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特許7192099モノリシック半導体装置およびハイブリッド半導体装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】モノリシック半導体装置およびハイブリッド半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8232 20060101AFI20221212BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
H01L27/06 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021511515
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020013168
(87)【国際公開番号】W WO2020203507
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】62/827,622
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度、総務省、5Gの普及・展開のための基盤技術に関する研究開発の委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】本吉 要
(72)【発明者】
【氏名】上谷 昌稔
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-59945(JP,A)
【文献】特開2008-211089(JP,A)
【文献】米国特許第7859020(US,B2)
【文献】国際公開第2008/023487(WO,A1)
【文献】特開2013-140831(JP,A)
【文献】特開平1-132171(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0066451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化物半導体層を有する基板と、
前記基板上に形成され、ドハティ増幅回路のキャリアアンプを構成するHEMT型の第1トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲートにバイアス電圧を与える第1バイアス回路と、を有し、
前記第1バイアス回路は、
第1バイアス端子と、前記第1バイアス端子に印加される電圧より低い電圧が印加される第2バイアス端子との間に順に直列接続された、第1抵抗素子と、前記基板上に形成されたHEMT型の第2トランジスタと、第2抵抗素子とを有し、
前記第1抵抗素子と前記第2トランジスタとの接続点が前記ゲートに接続されている
モノリシック半導体装置。
【請求項2】
前記第1トランジスタは、連続した活性領域内に形成された複数の単位トランジスタからなり、
前記複数の単位トランジスタの各々は、前記活性領域内にソース領域、ゲート領域およびドレイン領域を有し、
前記複数の単位トランジスタのうちの隣接する前記単位トランジスタは、それぞれのソース領域を共通領域とする共通ソース領域、またはそれぞれのドレイン領域を共通領域とする共通ドレイン領域を有し、
前記複数の単位トランジスタの前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域が並ぶ第1方向において、前記基板の外周辺に最近接して形成された前記ソース領域の長さは、前記共通ソース領域の長さの1/2の長さより短い
請求項に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項3】
前記第1トランジスタは、連続した活性領域内に形成された複数の単位トランジスタからなり、
前記複数の単位トランジスタの各々は、前記活性領域内にソース領域、ゲート領域およびドレイン領域を有し、
前記複数の単位トランジスタのうちの隣接する前記単位トランジスタは、それぞれのソース領域を共通領域とする共通ソース領域、またはそれぞれのドレイン領域を共通領域とする共通ドレイン領域を有し、
前記複数の単位トランジスタの前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域が並ぶ第1方向において、
前記基板の外周辺から当該外周辺に最近接して形成された前記ゲート領域までの長さは、前記共通ソース領域の長さの1/2の長さより長い
請求項に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項4】
前記第1トランジスタは、連続した活性領域内に形成された複数の単位トランジスタからなり、
前記複数の単位トランジスタの各々は、前記活性領域内にソース領域、第1ゲートフィンガーおよびドレイン領域を有し、
前記第2トランジスタが有する第2ゲートフィンガーの延伸方向は、前記第1ゲートフィンガーの延伸方向と同じである
請求項1に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項5】
前記第1トランジスタは、連続した活性領域内に形成された複数の単位トランジスタからなり、
前記複数の単位トランジスタの各々は、前記活性領域内にソース領域、ゲート領域およびドレイン領域を有し、
前記複数の単位トランジスタのうちの隣接する前記単位トランジスタは、それぞれのソース領域を共通領域とする共通ソース領域、またはそれぞれのドレイン領域を共通領域とする共通ドレイン領域を有し、
前記複数の単位トランジスタの前記ソース領域、前記ゲート領域および前記ドレイン領域が並ぶ第1方向において、前記共通ソース領域の長さは、200μm以上、かつ340μm以下であり、
前記基板の平面視における前記第1方向と直交する方向において、前記ゲート領域の長さは260μm以下である
請求項1に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項6】
前記基板上に形成され、前記ドハティ増幅回路のピークアンプを構成し、前記第1トランジスタより導通電流能力の大きい、HEMT型の第3トランジスタを有する
求項1に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項7】
さらに、前記基板上に形成され、前記第3トランジスタのゲートにバイアス電圧を与える第2バイアス回路を有し、
前記第2バイアス回路はHEMT型のトランジスタを含まない
請求項6に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項8】
前記第1トランジスタは第1活性領域を有し、
前記第3トランジスタは、前記第1活性領域より面積が小さい第2活性領域を有する
請求項に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項9】
前記第1トランジスタと前記第3トランジスタとが並ぶ方向において、前記第1トランジスタと前記第3トランジスタとの間、または前記基板の外周辺と前記第1トランジスタとの間に前記第1バイアス回路がある
請求項6に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項10】
前記第1トランジスタおよび前記第3トランジスタは、連続した活性領域内に形成され、それぞれ複数の第1単位トランジスタおよび複数の第2単位トランジスタからなり、
前記複数の第1単位トランジスタは、前記活性領域内に第1ソース領域、第1ゲート領域および第1ドレイン領域を有し、
前記複数の第2単位トランジスタは、前記活性領域内に第2ソース領域、第2ゲート領域および第2ドレイン領域を有し、
前記複数の第1単位トランジスタと前記複数の第2単位トランジスタとは、前記第1ソース領域と前記第2ソース領域とを共通ソース領域として、隣接して形成されている
請求項に記載のモノリシック半導体装置。
【請求項11】
サブマウント基板と、
前記サブマウント基板に実装され、請求項に記載のモノリシック半導体装置である第1モノリシック半導体装置と、
前記サブマウント基板に実装され、前記第1モノリシック半導体装置に高周波信号を増幅出力する増幅回路を有する第2モノリシック半導体装置と、を有する
ハイブリッド半導体装置。
【請求項12】
前記第1モノリシック半導体装置と前記第2モノリシック半導体装置とは、前記サブマウント基板の平面視において、それぞれにおける高周波信号の伝送方向が互いに平行とならないように前記サブマウント基板上に配置されている
請求項11に記載のハイブリッド半導体装置。
【請求項13】
さらに、前記サブマウント基板上に実装され、前記第1バイアス回路の一部の素子を含む第3モノリシック半導体装置を有する
請求項11に記載のハイブリッド半導体装置。
【請求項14】
請求項1に記載のモノリシック半導体装置のうち、前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との少なくとも一方を除く構成要素が形成された第1モノリシック半導体装置と、
前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子との少なくとも一方が形成された第2モノリシック半導体装置とを、有する
ハイブリッド半導体装置。
【請求項15】
平面視で矩形形状のサブマウント基板と、
前記サブマウント基板に実装された請求項に記載のモノリシック半導体装置と、を有し、
前記サブマウント基板は、前記サブマウント基板の外周辺に、高周波信号入力基板端子と、前記第1バイアス回路の活性状態を制御するイネーブル制御入力基板端子と、を有し、
前記サブマウント基板の4つの外周辺のうち、前記高周波信号入力基板端子が配置された外周辺を除いた外周辺の、角部基板端子位置を除く基板端子位置に、前記イネーブル制御入力基板端子が配置されている
ハイブリッド半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モノリシック半導体装置およびハイブリッド半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)等の窒化物半導体を用いた高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)は、ガリウム砒素系半導体を用いたHEMTに対して10倍以上の電力密度を有する。そのために、窒化物半導体を用いたHEMTをハイパワーデバイスとして用いた増幅回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-23098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、増幅回路を構成するトランジスタのしきい値電圧についての製造ばらつき(つまり、個体差)が考慮されていないために、製造した増幅回路ごとに、無信号時に出力段のトランジスタを流れるドレイン電流(つまり、アイドル電流)が異なる。アイドル電流により、電力利得、歪、効率等が変化し、それらはトレードオフの関係にある為、所望の性能を得るためにはアイドル電流を一定範囲にする必要がある。増幅回路のアイドル電流は、トランジスタのゲート電圧で調整するが、トランジスタの個体ばらつきのために、一定のゲート電圧でアイドル電流を許容範囲内にすることが困難であり、個々にゲート電圧を調整する必要がある。
【0005】
そこで、本開示は、個々にゲート電圧を調整する工数を削減できるトランジスタを含むモノリシック半導体装置およびハイブリッド半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るモノリシック半導体装置は、基板と、前記基板上に形成された第1窒化物半導体層と、前記第1窒化物半導体層の上に形成され、前記第1窒化物半導体層と比べてバンドギャップが大きい第2窒化物半導体層と、前記基板上に形成され、前記第1窒化物半導体層および前記第2窒化物半導体層からなるHEMT型の電力増幅用の第1トランジスタと、前記基板上に形成され、前記第1トランジスタに入力される高周波信号の伝搬経路外に配置されたHEMT型の第2トランジスタを含み、前記第1トランジスタのゲートにバイアス電圧を与える第1バイアス回路とを有する。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本開示の一形態に係るハイブリッド半導体装置は、上記第1モノリシック半導体装置と、前記第1モノリシック半導体装置とは異なり、抵抗素子を有する第2モノリシック半導体装置とを有し、前記第1バイアス回路の一部として前記抵抗素子が使用されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るモノリシック半導体装置およびハイブリッド半導体装置により、個々にゲート電圧を調整する工数が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態1に係るモノリシック半導体装置を説明する図である。
図2図2は、実施の形態2に係るハイブリッド半導体装置の回路図である。
図3図3は、実施の形態3に係る第1抵抗および第2抵抗を説明する図である。
図4図4は、実施の形態4に係るモノリシック半導体装置を説明する図である。
図5図5は、実施の形態5に係る第1抵抗および第2抵抗の構造図である。
図6図6は、実施の形態6に係る第1抵抗および第2抵抗を説明する図である。
図7図7は、実施の形態7に係るモノリシック半導体装置を説明する図である。
図8図8は、実施の形態8に係るモノリシック半導体装置を説明する図である。
図9図9は、実施の形態9に係るイネーブル制御回路を説明する図である。
図10図10は、実施の形態10に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図11図11は、実施の形態11に係るノイズ抑制回路の回路図である。
図12図12は、実施の形態12に係るノイズ抑制回路の回路図である。
図13図13は、実施の形態13に係るモノリシック半導体装置を説明する図である。
図14図14は、実施の形態14に係るモノリシック半導体装置を説明する図である。
図15図15は、実施の形態15に係るモノリシック半導体装置の平面レイアウト図である。
図16図16は、実施の形態16に係るモノリシック半導体装置の平面レイアウト図である。
図17図17は、実施の形態17に係るモノリシック半導体装置の平面レイアウト図である。
図18図18は、実施の形態18に係るモノリシック半導体装置の平面レイアウト図である。
図19図19は、実施の形態19に係るモノリシック半導体装置の平面レイアウト図である。
図20図20は、実施の形態20に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図21図21は、実施の形態21に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図22図22は、実施の形態22に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図23図23は、実施の形態23に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図24図24は、実施の形態24に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図25図25は、実施の形態25に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図26図26は、実施の形態26に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図27図27は、実施の形態27に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図28図28は、実施の形態28に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図29図29は、実施の形態29に係るハイブリッド半導体装置の平面レイアウト図である。
図30図30は、実施の形態30に係るモノリシック半導体装置の平面レイアウト図である。
図31図31は、実施の形態31に係るモノリシック半導体装置の平面レイアウト図である。
図32図32は、実施の形態32に係るモノリシック半導体装置を説明する図である。
図33図33は、実施の形態33に係るモノリシック半導体装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態に係る窒化物半導体装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。「基板上」等の「ある物体上」との表現には、その物体に接している場合と、その物体に接していない場合との両方のケースが含まれる。
【0011】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0012】
図1は、実施の形態1に係るモノリシック半導体装置10を説明する図である。より詳しくは、図1の(a)は、モノリシック半導体装置10の回路図である。図1の(b)は、図1の(a)における第1トランジスタ12および第2トランジスタ21の断面構造を示す図である。図1の(c)は、第2トランジスタ21のしきい値電圧(つまり、しきい値電圧のばらつき)を横軸とし、無信号時の第2トランジスタ21のドレイン電流(破線)(つまり、アイドル電流)を左縦軸とし、第2トランジスタ21のドレイン電圧(実線)を右縦軸とする、第2トランジスタ21のしきい値電圧依存性を示す特性図である。図1の(d)は、第1トランジスタ12のしきい値電圧(つまり、しきい値電圧のばらつき)を横軸とし、無信号時の第1トランジスタ12のドレイン電流(実線)(つまり、アイドル電流)を縦軸とする、第1トランジスタ12のしきい値電圧依存性を示す特性図である。なお、図1の(d)には、参考として、第1バイアス回路20を接続せずに第1トランジスタ12のゲートバイアスを固定した場合に得られるしきい値電圧依存性(破線)も合わせて図示されている。
【0013】
モノリシック半導体装置10は、1チップの半導体装置であり、半導体の基板11と、基板11上に形成されたHEMT型の電力増幅用の第1トランジスタ12と、基板11上に形成されたHEMT型の第2トランジスタ21を含み、第1トランジスタ12のゲートにバイアス電圧を与える第1バイアス回路20とを有する。
【0014】
第1バイアス回路20は、直列に接続された第1抵抗22、第2トランジスタ21および第2抵抗23で構成される。第1抵抗22と第2トランジスタ21のドレインとの接続点は、第1バイアス回路20のバイアス電圧出力ノードに相当し、第1トランジスタ12のゲートに接続されている。第2トランジスタ21は、第1トランジスタ12に入力される高周波信号の伝搬経路外に配置されている。第2抵抗23は、一端が第2トランジスタ21のソースに接続され、他端が第2トランジスタ21のゲートに接続されている。なお、高周波信号の伝搬経路とは、ゲート端子13に入力された高周波信号の大部分が伝搬されていく経路である。
【0015】
さらに、モノリシック半導体装置10には、第1トランジスタ12のゲートに接続されるゲート端子13、第1トランジスタ12のドレインに接続されるドレイン端子14、第1抵抗22の一端に接続される第1バイアス端子15、および、第2抵抗23の他端に接続される第2バイアス端子16が設けられている。なお、第1トランジスタ12のソースは接地されている。また、第1バイアス端子15には、第2バイアス端子16よりも高い電圧が印加される。第1バイアス端子15および第2バイアス端子16の一方は接地されてもよい。
【0016】
図1の(b)に示されるように、Si等で構成される基板11上には、GaN等で構成される第1窒化物半導体層102が形成され、第1窒化物半導体層102の上には、第1窒化物半導体層102と比べてバンドギャップが大きいAlGaN等で構成される第2窒化物半導体層103が形成され、第2窒化物半導体層103の上には、SiN等で構成される絶縁層106で離隔されたドレイン電極110、ゲート電極111およびソース電極112が形成されている。なお、第1窒化物半導体層102と第2窒化物半導体層103との界面には、2次元電子ガス層107が形成されている。また、基板11上には、第1窒化物半導体層102および第2窒化物半導体層103を、他の回路要素から絶縁するための素子分離層104が形成されている。
【0017】
ゲート電極111は、第2窒化物半導体層103とショットキー接合しており、ドレイン電極110およびソース電極112は、熱処理等が施されることで、チャネルとして機能する2次元電子ガス層107とオーミック接続している。このように、第1トランジスタ12および第2トランジスタ21は、基板11上に形成され、第1窒化物半導体層102および第2窒化物半導体層103からなるHEMT型のトランジスタである。
【0018】
このように構成された本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10では、第1バイアス端子15および第2バイアス端子16のそれぞれに適切なバイアス電圧が印加された状態で、ゲート端子13に高周波信号が入力されると、第1トランジスタ12をハイパワーデバイスとする電力増幅が行われ、ドレイン端子14から、電力増幅後の出力信号が出力される。
【0019】
一般的に、トランジスタのドレイン電流は、しきい値電圧とゲートバイアスの差で変化し、ゲートバイアスを固定した場合、製造ばらつきによるしきい値電圧の変化でドレイン電流は大きく変化する、例えば、しきい値電圧が高くなるとドレイン電流は減少する。
【0020】
いま、第1トランジスタ12のしきい値電圧が高いほうにばらついたとする。本実施の形態では、同じ基板11上に第1トランジスタ12と同じ構造で形成された第2トランジスタ21もしきい値電圧が高いほうにばらつく。第2トランジスタ21と第2抵抗23とで定電流源回路が構成されるので、第2トランジスタ21のしきい値電圧が高くなると第2トランジスタ21のドレイン電流(つまり、アイドル電流)は減少し(図1の(c))、第2トランジスタ21のドレイン電流と第1抵抗22とで発生する電圧降下量が低下する。その結果、第1トランジスタ12のゲート電圧が上昇するため、第1トランジスタ12のしきい値電圧の上昇と共に第1トランジスタ12のゲートバイアスが上昇する。これにより、ゲートバイアスを固定した場合に比べ、第1トランジスタ12のドレイン電流(つまり、アイドル電流)の低下が抑制される(図1の(d))。よって、本実施の形態により、しきい値電圧のばらつきに応じて第1トランジスタ12のゲート電圧を変化させる第1バイアス回路20により、定電圧源でもアイドル電流を許容範囲内にすることが可能になり、個々にゲート電圧を調整する工数が削減される。
【0021】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0022】
図2は、実施の形態2に係るハイブリッド半導体装置30の回路図である。ハイブリッド半導体装置30は、基本的には、実施の形態1に係るモノリシック半導体装置10と同じ回路構成を備えるが、2つの基板11および11aに分けて形成されている(つまり、2チップの半導体装置で構成される)点で実施の形態1と異なる。
【0023】
つまり、ハイブリッド半導体装置30は、2つの基板11および11aを備えるとともに、回路要素として、第1トランジスタ12、第2トランジスタ21、第1抵抗22、第2抵抗23、ゲート端子13、ドレイン端子14、第1バイアス端子15、および、第2バイアス端子16を備える。これらの回路要素のう、第1トランジスタ12、第2トランジスタ21、ゲート端子13およびドレイン端子14は、基板11上に形成され、第1抵抗22、第2抵抗23、第1バイアス端子15、および、第2バイアス端子16は、基板11a上に形成されている。
【0024】
基板11を用いて形成されたモノリシック半導体装置を第1モノリシック半導体装置10aと呼び、基板11aを用いて形成されたモノリシック半導体装置を第2モノリシック半導体装置10bと呼ぶことができる。ハイブリッド半導体装置30は、第1モノリシック半導体装置10aおよび第2モノリシック半導体装置10bで構成される。なお、第1モノリシック半導体装置10aと第2モノリシック半導体装置10bとは、ワイヤー、または、図示されないサブマウント基板上に形成された配線パターンを介して接続される。
【0025】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30によれば、実施の形態1の効果に加えて、2つの基板11および11aに分散されて回路が形成されることによる次の効果が奏される。つまり、第1トランジスタ12のような信号増幅用トランジスタは、動作電流により発熱し、他の回路素子を加熱する場合がある。本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30では、第1抵抗22および第2抵抗23は、第1トランジスタ12とは異なる基板11a上に形成されるので、第1トランジスタ12の発熱による影響を受ける程度が低減され、ハイブリッド半導体装置30の安定した動作が確保される。
【0026】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3として、実施の形態2における第2モノリシック半導体装置10bの第1抵抗22および第2抵抗23の具体的な構造を説明する。
【0027】
図3は、実施の形態3に係る第1抵抗22および第2抵抗23を説明する図である。より詳しくは、図3の(a)は、第1抵抗22および第2抵抗23の平面レイアウトを示す。図3の(b)は、このような第1抵抗22および第2抵抗23を備える実施の形態2に係る第1トランジスタ12のドレイン電流を示す。図3の(b)において、横軸は、第1抵抗22の抵抗値を第2抵抗23の抵抗値で除した値(抵抗比)を示し、縦軸は、第1トランジスタ12のドレイン電流を示す。なお、図3の(b)では、本実施の形態における値の範囲に加えて、参考としての通常の場合(本実施の形態における平面レイアウトの特徴を有しない場合)における値の範囲も図示されている。
【0028】
図3の(a)に示されるように、第1抵抗22および第2抵抗23は、第2モノリシック半導体装置10bの平面視において、これら2つの第1抵抗22および第2抵抗23の間に他の素子を挟まず隣接し、それぞれの抵抗素子を流れる電流の方向が同一となるように配置されている。
【0029】
第1抵抗22および第2抵抗23の抵抗値の比が変化すると第1トランジスタ12のゲート電圧が変化し、第1トランジスタ12のドレイン電流が変化するが、本実施の形態では、図3の(a)に示されるように、第1抵抗22および第2抵抗23は、同一構造、同一幅(電流が流れる方向に直交する方向の長さが同一)、同一電流方向となるように形成されているので、第1抵抗22および第2抵抗23の抵抗比に対する製造ばらつきの影響が低減される。その結果、図3の(b)に示されるように、このような同一性を有する第1抵抗22および第2抵抗23を備える実施の形態2に係る第1トランジスタ12のドレイン電流のばらつきは、このような同一性を有しない第1抵抗および第2抵抗で構成されるケース(通常のケース)に比べ、低減される。
【0030】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0031】
図4は、実施の形態4に係るモノリシック半導体装置10cを説明する図である。より詳しくは、図4の(a)は、モノリシック半導体装置10cの回路図を示す。図4の(b)は、第2バイアス端子16にノイズが印加された場合の第1トランジスタ12のゲート端子おけるノイズ電力(縦軸)についての、第2抵抗23の抵抗値(横軸)による依存性を示す。なお、図4の(b)には、参考として、第2抵抗23が存在しない(短絡されている)通常の場合のノイズ電力(破線)も合わせて図示されている。
【0032】
図4の(a)に示されるように、モノリシック半導体装置10cは、基板11と、基板11上に形成されたHEMT型の電力増幅用の第1トランジスタ12と、第1トランジスタ12のゲートにバイアス電圧を与える第2バイアス回路20aとを有する。第2バイアス回路20aは、少なくとも2つの抵抗素子として、直列に接続された第1抵抗22および第2抵抗23を含む。バイアス電圧は、第1抵抗22および第2抵抗23によって生成される分圧電圧である。なお、第1トランジスタ12が第1窒化物半導体層102および第2窒化物半導体層103からなるトランジスタであることは、実施の形態1と同様である。
【0033】
信号増幅用トランジスタである第1トランジスタ12のゲートバイアスは外部より印加されるため、ノイズが重畳される場合があるが、本実施の形態では、第1トランジスタ12のゲート端子は第2抵抗23を介して基板11外に接続されるため、外来からのノイズは第2抵抗23によって減衰して第1トランジスタ12のゲート端子に入力される。その結果、図4の(b)に示されるように、第2抵抗23が存在しない(短絡されている)場合に比べ、外来からのノイズによる影響が低減される。
【0034】
(実施の形態5)
次に、実施の形態5として、実施の形態4に係るモノリシック半導体装置10cの第1抵抗22および第2抵抗23の具体的な構造を説明する。
【0035】
図5は、実施の形態5に係る第1抵抗22および第2抵抗23の構造図である。より詳しくは、図5の(a)は、第1抵抗22および第2抵抗23の平面レイアウトを示し、図5の(b)は、図5の(a)におけるVV線での断面構造を示す。
【0036】
基板11上に、GaN等で構成される第1窒化物半導体層102が形成され、第1窒化物半導体層102の上には、第1窒化物半導体層102と比べてバンドギャップが大きいAlGaN等で構成される第2窒化物半導体層103が形成され、第2窒化物半導体層103の上には、絶縁層106で離隔された第1電極113および第2電極114が形成されている。なお、第1窒化物半導体層102と第2窒化物半導体層103との界面付近には、2次元電子ガス層107が形成されている。また、基板11上には、第1窒化物半導体層102および第2窒化物半導体層103を、他の回路要素から絶縁するための素子分離層104が形成されている。第1電極113および第2電極114は、熱処理等が施されることで、電気抵抗要素として機能する2次元電子ガス層107とオーミック接続しており、電気抵抗要素の両接続端子として構成されている。
【0037】
このように構成された本実施の形態に係る第1抵抗22および第2抵抗23は、2次元電子ガス層が電気抵抗要素として機能するので、高温時に抵抗値が上昇する特性を持つ。よって、本実施の形態に係る第1抵抗22および第2抵抗23を、実施の形態4に係るモノリシック半導体装置10cにおける第2バイアス回路20aの抵抗素子(第1抵抗22および第2抵抗23)として用いることにより、工程を追加することなく、抵抗を集積化する事が可能になり、高温時に第2バイアス回路20aに流れる電流が低減される。
【0038】
なお、本実施の形態では、2つの第1抵抗22および第2抵抗23がいずれもが2次元電子ガス層を電気抵抗要素とする抵抗素子であったが、いずれか一方だけが2次元電子ガス層を電気抵抗要素とする抵抗素子であり、他の抵抗素子がチップ抵抗等の通常の抵抗素子であってもよい。
【0039】
(実施の形態6)
次に、実施の形態6として、実施の形態4におけるモノリシック半導体装置10cの第1抵抗22および第2抵抗23の具体的な構造を説明する。
【0040】
図6は、実施の形態6に係る第1抵抗22および第2抵抗23を説明する図である。より詳しくは、図6の(a)は、第1抵抗22および第2抵抗23の平面レイアウトを示し、図6の(b)は、このような第1抵抗22および第2抵抗23を備える実施の形態4に係る第1トランジスタ12のドレイン電流を示す。図6の(b)において、横軸は、第1抵抗22の抵抗値を第2抵抗23の抵抗値で除した値(抵抗比)を示し、縦軸は、第1トランジスタ12のドレイン電流を示す。なお、図6の(b)では、本実施の形態における値の範囲に加えて、参考としての通常の場合(本実施の形態における平面レイアウトの特徴を有しない場合)における範囲も図示されている。
【0041】
図6の(a)に示されるように、第1抵抗22および第2抵抗23は、モノリシック半導体装置10cの平面視において、これら2つの第1抵抗22および第2抵抗23の間に他の素子を挟まず隣接し、それぞれの抵抗素子に流れる電流方向が同一となるように配置されている。
【0042】
第1抵抗22および第2抵抗23の抵抗値の比が変化すると第1トランジスタ12のゲート電圧が変化し、第1トランジスタ12のドレイン電流が変化するが、本実施の形態では、図6の(a)に示されるように、第1抵抗22および第2抵抗23は、同一構造、同一幅、同一電流方向となるように形成されているので、第1抵抗22および第2抵抗23の抵抗比に対する製造ばらつきの影響が低減される。その結果、図6の(b)に示されるように、このような同一性を有する第1抵抗22および第2抵抗23を備える実施の形態に係る第1トランジスタ12のドレイン電流のばらつきは、このような同一性を有しない第1抵抗および第2抵抗で構成されるケース(通常のケース)に比べ、低減される。
【0043】
(実施の形態7)
次に、実施の形態7に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0044】
図7は、実施の形態7に係るモノリシック半導体装置10dを説明する図である。より詳しくは、図7の(a)は、モノリシック半導体装置10dの回路図である。図7の(b)は、第2トランジスタ21のしきい値電圧(つまり、しきい値電圧のばらつき)を横軸とし、無信号時の第2トランジスタ21のドレイン電流(破線)(つまり、アイドル電流)を左縦軸とし、第2トランジスタ21のドレイン電圧(実線)を右縦軸とする、第2トランジスタ21のしきい値電圧依存性を示す特性図である。図7の(c)は、第1トランジスタ12のしきい値電圧(つまり、しきい値電圧のばらつき)を横軸とし、無信号時の第1トランジスタ12のドレイン電流(実線)(つまり、アイドル電流)を縦軸とする、第1トランジスタ12のしきい値電圧依存性を示す特性図である。
【0045】
本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10dは、基本的には、実施の形態1に係るモノリシック半導体装置10と同じ回路構成を備える。第1バイアス回路20を構成する第1抵抗22および第2抵抗23が、実施の形態5で説明した2次元電子ガス層を電気抵抗要素とする抵抗素子であり、実施の形態6で説明したように、同一構造、同一幅、同一電流方向となるように形成されている点で、そのような抵抗素子に限定されない実施の形態1と異なる。
【0046】
本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10dにおいても、第1トランジスタ12のしきい値電圧が高いほうにばらついた場合に、同じ基板11上に第1トランジスタ12と同じ構造で形成された第2トランジスタ21のしきい値電圧も高いほうにばらつく。第2トランジスタ21と第2抵抗23とで定電流源回路が構成されるので、実施の形態1と同様に、第2トランジスタ21のしきい値電圧が高くなると第2トランジスタ21のドレイン電流は減少し(図7の(b))、第2トランジスタ21のドレイン電流と第1抵抗22とで発生する電圧降下量が低下する。その結果、第1トランジスタ12のゲート電圧が上昇するため、第1トランジスタ12のしきい値電圧の上昇と共に第1トランジスタ12のゲートバイアスが上昇する。これにより、ゲートバイアスを固定した場合に比べ、第1トランジスタ12のドレイン電流(つまり、アイドル電流)の低下が抑制される(図7の(c))。よって、本実施の形態により、しきい値電圧のばらつきに応じて第1トランジスタ12のゲート電圧を変化させる第1バイアス回路20により、定電圧源でもアイドル電流を許容範囲内にすることが可能になり、個々にゲート電圧を調整する工数が削減される。
【0047】
また、第1バイアス回路20を構成する第1抵抗22および第2抵抗23は、2次元電子ガス層が電気抵抗要素として機能する抵抗素子であり、高温時に抵抗値が上昇する特性を持つので、高温時に第1バイアス回路20に流れる電流が低減される。
【0048】
さらに、第1抵抗22および第2抵抗23は、同一構造、同一電流方向等の同一性を有するので、第1トランジスタ12のドレイン電流のばらつきは、このような同一性を有しないケースに比べ、低減される。
【0049】
(実施の形態8)
次に、実施の形態8に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0050】
図8は、実施の形態8に係るモノリシック半導体装置10eを説明する図である。より詳しくは、図8の(a)は、モノリシック半導体装置10eの回路図であり、図8の(b)~(d)は、それぞれ、モノリシック半導体装置10eの第1~第3平面レイアウト例を示す。
【0051】
図8の(a)に示されるように、モノリシック半導体装置10eは、実施の形態1に係るモノリシック半導体装置10の構成に加えて、基板11上に形成された、第1窒化物半導体層102および第2窒化物半導体層103からなるHEMT型の電力増幅用の第3トランジスタ40と、第3トランジスタ40のゲートにバイアス電圧を与える第3バイアス回路20bとを有する。
【0052】
第3バイアス回路20bは、直列に接続された第3抵抗24および第4抵抗25で構成される。第3抵抗24と第4抵抗25との接続点は、第3バイアス回路20bのバイアス電圧出力ノードに相当し、第3トランジスタ40のゲートに接続されている。なお、第3バイアス回路20bは、HEMT型のトランジスタを含まない。
【0053】
また、モノリシック半導体装置10eには、実施の形態1における端子に加えて、第3トランジスタ40のゲートに接続されるゲート端子41、第3トランジスタ40のドレインに接続されるドレイン端子42、第3抵抗24の一端に接続される第3バイアス端子43、および、第4抵抗25の一端に接続される第4バイアス端子44が設けられている。第3バイアス端子43には、第4バイアス端子44よりも高い電圧が印加される。第3バイアス端子43および第4バイアス端子44の一方は接地されてもよい。
【0054】
なお、モノリシック半導体装置10eは、第1トランジスタ12をキャリアアンプ、第3トランジスタ40をピークアンプとしたドハティ増幅回路を構成している。ドハティ増幅回路は、キャリアアンプと呼ばれる常時動作するB級またはAB級アンプ、および、ピークアンプと呼ばれるピーク電力時のみ動作するC級アンプの出力が直接結合された構成を備え、出力レベルが比較的低い領域でも良好な効率を有する高周波アンプである。
【0055】
図8の(b)に示される第1平面レイアウト例では、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第3トランジスタ40(ピークアンプ)との間での熱および信号の干渉を避けるため、両者の最も近接するゲートの間隔は、基板11の厚みの2倍以上(例えば、基板11の厚みが100μmの場合、200μm以上)に設定されている。また、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)の放熱を考慮し、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)のゲートと基板11の端との最短距離は、基板11の厚み以上(例えば、基板11の厚みが100μmの場合、100μm以上)に設定されている。なお、本実施の形態では、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)および第3トランジスタ40(ピークアンプ)は、櫛型(つまり、マルチフィンガータイプの)トランジスタである。
【0056】
第1トランジスタ12(キャリアアンプ)用の第1バイアス回路20は、平面レイアウトにおいて、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)の直下に配置され、第1バイアス回路20を構成する第2トランジスタ21は、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)のフィンガーが並ぶ方向において第1トランジスタ12(キャリアアンプ)の中央付近に配置されている。
【0057】
このようなレイアウトにより、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第1バイアス回路20を構成する第2トランジスタ21とを近接配置し、これらのフィンガーが並ぶ方向での位置を同一にすることで、両者の特性差が低減される。
【0058】
図8の(c)に示される第2平面レイアウト例では、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)の放熱を考慮し、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)のゲートと基板11の端との最短距離は、基板11の厚み以上(例えば、基板11の厚みが100μmの場合、100μm以上)に設定されている。また、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)用の第1バイアス回路20は、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第3トランジスタ40(ピークアンプ)との間に配置され、かつ、第1バイアス回路20を構成する第2トランジスタ21は、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)のフィンガーが並ぶ方向を拡張した範囲に配置されている。
【0059】
なお、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第2トランジスタ21とのゲート間隔は、50μm以下に近接していてもよい。また、第3トランジスタ40(ピークアンプ)用のバイアス抵抗(第3抵抗24および第4抵抗25)を第2トランジスタ21と50μm以下で近接して配置してもよい。
【0060】
第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第3トランジスタ40(ピークアンプ)との間のスペースに、2つのバイアス回路(第1バイアス回路20および第3バイアス回路20b)を配置することで、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第3トランジスタ40(ピークアンプ)とが最も近接するゲートの間隔は、基板11の厚みの2倍以上確保され、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第3トランジスタ40(ピークアンプ)との間での熱および信号の干渉が抑制される。
【0061】
このようなレイアウトにより、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第3トランジスタ40(ピークアンプ)との間のスペースをバイアス回路に使用できるため、高い面積効率が実現される。また、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第1バイアス回路20を構成する第2トランジスタ21とを近接配置し、フィンガーが並ぶ方向に直交する方向での位置を同一にすることで、両者の特性差が低減される。
【0062】
図8の(d)に示される第3平面レイアウト例では、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第3トランジスタ40(ピークアンプ)との間での熱および信号の干渉を抑制するため、両者の最も近接するゲートの間隔は、基板11の厚みの2倍以上(例えば、基板11の厚みが100μmの場合、200μm以上)に設定されている。また、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)用の第1バイアス回路20は第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と基板11の端との間に配置され、かつ、第1バイアス回路20を構成する第2トランジスタ21は第1トランジスタ12(キャリアアンプ)のフィンガーが並ぶ方向を拡張した範囲に配置されている。
【0063】
なお、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第2トランジスタ21とのゲート間隔は50μm以下に近接していてもよい。
【0064】
このようなレイアウトにより、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と基板11の端との間のスペースを第1バイアス回路20に使用できるため、高い面積効率が実現される。また、第1トランジスタ12(キャリアアンプ)と第1バイアス回路20を構成する第2トランジスタ21とを近接配置し、フィンガーが並ぶ方向に直交する方向での位置を同一にすることで、両者の特性差が低減される。
【0065】
一般的に、ドハティ増幅回路では、常時動作するキャリアアンプに比べ、ピーク電力時のみ動作するピークアンプは、低電力領域ではドレイン電流が流れないようなゲート電圧が印加されるため、キャリアアンプと比較してゲートバイアスのばらつきよる特性変動が少ない。本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10eでは、ゲートバイアスの変動による影響が大きいキャリアアンプを構成する第1トランジスタ12用のバイアス回路として、第2トランジスタ21を含む第1バイアス回路20が集積されており、これにより、キャリアアンプのばらつき補償効果とピークアンプのチップサイズ抑制の両方が実現される。
【0066】
なお、第1トランジスタ12と第3トランジスタ40の最も近接するゲートの間隔を基板11の厚みの2倍以上に設定するなど、数値条件の記載は、発明者らの経験によるものであり、これに限定されるものではない。
【0067】
(実施の形態9)
次に、実施の形態9として、実施の形態1~8におけるバイアス回路に付加し得るイネーブル制御回路について説明する。
【0068】
図9は、実施の形態9に係るイネーブル制御回路45を説明する図である。より詳しくは、図9の(a)は、イネーブル制御回路45の回路図である。ここでは、実施の形態4に係るモノリシック半導体装置10cにイネーブル制御回路45が付加されたモノリシック半導体装置10fの回路例が示されている。図9の(b)および(c)は、図9の(a)におけるイネーブル制御端子46の電圧による依存性を示す。つまり、図9の(b)は、イネーブル制御端子46の電圧(横軸)と、第1バイアス端子15の電圧(縦軸、一点鎖線)および第1トランジスタ12のゲート電圧(縦軸、実線)との関係を示す。なお、図9の(b)には、第1トランジスタ12しきい値電圧(破線)も合わせて図示されている。図9の(c)は、イネーブル制御端子46の電圧(横軸)と、第1トランジスタ12のドレイン電流(縦軸)との関係を示す。
【0069】
図9の(a)に示されるように、モノリシック半導体装置10fの基板11上に、第1トランジスタ12のゲートに与えるバイアス電圧の活性状態を制御するイネーブル制御回路45が形成されている。また、基板11には、イネーブル制御回路45の入力端子であるイネーブル制御端子46、および、イネーブル制御回路45の出力端子であって第1バイアス端子15と接続されたイネーブル出力端子47が設けられている。なお、第2バイアス端子16には、第1トランジスタ12のしきい値電圧より低い電圧が印加されている。
【0070】
イネーブル制御回路45は、イネーブル制御端子46に印加される0V以上の電圧の変化(High電圧/Low電圧)に応じて、第1トランジスタ12のしきい値電圧より低い電圧と高い電圧とを選択的にイネーブル出力端子47から出力するスイッチ素子等で構成される回路である。
【0071】
いま、イネーブル制御回路45のイネーブル制御端子46にLow電圧が入力されると、イネーブル出力端子47から第1トランジスタ12のしきい値電圧より低い電圧が出力され、その電圧が第1バイアス端子15に印加される(図9の(b))。その結果、第1トランジスタ12は、ゲート電圧が第1トランジスタ12のしきい値電圧より低くなり、ドレイン電流が流れないoff状態になる(図9の(c))。
【0072】
一方、イネーブル制御回路45のイネーブル制御端子46にHigh電圧が入力されると、イネーブル出力端子47から第1トランジスタ12のしきい値電圧より高い電圧が出力され、その電圧が第1バイアス端子15に印加される(図9の(b))。第1バイアス端子15に印加された電圧は、第2バイアス回路20aの第1抵抗22および第2抵抗23で分圧される。ここで、第1抵抗22および第2抵抗23は、分圧電圧が第1トランジスタ12のしきい値電圧より高くなるように設定されている。その結果、第1トランジスタ12は、ゲート電圧が第1トランジスタ12のしきい値電圧より高くなり、ドレイン電流が流れるon状態になる(図9の(c))。
【0073】
このように構成された本実施の形態に係るイネーブル制御回路45は、イネーブル制御端子46に印加される0V以上の電圧に応じて、第1トランジスタ12をoff状態とon状態とに切り替えることができる。よって、固定的に第1バイアス端子15に電源電圧を印加する場合に比べ、増幅動作を行わない時、容易にドレイン電流を低減する事が可能になり消費電力が低減される。
【0074】
なお、本実施の形態では、実施の形態4に係るモノリシック半導体装置10cにイネーブル制御回路45が付加された回路例が説明されたが、イネーブル制御回路45は、実施の形態1~8のいずれの半導体装置に付加されてもよい。
【0075】
なお、イネーブル制御回路45は、モノリシック半導体装置10cとは別の半導体基板上やサブマウント基板上に形成され、モノリシック半導体装置10cと配線やワイヤーなどで接続されてもよい。
【0076】
(実施の形態10)
次に、実施の形態10に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0077】
図10は、実施の形態10に係るハイブリッド半導体装置30aの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30aは、平面視で矩形形状を有するサブマウント基板32と、サブマウント基板32に実装された実施の形態9に係るモノリシック半導体装置10fとを有する。
【0078】
サブマウント基板32は、樹脂やセラミック等の基板であり、その外周辺に複数の基板端子33が形成されている。基板端子33には、高周波信号入力基板端子33aと、イネーブル制御入力基板端子33bとが含まれる。高周波信号入力基板端子33aは、サブマウント基板32の4つの外周辺のうちの第1外周辺に配置され、サブマウント基板32上の配線34a、および、ワイヤー35aを経て、モノリシック半導体装置10fのゲート端子13に接続されている。イネーブル制御入力基板端子33bは、サブマウント基板32の4つの外周辺のうち、高周波信号入力基板端子33aが配置された外周辺を除いた第2外周辺の、角部基板端子位置を除く基板端子位置に配置され、サブマウント基板32上の配線34b、および、ワイヤー35bを経て、モノリシック半導体装置10fのイネーブル制御端子46に接続されている。
【0079】
このような本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30aのレイアウトにより、高周波信号入力基板端子33aに入力された信号とイネーブル制御入力基板端子33bに入力された信号との干渉が低減され、高周波信号入力基板端子33aに入力された入力信号がイネーブル制御端子46へ漏れることによる誤動作、または、イネーブル制御端子46に入力された雑音が高周波信号入力基板端子33aへ入力されることによる入力信号の劣化が抑制される。
【0080】
(実施の形態11)
次に、実施の形態11として、上記実施の形態1~10に係る半導体装置のうち、少なくとも2つのトランジスタを含むバイアス回路を有する半導体装置に適用し得る回路であって、バイアス端子から混入し得るノイズを抑制し、バイアス回路へのRF漏れ低減効果を有する回路について説明する。
【0081】
図11は、実施の形態11に係るノイズ抑制回路の回路図である。ここでは、実施の形態1に係る第1バイアス回路20に、ノイズ抑制回路としての第5抵抗26を付加した回路例が示されている。第5抵抗26は、第1バイアス回路20のバイアス電圧出力ノード(つまり、第1抵抗22と第2トランジスタ21のドレイン端子との接続点)と第1トランジスタ12のゲートとの間に接続された抵抗素子である。
【0082】
第2バイアス端子16にノイズが重畳された場合、そのノイズは、第2トランジスタ21のゲート-ドレイン間の容量を介して第1トランジスタ12のゲート端子13に印加され、第1トランジスタ12によって増幅されて出力される。本実施の形態によれば、第1バイアス回路20のバイアス電圧出力ノードと第1トランジスタ12のゲートとの間に第5抵抗26が接続されているので、第2バイアス端子16から混入したノイズは、第5抵抗26によって減衰され、その結果、第1トランジスタ12のゲート端子13に入力されるノイズ量が低減される。
【0083】
(実施の形態12)
次に、実施の形態12として、上記実施の形態1~10係る半導体装置のうち、少なくとも2つのトランジスタを含むバイアス回路を有する半導体装置に適用し得る回路であって、バイアス端子から混入し得るノイズを抑制する別の回路について説明する。
【0084】
図12は、実施の形態12に係るノイズ抑制回路の回路図である。ここでは、実施の形態1に係る第1バイアス回路20に、ノイズ抑制回路としての第6抵抗27を付加した回路例が示されている。第6抵抗27は、第1バイアス回路20に電源電圧を供給する第2バイアス端子16と第2トランジスタ21のゲートとの間に接続された抵抗素子である。
【0085】
第2バイアス端子16にノイズが重畳された場合、そのノイズは、第2トランジスタ21のゲート-ドレイン間の容量を介して第1トランジスタ12のゲート端子13に印加され、第1トランジスタ12によって増幅されて出力される。本実施の形態によれば、第2バイアス端子16と第2トランジスタ21のゲートとの間に第6抵抗27が接続されているので、第2バイアス端子16から混入したノイズは、第6抵抗27によって減衰され、その結果、第1トランジスタ12のゲート端子13に入力されるノイズ量が低減される。
【0086】
(実施の形態13)
次に、実施の形態13に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0087】
図13は、実施の形態13に係るモノリシック半導体装置10gを説明する図である。より詳しくは、図13の(a)は、モノリシック半導体装置10gの平面レイアウト図であり、図13の(b)は、ドハティ増幅器に用いたモノリシック半導体装置10gの回路図である。モノリシック半導体装置10gは、基板11と、基板11上に形成されたHEMT型の電力増幅用の第1トランジスタ50と、基板11上に形成され、第1トランジスタ50より導通電流能力の大きい、HEMT型の電力増幅用の第2トランジスタ60とを有する。モノリシック半導体装置10gは、第1トランジスタ50をキャリアアンプ、第2トランジスタ60をピークアンプとしたドハティ増幅回路に用いられている。
【0088】
なお、第1トランジスタ50および第2トランジスタ60の断面構造は、図1の(b)に示される構造と同じである。つまり、基板11上には、GaN等で構成される第1窒化物半導体層102が形成され、第1窒化物半導体層102の上には、第1窒化物半導体層102と比べてバンドギャップが大きいAlGaN等で構成される第2窒化物半導体層103が形成され、第2窒化物半導体層103の上には、SiN等で構成される絶縁層106で離隔されたドレイン電極110、ゲート電極111およびソース電極112が形成され、第1窒化物半導体層102と第2窒化物半導体層103との界面には、2次元電子ガス層107が形成されている。第1トランジスタ50および第2トランジスタ60は、基板11上に形成され、第1窒化物半導体層102および第2窒化物半導体層103からなるHEMT型のトランジスタである。
【0089】
図13の(a)に示されるように、第1トランジスタ50は、連続した第1活性領域51内に形成された4個の並列接続された単位トランジスタで構成され、4本のゲート電極52と、2本のドレイン電極53と、3本のソース電極54とを有する。第2トランジスタ60は、連続した第2活性領域61内に形成された6個の並列接続された単位トランジスタで構成され、6本のゲート電極62と、3本のドレイン電極63と、4本のソース電極64とを有する。
【0090】
ここで、第1トランジスタ50のゲート電極1本あたりのゲート電極幅を第1単位ゲート電極幅(ここでは、200μm)、第2トランジスタ60のゲート電極1本あたりのゲート電極幅を第2単位ゲート電極幅(ここでは、200μm)、第1トランジスタ50のゲート電極数を第1ゲート電極数(ここでは、4)、第2トランジスタ60のゲート電極数を第2ゲート電極数(ここでは、6)とし、第2単位ゲート電極幅と第2ゲート電極数とを乗じて得られる値(1200)が第1単位ゲート電極幅と第1ゲート電極数とを乗じて得られる値(800)より大きくなるように、モノリシック半導体装置10gが構成されている。このような構成により、第2トランジスタ60の導通電流能力は、第1トランジスタ50の導通電流能力より大きくなる。
【0091】
ドハティ増幅回路における変調信号のピーク電力と平均電力との比であるPAPRは、ドハティ増幅回路のキャリアアンプの導通電流能力とピークアンプの導通電流能力とが等しい場合、PAPR=6dBで最も高い効率が得られることが知られている。
【0092】
本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10gによれば、ピークアンプである第2トランジスタ60の導通電流能力は、キャリアアンプである第1トランジスタ50の導通電流能力より大きいので、PAPRが6dBより大きな信号増幅で、より高い効率をもつドハティ増幅回路が実現される。
【0093】
第1トランジスタ50(キャリアアンプ)は、第2トランジスタ60(ピークアンプ)より高いゲート電圧が与えられて動作する。通常、第1トランジスタ50(キャリアアンプ)および第2トランジスタ60(ピークアンプ)それぞれにゲート電圧の調整が必要である。ところが、本実施の形態では、両者を同一の基板11上に構成しているので、両者のしきい値電圧はほぼ等しく、図13の(b)に示されるように、例えば、レベルシフト回路58を介して両者のゲート端子を接続することで、一回のゲート電圧調整で、第1トランジスタ50(キャリアアンプ)および第2トランジスタ60(ピークアンプ)両方のゲート電圧を決定することが可能になり、ゲート電圧調整の工数を半分にすることができる。
【0094】
(実施の形態14)
次に、実施の形態14として、実施の形態13において、第2トランジスタの導通電流能力が第1トランジスタの1.5倍以上1.7倍以下であるモノリシック半導体装置を説明する。
【0095】
図14は、実施の形態14に係るモノリシック半導体装置10hを説明する図である。より詳しくは、図14の(a)は、モノリシック半導体装置10hの平面レイアウト図である。図14の(b)は、モノリシック半導体装置10hのピークアンプ(第2トランジスタ60)のサイズとキャリアアンプ(第1トランジスタ50)のサイズとの比(PAサイズ/CAサイズ、横軸)と、熱抵抗(実線、左縦軸)および効率(破線、右縦軸)との関係を示す図である。図14の(c)は、モノリシック半導体装置10hの熱抵抗(横軸)と効率(縦軸)との関係を示す図である。ここで、ピークアンプおよびキャリアアンプのサイズとは、それぞれ単位ゲート電極幅とゲート電極数とを乗じて得られる値のことである。
【0096】
本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10hは、実施の形態13と同様に、第1トランジスタ50aをキャリアアンプ、第2トランジスタ60aをピークアンプとしたドハティ増幅回路に用いられている。
【0097】
図14の(a)に示されるように、第1トランジスタ50aは、連続した第1活性領域51a内に形成された4個の並列接続された単位トランジスタで構成され、4本のゲート電極52aと、2本のドレイン電極53aと、3本のソース電極54aとを有する。第2トランジスタ60aは、連続した第2活性領域61a内に形成された6個の並列接続された単位トランジスタで構成され、6本のゲート電極62aと、3本のドレイン電極63aと、4本のソース電極64aとを有する。
【0098】
ここで、第1トランジスタ50aのゲート電極1本あたりのゲート電極幅である第1単位ゲート電極幅は200μmであり、第2トランジスタ60aのゲート電極1本あたりのゲート電極幅である第2単位ゲート電極幅は、215μmである。よって、本実施の形態では、第2単位ゲート電極幅(215μm)と第2ゲート電極数(6)とを乗じて得られる値(1290)が第1単位ゲート電極幅(200μm)と第1ゲート電極数(4)とを乗じて得られる値(800)の1.5倍以上1.7倍以下となるように、モノリシック半導体装置10hが構成されている。このような構成により、第2トランジスタ60aの導通電流能力は、第1トランジスタ50の1.5倍以上1.7倍以下となる。
【0099】
一般的に、高周波増幅回路は飽和電力に近い電力で動作すると高い効率が得られるため、ドハティ増幅回路において常時動作するキャリアアンプ(第1トランジスタ50a)のサイズを小さくすると、キャリアアンプは飽和電力に近い電力で動作し高い効率が得られる(図14の(b)の破線)。しかしながら、キャリアアンプのサイズを小さくすることによって熱抵抗が悪化する(図14の(b)の実線)。ドハティ増幅回路では、一般的に、図14の(b)に示されるように、一定値以上の効率と一定値以下の熱抵抗が求められる。
【0100】
本実施の形態では、PAサイズ/CAサイズが1.5以上1.7以下(約1.6)であるので、要求値以上の効率と要求値以下の熱抵抗が実現される(図14の(c))。
【0101】
(実施の形態15)
次に、実施の形態15として、実施の形態13において、基板の平面視で、第1トランジスタが形成されている第1活性領域の面積が、第2トランジスタが形成されている第2活性領域の面積より大きいモノリシック半導体装置を説明する。
【0102】
図15は、実施の形態15に係るモノリシック半導体装置10iの平面レイアウト図である。本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10iは、実施の形態13と同様に、第1トランジスタ50bをキャリアアンプ、第2トランジスタ60bをピークアンプとしたドハティ増幅回路に用いられている。
【0103】
図15に示されるように、第1トランジスタ50bは、連続した第1活性領域51b内に形成された4個の並列接続された単位トランジスタで構成され、4本のゲート電極52bと、2本のドレイン電極53bと、3本のソース電極54bとを有する。第2トランジスタ60bは、連続した第2活性領域61b内に形成された6個の並列接続された単位トランジスタで構成され、6本のゲート電極62bと、3本のドレイン電極63bと、4本のソース電極64bとを有する。
【0104】
ここで、第1トランジスタ50bのゲート電極1本あたりのゲート電極幅である第1単位ゲート電極幅は200μmであり、第2トランジスタ60bのゲート電極1本あたりのゲート電極幅である第2単位ゲート電極幅は、200μmである。また、第1活性領域51bの長さは、600μmであり、第2活性領域61bの長さは、500μmである。よって、本実施の形態では、基板11の平面視において、第1活性領域51bの面積(120000μm)は、第2活性領域61bの面積(100000μm)より大きい。
【0105】
ドハティ増幅回路において、常時動作するキャリアアンプ(第1トランジスタ50b)は、信号のピーク電力時のみ動作するピークアンプ(第2トランジスタ60b)に比べ、発熱量が大きい。本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10iでは、第1トランジスタ50bが形成されている第1活性領域51bの面積が、第2トランジスタ60bが形成されている第2活性領域61bの面積より大きいので、より大きな熱を発生するキャリアアンプ(第1トランジスタ50b)の発熱源が分散配置され、キャリアアンプ(第1トランジスタ50b)をより低温で動作させることが可能になる。
【0106】
(実施の形態16)
次に、実施の形態16として、実施の形態13において、基板の平面視で、第1活性領域の面積を第1トランジスタの導通電流能力で除した値が、第2活性領域の面積を第2トランジスタの導通電流能力で除した値より大きいモノリシック半導体装置を説明する。
【0107】
図16は、実施の形態16に係るモノリシック半導体装置10jの平面レイアウト図である。本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10jは、実施の形態13と同様に、第1トランジスタ50cをキャリアアンプ、第2トランジスタ60cをピークアンプとしたドハティ増幅回路に用いられている。
【0108】
図16に示されるように、第1トランジスタ50cは、連続した第1活性領域51c内に形成された4個の並列接続された単位トランジスタで構成され、4本のゲート電極52cと、2本のドレイン電極53cと、3本のソース電極54cとを有する。第2トランジスタ60cは、連続した第2活性領域61c内に形成された6個の並列接続された単位トランジスタで構成され、6本のゲート電極62cと、3本のドレイン電極63cと、4本のソース電極64cとを有する。
【0109】
ここで、第1トランジスタ50cのゲート電極1本あたりのゲート電極幅である第1単位ゲート電極幅は200μmであり、第2トランジスタ60cのゲート電極1本あたりのゲート電極幅である第2単位ゲート電極幅は、200μmである。また、第1活性領域51cの長さは、400μmであり、第2活性領域61cの長さは、500μmである。よって、本実施の形態では、基板11の平面視において、第1活性領域51cの面積は、80000μmであり、第2活性領域61cの面積は、100000μmである。
【0110】
また、トランジスタの導通電流能力は、単位ゲート電極幅とゲート電極数とを乗じて得られる値に比例するので、第1トランジスタ50cの導通電流能力と、第2トランジスタ60cの導通電流能力との比は、2:3となる。
【0111】
よって、本実施の形態では、基板11の平面視において、第1活性領域51cの面積(80000μm)を第1トランジスタ50cの導通電流能力(2)で除した値(40000)は、第2活性領域61cの面積(100000μm)を第2トランジスタ60cの導通電流能力(3)で除した値(約33333)より大きい。
【0112】
このような特徴により、より大きな熱を発生するキャリアアンプ(第1トランジスタ50c)の発熱源が分散配置され、キャリアアンプ(第1トランジスタ50c)をより低温で動作させることが可能になる。
【0113】
(実施の形態17)
次に、実施の形態17として、実施の形態13において、第1トランジスタを構成するソース領域に特徴を有するモノリシック半導体装置を説明する。
【0114】
図17は、実施の形態17に係るモノリシック半導体装置10kの平面レイアウト図である。なお、本図では、特徴的な第1トランジスタ50dの平面レイアウトだけが図示され、第2トランジスタの図示は省略されている。より詳しくは、図17の(a)は、第1トランジスタ50dだけの平面レイアウトを示し、図17の(b)は、ソース配線を含む第1トランジスタ50dの平面レイアウトを示す。
【0115】
図17の(a)に示されるように、第1トランジスタ50dは、連続した第1活性領域51d内に形成された4個の並列接続された単位トランジスタで構成され、第1活性領域51d内のゲート領域に形成された4本のゲート電極52dと、第1活性領域51d内のドレイン領域に形成された2本のドレイン電極53dと、第1活性領域51d内のソース領域に形成された3本のソース電極54dとを有する。
【0116】
3本のソース電極54dのうち、中央のソース電極54dは、隣接する2つの単位トランジスタに共通のソース領域である共通ソース領域55に形成されている。共通ソース領域55の長さは、50μmである。基板11の外周辺に最近接して形成されたソース領域を含む他のソース領域の長さは、20μmである。また、2本のドレイン電極53dは、隣接する2つの単位トランジスタに共通のドレイン領域である共通ドレイン領域56に形成されている。
【0117】
このように構成された本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10kでは、第1トランジスタ50dを構成する複数の単位トランジスタのソース領域、ゲート領域およびドレイン領域が並ぶ第1方向において、ソース領域の長さ(20μm)および共通ソース領域55の長さの1/2の長さ(25μm)は一定ではない(つまり、異なる)。
【0118】
また、第1トランジスタ50dを構成する複数の単位トランジスタのソース領域、ゲート領域およびドレイン領域が並ぶ第1方向において、基板11の外周辺に最近接して形成されたソース領域の長さ(20μm)は、共通ソース領域55の長さの1/2の長さ(25μm)より短い。
【0119】
このような平面レイアウトの特徴により、端部のソース領域を小さくすることで、空いたスペースを放熱に使用でき、かつ、例えばボンディングパッド等を配置することが可能となり、良好な放熱とチップサイズの増大の抑制が両立できる。
【0120】
また、図17の(b)の平面レイアウトに示されるように、ソース電極54dは接地のため、ビアホール54d2により、基板11の裏面と接続されたソース配線54d1に接続されている。なお、本実施の形態では、ビアホール54d2は、ソースインダクタンスを低減するために2列に配置されているが、両端のビアホールについては直近のソース領域の電流が半分になるため、1列にしてもかまわない。このようなレイアウトにより、両端の1列のビアホール54d2の直下部分に、例えばボンディングパッド等の素子を配置することが可能になり、高い面積効率が実現される。
【0121】
(実施の形態18)
次に、実施の形態18として、実施の形態13において、第1トランジスタを構成するゲート領域の位置に特徴を有するモノリシック半導体装置を説明する。
【0122】
図18は、実施の形態18に係るモノリシック半導体装置10lの平面レイアウト図である。なお、本図では、特徴的な第1トランジスタ50eの平面レイアウトだけが図示され、第2トランジスタの図示は省略されている。
【0123】
図18に示されるように、第1トランジスタ50eは、連続した第1活性領域51e内に形成された4個の並列接続された単位トランジスタで構成され、第1活性領域51e内のゲート領域に形成された4本のゲート電極52eと、第1活性領域51e内のドレイン領域に形成された2本のドレイン電極53eと、第1活性領域51e内のソース領域に形成された3本のソース電極54eとを有する。
【0124】
3本のソース電極54eのうち、中央のソース電極54eは、隣接する2つの単位トランジスタに共通のソース領域である共通ソース領域55aに形成されている。共通ソース領域55aの長さは、50μmである。基板11の外周辺に最近接して形成されたソース領域を含む他のソース領域の長さは、20μmである。また、2本のドレイン電極53eは、隣接する2つの単位トランジスタに共通のドレイン領域である共通ドレイン領域56aに形成されている。
【0125】
ここで、第1トランジスタ50eを構成する複数の単位トランジスタのソース領域、ゲート領域およびドレイン領域が並ぶ第1方向において、基板11の外周辺から当該外周辺に最近接して形成されたゲート領域までの長さは、70μmであり、共通ソース領域55aの長さの1/2の長さ(25μm)より長い。
【0126】
このような平面レイアウトの特徴により、端部のソース領域を小さくすることで、空いたスペースを放熱に使用でき、かつ、例えばボンディングパッド等を配置することが可能となり、良好な放熱チップサイズの増大の抑制が両立できる。
【0127】
(実施の形態19)
次に、実施の形態19として、実施の形態13において、第1トランジスタを構成する共通ソース領域および共通ドレイン領域に特徴を有するモノリシック半導体装置を説明する。
【0128】
図19は、実施の形態19に係るモノリシック半導体装置10mの平面レイアウト図である。なお、本図では、特徴的な第1トランジスタ50fの平面レイアウトだけが図示され、第2トランジスタの図示は省略されている。
【0129】
図19に示されるように、第1トランジスタ50fは、連続した第1活性領域51f内に形成された4個の並列接続された単位トランジスタで構成され、第1活性領域51f内のゲート領域に形成された4本のゲート電極52fと、第1活性領域51f内のドレイン領域に形成された2本のドレイン電極53fと、第1活性領域51f内のソース領域に形成された3本のソース電極54fとを有する。
【0130】
3本のソース電極54fのうち、中央のソース電極54fは、隣接する2つの単位トランジスタに共通のソース領域である共通ソース領域55bに形成されている。共通ソース領域55bの長さは、100μmである。また、2本のドレイン電極53fは、隣接する2つの単位トランジスタに共通のドレイン領域である共通ドレイン領域56bに形成されている。共通ドレイン領域56bの長さは、20μmである。このように、第1トランジスタ50fを構成する複数の単位トランジスタのソース領域、ゲート領域およびドレイン領域が並ぶ第1方向において、共通ソース領域55bの長さ(100μm)は、共通ドレイン領域56bの長さ(20μm)より長い。
【0131】
一般的に、トランジスタのソースおよび基板の裏面が接地されている場合、ドレイン領域と基板の裏面とで形成される容量は、トランジスタのドレイン-ソース間の容量と等価になり、その結果、ドレイン-ソース間の容量の増加が増幅回路の効率の低下を招く。
【0132】
本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10mでは、共通ソース領域55bの長さが共通ドレイン領域56bの長さより長いので、ドレイン-ソース間容量を増加させることなく発熱領域を広くして熱抵抗を低減することができる。
【0133】
(実施の形態20)
次に、実施の形態20に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0134】
図20は、実施の形態20に係るハイブリッド半導体装置30bの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30bは、サブマウント基板32aと、サブマウント基板32aに実装された、実施の形態13に係るドハティ増幅回路を構成するモノリシック半導体装置10gである第1モノリシック半導体装置70、第1モノリシック半導体装置70用の入力整合回路領域71、第2モノリシック半導体装置72、第2モノリシック半導体装置72用の出力整合回路領域73、および、出力整合回路領域73からの出力信号を第1トランジスタ50用の信号と第2トランジスタ60用の信号とに分配して入力整合回路領域71へ出力するカプラー74を有する。第2モノリシック半導体装置72は、高周波信号を増幅して、第1モノリシック半導体装置70に出力する増幅回路を有する。
【0135】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30bでは、ドハティ増幅回路と、その前段の増幅回路とが異なるモノリシック半導体装置で構成されるので、両者の間に第2モノリシック半導体装置72の出力整合回路とカプラー74と第1モノリシック半導体装置70の入力整合回路と配置することができ、小さな面積で多段のドハティ増幅回路が実現される。
【0136】
(実施の形態21)
次に、実施の形態21に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0137】
図21は、実施の形態21に係るハイブリッド半導体装置30cの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30cは、実施の形態20に係るハイブリッド半導体装置30bに、第3モノリシック半導体装置75が追加された構成を備える。第3モノリシック半導体装置75は、第1モノリシック半導体装置70が有する第1トランジスタ50のゲート、および、第2モノリシック半導体装置72が有するトランジスタのゲートにバイアス電圧を与える第1バイアス回路を有する。第1バイアス回路は、例えば、実施の形態1または実施の形態4におけるバイアス回路である。
【0138】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30cでは、ハイブリッド半導体装置30c内にバイアス回路を有することにより、ハイブリッド半導体装置30c外のバイアス回路が不要になり、小さな面積で増幅回路が実現される。
【0139】
(実施の形態22)
次に、実施の形態22に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0140】
図22は、実施の形態22に係るハイブリッド半導体装置30dの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30dは、基本的に、実施の形態20に係るハイブリッド半導体装置30bと同じ構成を備える。ただし、本実施の形態では、ハイブリッド半導体装置30dを構成する第2モノリシック半導体装置72aは、複数の増幅回路がカスケードに接続された多段増幅器で構成される。
【0141】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30dは、多段増幅器で構成された第2モノリシック半導体装置72aを有するので、高い利得を有し、ハイブリッド半導体装置30dの入力信号の強度を下げることを可能にし、効率の高い増幅が可能になる。
【0142】
(実施の形態23)
次に、実施の形態23に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0143】
図23は、実施の形態23に係るハイブリッド半導体装置30eの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30eは、基本的に、実施の形態20に係るハイブリッド半導体装置30bと同じ構成を備える。ただし、本実施の形態では、ハイブリッド半導体装置30eを構成する第2モノリシック半導体装置72bは、1段増幅器で構成される。
【0144】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30eは、1段増幅器で構成された第2モノリシック半導体装置72bを有するので、第2モノリシック半導体装置72bの面積を小さくすることができ、小さな面積で高い利得の増幅回路が実現される。
【0145】
(実施の形態24)
次に、実施の形態24に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0146】
図24は、実施の形態24に係るハイブリッド半導体装置30fの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30fは、基本的に、実施の形態23に係るハイブリッド半導体装置30eと同じ構成を備える。ただし、本実施の形態では、ハイブリッド半導体装置30fを構成する第1モノリシック半導体装置70と第2モノリシック半導体装置72bとは、平面視において、それぞれにおける高周波信号の伝送方向が互いに平行とならないように(ここでは、直交するように)、サブマウント基板32a上に配置されている。
【0147】
また、本実施の形態では、カプラー74aは、サブマウント基板32a上の配線パターンにより構成されている。つまり、カプラー74aは、配線パターンによって、第2モノリシック半導体装置72bが有する増幅回路と第1モノリシック半導体装置70が有する第1トランジスタ50および第2トランジスタ60との間に配置され、第2モノリシック半導体装置72bが有する増幅回路からの高周波出力信号を第1トランジスタ50および第2トランジスタ60のそれぞれのゲートに分配送信する。
【0148】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30fでは、第1モノリシック半導体装置70と第2モノリシック半導体装置72bとは、それぞれにおける高周波信号の伝送方向が互いに平行とならないので、第1モノリシック半導体装置70と第2モノリシック半導体装置72bとの間に第2モノリシック半導体装置72b用の出力整合回路領域73を配置することなく外すことができ、小さな面積でドハティ増幅回路が実現される。
【0149】
また、カプラー74aは、サブマウント基板32a上の配線パターンにより構成されるので、カプラー74aのための特殊な部品が不要になり、低コストでドハティ増幅回路が実現される。
【0150】
(実施の形態25)
次に、実施の形態25に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0151】
図25は、実施の形態25に係るハイブリッド半導体装置30gの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30gは、基本的に、実施の形態23に係るハイブリッド半導体装置30eと同じ構成を備える。ただし、本実施の形態では、ハイブリッド半導体装置30gを構成する第1モノリシック半導体装置70aは、第1トランジスタ50および第2トランジスタ60に加えて、第1トランジスタ50のプリアンプである第1前段増幅器150、および、第2トランジスタ60のプリアンプである第2前段増幅器160を有する。
【0152】
第1モノリシック半導体装置70aは、実施の形態23と同様に、ドハティ増幅回路として機能する。ただし、第1前段増幅器150と第1トランジスタ50とを合わせた多段増幅器がドハティ増幅回路のキャリアアンプとして機能し、第2前段増幅器160と第2トランジスタ60とを合わせた多段増幅器がドハティ増幅回路のピークアンプとして機能する。
【0153】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30gでは、第1モノリシック半導体装置70aが多段増幅器で構成されるので、第2モノリシック半導体装置72bの出力電力を小さくし、動作電流を少なくすることができ、高い効率の増幅回路が実現される。
【0154】
(実施の形態26)
次に、実施の形態26に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0155】
図26は、実施の形態26に係るハイブリッド半導体装置30hの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30hは、基本的には、実施の形態25に係るハイブリッド半導体装置30gと同じ回路構成を備える。ただし、本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30hでは、実施の形態25における第1トランジスタ50および第2トランジスタ60は、第1モノリシック半導体装置70に配置され、第1前段増幅器150および第2前段増幅器160は、第4モノリシック半導体装置76に配置されている。つまり、第1前段増幅器150および第2前段増幅器160は、サブマウント基板32a上の第1モノリシック半導体装置70を除く位置に配置されている。
【0156】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30hでは、前段増幅器と後段増幅器とが異なるモノリシック半導体装置(それぞれ、第4モノリシック半導体装置76および第1モノリシック半導体装置70)に配置されるので、第4モノリシック半導体装置76と第1モノリシック半導体装置70の熱干渉を少なくすることができ、高い放熱効果が実現される。
【0157】
(実施の形態27)
次に、実施の形態27に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0158】
図27は、実施の形態27に係るハイブリッド半導体装置30iの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30iは、サブマウント基板32bと、サブマウント基板32b上に配置され、ドハティ増幅回路を構成するキャリアアンプ80およびピークアンプ81と、サブマウント基板32b上に配置され、キャリアアンプ80にバイアス電圧を与えるバイアス回路82と、入力された高周波信号をキャリアアンプ80およびピークアンプ81のそれぞれに分配送信するカプラー83とを有する。
【0159】
より詳しくは、キャリアアンプ80は、例えば、実施の形態8における第1トランジスタ12である。ピークアンプ81は、例えば、実施の形態8における第3トランジスタ40である。バイアス回路82は、例えば、実施の形態8における第1バイアス回路20である。カプラー83は、例えば、実施の形態24におけるカプラー74aである。
【0160】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30iでは、ハイブリッド半導体装置30i内にバイアス回路82が設けられているので、ハイブリッド半導体装置30i外のバイアス回路が不要になり、小さな面積でドハティ増幅回路が実現される。
【0161】
なお、バイアス回路82は、キャリアアンプ80だけでなく、キャリアアンプ80とピークアンプ81の両方にバイアス電圧を与えてもよい。
【0162】
(実施の形態28)
次に、実施の形態28に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0163】
図28は、実施の形態28に係るハイブリッド半導体装置30jの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30jは、基本的には、実施の形態27に係るハイブリッド半導体装置30iと同じ回路構成を備える。ただし、キャリアアンプ80およびピークアンプ81は、同一の第5モノリシック半導体装置77に配置されている。キャリアアンプ80およびピークアンプ81は、1段増幅器で構成される。
【0164】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30jでは、キャリアアンプ80とピークアンプ81とが同一のモノリシック半導体装置上に配置されるので、両者のアンプを構成するトランジスタの特性の差を小さくすることができ、安定したドハティ増幅回路が実現される。
【0165】
また、本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30jでは、ドハティ増幅回路が1段増幅器で構成されるので、第5モノリシック半導体装置77の面積を小さくすることができ、小さな面積でドハティ増幅回路が実現される。
【0166】
(実施の形態29)
次に、実施の形態29に係るハイブリッド半導体装置について説明する。
【0167】
図29は、実施の形態29に係るハイブリッド半導体装置30kの平面レイアウト図である。ハイブリッド半導体装置30kは、基本的には、実施の形態27に係るハイブリッド半導体装置30iと同じ回路構成を備える。ただし、キャリアアンプ80aおよびピークアンプ81aは、同一の第6モノリシック半導体装置78に配置されている。さらに、キャリアアンプ80aおよびピークアンプ81aは、多段増幅器で構成される。第6モノリシック半導体装置78は、例えば、実施の形態25における第1モノリシック半導体装置70aである。
【0168】
このように構成された本実施の形態に係るハイブリッド半導体装置30kでは、ドハティ増幅回路が多段増幅器で構成されるので、高利得のドハティ増幅回路が実現され、その結果、ハイブリッド半導体装置30kの入力信号の強度を下げることができ、効率の良い増幅が実現される。
【0169】
(実施の形態30)
次に、実施の形態30に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0170】
図30は、実施の形態30に係るモノリシック半導体装置10nの平面レイアウト図である。モノリシック半導体装置10nは、基板11と、基板11上に形成されたHEMT型の第1トランジスタ50gおよび第2トランジスタ60gと、を有する。モノリシック半導体装置10nは、第1トランジスタ50gをキャリアアンプ、第2トランジスタ60gをピークアンプとしたドハティ増幅回路に用いられている。
【0171】
図30に示されるように、第1トランジスタ50gおよび第2トランジスタ60gは、連続した活性領域57内に形成された、それぞれ複数の第1単位トランジスタ50g1および複数の第2単位トランジスタ60g1からなる。複数の第1単位トランジスタ50g1および複数の第2単位トランジスタ60g1は、第1単位トランジスタと第2単位トランジスタとが交互に並ぶように、配置されている。
【0172】
なお、複数の第1単位トランジスタ50g1および複数の第2単位トランジスタ60g1の断面構造は、図1の(b)に示される構造と同じである。つまり、基板11上には、GaN等で構成される第1窒化物半導体層102が形成され、第1窒化物半導体層102の上には、第1窒化物半導体層102と比べてバンドギャップが大きいAlGaN等で構成される第2窒化物半導体層103が形成され、第2窒化物半導体層103の上には、SiN等で構成される絶縁層106で離隔されたドレイン電極110、ゲート電極111およびソース電極112が形成され、第1窒化物半導体層102と第2窒化物半導体層103との界面には、2次元電子ガス層107が形成されている。複数の第1単位トランジスタ50g1および複数の第2単位トランジスタ60g1は、基板11上に形成され、第1窒化物半導体層102および第2窒化物半導体層103からなるHEMT型のトランジスタである。
【0173】
このように構成された本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10nでは、発熱の大きなキャリアアンプに用いられる第1単位トランジスタ50g1の発熱領域を広くし、2つの第1単位トランジスタ50g1間に、発熱の小さいピークアンプに用いられる第2単位トランジスタ60g1を配置することで、基板11の面積を増大させることなく熱抵抗を低減することができる。
【0174】
(実施の形態31)
次に、実施の形態31に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0175】
図31は、実施の形態31に係るモノリシック半導体装置10oの平面レイアウト図である。モノリシック半導体装置10oは、基本的には、実施の形態30に係るモノリシック半導体装置10nと同じ回路構成を備える。ただし、本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10oでは、複数の第1単位トランジスタ50g1と複数の第2単位トランジスタ60g1とは、それぞれのソース領域を共通ソース領域として、隣接して形成されている点で、実施の形態30と異なる。
【0176】
より詳しくは、複数の第1単位トランジスタ50g1のそれぞれは、活性領域57内に、ゲート電極52が形成された第1ゲート領域、ドレイン電極53が形成された第1ドレイン領域、および、ソース電極54aおよび54bが形成された第1ソース領域を有する。また、複数の第2単位トランジスタ60g1のそれぞれは、活性領域57内に、ゲート電極62が形成された第2ゲート領域、ドレイン電極63が形成された第2ドレイン領域、および、ソース電極64aおよび64bが形成された第2ソース領域を有する。複数の第1単位トランジスタ50g1と複数の第2単位トランジスタ60g1とは、ソース電極54bが形成された第1ソース領域とソース電極64aが形成された第2ソース領域とを共通ソース領域として、隣接して形成されている。
【0177】
このように構成された本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10oでは、発熱の大きなキャリアアンプに用いられる第1単位トランジスタ50g1の発熱領域を広くし、2つの第1単位トランジスタ50g1間に、発熱の小さいピークアンプに用いられる第2単位トランジスタ60g1を配置することで、基板11の面積を増大させることなく熱抵抗を低減することができる。
【0178】
(実施の形態32)
次に、実施の形態32に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0179】
図32は、実施の形態32に係るモノリシック半導体装置10pを説明する図である。より詳しくは、図32の(a)は、モノリシック半導体装置10pの平面レイアウトを示し、図32の(b)は、共通ソース領域の長さ(横軸)に対する熱抵抗(実線、左縦軸)およびトランジスタ面積(実線、右縦軸)との関係を示す。
【0180】
モノリシック半導体装置10pは、基板11と、基板11上に形成されたHEMT型の電力増幅用のトランジスタ90を有する。トランジスタ90は、連続した活性領域91内に形成された複数の単位トランジスタ90a~90dからなる。複数の単位トランジスタ90a~90dの各々は、活性領域91内にソース電極94が形成されたソース領域、ゲート電極92が形成されたゲート領域およびドレイン電極93が形成されたドレイン領域を有する。複数の単位トランジスタ90a~90dのうちの隣接する単位トランジスタは、それぞれのソース領域を共通領域とする共通ソース領域95、またはそれぞれのドレイン領域を共通領域とする共通ドレイン領域96を有する。複数の単位トランジスタ90a~90dのソース領域、ゲート領域およびドレイン領域が並ぶ方向において、共通ソース領域95の長さは、200μm以上、340μm以下である。
【0181】
なお、複数の単位トランジスタ90a~90dの断面構造は、図1の(b)に示される構造と同じである。つまり、基板11上には、GaN等で構成される第1窒化物半導体層102が形成され、第1窒化物半導体層102の上には、第1窒化物半導体層102と比べてバンドギャップが大きいAlGaN等で構成される第2窒化物半導体層103が形成され、第2窒化物半導体層103の上には、SiN等で構成される絶縁層106で離隔されたドレイン電極110、ゲート電極111およびソース電極112が形成され、第1窒化物半導体層102と第2窒化物半導体層103との界面には、2次元電子ガス層107が形成されている。複数の単位トランジスタ90a~90dは、基板11上に形成され、第1窒化物半導体層102および第2窒化物半導体層103からなるHEMT型のトランジスタである。
【0182】
図32の(b)の「トランジスタ面積」に示されるように、共通ソース領域の長さが大きくなると、ほぼ直線的に、トランジスタの面積が大きくなる。また、図32の(b)の「熱抵抗」に示されるように、共通ソース領域の長さが大きくなると、増幅器における主要な発熱源であるゲート領域の間隔が大きくなることから、熱抵抗は低減していくが、200μmを超えたあたりで、その低減の程度が小さくなる。
【0183】
よって、本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10pでは、共通ソース領域95の長さが200μm以上340μm以下であるので、トランジスタ面積を無駄に大きくしてしまうことなく、低い熱抵抗が確保される。
【0184】
(実施の形態33)
次に、実施の形態33に係るモノリシック半導体装置について説明する。
【0185】
図33は、実施の形態33に係るモノリシック半導体装置10qを説明する図である。より詳しくは、図33の(a)は、モノリシック半導体装置10qの平面レイアウトを示し、図33の(b)は、ゲート領域の幅(横軸)に対するゲート領域の両端での信号の位相差(実線)およびドレイン領域の両端での信号の位相差(破線)を示し、図33の(c)は、ドレイン領域の両端での信号の位相差とトランジスタの利得との関係を示す。
【0186】
モノリシック半導体装置10qは、基本的に、実施の形態32と同じ構成を備える。ただし、複数の単位トランジスタ90a~90dのソース領域、ゲート領域およびドレイン領域が並ぶ方向と直交する方向におけるゲート領域の長さ、つまり、ゲート領域の幅(図中の(A)-(B)間の長さ)は、260μm以下である。
【0187】
高周波増幅用トランジスタにおいて、一般的に、信号はゲートの一端に入力され、出力はドレインの、入力された反対の端から出力される。信号はゲート領域内、ドレイン領域内で位相が回転するがゲート領域内の位相回転量がドレイン領域内の位相回転量より多いため、トランジスタの入力端で増幅された信号とトランジスタの出力端で増幅された信号の位相がずれ、ソース領域、ゲート領域およびドレイン領域が並ぶ方向と直交する方向のゲート領域およびドレイン領域の幅が大きくなると位相ずれが増加し(図33の(b))、利得が低下する(図33の(c))。
【0188】
本実施の形態に係るモノリシック半導体装置10qでは、ゲート領域の幅が260μm以下であり、3GHz以上の周波数の信号において出力の位相差が15度以下に抑えられ(図33の(b))、利得の低下が抑制される(図33の(c))。
【0189】
以上、本開示のモノリシック半導体装置およびハイブリッド半導体装置について、実施の形態1~33に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態1~33に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を各実施の形態1~33に施したものや、各実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本開示に係るモノリシック半導体装置およびハイブリッド半導体装置は、個々にゲート電圧を調整する工数を削減できるトランジスタを含むモノリシック半導体装置およびハイブリッド半導体装置として、例えば、ドハティ増幅回路として、利用できる。
【符号の説明】
【0191】
10、10c~10q モノリシック半導体装置
10a、70、70a 第1モノリシック半導体装置
10b、72、72a、72b 第2モノリシック半導体装置
11、11a 基板
12、50、50a~50g 第1トランジスタ
13、41 ゲート端子
14、42 ドレイン端子
15 第1バイアス端子
16 第2バイアス端子
20 第1バイアス回路
20a 第2バイアス回路
20b 第3バイアス回路
21、60、60a~60c、60g 第2トランジスタ
22 第1抵抗
23 第2抵抗
24 第3抵抗
25 第4抵抗
26 第5抵抗
27 第6抵抗
30、30a~30k ハイブリッド半導体装置
32、32a、32b サブマウント基板
33 基板端子
33a 高周波信号入力基板端子
33b イネーブル制御入力基板端子
34a、34b サブマウント基板上の配線
35a、35b ワイヤー
40 第3トランジスタ
43 第3バイアス端子
44 第4バイアス端子
45 イネーブル制御回路
46 イネーブル制御端子
47 イネーブル出力端子
50g1 第1単位トランジスタ
51、51a~51f 第1活性領域
52、52a~52f、62、62a~62c、92 ゲート電極
53、53a~53f、63、63a~63c、93 ドレイン電極
54、54a~54f、64、64a~64c、94 ソース電極
54d1 ソース配線
54d2 ビアホール
55、55a、55b、95 共通ソース領域
56、56a、56b、96 共通ドレイン領域
57、91 活性領域
58 レベルシフト回路
60g1 第2単位トランジスタ
61、61a~61c 第2活性領域
71 入力整合回路領域
73 出力整合回路領域
74、74a、83 カプラー
75 第3モノリシック半導体装置
76 第4モノリシック半導体装置
77 第5モノリシック半導体装置
78 第6モノリシック半導体装置
80、80a キャリアアンプ
81、81a ピークアンプ
82 バイアス回路
90 トランジスタ
90a~90d 単位トランジスタ
102 第1窒化物半導体層
103 第2窒化物半導体層
104 素子分離層
106 絶縁層
110 ドレイン電極
111 ゲート電極
112 ソース電極
113 第1電極
114 第2電極
150 第1前段増幅器
160 第2前段増幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33