールの第2の位置と共にフィルタ装置を示す正面図である。
【
図5】第2の実施形態によるフィルタ装置を示す斜視図である。
【
図6】第2の実施形態によるフィルタ装置のためのスクリーンホイールを示す平面図である。
【
図7】スクリーンホイールの第1の位置と共に
図5のフィルタ装置を示す正面図である。
【
図8】スクリーンホイールの第2の位置と共に
図5のフィルタ装置を示す正面図である。
【0020】
図1は、本発明の第1の実施形態によるフィルタ装置100を斜視図で示している。基本構造は、公知の形式のスクリーンホイール型チェンジャ式のフィルタ装置に相当し、実質的な構成要素として以下のものを含んでいる:
-流入通路15が貫通して設けられているプレート状の前側ケーシングエレメント11と、流出通路が貫通して設けられている同じくプレート状の後側ケーシングエレメント12とを含むケーシング10。
-平行に配置されたケーシングエレメント11,12の間のギャップ13内に配置されていて、回転軸14を中心として回転可能なスクリーンホイール20。
【0021】
本発明について特徴的なのは、
図1のフィルタ装置100では、1つには、ケーシング10に設けられた、側面から見て台形状のメンテナンス開口16である。さらに、フィルタ装置100のスクリーンホイール20は、濾過運転時にメンテナンス開口16において見えるスクリーンホイール20の部分が、いわゆる遮断セグメント23として形成されていて、すなわちここにはスクリーンキャビティが設けられていない点で、従来技術とは異なっている。
【0022】
スクリーンホイール20は、
図2では平面図で示されている。基本構造として、中央のハブ25を中心とした円環区域が、n個の均一な円環セグメントに分割されている。
図2に示した実施例では、n=10に選択されているので、各セグメントは互いに36°の角度をなしている。3つの円環セグメント23.1,23.2,23.3は共に、遮断セグメント23を形成している。その他の全ての円環セグメントには、それぞれ1つのスクリーンキャビティ21.1,・・・,21.7が形成されていて、これらのスクリーンキャビティは、スクリーンホイール20の全幅を貫通して延在するそれぞれ1つのスクリーン開口を有していて、このスクリーンキャビティは、スクリーンエレメントによってカバー可能である。全てのスクリーンキャビティ21.1,・・・,21.7は共に、全体として貫流可能な1つのフィルタグループ2を形成しているが、各スクリーンキャビティ21.1,・・・,21.7はその周囲で、シールウェブによって画定されている。シールウェブは、全ての個々のスクリーンキャビティについて、以下の構成要素から成っている:
-ハブ25の周りに延在する内側円弧区分、
-スクリーンホイール20の外縁における外側円弧区分、および
-少なくとも1つの半径方向シールウェブ22.1,・・・,22.6。
【0023】
隣接するスクリーンキャビティ21.1,・・・,21.7は、互いの間に1つの共通の半径方向シールウェブを有している。端縁側のスクリーンキャビティ21.1,21.7は、それぞれ、一方の側に向かっては遮断セグメント23の半径方向縁部によって画定されていて、遮断セグメントの半径方向縁部も本発明においては機能的にはシールウェブに該当する。
【0024】
図3は、ケーシング10の前側ケーシングエレメント11の平面図を示しており、その後ろに位置している遮蔽されているスクリーンホイール20が付加的に示されている。スクリーンホイール20は、
図3では、濾過運転のための生産位置に位置している。スクリーンホイール20のフィルタグループ2は、ケーシング10における濾過領域17に一致している。濾過領域17は、前側ケーシングエレメント11の、スクリーンホイール20に面した各接触面に設けられた凹部であって、この凹部は、流入通路15に、もしくは後側ケーシングエレメント12の場合は流出通路と連通している。濾過領域17の凹部を通って、媒体がスクリーンキャビティ21.1,・・・,21.7間の半径方向シールウェブ区分22.1,・・・,22.6を溢流するので、フィルタグループ2の全てのスクリーンキャビティ21.1,・・・,21.7に、唯1つの流入通路15から流れ込む。流出側も同様に形成されていて、様々なスクリーンキャビティ21.1,・・・,21.7で濾過された、特に溶融プラスチックのような液体が再び1つになって、1つの流出通路を介してケーシング10から出て行くように案内されている。
【0025】
ケーシング10には、メンテナンス開口16の両側に遮断領域18.1,18.2が形成されている。この領域では、スクリーンホイール20に面した、ケーシングエレメントの表面は、平滑であり、シールウェブにほぼ直接接触している。これにより、スクリーンホイール20から媒体が側方に流出することは阻止されている。確かに、遮断作用を得るだけのためには、遮断領域18.1,18.2はもっと細くてもよいが、このような遮断領域は、上述のようにn=10の均等な円環セグメントにスクリーンホイール20を分割することにより、確保されている。
【0026】
このような分割の利点は以下に詳しく説明する。
図4では、フィルタ装置100が、移行段階で示されている。スクリーンホイール20は、
図3の位置と比較して、それぞれ36°の角度ステップの2回分だけ反時計回りに回転させられている。これにより今や、スクリーンホイール20の遮断セグメント23の部分が、濾過領域17の内側に位置している。この位置では、スクリーンキャビティ21.3,・・・,21.7が、利用可能なフィルタ面として残っている。すなわち濾過運転は、残っている5つのスクリーンキャビティ21.3,・・・,21.7を介して継続することができる。
【0027】
スクリーンキャビティ21.1は、回転により、メンテナンス開口16の領域に位置しているので、ここではスクリーンエレメントを交換またはクリーニングすることができる。スペースをできるだけ無駄にせず、ケーシング10内の全ての隣接する面を1つの円環セグメントに対応させて、遮断領域18.1,18.2として提供するためには、メンテナンス開口16の台形形状が必要である。すなわち、遮断領域18.1,18.2における面範囲は少なくとも、スクリーンキャビティ21.2を取り囲むシールウェブの面範囲と同じ大きさであるので、スクリーンホイールプレートの両側で、シールウェブを含むスクリーンキャビティ21.2は、完全に遮蔽されている。この遮蔽によって、まさに1つのスクリーンキャビティ21.2がシールされる。スクリーンキャビティ21.2は、構造的には同時に利用可能なフィルタグループ2の部分であるが、このスクリーンキャビティ21.2はこの位置では完全に遮断されていて、機能的にはフィルタグループ2から分離されている。
【0028】
さらなるメンテナンスのために、スクリーンホイール20は常に、1つの角度ステップ分だけさらに回転させられるので、スクリーンキャビティ21.3,・・・,21.7が次々とメンテナンス開口16に現れる。その間、遮断セグメント23は、濾過領域17を一度完全に通過するように移動する。
【0029】
図5は、本発明の第2の実施形態によるフィルタ装置100’を斜視図で示している。基本構造は、第1の実施形態と同様であり、同じく以下の構成要素を含む:
-流入通路15’が貫通して設けられているプレート状の前側ケーシングエレメント11’と、流出通路が貫通して設けられている同じくプレート状の後側ケーシングエレメント12’とを含むケーシング10’。
-平行に配置されたケーシングエレメント11’,12’の間のギャップ13’内に配置されていて、回転軸14’を中心として回転可能なスクリーンホイール20’。
【0030】
本発明について特徴的なのは、
図5のフィルタ装置100’では、ケーシング10’の左側の側面に設けられた、側面から見てディアボロ形状若しくは扇形状のメンテナンス開口16’である。濾過運転時にメンテナンス開口16’において見える、スクリーンホイール20’の部分は、1つの完全なフィルタグループ2を含み、このフィルタグループは、メンテナンス開口16’において全て同時に開放されていてアクセス可能な4つのスクリーンキャビティ21.1’,・・・,21.4’を含んでおり、それらは、個々に別個に遮断可能であるが、同時利用も可能である。
【0031】
スクリーンホイール20’は、
図6では平面図で示されている。基本構造では同じく、中央のハブ25’を中心とした円環区域が、n個の同じ大きさの円環セグメントに分割されている。図示した実施例では、n=10に選択されているので、各セグメントは互いに36°の角度をなしている。
【0032】
対角線上に対向する0時と6時の位置にある2つの円環セグメントは、それぞれ1つの遮断セグメント23.1’,23.2’を形成している。遮断セグメント23.1’,23.2’は、スクリーンホイール20’を、それぞれ4つのスクリーンキャビティ21.1’,・・・,21.4’,21.5’,・・・,21.8’を含む2つのフィルタグループ2’,4’に分けている。これらのスクリーンキャビティは、スクリーンホイール20’の全幅を貫通して延在しているそれぞれ1つのスクリーン開口を有していて、この開口は、装着可能なフィルタエレメントまたはスクリーンエレメントによってカバー可能である。
【0033】
互いに隣接して位置するスクリーンキャビティ21.1’,・・・,21.4’もしくは21.5’,・・・,21.8’は、全体として貫流可能なそれぞれ1つのフィルタグループ2’もしくは4’を形成しているが、各スクリーンキャビティ21.1’,・・・,21.8’は個々にその周囲で画定されている。境界は、1つの内側円弧区分、1つの外側円弧区分、および2つの半径方向シールウェブ22.1’,・・・,22.6’から成っている。隣接するスクリーンキャビティ21.1’,・・・,21.4’もしくは21.5’,・・・21.8’は、互いの間に1つの共通の半径方向シールウェブを有している。端縁側のスクリーンキャビティ21.1’,21.4’もしくは21.5’,21.8’は、外側に向かってさらに、それぞれ隣接する遮断セグメント23.1’,23.2’の半径方向縁部によって画定される。
【0034】
図7では、ケーシング10’の内側にあるスクリーンホイール20’が、フィルタ装置100’の濾過運転状態で示されている。4つのスクリーンキャビティ21.1’,・・・,21.4’を含む左側のフィルタグループ2’が、メンテナンス開口16’内で完全に露出している。ケーシング外縁部では、回転軸14’のそれぞれ上下に、遮断領域18.1’,18.2’が形成されている。この領域に、スクリーンホイール20’の遮断セグメント23.1’,23.2’が密に当接している。これにより、ケーシング10’における濾過領域17’の完全に内側にあるスクリーンキャビティ21.5’,・・・,21.8’を含む他方のフィルタグループ4’も側方でシールされる。フィルタグループ4’のスクリーンキャビティ21.5’,・・・,21.8’は共に、流入通路15’からの流れによって貫流される。
【0035】
図8に示したスクリーンホイール20’の位置では、
図7の状態に対して、3つのセグメントステップ分だけスクリーンホイール20’が回転させられている。確かに、このような中間位置でも既に、メンテナンス開口16’の内側に位置するスクリーンキャビティ21.1’,21.2’,21.8’のメンテナンスは行うことができる。しかしながら好適には、スクリーンホイール20’は、フィルタグループ2’,4’の位置が交換されて、常に全てのスクリーンキャビティが、濾過領域17’にまたはメンテナンス開口16’内に位置するように、常にそれぞれ180°ずつ回転させられる。したがって、
図8のスクリーンホイール20’の位置は、単なる1つの貫流位置である。しかしながら本発明にとって重要であるのは、濾過領域17’において、このようなまたはその他の中間位置において常に、複数のスクリーンキャビティを通る貫流が可能であるように維持されることである。2つの遮断セグメント23.1’,23.2’のうち、濾過領域17’内に到ることができるのは最大でも1つなので、全てのスクリーンホイール位置で、3~4つのスクリーンキャビティが貫流可能なまま維持され、したがって常に、本明細書の実施例のために選択されたセグメント化によって、濾過領域17’における面積の少なくとも75%が利用可能である。