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特許7192111部品収納体保管装置、部品補給管理システムおよび部品補給管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】部品収納体保管装置、部品補給管理システムおよび部品補給管理方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20221212BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021521609
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(86)【国際出願番号】 JP2019021035
(87)【国際公開番号】W WO2020240681
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-07-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】新田 裕明
(72)【発明者】
【氏名】今本 恕
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164018(JP,A)
【文献】特開2013-052961(JP,A)
【文献】特開2001-127487(JP,A)
【文献】特開2019-061310(JP,A)
【文献】特開2003-204199(JP,A)
【文献】国際公開第2013/168329(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を実装して実装基板を生産する部品実装装置を有する生産ラインから離れた保管エリアに配置され、前記部品を前記部品実装装置に補給する部品収納体保管装置であって、
前記部品を収納した部品収納体を複数個保管する保管部と、
前記部品実装装置への補給が要求された部品を収納した部品収納体を前記保管部から選択的に出庫位置に移送する移送部と、
動作状況を示すステータス情報を取得するステータス取得部と、
外部装置を経由して前記保管エリアから離れた位置にいる作業者に前記ステータス情報を報知するために、前記外部装置に対し、前記ステータス取得部で取得された前記ステータス情報を送信して前記動作状況を通知する保管側通信部と、
を備え
前記移送部は、前記外部装置からの前記部品収納体の出庫指示に応じて、前記出庫指示の対象である部品収納体の前記保管部から前記出庫位置への移送を開始し、
前記保管側通信部は、前記部品収納体の出庫開始を示すステータス情報を前記外部装置に送信して前記出庫開始を通知し、前記出庫指示の対象となっている部品収納体の前記出庫位置への移送完了に応じて前記出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫完了を示すステータス情報を前記外部装置に送信して出庫完了を通知し、
前記部品収納体の出庫開始からの経過時間が一定時間を超過するのに応じて、
前記移送部は前記出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫を中断し、
前記保管側通信部は前記部品収納体の出庫中断を示すステータス情報を前記外部装置に送信して前記出庫中断を通知する
ことを特徴とする部品収納体保管装置。
【請求項2】
請求項1に記載の部品収納体保管装置であって、
前記保管側通信部は、前記外部装置からのステータス要求に応じて前記ステータス情報を前記外部装置に送信する部品収納体保管装置。
【請求項3】
部品を収納した部品収納体を複数個保管する保管部と、
部品実装装置への補給が要求された部品を収納した部品収納体を前記保管部から選択的に出庫位置に移送する移送部と、
動作状況を示すステータス情報を取得するステータス取得部と、
前記出庫位置から離間して設けられた外部装置に対し、前記ステータス取得部で取得された前記ステータス情報を送信して前記動作状況を通知する保管側通信部と、
を備え、
前記移送部は、前記外部装置からの前記部品収納体の出庫指示に応じて、前記出庫指示の対象である部品収納体の前記保管部から前記出庫位置への移送を開始し、
前記保管側通信部は、
前記部品収納体の出庫開始を示すステータス情報と、
前記出庫指示の対象となっている部品収納体が前記出庫位置に移送されるまでの予測時間とを前記外部装置に送信して通知する部品収納体保管装置。
【請求項4】
請求項3に記載の部品収納体保管装置であって、
前記保管側通信部は、前記出庫指示の対象となっている部品収納体の前記出庫位置への移送完了に応じて前記出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫完了を示すステータス情報を前記外部装置に送信して出庫完了を通知する部品収納体保管装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の部品収納体保管装置であって、
前記部品収納体の出庫開始からの経過時間が一定時間を超過するのに応じて、
前記移送部は前記出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫を中断し、
前記保管側通信部は前記部品収納体の出庫中断を示すステータス情報を前記外部装置に送信して前記出庫中断を通知する部品収納体保管装置。
【請求項6】
請求項1、2または5に記載の部品収納体保管装置であって、
前記部品収納体の出庫中断を示すステータス情報には、前記出庫中断の理由が含まれる部品収納体保管装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の部品収納体保管装置であって、
前記保管側通信部は、前記出庫指示の対象となっている部品収納体が前記保管部に保管されていないとき、前記出庫指示の対象となっている部品収納体がないことを示すステータス情報を前記外部装置に送信して通知する部品収納体保管装置。
【請求項8】
請求項に記載の部品収納体保管装置であって、
外部に設けられた部品庫に格納される複数の部品収納体に関する格納情報を記憶する格納情報記憶部をさらに備え、
前記保管側通信部は、前記出庫指示に対応した前記部品収納体が前記部品庫に格納されているとき、前記部品庫での前記部品収納体の格納を示すステータス情報を前記外部装置に送信して通知する部品収納体保管装置。
【請求項9】
請求項に記載の部品収納体保管装置であって、
前記部品庫での前記部品収納体の格納を示すステータス情報には、前記部品収納体の前記部品庫での格納位置が含まれている部品収納体保管装置。
【請求項10】
基板に部品を実装して実装基板を生産する部品実装装置を有する生産ラインから離れた保管エリアに配置され、前記部品を前記部品実装装置に補給するために、前記部品を収納した部品収納体を複数個保管しながら前記部品収納体を選択的に出庫する部品収納体保管装置と、
前記部品収納体保管装置から離間して配置され、前記部品収納体保管装置により選択的に出庫された前記部品収納体を作業者が前記部品収納体保管装置から前記部品実装装置に運んで前記部品実装装置への部品補給を行う、部品補給作業を管理する管理制御装置と、を備え、
前記部品収納体保管装置は、前記部品を収納した部品収納体を複数個保管する保管部と、前記部品実装装置への補給が要求された部品を収納した部品収納体を前記保管部から選択的に出庫位置に移送する移送部と、前記部品収納体保管装置の動作状況を示すステータス情報を取得するステータス取得部と、前記ステータス取得部で取得された前記ステータス情報を前記管理制御装置に送信して通知する保管側通信部と、を有し、
前記移送部は、前記管理制御装置からの前記部品収納体の出庫指示に応じて、前記出庫指示の対象である部品収納体の前記保管部から前記出庫位置への移送を開始し、
前記保管側通信部は前記部品収納体の出庫開始を示すステータス情報を前記管理制御装置に送信して前記出庫開始を通知し、前記出庫指示の対象となっている部品収納体の前記出庫位置への移送完了に応じて前記出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫完了を示すステータス情報を前記管理制御装置に送信して出庫完了を通知し、
前記部品収納体の出庫開始からの経過時間が一定時間を超過するのに応じて、
前記移送部は前記出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫を中断し、
前記保管側通信部は前記部品収納体の出庫中断を示すステータス情報を前記管理制御装置に送信して前記出庫中断を通知し、
前記管理制御装置は、前記部品収納体保管装置からの前記ステータス情報を受信する管理側通信部を有し、前記管理側通信部で受信した前記ステータス情報を前記保管エリアから離れた位置にいる前記作業者に報知する
ことを特徴とする部品補給管理システム。
【請求項11】
請求項10に記載の部品補給管理システムであって、
前記部品実装装置の近傍に配置されるモニタを備え、
前記管理制御装置は前記モニタに前記ステータス情報を表示して通知する部品補給管理システム。
【請求項12】
請求項10または11に記載の部品補給管理システムであって、
前記管理制御装置は、前記作業者が携帯する携帯端末に無線通信して前記携帯端末に前記ステータス情報を表示して通知する部品補給管理システム。
【請求項13】
部品を収納した部品収納体を複数個保管しながら前記部品収納体を選択的に出庫する部品収納体保管装置と、
前記部品収納体保管装置から離間して配置され、前記部品収納体保管装置により選択的に出庫された前記部品収納体を作業者が前記部品収納体保管装置から部品実装装置に運んで前記部品実装装置への部品補給を行う、部品補給作業を管理する管理制御装置と、を備え、
前記部品収納体保管装置は、前記部品収納体保管装置の動作状況を示すステータス情報を取得するステータス取得部と、前記ステータス取得部で取得された前記ステータス情報を前記管理制御装置に送信して通知する保管側通信部と、を有し、
前記管理制御装置は、前記部品収納体保管装置からの前記ステータス情報を受信する管理側通信部を有し、前記管理側通信部で受信した前記ステータス情報を前記作業者が携帯する携帯端末に無線通信して前記携帯端末に前記ステータス情報を表示することで前記作業者に報知し、
複数の前記部品実装装置に対する部品補給作業が複数の前記作業者で分担して行われるとき、前記作業者毎に分担する部品補給作業に応じて前記携帯端末に表示するステータス情報を相違させる
部品補給管理システム。
【請求項14】
基板に部品を実装して実装基板を生産する部品実装装置を有する生産ラインから離れた保管エリアに配置され、前記部品を前記部品実装装置に補給するために、前記部品を収納した部品収納体を複数個保管する部品収納体保管装置において選択的に出庫位置に出庫された前記部品収納体を作業者が前記部品収納体保管装置から前記実装装置に運んで前記部品実装装置への部品補給を行う、部品補給作業を管理する部品補給管理方法であって、
前記部品収納体保管装置の動作状況を示すステータス情報を取得する工程と、
前記ステータス情報を前記保管エリアから離れた位置にいる前記作業者に報知する工程と、を備え
前記部品収納体の出庫指示に応じて、前記出庫指示の対象である部品収納体の保管部から前記出庫位置への移送が開始されると、前記部品収納体の出庫開始を示すステータス情報とともに前記出庫指示の対象となっている部品収納体が前記出庫位置に移送されるまでの予測時間を取得して通知する
ことを特徴とする部品補給管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品を収納したリールやトレイなどの部品収納体を保管する部品収納体保管装置ならびに部品補給作業を管理する部品補給管理技術に関するものである。なお、「部品補給作業」は上記部品収納体保管装置において選択的に出庫された部品収納体を作業者が部品収納体保管装置から部品実装装置に運んで部品実装装置への部品補給を行う一連の動作を意味している。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板等の基板上に電子部品(以下、単に「部品」という)を実装する部品実装装置に対して部品を供給するために、リールやトレイなどの部品収納体が用いられている。例えばリールでは、部品を格納したキャリヤテープが巻回されている。リールが部品供給装置に装着された状態で部品供給装置はリールからキャリヤテープを引き出す。一方、部品実装装置の実装ヘッドがキャリヤテープに収納されている部品をピックアップし、基板に実装する。こうして実装基板の生産が行われる。部品収納体としてトレイを用いる場合も基本的に同様にして行われる。
【0003】
この実装基板の生産中において、部品供給装置からの部品の供給が停止し、実装基板の生産が停止しないように、実装基板の生産に伴う部品の消費量に応じて、部品を補給する補給作業が作業者によって行われる。近年、部品補給作業を効率的に行うために、パーツタワーなどと称される部品収納体保管装置が用いられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-164017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の部品収納体保管装置を装備する部品補給管理システムでは、部品実装装置における部品残数が少なくなると、部品収納体保管装置に当該部品を収納する部品収納体の出庫を指示する。当該出庫指示を受けて部品収納体保管装置は当該部品収納体の出庫を開始する。そして、部品収納体保管装置は部品収納体を取り出し位置まで移送し、作業者による部品収納体の受取を待つ。ここで、問題となるのが部品収納体保管装置の動作状況、つまりステータスを作業者に報知していない点である。つまり、従来装置では、部品収納体保管装置から離れた位置で作業をしている作業者に対し、部品収納体保管装置での部品収納体の出庫開始や出庫完了等について何も知らされていない。したがって、作業者は適宜作業を中断し、部品収納体保管装置に移動して部品収納体保管装置のステータスを確認する必要があった。このことが作業の効率低下を招く主要因のひとつとなっている。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、部品補給作業を効率的に行うための部品収納体保管装置、部品補給管理システムおよび部品補給管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の態様は、基板に部品を実装して実装基板を生産する部品実装装置を有する生産ラインから離れた保管エリアに配置され、部品を部品実装装置に補給する部品収納体保管装置であって、部品を収納した部品収納体を複数個保管する保管部と、部品実装装置への補給が要求された部品を収納した部品収納体を保管部から選択的に出庫位置に移送する移送部と、動作状況を示すステータス情報を取得するステータス取得部と、外部装置を経由して保管エリアから離れた位置にいる作業者にステータス情報を報知するために、外部装置に対し、ステータス取得部で取得されたステータス情報を送信して動作状況を通知する保管側通信部と、
を備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の第2の態様は、部品補給管理システムであって、基板に部品を実装して実装基板を生産する部品実装装置を有する生産ラインから離れた保管エリアに配置され、部品を部品実装装置に補給するために、部品を収納した部品収納体を複数個保管しながら部品収納体を選択的に出庫する部品収納体保管装置と、部品収納体保管装置から離間して配置され、部品収納体保管装置により選択的に出庫された部品収納体を作業者が部品収納体保管装置から部品実装装置に運んで部品実装装置への部品補給を行う、部品補給作業を管理する管理制御装置と、を備え、部品収納体保管装置は、部品収納体保管装置の動作状況を示すステータス情報を取得するステータス取得部と、ステータス取得部で取得されたステータス情報を管理制御装置に送信して通知する保管側通信部と、を有し、管理制御装置は、部品収納体保管装置からのステータス情報を受信する管理側通信部を有し、管理側通信部で受信したステータス情報を保管エリアから離れた位置にいる作業者に報知することを特徴としている。
【0009】
さらに、この発明の第3の態様は、基板に部品を実装して実装基板を生産する部品実装装置を有する生産ラインから離れた保管エリアに配置され、部品を部品実装装置に補給するために、部品を収納した部品収納体を複数個保管する部品収納体保管装置において選択的に出庫された部品収納体を作業者が部品収納体保管装置から実装装置に運んで部品実装装置への部品補給を行う、部品補給作業を管理する部品補給管理方法であって、部品収納体保管装置の動作状況を示すステータス情報を取得する工程と、ステータス情報を保管エリアから離れた位置にいる作業者に報知する工程と、を備えることを特徴としている。
【0010】
このように構成された発明では、部品収納体保管装置の動作状況を示すステータス情報が送信され、部品収納体保管装置から離れた位置に通知される。したがって、作業者は部品収納体保管装置まで移動することなく、部品収納体保管装置の動作状況を把握することができる。その結果、部品実装装置への補給が要求された部品が収納された部品収納体を作業者は合理的なタイミングで受け取ることができ、部品補給の効率を高めることができる。
【0011】
ここで、保管側通信部がステータス情報を送信するタイミングについては任意であり、例えば一定時間毎に部品収納体保管装置が管理制御装置などの外部装置に送信してもよい。しかしながら、この場合、ステータス情報を必要としないタイミングでステータス情報が送信される可能性がある。そこで、例えば外部装置からのステータス要求に応じて保管側通信部がステータス情報を送信するように構成してもよい。これにより、必要性の高いタイミングで効率的にステータス情報が通知される。
【0012】
また、移送部が、外部装置からの部品収納体の出庫指示に応じて、出庫指示の対象である部品収納体の保管部から出庫位置への移送を開始し、保管側通信部が部品収納体の出庫開始を示すステータス情報を外部装置に送信して出庫開始を通知するように構成してもよい。この場合、出庫指示のタイミング、つまり部品収納体の出庫が必要となったタイミングで出庫指示の対象である部品収納体の出庫が直ちに開始され、部品補充を遅滞なく適切に行うことができる。しかも、出庫開始がリアルタイムで通知され、部品収納体保管装置の動作状況を作業者に的確に通知することができる。
【0013】
また、保管側通信部が、出庫開始を意味するステータス情報を送信するだけでなく、出庫指示の対象となっている部品収納体が出庫位置に移送されるまでの予測時間を外部装置に送信して通知するように構成してもよい。予測時間を付加的に通知することで部品収納体保管装置の動作状況を詳しく作業者に通知することができる。また、当該通知によって作業者は部品収納体保管装置への移動を計画し易くなる。
【0014】
また、保管側通信部が、出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫位置への移送完了に応じて出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫完了を示すステータス情報を外部装置に送信して出庫完了を通知するように構成してもよい。これによって、部品補給の準備が完了したことを迅速に作業者に通知することができる。
【0015】
また、部品収納体の出庫開始からの経過時間が一定時間を超過するのに応じて、移送部が出庫指示の対象となっている部品収納体の出庫を中断し、保管側通信部が部品収納体の出庫中断を示すステータス情報を外部装置に送信して出庫中断を通知するように構成してもよい。部品収納体の出庫が適切に行われていない動作状況が継続されるのを防止することができる。また、このような不適切な動作状況に陥っていることを作業者に確実に通知することができる。
【0016】
また、部品収納体の出庫中断を示すステータス情報に出庫中断の理由を含めてもよく、これによって、作業者は単に出庫が中断されているという事実のみならず中断理由を把握することができ、適切に対応することが可能となる。
【0017】
また、保管側通信部が、出庫指示の対象となっている部品収納体が保管部に保管されていないとき、出庫指示の対象となっている部品収納体がないことを示すステータス情報を外部装置に送信して通知するように構成してもよい。これによって、作業者は部品収納体保管装置の近傍まで移動することなく、出庫指示の対象となっている部品収納体が非保管状態となっていることを迅速に把握することができる。
【0018】
また、外部に設けられた部品庫に格納される複数の部品収納体に関する格納情報を記憶する格納情報記憶部をさらに備え、保管側通信部は、出庫指示に対応した部品収納体が部品庫に格納されているとき、部品庫での部品収納体の格納を示すステータス情報を外部装置に送信して通知するように構成してもよい。これによって、作業者は部品庫の近傍まで移動することなく、出庫指示の対象となっている部品収納体が部品庫に格納されていることを迅速に把握することができる。また、部品庫での部品収納体の格納を示すステータス情報に部品収納体の部品庫での格納位置を含めてもよく、出庫指示に対応した部品収納体が上記格納位置に格納されていることが作業者に報知される。したがって、作業者は出庫指示に対応した部品収納体を部品庫から効率良く取り出して部品実装装置に運ぶことができる。
【0019】
また、ステータス情報を作業者に報知するために、部品実装装置の近傍にモニタを配置して当該モニタにステータス情報を表示してもよい。また、作業者が携帯する携帯端末に無線通信して携帯端末にステータス情報を表示してもよい。これら表示方式を採用することで作業者は部品収納体保管装置の動作状況を容易に確認することができる。
【0020】
さらに、複数の部品実装装置に対する部品補給作業が複数の作業者で分担して行われるとき、作業者毎に分担する部品補給作業に応じて携帯端末に表示するステータス情報を相違させてもよい。これによって、各作業者が携帯する携帯端末には、自分が担当する部品補給作業に関連するステータス情報のみが表示される。その結果、自分が行うべき部品補給作業を的確に把握して実行することができ、部品補給の効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、部品収納体保管装置の動作状況を示すステータス情報を送信して部品収納体保管装置から離れた位置に通知しているため、部品を収納した部品収納体を複数個保管する保管部から部品実装装置への補給が要求された部品を収納した部品収納体を選択的に出庫位置に運んで部品実装装置への部品補給を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明にかかる部品収納体保管装置の第1実施形態を用いた部品補給を管理する部品補給管理システムの構成を示す模式図である。
図2図1に示す部品補給管理システムの主要な電気的構成を示すブロック図である。
図3】部品庫におけるリールの保管例およびリールの移送例を模式的に示す図である。
図4】部品収納体保管装置の概略構成を模式的に示す図である。
図5図1に示す部品補給管理システムでの部品補給管理動作の一例を示す図である。
図6】部品収納体保管装置のステータスと内容との関係を示す図である。
図7】本発明にかかる部品収納体保管装置の第2実施形態を用いた部品補給作業を管理する部品補給管理システムでの部品補給管理動作の一例を示す図である。
図8】本発明にかかる部品収納体保管装置の第3実施形態を用いた部品補給作業を管理する部品補給管理システムでの部品補給管理動作の一例を示す図である。
図9】複数の作業者により部品補給作業を分担して行う部品管理システムにおけるステータス情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明にかかる部品収納体保管装置の第1実施形態を用いた部品補給を管理する部品補給管理システムの構成を示す模式図である。また、図2図1に示す部品補給管理システムの主要な電気的構成を示すブロック図である。この部品補給管理システム100は、基板に部品を実装して実装基板を生産する生産ラインにおける部品補給作業を管理する。本実施形態では、基板生産工程にしたがって基板を上流側(左側)から下流側(右側)に向かって搬送しつつ生産ラインL1を構成する各装置(印刷装置PR、部品実装装置MC1~MC3および検査装置IN)により種々の処理が実行される。より具体的には、印刷装置PRはスクリーン印刷機であり、クリーム半田を基板の実装面上に塗布する。また、部品実装装置MC1~MC3は、クリーム半田が印刷された基板に対してLSI、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗器などの小片状の部品を実装する。本実施形態では、3台の部品実装装置MC1~MC3がこの順序で基板の搬送方向に沿って配置されている。各部品実装装置MC1~MC3はリールに巻回されたキャリヤテープに収納された部品をピックアップし、基板に実装する。さらに、検査装置INは上流の部品実装装置MC3から基板を受け取り、可視光またはX線により基板の外観を検査する。なお、生産ラインL1の構成はこれに限定されるものではなく、例えば部品種類や個数などに応じて部品実装装置を増減させたり、トレイに収納された部品を実装する部品実装装置を配置してもよい。また、生産ラインの本数も「1」に限定されるものではなく、基板生産工場のレイアウトなどに応じて複数本設けてもよい。
【0024】
実装基板の生産に伴い部品実装装置MC1~MC3の部品供給装置(図示省略)で保有している部品の残数が減少していく。部品供給装置からの部品の供給が停止すると、実装基板の生産を停止させる必要が生じて稼働率の低下を招く。そこで、実装基板の生産に伴う部品の消費量に応じて、作業者OPにより新たなリールを部品供給装置に装着して部品を補給してもらう、いわゆる部品補給作業が必要となる。この部品補給作業を効率的に行うために、本実施形態では、図1に示すように3台のリール保管装置PT1~PT3と部品庫PWが生産ラインL1から離れた保管エリアに配置されている。なお、部品庫PWおよび各リール保管装置PT1~PT3の構成および動作については後で詳述する。
【0025】
生産ラインL1を構成する各装置(印刷装置PR、部品実装装置MC1~MC3および検査装置IN)やリール保管装置PT1~PT3を統括的に制御するために、部品補給管理システム100の管理エリアにおいて、管理制御装置200および生産ライン制御装置300が設けられている。管理制御装置200および生産ライン制御装置300は通信ネットワークNWを介して相互に接続されるとともに生産ラインL1の各装置、リール保管装置PT1および作業者OPの携帯端末400とも接続されている。
【0026】
管理制御装置200は、論理演算を実行する周知のCPU(Central Processing Unit)、初期設定等を記憶しているROM(Read Only Memory)、装置動作中の様々なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されたシステム管理制御部210を有している。システム管理制御部210は、予め設定されたプログラムにしたがって作動して部品情報取得部211、補給出庫指示部212およびメッセージ作成部213として機能する。部品情報取得部211は生産ラインL1にて使用される部品に関する情報を取得する。また、補給出庫指示部212は部品実装装置MC1~MC3での部品残数の低下に応じてリール保管装置PT1~PT3によるリールの出庫を指示する。さらに、メッセージ作成部213は部品補給作業に関連する各種メッセージを作成する。
【0027】
また、管理制御装置200は、システム管理制御部210以外に、生産プログラム作成部220、入力部230、表示部240および通信部250を有している。生産プログラム作成部220は生産ラインL1による実装基板の生産プログラムを作成する。なお、生産プログラムを作成する装置を管理制御装置200から独立して設けてもよい。
【0028】
入力部230は作業者OPなどからのデータ入力や指示などを受け付け、表示部240は各種情報を表示する。このように本実施形態では入力部230および表示部240がマンマシンインターフェースとして設けられているが、タッチパネルを入力部230および表示部240として設けてもよい。通信部250は他の装置からの各種情報を受信し、管理制御装置200の各部で作成した指示や情報などを他の装置に送信する。
【0029】
生産ライン制御装置300は、ライン制御部310、部品情報収集部320および通信部330を有している。ライン制御部310は、CPU、ROM、RAM等から構成され、上記生産プログラムにしたがって生産ラインL1を統括的に制御する。また、部品情報収集部320は生産ラインL1での部品に関する情報を収集する。さらに、通信部330は他の装置からの各種情報を受信し、部品情報収集部320で収集した部品情報などを他の装置に送信する。
【0030】
携帯端末400は、作業中において作業者OPが常時携帯している端末であり、端末制御部410、タッチパネル420、コード読取部430および通信部440を有している。通信部440は通信ネットワークNWを介して他の装置と無線通信可能となっている。端末制御部410はCPU、ROM、RAM等から構成され、他の装置から受信した各種情報をタッチパネル420に表示する。タッチパネル420は作業者OPによるタッチ入力情報を読み取り、端末制御部410に与える。また、コード読取部430はリールに付されたバーコードや2次元コードなどの識別コード(図3中の符号RC)をスキャンしてスキャン情報を端末制御部410に与える。これらタッチ入力情報やスキャン情報を受け取った端末制御部410は各種指示や情報に変換して無線で他の装置に送る。
【0031】
図3は部品庫におけるリールの保管例およびリールの移送例を模式的に示す図である。部品庫PWは複数の格納空間に区画した棚構造を有している。本実施形態では、3×3のマトリックス状に区画された9個の格納空間が設けられている。各格納空間では、基板に実装される部品を収納したキャリヤテープを巻回したリールRが2本縦置き状態で格納可能となっている。したがって、作業者OPは保管エリアに出向き、部品庫PWに格納されているリールRを取り出し、部品実装装置MC1~MC3の部品供給装置に装着したり、リール保管装置PT1~PT3に入庫させることが可能となっている。
【0032】
本実施形態では、部品庫PWにおいて各リールRが格納されている位置、つまりリール格納位置はリールRに収納されている部品の種類と関連付けた状態でリール保管装置PT1のリール格納情報記憶部(図2の符号580)に記憶されている。したがって、リール格納情報記憶部に記憶された情報に基づいて補給すべき部品が収納されたリールRを正確に特定することができ、所望のリールRを部品庫PWから容易に取り出すことが可能となっている。また、各リールRには、当該リールRに巻回されたキャリヤテープに収納されている部品と関連付けたバーコードや2次元コードなどの識別コードRCが付されている。なお、部品庫PWでの区画数や各格納空間での格納可能リール数などについては任意であることは言うまでもない。
【0033】
図4はリール保管装置の概略構成を模式的に示す図である。以下、図1図2および図4を参照しつつ本発明にかかる部品収納体保管装置の第1実施形態に相当するリール保管装置PT1~PT3の構成について説明する。なお、リール保管装置PT1~PT3は同一構成を有しているが、リール保管装置PT1をマスターとして機能させる一方でリール保管装置PT2、PT3をスレーブとして機能させる。以下においては、リール保管装置PT1の構成を中心に説明し、リール保管装置PT2、PT3の各部については同一符号を付して構成説明を省略する。
【0034】
リール保管装置PT1は、本発明の部品収納体の一例であるリールRを装置本体510の内部に入庫して保管し、管理制御装置200からの出庫指示に対応するリールRを選択的に出庫する。リール保管装置PT1の装置本体510の正面には、フロントドア511が設けられている。このフロントドア511を開くことでリールRの入庫および出庫を行う入出庫位置512が露出し、作業者OPは入出庫位置512でリールRの入庫操作および出庫操作を行うことが可能となる。
【0035】
作業者OPにより入出庫位置512に運ばれたリールRはリール移送部520(図2)により棚状の保管部530に移送され、所定の位置に保管される(リールRの入庫)。また、保管部530に保管されている複数のリールRの中に管理制御装置200からの出庫指示に対応するものが存在する場合、リール移送部520は当該リールRを選択的に保管部530から取り出し、入出庫位置512に移送する(リールRの出庫)。
【0036】
複数のリールRを保管するために保管部530は装置本体510の内部の背面側(図4の右上側)に設けられている。保管部530は、リールRを個別に横置き状態で収容する保管空間を複数個、マトリックス状に配置した入出庫棚を有している。このため、入出庫棚での保管位置とリールRに付された識別コードRCとを関連付けることでリールRを所望位置に保管し、また所望の部品を収納しているリールRを保管部530から正確に出庫させることが可能となっている。
【0037】
図4への図示を省略しているが、装置本体510の内部でリールRの入出庫を行うリール移送部520は保管部530の正面側(図4の左下側)と対向するように配設されている。リール移送部520は、リールRの保持および保持解除を切替可能に構成されたリールハンド(図示省略)と、装置本体510の内部でリールハンドを3次元移動させるとともにZ軸まわりに回転させるハンド移動機構(図示省略)とを有している。そして、リール保管装置PT1全体を制御する保管制御部540によってリール移送部520は制御され、作業者OPにより入出庫位置512に運ばれたリールRを保管部530に移送して入庫し、保管部530から所望のリールRを入出庫位置512に移送して出庫する。
【0038】
保管制御部540は、CPU、ROM、RAM等から構成され、予め設定されたプログラムにしたがって作動して指示取得部541、リール保管位置特定部542およびステータス取得部543として機能する。指示取得部541は補給出庫指示を取得して指示内容を解析して出庫すべきリールRに関する情報を取得する。リール保管位置特定部542は出庫すべきリールRが保管されている保管位置を特定する。ステータス取得部543はリール保管装置PT1の動作状況、つまりステータス情報(出庫に要する予測時間を含む)を取得する。
【0039】
また、リール保管装置PT1は、保管制御部540以外に、入力部550、表示部560、コード読取部570、リール格納情報記憶部580および通信部590を有している。入力部550は作業者OPなどからのデータ入力や指示などを受け付け、表示部560は各種情報を表示する。このように本実施形態では入力部550および表示部560がマンマシンインターフェースとして設けられているが、タッチパネルを入力部550および表示部560として設けてもよい。コード読取部570はリールRに付された識別コードRCをスキャンしてスキャン情報を保管制御部540に与える。リール格納情報記憶部580は上記したように部品庫PWにおけるリールRの格納位置を当該リールRの種類(リールRに収納された部品の種類)と関連付けた格納情報を記憶している。通信部590は他の装置からの各種指示や情報を受信し、リール保管装置PT1で取得したステータス情報などを他の装置に送信する。
【0040】
なお、図1および図2中の符号600は生産ラインL1の近傍に配置される大型モニタであり、次に説明するように携帯端末400のタッチパネル420とともにリール保管装置PT1~PT3のステータス情報を表示する。
【0041】
図5図1に示す部品補給管理システムでの部品補給管理動作の一例を示す図である。同図(また後で説明する図7および図8)における左端図面は大型モニタ600および携帯端末400での表示例である。部品補給管理システム100では、適当なタイミング、例えば部品補給管理システム100の起動後、所定時間が経過する毎、あるいは部品実装装置MC1~MC3の入力部(図示省略)や携帯端末400を介して作業者OPからステータス要求があったタイミングで、管理制御装置200がリール保管装置PT1にステータス要求を送信する(ステータス要求)。これを受け取った保持管理部540では、ステータス取得部543がリール保管装置PT1の動作状況、つまりステータス情報(出庫に要する時間を含む)を取得する。また、本実施形態では、リール保管装置PT1がマスター、リール保管装置PT2、PT3がスレーブの関係で接続されているため、リール保管装置PT1はリール保管装置PT2、PT3からもステータス情報を取得する。そして、リール保管装置PT1は、リール保管装置PT1~PT3のステータス情報をネットワークNWを介して管理制御装置200に通知する(ステータス通知)。なお、本実施形態で取得可能となっているステータス情報は図6に示すとおりである。
【0042】
図6はリール保管装置のステータスと内容との関係を示す図であり、同図の左欄にはステータスの種類が記載され、右欄には各ステータスの内容が記載されている。すなわち、ステータスとステータス内容の関係は、
・入庫中…リール保管装置がリールを入庫している
・出庫中…リール保管装置がリールを出庫している
・入出庫棚…保管部の入出庫棚にリールが存在する
・異常…リール保管装置が異常状態
・初期化中…リール保管装置が初期化動作中
・準備完了…準備完了状態
・出庫開始…リール保管装置がリールの出庫を開始した
・出庫中断…リール保管装置がリールの出庫を中断した
・出庫完了…リール保管装置からリールの出庫が完了した
・部品なし…リール保管装置内に補給部品が存在しない
・部品庫…部品庫に補給部品が存在する
である。なお、「補給部品」とは、部品実装装置MC1~MC3への補給が要求された部品を意味している。
【0043】
上記ステータス通知を受けた管理制御装置200はリール保管装置PT1~PT3のステータスを取得し、部品補給に関する情報を大型モニタ600および携帯端末400に表示する。図5(後で説明する図7図9)では、部品補給に関する情報として、
・部品補給が必要な生産ラインL1、
・部品補給が必要となっている部品実装装置MC1~MC3、
・補給が要求されている部品(補給部品)の種類、
・補給部品を収納するリールRを保管しているリール保管装置PT1~PT3
・当該リール保管装置PT1~PT3のステータス、
・出庫までに要する予測時間、つまり残出庫時間
をテーブル形式で表示している。このため、主として生産ラインL1で作業している作業者OPはリール保管装置PT1~PT3を配置している保管エリアまで移動せずとも、大型モニタ600や携帯端末400を見ることで部品補給作業に関する情報を一括して把握することができる。
【0044】
また、部品補給管理システム100では、生産ライン制御装置300が生産ラインL1での部品に関する情報を定期的に収集して管理制御装置200に送信する(部品情報通知)。管理制御装置200では、システム管理制御部210が部品情報通知を取得し、生産ラインL1において部品残数の低下が生じて部品補給が必要となっているか否かを検討する。そして、補給が必要であると判断した際には、システム管理制御部210は、補給が必要であると判断された部品、つまり補給部品を収納するリールR(以下「補給用リールR」と称する)の保管元(リール保管装置PT1~PT3)から当該リールRを出庫させる旨の指示をリール保管装置PT1に送信する(出庫指示)。
【0045】
出庫指示を受けたリール保管装置PT1は指示された保管元でのリールRの出庫を開始させる。例えば補給用リールRの保管元がリール保管装置PT1である場合には、図5に示すようにリール保管装置PT1はリール保管装置PT1での補給用リールRの保管位置を特定するとともに補給用リールRの出庫に要する時間、いわゆる残出庫時間を予測する。そして、リール保管装置PT1は残出庫時間とともに出庫を開始した旨を管理制御装置200に送信する(出庫開始通知)。なお、補給用リールRの保管元がリール保管装置PT2、PT3である場合には、各リール保管装置PT2、PT3で補給用リールRの保管位置の特定および残出庫時間の予測が行われ、残出庫時間と出庫開始に関する情報がマスター、つまりリール保管装置PT1を介して管理制御装置200に送信される(出庫開始通知)。
【0046】
出庫開始通知を受信した管理制御装置200は大型モニタ600および携帯端末400での表示項目のうち「ステータス」と「残出庫時間」の表示内容を受信情報に基づいて更新する(ステータス等の更新)。例えば図5の左上段図と左中段図とを比較してわかるように「ステータス」の項が「待機中」から「出庫中」に更新されるとともに「残出庫時間」の項が「-」から「30秒」に更新される。このため、生産ラインL1で作業している作業者OPは大型モニタ600および携帯端末400を見ることで、リール保管装置PT1~PT3を配置している保管エリアまで移動せずとも、補給用リールRの出庫が開始され、少なくとも30秒程度経過した時点で補給用リールRが入出庫位置512に出庫される予定であることを確認することができる。
【0047】
出庫開始通知を行ったリール保管装置PT1では、補給用リールRの保管位置の特定に続けてリール移送部520(図2)が補給用リールRの保管位置に移動して補給用リールRを保持する。そして、リール移送部520は補給用リールRを保持したまま入出庫位置512に移動した後、補給用リールRの保持を解除する。こうして補給用リールRが入出庫位置512に移送される。こうして補給用リールRの出庫完了を確認すると、リール保管装置PT1は、補給用リールRの出庫が完了し、作業者OPによる補給用リールRの受け取りが可能となっていることを管理制御装置200に送信する(出庫完了通知)。
【0048】
出庫開完了通知を受信した管理制御装置200は大型モニタ600および携帯端末400での表示項目のうち「ステータス」と「残出庫時間」の表示内容を出庫完了通知に基づいて更新する(ステータス等の更新)とともに、例えば図5に示すように『補給用リールの出庫が完了しました』などのメッセージを大型モニタ600および携帯端末400に追加表示する。このため、生産ラインL1で作業している作業者OPは大型モニタ600および携帯端末400を見ることで、リール保管装置PT1~PT3を配置している保管エリアまで移動せずとも、補給用リールRがリール保管装置PT1の入出庫位置512に出庫されたことを確認することができる。そして、作業者OPは自己の都合に合わせて保管エリアに移動し、補給用リールRを受け取り、大型モニタ600および携帯端末400に表示されている部品実装装置MC1に運んで部品補給を行うことができる。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、リール保管装置PT1~PT3の動作状況を示すステータス情報を管理制御装置200に送信して通知し、大型モニタ600および携帯端末400に表示している。このため、作業者OPは、表示内容を確認することで保管エリアに移動することなく、リール保管装置PT1~PT3から離れた位置でリール保管装置PT1~PT3の動作状況を把握することができる。その結果、作業者OPは合理的なタイミングで保管エリアに出向き、部品実装装置MC1~MC3に補給すべき部品が収納されたリール、つまり補給用リールRを受け取ることができる。また、部品補給作業の効率を高めることができる。しかも、管理制御装置200がリール保管装置PT1にステータス要求を行うことでリール保管装置PT1の通信部590がステータス情報を送信する。したがって、リール保管装置PT1~PT3の動作状況を把握したいタイミングでステータス情報が通知され、通知効率を高めることができる。
【0050】
また、管理制御装置200は、部品実装装置MC1~MC3に対する部品補給が必要と判断すると、補給用リールRの出庫指示をリール保管装置PT1に送信している。そして、これに対応して補給用リールRを保管しているリール保管装置が直ちに保管部530から入出庫位置512への当該補給用リールRの出庫を開始している。このため、部品補給作業要する時間を短縮することができる。この出庫開始がリール保管装置PT1から管理制御装置200に送信され、管理制御装置200を介して大型モニタ600および携帯端末400に表示され、リール保管装置PT1~PT3から離れた位置で出庫開始を把握することができる。しかも、本実施形態では、出庫開始とともに残出庫時間を大型モニタ600および携帯端末400に表示しているため、これを見た作業者OPは補給用リールRの受取可能な時刻を容易に予測することができ、現在の作業および部品補給の段取りを作り易い。その結果、部品補給作業の効率を高めることができる。
【0051】
さらに、出庫完了時には、リール保管装置PT1から管理制御装置200に出庫完了が送信され、管理制御装置200を介して大型モニタ600および携帯端末400に表示され、リール保管装置PT1~PT3から離れた位置で作業者OPは出庫完了を迅速に把握することができる。その結果、作業者OPは出庫完了を確認した上で部品補給作業に移行することができ、部品補給作業を合理的なタイミングで行うことができる。
【0052】
ところで、上記第1実施形態では、出庫指示に応じてリール保管装置PT1~PT3は補給用リールRの出庫処理を行うが、別のリールRが入出庫位置512に放置されていると、上記出庫指示に対応する補給用リールRの出庫処理を行うことができない。また、リール保管装置PT1~PT3に異常が発生している場合も同様である。リール保管装置PT1~PT3がこれらの動作状況に陥っていると、いつまでも出庫完了状態に移行せず、作業者OPは出庫処理の完了を待ち続けることになる。
【0053】
そこで、出庫指示の受信から一定時間内に補給用リールRの出庫を完了することができない状況となっている場合、それを示すステータス情報をリール保管装置PT1から管理制御装置200に送信して通知するのが望ましい(第2実施形態)。以下、本発明の第2実施形態について図7を参照しつつ説明する。
【0054】
図7は本発明に係る部品収納体保管装置の第2実施形態を用いた部品補給を管理する部品補給管理システムでの部品補給管理動作の一例を示す図である。この第2実施形態では、リール保管装置PT1~PT3を含む部品補給管理システム全体の構成は第1実施形態と同一であるものの、以下に説明する動作を追加実施する。したがって、以下においては追加部分を中心に説明し、同一構成および動作については説明を省略する。
【0055】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、管理制御装置200からのステータス要求に応じてリール保管装置PT1は全リール保管装置PT1~PT3のステータス情報を送信して通知する。また、管理制御装置200からの出庫指示に応じてリール保管装置PT1~PT3の一部または全部は補給用リールRの出庫処理を開始するとともにリール保管装置PT1は出庫開始を示すステータス情報を送信して通知する。ここでは、発明内容の理解容易のため、リール保管装置PT1において出庫指示に対応するリール、つまり補給用リールRを出庫するものと仮定して説明を続ける。
【0056】
ここまでの動作は第1実施形態と同一であるが、第2実施形態ではリール保管装置PT1は出庫開始と同時に経過時間のカウントを開始する。そして、出庫処理が完了していない状態が予め設定した一定時間(補給用リールRを保管部530から入出庫位置512に移送するのに十分な時間)を超過した時点においても出庫が完了していないときには、リール移送部520による補給用リールRの移送を停止する。つまり、リール保管装置PT1は出庫作業を中断する。また、リール保管装置PT1では、ステータス取得部543が出庫作業の中断理由を含むステータス情報を取得し、それを通信部590が管理制御装置200に送信して出庫作業の中断と中断理由を通知する。
【0057】
これらを受信した管理制御装置200は、大型モニタ600および携帯端末400での表示項目のうち「ステータス」と「残出庫時間」の表示内容を出庫中断通知に基づいて更新する(ステータス等の更新)とともに、例えば図7に示すように『出庫中断理由:前回出庫リールの放置』などのメッセージを大型モニタ600および携帯端末400に追加表示する。このため、生産ラインL1で作業している作業者OPは大型モニタ600および携帯端末400を見ることで、リール保管装置PT1~PT3を配置している保管エリアまで移動せずとも、リール保管装置PT1において出庫作業の中断理由が発生していることを確認することができる。そして、作業者OPは中断理由に対応した作業を行い、出庫中断を解消させることができる。
【0058】
以上のように、第2実施形態によれば、補給用リールRの出庫開始からの経過時間が一定時間を超過するのに応じて、リール移送部520による補給用リールRの出庫を中断している。このため、補給用リールRの出庫が不適切な動作状況下で継続されるのを確実に防止することができる。また、そのような動作状況を作業者OPに迅速に報知することができる。さらに、ステータス情報に出庫中断の理由を含めているため、作業者OPは単に出庫が中断されているという事実のみならず中断理由を的確に把握することができる。そして、作業者OPによる適切な対応によって出庫中断を早期に解消することができる。
【0059】
上記第1実施形態および第2実施形態では、保管部530には多品種のリールRが保管されており、出庫指示に対応するリール、つまり補給用リールRがリール保管装置PT1~PT3の少なくとも1つに保管されているという前提で補給用リールRの出庫および出庫中断を行っている。しかしながら、補給用リールRがリール保管装置PT1~PT3のいずれにも保管されておらず、出庫不可な状態が発生していることがある。これに対応すべく、それを示すステータス情報をリール保管装置PT1から管理制御装置200に送信して通知するのが望ましい。また、補給用リールRがリール保管装置PT1~PT3には保管されていないものの、部品庫PWに格納されている場合もある。したがって、作業者OPは部品庫PWのところまで移動し、補給用リールRが部品庫PWに格納されているか否か、さらには格納位置を探す必要がある。これらの事情に鑑みると、管理制御装置200から出庫指示を受信すると、出庫開始前に、リール保管装置PT1~PT3での補給用リールRの保管/非保管および部品庫PWでの補給用リールRの格納/非格納を自動的に確認するのが望ましい(第3実施形態)。以下、本発明の第3実施形態について図8を参照しつつ説明する。
【0060】
図8は本発明に係る部品収納体保管装置の第3実施形態を用いた部品補給を管理する部品補給管理システムでの部品補給管理動作の一例を示す図である。この第3実施形態では、リール保管装置PT1~PT3を含む部品補給管理システム全体の構成は第1実施形態または第2実施形態と同一であるものの、以下に説明する動作を追加実施する。したがって、以下においては追加部分を中心に説明し、同一構成および動作については説明を省略する。
【0061】
第3実施形態においても、第1実施形態や第2実施形態と同様に、管理制御装置200からのステータス要求に応じてリール保管装置PT1は全リール保管装置PT1~PT3のステータス情報を送信して通知する。一方、管理制御装置200から出庫指示がリール保管装置PT1に与えられると、補給用リールRの出庫処理を開始する前に、出庫指示に対応するリール、つまり補給用リールRがリール保管装置PT1~PT3に保管されているか否かをリール保管装置PT1は判断する。ここで、補給用リールRの保管を確認すると、第1実施形態や第2実施形態と同様に補給用リールRの出庫を開始する。
【0062】
一方、補給用リールRがリール保管装置PT1~PT3のいずれにも保管されていないことを確認すると、リール保管装置PT1はリール格納情報記憶部580に記憶されている格納情報に基づいて補給用リールRが部品庫PWに格納されているか否かを判断する。ここで、補給用リールRの格納を確認できなかった場合には、図8への図示を省略しているが、リール保管装置PT1は、補給用リールRがリール保管装置PT1~PT3にも部品庫PWにも存在していない、つまり「部品なし」を示すステータス情報を管理制御装置200に送信して通知する。そして、これを受けた管理制御装置200は大型モニタ600および携帯端末400の表示を「部品なし」を報知する内容に更新する。このため、生産ラインL1で作業している作業者OPは大型モニタ600および携帯端末400を見ることで、リール保管装置PT1~PT3および部品庫PWを配置している保管エリアまで移動せずとも、補給部品が存在しておらず、補給部品の手配を直ちに行う必要があることを認識することができる。
【0063】
これに対し、補給用リールRの格納を確認できた場合には、図8の右下部分に示すように、リール保管装置PT1は、補給用リールRが部品庫PWに格納されている旨および格納位置を含むステータス情報を管理制御装置200に送信して通知する。そして、これを受信した管理制御装置200は、大型モニタ600および携帯端末400での表示項目のうち「保管装置」、「ステータス」および「残出庫時間」の表示内容を上記通知に基づいて更新する(ステータス等の更新)とともに、例えば図8に示すように『部品庫での格納位置:棚(2-1)』などのメッセージを大型モニタ600および携帯端末400に追加表示する。このため、生産ラインL1で作業している作業者OPは大型モニタ600および携帯端末400を見ることで、部品庫PWに移動して棚(2-1)から補給用リールRを取り出し、部品実装装置(図8に示すケースでは部品実装装置MC1)に運んで部品補給を行う。
【0064】
以上のように、第3実施形態によれば、リール格納情報記憶部580に記憶された格納情報に基づいて部品庫PWに補給用リールRが格納されているか否かを自動的に判断することができる。また、部品庫PWでの補給用リールRの格納とともに格納位置を含むステータス情報を管理制御装置200に送信して大型モニタ600および携帯端末400に表示して作業者OPに報知している。したがって、作業者OPは部品庫PWまで移動することなく、出庫指示の対象となっているリール、つまり補給用リールRが部品庫PWに格納されていることを迅速に把握することが可能となっている。しかも、部品庫PWでの補給用リールRの格納位置も大型モニタ600および携帯端末400に表示され、作業者OPに報知される。したがって、部品庫PWでの作業者OPは補給用リールRを部品庫PWから効率良く取り出して部品実装装置MC1~MC3に運ぶことができる。
【0065】
上記したように、第1実施形態ないし第3実施形態では、リールRが本発明の「部品収納体」の一例に相当しており、特に補給用リールRが本発明の「部品実装装置への補給が要求された部品を収納した部品収納体」および「出庫指示の対象となっている部品収納体」の一例に相当している。また、管理制御装置200が本発明の「外部装置」の一例に相当している。また、入出庫位置512が本発明の「出庫位置」の一例に相当している。また、通信部590、250がそれぞれ本発明の「保管側通信部」および「管理側通信部」の一例に相当している。また、リール格納位置記憶部580が本発明の「格納情報記憶部」の一例に相当している。
【0066】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、図1に示すように、複数の部品実装装置MC1~MC3に対して1名の作業者OPが部品補給作業を行っているが、複数の作業者が部品補給作業を分担して行う場合にも大型モニタ600および携帯端末400に全ステータス情報などを一括して表示してもよい。また、図9に示すように2名の作業者OP1、OP2のうち作業者OP1が部品実装装置MC1、MC2に対する部品補給作業を担当し、作業者OP2が部品実装装置MC3に対する部品補給作業を担当する場合に、各携帯端末400での表示内容を相違させてもよい。つまり、作業者OP1の携帯端末400に対して部品実装装置MC1、MC2に関連するステータス情報のみを選択的に表示する一方、作業者OP2の携帯端末400に対して部品実装装置MC3に関連するステータス情報のみを選択的に表示してもよい。このように各作業者OP1、OP2が携帯する携帯端末400に、自分が担当する部品補給作業に関連するステータス情報のみが表示されることで、各作業者OP1、OP2は、自分が行うべき部品補給作業を的確に把握することができ、部品補給の効率を高めることができる。なお、この場合であっても、大型モニタ600には全部品実装装置MC1~MC3に関連するステータス情報などを一括して表示するのが望ましい。
【0067】
また、上記第1実施形態において、出庫開始通知と出庫完了通知との間でステータス通知を適宜実行して出庫動作の進捗状況を管理制御装置200に通知して大型モニタ600および携帯端末400の表示を更新してもよい。これによって、作業者OPは補給用リールRの出庫動作の進行を視覚的に確認することができ、好適である。
【0068】
また、上記実施形態では、ステータス情報やメッセージなどを大型モニタ600および携帯端末400に表示して視覚的に作業者OP、OP1、OP2に報知しているが、上記表示と一緒にあるいは表示の代わりに音声で報知してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、3台のリール保管装置PT1~PT3を統括的に制御するためにリール保管装置PT1をマスターとして機能させているが、それぞれ独立して管理制御装置200に対してステータス情報を送信するように構成してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、入出庫位置512でリールRの入庫および出庫を行うリール保管装置PT1~PT3に対して本発明を適用しているが、リールRの入庫および出庫を互いに異なる位置で行うリール保管装置に対しても本発明を適用可能である。また、部品補給管理システム100により管理可能な生産ラインL1の構成、生産ラインの本数、リール保管装置の個数および部品庫PWの構成や個数などは任意である。また、上記実施形態では、リールRを用いて部品補給を行う部品収納体保管装置ならびに部品補給管理システム100に対して本発明を適用しているが、本発明の「部品収納体」としてトレイを用いて部品補給が行われる部品収納体保管装置ならびに当該装置を用いて部品補給を行う部品補給作業を管理する部品補給管理技術に対しても本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
この発明は、部品を収納したリールやトレイなどの部品収納体を保管する部品収納体保管装置ならびに当該部品収納体保管装置を用いた部品補給作業を管理する部品補給管理技術全般に対して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
100…部品補給管理システム
200…管理制御装置
250…(管理側)通信部
400…携帯端末
410…端末制御部
420…タッチパネル
512…入出庫位置(出庫位置)
520…リール移送部
530…保管部
540…保管制御部
543…ステータス取得部
580…(リール)格納情報記憶部
590…(保管側)通信部
600…大型モニタ
MC1~MC3…部品実装装置
OP,OP1,OP2…作業者
PT1~PT3…リール保管装置
PW…部品庫
R…補給用リール(部品収納体)
図1
図2
図3
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図5
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図7
図8
図9