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特許7192108引出しに前板を解離可能に固定するための固定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】引出しに前板を解離可能に固定するための固定装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 88/95 20170101AFI20221212BHJP
   A47B 88/00 20170101ALI20221212BHJP
【FI】
A47B88/95
A47B88/00
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021518578
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 AT2019060302
(87)【国際公開番号】W WO2020069542
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-04-14
(31)【優先権主張番号】A50862/2018
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス イアガング
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-517755(JP,A)
【文献】特表2014-515278(JP,A)
【文献】特表2014-503237(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0228906(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 88/95
A47B 88/00
E05C 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引出し(3)、特に引出し側壁(4)に前板(2)を解離可能に固定するための固定装置(1)であって、前記前板に組付け可能な少なくとも2つの結合要素(5)と、前記引出しに配置され、前記少なくとも2つの結合要素(5)をロックするための少なくとも2つのロック装置(6,7)とを備える、固定装置(1)において、前記少なくとも2つのロック装置(6,7)を互いに繋ぐ少なくとも1つのケーブル(8)が設けられていることを特徴とする、固定装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)は、前記少なくとも2つの結合要素(5)を解離可能にロックする、請求項1に記載の固定装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)のうちの少なくとも1つのロック装置は、真っ直ぐな区分(10)を備える少なくとも1つの旋回レバー(9)を有し、前記少なくとも1つのケーブル(8)は、該少なくとも1つのケーブル(8)が少なくとも部分的に前記少なくとも1つの旋回レバー(9)の前記真っ直ぐな区分(10)と70°~100°の角度(W)を成すように、前記少なくとも1つの旋回レバー(9)に結合されている、請求項1又は2記載の固定装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのケーブル(8)は、該少なくとも1つのケーブル(8)が少なくとも部分的に前記少なくとも1つの旋回レバー(9)の前記真っ直ぐな区分(10)と75°~90°の角度(W)を成すように、前記少なくとも1つの旋回レバー(9)に結合されている、請求項3記載の固定装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)のうちの少なくとも1つのロック装置は、少なくとも1つの旋回レバー(9)を有し、該旋回レバー(9)は、第1の位置と第2の位置との間で1つの軌跡に沿って運動可能であり、前記少なくとも1つのケーブル(8)はケーブル端部(11)を介して、該ケーブル端部(11)が前記軌跡に対して実質的に平行に方向付けられているように、前記旋回レバー(9)に固定されている、請求項1又は2記載の固定装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのケーブル(8)を案内する少なくとも1つの変向装置(12)が設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項7】
該少なくとも1つの変向装置(12)は少なくとも1つの変向ローラ(13)を有する、請求項6記載の固定装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つのロック装置のうちの第1のロック装置(6,7)を、前記少なくとも2つの結合要素(5)のうちの1つの結合要素をロックすることができるロック位置に保持するための力を、当該第1のロック装置(6,7)に加える、少なくとも1つの蓄力器(14,24)が設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの蓄力器(14,24)は、前記少なくとも2つのロック装置のうちの第2のロック装置(6,7)を、前記少なくとも2つの結合要素(5)のうちの1つの結合要素を解離することができる解離位置に保持するための力を前記少なくとも1つのケーブルを介して前記第2のロック装置(6,7)に加える、請求項記載の固定装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのケーブル(8)を、前記少なくとも2つのロック装置(6,7)のうちの少なくとも1つのロック装置に、旋回可能に支持する少なくとも1つの支持装置(15)が設けられている、請求項1からまでのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項11】
前記少なくとも2つのロック装置のうちの第2のロック装置(6,7)を、前記少なくとも2つの結合要素(5)のうちの1つの結合要素をロックすることができるロック位置に保持するための力を、前記少なくとも2つのロック装置のそれぞれ1つのロック装置(6,7)に加える少なくとも2つの蓄力器(14,24)が設けられている、請求項または記載の固定装置。
【請求項12】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)が運動可能に支持されている少なくとも1つの調整プレート(16)が設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項13】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)は、前記少なくとも1つの調整プレート(16)に、旋回可能に支持されている、請求項12記載の固定装置。
【請求項14】
前記固定装置(1)を前記引出し(3)に組み付けるための少なくとも1つの組付けプレート(17)が設けられており、前記少なくとも1つの調整プレート(16)は、前記少なくとも1つの組付けプレート(17)に対して相対的に調整可能に支持されている、請求項12又は13記載の固定装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)を、前記少なくとも2つの結合要素(5)をロックすることができるロック位置から、前記少なくとも2つの結合要素(5)を解離することができる解離位置へと運動させることができる少なくとも1つの解離装置(18)が設けられている、請求項1から14までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの解離装置(18)によって、前記少なくとも2つのロック装置(6,7)を前記ロック位置から前記解離位置へと同時に運動させることができる、請求項15記載の固定装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの解離装置(18)は、少なくとも1つの工具収容部(19)を有する、請求項15又は16記載の固定装置。
【請求項18】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)のうちの少なくとも1つのロック装置は、前記少なくとも2つの結合要素(5)のうちの少なくとも1つの結合要素を挿入時に受け止めかつ前記引出し(3)に向かって自動的に引っ張るように構成された少なくとも1つの捕捉装置(20)を有する、請求項1から17までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項19】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)のうちの少なくとも1つのロック装置は、少なくとも1つの第1のレバー(21)と、該第1のレバー(21)に連結された第2のレバー(22)とを有する、請求項1から18までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項20】
前記少なくとも2つのロック装置(6,7)のうちの少なくとも1つのロック装置は少なくとも1つの斜面(23)を有しており、前記少なくとも2つの結合要素(5)のうちの1つの結合要素の挿入によって、前記少なくとも1つの斜面(23)を介して前記ロック装置(6,7)を少なくとも部分的に押し退けることができる、請求項1から19までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項21】
前記少なくとも2つの結合要素(5)のうちの1つの結合要素の挿入によって、前記少なくとも1つの斜面(23)を介して、1つの蓄力器(14,24)による力作用に抗して前記ロック装置(6,7)を少なくとも部分的に押し退けることができる、請求項20記載の固定装置。
【請求項22】
前記少なくとも2つの結合要素(5)は、少なくとも2つの互いに独立した家具用金具または1つの共通の家具用金具に形成されている、請求項1から21までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項23】
引出し(3)と、前板(2)と、前記引出し(3)に前記前板(2)を解離可能に固定するための、請求項1から22までのいずれか1項記載の少なくとも1つの固定装置(1)とから成るアセンブリ
【請求項24】
前記引出し(3)は、少なくとも部分的に中空に形成された少なくとも1つの引出し側壁(4)を有し、該少なくとも1つの引出し側壁(4)内に前記少なくとも1つの固定装置(1)の主たる部分が配置されている、請求項23記載のアセンブリ。
【請求項25】
請求項23又は24記載の少なくとも1つのアセンブリを備える家具(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引出し、特に引出し側壁に前板を解離可能に固定するための固定装置であって、前板に組付け可能な少なくとも2つの結合要素と、引出しに配置された、少なくとも2つの結合要素を、好ましくは解離可能にロックするための少なくとも2つのロック装置とを備える、固定装置に関する。
【0002】
さらに、本発明は、引出しと、前板と、引出しに前板を解離可能に固定するための、前述したような少なくとも1つの固定装置とから成るアセンブリと、このような少なくとも1つのアセンブリを備える家具とに関する。
【0003】
引出しに前板を解離可能に固定するための固定装置は、すでに先行技術に基づき公知である。
【0004】
本出願人が所有するAT50932/2017には、引出し、特に引出し側壁に前板を解離可能に固定するための固定装置が開示されている。この固定装置は、高い前板に対する実施例において、2つのロック装置を有している。これら両ロック装置の運動は、リンク機構によって連結されている。したがって、ロック装置を同時にロックまたはロック解除することができる。
【0005】
ロック装置のこのような形態の運動連結は、特に前板の高さが高まるにつれて複数の欠点を有している。
【0006】
リンク機構の所要の変向に基づき、1つには、連結のために多数の構成部材が必要となる。もう1つには、変向を伴うこのようなリンク機構のために比較的多くの構成スペースが必要となる。
【0007】
さらに、ロック装置同士の間での力伝達が、押圧力を加えることによってしか行われない。
【0008】
欠点として、さらに、ロック解除プロセスに際して、ロック解除装置を操作するために比較的大きな操作力が必要となる。なぜならば、リンク機構の作用点がロック解除装置の回動点の近くに位置しているからである。
【0009】
ロック装置同士を1つのリンク機構によって連結する際には、さらに、前板のあらゆる構成高さに対して、これに対応した固有のリンク機構を設けることが必要となる。
【0010】
本発明の課題は、先行技術の欠点を排除して、先行技術に比べて改善された固定装置を提供することである。更なる課題は、このような改善された固定装置を備えたアセンブリと、このような少なくとも1つのアセンブリを備える家具とを提供することにある。
【0011】
これらの課題は、独立請求項1,15および16の特徴によって解決される。
【0012】
つまり、固定装置に関して、少なくとも2つのロック装置を互いに繋ぐ少なくとも1つのケーブルが設けられていることが特定されている。
【0013】
少なくとも2つのロック装置を1つのケーブルを用いて連結することによって、構成部材とスペースとを節約した固定装置の構造形態が可能となる。なぜならば、変向を伴う手間のかかるリンク機構が不要となるからである。
【0014】
さらに、少なくとも2つのロック装置の間での力伝達を引張力を加えることによって行うことが可能となる。
【0015】
さらに、ケーブルの作用点とロック解除装置の回動点との間隔を、ロック解除装置を操作するための操作力が減じられるように選択することができる。
【0016】
さらに、前板の構成高さを変更するに際には、ケーブルの長さを適合させさえすればよい。
【0017】
本発明の別の有利な構成は従属請求項に定義してある。
【0018】
本発明の好適な実施形態によれば、少なくとも2つのロック装置のうちの少なくとも1つのロック装置は、真っ直ぐな区分を備える少なくとも1つの旋回レバーを有し、少なくとも1つのケーブルは、この少なくとも1つのケーブルが少なくとも部分的に少なくとも1つの旋回レバーの真っ直ぐな区分と70°~100°、好ましくは75°~90°の角度を成すように、少なくとも1つの旋回レバーに結合されていることが特定されている。
【0019】
さらに、少なくとも2つのロック装置のうちの少なくとも1つのロック装置は、少なくとも1つの旋回レバーを有し、この旋回レバーは、第1の位置と第2の位置との間で1つの軌跡に沿って運動可能であり、少なくとも1つのケーブルはケーブル端部を介して、このケーブル端部が軌跡に対して実質的に平行に方向付けられているように、旋回レバーに固定されていると有利であると判った。
【0020】
これによって、旋回レバーとケーブルとの間で可能な限り良好な力伝達が行われることが確保されている。
【0021】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのケーブルを案内する少なくとも1つの変向装置が設けられており、好ましくは、この少なくとも1つの変向装置は少なくとも1つの変向ローラを有する。
【0022】
このことは、ケーブルを固定装置の内部で可能な限り良好にガイドすることができるという利点を有している。
【0023】
少なくとも2つのロック装置のうちの第1のロック装置を、少なくとも2つの結合要素のうちの1つの結合要素をロックすることができるロック位置に保持するための力を、当該第1のロック装置に加える、少なくとも1つの蓄力器が設けられていると、特に有利であると判った。
【0024】
これによって、第1のロック装置の確実なロックが確保される。
【0025】
好ましくは、少なくとも1つの蓄力器は、少なくとも2つのロック装置のうちの第2のロック装置を、少なくとも2つの結合要素のうちの1つの結合要素を解離することができる解離位置に保持するための力を少なくとも1つのケーブルを介して第2のロック装置に加えることが特定されていてよい。
【0026】
本発明の別の態様によれば、少なくとも1つのケーブルを、少なくとも2つのロック装置のうちの少なくとも1つのロック装置に、旋回可能に支持する少なくとも1つの支持装置が設けられている。
【0027】
このことは、ケーブルの耐久性に役立つ。なぜならば、支持装置によって、ケーブルに切欠き作用が生じないからである。
【0028】
また、少なくとも2つのロック装置が運動可能に、好ましくは旋回可能に支持されている少なくとも1つの調整プレートが設けられており、好ましくは、固定装置を引出しに組み付けるための少なくとも1つの組付けプレートが設けられており、少なくとも1つの調整プレートは、少なくとも1つの組付けプレートに対して相対的に調整可能に支持されていることが特定されていてもよい。
【0029】
これによって、前板の位置を引出しに対して相対的に調整することができる。
【0030】
少なくとも2つのロック装置を、少なくとも2つの結合要素をロックすることができるロック位置から、少なくとも2つの結合要素を解離することができる解離位置へと、好ましくは同時に運動させることができる少なくとも1つの解離装置が設けられており、好ましくは、この少なくとも1つの解離装置は、少なくとも1つの工具収容部を有すると、特に有利であると判った。
【0031】
これによって、ロックプロセスとロック解除プロセスとを繰り返すことができる。
【0032】
また、少なくとも2つのロック装置のうちの少なくとも1つのロック装置は、少なくとも2つの結合要素のうちの少なくとも1つの結合要素を挿入時に受け止めかつ引出しに向かって自動的に引っ張るように構成された少なくとも1つの捕捉装置を有することが特定されていてもよい。
【0033】
これによって、引出しへの前板の固定が容易になる。
【0034】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも2つのロック装置のうちの少なくとも1つのロック装置は、少なくとも1つの第1のレバーと、この第1のレバーに連結された第2のレバーとを有する。
【0035】
好ましくは、少なくとも2つのロック装置のうちの少なくとも1つのロック装置は少なくとも1つの斜面を有しており、少なくとも2つの結合要素のうちの1つの結合要素の挿入によって、少なくとも1つの斜面を介して、好ましくは1つの蓄力器による力作用に抗してロック装置を少なくとも部分的に押し退けることができることが特定されていてよい。
【0036】
これによって、引出しへの前板の固定が容易になる。
【0037】
本発明の別の態様によれば、少なくとも2つの結合要素は、少なくとも2つの互いに独立した家具用金具または1つの共通の家具用金具に形成されていることが特定されていてよい。
【0038】
冒頭に記載したように、引出しと、前板と、引出しに前板を解離可能に固定するための本発明に係る少なくとも1つの固定装置とから成るアセンブリであって、好ましくは、引出しは、少なくとも部分的に中空に形成された少なくとも1つの引出し側壁を有し、この少なくとも1つの引出し側壁内に少なくとも1つの固定装置の主たる部分が配置されている、アセンブリと、このような少なくとも1つのアセンブリを備える家具とに対しても保護が要求される。
【0039】
本発明の更なる詳細および利点を図説に基づき図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1a】本発明に係るアセンブリを備えた家具の斜視的な正面図である。
図1b】本発明に係るアセンブリを備えた家具の斜視的な背面図である。
図2】結合要素を備えた本発明に係る固定装置を解離位置で示す図である。
図3】結合要素を備えた本発明に係る固定装置をロック位置で示す図である。
図4】結合要素を備えた本発明に係る固定装置の解離位置の斜視図である。
図5】結合要素を備えた本発明に係る固定装置のロック位置の斜視図である。
図6】結合要素を備えた本発明に係る固定装置の分解図である。
【0041】
図1aには、家具100の斜視的な正面ないし側面図が示してある。この家具100は、家具本体101内に3つの引出し3を有している。これらの引出し3は、家具本体101内で可動に引出し用引出しガイド102に支持されていて、2つの引出し側壁4と、1つの前板2と、1つの引出し背壁103とをそれぞれ有している。前板2は、図1aには示していない固定装置1(図2参照)を介して引出し3の両側壁4に固定されている。
【0042】
図1bには、まさに図1aでも説明したように、やはり3つの引出し3を備えた家具100の斜視的な側面ないし背面図が示してある。一番上側の引出し3には、前板2がまだ組み付けられていない。この理由から、4つの家具用金具29,30を認めることができる。これらの家具用金具29,30の結合要素5を介して、固定装置1によって、引出し側壁4への結合が行われる。
【0043】
図2には、前板2を引出し3に解離可能に固定するための固定装置1の実施例が解離位置で示してある。図2には、2つのロック装置6,7を認めることができる。両ロック装置6,7は1つのケーブル8によって互いに繋げられている。
【0044】
第1のロック装置6は解離装置18を有している。この解離装置18は工具収容部19を有している。
【0045】
第1のロック装置6は、さらに、すでに先行技術に基づき公知の捕捉装置20を有することができる。
【0046】
さらに、旋回レバー9を認めることができる。この旋回レバー9は真っ直ぐな区分10を有している。旋回レバー9は、さらに、圧縮ばねとして形成された第1の蓄力器14用のガイドとして働く。しかしながら、第1の蓄力器14はガス圧ばねまたはこれに類するものとして形成されていてもよい。
【0047】
第2のロック装置7は、第1のレバー21と、この第1のレバー21に連結された第2のレバー22とを有している。
【0048】
第2のロック装置7は、さらに、第1のレバーに配置された斜面23を有している。
【0049】
さらに、引張ばねとして形成された第2の蓄力器24が認められる。この第2の蓄力器もガス圧ばねまたはこれに類するものとして形成されていてよい。
【0050】
さらに、明らかであるように、ケーブル8は2つの支持装置15にて旋回可能にロック装置6,7に支持されている。ケーブル8は、さらに、変向ローラ13を有する変向装置12を介して変向させられる。ケーブル端部11は、旋回レバー9の真っ直ぐな区分10と角度Wを成している。
【0051】
図2には、さらに、固定装置1を引出し3に組み付けるための組付けプレート17が示してある。この組付けプレート17には、調整プレート16が配置されている。この調整プレート16は、調整装置25を介して組付けプレート17に対して相対的に調整することができる。
【0052】
この実施例では、ロック装置6,7が運動可能に調整プレート16に配置されている。
【0053】
さらに、家具用金具29,30が認められる。この家具用金具29,30は、前板2に家具用金具29,30を固定するための固定要素26と、結合要素5と、下側の家具用金具29の場合には横方向ピン27または上側の家具用金具30の場合にはピン28とを有している。
【0054】
家具用金具29,30は、少なくとも2つの結合要素5と、少なくとも2つの固定要素26と、少なくとも1つの横方向ピン27と、少なくとも1つのピン28とを備えた単一の家具用金具として形成されていてもよい。
【0055】
ここで、固定装置1の機能形態を図2および図3もしくは図4および図5に基づき説明する。
【0056】
図2には、結合要素5が固定装置1内に進入する直前の固定装置1が示してある。ロック装置6,7は、結合要素5がロック装置6,7に対して自由に運動可能である解離位置に位置している。
【0057】
第1のロック装置6は、蓄力器14によって死点超過位置に保持される。第2のロック装置7は、第1のロック装置6によってケーブル8を介して第2の蓄力器24の力に抗して解離位置に保持される。
【0058】
捕捉装置20は準備位置に位置している。
【0059】
前板2ひいては結合要素5が引出し3の方向に運動させられると、横方向ピン27が第1のロック装置6に衝突し、ピン28が第2のロック装置7の第1のレバー21と斜面23とに衝突する。このとき、捕捉装置20が横方向ピン27を受け止める。
【0060】
捕捉装置20は、その後、公知の形式で家具用金具29の横方向ピン27ひいては結合要素5を引出し3に向かって自動的に引っ張る。
【0061】
第1のロック装置6は、家具用金具29の結合要素5の進入によって死点超過位置から死点を越えて移動させられる。これによって、第1のロック装置6が第1の蓄力器14によってロック位置に移動させられる。ケーブル8はもはや第2の蓄力器24に抗して作用しないので、第2のロック装置7が第2の蓄力器24によってロック位置に運動させられる。
【0062】
ロック装置6,7はすでにロックされているものの、家具用金具30の結合要素5がまだ第2のロック装置7内に進入させられていないことがあり得る。この場合には、第2のロック装置7の第1のレバー21を、斜面23を介して家具用金具30の結合要素5によって押し退けることができ、したがって、家具用金具30の結合要素5を完全に第2のロック装置7内に移動させてロックすることができる。
【0063】
図3には、固定装置1がロック位置で示してある。明らかであるように、ロック装置6,7は結合要素5を収容していて、ロックしている。
【0064】
前板2を再び引出し3から解離したい場合には、工具、例えばねじ回しによって工具収容部19を介して解離装置18を操作することができる。
【0065】
解離装置18の操作によって、第1のロック装置6が死点を介して死点超過位置に移動させられる。第1の蓄力器14は第1のロック装置6をこの死点超過・解離位置に保持する。ケーブル8によって、同時に第2のロック装置7も第2の蓄力器24の力作用に抗して解離位置に運動させられる。
【0066】
これによって、結合要素5が再びロック装置6,7に対して自由に運動可能となる。したがって、前板2を引出し3から分離することができる。
【0067】
図4もしくは図5には、固定装置1が再び解離位置もしくはロック位置で示してあるものの、本発明をより理解しやすくするために、斜視図で示してある。
【0068】
図6には、固定装置1が分解図で示してある。これによって、固定装置1の構造がより明確に判る。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6