(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】縫合装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20221212BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20221212BHJP
【FI】
A61B17/04
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2021514281
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 US2018045517
(87)【国際公開番号】W WO2018218260
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-06-11
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520446241
【氏名又は名称】マンデー,ジョージ スウォープ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マンデー,ジョージ スウォープ
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0367240(US,A1)
【文献】特開2015-231572(JP,A)
【文献】特表2013-534170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジによって第2の側面に連結された第1の側面を有する折りたたみ式の本体と、
前記第1の側面および前記第2の側面の各々に形成された溝と、
エンドキャップからのびるロッドを有するスプールと、
前記スプールの前記ロッドに巻かれた縫合糸と、
トロッカーに連結されるように構成されたガイドリングと、を備える縫合装置であって、
前記第1の側面および前記第2の側面は各々、前記ヒンジに対向するクランプ端を有し、
前記折りたたみ式の本体を閉じてキャビティを形成したときに、前記第1の側面の前記溝と前記第2の側面の前記溝とが整列され、
前記エンドキャップは、キャビティ内に保持され、前記折りたたみ式の本体に対して相対的に回転可能であり、
前記第1の側面および前記第2の側面の前記クランプ端が一緒にロックされ、前記縫合糸の端をとら
え、
前記ガイドリングは、前記折りたたみ式の本体内の前記縫合糸を把持する縫合用把持鉗子が挿入されるように構成されている、縫合装置。
【請求項2】
前記第1の側面および前記第2の側面は各々、第1の溝および第2の溝を含み、前記第1の側面および前記第2の側面の前記第1の溝は、前記スプールの第1のエンドキャップを保持するための第1のキャビティを形成し、前記第1の側面および前記第2の側面の前記第2の溝は、前記スプールの第2のエンドキャップを保持するための第2のキャビティを形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スプールの前記ロッドは、前記第1のエンドキャップと前記第2のエンドキャップとの間にのびている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の側面の前記端と端との間にアイレットをさらに含み、前記縫合糸には、前記アイレットを通って到達可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の側面の前記端と端との間にアイレットをさらに含み、前記縫合糸には、前記アイレットを通って到達可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の側面と前記第2の側面とが互いに連結されたときに、前記第1の側面と前記第2の側面との間に形成されるアイレットをさらに含み、前記縫合糸には、前記アイレットを通って到達可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記縫合糸は、前記折りたたみ式の本体の前記クランプ端と前記スプールとの間にのびている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記折りたたみ式の本体は、ロボットアームによって保持されるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記折りたたみ式の本体は、トロッカーを通ってのびる大きさである、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ガイドリングは、第1の端と第2の端との間に設けられた円錐形の側壁を含み、前記円錐形の側壁は、トロッカーの周りに位置するような大きさである、請求
項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ガイドリングの前記第1の端は、複数の開口を有するフランジを含み、前記開口は、縫合用把持鉗子が挿入されるような大きさである、請求
項10に記載の装置。
【請求項12】
前記フランジに画定された開口を含み、前記開口は、トロッカーの周りに位置するような大きさである、請求
項11に記載の装置。
【請求項13】
ヘルニア閉鎖術用に、前記縫合糸の端に取り付けられた針をさらに備える請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本出願は、2018年5月16日に出願され、発明の名称を「APPARATUS AND METHOD FOR CLOSOSING A SURGICAL SITE(手術部位を閉鎖するための装置および方法)」とする米国特許仮出願第62/672085号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、手術器具に関し、特に、手術部位を閉鎖するための器具および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
どのような手術症例でも、筋膜を閉鎖する工程が非常に重要である。手術の最後に行われるこの筋膜閉鎖工程が軽視されたり処置が甘かったりすると、低侵襲の手術がうまくなされたとしても、合併症が生じる可能性がある。8mmより大きい腹壁欠損部では、切開ヘルニアのリスクを軽減するために、筋膜の閉鎖も実施する必要がある。切開ヘルニアは、極めてコストのかかる合併症になり得る。切開ヘルニアによって、入院日数が長くなり、患者の痛みと苦痛が増し、多くの場合、手術が必要になる。また、腸が絞扼されて虚血状態になると、切開ヘルニアによって生命に危険がおよぶ可能性もある。切開ヘルニアの発生率は、単孔式で低侵襲の手技では驚くほど高く、そのような手技がケアの標準として幅広く適応されるのを妨げている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポートサイト筋膜閉鎖のための現在の技術や装置は時代遅れであり、これを使うには多大なる技能が求められる。このため、最も才能のある施術者ですら、広く再現可能な結果にはならない。本明細書に記載された実施形態によって、コンピュータ支援手術(ロボティクス)を手術症例の筋膜閉鎖工程と統合できるようになる。コンピュータ支援手術が進歩しつづけると、自動化が一層受け入れられ、採用されるようになるであろう。自動化によって、手術は、より安全で、より一貫した再現性があって効率的なものになるであろう。そのことは、潜在的に、患者の全体的な転帰と手術ケアの利用機会に影響し、手術室でのヒューマンエラーがなくなることで総コストの削減にもなり得る。開示された実施形態は、単孔式で低侵襲の手術とコンピュータ支援手術の技術を進歩させ、これらを幅広く組み合わせていく一助となるであろう。腹壁ヘルニア修復および切開ヘルニア修復などの一般的な外科症例でのロボット外科医にとって、問題となる技能のひとつに、縫合糸の管理がある。縫合糸の管理は、胃腸管や腹壁のロボット手術の際に非常に重要である。縫合糸を効率的に管理すると、手術操作を行う時間や手術室での総時間数を短縮して、各症例のコストを下げることができる。現在、ロボットの術野に縫合糸を導入する際、その縫合糸はバラバラであり、もつれている。腹側の欠損部の閉鎖を開始するために縫合糸を整えたり前腹壁にメッシュを固定したりしている間に、縫合糸に結び目ができたり、破損したり、手違いで切断されたりする危険性がある。この縫合糸の管理ができない問題を回避するために、外科医が縫合糸の長さを短くする場合もある。そうすることで、縫合糸の管理に支障が生じるのは防げるが、手術時を通して助手が様々な長さの縫合糸を導入する要因になる場合が多い。この実務には、時間がかかることもある。また、1回の手術を終えるのに複数本の針を用いることで、異物が混入したり計数に誤りが生じたりする危険性が増す場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、添付の特許請求の範囲に記載された特徴および/または単独もしくは任意の組み合わせで特許可能な主題を構成し得る以下の特徴のうち、1つまたは複数を含む。
【0006】
開示された実施形態の一態様において、腹部手術後の筋膜組織の縫合を支援するための装置が提供される。また、この装置は、縫合糸キャリッジとして、ロボットによる腹腔内手術、胸部手術および骨盤手術で用いることができる。この装置は、縫合糸のスプールを保持する折りたたみ式の筐体を含む。縫合糸の自由端は、縫合糸が装置の端とスプールとの間のアイレットを通ってのびるように、装置の端に固定して保持されている。この装置は、外科用ポートを通して腹部に挿入される。ガイドリングを通して縫合用把持鉗子が挿入され、装置のアイレットの中で縫合糸を把持する。この把持鉗子は、筋膜組織を通して縫合糸を引っ張り、結紮される1つ目の端を形成する。次に、把持鉗子は、縫合糸の別の部分を把持し、結紮される2つ目の端を、筋膜組織を通して引っ張る。装置とポートが取り除かれて、両端が結紮される。
【0007】
開示された実施形態の別の態様では、縫合装置は、ヒンジによって第2の側面に連結された第1の側面を有する折りたたみ式の本体を含む。第1の側面および第2の側面は各々、ヒンジに対向するクランプ端を有する。第1の側面および第2の側面には各々、溝が形成されている。第1の側面の溝は、折りたたみ式の本体を閉じてキャビティを形成したときに、第2の側面の溝と整列される。エンドキャップからのびるロッドを有するスプールが含まれている。エンドキャップは、キャビティ内に保持され、折りたたみ式の本体に対して相対的に回転可能である。スプールのロッドには、縫合糸が巻かれている。第1の側面のクランプ端と第2の側面のクランプ端が一緒にロックされ、縫合糸の端をとらえる。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の側面および第2の側面は各々、第1の溝および第2の溝を含んでもよい。第1の側面および第2の側面の第1の溝は、スプールの第1のエンドキャップを保持するための第1のキャビティを形成してもよい。第1の側面および第2の側面の第2の溝は、スプールの第2のエンドキャップを保持するための第2のキャビティを形成してもよい。スプールのロッドは、第1のエンドキャップと第2のエンドキャップとの間にのびていてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の側面の端と端との間に、アイレットが設けられていてもよい。縫合糸には、アイレットを通って到達可能であってもよい。第2の側面の端と端との間に、アイレットが設けられていてもよい。縫合糸には、アイレットを通って到達可能であってもよい。第1の側面と第2の側面とが互いに連結されたときに、第1の側面と第2の側面との間にアイレットが形成されてもよい。縫合糸には、アイレットを通って到達可能であってもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、縫合糸は、折りたたみ式の本体のクランプ端とスプールとの間にのびていてもよい。折りたたみ式の本体は、ロボットアームによって保持されるように構成されてもよい。折りたたみ式の本体は、トロッカーを通ってのびる大きさであってもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、ガイドリングは、トロッカーに連結するように構成されてもよい。ガイドリングは、折りたたみ式の本体内の縫合糸を把持する縫合用把持鉗子が挿入されるように構成されていてもよい。ガイドリングは、第1の端と第2の端との間に設けられた円錐形の側壁を含んでもよい。円錐形の側壁は、トロッカーの周りに位置するような大きであってもよい。ガイドリングの第1の端は、複数の開口を有するフランジを含んでいてもよい。これらの開口は、縫合用把持鉗子が挿入されるような大きさであってもよい。フランジによって画定される開口は、トロッカーの周りに位置するような大きであってもよい。ガイドリングは、第1の半割と、第1の半割から分離可能な第2の半割と、を含んでもよい。第1の半割を第2の半割に連結し、ガイドリングをトロッカーに連結することができる。ヘルニア閉鎖術用に、縫合糸の端に針が取り付けられていてもよい。
【0012】
開示された実施形態のさらに別の態様では、腹腔を縫合する方法は、縫合糸のスプールを腹腔内に挿入することを含む。また、この方法は、縫合糸の第1の部分を捕捉し、第1の部分を腹腔から引き出すことを含む。また、この方法は、縫合糸の第2の部分を捕捉し、第2の部分を腹腔から引き出すことを含む。また、この方法は、腹腔の外で第1の部分を第2の部分に結紮することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、スプールは、折りたたみ式の本体に保持されてもよい。また、この方法は、折りたたみ式の本体を腹腔内に挿入することを含んでもよい。また、この方法は、折りたたみ式の本体のアイレットの中で縫合糸の第1の部分を捕捉することを含んでもよい。また、この方法は、折りたたみ式の本体のアイレットの中で縫合糸の第2の部分を捕捉することを含んでもよい。また、この方法は、縫合糸の第1の部分および縫合糸の第2の部分を縫合用把持鉗子で捕捉することを含んでもよい。また、この方法は、ガイドリングの開口を通して縫合用把持鉗子を挿入することを含んでもよい。
【0014】
また、本明細書に記載された実施形態は、腹壁の再建および体腔内吻合にすみやかに適用される縫合糸と針のキャリッジとして、ロボットによる腹腔内手術、胸部手術および骨盤手術で用いることができる。
【0015】
詳細な説明では、特に、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】
図2は、縫合用糸のスプールの側面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すスプールと併用される手術器具の上面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す手術器具の開いた構成での側面図である。
【
図7】
図7は、
図4に示す手術器具の閉じた構成での側面図である。
【
図8】
図8は、
図4に示す手術器具の閉じた構成での上面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態によるガイドリングの側面図である。
【
図14】
図14は、手術部位に挿入されるトロッカーの側面図である。
【
図16】
図16は、平行になるまで回転された器具の側面図である。
【
図17】
図17は、ガイドリングを通して挿入されたスーチャーパッサーが器具内で縫合糸を把持する様子を示す側面図である。
【
図18】
図18は、スーチャーパッサーが縫合糸のセグメントを手術部位から引き出す様子を示す側面図である。
【
図19】
図19は、手術部位で回転される器具の側面図である。
【
図20】
図20は、ガイドリングを通して挿入され、縫合糸の別のセグメントを把持するスーチャーパッサーの側面図である。
【
図21】
図21は、スーチャーパッサーが縫合糸の他のセグメントを手術部位から引き出す様子を示す側面図である。
【
図23】
図23は、器具を回転させて垂直な構成に戻した状態の側面図である。
【
図24】
図24は、トロッカーを通して器具を抜去する際の側面図である。
【
図25】
図25は、装置とアームをトロッカーから取り外した状態の側面図である。
【
図26】
図26は、手術部位を閉鎖するために結紮される縫合糸の側面図である。
【
図27】
図27は、ガイドリングを通して第1の縫合糸の第1の半分を引っ張るためにガイドリングの第1の開口に通した縫合用把持鉗子の上面図である。
【
図28】
図28は、ガイドリングを通して第1の縫合糸の第2の半分を引っ張るためにガイドリングの第2の開口に通した縫合用把持鉗子の上面図である。
【
図29】
図29は、ガイドリングを通して第2の縫合糸の第1の半分を引っ張るためにガイドリングの第3の開口に通した縫合用把持鉗子の上面図である。
【
図30】
図30は、ガイドリングを通して第2の縫合糸の第2の半分を引っ張るためにガイドリングの第4の開口に通した縫合用把持鉗子の上面図である。
【
図31】
図31は、第1の縫合糸と第2の縫合糸が結紮されるように準備された切開部の上面図である。
【
図32】
図32は、ガイドリングを通して第3の縫合糸の第1の半分を引っ張るためにガイドリングの第1の開口を通した縫合用把持鉗子の上面図である。
【
図33】
図33は、ガイドリングを通して第3の縫合糸の第2の半分を引っ張るためにガイドリングの第2の開口を通した縫合用把持鉗子の上面図である。
【
図34】
図34は、ガイドリングを通して第4の縫合糸の第1の半分を引っ張るためにガイドリングの第3の開口を通した縫合用把持鉗子の上面図である。
【
図35】
図35は、ガイドリングを通して第4の縫合糸の第2の半分を引っ張るためにガイドリングの第4の開口を通した縫合用把持鉗子の上面図である。
【
図36】
図36は、第1、第2、第3および第4の縫合糸が結紮されるように準備された切開不の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の概念には様々な改変や別の形態が可能であるが、その特定の例示的な実施形態について、例示のために図面に示し、本明細書で詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を、開示された特定の形態に限定する意図はなく、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の意図および範囲内にあるすべての改変例、等価物および代替物を包含することを意図している旨を理解されたい。
【0018】
図1を参照すると、自動手術システム10は、手術器具を把持するための複数本の指14を有する少なくとも1本のロボットアーム12を含む。ロボットアーム12は、手術部位で器具を操作することができるように手術部位に配置される。制御パネル20は、外科医が手術時にロボットアーム12を操作するための複数の制御部22、例えばジョイスティックを含む。
【0019】
図1Aを参照すると、縫合器具140は、自動手術システム10と併用されるように構成されている。いくつかの実施形態では、縫合器具140は手動で用いられ、外科医によって手動のアームで保持される。縫合器具140は、縫合用糸120のスプール110を保持するように構成されている。縫合器具140は、手術部位が患者の皮膚および組織の下にくるように位置決めされる。縫合用糸120は、別の手術器具すなわちスーチャーパッサーが縫合用糸に到達してこれを把持することができるように、縫合器具140のアイレット162内に保持される。スーチャーパッサーは、手術部位に挿入され、手術部位にある縫合用糸120の一部を把持する。続いて、縫合器具140が手術部位内の所定の位置に残った状態で、縫合用糸120が手術部位から引き出される。次に、縫合器具140が回転され、2箇所目のスーチャーパッサーの穿刺用に位置決めされる。スーチャーパッサーは、縫合用糸120の第2の部分を把持し、縫合用糸120の両端が手術部位の外に出て、縫合用糸120の端と端との間にあるセグメントが手術部位内に位置するように、第2の部分を手術部位から引っ張る。その後、縫合用糸120が適所にある状態で、縫合器具140を手術部位から抜去することができる。続いて、縫合用糸120の端同士を結紮し、手術部位を閉鎖する。上述したように、縫合器具140は、自動手術システム10によって操作されてもよいし、外科医によって手動で操作されてもよい。
【0020】
図2および
図3を参照すると、スプール110は、センターポスト112と、センターポスト112の両端に設けられた一対の端部114とを含む。端部114でスプール110が転がったり回転したりできるように、どちらの端部114も円形である。端部114は、その半径116が、センターポスト112の半径118より大きい。センターポスト112は、縫合用糸120のストランドを保持するように構成されている。縫合用糸120のストランドは、センターポスト112に巻かれている。縫合用糸120の自由端122をつかんで縫合糸120のストランドをセンターポスト112から巻き出すことができるように、この自由端122がセンターポスト112からのびている。
【0021】
図4を参照すると、スプール110を装置140に対して回転させて縫合糸120のストランドを巻き出すことができるように、縫合器具140はスプール110を保持するように構成されている。縫合器具140は、折りたたみ式の本体として構成されたシャーシ142を含む。シャーシ142は、単一のポリマー片から作製される。シャーシ142は、スプール110を包み込んで糸120を適所に固定しながら折りたたむことができるように、ヒンジ144を備えて設計されている。シャーシ142は、上端146と、ヒンジ144によって上端146に結合された下端148とを含む。上端146の本体150には一対の溝152が設けられ、溝152は各々、スプール110が溝152の中で回転するように、スプール110の一方の端部114を保持するように構成されている。本体150から、シャーシ142の中心線158に沿って突き合う一対の斜めアーム156によって形成された端164まで、一対のアーム154がのびている。それぞれのアーム154には、安定化用の突起160が配置されている。アーム154、アーム156および本体150の間には、アイレット162が形成されている。アイレット162の長さは、使用されるロボットアーム12と、筋膜再建(fascial approximation)に最も適した角度に応じて変更可能である。下端148の本体170には一対の溝184が設けられ、溝184は各々、スプール110が溝184の中で回転するように、スプール110の一方の端部114を保持するように構成されている。溝184は、シャーシ142が閉じたときに溝152と整列するように構成されている。本体170から、シャーシ142の中心線158に沿って突き合う一対の斜めアーム178によって形成された端176まで、一対のアーム174がのびている。それぞれのアーム174には、安定化用の突起180が配置され、シャーシ142が閉じたときに安定化用の突起160と整列するように構成されている。アーム174、アーム178および本体170の間には、アイレット182が形成されている。アイレット182の長さは、使用されるロボットアーム12と、筋膜再建に最も適した角度に応じて変更可能である。
【0022】
図5を参照すると、シャーシ142をロボットアーム12に保持するために、上端146には、ロボットアーム12の指14が挿入されるように構成された切欠き190が設けられている。同じくシャーシ142をロボットアーム12に保持するために、下端148にも、ロボットアーム12の指14が挿入される切欠き192が設けられている。シャーシ142が指14の間に保持されるように、シャーシ142は、ロボットアーム12の指14で把持される。
図4および
図5に示すように、シャーシ142は深さ196を有する。
【0023】
図6および
図7を参照すると、本体150および170は、ヒンジ144からのびる斜壁200を有する。斜壁200からは、それぞれ別の斜壁202がのびている。斜壁200、202に対向して、外壁204がのびている。シャーシ142が閉じているとき、外壁204は、シャーシ142の中心線158に対して角度210でのびている。いくつかの実施形態では、角度210は約25°である。斜壁202は、中心線158に対して角度212でのびている。いくつかの実施形態では、角度212は約35°である。閉じたとき、シャーシ142は、深さ196に等しくてもよい高さ198を有する。安定化用の突起180はタブ222を含み、タブ222は、安定化用の突起180を安定化用の突起160に固定するために、安定化用の突起160の開口(図示せず)に挿入される。同様に、下端148の端部ジョー230はタブ232を含み、タブ232は、上端146を下端148に固定するために、上端146の端部ジョー234に形成された開口(図示せず)に挿入される。糸120は、本体150と170との間に配置されたスプール110から、安定化用の突起160と180の間を通って、端部ジョー230と234との間までのびている。糸120の自由端122は、シャーシ142の端部ジョー230と234との間に固定されている。
図8に示すように、糸120は、シャーシ142のアイレット162、182を通ってのびている。
【0024】
シャーシ142を様々な大きさで製造し、異なるロボットアーム12とポート径に対応することができる。シャーシ142をアーム(ロボットまたは手持ち式のいずれか)で直接把持し、閉鎖されるポートサイトを通して直接挿入することができる。スプール110に巻かれる縫合糸のタイプは、外科医ごとの好みを考慮して変更可能である。縫合糸120はスプールに巻かれ、シャーシ142の端部ジョー220、224の中で端122が把持される。シャーシ142のアイレット162、182は、安定性を維持しながら、余白を最適化するように設計されている。これによって、スーチャーパッサーが縫合糸120まで到達するための十分なスペースが確保される。材料の強度が許すのであれば、安定化用の突起160、180を省いてもよい。これを省く場合、スーチャーパッサーを用いてシャーシ142の四方から縫合糸120に到達することができる。腹腔内縫合を可能にするために、縫合糸の端に針を付けてシャーシ142を製造してもよい。
【0025】
図9を参照すると、ガイドリング250は、上端300と、下端302と、上端300と下端302との間にのびる側壁304とを含む。ガイドリング250はポリマーで作製され、使い捨てであっても再利用可能であってもよい。側壁304は、円錐台形状であり、上端300の上端直径310から下端302の下端直径312に向かって狭くなっている。ガイドリング250は、トロッカー252(後述)の周囲にくるような大きさである。ガイドリング250は、トロッカー252の外側に固定されるプラスチック製のリングである。
図10を参照して、上端300は、側壁304から内側にのびるリップ254を有する。上端300には、中央にトロッカー開口320が設けられている。リップ254は、トロッカー開口320の周囲にのびている。トロッカー開口320は、その直径322が、トロッカーの周囲にくるような大きさである。ガイドリング250は、縫合糸の間隔を様々な大きさのトロッカー252に合わせた最適なものとするための目印を備えて設計されている。ガイドリング250は、皮膚の切開部と揃う目印を有してもよいし、患者の体内で自動的にアームの位置に向けるための磁石を内蔵してもよい。リップ254は、筋膜閉鎖の際に真皮が巻き込まれないようにするものである。リップ254の縁で、ガイドリング250にはスーチャーパッサー開口262が設けられている。図示の実施形態では、ガイドリング250は、4つのスーチャーパッサー開口262を含む。スーチャーパッサー開口262は、スーチャーパッサー(後述する)のアームが入る大きさである。
図11を参照すると、下端302には、トロッカー252がちょうど嵌まる大きさの出口開口340が設けられている。
【0026】
図12および
図13に示すように、ガイドリング250は、2つの半割すなわちヘミガイドリング370を含む。ヘミガイドリング370同士を留めると、ガイドリング250を組み立てた状態になる。各ヘミガイドリング370は、リップ254からのびる突起372を含む。また、各ヘミガイドリング370は、リップ254の中にのびる開口374を含む。第1のヘミガイドリング370の突起372は、第2のヘミガイドリング370の開口374に挿入されるように構成され、第2のヘミガイドリング370の突起372は、第1のヘミガイドリング370の開口に挿入され、第1のヘミガイドリング370を第2のヘミガイドリング370に留めてガイドリング250を形成するように構成されている。使用時には、ヘミガイドリング370をトロッカー252の周りに留め、ガイドリング250をトロッカー252の表面で位置決めする。
【0027】
図14~
図26は、器具140を用いて手術部位を閉鎖するための方法を示す。低侵襲の手術症例の主要かつ重要な工程が完了すると、筋膜を閉鎖しなければならない(トロッカー>8mmの場合)。アーム240(コンピュータ支援アームまたは手持ち式の使い捨てアームのいずれか)が、第1の器具140と一緒に穿刺される。
図14に示すように、適切なサイズのガイドリング250がトロッカー252に取り付けられ、リップ254がトロッカー252と皮膚260との間にくるように位置決めされる。
【0028】
図15に示すように、器具140は、アーム手首の可動範囲全体が有効になるまでトロッカー252に挿入される。
図16に示すように、器具140が患者の筋膜面に対して垂直な位置286から平行な向きにくるように、器具140を旋回させる。これは、コンピュータ支援の場合には自動で行うことができ、使い捨てアームを使用する場合には、外科医による直接制御下で行うことができる。閉鎖される欠損部の大きさに応じて、ガイドリングの目印に対応して第1の縫合位置270まで器具140を回転させる。
図17に示すように、ガイドリング250に設けられた関係のある開口274を通して、スーチャーパッサー272を前進させる。スーチャーパッサー272は、使い捨てであっても再利用可能であってもよい。スーチャーパッサー272を助手が穿刺したときに腹腔内が傷つくのを防ぐために、針に深さ方向のストップが組み込まれていてもよい。スーチャーパッサー272が外部のロボットアームで、自動化されていてもよい。
【0029】
図18に示すようにガイドリング250を通して縫合糸120のセグメント278を引き出せるように、スーチャーパッサー272を器具140のアイレット162、182に入れ、セグメント278を捉える。縫合糸のループ288には、クランプ280が配置される。
図19において、器具140を、2針目に対応する位置276まで回転させる。
図20では、ガイドリング250に設けられた関係のある開口282を通して、スーチャーパッサー272を前進させる。
図21において、スーチャーパッサー272で縫合糸120の別のセグメント284を把持し、ガイドリング250に設けられた関係のある開口282を通して縫合糸120のセグメント284を引き戻す。この開口を通して、縫合糸120を、スプールから完全に引き離すことができる。
図22では、縫合糸120のループが固定されている。その後、縫合糸120が切断されて保持される。
【0030】
図23では、器具140を回転させて垂直な位置286に戻す。
図24および
図25では、手術部位から器具140が抜去される。
図26に示すように、ガイドリング250、アーム240およびトロッカー252が抜去され、縫合糸120が外科結びの通常の方法で結紮される。欠損部が大きい場合、所望の本数の縫合糸が配置されるまで、それぞれの縫合糸120で上記の過程が繰り返される。縫合糸は、トロッカー252、アーム240およびガイドリング250が患者から除去された後、常に結紮される。
【0031】
図27~
図36は、上述した手順の間にガイドリング250を用いるための方法を示す。組み立てられたガイドリング250は、手術の終了時に、腹腔鏡のトロッカー252の周囲に配置される。トロッカー開口320は腹腔に対して遠位にくる向き、出口開口340は腹腔に対して近位にくる向きにある。ガイドリング250の側壁304は、薄くて可撓性があるが、縫合用把持鉗子272が貫通しないだけの十分な強度を有する。側壁304は、出口開口340で終端する。出口開口340は、使用時には、切開部の真皮の下に配置される。把持鉗子272のためのスーチャーパッサー開口262は、皮膚の外側でガイドリング250の上端300に位置している。出口開口340は、ガイドリング250の下端302にある。把持鉗子272は、トロッカー252と下端302との間の出口開口340を通ってガイドリング250の外に出る。方位軸400は、ヘミガイドリング370の境界面の線である。ガンマ(γ)角は、方位軸400と方位線402との間の角度である。ガンマプライム(γ’)は、方位軸400と方位プライム線404との間の角度である。ガンマ(γ)角およびガンマプライム(γ’)角は等しい。
【0032】
まず、ガイドリング250は、切開部と平行に方位線400の軸と整列して配置される。ガイドリング250は、把持鉗子272が挿入された切開部とは反対側の筋膜を把持鉗子272が貫通するように整列される。器具170が挿入されて筋膜と平行にされた後、縫合糸120を引き出すために、把持鉗子272が開口420を貫通する。縫合糸120が固定されたら、把持鉗子272が開口422に挿入され、縫合糸120が再び把持されて引っ張られる。その後、器具170を交換し、この方法を開口424および426に対して繰り返して、
図31に示す縫合糸の構成を形成する。
【0033】
図32~
図36を参照すると、さらに大きなトロッカー閉鎖(例えば、>16mm)の場合、ガイドリング250の位置を移動できるようにして、筋膜閉鎖用の別の縫合糸120を位置決めしやすくする。最初の2本の縫合糸120については、上記の手順に従って筋膜を貫通させる。次に、第3の器具170が挿入され、筋膜と平行に整列される。同じ手順で再び把持鉗子272が穿刺されるが、穿刺前、そのつど対応するガイドリングの方位線402が切開部と平行に整列された後、把持鉗子272がガイドリング250の対応する開口420、422、424、426に挿入される。開口420、422、424、426の各々の位置について、この方法を繰り返すと、
図36に示すように、筋膜内で4箇所の縫合がなされる。さらに大きな欠損部であれば、この方法を用いて推定を行ってもよいし、あるいは、この方法を用いて縫合糸120の織られたパターンを作成してもよい。
【0034】
縫合用把持鉗子272は、縫合糸の間隔を最適化するために、ガイドリング250および器具170と一緒に移動するように自動化されてもよい。あるいは、外科医が手作業で縫合用把持鉗子272の向きを決めてもよい。器具140は、ロボットアーム(あるいは、厳密に腹腔鏡の場合はハンドヘルド装置)と併用可能である。この方法については、自動化し、外科医が目視で直接観察することができ、コンソールでのオーバーライド制御が可能である。これによって、外科医は、縫合糸で閉鎖する結紮を行うことができ、手術時に洗浄した皮膚を閉鎖して患者の閉創を実施することができる。器具140は、それが閉じているトロッカーを介して、トロッカーを抜去することなく使用することができる。
【0035】
スプール110は、縫合糸を装着して腹壁に貫通させる工程を排除する、あらかじめ装着された、旋回式の内部縫合糸スプールである。スプールに巻かれた縫合糸は、腹腔内縫合用に針と一緒に製造されてもよい。縫合糸120は、最適な縫合糸間隔と組織の再建を保証して、一層大きな(>20mm)腹腔鏡下欠損での切開ヘルニア率の低減につながるように、腹腔内に再現性をもって配置される。これにより、単孔式で低侵襲の腹部手術がより普及し、最終的にはケアの標準となることができる。外科医はコンソールから内部スプールを誘導できるのに対し、助手は、外科医の直視下で、安全かつ信頼性の高い穿刺を行うことができる。さらに、ガイドリング250は、最適な筋膜縫合糸間隔のテンプレートとなる。
【0036】
器具140は使い捨てであり、1つの器具140で複数の縫合糸を貫通させることができる可能性がある。閉鎖強度を最適化するために、欠損部には、トロッカー直径6~10mmあたり1個の器具140が必要になるであろう。欠損部の様々な大きさに合わせて、ガイドリングを特別に製造することもできる。器具140をスケールアップして、様々な大きさとブランドのロボットアームに適合させることができる。スプールを事前に装着して、様々なパッケージ量で販売することができる。
【0037】
器具140は、現在および将来のコンピュータ支援手術装置と連動して動作するように応用/改変することができる。器具140を用いることで、縫合糸120を腹膜腔内におけるようになる。これによって、多岐にわたる規模で筋膜を閉鎖するための、はるかに単純な設計および方法が提供される。器具140は、将来、外科用人工知能を用いた用途にも応用可能である。器具140は、低侵襲の腹部手術、胸部手術または骨盤手術を行うすべての専門分野で用いることができる。器具140は、安全性と精度を高め、使いやすさを増すことができる。
【0038】
開示された実施形態の一態様において、腹部手術後の筋膜組織の縫合を支援するための装置が提供される。この装置は、縫合糸のスプールを保持する折りたたみ式の筐体を含む。縫合糸の自由端は、縫合糸が装置の端とスプールとの間のアイレットを通ってのびるように、装置の端に固定して保持されている。この装置は、外科用ポートを通して腹部に挿入される。ガイドリングを通して縫合用把持鉗子が挿入され、装置のアイレットの中で縫合糸を把持する。この把持鉗子は、筋膜組織を通して縫合糸を引っ張り、結紮される1つ目の端を形成する。次に、把持鉗子は、縫合糸の別の部分を把持し、結紮される2つ目の端を、筋膜組織を通して引っ張る。装置とポートが取り除かれ、両端が結紮される。
【0039】
開示された実施形態の別の態様では、縫合装置は、ヒンジによって第2の側面に連結された第1の側面を有する折りたたみ式の本体を含む。第1の側面および第2の側面は各々、ヒンジに対向するクランプ端を有する。第1の側面および第2の側面には各々、溝が形成されている。第1の側面の溝は、折りたたみ式の本体を閉じてキャビティを形成したときに、第2の側面の溝と整列される。エンドキャップからのびるロッドを有する、スプールが含まれている。エンドキャップは、キャビティ内に保持され、折りたたみ式の本体に対して相対的に回転可能である。スプールのロッドには、縫合糸が巻かれている。第1の側面のクランプ端と第2の側面のクランプ端が一緒にロックされ、縫合糸の端をとらえる。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1の側面および第2の側面は各々、第1の溝および第2の溝を含んでもよい。第1の側面および第2の側面の第1の溝は、スプールの第1のエンドキャップを保持するための第1のキャビティを形成してもよい。第1の側面および第2の側面の第2の溝は、スプールの第2のエンドキャップを保持するための第2のキャビティを形成してもよい。スプールのロッドは、第1のエンドキャップと第2のエンドキャップとの間にのびていてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の側面の端と端との間に、アイレットが設けられていてもよい。縫合糸には、アイレットを通って到達可能であってもよい。第2の側面の端と端との間に、アイレットが設けられていてもよい。縫合糸には、アイレットを通って到達可能であってもよい。第1の側面と第2の側面とが互いに連結されたときに、第1の側面と第2の側面との間にアイレットが形成されてもよい。縫合糸には、アイレットを通って到達可能であってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、縫合糸は、折りたたみ式の本体のクランプ端とスプールとの間にのびていてもよい。折りたたみ式の本体は、ロボットアームによって保持されるように構成されてもよい。折りたたみ式の本体は、トロッカーを通ってのびる大きさであってもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、ガイドリングは、トロッカーと連結するように構成されてもよい。ガイドリングは、折りたたみ式の本体内の縫合糸を把持する縫合用把持鉗子が挿入されるように構成されていてもよい。ガイドリングは、第1の端と第2の端との間に設けられた円錐形の側壁を含んでもよい。円錐形の側壁は、トロッカーの周りに位置するような大きであってもよい。ガイドリングの第1の端は、複数の開口を有するフランジを含んでいてもよい。これらの開口は、縫合用把持鉗子が挿入されるような大きさであってもよい。フランジによって形成される開口は、トロッカーの周りに位置するような大きであってもよい。ガイドリングは、第1の半割と、第1の半割から分離可能な第2の半割と、を含んでもよい。第1の半割を第2の半割に連結し、ガイドリングをトロッカーに連結することができる。ヘルニア閉鎖術用に、縫合糸の端に針が取り付けられていてもよい。
【0044】
開示された実施形態のさらに別の態様では、腹腔を縫合する方法は、縫合糸のスプールを腹腔内に挿入することを含む。また、この方法は、縫合糸の第1の部分を捕捉し、第1の部分を腹腔から引き出すことを含む。また、この方法は、縫合糸の第2の部分を捕捉し、第2の部分を腹腔から引き出すことを含む。また、この方法は、腹腔の外で第1の部分を第2の部分に結紮することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、スプールは、折りたたみ式の本体に保持されてもよい。また、この方法は、折りたたみ式の本体を腹腔内に挿入することを含んでもよい。また、この方法は、折りたたみ式の本体のアイレットの中で縫合糸の第1の部分を捕捉することを含んでもよい。また、この方法は、折りたたみ式の本体のアイレットの中で縫合糸の第2の部分を捕捉することを含んでもよい。また、この方法は、縫合糸の第1の部分および縫合糸の第2の部分を縫合用把持鉗子で捕捉することを含んでもよい。また、この方法は、ガイドリングの開口を通して縫合用把持鉗子を挿入することを含んでもよい。
【0046】
本明細書に記載された理論、動作のメカニズム、証明または所見は、いずれも本開示の原理の理解をさらに高めることを意図しており、本開示をそのような理論、動作のメカニズム、例示的な実施形態、証明または所見に依存したものとすることは意図されていない。上記の説明において、好ましい(preferable)、好ましくは(preferably)または好ましい(preferred)という表現の使用は、そのように記載された特徴がより望ましいものであり得ることを示しているが、それが必須だとすることはできず、同じものを欠いた実施形態も本開示の範囲内にあるものと考えられることが理解されるべきであり、その範囲は、後述の特許請求の範囲によって定義される。
【0047】
特許請求の範囲を読むにあたり、「a」、「an」、「少なくとも1つ」、「少なくとも一部」などの表現が使用されている場合、請求項に逆のことが明記されていない限り、請求項を1つの項目のみに限定する意図はない。「少なくとも一部分」および/または「一部分」という文言が使用される場合、その項目は、逆のことが明記されない限り、一部分および/または項目全体を含むことができる。
【0048】
選択された実施形態のみが図示および説明されており、本明細書で定義されているような、または以下の特許請求の範囲のいずれかによって本開示の意図の範囲内に入る、考え得るあらゆる代替物、改変例、態様、組み合わせ、原理、変形例および等価物の保護が望まれることが理解されるべきである。本開示の実施形態が、図面および上記の説明において図示され、詳細に説明されているが、これらは例示的なものとみなされるべきであり、網羅的であることを意図するものではなく、また本開示を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではない。別の代替物、改変例および変形例が当業者には明らかであろう。また、本発明の複数の態様および原理が提案されているが、それらを組み合わせて利用する必要はなく、上記で提案された様々な実施形態に照らして、多くの態様および原理の組み合わせが可能である。